【朝礼】健康管理は大丈夫ですか

皆さん、体調は大丈夫でしょうか。仕事が忙しいと、つい健康管理がおろそかになってしまいがちです。特に自身の健康を過信している人は気をつけてください。不規則な生活が続くと体調を崩しやすくなります。

体調を崩せば、最高のパフォーマンスは発揮できませんし、周りの人にも迷惑をかけることになってしまいます。これでは、せっかく日ごろの頑張りが、半減してしまいます。仕事をする上で、健康管理は必須条件なのです。

スポーツ選手の多くは、最高のパフォーマンスを発揮するのには「心・技・体」の充実が欠かせないといいます。少し違う意見としては、プロゴルファーの青木選手の提唱する「体・技・心」があります。

心が充実していないとよいパフォーマンス(仕事)が発揮できません。同様に体が充実していない状態、つまり健康を損っては、何もできないのです。「体・技・心」の優先順位は年齢によって変わるというのが私の持論です。20~30歳代は「心・技・体」、40歳代以上は「体・技・心」です。年齢を重ねるごとに、健康の重要度は増してくるのです。

多くの人は、健康が大切なのは分かっているし、健康を管理するためには何をやればいいかも知っているのです。問題なのは、健康管理を実践できない人が多いだけなのです。

ここにいる皆さんには、健康管理をしてもらいたいと思っています。毎日の生活を少し見直すだけでいいのです。

例えば、カリフォルニア大学のブレスロー博士が提唱した、「七つの健康習慣」です。これは以前に、「厚生白書(現在の厚生労働白書)」(当時)にも紹介されたものです。この習慣を実施している数が多いほど、病気が少なく、寿命が長くなるといわれています。

七つの健康習慣は、
1つ目は「適正な睡眠時間」
2つ目は「喫煙をしない」
3つ目は「適正体重を維持する」
4つ目は「過度の飲酒をしない」
5つ目は「定期的にかなり激しい運動をする」
6つ目は「朝食を毎日食べる」
7つ目は「間食をしない」
です。

いかがでしょう。どれも難しいものではありません。専門的な知識も、特別な道具もいりません。当たり前の生活を毎日続ける「意思」を持ち、実践するだけでよいのです。

これだけで健康的な生活が送れるのですから、ぜひ皆さんにも実践していただきたいと思います。ただ、どんなに気をつけていても体調を崩してしまうことはあります。そのときには無理をせずに、しっかりと休んでください。休むことも大事な健康管理です。

仕事をするだけでなく、充実した生活を送るにも体が資本です。健康管理に気をつけて、仕事にプライベートに最高のパフォーマンスを発揮できるようにしておきましょう。

以上(2022年9月)

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画像:Mariko Mitsuda

【税務調査】インボイス導入で要注意。あなたの会社の消費税が調査される!

書いてあること

  • 主な読者:消費税の税務調査ではどんな点が調べられるのか知りたい経営者、経理担当者
  • 課題:税率もUPし、来年にはインボイス制度の導入も控え、今後、消費税の税務調査の重要度が高まる可能性がある
  • 解決策:法人税と連動する項目もあれば、消費税固有の論点もある。特に申告義務の判定、仕入税額控除の取り扱いは重点的に調査が行われる

1 インボイス制度で消費税の税務調査が増える?

税務調査の中心は法人税や所得税で、消費税が単独で調査されることはほぼありません。しかし、

2023年10月1日から始まるインボイス制度の影響で、今後は消費税の税務調査の重要度が高まる

かもしれません。インボイス制度とは、

請求書に適用される税率や消費税額などを記載し、適切に相手に知らせるもの

です。ポイントは仕入税額控除です。仕入税額控除とは、「預かった消費税(仮受消費税)」から「支払った消費税(仮払消費税)」を差し引くことです。そして、仕入税額控除を受けられる支払いが、

インボイス発行事業者(「課税事業者」で、かつ適格請求書発行事業者の申請・承認を受けた事業者)に対するものに限定

されます。ここの運用が税務調査で重点的に確認されることがあります。

また、インボイス制度を機に、いわゆる「免税事業者」から課税事業者に変わるケースもあるでしょう。しかし、免税事業者は消費税の申告・納税に慣れていないためミスが生じやすく、この点を税務調査で指摘されるかもしれません。

この記事では、消費税の税務調査で指摘を受けやすい項目や注意点を説明するので、参考にしてください。

2 本当に「免税事業者」でよいか?

免税事業者は消費税の申告・納税の必要がありませんが、税務調査で実は課税事業者であることが判明するケースがあります。そうなったら、

期限後申告をして、課税事業者であった期間分の申告・納税

をしなければなりません。期限後申告をしたり、納付税額につき決定を受けたりすると、その申告によって納める税金の他に無申告加算税(納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%を乗じて計算)が課されます。

もう一度、確認しておきましょう。消費税の申告義務は、

原則として、基準期間(その事業年度の前々事業年度)の課税売上高が1000万円を超える

場合に生じます。ただし、

  • 設立1年目や2年目の会社(基準期間がない会社)
  • 売上が急拡大した会社

などの場合は特例の判定方法もあります。

なお、申告義務の有無の判定の詳細は、以下のコンテンツで説明しています。

3 本当に「仕入税額控除」の対象か?

仕入税額控除の適用については、

  • 帳簿および請求書などがしっかり保存されているか
  • 非課税取引や不課税取引を課税取引として処理し、仕入税額控除の対象としていないか

が調査されます。以下で、一般的な会社で多く見られる問題を紹介します。

なお、仕入税額控除や、非課税取引・不課税取引の詳細は、以下のコンテンツで説明しています。

1)交際費(祝い金や香典など)

祝い金や香典など、商品やサービスなどの見返りを求めない現金の支出は不課税取引となり、支払った消費税は控除できません。課税取引か不課税取引かは、会計処理システムに入力する際に同時に登録していると思いますが、日々の取引で生じがちな不課税取引については、入力時の注意事項としてメモを残しておくと抜け漏れがなくなります。

2)外注費

従業員やパートに対する給与は不課税取引となり、支払った消費税は控除できません。問題は、自社の従業員以外に対する支払いなどが外注費か給与か分かりにくい場合です。外注費になるか給与になるかは、

請負契約に基づくものか(外注費)、雇用契約に基づくものか(給与)

によって判断されます。外注費は課税取引となり、支払った消費税は控除できます。働き方が多様化している昨今、明確な契約の有無で消費税の判断をするようにしましょう。

3)諸会費

業界団体(同業者団体や組合など)に支払う会費は不課税取引となり、支払った消費税は控除できません。ただし、業界団体が主催するセミナーや講演会に参加するための特別会費は課税取引となり、支払った消費税は控除できます。消費税の取り扱いを取引先ではなく、支出の内容ごとに判断するようにしましょう。

4)旅費交通費(海外出張)

海外出張にかかる旅費交通費(航空チケット代や現地のホテル代・飲食代など)は、免税取引または不課税取引となり、支払った消費税は控除できません。海外出張の場合は、出発前・到着後の支出(国内での支出)と、現地での支出を明確に区分して整理しましょう。

4 本当に「簡易課税制度」を適用してよいか?

消費税には、小規模事業者だけが適用を受けられる「簡易課税制度」があります。簡易課税制度が適用できるのは、

  • 基準期間の課税売上高が5000万円以下
  • 期日までに簡易課税を適用する旨の届出書を提出している

の2つを満たした事業者です。

簡易課税制度の適用を受けると、

預かった消費税×みなし仕入率(業種ごとに決められている)

の計算式で仕入税額控除の計算ができます。簡易課税制度の適用を受けるのは事業者の判断です。また、適用を受けるためには、

納税地の所轄税務署長に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出

する必要があります。

税務調査では、

  • 簡易課税制度の適用ができる会社か否か
  • 業種によって異なるみなし仕入率の適用が妥当か否か

が確認されます。例えば、製造業として申告していたところ、税務調査で小売業だと判断された場合、申告誤りとなり追加で納税が必要になります。

5 本当にその「課税売上割合」で正しいか?

課税売上割合とは、

総売上高に対する課税売上高の占める割合

です。課税売上割合については、

  • 課税売上高が適正に集計されているか否か
  • 課税取引を非課税取引や不課税取引として取り扱っていないか否か
  • 以上を踏まえ、課税売上割合が95%以上か未満か

が調査されます。

もし課税売上割合が95%未満だと、課税仕入額の全額控除の対象になりません。注意が必要なのは、その事業年度に土地を売却(非課税取引)したり、住宅の貸し付け(非課税取引)事業を新たに開始したりした場合です。金額が大きい非課税取引があると、売上高に占める課税売上割合が下がり、95%未満になることがあるのです。実際に95%未満となっていると、支払った消費税が一部しか控除できず、納税額が変わる可能性があります。

多額の取引や、スポット的なイベントが生じたときは、消費税のみならず、税金の計算に大きく影響を及ぼす場合があるので、顧問税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。

以上(2022年9月)
(執筆 南青山税理士法人 税理士 窪田博行)

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画像:Nastudio-Adobe Stock

【文例付き】Z世代の社員の成長を促す「名言」を使ったスピーチ~吉田麻也、サンドウィッチマン

書いてあること

  • 主な読者:朝礼などでZ世代の社員の成長を促すスピーチをしたい経営者
  • 課題:Z世代の社員は基本行動への意識が薄く、仕事への不安が強いとの調査結果もある
  • 解決策:基本行動の大切さを伝え、不安を乗り越えて前向きに進めるよう、著名人の名言などを引用したスピーチを行う

1 「基本行動」への意識が薄く、「不安」が強いZ世代

ここ数年、いわゆる「Z世代」(一般的には1990年中後半から2010年前半に生まれた人)の新入社員が入社している企業もあるでしょう。いつの時代も新しい世代とはギャップがあるもので、接し方や指導のポイントもバージョンアップする必要があります。

日本能率協会マネジメントセンターが2021年10月に公表した「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2021」(以下「新入社員の意識調査」)によると、Z世代の新入社員には、

  • 5Sや体調管理などの基本行動に対する意識が、上司・先輩が期待するレベルより薄い
  • 働くことに不安を感じている人の割合が、他の世代よりも高い

という傾向がみられました。

そこでこの記事では、Z世代の新入社員の傾向を踏まえた上で、彼らの意識の変化を促し、成長を後押しするようなスピーチを、著名人の名言を使った文例も添えて紹介します。

2 文例1:「基本行動」の継続こそ重要だと気付かせる言葉

「継続には力が必要なり」(吉田麻也*)

1)文例

皆さんは、一刻も早く会社の戦力になって、上司や先輩たちから認められたい、会社に貢献したいという気持ちでいっぱいだと思います。ですが、焦ることはありません。「千里の道も一歩から」といいます。整理・整頓・清潔・清掃・躾(しつけ)という、いわゆる「5S」や、体調管理など、基本的なことをきちんと守りながら仕事を続けていれば、着実に力は付いていくものです。

サッカー日本代表のキャプテンである吉田麻也さんは、イングランド(英国)・プレミアリーグのサウサンプトンFCに加入して初年度は活躍したものの、2年目からは怪我の影響もあって、レギュラーとして使われることが減ってしまいました。

そんな逆境をはね返そうと吉田さんが力を注いだのは、筋力トレーニングと食事の見直しなどによる「肉体改造」や、走り方のトレーニングといった基本的な事柄でした。短期的に結果が出る努力ではありませんでしたが、吉田さんはこれを継続することで、次第にプレミアリーグの屈強なライバルたちにも劣らないフィジカルを得て、移籍5年目ごろからレギュラーを奪還します。

皆さんが、すぐに「デキる社員」になりたいと、はやる気持ちも分かります。ですが、入社していきなり活躍できるようなスーパーマンは、100人に1人もいないでしょう。今、当社で活躍している上司や先輩たちは皆、5Sや体調管理など社会人としての基本を守り続け、それを土台にして、「デキる」ことを少しずつ増やしてきた人ばかりです。

吉田さんは、自身の著書で「継続には力が必要なり」と語っています。基本的なことを継続することは、簡単ではなく、今後の成長に最も重要なことだということを忘れないでください。

2)解説:情報過多なZ世代は「意識が高い」だけに基本がおろそかになる恐れも

新入社員の意識調査によると、Z世代の新入社員は、「5S」や「体調管理」といった「基本行動」については、上司・先輩が新入社員に対して期待しているほど、意識をしていないことが分かります。

一方、新入社員は、上司・先輩がそこまで期待していない、「目的を設定し確実に行動する(やり抜く、挑戦する)」ことや「必要な経験を自ら開拓する」ことなどを期待されていると思っています。

SNSなど情報過多な環境で育ったZ世代の人たちは、少しずつステップアップしていく実体験よりも、「デキる社員の人物像」に関してネットに溢れる情報を、圧倒的にたくさん得ているのでしょう。それだけに、早く「デキる社員」に近づこうと気がはやるのかもしれません。

こうしたZ世代の新入社員の意識や理想の高さを評価しつつ、「成長のための近道はない」「5Sや体調管理といった基本をおろそかにしてはいけない」ということを伝えてあげるとよいでしょう。

新入社員に期待している/期待されていると思う「仕事の基本要素」

3 文例2:「不安」を感じている新入社員を勇気づける言葉

「気持ちのない奴に、人生は変えられないんだ」(サンドウィッチマン・富澤たけし**)

1)文例

新入社員や若手社員の皆さん、今日も張り切っていきましょう。もし、「自分は会社にあまり貢献できていないのではないか」「先輩社員に比べて、自分は成長が遅いのではないか」と不安に感じていても大丈夫です。その不安をバネにして、仕事に向き合えばよいのです。

人気お笑いコンビのエピソードをお話しします。サンドウィッチマンの2人は、M-1グランプリで優勝するまでの10年間、ほとんど無名のまま、下積み時代を続けました。アルバイトで生計を支え、アパートに2人暮らしという生活です。特に上京して6年ほどは、将来の展望もなく、体調を崩してネタが書けなくなった富澤さんは、コンビの解散話も切り出したといいます。

そんな状況を脱するべく、2人は7年目を「勝負の年」と決めて、お笑いに真剣に向き合うようになりました。そして、その2年後にM-1グランプリで優勝したことで、一気に道が開けました。富澤さんは著書で、「気持ちのない奴に、人生は変えられないんだ」と振り返っています。

皆さんが抱いている不安は、自分で掲げている高い理想に近づけていない現状に満足していないから生じているのだと思います。不安を払拭するには、強い気持ちを持って、前進することしかありません。目の前にある仕事に真剣に向き合うことで、必ず道は開けるはずです。

2)解説:不安は真剣さの裏返し。前向きなエネルギーに変えるサポートを

この1年間で働くことに不安を感じた人の割合は、Z世代が圧倒的に高く、7割を超えています。コロナ下で入社した新入社員の中には、リモートワークという職場環境や、上司や先輩もコロナ対応で精一杯という状況の中で、十分な指導を受けられず、社内のコミュニケーションも十分に取れていないと考える人もいるでしょう。働くことに不安を感じる人が多いのは、仕方のないことだといえます。

世の中の動きに関心を持ち始める頃にリーマンショックが発生し、思春期に東日本大震災を経験し、社会人になるときにコロナ禍に巻き込まれたZ世代の新入社員は、自分の将来を簡単に楽観できないというのもうなずけます。それだけに、自分の将来について真剣に悩んでいるはずです。また、世の中の荒波を乗り越えていくためには、人とのリアルなつながり、つまり「絆」が大切だということを理解している世代でもあるのではないでしょうか。

スピーチも大事ですが、上司や先輩が頻繁に声を掛けてあげるなど、なるべく気にしてあげるとよいでしょう。その際は、Z世代が抱える不安を否定するのではなく、不安を受け入れた上でエネルギーに変えるような励まし方がいいかもしれません。

この1年間で、働くことに不安を感じた人の割合

【参考文献】
(*)「レリジエンス-負けない力」(吉田麻也、ハーパーコリンズ・ジャパン、2018年6月)
(**)「復活力」(サンドウィッチマン、幻冬舎、2018年8月)

以上(2022年9月)

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画像:pixta

横断歩道付近での交通ルールについて(2022/09号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

歩行者が道路を安全に渡るための横断歩道ですが、横断歩道で歩行者が犠牲となる交通事故が後を絶ちません。

自動車は速度が速く、車体も大きいため、歩行者と交通事故を起こした場合は、死亡事故につながる可能性があります。

横断歩道は歩行者優先であり、ドライバーには、横断歩道手前での減速義務や停止義務があります。

今回は、横断歩道付近での交通ルールについて、再確認したいと思います。

横断歩道付近での交通ルール

1.横断歩道付近での交通事故の発生状況

警察庁の統計によると、 令和3年の死亡事故のうち、人対車両における事故類型では、約7割が横断中での事故となっていますが、そのうちの約半分は横断歩道やその付近で発生しています。

死亡事故における人対車両の事故類型

出典:警察庁「令和3年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等についてより当社作成

信号機のない横断歩道で、「歩行者は渡らないだろう」、「自車が通過するのを待ってくれるだろう」などと安易に考えて通行するのは危険です。歩行者が自車の接近に気づいていない可能性もあります。

なお、横断歩行者等妨害等違反の取締り件数は年々増加しており、令和3年の取締り件数は、平成29年の約2.2倍となっています。

横断歩行者等妨害等違反の取締り件数

出典:警察庁“横断歩道は歩行者優先です” https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/oudanhodou/info.html(2022.7.20閲覧) から当社作成

横断歩行者等妨害等違反をした場合は、以下の罰則等が科せられます。

  • 罰則(刑事責任)
    3月以下の懲役または5万円以下の罰金
  • 反則(行政処分)
    基礎点数:2点
    反則金:大型車1万2千円、普通車9千円、二輪車7千円、 原付車6千円

2.横断歩道付近での交通ルール

横断歩道付近での交通ルールについて、再確認しましょう。

横断歩道付近での交通ルール

3.横断歩道付近の道路標識・道路標示

日頃から、横断歩道に関する道路標識や道路標示を意識し、横断歩道付近に歩行者等がいないか注意して、走行しましょう。

横断歩道付近の道路標識・道路標示

令和4年秋の全国交通安全運動の全国重点項目の一つとして、歩行者の安全確保が掲げられています。ドライバー一人一人が思いやりのある運転を心がけ、横断歩道での歩行者優先が当たり前となる社会の実現を目指しましょう。

以上(2022年9月)

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画像:amanaimages

【朝礼】自分の能力に自信がある人に考えてもらいたいこと

けさは、とある観光地を旅行したときの話をします。その観光地は、それなりに知名度があり、幾つかの観光スポットもあります。特に、地元を走る鉄道会社は、さまざまな集客策を企画していることで有名です。駅ではユニークな土産品を販売し、車両内を飾り立て、ダジャレを交えた車内放送で乗客を飽きさせない工夫をしています。

ところが、いざ観光スポットを巡ってみると、このような時節柄もあるのでしょうが、活気がないという印象を受けました。観光施設の老朽化などハード面の問題もありますが、それ以上に、観光客を歓迎する雰囲気がない気がしました。

例えば、ガイドブックでレンタサイクルを紹介しているのに、自転車用の道路が整備されていません。目指した観光スポット付近に案内板がなく、通り過ぎてしまいました。「○○ホテル前」というバス停が、ホテルから離れた場所に移動しており、私が宿泊した別のホテルの従業員がそのことを知らなかったため、バス停探しに苦労しました。

私が感じたのは、「この観光地で頑張っているのは鉄道会社など少数で、他の人たちと足並みがそろっていない」ということです。

もちろん、頑張っていない人たちに問題があるのは当然です。ただ、私は、もし先ほどの鉄道会社が、自社だけでなく、他の場所の活性化にも目を向けていたら、状況は違っていたのではないかとも思いました。地域全体が盛り上がらないと困るのは、鉄道会社も同じだからです。

例えば、駅で販売している土産品を観光施設でも購入できるようにするとか、車両内で観光スポットの魅力を紹介することもできます。自社のために発揮している発想力を、地域全体を巻き込む活動にも活かせるのではないかと思うのです。

これは、組織が活気を失っていくときの1つの特徴でもあります。当社も含め、どこの会社でも、役職と関係なく、モチベーションが高く成績優秀な社員がいます。素晴らしいことですが、こうした社員の中には時折、自分を成長させることや、自分の仕事を成功させることに注力するあまり、周りが見えなくなってしまう人がいます。他の社員が皆、「自分も同じようになりたい」と、有能な社員を目標にするポジティブな人たちならいいのですが、「アイツばかり目立っている」としらけた目で見てしまうことも少なくありません。

繰り返しになりますが、優秀な社員以外の人たちが努力しなければならないのは当然です。しかし、私は、優秀な社員にもまた、もう少し周囲を顧みる気持ちを持ってほしいと思います。ですから、自分の能力に自信のある人がいれば、自分の仕事だけに100%の力を注ぐのではなく、例えば10%程度は、同僚たちの仕事にも気を配り、良い影響を与えることに注力してみてください。それで仕事の成果が10%落ちたとしても、周囲の社員の成果が数%ずつ上がれば、会社としてはプラスになります。大きな視点で組織を活性化させてくれる社員を、私は積極的に評価します。

以上(2022年9月)

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画像:Mariko Mitsuda

【インタビュー】有事こそ社会貢献! 中小企業が地域の防災を担う方法

書いてあること

  • 主な読者:地域社会に貢献したいと考えている経営者
  • 課題:地域の防災を担って社会貢献したいが、労力も費用も多くはかけられない
  • 解決策:自社の社員を守るための災害対策を地域住民向けに拡大する、駐車場を避難所に提供するなど、自社が保有するインフラや事業の延長線上で可能なことから始める

1 地域の防災を担って社会貢献を

いつも自分たちがお世話になっている地域のために、地元企業としてできることをしたい。そう考えている経営者は多いはずです。一方、「社会貢献」「地域貢献」というと、何か壮大で難しい、すぐにはできそうもないと感じるかもしれません。そうした経営者の方には、

災害時に地域貢献できるように、準備をする

ことをご提案します。

これは地域住民の命を守る取り組みであり、かなり重要な社会貢献です。しかも、次のような取り組みであれば日頃の活動の延長線上でできるので、それほど敷居は高くなく、かつ費用負担も抑えられるでしょう。

  • 社内向けの防災活動を地域住民向けに拡大する
  • 自社の事業の延長線上で可能なことから防災活動を行う

さらに、やり方によっては、自社のビジネスの成長につながる可能性もあります。

そこでこの記事では、防災システムの開発、民間による緊急避難所の認定事業、防災の資格普及・運営事業などを行っているBOSAI SYSTEMの新妻健将社長へのインタビューから、中小企業が少ない費用負担で地域の災害対策に貢献するための方法を紹介します。

2 社内向けの防災活動を地域住民向けに拡大する

それでは、取り組みやすい地域の防災を担う方法として、まずは「自社の社員を守るための防災活動を地域住民向けに拡大すること」をご紹介します。

基本的にどの経営者も社内の防災には関心があり、準備をしているか、しなければと考えているでしょう。まずは、自社の社員を災害から守るための活動を進めていけば、その延長線上で地域社会に貢献できることがあります。

1)社員のための防災用品の備蓄の拡充

企業にとって最低限の防災活動は、社員分の防災用品の備蓄や、避難ルート・避難場所の確保です。例えば、地域住民のことを想定し、備蓄を多めに用意しておいてもよいでしょう。また、リモートワークを導入しているのであれば、災害時にオフィスにいない社員の分の備蓄を地域住民に提供できるような規定を設けるのも一策です。

2)防災に関する資格を利用して地域住民を啓発

災害時に社員を無事に避難させられる確率を高める第一歩としては、社員に防災教育を受けさせることをお勧めします。例えば、震度7以上の地震が発生してカオスな状況になってしまうと、7割以上の人が硬直して何もできなくなってしまい、適切な避難行動が取れるのは1割程度というデータもあります。防災教育を受けて、「いざというとき、人間はなかなか動けない」ということを知っているだけでも違うと思います。NPO法人日本防災士機構が認証する「防災士」という資格がありますし、当社(BOSAI SYSTEM)でも、一般社団法人日本防災教育振興中央会が新しく発行した、「緊急時避難誘導責任者(誘導員)」という資格制度を運営しています。

このような資格取得を利用して、防災に関する講習やセミナーに地域住民の方々をお招きすれば、防災意識の啓発につながるでしょう。講習やセミナーをきっかけに、新たな顧客の開拓につながる可能性もあるかもしれません。また、集客施設などは、利用者に「施設内に緊急時避難誘導員がいる」ことを知ってもらえば、安心感を与えることができます。実際に、有事の際に来店者を適切に避難誘導できるよう、資格を取得したフラワーショップの経営者の方もいます。

この他、リモートワークをしている社員がいる場合は、在宅勤務中の社員を守るFCP(Family Continuity Plan、家族継続計画。災害時に家族の集合場所を決めておく、など)も必要になってくると思います。こうしたノウハウも、地域防災への貢献に役立つでしょう。

3 自社の事業の延長線上で可能なことから防災活動を行う

1)事業内容や企業の特徴を活かした防災活動を

自社の事業や特徴を活かし、その延長線上で地域の防災活動を担うことも可能です。

例えば、製造業者や小売店、飲食店であれば、原材料や製造・販売している商品を、災害時に地域住民に提供できるかもしれません。私たちが2021年6月に事業提携した小型電気商用車メーカーは、ショールームを、電源供給特化型の民間緊急避難所として認定しました。災害時には、ショールーム内の電源や、展示している小型電気商用車に蓄電してある電気を地域住民に提供することを想定しています。

災害時は展示している小型電気商用車に蓄電してある電気を地域住民に提供

また、2022年5月に設立した一般社団法人の「EV100ラストワンマイルを実現する会」は、災害時に地域貢献することを目指す配送事業者の集まりです(新妻氏が理事)。配送車は電気自動車ですので、災害時には移動型の電源供給ステーションとなります。さらに、配送車には救護用品を装備し、ドライバーや作業員は緊急時避難誘導員の資格を取得していますので、地域住民の避難や救護活動にも貢献することができます。

自社の事業や特徴を活かした地域のための防災活動の一例

2)各企業ができる防災活動が集まれば大きな力に

それぞれの企業が、おカネや時間をあまりかけずにできる防災活動を組み合わせていければ、大きな力になると思います。理想的なのは、中小企業のそうした取り組みが多く出てきて大きなムーブメントになることです。「隣の会社はここまで防災活動をしているから、うちはここまでやろう」といった感じで、企業間で切磋琢磨(せっさたくま)していくようになればいいなと思っています。

いずれにしても、いざというときの備えを地域住民の方々に役立つようにするには、普段から地域住民の方々に、「うちの会社はこのようなことをしています」ということをお伝えしたほうがよいと思います。結果的に、自社のPRにもなるでしょう。

4 改めて確認しておきたい中小企業が地域の防災を担う意義

1)災害への危機意識が低い日本人

日本は地震、台風、豪雨などが多発する、世界でも有数の災害大国です。それにもかかわらず、今の日本人は、災害に対する危機意識が低いように感じます。

その大きな理由は、戦後の日本の義務教育に、防災教育がなくなってしまったことです。海外では防災教育を行うのが一般的なのですが、日本で正しい防災教育を受けているのは、戦前の世代の人たちしかいません。このため日本人は、実際に被災をしないと、危機意識が生まれにくくなっているのです。

私も子供の頃、たまに行った避難訓練で、「地震が発生したら机に隠れて防災頭巾を被りましょう」と教わった記憶しかありません。本来は、巨大地震が発生したときに机の下に潜ろうとすると、机ごと吹き飛ばされてけがをする可能性があります。救助が行き届かないような大災害の場合は、まず「けががなく生き残る」ことが大切ですので、まずは正しい姿勢(ゴブリンポーズといいます)でしゃがみ、揺れが少し収まるのを待って危険な場所から離れるのが正しい防災教育です。

2)災害時に頼れるのは自助と共助。公助は来ないと考えておくべき

日本人は、大震災が発生したら、すぐに自衛隊や救急隊が助けに来てくれると思っている人が多いと思います。ですが実際は、交通網が遮断されていますし、救助チームに比べて被災者の数が圧倒的に多いので、「公助」が来る確率はゼロだと考えるべきです。

1995年1月に発生した阪神・淡路大震災では、生き埋めや閉じ込められて救助された人のうち、救助隊に助けられた人は2.6%だったというデータもあります(日本火災学会「1995年兵庫県南部地震における火災に関する調査報告」)。首都直下地震が発生したと仮定した際に、負傷者を救助するために「公助」が来る確率は、自衛隊の初動対処部隊「FAST-Force」が0.26%、救急車が0.25%、消防車が0.34%、パトカー・白バイが1.5%とされています(一般社団法人日本防災教育振興中央会調べ)。

本来は、全ての国民が正しい防災教育を受けて、危機意識を持ち、「自分の身は自分で守る。家族や大切な人が被災したら、自分が助ける」という感覚を持っているべきです。そして、全ての国民が災害に備えて、防災用品の備蓄や家具の倒壊防止はもちろんのこと、止血の方法や骨折時の対応までできるようになっておくことが理想です。

とはいえ、こうした災害に対する危機意識がなかなか国民に浸透しない以上、SDGsのように、国連、政府、大企業といった“上から”の流れで、地域に根付いた中小企業にまで災害時の備えが広がっていくことが現実的な対応だと思います。

5 継続した取り組みにするために知っておきたいこと

1)社会貢献の訴求力が高い「地域の住民の命を守る」取り組み

社会貢献に取り組む際にあまり「メリットは何か」とは言いにくいかもしれませんが、継続して取り組めるようにあえて明らかにしておきましょう。まずは、防災に限らず、一般的な社会貢献活動と同じものです。月並みですが、以下の3つがあるでしょう。

  • イメージアップが図れる「ブランディング」
  • 社会性の高い企業で働きたいと考える若い人材を確保できる「人材採用」
  • メディアに取り上げられるなどの「PR効果」

しかも、防災という取り組みは、一般的な社会貢献活動と比べて、上記の3つのメリットをより享受できるはずです。なぜなら、防災に関する活動は、人命に直接関わる取り組みだからです。「地域の住民の命を守りたいから、この取り組みをしている」という理由付けは、非常に高い訴求力を持っていると思います。被災経験のない人には通じにくい部分があるかもしれませんが、不幸にも災害が発生してしまったときは、地域住民にお役立ていただけることは間違いありません。

2)地域の防災力の強化によって復興までの期間を短縮させる

防災を行う目的は、助けられる命を助けることはもちろんですが、災害後の復興までの期間を短縮させるということも大きいです。2011年3月に発生した東日本大震災は11年以上がたちますが、被災地はまだ完全には復興していません。

今後、日本のさまざまな地域で大震災が発生する可能性があるといわれているのに、大震災が発生するたびに復興まで10年、15年かかる、ということを繰り返しているわけにはいきません。復興までの期間が長くなるということは、経済活動の再開も遅れるということですから、地域社会にとっても、地域に根付いた中小企業にとってもマイナスです。

復興までの期間を短縮させるには、先ほどお話ししたように、「自分の身は自分で守る」という意識を前提にした、人的・物的な被害を最小限に抑えるための日頃の備えしかないと思います。つまり、地域の防災力を強化することは、中小企業自身にとってもメリットになるわけです。大震災は日本のさまざまな地域でいずれ発生するといわれているわけですから、地域の防災力の強化は、保険と同じような感覚を持ってよいのではないでしょうか。

3)何より大切なのは、地域社会に貢献したいという「思い」

とはいえ、中小企業が地域の防災に取り組むには、まずは何よりも、地域社会に貢献したいという「思い」がないとできません。

災害時に、皆で助け合えば、助かる命がたくさんあるはずです。ちょっとの余力をちょっとずつ集めていくことで、互いに助け合う風土づくりが実現できるでしょう。それが、地域の防災力につながっていくのだと思います。

【著者紹介】
新妻健将(にいづま けんすけ)
新妻健将(にいづま けんすけ)
青山学院大学経営学部卒業後、みずほ証券株式会社本店営業部入社。新規開拓営業、コンサルティング営業に従事。その後、運送会社の起業で独立し、複数の事業の立ち上げを経験。2021年4月「救えるはずの命を救う」ことを目的に、BOSAI SYSTEM株式会社設立。代表取締役就任。一般社団法人 日本防災教育振興中央会 副事務局長。株式会社EVA取締役。一般社団法人EV100ラストワンマイルを実現する会理事。国連NGO JACE 上席研究員

以上(2022年9月)

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「自然に返る」さまざまな供養の形 樹木葬・海洋散骨など自然葬の動向

書いてあること

  • 主な読者:自然葬に関する動向を知りたい経営者
  • 課題:自然葬の具体的な種類、注目される背景がわからない
  • 解決策:樹木葬などの遺骨を埋葬するタイプと、海洋葬などの遺骨を散骨するタイプに大別できる。これまでの供養方法よりも遺族の負担を減らせることや、近年の自然志向の高まりによって注目が集まっている

1 自然葬の定義と種類

自然葬とは、墓や納骨堂に遺骨を納めるのではなく、海や山などの自然に返す葬送のことです。墓石を購入したり、定期的に掃除したりする必要がないため、遺族の金銭的な負担や維持管理の手間を減らせるといったメリットがあります。

少子化や核家族化が進行した昨今、「故人をきちんと見送りたいけど、代々墓を管理していくのは難しい」と考える人は少なくありません。加えて近年の自然志向の高まりもあり、自然葬は新しい葬送の形として注目されています。

自然葬は、その形態から次の2つのタイプに大別できます。

  • 遺骨を埋葬する(土中に葬る)タイプ:樹木葬など
  • 遺骨を散骨する(粉末状にして海などにまく)タイプ:海洋葬(海洋散骨)、空中葬、宇宙葬など

前者は「墓地、埋葬等に関する法律」の適用を受けるため、自然葬を行うに当たって墓地としての許可を受けた土地が必要になりますが、後者はこうした土地を必要としないという特徴があります。

これらに該当する代表的な自然葬としては、次のようなものが挙げられます。

1)樹木葬

墓石の代わりに桜や紅葉などのシンボルツリーを植え、その周辺に遺骨を埋葬する自然葬です。墓地の許可を受けた山林などに直接遺骨を埋葬するタイプ、寺院や墓地の区画の中に樹木葬専用エリアを設けて埋葬するタイプなどがあります。樹木葬の多くは後継ぎを必要としない「永代供養」で、遺族に代わって寺院や霊園が掃除や遺骨の管理を行います。

2)海洋散骨

遺骨を海で散骨する自然葬です。周囲の人への配慮や地方自治体の条例(詳細は後述)などの関係から、船で沖まで出てから散骨するのが一般的です。乗船した遺族が散骨するタイプ、遺族から遺骨を受け取って事業者が散骨するタイプなどがあります。なお、散骨の特性上、供養が行いにくいイメージがありますが、遺骨の一部のみを散骨し他は遺族に渡すことで手元供養ができるようにしたり、故人をしのぶためのクルーズを定期的に実施したりしている事業者もあります。

3)空中散骨

遺骨を空から散骨する自然葬です。ヘリコプターやセスナ機を使って遺族が上空から散骨するタイプ、バルーンに遺骨を入れて遺族の指定した場所で散骨するタイプなどがあります。

4)宇宙葬

遺骨を納めたカプセルをロケットに載せて、宇宙空間へ散骨する自然葬です。宇宙空間を半永久的に進んでいくタイプ、再び地球に戻ってくるタイプなどがあります。

2 自然葬に関する規制

自然葬を行う際には下記の法律や条例などに留意する必要があります。

1)墓地、埋葬等に関する法律

墓地や火葬場などの運営、遺骨や遺体の処理などについて定めています。

例えば、樹木葬のために寺院や霊園が敷地内の土地を墓地として提供する場合、その施設の所在地の都道府県から許可を得なければなりません。また、火葬を行うには火葬許可証を、埋葬を行うには埋葬許可証を、事前に遺族から受理しなければなりません。なお、 散骨は埋葬に当たらないため、埋葬許可証の受理は原則不要ですが、実際は遺骨の身元を確認するために、散骨であっても埋葬許可証の提出を求める事業者が多いようです。

2)刑法(第190条 死体損壊等)

「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する」というものです。ただし、法務省は「散骨は葬送のための祭祀として節度をもって行われる限り、遺骨遺棄罪に違反しない」という考えを示しており、遺骨を細かいパウダー状にして散骨する場合は、法律上問題ありません。

3)地方自治体の条例による規制

地方自治体の中には、散骨による個人、事業者と地域の間でのトラブルを防ぐために条例によって散骨に関する規制を設けている場合があります。

例えば、北海道長沼町「長沼町さわやか環境づくり条例」では、墓地以外の場所での散骨を禁止しています。

また、静岡県御殿場市「御殿場市散骨場の経営の許可等に関する条例」では、散骨は散骨場(市長の許可を受けた散骨のための事業区域)でのみ認めるものとし、散骨場を経営するための要件として、事業計画の立案や事前説明、市長との協議、散骨場に隣接する土地所有者の同意などを掲げています。

4)各種ガイドライン

ガイドラインに法的拘束力はありませんが、トラブルなく自然葬を行うためにはこれらを遵守することが欠かせません。

例えば、厚生労働省「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」では、散骨を行う場所、焼骨の形状、関係者や自然環境への配慮、利用者との契約等、安全の確保、散骨の実施状況の公表といった内容について細かく定めています。

また、日本海洋散骨協会「日本海洋散骨協会ガイドライン」では、海洋散骨に特化したルールが細かく定められており(遺骨は1~2ミリメートル程度に粉末化しなければならないなど)、ガイドラインを遵守する事業者には、協会から信頼できる事業者の証しとして「ブルーハート」が発行されます。

3 自然葬の関連データ

1)自然葬に掛かる金額・需要動向

1.購入された墓の種類

鎌倉新書「【第13回】お墓の消費者全国実態調査(2022年)霊園・墓地・墓石選びの最新動向」によると、同社が運営する「いいお墓」経由で購入された墓の種類は次の通りです。

購入された墓の種類(2018年と2022年の比較)

2018年時点では、購入者の約半数が一般墓(墓地に区画を設けて設置する墓石型の墓)を選んでいました。その理由として「故人に対して手厚い供養をしたかった」「墓石があったほうが手を合わせやすいと感じた」といった意見がありました。

一方で、2022年になると樹木葬を選ぶ人の割合が高くなっています。その理由として「一定期間が経過すると合葬(複数の骨つぼと一緒に供養すること)になり子どもや孫への負担が掛からなくなる」「故人が、自然が好きだった」といった意見がありました。

2. 墓の平均購入価格の推移

鎌倉新書「【第13回】お墓の消費者全国実態調査(2022年)霊園・墓地・墓石選びの最新動向」によると、墓の平均購入価格の推移は次の通りです。

墓の平均購入価格の推移

樹木葬の平均購入価格は2022年時点で69.6万円となっています。樹木葬はプレート状の墓石を使用することもありますが、一般墓よりも石材が少なくて済む分、費用を抑えることができます。

2)葬儀業の売上高、取扱件数、事業所数、従業者数の推移

経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」によると、葬儀業の売上高、取扱件数、事業所数、従業者数の推移は次の通りです。

葬儀業の売上高、取扱件数、事業所数、従業者数の推移

葬儀業の事業所数、取扱件数は過去5年間で増加しているものの、売上高は下がっています。この理由としては、葬儀業が新規参入に対し、特別な法規制が設けられていないために参入が増えて競争が激しくなったことや、新型コロナウイルス感染症対策で大規模な葬儀の中止や葬儀の規模が縮小していることなどが挙げられます。

4 自然葬の市場分析

1)自然葬を取り巻く外部環境分析

ここではPEST分析を用いて、自然葬を取り巻く外部環境を整理します。

自然葬を取り巻く外部環境分析

自然葬に注目が集まる背景として、冒頭で紹介した遺族の金銭的な負担や維持管理の手間を減らせるだけでなく、都市部での墓不足によりこれまでの埋葬方法が難しくなっていることが挙げられます。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大や、遠方に住んでおり現地での参列が難しい人向けに、オンラインによる事前相談や散骨の様子をライブ配信するなど、オンライン化も進んでいます。

5 自然葬を手掛ける事業者の事例

1)いせや(東京都府中市):彩り豊かなやすらぎの樹木葬

同社では、バラをはじめ、季節の花々に彩られた樹木葬が可能なガーデニング霊園「ふれあいパーク」をはじめ、首都圏を中心に、寺院・霊園での樹木葬を行っています。

また、同社はエイチームライフデザイン(愛知県名古屋市)が運営する樹木葬の専門メディア「あんしん樹木葬東京版」にて、樹木葬に関する寄稿・情報提供・監修を手掛けています。

2)カン綜合計画(京都府京都市):樹木葬の現地見学をオンラインで完結

同社では、外出が困難な人や遠方で何度も現地見学に行くことが難しい人に向けて、自宅で樹木葬の無料見学ができる「おんらいん樹木葬」のサービスを行っています。

同サービスでは、事前にオンライン見学用の資料を顧客に送付し、無料通話アプリのLINE、またはウェブ会議システムのZoomを用いて墓苑や墓を管理するお寺を紹介しています。また、契約や納骨に関する相談もオンライン上で受け付けています。

3)燦ホールディングス(東京都港区):預かり期限のない永代供養の樹木葬

同社では、樹木葬専門霊園「千年オリーブの森」などで樹木葬を行っています。

従来の樹木葬では納骨は人数制限があったり、他人と一緒の場所に納骨され、遺骨の預かり期限があったりするなどの制約がありましたが、同社の霊園では、人数制限や遺骨の預かり期限がなく、家族・親族・友人などの親しい人同士で納骨ができるとしています。また、水道代などの管理費が不要であったり、霊園内は完全バリアフリーにされていたりするなど、お参りに行く遺族への負担も軽減されています。

4)はせがわ(東京都文京区):ペットと一緒に眠れる樹木葬

同社では、「瑞光寺 牛込庭苑」や「町田いずみ浄苑」など数々の霊園で樹木葬を行っています。

霊園によってはペットと一緒に埋葬ができたり、単身や承継者がいない場合でも1人ずつ専用の容器で個別に埋葬ができたりします。

5)ニチリョク(東京都中央区):骨壺のまま遺骨を納める樹木葬

同社では、「横浜三保浄苑」などで桜の木の下に埋葬される樹木葬や、骨つぼのまま納骨し、一般墓と同じように埋葬できる「樹木葬こもれび墓苑」などを運営しています。

一般的に、樹木葬は遺骨を土に返すものが多く、後から遺骨を取り出すことができないケースがありますが、骨つぼのまま遺骨を納めることで、後から家族が同じ墓に入ることもできます。また、霊園によっては管理費不要、初期費用のみで利用できる樹木葬のプランを用意している場所もあります。

6)ハウスボートクラブ(東京都江東区):海洋散骨の立役者

同社では、「ブルーオーシャンセレモニー」というブランドで海洋散骨を行っています。

海洋散骨のプランには、遺族が貸し切りのクルーザーに乗船して散骨する「チャーター散骨プラン」、何らかの事情で乗船できない遺族に代わってスタッフが散骨する「代行委託散骨プラン」などがあります。海洋散骨を模擬体験できる「散骨体験クルーズ」も行っています。この他、散骨前の有害化学物質の無害化や100%水に溶ける献花の「エコフラワー」の開発など、環境に配慮した葬送にも注力しています。

また、海洋散骨の広がりを受けて、前述の日本海洋散骨協会を設立したのも同社で、同協会では海洋散骨を行う際のルールやガイドラインを発信しています。

7)日本葬送倫理協会(福岡県福岡市):遺骨の一部をインテリアアイテムとして加工

同協会では海洋散骨を行いつつ、ハーバリウム(植物標本)に似た「美霊珠(みれいじゅ)」という、手元供養のためのインテリアアイテムを遺族に提供しています。

これは、火葬後に遺骨の一部を滅菌処理し、ガラス玉に入れて加工し、色鮮やかなプリザーブドフラワーやドライフラワーなどとともにガラスボトルに詰めたものです。同協会では、海洋散骨について、遺族から「墓がなく、初盆のお参りをどうするのか」「墓も遺骨もなく、故人と会えずさびしい」などの声が寄せられたことを受け、美霊珠の提供を始めたそうです。

8)SPICE SERVE(東京都港区):海洋散骨後の年忌法要クルーズ

同社では、海洋散骨を行った後も故人を弔うための取り組みとして「年忌法要クルーズ」を行っています。

2時間半~3時間かけて遺骨を散骨した海域をクルーザーで巡り、献酒、献花や会食、記念撮影を行うサービスとなっています。また、同社以外の事業者を利用して散骨をした場合でも、散骨ポイントの緯度・経度を事前に伝えれば、その海域周辺を航行できます。

9)博全社(千葉県千葉市):ヘリコプターによる空中散骨

同社では、ヘリコプターによる空中散骨を行っています。

故人の生家や勤務先といった思い出の場所を回りながら、九十九里や勝浦、館山、江ノ島沖の海域で空中から散骨し、散骨後はお別れの献花と黙とうを行います。

10)SPACE NTK(茨城県つくば市):日本初の宇宙葬

同社では、遺骨やメッセージカードを専用のカプセルに納めて宇宙に打ち上げる「宇宙SOH(葬・想)」を行っています。

同社は、2022年4月2日に宇宙散骨を行う人工衛星「MAGOKORO」の第1弾の打ち上げに成功しており、2023年の1月に第2弾を打ち上げる予定としています。人工衛星はロケットで打ち上げられた後、高度500~600キロメートルで切り離され、約5年間地球周回の軌道に入ります。地球の周りを数年回った後に大気圏に突入し、最後は流れ星になって燃え尽きるという流れになっています。

以上(2022年9月)

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労働時間の考え方

今年7月、従業員が制服に着替える時間などに賃金を支払っていなかったとして、カフェを運営する大手飲食チェーンが労働基準監督署から是正勧告を受けていたことがニュースで報じられました。本稿では、そもそもの前提となる労働時間の考え方について厚生労働省のガイドラインをもとに概説すると共に、本題に関するリーディングケースをご紹介します。

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労働時間の考え方

今年7月、従業員が制服に着替える時間などに賃金を支払っていなかったとして、カフェを運営する大手飲食チェーンが労働基準監督署から是正勧告を受けていたことがニュースで報じられました。本稿では、そもそもの前提となる労働時間の考え方について厚生労働省のガイドラインをもとに概説すると共に、本題に関するリーディングケースをご紹介します。

1 労働時間の考え方

平成29年に「労働時間の適正な把握のための使用者向けのガイドライン」が厚生労働省により策定されました。同ガイドラインによれば労働時間とは、「使用者の指揮命令下に置かれている時間のこと」をいい、次の考え方が示されています。

<労働時間の考え方>

労働時間の考え方

(厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)

冒頭の事案では、更衣室での制服への着替えや店舗への移動などの時間が、労働時間にあたると労働基準監督署は認定し、相当する過去2年分の未払い賃金を支払うよう、運営会社に是正勧告が出されたと報じられています。

2 リーディングケース

厚生労働省による「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」は、三菱重工業長崎造船所事件(平成12年3月9日、最高裁第一小法廷判決)で示された判断基準をもとに策定されています。

この事件では、従業員の始業・終業について、①所定の始業時刻に作業場で実作業を開始できるようにしておくこと、②始業時刻に間に合うように作業服などを装着し、作業場に到着すること、③終業時刻に作業場にいることなどで管理を行っており、所定労働時間以外に行った時間について、割増賃金を求めた訴訟が提起されました。そして最高裁は、労働基準法の労働時間について、次の通り判断しています。

<判断理由 抜粋>

最高一小、平12.3.9判決

三菱重工業長崎造船所事件(最高一小、平12.3.9判決)

3 さいごに

本稿で挙げた着替えなどの準備時間のほか、仮眠時間や待機時間といった実作業を行っていない時間も、指揮命令下にあれば「労働時間」と認定される可能性があります。

労働時間に関する認識を正しく理解し、終業後は速やかに退社させる、許可なく残業をする従業員には残業禁止命令を発するなどの管理ができているか、今一度会社の現状を確認してみてはいかがでしょうか。

※本内容は2022年7月29日時点での内容です

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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【朝礼】見えない壁を壊せ

私たちの日常は、日々が成功と失敗の繰り返しです。成功が続くときもあれば、失敗を繰り返してしまうことも多くあります。

何度かの失敗の後に成功に至れば苦労も報われますが、時にはひたすら失敗を繰り返すこともあります。私たちは失敗を繰り返すと成功の望みを失い、「これはもしかしたら絶対に不可能なことなのではないか」と思い込んで、自ら心に「壁」を作ってしまうことがあります。

例えば、皆さんが考えぬいた企画の提案が10回連続で認められなかったとしたら、11回目の提案内容に自信を持てますか? おそらく「自分の企画の何が悪いのか分からない」「どうせ次もダメだろう」と意欲を失って落ち込むでしょう。中には「自分には能力などないのだ」と諦めてしまう人もいるかもしれません。

そうした自信の喪失や諦めは心の壁となって再挑戦への気力をそぎます。そして、スランプの原因になったり、成長の足かせになったりします。

一度ぶつかった「壁」は、皆さんが成長するに従って簡単に乗り越えられるようになっていくはずですが、いつまでたっても古い壁に悩まされて、いつしかそれが自分の苦手なこととして意識の中に刻まれてしまうことがあります。

例えば、新人時代に皆さんの提案が通らなかったのはアイデア、プレゼンテーション能力、準備などが不足していたからであり、それらは成長した今なら、おそらく克服できているはずです。しかし、過去の失敗が壁となって苦手意識を持ち続けてしまってはいませんか? ある程度の経験を積んだ皆さんが、今苦手だと思っていることの中には、自分自身で作ってしまった心の壁が、いくつもあるはずです。

自分が作ってしまった壁を壊すためには、まず、苦手意識を持つ事柄をリストアップし、なぜそれを苦手と思っているのか考えてみましょう。今、冷静に思い返せば、苦手の原因はささいなことにすぎなかったかもしれません。自分で考えるだけではなく、同僚や友人などに意見を求めるのもよいでしょう。自分が苦手だと思っていたことが、実は周囲からは高い評価を得ているかもしれません。それがわかれば、心の壁はいつの間にか消えてしまうことでしょう。

最後に、どうしても苦手意識をぬぐえず壁を感じるなら、それを飛び越える努力は、惜しむべきではありません。例えば、接客が不得手なら積極的に店頭に立つ、苦手な顧客がいるなら、週に1度は直接足を運ぶことを決めて実行してみましょう。

過去の失敗を恐れてはいけません。自分で作ってしまった自分の限界は、自分自身で打ち破らなくては、超えることはできないのです。苦手から逃げず、チャレンジする。そういう意識に自分を置くことで、皆さんが感じている心の壁は、きっと打ち破れることでしょう。

以上(2022年9月)

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画像:Mariko Mitsuda