書いてあること
- 主な読者:ベンチャーやスタートアップとの連携を検討している経営者
- 課題:良いベンチャーなどと出会うための方法が分からない
- 解決策:金融機関が主催するビジネスマッチングなどを利用する
1 ベンチャーなどとの連携で可能性を広げる
連日のように大企業とベンチャーやスタートアップとの連携が発表されます。これには、
- 大企業:スピード感をもってとがった技術を取り入れたい
- ベンチャーなど:資金提供を受ける、営業協力をしてもらう
という狙いがありますが、なかなかうまくいきません。大企業とベンチャーなどとでは、組織の力学や仕事の進め方が全く違うので、そもそも難しい面が多いのです。
一方、中小企業はベンチャーなどとの連携に向いている面があります。例えば、組織の規模が似ているのでリソースの割り振りには納得感がありますし、経営者がすぐに意思決定するところも反りが合います。ただ、中小企業には既存の収益事業があり、その取り扱いが悩ましいところです。よほど切羽詰まった状況でなければ、その事業を守らなければなりません。ベンチャーなどと連携する場合も、ここにメスは入れにくいかもしれません。
そこで、既存の収益事業をどのように扱うのか、つまり、
- 収益の落ち込みを覚悟し、既存の収益事業を抜本的に変える
- 既存の収益事業は基本的にそのままだが、多少の変化は受け入れる
- 既存の収益事業は聖域とする
といったことを事前に合意しておかなければなりません。
一方、ベンチャーなどから見た場合、例えば、中小企業が特定の業界で高いシェアを持っていれば、そのネットワークや知名度は魅力的です。
あとは、ベンチャーなどとの出会い方です。その気があればいくらでも出会えますが、さまざまな意味で“良い相手”と出会いたいものです。そのための具体的な方法に、ビジネスマッチングなどがあるので、概要を紹介します。
2 出会いにつながる4つの方法
1)ビジネスマッチングに参加する
ビジネスマッチングとは、企業同士を結び付ける場やサービスです。仲介役のコーディネーターが、自社が持つ課題を理解し、その課題解決のアイデアや技術を持つ企業を紹介してくれます。
ビジネスマッチングは金融機関が積極的に行っています。取引先の企業を引き合わるのが基本ですが、他の金融機関と連携して広域のマッチングを実現しています。また、企業の「素のニーズ」を把握するために、ビジネス情報の閲覧履歴などを参考にするなどしています。
2)コンソーシアムに参加する
コンソーシアムとは、共同事業体のことです。特定の業界、商品、技術などをテーマにして、共同で課題を解決することを目指しています。
例えば、冷凍品の普及によってフードロス削減を目指す「フローズンエコノミーラボ」などのように、ベンチャーなどが自ら幹事企業となって、大企業や中小企業を巻き込んでいる場合もあります。
3)ピッチに参加する
ピッチとは、自社のビジネスプランなどを公表する場のことです。単発のピッチもありますが、月に1回など定期的に開催されているものもあります。
例えば、オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)事務局「NEDOピッチ」などのように、「アグリテック」などのテーマが毎回設定され、それに関連する複数のベンチャーが登壇し、自社の商品や技術などをプレゼンするというピッチが多くなっています。中小企業は関心のあるベンチャーやスタートアップにアプローチし、連携を進める流れです。
4)ベンチャーなどに特化したデータベースを利用する
ベンチャーなどに特化したデータベースとは、企業名、事業内容、従業員規模、ニュースリリースなどの企業情報を掲載したウェブサービスです。
例えば、フォースタートアップス「STARTUP DB」などのように、企業名や業界別にベンチャーなどの情報を検索することもでき、概要だけであれば無料で閲覧できます。利用料を支払えば、マッチング機能や、詳細な企業情報のダウンロードなどが利用できる場合もあります。
ベンチャーなどの企業情報が網羅的に掲載されていて、関心のある業界にどのようなベンチャーなどがあるのかを調べる際に役立ちます。
以上(2022年2月)
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