書いてあること

  • 主な読者:プレゼンテーションを担当する若手社員、営業担当者
  • 課題:プレゼンテーションが苦手、何を準備したらよいか分からない
  • 解決策:プレゼンテーションの段階やシーンによっても目的が違うので、目的に合った準備を怠らない。本番を想定した練習を繰り返し行う

1 プレゼンテーションへの苦手意識は準備で拭い去る

ビジネスシーンでは、プレゼンテーション(以下「プレゼン」)が頻繁に行われます。

しかし、「上手に話せなかったらどうしよう」「自分の提案が的を外していたらどうしよう」など、不安な気持ちが膨らみ、プレゼンに対して苦手意識を持つ人も少なくありません。

こうした不安をなくすためには、「何が起こっても大丈夫」と思えるように万全の準備をするしかありません。ここでは、絶対にプレゼンを成功させるために必要な準備のポイントを紹介していきます。

2 プレゼンの目的を理解する

1)シーンによる目的の違い

プレゼンは主に、次のようなビジネスシーンで行われます。

  • 新規見込み顧客の窓口担当者に対する商品・サービス(以下「商品」)の提案
  • 既存顧客の部門長などに対する新しい商品企画の提案
  • 商品を実際に利用している既存顧客先の従業員に対する商品の利用方法の説明
  • 自社役員に対する新しい商品企画の提案
  • 自社の部門長に対する生産性向上のための業務改善案の提案
  • プロジェクトチームのメンバーに対する新商品の営業方針の提示

シーンによって、プレゼンの目的は異なります。例えば、新規見込み顧客の窓口担当者に対する商品の提案におけるプレゼンでは、「自社商品の購入を決定してもらう」ことが目的になります。

一方、プロジェクトチームのメンバーに対する新商品の営業方針の提示では、「メンバーに営業方針を正しく理解してもらう」ことが目的になります。

2)プレゼンの段階による目的の違い

「初めて行うプレゼンなのか」「何度目かのプレゼンなのか」という、プレゼンの段階によっても目的は異なります。例えば、新規見込み顧客に対して初めてプレゼンを行う場合、「まず、自社と自社商品について理解を深めてもらう」ことが目的です。

一方、既に何度かプレゼンを行っており、今回が最終プレゼンとなる場合には、「意思決定者に購入を決定してもらう」ことが目的となるでしょう。

3)プレゼンの目的を理解するためのチェックシート

プレゼンの目的を理解するために、プレゼンの聞き手や目的などをまとめたチェックシートを活用するとよいでしょう。プレゼンの目的を理解するためのチェックシート(例)は次の通りです。

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3 プレゼンの内容を決める

1)伝える内容を検討するための情報収集

1.聞き手の状況

こちらの意図をきちんと伝えるために必要な情報を収集します。

例えば、新規見込み顧客の窓口担当者に対する商品の提案のプレゼンでは、聞き手である窓口担当者が、自社商品と同じタイプの他社商品を利用したことがあるか、また利用したことがある場合はその印象について事前に確認しておきます。

通常、新規見込み顧客の窓口担当者に対する商品の提案では、自社商品について説明することになります。しかし、仮に聞き手が他社商品を利用したことがあり、しかも何らかの不満を感じていることが分かっていれば、自社商品の基本的な説明はほどほどにして、他社商品に対する自社商品の優位性を強調したほうが印象が強くなります。

2.プレゼンの条件

聞き手の人数、プレゼン時間、会場の広さ(聞き手との距離や自分の立ち位置など)、設備(プロジェクター・ホワイトボード・マイクなど)などについて、事前に確認しておきます。プレゼン時間が短い場合は伝えたいポイントを絞る、プロジェクターがない場合はフリップを用意するなど、条件に合わせた対応が必要になります。

2)構成の決定

一般的なプレゼンの構成は「序論・本論・結論」です。

序論では、今回のプレゼンのテーマや話の流れを示した上で、本論へ導くための問題提起を行います。問題提起を行う場合は、その裏付けとなる統計データなどを示すと説得力が増します。

また、プレゼンは「『つかみ』が肝心」と言われることがあります。序論の段階で聞き手を引きつけるために「〜のような問題があるのをご存じでしょうか?」などの形で疑問を投げかけたり、最初に「今回の提案によって、貴社の抱える問題がスムーズに解決できます」と結論を先に述べる方法などがあります。

本論では、プレゼンの「肝」を伝えます。本論は、プレゼンテーターが最も伝えたい部分であるため力が入りますが、あれもこれもと盛り込み過ぎると、話が長くなり、聞き手が退屈します。「少し話し足りないな」と感じるくらいがちょうどよいものです。また、プレゼンに慣れてきたら、聞き手に質問するなど参加型にしたり、ちょっとした小話で笑いをとったりするなどして、聞き手を退屈させないような工夫を行うとよいでしょう。

結論は、プレゼンの結びのパートです。序論・本論で述べたことを簡潔にまとめる、重要なキーワードを繰り返す、序論・本論で述べたことを実現した場合に考えられる明るい未来の姿を提示する、などといった内容になります。また、本論から結論に移る際に質疑応答の時間を設け、聞き手の疑問を解消した上で結論に入ってもよいでしょう。

3)資料の内容の決定、作成

プレゼンの構成が決まったら資料を作成します。資料は、パワーポイントなどを使って作成するのが一般的です。拡大している様子を示したいときは右上がりの矢印を大きく見せるなど、伝えたいことを図やイラストを使ってイメージさせるように作ると効果的です。アニメーションなどをうまく使って動きのある資料にするのもよいでしょう。

また、資料を作成する際は、情報量に注意しましょう。小さな文字がめりはりなく羅列されているような資料だと読む気がしません。資料は「重要なポイントが一目で分かるレイアウト」「1ページに盛り込む内容は1つだけ」などを心掛けて作成します。

4 プレゼンの練習をする

プレゼンスキルを上達させるためには、とにかく、本番を想定して繰り返し練習をすることが基本です。何も見ないでもスラスラと言葉が出てくるようになるまで練習しなければなりません。とはいえ、まとまった練習時間を取りにくい場合もあります。そういうときは通勤電車の中や入浴中など、すきま時間をうまく使ってプレゼンの練習に充てるとよいでしょう。

練習をするときには、必ず時間を計り、話す速度や間の取り方を覚えていきます。また、誰でも、話し方・立ち方・視線の配り方などに癖があります。それを客観的に把握し、必要に応じて直していきましょう。スマートフォンやデジタルカメラなどを活用して自分の話している姿を録画してチェックし、良くない癖は直すように心掛けましょう。また、上司や同僚、家族などの前でプレゼンを行い、印象や良くない点を教えてもらうのもよいでしょう。質疑応答の時間も設ければ、質問への回答も練習することができます。

5 プレゼンの成功に王道なし

プレゼンを成功させるために必要な準備のポイントを、「プレゼンの目的を理解する」「プレゼンの内容を決める」「プレゼンの練習をする」といった3つの切り口で紹介してきました。

プレゼンは何度練習しても緊張するものですが、本気で準備していれば、「自分はこれだけの準備をしてきたのだ」という自信につながり、「失敗したらどうしよう」という不安は解消されていくものです。

プレゼンした結果、こちらの提案が聞き手に受け入れてもらえるか否かはその時点では分かりません。しかし、事前にしっかりと準備していればプレゼンの質は確実に向上し、聞き手にこちらの提案を受け入れてもらえる可能性が高まります。

プレゼンの成功に王道はありません。地道に努力し、しっかりと準備することが、プレゼンを成功に導いてくれるでしょう。

以上(2020年1月)

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画像:pixabay

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