経済評論家、徒然なるままに語る 「2024年度の経済展望はどうなる?」

書いてあること

  • 主な読者:会社の今後を見据えるにあたり、2024年度の経済展望について知りたい経営者
  • 課題:専門的なことを勉強するのも大事だが、まずは大まかに全体的な情報が知りたい
  • 解決策:景気は緩やかに回復しつつ、物価と賃金の好循環が見られると予想される。その他、金融政策や株、ドルの動きなどについてざっくりとイメージをつかむ

1 2024年度の経済展望を“ざっくり”知りたい方へ

春闘で注目される物価高と賃金の動向、それらを踏まえた今後の日銀の金融施策など、2024年度の経済展望が気になっている経営者の方も多いと思います。

政府、日銀、経済研究機関、金融機関など、経済動向に関する情報を届けてくれる先は色々ありますが、多忙な経営者の中には、「数字や専門用語が多い。データが大事なのは分かるが、もう少し端的にイメージがつかめるものはないだろうか」と思っているかもしれません。

そこで、この記事では「経済評論家、徒然なるままに語る」と題して、2024年度の経済展望について“ざっくり”としたイメージがつかめるよう、経済評論家の塚崎公義氏が分かりやすくお伝えします。

2 景気は緩やかに回復

景気は、概ね横ばいながら、方向としては緩やかに回復しつつある、といったところでしょう。日本国内には、景気に影響しそうな要因が見当たりません。財政政策は見込まれませんし、金融政策変更の影響も小さそうです(後述)。

米国経済は、金利高にもかかわらず比較的好調で、「ソフトランディング」しそうですから、日本経済への影響は小さいでしょう。

問題は中国経済です。中国経済は不動産バブル崩壊で相当大きく落ち込んでいるようですが、それ以上に筆者が気になっているのは中国政府が経済よりも政治の安定を志向して企業への統制を強めていることです。そうした中国政府の姿勢を嫌い、海外からの投資が激減するかもしれません。中国人経営者も萎縮して投資を減らすかもしれません。

それにより、中国経済の落ち込みは一層大きくなるでしょうから、中国向けの輸出が減ったり中国進出企業が困ったりしかねません。もっとも、日本にとっては「中国に投資するより日本に投資しよう」という動きがプラスに働く可能性もあります。最大の資源消費国である中国の不況は、世界の資源価格を下落させ、日本経済への恩恵となることも期待されます。

日本の景気に関しては、「少子高齢化で景気の波が小さくなる」ということも重要です。高齢者の消費は安定しているので、高齢者向けの仕事をしている現役の所得も消費も安定しているのです。極端な話、現役全員が介護をしている国では景気変動は無いはずですから。

3 物価と賃金の好循環

少子高齢化は労働力希少を加速します。ちなみに労働力不足という言葉は否定的な語感があるので、この記事では「労働力希少」という表現を用います。労働力希少は経営者にとっては困ったことでも、労働者にとっては良いことですし、省力化投資を促して日本経済を効率化させるという点でも良いことなので。

労働力希少になると、正社員の給料が上がりますが、それ以上に非正規労働者の賃金が上がります。非正規労働者は賃金を上げないと逃げてしまうからです。

これまでは、「値上げをすると客が逃げるから値上げできない。だから賃上げもできない。だから働き手が集まらない」という企業が多かったようですが、どこの企業も同じ悩みを持っているのであれば、皆で値上げをすれば良いのです。

最近になって値上げをする企業が増え、消費者が「値上げ慣れ」し、「値上げしても客が逃げない」と考えた企業が値上げと賃上げに踏み切る例が増えてきました。そうなると、値上げして客に逃げられる企業、賃上げできない企業から賃上げできる企業に労働者が移っていくことになるでしょう。企業経営者にとっては辛いかもしれませんが、日本経済にとっては良いことだと思います。

4 金融政策の影響は小

値上げと賃上げの好循環が定着すると、日銀は金融政策を変更するでしょう。マイナス金利の廃止、長期金利抑え込みの終了、短期金利のプラス化といった順で金融政策が「危機時の緊急避難的政策」から正常化していくのです。

もっとも、その影響は小さいと思われます。景気への影響が小さい理由は、(1)小幅な金利上昇があったとしても、それを理由に設備投資をあきらめる企業は少ないから、(2)景気への悪影響が大きそうなら日銀は金融政策の正常化を急がないはずだから、といったところです。

金融政策の影響は小さいですが、視点を変えて、日銀が金融政策を変更できる程度にまで経済が健全化した、ということは素直に喜んでよいと思います。長い間デフレに苦しんできた日本経済がインフレの時代を迎えたのですから。

一般論としては、金融政策変更は景気より株価や為替レートに大きく影響するのですが、今回は植田日銀総裁が慎重に時間をかけて市場関係者に利上げを織り込ませてきましたから、実際の利上げの時に株価や為替レートが大きく動くという可能性は大きくないでしょう。

5 株高はバブルにあらず

日経平均株価がバブル期の最高値を抜いたことが話題となっていますが、これは現在の株価がバブルであるということではありません。長い時間をかけて日本企業は稼ぐ力を付けてきましたから、企業の利益と株価を比較した「PER」という指標を見ると、当時とは全く異なっていて正常な値になっているのです。

利益の増加に加えて、日本企業の姿勢の変化も株高の要因となっているようです。東証が企業に対して「株価が安すぎる企業は、もっと株主のことを考えて努力してほしい」という趣旨の依頼をしたのを契機として、「企業が株価引き上げ策を講じるだろう」との期待が膨らみ、日本株への投資が活発になっているのです。

もっとも、「だから株価は下がらない」などと言うつもりは毛頭ありません。現在の株価は株価上昇を予想して買い注文を出しているプロと株価下落を予想して売り注文を出しているプロが同数いるから成立しているわけで、筆者ごときが予想できるものではありませんから。

6 ドル高は続くかも

株価は概ね適正なレベルですが、ドルは適正とは言い難いレベルにあります。適正な為替レートというのは、両国の物価水準を概ね等しくするようなレベルのことですが、現在は米国の方が日本よりはるかに物価が高いからです。

本来であれば、日本の輸出企業が大いに輸出を増やして大いに儲ける一方、彼らが持ち帰ったドルを売るのでドルの値段が下がるはずなのですが、最近の日本の輸出企業は「輸出せずに売れる所で作る」ことに熱心なのです。

「今の為替レートが永続すると分かっているなら、日本に工場を建てて大いに輸出するだろう。しかし、仮に数年後に円高になって輸出が困難になったら建てた工場が無駄になってしまう。そんなリスクを冒すくらいなら、売れる場所に工場を建てた方が安心だ」ということのようです。

そこで、近年の貿易サービス収支の基調は概ねゼロ(原油価格次第で黒字になったり赤字になったりする)となっています。貿易等によるドル買いとドル売りが概ね同額なのです。そうなると、「ドルの値段が高すぎるから下がるだろう」と考えるわけには行きません。

経常収支は黒字ですが、その主因は利子配当の受け取りです。受け取った利子配当は現地で再投資される場合も多いので、ドルを安くする要因とは考えない方が良さそうです。

株と同様、プロ同士が売り買いして成立している現在の為替レートですから、筆者ごときが予想をするのは僭越だ、ということで、ドル高は続くかもしれないし続かないかもしれない、とだけ記しておきましょう。

7 倒産は増加するかも

倒産件数は、増加しています。ゼロゼロ融資が返済できない、という例も多いようですが、これは「本来ならばコロナ禍の最中に倒産しているはずだった企業が生き延びていた」というケースも多いでしょうから、均してみる必要があるでしょう。

注目すべきは、賃上げできずに労働者が引き抜かれて倒産する、という事例が増えていきそうなことです。日本経済全体としては、高い賃金を払える効率的な企業に労働者が移るのは良いこととも言えますし、企業に省力化投資を促す要因となれば喜ばしいことなのですが、企業経営者にとっては困難な時期を迎えるということなのでしょう。

読者の中には経営者も多いと思われます。経営努力で労働力を引き抜かれる方ではなく引き抜く方になれば、ライバルが倒産して客が流れてくることも期待できるわけですので、頑張っていただきたいと思います。

以上(2024年3月作成)
(執筆 前久留米大学商学部教授、経済評論家 塚崎公義)

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画像:yoshitaka-Adobe Stock

繁忙期にアイドルの握手会に行く部下の年休取得は認めるべき?

書いてあること

  • 主な読者:“労務の勘所”が分からず、判断に迷うことが多い新任管理職
  • 課題:労務管理は幅広く、1つ1つを学んでいる時間はない
  • 解決策:トラブルになりがちな「残業」「年次有給休暇」「労働災害」「ハラスメント」の4つの基本を押さえる

1 申請がなくても残業になる

1)Aさんの場合

Aさんが勤める会社の就業時間は9時~18時です。ある日、Aさんは私用で定時退社するため、朝礼で「今日、残業する人は17時までに申請するように」と部下に伝えました。17時になっても残業申請はなく、Aさんは定時で退社しました。

翌日Aさんが出社すると、顔をしかめた社長がAさんに話し掛けてきました。

社長:昨夜、Aさんの部下が遅くまで残って仕事をしていたぞ。君が残業を命じたの?

Aさん:いいえ、私は命じていませんし、部下からの申請も受けていません。部下が勝手に残業したのですね。困ったものだ……。

社長:確かに困った部下だ。しかし、君も「困ったものだ」で済ませてはダメだよ。残業申請がなくても労働時間に当たるケースがあるのだから。

2)業務量が多過ぎる場合や残業を黙認している場合は、労働時間に当たる恐れがある

「残業」とは、一般的に、

労働基準法(以下「労基法」)の法定労働時間を超える労働のことで、「時間外労働」と定義されているもの

です。法定労働時間とは、労基法で定められている労働時間の上限のことで、原則として1日8時間、週40時間(休憩時間を除く)です。

会社は本来、この法定労働時間を超えて社員を働かせることはできないのですが、

通称「36(さぶろく)協定」と呼ばれる労使協定の締結・届け出をすることで、36協定に定めた時間数の範囲内で、社員に残業を命じられる

ようになります。実際は、社員が手書きの申請書や勤怠管理システムで残業申請を行い、管理職が内容を確認して残業を命じる(承認する)のが一般的です。

ここまでを聞いて、「社員から残業申請がなく、管理職も残業を命じていなければ残業(労働時間)にならないのでは?」と思った人がいるかもしれませんが、それは誤りです。実は、

残業しないと終わらない量の業務を与えたり、社員が残業をしていることを知りながら放置したりすると、明確に残業を命じていなくても、命じたものとみなされる

というルールがあるのです。これを「黙示の指示」といいます。

3)未申請の残業がまかり通らないよう、管理職から社員に働き掛ける

社員が管理職に黙って残業をするようでは、過重労働を助長しかねません。特にリモートワークでは、社員の状況が分かりにくくなります。もし「残業申請が形骸化し、未申請の残業がまかり通っている」のであれば、いま一度、残業申請を徹底しなければなりません。

また、「自分の業務が滞っていることを管理職に知られたくない」ので残業申請をしない社員もいます。こうした社員には、管理職が定期的に業務の進捗を確認し、「今日は◯時間残業してくれ」「今日は定時で上がってくれ」などと指示をするとよいでしょう。

2 年次有給休暇は社員が求める時季に与えるのが基本

1)Bさんの場合

Bさんの部下が、「今週の金曜日に年休を取得したい」と言ってきました。推しのアイドルの握手会に行くようです。Bさんが「この忙しいときに、そんな理由は認められない!」と叱ると、部下は落ち込みながら席に戻りました。

その日の昼、Bさんが休憩を取っていると社長が話し掛けてきました。

社長:アイドルの握手会に行くために年休を申請した部下を叱ったそうだね。なぜかな?

Bさん:私の部署は今が一番忙しくて、1人でも欠けると業務に支障が出ます。それなのに、アイドルだなんて……。

社長:気持ちは分かるが、年休は取得理由に関係なく与えるものだ。業務に支障が出るのなら、部下には違う対応をすべきだったね。

2)業務に支障が出る場合は、その旨を部下に伝えて年休の取得時季を変更する

年休は、入社後6カ月以上勤務し、なおかつ全労働日の8割以上出勤した社員に与えられます。

正社員の場合、年休の付与日数は次の通りです。

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注意しなければならないのは、年休をどのように利用するかは社員の自由であり、

原則として取得理由によって年休取得の可否を決めることはできない

ということです。休暇申請書に休暇の取得理由を記入する欄を設けているケースでも、年休の場合は取得理由の記載は任意であり「私用のため」といった程度で有効です。なお、「私用のため」などの抽象的な理由が記載されていた場合に、上司が部下に有給取得の具体的な理由を口頭で尋ねることは、場合によってはハラスメントに該当し得るので注意が必要です。

また、原則として、社員は申請した時季に年休を取得できます。ただし、例外として、

社員が申請した時季に年休を与えると会社の事業運営に支障が出る場合に限り、年休の取得時季を変更することができる

というルールがあります。これを「時季変更権の行使」といいます。

3)時季変更権の行使は慎重に判断し、確実に年休を取得させる

過去の裁判では、「1人の欠務者も許容できないほど員数の余裕がなかったわけではない」ことなどから、時季変更権の行使が無効となった例もあるため注意が必要です(横手郵便局事件 秋田地裁昭和61年1月31日判決)。

また、会社は

年10日以上の年休が付与される社員(正社員など)について、年5日の年休を時季を指定して取得させる義務

があります。会社の方針などを確認しながら、「1日単位の年休に比べて取得がしやすい半日単位の年休の取得を勧める」「年度初めなどに各社員に年休を取得する日を決めさせる」など、年休の取得が滞らないよう注意しましょう。

3 通勤途中のけがでも労災になるとは限らない

1)Cさんの場合

Cさんの部下が顔に絆創膏(ばんそうこう)を貼っていました。理由を聞くと、昨日、会社から帰宅する途中に転倒したとのこと。「労災になりますよね?」と部下に聞かれましたが、Cさんは確信が持てません。

周囲に労務に詳しい人がいないため、Cさんは思い切って社長に尋ねました。

Cさん:社長、私の部下が会社からの帰宅途中に軽いけがをしました。これは労災ですか?

社長:その部下がけがをした状況によるな。寄り道をせず直接自宅に帰ったのかな?

Cさん:いえ。映画館に立ち寄り、劇場内でステップにつまずいて転倒したそうです。映画館は通勤経路の途中にあるのですが……。

2)「合理的な経路の逸脱」「移動の中断」があると、労災に当たらない可能性が高い

「労災」(労働災害)とは、「業務上の事由または通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等」のことです。労災のうち、

  • 業務上の事由による労災を「業務災害」
  • 通勤による労災を「通勤災害」

といいます。

社員が労災に遭った場合、所定の手続きを行うと、労災保険の給付を受けられます。例えば、「療養(補償)給付たる療養の給付請求書(下記URLからダウンロード可能)」を、労災保険の治療に対応した「労災指定医療機関経由」で所轄労働基準監督署に提出すると、無料で治療や薬剤の支給を受けられます(通勤災害の場合は、一部負担金として原則200円が徴収されます)。

■厚生労働省「労災保険給付関係請求書等ダウンロード」■

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousaihoken.html

さて、帰宅途中に被災したCさんの部下の事案が、通勤災害に当たるか否かを見ていきます。まず、通勤災害が成立するのは、

「1.自宅と就業場所との間」「2.就業場所と他の就業場所との間」「3.帰省先と単身赴任先との間」のいずれかを、合理的な経路・方法で移動していて被災した場合

です。ただし、

  • 合理的な経路を逸脱する(通勤上、不要な遠回りなどをする)
  • 移動を中断する(通勤と関係ない行為をする)

といった場合、逸脱・中断の間とその後の移動は、原則として通勤とはみなされず、その間に被災しても通勤災害には当たりません。映画館が通勤経路上にあったとしても、映画を観るために通勤を中断しているため、労災認定されない可能性が高いです。

3)逸脱・中断があっても労災として認められる例外がある

逸脱・中断の間とその後の移動は、原則として通勤とみなされません。ただし、次のいずれかに該当する場合は、逸脱・中断の後の移動については通勤とみなされます。

  • 日用品の購入等(惣菜等の購入、クリーニング店への立ち寄りなど)
  • 公共職業能力開発施設での職業訓練等
  • 選挙権の行使等
  • 病院・診療所での診察・治療等要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、配偶者の父母の介護(継続的にまたは反復して行われるものに限る)

労災に当たるか否かの判断は複雑な面があるため、自身の判断に不安がある場合は、所轄労働基準監督署に確認するようにしたほうがよいでしょう。

4 パワハラの境界線として「業務上適正な範囲」を知る

1)Dさんの場合

Dさんとその部下は商品パンフレットの制作担当です。部下は誤字・脱字などのミスが多く、配属から1年たっても改善しません。耐えかねたDさんが「同じミスを繰り返すな!」と叱ると、部下は「一方的に怒るのはパワハラだ!」と、出ていってしまいました。

Dさんは、思い切ってこのことを社長に相談してみました。

Dさん:社長、部下の仕事ぶりを注意したら、パワハラと言われてしまいました……。

社長:業務上適正な範囲なら、本人が不満に感じてもパワハラにはならないよ。君はその部下を他の社員の前で、長時間叱ったかい?

Dさん:いえ、私の部署は私と部下の2人だけです。それに一言注意しただけです。

2)業務上必要な指導であれば、パワハラにはなりにくい

「パワハラ」(パワーハラスメント)とは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為です。厚生労働省では、パワハラの類型として次の「パワハラの6類型」を示しています。

  1. 精神的な攻撃:侮辱、暴言など精神的な攻撃を加える
  2. 過大な要求:遂行不可能な業務を押し付ける
  3. 人間関係からの切り離し:仲間外れや無視など個人を疎外する
  4. 個の侵害:個人のプライバシーを侵害する
  5. 過小な要求:本来の仕事を取り上げる
  6. 身体的な攻撃:蹴ったり、殴ったり、体に危害を加える

「業務の適正な範囲」とは、管理職などが、職位・職能に応じて、業務上必要な指揮監督や教育指導を行うことです。会社の商品パンフレットの品質を損なわないための指導は、管理職がその職責を果たすための行為といえます。

ただし、そのやり方(言動)には注意が必要です。例えば、

部下を指導する過程で管理職の感情がヒートアップして、「こんな仕事なら新入社員でもできる」と暴言を浴びせてしまう

といったケースです。こうした場合、管理職に悪意がなくても、その言動は「精神的な攻撃」などに該当し、パワハラとなる恐れがあります。

3)部下が萎縮し過ぎないよう、コミュニケーションにも配慮する

管理職が特に注意すべきなのは、

部下からパワハラと言われることを恐れて、本来すべき指導ができなくなってしまうこと

です。そのため、日頃から部下に対して「業務上必要があれば指導を行う」という姿勢を徹底することが大切です。

一方、管理職の「自分の指導は正しい」という思いが強過ぎると、部下は萎縮して本音を話しにくくなってしまいます。厚生労働省ウェブサイトでは、上司が部下との相互尊重を実践するためのスキルとして、

  1. 事実ベースで100%褒めて、一緒に喜ぶ(できたことはできたと褒める)
  2. 事実で叱り、解決策は情報共有(何が問題かを事実で指摘し、解決策を社内共有する)
  3. メンツを気にせず部下に謝る(上司がミスをした場合は、取り繕わずに謝る)
  4. 権限委譲する(一度部下に仕事を任せたら、途中で口出ししない)
  5. 逆「ホウレンソウ」する(上司が部下に対して報告や相談をする)

の5つを紹介しているので、コミュニケーションの参考にするとよいでしょう。

■厚生労働省あかるい職場応援団「言い方ひとつで変わる会話術(第5回)」■

https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/manager/conversation-technique/c5

以上(2024年4月更新)
(監修 弁護士 田島直明)

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画像:unsplash

2024年「賃上げ」に対する経営者317人の本音。あそこの企業は賃上げするのか?

書いてあること

  • 主な読者:2024年に賃上げをするか否かについて悩んでいる経営者
  • 課題:賃上げの判断が難しい。他の企業がどうするつもりなのかも知りたい
  • 解決策:重要な判断基準は自社の業績。賃上げで使える助成金なども検討

1 賃上げするか否かを判断するための情報

連日のように話題となっている賃上げ。2024年に経営者が最初に下す重要な経営判断は「賃上げ」かもしれません。そこで、経営者317人を対象に、賃上げに関する緊急アンケートを行いました。

最初の質問は、賃上げをするか否かを判断するために重視する情報についてです。これは「自社の業績」が圧倒的に多くなっています。

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2 2024年から賃上げする企業は31.9%

では、具体的にどれだけの企業が賃上げをするのでしょうか?

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2024年から賃上げするという企業は31.9%、2~3年以内に実施するという企業は16.1%となっています。賃上げする企業が求めている情報は、助成金などに関する情報、社会保険料への影響に関する情報でした。少しでも賃上げの負担を軽減したいというところでしょう。

また、経営者が賃上げについて相談する相手は、顧問の税理士が最も多く、自社の取締役がこれに続きます。

賃上げを検討する際に参考となるリポートは以下の通りです。

3 どうやって、どの程度の賃上げをする?

賃上げの手法や賃上げ率はどうでしょうか。

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賃金の範囲としては、基本給のみが最も多く、基本給の他に手当や賞与も上げるという企業が続きます。これまでは、基本給は上げず、手当や賞与を上げて対応する企業が多かったですが、2024年はそれよりも踏み込んだ賃上げを検討する企業が増えています。

具体的な賃上げ率は、2%以上と3%以上という回答が同率の首位でした。

賃上げの手法については、ベースアップで実施する企業が最も多く、定期昇給が続きます。両方を行うという企業も多く、やはり賃上げに本気で取り組む企業が増えている状況を垣間見ることができます。

賃上げをする際の参考や賃上げの方法に関するリポートは以下の通りです。

3 賃上げ「しない企業」の経営者が考えていること

これまでとは逆に、賃上げをしない企業の状況を紹介します。

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なぜ、賃上げをしないのかについては、「業績の先行きが不透明だから」が圧倒的に多くなっています。前述した通り、賃上げをするか否かを判断するために最も重視される情報は「自社の業績」でした、やはり、業績が伴わない賃上げは難しいということでしょう。

どうなったら賃上げをするのかについては、これまで同様に業績が重視されていて、「業績好調が続くと確信できたとき」が圧倒的に多くなっています。

なお、賃上げに関するその他のリポートは以下の通りです。

以上(2024年3月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

賃上げ時代に重要な「同一労働同一賃金」でビジネス的平等を実現

書いてあること

  • 主な読者:同一労働同一賃金について復習したい経営者
  • 課題:結局、正社員とパート等の待遇に差をつけるのは許されるの? 許されないの?
  • 解決策:「パート等だから」という理由でなく、能力や成果で差をつけるなら問題ない

1 2024年4月の法改正で重要となる同一労働同一賃金

パート等(パートやフルタイムの契約社員)の労働条件を考える上で、避けては通れないのが「同一労働同一賃金」です。簡単に言うと、

正社員でもパート等でも「同じ働き方をしているなら、同じ待遇にしなければならない」

というものです。施行は2020年4月1日(パートタイム・有期雇用労働法)と少し前ですが、実は2024年度こそ、自社が同一労働同一賃金に対応できているか、改めてチェックが必要です。

なぜなら、2024年4月1日から、

労働契約の締結時(雇入時や契約の更新時)に明示する事項が増え、社員ごとの労働条件の違いが、以前よりはっきりしやすくなったから

です(労働基準法施行規則、図表1の赤字が改正により追加された項目)。

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労働条件についてより詳細な明示が求められるということは、労働条件を曖昧な基準で運用している会社が浮き彫りになりやすいということです。特に同一労働同一賃金は、近年の最高裁判決などでも世間の注目を集めていますので、改めて基本を復習しておく必要があります。

さらに、2024年度はさらなる賃上げが進むと予想されています。誰かの賃金を上げたなら、同じ働きをする社員の賃金も上げなければならないということです。つまり、賃上げと同一労働同一賃金の組み合わせにより、企業はより慎重な賃金管理が求められているということです。

同一労働同一賃金の肝は、

「均等待遇・均衡待遇」を押さえること

です。さっそく確認していきましょう。

2 同一労働同一賃金の肝は「均等待遇・均衡待遇」

「均等待遇・均衡待遇」とは、

  • 仕事の内容などが同じなのに、パート等であるという理由だけで正社員よりも低い労働条件にすることはできない(均等待遇)
  • ただし、能力や成果に基づく待遇格差は、合理的なものであれば問題ない(均衡待遇)

というルールです。具体的には、「図表2の3つの事項を考慮して、社員ごとの待遇が不平等にならないようにしなさい」というものです。

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「1.職務の内容」「2.職務の内容・配置の変更範囲」が同じなのに待遇格差を設けることはできません。ですが、「3.その他の事情」に該当する、個人の能力や成果に基づく格差は、合理的なものであれば認められます。

なお、パート等から求められたら、会社は正社員との待遇格差の内容やその理由を説明しなければなりません。ですから、待遇格差の合理性を説明できるよう、あらかじめ準備しておく必要があります。

3 同一労働同一賃金に違反した場合のペナルティー

実は、同一労働同一賃金に違反しても法律上の罰則はありません。ですが、

都道府県労働局が、同一労働同一賃金に違反した会社に対して、報告徴収、助言、指導、勧告を行うこと

があります。当然、不合理な待遇格差・差別的な取扱いに当たる就業規則などは無効ですし、

都道府県労働局の勧告に従わない場合、厚生労働省ウェブサイトなどで会社名が公表

されることがあります。

また、各都道府県労働局には相談窓口が設置されています。正社員との待遇格差に不満を持つパート等がここに相談するかもしれません。さらに、パート等から損害賠償請求を受けたり、労働審判の申し立てを受けたりする恐れもあります。

4 均等待遇・均衡待遇を賃金に落とし込む際の考え方

1)正社員にパート等よりも基本給を高く支給するのは違法?

基本給は、「能力・経験」「業績・成果」「勤続年数」など複数の要素で決まります。もしも基本給の額が正社員とパート等とで異なるのであれば、その格差がどの要素に紐づくのかを確認しましょう。

例えば、「能力・経験」に基づいて支給される部分の額について、次のような運用をしている場合、違法になります。

正社員はパート等より多くの経験をしているので、パート等よりも基本給が高い。しかし、正社員の経験は現在の業務とは特に関連性がない

一方、次のような場合、違法になりにくいと考えられます。

正社員は会社が期待するだけの能力を持っているが、パート等は持っていない。だから、能力の違いを理由に、正社員の基本給はパート等よりも高く設定している

2)賞与をパート等にだけ支給しない、支給額を正社員より低くするなどの対応は違法?

賞与にもさまざまな趣旨・目的があります。「人材を確保する、定着させる」「業績に貢献した社員に報いる」などがそうです。もしも、賞与をパート等にだけ支給しない、支給額を正社員より低くするなどの対応をしているのであれば、その対応が賞与の趣旨・目的に照らして合理的といえるかを確認しましょう。

例えば、「業績に貢献した社員に報いる」ために賞与を支給している会社が、次のような運用をしている場合、違法になります。

パート等は正社員と同じぐらい業績に貢献しているが、正社員にだけ賞与を支給している

一方、次のような場合、違法になりにくいと考えられます。

正社員は業績目標について責任を負い、パート等は負わない。だから、正社員には貢献度に応じて賞与を支給し、パート等には貢献度に関係なく定額で賞与を支給している

3)支給する手当の種類や支給額が、正社員とパート等とで異なるのは違法?

一口に手当といっても、職務(役職や業務内容など)に関連するもの、生活(家族や住居など)に関連するもの、勤務(通勤や無遅刻・無欠勤など)に関連するものなど、さまざまです。もしも、手当の種類や支給額が、正社員とパート等とで異なるのであれば、賞与と同じように、1つ1つの手当の趣旨・目的に照らして考えましょう。

例えば、役職に応じて支給する「役職手当」を設けている会社が、次のような運用をしていると、違法になります。

「業務の難易度」を考慮して、役職手当を設けている。正社員には役職手当を支給しているが、同じ役職のパート等には役職手当を支給していない

一方、次のようなケースは違法になりにくいと考えられます。

「役職者の業務負担」を考慮して、役職手当を設けている。正社員には役職手当を支給し、パート等は所定労働時間が正社員の2分の1なので、役職手当も2分の1を支給している

5 参考:派遣社員の同一労働同一賃金

派遣社員についても、同一労働同一賃金が適用されます。実務は主に派遣元で発生しますが、派遣先がやるべきこともあります。興味がある方はお読みください。

1)派遣社員の待遇決定方式1「派遣先均等・均衡方式」

派遣先均等・均衡方式とは、
派遣元が派遣先から待遇情報を提供してもらい、派遣社員の待遇を決定する方式
です。派遣先は、派遣社員と同じ仕事をする通常の社員の待遇情報を、派遣元に提供します。派遣元はその情報を基に、派遣先の通常の社員と比較して均等待遇・均衡待遇になるよう、派遣社員の待遇を決定します。

2)派遣社員の待遇決定方式2「労使協定方式」

労使協定方式とは、

派遣元が労使協定で、派遣社員の待遇を決定する方式

です。派遣元は、対象となる派遣社員の範囲や賃金(賞与、手当、退職金などを含む)の決定方法などを労使協定に定め、自社の過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)と締結します。

3)2つの待遇決定方式の比較

どちらの方式であっても、派遣先は派遣社員と同じ仕事をする「通常の社員」の待遇情報を、派遣元に提供します。通常の社員とは、次の1.から6.に該当し、かつその番号が最も若い社員です。例えば、1.と6.に該当する社員がいたら、1.に該当する社員の情報を派遣元に提供します。

  1. 職務の内容と職務の内容・配置の変更範囲が同じ通常の社員(正社員など)
  2. 職務の内容が同じ通常の社員
  3. 業務の内容または責任の程度が同じ通常の社員
  4. 職務の内容・配置の変更の範囲が同じ通常の社員
  5. 1.~4.に相当するパート等
  6. 派遣社員と同一の職務に従事させるため新たに通常の社員を雇い入れたと仮定した場合の当該社員

ただし、派遣先均等・均衡方式と、労使協定方式とで、派遣先が派遣元に提供すべき待遇情報が図表3のように異なります。

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なお、派遣社員が求めてきたら、派遣元は派遣社員と派遣先の通常の社員との待遇格差の内容やその理由を説明しなければなりません。

以上(2024年4月更新)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 栗原功佑)

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画像:pixabay

2024年10月スタートの「社会保険の適用拡大」で負担が増える会社とは?

書いてあること

  • 主な読者:2024年10月1日から「社会保険の適用拡大」の対象になる会社の経営者
  • 課題:社会保険料の負担はいくら増えるのか? 実務上、会社がすべきことは何か?
  • 解決策:現状の賃金などを当てはめて社会保険料を試算する。対象となるパート等に社会保険が適用される旨を伝え、必要に応じて労働条件などを見直す

1 新たに社会保険に加入するパート等とは誰?

「社会保険の適用拡大」とは、2024年10月1日から、社会保険(健康保険と厚生年金保険)の被保険者となるパート等の範囲が拡大されることです。ここでいう「パート等」とは、

週の所定労働時間または月の所定労働日数が、正社員の4分の3未満の短時間労働者

のことです。本来、パート等は社会保険の適用対象外ですが、会社が厚生年金の被保険者数について一定の要件を満たし、さらにパート等が労働時間や賃金について一定の要件を満たすと、社会保険に強制加入となります。2024年10月1日からは、この会社が満たすべき

厚生年金の被保険者数の要件が、「常時100人超」から「常時50人超」に拡大

されます。パート等を雇用する多くの中小企業が対象になるわけです。

画像1

経営者が気になっているのは、パート等が社会保険の被保険者になることで、

  • 社会保険料の負担(法定福利費)はいくら増えるのか?
  • 実務上、会社がすべきことは何か?

だと思います。以降でそれぞれ解説するので、確認していきましょう。

2 社会保険料の負担はいくら増えるのか?

1)まずは条件を設定しよう

2024年10月1日からの社会保険の適用拡大を想定し、会社とパート等の条件を次のように設定します。なお、健康保険の保険者は全国健康保険協会(以下「協会けんぽ」)とし、社会保険料は同協会の「令和6年度保険料額表(東京都)」を用いて計算します。

  1. 厚生年金保険の被保険者数:51人
  2. 週の所定労働時間: 20時間(1日4時間×週5日勤務)
  3. 1カ月当たりの賃金:9万2000円(時給1150円×週20時間×4週)
  4. 勤務期間の見込み:継続して2カ月を超えて使用される見込み
  5. 適用除外:学生でない

なお、時給については、2023年10月1日から、東京都の地域別最低賃金が1113円になったことを受け、1150円で設定しています。

2)会社の毎月の負担は、パート等1人につき最低でも1万2443円増える

社会保険料は、健康保険料と厚生年金保険料に分かれていて、それぞれ、

標準報酬月額(月例賃金を一定の金額幅で等級別に区分したもの)×保険料率

で計算した額を、会社とパート等が折半して負担します。なお、健康保険料率はパート等が40歳未満の場合と、40歳以上65歳未満の場合とで異なります。1)の条件の場合、

  • 標準報酬月額:8万8000円
  • 健康保険料率:9.98%(40歳未満の場合)、11.58%(40歳以上65歳未満の場合)
  • 厚生年金保険料率:18.3%

となり、会社とパート等の社会保険料の負担は次のようになります。

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図表2の場合、パート等が社会保険に加入することで、会社の負担はパート等1人につき

月額1万2443円(1万3147円)、年額に換算すると14万9316円(15万7764円)増える

ことになります。

3 実務上、会社がすべきことは何か?

1)対象となるパート等に、社会保険料の天引きが発生する旨を説明する

パート等の中には現状、配偶者などの家族(被保険者)の扶養に入っている人(被扶養者)がいます。社会保険の適用拡大によって、被扶養者であるパート等が被保険者になると、

家族の扶養から外れ、これまで負担義務のなかった社会保険料が賃金から天引きされる

ようになります。「社会保険料の負担義務がない」という理由でパート等での勤務を希望している人もいるでしょうから、被保険者要件を満たすパート等には、社会保険の適用拡大が開始される前に、社会保険料の天引きが発生する旨を説明しましょう。

なお、パート等の中には現状、家族の扶養に入っておらず、国民健康保険と国民年金に加入して自分で保険料を払っている人もいます。こちらのパート等についても社会保険料の天引きは当然発生しますが、保険料の負担については、

社会保険料<国民健康保険料+国民年金保険料

と、社会保険への加入によって軽くなるケースが多いようです(国民健康保険料の計算方法が自治体によって異なり、賃金額などによっては負担が重くなることもあるので注意)。

また、社会保険への加入により厚生年金にも同時加入する事になりますので、将来、自身が受け取る年金額にも寄与できる旨を説明に加えるのもよいかもしれません。

2)社会保険料の天引きと併せて、保険給付の変更についても説明する

パート等が社会保険の被保険者になると、社会保険料の負担が発生する代わりに、今まで受けられなかった保険給付を受けられるようになります。

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ざっくりイメージを説明すると、

社会保険に加入することで、私傷病や出産で休業する期間の生活保障が受けられるようになり、年金については、国民年金に加えて厚生年金保険の給付も受けられる

ようになります。社会保険料の天引きの件と併せてパート等に伝えてあげると親切です。

3)パート等が希望する場合、労働条件の見直しを検討する

パート等が被扶養者の場合、社会保険が適用されると聞いて「扶養から外れたくないから、もう少し労働時間を短くしたい」などと、会社に相談してくる可能性があります。この点、

会社がパート等と合意して労働条件を変更した結果、パート等が被保険者要件を満たさなくなるのであれば、社会保険に加入させる必要はない

ということになります。

一方、パート等の中には「これ以上労働時間を短くすると、賃金が減って生活が苦しいから社会保険には加入する。むしろ社会保険料が天引きされるなら、もっと労働時間を長くして賃金を増やしたい」と考える人もいるかもしれません。基本的な考え方は労働時間を短くする場合と同じですが、パート等に配偶者がいると、

労働時間を長くしてパート等の給与収入(賃金など)が増えると、パート等の配偶者が所得税の配偶者特別控除を受けられなくなるケースがある

ので注意が必要です。配偶者特別控除の控除額は満額38万円ですが、

  • パート等の給与収入が年額150万円を超えると、控除額は38万円から徐々に減額される
  • パート等の給与収入が年額201万6000円以上になると、控除額は0円になる

という仕組みになっています(扶養者である配偶者の年間給与収入が1195万円以下であることが前提となります)。ですから、労働条件の見直しについては慎重に検討しましょう。

4)社会保険に加入するパート等については、適正に加入手続きを行う

社会保険の適用拡大が施行される前に、パート等の労働条件を見直すのは問題ありませんが、施行後は被保険者要件を満たすパート等を全員、社会保険に加入させなければなりません。

2024年10月1日から社会保険の適用拡大の対象となる会社は、厚生年金保険の被保険者数が常時50人超の会社です。これらの会社に被保険者要件を満たすパート等がいる場合、

被保険者要件を満たすようになった日から5日以内(この場合、2024年10月6日まで)に、各パート等の「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を所轄年金事務所に提出

しなければなりません。

なお、2024年10月1日から社会保険の適用拡大の対象となる会社については、所轄年金事務所から、「特定適用事業所該当事前のお知らせ」「特定適用事業所該当通知書」などの書類が送付されます。厚生年金保険の被保険者数がいつ常時50人を超えたかによって、書類や送付スケジュールが異なるため、詳細は日本年金機構ウェブサイトをご確認ください。

■日本年金機構「令和6年10月1日から特定適用事業所に該当する適用事業所や該当する可能性がある適用事業所に対して、あらかじめ日本年金機構から何らかのお知らせは送付されてきますか。」■

https://www.nenkin.go.jp/faq/kounen/tekiyoukakudai/tokuteitekiyou/oshirase.html

5)新しいパート等の採用に向けて、求人案内や労働条件通知書も見直す

社会保険の適用拡大が開始された以降も、新しいパート等を採用することがあると思います。求人案内や労働条件通知書についても忘れずに見直しておきましょう。

求人案内については、職業安定法上、

募集するパート等に社会保険が適用されるかどうかを、必ず明示しなければならない

ので注意が必要です。社会保険の被保険者要件を満たすのにもかかわらず、「社会保険の適用なし」と記載しているのであれば、内容を修正しましょう。

労働条件通知書については、労働基準法上、社会保険の適用について明示する義務まではありませんが、現状の書式に項目があるのであれば、求人案内と同じように内容を修正します。

なお、社会保険の適用について確認するだけでなく、その他の労働条件が妥当かどうかについても、改めて検討してみましょう。例えば、

  • 現状、パート等の所定労働時間を週20時間に設定しているが、本当に週20時間も働く必要があるのか?
  • 現状、パート等1人につき担当業務を2つ設定しているが、担当業務を1つにする代わりにパート等を2人雇用することで、賃金や労働時間をコントロールできないか?

などを考えてみます。ただし、賃金に変更を加える場合は、最低賃金や同一労働同一賃金などの問題に注意が必要です。

以上(2024年3月更新)
(監修 人事労務すず木オフィス 特定社会保険労務士 鈴木快昌)

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画像:DESIGN ARTS-Adobe Stock

「同一労働同一賃金」チェックリスト 御社の対応は本当に大丈夫?

書いてあること

  • 主な読者:同一労働同一賃金に対応できているかを確認したい経営者
  • 課題:何をもって同一労働同一賃金に対応できているといえるのかが分からない
  • 解決策:「均等待遇・均衡待遇」を理解し、その実現度合いをチェックする

1 「均等待遇・均衡待遇」の理解が第一歩

パート等(パートやフルタイムの契約社員)の労働条件を考える上で無視できない「同一労働同一賃金」。すでに施行済の内容ではありますが、

2024年4月1日から、労働契約の締結時に明示する事項が増えた(労働基準法施行規則)

ことなどにより、パート等の労働条件について一層チェックが厳しくなることが予想されます。ですから、自社の対応に抜け漏れがないか再度、確認してみましょう。

ポイントは「均等待遇・均衡待遇」です。

1.均等待遇

パート等と正社員との間で、「1.職務の内容」「2.職務の内容・配置の変更の範囲」が同じ場合、パート等であることを理由とした差別的取扱いを禁止することをいいます。なお、同じ取扱いのもとで、能力・経験等の違いにより差がつくのは構いません。

2.均衡待遇

パート等と正社員との間で、「1.職務の内容」「2.職務の内容・配置の変更の範囲」「3.その他の事情」を考慮して不合理な待遇差を禁止することをいいます。

以降で、均等待遇・均衡待遇を実現できているかを確認するためのチェックリストを紹介します。早速見ていきましょう。

2 チェック1:パート等の状況はどうなっているか?

パート等が「均等待遇・均衡待遇」の対象になるかを確認します。次のチェックリストに「◯」「×」を入れてください。なお、このチェックリストは転勤のない場合を想定しています。

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「○」「×」の見方は次の通りです。この確認が終わったら、次章に進んでください。

  • 全て「○」:均等待遇の対象
  • 1~5のいずれかが「×」:均衡待遇の対象

3 チェック2:賃金に待遇格差はあるか?

次に、正社員とパート等の待遇を比較します。次のチェックリストに「◯」「×」を入れてください。なお、図表2の待遇は一例ですので、自社の内容に置き換えてお使いください。対象となるのは、正社員とパート等に対する全ての待遇(基本給、賞与、手当、退職金、福利厚生、教育訓練、安全管理など)です。

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「○」「×」の見方は次の通りです。待遇格差がある場合、次章に進んでください。待遇格差がない場合、御社は同一労働同一賃金に対応できています。

  • 全て「○」:待遇格差はない。同一労働同一賃金に対応できています!
  • 1~2が「○」:基本給の待遇格差はない
  • 1または2が「×」:基本給の待遇格差があり、検証が必要
  • 3~4が「○」:賞与の待遇格差はない
  • 3または4が「×」:賞与の待遇格差があり、検証が必要
  • 5~6が「○」:○○手当の待遇格差はない
  • 5または6が「×」:○○手当の待遇格差があり、検証が必要

4 チェック3:待遇格差に合理性はあるか?

チェック3はとても重要です。正社員とパート等の間に待遇格差がある場合、それが合理的かどうか、つまり同一労働同一賃金に対応できているかどうかを確認する内容になるからです。次のチェックリストに「◯」「×」を入れてください。

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「○」「×」の見方は次の通りです。是正が必要な待遇格差がある場合、次章に進んでください。是正が必要な待遇格差がない場合、御社は同一労働同一賃金に対応できています。

  • 全て「○」:待遇格差は合理的、同一労働同一賃金に対応できています!
  • 1または2が「×」:待遇格差は不合理であり、是正が必要

なお、チェック1で「均等待遇」の対象となったパート等(図表1の項目が全て「○」だったパート等)の場合、そもそも全ての待遇について正社員と同じ取扱いにすることが義務付けられているので、このチェックをするまでもなく、速やかに正社員と同じ取扱いにするための検討を行う必要があります。

5 チェック4:待遇格差の是正は進んだ?

最後のチェックです。ここまで進んできたということは、御社には是正すべき待遇格差があるということです。実際に待遇格差の是正を行った上で、次のチェックリストに「◯」「×」を入れてください。

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全て「○」になったら、ひとまず同一労働同一賃金の対応は完了です。パート等の人数などによっては対応までに時間がかかることもあるでしょうが、同一労働同一賃金に対応しようとする会社の姿勢を社員に示すことはとても重要です。

以上(2024年4月更新)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 渡邉和也)

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画像:photo-ac

【登録無料】商品やサービスを掲載して販路を拡大!

1 お役立ちサービスって何?

当社の商品・サービスをもっと多くの人に知ってもらい、販路を拡大したい! そのような会員の皆さんにご案内したいのが、サクセスネットの「お役立ちサービス」です。これは、指定のフォーマットに情報を入力するだけで、御社イチオシの商品・サービスを他の会社にPRできる「無料」のサービスです。

■ポイント1:約3万2000社の会社に商品・サービスをPRできる!

皆さんが今ログインしている「サクセスネット」には、皆さんの会社を含め、約4万社の会員様が登録しています。「お役立ちサービス」に御社の商品・サービスを登録するだけで、これらの会員にPRできます!

■ポイント2:難しいコードなどは一切不要!簡単にページが作れます!

商品・サービスの紹介ページは、所定の項目を入力するだけで作成可能です! また、画像の挿入もできるので、やり方次第で多くの会員様の目を引くPRが可能です!

ぜひ、御社イチオシの商品・サービスを教えてください!

2 実際に登録してみましょう!

手順

1)トップページから「お役立ちサービスの登録」をクリックします

画像1

※【お役立ちサービスの登録】→【新規作成】でページに飛べます

2)「新規作成」をクリックします

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3)「メーン画像」をアップします

左上の「ファイルを選択」をクリックし、商品・サービスのアイキャッチ画像をアップしてください(画像の推奨サイズ:横800px 縦400px)。商品・サービスを使っている様子が分かる画像などがあると、会員にイメージが伝わりやすいです。

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4)「タイトル」を入力します

商品・サービスの内容を表すタイトルを140字以内で入力してください

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例えば、次のようなタイトルは会員の目を引きやすいです

■ヒント1:「誰の、どんな課題を解決するのか」をタイトルの頭に

 (例)営業担当の売上アップをサポート! AI分析ツール「○○」

■ヒント2:「イチオシのポイント」をタイトルの頭に

(例)最先端AIで将来の売上データを予測! AI分析ツール「○○」

5)「サービス提供」を入力します

会社名を入力してください

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6)「会社名および商品・サービスの概要」を入力します

240字以内で商品・サービスの特徴や性能などを簡潔にまとめて記入してください

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例えば、次のような点を工夫すると、会員に伝わりやすくなります

■ヒント1:商品・サービスのメリットを分かりやすく

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直感操作のダッシュボードで、ビジネス戦略の最適化をサポートします。

■ヒント2:具体的な実績を明らかに

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7)カテゴリ1、2を選択します

商品・サービスに適していると思われるカテゴリを選択してください。

●カテゴリ1:下記12種類から一つ選んでください。

  • 売り上げを上げたい
  • 営業力を強化したい
  • 海外進出したい
  • 人材を採用・教育したい
  • 資金を調達したい
  • リスク・トラブルに備えたい
  • 業務を効率化したい(IT化、DX)
  • 市場動向などをリサーチしたい
  • 事業承継やM&Aに興味がある
  • 専門家に気軽に相談したい
  • 他の経営者と交流したい
  • 自身や家族の健康に気をつけたい

●カテゴリ2:下記8種類から一つ選んでください。

  • 経営戦略
  • 営業・マーケティング
  • 採用・教育・人事労務
  • 会計・税務
  • 法務・リスク
  • 業務効率化
  • 市場動向
  • 経営者

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8)強調したいキーワードを入力します

商品・サービスについて、強調したいキーワードを登録してください。ここで登録されたキーワードは「タグ」となり、同じタグが登録された別の情報と関連して表示されます。

半角カンマで区切ると、キーワードを複数登録することができます。

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どんなテーマの記事を探している方に読んでほしいかを考えましょう。

9)具体的な商品・サービスの内容を入力します。

「商品やサービスの性能や特徴など」「導入事例」「料金や条件など」を入力します。

「商品やサービスの性能や特徴など」については入力必須です。

【掲載する内容の例】

  • 商品の概要
  • 活用すると解決できる経営者(利用者)の課題
  • 経営者(利用者)のメリット
  • 実際に活用している経営者(利用者)の声   など

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■ヒント1:説明は「見出し」「太字」などを付けて分かりやすく

例えば、商品・サービスの性能や特徴を複数記入したい場合、

  • 性能1:○○…
  • 性能2:□□…

といった具合に「見出し」を付けると読みやすいです。また、性能や特徴で特にアピールしたい部分は「太字」にすると伝わりやすいです。

見出しや太字を作る際は、「マークダウン(Markdown)」というウェブ上の文字の書き方を知っておく必要があります。以下の記事で詳しく紹介していますのでご確認ください。

■ヒント2:料金や条件は「画像」があると伝わりやすい

商品・サービスの料金や条件は、文章で説明してもいいですし、表などの「画像」を活用して伝わりやすくしてもよいです(画像の推奨サイズ:横800px 縦400px)。

10)お問い合わせ先や表示の設定をします

「商品・サービスのお問合せ先のメールアドレス」「この情報を見て欲しい企業の興味関心・所在地・業種」を入力します。

メールアドレスは、必ず1つ以上は入れてください。

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11)下書きを保存して最終確認をします

「下書き保存して、プレビューする」をクリックすると、お役立ちサービスのプレビュー画面が表示されます。

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プレビュー内容に問題がなければ「公開する」をクリックします。

修正がある場合、「登録・編集画面に戻る」をクリックします。

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こちらの画面が表示されたら、「公開完了」です!

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以上(2024年2月作成)

同一労働同一賃金とは?企業に必要な対策をガイドラインにそって解説

現在、非正規雇用労働者の割合は、労働者全体のほぼ4割を占めています。
非正規雇用は多様な働き方を実現する一方で、さまざまな問題点も指摘されていますが、その1つが正規雇用労働者との間に存在する待遇格差です。

そこで国は、待遇差のうち、どのようなものが不合理であり、どのようなものが不合理でないのか、原則となる考え方と具体例を示した「同一労働同一賃金ガイドライン」を公表しています。

そのガイドラインにそって、同一労働同一賃金のルールがどのようなものか、企業にはどのような対策が求められるのか、わかりやすく解説します。

同一労働同一賃金とは?

国は2018年12月28日に、「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」を公表しました。*1
いわゆる「労働者派遣法」(2020年4月1日より施行)と「パートタイム・有期雇用労働法」(2021年4月1日より全面施行)を反映させた内容で、これが「同一労働同一賃金ガイドライン」(以後、「ガイドライン」)と呼ばれるものです。*2

まず、「ガイドライン」の背景と趣旨をみていきましょう。

背景

この問題の背景には、非正規雇用労働者の多さと、正規雇用者との待遇格差があります。

下の図1は、労働者数の推移を表しています。*3

図1 正規・非正規雇用労働者数・割合の推移

図1 正規・非正規雇用労働者数・割合の推移
出所)厚生労働省「非正規雇用の現状と課題」p.1
https://www.mhlw.go.jp/content/001214080.pdf

非正規雇用労働者は、2010年以降増加が続き、2020年にはやや落ち込みましたが、その後、再び増加に転じ、2023年には労働者全体の37.1%を占めています。

非正規雇用労働者の中では、パート(48.5%)とアルバイト(21.6%)の割合が高く、契約社員(13.3%)がそれに続いています。

また非正規雇用労働者のうち、正社員として働く機会がなく、非正規雇用で働いている、いわゆる「不本意非正規雇用」の割合は、非正規雇用労働者全体の9.6%(2023年)に当たります。

では、待遇はどうでしょうか(図2)。

図2 年齢階層別賃金(時給ベース)

図2 年齢階層別賃金(時給ベース)
出所)厚生労働省「非正規雇用の現状と課題」p.5
https://www.mhlw.go.jp/content/001214080.pdf

この図から、非正規雇用労働者の平均賃金は、一般労働者(非短時間労働者)が601円、短時間労働者が517円、正規雇用労働者(正社員・正職員)より低いことがわかります。

さらに、教育訓練の実施状況を正規雇用労働者と比較すると、非正規雇用労働者は、無期雇用パートタイム、有期雇用パートタイム、有期雇用フルタイムのいずれの就業形態においても、「計画的な教育訓練(OJT)」、「入職時のガイダンス(Off-JT)」は正規雇用労働者の7割前後となっています。
また、「将来のキャリアアップのための教育訓練(Off-JT)」は正規雇用労働者のわずか29.2%~35.7%と、その格差が際立っています。

このように、ガイドライン策定の背景には、全労働者に占める非正規雇用労働者の割合が高いのにもかかわらず、正規雇用労働者に比べて待遇が悪いという問題があります。

同一労働同一賃金の概要

同一労働同一賃金の導入は、同一企業における正規雇用労働者と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)との間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。*2
そして、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できる働き方を目指しています。

留意点は以下の2点です。*4

1)同じ企業で働く正社員と短時間労働者・有期雇用労働者との間で、基本給や賞与、手当、福利厚生などあらゆる待遇について、不合理な差を設けることが禁止されている。

2)事業主は、短時間労働者・有期雇用労働者から、正社員との待遇の違いやその理由などについて説明を求められた場合は、説明をしなければならない。

禁止される差別的待遇、何が含まれる?

ガイドラインには、まず「原則になる考え方」が示され、次に裁判で争い得る範囲として、「問題とならない例」「問題になる例」が記されています。*5

同一労働同一賃金で禁止される差別待遇にはどのようなものがあるのか、非正規雇用労働者の約7割を占める短時間労働者・有期雇用労働者を対象に、ガイドラインにそってみていきましょう。

ポイントは、短時間労働者・有期雇用労働者の待遇が、正規雇用労働者との働き方や役割の違いに応じたものになっているかどうかです。*4

基本給

原則となる考え方は、以下のようなものです。

労働者の「能力・経験」「業績・成果」「勤続年数」に応じて支給する場合は、これらが同一であれば同一の支給をし、違いがあれば違いに応じた支給をする。*4

問題となるのは、以下のようなケースです。

1)能力・経験に応じて基本給を支給している会社で、正社員が多くの経験を有することを理由に短時間労働者・有期雇用労働者より高い基本給を支給しているが、正社員のこれまでの経験は現在の業務に関連がない。

2)労働者の勤続年数に応じて支給している会社で、短時間・有期雇用労働者に対し、当初の労働契約の開始時から通算して勤続年数を評価せず、その時点の労働契約の期間のみによって勤続年数を評価した上で支給している。*1

昇給に関しての原則となる考え方は、以下のようなものです。

労働者の勤続による能力の向上に応じて行うものについては、同一の能力の向上には同一の、違いがあれば違いに応じた昇給を行わなければならない。*5

問題となるのは、こうした原則から外れたケースです。

賞与

原則となる考え方は、以下のようなものです。

会社の業績などへの労働者の貢献に応じて支給するものについては、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。*4

問題となるのは、以下のようなケースです。

1)正社員には職務内容や会社の業績などへの貢献などにかかわらず全員に何らかの賞与を支給しているが、短時間・有期雇用労働者には支給していない。

2)会社の業績などへの労働者の貢献に応じて支給している会社で、正社員と会社の業績などへの同等の貢献がある有期雇用労働者に対し、同一の賞与を支給していない。*1

各種手当

原則となる考え方は、以下のようなものです。*5

1)役職手当で、役職の内容に対して支給するものについては、同一の内容の役職には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。

2)以下のような各種手当については、同一の支給を行わなければならない。

  • 業務の危険度または作業環境に応じて支給される特殊作業手当
  • 交替制勤務などに応じて支給される特殊勤務手当
  • 業務の内容が同一の場合の精皆勤手当
  • 所定労働時間を超えて正社員と同一の時間外労働に対して支給される時間外労働手当の割増率
  • 深夜・休日労働を行った場合に支給される深夜・休日労働手当の割増率
  • 通勤手当・出張旅費
  • 労働時間の途中に食事のための休憩時間がある際の食事手当
  • 同一の支給要件を満たす場合の単身赴任手当
  • 特定の地域で働く労働者に対する補償として支給する地域手当

問題となるのは、以下のようなケースです。*1

1)役職の内容に対して役職手当を支給している会社で、正社員の役職と同一の役職名であって同一の内容の役職に就く有期雇用労働者に、役職手当を正社員より低く支給している。

2)正社員と同じ時間数、職務の内容の深夜労働または休日労働を行った短時間労働者に、深夜労働または休日労働に対して支給される手当の単価を正社員より低く設定している。

3)正社員には、有期雇用労働者に比べ、食事手当を高く支給している。

4)正社員と有期雇用労働者にいずれも全国一律の基本給の体系を適用しており、かつ、いずれも転勤があるにもかかわらず、有期雇用労働者には地域手当を支給していない。

福利厚生・教育訓練

原則となる考え方は、以下のようなものです。*5

1)以下については、同一の利用・付与を行わなければならない。

  • 食堂、休憩室、更衣室など福利厚生施設の利用
  • 転勤の有無などの要件が同一の場合の転勤者用社宅
  • 慶弔休暇
  • 健康診断に伴う勤務免除・有給保障

2)病気休職については、無期雇用の短時間労働者には正社員と同一の、有期雇用労働者にも労働契約が終了するまでの期間を踏まえて同一の付与を行わなければならない。

3)法定外の有給休暇その他の休暇は、勤続期間に応じて認めているものについては、同一の勤続期間であれば同一の付与を行わなければならない。特に有期労働契約を更新している場合には、当初の契約期間から通算して勤続期間を評価する必要がある。

4)教育訓練は、現在の職務に必要な技能・知識を習得するために実施するものについては、同一の職務内容であれば同一の、違いがあれば違いに応じた実施を行わなければならない。

問題となるのは、以上の原則から外れたものです。

なお、このガイドラインに記載がない退職手当、住宅手当、家族手当などの待遇や、具体例に該当しないケースについても、不合理な待遇差の解消が求められています。*1
そのため、ガイドラインには、各社の労使により、それぞれの事情に応じて待遇の体系について議論していくことが望まれると記されています。

同一労働同一賃金への対応 企業のメリットは?

同一労働同一賃金は、企業にとっては人件費の上昇を意味します。
では、この問題に取り組むメリットはどこにあるのでしょうか。

厚生労働省の「同一労働同一賃金に関する法整備について(報告)」には、「雇用形態にかかわらない公正な評価に基づいて待遇が決定される」ことによる効果が、以下のように記されています。*6

多様な働き方の選択が可能となるとともに、非正規雇用労働者の意欲・能力が向上し、労働生産性の向上につながり、ひいては企業や経済・社会の発展に寄与する

また、非正規雇用労働者の待遇情報がオープンになれば、労働市場を通じて正規雇用労働者との不合理な格差を是正するメカニズムが働くようになるため、待遇に関する企業の情報がオープンになればなるほど、企業は労働市場で選別されるようになるという指摘もあります。*7

したがって、ガイドラインにそって非正規雇用労働者に公正な待遇を担保し、それをオープンにすれば、労働者から選ばれる企業になるポテンシャルが高まるといえるでしょう。

ただし、逆に、不公正な待遇情報がオープンになると、離職率が上昇するだけではなく、新規の人材獲得にも苦戦するようになるというリスクも指摘されています。

人事担当者が取り組むべき対策

同一労働同一賃金に関して、人事担当者がとるべき具体的な対策についてみていきましょう。

導入に際しては、以下のような3ステップをふむことが大切です。*2

STEP1:情報収集と社内点検

まず、情報収集は以下の3つが基本です。

  • パンフレット・リーフレット で法律の内容を把握する
  • 自社の法遵守の状況を法対応チェックツールで確認する
  • 相談窓口に法律の内容を詳しく聞いてみる

次に、社内点検では、以下のポイントを押さえます。

1)従業員の雇用形態の確認

  • 正社員と比べてパート・アルバイトなど労働時間が少ない従業員はいるか。
  • 契約社員や派遣労働者など契約期間が決まっている従業員はいるか。

2)労働条件の確認

  • 法を遵守した雇用契約書になっているか。
  • 正社員とパート・アルバイトなどとの間で待遇に違いはないか。

STEP2:就業規則と賃金体系の見直し

就業規則と賃金体系の見直しについては、厚生労働省による、以下のような支援の活用を検討しましょう。

1)「働き方改革推進支援センター」:労務管理の専門家による無料の相談支援

2)「キャリアアップ助成金」:非正規雇用労働者の正社員化や待遇改善を実施した事業者への助成金の支給

3)職務分析・職務評価の導入支援:基本給の現状確認・賃金制度見直しの一助になる

STEP3:検証

同一労働同一賃金の取り組みによって、従業員のモチベーションが向上したか、離職率は低下したかなどを検証し、その結果を今後の取り組みにいかします。

おわりに

同一労働同一賃金にどのように対応すれば、企業の競争力向上につながるのでしょうか。

それをテーマにした研究では、種々の分析をふまえ、以下のような結論を導き出しています。*7

同一労働同一賃金の待遇説明義務がただちに企業の競争力を高めるのではなく、競争力を高めるために待遇説明をどういかすかという発想の転換が、企業には求められることが示された。

これは、企業の競争力向上に結び付くような有益な効果は、同一労働同一賃金を導入すればそれだけで自動的に得られるものではないということを意味しています。

公正な待遇やそれを説明をすること自体が即メリットにつながるわけではなく、日々の職場での個別のコミュニケーションを通じて、待遇に対する非正規雇用労働者の納得度が高まり、モチベーションがアップする。そのことによって能力開発や職場への積極的な参加を促すことができ、それが企業の競争力向上につながるというのです。

こうした視点も備え、同一労働同一賃金が、従業員・企業双方にとって有益な取り組みになるよう配慮することが、人事担当者の腕の見せ所ではないでしょうか。

資料一覧

*1
出所)厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」(厚生労働省告示第430号)p.7, p.9, p.10, pp.11-12, p.13
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000469932.pdf

*2
出所)厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html

*3
出所)厚生労働省「非正規雇用の現状と課題」p.1, p.4
https://www.mhlw.go.jp/content/001214080.pdf

*4
出所)厚生労働省「「同一労働同一賃金」への対応に向けて」p.1, p.2
https://www.mhlw.go.jp/content/000824263.pdf

*5
出所)厚生労働省「「同一労働同一賃金ガイドライン」の概要①」p.1, p.2
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000470304.pdf

*6
出所)厚生労働省「同一労働同一賃金に関する法整備について(報告)」p.1
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000167471.pdf

*7
出所)中村天江(リクルートワークス研究所主任研究員)「「同一労働同一賃金」は企業の競争力向上につながるのか?─待遇の説明義務に着目して」(『日本労働研究雑誌』)pp.54-55,p.42
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2019/05/pdf/042-056.pdf

以上(2024年3月)

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画像:photo-ac

2024年問題と物流業界 解決すべき課題と対策は?

トラック、タクシー、バスなどの自動車運送は、私たちの生活や経済活動を支えています。
ところが、その自動車運送業界は現在、危機に瀕しています。ドライバーの時間外労働の上限を規制する「改善基準告示」の改正が2024年4月に施行されるためです。

この問題は現在、自動車運転業界、特にトラック運転者が担う物流に深刻な影響を与えます。
これがいわゆる「2024年問題」です。

その最大の問題とはなんでしょうか。
また、その問題を解決するためには、どのような取り組みが必要でしょうか。

本記事では、自動車運送業界のうち物流に対象を絞り、2024年問題によって物流が直面する課題について解説し、国の打ち出した対策を中心に、そのソリューションを明らかにします。

2024年問題の概要と物流業界

まず、2024年問題の概要についてみていきましょう。

背景

持続可能な物流の実現に向けてドライバーの安定的な確保は大切ですが、トラック業界は、ドライバー不足という大きな課題を抱えています。*1

2022年9月の求人倍率は、全職業平均が1.20であるのに対して、トラック運転者は2.12と、約1.8倍に上っています(図1)。

図1 トラック運転者の求人倍率の推移

図1 トラック運転者の求人倍率の推移
出所)国土交通省「国民のみなさまへ トラック運転者手の仕事を知ってみよう 統計からみるトラック運転者の仕事」
https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/truck/work

こうしたドライバー不足の大きな要因として、他業種に比べて厳しい労働環境にあることが挙げられます。
全産業平均に比べて、労働時間が約20%長いのにもかかわらず、賃金は約5~10%安く、業務内容が厳しい現場もあります。

労災請求・支給決定の件数も、こうした道路貨物運送業の長時間・過重労働を物語っています。*2
2022年度の脳・心臓疾患の労災請求件数は133件、労災支給決定件数は50件に上り、ともに全業種の中で最多です。

こうした労働環境を改善するためには、物流現場での働き方改革が必要です。また、自動車運転者の過重労働を防ぐことは、労働者自身の健康確保だけでなく、国民の安全確保の観点からも重要です。*3

「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(以後、「改善基準告示」)の見直しは、こうした状況を背景にしています。

改善基準告知の改正内容

改善基準告示は、法定労働時間の段階的な短縮を踏まえて見直しが行われた1997年以降、改正が行われていませんでした。*3

しかし、2022年12月に自動車運転者の健康確保などの観点から見直しが行われ、トラック、バス、ハイヤー・タクシーなどの自動車運転者について、労働時間などの労働条件の向上を図るため、拘束時間の上限、休息期間、運転時間などについて新たな基準が定められました。

労働基準法改正による時間外労働の上限規制では、年間960時間と定められていたものの、これまで適用が猶予されていました。したがって、違反しても罰則はありませんでしたが、2024年4月からは違反した場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則が科されることがあります(図2)。*2

図2 労働基準法改正による時間外労働の上限規制の適用

図2 労働基準法改正による時間外労働の上限規制の適用
出所)公益社団法人 全日本トラック協会「解説 トラック運転者の改善基準告示ー2024年4月適用ー」p.1
https://jta.or.jp/pdf/kaizen/kaizen_text.pdf

この960時間は将来的には一般労働者と同じ720時間にすることを目指しています。

次に、下の表1は、トラックの改善基準告示見直しのポイントです。*3

表1 トラックの改善基準告示見直しのポイント

表1 トラックの改善基準告示見直しのポイント
出所)厚生労働省「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト>トラック運転者の改善基準告示>改善基準告示とは?」
https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/truck/notice

こうした改正の施行が2024年4月1日であることから、この改正とその影響は「2024年問題」と呼ばれています。

物流業界最大の問題とは?

では、この2024年問題で、物流業界に想定される最大の問題とはなんでしょうか。
それは、輸送力不足です。

国は施策がない場合、需要に対して、2024年には14%、2030年には34%、輸送力が不足すると試算しています。*4

その背景となる状況を、厚生労働省による「自動車運転者の労働時間等に係る実態調査結果」(2021年度)からみていきましょう。

1年の拘束時間

表1でみたように、「改善基準告示」の改正では、1年の拘束時間(「労働時間」+「休憩時間」)の上限を、現行より216時間短い3,300時間に定めています。

しかし、1年の拘束時間が3,300時間を超えるトラック運転者の割合は21.7%に上ります(図3)。*5

図3 トラック運転者の1年の拘束時間

図3 トラック運転者の1年の拘束時間
出所)厚生労働省「資料1 自動車運転者の労働時間等に係る実態調査結果(概要)」p.3
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000883703.pdf

1日の休息期間

休息期間はどうでしょうか。
「改善基準告示」では、1日の休息期間(業務終了時刻から、次の始業時刻までの時間)を、継続11時間を基本とし、下限を9時間と定めています。

しかし、継続11時間を超えるのは全体のわずか31.1%で、下限の継続9時間を超えるのも52.4%にすぎません(図4)。

図4 トラック運転者の1日の休息期間

図4 トラック運転者の1日の休息期間
出所)厚生労働省「資料1 自動車運転者の労働時間等に係る実態調査結果(概要)」p.11
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000883703.pdf

足元のトラック運転者不足

上述したように、改善基準告示の改正は、ドライバーの健康確保の観点から、労働時間などの労働条件の向上を図るためです。それは、ドライバー不足の大きな要因である厳しい労働環境を改善することにもつながります。

しかし、1年の拘束時間と1日の休息期間の実態からもわかるように、改正された改善基準告示を遵守するためには、ドライバーの労働時間を現在よりかなり削減する必要があります。
その影響で短期的には人手不足がさらに厳しくなり、輸送力不足という深刻な状況をまねくことが危惧されています。

これが「2024年問題」最大の課題です。

不足する人手…取り組むべき対策とは

2024年2月16日、国は「2024年問題」の対策指針を示した「2030年度に向けた政府の中長期計画」(以後、「中長期計画」)を公表しました。
その内容を中心に、物流業者がとるべき対策についてみていきましょう。

賃金の引上げ

まず、2024年に、運転者確保のための賃上げを図ります(図5)。*6

図5 賃上げの効果

図5 賃上げの効果
出所)内閣官房「物流革新及び賃上げに向けた政府の取組」p.9
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/ik_dai1/siryou.pdf

トラック事業者が受け取る「標準的運賃」を8%引き上げるほか、荷物の積み下ろし作業にも適正な対価を求め、これらの対応によってトラック事業者の収益を改善させ、運転者の賃金を2024年度に10%前後引き上げることを目指します。

逆にいえば、これらの施策をとらず、賃上げの達成ができない物流業者は、今以上に深刻な人手不足に陥る可能性が高いといっていいでしょう。

政策パッケージ

国は「政策パッケージ」を打ち出し、さまざまな施策を積み上げれば、輸送力の不足分を補えるという試算を示しました(表2)。*6

表2 政策パッケージの効果

表2 政策パッケージの効果
出所)内閣官房「物流革新及び賃上げに向けた政府の取組」p.9
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/ik_dai1/siryou.pdf

パッケージの内容を概観していきましょう。

(1)荷待ち・荷役の削減

荷主や物流事業者を対象に、自動化・機械化設備・システム投資を支援することで、2030年度までに運転者の荷待ちや荷役の時間を2019年度比で1人あたり年間125時間削減する。

(2)積載率向上・物流の効率化

共同輸配送や帰り荷確保を促進する取り組みなどによって、2030年度までに積載率を44%にまで増加させる。また、自動運転やドローンなどデジタル技術を活用し、物流の効率化を図る。

(3)モーダルシフト

鉄道(コンテナ貨物)や内航海運(フェリー・RORO船など)の輸送量を今後10年程度で倍増することを目指し、トラックなどの自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換する。

(4)再配達削減

コンビニ受け取りや置き配、ゆとりある配送日時の指定など、物流負荷の低い受取方法を選択した消費者に対しポイントを還元する実証事業などを行い、再配達を現在の12%から6%に削減する。

(5)トラック輸送力拡大など

大型トラックの法定速度を2024年4月に90km/hに引き上げる。また、トラック輸送の省人化の促進や労働生産性の向上に向けて、1台で通常のトラック2台分の輸送を可能とする「ダブル連結トラック」の導入を推進し、その運転に必要な大型免許の取得を促進するなどの取り組みをする。

物流業者は、今後、以上のような施策が実施されることを睨み、それに対応可能な体勢を整えることが重要です。

おわりに

物流は国民の生活と経済活動を支える重要な社会インフラです。
そのため、国も2024年問題を解決するために、中長期計画をとりまとめ、有益な対策を講じようとしています。
物流業者には、そうした対策に歩調を合わせ、対応することが求められることになります。

最後に、中長期計画に盛り込まれていない点に言及したいと思います。
それは、2024年問題は、長期的な観点に立てば、今まで採用できなかった優秀な人材を採用するチャンスとも捉えられるのではないかということです。

たとえば、トラック運転者は男性がなるものというイメージがありますが、国は「トラガール促進プロジェクト」と銘打った取り組みを推進しています。*7
「トラガール」とはトラック・ガール、つまり女性のトラック運転者のことです。

国土交通省「トラガール促進プロジェクト」

トラック運送業界では近年、女性をトラック運転者として積極的に採用する動きが広がってきました。そのため、トイレや更衣室など施設の改修や力仕事の必要のない車両の整備、ライフスタイルに合わせた働き方が選べる制度の創設、福利厚生の充実など、さまざまな取り組みを進めています。*8

そうした観点からみれば、改善基準告示の改正・施行も、中長期計画も、女性が働きやすい環境の整備とも通じます。

国の打ち出した対策とともに、こうした視点を備えることも必要ではないでしょうか。

資料一覧

*1
出所)国土交通省「国民のみなさまへ トラック運転者の仕事を知ってみよう 統計からみるトラック運転者の仕事」
https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/truck/work

*2
出所)公益社団法人 全日本トラック協会「解説 トラック運転者の改善基準告示ー2024年4月適用ー」p.2, p.1
https://jta.or.jp/pdf/kaizen/kaizen_text.pdf

*3
出所)厚生労働省「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト>トラック運転者の改善基準告示>改善基準告示とは?」
https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/truck/notice

*4
出所)内閣官房「2030年度に向けた政府の中長期計画(ポイント)」(2024年2月16日)p.2
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/pdf/20240216.pdf

*5
出所)厚生労働省「資料1 自動車運転者の労働時間等に係る実態調査結果(概要)」(2021年)p.3, p.11
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000883703.pdf

*6
出所)内閣官房「物流革新及び賃上げに向けた政府の取組」p.9, p.5, p.6, p.8, p.7
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/ik_dai1/siryou.pdf

*7
出所)国土交通省「トラガール促進プロジェクト」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/tragirl/index.html

*8
出所)国土交通省「トラガール促進プロジェクト>トラガールの魅力」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/tragirl/miryoku/

以上(2024年3月)

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