労務トラブル発生時の対応と予防策~中小企業のためのリスクマネジメント~

労務トラブルを未然に防止し、安心して働き続けられる職場づくりのトラブル予防策をはじめ、万が一、労務トラブルが発生してしまった場合でも、迅速かつ円満な解決を目指すための対応策について考えます。

この記事は、こちらからお読みいただけます。pdf

2024年11月施行!「フリーランス新法」中小企業が確認しておきたいポイント

新法では、企業がフリーランスに業務委託をする際に守らなくてはいけない事項などが定められています。とくに資本金が1千万円に満たず、今まで「下請法」の適用がなかった中小企業にとっては、新法対応のための社内制度をゼロから作り上げる必要があり、負担が大きいといえるでしょう。そこで今回は、フリーランスと取引をする場合のポイントと法改正対応についてご説明いたします。

この記事は、こちらからお読みいただけます。pdf

公的年金シリーズ 第1弾 退職前に知っておきたい老齢年金の基礎知識

公的年金を理解した上で、生活に困らない老後を迎えるためには、若いうちから無理のない範囲で自助努力をしておくことが老後を生き抜くための最善策になると思われます。そこで、今回は老齢年金の基礎知識を中心に自助努力のための方法をいくつか紹介していきます。

この記事は、こちらからお読みいただけます。pdf

産業別にみる外国人雇用の特徴と注意するポイント

令和5年10月末現在、厚生労働省より公表された「外国人雇用状況の届出状況のまとめ」によると、我が国における外国人労働者の数は、2,048,675人(前年比225,950人増)と初めて200万人を超えて過去最高を更新し、今後もさらに増加していくことが見込まれています。そのような中でこの度は、予定されている技能実習制度の廃止と新制度の概要を説明した後、主に現場で働く労働者が多い産業別の外国人雇用の特徴や注意するポイントについてご説明いたします。

この記事は、こちらからお読みいただけます。pdf

災害時に使える“税の特例”。損金算入できるのは?

書いてあること

  • 主な読者:地震や台風などの自然災害の被害を受けた企業の経営者、税務担当者
  • 課題:自然災害により生じた損失や費用の取り扱いなどの税金に関する特例措置を知りたい
  • 解決策:被災により滅失・損失した資産や、撤去などに要した費用などは損金に算入できる

1 災害が起きる前に、できることをざっくり把握

地震や台風などの災害によって社屋が損傷・倒壊などの被害を受けると、想定外の修繕費や、被災者に対する見舞金など、災害時特有の費用が発生します。これらの費用には、通常時とは違って損金(税務上の費用)の額に算入できるケースがあります。ただし、災害直後の優先順位として、税務周りの対応はそれほど高くはなく、後回しになってしまいます。もし、

特例を知らずにいつも通りの処理をしていたり、申告をしなかったりすると、受けられる特例措置などを受けずじまいになることも

あります。

受けられる特例の取りこぼしがないよう、事前に税務上の取り扱い(損金にできる費用や申告・納期限の延長など)をざっくり把握しておきましょう。

2 「法人と個人で共通」する災害時における税務上の取り扱い

1)災害により滅失・損壊した資産など

法人の有する商品、店舗、事務所などの資産が災害により被害を受けたことに伴い、次のような損失または費用が生じたときは、その損失または費用の額は損金に算入されます。

  1. 商品や原材料などの棚卸資産、店舗や事務所等の固定資産などの資産が災害により滅失又は損壊した場合の損失の額
  2. 損壊した資産の取壊し又は除去のための費用の額
  3. 土砂その他の障害物の除去のための費用の額

2)復旧のために支出する費用

法人が、災害により被害を受けた固定資産(以下「被災資産」)について、支出する費用に係る資本的支出と修繕費との区分については、次の通りとなります。資本的支出とは、原状回復を超えて資産価値を高めるための支出などをいいます。資本的支出に該当する支出は、資産として計上し、減価償却を通じて損金に算入します。一方、修繕費はその支出の額が損金に算入できます。

  1. 被災資産について、その原状を回復するための費用は修繕費となります。
  2. 被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水または土砂崩れの防止などのために支出する費用について、修繕費とする経理をしているときは、この処理が認められます。
  3. 被災資産について支出する費用(1または2に該当するものを除きます。)の額のうち、資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、この処理が認められます。

3)従業員などに支給する災害見舞金品

法人が災害により被害を受けた従業員や親族などに対して、一定の基準に従って支給する災害見舞金品は、福利厚生費として損金に算入されます。また、法人が自己の従業員などと同等の事情にある専属下請先の従業員などまたはその親族などに対して、一定の基準に従って支給する災害見舞金品についても、同様に損金に算入されます。事業を営む個人においても同様に取り扱われます。

4)災害見舞金に充てるために同業団体などへ拠出する分担金など

法人が、所属する同業団体などの構成員の有する事業用資産について災害により損失が生じた場合に、その損失の補填を目的とする構成員相互の扶助などに係る規約などに基づき、合理的な基準に従って同業団体などから賦課され、拠出する分担金などは、その支出する事業年度の損金に算入されます。

5)申告・納付期限について

1.個別指定による期限延長

納税地を管轄する税務署長に対し、災害等のやんだ日から相当の期間内に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出した場合には、その承認を受けることにより、税務署長等が指定した日(災害等のやんだ日から2カ月以内)まで申告・納付などの期限が延長されます。

災害等のやんだ日とは、申請者に特別な事情がある場合を除いて、客観的に見て、申告・納付などの期限延長の申請をした人が、申告・納付などの行為をするのに差し支えないと認められる程度の状態に復した日となります。例えば、交通の途絶があった場合には、交通機関が運行を始めた日などが災害等のやんだ日になります。

2.地域指定による期限延長

2011年3月11日に発生した東日本大震災のときには、地域を定めて申告・納付期限を延長する対応が取られました。例えば、福島県の一部の地域については、申告・納付期限が2011年3月11日以降に到来するものが、2015年3月31日まで延長されました。

2024年1月1日に発生した能登半島地震についても、富山県、石川県の申告・納付期限を延長する対応が取られ、例えば、富山県、石川県のうち、石川県七尾市、輪島市、珠洲市、羽咋群志賀町、鳳珠群穴水町・能登町を除いた地域については、申告・納付期限が2024年1月1日から同年7月30日までに到来するものが、2024年7月31日まで延長されました。

なお、地域指定された地域に納税地がある個人または法人については、特段の手続きを経ることなく、自動的に申告・納付の期限が延長されます。

また、申告・納付期限延長措置の終了に関しては、各地域の復興などの状況を踏まえ、順次、国税庁のウェブサイトなどで告示されます。そのため、地域指定に関する情報は定期的に確認するようにしましょう。

3.顧問税理士が被災した場合

顧問税理士が被災した場合には、税理士自身が事務所に入れないことや、避難所に避難していることがあります。このような場合には期限までに申告ができないことが想定されますので、上記1の「災害による申告、納付等の期限延長申請書」に必要事項を記載し、納税地を管轄する税務署長に提出し、その承認を受けることにより、税務署長等が指定した日(災害等のやんだ日から2カ月以内)まで期限が延長されます。

6)延滞税・利子税・加算税

災害等により国税の納期限が延長された場合には、その延長された期間については、その国税に係る延滞税および利子税は課されません。

また、申告・納付などが適正に行われない場合に課される加算税については、認められた延長期限内に申告を行えば課されません。なお、加算税とは、申告・納付が遅れた場合に、通常の納付額に加算して課される罰金的な性格を有する税のことをいいます。例えば、期限後に申告が行われた場合に課される無申告加算税や、源泉徴収税額が期限後に納付された場合に課される不納付加算税などがあります。

2 「法人」に対する災害時の主な税務上の取り扱いについて

1)取引先に対する災害見舞金など

法人が、その得意先などの慶弔、禍福に際して支出する費用は、慰安、贈答その他これらに類する行為として、交際費として取り扱われ、一定の金額以上については損金に算入することができません。ただし、被災前の取引関係の維持・回復を目的として、取引先の復旧過程においてその取引先に対して行った災害見舞金の支出、事業用資産の供与などのために要した費用は、交際費などに該当しないものとして全額損金に算入されます。

2)取引先に対する売掛金などの免除など

法人が、その得意先などの債権を合理的な理由がなく免除した場合には、原則として得意先などに対して寄付金を支出したものとして取り扱うことになり、一定の金額以上については損金に算入することができません。ただし、災害を受けた取引先の復旧過程において、復旧支援を目的として売掛金、貸付金などの債権を免除する場合には、その免除することによる損失は、寄付金または交際費等以外の費用として、全額損金に算入されます。また、既契約のリース料、貸付利息、割賦代金の減免を行う場合および災害発生後の取引につき従前の取引条件を変更する場合も、同様に取り扱われます。

3)取引先に対する低利または無利息による融資

法人が、災害を受けた取引先の復旧過程において、復旧支援を目的として低利または無利息による融資を行った場合における、通常収受すべき利息と実際に収受している利息との差額は、寄付金に該当しないものとされます。

取引先の復旧過程における復旧支援を目的として行われる融資は、取引先の復旧支援をすることにより、自らが被る損失を回避するためのものとして一定の経済合理性を有すると考えられるため、寄付金に該当しないものとされます。

4)自社製品などの被災者に対する提供

法人が、不特定または多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品などの提供に要する費用は、寄付金または交際費などに該当しないもの(広告宣伝費に準ずるもの)として損金に算入されます。災害という緊急性のある中において、倫理的・社会的要請により自社製品の提供が行われることが考えられますが、これは、国が被災者を支援することと同様の側面があり、また、広告宣伝費に準ずる性質を有するとも考えられるため、寄付金に該当しないものとされます。

5)災害による損失金の繰越し

法人の各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額のうち、棚卸資産、固定資産などについて、災害により生じた損失に係るもの(以下「災害損失欠損金額」)がある場合には、その事業年度が青色申告書を提出しなかった事業年度であっても、その災害損失欠損金額に相当する金額は、その各事業年度において損金に算入されます。

なお、2018年4月1日前に開始する事業年度において生じた災害損失欠損金額の繰越期間は9年となります。

6)災害損失の繰戻しによる法人税額及び地方法人税額の還付

災害のあった日から同日以後1年を経過する日までの間に終了する各事業年度又は当該災害のあった日から同日以後6月を経過する日までの間に終了する中間期間(以下「災害欠損事業年度」)において生じた欠損金額のうち、災害損失金額に達するまでの金額(以下「災害損失欠損金額」)がある場合には、その災害欠損事業年度開始の日前1年(青色申告書である場合には前2年)以内に開始した事業年度(「還付所得事業年度」)の法人税額のうち災害損失欠損金額に対応する部分の金額について、還付請求することができます。

また、災害損失の繰戻しによる法人税額の還付が行われる場合には、地方法人税の還付金の額に相当する金額として、法人税の還付金の額の10.3%に相当する金額が合わせて還付されます。

7)義援金を支払った場合

1.県の災害対策本部や義援金配分委員会に対して支払った義援金

「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金に算入されます。

2.日本赤十字社に対して支払った義援金

法人が、日本赤十字社の「令和6年能登半島地震災害義援金」口座に対して支払った義援金は、「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金に算入されます。

ただし、日本赤十字社に対して支払った義援金であっても、例えば、日本赤十字社の事業資金としてのものなど、最終的に地方公共団体に拠出されるものでないもの(財務大臣が指定する寄付金に該当しないものに限ります)については、「特定公益増進法人に対する寄附金」に該当し、特別損金算入限度額の範囲内で損金に算入されます。

3 「個人」に対する災害時の主な税務上の取り扱いについて

1)個人が支払いを受ける災害見舞金

個人が支払いを受ける災害見舞金で、その金額がその受贈者の社会的地位や贈与者との関係などに照らし、社会通念上相当と認められるものについては、課税しないものとされています。

2)低利または無利息により生活資金の貸付けを受けた場合の経済的利益

災害により臨時的に多額の生活資金を要することとなった役員または従業員などが、使用者からその資金に充てるために低利または無利息で貸付けを受けた場合に、その返済に要する期間として合理的と認められる期間内に受ける利息相当額の経済的利益は、課税しないとされています。これは、災害を受けた人の担税力を考慮した措置といえます。

3)被災事業用資産の損失の繰越し

事業を営む個人のその年の前年以前3年以内の各年において生じた純損失の金額のうち、棚卸資産、固定資産などについて災害により生じた損失に係るもの(以下「被災事業用資産の損失の金額」)がある場合には、その損失の生じた年に青色申告書を提出していなかった場合であっても、その被災事業用資産の損失の金額に相当する金額は、その年分の総所得金額等の計算上控除することとされています。

4)義援金を支払った場合

1.県の災害対策本部や義援金配分委員会に対して支払った義援金

「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。

2.日本赤十字社に対して支払った義援金

「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。

以上(2024年9月更新)
(監修 辻・本郷税理士法人 税理士 安積健)

pj30093
画像:Potstock-Shutterstock

さまざまな法人税対策の考え方をとことん分かりやすく整理する

書いてあること

  • 主な読者:適法で自社に合った法人税対策をしたい経営者
  • 課題:法人税対策といっても、どのような方法があるのか分からない
  • 解決策:法人税対策として「所得の平準化」と「税制上の優遇・制限」を知る

1 2つの性質に分けられる法人税対策

利益が増えると、法人税対策への関心度は高まります。ただ

目先の納税額を少なくすることを考えても、長期的にはあまり意味がないものであったり、無駄に資金の支出を増やしているものであったりする

ことがあります。法人税対策は、

  1. 所得の平準化によるもの
  2. 税制上の優遇・制限によるもの

ごとに大別されます。それぞれ会社の資金に与える影響や効果や性質を考えた上で、自社に合った対策を講じることが大切です。

この記事では、法人税対策の考え方を紹介します。なお、より具体的に法人税対策を検討したい方は、以下のコンテンツをご参照ください。

2 ひと目で分かる多様な法人税対策

法人税対策の概略をまとめると次のようになります。

画像1

1)所得の平準化によるもの

「今年度の税金を少なくする(所得の平準化によるもの)」ということであれば、

  • 費用の前倒し計上(さらに資金の支出を伴うものと、伴わないものに細分化)
  • 収益の繰延処理
  • 資産の評価損の計上

が有効です。これらは今年度の税金を少なくしますが、翌年度以降に反動が出てきます。また、法人税は毎年平均的に所得を計上したほうが、総額の税額は低くなる(詳細は後述)ので、こうした点も考えながら節税対策を検討します。

1.費用の前倒し計上

費用の前倒し計上は資金の支出を伴うものと、伴わないものとに区分されます。

資金の支出を伴うものは、

  • 決算賞与の支給、あるいは未払い計上
  • 消耗品や固定資産を利用した費用の創出

に区分されます。

また、資金の支出を伴わないものは、

  • 優遇税制の利用
  • 未払い計上が可能な費用などの確認

に区分されます。

2.収益の繰延べと資産の評価損

収益の繰延べは今年度に入金があったものの、翌年度以降の収益として計上する繰延処理を行うもので、前受収益の計上と、一定の要件を満たす場合の圧縮記帳(一定の方法により得た収益と同じ金額を取得金額から控除するなどして、課税を繰り延べる制度)とがあります。

また、その他に資産の評価損があります。これは年度末時点で保有している資産の評価損(帳簿価額と時価の差額)を認識するものです。

2)税制上の優遇・制限によるもの

「税金の額を永久に少なくする(税制上の優遇・制限によるもの)」ということであれば、

  1. 税額控除を利用する
  2. 損金性を否認される費用を減らす
  3. 特別課税の適用を受けないようにする
  4. 欠損金繰越控除の期間を有効に活用する

という4つに区分することができます。これらの節税対策は会社に資金の負担を掛けません。一方、前述した資金の支出を伴う法人税対策は、一時的にその期の節税額以上に資金繰りを悪化させるので要注意です。

3 所得の平準化がなぜ法人税対策として効果があるのか

個人の所得税は累進課税(所得が増えるほど税率が大きくなる課税制度)であるため、所得を平準化したほうが税金の総額が少なくなります。一方、法人は一定税率であるため、所得の平準化による節税効果はないと思われがちです。

しかし、法人も資本金が1億円以下であれば、中小法人(資本金の額が5億円以上の大法人の100%子会社を除く)の軽減税率により、2段階の累進課税となっているので、複数年度の所得を累進させる手前の段階でとどめておくことができれば、節税効果が生じます。また、特定同族会社(資本金1億円以下を除く)では、留保金課税が追加発生するので、留保金課税が発生する手前で平準化できれば節税効果が生じます。

4 法人税対策の基本的な進め方

上記で説明した分類に基づいて「法人税対策」を考えた場合、まず行うべきは「税制上の優遇・制限によるもの」です。それらは、適用を受ける、または適用を受けないようにすることで、必ず効果が出ます。

それらを検討して改善の余地がなければ、「所得の平準化によるもの」について考えます。これは、現在手を着けなくても後日にその分の効果が出るものです。後日の節税効果より、現在手を着けたことによる節税効果のほうが大きい場合に検討します。

本稿で紹介したことは当たり前のことともいえますが、これができていないために、払わないで済む余分な税金を払っている場合が多いのです。まず、当たり前のことがきちんとできているかどうかを確かめることから始めましょう。

以上(2024年9月更新)
(監修 辻・本郷税理士法人 税理士 安積健)

pj30006
画像:pixabay

産業別にみる外国人雇用の特徴と注意するポイント

令和5年10月末現在、厚生労働省より公表された「外国人雇用状況の届出状況のまとめ」によると、我が国における外国人労働者の数は、2,048,675人(前年比225,950人増)と初めて200万人を超えて過去最高を更新し、今後もさらに増加していくことが見込まれています。そのような中でこの度は、予定されている技能実習制度の廃止と新制度の概要を説明した後、主に現場で働く労働者が多い産業別の外国人雇用の特徴や注意するポイントについてご説明いたします。

1 はじめに ~「技能実習制度」の廃止と新しい制度の制定~

(1)「外国人技能実習制度」の廃止

外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的として創設されました。

技能、技術等の習得段階によって「技能実習1号」(1年目)、「技能実習2号」(2年目~3年目)、そして「技能実習3号」(4年目~5年目)の区分に分かれて在留資格が存在し、技能実習1号及び2号の期間は原則、技能実習生本人の希望による企業の変更、転籍は認められていません。このことが、昨今の人権に対する世論、関心の高まりにより、諸外国の人権団体などから「強制労働」などと批判されてきました。

また、我が国における生産年齢人口(15歳以上64歳以下の人口)が今後益々減っていく中、また他国との人材獲得競争も激化していく中、現在の制度の実態と「国際協力」を目的としているところに乖離が生じているとの意見も多くあり、昨年11 月まで行われていた「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」での最終報告を基礎に国会にて議論され、先の通常国会にて、技能実習制度の「発展的解消」、言い換えれば「廃止」が決定しました。

(2)新しく制定される「育成就労制度」の概要

育成就労制度は、「育成就労産業分野(特定技能制度と原則同一の分野)において、特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することを目的とする。」とされており、「人材確保」と「人材育成」を目的とした制度となります。以下、受け入れ企業に影響がでる代表的な箇所についてご説明します。

まずは、育成就労の期間ですが、これまでの技能実習制度では、企業によって「1年」、「3年」あるいは「5年」と異なっていましたが、これが原則「3年」に統一されます。3年かけて「特定技能1号」の水準となるよう育成することが求められます。

特定技能制度とは、深刻な人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れる制度で、平成31年に創設されました。特に、国内で充分な人材が確保できない分野を「特定産業分野」と位置づけ、特定産業分野に限って外国人が現場作業等で就労できるようになりました。現在は介護業、建設業、宿泊業、農業、飲食料品製造業、外食業など12の業種です(今後、工業製品製造業、自動車運送業、林業、木材産業、鉄道といった業務区分、分野の追加が予定されています。)。

特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」という2種類の在留資格があり、特定技能1号の期間は上限5年間ですが、特定技能2号になると期間の上限なく在留することができるようになり、家族帯同(配偶者と子)も認められることになります。

次に、これまでは「技能実習2号」を良好に修了した場合、特定技能1号に変更するにあたっての「日本語試験」「各業界団体の特定技能試験等」は免除されていましたが、育成就労制度では変更の際に受験が必須になる見込みです。

また、これまでは技能実習制度で前述のとおり、原則3年は本人希望による企業の変更、転籍は認められていませんでしたが、育成就労制度では仕事の内容(分野)によって、早ければ1年、遅くとも2年を超えたら、同一業務区分内において、本人希望による転籍が認められるようになります(当初、有識者会議では全業種1年の転籍制限で検討が進められていましたが、地方への影響等を鑑みて当分の間、このようなかたちとなりました。)。

上記以外にも技能実習制度との相違点はありますが、細かなことはまだ決まっておらず、今後、政省令にて定められることとされており、現在技能実習生を受け入れている企業においては今後も注視していく必要があります。

なお、育成就労制度は「公布日(令和6年6月21日)からから起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日」に施行することとされているため、現状では令和9年春頃から開始される見込みとなっております。

この記事の全文は、こちらからお読みいただけます。pdf

sj09124
画像:Metamorworks-Adobe Stock

【朝礼】相手によって変わる「配慮」のポイント

おはようございます。今日は「配慮」というテーマで話をします。服装、名刺交換、電話、メール、席次など、私たちは日々、さまざまなマナーを守って仕事をしています。ただ、こうしたマナーは正解がしっかり決まっているようでいて、実は決まっていません。相手が誰かによって、「配慮すべきポイント」が変わり、細かい部分を調整する必要があるからです。

例えば、体などのハンディキャップのことを「しょうがい」と呼ぶことがあります。漢字で書くと「障害」ですが、世間では「害」の部分を平仮名にして「障がい」と表記している書籍やサイトが多く見られます。これは「体などが不自由な人に対し、『害』という文字を当てるのは不適切ではないか」という配慮によるものです。

一方、目が不自由な人が相手の場合、少し事情が変わります。例えば、医療・介護系サービスのサイトなどでは、目が不自由な人への配慮から、あえて漢字のほうの「障害」を使っているところがあります。目が不自由な人は、サイトに書いてある内容を知りたい場合、スクリーンリーダーなどの音声読み上げ機能を使うことがあります。しかし、その際、平仮名のほうの「障がい」を使っていると、その箇所が「さわりがい」と、誤った読み方をされるケースがあるそうです。そのため、「目が不自由な人にも、サイトに書いてある内容を正しく伝えたい」という配慮から、漢字のほうの「障害」を使っているのです。

「障害」「障がい」どちらの表記も、配慮したい相手がいて、その表記をすべき明確な理由があるわけです。他にも配慮の仕方に注意が必要なケースとして、マスクを「着用する」「着用しない」の問題もありますね。2023年にコロナが5類に移行してから、マスクの着用は個人の判断に委ねられるようになりましたが、今も感染者は出ている状況なので、やはり配慮が必要な場合はあります。

例えば、病院にかかる際などは、マスクを着用したほうがよいといわれます。院内の感染防止などのため、病院からマスク着用を求められることもありますし、そうでなくても、「自分が着けてないことで、医師や他の患者が不安にならないか」という視点は持つべきでしょう。

仕事で誰かと面談する際などもそうです。基本的には個人の判断で問題ありませんが、マスク着用に対する考え方は人それぞれなので、相手の様子を見た上で、「マスクを着けていても(外しても)よろしいでしょうか」と一言添えるぐらいの配慮はあってもよいかもしれません。

いずれにせよ、マナーの根底には、常に相手への配慮があります。何も知らない新入社員の頃は、まず「ビジネスマナーはこういうものだ」と教わるところからスタートしますが、冒頭でも言った通り、絶対という正解はありません。しゃくし定規に教わったマナーを守るのではなく、相手によって臨機応変に対応するのが一人前のビジネスパーソンです。

以上(2024年8月作成)

pj17193
画像:Mariko Mitsuda

60代の就業ニーズ

人手不足に悩む中小企業にとって、60代のシニア層の活用は有効な解決策のひとつとなり得ます。本稿では、公益財団法人産業雇用安定センターが、求職活動中の60代男女を対象に実施した「60代シニア層の就業ニーズに関するアンケート調査」(2023年11月。男女各500人回答)の結果をもとに、働くことに関するシニア層の希望や意識についてお伝えします。

この記事は、こちらからお読みいただけます。pdf

60代の就業ニーズ

人手不足に悩む中小企業にとって、60代のシニア層の活用は有効な解決策のひとつとなり得ます。本稿では、公益財団法人産業雇用安定センターが、求職活動中の60代男女を対象に実施した「60代シニア層の就業ニーズに関するアンケート調査」(2023年11月。男女各500人回答)の結果をもとに、働くことに関するシニア層の希望や意識についてお伝えします。

1 仕事内容・働きやすさ重視

シニア層が仕事探しで最も重視しているのは、「仕事内容や職場の働きやすさ」です。60代男女全体の40.1%が「重視する」と答えました。次いで「就業場所・通勤時間」が34.9%、「就労日数・就業時間」が33.7%、「これまでの職業経験・知識を活かせる」が32.5%でした。「給料」は25.1%、「体力・体調に合っている」は22.7%にとどまりました。

仕事探しで重視するもの

仕事探しで重視するもの

2 60~64歳男性、週5日以上希望

「週に何日働きたいか」という質問では、男性の働く意欲が高いことがうかがえます。「週6日」または「週5日」と答えた男性は、60~64歳で計48.6%、65~69歳でも計30.3%に上りました。「1日に何時間働きたいか」という質問でも、60~64歳男性の70%が「6~8時間程度」と回答しています。

週に何日働きたいか

週に何日働きたいか

1日に何時間働きたいか

1日に何時間働きたいか

また、民間企業における仕事の希望度としては、「事務補助・雑務」「一般事務」「商品仕分・梱包業務」などといった業務を希望する割合が比較的高くなっています。また、人手不足の運輸、警備、介護福祉などの仕事であっても、ルート配送、福祉施設の間接業務、夜勤なしといった業務に対しては一定数の希望者がみられます。

3 さいごに

企業には、65歳までの雇用機会の確保が義務付けられ、70歳までの就業機会の確保も努力義務となっています。これから60代以上の従業員が意欲的に、能力を発揮しながら働けるよう、これまで以上の配慮が求められるでしょう。ぜひ、本稿で紹介したアンケート結果を参考に、シニア層の就業ニーズを的確につかみ、対策を立ててください。

※3つのグラフは、公益財団法人産業雇用安定センター「60代シニア層の就業ニーズに関するアンケート調査」の結果より抜粋

※本内容は2024年8月13日時点での内容です。

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

sj09123

画像:kapinon-Adobe Stock