【朝礼】趣味がないなら、ボランティアをやってみなさい

私は日ごろから皆さんに、「仕事以外の趣味に費やす時間を大切にしてほしい」と伝えています。それは、没頭できる趣味というのは人生を豊かにするし、職場以外の場所で得た経験というのは、仕事に活かせることも多いからです。

けれど、残念ながら当社には、「趣味は特にありません」という社員が少なくありません。そんな人にお勧めしたいのが、ボランティアです。

知っている人もいると思いますが、私はここ数年、休日を利用して地元の老人ホームで、「傾聴ボランティア」というものをやっています。75~90歳の幅広い年齢の方々から、これまでの体験や日々思っていることを伺うのです。

老人ホームの方々はご高齢なので、聞き取りが難しく、普段の会話よりも時間がかかります。けれど、戦中戦後の体験や私が生まれる前の地元の話を伺うと、驚きや感動があります。

また、老人ホーム内の恋の話を聞くと、いつになっても恋は人を元気にさせるものだなと感心するとともに、「老人ホームの方々に比べたら、私は若輩者。もっと若い気持ちでいなければ」と励まされることがあります。

歌が好きでいきなり歌い出す方や、お手玉が得意で80歳を過ぎて4つ、5つ投げられる方もいて、ヒヤヒヤしつつ、楽しく充実した時間を過ごせます。最後には皆さんからとても感謝されますので、うれしさと満足感を覚えて、気分もリフレッシュします。

そして、最初にお話ししたように、ボランティアは単に人生を豊かにするだけでなく、仕事に活かせることもたくさんあります。

老人ホームでの体験談は、誰もが関心を持って聞いてくれるので、仕事の打ち合わせの際のアイスブレークとして非常に役立っています。また、人生の先輩方のお話から、新しいビジネスのヒントを得ることもあります。

例えば、指が震えてスマホの画面を上手にタップできないとか、箸でうまく食べ物が持てないといった話を聞くと、手入力ではなく音声入力の精度を高めるスマホや、ピンセットのようなバネ付きの箸があるといいなとか、思いますよね。目の前で困っていることがあると、解決してあげたいと思うのが人情で、そういう目線で見ると、高齢者というのはアイデアの宝庫ともいえます。すでに商品化されているものも多いですが、このように、ボランティアの最中にビジネスに関するアイデアがひらめくことがよくあります。さらに、同じボランティア仲間を通じた人脈づくりも進んでいます。

どうでしょう? ボランティアは皆さん自身にとっても、会社にとっても、メリットがあると思いませんか? 社内で学んだことができるようになるだけでは、会社にとって新たな力にはなりません。けれど、皆さんが社外で学んだことを社内に持ち込んでくれれば、会社は新しい力を得ることができ、もっと成長するはずです。 

以上(2022年10月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】あなたの仕事力を決めるのは「段取り力」です

皆さんは「段取り7分・仕事3分」という言葉を知っていますか。これは仕事のできる大工さんの条件で、「腕の良い大工は、段取り7分・仕事3分」といわれるそうです。能率的で、良い仕事をするためには、事前の段取りが大切であり、段取りをしっかり組める人こそが、腕の良い大工さんであるということです。確かに、大工さんに限らず、仕事ができる人というのは、仕事前のちょっとした時間を使ってうまく段取りを組んでいるものです。段取りが上手な人と一緒に仕事をすると、自分もテキパキと動くことができ、大変だと思われた仕事もあっという間に片付いてしまったという経験はみなさんもあるのではないでしょうか。

段取りを上手に組める能力を「段取り力」といいます。皆さんにも段取り力を上げていただいて、こうした「段取り上手な人」になってもらいたいと思っています。そこで、今日は、私なりの段取り力向上のためのコツをお伝えしようと思います。簡単なことですので、ぜひ、参考にしてみてください。

それは、「常に逆算して段取りを組む」ということです。仕事には必ず「いつまでに終わらせなければならない」という期限があります。ですから、期限から逆算して、それぞれの仕事をいつスタートすれば間に合うかを判断した上で、それらを整理しながら段取りを組むのです。

「そんなの、当たり前のことじゃないか」と思うかもしれません。確かに、これは社会人としてのイロハのイです。しかし、肝心なのは、ただ「逆算して段取りを組む」ことではありません。これが「常にできる」ことこそがこのコツの要点となる部分です。毎日の仕事は、上司からの指示、お客様からのクレームへの対応など、急な用件が次々と入ってきます。このように、あわただしく仕事をしているときにこそ、皆さんの段取り力の真価が問われます。

段取り力の足りない人は、急な仕事が重なると、余裕を失って「逆算して段取りを組む」ことができなくなってしまいます。そして、気持ちばかりが焦って、「とにかく仕事を片付けなければ」とバタバタと目の前の仕事から片付けようとするでしょう。しかし、段取りを忘れたこんな仕事の進め方は、思うようにはかどらない上にミスも発生して、能率が悪いことこの上ありません。

一方、段取り力の高い人は、どんな状況でも焦らず「逆算して段取りを組む」ことを忘れません。ですから、忙しいときでも、次から次へと着実に仕事をこなしていくのです。

「私は、バタバタしがちだな」。そう思う人は、忙しいときに、仕事から離れて5分程度の短い休憩を取るようにしてください。すると、焦っていた気持ちが落ちつくはずです。そうしたら、「常に逆算して段取りを組む」ということを思い出して、冷静な頭で仕事の段取りを組んでみましょう。

すると、その仕事がどんなに大変であったとしても、今まで以上に能率的にこなせるようになるはずです。

以上(2022年10月)

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画像:Mariko Mitsuda

居眠り運転防止に向けて(2022/10号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

秋の行楽シーズンを迎え、長時間の運転も増えるのではないでしょうか。そこで気を付けたいのが居眠り運転です。運転中に眠気を経験したドライバーも多いと思いますが、運転中の居眠りは重大な事故を招きかねず大変危険です。

今回は、居眠り運転の原因と防止策について取り上げます。

居眠り運転防止に向けて

1.居眠り運転の原因

居眠り運転は、危険への注意や回避ができず、死亡事故など重大事故につながる可能性があります。では、なぜ居眠り運転をしてしまうのか、主な原因を考えてみましょう。

(原因1)睡眠不足

まず最初に睡眠不足があげられます。睡眠は7時間程度が理想と言われています。睡眠時間が短くなるほど事故発生率が高まります。 (図1)

また、睡眠不足が続くと、疲労が蓄積し、居眠り運転や漫然運転を誘発し、信号の見落としや追突事故などを起こしかねません。

睡眠時間による事故発生率

出典:米高速道路交通安全局と全米自動車協会交通安全財団の調査データから当社作成

(原因2) 眠気のリズム

人には12時間周期の眠気のリズムがあり、2~4時と14~16時(起床から8時間後)は眠気が強くなる時間帯です。また、人の生体リズムにより夜半~早朝は眠くなる時間帯です。居眠り運転での死亡事故は
これらの時間帯に多く発生しています。(図2)

なお、これらの時間帯は交通量が比較的少なくなるため、ドライバーは単調な運転になりがちです。

居眠り運転死亡事故の発生時間帯

出典: (警察庁委託調査研究)「睡眠障害と安全運転に関する調査研究報告書」(平成19年3月)から当社作成

(原因3)道路状況

人は単調な環境のもとでは2時間ごとに眠気を感じると言われています。居眠り運転は、空いている道路や直線道路で多く発生しています。(図3)

高速道路などを長時間運転する場合は、居眠り運転に十分注意する必要があります。

居眠り運転発生時の道路状況

出典:公益財団法人 高速道路調査会 平成27年3月「高速道路での居眠り運転防止に向けた効果的な対策に関する調査研究報告書」

2.居眠り運転の防止策

居眠り運転を防ぐには、日頃から適度な睡眠を確保することが大事です。

規則正しい生活を送ることで質の良い睡眠を取ることができます。また、睡眠不足で蓄積した疲労は、睡眠をまとめて取得しても解消しにくいと言われています。

日頃から生活のリズムを意識して、睡眠を7時間程度取得するようにしましょう。

睡眠を確保

運転中に眠気が生じた場合は、以下のような対策をお薦めします。

・仮眠(15分程度)を取得

運転中の眠気の解消には15分程度の仮眠の取得が効果的です。

仮眠が30分以上になると深い眠りに入り、逆効果になりますので注意しましょう。

仮眠を取得

・カフェイン(コーヒーなど)を摂取

カフェインには疲労回復、集中力向上、眠気抑制などの効果があると言われています。ただし、効果が現れるまでに15分程度かかります。

仮眠の前にカフェインを摂取するのもよいでしょう。

カフェインを摂取

・ガムを噛むなど五感を刺激

ガムを噛むと脳の血行が良くなり、眠気を抑えられます。目薬をさす、水を飲む、ストレッチをする、声を発するなど五感を刺激することで眠気を抑えられます。

・長時間運転する場合は、こまめに休憩

長時間の運転では、2時間ごとに眠気が生じやすくなります。この生体リズムを意識して、無理をせず、こまめに休憩するようにしましょう。

3.睡眠時無呼吸症候群

眠気対策をいろいろ試しても、日中に強い眠気を感じる場合、「睡眠時無呼吸症候群」の可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道が塞がれ、いびきや無呼吸を繰り返す症状があり、その影響で日中に強い眠気を感じ、居眠り運転が発生しやすくなります。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に症状が現れるため、本人では気づきにくい病気と言われています。家族からいびきを指摘されたり、日中に強い眠気を感じるようになった場合は、早めに専門医の診断を受けるようにしましょう。

早期発見で適切に治療をすれば、症状の改善が期待できます。

【参考】

公益財団法人 国際交通安全学会のビデオアーカイブのサイト内にある以下の動画をご紹介します。

  • 「睡眠時無呼吸症候群運転絵巻」
  • 「睡眠時無呼吸症候群と交通事故」

https://www.iatss.or.jp/movie/

以上(2022年10月)

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画像:amanaimages

旺盛なインバウンドを取り込め! 「ウィズコロナ」のお勧め旅行企画とPR手法

書いてあること

  • 主な読者:インバウンドの動向が気になる宿泊業者や新規参入を検討している経営者
  • 課題:訪日希望者が期待する旅行企画を知りたい
  • 解決策:自然や歴史・景観など、地元の特徴を活かしたアクティビティを見つけ、インターネットを利用して訪日希望者にアピールする

1 再開するインバウンドの需要を取り込むために

コロナ禍の外国人受け入れ禁止(2020年12月28日から)などで大きな打撃を受けたインバウンドですが、2022年10月11日から全面解禁となりました。

観光庁によると、コロナ前までのインバウンドは右肩上がりの産業で、2019年の訪日外国人旅行消費額は4兆8135億円に上っていました。いったんはコロナでしぼみましたが、外国人の受け入れが本格化すれば、再び大きな経済効果をもたらしてくれるはずです。

この記事では、「ウィズコロナ」の状況下での、

  • インバウンドのニーズを知り、需要を取り込む企画作り
  • 訪日意欲の強いインバウンドに届けるプロモーション

について解説し、インバウンドの需要を中小企業が取り込むための企画や方法を紹介していきます。

2 インバウンドのニーズを知り、需要を取り込む企画作り

1)体験したいことは、「アウトドア・アクティビティ」や「自然や風景の見物」

外国人が日本旅行で体験したいことは、新型コロナウイルス感染拡大前と比べて変化があります。日本政策投資銀行(DBJ)・日本交通公社(JTBF)の調査によると、最も大きな変化は、「アウトドア・アクティビティ」や「自然や風景の見物」など、自然への興味・関心が高くなっていることです。

訪日希望者が日本旅行でしたいこと×コロナ流行前からの変化

また、新型コロナウイルス感染拡大を契機として、都心のホテルより自然環境に触れる旅行地のニーズが高まっている傾向もみられます。

2)持続可能な観光への意識が高まっている

海外旅行を検討する際、サステナブルな取り組みを重視する意向も強まっています。日本政策投資銀行(DBJ)・日本交通公社(JTBF)の調査では、サステナブルな取り組みによる宿泊単価の値上げに対して、全体の7割に許容の意向があります。

値上げが許容できる取り組みの具体例としては、「ゴミの分別・削減」、「食料廃棄の削減」、「公共交通機関の利用」、「プラスチック利用の自粛」などの環境への影響に加えて、「地域ならではの精神性の体験」や「地元の人との対話・交流」といった地域のコミュニティや歴史・風土に関わるものもあります。

また、観光庁が旅先での過ごし方について尋ねた調査では、回答者の約7割が「現地の文化を代表するような本格的な体験」や「旅行中に使ったお金を現地コミュニティに還元」に意欲を示しています。

旅先での過ごし方

3)地域の特徴を活かしたアクティビティを企画しよう

ウィズコロナでの旅行は、「アウトドア・アクティビティ」「自然」「サステナブル」がキーワードになりそうです。

これらのキーワードを基にした旅行企画は、大手旅行会社でなくても実現可能です。

例えば、寿司店が自店舗を使って寿司握り体験教室を開く、海外の日本酒ブームに合わせて酒蔵で酒造りを見学する、日本茶の産地で茶葉の手もみ体験をする、日本情緒のある景観が楽しめる場所でのテント泊、山村でのマタギ体験、数百年以上の歴史を持つ神社めぐりなどです。

これらのアクティビティや景観、名所めぐりは、地元では「当たり前すぎて観光資源になることに気付いていない」ものがたくさんあります。他の地域のアクティビティや景観めぐりが紹介されているウェブサイトを参考にするなどして、地元の良さを見つめ直してみるのもいいでしょう。

3 訪日意欲の強いインバウンドに届けるプロモーション

インバウンドを取り込む旅行企画を作ったら、それをPRすることが大切です。どんなに魅力的な旅行企画であっても、プロモーションに失敗すれば「企画倒れ」になりかねません。

海外に向けて発信するのであれば、何より重要なのが、インターネットを活用した、英語などの多言語によるPRです。

1)海外のインフルエンサー(SNSで大きな影響力を持つ人)に協力を呼びかける

海外に影響力を持つ外国人インフルエンサーを活用することで、世界に向けて情報発信することができます。

大田原ツーリズム(栃木県大田原市)は、農村を観光資源として活用し、農家民泊を軸に、地元住民らと交流しながら農作業などを体験する「グリーンツーリズム」を行っています。同社では海外のインスタグラマーやユーチューバーに向けて常に情報提供を行い、イベントに招待して現地向けの情報を発信してもらっているそうです。農作業や伝統的な暮らしの体験、自然を活用したアクティビティなどを、インフルエンサー自らが体験することで、臨場感のある情報発信につながります。

外国人インフルエンサーを活用する際は、インフルエンサーのフォロワーが、PRしたいターゲットと重なっていることを確認しましょう。日本のことを紹介するインフルエンサーのフォロワーの大半が日本人だったりすることもありますので、注意が必要です。事前にターゲットを決めてからインフルエンサーを選定するようにしましょう。

外国人インフルエンサーを紹介してくれる業者の一例は次の通りです。なお、PR会社に相談する場合は、さまざまなノウハウも提供してくれますが、相談料やインフルエンサーへの報酬も必要になります。

1.Tokyo Creative

30人以上の在日外国人インフルエンサーが所属しています。在日外国人ユーチューバーがツアーのスポット選定から、ローカルガイドの魅力発信まで依頼主と共に行うことで集客率の向上を行ったりしています。また、同社は訪日インバウンドのコンサルティングも行っています。

■Tokyo Creative■
https://www.tokyocreative.jp/ja/

2.インバウンドONE

複数のインフルエンサーマネジメント会社とのネットワークを持つ訪日外国人の旅行手配を行っています。海外から来日し取材・体験した上での情報配信や、紹介してほしい商品をインフルエンサーへ送りレビューを投稿してもらうなど、依頼主ごとに対応しています。

■インバウンドONE■
https://www.jointone.biz/

3.共同ピーアール

日本の観光事業を紹介した実績を持つ外国人インフルエンサーとネットワークを持ち、ターゲットの国や言語、タイミングにあわせて最適なインフルエンサーを紹介します。また、専用ECサイトも持ち、投稿記事と連動した商品を案内し、購入してもらうまでの効果も測れます。

■共同ピーアール■
https://www.kyodo-pr.co.jp/

2)アクティビティサイトを利用する

アクティビティサイトを利用してPRする方法です。アクティビティサイトへの初期の掲載費用やページ制作費などがかからない代わりに、サイトを経由して予約があった場合に成果報酬費用をサイト運営者に支払うケースが多いようです。

このため、宿泊施設・小売店などの事業者は、まずは低額のプロモーション費用で反応を試してみることが可能です。また、アクティビティサイトの運営側としても、初期の掲載費用を無料にしてハードルを低くすることで、多様なアクティビティ情報の集積ができます。

アクティビティサイトの一例は次の通りです。

1.アクティビティジャパン

H.I.S.の子会社であるアクティビティジャパンが運営しています。登録事業者数は約6000で、掲載プラン数は1万6000を超えています(2022年8月現在)。H.I.S.の店舗や販売網を使ってアクティビティの紹介・仲介、電話予約も行っています。

掲載に当たっては、初期掲載費用・初期ページ制作費・広告宣伝費用は無料で、同サービスを経由した予約に対して送客手数料・オンライン決済手数料がかかります。

■アクティビティジャパン■
https://activityjapan.com

2.asoview!(アソビュー)

アソビューが運営しています。累計体験人数は1000万人、掲載プラン数は2万を超えています(2018年9月現在)。掲載に当たっては、原稿の登録・作成・修正費用・予約管理システム利用料は無料で、ウェブサイトを経由した予約に対して10%の成果報酬費用が差し引かれます。

■asoview!(アソビュー)■
https://www.asoview.com/

3.Viator(ビアター)

500以上の提携サイトを持つアクティビティ特化のプラットフォームで、サイト訪問者は累計すると4.5億人以上を数えます。また、世界有数の旅行口コミサイトであるトリップアドバイザーの傘下にあり、同サイトに無料で掲載でき口コミを管理できます。

■Viator■
https://www.viator.com/

4 インバウンドが復活する要因

1)高い訪日意欲に加え、円安効果も後押し

観光庁によると、医療崩壊を防ぎ、感染対策と社会活動の両立を図る「ウィズコロナ」のなかで、新型コロナウイルス感染症が落ち着いた後に訪日意欲を持つ人は73.2%に上ります。

ポストコロナの訪問意欲

前出のDBJ・JTBF「アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(第3回 新型コロナ影響度 特別調査)」(2022年)」でも、「次に海外旅行したい国・地域」の第1位は日本でした。

また、円安効果もあります。2019年の米ドル円の為替は、1米ドル=110円程度でした。現在1米ドル=140円台で推移していて、2019年より2割ほどの円安となっています。すでに自国で買うよりも日本で買ったほうが安い状況も生まれているため、外国人の消費意欲が高まっています。

2)国もインバウンド誘致に積極的

インバウンドの掘り起こしには国も力を入れています。観光庁は観光インバウンドの回復を見据えて、「インバウンド回復に向けた戦略的取組」の2023年度の予算要求額を98億7900万円としました。その大半を占めるのが「戦略的な訪日プロモーションの実施」の93億円(2022年度の決定予算は65億4200万円)です。

観光庁の戦略的な訪日プロモーションに向けた取り組み

以上(2022年10月)

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【値上げに成功する交渉術(1)】交渉の本質を知り、交渉に対する恐れをなくす

書いてあること

  • 主な読者:物価高騰で苦戦し、自社も値上げをしようと決意している経営者
  • 課題:組織が交渉に慣れていない。それに、相手が値上げを受け入れるとは思えない
  • 解決策:相手もこちらの値上げを恐れている。合意の意思さえあれば交渉余地はつくれる

1 値上げせずに耐え続けられますか?

「値上げ」ラッシュです。企業間で取引される燃料などの価格を示す「企業物価指数」を見ると、物価高騰が一目瞭然です。

国内企業物価指数と輸入物価指数の推移

国際情勢などを鑑みれば物価高騰は長期化する見通しで、じっとして耐えしのぐのは難しそうです。実際、2022年のいわゆる「物価高倒産」は8月までの累計で過去最多の150件となり、今後さらに増える見込みです(帝国データバンク「特別企画:『物価高倒産』動向調査」)。

物価高倒産件数の推移

今こそ本気で「値上げ」対策を講じなければ、厳しい状況に追い込まれるかもしれません。具体的な対策は、

  • 自社も「値上げ」をして仕入れ費の増加分を吸収する
  • 「コスト削減」をして仕入れ費の増加分を吸収する

となりますが、コスト削減は既に絞れるだけ絞っている状況と思われるため、これからは、

取引相手ときちんと【交渉】して値上げをする

必要があるでしょう。そこで、このシリーズでは、企業間取引を想定した値上げ交渉で勝つための交渉術をご紹介します。

2 交渉に対する考え方をバージョンアップ

値上げ交渉を成功させるために、まず交渉そのものに対する理解を深めましょう。奇妙に聞こえるかもしれませんが、交渉の一番の問題は、「交渉にならない」ことです。交渉に慣れていない人は、自分の要求を、自分が話しやすい順番で一方的に伝え、

  • たまたま相手が受け入れてくれたら交渉成立
  • 相手が受け入れてくれなければ交渉不成立

と判断します。将棋の初心者は、飛車や角をやたらと動かすだけで局面をつくれませんが、交渉もまさにこれと同じ状況になります。

そこで、まずは交渉に対する考え方をバージョンアップしましょう。皆さんが次の姉妹の立場だったら、どのように交渉を進めますか?

1つのオレンジを取り合っている姉妹がいます。姉も妹も、「自分がオレンジを丸ごともらう!」と言って一歩も譲りません。姉妹がけんかせずにオレンジを分け合うには、どうしたらよいでしょうか?

皆さんが考えたのは、

  • 姉:私がお姉さんなのだから80%は欲しいところだけど、70%で我慢してあげる
  • 妹:お母さんに「お姉ちゃんがいじめる」と言いつけるわよ。嫌なら80%をちょうだい

といったものかもしれません。しかし、これでは相手を脅しながら一方的に自分の都合を押し付けているだけです。80%や70%という数字に根拠はないでしょうし、そもそも姉妹がオレンジを80%と20%に完璧に分けることもできません。

では、以下の「交渉の定義」を読んでみてください。いずれも、交渉について書かれた良書からの引用です。

いかにして「複数の利害関係者が寄り沿い、『イエス』にたどり着くか = 全体としてベストな結論を導き出すか」という「合意形成のための説得術」(*)

相手にとって悪くなく、自分にとって願ってもないほどの交渉結果を引き出す(**)

この定義を読むと、交渉に対するイメージが少し変わってきませんか。少なくとも、相手と話し合いをする必要性があることに気付いたと思います。こうした、

「一方的な要求」から「話し合って合意点を探る」になる変化

は、交渉術の進化と同じです。次章で説明します。

3 ゼロサム型からプラスサム型へ。そして自分が得をする

交渉にはゼロサム型とプラスサム型の2種類があります。

ゼロサム型とプラスサム型のイメージ

先に紹介した姉妹の物言いはゼロサム型の交渉の典型です。一方が得をすれば、もう一方は損をするという「Win-Lose」になります。

これを否定したのが、いわゆる「ハーバード流交渉術」です。先に紹介した交渉の定義は、ハーバード流交渉術を取り上げた書籍からの引用です。ハーバード流交渉術が目指すのはプラスサム型の交渉であり、双方が得をするので「Win-Win」と呼びます。今やWin-Winは一般的なビジネス用語で、双方にとって良い結果をもたらそうとするときに使いますよね。

ただ、ハーバード流交渉術には懸念もあります。Win-Winを目指すには互いが腹の中を見せ合う必要がありますが、

  • 自分は交渉相手に手の内(腹の中)を全部見せて大丈夫なのか?
  • 相手が言っていることは真実なのか(こちらをだまそうとしていないか)?
  • 自分のほうがパイを広げるためによく貢献したから、多くの取り分をもらうべきだ!

と考えてしまうわけです。NDA(秘密保持契約)を交わしても、相手への懐疑心を完全に払拭できないため、「Win-Winなんて奇麗事では?」という考えが根強くあります。そうした中で示されたのが、

相手にとって悪くなく、自分にとって願ってもないほどの交渉結果を引き出す

という考え方であり、損得の度合いに差をつけたWin-Winを目指すわけです。つまり、

自分のほうが相手よりも大きな得をしたり、小さな損をしたりすることが交渉の一つのゴール

として示されたわけです。これであれば納得感がありますよね。

4 視野を広げて、値上げ交渉に強い組織になる

交渉の当事者に合意の意思があれば、交渉余地はあります。値上げ交渉も例外ではありません。しかし、交渉に慣れていない人は、

相手が値上げを受け入れるはずがない。だって、相手にメリットはないのだから

と、最初から諦めムードです。こうした人は値上げ交渉に恐怖心を抱いていますし、一方的に値上げをお願いすることしかイメージ

できていないからです。

まず認識しておきたいのは、相手も値上げ交渉を恐れているということです。もしかしたら、

値上げを受け入れないと取引を打ち切られるかもしれない。いくらまで値上げを受け入れるか社内で相談しよう

と考えている可能性もあります。

また、値上げ交渉の論点は「お金」だけではありません。具体的には、

  • 取引規模:取引規模を拡大、あるいは縮小する
  • 取引期間:契約期間をこちらが有利に設定する、あるいは契約継続の条件を提示する
  • 納期:納期を延ばす
  • 品質:品質を落とす
  • プロモーション:取引拡大のため、共同でプロモーションをする

などがあります。

相手がどの論点に興味を示すかは、相手と状況次第です。交渉の相手は、テーブルの向こうに座っている人だけではなく、実に多くの人が関係しています。また、相手の経営環境によっても状況は大きく変わります。一例として交渉関係者を整理すると次のようになります。恐れることなく、幅広い相手から情報を収集することが大事です。

交渉関係者の整理

また、誰と話をする場合も同じですが、特に社外の人と話をする際に肝に銘じておくべきことは、

自分と相手とでは、価値観や規範が全く違う

ということです。こちらの常識は相手の非常識になることもあり、逆の場合もしかりです。このことを念頭に置いて丁寧に話を進めることが前提です。

いかがでしょうか。交渉というものの全体像がつかめてきたでしょうか。次回は、もう少し具体的なものとして、

  • 誰に値上げ交渉を仕掛けるか?
  • いくら値上げすればよいのか?

といった課題を取り上げていきます。

5 (補足)オレンジの交渉の結果

この記事で紹介した姉妹の話は「オレンジの交渉術」と呼ばれる有名なケースです。インターネットで検索すれば「オチ」が分かりますが、ここでオチの一例を紹介します(検索結果などによってオチが違います)。

結局、姉妹はオレンジを2等分しました。一件落着のように見えますが、直後の行動は意外なものでした。

姉は、オレンジの皮を捨て、果肉でジュースを作りました。姉は喉が渇いていたのです。

一方の妹は果肉を捨て、皮でオレンジピールを作りました。妹はケーキを作りたかったのです。

いかがでしょう。「こんなオチなんてずるい」と思われたかもしれませんが、リアルの交渉でも、このように双方の思惑が全く食い違っていることはよくありますよね。

【参考文献】

(*)「ハーバード流交渉術 必ず『望む結果』を引き出せる!」(ロジャー・フィッシャー(著) ウィリアム・ユーリー(著) 岩瀬大輔(翻訳)、三笠書房、2011年12月)

(**)「ハーバード×MIT流 世界最強の交渉術—信頼関係を壊さずに最大の成果を得る6原則」(ローレンス・サスキンド(著) 有賀裕子(翻訳)、ダイヤモンド社、2015年1月)

以上(2022年10月)

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画像:Mariko Mitsuda

女性活躍の実態と情報公表などの義務化

厚生労働省は今年7月、「令和3年度雇用均等基本調査」の結果を取りまとめ、公表しました。この「雇用均等基本調査」は、男女の均等な取り扱いや仕事と家庭の両立などに関する雇用管理の実態把握を目的に、毎年実施されている調査となります。
本稿では、公表された「令和3年度雇用均等基本調査」の概要を紹介するとともに、関連して「改正女性活躍推進法」に基づき義務化される情報公表などの内容をお伝えします。

1 令和3年度雇用均等基本調査

令和3年度は、全国の企業と事業所を対象に、管理職に占める女性割合や、育児休業制度の利用状況などについて、10月1日時点での状況が調査されました。実施された調査結果の一部を次にご紹介します。

〇【企業調査】正社員・正職員の採用状況

令和3年春卒業の新規学卒者を採用した企業割合は 21.3%と、前回調査(令和2年度20.6%)に比べ 0.7ポイント上昇しました。採用した企業について採用区分ごとにみると、総合職については「男女とも採用」した企業の割合が 45.2%と最も高く、次いで「男性のみ採用」が 41.8%となっています。限定総合職では「男性のみ採用」が 49.6%と最も高く、「男女とも採用」は 25.6%、「女性のみ採用」は 24.8%となっています。一方、一般職では「男性のみ採用」が 35.2%、「女性のみ採用」が 32.7%となっており、採用状況にあまり差はみられませんでした。

〇【企業調査】管理職に占める女性の割合

管理職に占める女性の割合は、部長相当職では 7.8%(令和2年度 8.4%)、課長相当職では 10.7%(同 10.8%)、係長相当職では 18.8%(同 18.7%)となりました。規模別にみると、いずれの管理職割合においても 10~29人規模が最も高く、部長相当職の女性管理職割合が 14.0%、課長相当職が 18.2%、係長相当職が 23.8%となっています

〇【事業所調査】育児休業取得者の割合

育児休業取得者の割合は、女性が85.1%(令和2年度81.6%)、男性が13.97%(同12.65%)となっています

2 女性の活躍に関する情報公表の義務化

今年の4月から「改正女性活躍推進法」に基づく一般事業主行動計画の策定・届出と情報公表が、101人以上300人以下の企業にも義務化されました。
前項のような自社の女性の活躍に関する状況について、以下の項目から1項目以上選択し、求職者等が簡単に閲覧できるように情報公表することが必要とされています。詳細は厚生労働省のHPなどでご確認ください。

女性の活躍に関する情報公表

厚生労働省リーフレット「令和4年4月1日から女性活躍推進法に基づく行動計画の策定・
届出、情報公表が101人以上300人以下の中小企業にも義務化されます」(令和4年1月)

3 さいごに

義務化された企業規模は101人以上とされていますが、100人以下の企業でも、女性活躍・両立支援に積極的に取り組み、ポジティブな結果を得ている企業もあります。厚生労働省が紹介している好事例集によると、ガスサービス業の会社において、男性中心の営業部門に女性を積極的に配置することで女性従業員の業務の幅を拡大させ、また昼休みを含め3時間まで中抜けできる中抜け休憩制度や子どもを連れた出勤を可能にすることで、職場の雰囲気が変わり、従業員の満足度が向上し、また女性の新卒応募者も増加する効果が得られたと紹介されています。人手不足が深刻化する中、女性が活躍できる職場への改善取組は、人材の確保・活用の観点で、社内外から高い評価を受けることが期待できますので、積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

※本内容は2022年9月9日時点での内容です

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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画像:photo-ac

女性活躍の実態と情報公表などの義務化

厚生労働省は今年7月、「令和3年度雇用均等基本調査」の結果を取りまとめ、公表しました。この「雇用均等基本調査」は、男女の均等な取り扱いや仕事と家庭の両立などに関する雇用管理の実態把握を目的に、毎年実施されている調査となります。
本稿では、公表された「令和3年度雇用均等基本調査」の概要を紹介するとともに、関連して「改正女性活躍推進法」に基づき義務化される情報公表などの内容をお伝えします。

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【朝礼】習慣を変えて、柔軟な視点を持とう

みなさんは、仕事や普段の生活のなかで「なんとなく行き詰まってしまった」と感じることはありませんか? 仮に、行き詰まりとまではいかなくても、ワンパターンの行動が毎日続き、「自分はいつも同じようなことを繰り返している」と思っている人はいるでしょう。そして、なんとなく毎日の仕事や生活に充実感が感じられないという人もいるのではないかと思います。

そんなときは、考え方が硬直して広い視野でものを見られていない可能性が高いように思えます。

人間は習慣の動物です。ある程度行動を習慣化してしまえば、精神的にも肉体的にも慣れてしまうため、その方が心理的にも楽だからです。運動や勉強など、よいことは習慣づけるべきだといわれるのも、そうすることで楽に続けることができるからでしょう。しかし、こうした人間の心理にこそ、大きな落とし穴があるのです。

実は、仕事にせよ、生活にせよ、あまりにも習慣化が過ぎると、周りで起こる出来事を固定観念でしか解釈できなくなるという弊害が起こってしまいます。先ほど、人間は硬直した考え方にとらわれがちであるといいましたが、言い換えれば、普段の習慣からくる思い込みが考え方の幅を狭め、それが仕事や生活での行き詰まり感や充実感の喪失につながっていくのです。

ここで、みなさんに心がけていただきたいことがあります。それは、自分の固定観念にとらわれずに、柔軟な視点を持とう、ということです。

柔軟な視点を持つといっても、簡単にできるものではないように思えるかもしれません。確かに、それはある意味で人間の心理に逆らうということですから、決してやさしいことではないでしょう。

そこで、私から一つ提案があります。それは、「自分のこれまでの生活習慣を少しだけ変えてみませんか」ということです。例えば、朝少しだけ早く起きて、いつもとは違うニュース番組を見るのもよいでしょうし、通勤のときに通る道を、時々変えてみるのもよいかもしれません。きっと、何か新しい発見があるでしょう。環境が許す方ならば、犬を飼えば、散歩などで以前とは行動範囲が変わってきますし、それまでは気付かなかったペット商品に注意がいくようになるかもしれません。

習慣を変えるのは仕事のときでも構いません。これまで、週ごとにまとめてやっていた伝票処理を毎日行ったり、午後に訪問することが多かったお客様を午前中に訪問してみるなど、お客様や仕事の効率に支障が出ない限り、ちょっとした習慣を変えることで、新しい何かが見えてくると思います。

有名な画家のピカソは、一生の間に何回か作風を大きく変えています。彼は、初期に高い評価を受ける作風を完成させたにもかかわらず、ある段階でそれまでの自分の作風を壊して、全く新しい作風を再構築しました。

これは、固定観念を捨てて柔軟な視点を持てた人の一例だと思います。私たち普通の人であっても、こうした変化を求める意識を少しでも持つことで、新しいものが生み出せるのだと、私は信じています。

以上(2022年10月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】豊臣秀長に学ぶ「支えてくれる人のありがたみ」

今日は、部下を持つ管理職の方々に集まってもらいました。本題に入る前に、まず皆さんにはお礼を言います。皆さんは日ごろ、自分が持っている業務で多忙な中、時間の合間を縫って部下の面倒をよく見てくれています。彼らがしっかりと仕事をこなせているのは、皆さんのおかげです。

ここから本題になりますが、一方で、皆さんに考えてほしいことがあります。それは、皆さんが部下を支えているだけでなく、皆さんも部下から支えられていることを意識してほしいのです。今日はそれを考えてもらうために、戦国時代の武将、豊臣秀長(とよとみひでなが)の話をします。

秀長は、天下を統一した豊臣秀吉の実の弟です。秀吉と同じく農民の出身だったといわれていますが、農民から織田家の家臣になった秀吉にスカウトされ、彼の下で働きます。秀長は、秀吉が明智光秀に勝利した山崎の戦いなど、負けられない重要な戦いに数多く関わっていて、そのたびに与えられた役割を着実にこなし、兄の勝利に貢献してきました。

秀長は秀吉をサポートする補佐役に徹していたため、兄に比べると目立ちませんでしたが、その温和な人柄で多くの人に好かれていて、諸大名と秀吉の間を取り持つ仲裁としての役割、秀吉が行き過ぎた際にいさめるストッパーとしての役割など、彼にしか果たせない仕事を数多くこなしていたようです。だからこそ、秀長が病死した後、豊臣家の雲行きは怪しくなっていきます。

秀長というストッパーを失った後の秀吉は、家臣に理不尽な切腹を命じる、中国侵攻をもくろんで諸大名に朝鮮出兵を命じるなどの失策が目立っていきます。もし秀長の死後に、秀長に代わる人材がいれば、豊臣家が徳川家康に天下を奪われることはなかったかもしれません。

私は、秀吉は秀長に対して、「弟だから支えて当たり前」という甘えもあったのではないかと推測します。もし秀吉が秀長の役割を、一人の部下として評価していたら、秀長亡き後に「第二の秀長」を育てようとしたのではないかと思います。

さて、仕事の話に戻りますが、改めて管理職の皆さんに考えてほしいのは、部下に対して「面倒を見てやっている」「何かをしてやっている」という思いばかりが先行し、彼らへの感謝を忘れてはいないか、ということです。皆さんがいてくれるから部下は仕事をこなせますが、部下の人たちも、ただ与えられた仕事だけをしているわけではありません。彼らもまた、皆さんの指示をさらにかみ砕いて、自分より若手の社員に伝えたり、目に見えないところで皆さんの雑務を引き受けてくれたりしています。そうした1つ1つの働きによって、会社は回っているのです。

私にとって管理職の皆さんはなくてはならない存在であるように、皆さんにとっても部下はかけがえのない存在なのです。私も含め、自分を支えてくれる人のありがたみをかみ締めて、改めて業務にまい進していきましょう。

以上(2022年10月)

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画像:Mariko Mitsuda

【規程・文例集】改正育児・介護休業法に対応した「育児休業等に関する規程」のひな型

書いてあること

  • 主な読者:法改正に対応した「育児休業等に関する規程」のひな型が欲しい経営者
  • 課題:具体的に規程のどの部分を見直せばいいか分からない
  • 解決策:男性社員のための「出生時育児休業」の新設など、5つの改正点を押さえる

1 「出生時育児休業」の新設などを規程に盛り込む

2022年10月1日施行の改正育児・介護休業法により、「出生時育児休業」の新設、「育児休業」の分割取得など、育児に関する支援制度が大きく変わります。すでに2022年4月1日に施行された内容も含めて押さえておきましょう。

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育児・介護休業法では、この他にも子の看護休暇、所定労働時間の短縮、時間外労働の制限など、子どもを養育する社員のための支援制度が多岐にわたるため、育児休業等に関する規程によって整理することが欠かせません。この記事では、図表の改正内容を踏まえた「育児休業等に関する規程」のひな型を紹介します。

2 育児休業等に関する規程のひな型

以降で紹介するひな型は一般的な事項をまとめたものであり、個々の企業によって定めるべき内容が異なってきます。実際にこうした規程を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

【育児休業等に関する規程のひな型】

第1条(目的)
本規程は、従業員の育児休業または出生時育児休業(以下「育児休業等」)、子の看護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、育児短時間勤務などに関する取り扱いについて定めるものである。本規程に定めのない事項は、育児・介護休業法その他の関係法令(以下「法令」)による。

第2条(育児休業の対象者など)
1)1歳に満たない子と同居し、養育する従業員(日々雇われる従業員を除く)が当該子の育児のための休業を希望する場合、本規程で定めるところにより育児休業を取得することができる。期間を定めて雇用される従業員(以下「期間契約従業員」)にあっては、申出時点において、次に該当する場合に限り育児休業を取得することができる。

子が1歳6カ月(第5項の申し出にあっては2歳)に達する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。

2)第1項、第3項、第4項、第5項にかかわらず、会社は別途協定した「育児・介護休業等に関する労使協定」(省略)で定めた次の従業員の育児休業は認めない。

  • 入社1年未満の従業員。
  • 申出日から1年以内(第4項、第5項の申し出にあっては6カ月以内)に雇用関係が終了することが明らかな従業員。
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員。

3)同一の子について、配偶者が従業員と同じ日からまたは従業員より先に育児休業もしくは出生時育児休業を開始している場合、従業員は子が1歳2カ月に達するまでの間、1年を限度として、育児休業を取得することができる。従業員が出生日以後の産前・産後休業を取得した場合は、その期間と育児休業期間および出生時育児休業期間を合わせて1年を限度とする。
4)次の全てに該当する従業員は、子が1歳6カ月に達するまでの間で必要な日数の育児休業を取得することができる。なお、取得開始日は原則として子の1歳到達日の翌日(前項に基づく育児休業の場合は、当該休業終了予定日の翌日)とするが、従業員の配偶者が子の1歳6カ月に達するまでの間に育児休業を取得する場合については、当該育児休業終了予定日の翌日以前の日を開始日とすることができるものとする。

  • 従業員または配偶者が原則として子が1歳に達する日(子の1歳の誕生日の前日をいう)に育児休業を取得していること。
  • 次のいずれかの事情があること。
    a.保育所等に入所を希望しているが、入所できない場合。
    b.従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり、1歳以降育児に当たる予定であった者が、死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合。
  • 当該子の1歳到達日後の期間において、本項における育児休業をしたことがないこと。

5)次の全てに該当する従業員は、子が2歳に達するまでの間で必要な日数の育児休業を取得することができる。なお、取得開始日は原則として子の1歳6カ月到達日の翌日とするが、従業員の配偶者が子の2歳に達するまでの間に育児休業を取得する場合については、当該育児休業終了予定日の翌日以前の日を開始日とすることができるものとする。

  • 従業員または配偶者が原則として子が1歳6カ月に達する日(子の1歳の誕生日の6カ月後における応当日の前日をいう)に育児休業を取得していること。
  • 次のいずれかの事情があること。
    a.保育所等に入所を希望しているが、入所できない場合。
    b.従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり、1歳6カ月以降育児に当たる予定であった者が、死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合。
  • 当該子の1歳6カ月到達日後の期間において、本項における育児休業をしたことがないこと。

6)育児休業(第4項および第5項に基づく育児休業を除く)は、養育する子が1歳に達する日までの期間内に、2回まで分割して取得することができる。
7)育児休業の期間については、基本給および諸手当、その他の月ごとに支払われる賃金は支給しない。
8)賞与の算定対象期間に育児休業をした期間が含まれる場合には、当該期間を算定対象期間から除いて計算する。
9)育児休業の期間中の定期昇給は行わないものとし、復職後の昇給において休業前の勤務実績を加味し調整する。
10)退職金の算定に当たっては、育児休業をした期間を勤務したものとして勤続年数を計算する。

第3条(出生時育児休業の対象者など)
1)産後休業をしておらず、出生日または出産予定日のいずれか遅い方から8週間以内の子と同居し、養育する従業員(日々雇われる従業員を除く)が当該子の育児のための休業を希望する場合、本規程で定めるところにより出生時育児休業を取得することができる。期間契約従業員にあっては、申出時点において、次に該当する場合に限り出生時育児休業を取得することができる。

子の出産日から起算して8週間を経過する日の翌日(出産予定日前に当該子が出生した場合は当該出産予定日から起算して8週間を経過する日の翌日)から6カ月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。

2)第1項、第3項にかかわらず、会社は別途協定した「育児・介護休業等に関する労使協定」(省略)で定めた次の従業員の出生時育児休業は認めない。

  • 入社1年未満の従業員。
  • 申出日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員。
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員。

3)従業員は子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日まで(出産予定日前に当該子が出生した場合は当該出生の日から当該出産予定日から起算して8週間を経過する日の翌日まで、出産予定日後に当該子が出生した場合は当該出産予定日から当該出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日まで)の間、28日を限度として、出生時育児休業を取得することができる。
4)出生時育児休業は、2回まで分割して取得することができる。
5)第2条第7項から第10項の規定は、出生時育児休業の場合について準用する。

第4条(育児休業等の申し出の手続きなど)
1)育児休業等の取得を希望する従業員は、育児休業等を開始しようとする日(以下「育児休業等開始予定日」)の1カ月前(第2条第4項および第5項に基づく育児休業または出生時育児休業の場合は2週間前)までに、「社内様式1 育児休業等申出書」を総務部に提出しなければならない。なお、期間契約従業員が育児休業等の取得中に労働契約を更新することになり、引き続き育児休業等の取得を希望する場合は、更新された労働契約期間の初日を育児休業等開始予定日として、「社内様式1 育児休業等申出書」を総務部に提出するものとする。
2)育児休業の申し出は、次のいずれかに該当する場合を除き、一子につき1回限り(第2条第1項に基づく育児休業を分割取得する場合は2回まで)とする。

  • 第2条第1項に基づく育児休業を取得した従業員が第2条第4項および第5項に基づく育児休業の申し出をしようとする場合、または本条第1項後段の申し出をしようとする場合。
  • 第2条第4項に基づく育児休業を取得した従業員が第2条第5項に基づく育児休業の申し出をしようとする場合、または本条第1項後段の申し出をしようとする場合。
  • 配偶者の死亡など法令で定める特別の事情がある場合。

3)出生時育児休業に関する申し出は一子につき2回まで分割できる。ただし、2回に分割する場合は2回分まとめて申し出ることとし、まとめて申し出なかった場合は後の申し出を拒むことがある。なお、出生時育児休業を取得した場合であっても要件に該当すれば育児休業を別途取得することができるものとする。
4)会社は、「社内様式1 育児休業等申出書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
5)「社内様式1 育児休業等申出書」が提出されたときは、会社は速やかに当該申出書を提出した従業員(以下「育児休業等の申出者」)に対し、「社内様式2 育児休業等取扱通知書」を交付する。
6)申出日の後に、申し出に関わる子が出生したときは、育児休業等の申出者は、出生後2週間以内に総務部に「社内様式3 対象児出生届」を提出しなければならない。

第5条(育児休業等の申し出の撤回など)
1)育児休業等の申出者は、育児休業等開始予定日の前日までに「社内様式4 育児休業等撤回届」を総務部に提出し、育児休業等の申し出を撤回することができる。
2)「社内様式4 育児休業等撤回届」が提出されたときは、会社は速やかに当該届を提出した従業員に「社内様式2 育児休業等取扱通知書」を再度交付する。
3)育児休業等の申し出を撤回した従業員は、当該子に対する育児休業等を取得したものとみなす。ただし、第2条1項に基づく育児休業の申し出を撤回した場合については、第2条第4項および第5項に基づく育児休業の申し出をすることができる。また、第2条第4項に基づく育児休業の申し出を撤回した場合についても、第2条第5項に基づく育児休業の申し出をすることができる。
4)第2条第4項および第5項に定める育児休業の延長の申し出を撤回した従業員は、法令で定める特別な事情がない限り、再度申し出をすることができない。
5)育児休業等開始予定日の前日までに、子の死亡などにより育児休業等の申出者が申し出に関わる子を養育しないこととなった場合、育児休業等の申し出はされなかったものとみなす。この場合において、育児休業等の申出者は、原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。

第6条(育児休業等の期間など)
1)育児休業等の期間は、原則として、「社内様式1 育児休業等申出書」に記載された期間とする。
2)前項にかかわらず、会社は、法令の定めるところにより育児休業等開始予定日の指定を行うことができる。
3)従業員は、育児休業等開始予定日の1週間前までに「社内様式5 育児休業等期間変更申出書」を総務部に提出し、育児休業等開始予定日を繰り上げることができる。また、育児休業等を終了しようとする日(以下「育児休業等終了予定日」)の1カ月前(第2条第4項および第5項に基づく育児休業または出生時育児休業を取得している場合は2週間前)までに「社内様式5 育児休業等期間変更申出書」を総務部に提出し、育児休業等終了予定日を繰り下げることができる。育児休業等開始予定日の繰り上げ変更および育児休業等終了予定日の繰り下げ変更は、同一の子について原則として1回に限り行うことができるが、第2条第4項および第5項に基づく育児休業の場合には、第2条第1項に基づく育児休業とは別に、子が1歳から1歳6カ月に達するまでの期間内で1回、子が1歳6カ月から2歳に達するまでの期間内で1回、育児休業等終了予定日の繰り下げ変更を行うことができる。
4)「社内様式5 育児休業等期間変更申出書」が提出されたときは、会社は速やかに当該申出書を提出した従業員に「社内様式2 育児休業等取扱通知書」を再度交付する。
5)次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、それぞれに定める日に育児休業等は終了するものとする。

  • 子の死亡など育児休業等に関わる子を養育しないこととなった場合
    当該事由が生じた日。
  • 育児休業等の申出者について、産前・産後休業、出生時育児休業、介護休業または新たな育児休業等が始まった場合
    産前・産後休業、介護休業または新たな育児休業等の開始日の前日。
  • 育児休業(第2条第3項に基づく育児休業を除く)において、育児休業に関わる子が1歳に達した場合など
    産前・産後休業、出生時育児休業、介護休業または新たな育児休業等の開始日の前日。
  • 第2条第3項に基づく育児休業において、出生日以後の産前・産後休業期間と育児休業期間(出生時育児休業期間を含む)との合計が1年に達した場合
    当該1年に達した日。
  • 出生時育児休業において、子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日を経過した場合など
    8週間を経過した日の翌日(出産予定日前に当該子が出生した場合は当該出生の日から当該出産予定日から起算して8週間を経過した日の翌日、出産予定日後に当該子が出生した場合は当該出産予定日から当該出生の日から起算して8週間を経過した日の翌日)。
  • 出生時育児休業において、出生時育児休業期間が28日に達した場合
    当該28日に達した日。

6)前項各号の事由が生じた場合には、育児休業等の申出者は原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。

第7条(子の看護休暇)
1)小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日々雇われる従業員を除く)は、負傷し、または疾病にかかった当該子の看病、予防接種または健康診断を受けさせるために、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、子の看護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。
2)前項にかかわらず、会社は別途協定した「育児・介護休業等に関する労使協定」(省略)によって除外された次の従業員の子の看護休暇は認めない。

  • 入社6カ月未満の従業員。
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員。

3)子の看護休暇は、1日単位または1時間単位で取得することができる。なお、1時間単位の場合、始業時刻から終業時刻の間で連続または断続して取得することができる。
4)子の看護休暇を申し出る従業員は、原則として、事前に「社内様式6 子の看護休暇申出書」を総務部に提出するものとする。
5)会社は、「社内様式6 子の看護休暇申出書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
6)子の看護休暇を取得した時間については賃金を支給しない。

第8条(所定外労働の制限)
1)3歳に満たない子を養育する従業員(日々雇われる従業員を除く)が当該子を養育するために請求した場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、所定労働時間を超えて労働をさせることはない。
2)前項にかかわらず、会社は別途協定した「育児・介護休業等に関する労使協定」(省略)によって除外された次の従業員の所定外労働は制限しない。

  • 入社1年未満の従業員。
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員。

3)所定外労働の制限を請求する従業員は、1回につき、1カ月以上1年以内の期間(以下「制限期間」)について、制限を開始しようとする日(以下「制限開始予定日」)および制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、制限開始予定日の1カ月前までに、「社内様式7 所定外労働制限請求書」を総務部に提出するものとする。この場合において、制限期間は、第9条に定める時間外労働の制限期間と重複しないようにする。
4)会社は、「社内様式7 所定外労働制限請求書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
5)所定外労働の制限の申出日の後に請求に関わる子が出生したときは、「社内様式7 所定外労働制限請求書」を提出した従業員(以下「所定外労働制限の請求者」)は、出生後2週間以内に総務部に「社内様式3 対象児出生届」を提出しなければならない。
6)制限開始予定日の前日までに、請求に関わる子の死亡などにより所定外労働制限の請求者が請求に関わる子を養育しないこととなった場合には、請求されなかったものとみなす。この場合において、所定外労働制限の請求者は、原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。
7)次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、それぞれに定める日に制限期間は終了するものとする。

  • 子の死亡など所定外労働の制限に関わる子を養育しないこととなった場合
    当該事由が生じた日。
  • 所定外労働の制限に関わる子が3歳に達した場合
    当該子が3歳に達した日。
  • 所定外労働制限の請求者について、産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または介護休業が始まった場合
    産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または介護休業の開始日の前日。

8)前項各号の事由が生じた場合には、所定外労働制限の請求者は原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。

第9条(時間外労働の制限)
1)小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日々雇われる従業員、入社1年未満の従業員、1週間の所定労働日数が2日以下の従業員を除く)が当該子を養育するために請求した場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、1カ月について24時間、1年について150時間を超えて時間外労働をさせることはない。
2)時間外労働の制限を請求する従業員は、1回につき、1カ月以上1年以内の期間(以下「時間外労働の制限期間」)について、制限を開始しようとする日(以下「時間外労働の制限開始予定日」)および制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、時間外労働の制限開始予定日の1カ月前までに、「社内様式8 時間外労働制限請求書」を総務部に提出するものとする。この場合において、時間外労働の制限期間は、第8条に定める所定外労働の制限期間と重複しないようにする。
3)会社は、「社内様式8 時間外労働制限請求書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
4)時間外労働の制限の申出日の後に請求に関わる子が出生したときは、「社内様式8 時間外労働制限請求書」を提出した従業員(以下「時間外労働の制限の請求者」)は、出生後2週間以内に総務部に「社内様式3 対象児出生届」を提出しなければならない。
5)時間外労働の制限開始予定日の前日までに、請求に関わる子の死亡などにより時間外労働の制限の請求者が請求に関わる子を養育しないこととなった場合には、請求されなかったものとみなす。この場合において、時間外労働の制限の請求者は、原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。
6)次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、それぞれに定める日に時間外労働の制限は終了するものとする。

  • 子の死亡など時間外労働の制限に関わる子を養育しないこととなった場合
    当該事由が生じた日。
  • 時間外労働の制限に関わる子が小学校就学の始期に達した場合
    当該子が6歳に達する日の属する年度の3月31日。
  • 時間外労働の制限の請求者について、産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または介護休業が始まった場合
  • 産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または介護休業の開始日の前日。

7)前項各号の事由が生じた場合には、時間外労働の制限の請求者は原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。

第10条(深夜業の制限)
1)小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員が当該子を養育するために請求した場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、午後10時から午前5時までの間(以下「深夜」)に労働させることはない。
2)前項にかかわらず、会社は次のいずれかに該当する従業員からの深夜業の制限の請求は認めない。

  • 日々雇われる従業員。
  • 入社1年未満の従業員。
  • 深夜業の制限の請求に関わる子の16歳以上の同居の家族が、次の全てに該当する従業員。
    a.深夜において就業していない者(1カ月について深夜における就業が3日以下の者を含む)であること。
    b.負傷、疾病または障害により育児が困難でないこと。
    c.産前・産後でないこと。
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員。
  • 所定労働時間の全部が深夜にある従業員。

3)深夜業の制限を請求する従業員は、1回につき、1カ月以上6カ月以内の期間について、制限を開始しようとする日(以下「深夜業の制限開始予定日」)および制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、深夜業の制限開始予定日の1カ月前までに、「社内様式9 深夜業制限請求書」を総務部に提出するものとする。
4)会社は、「社内様式9 深夜業制限請求書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
5)深夜業の制限の申出日の後に請求に関わる子が出生したときは、「社内様式9 深夜業制限請求書」を提出した従業員(以下「深夜業の制限の請求者」)は、出生後2週間以内に総務部に「社内様式3 対象児出生届」を提出しなければならない。
6)深夜業の制限開始予定日の前日までに、請求に関わる子の死亡などにより深夜業の制限の請求者が請求に関わる子を養育しないこととなった場合には、請求されなかったものとみなす。この場合において、深夜業の制限の請求者は、原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。
7)次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、それぞれに定める日に深夜業の制限は終了するものとする。

  • 子の死亡など深夜業の制限に関わる子を養育しないこととなった場合
    当該事由が生じた日。
  • 深夜業の制限に関わる子が小学校就学の始期に達した場合
    当該子が6歳に達する日の属する年度の3月31日。
  • 深夜業の制限の請求者について、産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または介護休業が始まった場合
    産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または介護休業の開始日の前日。

8)前項各号の事由が生じた場合には、深夜業の制限の請求者は原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。
9)深夜業の制限を受ける従業員に対して、会社は必要に応じて昼間勤務ヘ転換させることがある。

第11条(育児短時間勤務)
1)3歳に満たない子を養育する従業員は、申し出ることにより、所定労働時間を午前9時30分から午後4時30分まで(休憩時間は午後0時から午後1時までの1時間)の6時間とすることができる。
2)前項にかかわらず、会社は次のいずれかに該当する従業員からの育児短時間勤務の申し出を拒むことができる。

  • 日々雇われる従業員。
  • 1日の所定労働時間が6時間以下である従業員。
  • 別途協定した「育児・介護休業等に関する労使協定」(省略)によって除外された次の従業員。
    a.入社1年未満の従業員。
    b.1週間の所定労働日数が2日以下の従業員。
    c.業務の性質または業務の実施体制に照らして、育児短時間勤務の措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する従業員。

3)育児短時間勤務の申し出をしようとする従業員は、1回につき、1カ月以上1年以内の期間について、育児短時間勤務を開始しようとする日(以下「育児短時間勤務開始予定日」)および育児短時間勤務を終了しようとする日を明らかにして、原則として、育児短時間勤務開始予定日の1カ月前までに、「社内様式10 育児短時間勤務申出書」を総務部に提出しなければならない。「社内様式10 育児短時間勤務申出書」が提出されたときは、会社は速やかに育児短時間勤務の申出者に対し、「社内様式11 育児短時間勤務取扱通知書」を交付する。
4)育児短時間勤務の申出日の後に請求に関わる子が出生したときは、「社内様式10 育児短時間勤務申出書」を提出した従業員は、出生後2週間以内に総務部に「社内様式3 対象児出生届」を提出しなければならない。
5)育児短時間勤務の適用を受ける期間の賃金については、別途定める「賃金規程」(省略)に基づく基本給および諸手当を時間換算した額を基礎とした実労働時間分の基本給および諸手当を支給する。
6)育児短時間勤務の適用を受ける期間は、通常通り勤務したものとして、賞与、定期昇給、退職金の算定対象期間に加える。

第12条(育児時差出勤)
1)小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日々雇われる従業員を除く)は、申し出ることにより、始業および終業の時刻を次のように変更することができる。

  • 時差出勤A:午前9時始業、午後5時30分終業。
  • 時差出勤B:午前9時30分始業、午後6時終業。
  • 時差出勤C:午前10時始業、午後6時30分終業。

2)育児時差出勤の適用を申し出る従業員は、1回につき、1年以内の期間について、制度の適用を開始しようとする日(以下「時差出勤開始予定日」)および終了しようとする日、並びに時差出勤Aから時差出勤Cのいずれに変更するかを明らかにして、原則として時差出勤開始予定日の1カ月前までに、「社内様式12 育児時差出勤申出書」を総務部に提出しなければならない。
3)会社は、「社内様式12 育児時差出勤申出書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。
4)育児時差出勤の適用の申出日の後に申し出に関わる子が出生したときは、「社内様式12 育児時差出勤申出書」を提出した従業員(以下「育児時差出勤の申出者」)は、出生後2週間以内に総務部に「社内様式3 対象児出生届」を提出しなければならない。
5)時差出勤開始予定日の前日までに、申し出に関わる子の死亡などにより育児時差出勤の申出者が申し出に関わる子を養育しないこととなった場合には、申し出はされなかったものとみなす。この場合において、育児時差出勤の申出者は、原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。
6)次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、それぞれに定める日に育児時差出勤は終了するものとする。

  • 子の死亡など育児時差出勤に関わる子を養育しないこととなった場合
    当該事由が生じた日。
  • 育児時差出勤に関わる子が小学校就学の始期に達した場合
    当該子が6歳に達する日の属する年度の3月31日。
  • .育児時差出勤の申出者について、産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または介護休業が始まった場合
    産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または介護休業の開始日の前日。

7)前項各号の事由が生じた場合には、育児時差出勤の申出者は原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。
8)育児時差出勤の適用を受ける期間は、通常通り勤務したものとして、賞与、定期昇給、退職金の算定対象期間に加える。

第13条(教育訓練)
会社は、3カ月以上の育児休業を取得する従業員が育児休業期間中に復職準備プログラムの受講を希望する場合、別途定める「復職準備プログラム基本計画」(省略)に沿って、当該従業員に会社の負担で復職準備プログラムを実施する。

第14条(復職後の取り扱い)
育児休業等後の勤務は、原則として、休業直前の部署および職務で行うものとする。ただし、本人の希望がある場合および組織の変更などやむを得ない事情がある場合には、部署および職務を変更することがある。

第15条(ハラスメントの防止および不利益取り扱いの禁止)
1)会社は、従業員が「育児休業等、子の看護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、育児短時間勤務などの申し出や請求」(以下「育児休業等の利用」)をした従業員の就業環境を害する言動を行ってはならない。
2)第1項の言動を行ったと認められる従業員に対しては、就業規則(省略)第○条に基づき、厳正に対処する。
3)会社は、育児休業等の利用をしたことを理由に、従業員に対して解雇などのいかなる不利益な取り扱いも行わない。

第16条(支援制度に関する説明と制度利用に対する意向の確認)
会社は、従業員から従業員本人または配偶者が妊娠・出産した旨の報告があった場合、速やかに従業員との面談を行い、本規程に掲げる育児休業等、子の看護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、育児短時間勤務など各支援制度の内容について説明し、制度利用に対する意向を確認しなければならない。また、従業員が制度の利用を希望する場合、その利用が滞りなく進むよう必要な配慮をしなければならない。

第17条(育児休業等相談窓口の設置)
1)会社は、「育児休業等相談窓口」を設置する。「育児休業等相談窓口」は育児休業等、子の看護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、育児短時間勤務など各支援制度の利用に当たり、従業員本人やその家族からの相談および苦情の受け付けを行う。
2)「育児休業等相談窓口」の責任者(以下「窓口責任者」)は総務部長とし、「育児休業等相談窓口」の担当者(以下「窓口担当者」)は会社が個別に指名した従業員等とする。
3)会社は、窓口責任者および窓口担当者の名前を、人事異動などの変更の都度、周知させる。

第18条(改廃)
本規程の改廃は、取締役会において行うものとする。

附則
本規程は、○年○月○日より実施する。

社内様式1 育児休業等申出書

社内様式2 育児休業等取扱通知書

社内様式3 対象児出生届

社内様式4 育児休業等撤回届

社内様式5 育児休業等期間変更申出書

社内様式6 子の看護休暇申出書

社内様式7 所定外労働制限請求書

社内様式8 時間外労働制限請求書

社内様式9 深夜業制限請求書

社内様式10 育児短時間勤務申出書

社内様式11 育児短時間勤務取扱通知書

社内様式12 育児時差出勤申出書

以上(2022年10月)
(監修 シンシア総合労務事務所 特定社会保険労務士 白石和之)

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