【業種別データ】紙製品製造業の動向

紙製品製造業は、2023年に出荷額が4385億円(前年比103.4%)と増加し、全体としては底堅く推移しています。一方、事業所数・従業者数はやや減少しており、人員面では縮小傾向が見られます。事務用・学用紙製品は出荷増で堅調でしたが、日用紙製品は事業所数と従業者数が減少しました。原材料比率が高く、コスト上昇への対応が引き続き課題です。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の紙製品製造業の事業所数は930事業所(対前年比99.5%)、従業者数は1万8402人(対前年比98.1%)、製造品出荷額等は4384億8500万円(対前年比103.4%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は20人(対前年比98.6%)、現金給与総額は7300万円(対前年比97.3%)、原材料使用額等は2億6600万円(対前年比104.5%)、製造品出荷額等は4億7100万円(対前年比103.9%)、付加価値額は1億8000万円(対前年比101.6%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は369万円(対前年比98.6%)、製造品出荷額等は2383万円(対前年比105.4%)、付加価値額は911万円(対前年比103.0%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は56.4%(対前年比100.5%)、同付加価値額比率は38.2%(対前年比97.7%)、同現金給与総額比率は15.5%(対前年比93.6%)となっています。

【1440 紙製品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)事務用・学用紙製品製造業

2023年の事務用・学用紙製品製造業の事業所数は365事業所(対前年比100.6%)、従業者数は9191人(対前年比100.1%)、製造品出荷額等は2120億9900万円(対前年比105.5%)となっています。

【1441 事務用・学用紙製品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)日用紙製品製造業

2023年の日用紙製品製造業の事業所数は147事業所(対前年比94.2%)、従業者数は2229人(対前年比88.0%)、製造品出荷額等は429億7800万円(対前年比105.5%)となっています。

【1442 日用紙製品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)その他の紙製品製造業

2023年のその他の紙製品製造業の事業所数は418事業所(対前年比100.5%)、従業者数は6982人(対前年比99.1%)、製造品出荷額等は1834億800万円(対前年比100.5%)となっています。

【1449 その他の紙製品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【紙製品製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【業種別データ】加工紙製造業の動向

加工紙製造業は、事業所数が微減する一方で、従業者数と製造品出荷額、付加価値額はいずれも前年比で増加しており、規模・生産性ともに持ち直し傾向がみられます。従業者一人当たりの出荷額・付加価値額も伸びており、価格水準や製品構成の見直しの効果もうかがえます。

他方、原材料使用額比率は依然6割超と高く、人件費比率も3割前後で、利益率は大きくは改善していません。分野別では、塗工紙や段ボールが縮小気味であるのに対し、壁紙・ふすま紙は事業所数・従業者数・出荷額が大幅に増加しており、同分野が業界成長をけん引しています。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の加工紙製造業の事業所数は320事業所(対前年比98.5%)、従業者数は1万1110人(対前年比100.7%)、製造品出荷額等は4639億1200万円(対前年比102.2%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は35人(対前年比102.2%)、現金給与総額は1億6300万円(対前年比101.9%)、原材料使用額等は9億5200万円(対前年比102.6%)、製造品出荷額等は14億5000万円(対前年比103.8%)、付加価値額は4億3100万円(対前年比106.9%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は470万円(対前年比99.7%)、製造品出荷額等は4176万円(対前年比101.6%)、付加価値額は1240万円(対前年比104.5%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は65.7%(対前年比98.8%)、同付加価値額比率は29.7%(対前年比103.0%)、同現金給与総額比率は11.2%(対前年比98.2%)となっています。

【1430 加工紙製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)塗工紙製造業(印刷用紙を除く)

2023年の塗工紙製造業(印刷用紙を除く)の事業所数は136事業所(対前年比98.6%)、従業者数は6345人(対前年比98.6%)、製造品出荷額等は3017億3500万円(対前年比97.6%)となっています。

【1431 塗工紙製造業(印刷用紙を除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)段ボール製造業

2023年の段ボール製造業の事業所数は114事業所(対前年比95.8%)、従業者数は2994人(対前年比96.2%)、製造品出荷額等は970億3300万円(対前年比97.3%)となっています。

【1432 段ボール製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)壁紙・ふすま紙製造業

2023年の壁紙・ふすま紙製造業の事業所数は70事業所(対前年比102.9%)、従業者数は1771人(対前年比118.9%)、製造品出荷額等は651億4300万円(対前年比145.3%)となっています。

【1433 壁紙・ふすま紙製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【段ボール製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【中堅社員のスピーチ例】趣味のコミュニティを大切に!

【ポイント】

  • 会社や家庭はもちろん、それ以外のコミュニティも大切にしたほうがいい
  • 普段と違うコミュニティでの出会いや経験が、会社や家での生活に変化をもたらす
  • 新しいコミュニティに入るきっかけは、どこにでもある

おはようございます。突然ですが、皆さんは会社や家庭以外のコミュニティに入っていますか? 例えば、私は学生時代の部活動でブラスバンドをやっていたのですが、昨年から社会人のブラスバンドサークルに入り、仕事が終わった後や休日に仲間と練習をしています。

以前、上司から「会社や家庭はもちろん、それ以外のコミュニティも大切にしたほうがいい」と言われたことがありますが、私も1年ほどサークル活動を続けてみてその大切さが身に染みました。特にありがたかったのは、同じ志や悩みを共有できる仲間に出会えたことです。今だから言いますが、ブラスバンドサークルに入る前、入社したばかりの私は正直、会社で心細い思いをしていました。中途採用で「同期」と呼べる存在が社内におらず、年の近い先輩もいなかったからです。

しかし、サークルに加入しブラスバンドを再開してみると、サークル内には私と年の近い人がたくさんいました。なかでも大きかったのは、最近私たちの会社に仲間として加わったAさんとの出会いです。Aさんとは、発表会後の打ち上げでたまたま向かいの席になり、仕事の話をしたのですが、ちょうど転職先も探しているところで、当社の仕事の話をしたら興味を持ってくれたのです。

そのときの私は、口下手なりに「うちの会社はここが素晴らしいんだ」とAさんにプレゼンしたのですが、自然と熱が入り、普段どんな思いで仕事をしているのか、この会社で何を実現したいのかなど、自分の思いに正面から向き合う良い機会になりました。また、年の近いAさんからは、自分と同じような仕事の悩みを抱えているという話を聞くことができ、「つらいのは自分だけではないんだ」と知って心が楽になりました。今やAさんは、仕事も趣味も一緒にこなす間柄ですが、相談したり協力したりできる仲間がいることで、今までより前向きに仕事に打ち込めるようになりました。

一歩外に出てみると、そこには予想しない出会いが待っていて、会社や家での生活に少なからず変化をもたらしてくれます。「趣味の時間が取れない」で終わらせてしまうのはもったいないです。SNSで気の合う人と話す、行きつけの飲食店の常連客と話す、地域のイベントに参加するなど、新しいコミュニティに入るきっかけはどこにでもありますから、ぜひ探してみてください。

以上(2025年5月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

円満に退職したはずの社員が豹変する理由は行動経済学で説明できる

1 人間は合理的じゃない。行動経済学で社員の行動を先読み

社員が退職するときは、退職(解雇を含む)の成立や未払い残業代の支払いなどをめぐって、何かとトラブルが起こりやすいものです。会社としては円満に社員と別れたいところですが、残念ながら落としどころが見つからず、トラブルが泥沼化するケースがあります。

落としどころが見つからない理由は、

会社は「合理的」に社員の行動を先読みしようとする一方、社員は「非合理的」に行動することが多いから

です。そこで、この記事では、

行動経済学の見地から、あえて社員の「非合理的」な行動を見据え、退職トラブルの落としどころを見つける方法

をご提案します。ちなみに、行動経済学とは、

経済学をベースにしつつ、「人間は常に合理的な思考をするわけではなく、非合理的な行動をするほうが多い」という前提に立って、人間の行動を分析する学問

です。皆さんのお役に立てると思います。

2 会社に不満がある社員と円満に別れられない

1)問題社員に無事退職してもらえたと思ったら……

ある会社に、成績や勤務態度の著しく悪い社員がいました。何度指導をしても全く改善しないため、会社は社員との面談の席で、会社にとって戦力になっていないこと、このまま退職しないで会社に在籍されても困ることを説明し、自発的に退職するよう求めました。社員は不満に思いつつもこれを承諾し、その後の退職手続きも滞りなく終わりました。

しかし、会社が無事に退職してもらえたと思った矢先、社員がSNSに会社の不満を書き込んでいることが分かりました。その結果、SNSを見た内定者が内定を辞退する、求人の応募がほとんどなくなってしまうなどのトラブルにつながりました。

2)ピークエンドの法則を用いた対応例

ピークエンドの法則とは、

人間の快楽・苦痛の記憶は、ピーク時と終了時の快楽・苦痛の度合いで決まる

というものです。こんな実験があります。

  • A:痛いほど冷たい水に60秒の間手を浸す
  • B:痛いほど冷たい水に計90秒の間手を浸す。初めの60秒の温度はAと変わらないが、次の30秒間は少しだけ温度が上がる

この2つの実験で、被験者に「もう一度同じ実験を受けるなら、どちらを選ぶか(どちらのほうが楽か)」を聞いたところ、80%以上の人が「B」を選択しました。BのほうがAよりも水に手を浸す時間は長いのに、最後に少しだけ温度が上がって苦痛が和らげられるため、「Aよりも楽」と感じた人が多かったのです。

今回の問題社員の事例も、会社が退職する社員の不満を少しでも和らげようとしていれば、結果は違っていたかもしれません。例えば、

  • 問題点は指摘しつつ、「ウチの会社と合わないだけで、他社では活躍できると思う」「あなたに合う会社はたくさんあると思う」など、相性の問題にすぎないことを強調する
  • 「今まで会社で働いてくれてありがとう」「あなたのおかげで〇○の契約が取れたのは良い思い出だ」など、感謝の気持ちを述べる
  • 送別会を開いて、感謝の気持ちを示す

といった対応が考えられます。「無理やり感謝を伝えたところで、社員のほうも『本心ではない』と気付くのではないか」と思うかもしれませんが、それで構いません。意図はどうあれ、気を使って最後に言葉をかけるという行動が、相手の不満を少なからず和らげます。

3 未払い残業代について会社と社員の主張が食い違う

1)会社としては、きちんと未払い残業代を計算して支払うつもりだったが……

ある会社で、退職した社員が未払い残業代を請求してきました。しかし、会社の計算した額は130万円、社員の請求額は200万円と主張が食い違い、話が進展しません。

会社が社員に「130万円の一括払い」を提案したところ、社員が「そんな少額では話にならない」と怒り出し、訴訟に発展しました。訴訟は1年かかり、最終的に社員の主張が認められ、200万円を支払わざるを得なくなりました。

2)現在志向バイアスを用いた対応例

現在志向バイアスとは、

人間は長期的な利益よりも、目先の利益を優先しやすい

というものです。こんな実験があります。

子どもをマシュマロが1個だけ置いてある部屋に入れて、「私が帰ってくるまでにそのマシュマロを食べなければ、マシュマロを2個あげる」と告げました。その結果、ほとんどの子どもが目の前の利益を優先して、1個のマシュマロを食べてしまうという実験結果が出ました。少しの間我慢してマシュマロを2個もらったほうが得なのに、です。

今回の未払い残業代の事例も、訴訟に発展する前に、会社が未払い残業代について複数の提案をしていれば、結果は違っていたかもしれません。例えば、会社が和解案として、

  • A:200万円を月20万円の10回払い
  • B:130万円の一括払い

の両方を提示します。金額だけを考えればAのほうが得ですが、多くの人はBを選んでしまいます。本当にもらえるのか不確定な200万円よりも、今確実にもらえる130万円を選ぶのです。AとBのどちらを選択するかは、社員が自分の意思で決定するので、「だまされた」「詐欺だ」などと言われてトラブルになるケースはほとんどありません。

なお、言うまでもないことですが、未払い残業代の金額について会社と社員との間で認識が一致しているのに、会社が実態よりも安い金額を提示することは許されません。

4 パワハラ、未払い残業代…複数の退職トラブルが発生

1)パワハラの問題から解決させようとしたばかりに……

ある会社で、退職した社員が会社に対し、上司のパワハラ(パワーハラスメント)に対する慰謝料と未払い残業代を請求してきました。会社が「当時の上司はパワハラを一切行っていない」として交渉を拒否したため、訴訟になりました。

しかし、訴訟は1年半かかり、最終的に上司のパワハラが一部認められました。しかも、未払い残業代の請求については、社員側の請求がほぼ通った金額で和解することとなりました。

2)テンションリダクション効果を用いた対応例

テンションリダクション効果とは、

何かの決断(購入など)をした後は緊張が緩和され、他の交渉に対する警戒心が弱くなる

というものです。こんな話があります。

靴屋で靴を選んで購入を決めた顧客に対して、「こちらの防水スプレーもいかがでしょうか」と提案をすると、本来購入する予定がないのに一緒に購入してしまうことがあります。ECサイトのカート画面に、商品購入後、最近チェックした商品やおすすめの商品を表示させるのも、購入後の追加購入を促すためです。

今回の複数のトラブルが発生した事例でも、交渉の進め方を少し変えれば、結果は違っていたかもしれません。例えば、

パワハラよりも先に、未払い残業代の問題を決着させることを優先する

という考え方があります。未払い残業代は労働時間の記録があれば論点が明確で、残業代の計算が正しいか、休憩が取れていたかなど、どこかで落としどころを見つけられるケースがほとんどです。そこで、退職した社員の代理弁護士に、「まずはパワハラの問題を脇に置いて、未払い残業代請求について交渉を先行させましょう」と提案します。弁護士も同時に交渉を進めるのは非効率である場合が多いことを知っているので、この提案に乗ってきます。

ここで大切なのは、

未払い残業代については、多少時間がかかってでも会社の譲れない部分についてははっきり主張し、場合によっては訴訟も辞さないという強気の姿勢を示すこと

です。未払い残業代の交渉のハードルが上がると、それが解決したとき相手の弁護士に少なからず安心感を与えます。そのタイミングで、「パワハラについては客観的な証拠もなく、お互いの言い分が平行線をたどるので、未払い残業代とパワハラを合わせて◯万円で解決するのはいかがでしょうか」と投げかけます。すると、弁護士も人間なのでテンションリダクション効果が働き、自分の依頼者を説得して早く合意をさせようと努力するわけです。

以上(2025年5月更新)
(執筆 杜若経営法律事務所 弁護士 向井蘭)

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画像:BBuilder-Adobe Stock

企業全体で、そして働く一人一人が価値を創造できる人になるための支援をしている高橋さんは、いわば中小企業にとっての「シェルパ(案内人)」。実業の中で一緒に試行錯誤し、面白い新商品を開発して成果を上げたなど事例も多数!/岡目八目リポート

年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、高橋輝行さん(KANDO(カンド)株式会社 代表取締役)です。

高橋さんが行っているのは、

企業の「価値創造の伴走支援」や「価値創造を実現する“推進役”の育成」(人材育成)

です。

日ごろの仕事の中では、顧客に対する「価値の提供」を意外と疎かにしている、むしろ忘れてしまっているのが実情かもしれません。現場の従業員が「うちの商品・サービスの価値ってなんだっけ?」となってしまったり、従業員に「うちの顧客は誰?」と尋ねても「誰……? あまり考えたことなかったです。とにかく売り上げは上がってますから」となってしまったり。実はよくあることかもしれません。

高橋さんはそうした状況に警鐘を鳴らします。そして、これからの日本のために「価値を創造する人材」を育てようとしています。

後ほど詳しく説明しますが、“推進役”とは、理想と現実の両方を見ながら、あるべき姿=価値創造を実現すべく、プロジェクトを「推進」していく役割の人です。高橋さんが10年かけて形にしたプロジェクトマネジメントメソッド「Roles®」(ロールズ)の肝ともいえます。

高橋さんは現在、中小企業やスタートアップ企業、そして中小企業などを支援する金融機関(銀行・生命保険など)向けに、「Roles®」を指導・伴走しています。金融機関と一緒に、取引先企業に対して「顧客価値創造プログラム」(塾のようなイメージ)を提供しているケースもあります。プログラムを受けて成果を上げた企業もあり、また、金融機関の中には、自ら「推進役になりたいので勉強したい」という人も出てきているそうです。

今回、高橋さんには、価値創造するための「Roles®」のポイントや、“推進役”の意義、価値創造のプロジェクトを進めるときに企業がつまずきがちな壁などを伺いました。

実際に高橋さんが伴走して成果を挙げた事例なども教えてもらいましたので(第6章)、

「新しいことにチャレンジしたいが従業員がなかなか動いてくれない」

「従業員に自ら考え提案し、行動を起こしてほしいのだが……」

と悩む中小企業経営者の方、そして、金融機関など中小企業を支援する立場の方々には、大いにヒントになるかもしれません。よろしければご一読ください。

1  KANDO(カンド)株式会社の事業内容、そして高橋さんのプロフィール

高橋さんはまず、事業について次のように話してくれました。

「価値を創造できる人材を育てる。そして、そういう人材をこれからの日本に残していかなければ。そうしないと日本に未来はない。そう考えて、我々はこの一点に集中して事業に取り組んでいます」

ひいては、「働くことに感動できる社会」を実現するのが高橋さんたちの経営理念です。

会社概要

(出所:KANDO(カンド)株式会社 会社説明資料)

高橋さんはもともと、大学院までは物理学を学び、そのあと大手広告代理やベンチャー企業で仕事をし、急成長企業でいくつかのターンアラウンドを経験してきました。

その中で、10年かけて「Roles®」(ロールズ)という「価値創造プロジェクトの型」、メソッドを見出し、体系化してきました。

複数社のターンアラウンドなども含め、100社以上の価値創造を推進し、その実績から仮説検証を繰り返して編み出したメソッドなので、説得力が違います。

代表略歴

(出所:KANDO(カンド)株式会社 会社説明資料)

高橋さんは、2025年4月22日に新しく書籍を出版しています。気になる方は、下記からご確認いただけます。

「伝わらない」がなくなる話し方の順番

「伝わらない」がなくなる話し方の順番

2 「Roles®」(ロールズ)の肝は“推進役” 。そして必ず「実体験」で身に付けること

高橋さんの「Roles®」(ロールズ)のキーコンセプトは、

「優れた起業家の脳みそを追体験することができる」

というものです。この追体験を、ロールプレイ型でプロジェクトとして展開できるのが  「Roles®」の仕組みです。

優れた起業家の脳みそには3つのモードがあります。「理想脳」「現実脳」「推進脳」です。それを3つの役割「理想役」「現実役」「推進役」として、自分たちの企業(伴走支援される企業)に落とし込み、それぞれの役割を明確に分担しながらプロジェクトを進めていく。これによって、顧客が感動できる価値を提供できる。そう高橋さんは語ります。

キーコンセプト

(出所:KANDO(カンド)株式会社 会社説明資料)

ここで重要になってくるのが「推進役」です。「理想と現実がぶつかる場面で、両者の解像度を引き上げつつ、価値創造するためにプロジェクトを推進していく」役割だからです。

また、高橋さんたちの行っている人材育成・伴走支援の大きな特徴は、

実業の中で実際に価値を生み出す経験をさせて「価値創造の型」を身に付けてもらう。必ずアウトプットが出る

というところです。

実際にゼロイチで新しい価値を生み出したアウトプット事例も、次のように数々あります(事例の一部は後ほど第6章で紹介します)。「提供サービス」の左端にある通り、「ガチプロジェクト事業を伸ばす/変える」を実践している高橋さんたちです。

大切にしていること

提供サービス

(出所:KANDO(カンド)株式会社 会社説明資料)

やはりポイントとなるのは推進役で、「価値創造を担う推進役の育成は急務」と考えている高橋さんは、「推進役を育てるビジネススクール」を2025年夏から秋に立ち上げる予定とのことです。

3 「Roles®」(ロールズ)の進め方と大事な「自走」

「Roles®」の進め方について、高橋さんからいくつかお話を伺いました。

まず大事なのは、「Roles®」に取り組む目的=「顧客価値の創出」を明確に設定していること。そして大前提として、ドラッカーが言った通り、「顧客は誰か」をちゃんと見る。そこから始まります。

「Roles®」では実際に、次のように進めていきます。この一連のプロセスを「型」として落とし込んでいるのが「Roles®」の核となります。

  • 取り組むテーマと課題を絞り込む
  • 答えを出せるメンバーを集める
  • 役割分担(理想役、現実役、推進役)をする
  • ディスカッションを通してアウトプットを磨き上げていく

全体像

(出所:KANDO(カンド)株式会社 会社説明資料)

高橋さんたちの伴走支援の大きなポイントは

企業が自走できるようにする

ところです。高橋さんは、

「誰が顧客なのか。そしてその人たちをどのように喜ばせるかを、自分たちで考え抜いて実行していく。これを、従業員、組織ができるようにしていくことが最も大事」

といいます。安易に外部の力に頼るのではなく、

「自分たちでやる。だからこそ感動体験につながっていく」

ということなのだと感じます(外部の力を借りるのが悪いというわけではありません。必要であれば、外部の力を借りることも大事です)。

4 新規事業などで企業がつまずきがちな6つのポイント。これを自覚するだけでも勉強になる!

これまで100社以上を伴走支援してきた中で、多くの起業がつまずくポイントは6つに集約される、と高橋さん。この「つまずきポイント6つ」について、高橋さんに解説してもらいましたので、以降でまとめます。思い当たる方も多いのではないでしょうか。

サポート

(出所:KANDO(カンド)株式会社 会社説明資料)

【高橋さん解説:新規事業などでつまずきがちな6つのポイント】

1.取り組むべきテーマの具体化

→経営者は「思い込んでいる」場合が多い

新規事業に取り組もうとする際、経営者の「やりたいこと」や「直感的な危機感」からスタートするケースが多いです。

しかし、「それが本当に今、取り組むべきテーマかどうか」は別問題です。

例えば、経営者に色々と話を聞いていくと、「今は新規事業をやるのではなくて、現業を深掘りした方が早い」となることも少なくありません。そこで、まずは経営者との壁打ちを通じて、企業の本質的な課題やテーマを抽出する必要があります。

 

2.メンバー選定と役割分担

→「使いやすい人」をアサインしてしまう

新規事業のプロジェクトなどの失敗でよくあるのが、「使いやすい人」をアサインしてしまうことです。「誰ならどういうアウトプットができそうか」「誰にどういうアウトプットしてほしいか」ことを考慮して人を選んでいないというケースです。

理想役・現実役・推進役という役割分担に基づき、アウトプットベースで、適性のある人材を割り当てることが重要です。

 

3.オリエンテーションの実施(目線合わせ)

→コミュニケーションが荒っぽい

忙しい中小企業の経営者などはどうしても、「新規事業を思いついたので、進め方をとりあえず考えといて」など、従業員に対して説明不足になりがちです。「とりあえず考えといて」とだけ言われて動ける人はあまりいないでしょう。「どのような背景で、どのような顧客がいる仮説なのか、アウトプットの期待値、そのアウトプットが出せるかどうか」などを、従業員ときちんと共有し、目線を合わせてからスタートするのが望ましいでしょう。

 

4.ディスカッションのファシリテーション

→建設的にディスカッションするのがどういうことか分かっていない

ファシリテーション、これはかなり難しいものです。単に集まってワーワーと話すだけでは話は前に進みません。

段階を経て議論を深めていく設計が必要であり、技術も経験も求められます。

 

5.アウトプットのフィードバック

→「価値を提供する先(顧客)」の視点から価値を見なければ進化はしない

社内視点での「これでいいんじゃないですか」では価値は磨かれません。価値を提供する先は顧客なので、ちゃんと顧客視点で見直してフィードバックをするという文化、習慣が必要です。

 

6.プロジェクトの推進方法

→新しいことをやるときの一つ一つの障害を根気よくつぶしていく

新しいことをやるには障害がつきものです。そこで、一つ一つ整理し、打ち返していくプロセスが必要ですが、途中で面倒になって放り出す、投げ出すことも多いです。

障害を一つ一つつぶして、乗り越えていくことが求められます。

 

この6つはどれもとても重要なことばかりですが、特に技術や経験が求められるのが「ディスカッションのファシリテーション」かもしれません。おそらく、多くの人が「ディスカッションがうまくいかない」体験があると思います。

高橋さんたちは、ファシリテーションのトレーニングを次の2つの方法で提供しているそうです。特に2つ目のトレーニングはなかなか難しそうですが、実践的で身につきやすい方法といえます。

 

【ファシリテーションのトレーニング方法】

1.問題解決のトレーニング

ディスカッションの問題集を解いてもらいます。あるいは、ディスカッションで相手が色々と発言していることを一言で要約してみる、論点をMECEで挙げてみるなど、発言の中にある課題を整理し、表現する訓練を行います。

 

2.実践とフィードバック

実際のディスカッションに入ってもらい、ファシリテーションを行ってもらいます。それを高橋さんたちが横でチェックしながらフィードバックを行います。実践なので、緊張感を持ってディスカッションを行っているようです。

 

【テーマの具体化】

初手となる「テーマの具体化」についてもかなり大事です。最初にしっかりと明確化しておかなければ、スタートラインにも立てません。

例えば、「DXをやりたい」というような漠然とした目的を、

  • 既存事業の変革か?
  • 新たな顧客への価値提供か?

などに分解し、「何のためにやるのか」を明確にする作業を行います。

また、何かを作る、売る、広げる、などのプロセスがありますが、「売れないのは売り方(営業)に課題があるのか、それとも商品そのもの(作り方)に課題があるのか」を明らかにすることも大事です。これを曖昧なまま進めてしまうと、プロジェクトは形骸化します。

だからこそ、最初の「問いの設計」が非常に重要だと高橋さんは語ります。

テーマ設定

課題設定

(出所:KANDO(カンド)株式会社 会社説明資料)

5 推進役に向く人、向かない人。事業承継など目的によって推進役に適する人は変わる

高橋さんは、「推進役には、やはり向き不向きがあり、向いていない人の例としては、自分でガンガン進めたいタイプの人です。推進役には、他人に成果を出させるマネジメント視点が必要だからです」と説明します。

高橋さんたちは、推進役の選定を次のように行っているそうです。

「私たちは、適性診断(チェックリスト)を用いて、役割のフィットを見極めています。本人の希望があれば育成は可能ですが、時間と覚悟が必要です。現場では、多くの企業の場合、現実役・理想役には立候補者がいるものの、推進役は名乗り出にくいという傾向があります。そこで、最初は私たちが役割分担を決めてスタートすることが多いです」

ちなみに、推進役候補の年齢層は主に以下の2パターンだということです。

  • 30~40代(マネジャー):プロジェクト推進を担う中堅層として育成
  • 50~60代(事業部長や経営者など):次の「理想役」(後継者)を支援する役割として事業承継の一環

特にこれからの中小企業にとって必要だと感じたのは、

事業承継の一環として、50~60代の経営者自身や事業本部長などが推進役を学ぶ

という高橋さんのお話です。

経営者の多くは理想役で、一足飛びにやりたいこと・理想の姿を実現しようとする傾向にあります。そうするとプロジェクトがうまく進まないので、推進役が理想の姿をブレイクダウンし、段階を踏んでステップワンから、というふうに進めることになります。

こうした一足飛びに進めがちな理想役である経営者が、理想役のまま、事業承継をして次の世代に継いでもうまくいかないことが多いので、

経営者自身が推進役を学び、「推進役」となって「次の理想役」を支援できるようにする

ことが必要です。これは、今後の中小企業にとても大事な考え方だと感じます。

高橋さんのお話を踏まえると、プロジェクトの推進や事業承継などの目的に応じて、推進役に適した人材像はある意味適材適所、変わってくるといえるでしょう。

6 価値創造の事例。実際に成果が上がっている事例をみてみましょう

最後に、高橋さんたちの伴走支援で価値創造した事例をいくつかご紹介します。面白い確かな成果を上げている数々の事例がありますので、「自社で取り組むとしたら」のご参考になればと思います。

1.井筒八ッ橋本舗(創業220年の京都の超老舗)

井筒八ッ橋本舗

(出所:KANDO(カンド)株式会社 資料)

井筒八ッ橋本舗

(出所:KANDO(カンド)株式会社 ホームページ)

創業220年という超老舗の八ツ橋本舗で、高橋さんがファシリテーターとして入って産学連携で価値創造に取り組み、若手の従業員が中心となって新しくて面白い商品を作り出した、という好事例です。

大阪芸術大学との産学連携で「Yatsuken(ヤツケン)」=「八ッ橋食感研究所」という新ブランドを立ち上げました。

そしてなんと2週間に1回という驚異的なスピードで、商品アイデアを試作・実験するプロジェクトを実施します。

「2週間に1回」は最初、さすがに経営者も従業員も消極的だったようです。しかし、そのうち、特に若手の従業員が積極的になってきます。バレンタイン向け【むにゅっとしょこら】という全く新しい商品を開発・販売します。

このチョコ商品は今までの八ツ橋の概念をガラッと変えるもので、八ツ橋の生地をチョコで包んでいます。今までの八ツ橋の「つつむ」を「つつまれる」に変えた新食感のチョコレートということで人気になり、完売したそうです。

高橋さんにヤツケンの取り組みについて伺ったところ、次のお話をしてくださいました。

「今回、キーになったのは製造部門の若い女性従業員です。その方が『楽しい!』となってスイッチが入り、全体的に変わって行った感があります。その従業員の方は、最初は現業も忙しかったので、『アイデアがあっても商品がつくれないかも』と消極的でした。しかし、みんなで議論して試作品をつくってみたら『楽しい』ということで、どんどん積極的に自発的に動くようになりました」

また、その女性従業員いわく、

「みんなで、どのような顧客にどのように喜んでもらうかなどを議論していて、誰に喜んでもらえるのかを考えたら、とても楽しくてスイッチが入った」

「顧客のために」「自分たちはどういう感動を提供できるか」を問いかけると、従業員の目の色が変わって自発的に考え動くようになる、と高橋さん。そうなると、従業員自身も「楽しい!」と感じて、組織の自走が進むのだと感じます。

 

2.ネイル整形サロン(学生起業)

ネイル整形サロン

(出所:KANDO(カンド)株式会社 資料)

こちらは、KANDOが出資して子会社を設立した事例です。

大阪公立大学の学生が持つ「爪を補整する技術」をビジネス化。議論と仮説検証を重ねて、大阪天王寺に一号店をオープンしました。

この学生の方は、もともと技術を持っていて何かやりたいと思ってはいたものの、不安があって踏み出すことができないでいました。

高橋さんは、「いいもの、面白いものを持っていても世に出てない人、踏み出せない人はたくさんいる。しかし、こうしてガイドしていくとちゃんと形になる」と話してくれました。

高橋さんのやっていることを山登りで例えると、一緒に山に登るシェルパ(登山ガイド、案内人)が思い浮かびます。「あそこの山の登り方を教えます」ではなくて、高橋さんたちは一緒に山に登って案内する。高橋さんの言葉を借りると、次のようなことかもしれません。

「山登りで例えるなら、『荷物が重いのなら、たまには持つよ。危険そうな場所があったら先に行ってみるよ』という感じで、一緒に解像度を上げていくことをやっています」

 

3.まんまるおにぎり(行列ができるおにぎり屋さんに)

まんまるおにぎり

(出所:KANDO(カンド)株式会社 ホームページ)

こちらはまさに新規事業、新業態を立ち上げた事例です。

もともとは工場などの社食を展開しているこの企業、コロナ禍で社食を誰も利用しなくなってしまい、会社の危機に直面します。経営者の方は、「そういうときだからこそ新しいことにチャレンジしよう!」ということで、BtoCにチャレンジしてみることになります。

経営者がご飯大好きなので「最高においしいご飯をつくろう!」ということに。高橋さんと議論を重ね、1年半かけて行列のできる人気のおにぎり屋さんにまでなりました。テレビの取材なども受けています。

「本気で顧客のことを考え続けたら、行列店にまでなれるという事例です」

と高橋さんは教えてくれました。

 

4.大同生命×KANDO「どうだい?顧客価値共創プログラム」(第2回がもうすぐ開催!)

高橋さんたちは大同生命と一緒に、「顧客価値共創プログラム」も実施しています。

これは、大同生命が運営している経営者向けメディア「どうだい?」の特別プログラムとして行っているものです。「どうだい?」による特別価格でKANDOの顧客価値を創造する4カ月間のプログラムを受けられるというもので、いわば「4カ月間の実践的なビジネス塾」です。

受講した経営者の中には、「このプログラムを受けたおかげで2000万円の売り上げがあがりました!」という方もいたそうです!

なお、この「どうだい?顧客価値共創プログラム(第2回)」は、2025年6月4日(水)からプログラムの1回目を開始する予定です。4月25日(金)より「どうだい?」内イベントページにて本プログラムの応募開始をしています(応募〆切5月下旬予定)。

https://dodai.daido-life.co.jp/event/detail/1656

どうだい?顧客価値共創プログラム

高橋さんたちのこれらの事例からも分かる通り、

顧客は誰か、そして、その顧客にどのような感動を提供できるかを問い直し、アウトプットし続ける

ことが、企業や、企業で働く個人を大きく変えるきっかけになるといえます。

高橋さん、とても勉強になる、かつ実践的なお話を有り難うございます!

以上(2025年4月作成)

【業種別データ】パルプ製造業の動向

パルプ製造業は、事業所数が微減する一方で従業者数と製造品出荷額は増加しており、規模は拡大傾向にあります。ただし従業者1人当たりの出荷額や付加価値額は低下し、生産性面では弱さがみられます。原材料使用額比率は6割超と高水準で、資源・エネルギー価格の影響によるコスト圧力が続いています。その結果、付加価値率が下がり人件費比率も高止まりしており、業界全体として収益性・自己資本比率は総じて低く、高付加価値品への転換や設備効率の向上が課題となっています。

1 業界動向

1)業界全体

2023年のパルプ製造業の事業所数は32事業所(対前年比97.0%)、従業者数は2240人(対前年比105.6%)、製造品出荷額等は735億6400万円(対前年比104.7%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は70人(対前年比108.9%)、現金給与総額は3億700万円(対前年比109.7%)、原材料使用額等は14億3100万円(対前年比106.0%)、製造品出荷額等は22億9900万円(対前年比107.9%)、付加価値額は6億5300万円(対前年比99.5%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は439万円(対前年比100.7%)、製造品出荷額等は3284万円(対前年比99.1%)、付加価値額は933万円(対前年比91.4%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は62.2%(対前年比98.3%)、同付加価値額比率は28.4%(対前年比92.2%)、同現金給与総額比率は13.4%(対前年比101.6%)となっています。

【1410 パルプ製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023 年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【パルプ・紙・紙加工品製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

徳島県上勝町。美しい「ごみゼロ」の町は環境変化に適応する達人だった

1 徳島県上勝町に行ってみた!

この記事でご紹介するのは、徳島県上勝町が進めている「ごみゼロ」に向けた取り組みです。人口1500人に満たない小さな町ですが、2003年9月に日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」(ごみゼロ宣言)をしました。これをきっかけに世界から大いに注目を集め、移住者も増えたことで、2024年には、いわゆる「消滅可能都市」からも脱却しました。

「ゼロ・ウェイスト宣言」で掲げた目標を達成するための活動の中心地は、「?」の形をした「上勝町ゼロ・ウェイストセンター”WHY”」(以下「センター」)です。実際にセンターを訪れてみると、そこには様々な仕掛けがありました。

思いだけでは成し遂げ難いゼロ・ウェイスト。上勝町が「ゼロ・ウェイスト宣言」をした背景や、町の小学生が考えた循環経済の仕組みなどを、センターで働く徳重 尚(とくしげ ひさし)さんに教えていただきました。企業がESGやSDGsに取り組む際のヒントが満載です。

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2 環境意識が高かったわけではない

「ゼロ・ウェイスト宣言」とは聞き慣れない言葉ですが、次のような意味を持ちます。

ゼロ・ウェイストとは、無駄、浪費、ごみをなくすという意味です。

出てきた廃棄物をどう処理するかではなく、そもそもごみを生み出さないようにしようという考え方です。

(上勝町役場 企画環境課「ZERO WASTE TOWN Kamikatsu」)

上勝町は日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」をした町で、現在、なんとごみを43種類に分別しています(2024年4月までは45種類)。こう聞くと、「上勝町は、古くから環境配慮の意識が高い先進的な町なのだな」と感じてしまいますが、この活動は近年、役場職員や住民、ゴミステーションスタッフの試行錯誤によって生まれたものだそうです。

「実はこの場所は1975年前後から1997年までは野焼き場でした。ここで穴を掘ってごみを燃やしていたのです」と教えてくれたのは、センターの徳重さん。

上勝の財源規模では処理設備を整える余裕はなく、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」によって野焼きが禁止されていました。にも関わらず、なかなか野焼きをやめることができずにいたところ、県から「野焼きをやめて適切に処理をしてください!」と注意され、1997年から容器包装リサイクル法施行に伴い分別制度を導入し、1998年に小型焼却炉を2基設置しました。

これで安心と思いきや、2年後の2000年に、「ダイオキシン類対策特別措置法」が施行され、せっかく設置した焼却炉の1基が規制の対象になってしまいました。もともと小型で容量が小さいこともあり、そのままではごみを処理することができなくなりました。徳重さんいわく、「やむにやまれずというか、要は町の中ではごみがどんどん出てくるので、その量を減らす方向に進めていくしかなかった」というのが実情のようです。

「上勝町はもともと環境意識が高い町だった!」というわけではなく、環境変化に自らを適応させてきたということです。このあたりは、企業がESGやSDGsに取り組む背景にも似ていると感じます。

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3 「ゼロ・ウェイスト宣言」に至った意外な背景

上勝町が「ゼロ・ウェイスト宣言」をしたのは2003年9月のことですが、この2カ月前に、セントローレンス大学のポール・コネット化学博士が上勝町を訪れています。上勝町の状況について相談をしている中で、「ゼロ・ウェイスト宣言をしたらどうだろう」と博士から提案され、そこからわずかな期間で、下の宣言をするに至りました。

未来の子どもたちにきれいな空気やおいしい水、豊かな大地を継承するため、2020年までに上勝町のごみをゼロにすることを決意し、上勝町ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)を宣言します。

  1. 地球を汚さない人づくりに努めます。
  2. ごみの再利用・再資源化を進め、2020年までに焼却・埋め立て処分をなくす最善の努力をします。
  3. 地球環境をよくするため世界中に多くの仲間をつくります!

平成15年9月19日
徳島県勝浦郡上勝町

(上勝町「ゼロ・ウェイスト政策」)

徳重さんいわく、「ポール・コネットさんの提案がなかったら、ここまで大きな上勝町の転換はなかったと思います」とのこと。わずかな期間で宣言までこぎ着けるために、上勝町役場では急いで町民にゼロ・ウェイストについて説明をしたり、特定非営利活動法人ゼロ・ウェイストアカデミーを立ち上げたりしたそうです。

4 ごみをお金に換える仕組みが必要だ!

上勝町では、「ゼロ・ウェイスト宣言」において、

目標として2020年までにごみをゼロにする

という目標を掲げています。

しかし、現代的な生活をしている限り、ゼロ・ウェイストの達成は非常に難しいということが、2003年からの取り組みで分かりました。そもそも分別の負担もあります。自治体によってごみ分別の種類は違いますが、上勝町は43種類です。分別の種類が一気に増えるタイミングでは、うまく分別することができずにごみがたまってしまう家もあったようです。そのような場合は、ゼロ・ウェイストアカデミーなどが相談に乗りながら、解決していったそうです。

こうした現状にあって、次の展開をどうするかと考えたときに、町外の人とも連携していかなければならないと思い、そのシンボルとしてセンターを立ち上げ、そこから情報を発信していこうということになったのです。

センターを見学して気が付いたのは、ごみの「入」と「出」が円単位で確認できるプレートが設置されていることです。例えば、「紙」ごみは町にとって収入になり、具体的に何円なのかを「入」として示しています(写真は、ライターとその他の布類の例)。逆に、町の支出になるごみもあり、それは「出」として示されています。まさにごみの収支の「見える化」ということですが、これはごみを徹底的に分別して資源を取り出し、それを「入」として示しているからこそできることです。「入」と「出」を示したプレートは、

面倒な分別をしなければならない理由を、町民に分かりやすく伝える役割

を果たしているわけです。金額が手書きで示されているところも、何か身近で温かい印象を受けます。

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分別するための道具として、ハサミやカッターが置いてある作業エリアもありました。紙ごみを縛るときは必ず紙ひもにすることで回収業者の負担を減らし、「入」を大きくする工夫もされています。新聞紙をまとめるなど分別の作業が大変なときは、センターの方がお手伝いしているそうです。

5 牛乳パックを捨てたら何円もらえる?

センターでさらに面白いエリアを見つけました。その名も「ちりつもPoint」。上勝町にはごみ収集車が走っていないので、町民が自らごみを持ち込まなければなりませんし、43分別に取り組まなければなりません。これは大変なことです。そこで、インセンティブとして、「ちりつもPoint」が機能しています。

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ポイントは分別種類の多い紙類や、企業連携によって回収を行っている資源を対象にポイントが付与されています。まず1種類のごみを持ってくるごとに1ポイントがもらえます。

例えば、牛乳パックを1個持ってくると1ポイントが付与されます。10個持ってきても、種類は1つなので、もらえるのは1ポイントです。そうであれば、10回に分けて持ってきたほうが多くのポイント(1種類のごみを10回に分けて持ち込むので10ポイント)をもらえることになります。これが、小まめにごみを持ち込むインセンティブです。他にも、町内事業所でリユースやリデュースに取り組んだ際にもポイントが付与される仕組みになっています。また、貯まったポイントは環境にやさしい日用品や学用品等と交換ができるようになっています。例えば、学校で使える上履きは50ポイントと交換ができます。

気になるポイント単価ですが、これがなかなかお値打ちです。50ポイントなら50円相当というのが多くのポイント制の交換レートですが、センターでは、

なんと1ポイント10円相当のレートになっていて、50ポイントごとに500円相当の商品券と交換することが可能

です。ちなみに、センターにごみを持ち込めるのは町民だけなので、町外の人はごみを持ち込むことはできません。

6 なぜ、ごみ処理センターなのに臭わない?

町民以外の人は、センターに併設されたホテルに宿泊して、ごみの分別を体験することができます。自治体や企業が研修で宿泊するのはもちろん、有名人が宿泊することもあるそうです。

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ここで徳重さんからクイズが!

ごみ処理場(センター)にホテルを併設できるのはなぜだと思いますか?
他のごみステーションとは異なる特徴がそこにはあります。

答えは、センターでは「生ごみ」を引き取っていないので、臭いがないということです。取材当日は風が強かったので気が付きにくかったですが、確かに臭いが一切ありませんでした。これならセンターにホテルを併設できるわけです。

生ごみは、町民がコンポストなどを使って家庭で処理をしています。コンポストなどの購入費用の一部は、上勝町が補助をしているそうです。

7 どうしても燃やさなければいけないごみ

現在、上勝町のごみリサイクル率は80%を超えていますが、100%ではありません。これだけ徹底的に分別し、様々な仕掛けを施して町ぐるみでゼロ・ウェイストを目指していますが、その達成は非常に難しいのです。

これだけ努力しても、焼却ごみ・埋立ごみが排出されます。上勝町では、これを焼却ごみとは呼ばず、

どうしても燃やさなければいけないごみ・どうしても埋め立てなければならないごみ

と言っています。たとえ燃やすとしても、そこに至るまでの多くの人の協力と努力を大切にしている呼び方ですね。

8 くるくるショップでリユースを促進!

次に案内されたのは、「くるくるショップ」というおしゃれな空間です。高い天井からつり下げられた空き瓶のシャンデリア、きれいに陳列された陶器などが印象的でした。

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ショップと書かれていますが、陳列されている物品は無料です。町民がまだ使える陶器や子供服などを持ち込み、ここを訪れた人(町民でない人も含みます)は無料で持ち帰ることができるのですが、このネーミングを地元の小学生が考えたというのですから驚きです。ゼロ・ウェイストの町に暮らしていると、こういったリユースのアイデアが浮かんでくるものなのでしょうか。こうした子供たちが成長していくと、環境に優しい生活スタイルが自然と定着していくのだと感じます。

さて、くるくるショップでは、これまで持ち帰られたリユース品の重さが紹介されているのですが、ここで徳重さんから再びクイズが!

取材日時点で、持ち帰られたリユース品の重さは、下の画像のように「534キログラム」でした。これはどれくらいの期間で到達した重さでしょうか?

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筆者は、直感的に「年単位だろうな」と思ったのですが、答えはなんと1カ月。わずか1カ月で「534キログラム」がリユースされるとは、改めてゼロ・ウェイストの町の底力を感じました。

写真にも写っているのでお気づきかもしれませんが、くるくるショップの建具は規格がバラバラです。これらの建具は町内で公募をして集められたものです。数百の建具が集まったそうで、上勝町の職員もサイズを測りながら採用する建具を決めていったそうです。また、建物の構造材には町内産の杉が使われています。施工業者が決まってからだと、杉は乾燥などに時間がかかるので、施工業者を決める1年くらい前から、上勝町が町内産の杉を調達したそうです。

くるくるショップの仕組み自体も素晴らしいのですが、建物も地産地消、リユースの考え方が取り入れられています。「スタイリッシュ」な空間には、本当にいろいろな工夫が施されていて、手間をかけて丁寧に造られていました。

9 取材後記

ごみゼロの町と聞けば「すごい」と思いますが、正直なところ実感が湧きません。ごみを43種類に分別する経験がないので、想像がつかないのです。

しかし、実際にセンターを訪れ、そこで働く人などの話を聞いてみると、きれい事だけではない町の事情や、世の中の変化に巧みにキャッチアップしてきた歴史がありました。人を集め、情報を発信するためにスタイリッシュに造られた建物にもストーリーがあり、何より町の小学生のアイデアでくるくるショップが生まれたことには驚きました。

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長い時間をかけてジワジワと上勝町になじんできたゼロ・ウェイスト。企業がESGやSDGsに取り組む際のヒントがここにあると思います。外部の要請を受け、トップダウンで一気に進めなければならないタイミングもありますが、それを定着させるには、企業文化として根付かせていく仕掛けが必要だと感じます。

自然と共存して暮らす人々の魅力と、可能性に満ちた上勝町。この町が目指す未来を体感するため、ぜひ再訪したいと思いました。

以上(2025年4月作成)
(取材 日本情報マート 松田泰敏)

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画像:上勝町ゼロ・ウェイストセンター”WHY”
徳島大正銀行 泉 はる香
日本情報マート 松田 泰敏

【業種別データ】建具製造業の動向

2023年の建具製造業は事業所数1,419(対前年比97.5%)、従業者1万1,574人(99.3%)、製造品出荷額2,060億円(101.3%)と概ね横ばいから微増です。1人当たり現金給与は356万円、原材料比率は約55.1%、付加価値比率は40.1%で生産性は改善傾向にありますが、原材料費の負担や事業者間での収益性格差が依然大きく、コスト管理と高付加価値化による競争力強化が喫緊の課題です。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の建具製造業の事業所数は1419事業所(対前年比97.5%)、従業者数は1万1574人(対前年比99.3%)、製造品出荷額等は2060億円(対前年比101.3%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は8人(対前年比101.8%)、現金給与総額は2900万円(対前年比102.6%)、原材料使用額等は8000万円(対前年比103.4%)、製造品出荷額等は1億4500万円(対前年比103.8%)、付加価値額は5800万円(対前年比104.5%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は356万円(対前年比100.8%)、製造品出荷額等は1780万円(対前年比102.0%)、付加価値額は714万円(対前年比102.7%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は55.1%(対前年比99.6%)、同付加価値額比率は40.1%(対前年比100.7%)、同現金給与総額比率は20.0%(対前年比98.8%)となっています。

【1330 建具製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【建具製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【業種別データ】宗教用具製造業の動向

2023年の宗教用具製造業は、事業所数342(対前年比96.9%)、従業者数3,541人(97.0%)、製造品出荷額412億5,400万円(96.2%)とやや縮小しました。原材料使用比率が52.0%に上昇する一方で付加価値比率は42.8%へ低下し、従業者1人当たり付加価値も498万円に落ち込んでいます。現金給与は小幅増ですが収益性は弱く、原材料高に対するコスト管理と高付加価値化が喫緊の課題です。

1 業界動向

2023年の宗教用具製造業の事業所数は342事業所(対前年比96.9%)、従業者数は3541人(対前年比97.0%)、製造品出荷額等は412億5400万円(対前年比96.2%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は10人(対前年比100.1%)、現金給与総額は3300万円(対前年比101.8%)、原材料使用額等は6300万円(対前年比104.1%)、製造品出荷額等は1億2100万円(対前年比99.3%)、付加価値額は5200万円(対前年比94.2%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は314万円(対前年比101.6%)、製造品出荷額等は1165万円(対前年比99.1%)、付加価値額は498万円(対前年比94.0%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は52.0%(対前年比104.8%)、同付加価値額比率は42.8%(対前年比94.8%)、同現金給与総額比率は26.9%(対前年比102.5%)となっています。

【1320 宗教用具製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【宗教用具製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】初めて解剖図を見た杉田玄白の「焦り」

【ポイント】

  • 杉田玄白は初めて西洋の解剖図を見た際、「自分は人体のことを何も知らない」と焦った
  • 焦りが玄白を駆り立て、「解体新書」の完成という大仕事を成し遂げる原動力になった
  • 「自分の無知」を認めるのには勇気がいるが、認めると焦りが成長を後押ししてくれる

私たちのビジネス環境は、ここ数年で劇的に変わりました。特にAI技術の進化はすさまじく、ChatGPTなどの生成AIに文章を作らせてみても、少し前までは機械特有の不自然さがあったのが、ほんの短い期間で作家が書いたような滑らかな文章にレベルアップしている状況です。私たちは、こうしたビジネス環境の変化に頑張ってついていかなければなりませんが、なかには自分の仕事の進め方や常識をアップデートするのが苦手な人がいます。今日はそんな人に向けて、江戸時代中期に活躍した医者・杉田玄白(すぎたげんぱく)の話をします。

杉田玄白は、オランダの医学書「ターヘル・アナトミア」を翻訳して日本語版の「解体新書」を完成させ、西洋医学の知識を世に広めた人物です。今、さらっと翻訳と言いましたが、当時の翻訳はとても大変な作業でした。現代であれば外国語を即座に日本語に訳してくれるアプリなどもありますが、当時は辞書すらなかったのです。ましてや医学書は専門用語のオンパレードで、作業は困難を極めます。しかし、玄白は4年の歳月をかけて、この大仕事を成し遂げました。

それは、玄白の中に「自分は医者なのに、人体のことを何も知らない」という焦りがあったからです。当時の日本の医者は、患者の体の外側だけを見て治療の方針を決めていたため、玄白を含め、体の内側を見たことがある人はほとんどいなかったのです。あるとき、処刑された囚人の解剖に立ち会った玄白は、ターヘル・アナトミアの解剖図と本物の人体を見比べ、解剖図の精巧さに衝撃を受けます。「人体のことをもっと知らなければ……」という焦りが玄白を翻訳へと駆り立てました。

自分が知らない知識に出会ったとき、「難しそうだからいいや」とそれを遠ざけたり、表面的な情報だけを見て「大したことない」「自分には必要ない」と決めつけてしまったりする人がいます。おそらく「自分の無知を認めたくない」という一種の防衛本能なのでしょうが、それでは今以上の成長はあり得ません。知らない知識に出会ったときこそ、まずは勇気を出して、「自分は無知だ」と認めましょう。私自身も経験がありますが、一度認めてしまえば、あとは物事を知らないことへの焦りが「勉強しよう」という原動力になって、成長を後押ししてくれます。その焦りは、玄白が証明しているように、時に偉業を達成するほどの大きな力を授けてくれるのです。

以上(2025年5月作成)

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画像:Mariko Mitsuda