書いてあること
- 主な読者:パソコンのキーボード操作、タイピングに不慣れな新入社員
- 課題:とにかく配列が覚えられないし、タイピング音がうるさいと言われる
- 解決策:覚えるキーは30個程度。あとは正しい姿勢をキープするのとこまめな休憩
キーボード操作って本当に苦手だ……。スマホのフリック入力なら自信があるのに。慣れないから、タイプミスも多くてイライラするし。あれっ! 先輩たちがけげんそうな目でこっちを見てる。まさか自分のタイプミスがバレてるとか? いやいやそんなわけはない。どうしてそんなに険しい顔をしているの?
1 あなたのタイピング音がハラスメント?
デジタルネイティブと呼ばれる皆さんが直面する意外な問題が、パソコンのキーボード操作です。スマホとは違う配列に悪戦苦闘しますし、慣れないうちはやたらに力強くキーを押してしまうので、タイピング音がうるさくなります。カチャカチャ…ッターン!と大きな音をたててエンターキーを叩いて「仕事をしてる」アピールする人もいますが、これは「音ハラスメント」です。
そう。冒頭で先輩たちがあなたを見ていたのは、「タイピング音がうるさい!」と不快に思っていたからなのです。
ただ、タイピング音は仕事をしているからこそ出る音なので、周囲も注意しにくいものです。ですから、皆さん自身が直していくしかありません。その方法をお伝えします。
2 まずは正しい姿勢で!
1)体がだいぶ楽になる正しい姿勢
タイピング音が大きくなってしまう主な原因は、
- タッチタイピングに不慣れである
- 余計なところに力が入り過ぎている
ことです。最初は練習あるのみですが、その際に心がけたいのが「正しい姿勢」です。
まずは無理のない姿勢がとれるように机や椅子を調整し、ディスプレイやキーボードの置き方を工夫してみましょう。基本は次の通りです(厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」)。
- 椅子に深く腰をかけ、背もたれに背を十分当て、足裏全体が床に着く姿勢が基本
- 必要に応じて、十分な広さがあって、すべりにくい足台を使う
- 椅子と膝裏の間に手指が入る程度のゆとりを持ち、太ももに無理な圧力をかけない
また、ディスプレイについては次の通りです。
- 40センチメートル以上の視距離を確保する(眼鏡による適正な矯正を行う)
- ディスプレイの上端は、目の高さとほぼ同じか、やや下にする
- ディスプレイとキーボードなどが離れすぎないようにする
- ディスプレイは、作業しやすい位置、角度、明るさなどに調整する
- ディスプレイの文字の大きさは小さすぎないようにする(3ミリメートル以上)
パソコンを使うときの姿勢は、デスクトップパソコンの場合、ノートパソコンの場合で、それぞれ次のようなイメージです。
2)ホームポジションを身に付ける
ホームポジションとは、キーボード操作で指を置く基本位置です。Windowsパソコンで「QWERTY配列」のキーボードでは、
- 左手:小指「A」、薬指「S」、中指「D」、人差し指「F」
- 右手:人差し指「J」、中指「K」、薬指「L」、小指「;」
となります。
このポジションを身に付けると、素早く、手に負担をかけずに操作できます。多くの場合、「F」キーと「J」キーにちょっとした突起があるのでホームポジションに戻るときに便利です。キーを1つ打ち終わったらホームポジションに戻ることを習慣にすれば、タッチタイピングがしやすくなります。
3)最初から全てのキーの配置を覚えようとしない
ローマ字入力の場合、覚えなければならないキーは、アルファベットの26個と、句点、読点、スペース、Enterなど合わせて30個程度です。よく使うのは、「A」「I」「U」「E」「O」、つまり50音の母音「あいうえお」です。そして、50音の各行の先頭「K」「S」「T」「N」「H」「M」「Y」「R」「W」、さらに 濁音や半濁音の行の先頭「G」「Z」「D」「B」「P」などといったように、よく使うキーから位置を覚えていくのが王道です。
4)タイピングの練習は速度よりも正確さ重視で
慣れないうちは、速度よりも正確さを重視しましょう。タイピングの練習に使える無料ウェブサービスもあるので、参考にしてください。
■ベネッセコーポレーション「マナビジョン 無料タイピング教材」■
https://manabi.benesse.ne.jp/gakushu/typing/
■東京書籍「タイピングソフト やってみタイプ」■
https://www.tokyo-shoseki.co.jp/kyouka/kou/joho/typing/
3 適度な休憩やストレッチで疲れを和らげよう
正しい姿勢だとしてもパソコンを使った作業は、長時間同じ姿勢になりがちです。1時間も座ったまま前かがみで集中してタイピングをしていると、肉体的にも精神的にも疲れてしまいます。
こうした疲れは、パソコンの作業継続時間や設置場所の工夫により軽減することができます。例えば、次のことを心がけてみましょう。
- 連続した仕事は1時間以内とし、途中途中で1~2分程度の小休止を入れる
- 次の連続した仕事までに10~15分の休憩をとる
適度な休憩やストレッチで疲れを和らげるのも仕事のうち。無理は禁物です。なお、休憩しても疲れがとれなかったり、激しい痛みを感じたりするときは、すみやかに医師に相談しましょう。
以上(2025年1月更新)
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画像:Mariko Mitsuda