おはようございます。今朝はビジネスにおける「推し活」についてお話しします。推しというのは、一言で表すなら「応援」です。もし、誰かと「推しつ推されつ」の関係になれたのなら、ビジネスの可能性は大きく広がります。なぜなら、推す力は、時として企業規模やブランドを超え、長く強く継続するものだからです。
私には、ビジネスにおいて推しつ推されつの関係になっている人が数人います。そのうちの一人は、仙台の取引先に勤める人で、東日本大震災をきっかけに親交を深めました。
その取引先には、当社の冊子を販売する予定でしたが、納品も終わり請求書を送ろうとしたところで、東日本大震災が発生しました。震災発生から数週間後、ようやく連絡が取れたときは相手の無事を心から喜び、冊子を販売ではなく寄付することにしました。取引先は、当社の冊子をお客さまに配る予定だったので、私は冊子を読んだ人々が少しでも元気になればと願ったのです。
その思いが相手に伝わって距離感が一気に縮まり、相手も自分の志などを話してくれるようになりました。やがて、部下たちも巻き込んだチームでの付き合いとなりました。仙台と当社がある東京は離れていますが、定期的に互いを訪問しては近況を報告し、刺激し合っています。
こうした関係はかれこれ10年以上も続いていますが、その間、取引先は当社が冊子を出せば、必ず購入してくれています。
他社からの営業も受けているとのことですが、当社を一番に採用してくれます。過去に理由を聞いたことがありますが、その取引先は、「単に付き合いが長いからという惰性ではなく、御社の志に共感しているからです」と話してくれました。
私は推すことと引き換えに何かを求めるわけではないので、取引先が冊子を購入してくれなくなっても関係は変わりません。もし、関係が途絶えるとすれば、当社と取引先のどちらかに、相手から推してもらえる理由がなくなったときです。
ここが重要なポイントです。企業規模、ブランド、一瞬の共感だけでは、長く強く推してはもらえません。「推してもらえるに足る努力を続けている」からこそ、まっすぐ推してもらえるのです。
ビジネスは人と人との関係であり、だからこそ「好き嫌い」もあります。この好き嫌いが進化したいまどきの形が推しなのだと思っています。人となりや志など、相手の内面を見て、共感し、応援していくということです。
そして、私たちが推してもらえるようになるために必要なのは、「発信と対話」です。「私たちは何者で、何を成し遂げようとしているのか。足元ではどのような活動をしたのか」をしっかりと発信し、相手と対話をして理解を深めてもらわなければなりません。皆さんには、ビジネスで推しつ推されつの関係になっている人がいますか。その人数は皆さんの発信力や活動量を測る物差しともいえるのです。
以上(2023年11月)
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画像:Mariko Mitsuda