おはようございます。これから私がお話しすることは賛否両論、人によって受け止め方はさまざまだと思いますが、「当社は何を大事にする会社か」という話なのでしっかり聞いてください。
皆さんは「逆パワハラ」という言葉を聞いたことがあるでしょう。部下から上司に対して行われるパワハラのことです。一般的なパワハラが、上司から部下に対して行われるため、「立場的に逆」ということで逆パワハラと呼ばれるのです。
私は最近、これと別の意味でも、逆パワハラといえる事態が起きているのではないかと思っています。それは、「頑張らせない圧」です。仕事を頑張ることを良しとしない、むしろ真剣に頑張ることを「そこまでやる必要があるの?」「いまどき、頑張りを求めるのはパワハラでは?」と過剰に反応する雰囲気がありはしないでしょうか。自分が頑張らないだけでなく、周りにも「頑張らなくていい雰囲気」をまん延させる。一般的なパワハラが「全然駄目だよ、なぜできないんだ」と「頑張らせる圧」をかけるのに対し、逆に「頑張らせない圧」をかけることから、私はこれも一種の逆パワハラであると考えています。
一つ、例を出しましょう。ある会社がアプリを使った新商品リリースのため、インターネットや雑誌で一斉に広告を出すことになりました。いよいよ明日から広告スタートとなった日、アプリ側で大きなミスが発覚し、広告内容と実際のアプリの機能が違っていることが分かったのです。
消費者が広告を見てアプリを使っても、広告の通りに使えないという最悪の事態。しかも発覚したのは広告スタート前日の夕方。おわびの広告を出すにも時間的に厳しいし、そもそもリリース初日がおわびで始まるのも印象が悪いです。
そこで、その会社の担当チームは、「今からアプリを直そう」と決断。アプリ開発ベンダーのCEOをどうにか捕まえて直談判しました。「どうしても明日の広告スタートに間に合うよう、一緒にアプリを直してほしい」と頼み込むと、CEOも現場も「消費者が困るといけないから直そう」と快諾。会社とベンダーが力を合わせ、翌日朝の広告スタートに修正を間に合わせ、事なきを得ました。
皆さんは、この話を聞いてどう思いますか?私は、やれることは全部やろうと必死に力を尽くした素晴らしい話だと思います。しかし、人によって反応は違います。この話を聞いて、「前日に無理を言ってくる大企業は怖い。下請けいじめでは?」と言う人や「ベンダーにそこまで対応させる契約になっていないはず。いまどきは契約違反で訴えられるかも」と言う人もいました。
お客さまのため、自分たちの大事な商品のために必死になって頑張ることの何が問題なのか。むしろ賞賛すべきことです。私たちに「頑張らせない圧」は必要ない、これが当社の方針です。お客さまや自分たちの大事な商品のため、「やれることは全部やろう」と思い、行動できる会社にしていきましょう。
以上(2024年5月作成)
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画像:Mariko Mitsuda