60代の就業ニーズ

人手不足に悩む中小企業にとって、60代のシニア層の活用は有効な解決策のひとつとなり得ます。本稿では、公益財団法人産業雇用安定センターが、求職活動中の60代男女を対象に実施した「60代シニア層の就業ニーズに関するアンケート調査」(2023年11月。男女各500人回答)の結果をもとに、働くことに関するシニア層の希望や意識についてお伝えします。

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社労士が教える「社会保険の適用拡大(2024年10月)」直前対策!

書いてあること

  • 主な読者:パート等を雇用していて、正社員などが51人以上いる企業の経営者、労務担当者
  • 課題:2024年10月から「社会保険の適用拡大」の対象になる。具体的な実務を知りたい
  • 解決策:まずは、社会保険の被保険者になるパート等がいないかを確認(いる場合、資格取得の手続き)。配偶者の扶養から外れたくないパート等への対応なども忘れずに

1 「社会保険の適用拡大」とは?

社会保険の適用拡大とは、

2016年10月から社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入するパート等の範囲が、段階的に拡大されること

です。また、「パート等」とは、

週の所定労働時間または月の所定労働日数が、正社員の4分の3未満の短時間労働者

です。これまでは「厚生年金保険の被保険者数(正社員など)が101人以上」の企業に勤め、一定の要件を満たすパート等が対象でしたが、2024年10月から「101人以上」の部分が「51人以上」に拡大されます。

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パート等の社会保険加入の手続きを怠ると、健康保険法・厚生年金保険法により「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」という罰則の対象になります。

そこで、この記事では、被保険者数が51人以上でパート等を雇用している企業向けに、社会保険加入のヌケモレを防止するためのチェック項目と各実務のポイントを紹介します。

2 社会保険加入の対象者がいるかを確認しよう!

まずは、社会保険加入の対象となるパート等がいるかを確認します。パート等について、図表2のチェック項目を確認し、当てはまる場合は「〇」を付けてみてください。「全ての項目」に〇が付く場合、そのパート等は2024年10月から社会保険に加入します。逆に1つでも満たさなければ、社会保険に加入させる必要はありません。

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1)企業が「特定適用事業所」かを確認

前述した通り、2024年10月からパート等を社会保険に加入させる義務があるのは、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業です。該当する企業を「特定適用事業所」といいます。

「被保険者数が51人以上か」は、パート等(週労働時間がフルタイムの3/4未満)の人数を除外し、図表3のAとBの人数を合計して判断します(支店や営業所が複数ある場合、全事業所の合計で判断)。

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また、人の入れ替わりが激しく、「51人以上」「50人以下」のラインを上下する場合、

直近12カ月のうち「51人以上」の月が6カ月以上あるかで判断

します。この要件を満たす見込みがある企業(2023年10月から2024年7月までの10カ月のうち「51人以上」の月が6カ月以上ある企業)には、

2024年9月上旬に、日本年金機構から「特定適用事業所該当事前のお知らせ」が送付

されていますので、そちらが届いているかも併せて確認してください。

2)パート等が「被保険者要件」を満たすかを確認

1)の特定適用事業所に雇用され、次の労働条件の要件を「全て」満たすパート等が、2024年10月から社会保険の被保険者になります。ポイントを見ていきましょう。

1.週の所定労働時間が20時間以上か

所定労働時間とは、就業規則や労働条件通知書で決められている労働時間のことです。注意が必要なのが、労働時間が流動的な「シフト制」のパート等です。シフト制のパート等は

一定期間内の労働時間を週単位に換算した場合、20時間以上になるかどうか

で要件を満たすかを判断するので、シフトの組み方によっては意図せず被保険者になることがあります。

2.所定内賃金が月額8.8万円以上か

所定内賃金とは、週給、日給、時間給を月額に換算したものに諸手当等を含めたもののことです。ただし、次に掲げる賃金は所定内賃金に含めません。

  • 臨時、または1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金(結婚手当、賞与など)
  • 時間外労働、休日労働、深夜労働の賃金(つまり残業代)
  • 最低賃金法で算定対象外とされている賃金(精皆勤手当、通勤手当、家族手当)

3.2カ月を超える雇用の見込みがあるか

2カ月以内の雇用期間で労働契約を締結した場合であっても、2カ月を超える見込みがある場合、被保険者になります。労働条件通知書などの記載内容ではなく、実態で判断します。

4.学生でないか

学生は原則として対象外ですが、卒業証明書をもらっていて「卒業後の雇用継続」が見込まれる学生、休学中の学生、夜間学生などは、例外的に被保険者になります。

3 社会保険加入の手続き前にパート等への説明を!

社会保険加入の手続きをする前に、対象となるパート等に対して社会保険加入後の働き方について、必要な説明をしましょう。また、社会保険加入後の、企業の人件費負担についても併せて確認しておきましょう。

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1)対象となるパート等への説明

社会保険に加入する場合、パート等には次のようなメリット・デメリットがあります。

  • (メリット)傷病手当金や出産手当金の対象になる/厚生年金保険に加入するので年金額が増える/扶養の範囲(労働時間や賃金)を気にせず働ける など
  • (デメリット)パート等が被扶養者の場合、家族の扶養から外れ、社会保険料が賃金から天引きされる(賃金の手取り額が減る可能性がある) など

社会保険料の負担がないという理由でパート等として勤務している人もいるでしょうから、2024年10月から被保険者になる人には、メリット・デメリットの説明資料や、パート等から質問されるであろう点をまとめたFAQなどを準備した上で、面談を実施しましょう。

自社で説明資料などを準備するのが難しい場合、厚生労働省が運営する「社会保険適用拡大特設サイト」を紹介するのもよいでしょう。「パート・アルバイトのみなさま」のページに、傷病手当金などの保険給付や社会保険料についての紹介動画・パンフレットが掲載されています。

■厚生労働省・社会保険適用拡大特設サイト「パート・アルバイトのみなさま」■

https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/dai1hihokensha/

2)2024年10月以降の働き方についてパート等と協議

1)の説明をした場合、パート等から「扶養から外れたくないので、労働時間を調整したい」「社会保険に加入するのはいいが、手取りが減るので出勤日を増やしたい」といった要望が出る可能性があります。必要に応じて本人と協議し、労働条件の見直しを検討しましょう。

ただし、2024年10月1日時点で被保険者要件(第2章参照)を満たしているパート等は、必ず社会保険に加入させなければならないので、労働条件を見直す場合は早めの対応が必要です。

3)企業の人件費負担の確認

社会保険料は企業と従業員が折半で負担します。ですから、2024年10月から新たに社会保険に加入するパート等が増えれば、企業の人件費負担が増加することは避けられません。経営にも関わる部分なので、具体的な額を事前に把握しておきましょう。

前述した社会保険適用拡大特設サイトの「社会保険料かんたんシミュレーター」を使うと、企業負担分の社会保険料がどの程度変動するのか、簡単に試算できます。また、同サイトでは、人件費負担などの経営相談に対応してくれる専門家や、パート等を正社員化するときのための助成金なども紹介しているので、必要に応じてご活用ください。

■厚生労働省・社会保険適用拡大特設サイト「事業主のみなさま」■

https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/jigyonushi/

4 社会保険加入の手続きと、その後の対応

最後に、2024年10月の制度改正のタイミングで、被保険者となるパート等を社会保険に加入させます。給与システムの変更なども忘れないようにしましょう。

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1)法定書類の提出など

社会保険の加入手続きは、被保険者要件を満たすようになった日(資格取得日)から5日以内に行う必要があります。2024年10月1日時点で被保険者要件を満たしているパート等の場合、

2024年10月6日までに被保険者資格取得届を、日本年金機構の所轄年金事務所(郵送の場合は所轄事務センター)に提出

しなければなりません。

提出後、健康保険被保険者証と資格取得に関する通知が会社に送付されますので、被保険者証は社員に交付、通知は社内で保管します。なお、被保険者証は、マイナンバーカードと一体化される関係で、2024年12月に廃止が予定されています。

2)社内のシステムや各書式の変更

1)の資格取得に関する通知には、パート等の標準報酬月額が記載されているので、給与システムへの反映を忘れずに行いましょう。

賃金が毎月末日締め、翌月払いの場合、11月支給の賃金から社会保険料の天引きを開始

します。

また、社会保険の適用拡大後に、新しいパート等を採用する予定があるのであれば、求人案内や労働条件通知書の「社会保険の適用」についても、必要に応じて記載内容を修正しておきましょう。

以上(2024年9月作成)

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画像:ChatGPT

60代の就業ニーズ

人手不足に悩む中小企業にとって、60代のシニア層の活用は有効な解決策のひとつとなり得ます。本稿では、公益財団法人産業雇用安定センターが、求職活動中の60代男女を対象に実施した「60代シニア層の就業ニーズに関するアンケート調査」(2023年11月。男女各500人回答)の結果をもとに、働くことに関するシニア層の希望や意識についてお伝えします。

1 仕事内容・働きやすさ重視

シニア層が仕事探しで最も重視しているのは、「仕事内容や職場の働きやすさ」です。60代男女全体の40.1%が「重視する」と答えました。次いで「就業場所・通勤時間」が34.9%、「就労日数・就業時間」が33.7%、「これまでの職業経験・知識を活かせる」が32.5%でした。「給料」は25.1%、「体力・体調に合っている」は22.7%にとどまりました。

仕事探しで重視するもの

仕事探しで重視するもの

2 60~64歳男性、週5日以上希望

「週に何日働きたいか」という質問では、男性の働く意欲が高いことがうかがえます。「週6日」または「週5日」と答えた男性は、60~64歳で計48.6%、65~69歳でも計30.3%に上りました。「1日に何時間働きたいか」という質問でも、60~64歳男性の70%が「6~8時間程度」と回答しています。

週に何日働きたいか

週に何日働きたいか

1日に何時間働きたいか

1日に何時間働きたいか

また、民間企業における仕事の希望度としては、「事務補助・雑務」「一般事務」「商品仕分・梱包業務」などといった業務を希望する割合が比較的高くなっています。また、人手不足の運輸、警備、介護福祉などの仕事であっても、ルート配送、福祉施設の間接業務、夜勤なしといった業務に対しては一定数の希望者がみられます。

3 さいごに

企業には、65歳までの雇用機会の確保が義務付けられ、70歳までの就業機会の確保も努力義務となっています。これから60代以上の従業員が意欲的に、能力を発揮しながら働けるよう、これまで以上の配慮が求められるでしょう。ぜひ、本稿で紹介したアンケート結果を参考に、シニア層の就業ニーズを的確につかみ、対策を立ててください。

※3つのグラフは、公益財団法人産業雇用安定センター「60代シニア層の就業ニーズに関するアンケート調査」の結果より抜粋

※本内容は2024年8月13日時点での内容です。

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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画像:kapinon-Adobe Stock

2024年11月からの新法施行でフリーランスとの取引が厳格に…… 会社が押さえておくべき7項目とは?

書いてあること

  • 主な読者:フリーランスに仕事を依頼する経営者や実務担当者
  • 課題:2024年11月に施行される新しい法律のポイントが分からない
  • 解決策:「書面等による取引条件の明示」をはじめ7つの項目を押さえる

1 罰則ありのフリーランス・事業者間取引適正化等法に備える

フリーランスを活用する会社が増えてきましたが、発注側と受注側の力関係から、フリーランスが一方的に不利益を被るケース(低報酬、短納期、ハラスメントなど)が少なくありません。皆さんの会社は大丈夫ですか?

2024年11月1日から、「フリーランス・事業者間取引適正化等法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」(以下「新法」)が施行され、フリーランスの権利保護が次のように強化されます。なお、「現状」は、下請法や独占禁止法の規制を記載しています。

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「下請法」もフリーランスの保護につながりますが、これは資本金が1000万円超の会社を対象とするため、小さな会社と契約するフリーランスは守られにくい状況です。一方、新法はフリーランスと取引する全ての会社が対象となります。

新法の施行以降は、会社(発注事業者)が図表1の義務を果たさない場合、行政機関からの立入検査、指導・助言、勧告・命令が行われることがあります。勧告・命令に従わない場合、

  • 会社名が公表される
  • 命令違反に対して50万円以下の罰金が科される

といったペナルティーがあります。以降で、2024年11月から対応が必要となる各義務のポイントを紹介します。なお、新法の細かい内容については、厚生労働省ウェブサイトのリーフレットなども併せてご確認ください。

■厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html

2 書面等による取引条件の明示(口約束はNG)

会社がフリーランスに仕事を頼む際、

書面(契約書や発注書)、電磁的方法(メールやSNS)で取引条件を明示すること

が義務付けられます。口約束はNGです。具体的に明示すべき項目は次の8つです。

  • 会社とフリーランス、それぞれの名称
  • 会社とフリーランスとの間で業務委託をすることを合意した日
  • 仕事の内容(品目、品種、数量・回数、規格、仕様など)
  • 仕事のスケジュール(いつ納品するのか、いつ作業をするのか)
  • 仕事の場所(どこに納品するのか、どこで作業をするのか)
  • 仕事の検収をする場合、それが完了する期日
  • 報酬の額と支払期日(具体的な報酬額を記載することが難しい場合は算定方法でも可)
  • 現金以外の方法で報酬を支払う場合、支払方法に関すること

このルールは2024年11月以降に締結する業務委託契約だけでなく、既存の契約についても適用されるので、現在仕事を依頼しているフリーランスに対し、8つのうち明示していない事項があれば、新たに書面等を交わしてフリーランスと合意する必要があります。

なお、8つの明示事項のうち、正当な理由があって内容が決められない事項(未定事項)がある場合、その理由と、未定事項の内容が決まる予定日を委託時に明示する必要があります。

3 原則60日以内の報酬支払い

フリーランスに仕事を依頼する場合、

フリーランスから「給付を受領した日」から起算し、原則60日以内のできる限り短い期間内で報酬の支払期日を定め、期日までに報酬を支払うこと

が義務付けられます。「給付を受領した日」とはフリーランスが仕事を完成させ、納品等を終えた日という意味です。例えば、次のようなイメージです。

  • 物品の製造・加工:物品を受け取り、会社の管理下に置いた日(検収の要否は関係ない)
  • 情報成果物(ソフトウェアなど)の作成:データの入ったメールやUSBメモリを受け取り、会社の管理下に置いた日
  • 役務(サービス)の提供:個々の役務の提供を受けた日、または一連の役務の提供が終了した日

支払期日を定めなかった場合は「給付を受領した日」に、また法律に反し、給付を受領した日から60日を超える日を支払期日とした場合は「60日目」に報酬を支払わなければなりません。また、フリーランス側の事情で支払いが遅れる場合は「その事情が解決してから60日以内」に支払えばよいとされています。

なお、会社(発注事業者)が取引先など(元委託者)から受けた仕事をフリーランスに「再委託」する場合、例外的に

「再委託である旨」「元委託者の名称」「元委託業務の支払期日」をフリーランスに明示することで、元委託業務の支払期日から起算し、30日以内で支払期日を定めることが可能

です。これを「再委託の例外」といいます。

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4 発注における問題行為の禁止

フリーランスと1カ月以上の業務委託契約を締結する場合、次の7つの行為が禁止されます。この7つは、フリーランス側の同意があったとしても、行った時点で違法なので注意が必要です。

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ちなみに、図表3の7つは現状でも、独占禁止法の「優先的地位の濫用」に該当し得る行為として、内閣官房のガイドラインに記載されています(全ての会社が対象)。なお、上の7つ以外にも「優先的地位の濫用」に該当する行為が4つあります。併せて押さえておきましょう。

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「優先的地位の濫用」については、内閣官房のガイドラインも併せてご確認ください。

■内閣官房「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」■
https://www.cas.go.jp/jp/houdou/20210326guideline.html

5 募集情報の的確な表示

会社がコーポレートサイトや広告などを使ってフリーランスを募集する際、

募集情報が「虚偽の表示をしたり、誤解を生じさせたりする表示になっていないか」「正確かつ最新の内容となっているか」を確認すること

が義務付けられます。具体的には次の5つの項目について、募集情報の的確な表示ができているかを確認する必要があります。

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フリーランスとのトラブルを防止するため、上の5つの項目については可能な限り具体的な情報を記載し、また変更があった場合、その部分を明らかにして速やかに明示します。

なお、「通常の社員」と「フリーランス」の募集情報が混同されるケースがありますので、

  • フリーランスの募集情報に業務委託であることを明記する
  • コーポレートサイトは、社員用とフリーランス用とで募集のページを分ける

などの対応をして、トラブルがないようにしましょう。

6 出産・育児・介護に関する配慮

フリーランスと6カ月以上の業務委託契約を締結する場合、

フリーランスから申し出があった際、出産・育児・介護と仕事を両立できるよう、必要な配慮を行うこと

が義務付けられます。具体的には、次の流れで対応します。

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フリーランスは社員ではないので、産前・産後休業や育児・介護休業の対象にはなりませんが、例えば「仕事の量」「打合せ日時、稼働時間、納期」「テレワークの可否」などについて、可能な範囲で配慮する必要があります。

フリーランスの申し出通りに必ず措置を講じなければならないわけではありませんが、実施できない場合、その旨と理由を本人に説明する必要があります。何もせず申し出を無視したり、契約を解除するなどの不利益な取扱いをしたりするのは違法です。

7 ハラスメント対策の体制整備

業務委託でフリーランスとコミュニケーションを取るに当たり、

フリーランスに対するハラスメントを防止するための体制を整備すること

が義務付けられます。現状、通常の社員については、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法により次のハラスメント対策を講じることが義務付けられていますが、これをフリーランスにも準用するイメージです。

  • ハラスメント防止方針の明確化、周知・啓発
  • 相談窓口の設置・運用
  • 事実確認、ハラスメント行為者の処分と再発防止策の検討
  • その他プライバシーの保護のための措置など

ハラスメント防止方針に「フリーランスに対する悪質な言動も、ハラスメントとして厳しく対処する」旨などを追記し、相談窓口はフリーランスからの相談も受け付けられるようにした上で、社員とフリーランスに周知徹底しましょう

また、フリーランスが相談をしやすくなるよう、フリーランスも対象とするハラスメント防止研修などを企画し、ハラスメントに関する基本知識や相談の流れを身に付けさせるのもよいでしょう。

8 中途解除等の事前予告・理由開示

フリーランスと6カ月以上の業務委託契約を締結する場合、

フリーランスとの契約を解除する際に、30日前までに契約解除の予告をすること

が義務付けられます。イメージは、通常の社員を解雇する際の「解雇予告」と同じです。ただし、「金銭を支払って、予告期間(30日)を短縮する」といった「解雇予告手当」のような制度はありません。また、

契約解除の予告後、フリーランスから請求があったら、契約解除の理由を開示すること

が義務付けられます。なお、事前予告や理由開示は、書面の交付、ファックス、電子メール等のいずれかの方法で行わなければなりません。

通常の社員の解雇でもそうですが、契約の解除は特にトラブルになりやすい分野であるため、解除の可能性が生じた時点で、速やかにフリーランスと協議を行うことをお勧めします。

以上(2024年9月作成)

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高齢歩行者との事故防止(2024/09号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

9月21日から秋の全国交通安全運動が始まり、全国の重点取り組みの一つに『歩行者の交通事故防止』があげられています。

昨年は、交通事故死者数、重傷者数ともに増加しました。死者数では、歩行中に亡くなった方が最も多く、なかでも 65歳以上の高齢者の占める割合が高くなっています。

今回は、高齢歩行者事故の特徴を考え、運転時に注意すべき点についてまとめてみました。

高齢歩行者との事故防止

1.高齢者事故の件数と発生要因

◆高齢者の死亡・重傷事故の割合

図1の令和5年中の交通事故での死者数は2,678人でしたが、そのうちで65歳以上の方は1,466人、全体の54.7%を占めています。重傷者数では36.7%が65歳以上の高齢者となっており、統計からは高齢者との事故では死亡・重傷事故になりやすい傾向が読み取れます。

高齢者の死亡・重傷事故の割合

出典:警察庁「令和5年中の交通事故の発生状況について」より当社作成

◆高齢歩行者との事故の特徴

65歳以上の高齢者の事故として多いのが歩行中の事故で、重傷者数の55.6%、死者数の70.6%が歩行中の事故によるものです。

図2の65歳未満では、路上横臥(ろじょうおうが) ※が最も多く、横断歩道・横断歩道以外の横断中に発生した事故は41%程度ですが、65歳以上の高齢者では横断歩道以外横断中に発生した事故が50.9%と最も多く、横断歩道横断中の事故を合わせると全体の約4分の3になります。

道路横断中の事故が突出して多いのが高齢歩行者との事故の特徴です。

※道路上に泥酔、居眠り等で横たわっていた時に事故が発生した類型​

高齢歩行者との事故の特徴

出典:警察庁「令和5年中の交通事故の発生状況について」より当社作成

2.高齢歩行者の特徴

なぜ高齢者には道路横断中の事故が多いのか?
その理由を考えるには一般的な高齢者の傾向について理解しておく必要があります。

高齢歩行者の特徴

◆一般的に高齢になると運動機能が低下し、ゆっくりした歩行になることで横断に要する時間が長くかかることになります。さらに筋力の低下で前かがみ姿勢になると、視野が狭くなり、視線も足元に向きがちになって周囲の危険を発見しにくくなります。

◆視力も低下するため、動く物や遠くの物が捉えにくくなったり、明るさの変化に慣れるのに時間が掛かるようになるため、車両の発見が遅れたり、接近してくる車両の速さや距離がつかみにくくなったりします。

◆認知機能の低下は、同時に多方向へ注意を向けながら、新しい情報を処理、判断していくことが苦手になる傾向があります。例えば、横断をはじめると注意は足元に向けられ、途中での安全確認がおろそかになり、横断の後半では車両の接近に気付きにくくなります。

※上記は、いずれも個人差があります。

出典:損害保険料率算定機構 高齢者の歩行中の交通事故を防ぐには P1-P15 P5を基に当社作成
https://www.giroj.or.jp/publication/accident_prevention_report/pdf/senior_driver_202102.pdf(2024/08/01 アクセス)

3.高齢歩行者との事故防止

運動能力や認知能力には個人差が大きくでます。運転中に高齢者など個々の能力を把握することは困難ですので、想定される最悪の状況に対処できる運転をする必要があります。

高齢者は車両に気付かず、急に横断をはじめたり、横断中に立ち止まったり、引き返したり、運転者が予測しない、思いもよらない行動をとることがあります。また、危険を感じても急いだり、走ったりしての回避ができないこともあります。

したがって、突発的な状況に対応できる速度と距離を保持し、歩行者優先で運転するのが安全運転の要です。

また、早め点灯で高齢者に車両の接近を気付きやすくしたり、夜間はハイビームにより横断する高齢者を早く発見したりすることも安全確保に重要です。

高齢歩行者との事故防止

以上(2024年9月)

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画像:amanaimages

日本における西洋菓子製造のパイオニア・森永太一郎。彼が生涯大切にしていた言葉から分かる、顧客に愛され続ける秘訣とは?

人間は正直でなければならない。殊に商売は正直でなければいけない

森永太一郎氏は、森永製菓の創業者。だいだい色のパッケージにエンジェルマークが印象的な「森永ミルクキャラメル」が発売されてから、2024年で111周年です。森永氏は2坪の製造所から始まった森永製菓(当時は森永商店)を、日本を代表するお菓子メーカーに育て上げました。

冒頭の言葉は、森永氏の伯父が説いた商道徳であり、森永氏が生涯大切にし続けたものです。幼い頃に両親と離別した森永氏は、陶器商だった伯父に引き取られ、「正直」な商売―どんなときも、商品を手に取る消費者に誠実な商売を徹底することの大切さを教わります。やがて森永氏は成人し、日本の陶器を売るため渡米しますが、全く売れず途方に暮れ、そんなときに現地のキャンディーを口にします。その味に感動した森永氏は、「日本の子どもたちにも栄養のあるおいしいお菓子を食べてもらいたい」という夢を抱き、陶器商から一転、菓子職人になるための修業に明け暮れ、11年後、一人前の職人になって帰国しました。

ですが、いざ西洋菓子を売り始めると和菓子とは違う独特の形や味が理解されず、買い手がつきません。そんな状況から森永氏が成功をつかむことができたのはなぜか。その理由の1つは、伯父の教えである「正直」な商売を徹底したからです。

例えば、西洋菓子の営業をしに行ったときのこと。取引先から「商品が小さくて見栄えが悪いから上げ底をして売ってくれ」と頼まれた森永氏は、「消費者を裏切りたくない、インチキはできない」と首を横に振ります。このような誠実な行動が積み重なって評判となり、最初は敬遠されがちだった西洋菓子は、次第に多くの人に受け入れられ、森永製菓を大企業へと押し上げていきます。

また、1923年の関東大震災の折には、こんな出来事がありました。森永製菓が被災者にミルクを配ることになった際、大行列に驚いた部下が、1人当たりのミルクの量を規定量より減らそうとしたことがありました。それを見た森永氏は、「そんな誠意のないことはできん、どんなことをしても私が工面するから規定通りでお渡しするんだ」と一喝。30万人の被災者全員に規定量のミルクを配るべく奔走し、感謝されたそうです。

「商売」とは、文字通り「商品を売ること」ですが、同時に「思いを売ること」でもあります。長く商品を買い続けてくれる顧客というのは、その会社の人が情熱を注いだ商品、その思いに共感してくれる“ファン”だからです。その点で言うと、森永氏の考え方の根底にある「日本の子どもたちにも栄養のあるおいしいお菓子を食べてもらいたい」という思いは、彼が「正直」を積み重ねたからこそ、多くの人に届いたといえるでしょう。

今も盛んに手に取られている森永ミルクキャラメルの姿を見てみると、一粒のキャンディーから抱いた熱い想いとそれを届けようとする彼の「正直」な商売が、未来まで愛される会社や商品を作ったのだと窺い知れます。

出典:『キャラメル王森永太一郎伝』(山本清月(著)、関谷書店、1937年4月)

以上(2024年9月作成)

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江戸っ子企業・新門に史上初の女性社員が誕生!~進化し続ける老舗に学ぶ、自然体の体制改革

書いてあること

  • 主な読者:体制や採用の見直しなど、今までとは違う取り組みを始めてみたい経営者
  • 課題:事業を継続し次世代にも引き継げるよう、時代に合わせて自社を進化させていきたい
  • 解決策:「守りながらも進化を続ける」ことを心がけて、柔軟に変わっていく

1 変革しながら続いてきた老舗企業の重みに学ぶ

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どのような企業も、強みを生かし、弱みを克服しなければ生き残っていくことはできません。特に「老舗」と呼ばれる長い歴史のある企業は、大小の変革を乗り越えて現在に至っていて、強みを生かし弱みを克服してきた経験に重みがあります。

今回取材した東京・浅草にある株式会社新門(しんもん)は、200年以上の歴史を持つ老舗企業です。いわゆる町鳶(まちとび)でありつつ、浅草寺(せんそうじ)で行われる各種の行事を取り仕切っている特別な存在といえます。最近は、鳶未経験の女性を採用してメディアなどでセンセーショナルに取り上げられましたが、果たして、どのような狙いがあったのでしょうか。そして、その影響はどのようなものだったのでしょうか。

新門の専務取締役・杉林 礼二郎(すぎばやし れいじろう)さんと、初の女性社員、地元・浅草出身の櫻井 晴菜(さくらい せな)さん、23歳にお話を聞きました。お話ししてくださった「意外な内容」は、老舗に限らずどの企業にとっても参考になるものでした。

2 進化し続ける老舗企業「新門」

1)浅草と共に生きる

東京都台東区、浅草。下町情緒溢れるこの街と共に、新門は今日も歴史を紡いでいます。

新門は、江戸時代末期から200年余りの歴史を持つ老舗企業。町鳶として建設現場の内外装工事を行っている企業ですが、普通の町鳶とは違います。新門は、浅草寺・浅草神社周辺で行われる行事を取り仕切る役割も持っています。

「新門の半纏を見るとハッとして、背筋が伸びる」

と、とある地元の人は語っていました。日本を代表する祭礼のひとつである三社祭や、夏の風物詩・ほおずき市など、伝統行事でキビキビと働く新門の半纏を見るたびに、浅草の人々は特別な感情を抱きます。新門は浅草寺・浅草神社の“御用出入(浅草寺・浅草神社から許され、敷地内を仕切ること)”として、浅草の文化を守り、未来へ繋げてゆく役目を背負った老舗企業なのです。

「新門」の歴史は、江戸時代末期の鳶・火消しである新門辰五郎に由来します。「を組の頭・辰五郎」の名前は、時代劇や歴史ドラマなどでも耳にしたことがある方もいるかもしれません。彼は町火消ながら上野大慈院(東叡山寛永寺)の義寛僧正に見込まれ、浅草界隈の取締を務めました。

勝海舟や徳川慶喜などとも親交を深めた辰五郎は、江戸っ子の鑑のような男気ある人物。そのいなせな人柄に惚れる人は数多く、彼の子分は3000人にも及んだと言われています。辰五郎からはじまった新門は戦争や天災を乗り越え、今も浅草に息づいています。

そんな新門に、今年(2024年)3月から新しいメンバーが加わりました。それが櫻井 晴菜さんです。

2)「現状維持は衰退のはじまり」

メディアでも、もちろん浅草界隈でも、櫻井さんの入社はちょっとしたニュースになりました。その理由は、

櫻井さんが新門200年の歴史の中で、初の女性社員

だからです。

今なお建築関係の現場で働く女性は少なく、プラスして浅草界隈で有名な老舗の町鳶とあれば、新門はとても思い切った採用をした、と思われることも多いはず。しかし、実際に取材をして見えてきたのは、櫻井さんをごく自然な流れで採用することになり、そして自然体で受け入れ、共に働く「新門ファミリー」の姿でした。

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浅草寺敷地内の事務所で出迎えてくれた杉林さんと櫻井さんは、本当の家族のように仲良さげです。

「実は採用にあたって、特別なことをしようという気持ちや覚悟などは無かったんです。男性だ女性だという意識もないし、壁を作ることもない。他の人員と何も変わることはない、一緒に働く仲間ですから」

新門の8代目である杉林さんはそう語ります。櫻井さんの採用は周りから見ればとても斬新な取り組みですが、内部では特別なことをしているつもりはなく、自然体のまま受け入れて一緒に働いているとのこと。

杉林さんが率いる新門は、老舗企業ながら、新しいことにチャレンジし続け、進化し続けている企業です。例えば、新門は「町鳶の仕事」である足場づくりだけでなく、内装の仕事も手掛けるようになっています。これは杉林さんと弟さんが会社の中心になってからはじめたもので、7代目であるお二人のお父さまも、「やりたいようにしてみればいい」と、背中を押してくれたそうです。

櫻井さんを採用したきっかけも、「内装の仕事を進めるにあたり、現場管理をする人員が必要になり自然な流れで」とのこと。加えて、鳶職といえば力仕事、というイメージがあったのも、今は昔の話。金具ひとつ締めるのにも力が必要だった昔とは違い、いまは女性の力でも仕事が出来るようになったこともあり、最初から採用に対する壁は無かったと言います。

櫻井さんはいま、現場に入りながら、日々新門の先輩方の背中を追い、仕事のいろはを学んでいます。

「新卒で入社した前の会社と(仕事の相性が)合わなくてずっと燻っていたけれど、今はたくさんの人と関わって体を動かす仕事で、働いていてとても楽しい。少しずつ重いものも運べるようになってきて、もっと新しいことにチャレンジしたいし、ひとつでも出来ることを増やしたい。皆さんの背中を追いたい。大好きな地元のために働けることもとても嬉しくて、友達に自分の仕事を自慢しているんです」

活き活きとした瞳で語ってくれた櫻井さんは、地元で育ち、毎年三社祭のお神輿を担いできた生粋の“浅草っ子”です。素直で人懐っこい櫻井さんが入社してからは、新門全体の雰囲気も明るくなったと杉林さんも語ります。

「『去年』と『今年』で、何か変えていきたい。もちろん『今年』と『来年』も。何事もやってみなければわからないし、現状維持は衰退のはじまりですから」

「プライドじゃあ、飯は食えませんからね。いい意味でプライドを持ちながらも、僕たちは変わっていかないと。変わっていきたいんです」

時代に対応し、また、ニーズに合わせて柔軟に変わっていく、変えていく。「老舗企業」という文字列には頑固一徹のイメージがありますが、

200年もの間「新門」が続いているのは、紛れもなく、「新門が変わってきたから」

なのです。

3)守りながら、進化してゆく

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杉林さんは、これからの新門の「あるべき姿」について、こう語ります。

「新門の看板や先人が繋いできた歴史はしっかりと守っていきたい。ただ、守りながらも進化していきたいんです。そして少しでも上向きにして、次世代に渡していきたい」

「うちは特別なことをしているつもりはないけれど、いま迷っている人たちが、一歩を踏み出すきっかけになればいいですね」

変化を受け入れ、新しいことをしてゆく。新門は常に未来を見ています。櫻井さんを採用したのも、その変化の流れの中で「自然と必要だった」ことなのかもしれません。しかし、新門のこうした姿勢は、すべての老舗が当たり前に真似出来ることではないとも感じます。

未来を語る杉林さんを見つめる櫻井さんの瞳には、確かなリスペクトが宿っていました。江戸中にその名を響かせた新門辰五郎の心意気は、今も確かに浅草で生き続けているのです。

3 100年先、自社が「老舗」と呼ばれるために

取材陣が新門を訪れたとき、事務所には今年から新設したという更衣室が設えられていました。現状、男女別の更衣室については法律的な決まりはありませんが、女性を雇用するにあたっては必要な配慮です。「自然に受け入れる」という気持ちだけではなく、そのための環境を整備するのを忘れないところにも、新門の思いやりと心意気を感じます。

新門は採用に限らず、進化を続けている老舗企業でしたが、自社の体制を見直すにあたって、まずは現在の採用の広告を見直したり、人材の幅を広げてみたりするのもひとつの手です。

しかし新しい人材を採るにあたり、守らなければいけないルールもありますので、今一度確認してみるのも良いでしょう。例えば女性を雇用する際には、以下のような法律上の決まりがあります。

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帝国データバンクの調査によると、2023年時点で創業100周年以上の「老舗企業」は、日本に4万3631社存在します。全世界の「老舗企業」の総数は約7万5000社と言われているので、そのうちの60%弱が日本にあるという計算になります。日本は世界でも有数の「老舗企業大国」といえるでしょう。

その一方で2024年上半期の老舗企業の倒産件数は、年上半期として過去最多の74件でした。経営環境の変化に適応し、自然災害などを乗り越え、自社を守り抜くのは並大抵のことではありません。今回取材した新門は、100年先の未来でも自社が「老舗企業」として活躍できるよう、一歩ずつ進化してゆくことの大切さを教えてくれました。

すでに「老舗企業」と呼ばれている会社も、これから「老舗企業」を目指していく会社も、一歩を踏み出すときは今なのかもしれません。

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以上(2024年9月作成)

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画像:株式会社新門

えっ!こんなときどうする?「企業の守り方」~その病気は労災?~

1 労災認定

労働者が仕事(業務上)や通勤が原因で負傷や疾病を生じた場合に、その本人や遺族に各種保険給付が支給されるのが労災保険です。ケガや病気の治療費や休業補償等の他に、後遺障害が残った場合に義肢等補装具の費用補助やリハビリ支援、遺族のための就学費用や保育費用の補償も受けられることはあまり知られていません。

事業主の皆さまは、労災事故を起こさないように日頃から安全教育や事故防止に注力されているとは思います。万が一、従業員やパートアルバイトが仕事中にケガをした場合や仕事が原因で病気になった場合、労災保険の申請手続きについては労働者本人や遺族任せにせずに、事業主の皆さまも積極的に協力をしてください。労災事故の初動対応が、その後の労災トラブルを回避するためには極めて重要となります。

2 労災認定から支給まで

労災保険の請求から認定、支給決定までには一定の期間を要します。労災の指定医療機関で治療をすれば労働者本人(事業主)が負担することなく治療を受けることはできますが、治療費を立て替える場合や休業補償を請求する場合には必要書類を提出してから支給決定まで約1か月間、場合によっては1ヵ月以上要することもあります。さらには、後遺障害は約3か月、遺族補償は約4か月と見込まれています。また、疾病であれば下表のとおりいずれの補償においても約6か月の期間を要します。いずれも必要書類を不備なく労働基準監督署に提出してから要する期間であり、事故発生時からではないことも改めて確認してください。

特に後遺障害と認定されるためには、その症状がこれ以上治療しても改善されない状態「症状固定」として医師に後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。治療期間も含めれば、後遺障害に関する労災保険の支給には相当の時間を要することは想像に難くありません。

保険給付の種類と標準処理期間

出典:労働実務 事例研究 労働新聞社編

3 脳・心臓疾患や精神傷害による労災認定

厚生労働省は、過重な仕事等が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレス等が原因で発病した精神障害で、労災請求された件数や業務上の疾病と認定された支給決定件数を毎年6月末に「過労死等の労災補償状況」と称して公表しています。

この資料には下表のような過去5年間の労災請求件数と支給決定件数の推移から始まり、業種別、職種別、年齢別、都道府県別、残業時間数別等、様々な観点から分析されたデータが掲載されています。

脳・心臓疾患の労災補償状況

出典:厚生労働省 令和5年度 過労死等の労災補償状況
別添資料 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況

「脳・心臓疾患」に関するデータで注目する点は、令和5年度に初めて請求件数が1,000件を超えました。また過労死ラインである残業時間が月80時間を超えた場合に支給決定件数が急増していることです。2021年(令和3年)9月14日に「脳・心臓疾患の労災認定基準」が緩和され、残業時間が月80時間を超えなくても、その他要因を考慮して労災認定すると改正されています。

脳・心臓疾患の時間外労働時間別支給決定件数

出典:厚生労働省 令和5年度 過労死等の労災補償状況
別添資料 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況

「精神障害」に関するデータでは、「請求件数」が毎年増えていることです。20年前の2003年度(平成15年度)は742件、10年前の2013年度(平成25年度)は1,409件です。請求件数が10年ごとに倍増しており、今後も増加傾向が継続するものと推察されます。2023年(令和5年)9月1日に「精神障害の労災認定基準」が改正されて、精神障害の原因としての具体的出来事に「カスハラ」が含まれました。

精神障害の労災補償状況

出典:厚生労働省 令和5年度 過労死等の労災補償状況
別添資料 精神傷害に関する事案の労災補償状況

4 企業の対応方法

事業主の皆さまにとっては、今後ますます労務管理に関する負担が増えていくことは明らかです。労災事故防止の各種対策はすでに講じてはいるものの、人為的なミスを完全に排除することはできないため、国の労災保険だけではなく、民間の損害保険会社で労災上乗せ保険を別途手配されていると思います。労災の上乗せ保険には、国の労災保険の支給決定を待たずに保険金支払いをする商品が主流にもなっています。しかし、今後は、従前のようなケガを前提とした労災の上乗せ保険の補償だけではなく、上述の脳・心臓疾患や精神障害を前提とした補償内容に見直すことをお勧めします。

国の労災保険の認定要件は「業務遂行性」と「業務起因性」です。いずれの要件を満たすということは、企業に責任があることを国が証明したということになります。そのため、企業側の安全配慮義務違反を理由に高額な損害賠償を請求されるケースを想定して、既存の労災上乗せ保険に「使用者賠償責任保険」を適切な金額で付帯すること、役員個人の善管管理義務違反を理由に提訴された場合を想定して、別途「会社役員賠償責任保険」を手配することをお勧めいたします。

以上(2024年8月作成)

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画像:photo-ac

【朝礼】北口榛花選手のやりは、なぜ誰よりも遠くへ飛んだのか?

おはようございます。今日は2024年7月24日から8月11日にかけてパリで開催された、あのスポーツの祭典についてお話しします。この大会で、日本は金メダル20個を含む計45個のメダルを獲得しました。定番の柔道や体操、今大会から新たに競技に加わったブレイキンなど、今回も見どころがたくさんありましたが、私の中で特に強く印象に残ったのは、女子やり投げの北口榛花(きたぐちはるか)選手です。

やり投げはその名の通り、片手に持ったやりを遠くへ投げてその飛距離を競う、投擲(とうてき)種目の1つです。テレビで見ていると一見単純な競技に見えますが、クロスステップと呼ばれる横向きの動きで助走をつけ、速度をキープしたまま投擲に入るという、とても難しい動作を要求されます。それにスピードやバネはもちろん、最適な角度でやりを投げなければ飛距離は出ませんから、投擲にも極めて繊細な技術が求められるのです。

そんなやり投げですが、北口選手は、8月10日に行われた決勝で、1投目から65メートル80センチという圧倒的な記録を見せつけ、金メダルを勝ち取りました。しかも、この65メートル80センチという記録は、なんと北口選手の今季自己ベスト。難易度の高い競技にもかかわらず、大会の決勝という大舞台で、1投目にして自身の最高のパフォーマンスを引き出す勝負強さには、ただただ驚かされました。

一方、競技終了後にインタビューを受けた北口選手の言葉はとても謙虚なものでした。彼女は、金メダルを手にした心境を聞かれ、こう答えたのです。「夢の中では、70メートル投げられていたので、ちょっと悔しい部分もある。大事な試合で勝ち続けることは簡単じゃない。それを続けられるように頑張っていきたい。今日出なかった記録も、夢じゃなくて次はかなえられるように」と。

ここで、皆さんに考えてほしいのは「はたして北口選手は、金メダルを取るためにやりを投げていたのか」ということです。もちろん、試合に出る以上、優勝は意識していたでしょうが、北口選手の言葉を聞くと、彼女はやり投げにおいて、「他人の前に自分に勝つ」「自分の限界を超える」ということを強く意識しているように感じられます。練習でも本番でも、変わらずその思いで臨んでいるからこそ、大舞台の1投目でも全力が出せるし、その思いの強さが突き抜けているからこそ、常に先を見据えて努力することができるのではないでしょうか。彼女にとって金メダルはゴールではなく、1つの通過点なのかもしれません。

私たちのビジネスも同じです。売上や利益、業界シェア、会社が掲げる目標はさまざまありますが、それらはあくまで通過点です。私たちが会社を通じて実現したい理想、そのために「もっと成長したい」「限界を超えたい」と思い続けることが大切です。全てはその思いの積み重ね。結果は後からついてきます。

以上(2024年9月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

【かんたん会社法(17)】株式会社の解散と清算

書いてあること

  • 主な読者:会社法に基づく株式会社の解散と清算の流れを把握したい人
  • 課題:解散と清算の手続きは複雑で、難しそう
  • 解決策:解散するだけでは法人格は消滅しない。解散後、残った資産や負債を処理する清算手続きが必要

1 解散と清算

株式会社(以下「会社」)にも始まりと終わりがあり、会社の始まりが設立だとすれば、終わりは解散と清算になります。設立と同様、解散と清算の手続きは会社法の定めに従う必要があります。

  • 解散:法人格を消滅させる原因となる事実のこと。原則、会社が解散するだけでは法人格は消滅しない。清算の手続きが必要
  • 清算:解散した会社の資産や負債の処理のための法的な手続きのこと。解散した会社が残った債務を全額支払うことができる場合は通常清算となり、解散した会社が債務超過で裁判所の監督のもと行われる清算の場合は特別清算となる

2 解散と清算の手続き

1)解散の理由の発生

会社は、理由なく解散することはできず、会社法で定められた次の理由が必要です。

  1. 定款で定めた存続期間の満了
  2. 定款で定めた解散の事由の発生
  3. 株主総会の特別決議
  4. 合併(合併によって消滅する会社の場合)
  5. 破産手続開始の決定
  6. 裁判所による解散命令・解散判決
  7. 休眠会社のみなし解散

以降では、3.株主総会の特別決議によって会社の解散と清算をする場合の手続きを紹介します。

2)株主総会の特別決議

会社は、株主総会を開催して、特別決議によって解散を決定します。

3)清算人の選任

清算人は、会社に必ず置かれる機関であり、清算手続きを遂行する役割を担います。清算人に就任するのは、通常、取締役であった者ですが、定款または株主総会の普通決議によって選任することもできます。

4)解散登記・清算人就任の登記

会社は、解散の日から2週間以内に、会社の本店所在地で解散登記をします。清算人についても、解散日から2週間以内に、本店所在地で清算人就任の登記をします。

5)財産目録・貸借対照表の作成

清算人は、就任後遅滞なく、会社の財産の現況を調査し、解散日現在の財産目録・貸借対照表を作成します。

清算人は、その後株主総会を開催して、作成した財産目録等・貸借対照表の承認を受けます。

6)債権者異議手続き

会社は、解散後遅滞なく、会社の債権者に対して、2カ月以上の期間を定めて、期間内に債権の申出を行うよう官報で公告し、かつ知れている債権者には個別に催告をします。

7)債権取り立て・財産換価処分・債務弁済

清算人は、会社を解散した際に未処理となっている契約の履行などの事務を終わらせ(現務の結了)、会社の債権を取り立てたり、財産を売却して換価したりするなどします。そして、前述した債権者異議手続きの期間後、全ての債権者に対して弁済を行って会社の債務を完済し、残余財産を確定させます。

8)清算事務年度の定時株主総会

清算人は、清算事務を行っている間、清算事務年度ごとに、貸借対照表、事務報告、附属明細書を作成します。清算事務年度とは、解散日の翌日から始まる各1年の期間のことです。例えば、2021年3月31日に解散した場合の清算事務年度は、2021年4月1日~2022年3月31日になります。

清算期間が長期化する場合、清算事務年度ごとに定時株主総会を開催します。清算人は、定時株主総会において、事務報告を行い、貸借対照表の承認を受けます。

9)残余財産の確定・分配

清算人は、7)の手続きで会社の債務を完済し、残余財産が確定した後、各株主の有する株式数に応じて残余財産を株主に分配します。

10)決算報告書の作成と株主総会の承認

会社は、清算事務が終了したときは、遅滞なく、決算報告書を作成します。清算人は、株主総会を開催して、決算報告の承認を受けます。

株主総会による決算報告の承認によって、清算事務の全てが終わります(清算の結了)。

11)清算結了登記

会社は、清算が結了したときは、決算報告承認の日から2週間以内に、本店所在地で清算結了登記をします。

清算人は、この登記から10年間、清算会社の帳簿資料を保存します。

以上(2024年7月更新)
(監修 TMI総合法律事務所 弁護士 池田賢生)
(監修 TMI総合法律事務所 弁護士 梶原大暉)

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画像:Mariko Mitsuda