【人事はつらいよ】社員の問題行動、さんざん我慢してきたのに、いざ懲戒処分にしたら無効?

1 懲戒処分を受け入れたはずの社員がユニオンに……

A社の社長は、社員のBさんのことで悩んでいます。Bさんは、A社の商品の納品担当なのですが、先日、ある取引先から「依頼したものと違う商品が納品された」とクレームが入ったのです。正しい商品を納品し直し、その場は収まりましたが、Bさんはこれまでに何度も同じような納品ミスを繰り返しています。見かねた社長は、ある日、Bさんを呼び出しました。

「Bさん、度重なるクレーム対応や再納品の手配で、会社に損害が出ている。これまでは大目に見てきたが、もう見過ごせない。懲戒処分として、減給にさせてもらうよ」

Bさんは、その場では社長に謝罪し、懲戒処分を受け入れました。しかし、数日後、A社に1本の電話が……。電話の主は、Bさんから相談を受けた外部のユニオン(合同労働組合)の担当者で、「今回のBさんの納品ミスに対して、減給という懲戒処分は重すぎる」と、処分の撤回を求めてきたのです。社長は釈然としません。

「Bさんが反省し、変わってくれると信じて我慢してきたのに、いざ懲戒処分にしたら『処分が重すぎる』って、どういうことだ? 納得いかない……裏切られた気分だ」

2 まずは軽い懲戒処分から、改善が見られなければ重い処分へ

懲戒処分とは、問題行動を起こした社員に対して会社が行う制裁のことで、一般的には次の7種類に分けられます。1.が最も軽く、7.が最も重い懲戒処分です。

  1. 戒告:厳重注意を言い渡す
  2. けん責:始末書を提出させ、将来を戒める
  3. 減給:一定期間、賃金額を下げる
  4. 出勤停止:数日間、出勤することを禁じ、その間は無給とする
  5. 降格:役職の罷免・引き下げ、または資格等級の引き下げを行う
  6. 諭旨解雇:退職届の提出を勧告した上で、退職届の提出がなければ解雇とする
  7. 懲戒解雇:即時に解雇する

就業規則に「懲戒事由」の定めがあり、社員がその懲戒事由に該当した場合、会社は就業規則にのっとって、社員に懲戒処分を課します。冒頭の事例の場合、A社の就業規則に、

「故意または過失により会社に損害を与えたとき」などの懲戒事由の定め

があれば、「理論上」はBさんに懲戒処分を課すことが可能です。

ただ、難しいのは、労働契約法の中に、

社員の問題行動の内容に照らして、重すぎる懲戒処分は無効になる

というルールがあることです。例えば、「1日無断欠勤した社員を、懲戒解雇する」というのは、明らかに重すぎる懲戒処分で、認められません。

「どの程度の懲戒処分が妥当か」は裁判などで個別の事案ごとに判断されるので、一概には言えませんが、おおまかに目安を示すなら次のようなイメージになります。

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「出勤停止、降格」や「諭旨解雇、懲戒解雇」といった懲戒処分は、基本的には犯罪行為やハラスメント、会社に重大な損害を与える情報漏洩などに対して適用されます。従って、これらに該当しない業務上のミスなどについては、

まずは「戒告、けん責」などの軽い懲戒処分を実施し、処分の後も社員に改善が見られなければ、「減給」などの重い処分に切り替えていく

というのが、基本的な考え方になります。

また、実際に懲戒処分を検討する際は、次のような要素を考慮する必要があります。

  • なぜ、問題行動が発生したのか
  • 業務にどのような影響があったか(会社に与えた損害の程度、他の社員への影響など)
  • 社員の勤務歴、過去の処分歴、反省の様子はどうか
  • 会社側に落ち度はなかったか など

冒頭の事例の場合、Bさんは度重なる納品ミスによりA社に損害を与えていますが、過去の納品ミスについて会社が戒告やけん責を行っていなければ、裁判などで減給が「有効」と認められるハードルは高くなります。

また、会社に与えた損害が少額で減給が妥当といえない場合や、「Bさんの業務量が他の社員よりも明らかに多く、その業務をこなすためのフォローを受けられていない」「適切な業務命令がなされていない」など、会社側にも落ち度がある場合、懲戒処分が認められない可能性があります。

この他、懲戒処分自体は妥当であっても、「Bさんに弁明の機会を与えていない」など、手続きに問題がある場合、懲戒処分が無効になることがあるので注意が必要です。

3 減給の場合、控除金額にも注意!

減給の場合、懲戒処分が認められるかという問題の他に、控除金額(賃金額の下げ幅)にも注意しなければなりません。労働基準法の中に、懲戒処分として減給を行う場合、

1回の控除金額が「平均賃金(過去3カ月間の賃金総額を暦日数で除した金額)の1日分の50%以下」、総額が「1回の賃金支払総額の10%以下」になるようにしなければならない

というルールがあるからです。

例えば、月給制(毎月1日から月末までを賃金の支払対象期間とする)の場合、1日から月末までの間に

  1. 社員の問題行動が1回しか発生していないなら、「平均賃金の1日分の50%以下」
  2. 社員の問題行動が複数回発生しているなら、「1回の賃金支払総額の10%以下」

が、1回の賃金支払いで控除できる額の上限になります。1.の場合、仮に社員の平均賃金が1日1万円(月給30万円のイメージ)だとしたら、5000円までしか控除できません。また、1回の問題行動に対しては1回の減給しか認められないので、例えば、

4月分の賃金について減給を行っても、5月分の賃金からは元に戻さなければならない

という問題が出てきます。経営者によっては、「社員に反省を促すための減給なのに、その程度しか認められないの?」と不満に思うかもしれません。

こうした場合、懲戒処分以外の方法で減給を行うという手もあります。例えば、

  • 懲戒処分としてではなく、能力適性の問題から降格を行い、結果として賃金が下がる
  • 人事考課に基づいて、基本給のうち、能力評価に基づく部分の金額だけを下げる

といったケースは、懲戒処分としての減給には当たらないので、前述した控除金額のルールが適用されません。ただし、就業規則(賃金規程など)の範囲を逸脱して減給を行うと、人事権の濫用とみなされることがあるので、その点は注意が必要です。

懲戒処分は、いつの時代も難しい問題です。経営者はかなり温情をかけているつもりでも、社員のほうは「懲戒処分を受けた」という意識ばかりが先行してしまい、その労使の擦れ違いがトラブルに発展することがあります。万が一トラブルになった場合に備え、法令のルールを正しく押さえておくことは大切です。

以上(2024年12月更新)
(監修 三浦法律事務所 弁護士 磯田翔)

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画像:metamorworks-shutterstock

【朝礼】仕事納めの日に伝えたい、たった1つのこと

【ポイント】

  • 今あるビジネス基盤「1」を、「0」ベースで見直し、新たなビジネス「2」を生み出す
  • こうしたチャレンジは、社員が経営者に着いてきてくれるからこそできること
  • 社員への感謝を忘れず、そして「1→0→2」のチャレンジを続けていこう

2024年も今日で仕事納めとなります。今年最後の朝礼で、私から皆さんに伝えたいことは1つだけ。「今年も、私のような経営者についてきてくれて本当にありがとう!」です。今年、我が社は大きなピンチに見舞われながらも、それを切り抜けることができました。新しいことにもチャレンジし、将来への布石を打つことができました。ひとえに皆さんの頑張りのおかげです。

今年の我が社の目標は「1→0→2」でした。これは、今あるビジネス基盤「1」を、「0」ベースで見直してダイナミックに改革を推し進め、新たなビジネス「2」を生み出すチャレンジを意味します。現場で働いている皆さんはあまり意識していなかったかもしれませんが、私には、多くの社員が積極的にチャレンジしている姿がはっきりと見えていました。これは、とてもうれしいことです。

一方、私は反省しています。私はこれまでもさまざまな場面で、皆さんとともに「2」を創り上げようという話をしてきたつもりですが、振り返ると私からの一方通行で、皆さんがその時々でどのような状況に置かれていたのか、皆さんの話をしっかり“聞き切る”ことができていませんでした。その反省を踏まえ、そして皆さんへの感謝を込めて、次の「ありがとう」を皆さんに贈ります。

  • あ:私から「あいさつ」をします
  • り:皆さんが夢中になれる「理想」を掲げます
  • が:誰よりも「頑張る」姿勢を貫きます
  • と:「共」に考え、悩み、喜ぶようにします
  • う:「上から目線」を改めます

「1→0→2」の取り組みは、来年も続きます。今年の成果を来年につなげるため、年末年始は家族と団らんする、思い切り趣味を楽しむなどしっかり休息を取ってください。よいお年を!

以上(2024年12月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

え、うちの社員がギャンブル依存症!? WHOも認める病気に会社としてどのように向き合うか

1 ギャンブル依存症は誰でもなり得る?

大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手の口座から巨額の預金を不正送金し、銀行詐欺罪などで訴追された元通訳が、自ら告白したことで注目される「ギャンブル依存症」。

ギャンブル依存症は、ギャンブルにのめり込み、自分ではコントロールができなくなってしまう精神疾患の1つ

で、世界保健機関(WHO)では「病的賭博」、米・精神医学会では「ギャンブル障害」として診断基準が定められています。

日本でも「ギャンブル等依存症対策基本法」により、ギャンブル等(公営競技である競馬・競輪・競艇・オートレース、その他パチンコ・パチスロといった射幸行為)にのめり込むことで、日常生活・社会生活に支障が生じている状態を「ギャンブル等依存症」と定義しています。

健全な娯楽のレベルで楽しむぶんには個人の自由ですが、仕事も手につかなくなるほどギャンブルにのめり込んでしまう社員がいたら、とても困りますよね。ただ、会社として社員の趣味にどこまで口を出してよいのかは悩むところもあります。

そこで、この記事では、

  • ギャンブル依存症について、会社が介入(懲戒処分など)できるケースを押さえること
  • ギャンブル依存症を生まない職場をつくること
  • ギャンブル依存症が疑われるときの参考情報、相談先を知っておくこと

をご提案します。

なお、ギャンブルは、広義には「金銭等を賭けて、より価値あるものを手に入れる行為」を指します。その意味では、FXや商品先物などの金融取引、宝くじやスポーツくじ、ゲームセンターのクレーンゲーム、スマホゲームやソーシャルゲームの「ガチャ」などもギャンブルといえるでしょう。また、違法ですが、海外のオンラインカジノや友人同士の賭け麻雀などの賭博もギャンブルです。この記事では便宜上、違法なものも含めて「ギャンブル」として扱います。

2 ギャンブル依存症の社員を解雇できるのか?

前提として、健全な娯楽として社員が個人的に行っているギャンブルを会社が規制することはできません。プライベートな時間をどう過ごすかは、基本的に労働者(=社員)の自由だからです。

ここでは、会社として判断が求められる次の3つの場合を考えてみましょう。

  1. 社員が行っているギャンブルが違法な賭博だった場合
  2. 合法でも勤務中に社員がギャンブルを行った場合
  3. ギャンブルに起因して社員が借金問題を抱えている場合

なお、判断の基になるのは、就業規則にどのように定めているかです。例えば、

就業規則にギャンブルに関する懲戒事由を定めていなければ、そもそも懲戒処分は不可

です。自社の就業規則が厚生労働省「モデル就業規則(令和5年7月版)」を参考に策定したものであれば、不足がないか確認の上、規定を見直して労働基準監督署に届け出るようにしましょう。

■厚生労働省「モデル就業規則(令和5年7月版)」■

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/

1)社員が行っているギャンブルが違法な賭博だった場合

多くの会社では、

「会社の名誉や信用を損なう行為をしないこと」

を服務規律の遵守事項として定めています。賭博は、刑法が定める犯罪類型の1つで、単純賭博の場合は50万円以下の罰金または科料、常習賭博の場合は3年以下の懲役が科されます。社員が賭博を行ったことが明るみに出れば、会社の名誉や信用を損なう恐れがあります。つまり、

賭博をすること自体が服務規律違反(懲戒事由)

になるというわけです。

懲戒処分の種類(懲戒解雇、出勤停止、減給など)は、事案の大きさなどに応じて決めることになります。ただし、解雇の判断は慎重に行わなければなりません。たとえ、社員が単純賭博の容疑で現行犯逮捕されたとしても、それをもって直ちに解雇することはNGです。逮捕された時点では、社員が本当に有罪なのかは分からないからです。

また、逮捕された社員の家族や弁護人から「会社に迷惑をかけられない」といった理由で退職の申し入れがあるかもしれませんが、承認するかどうかは、事案の重大さや捜査状況を見ながら検討するべきでしょう。

なお、逮捕された場合、社員は身柄を拘束され働けない状態になります(検察官が起訴・不起訴といった終局処分を決定するまでに、最長23日間(72時間+20日間)身柄を拘束される恐れがあります)。そのフォローをどうするかなどは検討する必要があります。

2)合法でも勤務中に社員がギャンブルを行った場合

同じく服務規律の遵守事項として、

「勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと」

という定めもよく見受けられます。この定めにのっとると、

社員が勤務中に正当な理由なく店に行ってパチンコを打つのは服務規律違反(懲戒事由)

となります。

とはいえ、勤務場所を離れなくても、スマホがあれば、オンラインで競馬、競輪、競艇、オートレースに賭けることはできてしまいます。こうした行為を防ぐために、服務規律の遵守事項に「勤務中は職務に専念し、正当な理由なく私用で携帯電話他、通信機器での通話・メール等通信を行わない」旨を定めることも1つの手です。

なお、休憩時間は、労働者(=社員)に自由に利用させなければなりませんが、一定の制限を加えるのは可能です。服務規律の遵守事項に「休憩時間中のギャンブルを禁止する」旨を定めることも検討の余地があります。

このように「ギャンブルを禁止する」旨を定める場合、少なくとも会社のネットワーク環境からは、競馬、競輪、競艇、オートレース関連のウェブサイトに接続できないように設定するなど(Webフィルタリング)、技術的な対応も併せて行い、ルールと実態の整合性を保つように努めるとよいでしょう。

3)ギャンブルに起因して社員が借金問題を抱えている場合

社員がギャンブルに起因する借金問題を抱えていても、

職務遂行に影響を及ぼさない限り、会社が介入する余地はない

というのが原則です。とはいえ、社員が隠そうとしても、消費者金融業者などから督促の電話が会社にかかってきたり、裁判所から給与の差し押さえ命令が会社に送られてきたりすることで、借金問題は露呈します。

社員の借金問題が露呈したときには、本人としっかり話し合い、対応を決める必要があります。例えば、

社員が経理業務やレジ業務の担当の場合、直接お金を扱う職種を避けて配置転換をする

といった対応もあり得るでしょう。

また、現実には、社員が同僚から借金を重ねた挙げ句に、返済が滞りトラブルに発展することも起きています。こうしたトラブルを避けるためには、服務規律の遵守事項に

「社員間の金銭の貸借を禁止する」

といった定めを設けるとよいでしょう。

3 ギャンブル依存症を生まない職場づくりを

1)ギャンブル依存症の人は日本に何人いる?

ギャンブル等依存症対策基本法に基づいて2021年に行われた国立病院機構久里浜医療センターによる調査では、調査対象者の過去1年以内のギャンブル等の経験の評価結果から、「ギャンブル等依存が疑われる者」の割合を、成人の2.2%と推計しています(松下幸生、新田千枝、遠山朋海「令和2年度 依存症に関する調査研究事業 ギャンブル障害およびギャンブル関連問題の実態調査」、2021年)。

単純計算すると、社員数50人規模の会社では、ギャンブル依存症の社員が1人くらいいても不思議ではないということになります。

2)ギャンブル依存のメカニズムを知る

依存症の原因は、脳内の「報酬系」などの機能異常と考えられています。ギャンブルで勝ったときなどに、脳内では快楽物質であるドーパミンが放出され、多幸感や高揚感が得られます。そして、それを繰り返すうちに脳が刺激に慣れてしまい、より強い刺激を求めるようになります。その結果、行動がコントロールできなくなってしまうのがギャンブル依存のメカニズムと考えられています。

3)ギャンブル依存に至る変化を見過ごさない

最初は、興味本位で、友人や知り合いから教えてもらってギャンブルに手を出し、勝ったことに味をしめて、次第にのめり込んでしまうという人が少なからずいます。ギャンブル依存症になると、自らギャンブルをやめたくてもやめられない状態に陥り、泥沼から抜け出せなくなってしまいます。

例えば、職場で「パチスロで〇万円勝った」「週末に万馬券とった」「万舟きた」などと自慢気に吹聴している社員がいたら、度が過ぎていないか、それとなく言動に気をつけておきましょう。勤務中にギャンブルの話ばかりしているようであれば、口頭で注意することも必要です。

再三にわたって注意を聞かず、他の社員から苦情まで出てくるような場合などには、服務規律の遵守事項に照らして、けん責などの処分対象にすることも検討しましょう。

4 ギャンブル依存症が疑われるときの参考情報、相談先

1)ギャンブル等依存症対策推進本部

首相官邸に設けられたギャンブル等依存症対策推進本部では、ギャンブル等依存症を克服した人やその家族などからの体験談を公開しています。また、後述する「ギャンブル依存症問題を考える会」をはじめとする、相談先などを紹介しています。

■ギャンブル等依存症対策推進本部「ギャンブル等依存症を克服された方の体験談」■

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gamble/

2)依存症対策全国センター

国立病院機構久里浜医療センターは、アルコール健康障害、薬物依存症、ギャンブル等依存症、ゲーム依存症の全国拠点機関(依存症対策全国センター)に指定され、依存症の治療や回復支援に携わる専門家の育成、依存症相談事業の拡充、依存に関する情報発信の向上など各種事業を実施しています。

ギャンブル依存症を含む依存症に関する基礎的な知識を紹介しているほか、全国の依存症専門相談窓口と医療機関が検索できます。

■依存症対策全国センター■

https://www.ncasa-japan.jp/

3)ギャンブル依存症問題を考える会

ギャンブル依存症問題を考える会は、ギャンブル依存症当事者・家族の支援に力を入れ、そこから派生する各地域の支援者との連携や啓発活動を行っています。

考える会の代表・田中紀子氏らは、2018年、病的ギャンブラーとギャンブル愛好家を分ける重要4項目を抽出し、その頭文字から「LOST」と名付けた、ギャンブル依存症自己診断ツールを開発しました。

  • Limitless:ギャンブルをするときには予算や時間の制限を決めない、決めても守れない
  • Once again:ギャンブルに勝ったとき「次のギャンブルに使おう」と考える
  • Secret:ギャンブルをしたことを誰かに隠す
  • Take money back:ギャンブルに負けたときすぐに取り返したいと思う

直近1年間のギャンブル経験にあてはめ、上記4項目のうち2つ以上が「はい」という回答の場合、ギャンブル依存症の危険度が高いと考えられます(田中紀子、松本俊彦、森田展彰、木村智和「病的ギャンブラーとギャンブル愛好家とを峻別するものは何か:LINEアプリ・セルフスクリーニングテストを用いた病的ギャンブラーの臨床的特徴に関する研究」日本アルコール・薬物医学会雑誌 53 (6) 264-282、2018年)。

■ギャンブル依存症問題を考える会■

https://www.scga.jp/

以上(2024年12月作成)
(監修 弁護士 田島直明)

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画像:ChatGPT

【人事はつらいよ】病気の社員をサポートしたいのに、社内での情報共有が違法?

1 社員の体調を思えばこそ、情報共有したいのに……

最近、元気がないAさん。上司のB課長が心配して理由を聞いてみました。最初は「大丈夫です」としか言いませんでしたが、B課長が「でも体調が悪そうだよ?」と聞くと、Aさんはしばらく沈黙した後、小さな声で答えました。「実は○○という病気なんです。でも重い病気じゃないので大丈夫です。放っておいてください」

ある日、出張に出ることになったB課長は、Aさんの先輩であるCさんに伝えました。

「ここだけの話だけど、Aさんが○○という病気らしい。Cさん、私が出張に出ている間、Aさんのことを気遣ってあげてくれ。具合が悪そうだったら早めに帰すようにね」

数日後、B課長が出張から帰ると、Aさんが詰め寄ってきました。どうやらB課長の出張中、Cさんが、体調の優れないAさんを帰そうとした際に、「B課長から病気については聞いているから」と口を滑らせてしまったようです。

「なんで病気のことを勝手にCさんに話したんですか? 知られたくなかったのに……。個人情報を勝手に話すなんて非常識です!」

B課長はAさんの気持ちも分かる一方で、どこか釈然としません。

「病気が機微な情報なのも、知られたくないのも分かる。でも、私が出張中、Aさんに万が一のことがあったら困るから、Cさんにだけ伝えてフォローをお願いしたんだ。それもダメなのか? 個人情報は社員の健康よりも大事なの?」

2 個人情報と社員の健康、結局どちらが優先?

個人情報保護法では、

「要配慮個人情報」という取り扱いに注意を要する極めて機微な個人情報については、原則として本人の許可を得ずに、第三者に提供してはならない

とされています。社員の健康に関する情報であれば、次のようなものが要配慮個人情報に該当します。

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一方、労働契約法には、

「安全配慮義務」といって、社員が安全で健康に働けるよう配慮すべきという会社の義務

が定められています。体調の優れない社員を早く帰らせたり、軽い業務に転換させたりするのもこの義務の一環で、当たり前ですが、見て見ぬふりをするといった対応は許されません。

冒頭のAさんの事例は、詰まるところ「要配慮個人情報の保護と安全配慮義務はどちらが優先されるのか」という問題なのですが、ざっくり言うと、

どちらも同じくらい重要で、原則、両立させなければならない

ということになります。

3 社員の許可を得て、必要最小限の情報のみを共有する

社員の病気について本人の許可なく、第三者に提供していいのは、例えば、

社員が病気で倒れ、医師に病名を告げないと生命の危険がある

など、緊急性の高いケースに限定されます。逆にこうしたケースでなければ、本人の許可なく、第三者に話すべきではありません。ですから、冒頭の「B課長がAさんの許可なく、病名をCさんに伝える」という対応は、たとえAさんのためであっても法令違反になる可能性があります。

では、要配慮個人情報の問題をクリアしつつ、安全配慮義務を果たすにはどうすればよいのでしょうか。ポイントは、

社員本人の許可を得て、業務をサポートする上で必要最小限の情報のみを共有すること

です。細かい説明は一旦置いておいて、まずは図表2を見てください。冒頭のB課長が、Aさんからサポートに必要な情報をヒアリングする際の会話の例です。

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図表2の会話の赤字部分に注目してください。重要なのは次の3点です。

  1. どんな病気かではなく、労務を提供できる状況かを確認することを意識する
  2. 会社には安全配慮義務、社員には自己保健義務があることを伝える
  3. 必要最小限の情報を、必要最小限の社員にのみ共有する

1.どんな病気かではなく、労務を提供できる状況かを確認することを意識する

図表2では、B課長がAさんの病気の話を聞いて、まず「仕事をするのに支障がないか」を確認しています。前述した通り、要配慮個人情報は極めて機微な情報です。「どんな病気か」という視点で情報を収集しようとすると、不要な情報まで詮索してしまう恐れがあるので、「労務を提供できる状況かを確認する」という意識で、必要最小限の情報のみを収集します。

2.会社には安全配慮義務、社員にも自己保健義務があることを伝える

図表2では、仕事への支障について話したがらないAさんに対し、B課長が安全配慮義務と自己保健義務の存在を伝えています。要配慮個人情報は、本人の許可なく収集できないので、自発的に話してもらう必要がありますが、「話したくないなら話さなくていい」というスタンスだと情報を得られないので、「社員の健康を守る」ことに対する会社の本気度を伝えます。

3.必要最小限の情報を、必要最小限の社員にのみ共有する

図表2では、B課長が「Cさんには病気のことを話さず、Aさんをフォローする上で必要な措置だけを話す」と言っています。社員のサポートに支障がなければ、病気に関する情報は話しません。必要な措置について共有する相手も、社員のフォローに関わる人だけに限定します。共有する情報量や相手が増えてしまうと、社員の病気に対する臆測が飛び交ったり、腫れ物に触るような雰囲気が広がったりする恐れがあるからです。

今回は少し難しい問題を取り上げました。社員の健康を守ることは会社の義務ですが、そのために知られたくない個人情報が周囲に伝わり、会社に居づらくなってしまうようなことは避けなければなりません。逆もまたしかりです。

以上(2024年12月更新)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 平田圭)

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画像:metamorworks-shutterstock

【朝礼】来たる巳年は「周囲を呑み込む気迫」を持とう

【ポイント】

  • 蛇には、「たとえ小さな存在であっても、自分は人には負けない」という気迫がある
  • 「自分が正しいと思うことについては、堂々と主張する気迫」を持ってほしい
  • 仮に主張が受け入れられなくても、「自分に何が足りなかったのか」を学ぶことができる

皆さん、おはようございます。12月になり、今年も残すところあとわずかです。少し気が早いですが、来年の干支は「巳(み)」、つまり蛇です。蛇というと、おどろおどろしい模様の毒蛇などをイメージして、身構えてしまう人もいるかもしれません。ですが、蛇は嫌われることも多い一方、多くの土地で、霊性をそなえた神聖な存在として扱われてもきたのです。

そんな蛇にまつわることわざに「蛇は寸にして人を呑(の)む」というものがあります。「蛇は一寸ほどの小さなものでも、すでに人を呑もうとする気迫がある」という意味です。本来は、優れた人物が、幼い頃から抜きんでた才能を示すことの例えとして使われるのですが、今回はそこではなく、「一寸の蛇」という部分に注目してください。

一寸は約3センチメートル、人を呑み込めるような大きさではありません。ですが、それでも蛇は「たとえ小さな存在であっても、自分は人には負けない」という気迫を持ち、堂々としているのです。どうでしょう、少し蛇に対するイメージが変わってきたのではないですか?

さて、私が来年、皆さんにぜひ意識していただきたいのが、「周囲を呑み込む気迫」を持つことです。皆さんの誰もが、上司や顧客の意見、会議の雰囲気などに流され、自分の言いたいことを主張できずに終わってしまった経験があると思います。かくいう私自身にもあります。

ですが、周囲に流されるばかりでは、皆さんの成長はそこで止まってしまします。だからこそ、自分が正しいと思うことについては、勇気を出して堂々と主張してほしいのです。もちろん仕事ですから、単なるわがままになってはいけませんし、皆さんの主張が常に受け入れられるとは限りません。ですが、それもまた皆さんが「自分に何が足りなかったのか」を学び、成長するチャンスです。

蛇は、脱皮を繰り返すことから「変化と再生」の象徴とされています。「自分はこれを成し遂げたい」という気迫を持って仕事に臨み、失敗してもめげずに立ち上がる。2025年はそんな「挑戦を繰り返す年」にしてください。来年、気迫のある皆さんに会えるのを楽しみにしています。

以上(2024年12月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

「じゃがいも×マーケティング」の世界史~食文化で歴史を変えたフリードリヒ2世の秘策とは?

1 もし、あの国がひとつの会社だったとしたら…

高校の授業で習った世界史……。もう記憶の彼方という人も多いでしょうが、社会人になってから学び直してみると、意外と高校生だったあの頃より面白く感じるものです。なぜなら、

世界史を知れば知るほど、「会社」と「国家」がよく似ていることに気が付く

からです。となれば、世界史上の出来事から何か学べることもあるはず……。この記事では「国家」を1つの「会社」に例え、世界史上の出来事を紹介します。今回取り上げるのは、現ドイツの原型になった国家「プロイセン」が、18世紀に行ったマーケティング戦略です。詳細は後述しますが、このプロイセンは会社に例えるなら

新しい食材を世界に流通させたいと考えている商社

です。現代でもタンパク質危機(プロテイン・クライシス)を解決しようと、昆虫食や植物性タンパク質の食品を開発する会社がありますが、それとも似ているかもしれません。

(注)この記事は巻末の参考書籍を基に作成していますが、世界史上の出来事などについて諸説ある内容が含まれます。あらかじめご了承ください。

2 フリードリヒ2世が打ち出した新商品「じゃがいも」

プロイセンは、土壌が痩せている地域が多く、元来収穫に乏しい国でした。そして、18世紀のヨーロッパでは飢饉(ききん)が頻繁に起きており、食糧問題は国民にとっても国家にとっても喫緊の課題でした。そこで、「早急になんとかしなければ!」と立ち上がったのが、

プロイセンの国王・フリードリヒ2世

です。

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フリードリヒ2世は、別名「フリードリヒ大王」とも呼ばれる偉大な王様。会社で例えるなら“敏腕経営者”です。

そんな彼が新たな主食として目をつけたのは……なんと「じゃがいも」

でした。

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現代に生きる私たちにとってはごくありふれた食材ですが、実は

当時のヨーロッパでは、じゃがいもの主な用途は「食用」ではなく「観賞用」だった

のです。私たちが食べるのは、地中にあるじゃがいもの「茎」の部分ですが、当時の人々はそこには見向きもしませんでした。むしろ、じゃがいもの「芽」などが有毒であるという理由で、

「食べると病気になる! 不純な植物だ! 悪魔の食べものだ!」

など、散々なことを言っていたのです……。

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しかし、じゃがいもは

冷涼で痩せた土地でも良く育ち、しかも茎の部分は栄養たっぷりの万能な食材

です。このことを知った“敏腕経営者”フリードリヒ2世は、プロイセンの食糧事情を立て直すため、じゃがいもを「食べ物として普及させよう!」と奔走します。

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3 成功のカギは「ブランディング」にあった!

とはいえ、食文化はそう簡単に変えられるものではありません。フリードリヒ2世は

自らじゃがいもを毎日美味しそうに食べてみせたり、国中を回ってじゃがいもの魅力を伝えるキャンペーンを実施したりしますが、ただ知名度が上がっただけ

で、食べ物としてはなかなか普及しませんでした。

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では、どうやってじゃがいもを普及させたのでしょうか? その答えは

現代にも通じるマーケティング戦略「ブランディング」です。フリードリヒ2世はなんと、じゃがいも畑を「立派な装備の軍隊に守らせた」

のです。

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噂はたちまちに広がり、国民は

「王様があそこまでして守るじゃがいもって何……?」

「そんなに貴重で美味しいものなの……?」

と好奇心を煽られ、段々じゃがいもに心惹かれていきました。その結果、プロイセンでは当時のヨーロッパではいち早く、じゃがいもが食ベ物として普及していったのです。

4 「じゃがいも×マーケティング」で歴史が変わった

じゃがいもは、

国民の食べ物として普及しただけでなく、「豚の飼料」としても活躍

しました。じゃがいもは冬の時期でも保存しておけるので、厳しい冬でも家畜に餌を与えることが可能になり、人々はいつでも肉を食べられるようになったのです。その結果、

プロイセンではじゃがいも&豚肉料理(ソーセージやベーコンなど)という、現代のドイツ料理に象徴されるような食文化が生まれ定着

していくことになります。

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美味しくて安定した食事は国力の増強につながり、

プロイセンはやがて、“ライバル会社(周辺国家)”を次々にまとめ上げて“グループ会社”とし、現代における「ドイツ」という“大会社”を作るに至った

のです。仮にフリードリヒ2世が、じゃがいものマーケティングに失敗していたら、今のドイツは存在していなかったかもしれません。

現代においても、

「ブランディング」はマーケティングの基本

です。“敏腕経営者”フリードリヒ2世は、「じゃがいもは価値のあるものだ」という意識を“消費者(国民)”に植え付けることに成功し、“会社”を大きく育てたということです。現代の日本に生きる私たちが、

「主食を米から謎の植物に変えろ!」

と言われたら、きっと戸惑いますし、誰も見向きもしないかもしれません。新しい商品やサービスを売り出す際、斬新なものほど世間に受け入れられにくいというのは世の常ですが、食文化をひっくり返したフリードリヒ2世のことを考えれば、

結局のところ「モノは売り方次第である」ということ

が分かります。

【参考文献】

「世界史を大きく動かした植物」(稲垣栄洋(著)、PHPエディターズ・グループ、2018年7月)

以上(2024年12月作成)

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画像:イラストAC・写真AC

中小企業における子育て・介護支援の最新動向

令和7年4月に施行される育児・介護休業法の改正のなかには、育児休業取得状況の公表義務対象となる企業規模の変更も含まれ、これまでの「従業員数1000人超の企業」から「従業員数300人超の企業」へと大きく拡大されます。本稿では、今から準備を進めておきたい育児・介護関連の法改正について、その概要と対応のポイントをまとめます。

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年末年始に家族の集まるタイミングで相続について考えよう

親や兄弟姉妹と集まることが多い年末年始。普段話しづらい話題でも家族全員で顔を合わすからこそ話せたり、考えを確認できたりということがあるかと思います。
ぜひこの時期に、家族が将来どうしていくのがより良いか、対策も含めて相続について考えてみませんか。

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脱炭素機器のリース料を補助! ESGリース促進事業のご紹介

中小企業等を支援する国や自治体の補助金・助成金事業では、雇用・人材開発・IT補助・コロナ支援など幅広いジャンルの支援があります。
本レポートでは、おすすめの補助金・助成金について支援の内容や対象条件、申請方法等についてわかりやすく紹介します。

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自社の魅力をアップさせるためには?~戦わない人材採用のススメ~

1 自社の魅力度アップについて

前回は、効果的な「自社の魅力」の伝え方についてご紹介しました。「具体的かつストーリーとして伝える」と「相手を知る」の2つがポイントでした。何だったかしら?という方は今回のテーマにもつながっていますので、是非前回の内容をもう一度ご確認いただきたいと思います。

さて今回は、どうやって「自社の魅力」をアップさせるのか、についてご紹介します。もちろん、今でも十分な魅力があるものの求職者に上手く伝えられていないことに課題のある会社もあると思います。その場合は、後程あらためてご紹介しますが、まずは自社のホームページ(以下、HP)を見直していただきたいですし、求職者向けの会社案内の作成などにも取り組んでみてください。

しかしながら、「自社には十分な魅力がある」と言い切れる会社は少数派であり、魅力が無い(少ない)、他社と差別化できるような魅力が無い(少ない)と思っていらっしゃる会社が多数派ではないでしょうか?そのような会社に向けて、自社の魅力をどうやって作ってアップさせていくのか、という点についてお伝えさせていただきます。

2 どのような魅力をアップさせるのか

前回の記事の中で、魅力は大きく分けて、商品や仕事内容などの①「仕事の魅力」、給与や福利厚生などの②「待遇」の魅力、人間関係やオフィスなどの③「環境」の魅力の3つに分けられるとお伝えしました。

「自社の魅力」整理表

どのような魅力をアップさせるのかについては、自社が採用したいと考える人材を想像していただいて、その人材がどんな価値観を持っていて何を重要視するかを考えていただくことがスタートとなります。例えば、仕事に対して熱意を持ったエネルギッシュな人材を採用したいと考えているのであれば、①「仕事」の魅力をアップさせることが重要になりますし、周りの社員と強調してチームワーク良く働ける人材を採用したいと考えているのであれば、③「環境」の魅力の中の「人間関係」に関する魅力をアップさせていくことが重要になってきます。

すべての項目にわたってまんべんなく魅力度をアップさせようとするのではなく、採用したい人材が重要視する項目を想定して、優先順位を付けて取り組んでいただきたいと思います。また、取り組みにあたっては、簡単にできることもあれば、例えば費用的な問題で、やれば魅力度がアップするのは間違いけれど、そう簡単にはできないこともあります。ただし、例えそのようなことであっても「予算的に無理」と簡単にあきらめるのではなく、それほど予算はかけなくても少しでも魅力度をアップさせる方法はないかと考えてみてください。

3 魅力度アップの方法

魅力度アップの具体的な方法については様々なことが考えられますが、ここでは2つの具体例をご照会します。

一つ目は、例えば③「環境」の魅力の中で「オフィス」についての魅力度を上げたいと考えた場合、事務所が古いので建て替えたいと思ってもそう簡単にできることではありません。しかしながら、建て替えは無理でも、例えばトイレだけなどの限定的な内装工事であっても、工夫すれば大きな魅力度アップにつなげることができるかもしれませんし、極端な話、整理整頓や清掃を徹底的にやることで、建て替えと同じレベルは難しいと思いますが、少しは魅力度のアップにつながるのではないでしょうか。

二つ目は、②「待遇」の魅力の中で「休日・休暇」についての魅力度を上げたい場合、休日(会社自体のお休み)の数を増やせば魅力度アップに直結しますが、業務の事情やお客様との関係もあってそう簡単に休日を増やすことはできません。そんな場合は、新たな休暇(社員が申請して個別にお休みする)の導入を検討していただいてはどうでしょうか?一番有名な休暇はご存知の通り年次有給休暇です。この休暇は労働基準法に基準が定められていますので、会社の意向に関わらず一定の基準を満たす社員には付与する必要があります。それとは別に「特別休暇」というものがあります。こちらは法律上付与しなければならない義務はありませんが、多くの会社ではいわゆる慶弔休暇的なものが定められていると思います。例えば、本人が結婚する場合は3日間、父母が亡くなった場合は5日間などとしています。これらに加えて、例えば「アニバーサリー休暇」や「リフレッシュ休暇」などを導入します。このような特別休暇を充実させることは、ワークライフバランスを重視する今どきの若者に響く可能性が高いです。もっと言うと、例えば「ペット忌引き休暇」や「失恋休暇」など、話題性のある休暇を設け、求人票やHPに掲載すれば、「社員のことを大切に考えている会社」ということを上手にアピールすることができます。

このように、単に「お金をかけて何かする」いうよりは他社との差別化の観点からも、社員さんからアイデアを募集し社員参加型で会社の魅力度アップにつなげていくことも考えてみてください。このような取り組みは既存の社員さんにとっても、「会社がより魅力的な会社になろうと努力している」と感じられて、定着率のアップにもつながると思います。

4 魅力の効果的な発信

さて、魅力度アップの方法についてはご理解いただけたでしょうか?あまり難しく考える必要はありませんので、社員の皆さんで、ワイガヤで話し合っていろんなアイデアを出していただくことで、楽しく取り組むことができます。

最後に、魅力の効果的な発信についてお伝えします。いくら素晴らしい魅力があったとしても、それが求職者に伝わらなければ(採用の観点では)意味がありません。効果的な発信方法は沢山考えられますが、その中でも中心となる2点についてお伝えさせていただきます。

まず1点目は自社のHPです。スマホが普及した今日では、何かあればスマホで調べるというのが一般的になっており、求職者もスマホ(又はパソコン)を使い求人票などを見て自分に合った会社を探しています。そして、「ここちょっと良いかも」と思ったら、まず間違いなくその会社のHPを見に行きます。そこで、どんな会社なのかをより詳しく知ろうとします。

よって、一般的な会社概要や商品紹介とは別に採用専用のページを設けていただき、求職者に自社の魅力をしっかりと伝えられるようなものにしていただきたいと思います。そこでのポイントは「画像」と「動画」です。「百聞は一見にしかず」ということですが、「当社の人間関係は良好です!」と文字で訴えるよりも、社員の皆さんが活き活きと仕事をしている姿や食事会や社員旅行の画像を載せる方がより伝わります。また、社員さんの声(インタビュー)などであれば、文字で伝えるよりも動画で伝えた方がより真実味がありますし、その雰囲気まで伝えることができます。動画は長いものは敬遠されがちなので、長くても2~3分のもので十分です。もちろん、動画の作成にあたっては専門業者さんに依頼するのが理想ですが、当然コストもそれなりに掛かりますので費用の捻出が難しければ、今はスマホのアプリなどで簡単に動画が作れますので、得意な社員さんにお願いしていただき、是非チャレンジしてみてください。

2点目は、求職者向けの会社案内の作成です。こちらについては、実際に興味を持っていただいた応募者に対する説明や、人材の紹介をお願いする際に使用するイメージのものです。皆さんの会社でも一般的に自社を紹介する会社案内は作成されていると思いますが、求職者向けに特化した会社案内の作成をお勧めします。この中に求職者に伝えたい自社の魅力をしっかりと掲載していただき、その他、自社の経営理念やビジョン、社員の声、募集要項などを記載します。興味を持っていただいた応募者に対して、この会社案内を使い、まずは自社のファンになっていただき「是非この会社で働きたい」と思わせてから、こちらが選考に入るイメージです。ここがしっかりできるかどうかが入社後の定着率にも影響してきますので、こちらについてもプロジェクトチームなどを作って作成されるのが良いと思います。また、注意点としては、良いことばかりではなく良くないこと(例えば、残業がある、休日出勤がある、休憩室がない)などの、入社後のギャップ(こんなはずじゃなかったという点)になりそうな点についてもしっかり伝えることが重要です。ただし、良くない点については、同時に現在取っている対策(例えば、早帰りデー、振替休日、休憩時間は外出OK)も記載していただくと会社の社員に対する姿勢も伝わり、より魅力をアピールすることができます。

大きな会社は採用にかけられる予算もふんだんにあるのでしょうが、中小企業はそこで勝負しても勝ち目はありません。「戦わない人材採用」の観点で、今回ご紹介した取り組みは、どれも工夫次第でそんなに多額な費用をかけなくても取り組むことができます。また、社員さんと一緒に取り組むことで会社全体のモチベーションアップにもつながりますので、是非積極的に取り組んでみてください。

以上(2024年12月作成)

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画像:photo-ac