1 個人情報の取り扱いについて苦情が来ても対応できる準備を

個人情報の取り扱いについて苦情が来たときの処理は、法律上あくまで努力義務ですが、消費者などの本人との信頼関係を構築し、事業活動に対する社会の信頼を確保するため、実務上は対応が必須と考えられます。

「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」は、苦情の適切かつ迅速な処理を行うに当たり、必要な体制の整備として、

  • 苦情処理窓口の設置や苦情処理の手順を定める

ことなどを挙げています。また、

  • いわゆるプライバシーポリシーを策定し、それを公表する(ホームページへの掲載、店舗の見やすい場所への掲示など)ことで、あらかじめ、対外的に分かりやすく説明する
  • 委託の有無、委託する事務の内容を明らかにする等、委託処理の透明化を進める

といったことも重要です。特に、前者のプライバシーポリシーの掲載等は、消費者等との信頼関係を構築するのに役立つでしょう。

なお、個人情報取扱事業者は、保有個人データの取り扱いに関する苦情の申出先について、本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む)に置かなければなりません。「本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む)」とは、

ホームページへの掲載、パンフレットの配布、本人の求めに応じて遅滞なく回答を行うこと等、本人が知ろうとすれば、知ることができる状態に置くこと

で、常にその時点での正確な内容を本人の知り得る状態に置く必要があります。この対応は努力義務ではなく「義務」です。

苦情の申出先としては、苦情を受け付ける担当窓口名・係名、郵送用住所、受付電話番号その他の苦情申出先(個人情報取扱事業者が認定個人情報保護団体の対象事業者である場合は、その団体の名称および苦情解決の申出先を含む)とされています。

2 (参考)認定個人情報保護団体制度

認定個人情報保護団体は、個人情報保護委員会の認定を受けて、業界・事業分野ごとに個人情報の保護の推進を図るための自主的な取り組みを行っている団体です。

認定個人情報保護団体は、消費者と事業者の間に立ち、対象事業者である個人情報取扱事業者の個人情報の適正な取り扱いの確保を目的として、消費者からの苦情の処理や相談対応を行うこととされています。

対象事業者になると、認定個人情報保護団体から苦情処理の第三者機関としての関与・アドバイスを受けられます。また、個人情報保護法などに関連する最新の情報提供も受けられます。

個人情報保護委員会では、認定個人情報保護団体一覧を公表しています。対象事業者になるための要件は、認定個人情報保護団体ごとに異なります。

■個人情報保護委員会「認定個人情報保護団体一覧」■

https://www.ppc.go.jp/personalinfo/nintei/list/

以上(2024年12月更新)

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