書いてあること

  • 主な読者:若年層などに「刺さる」宣伝活動をしたい一般消費者向けサービスの提供者
  • 課題:今のやり方では競合他社との差異化が図れない。もっと宣伝効率を高めたい
  • 解決策:紙媒体のダイレクト・メールを再活用する。提供するサービスの特性と目的に合わせて送付先を絞り、ターゲットの心を掴む仕様のものを送付すれば効果が見込める

1 紙媒体のダイレクト・メールは、若年層には受けが良い?

SNSなどが普及した今、企業や店舗から送られてくる紙媒体のダイレクト・メール(以下「DM」)は、「古い」と思われがちかもしれませんが、そう決めつけるのは早計です。意外なことに、

DMは20代の男女や30代の女性への訴求力が強い

ことを示唆する調査結果もあります。例えば下記のデータです。

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日本ダイレクトメール協会の「DMメディア実態調査2020」によると、DMを見て何らかの行動をした人は15.1%で、そのうち商品やサービスを購入・利用した人の割合は2.1%です。

この「何らかの行動をした人」の割合を性別と年代で見ると、20代男性は37.1%、20代女性は31.6%、30代女性は27.7%です。同協会では、調査結果から、比較的若い世代のほうがDMを見て何らかの行動をする傾向にあるとしています(30代男性は7.7%、40代男性は8.9%、50代男性は14.5%、40代女性は17.8%、50代女性は9.2%)。また、世帯年収別が高い層ほど、何らかの行動をする人の割合が高くなる傾向もあるようです。

また、DMにはその他にも次のような「追い風」があります。

  • コロナ禍の影響で在宅率が高まり、手に取る、あるいは目に入る可能性が高まった
  • デジタルの宣伝手法が増えたことで、アナログはユニークな存在になりつつある
  • 個人情報保護法の改正でDMのハードルが高くなり、逆に「特別感」が増している
  • デジタルマーケティングの手法が広がり、顧客分析や効果検証が容易になっている

この記事では、アナログな手法であるDMを見直すべき理由を解説した上で、分析などを行って戦略的にDMを活用することで宣伝効果を高める考え方を紹介します。改めてDMの活用を検討する際のご参考にしてください。

2 DMが若年層に「刺さる」3つの理由

前述の「DMメディア実態調査2020」を行った日本ダイレクトメール協会によると、「若年層のDMに対する行動喚起率の高さは、5~6年ほど前から顕著に見られる傾向」だといいます。

同協会ではその理由や背景について確認するために、2018年に「若年層のDM意識」を調べるグループインタビューを実施しました。その結果、若年層の開封率および行動喚起率が高い要因として、次の3点を確認できたといいます(2018年調査時点の内容です)。

1.デジタルネイティブ世代にとってのDMは特別感がありインパクトもある

「(電子メールは)1日で200~300通は届いている。量が多すぎて、全くさばききれていない」(40代男性)
「(DMは)欲しい情報が向こうから来てくれるので、うれしい。それがアクションするきっかけになる」(30代女性)
「手に取ったときにインパクトがあるのは“企業からの手紙”ならではなので、テンションが上がる」(20代男性)

2.自分のために手間とコストを掛けて印刷物を送ってくれたことに価値を感じる

「自分がいよいよ大人になった、お金を使う立場になったと認識するきっかけになった」(20代男性)
「5年前の美容院からのDMをまだ取ってある。オシャレだし、店員さんのメッセージも書かれていたので」(20代女性)
「スポーツショップからDMを受け取ったとき、そのショップとの付き合いの長さを初めて実感した。企業から『お得意様』として認めてもらえたことがうれしくて、また利用したいと思った」(20代男性)

3.電子メールよりも見やすく分かりやすいため、お得情報が印象に残る

「スマホでは件名も最初の何文字かしか見えない。前半に「クーポン」とか入っていなければスルー」(30代女性)
「電子メールだとスクロールしなければならないが、DMは開くと全ての情報が一覧できる」(20代男性)
「紙だからからこそ、周辺の興味がなかった情報を知るきっかけになるし、内容が頭に残りやすい」(30代男性)

3 DMで狙える効果と活用事例

このように、若年層に受けが良いかもしれないDMについて、実際にどのような効果が狙えるのか、どのような活用方法があるのか確認しましょう。

DMは、最終的には提供するサービスの販売につなげることが目的ですが、1通のDMで販売を目指すことだけが活用方法ではありません。自社が提供するサービスの特徴によって、効果のある活用方法が異なります。例えば、次の通りです。

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自社が提供するサービスの特徴を踏まえた上で、どのような目的で(Why)、誰に(ターゲット、Whom)、どのようなタイミングで(When)、どのような(What)DMを送るのか、検討することが大切です。次章で「4W(Why、Whom、When、What)」を見てみましょう。

4 DMの効果を高めるために必要な「4W」

1)目的を明確にする(Why)

第3章で触れたように、DMは提供するサービスによって効果が異なります。自社が提供するサービスの特徴に合わせて、「優良顧客の囲い込み」「顧客との関係維持」「休眠顧客の掘り起こし」「新規顧客の開拓」など、DMを送付する目的を明確にしましょう。

また、DMをそのままサービスの販売に結び付けるのか、「来店してもらう」「ウェブサイトにアクセスしてもらう」「会員登録してもらう」「アプリをダウンロードしてもらう」「まずは認知してもらう」といった段階を踏むのかなど、細かい目的も決めておきましょう。そのほうが訴求力のある内容が考えやすくなります。

2)ターゲットを絞る(Whom)

1通のDMにもコストが掛かるので、送付先は可能な限り絞るようにしましょう。DMの目的を踏まえて、性別や年齢層はもちろん、住所、これまでの自社のサービスの利用頻度などに基づいてターゲットを絞ります。新規顧客を獲得したいときなど、自社の顧客リストが活用できない場合は、送付先の属性を絞ってDMを送付してくれる「ターゲティングDM」事業者に相談してみてもよいでしょう。

3)送付のタイミングを選ぶ(When)

送付のタイミングも、DMの目的に沿った形で選びましょう。イベントやセールなど期間限定の内容であれば開始直前が理想的です。時候の挨拶やバースデーカードであれば、そのタイミングをずらさないようにしましょう。タイミングを逸したDMは、逆に顧客の心象を悪くしないとも限りません。

4)DMの内容にこだわる(What)

せっかく送付したDMが、郵便受けからゴミ箱に直行してしまうような内容では意味がありません。簡単ではありませんが、パッと見も詳しい内容も、ターゲットのハートを掴み、目的とする行動を促しやすいDMづくりをしたいものです。予算にもよりますが、外部のデザイナーなどに相談するのも一策です。

前述の日本ダイレクトメール協会による2018年の「若年層のDM意識」では、「特に若年層の女性はデザイン性の高さや豪華さにときめく」という結果も出たそうです。

予算や費用対効果との兼ね合いにもよりますが、場合によっては試供品やノベルティグッズを同封したり、簡単なクイズによる懸賞を付けたり、アンケートを返信してくれた人に粗品をプレゼントしたりするなど、送付先にメリットを与えることで注目度を高めることも検討してよいでしょう。

この他、宛名や大切なメッセージの部分を手書きにするなど、送付先によって「パーソナライズ」させることや、「丁寧さ」を大切にすることもおすすめです。

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日本郵便が主催する全日本DM大賞では、毎年応募のあったDMの中から優れた作品を選定し、表彰しています。全日本DM大賞のウェブサイトでは、表彰されたDMを画像入りで紹介していますので、デザインなどを検討する際に参考になるでしょう。

■日本郵便「全日本DM大賞」■
https://www.dm-award.jp/

5 DM送付後の対応でさらなる効果が期待できる

1)送付後の検証が次回以降の効果を高める

DMを送りっぱなしでは、DMを送付するメリットを享受できているとは言えません。DMの効果について検証を徹底することで、DMの効果を高めることにつなげられるようになります。

DMの目的が明確になっていれば、効果の検証もやりやすくなります。今回のDMが目的の達成のためにどの程度効果を発揮したのか、データを基に確認しましょう。効果を検証する視点としては、次のようなものがあります。

  • DM送付前後の客数や売り上げなどの変化
  • 客数や売り上げなどの変化が、費用や作業量に見合ったものだったのか
  • DMで効果のあった客層の属性にはどのような特徴があるか
  • そもそもDMの「4W」が正しかったのか
  • DMのどこを改善すれば、もっと効果が高まるという仮説が立てられるか

また、例えば当初からDMの内容を2種類にする、送付時期を分けるなど「ABテスト」を実施して効果の高い送付方法を検証してみてもよいでしょう。

2)顧客リストをアップデートする

顧客リストを基にDMを送付している場合、顧客リストをアップデートすることが大事です。不達の送付先を顧客リストから削除することはもちろんですが、DMへの反応があったかどうか、購買行動につながったかなどの情報も付加するようにしましょう。

顧客の属性とDMに対する反応をひも付けてデータ化していけば、自社のサービスをDMでプロモーションするには、どのような属性の人をターゲットにすれば効果が高いかも把握できるようになるでしょう。

3)個人情報の取り扱いには注意を

個人情報の漏洩があっては、サービスの販売どころか企業の信頼にも影響します。自社内だけでなく取引先を含めた、情報管理の徹底に留意しましょう。

  

以上(2021年10月)

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画像:unsplash

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