おはようございます。いま、私が最も関心を持っているイベントが、2023年9月からフランスで開催されるラグビーワールドカップ2023です。私も多くの日本人と同様に、4年前の2019年に日本で開催された前回大会での日本代表の活躍に感動して、「にわか」ファンになった一人です。
前回大会の開催前は、ラグビーの簡単なルールさえ知りませんでしたが、試合や関連番組をテレビで観戦するうちに、ルールだけでなく、ラグビーの“哲学”のようなものも知ることができました。ご存じの方も多いでしょうが、けさは、その中でも私が最も感銘を受けている「ノーサイドの精神」について、私の考えを話したいと思います。
ご存じのように、多くのスポーツでは試合終了のことを「ゲームセット」と呼びますが、ラグビーの場合は「ノーサイド」と呼びます。つまり、敵と味方に分かれていた2つのサイドがなくなるということです。ラグビーでは、試合が終わると、互いに健闘をたたえ、感謝し、同じラグビー愛好者として友情を深めることが当たり前になっています。これは選手に限らない話で、観客も、ひいきのチームの枠を超えて友情を深めます。
ノーサイドの精神は、ただ日本代表が試合に勝つことを願っていた私に、ラグビーをする、もしくは応援する本当の目的を考えさせてくれました。試合に勝つことも大事ですが、試合を通じてラグビーを愛する多くの人と友達になれれば、人生はより豊かなものになるのです。
もちろん、勝つことは大事ですし、勝利を目指して真剣に戦った相手でなければ、健闘をたたえて感謝することもできません。ですが、ノーサイドの精神を踏まえると、たとえ試合では“敗者”になったとしても、試合を通じて得るものがあるのなら、その人も“勝者”といえます。
私は、「ノーサイドの精神」を知ってからのこの4年間、仕事でもノーサイドの精神を意識するようにしてきました。
例えば、ライバル会社との顧客獲得競争に関してです。もちろん、ライバル会社に顧客を奪われれば悔しいですし、逆に顧客を奪えればうれしいです。ですが、顧客獲得競争が一段落した後にノーサイドの精神で振り返ってみると、顧客獲得競争の本当の意義は、当社とライバル会社がしのぎを削り、互いの製品やサービスをレベルアップしていくことで、お客さま、ひいては社会の役に立っていくことではないかと思うようになりました。それは、競争があるからこそできることです。
「自社の製品・サービスをいかに売るか」はもちろん大切です。ですが、競争の勝ち負けしか見えていない人には、その先がありません。大事なのは「自社の製品・サービスをいかにお客さま、社会のために役立てるか」です。たとえ一時の競争で“敗者”になったとしても、競争によってその大事な目的のために得るものがあったなら、私たちは“勝者”です。皆さんも、ノーサイドの精神を忘れずに競争してみませんか。
以上(2023年8月)
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画像:Mariko Mitsuda