書いてあること

  • 主な読者:金融教育をしっかり受けていない世代の新入社員
  • 課題:「貯蓄から投資へ」などと言われても、何をどうしたらいいのか分からない
  • 解決策:王道は「長期・積立・分散」投資。信頼できるウェブサービスで基本を知る

お給料が入ったぞ! 欲しいものを買って、友達と遊びに行って、家賃を払って、親に何かプレゼントして。少しだけど残ったお金どうしようかな。ひとまず銀行に預けておけば安心だと教えられてきたけど、今って金利はどれくらいつくのだろう。最近、資産運用を勧められることが多いけど、それってお金持ちがすることじゃないの?

1 預けたお金は何年後に2倍になる?

早速ですが問題です。直感で答えてみてください。

金利0.002%で10万円を預金したら、倍の20万円になるのは何年後でしょうか?

10年後? 50年後? もしかして100年後? 答えはいろいろ出てきそうですが、参考にできるのが投資の世界でいわれる「72の法則」です。法則の使い方はとても簡単で、

72を金利の数字で割れば、元金が倍になるまでのざっくりとした年数が分かる

というものです。では、0.002で割ってみたらどうなるかというと、答えはなんと驚きの

3万6000年後

になります。お給料を銀行に預金しておけばコツコツと増えるという時代は変わりました。自分で稼いだお金をしっかり管理・運用するための金融リテラシーを、しっかりと身につけていきましょう。

なお、以降で紹介するのは情報提供のみを目的とするものであり、取引の申し込みや勧誘、あっせん、推奨、助言、金融商品を含む商品やサービスの販売等を目的として提供されるものではありません。

2 資産運用の王道は「長期・積立・分散」投資

投資にリスクはつきもので、株式や投資信託などの金融商品には「元本割れ」のリスクがありますが、「リスクはリターンの源泉」でもあります。資産運用の王道と言われる「長期・積立・分散」の3つの投資手法を見ていきましょう。

1)長期投資

短期間で売買を繰り返さずに、長期にわたって金融商品を持ち続けます。短期間で売買するときは、値上がりによって大きく収益を得ることもあれば、値下がりによって大きく損失を被ることもあります。投資期間を長くすることで、運用成績の悪い時期と良い時期がならされ、平均的な収益率は安定する傾向があるといわれます。

また、運用で得られた利益を投資元本に加えて再投資をすることで、「複利の効果」が働きやすくなることが期待されます。

2)積立投資

1つの金融商品を定期的に一定の金額ずつ継続して購入するものです。少額からでも投資ができ、一度設定しておけば自動的に継続が可能です。また、投資タイミングによって高値づかみしてしまうリスクも抑えられます。

3)分散投資

投資の対象とする金融商品について「資産・銘柄」「国・地域・通貨」「時間(タイミング)」を分けて購入するものです。1つに集中して投資をすると、運用がうまくいっているうちは良いかもしれませんが、うまくいかなくなった場合に大きな影響を受けます。投資の対象とする金融商品をいくつか組み合わせることで、価格変動などのリスクを抑えられます。

覚えておきたいのは、

  • 資産運用は少額でも早く始めて地道にコツコツ続けるほうが最終的に得られるリターンが大きくなる可能性が高い
  • ローリスク・ハイリターンは、まずもって無い

ということです。

3 預貯金・債券・株式・投資信託の特徴

投資の対象となる代表的な金融商品といわれる「預貯金」「債券」「株式」「投資信託」の特徴を紹介します。

1)預貯金

預金(銀行や信用金庫などに預けている日本円)と貯金(ゆうちょ銀行に預けている日本円)は、必要なときに引き出すことができ、万一、金融機関が破綻しても預金保険の対象として1000万円まで(とその利息)は全額保護されます。普通預金の金利は、0.001%ほどで、預けていてもさほど増えません。

外貨預金は、日本円を、米ドルやユーロなどの外国の通貨に替えて預け入れる「預金」です。定期で預ける「外貨定期預金」を指すことが多いですが、最近では普通預金を外貨で預ける「外貨普通預金」もあれば、外貨建ての預金を扱っている金融機関もあります。運用後、円に替える時の為替レートが預け入れた時より円安になっていれば為替差益が生じます。逆に円高になっていれば為替差損が生じ、円建ての金額は預け入れた時より減ることもあります(外貨での元本は保証されます)。外貨預金は、預金保険の対象にはなりません。

2)債券

国が発行する国債、地方公共団体が発行する地方債、株式会社などが発行する社債といった「債券」は、利子を支払う時期や利率、満期日があらかじめ決められており、満期日に購入した元本(額面金額)が払い戻されます(償還といいます)。

債券の発行者が破綻するとお金が返ってこない恐れがあるため、格付け会社が、発行者の信用力によって債券を格付けします。収益性は、一般的に預貯金よりも高く、株式より低くなります。満期日前に売却して現金化できますが、金利などの影響を受けて価格が変動し、売却価格が額面を下回って元本割れとなる可能性もあります。

3)株式

株式会社が発行する「株式」は、会社が利益を上げるとその一部を配当として株主に還元します。「この会社は成長しそう」と多くの人が思い、株式を購入したがると株価が上がります。購入時よりも株価が上がったタイミングで売却することで利益を得ることもできます。一方、会社の業績が下がると、一般的には株価も下がります。会社が破綻してしまうと株式の価値はゼロになります。株式は比較的簡単に売却して現金化できますが、手元に現金が入るまでは時間がかかります。

4)投資信託

投資信託は、多くの人からお金を集めて、専門家である資産運用会社が株式や債券などに運用するもので「ファンド」ともいいます。運用により利益が出ると配当として、また値上がり益を分配金として保有者に還元します。少額から投資できるものも多いですが、収益性(どれだけ利益が期待できるか)や安定性(どれだけ元本割れしないか)は投資信託が何にどれだけ投資しているかによります。株式同様、比較的簡単に売却して現金化できますが、手元に現金が入るまでは時間がかかります。

4 金融リテラシー向上に役立つサイト

今では、高校の家庭科で「金融教育」を受ける機会がありますが、それ以外にも政府や関係機関(金融庁、金融広報中央委員会、金融経済教育推進会議など)が提供しているウェブサイトがあります。代表的なページをいくつか紹介します。

■「金融リテラシー」って何? 最低限身に付けておきたいお金の知識と判断力■

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201404/1.html

■金融庁×うんこドリル うんこ お金ドリル 全年齢対応■

https://unkogakuen.com/manabi/money

■金融庁「基礎から学べる金融ガイド」■

https://www.fsa.go.jp/news/r5/sonota/20231225/20231225.html

■金融庁「NISA特設ウェブサイト」■

https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/

■お金の知恵を学ぶリンク集 ~金融学習ナビゲーター~(若年社会人向け)■

https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/navi/select_default.html?a=7

■ライフプランシミュレーション 生活設計診断■

https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/sindan/

■動画で学ぶお金の知恵「マネビタ」■

https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/e-learning/

5 金融トラブルに注意!

金融トラブルについて知ることも金融リテラシー向上のために大切です。SNSなどを利用した暗号資産の取引や投資を持ち掛ける詐欺や、偽メールや偽サイトによるフィッシング詐欺や架空請求詐欺など、金融トラブルの手口は多様化しています。

例えば、SNSなどで知り合った人からいきなり投資を勧誘されたりしたら要注意です。金融庁のウェブサイトではトラブルの例や相談先が紹介されているので確認してみてください。

■金融庁からのお願い・注意喚起■

https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/chuui.html

以上(2025年1月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

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