「小規模事業者持続化補助金」とは、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等が、販路開拓や業務効率化、事業再建などに取り組む際、その費用の一部を補助してくれる制度です。
2025年版では、一般型、創業型、共同・協業型、ビジネスコミュニティ型の4つの支援型で公募が行われます。
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「小規模事業者持続化補助金」とは、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等が、販路開拓や業務効率化、事業再建などに取り組む際、その費用の一部を補助してくれる制度です。
2025年版では、一般型、創業型、共同・協業型、ビジネスコミュニティ型の4つの支援型で公募が行われます。
「ローカル10,000プロジェクト(地域経済循環創造事業交付金)」とは、都道府県または市区町村(以下「地方公共団体」といいます。)が地域の金融機関等と連携しながら、地域の人材・資源・資金を活用した新たなビジネスを立ち上げようとする民間事業者等の初期投資費用を支援するものです。
ローカル10,000プロジェクトは、総務省が地方公共団体に交付金を交付し、地方公共団体が民間事業者等に補助を行う仕組みです。そのため、申請は必ず地方公共団体を通じて行う必要があります。
紙製品製造業は、2023年に出荷額が4385億円(前年比103.4%)と増加し、全体としては底堅く推移しています。一方、事業所数・従業者数はやや減少しており、人員面では縮小傾向が見られます。事務用・学用紙製品は出荷増で堅調でしたが、日用紙製品は事業所数と従業者数が減少しました。原材料比率が高く、コスト上昇への対応が引き続き課題です。
2023年の紙製品製造業の事業所数は930事業所(対前年比99.5%)、従業者数は1万8402人(対前年比98.1%)、製造品出荷額等は4384億8500万円(対前年比103.4%)となっています。
1事業所当たりの従業者数は20人(対前年比98.6%)、現金給与総額は7300万円(対前年比97.3%)、原材料使用額等は2億6600万円(対前年比104.5%)、製造品出荷額等は4億7100万円(対前年比103.9%)、付加価値額は1億8000万円(対前年比101.6%)となっています。
従業者1人当たりの現金給与総額は369万円(対前年比98.6%)、製造品出荷額等は2383万円(対前年比105.4%)、付加価値額は911万円(対前年比103.0%)となっています。
製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は56.4%(対前年比100.5%)、同付加価値額比率は38.2%(対前年比97.7%)、同現金給与総額比率は15.5%(対前年比93.6%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
2023年の事務用・学用紙製品製造業の事業所数は365事業所(対前年比100.6%)、従業者数は9191人(対前年比100.1%)、製造品出荷額等は2120億9900万円(対前年比105.5%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
2023年の日用紙製品製造業の事業所数は147事業所(対前年比94.2%)、従業者数は2229人(対前年比88.0%)、製造品出荷額等は429億7800万円(対前年比105.5%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
2023年のその他の紙製品製造業の事業所数は418事業所(対前年比100.5%)、従業者数は6982人(対前年比99.1%)、製造品出荷額等は1834億800万円(対前年比100.5%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)
(注1)( )内は、調査対象企業数です。
(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。
以上(2026年3月更新)
pj55034
画像:Mariko Mitsuda
加工紙製造業は、事業所数が微減する一方で、従業者数と製造品出荷額、付加価値額はいずれも前年比で増加しており、規模・生産性ともに持ち直し傾向がみられます。従業者一人当たりの出荷額・付加価値額も伸びており、価格水準や製品構成の見直しの効果もうかがえます。
他方、原材料使用額比率は依然6割超と高く、人件費比率も3割前後で、利益率は大きくは改善していません。分野別では、塗工紙や段ボールが縮小気味であるのに対し、壁紙・ふすま紙は事業所数・従業者数・出荷額が大幅に増加しており、同分野が業界成長をけん引しています。
2023年の加工紙製造業の事業所数は320事業所(対前年比98.5%)、従業者数は1万1110人(対前年比100.7%)、製造品出荷額等は4639億1200万円(対前年比102.2%)となっています。
1事業所当たりの従業者数は35人(対前年比102.2%)、現金給与総額は1億6300万円(対前年比101.9%)、原材料使用額等は9億5200万円(対前年比102.6%)、製造品出荷額等は14億5000万円(対前年比103.8%)、付加価値額は4億3100万円(対前年比106.9%)となっています。
従業者1人当たりの現金給与総額は470万円(対前年比99.7%)、製造品出荷額等は4176万円(対前年比101.6%)、付加価値額は1240万円(対前年比104.5%)となっています。
製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は65.7%(対前年比98.8%)、同付加価値額比率は29.7%(対前年比103.0%)、同現金給与総額比率は11.2%(対前年比98.2%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
2023年の塗工紙製造業(印刷用紙を除く)の事業所数は136事業所(対前年比98.6%)、従業者数は6345人(対前年比98.6%)、製造品出荷額等は3017億3500万円(対前年比97.6%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
2023年の段ボール製造業の事業所数は114事業所(対前年比95.8%)、従業者数は2994人(対前年比96.2%)、製造品出荷額等は970億3300万円(対前年比97.3%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
2023年の壁紙・ふすま紙製造業の事業所数は70事業所(対前年比102.9%)、従業者数は1771人(対前年比118.9%)、製造品出荷額等は651億4300万円(対前年比145.3%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)
(注1)( )内は、調査対象企業数です。
(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。
以上(2026年3月更新)
pj55033
画像:Mariko Mitsuda
おはようございます。突然ですが、皆さんは会社や家庭以外のコミュニティに入っていますか? 例えば、私は学生時代の部活動でブラスバンドをやっていたのですが、昨年から社会人のブラスバンドサークルに入り、仕事が終わった後や休日に仲間と練習をしています。
以前、上司から「会社や家庭はもちろん、それ以外のコミュニティも大切にしたほうがいい」と言われたことがありますが、私も1年ほどサークル活動を続けてみてその大切さが身に染みました。特にありがたかったのは、同じ志や悩みを共有できる仲間に出会えたことです。今だから言いますが、ブラスバンドサークルに入る前、入社したばかりの私は正直、会社で心細い思いをしていました。中途採用で「同期」と呼べる存在が社内におらず、年の近い先輩もいなかったからです。
しかし、サークルに加入しブラスバンドを再開してみると、サークル内には私と年の近い人がたくさんいました。なかでも大きかったのは、最近私たちの会社に仲間として加わったAさんとの出会いです。Aさんとは、発表会後の打ち上げでたまたま向かいの席になり、仕事の話をしたのですが、ちょうど転職先も探しているところで、当社の仕事の話をしたら興味を持ってくれたのです。
そのときの私は、口下手なりに「うちの会社はここが素晴らしいんだ」とAさんにプレゼンしたのですが、自然と熱が入り、普段どんな思いで仕事をしているのか、この会社で何を実現したいのかなど、自分の思いに正面から向き合う良い機会になりました。また、年の近いAさんからは、自分と同じような仕事の悩みを抱えているという話を聞くことができ、「つらいのは自分だけではないんだ」と知って心が楽になりました。今やAさんは、仕事も趣味も一緒にこなす間柄ですが、相談したり協力したりできる仲間がいることで、今までより前向きに仕事に打ち込めるようになりました。
一歩外に出てみると、そこには予想しない出会いが待っていて、会社や家での生活に少なからず変化をもたらしてくれます。「趣味の時間が取れない」で終わらせてしまうのはもったいないです。SNSで気の合う人と話す、行きつけの飲食店の常連客と話す、地域のイベントに参加するなど、新しいコミュニティに入るきっかけはどこにでもありますから、ぜひ探してみてください。
以上(2025年5月作成)
pj17216
画像:Mariko Mitsuda
目次
社員が退職するときは、退職(解雇を含む)の成立や未払い残業代の支払いなどをめぐって、何かとトラブルが起こりやすいものです。会社としては円満に社員と別れたいところですが、残念ながら落としどころが見つからず、トラブルが泥沼化するケースがあります。
落としどころが見つからない理由は、
会社は「合理的」に社員の行動を先読みしようとする一方、社員は「非合理的」に行動することが多いから
です。そこで、この記事では、
行動経済学の見地から、あえて社員の「非合理的」な行動を見据え、退職トラブルの落としどころを見つける方法
をご提案します。ちなみに、行動経済学とは、
経済学をベースにしつつ、「人間は常に合理的な思考をするわけではなく、非合理的な行動をするほうが多い」という前提に立って、人間の行動を分析する学問
です。皆さんのお役に立てると思います。
ある会社に、成績や勤務態度の著しく悪い社員がいました。何度指導をしても全く改善しないため、会社は社員との面談の席で、会社にとって戦力になっていないこと、このまま退職しないで会社に在籍されても困ることを説明し、自発的に退職するよう求めました。社員は不満に思いつつもこれを承諾し、その後の退職手続きも滞りなく終わりました。
しかし、会社が無事に退職してもらえたと思った矢先、社員がSNSに会社の不満を書き込んでいることが分かりました。その結果、SNSを見た内定者が内定を辞退する、求人の応募がほとんどなくなってしまうなどのトラブルにつながりました。
ピークエンドの法則とは、
人間の快楽・苦痛の記憶は、ピーク時と終了時の快楽・苦痛の度合いで決まる
というものです。こんな実験があります。
この2つの実験で、被験者に「もう一度同じ実験を受けるなら、どちらを選ぶか(どちらのほうが楽か)」を聞いたところ、80%以上の人が「B」を選択しました。BのほうがAよりも水に手を浸す時間は長いのに、最後に少しだけ温度が上がって苦痛が和らげられるため、「Aよりも楽」と感じた人が多かったのです。
今回の問題社員の事例も、会社が退職する社員の不満を少しでも和らげようとしていれば、結果は違っていたかもしれません。例えば、
といった対応が考えられます。「無理やり感謝を伝えたところで、社員のほうも『本心ではない』と気付くのではないか」と思うかもしれませんが、それで構いません。意図はどうあれ、気を使って最後に言葉をかけるという行動が、相手の不満を少なからず和らげます。
ある会社で、退職した社員が未払い残業代を請求してきました。しかし、会社の計算した額は130万円、社員の請求額は200万円と主張が食い違い、話が進展しません。
会社が社員に「130万円の一括払い」を提案したところ、社員が「そんな少額では話にならない」と怒り出し、訴訟に発展しました。訴訟は1年かかり、最終的に社員の主張が認められ、200万円を支払わざるを得なくなりました。
現在志向バイアスとは、
人間は長期的な利益よりも、目先の利益を優先しやすい
というものです。こんな実験があります。
子どもをマシュマロが1個だけ置いてある部屋に入れて、「私が帰ってくるまでにそのマシュマロを食べなければ、マシュマロを2個あげる」と告げました。その結果、ほとんどの子どもが目の前の利益を優先して、1個のマシュマロを食べてしまうという実験結果が出ました。少しの間我慢してマシュマロを2個もらったほうが得なのに、です。
今回の未払い残業代の事例も、訴訟に発展する前に、会社が未払い残業代について複数の提案をしていれば、結果は違っていたかもしれません。例えば、会社が和解案として、
の両方を提示します。金額だけを考えればAのほうが得ですが、多くの人はBを選んでしまいます。本当にもらえるのか不確定な200万円よりも、今確実にもらえる130万円を選ぶのです。AとBのどちらを選択するかは、社員が自分の意思で決定するので、「だまされた」「詐欺だ」などと言われてトラブルになるケースはほとんどありません。
なお、言うまでもないことですが、未払い残業代の金額について会社と社員との間で認識が一致しているのに、会社が実態よりも安い金額を提示することは許されません。
ある会社で、退職した社員が会社に対し、上司のパワハラ(パワーハラスメント)に対する慰謝料と未払い残業代を請求してきました。会社が「当時の上司はパワハラを一切行っていない」として交渉を拒否したため、訴訟になりました。
しかし、訴訟は1年半かかり、最終的に上司のパワハラが一部認められました。しかも、未払い残業代の請求については、社員側の請求がほぼ通った金額で和解することとなりました。
テンションリダクション効果とは、
何かの決断(購入など)をした後は緊張が緩和され、他の交渉に対する警戒心が弱くなる
というものです。こんな話があります。
靴屋で靴を選んで購入を決めた顧客に対して、「こちらの防水スプレーもいかがでしょうか」と提案をすると、本来購入する予定がないのに一緒に購入してしまうことがあります。ECサイトのカート画面に、商品購入後、最近チェックした商品やおすすめの商品を表示させるのも、購入後の追加購入を促すためです。
今回の複数のトラブルが発生した事例でも、交渉の進め方を少し変えれば、結果は違っていたかもしれません。例えば、
パワハラよりも先に、未払い残業代の問題を決着させることを優先する
という考え方があります。未払い残業代は労働時間の記録があれば論点が明確で、残業代の計算が正しいか、休憩が取れていたかなど、どこかで落としどころを見つけられるケースがほとんどです。そこで、退職した社員の代理弁護士に、「まずはパワハラの問題を脇に置いて、未払い残業代請求について交渉を先行させましょう」と提案します。弁護士も同時に交渉を進めるのは非効率である場合が多いことを知っているので、この提案に乗ってきます。
ここで大切なのは、
未払い残業代については、多少時間がかかってでも会社の譲れない部分についてははっきり主張し、場合によっては訴訟も辞さないという強気の姿勢を示すこと
です。未払い残業代の交渉のハードルが上がると、それが解決したとき相手の弁護士に少なからず安心感を与えます。そのタイミングで、「パワハラについては客観的な証拠もなく、お互いの言い分が平行線をたどるので、未払い残業代とパワハラを合わせて◯万円で解決するのはいかがでしょうか」と投げかけます。すると、弁護士も人間なのでテンションリダクション効果が働き、自分の依頼者を説得して早く合意をさせようと努力するわけです。
以上(2025年5月更新)
(執筆 杜若経営法律事務所 弁護士 向井蘭)
pj00606
画像:BBuilder-Adobe Stock
年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、高橋輝行さん(KANDO(カンド)株式会社 代表取締役)です。
高橋さんが行っているのは、
企業の「価値創造の伴走支援」や「価値創造を実現する“推進役”の育成」(人材育成)
です。
日ごろの仕事の中では、顧客に対する「価値の提供」を意外と疎かにしている、むしろ忘れてしまっているのが実情かもしれません。現場の従業員が「うちの商品・サービスの価値ってなんだっけ?」となってしまったり、従業員に「うちの顧客は誰?」と尋ねても「誰……? あまり考えたことなかったです。とにかく売り上げは上がってますから」となってしまったり。実はよくあることかもしれません。
高橋さんはそうした状況に警鐘を鳴らします。そして、これからの日本のために「価値を創造する人材」を育てようとしています。
後ほど詳しく説明しますが、“推進役”とは、理想と現実の両方を見ながら、あるべき姿=価値創造を実現すべく、プロジェクトを「推進」していく役割の人です。高橋さんが10年かけて形にしたプロジェクトマネジメントメソッド「Roles®」(ロールズ)の肝ともいえます。
高橋さんは現在、中小企業やスタートアップ企業、そして中小企業などを支援する金融機関(銀行・生命保険など)向けに、「Roles®」を指導・伴走しています。金融機関と一緒に、取引先企業に対して「顧客価値創造プログラム」(塾のようなイメージ)を提供しているケースもあります。プログラムを受けて成果を上げた企業もあり、また、金融機関の中には、自ら「推進役になりたいので勉強したい」という人も出てきているそうです。
今回、高橋さんには、価値創造するための「Roles®」のポイントや、“推進役”の意義、価値創造のプロジェクトを進めるときに企業がつまずきがちな壁などを伺いました。
実際に高橋さんが伴走して成果を挙げた事例なども教えてもらいましたので(第6章)、
「新しいことにチャレンジしたいが従業員がなかなか動いてくれない」
「従業員に自ら考え提案し、行動を起こしてほしいのだが……」
と悩む中小企業経営者の方、そして、金融機関など中小企業を支援する立場の方々には、大いにヒントになるかもしれません。よろしければご一読ください。
高橋さんはまず、事業について次のように話してくれました。
「価値を創造できる人材を育てる。そして、そういう人材をこれからの日本に残していかなければ。そうしないと日本に未来はない。そう考えて、我々はこの一点に集中して事業に取り組んでいます」
ひいては、「働くことに感動できる社会」を実現するのが高橋さんたちの経営理念です。

(出所:KANDO(カンド)株式会社 会社説明資料)
高橋さんはもともと、大学院までは物理学を学び、そのあと大手広告代理やベンチャー企業で仕事をし、急成長企業でいくつかのターンアラウンドを経験してきました。
その中で、10年かけて「Roles®」(ロールズ)という「価値創造プロジェクトの型」、メソッドを見出し、体系化してきました。
複数社のターンアラウンドなども含め、100社以上の価値創造を推進し、その実績から仮説検証を繰り返して編み出したメソッドなので、説得力が違います。

(出所:KANDO(カンド)株式会社 会社説明資料)
高橋さんは、2025年4月22日に新しく書籍を出版しています。気になる方は、下記からご確認いただけます。

高橋さんの「Roles®」(ロールズ)のキーコンセプトは、
「優れた起業家の脳みそを追体験することができる」
というものです。この追体験を、ロールプレイ型でプロジェクトとして展開できるのが 「Roles®」の仕組みです。
優れた起業家の脳みそには3つのモードがあります。「理想脳」「現実脳」「推進脳」です。それを3つの役割「理想役」「現実役」「推進役」として、自分たちの企業(伴走支援される企業)に落とし込み、それぞれの役割を明確に分担しながらプロジェクトを進めていく。これによって、顧客が感動できる価値を提供できる。そう高橋さんは語ります。

(出所:KANDO(カンド)株式会社 会社説明資料)
ここで重要になってくるのが「推進役」です。「理想と現実がぶつかる場面で、両者の解像度を引き上げつつ、価値創造するためにプロジェクトを推進していく」役割だからです。
また、高橋さんたちの行っている人材育成・伴走支援の大きな特徴は、
実業の中で実際に価値を生み出す経験をさせて「価値創造の型」を身に付けてもらう。必ずアウトプットが出る
というところです。
実際にゼロイチで新しい価値を生み出したアウトプット事例も、次のように数々あります(事例の一部は後ほど第6章で紹介します)。「提供サービス」の左端にある通り、「ガチプロジェクト事業を伸ばす/変える」を実践している高橋さんたちです。


(出所:KANDO(カンド)株式会社 会社説明資料)
やはりポイントとなるのは推進役で、「価値創造を担う推進役の育成は急務」と考えている高橋さんは、「推進役を育てるビジネススクール」を2025年夏から秋に立ち上げる予定とのことです。
「Roles®」の進め方について、高橋さんからいくつかお話を伺いました。
まず大事なのは、「Roles®」に取り組む目的=「顧客価値の創出」を明確に設定していること。そして大前提として、ドラッカーが言った通り、「顧客は誰か」をちゃんと見る。そこから始まります。
「Roles®」では実際に、次のように進めていきます。この一連のプロセスを「型」として落とし込んでいるのが「Roles®」の核となります。

(出所:KANDO(カンド)株式会社 会社説明資料)
高橋さんたちの伴走支援の大きなポイントは
企業が自走できるようにする
ところです。高橋さんは、
「誰が顧客なのか。そしてその人たちをどのように喜ばせるかを、自分たちで考え抜いて実行していく。これを、従業員、組織ができるようにしていくことが最も大事」
といいます。安易に外部の力に頼るのではなく、
「自分たちでやる。だからこそ感動体験につながっていく」
ということなのだと感じます(外部の力を借りるのが悪いというわけではありません。必要であれば、外部の力を借りることも大事です)。
これまで100社以上を伴走支援してきた中で、多くの起業がつまずくポイントは6つに集約される、と高橋さん。この「つまずきポイント6つ」について、高橋さんに解説してもらいましたので、以降でまとめます。思い当たる方も多いのではないでしょうか。

(出所:KANDO(カンド)株式会社 会社説明資料)
新規事業に取り組もうとする際、経営者の「やりたいこと」や「直感的な危機感」からスタートするケースが多いです。
しかし、「それが本当に今、取り組むべきテーマかどうか」は別問題です。
例えば、経営者に色々と話を聞いていくと、「今は新規事業をやるのではなくて、現業を深掘りした方が早い」となることも少なくありません。そこで、まずは経営者との壁打ちを通じて、企業の本質的な課題やテーマを抽出する必要があります。
新規事業のプロジェクトなどの失敗でよくあるのが、「使いやすい人」をアサインしてしまうことです。「誰ならどういうアウトプットができそうか」「誰にどういうアウトプットしてほしいか」ことを考慮して人を選んでいないというケースです。
理想役・現実役・推進役という役割分担に基づき、アウトプットベースで、適性のある人材を割り当てることが重要です。
忙しい中小企業の経営者などはどうしても、「新規事業を思いついたので、進め方をとりあえず考えといて」など、従業員に対して説明不足になりがちです。「とりあえず考えといて」とだけ言われて動ける人はあまりいないでしょう。「どのような背景で、どのような顧客がいる仮説なのか、アウトプットの期待値、そのアウトプットが出せるかどうか」などを、従業員ときちんと共有し、目線を合わせてからスタートするのが望ましいでしょう。
ファシリテーション、これはかなり難しいものです。単に集まってワーワーと話すだけでは話は前に進みません。
段階を経て議論を深めていく設計が必要であり、技術も経験も求められます。
社内視点での「これでいいんじゃないですか」では価値は磨かれません。価値を提供する先は顧客なので、ちゃんと顧客視点で見直してフィードバックをするという文化、習慣が必要です。
新しいことをやるには障害がつきものです。そこで、一つ一つ整理し、打ち返していくプロセスが必要ですが、途中で面倒になって放り出す、投げ出すことも多いです。
障害を一つ一つつぶして、乗り越えていくことが求められます。
この6つはどれもとても重要なことばかりですが、特に技術や経験が求められるのが「ディスカッションのファシリテーション」かもしれません。おそらく、多くの人が「ディスカッションがうまくいかない」体験があると思います。
高橋さんたちは、ファシリテーションのトレーニングを次の2つの方法で提供しているそうです。特に2つ目のトレーニングはなかなか難しそうですが、実践的で身につきやすい方法といえます。
ディスカッションの問題集を解いてもらいます。あるいは、ディスカッションで相手が色々と発言していることを一言で要約してみる、論点をMECEで挙げてみるなど、発言の中にある課題を整理し、表現する訓練を行います。
実際のディスカッションに入ってもらい、ファシリテーションを行ってもらいます。それを高橋さんたちが横でチェックしながらフィードバックを行います。実践なので、緊張感を持ってディスカッションを行っているようです。
初手となる「テーマの具体化」についてもかなり大事です。最初にしっかりと明確化しておかなければ、スタートラインにも立てません。
例えば、「DXをやりたい」というような漠然とした目的を、
などに分解し、「何のためにやるのか」を明確にする作業を行います。
また、何かを作る、売る、広げる、などのプロセスがありますが、「売れないのは売り方(営業)に課題があるのか、それとも商品そのもの(作り方)に課題があるのか」を明らかにすることも大事です。これを曖昧なまま進めてしまうと、プロジェクトは形骸化します。
だからこそ、最初の「問いの設計」が非常に重要だと高橋さんは語ります。


(出所:KANDO(カンド)株式会社 会社説明資料)
高橋さんは、「推進役には、やはり向き不向きがあり、向いていない人の例としては、自分でガンガン進めたいタイプの人です。推進役には、他人に成果を出させるマネジメント視点が必要だからです」と説明します。
高橋さんたちは、推進役の選定を次のように行っているそうです。
「私たちは、適性診断(チェックリスト)を用いて、役割のフィットを見極めています。本人の希望があれば育成は可能ですが、時間と覚悟が必要です。現場では、多くの企業の場合、現実役・理想役には立候補者がいるものの、推進役は名乗り出にくいという傾向があります。そこで、最初は私たちが役割分担を決めてスタートすることが多いです」
ちなみに、推進役候補の年齢層は主に以下の2パターンだということです。
特にこれからの中小企業にとって必要だと感じたのは、
事業承継の一環として、50~60代の経営者自身や事業本部長などが推進役を学ぶ
という高橋さんのお話です。
経営者の多くは理想役で、一足飛びにやりたいこと・理想の姿を実現しようとする傾向にあります。そうするとプロジェクトがうまく進まないので、推進役が理想の姿をブレイクダウンし、段階を踏んでステップワンから、というふうに進めることになります。
こうした一足飛びに進めがちな理想役である経営者が、理想役のまま、事業承継をして次の世代に継いでもうまくいかないことが多いので、
経営者自身が推進役を学び、「推進役」となって「次の理想役」を支援できるようにする
ことが必要です。これは、今後の中小企業にとても大事な考え方だと感じます。
高橋さんのお話を踏まえると、プロジェクトの推進や事業承継などの目的に応じて、推進役に適した人材像はある意味適材適所、変わってくるといえるでしょう。
最後に、高橋さんたちの伴走支援で価値創造した事例をいくつかご紹介します。面白い確かな成果を上げている数々の事例がありますので、「自社で取り組むとしたら」のご参考になればと思います。

(出所:KANDO(カンド)株式会社 資料)

(出所:KANDO(カンド)株式会社 ホームページ)
創業220年という超老舗の八ツ橋本舗で、高橋さんがファシリテーターとして入って産学連携で価値創造に取り組み、若手の従業員が中心となって新しくて面白い商品を作り出した、という好事例です。
大阪芸術大学との産学連携で「Yatsuken(ヤツケン)」=「八ッ橋食感研究所」という新ブランドを立ち上げました。
そしてなんと2週間に1回という驚異的なスピードで、商品アイデアを試作・実験するプロジェクトを実施します。
「2週間に1回」は最初、さすがに経営者も従業員も消極的だったようです。しかし、そのうち、特に若手の従業員が積極的になってきます。バレンタイン向け【むにゅっとしょこら】という全く新しい商品を開発・販売します。
このチョコ商品は今までの八ツ橋の概念をガラッと変えるもので、八ツ橋の生地をチョコで包んでいます。今までの八ツ橋の「つつむ」を「つつまれる」に変えた新食感のチョコレートということで人気になり、完売したそうです。
高橋さんにヤツケンの取り組みについて伺ったところ、次のお話をしてくださいました。
「今回、キーになったのは製造部門の若い女性従業員です。その方が『楽しい!』となってスイッチが入り、全体的に変わって行った感があります。その従業員の方は、最初は現業も忙しかったので、『アイデアがあっても商品がつくれないかも』と消極的でした。しかし、みんなで議論して試作品をつくってみたら『楽しい』ということで、どんどん積極的に自発的に動くようになりました」
また、その女性従業員いわく、
「みんなで、どのような顧客にどのように喜んでもらうかなどを議論していて、誰に喜んでもらえるのかを考えたら、とても楽しくてスイッチが入った」
「顧客のために」「自分たちはどういう感動を提供できるか」を問いかけると、従業員の目の色が変わって自発的に考え動くようになる、と高橋さん。そうなると、従業員自身も「楽しい!」と感じて、組織の自走が進むのだと感じます。

(出所:KANDO(カンド)株式会社 資料)
こちらは、KANDOが出資して子会社を設立した事例です。
大阪公立大学の学生が持つ「爪を補整する技術」をビジネス化。議論と仮説検証を重ねて、大阪天王寺に一号店をオープンしました。
この学生の方は、もともと技術を持っていて何かやりたいと思ってはいたものの、不安があって踏み出すことができないでいました。
高橋さんは、「いいもの、面白いものを持っていても世に出てない人、踏み出せない人はたくさんいる。しかし、こうしてガイドしていくとちゃんと形になる」と話してくれました。
高橋さんのやっていることを山登りで例えると、一緒に山に登るシェルパ(登山ガイド、案内人)が思い浮かびます。「あそこの山の登り方を教えます」ではなくて、高橋さんたちは一緒に山に登って案内する。高橋さんの言葉を借りると、次のようなことかもしれません。
「山登りで例えるなら、『荷物が重いのなら、たまには持つよ。危険そうな場所があったら先に行ってみるよ』という感じで、一緒に解像度を上げていくことをやっています」

(出所:KANDO(カンド)株式会社 ホームページ)
こちらはまさに新規事業、新業態を立ち上げた事例です。
もともとは工場などの社食を展開しているこの企業、コロナ禍で社食を誰も利用しなくなってしまい、会社の危機に直面します。経営者の方は、「そういうときだからこそ新しいことにチャレンジしよう!」ということで、BtoCにチャレンジしてみることになります。
経営者がご飯大好きなので「最高においしいご飯をつくろう!」ということに。高橋さんと議論を重ね、1年半かけて行列のできる人気のおにぎり屋さんにまでなりました。テレビの取材なども受けています。
「本気で顧客のことを考え続けたら、行列店にまでなれるという事例です」
と高橋さんは教えてくれました。
高橋さんたちは大同生命と一緒に、「顧客価値共創プログラム」も実施しています。
これは、大同生命が運営している経営者向けメディア「どうだい?」の特別プログラムとして行っているものです。「どうだい?」による特別価格でKANDOの顧客価値を創造する4カ月間のプログラムを受けられるというもので、いわば「4カ月間の実践的なビジネス塾」です。
受講した経営者の中には、「このプログラムを受けたおかげで2000万円の売り上げがあがりました!」という方もいたそうです!
なお、この「どうだい?顧客価値共創プログラム(第2回)」は、2025年6月4日(水)からプログラムの1回目を開始する予定です。4月25日(金)より「どうだい?」内イベントページにて本プログラムの応募開始をしています(応募〆切5月下旬予定)。

高橋さんたちのこれらの事例からも分かる通り、
顧客は誰か、そして、その顧客にどのような感動を提供できるかを問い直し、アウトプットし続ける
ことが、企業や、企業で働く個人を大きく変えるきっかけになるといえます。
高橋さん、とても勉強になる、かつ実践的なお話を有り難うございます!
以上(2025年4月作成)
パルプ製造業は、事業所数が微減する一方で従業者数と製造品出荷額は増加しており、規模は拡大傾向にあります。ただし従業者1人当たりの出荷額や付加価値額は低下し、生産性面では弱さがみられます。原材料使用額比率は6割超と高水準で、資源・エネルギー価格の影響によるコスト圧力が続いています。その結果、付加価値率が下がり人件費比率も高止まりしており、業界全体として収益性・自己資本比率は総じて低く、高付加価値品への転換や設備効率の向上が課題となっています。
2023年のパルプ製造業の事業所数は32事業所(対前年比97.0%)、従業者数は2240人(対前年比105.6%)、製造品出荷額等は735億6400万円(対前年比104.7%)となっています。
1事業所当たりの従業者数は70人(対前年比108.9%)、現金給与総額は3億700万円(対前年比109.7%)、原材料使用額等は14億3100万円(対前年比106.0%)、製造品出荷額等は22億9900万円(対前年比107.9%)、付加価値額は6億5300万円(対前年比99.5%)となっています。
従業者1人当たりの現金給与総額は439万円(対前年比100.7%)、製造品出荷額等は3284万円(対前年比99.1%)、付加価値額は933万円(対前年比91.4%)となっています。
製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は62.2%(対前年比98.3%)、同付加価値額比率は28.4%(対前年比92.2%)、同現金給与総額比率は13.4%(対前年比101.6%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)
(注1)( )内は、調査対象企業数です。
(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。
以上(2026年3月更新)
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画像:Mariko Mitsuda
目次
この記事でご紹介するのは、徳島県上勝町が進めている「ごみゼロ」に向けた取り組みです。人口1500人に満たない小さな町ですが、2003年9月に日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」(ごみゼロ宣言)をしました。これをきっかけに世界から大いに注目を集め、移住者も増えたことで、2024年には、いわゆる「消滅可能都市」からも脱却しました。
「ゼロ・ウェイスト宣言」で掲げた目標を達成するための活動の中心地は、「?」の形をした「上勝町ゼロ・ウェイストセンター”WHY”」(以下「センター」)です。実際にセンターを訪れてみると、そこには様々な仕掛けがありました。
思いだけでは成し遂げ難いゼロ・ウェイスト。上勝町が「ゼロ・ウェイスト宣言」をした背景や、町の小学生が考えた循環経済の仕組みなどを、センターで働く徳重 尚(とくしげ ひさし)さんに教えていただきました。企業がESGやSDGsに取り組む際のヒントが満載です。

「ゼロ・ウェイスト宣言」とは聞き慣れない言葉ですが、次のような意味を持ちます。
ゼロ・ウェイストとは、無駄、浪費、ごみをなくすという意味です。
出てきた廃棄物をどう処理するかではなく、そもそもごみを生み出さないようにしようという考え方です。
上勝町は日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」をした町で、現在、なんとごみを43種類に分別しています(2024年4月までは45種類)。こう聞くと、「上勝町は、古くから環境配慮の意識が高い先進的な町なのだな」と感じてしまいますが、この活動は近年、役場職員や住民、ゴミステーションスタッフの試行錯誤によって生まれたものだそうです。
「実はこの場所は1975年前後から1997年までは野焼き場でした。ここで穴を掘ってごみを燃やしていたのです」と教えてくれたのは、センターの徳重さん。
上勝の財源規模では処理設備を整える余裕はなく、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」によって野焼きが禁止されていました。にも関わらず、なかなか野焼きをやめることができずにいたところ、県から「野焼きをやめて適切に処理をしてください!」と注意され、1997年から容器包装リサイクル法施行に伴い分別制度を導入し、1998年に小型焼却炉を2基設置しました。
これで安心と思いきや、2年後の2000年に、「ダイオキシン類対策特別措置法」が施行され、せっかく設置した焼却炉の1基が規制の対象になってしまいました。もともと小型で容量が小さいこともあり、そのままではごみを処理することができなくなりました。徳重さんいわく、「やむにやまれずというか、要は町の中ではごみがどんどん出てくるので、その量を減らす方向に進めていくしかなかった」というのが実情のようです。
「上勝町はもともと環境意識が高い町だった!」というわけではなく、環境変化に自らを適応させてきたということです。このあたりは、企業がESGやSDGsに取り組む背景にも似ていると感じます。

上勝町が「ゼロ・ウェイスト宣言」をしたのは2003年9月のことですが、この2カ月前に、セントローレンス大学のポール・コネット化学博士が上勝町を訪れています。上勝町の状況について相談をしている中で、「ゼロ・ウェイスト宣言をしたらどうだろう」と博士から提案され、そこからわずかな期間で、下の宣言をするに至りました。
未来の子どもたちにきれいな空気やおいしい水、豊かな大地を継承するため、2020年までに上勝町のごみをゼロにすることを決意し、上勝町ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)を宣言します。
平成15年9月19日
徳島県勝浦郡上勝町
徳重さんいわく、「ポール・コネットさんの提案がなかったら、ここまで大きな上勝町の転換はなかったと思います」とのこと。わずかな期間で宣言までこぎ着けるために、上勝町役場では急いで町民にゼロ・ウェイストについて説明をしたり、特定非営利活動法人ゼロ・ウェイストアカデミーを立ち上げたりしたそうです。
上勝町では、「ゼロ・ウェイスト宣言」において、
目標として2020年までにごみをゼロにする
という目標を掲げています。
しかし、現代的な生活をしている限り、ゼロ・ウェイストの達成は非常に難しいということが、2003年からの取り組みで分かりました。そもそも分別の負担もあります。自治体によってごみ分別の種類は違いますが、上勝町は43種類です。分別の種類が一気に増えるタイミングでは、うまく分別することができずにごみがたまってしまう家もあったようです。そのような場合は、ゼロ・ウェイストアカデミーなどが相談に乗りながら、解決していったそうです。
こうした現状にあって、次の展開をどうするかと考えたときに、町外の人とも連携していかなければならないと思い、そのシンボルとしてセンターを立ち上げ、そこから情報を発信していこうということになったのです。
センターを見学して気が付いたのは、ごみの「入」と「出」が円単位で確認できるプレートが設置されていることです。例えば、「紙」ごみは町にとって収入になり、具体的に何円なのかを「入」として示しています(写真は、ライターとその他の布類の例)。逆に、町の支出になるごみもあり、それは「出」として示されています。まさにごみの収支の「見える化」ということですが、これはごみを徹底的に分別して資源を取り出し、それを「入」として示しているからこそできることです。「入」と「出」を示したプレートは、
面倒な分別をしなければならない理由を、町民に分かりやすく伝える役割
を果たしているわけです。金額が手書きで示されているところも、何か身近で温かい印象を受けます。

分別するための道具として、ハサミやカッターが置いてある作業エリアもありました。紙ごみを縛るときは必ず紙ひもにすることで回収業者の負担を減らし、「入」を大きくする工夫もされています。新聞紙をまとめるなど分別の作業が大変なときは、センターの方がお手伝いしているそうです。
センターでさらに面白いエリアを見つけました。その名も「ちりつもPoint」。上勝町にはごみ収集車が走っていないので、町民が自らごみを持ち込まなければなりませんし、43分別に取り組まなければなりません。これは大変なことです。そこで、インセンティブとして、「ちりつもPoint」が機能しています。

ポイントは分別種類の多い紙類や、企業連携によって回収を行っている資源を対象にポイントが付与されています。まず1種類のごみを持ってくるごとに1ポイントがもらえます。
例えば、牛乳パックを1個持ってくると1ポイントが付与されます。10個持ってきても、種類は1つなので、もらえるのは1ポイントです。そうであれば、10回に分けて持ってきたほうが多くのポイント(1種類のごみを10回に分けて持ち込むので10ポイント)をもらえることになります。これが、小まめにごみを持ち込むインセンティブです。他にも、町内事業所でリユースやリデュースに取り組んだ際にもポイントが付与される仕組みになっています。また、貯まったポイントは環境にやさしい日用品や学用品等と交換ができるようになっています。例えば、学校で使える上履きは50ポイントと交換ができます。
気になるポイント単価ですが、これがなかなかお値打ちです。50ポイントなら50円相当というのが多くのポイント制の交換レートですが、センターでは、
なんと1ポイント10円相当のレートになっていて、50ポイントごとに500円相当の商品券と交換することが可能
です。ちなみに、センターにごみを持ち込めるのは町民だけなので、町外の人はごみを持ち込むことはできません。
町民以外の人は、センターに併設されたホテルに宿泊して、ごみの分別を体験することができます。自治体や企業が研修で宿泊するのはもちろん、有名人が宿泊することもあるそうです。

ここで徳重さんからクイズが!
ごみ処理場(センター)にホテルを併設できるのはなぜだと思いますか?
他のごみステーションとは異なる特徴がそこにはあります。
答えは、センターでは「生ごみ」を引き取っていないので、臭いがないということです。取材当日は風が強かったので気が付きにくかったですが、確かに臭いが一切ありませんでした。これならセンターにホテルを併設できるわけです。
生ごみは、町民がコンポストなどを使って家庭で処理をしています。コンポストなどの購入費用の一部は、上勝町が補助をしているそうです。
現在、上勝町のごみリサイクル率は80%を超えていますが、100%ではありません。これだけ徹底的に分別し、様々な仕掛けを施して町ぐるみでゼロ・ウェイストを目指していますが、その達成は非常に難しいのです。
これだけ努力しても、焼却ごみ・埋立ごみが排出されます。上勝町では、これを焼却ごみとは呼ばず、
どうしても燃やさなければいけないごみ・どうしても埋め立てなければならないごみ
と言っています。たとえ燃やすとしても、そこに至るまでの多くの人の協力と努力を大切にしている呼び方ですね。
次に案内されたのは、「くるくるショップ」というおしゃれな空間です。高い天井からつり下げられた空き瓶のシャンデリア、きれいに陳列された陶器などが印象的でした。


ショップと書かれていますが、陳列されている物品は無料です。町民がまだ使える陶器や子供服などを持ち込み、ここを訪れた人(町民でない人も含みます)は無料で持ち帰ることができるのですが、このネーミングを地元の小学生が考えたというのですから驚きです。ゼロ・ウェイストの町に暮らしていると、こういったリユースのアイデアが浮かんでくるものなのでしょうか。こうした子供たちが成長していくと、環境に優しい生活スタイルが自然と定着していくのだと感じます。
さて、くるくるショップでは、これまで持ち帰られたリユース品の重さが紹介されているのですが、ここで徳重さんから再びクイズが!
取材日時点で、持ち帰られたリユース品の重さは、下の画像のように「534キログラム」でした。これはどれくらいの期間で到達した重さでしょうか?

筆者は、直感的に「年単位だろうな」と思ったのですが、答えはなんと1カ月。わずか1カ月で「534キログラム」がリユースされるとは、改めてゼロ・ウェイストの町の底力を感じました。
写真にも写っているのでお気づきかもしれませんが、くるくるショップの建具は規格がバラバラです。これらの建具は町内で公募をして集められたものです。数百の建具が集まったそうで、上勝町の職員もサイズを測りながら採用する建具を決めていったそうです。また、建物の構造材には町内産の杉が使われています。施工業者が決まってからだと、杉は乾燥などに時間がかかるので、施工業者を決める1年くらい前から、上勝町が町内産の杉を調達したそうです。
くるくるショップの仕組み自体も素晴らしいのですが、建物も地産地消、リユースの考え方が取り入れられています。「スタイリッシュ」な空間には、本当にいろいろな工夫が施されていて、手間をかけて丁寧に造られていました。
ごみゼロの町と聞けば「すごい」と思いますが、正直なところ実感が湧きません。ごみを43種類に分別する経験がないので、想像がつかないのです。
しかし、実際にセンターを訪れ、そこで働く人などの話を聞いてみると、きれい事だけではない町の事情や、世の中の変化に巧みにキャッチアップしてきた歴史がありました。人を集め、情報を発信するためにスタイリッシュに造られた建物にもストーリーがあり、何より町の小学生のアイデアでくるくるショップが生まれたことには驚きました。

長い時間をかけてジワジワと上勝町になじんできたゼロ・ウェイスト。企業がESGやSDGsに取り組む際のヒントがここにあると思います。外部の要請を受け、トップダウンで一気に進めなければならないタイミングもありますが、それを定着させるには、企業文化として根付かせていく仕掛けが必要だと感じます。
自然と共存して暮らす人々の魅力と、可能性に満ちた上勝町。この町が目指す未来を体感するため、ぜひ再訪したいと思いました。
以上(2025年4月作成)
(取材 日本情報マート 松田泰敏)
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画像:上勝町ゼロ・ウェイストセンター”WHY”
徳島大正銀行 泉 はる香
日本情報マート 松田 泰敏
2023年の建具製造業は事業所数1,419(対前年比97.5%)、従業者1万1,574人(99.3%)、製造品出荷額2,060億円(101.3%)と概ね横ばいから微増です。1人当たり現金給与は356万円、原材料比率は約55.1%、付加価値比率は40.1%で生産性は改善傾向にありますが、原材料費の負担や事業者間での収益性格差が依然大きく、コスト管理と高付加価値化による競争力強化が喫緊の課題です。
2023年の建具製造業の事業所数は1419事業所(対前年比97.5%)、従業者数は1万1574人(対前年比99.3%)、製造品出荷額等は2060億円(対前年比101.3%)となっています。
1事業所当たりの従業者数は8人(対前年比101.8%)、現金給与総額は2900万円(対前年比102.6%)、原材料使用額等は8000万円(対前年比103.4%)、製造品出荷額等は1億4500万円(対前年比103.8%)、付加価値額は5800万円(対前年比104.5%)となっています。
従業者1人当たりの現金給与総額は356万円(対前年比100.8%)、製造品出荷額等は1780万円(対前年比102.0%)、付加価値額は714万円(対前年比102.7%)となっています。
製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は55.1%(対前年比99.6%)、同付加価値額比率は40.1%(対前年比100.7%)、同現金給与総額比率は20.0%(対前年比98.8%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)
(注1)( )内は、調査対象企業数です。
(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。
以上(2026年3月更新)
pj55030
画像:Mariko Mitsuda