【規程・文例集】「製品安全管理規程」のひな型

書いてあること

  • 主な読者:製品の品質や安全性を確保するに当たって「製品安全管理規程」のひな型が欲しい経営者
  • 課題:具体的に何を定めればよいかが分からない
  • 解決策:製品安全に関する基本方針、組織体制、技術開発や工程管理などについて定める

1 製造物責任と求められる製品安全管理

製造物責任法(PL法)によって、製造業者や輸入業者は、製造物の欠陥により人の生命、身体または財産を侵害したときは、過失の有無にかかわらず、これによって生じた損害を賠償する責任を負うこととなります。

消費者に安全な製品を供給することは製造業者や輸入業者の責務です。製品事故を防ぐために、技術開発や工程管理、出荷前の検査などを怠ってはなりません。また、品質や使用上の注意の表示、取扱説明書の適正化やアフターケアの充実により、製品販売後の被害の発生・拡大の防止に努めることも大切です。

なお、製品安全に関する解説などは、経済産業省の以下のページが参考になります。

■製品安全ガイド■
https://www.meti.go.jp/product_safety/
■製品安全自主行動計画策定のためのガイドライン■
https://www.meti.go.jp/product_safety/policy/guideline_selfaction.pdf
■リスクアセスメント・ハンドブック■
https://www.meti.go.jp/product_safety/recall/risk_assessment.html
■製品安全に関する事業者ハンドブック■
https://www.meti.go.jp/product_safety/producer/jigyouhandbook.html

2 製品安全管理規程のひな型

以降で紹介するひな型は一般的な事項をまとめたものであり、個々の企業によって定めるべき内容が異なってきます。実際にこうした規程を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

【製品安全管理規程のひな型】

第1条(目的)
本規程は、当社の製品の安全性を確保するための関連各部門内での業務について定める。

第2条(用語の定義)
本規程において「製品の安全性」とは、製品の所持・使用・処分に際し、製品が人の生命、身体、財産を侵害することのないことをいう。

第3条(製品安全基本方針)
当社が製造・販売した全ての製品の安全性に対する消費者の信頼を確保することが、当社の経営上の重要課題であるとの認識の下、次の通り、製品安全に関する基本方針を定め、誠実に製品安全の確保に努める。
1.消費生活用製品安全法その他の製品安全に関する関係法令・各種基準等に定められた事項を遵守する。
2.製品安全基本方針に基づき、品質保証体制をはじめとした組織構築を行い、継続的な改善を実施して「顧客視点」に基づいた「安全」「安心」の確保と維持に努める。
3.製品安全管理について各事業部を横断的に統括する製品安全管理室を設置する。併せて各事業部内での品質保証体制および安全管理体制を構築する。製品の設計・製造・出荷の全ての段階において、常に適正な品質管理および安全管理を行い、その向上に努める。
4.当社製品に係る事故について、その情報を顧客や販売事業者、業界団体等から積極的に収集するとともに、製品の使用に伴うリスクの洗い出しを常に行い、そのリスクを評価し、その結果を製品の設計、部品、取扱説明書、警告ラベルにフィードバックする等、継続的な製品安全向上に努める。
5.当社製品に関する不慮の事故が発生した場合、直ちに原因究明を行い、安全上の問題があることが判明したときは、速やかに製品の回収、その他の危害の発生・拡大の防止措置を講じ、適切な情報提供方法を用いて迅速に消費者に告知する。
6.製品安全に関する関係法令、各種基準等について社内研修を実施し、製品安全に関する全社的な取り組みを継続的に行うとともに、関係法令遵守と製品安全の確保について周知徹底を図る。また、定期的な内部監査を実施し、製品安全管理に関する各種規程・手順等の遵守の状況の確認や適正な体制整備を行う。

第4条(製品安全責任者)
1)各部門長を、各部門における製品安全責任者とする。
2)各部門の製品安全責任者は、各担当部門における製品の安全性を確保するよう、従業員を指導・監督し、製品安全管理室と常に連絡を取るものとする。

第5条(分掌事項)
当社製品の安全性を確保するため、各部門は次の事項を分掌する。
  1.製品安全管理室
   ・製品の安全性の確保に関する方針の審議
   ・製品の安全性に関する情報の収集および伝達
   ・開発、改良製品の安全性の審議
   ・取扱説明書、警告ラベルの審査
   ・各種チェックリストの審議
   ・発生事故対策の指揮
   ・製品安全教育計画の審議
   ・各部門への指導および改善勧告
   ・各部門間の連絡および調整
  2.技術部
   ・製品の安全性に関する関係法令の調査および遵守
   ・JIS規格等の公的自主基準、業界自主基準等の遵守
   ・製品の品質並びに安全性に関する自社基準の作成
   ・本質的な安全設計
   ・安全装置の採用
   ・安全性を考慮した付属品、部品、材料の選択
   ・取扱説明書、警告ラベルの作成
   ・発生事故の原因の調査および究明
   ・製品の安全性に関する資料の作成および保管
  3.製造部
   ・材料、部品、製品の品質確保
   ・作業の標準化
   ・品質管理によるばらつきの防止
   ・製造設備、検査設備の保全、精度管理
   ・検査機器の精度管理および使用条件の維持
   ・検査方法の維持
   ・取扱説明書、警告ラベルの確認
   ・包装容器の所定基準による検査
   ・図面、作業手順書および生産記録の保管
  4.営業部
   ・製品納入時の製品取扱説明または指導
   ・製品の納入先記録の保管
   ・製品の安全性に関連する情報の製品安全管理室への通知
   ・発生事故の原因の調査
  5.総務部
   ・製品の安全性に関する関係法令の調査および他部門が行う調査の支援
   ・製品安全教育計画の立案および実施
   ・発生事故の原因の調査の支援
   ・発生事故による損害賠償責任の有無の調査および賠償交渉

第6条(製品安全管理室の審議)
製品の開発・改良に当たっては、製品安全管理室による開発製品または改良製品の安全性についての審議を経るものとする。

第7条(製品の安全性の確保)
製品の安全性を確保するため、製品の設計・製造・出荷の全ての段階において、次の手順を経るものとする。
1.製品の企画段階において、製品の安全性について検証し、予見されるリスクを可能な限り抽出する。その際、通常の使用における危険な箇所、想定され得る誤使用による事故の危険性等について図面および企画書を基に検討を行う。
2.製品に適用される関係法令、JIS規格等の公的自主基準、業界自主基準等を製品仕様に全て盛り込むものとする。
3.製品の外観デザインを似せた模型を作り、実際の使用条件下での安全性を検証し、製品の品質基準を安全面・性能面において設定する。
4.試作品を作り、それが品質に関する自社基準および安全性に関する自社基準を満たしているか確認するため検査を行う。試作は、基準の要求を満たすまで繰り返し行うものとする。
5.外部の検査機関において品質基準書に基づき試験を行う。
6.量産体制に入った際、生産開始直後の製品で抜き取り検査を行い、品質および安全性が保持されているか確認する。
7.製造の作業工程ごとに品質管理を徹底し、異物の混入等を防止する。
8.製品の工場出荷前にロットごとに抜き取り検査を行う。

第8条(取扱説明書および警告ラベルの作成手順)
製品の取扱説明書および警告ラベルの作成は技術部が行い、次の手順に従うものとする。
1.誤使用を含め予見可能な限り製品の使用状況を想定し、開発または改良しようとする製品が安全性を欠いている点(以下「欠陥」)を調査する。欠陥による事故の発生頻度および被害程度を予測する。
2.設計により安全化を図る。
3.設計および製造段階で欠陥を取り除くことができない場合は、取扱説明書または警告ラベルで事故の予防を図る。この場合、次の事項を決定する。
   ・警告の対象者
   ・警告の方法(取扱説明書への記載や警告ラベルの貼り付け等)
4.原案を作成する。
  ・開発品または改良品が試作され、その安全性試験を行った後、取扱説明書および警告ラベルが原案通りでよいか検討する。
  ・製品安全管理室において、開発品または改良品の製造および取扱説明書、警告ラベルについて審議し、取締役会の決裁を受ける。
  ・取扱説明書および警告ラベルには、次の事項を明記する。なお、取扱説明書および警告ラベルの作成方法は別に定める(省略)。
  ・危険度レベルの区分(危険、警告、注意)
  ・危険の内容、性質
  ・警告無視の結果(被害)
  ・危険の回避

第9条(苦情処理)
1)製品使用者等が当社に申し出た苦情のうち、製品の欠陥を原因とする苦情は、苦情対応窓口から製品安全管理室へ通知するものとする。
2)製品安全管理室は、各関係部門の協力を得て行われた当該苦情の原因究明、被害想定の結果を取りまとめ、各関係部門の製品安全責任者に報告し、情報を共有する。
3)取締役会によってリコール実施を不要と判断した場合において、製品安全対策室は、当該苦情の処理対策の立案を行い、取締役会に決裁を仰ぐ。
4)製品安全管理室は、当該苦情の処理対策に従い、対策を実施する。
   ・製品使用者等に対する回答
   ・総務部による損害賠償交渉への協力
   ・仕入先に対する求償手続き

第10条(設計変更等)
1)製品の安全性を確保できない恐れがあることが判明したときは、技術部は設計変更により、製造部は製造上の変更により、当該欠陥を取り除くことが可能か直ちに検討するものとする。
2)設計変更または製造上の変更により、当該製品の安全性を確保できない恐れを取り除くことが可能な場合、技術部は改良または開発の手続きを、製造部は製造上の変更手続きを取るものとする。
3)設計変更または製造上の変更のいずれによっても当該製品の安全性を確保できない恐れを取り除くことができない場合、技術部は取扱説明書・警告ラベルの変更で対応可能か否かを直ちに検討する。可能な場合、第8条に準じて取扱説明書・警告ラベルの変更を行うものとする。
4)取扱説明書・警告ラベルの変更で対応が不可能な場合、当該製品の製造を中止する手続きを取る。

第11条(関係機関等への報告)
製品安全管理室は、製品の開発・改良が行われる場合および苦情処理対策を実施する場合は、関係行政機関、所属業界団体等に対し製品の安全性に関する所定の報告・届出・申請を行う。

第12条(教育等)
日ごろより、従業員等に対し、必要な教育・研修を実施し、消費者の安全確保の観点から企業の社会的責任の重要性を認識させるよう努める。

第13条(罰則)
従業員等が故意または重大な過失により、本規程に違反した場合、就業規則に照らして処分を決定する。

第14条(改廃)
本規程の改廃は、取締役会において行うものとする。

附則
本規程は、○年○月○日より実施する。

以上(2022年11月)

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画像:ESB Professional-shutterstock

徹底的な「先生ファースト」で学校教育を変えていく。他の人が手を付けない領域に「逆張り」してやり切るスタートアップ起業家が仕掛ける、先生限定の胸アツなサービス。その大事なキーワードは「応援」/岡目八目リポート

年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、浅谷 治希(あさたに はるき)さん(株式会社ARROWS代表取締役CEO)です。

「先生から、教育を変えていく。」を掲げる浅谷さんたちは、教育分野の中でも他社がやらない「学校教育の改革」に挑戦しており、徹底を極めた「先生ファースト」のビジネスモデルは他に類を見ません。
他の人が手を出さない領域にチャレンジし、試行錯誤を繰り返しながらとにかくゴリゴリやり切っていく。そんな浅谷さんが展開するサービス「SENSEI(せんせい)ノート」や「SENSEI よのなか学」に登録している先生は、なんと全国約9万人。しかも登録・利用は無料!
「人は生まれた瞬間は、親も地域も選べない。教育は、そのスタートラインの差異をカバーできるツールのはず。教育を変革することで、世の中の不平等をなくしたい」と浅谷さん。そこには目からウロコの教育ビジネスモデルがありました。日本中、そして世界にまでも広がっていきそうなサービス内容と、「逆張りするのがポリシー」な浅谷さんご自身の考え方などをご紹介します。企業が今後、子どもたちの教育に関わるヒントにもなるかと思います。

1 「先生から、教育を変えていく」ARROWSが目指すのは

浅谷さんたちARROWSが掲げるミッション・ビジョンは次の通りです。

ミッションの画像です

ビジョンの画像です

(出所:ARROWSのウェブサイト)

浅谷さんはこのミッション・ビジョンに込めた思いを次のように語ります。浅谷さんが、他社が手を付けない「学校教育」というフィールドを選んだ理由が見えてきます。

「『世界的課題に取り組む、知性の体現者であり続ける』というミッションの意味は、『今まで培ってきた知性は人が解決できないような困難な課題にぶつけよう。そういうのを解決していく事で世の中よくなっていくよね』ということです。なので、立ち上がる地面とか土台が他の人が無理だと言う領域しかやらないというやり方をしています。同じような会社は世界中に1社もありません」

「今、国内には、小学校・中学校・高校までで100万人くらいの先生がいます。その先生のもとに1200万人の子どもたちが通い、さらに1200万世帯の保護者がいます。学校は人口の3分の1以上をカバーしていて、それを支えているのが先生たちと考えると、先生とはとても大事な仕事だと思います。その方たちを応援しない手はないと感じています」

 この言葉通り、とにかく常に「先生のためになること」を考え実践している浅谷さんたちARROWS。まずはARROWSの主なサービスについて、浅谷さんのお話などを基にご紹介します。

1)先生限定の“オンライン職員室”「SENSEI ノート」

「SENSEI ノート」とは、ずばり、先生向けの

大きな“オンライン職員室”。しかも先生の登録・利用は無料

です。
先生たちの世界は、教室や学校の中で閉じてしまいがちで、同じ課題を抱えているのにもかかわらず情報共有がしにくい。そうした課題に着目した浅谷さんが発案した、全国各地の先生同士がつながるオンラインコミュニティです。「オンライン上に仮想のでっかい職員室を作って情報共有ができれば、自校内で解決できない問題でも、他校の先生からアドバイスをもらうことができるのでは」と考えたそうです。

せんせいノートの画像です

(出所:SENSEI ノートウェブサイト)

面識のない先生同士が質問・回答し合うこの「SENSEI ノート」、なんと、書き込まれた質問への回答率は驚きの100%! 課題や悩みを書き込むと、先生同士で、必ず熱心に回答してくれるサービスになっているとのこと。
考えてみると、先生になる人は、子どもの教育や未来、社会を良くすることに高い志を持っている人が多いイメージなので、お互いに共感しやすく、困っている先生を見たら力を貸したくなる、応援したくなる雰囲気が生まれやすいのかもしれません。

例えば2020年3月ごろには「コロナ禍の卒業式」の問題が大きく取り沙汰されていました。当時は、文部科学省も自治体も「やるのかやらないのかは学校で決めてください」。一方、どういう基準でやるか決めるべきか、経験したことのない事態に困り果てる学校現場……。
そんな中、ある先生が「SENSEI ノート」に「皆さん、どうしますか」と書き込んだのをきっかけに、「うちはこういう基準で(卒業式を)やると決めました」「うちはこういう理由でやります」という書き込みがバーっと集まり、たくさんの先生がそれを見に来たそうです。これは、先生からすると、とても心強いサービスではないでしょうか。困ったら同じ立場にいる誰かに聞ける、一人じゃない。まさに“オンライン職員室”です。ウェブサイトのログイン前に公開されている質問を少しだけご紹介します。先生たちの真剣な悩み、志が伺えます。

●「SENSEI ノート」に寄せられる先生からの質問・悩み例

  • 二分の一成人式について取り入れている小学校は多いのでしょうか(小学校)
  • 席替えのしかたでいつも悩んでいます(小学校)
  • (公立中学の)部活動のシステムに疑問を感じています(中学校)
  • 生徒の提出物に対する評価基準について悩んでいます(中学校)
  • 数学をする(学ぶ)動機付けを生徒にどう伝えますか(高校)
  • 生徒のスマホについての規制と教育は、どうしていますか(高校)

(出所:SENSEI ノートウェブサイト公開資料)

こうした先生同士の助け合いや議論が繰り広げられているかと思うと、何か胸が熱くなります。この「SENSEI ノート」、いまでは4万人の先生(3万校近くの学校)が登録し(2022年7月時点)、教材やノウハウのシェアも行われています。高校の登録率(1校で1人以上、先生が登録している場合は「1校」とカウント)は実に98%に上ります(下記図)。

●「SENSEI ノート」のサイトはこちら

せんせいノート登録率の画像です

(出所:SENSEI よのなか学ウェブサイト)

2)先生向けに「企業コラボ教材」の無償提供「SENSEI よのなか学」

「SENSEI ノート」が大きくなり、これ以外にも先生たちをサポートできないかと目を向けたのが、授業のサポートでした。「SENSEI よのなか学」です。これは、

企業とコラボして教材を作り、先生に提供。先生は無料で完全オリジナルな授業ができる

というものです。

例えばGoogleとコラボした「ITリテラシーの授業」、サントリーとコラボした「熱中症対策」などその企業の知見やノウハウ、強み、いわばその道のプロが提供する情報がギュッと詰まった授業は、子どもたちに生きた社会、ビジネスを伝えることができます。
また、浅谷さんたちがこだわっているのは、「先生が教えやすい教材にする」こと。よくある「企業の中の人」が学校に来て先生の代わりに授業を行うのとは違って、

子どもたちに教えるのはあくまで先生。教材・題材を企業が作る完全オリジナル

なのが大きな特徴です。浅谷さんたちは徹底的に「先生を一番幸せにすること」にコミットしているので、「先生が教えやすいようにする」が大事です。実際に、先生から「めちゃめちゃ自分たちのことを分かってくれている教材が来た」と喜んでもらっているそうです。

●「SENSEI よのなか学」のサイトはこちら

よのなか学_先生の声の画像です

(出所:SENSEI よのなか学ウェブサイト)

「SENSEI ノート」「SENSEI よのなか学」などを合わせると、浅谷さんたちのサービスに登録している先生は、約9万人に上るそうです。

3)「SENSEI よのなか学」の事例

ここで、浅谷さんが教えてくれた「SENSEIよのなか学」の事例を一つご紹介します。
「SENSEI よのなか学」×集英社の事例です。下記の画像を見ただけで、もうワクワクします。

「SENSEI よのなか学」×集英社の画像です

(出所:SENSEI よのなか学ウェブサイト)

この集英社とのコラボは、浅谷さんたちが先生に調査して分かった「宿題に一つ一つコメント書くのが大変」「スタンプ、ハンコ系の備品を多くの先生たちが自腹購入している」課題感から生まれたものです。「ONE PIECE」のキャラクター&褒め言葉スタンプを1万セットつくり、先生に無料配布しました。「5日間で全国の小学校30%の6000校から申し込みがあり、大大大反響でした!」とにっこり笑顔の浅谷さん。これは素晴らしい取り組みですね!

スタンプの画像です

(出所:SENSEI よのなか学ウェブサイト)

このコラボがヒットしたのは時期的なものもあるだろうと浅谷さん。ちょうどコロナ禍が始まった2020年夏ごろに実施した企画で、「学校では喋らない」「黙食」などで子どもたちも元気がなくなっていたこのころ。言葉に出さなくても子どもたちを褒めることができる、子どもたちを喜ばせることができると、先生たちから大好評だったそうです。

2 浅谷さんの周りにあふれる「応援」と「逆張り」ポリシー

浅谷さんのプロフィールや考え方などを伺っていると、ひとつ、

「応援」というキーワード

が浮かび上がってきます。まず、「先生を一番幸せにしたい」と言い切るくらいの浅谷さんから先生への応援。そういうアツい思いを持って諦めずに進む浅谷さんへの、先生や周りからの応援。この両方の「応援」があるからこそ、事業が成り立っているように感じます。浅谷さんのプロフィールを振り返ってみました。

1)わずか3日間で「SENSEI ノート」のプロトタイプを作る

浅谷さんは大学卒業後、通信教育の大手企業に就職し1年半ほど勤務したのち、スタートアップへ転職。その後の2012年、浅谷さんはスタートアップハッカソン「Startup Weekend」に参加します。この3日間のハッカソンでできたのが「SENSEI ノート」の原型です。

「その3日間で『SENSEI ノート』のアイデアを持ちこんでプロトタイプを作ってみて、もっとやったほうがよいと思い、翌日に退職願を出しARROWSの前身、株式会社LOUPEを創業しました」と浅谷さん。ちなみに、Startup Weekendで浅谷さんの「SENSEI ノート」は入賞し、世界大会への出場も遂げています。

2)夜行バスで地方へ向かい先生の課題に耳を傾ける日々

わずか3日でプロトタイプを作り、入賞。独立を決めて翌日には退職と、一気に展開するかのように見えた「SENSEI ノート」ですが、その後の道のりは平坦ではありませんでした。まず、最大の顧客であり幸せにしたい「先生」の知り合いが、学生時代の友人1人しかいない状態。

ここから浅谷さんの、ある意味、野性味あふれるスタートアップ魂が燃え盛ります。

「当初は、そもそも先生がどんな課題に困っているのかが分かりませんでした。なので、まずは先生たちに会いに行こうと思いました。先生たちが週末に行っておられる勉強会にどうにかして参加して、懇親会で仲良くなった先生から課題を聞くといったことを、ずっとやっていました」
「先生たちに会うために、東京だけでなく、地方へも夜行バスで行っていました。先生たちのイベントに参加し懇親会が終わったら、また夜行バスで帰るという生活をしていました。当時は本当にお金がなかったので、夜行バスをよく使っていましたし、だいたい宿は、そのときに知り合った人の家に泊めてもらったりしていました」

この行動力と巻き込み力。浅谷さんのアツい思いと真っ直ぐな人柄があったからできることだと思います。そのときに知り合った先生はいまだに仲良しで、結婚式のスピーチに呼ばれたり、会社の移転祝いが贈られてきたりするそうです。すごすぎるコミュニケーション力です。

3)「応援」がつながりをつくる

先生たちを応援したい浅谷さん、逆に先生たちから応援されることも多いようです。

「先生たちは、周りから批判されること、たたかれることはあっても、(先生たちを)応援してくれる人は、なかなかいないのが実情。なので、僕に対しても『こんな若者が自分たちのことを応援しようと頑張っているぞ。自分たちも浅谷を応援しないと』と。先生たちから直筆のお手紙やお電話いただくこともあります」

先生たちからこれほど応援され、愛されている企業は日本中探しても他にないと思います。

「応援」に関しては、もう一つ、印象的なエピソードがあります。起業して間もない2014年~2016年ごろ、浅谷さんはなかなかうまくいかず苦労していました。一軒家を借りて仲間皆で住み込み、24時間仕事漬けの日々。振り返ると、当時の浅谷さんたちは「名もなきベンチャー」。浅谷さん自身も「よく大家さんが家を貸してくれたものだ」と思っていたら、大家さんの奥さんが実は先生で、「浅谷さんたちみたいなことをやっている会社は応援するしかない!」とサポートしてくれたのだそうです。応援のご縁に深く感謝している浅谷さんです。

4)これまで「逆張り」でやってきた

「応援」と同じく、浅谷さんを表すもう一つのキーワードは「逆張り」です。浅谷さんは「逆張りするのがポリシー」だそうで、その理由は「できないという諦めから始まる未来は嫌だから。それより、色々な方のお力もお借りしながら、こうやったらできるだろうと考えるほうがいいです」といいます。これが、ARROWSのミッションの説明「知性は困難を乗り越えるために存在する」にもつながっていくのだと思います。

3 ビジネスモデルの根本も「先生ファースト」

徹底して「先生ファースト」を貫くARROWSは、先生たちからすると「無償でこんなに応援してくれる会社」です。浅谷さんが学校へ行くと「私たち1円も払っていないのですが、皆さん大丈夫ですか? どうやって生活をされているのですか?」と心配されることもあるそうです。

いまのところARROWSの売上は、「SENSEI よのなか学」でコラボする企業からの費用で成り立っています。企業は、未来のお客さま、未来のファンを作れるということで、マーケティング予算をつけてやりたいと言ってくれるそうです。

この「SENSEI よのなか学」のブレイクスルーポイントになったのはGoogleとのコラボだという浅谷さん。まだ実績がない時点でコラボしてくれて、他社も「Googleが参加しているなら、うちも」と続くようになりました。

こうして「企業から対価をもらい、先生には無料で提供する」ビジネスモデルは、ARROWSにおけるビジネスの大事なポイントです。先生たちから1円でももらおうとなると、学校側で決済が発生してしまう。そうなると手続きが面倒だし、時間もかかる。そうではなく、先生からはお金をもらわない、先生が使いたいときに使いたい教材を無料で使えるようにすれば、より多くの子どもに伝えられます。浅谷さんは自分たちの歩みをこう振り返ります。

「そもそもなぜ学校教育で、物事が進んでいないのかと考えると、たぶんビジネスモデルの視点が違っている。行政か保護者からお金をもらうとかの二択しかなかったり。僕たちは、そもそもそのアプローチ自体が間違っているのではないかと考え、新しい道を切り開いていきました」

4 「今後の展開」そして「ビジネスで大事にしていること」

最後に、浅谷さんに今後の展望と、ビジネスにおいて大事にしていることを改めて聞いてみました。浅谷さんの言葉でご紹介します。

●浅谷さんが語る今後の展望

「海外へも展開していきたいですね。国内では、先生の人数は100万人ですが、世界でいうと5000万人から6000万人くらいいますから。そう考えると、現在のARROWSのユーザー数は、6000万人中の9万人ですから、まだまだだなと考えています」

●浅谷さんが語るビジネスで大事にしていること

「ARROWSではバリューのひとつに“先生ファースト”を掲げていますが、常にARROWSで話題になるのは“これって先生のためになるのかな?”とか“先生の課題って何だっけ?”です。これはとても大事にしていることですね。そうでないと、例えば企業からお金をもらうのが目的になっていくとか、もともとやろうとしていたことがだんだんねじ曲がってきてしまいます。われわれがやりたいのはそうではない。
そのようにミッション・ビジョン・バリューからブレず、乖離することなく、事業を進めていけているところは、メンバーにも共感してもらっていると思います」
「物事は“A or B”ではなく“A and B”だと、社内でもよく言っています。二者択一でなく、両方取りに行くのだと。コロナ禍やウクライナなど世界情勢なども含め、そういったピンチをいかにチャンスに変えるかだと。僕はそう思っています」

「先生ファースト」を、メンバー皆とブレずに徹底的に考え抜いていく。これは非常に重要なことだと思います。「われわれの顧客は誰か」「誰を喜ばせればいいか」「誰を一番幸せにしたいか」。こうしたことを、試行錯誤や創意工夫を繰り返しながら見事に実践・実現していると感じました。これを組織としてやり続けるのは、覚悟も胆力も必要で、ものすごいことをされていると思います。
「先生ファースト」のサービス、これはぜひ全世界6000万人の先生たちにも広がってほしい、そうして日本の、世界の学校教育がもっと良くなってほしいと心から思いました。浅谷さんたちなら実現できそうです! 有り難うございます。

以上(2022年11月作成)

【朝礼】月面着陸は、はたして誰の偉業か?

11月に入りました。皆さん、今年も間もなく終わりますが、1年を振り返ってみていかがですか。「十分な活躍ができた」「目標を達成できた」という人もいれば、あるいはその逆の人もいるでしょう。今日は、そんな皆さんに向けて、米国の宇宙開発の話をします。

今から50年前の1972年12月、「アポロ計画」最後の宇宙船である「アポロ17号」が、月から地球に帰還しました。アポロ計画は、米国が1961年から1972年までの11年間にわたって実施した、月への宇宙飛行計画です。また、有人宇宙船での月面着陸の初めての試みでした。最初に月に降り立ったのは、1969年7月の「アポロ11号」。米国はそこからさらに3年間で、アポロ12号から17号まで計6回の月面着陸を試み、うち5回を成功させています。

ところで、この月面着陸という偉業について考えるとき、皆さんは誰の顔を思い浮かべるでしょうか。まずは、月に降り立った宇宙飛行士、次いで、強いリーダーシップで計画を動かした当時の米国大統領でしょうか。ですが、忘れてほしくないのが、裏方である「技術者」の人たちです。

例えば、宇宙船に人を乗せて飛ばすには、宇宙飛行士の安全を守るための技術や、宇宙船を大気圏外に打ち出す角度など、とにかく緻密なコントロールが求められます。実際、アポロ計画初期の「アポロ1号」が、設計上の欠陥によって大事故を起こしたこともあります。

現代と比較すれば、まだ技術もおぼつかなかった50年前に、技術者たちがこうした事態が起きるたびに問題に向き合い、改善を重ねてきたからこそ、人類は月に降り立つことができたわけです。

この話を通じて、私は1年を振り返ってみた皆さんに伝えたいメッセージが2つあります。

まずは、この1年で「十分な活躍ができた」「目標を達成できた」という人は、本当によく頑張りました。自身の努力を大いに誇ってください。ただ、それと同時に、皆さんの成果が、はたして自分一人のものなのかということも考えてみてください。皆さんの成果が「月面着陸」だとすれば、皆さんをそこに到達できるように支えてくれた人がいませんでしたか。陰ながら見守ってくれた上司や、忙しいときに手伝ってくれた部下がいるはずです。もし、思い当たる人がいるなら、ぜひ、その人に感謝の気持ちを伝えてください。

次に、「あまり活躍できなかった」「目標を達成できなかった」という人は、なぜ思い通りにいかなかったのかの反省は必要ですが、決して気に病むことはありません。悔しいという気持ちがあるなら、それは皆さんが努力をしたということです。皆さんは、今年のスタート地点から見れば、間違いなく成長しています。いうなれば、アポロ計画の途中、宇宙船を月に着陸させるための研究を続けている段階です。腐らず、自分を磨くことを忘れないでください。皆さんが「月」に降り立つ日はすぐそこです。

以上(2022年11月)

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画像:Mariko Mitsuda

【規程・文例集】 「ポイント制退職金規程」のひな型

書いてあること

  • 主な読者:ポイント制退職金制度に対応した会社規程のひな型が欲しい経営者
  • 課題:通常の退職一時金規程とどう違うのか、具体的に何を定めればよいのかが分からない
  • 解決策:「支給額の計算方法」「ポイントの種類と単価」を明らかにし、さらに勤続年数や等級に応じてポイント数がどう変わるのかを別表などで示す

1 ポイント制退職金制度とは

ポイント制退職金制度とは、勤続年数や等級など、一定のルールに基づいて社員にポイントを付与し、そのポイント累計にポイント単価(1ポイント当たり1万円など)と退職金支給率(勤続5年で自己都合退職した場合は0.5など)を掛け、退職金の支給額を計算する制度です。

退職金の支給額 = 退職時のポイント累計 × ポイント単価 × 退職金支給率

ポイントには次のような種類があり、一般的に複数のポイントを組み合わせて運用します。

  • 勤続ポイント:勤続年数に応じて付与
  • 等級ポイント:職能資格等級などの格付けに応じて付与
  • 業績ポイント:会社の業績の良し悪しに応じて付与
  • 職務ポイント:個人の業務の難易度や責任に応じて付与
  • 個人ポイント:個人の人事考課結果などに応じて付与

ポイントの組み合わせ次第で、例えば「等級ポイントや個人ポイントの比率を上げて、能力重視の退職金制度にする」「職務ポイントの比率を上げて、職務重視(ジョブ型)の退職金制度にする」といった運用が可能です。ただ、ポイントの種類が多くなると管理が煩雑になりやすく、一般的には「勤続ポイント」と「等級ポイント」の2階建て方式がよく用いられます。

ポイント制退職金制度を社内規程に落とし込む場合、制度の内容が社員に正しく伝わるよう、

「支給額の計算方法」「ポイントの種類と単価」を明らかにし、さらに勤続年数や等級に応じてポイント数がどう変わるのかを別表などで示す

ことが大切です。次章で、専門家の監修付きひな型を紹介するので、確認してみましょう。

2 ポイント制退職金規程のひな型

以降で紹介するひな型は一般的な事項をまとめたものであり、個々の会社によって定めるべき内容が異なってきます。実際にこうした規程を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

【ポイント制退職金規程のひな型】

第1条(目的)
本規程は、就業規則第○条の退職金について定めたものである。会社は、本規程に基づき、永年勤続および中途にて退職した従業員の退職後の生活の安定および遺族の支援を図るために退職一時金制度を設ける。本規程に定めのない事項は、本制度の実施について定める関係法令によるものとする。

第2条(差別的取り扱いの禁止)
会社は退職一時金制度を実施するに当たり、特定の者について不当に差別的な取り扱いをしない。

第3条(支給範囲)
本規程に定める退職金は、従業員が退職(死去による退職を含む)または役員に就任した場合に支給する。ただし、兼務役員の場合を除く。

第4条(適用)
本規程は、次の各号に定める者を除く全ての従業員に適用する。ただし、個別の契約書などにより、会社と従業員との間に別段の合意がある場合については、この限りでない。

  • 役員。
  • 嘱託。
  • 短時間勤務従業員。
  • 臨時に期間を定めて雇い入れられる者(臨時雇い)。
  • 日々雇い入れられる者。
  • 入社後、定年までの予定勤続年数が3年未満の者。

第5条(支給額の計算方法)
1)退職金の支給額は、次の算式により計算する。
  (勤続ポイントの累計+等級ポイントの累計)×ポイント単価
2)退職金の支給額において、1000円未満の端数が生じたときはこれを切り上げる。

第6条(ポイントの種類と単価)
1)勤続ポイントは、勤続1年ごとに付与されるポイントである。入社からの勤続年数に応じたポイント数は別表第1「ポイント表」に定める通りとする。
2)等級ポイントは、各職能資格等級への在級1年ごとに付与されるポイントである。職能資格等級に応じたポイント数は別表1「ポイント表」の通りである。
3)勤続ポイントおよび等級ポイントの1ポイント当たりの単価は1万円とする。

第7条(勤続年数などの計算方法)
退職時における勤続年数および職能資格等級への在級期間は、次の各号に定める通りとする。

  • 勤続年数は、入社日から退職日までとする。
  • 勤続年数および在級期間に1年未満の端数が生じた場合は月割で計算し、1カ月未満の端数は15日以上を1カ月とする。
  • 休職期間(業務上の事由による傷病での休職期間を除く)は、勤続年数および在級期間に算入しない。

第8条(加算金)
在職中に特に功労のあった者または勤務成績が優秀であった者には、加算金を支給する。加算金の支給の有無およびその額は取締役会で決定するものとする。

第9条(自己都合退職時の減額)
自己都合退職に該当する者の退職金は、別表2「自己都合の退職金支給率」を乗じた支給率により算定する。

第10条(支給制限)
就業規則第○条に定める懲戒解雇をされた従業員には、原則として退職金を支給しない。ただし、情状により一部を支給することがある。

第11条(死亡時の取り扱い)
1)死亡した従業員の退職金は、次の各号に定める順位に従い、その遺族に支給する。第2号から第5号については、従業員の死亡当時、死亡した従業員の収入によって生計を維持していた、あるいは生計を一にしていた者に限る。

  • 死亡した従業員の配偶者(婚姻の届け出をしなくとも事実上婚姻と同様の関係にある者を含む)。
  • 死亡した従業員の子。
  • 死亡した従業員の父母(実父母より養父母を優先する)。
  • 死亡した従業員の孫。
  • 死亡した従業員の祖父母。

2)同順位の者が2名以上となる場合には、そのうち最年長者を代表者としてその者に給付する。

第12条(支給時期)
退職金は、原則として退職日より3カ月後に支給する。ただし、不正行為等に対する調査中の場合については、当該支給を一旦保留とすることがある。

第13条(支給方法)
退職金は原則として一括払いとし、退職金の支給を受ける者があらかじめ指定した金融機関に振り込む。

第14条(譲渡などの禁止)
退職金を受ける権利は、これを譲渡し、または質権、担保に供したりしてはならない。

第15条(債務等への相殺)
従業員が会社に対して債務等を有する場合については、本人の同意を得ることにより、退職金をもって当該債務等の返済に充てることができるものとする。

第16条(書類の提出等)
退職一時金の給付を受けようとする者は、会社が指定する書類を指定の期日までに提出しなければならない。

第17条(罰則)
従業員等が故意または重大な過失により、本規程に違反した場合、就業規則に照らして処分を決定する。

第18条(取消および返還)
退職後、在職中の勤務に関し、懲戒解雇に相当する事由が明らかになった場合には、会社は退職金の支給を取消し、支給済の退職金を返還させることができる。

第19条(改廃)
本規程の改廃は、取締役会において行うものとする。

附則
本規程は、○年○月○日より実施する。

■別表1「ポイント表」■

別表第1「ポイント表」

■別表2「自己都合の退職金支給率」■

別表第2「自己都合の退職金支給率」

以上(2022年11月)
(監修 人事労務すず木オフィス 特定社会保険労務士 鈴木快昌)

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画像:ESB Professional-shutterstock

【朝礼】正しい言葉遣い

先日、インターネットでグラスを購入したのですが、私の注文したものと異なる商品が手元に届きました。そこで、販売会社に商品交換の連絡をしました。先方の電話口に出た人は若い男性だったのですが、その人の言葉遣いが気になりました。例えば、用件の確認をする際に「商品の交換ということでよろしかったでしょうか?」など、いわゆるファミレス用語を使っていたのです。彼なりに「失礼の無いように」と一生懸命に話しているのは伝わるのですが、やはり間違った言葉遣いは「いただけないなぁ」と感じました。私は間違った言葉遣いをしている本人だけではなく、その販売会社に対してもあまりよい印象が持てなくなりました。

逆に印象のよい言葉遣いに出合った経験もあります。私が新人だったころ、取引先の会社に訪問したときのことです。取引先の担当者は、私より随分年上にもかかわらず、私に丁寧な言葉遣いで接してくれました。

私はその対応に、自分が一人前のビジネスパーソンとして扱ってもらっていると感じ、「きちんとした仕事をしなければ」と思いました。同時に、先方の担当者に対しても、「この人であれば仕事を任せても安心だ」と信頼を寄せるようになりました。

言葉遣いについて、なぜ私がこれほどうるさくいうのかといえば、正しい言葉遣いはビジネスパーソンとして、身に付けておくべきスキルだからです。

正しい言葉遣いで話すことは相手への敬意を目に見える形にするという意味を持っています。間違った言葉遣いでは、いくら相手に敬意を持って接していても、その気持ちが十分に伝わりません。人によっては、間違った言葉遣いをとても失礼な対応だと感じる人がいるでしょう。

また、正しい言葉遣いには説得力があります。大切な業務でミスをしてしまい、謝罪する場面を考えてみてください。間違った言葉遣いで謝罪をするのに比べて、正しい言葉遣いで謝罪をするほうが説得力は増すのではないでしょうか。

このように、言葉遣いはビジネスのあらゆるシーンで必要とされるスキルですから、ぜひとも身に付けておくべきなのです。

ついつい使ってしまう間違った言葉や言い回しは、誰にでもあると思います。そして、そういった癖は、自分自身では意識することが難しいものです。もし、間違った言葉遣いをしている人がいれば、周囲の人たちがそれを注意してあげてください。皆で気を付け、間違った言葉遣いを無くしていきましょう。

以上(2022年11月)

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画像:Mariko Mitsuda

干支のエトセトラ(卯編)

書いてあること

  • 主な読者:卯年にちなんだ話題や、スピーチ例などを探しているビジネスパーソン
  • 課題:卯年に関連する話題を調べたり、スピーチを考えたりする時間がない
  • 解決策:過去の卯年に起きた出来事、卯年にちなんだスピーチ例を参考にする

1 卯(う・うさぎ)に関する話

1)卯年に起きた出来事

2023年の干支(えと)は「卯(う・うさぎ)」です。前回の卯年は、2011年(平成23年)の辛卯(かのとう)でした。この年は、3月11日に東日本大震災が発生し、日本中が大きな混乱と悲しみに包まれる中、FIFA女子ワールドカップで、なでしこジャパンが初優勝をし、私たちを勇気づけてくれました。世界中から、被災地・日本への祈りが寄せられ、大切な人との絆を確かめ合い、忘れられない年だったという人も多いのではないでしょうか。

過去5回の卯年に起きた主な出来事や流行語は次の通りです。

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2)卯年生まれの有名人

卯年生まれの日本の有名人には、次のような人がいます(既に亡くなられた方も含みます)。

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3)うさぎの話

卯年の「卯」という字は、ものを両側に押し開けたさまを表すとされています。これは閉じたものや障害を押しのける意を含んでおり、芽生えなどの意味もあるようです。

「卯」という字を用いたもので、よく知られているのが「卯建(うだつ)」です。「卯立」と書くこともあるようです。これは、古民家などにある、屋根の両端から立ち上がった小屋根付きの袖壁のことを指し、防火の役割を果たしていました。また、雨除けとして、あるいは装飾として、その家の権威や格式を象徴するものでもありました。かつては、卯建の高さで、身分を表すこともあったそうです。「うだつの上がらない人」という言葉は、「卯建を高くすることができない人」。そこから派生して、「出世の望めない情けない人」という意味で用いられるようになったのです。

さて、卯は、干支ではうさぎを指します(第3章「干支の起源・豆知識」に詳述しています)。うさぎは坂などを走るのが速いところから、何事も速やかに良いほうに進むシンボルとされることがあります。また、山岳などで野生のうさぎを見かけることができる他、幼稚園や保育園、小学校でも飼育され、子どもたちに親しまれている身近な動物の1つです。

うさぎというと、夜空の月で「きね」をついている姿を思い浮かべる人も少なくないでしょう。この月とうさぎの組み合わせの話は、中国は唐代の僧、玄奘(げんじょう)のインド旅行記である「大唐西域記」に見ることができます。その概要は以下の通りです。

あるとき、「うさぎ」と「きつね」と「さる」の3匹が仲良く暮らしていました。3匹は、前世の行いが悪く、現世では動物の姿にされてしまっていました。そこで、人のためになる善行をしようと話し合っていました。それを天上から見ていた帝釈天(仏教を守護するという天上界の王)が、みすぼらしい老人に変身し、3匹の前に現れました。老人を助けようと、さるは木に登って果物や木の実を採取し、きつねは川魚を捕獲してきました。しかし、うさぎにはこれといった特技がありませんでした。

老人へ何もできないうさぎは悩み続けた結果、「自らの肉を食べてほしい」と言い残し、自ら火をおこし、そこに飛び込んで焼け死んでしまいます。老人は帝釈天の姿に戻って火を鎮め、うさぎを哀れんで、その亡きがらを、月の中に納めたのでした。これが、うさぎが月の象徴となったと由縁といわれています。

この言い伝えが日本にも伝わり、特に江戸時代には、月にうさぎの模様がよく用いられました。そのため、さまざまな工芸品にうさぎの姿が残されているのでしょう。

2 卯(う・うさぎ)にちなんだスピーチ事例

1)スピーチ事例1

古事記に記されている「因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)」は皆さんもよくご存じではないでしょうか。粗筋をお話ししますと、隠岐(おき)の島にすんでいたうさぎが、本土に渡ろうと考え、ワニ(サメのことといわれています)をだまして1列に並ばせ、その上を渡って岸へたどり着きました。しかし、最後にワニをだましたことを明かしたところ、怒ったワニから皮をむかれてしまいました。

痛みにむせび泣くうさぎの近くを通ったのは、因幡の国に八上比売(やかみひめ)という美しい姫がいると噂に聞いて、求婚しようと向かっていた、兄弟の神々である八十神(やそかみ)らでした。彼らは、あろうことか、うさぎに嘘の治療法を教えました。それを信じたうさぎの傷は、もっとひどくなってしまいました。

その後に通りかかったのは「だいこくさま」として知られる、大国主神(おおくにぬしのかみ)。八十神ら兄弟からは疎まれ、いつも意地悪をされており、そのときも重い荷物を背負わされていたため、1人遅れていたのでした。彼はうさぎに正しい傷の手当てを教え、おかげですぐに治りました。そして、うさぎは「きっと八上比売は、あなたを選ぶでしょう」と告げました。

そして、皆が因幡の国にたどり着くと、うさぎの言った通り、八上比売が選んだのは、ほかでもない、心優しい大国主神でした。

さて、この話から考えたいのは、1つは、私利私欲のために他人をだませば、必ず報いを受けるという、いわゆる因果応報です。また、そのように人を陥れることで、のし上がろうとすれば、そんな自分をさらに欺き、足を引っ張ろうとする者がいるのだ、という啓示を与えてくれます。一方、窮地に陥っている自分を助けてくれる人もいますよね。善い行いをすれば、その人から直接ではなくとも、必ず良いことが返ってきます。

では、皆さんは、もし困っている人を目の前にしたとき、どのように動きますか? 迷わず手を差し伸べることができるでしょうか?

これは仕事をしていく上でも大切なことです。とっさのときにこそ、その人の真の人間性が表れます。それを築くのは、その人がどのように生きてきたか、日々の積み重ねに他なりません。仕事でも、足をすくわれるようなことがあるかもしれません。ピンチのときには、お互いにフォローし合い、皆で手を取り合って乗り越えていけるようになってほしいと願います。

2)スピーチ事例2

皆さんは、絵本作家のディック・ブルーナをご存じでしょうか。世界中で愛されているうさぎのミッフィー(正式名称「ナインチェ・プラウス」。日本語翻訳版では「うさこちゃん」)の生みの親です。お子さんやお孫さんに絵本を読み聞かせてあげた人もいるでしょうし、幼い頃に親しんだ記憶のある人もいるのではないでしょうか。

オランダに生まれたディック・ブルーナは、出版社を経営する父の下、本の装丁デザイナーとしてキャリアをスタートしました。その後、絵本作家の道へ進んでいきますが、鮮やかな色彩感覚や、はっきりとした線に、パブロ・ピカソやアンリ・マティスから受けた影響が見て取れます。以前、美術館で、デザイナー時代に手掛けたものから絵本に至るまで、ディック・ブルーナの生涯描いてきた作品の展示を見ましたが、作風の変遷は、とても興味深いものでした。

さて、ミッフィー、ディック・ブルーナと聞いて、皆さんが思い浮かべるのは、どのような絵でしょうか? とことんシンプルで分かりやすい図柄ではないでしょうか。

ディック・ブルーナは「僕の作るものはシンプルでいて、見る人にイマジネーションを働かせるものでなくてはならない」という言葉を残しています。シンプルに、極限まで削って、引き算で表現した作家だったのではないでしょうか。

仕事でも同じことがいえます。足し算で、部下へ全て指示をして動いてもらえば、確かに、自分の思った通りのことをしてくれるかもしれません。

しかし、その部下の成長という点ではどうでしょうか。全てを指示してしまうのではなく、引き算で、あえて相手に、自分で考えてもらう余白を残す。そうすることで自主性や成長を促すことが大切なのではないでしょうか。そのような接し方を、皆さんにも意識してもらいたいと考えています。

3 干支の起源・豆知識

1)干支の起源

一般的に、巳(み)年や申(さる)年など、動物の名前を当てはめたものが干支であると認識されています。

しかし、よく考えてみると「干支とは何か?」について、はっきりと答えられる人は意外と少ないものです。

干支(えと=かんし)は、古代中国に起源を持ち、年月日や時刻、方位などを表す呼称とされる言葉です。

干支の「干(え)」は10種類あり、十干(じっかん)といいます。

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これに陰陽五行思想を結び付けて、それぞれ陽を意味する兄(え)、陰を意味する弟(と)を当てて、次のようにも読みます。

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一方、干支の「支(と)」は古代中国の天文学で、木星の位置を示すために天を十二分した呼称を起源にしており、十二支といいます。

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さらに、十二支を動物に当てはめて、次のように呼ばれるようになったのです。

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中国では、古く殷(いん)の時代(紀元前16世紀~紀元前11世紀ごろ)から、この十干十二支の組み合わせで年月日が数えられたといいます。これが干支の起源です。

2)干支と十二支

現在の日本では、干支は十二支を指すように使われていますが、厳密には干支と十二支とは異なります。本来の干支(十干十二支)の組み合わせは全部で60通りあり、日本で使われている12通りの十二支とは違うのです。干支は年月日や時刻に当てられますが、日本では一般的に年に当てられて使われています。満60歳を還暦(かんれき、もしくは生まれ年の干支を「本卦(ほんけ)」と呼ぶことから本卦還(がえ)りともいう)というのは、干支が1周して生まれ年の干支に還(かえ)るところからきています。

また、「丙午(ひのえうま)」という言葉を耳にしたことがある人も多いはずです。この呼び方も干支からきています。

ちなみに、2023年の干支は癸卯(みずのとう)、2024年の干支は甲辰(きのえたつ)です。自分の生まれ年の干支が何かを、下表で確認してみましょう。

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3)干支が表す歴史年代

古くから、干支は年月日などの時間を表す呼称として使われてきました。具体的な年がすぐ分かる干支は、歴史上の事件の呼称としても多く用いられています。

有名な例としては以下のようなものがあります。

  • 672年  みずのえさる 壬申(じんしん)の乱
  • 1592年 みずのえたつ 壬辰(じんしん)倭乱(わらん) ※日本でいう文禄の役
  • 1868年 つちのえたつ 戊辰(ぼしん)戦争
  • 1911年 かのとい   辛亥(しんがい)革命

ちなみに、阪神甲子園球場は、「甲子(きのえね)」年の1924年に完成したことから名付けられています。

以上(2022年11月)

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画像:metamorworks-Adobe Stock

【朝礼】マネジメントに必要な“調整力”

私が主任として制作現場のマネジメントを任されて、半年余りがたちました。そこで、この半年余りを振り返って、自分がやってしまった失敗と、失敗から得た私なりの改善点をお話しします。皆さんも参考にしてください。

まず学んだのは、相手の立場を理解して、尊重することの大切さです。主任だから何でも指示を出せば従ってもらえるわけではなく、相手の立場を踏まえてお願いすべきだと感じました。

具体的には、部長から、1週間以内にサンプルを3パターン提出するように言われたときのことです。取引先からどうしても急いでほしいと頼まれたとのことでしたので、私は現場の人に、最優先でサンプルを作ってもらうようにお願いをしました。ところが、現場では作業が立て込んでいて、「1週間でサンプルを3パターン作るのは難しい」との苦情が出たのです。

私は、現場の人の気持ちを考えず、取引先からの特別な依頼だということを金科玉条(きんかぎょくじょう)にして、一方的に仕事を押し付けようとしていた自分を、とても恥ずかしく思いました。現場でサンプル作りをしていた頃の私でしたら、部長に言われた時点で、この業務が難しいことを伝え、もう少し時間的な猶予をいただけないか相談していたはずです。

次に学んだのは、マネジメントの仕事は、ただ単に上司と現場の声を伝えるだけでなく、自分で考えて調整を行うことが重要だということです。

先ほどの話の続きですが、現場の人の声を踏まえて、部長に納期を1週間遅らせてもらうようにお願いをしたのですが、部長から、「なぜ1週間も必要なのか」を聞かれたときに、私は明確な根拠を示すことができませんでした。ただ「1週間はほしい」という現場の声を伝えていただけだったのです。

その後、課長のアドバイスもあって、改めて現場の作業日程を確認したところ、自分が関わっていない別の業務の納期に若干の余裕があることが分かりました。また、営業担当の同僚に相談したところ、他の取引先の案件の納期を少し遅らせてもらえることになりました。このため、結果的に3パターンのサンプルは、2日の遅れだけで納品することができました。

今お話しした一件から、私は、マネジメントに必要なことは“調整力”なのだと肝に銘じました。調整するためには、常に全体を見ておき、たとえ自分が関わっていない業務であっても、現場の全ての工程と、社内での優先事項という両方の状況を把握しておくことが大事なのだと感じました。そして、ただ状況を把握するだけでなく、その状況にいる人たちが、どんな思いを持っているのかも理解する必要があるのだと思いました。

これらを全て一気にできるようになるのは難しいですが、一歩一歩、前に進んでいきたいと思いますので、これからもご指導、ご鞭撻(べんたつ)のほど、よろしくお願い致します。

以上(2022年11月)

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画像:Mariko Mitsuda

従業員・元従業員からの情報漏洩を防ぐにはどうしたらよいのか?

書いてあること

  • 主な読者:従業員・元従業員からの情報漏洩を防止したい経営者
  • 課題:リモートワークで情報漏洩のリスクが高まっている
  • 解決策:情報漏洩のルートは、「第三者からの攻撃」「従業員・元従業員のミス」「従業員・元従業員の故意」の3つであり、それぞれ対策を講じる

1 情報漏洩のルートは3つ

企業は取り扱う情報の重要度に応じて防御の要否やその対策を検討・実行していますが、情報漏洩が後を絶ちません。情報漏洩のルートは、

  • 第三者からの攻撃による漏洩
  • 従業員・元従業員のミスによる漏洩
  • 従業員・元従業員の故意による漏洩

の3つとされるので、それぞれ対策を進めましょう。例えば、

従業員の情報の取り扱いにミスがあっても、第三者からの攻撃を防止する対策を講じていたので難を逃れた

といったこともあります。

2 第三者からの攻撃による漏洩を防止

第三者からの攻撃は、過去の脆弱性を悪用したものが多いです。そのため、OSやソフトを最新の状態にすることで多くを防止できるとされています。ここでは、IPA(情報処理推進機構セキュリティセンター)が中小企業向けに公表している「情報セキュリティ5か条」を基に対策を紹介します。

1)OSやソフトは常に最新の状態にする

Windows UpdateなどOSのアップデートや、ソフトの修正プログラムを適用するなどして、常に最新の状態にしておきます。古いまま放置していると、セキュリティー上の問題が改善されずに、それを悪用したウイルスに感染するリスクがあります。

2)ウイルス対策ソフトを導入する

各PCなどにウイルス対策ソフトを導入・設定していることを確認します。また、次々と新しいウイルスが出現しているため、ウイルスの定義ファイルが自動更新されるように設定しておく、統合型のセキュリティー対策ソフト(ファイアウオールや脆弱性対策など統合的な機能を搭載したソフト)の導入などを検討するとよいでしょう。

3)パスワードを強化する

名前や電話番号などの推測しやすいものは使用しないということに加えて、英数字記号を含めて10文字以上にします。また、ウェブサービスからID・パスワードが流出して悪用されることもあるため、同じパスワードを複数のウェブサービスで利用しないようにします。

4)共有設定を見直す

ファイル共有サービスやグループウエアなどの情報共有ツールの設定を誤り、共有すべきではない人にも、情報が共有されることがあります。特に社外共有時は慎重に設定することに加えて、ファイル開封時にパスワードを設定するなど、共有時のルールを決めておきます。また、従業員の異動時・退職時には、アクセス権限を無効にする作業も忘れずに行いましょう。

5)脅威や攻撃の手口を知る

日々、悪意ある第三者が情報を盗むために、さまざまな攻撃・手口を生み出しているので、最新の情報を知り、対策を実施します。IPAやセキュリティーソフトを手掛けるメーカーなどが新しいウイルスや攻撃の手口、その対策などの情報発信をしているので、参考にします。

3 従業員・元従業員のミスによる漏洩を防止

1)情報管理の6つの視点

従業員・元従業員のミスによる情報漏洩は多いものです。ミスの中には、誤操作、紛失・置き忘れ、盗難、管理ミス、設定ミスなどがあります。ミスを防止するためには、次の視点から情報を管理します(IPA「情報漏えい対策のしおり(第7版)から一部抜粋」)。

  • 情報を許可なく、持ち出さない
  • 情報を未対策のまま目の届かない所に放置しない
  • 情報を未対策のまま廃棄しない
  • 私物の機器類やソフトなどのデータを、許可なく持ち込まない
  • 個人に割り当てられた権限を許可なく他の人に貸与または譲渡しない
  • 業務上知り得た情報を、許可なく公言しない

上記はどれも重要な対策であり、「情報を持ち出す際は許可を取る」「誤操作がないように2人1組で作業をする」などの社内ルールを策定している企業も多いと思います。とはいえ、ルールが形骸化している、従業員が十分にルールを認識していないこともあります。上記6つや、それに関連する社内ルールを、いま一度、組織に周知徹底しましょう。

2)リモートワーク下での対策

リモートワークをしている企業は、前述の「1.情報を許可なく、持ち出さない」「4.私物の機器類やソフトなどのデータを、許可なく持ち込まない」「5.個人に割り当てられた権限を許可なく他の人に貸与または譲渡しない」の視点に立った管理が重要です。

リモートワークでは、ある程度情報にアクセスできなければ仕事になりません。そのため、従来よりも多くの従業員に情報を持ち出す許可や、アクセスする権限を与えているかもしれませんが、社外に漏洩しては困る情報の持ち出しは禁止するなどしましょう。

情報へのアクセスについては、まずファイル共有時の設定に注意しましょう。加えて、特に機微な情報を扱う場合は、VPN(仮想専用線)接続によるアクセスなどを検討します。VPN接続とは、インターネット上に仮想的な専用線を設けて、セキュリティー上の安全な経路を使ってデータをやり取りするものです。端末の電子証明書などの認証方式を採用しているセキュリティーの高い製品を選ぶようにしましょう。

4 従業員・元従業員(内部)の故意による漏洩を防止

従業員・元従業員の故意による漏洩はミスによる漏洩などに比べて少数です。しかし、漏洩するのは顧客情報などで、そうなったときのダメージは大きなものです。

ここまでで紹介した、「従業員の異動時・退職時には、アクセス権限を無効にする」など、情報へのアクセスを制限する対策の他に、秘密保持・競業避止義務を課すことを検討します。これにより、従業員・元従業員に対する抑止力が働き、漏洩が起こった場合は当該従業員・元従業員の責任を追及できる可能性があります。

1)従業員・元従業員の秘密保持義務

労働契約の存続期間中、従業員(パートなどを含む)は秘密保持義務を負うと考えられています。秘密保持義務とは、

企業の業務上の情報を第三者に開示・漏洩しない義務

です。就業規則などで明確に定めていなくても、労働契約の付随的義務として信義則上負うものと考えられています。

一方、労働契約の終了後は、原則として契約中に知り得た情報について、当然に労働契約の存続期間中と同様の秘密保持義務を負うとまでは考えられていません。そのため、別途秘密保持契約を締結するなどの手立てを講じる必要があります。

2)秘密保持・競業避止義務の範囲

従業員・元従業員が秘密保持義務を負う場合でも、その範囲は無制限ではありません。職業選択の自由や営業の自由を制約することはできないため、度が過ぎると公序良俗に反するものとして、無効になる場合があります。

例えば、従業員に対して「秘密情報を利用して、在職中、退職後に競合他社に就職するなどの競業行為を行ってはならない」とする競業避止義務を課す場合がありますが、このような規定の有効性については個別具体的な状況によって判断されます。

裁判では次の4つが総合的に考慮され、有効性が判断されるといわれています。ただし、個別の事案によって異なるため、この例と類似するからといって、必ずしも有効性が認められるわけではありません。

競業避止義務の有効性が認められた例

その他、就業規則に退職後の競業避止義務を明確に規定しておくことは、有効性の判断にとって有用です。

3)秘密情報・秘密保持義務などの定義

秘密情報の定義やその管理方法は法的に定められていません。従業員・元従業員に秘密保持義務や競業避止義務を課すためには、従業員・元従業員に秘密情報の対象を明示し、秘密情報として管理されていることが認識できる状態にしていたか否かなどが問われます。

そのため、例えば、従業員・元従業員に秘密情報の対象を示さず、全従業員が容易に秘密情報にアクセスできるような管理状態では、秘密情報だと主張して、従業員・元従業員に秘密保持義務を課すには不十分だということです。

以上から、就業規則や秘密保持に関する誓約書などにおいて、秘密情報の対象と取り扱い範囲を規定することが必要といえるでしょう。これらに違反した場合の処分規定を設けておけば、従業員・元従業員が秘密情報を不当に持ち出すことの抑止力にもなります。

秘密情報の範囲は不明瞭になりがちなので、できるだけ具体的に秘密情報を規定し、新しい情報をその都度、追加していくとよいでしょう。

なお、経済産業省のウェブサイトでは、秘密情報の管理方法や秘密保持契約(誓約書)のひな型などが公開されているため、参考にするとよいでしょう。

■経済産業省「営業秘密~営業秘密を守り活用する~」■
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html

4)従業員以外にも及ぶ営業秘密の効力

特に重要な秘密情報については、「営業秘密」として管理することが肝要です。従業員・元従業員が秘密保持義務に違反し、第三者に秘密情報を漏洩させても、企業は当該第三者と契約関係がないため、第三者に対して債務不履行責任を問うことは基本的にできません。しかし、不正競争防止法上の「営業秘密」と認定されれば、その侵害については罰則が設けられているため、刑事・民事の両面で、当該第三者に対する法的措置が取りやすくなります。

また、情報を持ち出された企業が損害賠償を請求する場合、企業が損害の発生や損害額を立証する必要がありますが、営業秘密と認定されることで、不正競争防止法上の損害額の推定規定が適用されます。

営業秘密とは、不正競争防止法の保護・規制を受ける、次のような情報です。

秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの

営業秘密として認定されるためには、

  • 秘密管理性(秘密として管理されていること)
  • 有用性(有用な営業上または技術上の情報であること)
  • 非公知性(公然と知られていないこと)

の3要件を満たす必要があります。この3要件を意識し、情報に接することができる従業員等にとって、秘密だと分かる程度の措置(例えば、紙や電子記録媒体へ「マル秘」「持ち出し禁止」の表示をする、秘密保持契約等によって秘密情報の対象を特定するなど)を講じるとよいでしょう。

以上(2022年11月)
(監修 みらい総合法律事務所 弁護士 田畠宏一)

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画像:pixabay

【朝礼】壁を乗り越えろ

一心不乱に一つのことに取り組んでいたら、いつのまにか難しい課題もクリアできていたという経験をしたことはありませんか?今日は、がむしゃらに取り組むことの大切さを改めて皆さんに考えてほしいと思います。

例えば、スポーツが上達する上で、継続した練習が欠かせないのはご存じの通りです。かつての練習は根性論が主流でしたが、最近では科学を取り入れた理論的な裏づけに基づく練習が盛んです。運動生理学に基づく練習プログラムを計画通りにこなし、かつ、実践を数多く経験することで、スポーツの技量は向上します。

皆さんの場合であれば、ビジネス理論を学び、ノウハウやスキルを身に付けて、さまざまな実務経験を積むことで、順調に成果を上げるというものです。スポーツ選手もビジネスパーソンもこうなれば、まさに理想的な成長プロセスを歩んでいると言えるでしょう。

しかし、現実はそうではありません。何をやってもうまくいかない、つまり、結果がともなわないときがやってきます。結果がともなわないと、これまでの取り組み方法が間違っていたのではないかと、不安になります。こうした状態が続くと、自信をなくし、やる気さえ失いかけます。これが、壁とかスランプとか言われるものかもしれません。この壁やスランプは誰にでも起こるものです。私にもそうした時期は何度もありました。

人は壁やスランプの状態に陥ると、「私にはできない。この取り組みで結果を出すのは私の能力を超えている。そもそも無理なことだった。だからできなくても仕方ない」というように、言い訳やあきらめが口に 出るようになります。これこそ、脳が自らの限界を設定した瞬間です。しかし、これを乗り越えなければ、ビジネスパーソンとしても、人としての成長もありません。

では、どうすればよいかが問題です。「初心に戻り、改めて計画的に取り組む」ことができればよいのですが、そんな気持ちになれないのが人間です。

そこで、私がお勧めするのは「1週間だけ“がむしゃら”に行動する」ことです。例えば、「目に付いた本を片端から乱読する」「アイデアをすべて企画書にする」「映画を見続ける」「毎日ハードなトレーニングをする」など、言葉通りに我を忘れてやってみることです。考えるのではなく行動することがポイントです。こうすることで、皆さんが自ら設定している身体的な限界や心理的限界は突破できるのです。

幸いにも、これまで大きな壁やスランプを知らないという人は、自ら限界を作らないタイプの人でしょう。今後も限界を作らないようにしてください。

最後に、私が「もう限界かな」と思うようなときは、東京六大学野球で成績が振るわない東大野球部の元主将の言葉を思い出し、自分を鼓舞します。

彼の言葉は「勉強は簡単だ。勉強では戦う相手は自分だけだから限界を設けなくてよい。しかし、野球の場合は相手がいる。自分たちがいくら頑張っても相手が強いと試合は負けてしまう。ここで大切なのは、勝つことを目標に、自分たちが頑張り続けることだ。さあ、練習しよう」です。勉強で限界を設けない姿勢と、負け続ける野球においても勝つことを目標に練習する姿は素晴らしいでしょう。

以上(2022年11月)

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画像:Mariko Mitsuda

全社員が持てる“経営的視点”(1)~組織は毎年歳を取る~/武田斉紀の『誰もが身に付けておきたい“経営的視点”』(5)

書いてあること

  • 主な読者:会社経営者・役員、管理職、一般社員の皆さん
  • 課題:経営幹部や管理職の方はもちろん、若手社員の方でも「経営的視点で見るように」と社長や上司から求められた経験があるのではないでしょうか。その場でうなずきはするものの、「経営的視点とは何か?」「それは社長以外の社員に必要なのか?」「会社員として働く上で、人生において価値があるのか?」「そもそもどのように身に付けていけばいいのか?」といった疑問があるのではないでしょうか
  • 解決策:課題で挙げたさまざまな質問に対して、『“経営的視点”の身に付け方』というテーマで、全国で多くの講演を行っている筆者が明快に回答します。“経営的視点”はこれからの時代において新入社員から求められる視点であって、より早く身に付けることができれば、その分、仕事においても人生においてもプラスであることが分かるはずです

1 社長だけの“経営者の視点”と、全社員が持てる“経営的視点”を分けた上で

シリーズ『武田斉紀の「誰もが身に付けておきたい“経営的視点”」』の第5回です。

このシリーズでは、社長や上司から「“経営的視点”を持て!」と言われるけれど…「経営的視点って何?」「社長以外の社員にも必要なの?」「会社で働く上で、人生において価値があるの?」「そもそもどうやって身に付ければいいの?」。こうした疑問にお答えしています。

さらには、『“経営的視点”の身に付け方』の具体的なノウハウと、経営における効用、働く側のメリットなどを、事例も交えながらご紹介していきます。

“経営的視点”はこれからの経営や働き方において、新入社員から求められる視点であり、誰にとってもより早く身に付けられれば、その分、仕事においても人生においてもプラスになるといえるでしょう。

前回まで3回にわたって、“経営者の視点”とは何かについて詳しくお話ししてきました。“経営者の視点”はトップである社長だけが持てるものであり、“経営的視点”とは異なるとご理解いただきたかったからです。

社長や上司が「“経営的視点”を持て!」と言いながら、もしも“経営的視点”ではなく、“経営者の視点”を求めているとしたら、それは無理な話です。でも、“経営的視点”なら全社員が持てます。

さて、今回からは“経営者の視点”ではなく、本題の“経営的視点”の身に付け方のノウハウについて解説していきたいと思います。

私からご提案する誰もが持てる、全社員が持てる“経営的視点”の観点は次の3つです。
1)会社の【成長】
2)会社の【組織力】
3)会社の【存在意義】

1)と2)については少し視点を意識して見直すだけで、比較的簡単に“経営的視点”を身に付けられます。3)は、理解し、身に付けるのに少し時間がかかりますが、身に付けた際は会社にとって、社員一人ひとりにとって得られる効果は絶大です。

2 会社組織は全員が毎年1歳、歳を取る

まずは「1)会社の【成長】」の観点からお話ししていきましょう。前提となるのは「会社組織は全員が毎年1歳、歳を取る」という事実です。

現状、日本の多くの企業が採用しているのが、「年功序列型賃金制度」と「終身雇用制度」です。

入社時点では一人ひとりが担当する職種や専門分野が決まっておらず、異動によりさまざまな部署での経験を積みながら成長していくので、「メンバーシップ型(職能型)」人事制度とも呼ばれています。

「年功序列」とは言葉の通り、勤続年数や年齢が増すにつれて給料が上がっていくことを意味します。けれど給料はどこから出てくるのでしょう。説明するまでもなく、会社として経済活動を行って残した利益が原資ですね。

しかしながら、もしも社員一人ひとりの能力(稼ぐ力)が今年度と来年度で全く変わらなかったとすれば、会社全体の利益は変わりません。となると、社員が「年功序列で1年たったのだから、その分の給料を上げてくれ」といくら要求しても、会社としては支払えないのです。

ない袖は振れません。

大抵の会社組織はピラミッド型にできています。山の頂上に社長がいて、山頂付近に取締役や部長がいて、中腹に課長がいて、裾野にそれ以外の一般社員がいて、お客様や現場の第一線と対峙しています。

先ほど触れたように「会社組織は全員が毎年1歳、歳を取る」ので、放っておくとどんどん高齢化していきます。そこで人事的には一定年齢に達した社員には定年制度で会社組織の山から去ってもらい、その分を裾野に若い新入社員を採用して補い、組織の平均年齢が上がらないようにしています。

社員一人ひとりの能力(稼ぐ力)が、今年度と来年度で全く変わらなかったとすればどうなるでしょうか。平均年齢は変わらず会社組織全体では問題ないように見えますが、平均能力では前年度より1年分落ちているのです。

しかも、一人ひとりがピラミッドの1年上の立場に上がったのに、役割に応じた能力が発揮できず機能不全に陥ってしまうでしょう。

すなわち、会社組織においては、全員が1年で1年分以上成長しないと給料は上げられない。自分自身はもとより、社会人1年目の新人も含めて、自分の部下も全員責任を持って1年分育てて初めて給料を上げられるのです。

ここまで理解できたら、あなたは次の意味がわかるでしょう。

■毎年給料を上げたいのであれば、全員が、自分が1年後にいるべきピラミッドの高い位置から常に物事を見て、仕事を進めていかなければならない。

3 話題の「ジョブ型」人事制度ではどうなるか

コロナ禍がきっかけで、リモートワークが一気に日本企業に浸透して、働き方に変化が生まれ、同時に会社や上司には新たなマネジメント上の課題が発生しました。日々近くにいて仕事の進捗確認や指導、時間管理が難しくなったのです。

片や少子高齢化で縮小市場となった国内から海外へのグローバル化の流れも相まって、欧米型といわれる「ジョブ型(職種型)」人事制度が注目されています。

大手企業の一部ではコロナ前からすでに一部導入、あるいは完全導入が始まっていて、他の大手や中堅中小企業でも「メンバーシップ型」から「ジョブ型」への転換を検討するところが増えているようです。

日本政府も「年功序列を見直し」て、「ジョブ型」への移行を経済界に推奨し始めています。法律が後手では現場は混乱するだけですから、本気で取り組む覚悟なら掛け声より法整備を先行しなければなりません。

とはいえ、日本企業のすべてが「ジョブ型」に一気に変わって、はたしてうまく機能するのか、生産性が上がって成長軌道に乗れるのか。その点は十分に検討されているのでしょうか。

「ジョブ型」は魔法の杖ではありません。比較調査データで提示される生産性の低さや教育投資の低さは、全て年功序列や「メンバーシップ型」が原因なのでしょうか。私にはどちらを選ぶかは各社の考え方次第でよく、問題はその運用方法にあるように思えます。

さて、「ジョブ型」は仕事ありき。あらかじめ仕事の要件を明確にしておいて、それをできる人を専門家として採用します。仕事と目標を定めてあるので、プロセスや時間を管理しなくとも、できたかできなかったかの結果で評価すればよい仕組み。リモートワークのマネジメントとも親和性があるとわかります。

その仕事ができるであろう人を採用するので、「メンバーシップ型」のような新卒一括採用主体ではなく、中途採用が中心となります。

前説が長くなりましたが、「ジョブ型」では、「1)会社の【成長】」の観点における前提=「会社組織は全員が毎年1歳、歳を取る」はどうなるでしょうか。

「ジョブ型」人事制度が浸透している世界では、働く側は年功序列のように「1年たったのだから、その分の給料を上げてくれ」とは言いません。もちろん世の中の物価が上がれば給料を上げてくれないと生活ができないとは言いますが、その点は「メンバーシップ型」も同じ。

「ジョブ型」で働く人たちは、「能力が以前より上がった(のでより高い成果を出せるはずだ)」から「成果を以前より出した」から、「その分の給料を上げてくれ」と言うのです。ピラミッドの上のポジションに就かない限り、給料は上がらないと知っているからです。

後は、会社側が賃上げ要求に応じるか、転職して他社により好条件で採用されでもしなければ、何年真面目に働いても仕事内容は変わらず、給料は1円も上がりません。

日本企業のOJT(On the Job Training)のように、上司や周りの誰かがいちいち面倒を見てくれるわけではありません。求める仕事ができないなら、他の人を募集して入れ替わってもらうだけです。

だから自身の給料を上げたい人は、会社や上司がいちいち先ほどのように説明しなくても自ら動きます。能力を上げるために学び直して(リスキリングやリカレント教育)、何とかチャンスをつかんで成果を上げ、それをアピールして昇給や上のポジションに就こうとするのです。

上司の仕事は、現場を回すのに必要な部分(そこもできれば非正規か外部委託化してコストを下げたい)以外は、現状維持ではなく、より高い成果を出そうと意欲のある人材に入れ替えることです。前年度以上の成果を上げるようにと「ジョブ」として求められているからです。

4 どうすれば、「会社の【成長】」の観点から“経営的視点”が持てるのか

2つの人事制度と比べて見てみると、会社としては「ジョブ型」のほうが楽なように思えませんか。自身の給料を上げたい意欲のある人さえ連れてくれば、会社や上司がいちいち説明しなくても、彼らは自ら成長し、前年度よりも高い成果を上げてくれそうです。

ところがそうした人材は世の中に豊富にいるわけではありません。

結局は優秀な人材ほど争奪戦となり、好条件を提示できる企業以外は、なかなか描いた理想通りにはいかないのが現実でしょう。

好条件を提示できない会社の上司は、意欲の高い人材を採用したつもりがそうでもなくて、結果を出せずに入れ替えてばかり。部署としての結果を出せていないと、揚げ句は自分自身が上から入れ替えられる。これでは会社の成長はイメージできません。

であるならば、社長や上司が「メンバーシップ型」の全員を説得していったほうが早いといった考え方もあるでしょう。

「給料は1年たったからといって当たり前には上がりません。一人ひとりが1年で1年分以上成長して、ようやく上げられるのです」「だからこそ全員が、自分が1年後にいるべきピラミッドの高い位置から常に物事を見て、仕事を進めていかなければならないのです」と。

第5回も最後までお読みいただきありがとうございました。次回は全社員が持てる“経営的視点”の観点の2つ目、「会社の【組織力】」についてお話しします。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。ご質問や疑問点などあれば以下までメールください。※個別のお問合せもこちらまで

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以上(2022年11月)
(著作 ブライトサイド株式会社 代表取締役社長 武田斉紀)
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