書いてあること
- 主な読者:販路の拡大や生産コスト削減などのために、海外展開を検討している経営者
- 課題:現地の市場調査を本格的に始める前に、基礎的なデータを集めて検討したい
- 解決策:まずは各国・地域の基礎的なデータを無料で入手できるウェブサイトを活用する
1 海外の市場調査は、無料の基礎データの活用から
海外展開を行うには、国内では想定できないようなリスクもあります。ですから、検討するに当たって、想定する国・地域に関する市場規模、参入企業の動向、法規制などの基礎情報の他、言語や慣習など、さまざまな観点から情報を収集することが欠かせません。
本格的な検討段階になれば、外部コンサルタントなどの起用も視野に入れる必要がありますが、初期の検討段階であれば、
無料で収集できる基礎データを活用する
だけでも、一定の情報を集めることができます。
この記事では、世界各国・地域の海外市場に関する基礎的な情報を無料で収集するための情報ソースを紹介します。
2 世界各国・地域の市場に関する情報ソース(日本語)
1)外務省「国・地域」
外務省「国・地域」では、各国・地域の面積、人口、民族、言語、宗教などの一般情報の他、主要産業、GDP、物価上昇率などの経済に関する基礎データを公表しています。
■外務省「国・地域」■
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/
2)総務省「世界の統計」
総務省「世界の統計」では、各国・地域の人口、経済、社会、環境などのデータを抽出してまとめた統計を公表しています。
なお、国際連合(UN)や国際通貨基金(IMF)などの国際機関が公表しているデータ(詳細は後述)は、多くが英語で作成されており、検索方法やデータの見方が分かりにくい場合があります。「世界の統計」では、こうしたデータの日本語訳が集約されています。
■総務省「世界の統計」■
https://www.stat.go.jp/data/sekai/
3)国際協力銀行「投資環境資料のご案内」
国際協力銀行(JBIC)「投資環境資料のご案内」では、日本企業の関心が高い国の投資環境を紹介するレポートを公表しています。国土、民族、社会、歴史などの概観をはじめ、経済概況や直接投資受け入れ動向、外資導入政策と管轄官庁、主要関連法規、許認可・進出手続き、税制、貿易管理・為替管理、労働事情、物流・インフラなどさまざまな角度から投資環境を紹介しています。
また、地域ごとの特徴や、付録として進出企業へのアドバイスや国内外での相談窓口なども紹介しています。作成年が古いものがあったり、紹介している国が限定されていたりしますが、関心のある国のレポートが見つかれば、有益な情報ソースとなるでしょう。
■国際協力銀行「投資環境資料のご案内」■
https://www.jbic.go.jp/ja/information/investment.html
4)日本貿易振興機構「国・地域別に見る」
日本貿易振興機構(ジェトロ)「国・地域別に見る」では、ジェトロが海外事務所などのネットワークを駆使して入手した各国・地域の経済、産業、統計、貿易・投資実務などに関する情報を、国・地域別、目的別、産業別に整理して公表しています。
また、特定の国・地域に関する資料・情報源や、ビジネスに関わるニュースなども見ることができます。
■日本貿易振興機構「国・地域別に見る」■
https://www.jetro.go.jp/world/
5)中小企業基盤整備機構「海外ビジネスナビ」
中小企業基盤整備機構「海外ビジネスナビ」では、海外展開に関する実務情報や取り組み事例を紹介しています。
また、海外ビジネス情報として、各地の現地レポートや調査レポートも掲載しています。
■中小企業基盤整備機構「海外ビジネスナビ」■
6)海外投融資情報財団「海外投融資」
海外投融資情報財団(JOI)「海外投融資」では、主に会員向けに、隔月発行しているビジネス情報誌「海外投融資」の内容を、バックナンバーも含めて紹介しています。基本は会員限定ですが、一部のレポートが一般公開されています。
■海外投融資情報財団「海外投融資」■
https://www.joi.or.jp/magazine/
3 世界各国・地域の主な指標データに関する情報ソース(英語)
1)男女別・年齢階級別などの人口の推移
国際連合(UN)「Demographic Yearbook」では、各国・地域が国際連合に報告したデータに基づいた1948年以降の人口を公表しています。男女別・年齢階級別人口や主要都市別人口、人口動態(出生率、死亡率など)などを調べることができます。
■国際連合「Demographic Yearbook」■
https://unstats.un.org/unsd/demographic/products/dyb/
2)推計人口の推移および将来推計人口
国際連合(UN)「World Population Prospects 2022」では、1950年以降の推計人口の推移、2100年までの将来推計人口を公表しています。
■国際連合「World Population Prospects 2022」■
https://population.un.org/wpp/
3)国内総生産・消費者物価指数などの経済指標
国際通貨基金(IMF)「World Economic Outlook Database April 2023」では、国内総生産・消費者物価指数などの経済指標を公表しています。
■国際通貨基金「World Economic Outlook Database」■
https://www.imf.org/en/Publications/WEO/weo-database/2023/April
4)農作物、畜産物、水産物、林産物ごとの各国・地域の生産量などのデータ
国際連合食糧農業機関(FAO)「FAOSTAT」では、農作物、畜産物、水産物、林産物ごとの各国・地域の生産量などのデータを公表しています。
■国際連合食糧農業機関「FAOSTAT」■
https://www.fao.org/faostat/en/#home
5)労働力に関する情報(経済活動人口、就業者、失業者などのデータ)
国際労働機関(ILO)「ILOSTAT」では、労働力人口、就業者、失業者、賃金、労働時間、労働災害、社会保障などのデータを公表しています。
■国際労働機関「ILOSTAT」■
6)衛生状態や感染症に対する予防状況
世界保健機関(WHO)「THE GLOBAL HEALTH OBSERVATORY」では、各国・地域の基本的な衛生サービスを受けられている人の割合や、ヒブ、豚サーコウイルス3型といった感染症に対するワクチン接種率などを公表しています。
■世界保健機関「THE GLOBAL HEALTH OBSERVATORY」■
https://www.who.int/data/gho/data/countries
7)新型コロナウイルス感染症に関する情報
世界保健機関(WHO)「WHO Coronavirus(COVID-19)Dashboard」では、新型コロナウイルス感染症による各国・地域の感染者数および死者数に関する累計や週ごとの推移を公表しています。また、各国・地域の感染症対策やワクチン接種率も公表しています。
■世界保健機関「WHO Coronavirus(COVID-19)Dashboard」■
以上(2023年6月更新)
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画像:pixabay