書いてあること

  • 主な読者:時代の変化に乗り遅れているかもしれない社員と、そうした社員をマネジメントする経営者や管理職
  • 課題:社員は自覚なしに非常識な行動を取っているが、確実に相手の信用を失い、取引の縮小や解除を申し出られることもある
  • 解決策:「夜中にメールを送るのは迷惑、すぐに電話をかけるのも迷惑」など、昔とは違う常識を伝えてバージョンアップしてもらう

1 時代に乗り遅れた「令和版 問題社員」が増殖中

いつの時代も、会社に迷惑を掛ける問題社員はいますが、そのありようも時代とともに変わってきました。

例えば、堂々と悪さをした上に、SNSでそれを自慢する「バイトテロ」です。情報が拡散されれば会社の信用はガタ落ちで、会見や消毒など後処理のコストもかかります。ただ、バイトテロの悪質さは世間も知っているので、逆に会社に同情し、応援してくれる人もいます。

このバイトテロよりも怖いのが、

時代の変化に乗り遅れていたり、勘違いしたりしている「令和版 問題社員」

です。例えば、皆さんの会社に「夜中にメールを送る社員」や「すぐに電話をかける社員」はいませんか? 昔は夜中に送られてきたメールに対して、「頑張ってくれている」と寛容だった相手も、今では、

「こんな時間にメールを送ってくるなんて迷惑だ。ブラック企業か!」

と敬遠します。そう、時代は変化しているのです。この変化に気付かずに昔のままのやり方を続けている「令和版 問題社員」は、静かに、そして確実に会社の評判を落としています。

この記事では、「令和版 問題社員」の典型例を紹介します。御社は大丈夫ですか?

なお、この記事の内容は、会社ごとに良しあしの判断が分かれるものであり、あくまでも1つの意見であることをあらかじめご了承ください。

2 夜中でもメールなら問題ないって本当?

最初に紹介するのは、夜中や早朝でもお構いなしにメールを送る問題社員です。このタイプの言い分は、

  • メールを送っているだけだから、相手に迷惑は掛からない
  • 夜中(早朝)に送っておけば、相手は始業時に内容を確認できる
  • 「自分はこんなに働いている!」とアピールがしたい

といったものです。

しかし、相手がメールの受信通知をオンにしていたら、寝ているところを起こしてしまうかもしれません。それに、働き方改革が進む昨今、夜中のメールは目立ちます。相手が、

「すごい時間にメールが届いていますが、お体は大丈夫ですか?」

と確認してきたらご用心。特に大企業は社会的な信用を大事にするので、こちらをブラック企業と疑ったら、取引を縮小・解除してきます。

一方、「働きたい人はモーレツに働いてもいい。それも個人の選択」という意見も広まっています。夜中まで働く必要があるなら、周囲を巻き込まない工夫をしてもらいましょう。例えば、メーラーのタイマー予約を使って、午前1時ではなく、朝8時30分に送信予約するなどです。

ただし、メールの送信時間の設定を社員に指示するのと、労働時間管理は全く別の問題です。長時間労働が慢性化したり、労働基準法で定められている残業の上限を超えたりしているのは、本当のブラック企業です。労働時間管理には十分に注意しましょう。

3 「すぐ電話 もらったほうは 大迷惑」(字余り)

次に紹介するのは、すぐに電話をかける問題社員です。このタイプの言い分は、

  • テキストでは伝わりにくいので、音声で伝えるのがよい
  • 「思い立ったらすぐ電話」のスピード重視。都合が悪いなら折り返しでいいですよ
  • 相手と仲良しだから電話をしても嫌がられない

といったものです。

しかし、ホームページにさえ電話番号を載せなくなってきた今、かかってきたら逃げられない電話応対を強いられる相手の状況に配慮するべきです。テレワーク中の相手に直電するのも考えものです。都合が悪ければ折り返しでいいというのも自分勝手な意見です。電話が鳴れば集中が切れるし、折り返し電話をするというタスクが増えるのもストレスだからです。

セキュリティーの問題もあります。外から電話で取引内容などを大きな声で話す人がいますが、電話の相手は、

「おいおい、情報セキュリティーは大丈夫?」

と心配になります。「外出先でも、携帯電話で込み入った話ができる人は仕事ができる」という評価は変わったのです。

今は、電話も相手とスケジュール調整する時代です。具体的には、

チャットで「今日、何時ごろなら電話できますか?」と確認した上で電話をするのが礼儀

です。1990年代にメールが普及した理由の1つは、「相手の仕事を邪魔しないこと」でしたが、今、このことが改めてフォーカスされています。

「会うほどではないが、テキストでは伝わりにくい」というときは、ボイスメールを使うように推奨してください。これは留守番電話のようなもので、こちらの用件を音声で相手に伝えられます。相手も細かなニュアンスを感じ取りやすいでしょう。

付け加えるなら、最も避けるべきなのは、

すぐに電話をかけてくるのに、こちらからの電話にはほとんど出ない(折り返しもない)という一方通行の行動

です。「なんて自分勝手な!」と相手を怒らせてしまっている可能性が高いです。

4 発言はただじゃない。お仕事版「口だけ番長」

次に紹介するのは、言っていることはもっともだが実態が伴わない、お仕事版「口だけ番長」です。このタイプの言い分は、

  • 存在感を示すためには発言しないと
  • 自分なりに勉強しているし、知識はあるはず
  • 発言したときは、本当に後で対応しようと思っていた(が、忘れた)

といったものです。

この場合、こちらが何と言おうと、相手が求めているのは「プロの対応である」ことに尽きます。そのため、

  • 発言内容はもっともらしいが、具体性がなく、次の行動に結びつかない
  • 月次ミーティングで、1カ月前と同じことを言っている

などの状態が続けば、当然、相手はこちらの提案を受け入れなくなり、最後は別の取引先にくら替えするでしょう。今どきは経験の浅い社員や若手でも現場に出す会社も多いですが、実力不足のままでは駄目なのです。

もちろん、経験の浅い社員や若手にチャンスを与えるのは良いことですし、人手不足でどうしようもないこともあります。大切なのは、

実力不足の社員に任せきりにせず、教育とベテランのフォローをセットにすること

です。それでも成長しなかったり、そもそも向上心がなかったりするなら、その社員は現場に出すべきではないかもしれません。

5 決まったことをひっくり返す無邪気や厄介者

最後に紹介するのは、決まったことを後からひっくり返す問題社員です。このタイプの言い分は、

  • 後で別の大切な予定が入ったので、リスケ(リスケジュール)はやむなし
  • 心理的安全性があれば、思いつきレベルでも発言するべき
  • 発言内容を覆すのは、全て良い仕事のためだ

といったものです。

最も顕著な例はリスケです。1カ月前から決めていたのに、前日や当日になってリスケを申し出ます。体調不良はやむなしですが、別の理由で急なリスケを申し出るため、相手は、

「自分の予定よりも重要な予定って何? 自分は軽く見られた?」

と困惑します。特にオンラインはリスケのハードルが下がりがちですが、これは大きな間違いです。リアルもオンラインも関係なく、決めた予定は守るのが基本です。

決まった要件を後から無邪気に変える問題社員もいます。「要件定義の際は気付かなかった」「後から別の良い方法を思いついた」ということでしょうが、

既にAと決まったことをBに変えるのは、最初からBと決めるよりもコストがかかる

ものです。このタイプは、「心理的安全性」を「言いたいことは何でも言っていい」と勘違いしていますが、現実はそんなに甘くありません。上の例でいえば、「AをBに変える合理的な理由や熱意」がなければ周囲は検討すらしたくないのです。

決まった要件を変えたいという社員がいたら、まずは上司が話を聞いてみましょう。要件を変えるだけの合理的な理由や熱意がないなら、はっきり「NO!」と伝えます。「言った者勝ち」の世界ではないのですから。

以上(2024年5月作成)

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画像:ChatGPT

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