【朝礼】「目黒のさんま」はなぜ殿様の心を捉えたのか?
【ポイント】
- 「目黒のさんま」には、主君を気遣いさんまの塩気や油気を抜いてしまう家臣が登場する
- 「手間をかけて作ったもの」に価値があるとは限らない。相手のニーズをよく考える
- 相手への思いやりから、あえてニーズに沿わない決断をすることが必要なケースもある
今日は、古典落語の「目黒のさんま」を紹介します。細かい部分は噺家(はなしか)ごとに異なりますが、私の知っている内容でお話しします。
江戸時代、「雲州公」という殿様が目黒に行ったときのこと。小腹が空いた雲州公は、近所の農家が焼いていたさんまを食べることになります。さんまは庶民の食べ物で、雲州公が口にするのは初めてでしたが、彼はその味を気に入りました。
その後、雲州公は、「黒田公」という殿様に「領地を治めるなら、庶民の生活をよく知るべきだ」と、さんまを勧めます。黒田公はその言葉に従い、家臣に命じて房州(ぼうしゅう)という地域の網元から新鮮なさんまを仕入れさせますが、家臣は「焼いたさんまをそのまま出すのは、殿の体に悪い」と考え、塩気や油気を抜いてしまいます。
この味が黒田公には不評でした。黒田公は後日、雲州公に「房州からさんまを取り寄せたが、まずかったぞ」と不満を漏らします。すると、雲州公はこう答えました。「それは房州のさんまだからだ。さんまは目黒に限る」と。
さんまを焼いていた農家に偶然出会っただけなのに、さんまが目黒の特産物だと勘違いしている雲州公が滑稽ですね。ただ、私が注目してほしいのは、房州からさんまを取り寄せて調理した黒田公の家臣です。注目してほしい点は2つ。
1つは、黒田公の家臣が網元から新鮮なさんまを仕入れた上に、塩気や油気を抜いて丁寧に調理をしていること。相当手間をかけたのに、なぜ黒田公には不評だったのか。それは、さんまを初めて食べる黒田公にとって、大切なのは「新鮮さ」や「ヘルシーさ」ではなく、「味」だったからです。私たちは、「手間をかけて作ったもの」に価値があると思いがちですが、実際のビジネスでは、それが本当に相手(顧客など)のニーズを満たしているかを、よく考える必要があります。
もう1つは、黒田公の家臣の対応も、場合によっては正解になり得るということ。仮に黒田公が体調面に問題を抱えていたなら、主君の体を気遣って塩気や油気を抜くのは当然です。相手のニーズを理解した上で、あえてニーズに沿わない決断をすることが必要なケースもあるのです。
以上(2024年11月作成)
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画像:Mariko Mitsuda
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<公募期間>2024年3月14日(木)~2024年12月6日(金)まで
会社の結束力を高める社史編さん 何から着手したら良い?
書いてあること
- 主な読者:周年記念などをきっかけに社史の編さんを考えている会社の経営者、担当者
- 課題:社史を編さんする目的や、編さんした後の活用方法を知りたい
- 解決策:社外向けに自社の存在意義を示すだけでなく、社内向けに新商品・サービス開発のヒントや、新入社員に自社への理解を深めてもらうための研修資料としても使える
1 なぜ、会社は社史を編さんするのか?
周年記念をきっかけに、編さんする社史は、
会社が生まれた背景や、歴史の節目にある大きな出来事をまとめた冊子
です。
社員が自社の創業から現在に至るまでの苦労や過去の教訓、理念、ビジョンなどを体系的に知ることができる貴重な資料といえるでしょう。
こうした社史には「分厚い書籍」のようなイメージがありますが、最近は読みやすさやデザインを重視したものも増えています。そのため、社史を編さんすると、次のような機能や効果が期待できます。

社史編さんは、社内で「社史編さん室」などのチームや委員会を結成して、有志のメンバーが進めるケースが一般的です。
一方、社史の編さんに必要な情報を担当者だけで集めるのは難しいため、現役社員やOB・OGへインタビューをしたり、資料提供の協力を仰いだりします。このやり取りを通じて、部署や役職を越えたコミュニケーションが生まれるため、社史編さんは会社の結束力を高めるきっかけになります。
また、完成した社史を社員が読むことで企業理念や過去の教訓などを共有できるため、組織としての一体感が強まり、企業文化を継承していくことにもつながります。
この記事では、最近の社史の形態や編さんの流れ、社史の活用方法などを紹介します。自社の歩みを社内外の関係者と共有し、採用活動にも使える社史の編さんを検討してみてはいかがでしょうか?
2 社史を編さんするために知っておくべきポイント
1)社史の構成
発行形態によって詳細は異なりますが、書籍の社史は、次のような構成が考えられます。
1.前付け
書籍の本文より前に置かれる部分を指します。目次や代表者挨拶、祝辞などが入ります。
2.口絵
書籍の本文が始まる前に入る写真などをいいます。会社の現在の写真、歴史が伝わる写真、サービスや製品の写真などが入ります。
3.本文
社史の中心部分で、発行目的や社史編さん後の活用方法によって重視する内容が変わります。
社史の編さんをサポートする幾つかの会社へのヒアリングによると、
- 社内向けの資料として社史を編さんする場合は、製品開発、プロジェクトの歴史、会社の利益の変遷など、社外には出しづらいが、自社の足跡が分かる情報があると良い
- 社外向けの人材募集やブランディングを目的に社史を編さんする場合は、社員インタビューや製品・サービスのPRなど、自社の雰囲気や事業内容が伝わる情報があると良い
とのことです。
4.資料編
社内資料、自社に関連する統計資料・業界資料、変遷図などが入ります。
5.後付け
書籍の本文より後に置かれる部分を指します。編集後記や索引、発行者などが入ります。
2)社史の発行形態
社史と言うと、百科事典のような分厚い書籍を想像するかもしれませんが、昨今では、想定する読み手や活用シーンに応じたさまざまな形態での編さんが可能です。
例えば、より短時間で会社の変遷を伝えたい場合には、書籍に比べて比較的短期間で編さんできる動画型やウェブサイト型の社史を編さんするという方法もあります。また、社歴を詳細に記録した「本格的社史」だけでなく、創業期の苦労話など重要な部分のみを読みやすくリライトした「普及版」を併せて編さんする場合もあります。
社史を誰に読んでもらいたいか、編さんした社史をどのように活用したいのかで適した発行形態が異なるので、次の図表を基に、読み手と活用シーンを検討しましょう。

なお、発行形態について、社史の編さんをサポートする幾つかの会社へのヒアリングによると、
- 多くの人が手に取りやすいように、文字だけでなく、イラストや写真を多く盛り込む構成の社史を編さんしたいという依頼が増えている
- 百科事典型の発行形態にとらわれず、人材採用や自社のブランディングなど、社外向けの活用を見据えて雑誌型や漫画型の社史を編さんしたいという事例もある
とのことです。
3 社史編さんの流れ
1)書籍の社史の例
発行形態によって編さん過程や工程は異なりますが、ここでは書籍の社史を編さんすることを想定して手順の一例を紹介します。

社史の完成までにかかる期間は、社史の発行形態や求めるレベルによっても異なりますが、最短でも1年程度と長期になる場合が多いため、入念な準備が欠かせません。
2)必要な情報の集め方
一般的に、情報収集は文書としてまとめられた資料やデータに当たるのと、関係者へのインタビューの2通りの方法に分けられます。
1. 資料やデータに当たる
例えば、社内関係では次のような資料があります。
- 会社設立時の登記簿
- 各種会議の議事録
- 会計関係書類
- 就業規則などの規程
- 社内報
- 社員手帳
- 会社案内
2.関係者にインタビューする
社内、社外を問わず、人は会社の出来事の主役かつ、大きな情報源になります。
インタビューの際には聞きたい内容が分かるよう、あらかじめ関連資料を対象者に渡すなどしてインタビューの目的をはっきりさせておくことが大切です。
例えば、インタビュー対象には次のような人物が挙げられます。
- 社内:経営陣、管理職、一般社員など
- 社外:社員の家族、OB・OG、取引先、業界団体、エンドユーザーなど
また、情報を収集するときには
近くの情報から遠くの情報へ、社内から社外に広げていく
ことを意識すると、情報収集がしやすくなるでしょう。

4 社史編さんのノウハウに関する事例
1)京阪ホールディングス(大阪市中央区)
同社では、2020年に開業110周年を迎えるにあたって、記念誌の編さんに取り組みました。
社内報やニュースリリース、経営に関する会議を資料に基に編さんしていますが、事業展開の背景や意義を書くことで将来的にも立ち返って参照できるような資料にしていることをポイントにしています。また、当時の担当者へのインタビューを通じて情報を掘り下げることも編さんに当たって大切にしているといいます。
2)寺岡製作所(東京都品川区)
同社では、2021年に創業100周年を迎えたことをきっかけに、社史の編さんに取り組みました。
編さんに当たっては、企画が頓挫しないように、企画の立案や紙面の構成に時間をかけて検証することで、インタビューをスムーズに進めることができたといいます。
また、インタビューに当たっては、スケジュールをエクセルの表にまとめて見渡すことができるようにしただけでなく、役員に対して定期的に進捗報告を行い、レビューをうけることで編さん過程を可視化、企画時のイメージと完成品にギャップが出ないように努めたことがポイントとなっています。
3)日本血液製剤機構(東京都港区)
同団体では、2022年10月に事業開始から10周年を迎えることをきっかけに、記念誌の編さんに取り組みました。
世代を超えたコミュニケーションを促進できる媒体をコンセプトとして、若手社員でも理解できる内容かどうかを確認しながら進めたり、社内でインタビューを依頼する際には、部署での代表者を選出し、周年事業のワーキンググループを作って行ったりしたことがポイントです。
また、情報収集を通じて、社史を編さんする担当社員が普段は関わる機会が少ない社員からも話を聞くことができ、人脈の拡大や幅広い意見を聞くことができたのが大きなメリットになったといいます。
5 参考:社史編さんに役立つ情報
1)出版文化社「社史編集室」
企画編集方針、編さん過程、情報収集などに関するノウハウやコラムを紹介しています。
■出版文化社「社史編集室」■
https://www.shashi.co.jp/index.html
2)日本ビジネスアート「社史の教科書」「周年の教科書」
「社史入門」として社史を編さんしていくための基本的なステップや実際に社史を編さんした会社のノウハウを紹介しています。
■日本ビジネスアート「社史の教科書」■
■日本ビジネスアート「周年の教科書」■
3)神奈川県立川崎図書館「すごい社史」
開館当初から65年以上、さまざまな会社の社史を収集しており、経済団体史などを含む社史およそ2万冊を所蔵しています。特色のあるさまざまな社史をウェブサイト「すごい社史」上で公開しています(随時更新)。
■神奈川県立川崎図書館「すごい社史」■
https://www.klnet.pref.kanagawa.jp/find-books/kawasaki/shashi-shiryo/sugoi-shashi/
以上(2024年10月作成)
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画像:Vector Tradition-Adobe Stock
チーフのCさんから「若手が仕事をしない」とクレーム、どう声をかけますか?/武田斉紀の『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』【実践編】(4)
書いてあること
- 主な読者:会社経営者・役員、管理職、一般社員の皆さん
- 課題:コミュニケーションに関わる知識やノウハウは、頭では理解できても、実際の場面で使いこなせるようになるまでには高いハードルがあるものです。
- 解決策:前回シリーズ『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』での知識やノウハウを聞いただけではまだ一歩を踏み出せない、あるいはトライしてみたがうまくいかないという方のために、新シリーズでは【実践編】として社内の“あるある”場面を想定した質問に対して一緒に考えながら、実践イメージを膨らませていただきます。またリーダー側の視点とは別に、若手社員側の視点による上司世代との上手な付き合い方のヒントも紹介していきます。リーダー世代と若手社員とのコミュニケーションギャップを埋めることは、世界を舞台にスピーディな成長をめざす日本企業にとっても喫緊の課題だからです。
1 チーフのCさんから「若手が仕事をしない」とクレーム、どう声をかけますか?
今シリーズは、前シリーズの『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』の実践編です。
知識やノウハウは分かったけれど、「現場で実践するにはまだハードルが高い」「うまく一歩を踏み出せない」という方のために、毎回実際にありそうなさまざまなシチュエーションを想定して、どんなコミュニケーションを取るのが望ましいかを一緒に考えていきます。
第3回の事例解説はいかがだったでしょうか。今回は課題[事例3]です。以下に再掲しますので、考えた解答を思い出してみてください。まだ考えていなかったという方もぜひ考えてみてください。繰り返しますが、解説だけを読んでいても実行や応用はままなりませんよ。
—————————
Q. 部下のベテランCさんに対して、あなたはこの後、最初にどんな声をかけますか? また、それを考える際に注意するべきポイントを3つほど挙げてください。書かれているさまざまな要素を考慮してみましょう。
[事例3]
〇部下でチーフとして若手2人を任せているベテランのCさんから、悲痛な形相で上司のあなたにクレームのような相談がありました。「若手2人に毎日指示を出して仕事をやらせようとしているんですが、反発や口答えばかりして、ちゃんとやらないんですよ。上司から直接注意してください。私にはもう無理です」。
〇実は最近別のチーフから、Cさんのところの若手2人が会社を辞めたがっているようだとうわさを聞いたばかりです。若手とはいえ大事な戦力、今後への期待も含めて採用した以上、会社としても課としても辞められては困ります。
—————————
ヒントとしては、事例1、2と同様に最初に起こっている事象を整理し、根本的な問題を洗い出してみてください。
2 起こっている事象から可能性を整理した上で、Cさんと直接話す
今回も事例を読み返して、起こっていることの事象を整理から始めてみましょう。
現実世界の上司としてはCさんに対するふだんからの不満や、若手2人に対して感じていた世代間ギャップから、心の中では「どっちもどっちなんだろうけど……」とため息をついているかもしれませんね。
上司も人間ですから、日ごろからためている感情が反射的に浮かんでしまうこともあるでしょう。ですがここは一旦心の中で止めて、事象の整理から始める練習をしてみましょう。
若手2人のマネジメントや教育を任せているCさんからは、2人がちゃんとやらないので「上司から直接注意してください。私にはもう無理です」という訴えがありました。一方で最近別のチーフから若手2人が会社を辞めたがっているようだとのうわさを聞きました。
現場で起こっていることの可能性を整理しましょう。Cさんについては大きく分けて「a.適切なマネジメントや教育ができている」「b.取り組んでいるが十分でない」「c.取り組めていない」の3つ。若手2人の方は同じく、「ア. Cさんのマネジメントや教育が適切だと思って受け入れている」「イ.適切だと思ってはいるが不満もある」「ウ.適切だと思っていない」です。
a.×ア.であれば、あなたの上司と相談してCさんを昇進させ、もっと多くの人数を任せることを検討すればいいでしょう。会社が成長するためには必要なことです。Cさんが昇進することで、あなたとあなたの上司にとっても、それぞれにさらに上のポジションが見えてくるかもしれません。
しかしながら起こっている事象から、a.×ア.ではなさそうです。Cさんの側にも、若手2人の側にもそれぞれ問題や不満があるのでしょう。
そこで、まずCさんにはb.やc.を想定して、1対1で直接ヒアリングしてみましょう。あなたに訴えている口調から、本人はa.だと信じ込んでいるはず。そこで『新たな3つのコミュニケーション習慣』の「傾聴」と「褒める」の発動です。
あなたが「若手2人を任せるよ」と託してからこれまでに、Cさんがどんなことに取り組んできたのかをじっくり聞いてみましょう。ほとんど何もしていなければc.に当たりますが、恐らくb.の「取り組んでいるが十分でない」可能性が高いのです。
「傾聴」した上で、あなたとしてはb.の「十分ではない」だと思っても、Cさんなりの取り組みを「褒める」ことから始めましょう。意欲を持って取り組んでくれたのであれば、それが十分でなくとも、たとえ間違った方向だったとしても、これまでの取り組みの努力を一旦認めてあげることが肝要です。それでこそ人は素直に自身を振り返り、「よし、次はもっと頑張ろう」と前に進むことができるのです。
この一連のプロセスこそが、あなたがCさんに対して行うべきマネジメントであり教育なのですから。Cさんに最初にかける一言はこんな感じでどうでしょう。
「Cさんなりに一生懸命考えて、若手2人に毎日接してきてくれたのですね、ありがとう」
3 若手2人へのヒアリングは誰がするべきか
Cさんの取り組みが不十分だったり、方向性が間違っていたようだと分かれば、あなたのコーチング力の出番です。Cさんがダメなのではなく、あなたのCさんへのマネジメントや教育が足りなかったのです。
Cさんを次のステップに導く上では、できるだけあなたから指示命令するのではなく、Cさん自身に「どうするべきか」を考えてもらいましょう。
まずはCさん自らこれまでの若手2人とのやり取りを振り返り、気付いた点があれば今後はどうしていきたいかを整理しもらいましょう。
ただ具体的に何が不十分で、あるいは間違っていたかを知るには、若手2人の側へのヒアリングが欠かせません。誰がするべきでしょうか。
上司のあなたが若手2人を呼んでヒアリングするという方法もありますが、いつまでもあなたが間に入っていては、今後もCさんと若手2人はあなたを介することを期待し続けてしまうでしょう。それではいつまでたってもCさんの成長はありません。
少しチャレンジではありますが、あなたが学んだ『新たな3つのコミュニケーション習慣』をCさんに伝授した上で、Cさんから若手2人にヒアリングさせてみてはどうでしょう。不安であればあなたも同じ部屋にいて、双方のやりとりを聞いていましょう。理想は最後まで口を挟まないことです。
『新たな3つのコミュニケーション習慣』の伝授ですが、「傾聴」と「褒める」については今まさに、Cさんに対してあなたが実践したことをつまびらかにすればいいのです。やらせではなく、相手を尊重するからこその『新たな3つのコミュニケーション習慣』であると分かれば、相手は嫌な気持ちにならないものです。
自分の思い込みや決めつけ、感情論から入らずに、若手2人の話を“ひたすら”「傾聴」することから始めること。彼らがCさんとのやり取りの中で、どう感じてどのように行動していたのかを確認して、大なり小なり関係なく彼らなりの努力を「褒める」こと。
その上で、Cさん自身と若手2人が今後どうなっていきたいかを話し合い、「前向き発想」でこれまでのやりかたで見直すべき点があれば、具体的に挙げて互いに確認し合うこと。
最初からうまくできないのは、あなたと同じです。あなたが若手2人を想定した相手役となって、Cさんに『新たな3つのコミュニケーション習慣』の練習を何度か繰り返してみてください。相手役になることで、あなた自身の習慣への理解も深まっていくはずです。
Cさん自身が、若手2人に対して『新たな3つのコミュニケーション習慣』を意識したヒアリングが何とかできそうなイメージが湧いたら、あなたからこう声をかけてあげましょう。
「私は若手2人に辞めてほしくないし、Cさんだって本当はそうでしょう。人間ですから合う合わないはあるだろうけれど、2人とも数ある会社の中からこの会社で頑張りたいと入社してくれたのだから、やる気はあると信じてあげてください。今回のことをCさん自身が成長するチャンスだと思って取り組んでほしい。期待していますよ!」
【今回の3つのポイント】
- 起こっている事象から可能性を整理する
- Cさんと直接話して「傾聴」し、これまでの取り組みを「褒める」
- Cさんに『新たな3つのコミュニケーション習慣』を伝授した上で、若手2人へのヒアリングを託す
3つ目の習慣「前向き発想」の伝授については、Cさんと若手2人が話し合う場にいればその場で最後に、いなければ話し合いの様子を聞いて相互理解が進んだことを確認した上で個別にアドバイスをしてみましょう。そして最後にはこう添えてはどうでしょう。
「Cさんも若手の2人も、私にとっては同じ大切な仕事仲間です。1人だって欠けてほしくないし、共に頑張っていい仕事をしたい。そのためにどうすればいいかを一緒に考えていきましょう。これからもよろしくお願いしますね!」
4 部下のDさんがしょっちゅう会議に遅れてきます、どう声をかけますか?
次回に向けた [事例4]を紹介します。
—————————
Q. 部下のDさんに対して、あなたはこの後、最初にどんな声をかけますか? また、それを考える際に注意するべきポイントを3つほど挙げてください。書かれているさまざまな要素を考慮してみましょう。
[事例4]
〇あなたの課(部)では、メンバーも入れ替わった今期から新たに毎週月曜夕方に定例ミーティングを設けており、メンバーは基本的に参加が必須となっています。しかし最近、Dさんの欠席率が高いように感じています。
〇始めた当初は全員が開始時間の少し前にはそろっていたのですが、1カ月くらいたった頃から、欠席や大幅な遅刻をするメンバーが毎回のように1人や2人いることも、上司であるあなたは気になっています。
—————————
テーマは「会議」です。これまでの事例と同様に起こっている事象を整理することから始め、現場で起こっていることの可能性を整理してみましょう。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。事例を使ってのシミュレーションがイメージできるようになられたでしょうか。もし日常で近いシーンに出会うことがあれば、ご自身で考えて『新たな3つのコミュニケーション習慣』の実践にトライしてみてください。
次回もお楽しみに。
<ご質問を承ります>
ご質問や疑問点などあれば以下までメールください。※個別のお問合せもこちらまで
Mail to: brightinfo@brightside.co.jp
※武田が以前上梓した書籍『新スペシャリストになろう!』および『なぜ社長の話はわかりにくいのか』(いずれもPHP研究所)が、ディスカヴァー・トゥエンティワンより電子書籍として復刻出版されました。前者はキャリア選択でお悩みの方に、後者はリーダーやトップをめざしている方にお薦めです。
『新スペシャリストになろう!』 https://amzn.asia/d/e8GZwTB
『なぜ社長の話はわかりにくいのか』 https://amzn.asia/d/8YUKdlx
以上(2024年10月作成)
(著作 ブライトサイド株式会社 代表取締役社長 武田斉紀)
https://www.brightside.co.jp/
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静的ストレッチの効果(2024/10号)【交通安全ニュース】
活用する機会の例
- 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
- 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
- マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など
夏が終わり、秋風に季節の変わり目を感じさせられますが、一方では、夏の疲れが出てくるときでもあります。疲労は、思考能力や注意力、集中力の低下、イライラ、頭痛、肩こりなど心身に様々な悪影響を及ぼします。安全運転を続けていくためには、できるだけ早く疲労を解消し、心身の調子を整えることが求められます。

1.疲労の原因となる自律神経の乱れ
疲労とは、心身に過度な負荷がかかって、活動能力が低下している状態をいいます。運動や長時間のデスクワークなど精神的作業を過度に行うと、体のバランスを維持する自律神経が乱れ、神経細胞内に活性酸素が大量に発生することで細胞がダメージを受け、疲労が起こるとされています。
自律神経とは、心臓の活動や体温調節、消化、呼吸などの体内の諸機能を適切に制御し、維持してくれる神経系の一部であり、交感神経と副交感神経の二種類から構成されています。
交感神経と副交感神経は、相反する役割を果たしており、激しい運動や緊張しているときなどは交感神経がよく働き、休憩やリラックスしているときには副交感神経がよく働きます。この両者が状況に応じて交互に働き、身体の状態が最適になるよう調整することによって健全な体調が維持されます。交感神経と副交感神経の働きがバランスを保っていることが重要です。

過度の運動やストレス、寒暖差の身体への影響などにより自律神経が乱れバランスが崩れてしまうと、疲労だけでなく倦怠感や不眠、消化不良、息切れ、動悸、めまいといった身体的な症状が起こりやすく、イライラや不安、無気力などの心的な症状も生じやすくなります。
現代の日常生活においては、活発な行動が求められたり、緊張を強いられることも少なくありません。車の運転もその一つと言えます。その意味では、交感神経の出番が多くなっており、バランスを保つという視点で考えると、リラックスした機会をもっと増やす(副交感神経の出番を増やす)ことが、自律神経の乱れを防ぐ一つの方法といえるかもしれません。
2.副交感神経の働きを活発にする静的ストレッチ
ストレッチとは、筋肉や関節の柔軟性を高めることを目的にした運動を言います。ストレッチには、ゆっくりと一定方向に筋肉を伸ばし、その状態でしばらく静止する「静的ストレッチ」と、ある方向に関節を動かしながら筋肉を縮めたり伸ばしたりする「動的ストレッチ」とに分けられます。
静的ストレッチは、筋肉の張りを緩めるだけでなくリラックス効果もあることから、血圧や心拍数を下げ、副交感神経の働きを活発にします。血の巡りを促すことで、むくみの解消や、肩こり・腰痛の緩和、防止が期待できます。
椅子に座ってできる静的ストレッチの例
車の運転は、同じ姿勢で絶えず緊張感を求められるため、疲労や凝りが生じやすく、特に長時間の運転では脚がむくんだりします。そこで、休憩時などに座ったままでできる簡単なストレッチをいくつかご紹介しましょう。
①ふくらはぎのストレッチ(むくみの解消に効果的)
椅子の半分より前に座り、背筋を伸ばします。片方の足を伸ばし、かかとを床につけて、つま先は上に向けます。その状態で、上体を腰から前に倒して、5呼吸程度維持します。片方の足も同様の動作を行います。

②肩のストレッチ(肩こりの解消に効果的)
椅子に座り、両腕を曲げ指先を肩に置き肘で円を描くようにしながら、腕を後ろに大きく回し、約6秒間で一周します。反対回しも同様に行い、交互の動きを片方5回ずつ繰り返します。

③首のストレッチ(肩から首筋をほぐすのに効果的)
てのひらで頭を押さえて、ゆっくりと首を傾けていき首の筋肉を伸ばし、首から肩にかけて伸びているところで30秒保持します。これを左右2回行います。

以上(2024年10月)
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画像:amanaimages
労働トラブルの最新事情
厚生労働省は今年7月、「令和5年度 個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表しました。個別労働紛争解決制度は、企業と労働者の間の労働トラブルを解決するための公的制度です。労働基準監督署などで行われている総合労働相談、都道府県労働局長による助言・指導などの方法があり、労働者や企業が無料で利用できます。個別労働紛争解決制度の施行状況を分析すると、労働トラブルを防ぐためのポイントが浮かび上がり、大変参考になります。
本稿では、公表資料のポイントを紹介しながら、近年の労働トラブルの傾向と企業が留意すべき点について解説していきます。
1 労働相談121万件
令和5年度の総合労働相談は、121万412件に上りました。4年連続で120万件を超え、高止まりしています。この相談は、全国の労働基準監督署などにある「総合労働相談コーナー」で無料で行われています。ケースによっては、相談員が2~3時間かけてじっくり話を聴くこともあり、労働トラブルの身近な駆け込み寺となっています。相談がもととなって、労働基準監督署が企業に調査に入るケースもあり、「たかが無料の相談制度」と甘く見ないほうがよいでしょう。
令和5年度の総合労働相談121万412件の内訳(重複計上あり)は、「法制度の問い合わせ」83万4,829件、「労働基準法等の違反の疑いがあるもの」19万2,961件、「民事上の個別労働関係紛争相談」26万6,162件でした。
令和5年度の総合労働相談

※厚生労働省「令和5年度個別労働紛争解決制度の施行状況」より
「法制度の問い合わせ」の中には、賃金、時間外労働、年次有給休暇、休憩などについて、勤務先の対応に不満を持つ労働者が法令の細かい点を質問してくるケースが少なくありません。
「労働基準法等の違反の疑いがあるもの」は、賃金未払い、最低賃金違反、違法な時間外労働などです。企業が刑事責任を問われる可能性もあるので、注意が必要です。
2 いじめ・嫌がらせがトップ
「民事上の個別労働関係紛争相談」は、「いじめ・嫌がらせ」(6万125件)、「自己都合退職」(4万2,472件)、「解雇」(3万2,944件)など、労働トラブルの宝庫であり、企業が気をつけるべきポイントと言えます。
詳しい内訳は、次のようになっています。
週に何日働きたいか

※厚生労働省「令和5年度個別労働紛争解決制度の施行状況」より
どのトラブルも民事上の争いなので、訴訟に発展するリスクがあります。特に「いじめ・嫌がらせ」は、事実関係の把握に時間と労力がかかり、企業の本来業務に支障を及ぼしかねません。
上のグラフに記載されたトラブルに注意するだけでも、労務管理上のリスクを大幅に減らすことができます。
3 さいごに
平成13年度にスタートした個別労働紛争解決制度は、相談件数の状況を見ても、広く認知されていることが伺えます。これを踏まえると、社内の労働トラブルを放置していると、大きな問題に発展する可能性があると言えるでしょう。企業の健全な運営のためにも、前述の気をつけるべきポイントを今一度確認いただくとともに、判断に迷うことがございましたら、お気軽に弊所にご相談ください。
※本内容は2024年9月10日時点での内容です。
(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)
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労働トラブルの最新事情
厚生労働省は今年7月、「令和5年度 個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表しました。個別労働紛争解決制度は、企業と労働者の間の労働トラブルを解決するための公的制度です。労働基準監督署などで行われている総合労働相談、都道府県労働局長による助言・指導などの方法があり、労働者や企業が無料で利用できます。個別労働紛争解決制度の施行状況を分析すると、労働トラブルを防ぐためのポイントが浮かび上がり、大変参考になります。
本稿では、公表資料のポイントを紹介しながら、近年の労働トラブルの傾向と企業が留意すべき点について解説していきます。