書いてあること

  • 主な読者:商品券を渡したり、貰ったりした場合の処理を知りたい経理担当者
  • 課題:「商品券を購入する目的」などによって会計処理が違ってくるので分かりにくい
  • 解決策:他人にプレゼントする場合と、自社で使う場合(備品購入や社員へのプレゼント)に分けて整理する

1 マーケティングの「お礼」としても使われる商品券

お中元やお歳暮で商品券を贈ることは減ってきたように感じます。一方、ちょっとしたアンケートに答えると「Amazonギフト券」のような、特定のプラットフォームで利用できる商品券をもらう機会は増えてきました。豊富な品揃えの中から好きなものを購入する際の「足し」にできる商品券は、もらったほうも嬉しいものです。こうした魅力をマーケティングに活かすべく、企業は便利にAmazonギフト券のような商品券を使っているわけです。

ところで、商品券を渡すほうも、もらったほうも、これをどのように会計処理するかご存知ですか?

実は商品券の会計処理は少しややこしくて、「何のために使うのか」などパターンごとに仕訳が違ってきます。正しい会計処理はどのようなものなのか、少ししゃくし定規な話となりますが、この記事で模範解答を示します。ただ、社員にプレゼントする場合など、取り扱いが難しいケースもありますので、実際に会計処理する際は、必要に応じて専門家である顧問税理士などへ相談してみてください。

2 商品券を取引先などにプレゼントする場合

アンケートに答えてくれた人や、昇進や結婚などをした顧客などへのプレゼント用に商品券を購入するケースで考えてみましょう。

この場合、購入した商品券は、

「接待交際費」として費用計上

します。例えば、社外へのプレゼント用に3万円分の商品券を現金で購入した場合の仕訳は次の通りです。なお、商品券の購入金額ではなく額面金額を基準に計上します。また、商品券の購入に消費税は課されないため、税抜処理をしている場合でも消費税の仕訳は不要です。

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もし、金券ショップなどで割安の商品券を購入した場合は、差額を「雑収入」として計上します。例えば、金券ショップで本来は3万円分の商品券を2万9000円で購入した場合の仕訳は次の通りです。

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こうして購入した商品券を、実際に社外の人にプレゼントした場合の仕訳は不要です。商品券を購入した際に接待交際費として経費処理しているため、それ以上の仕訳はしなくてよいということです。

なお、購入した商品券が期末まで未使用のまま残っている場合、

「貯蔵品」として資産計上

します。期中に費用計上しているものの、期末時点で保有しているということは費用がまだ発生していません。そのため、期中に計上した「接待交際費」を除く仕訳(いわゆる「逆仕訳」)が必要です。例えば、期末時点において取引先などにプレゼントするために購入した3万円分の商品券が残っている場合の仕訳は次の通りです。

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3 商品券を自社で使う場合

文房具やちょっとした備品の調達など、自社で使うために商品券を購入するケースで考えてみましょう。

この場合、購入した商品券は、

「他社商品券」として資産計上

します。例えば、自社用に1万円分の商品券を現金で購入した場合の仕訳は次の通りです。額面金額を基準にすること、消費税が課されないことは前述の通りです。

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また、金券ショップなどで割安の商品券を購入した場合の処理は社外へのプレゼント用の場合と同じで、差額を「雑収入」として計上します。例えば、金券ショップで本来は1万円分の商品券を9000円で購入した場合の仕訳は次の通りです。

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こうして購入した商品券を、実際に自社で利用した場合の仕訳は、その目的によって違ってきます。例えば、1万円分の商品券で1万円分(税込)の備品を購入した場合、仕訳は次の通りです。大切なポイントは、

商品券を利用する際は消費税の仕訳が必要になる(税抜処理をしている場合)

ことです。

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また、商品券と現金を合わせて使う場合もあるでしょう。例えば、1万円分の商品券と現金1万円を合わせて、2万円分(税込)の備品を購入した場合の仕訳は次の通りです(税抜処理をしている場合)。

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4 商品券を社員にプレゼントする場合

購入した商品券を社員にプレゼントするケースもあると思います。まず、購入時の仕訳は「3 商品券を自社で使う場合」で紹介したとき同じで、他社商品券として資産計上します。

その商品券を社員にプレゼントする場合、

基本的には「給与」として費用計上

します。商品券には金銭と同様の性質があると考えられため、給与となるのです。例えば、資格を取得した社員への報奨として3万円分の商品券を支給する場合の仕訳は次の通りです。給与として扱われるため、所得税等の源泉徴収処理も必要です。ここでは、説明上源泉徴収される所得税等の金額は3000円としています。

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このように、社員にプレゼントする商品券は給与として処理するのが基本ですが、例外も考えられます。例えば、全社員を対象に、あるいは全社員が機会を得られるケースで、社会通念上妥当な金額分の商品券を社員にプレゼントする場合、

「福利厚生費」として費用処理

します。例えば、社員への結婚祝いとして1万円分の商品券をプレゼントした場合の仕訳は次の通りです。福利厚生費として費用計上する場合、源泉徴収の必要はありません。

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5 立場を変えて、商品券をもらった側の処理

これまで商品券を渡す側の立場で会計処理を説明してきました。ここでは、立場を変えて、商品券をもらった場合の会計処理について考えてみます。

もし、取引先から商品券をもらった場合は、

「雑収入」として収益計上

します。例えば、取引先から3万円分の商品券をもらった場合の仕訳は次の通りです。

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もらった商品券を使った場合の会計処理は前述した通りです。同じ例となりますが、例えば、1万円分の商品券で1万円分(税込)の備品を購入した場合、仕訳は次の通りです(税抜処理をしている場合)。

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商品券は購入したときだけでなく、もらった場合の会計処理も忘れずに行いましょう。

以上(2024年4月作成)
(監修 税理士 石田和也)

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画像:ViDI Studio-shutterstock

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