【特別企画】Z世代起業家がZ世代の学生に向けて「起業」を語る講座/岡目八目リポート

年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回ご紹介するのは、
特別企画、埼玉大学で行われた講座「実践ベンチャー論:Z世代スタートアップ実践の実情を聞く」(2022/6/24開催)です。

この講座は、「Z世代に向けて、Z世代起業家がスタートアップの実情を語る」内容で、他では聞くことのできない、志も高く実績もある起業家4名による講義です。事業や起業の実情を詳しく語った4名の起業家。そして、真剣に耳を傾け、時間が足りなくなるほど質問もたくさんしてくれていた埼玉大学の学生などの聴講生。講義後、「起業の志が固まりました!」と決意も新たに顔つきがすっかり変わった聴講生もいたほどです。
本当に大げさでなく、聴講生たち(年齢問わず)の今後の人生に影響を与えたであろう、かけがえのない暑いアツい夏の一日が凝縮されていました。この記事では、講義の中で4名のZ世代起業家がお話してくださった内容を一部ご紹介します(とても伝えきれない、盛りだくさんで素晴らしい内容と熱量!)。なお、起業家4名の中には、かつてこの「岡目八目シリーズ」でご紹介した方々もおられます。後ほどそれぞれの岡目八目シリーズ記事へのリンクもご案内しますので、ぜひ覗いてみてください。

●登壇 Z世代起業家
後藤 学氏 :株式会社Helte 代表取締役
福田 駿氏 :株式会社Diary 代表取締役、就活YouTuber
西側 愛弓氏:株式会社COXCO 代表取締役
大槻 祐依氏:株式会社FinT  代表取締役

●モデレート
杉浦 佳浩氏:代表世話人株式会社 代表取締役

1 どのような事業をしているか?

まずは自己紹介を兼ねて、「どのような事業をやっているか」「なぜその事業をやっているか」といったことを最初にそれぞれお話してくださいました。そこからしてもう、面白くて勉強になる情報が満載です。お話してくださった順番にご紹介します。

1)大槻さん 株式会社FinT

大槻さんの株式会社FinTでは、主に、メルカリなどの企業のSNSマーケティング支援や運用、ライブ配信、メディア運用などを行っています。とにかく勉強家で実績もあり、突破力も実行力もハンパない大槻さん。ビジコンで優勝したこともある大学時代には、インターンながら一事業部を担当し、力強く仕事をして社員のマネジメントもしていたそうです。
 ビジコン優勝特典でシリコンバレーに行ったり、シンガポールに1年間留学したり、大学3年のうちに起業したりとさまざまな経験をしてきた大槻さん。聴講生向けにさっそく「私自身、たくさんチャレンジしてたくさん失敗してきました。皆さんも多くのチャレンジと失敗をしてください。今私たちの会社は、インターン生20人くらい社員40人くらいで、インターン生もすごく活躍していて年齢は関係ないなと感じてます。ぜひ頑張ってください」と激励を。場作り、リーダーシップも素晴らしいと感じました。
 会社としてのパーパスを変えたという大槻さん。その思いを次のように話していました。
「今のパーパスは“みんなの強みを活かして、日本を世界を前向きに”です。日本を、世界を前向きにしたい、それが今一番やりたいこと。日本の技術など日本の『何か』を使ってグローバルスタンダードをつくっていけるようにしようとしています」

●株式会社FinTのウェブサイトはこちら

大槻さんの画像です

2)後藤さん 株式会社Helte

後藤さんの株式会社Helteでは、日本のアクティブシニア層と海外の人たちがオンライン上で、“日本語で”交流できるプラットフォーム「Sail」を開発展開しています。「Sail」はまさに、すぐに海外とつながれる、自分の世界を広げる窓。参加国は実に154カ国、総利用者数は26,000人以上(2022年9月時点)とすごい数です。海外の人たちを集めるために、コネ無し知り合い無しの状態でタイなどの海外を“飛び込み”で回った泥臭いガッツの後藤さん。その様子を、まるで当たり前のように飄々と語る感じがまた、聴講生を惹きつけていました。
「Sail」を使って交流した後の分析にハマっているという後藤さん、そうした中で海外の人が日本で就職する際の支援のようなこともやっているそうです。
また、東京大学と一緒に、「Sail」を使ったことによる人の行動変容(ICTの理解度が上がった、海外の人に対する偏見が減ったなど)の分析なども行っており、これに関心を持った自治体などとも連携が実現。これからもどんどん全国各地、そして世界に拡がっていきそうです。
 海外の人たちが参加した日本語スピーチコンテストを実施した後藤さん。こう語ります。
 「今回は、全世界80カ国を超える1500人が参加、日本語でビジコン的にプレゼンしてもらいました。彼らの大きな夢を日本語で聞いて本当に感動した。これからの日本を支えるのはきっと彼らのような海外の人たち。ぜひ一緒に色々な事業ができたらと思います」

●株式会社Helteのウェブサイトはこちら

後藤さんの画像です

3)福田さん 株式会社Diary、就活YouTuber

福田さんは株式会社Diaryの代表かつ、就活生向けのYouTubeチャンネル「しゅんダイアリー」を持つ就活YouTuberでもあります。YouTubeで11万人、TikTokで9.7万人の登録者がいて(2022年9月時点)、そこを軸に就活サービスを展開。また、企業の採用広報も手掛けています。
YouTuberとして、日頃から色々な人にインタビューもしている福田さん、今回の講義でも自分の話をしつつも聴講生に「しゅんダイアリーって聞いたことある人、手を挙げてもらっていいですか?」とインタラクティブに展開。
続けて「僕は石川県金沢市出身で金沢大学に行っていて、留学もインターンもしたことなかったんです。でもどうしても東京の大学に来たかったし、東京で仕事したかった」「埼玉大学と金沢大学はなんか雰囲気が似ていてめちゃめちゃ親近感あります」「中学生のころから起業を考えていたけれど、自分は何者でもないし何もできないので、とりあえずYouTubeで結果を残したいと思った」「最初は旅行系の動画とか配信してまったくうまくいかず、『自分の言いたくないことを言おう』と仮面浪人に失敗した体験談をアップしたら初めて10万回再生」「仮面浪人人口は2万人しかいないと気づいて、大学3年の就活タイミングで就活系に切り替えて、毎週東京に行って東京の会社で自分がガチで面接を受ける様子を動画にしたらちょっとずつウケて今につながる」などなど、聴講生から見るととても分かりやすく親近感がわく、そしてぐんぐん引き込まれるストーリー。聴かせます。福田さんは目指す未来もしっかり語ります。
 「僕は中学生のころから世界と戦いたいと思ってきた。時価総額という会社の『企業価値』というものがありますが、時価総額10兆円の会社にすることが今の目標であり課題です」

●株式会社Diaryのウェブサイトはこちら

福田さんの画像です

4)西側さん 株式会社COXCO

今回、西側さんはなんと、フィリピンからのオンライン参加でした。こういうスタイルも、聴講生にとってはとても良い刺激になります。
西側さんが展開するのは社会課題と向き合うアパレルブランドです。西側さんは「服の形をしたメディア」とも表現しています。「大学時代にバックパッカーをした経験から、貧困問題などさまざまな社会課題を肌で感じた」という西側さん、ファッションを通して社会にとっていいことをしたいと考えるようになったそうです。例えば、不要になった繊維(洋服)からつくられた再生ポリエステルを使って、できるだけ長く愛されるデザインの服を仕立てる、しかも受注生産で気に入ってくれた人にだけ提供するなどを行っています。
そして今は、「フィリピンでファッションスクールをつくる」というチャレンジもしているそうです。
フィリピンではファッションショーも開催している西側さん、その思いを語ります。
 「2015年から、フィリピンで暮らす子どもたちが思い出になる場所をつくろうと、ファッションショーをやっています。今回で8回目になります。ファッションを通してみんなで夢を描く、みんなで胸を張って生きていこうという体験をつくりたいです」

●株式会社COXCOのウェブサイトはこちら

西側さんの画像です

「挑戦」。4名の自己紹介含めた事業の話からまず感じるのはこの言葉です。グローバルな目線を持っている、そもそも生き方が枠にとらわれていない。そして難しいこと、でもやりたいことに果敢に挑み続けていることがうかがえます。

2 なぜ、どうやって起業したか? 起業ストーリー

起業の理由、起業ストーリーも各者各様で、特に今回は起業を志す聴講生も多かったため、かなり聞き応えがあったのではないでしょうか。「海外留学」「バックパッカー」といった、世界に触れられる環境も起業要因の一つと思いますが、そうした環境以上に「これをやりたい、やってみる。やり切ってみる」という志、そして行動することがとても大事だと感じました。ここでは、それぞれが講義で語っていた濃い起業ストーリーの特徴的な点をご紹介します。

●大槻さん

  • 起業した理由は、広く言うと「自分が生まれてきた意味を持ちたい、私が生まれたから世界が良くなったという風にしたい」から
  • シンガポール留学時代から「金融課題を解決するサービスをやろう」と一緒に練っていた仲間と大学3年のときに起業。後にサービスは変化
  • 起業当初は両親が大反対。起業して、オフィスに寝泊まりするくらいずっと仕事漬けで必死だったがうまく行かず。お金もなくなり。仲間とは解散したり。そうした過酷な毎日でも、1人でやり切ると頑張っているうちに親の見る目が変わってきた
  • 今では、税理士事務所で働く母が経理担当として会社をとても支えてくれている

●後藤さん

  • 誰もが知る大企業に就職するも1年で辞めて起業。泥船でもいいから早く出航したかった
  • 大学時代にシアトルに留学、インドにも行き、その他にも色々とバックパッカーで世界を放浪する日々。それが後に「海外の仕事に貢献したい」につながって、その気持ちが爆発
  • 起業していく中でさまざまな人のご縁を感じる。フランス人の事業家が最初に出資してくれたり、中国人の投資家がいてくれたり
  • 事業がしんどい局面は何度もあったが、ふと誰かが助けてくれたり、そういうご縁の中で「生かされている」と感じる。感謝の気持ち、恩返しをしたい気持ちがとてもある

●福田さん

  • 金沢の大学で就活生をしているときは「大企業に行っている人が勝ち組」と思っていた
  • サイバーエージェントやDeNAのインターンに参加してショックを受ける。東京の大学生は1年次からインターンやってるとか起業しているとかいう人がゴロゴロ
  • 東京と地方では、大学生が使っている言語、見ている景色、情報がまったく違うと、大きな格差を感じる。そうした格差をなくしたいと、就活チャンネルを立ち上げ起業した
  • お金はクラウドファンディングなどで120万円、商工会議所で一人1万円ずつなど人力で180万円くらい集めて、300万円くらい集まったタイミングで東京に引っ越してきた
  • 親を説得する自信はなかったので、起業については事後報告

●西側さん

  • 起業した理由は「(ファッションという)好きなことができたから」
  • 起業する前はサイバーエージェントに就職し、2年ほど働いた
  • 大学3年のとき、現在フィリピンで活動している団体を立ち上げた。そこから、ファッションスクールをつくろうと頑張ってきている
  • ファッションスクールをつくるなら、卒業生の将来を考える必要があると思い、起業した
  • 社会課題解決のためにアパレルブランドを立ち上げたが、「会社」という体がないと話を聞いてもらえない、契約してもらえないという観点からも起業した

3 キラキラばかりではない。課題、失敗の連続。それでもその先を考える

インターン、海外留学、バックパッカー、起業、スタートアップなどのキーワードから、何も知らないとキラキラしたイメージを持ちそうですが、それだけではありません。というより、そうではありません。課題も失敗もたくさんあります。それが実情です。この4名のZ世代起業家もそうです。そして、課題や失敗がどれほどあろうとも、今後の展開を考え続け、前に進み続けます。それぞれの課題感、そして今後について印象的な点をご紹介します。

●大槻さん

「課題はたくさんあります。常にあります。起業をしていてとても面白いと感じるのは、目の前に毎回、壁が出てくること。例えば、組織がよくない感じになっているという壁があったとして、やっとその壁をよじ登って超えたと思ったら、また別の壁が出てくる。それが病みつきになります。これをずっと繰り返す、成長ってそういうもんだなあと楽しくて、社長やっててよかった、起業してよかったと思います」
「今後3〜4年後には海外展開というか、日本のものを海外に出していく軸もつくりたいです」

●後藤さん

「日々の仕事に追われてインプットが難しいときがあるのが課題。余白が生まれたほうが新しいチャレンジやコミュニケーションの方法などが分かってきて、それが事業につながると思うので、そういう余白があるようにしたい」
「今後はグローバル展開のギアを上げていきたい。今年に入ってから、積極的に英語やフランス語でプレゼンするようにしている」
「会社も、インド人やフランス人など色々な人がいるようになってきたので、そういう色々な考え方をまとめて編集して力を付けていく、これも課題」

●福田さん

「僕らの一番の課題は採用。自分たちよりも優秀で素直な人を仲間にしていくのが課題。凡人が後天的に努力していく、そういう仲間。自分たちもそうありたい」
「採用するときは一緒に山に登る。山登りは苦しいから本音が見える。スマホも使えないので、みっちり話ができる」
「採用するときは、親にも会いに行って、娘さんおよび息子さんを私にください、一緒に社会をよくする会社をつくっていくと伝える」
「今後は、世の中の人に行動してもらえるようにWeb3の領域で事業展開も考えている。試験的にやっていることもある」

●西側さん

「起業するとお金周りも課題になると思う。お金を借りるとなると大きな責任も負うし、本当に大変」
「起業はキラキラしたイメージかもしれないが、実際に人に見せないところで起業家は皆大変だし、根気がいること」

4 講座の最後。途切れない質疑応答

もっともっと話を聞いていたいところでしたが、最後の質疑応答へ。4名のZ世代起業家の話に、質問したい聴講生がたくさん。もしかしたら、今までにない質問の多さだったかもしれません。中には、4名の会社でインターンをしてみたいという聴講生もいました。
 聴講生からの質問は、例えば次のようなものでした。登壇してくださったZ世代起業家、熱心に参加されていたZ世代が中心の聴講生。本当にアツくて濃い時間、有り難うございました!

●聴講生からの質問例

  • 海外とビジネスをやっていく中で、どうやって海外の方とつながったのか?
  • 就活サービスについて、他のナビサイトとどうやって差異化を図っていくのか?
  • パーパスが変わったことで、社員の行動変容、変わったアクションはあったか?
  • どうやって自分のビジョンに合う人(仲間)を見つけてきたのか?
  • VCからの資金調達を考えているか?

集合写真です

以上(2022年10月作成)

Z世代に聞いてみた どんな会社で働きたい?

書いてあること

  • 主な読者:Z世代を採用したいが、なかなか応募をしてもらえないと悩む経営者
  • 課題:会社として、どんな対策や準備をすればZ世代が関心を持つのか分からない
  • 解決策:Z世代を特別扱いせず、迎合もせず、会社としての「ありのまま」を伝える。ただし、「中で働く人」にフォーカスするなど、伝え方や届け方には工夫が必要

1 Z世代を採用するにはまず、「Z世代の声」を聞いてみよう 

会社の今後のためにも「若い人を採用したい」と、Z世代(この記事でのZ世代は10代から25歳くらいまで)に注目している経営者は多いものです。Z世代は、どのような価値観やキャリア観、人生観を持ち、どのような会社で働きたいと考えているのでしょうか。

Z世代といっても考え方は人それぞれで、環境によっても違います。実際にZ世代の方々に話を聞くと、中学・高校の頃から起業を意識し、そのための勉強をしている人、何か一つに特化した中小企業で働きたい人、大企業がいい人、芸術分野に進みたい人などさまざまです。

「Z世代」とひとくくりにするのはもはやナンセンスかもしれませんが、一方で、世代が離れているからこそ、「どんなふうにアプローチすれば響くのか、せめて傾向が知りたい」という人もいるでしょう。

そこで今回は、自らもZ世代であり、就活YouTuberとしてご活躍し、日ごろからたくさんのZ世代と接している株式会社Diaryの代表取締役社長、福田駿(ふくだ しゅん)さんにお話をお聞きしました。この記事では、その内容をまとめてご紹介します。

取材を通して見えてきたのは、変にZ世代に迎合せず、会社や経営者のリアルや本音、情熱を、嘘偽りなく発信し伝えることの大切さでした。

なお、記事の最後には、Z世代に「どんな働き方をしたいか」などを聞いたアンケート結果も掲載していますので、考え方の傾向についてご参考になれば幸いです。

2 「人検索」の信頼度。人とのつながりに価値を置くZ世代

1)Z世代の選択肢に入るには? SNS活用が有効

昔からある、学生の人気企業ランキング。大企業、世に名の知られたITベンチャーやコンサルティング会社などが上位に入っているイメージです。今のZ世代の場合はどうでしょうか。

結論からいうと、昔から変わらず、

「大企業」「知名度の高い会社」に行きたい

というニーズは、Z世代にもあります。

ただし、注意したいのは、

単にそういう会社しか知らないから、「その他」が選択肢に入らないというだけである

ということです。

「そもそもあまり世の中の会社を知らない」人たちに自社を認知してもらうには、フォローが必要です。その手段としてSNS、YouTubeなどは有効に活用したいものです。

一方で、福田さんによると「もう一つの軸として、ベンチャー企業やスタートアップ企業に入社したい人も増えています。その中でも、やはり見せ方やブランディングが上手な会社は、志望されやすいと思います」とのこと。

例えば、社員の働いている様子を伝えるSNSやYouTube、TikTokなどの動画配信をやっている会社は、新卒や第2新卒の採用に強い印象があるといいます。実際に、Z世代222人に「就職・転職に関する情報の入手方法」をアンケートしたところ、「SNSで入手する」が28.4%。これは、「就職・転職サイトで入手する」の47.3%に次いで、実に、2番目に多い回答でした(アンケートは2022年9月に実施)。

2)つながりが大切な「人検索」の時代

また、人とのつながりに価値を感じるZ世代は、「人検索」も大切にするのだと福田さんは教えてくれました。人検索とは、文字通り「人を軸にした検索」で、

  • 先輩がいる会社だから
  • 友達がインターンシップに参加した会社だから

といった「人とのつながり」から、情報を求めていくことをいいます。

Z世代の間で、人検索の信頼度はどんどん増しているといい、

  • 「あの人」が言っているから
  • 「あの人」がメディアで紹介していたから

などに価値を感じる人が多いそうです。

「人検索」はある意味、中小企業にとってチャンスな面もあります。大企業の場合、すぐに上長からの許可が下りなくて、SNS運用や動画配信がやりにくいかもしれませんが、中小企業だと、こまやかな配慮をしつつ、「小回りの利く運用」がやりやすいのではないでしょうか。

また、従来のサイト検索では、どうしても知名度の高い大企業しか検索されませんでした。しかし「知らないから検索されようがない」というところから、「人検索」であれば、人を介することで、認知される可能性があるのです。

3)情報感度が高い=若手を受け入れる態勢があるのでは

会社を検索しても、文字や写真だけでは、いまひとつ実態は伝わりづらいものです。恐らく多くの会社で、アットホームな雰囲気の写真や言葉が並んでいることでしょう。

文字と写真だけでは伝わらないものを、いかに伝えるか。SNSを活用するとしても、それぞれをどう使うのか。リアルに会う機会を設ける工夫なども必要です。

福田さんいわく、例えばTikTokなどを経営者がやっていると、「情報感度がかなり高い、ということは若手を受け入れる態勢があるんじゃないか」とも感じるそうです。ワンクリックで簡単にエントリーできてしまう時代ですから、「この会社に入ってみたい」という、ある意味「ファン」をどれだけ増やせるかが重要なのかもしれません。

また、社会的な信頼度が高いとされるメディアから、取材を受けたり紹介されたりした場合も、その事実をSNSや動画で発信することが大切です。それぞれの会社にもともとついているフォロワーを介して、興味のある学生に拡散される可能性があるからです。第三者という「人」、あるいは社会的な信用のあるところから発信されたことが、さらなる信用を築きます。

なお、Z世代の就活生は、次のような傾向があるそうです。

  • OB・OG訪問など、自分のなりたい人、憧れている人が受けていた会社を志望する
  • ランキングやリサーチを見て会社を選ぶ
  • 人材系のエージェントを利用し、ベンチャーなどを受ける

いずれにも共通しているのは、Z世代側は情報感度が高く、とてもよく調べているということです。やはり、Z世代に届く可能性を広げられるよう、SNSなどでこまめに情報発信するのが効きそうです。

4)近い世代と和気あいあいと働きたい。会社の平均年齢も重要な要素?

実際にZ世代の方に話を聞くと、「大企業は人間関係が難しそうだからあまり行きたくない」という声もありました。これは、どういったイメージを抱いているのでしょうか。

考えられる理由の一つとして、会社の規模が大きいと、一緒に働く人を選びにくい(どういう人と一緒に働くのか分からない)など、恐れを感じているというのがあるかもしれません。

また、社員の平均年齢も、Z世代が気にかける要素の一つだといいます。「ちょっと年の近い若い先輩がいたほうがよい」という声は多く聞かれます。

50代の社員しかいない会社に、20代前半の新卒社員が入社するとしたら、仕事の内容ややりがいなど、よほどの動機が必要なはずです。会社の状況にもよるので一概にはいえませんが、段階的に会社の平均年齢を下げていくというのも一策かもしれません。

5)裁量を大きく、休日しっかり、副業も。憧れる働き方のモデルは?

では、Z世代が憧れる働き方のモデルは、どのようなものなのでしょうか。

「人検索」にもあったように、やはり「憧れる会社」という面でも「人」は大事なようで、福田さんからは、Z世代が魅力を感じる会社の一つは、「憧れる人が働いている会社、かもしれません」という答えが返ってきました。

具体的には、自分たちが普段使っているサービスを運営する会社で、かつ若手の頃から裁量権を持って活躍している人が多い会社は、憧れの対象になるといいます。例えば、入社3年目で事業責任者の立場など、上の役位で物事を動かしている人。かつ休みもしっかり取り、週休3日で副業もといった働き方は、憧れられるそうです。ただ、福田さんはこう続けます。

「裁量権があるかどうかは、よく就活生から気になると言われることではあります。でも、それを意識しすぎて、実態と乖離(かいり)している情報を伝えたりするのはよくないですよね。やはり、リアルを伝えるというのが大事だと思います」

3 キラキラは必要ない。本音やリアルな実態を発信

ここまでZ世代の気持ちを考えてきましたが、とはいえ福田さんも言っていたように、彼らに迎合し、無理をして「キラキラ」に見せようとするのはよくありません。大切なのは、やはり、

本音やリアルな実態を、偽ることなく伝えること

です。無理をしてZ世代の気に入る感じに見せ、それで採用に至ったとしても、いざ実際に一緒に働けば、どこかでほころびは出るはずです。それは労使双方にとって不幸でしかありません。

「うわべだけのきれいごとを言っているようでは、信用できないと感じてしまう。本音をきちんと言っているのか、リアルな実態を発信しているのかを、包み隠さず伝える。そういうところは『この会社に入りたい』と思う要素として、とても大きいはずです」

結果としてエントリー数が少なかったとしても、それが本音やリアルな実態を伝えた上でエントリーしてきた人たちならば、「辞退率は低いのでは」と福田さん。

福田さんの言葉を借りると、変にZ世代を意識したり、短絡的に「憧れられる」会社や経営者、社員を目指したりする必要はありません。それよりも、ありのままを、熱意を持ってきちんと伝えることが重要です。デジタルに慣れており、プロモーションも見慣れているZ世代相手だからこそ、嘘をつかない、妙にきれいに見せない伝え方や発信の仕方が大切です。

経営者や社員が「うちの会社はこういうことを実現したいから、一緒にやりたい人、ぜひ1週間でもいいから、まず見にきてほしい」「私はうちの会社のこういうところ(仕事でも雰囲気でも)、めちゃ好きなんです。一緒に盛り上げてください!」くらいのほうが、臨場感や熱量が伝わり、Z世代の胸に迫るものがあるのではないでしょうか。

また、インターンシップを取り入れて、1週間など実際に一緒に働いてみると、お互いに実情が分かっていいかもしれません。その様子を経営者、社員、インターンシップ生(Z世代)がSNSや動画配信すると、リアルな姿が伝わりやすいでしょう。

株式会社Diary 代表取締役社長、就活YouTuber:福田 駿(ふくだ しゅん)さん

福田 駿

■株式会社Diary■
https://diary-inc.com/
■YouTubeチャンネル「しゅんダイアリー」(チャンネル登録数11万人以上)■
https://www.youtube.com/channel/UCdo3Z5oFt04IDMjpjaXN5hw

補足:Z世代に「就活・働き方」について聞いたアンケート

アンケート結果はあくまで一例です。世の中の全てのZ世代にあてはまるわけではありませんが、傾向を知るヒントになるかもしれません。会社を選ぶときには、やりがいや業種などもそうですが、給与の他、休日日数や勤務時間、勤務地といった働く環境も大切にしたいようです。

会社の何を見るか

「有名ではないが業績が安定している中小企業」で働きたいと考えるZ世代も多いようです。

働きたい会社

切磋琢磨(せっさたくま)し合えることより、「和気あいあい」を重視しているようです。

働きたい会社の雰囲気

どちらかといえば、人のサポートをする仕事のほうが望ましいようです。

希望の働き方

以上(2022年10月)

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画像:j.ennifer-shutterstock

武田斉紀の『誰もが身に付けておきたい“経営的視点”』(4)

書いてあること

  • 主な読者:会社経営者・役員、管理職、一般社員の皆さん
  • 課題:経営幹部や管理職の方はもちろん、若手社員の方でも「経営的視点で見るように」と社長や上司から求められた経験があるのではないでしょうか。その場でうなずきはするものの、「経営的視点とは何か?」「それは社長以外の社員に必要なのか?」「会社員として働く上で、人生において価値があるのか?」「そもそもどのように身に付けていけばいいのか?」といった疑問があるのではないでしょうか
  • 解決策:課題で挙げたさまざまな質問に対して、『“経営的視点”の身に付け方』というテーマで、全国で多くの講演を行っている筆者が明快に回答します。“経営的視点”はこれからの時代において新入社員から求められる視点であって、より早く身に付けることができれば、その分、仕事においても人生においてもプラスであることが分かるはずです

1 トップの社長だけが見ている5つの“経営者の視点”

シリーズ『武田斉紀の「誰もが身に付けておきたい“経営的視点”」』の第4回です。

社長や上司が「“経営的視点”を持て!」と言いながら、もしも“経営的視点”ではなく、“経営者の視点”を求めているとしたら、それは無理な話であるとこれまで申し上げてきました。相手が一般社員ならもちろん、管理職や取締役など幹部クラスであってもです。

なぜなら、

“経営者の視点”は会社のトップとしての経営者になって初めて身に付けられるもの。会社のトップとしての経営者になればおのずと身に付くものの、ならない限り簡単には身に付かないからです。

では一体、“経営者の視点”とはどんなものなのか。

“経営者の視点”の違いを次の5つに集約して説明してきました。
1)高さ(広さ)
2)時間(時空)
3)スピード
4)お金の流れ
5)人と組織

第2回では1)高さ(広さ)と2)時間(時空)について、第3回では3)スピードと4)お金の流れについてご紹介しました。社長がともすると「ノロノロやってるんじゃない、もっと早くできるはずだ!」と叱責してしまう原因の根っこを知っていただけたでしょうか。

今回は最後の5)人と組織について触れて、まとめてみることにします。

さて、このシリーズでは、社長や上司から「“経営的視点”を持て!」と言われるけれど…「経営的視点って何?」「社長以外の社員にも必要なの?」「会社で働く上で、人生において価値があるの?」「そもそもどうやって身に付ければいいの?」。こうした疑問にお答えしています。

さらには、『“経営的視点”の身に付け方』の具体的なノウハウと、経営における効用、働く側のメリットなどを事例も交えながらご紹介していきます。

“経営的視点”はこれからの経営や働き方において、新入社員から求められる視点であり、誰にとってもより早く身に付けることができれば、その分、仕事においても人生においてもプラスになるといえるでしょう。

2 社長は「人と組織」における“人事の最終決定権者”である

皆さんの会社で「人事権」を持っている人はどの役職からでしょうか。そもそも人事権とはどういうものでしょう。

全日本情報学習振興協会の定義によれば、

〇最も広義には、労働者を企業組織の構成員として受け入れ、組織のなかで活用し、組織から放逐する一切の権限

〇より狭義には、採用、配置、異動、人事考課、昇進、昇格、降格、求職、解雇など、企業組織における労働者の地位の変動や処遇に関する使用者の決定権限

とあります。

私なりに言い換えると、「人事権」とは社員の「採用と配属」およびその後の「評価と処遇」を決定する権限となるでしょうか。

評価によっては昇給や昇進・昇格もあれば、降給や降等・降格、時には解雇もあり得ます。

会社の役職を大きく社長、役員・部長、課長、一般社員(主任・係長も含む)の4段階に分けた場合、多くの会社では人事権は部長以上に与えられているのではないでしょうか。

課長クラスも関わってはいても現場の意見を具申するまでで、非正規社員の採用をはじめとする人事権を除いては、決定権までは与えられていないことが多いようです。

人事権を持つ部長クラスが考えて提案した組織案、人事案を役員が覆すことはあるものです。そして、最終的には社長が決裁をする。つまり、社長が「人と組織」における“人事の最終決定権者”なのです。

3 社長は「人事を最終決定」する責任を、役員以下は「実行」する責任を負う

もちろん、社員数十人の会社ならまだしも、数百人、数千人も抱える会社においては、社長が社員一人ひとりの「採用と配属」「評価と処遇」まで見て決裁するわけではありません。

知り合いの社長はとても社員想いの方で、社員一人ひとりに寄り添っていきたいと、アルバイトやパートも含めた全員の顔と名前、主な個人情報を覚えようと努力していました。社長室の壁に顔写真とメモをずらりと並べて、時間があればそれをいつも眺めていたそうです。

それでもある程度人も入れ替わっていく中で、300人くらいまでが限界で、会社の成長とともに難しくなって諦めました。同時に、一人ひとりを覚えるのも大事な仕事ではあるけれど、会社全体を良くしていくことで、全従業員の期待に応えるほうがより重要だと悟ったようです。

社長が経営で目指すべきゴールは、経営理念やビジョンとして表している場合はその実現であり、それに向けて業績を拡大しながら、株主、顧客、従業員、取引先や社会といったステークホルダーに、より多くの価値を提供し続けていくことです。

そのために社長は中長期の「事業戦略」や毎年の「経営計画」を策定し、同時にそれらを実現し得る人事を決定します。経営学者アルフレッド・チャンドラーのいう「組織は戦略に従う」の具現化です。

とりわけ重要なのは、組織案を考え提案する側近幹部や、主要事業の実行を担うキーパーソンの人事です。社長はそれらを中心に、全体のバランス、抜けや弱点がないかも含めて人事案をチェックし最終決定します。

「実行」するのは役員以下の仕事です。

人事を決定した後は、指揮する役員や部長を信じて任せます。進め方にいちいち口を出したり、マイクロマネジメントをしたりせず、進捗の報告を待って、必要に応じた戦略や戦術、人事の修正を行うのがトップの本来あるべき姿でしょう。組織の頂上から全社を俯瞰(ふかん)できる、唯一の立場として。

スタートアップや中小企業においては、人材も潤沢ではなく、社長も「実行」に関わらざるを得ない現実はあります。

実行できる人がいない、実行しないと会社が存続できないとなれば、当然やらざるを得ないでしょう。

しかしながら、会社組織として事業拡大を目指す選択をした時点で、本来「実行」は社長の仕事ではなく、それ以外の幹部を含めた社員の仕事です。

実際、社長が「実行」に深く関わっている会社では、社長が将来や事業拡大に向けた時間が持てず、業績が低迷したり、変化に対応できずにいたりといったケースが目立ちます。

いずれにしても、社長が“人事の最終決定権者”であることに変わりはなく、だからこそ最終的な経営責任も同時に負っています。それ以外の人たちは組織や人事についての案を提案しても、最終決定権は持っておらず、決定した人事に従って戦略を「実行」する責任を負っています。

「5)人と組織」においても、1)~4)と同じように、唯一社長だけが“経営者の視点”を持って会社を見ているのです。

4 社長は昔を思い出し、自分以外は“経営者の視点”を持てないことを自覚するべき

第2回から今回の第4回まで、トップの社長だけが見ている5つの“経営者の視点”についてご説明してきました。繰り返しますが、

“経営者の視点”は唯一、トップである社長だけが持てるのです。

ところがいざ社長になってしまうと、社長自身がそのことに気付いていながら忘れがちなようです。

社長になった瞬間は、「自分が社長になって今見ている視点は、これまでと全然違うぞ」とはっと気付くのです。けれどもそれが日常になっていくと、自分の見ている“経営者の視点”が当たり前になってしまい、ついつい同じ視点を幹部や社員たちに求めてしまうのです。

社長には折につけ昔の自分を思い出し、自分以外の人は“経営者の視点”を持てないことを自覚するべきです。

難しいのは、社長自身に社員の経験がほとんどないままに起業したケースでしょうか。最初から“経営者の視点”でしか見たことがないので、それ以外の視点で見るということが想像できず、悩み、苦労をされているようです。

第4回も最後までお読みいただきありがとうございました。次回からはいよいよ“経営者の視点”ではなく、“経営的視点”の身に付け方のノウハウについて解説していきたいと思います。

<ご質問を承ります>
最後まで読んでいただきありがとうございます。ご質問や疑問点などあれば以下までメールください。※個別のお問合せもこちらまで

Mail to: brightinfo@brightside.co.jp

以上(2022年10月)
(著作 ブライトサイド株式会社 代表取締役社長 武田斉紀)
https://www.brightside.co.jp/

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画像:NicoElNino-shutterstock

新しいマーケティング戦略のヒントになる ターゲットに「自然に届く」新しくユニークな広告手法

書いてあること

  • 主な読者:新たな手法や意外な媒体で広告を出稿して、競合他社と差をつけたい経営者
  • 課題:より「自然な形」でターゲットの目に留まり、費用対効果の高い広告出稿をしたい
  • 解決策:少額からスタートできる新しい広告手法も含めて比較検討し、自社のターゲット層へ最も訴求できそうな手法を選ぶ

1 広がる広告の選択肢。音声広告や多様な屋外広告も登場!

コロナ禍で2020年から一時期落ち込んでいた広告出稿ですが、新たな広告手法の登場により、ターゲットへの訴求力の高い広告の選択肢が広がりを見せています。「広告白書2022年度版」(日経広告研究所)によると、次のような新しい動きもあります。

  • テレワーク中の「ながら聴き」需要やワイヤレスイヤホンの普及により、ターゲティング可能なデジタル音声広告の市場が伸長
  • 外出制限の緩和により、街中の人流が戻りつつあることから、屋外広告の出稿はデジタルサイネージを中心に回復基調にある

その一方で、

  • インターネット上の「リスティング広告」などについては、ユーザーのプライバシー保護の観点から、世界的に規制を強化する方向に進んでいる

ため、プライバシー保護の問題に抵触せず、「自然な形」で届く広告手法が求められています。

この記事では、こうしたニーズに応える、新しくユニークな広告手法を紹介します。ターゲットに不快感を抱かせずに「刺さる」広告手法を活用して、潜在顧客の獲得を狙ってみてはいかがでしょうか。

2 新しくユニークな広告手法

近年登場した、新しくユニークな広告手法の一例は次の通りです。次章から、それぞれの広告手法の詳細を説明します。

新しくユニークな広告手法の例

3 リアルな広告メディア

1)デジタルサイネージ広告

デジタルサイネージとは、デジタルサイネージコンソーシアムによると、ディスプレーなどへ映像による情報を表示させるメディアのことです。屋外や店頭、交通機関などで、電子掲示板・看板の役割を果たしているものを見かける機会も増えてきたのではないでしょうか。情報発信のメディアにとどまらず、広告に利用することも可能です。デジタルサイネージには、規模や大きさ、場所など、さまざまな選択肢があり、今後成長の見込める広告手法です。

1.オフィス内サイネージ広告

社内の情報共有ツールやコミュニケーションツールとして、オフィス内サイネージを導入する企業が増えていますが、例えば応接室や受付などに設置したサイネージでは、来客者向けに自社や商品のPRを流すのも一案です。

■エレコム「オフィス向けサイネージサービス」■
https://www.elecom.co.jp/solution/contents/signage/office/

オフィスに専用の冷蔵庫を設置し、健康的なサラダやフルーツ、総菜などを定期的に届ける「置き社食」のサービスである、KOMPEITOの「OFFICE DE YASAI」。同社は、「OFFICE DE YASAI」の冷蔵庫に設置したタブレット端末をサイネージメディアとして広告配信する「OFFICE DE MEDIA」も展開しています。オフィスで働くビジネスパーソンの目に留まりやすいのが特徴です。また、オフィスで働く人を対象に、冷蔵庫を活用したサンプリングやアンケート、テストマーケティングなどを行うことも可能です。食品会社がサラダ用のソースやドリンクをサンプリングし、アンケートを行って販促へ活かすといった活用がなされています。

■「OFFICE DE MEDIA」(KOMPEITO)■
https://www.officedeyasai.jp/lp/media/

2.スーパー店頭サイネージ広告

スーパーの店頭に置かれたサイネージメディアは、店舗内の販促情報と広告とが交互に映されるため、目に留まりやすく、購買の促進を期待できる広告手法です。広告以外にも、コロナ禍では、店舗の混雑状況や感染症対策の案内、レジ袋の有料化や、キャッシュレス決済のレジ案内などの告知にも一役買いました。

例えば、NTTテクノクロスが提供する店舗サイネージには、スケジュールの予約ができるものがあり、タイムセールなどの情報提供もタイムリーに行うことが可能です。

スーパーを訪れるのは、近隣に勤務先や住まいのある人であり、また家計の管理者であることも多いと考えられます。さらに駅前のスーパーであれば人通りも多いでしょう。そのため、地域の主婦層をターゲットとしたい企業や店舗にとって有効な広告手法です。

■NTTテクノクロス「ひかりサイネージ」店舗サイネージ■
https://www.hikarisignage.net/usecase/usecase_shop/

3.エレベーター内・エントランス設置型サイネージ広告

ビルやマンションのエレベーター内やエントランスに設置するサイネージもあります。不動産関連企業や、ビルメンテナンス、リフォームやリノベーションなどの企業に向いています。

エレベーター内サイネージについては、大日本印刷の実証実験で「マンション住民の6割以上が配信内容を見た」という回答が得られています。また、同社のエレベーター内サイネージには、カメラがついていることから、個人を特定せずに、広告を見ている人数や属性、広告を見た人の反応も把握できます。このため、より詳細なターゲティングができることと、インプレッションベースの広告料金が設定可能なことが大きな特徴です。

サイネージサービスを展開する東京という企業は、エレベーター内サイネージ、エレベーターホール向けサイネージ、また、エントランス向けに「無人コンシェルジュ」というユニークなサイネージサービスを提供しています。

NTTテクノロスが提供する、ビルのエントランスやロビーに設置するサイネージは、オフィスビルの従業員や利用者へ向けた広告手法です。一括集中管理のできるサイネージであれば、設置箇所が複数あっても、それぞれの場所に合わせたコンテンツを配信することが可能です。

■大日本印刷「エレベーター内デジタルサイネージELE PISION」■
https://www.dnp.co.jp/biz/products/detail/20172513_4986.html
■東京■
https://tokyo-inc.com/
■NTTテクノクロス「ひかりサイネージ」ビル・マンション■
https://www.hikarisignage.net/usecase/usecase_building/

4.タクシーの車窓サイネージ広告

タクシー車両の後方サイドガラスに広告を映し出す、車窓モビリティサイネージサービスです。歩道の通行人に対し、熱中症や天気予報、紫外線情報などの情報を織り込みながら広告を掲載していますので、UVケア用品や雨具など、気象に関連する商品やサービスを取り扱う企業に向いています。

「THE TOKYO MOBILITY GALLERY Canvas」は、気象情報会社のウェザーニューズと共同で、天気連動型の車窓サイネージ広告を提供しています。ウェザーニューズが「WxTech」(ウェザーテック)サービスとして提供する1kmメッシュの高精度な気象データ(他社は5kmメッシュ)を活用しているのが特徴です。紫外線指数とUVケア用品の広告を車窓サイネージに掲出し、車内ではUVケア用品のサンプリングやアンケートを行うというような連動も可能です。

■「THE TOKYO MOBILITY GALLERY Canvas」(ニューステクノロジー)■
https://canvas-tokyo.jp/

2)ウインドウビジョン広告

建物の窓に映像を映し出すウインドウビジョンという広告手法があります。全面ガラス張りの病院や不動産会社、カフェなどでよく利用されています。目に留まりやすい窓のある社屋や店舗を持つ企業にお勧めです。LEDを活用した事業を展開するLED TOKYOで提供しているウインドウビジョンは、サイズを選ばず、かつ外光を遮らないことで、開放的な空間を保ちながら広告を掲出することが可能です。

■LED TOKYO■
https://led.led-tokyo.co.jp/works_category/window_vision/

3)消火栓標識広告

街中の公道の上方に、赤い支柱に「消火栓」と書かれた円形の標識があります。地下に設置された消火栓の目印で、消防車が位置を見つけやすく、一般車両の駐車や物を置かれるのを防ぐためのものです。消火栓を設置している「消火栓標識」は、標識の下にある四角いスペースを、広告板として出稿者を募集しています。

通行者の目に留まりやすく、道路占用・道路使用および屋外広告物などの許可の取得手続きも不要です。広告料は月額5000円からで、広告料で標識の設置・維持管理費用も賄っていますので地域貢献にもつながり、地域に密着した企業や店舗にお勧めの広告手法です。

■消火栓標識■
http://www.syokasen.co.jp/

4)シャッター広告

空き物件のシャッターに広告を出稿する手法も登場しています。

メルカリが展開するオンラインショップ「メルカリShops」は、「3D店舗」と銘打ち、東京・渋谷センター街の空き物件のシャッターに、オンラインショップに登録した出店者の広告を掲載しました。広告に掲載している二次元コードから商品を購入できる仕組みになっています。

広告を出稿したのは4社で、いずれも地方の食品製造販売業者です。中には初めてオンラインショップに参入した、創業180年の味噌しょうゆ製造販売業者も名を連ねています。

■「メルカリShops」3D店舗(シャッター広告)■
https://about.mercari.com/press/news/articles/20211007_ooh/

4 ウェブ広告メディア

ウェブ広告に関しては、後述するApple、Googleの動向(第5章)によって、これまでの広告ターゲティングが難しくなることから、それに代替する広告手法を選択する必要性が高まっています。

1)SNS広告(Facebook、Twitter、Instagram、TikTok、LINE、YouTube)

細かくターゲティングできることと、少額からスタートできるという利点から、デジタル広告では、まずSNS広告やアプリ広告が選択肢となるでしょう。各SNSの国内アクティブユーザーの数(推定)や特徴は、次の通りです。

各SNSの国内アクティブユーザー数(推定)と特徴

広告のターゲットについて、年齢や性別、地域、関心のある分野、広告掲出時間・期間などを設定し、予算に応じた出稿を行うことができます。

2)アプリ内広告

個人情報保護の観点から、Apple、Googleが自社のブラウザであるSafari・Chromeで、サードパーティーによるクッキーの受け入れを制限する流れとなっています。その影響を受けにくい広告として、アプリ内に掲出する広告が挙げられます。

■Googleアプリ内広告「AdMob」■
https://admob.google.com/intl/ja/home/

3)TVer広告

TVerは、時間や場所にとらわれず、アプリやインターネットに接続したテレビ(コネクテッドテレビ)などから、過去に放送されたテレビ番組を視聴できるアプリです。2015年10月に登場しましたが、2019年7月から2022年7月までの約3年間で総ダウンロード数が2000万件から5000万件へと急増しています。

近年は、特にコネクテッドテレビでTVerを視聴する層が伸びており、コネクテッドテレビで視聴した動画が25%を超えています(2022年3月時点)。テレビの視聴者層の中で、該当するテレビ番組を視聴する目的を持った人だけに広告を配信することができるため、従来のテレビ広告よりも詳細にターゲティングすることが可能になりました。テレビCMを出稿するほどの予算はかけられなくても、テレビCMのような広告出稿を望む企業にお勧めです。

■TVer広告■
https://biz.tver.co.jp/

4)デジタル音声広告

デジタル音声広告は、音楽配信のSpotifyやラジオ番組を聴取できるradiko、ネットで音声配信できるPodcastなどへ、音声で出稿できる広告です。また、YouTube動画へ音声と静止画で出稿することも可能です。

デジタル音声広告市場は、AirPodsに代表されるワイヤレスイヤホンの普及や、Podcastが市民権を得たこと、またコロナ禍のテレワーク中の「ながら聴き」需要に大きく後押しされ、大きく成長しました。2020年の日本国内のデジタル音声広告市場は、前年比229%の成長を見せ、16億円規模となっています(デジタルインファクトの調査予測)。

オトナルは、デジタル音声広告に特化したサービスを展開しています。同社の八木太亮社長は、「デジタル音声広告の強みは、『ながら聴き』のように、ユーザーの生活と共存できること。また隙間時間に入れること」と言います。また、視覚広告よりも押しつけがましくなく、ユーザーに抵抗なく認識されやすい利点もあります。

中でもSpotifyは、利用開始時に性別と年齢を入力するシステムのため、ターゲティングがしやすいのが特徴です。また、若年層の利用の割合が高いことから、事例として、芸能人が語るラジオトークのような予備校の広告など、学習塾・予備校や大学からの出稿が多いといいます。さらに、商圏ごとのターゲティングも可能で、長野県のスキー場の広告では、県内向けと県外向けの2種類の広告を出しわけています。

■オトナル■
https://otonal.co.jp/

5 補足:Apple、Googleの動向に見るウェブ広告の今後

従来のインターネットによる広告ターゲティングには、ブラウザのクッキーや、端末の広告識別子が利用されてきました。しかし、これらの情報を取得するにあたっては、ユーザーのプライバシー保護の観点から、ユーザーの事前同意を得ることなど、規制を強化していく流れにあります。

Appleは2017年より、ブラウザ・Safariでサードパーティーによるクッキーの受け入れを制限し、現在は完全に停止しています。またiOS14.5(2021年4月26日リリース)から、全てのiOSアプリに対し、Appleが端末に割り当てているランダムなIDによるトラッキングについて、ユーザーの事前同意を得るよう義務付けました。なお、日経広告研究所「広告白書2022年度版」によると、2021年12月時点で、アプリのトラッキングを許可したユーザーは、全世界で24%にとどまりました(スマホアプリ調査会社Flurryの調査、Appleは非公開)。2022年4月、Metaは「トラッキング規制によって、2022年の売上高が100億ドル減る」との見通しを発表しています。

日本においては、iOSのシェアは63.6%と、世界平均の27.7%の2.3倍(2022年4月。調査会社Statconter)で、より影響は大きいものと考えられます。

一方、Googleもブラウザ・Chromeでのサードパーティークッキー受け入れ制限を、2024年後半までに行うとしています。2022年2月には、Androidで提供していた広告識別子の利用制限を前提に、代替技術の開発を進めると発表しています。

以上(2022年10月)

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画像:zapp2photo-Adobe Stock

【朝礼】趣味がないなら、ボランティアをやってみなさい

私は日ごろから皆さんに、「仕事以外の趣味に費やす時間を大切にしてほしい」と伝えています。それは、没頭できる趣味というのは人生を豊かにするし、職場以外の場所で得た経験というのは、仕事に活かせることも多いからです。

けれど、残念ながら当社には、「趣味は特にありません」という社員が少なくありません。そんな人にお勧めしたいのが、ボランティアです。

知っている人もいると思いますが、私はここ数年、休日を利用して地元の老人ホームで、「傾聴ボランティア」というものをやっています。75~90歳の幅広い年齢の方々から、これまでの体験や日々思っていることを伺うのです。

老人ホームの方々はご高齢なので、聞き取りが難しく、普段の会話よりも時間がかかります。けれど、戦中戦後の体験や私が生まれる前の地元の話を伺うと、驚きや感動があります。

また、老人ホーム内の恋の話を聞くと、いつになっても恋は人を元気にさせるものだなと感心するとともに、「老人ホームの方々に比べたら、私は若輩者。もっと若い気持ちでいなければ」と励まされることがあります。

歌が好きでいきなり歌い出す方や、お手玉が得意で80歳を過ぎて4つ、5つ投げられる方もいて、ヒヤヒヤしつつ、楽しく充実した時間を過ごせます。最後には皆さんからとても感謝されますので、うれしさと満足感を覚えて、気分もリフレッシュします。

そして、最初にお話ししたように、ボランティアは単に人生を豊かにするだけでなく、仕事に活かせることもたくさんあります。

老人ホームでの体験談は、誰もが関心を持って聞いてくれるので、仕事の打ち合わせの際のアイスブレークとして非常に役立っています。また、人生の先輩方のお話から、新しいビジネスのヒントを得ることもあります。

例えば、指が震えてスマホの画面を上手にタップできないとか、箸でうまく食べ物が持てないといった話を聞くと、手入力ではなく音声入力の精度を高めるスマホや、ピンセットのようなバネ付きの箸があるといいなとか、思いますよね。目の前で困っていることがあると、解決してあげたいと思うのが人情で、そういう目線で見ると、高齢者というのはアイデアの宝庫ともいえます。すでに商品化されているものも多いですが、このように、ボランティアの最中にビジネスに関するアイデアがひらめくことがよくあります。さらに、同じボランティア仲間を通じた人脈づくりも進んでいます。

どうでしょう? ボランティアは皆さん自身にとっても、会社にとっても、メリットがあると思いませんか? 社内で学んだことができるようになるだけでは、会社にとって新たな力にはなりません。けれど、皆さんが社外で学んだことを社内に持ち込んでくれれば、会社は新しい力を得ることができ、もっと成長するはずです。 

以上(2022年10月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】あなたの仕事力を決めるのは「段取り力」です

皆さんは「段取り7分・仕事3分」という言葉を知っていますか。これは仕事のできる大工さんの条件で、「腕の良い大工は、段取り7分・仕事3分」といわれるそうです。能率的で、良い仕事をするためには、事前の段取りが大切であり、段取りをしっかり組める人こそが、腕の良い大工さんであるということです。確かに、大工さんに限らず、仕事ができる人というのは、仕事前のちょっとした時間を使ってうまく段取りを組んでいるものです。段取りが上手な人と一緒に仕事をすると、自分もテキパキと動くことができ、大変だと思われた仕事もあっという間に片付いてしまったという経験はみなさんもあるのではないでしょうか。

段取りを上手に組める能力を「段取り力」といいます。皆さんにも段取り力を上げていただいて、こうした「段取り上手な人」になってもらいたいと思っています。そこで、今日は、私なりの段取り力向上のためのコツをお伝えしようと思います。簡単なことですので、ぜひ、参考にしてみてください。

それは、「常に逆算して段取りを組む」ということです。仕事には必ず「いつまでに終わらせなければならない」という期限があります。ですから、期限から逆算して、それぞれの仕事をいつスタートすれば間に合うかを判断した上で、それらを整理しながら段取りを組むのです。

「そんなの、当たり前のことじゃないか」と思うかもしれません。確かに、これは社会人としてのイロハのイです。しかし、肝心なのは、ただ「逆算して段取りを組む」ことではありません。これが「常にできる」ことこそがこのコツの要点となる部分です。毎日の仕事は、上司からの指示、お客様からのクレームへの対応など、急な用件が次々と入ってきます。このように、あわただしく仕事をしているときにこそ、皆さんの段取り力の真価が問われます。

段取り力の足りない人は、急な仕事が重なると、余裕を失って「逆算して段取りを組む」ことができなくなってしまいます。そして、気持ちばかりが焦って、「とにかく仕事を片付けなければ」とバタバタと目の前の仕事から片付けようとするでしょう。しかし、段取りを忘れたこんな仕事の進め方は、思うようにはかどらない上にミスも発生して、能率が悪いことこの上ありません。

一方、段取り力の高い人は、どんな状況でも焦らず「逆算して段取りを組む」ことを忘れません。ですから、忙しいときでも、次から次へと着実に仕事をこなしていくのです。

「私は、バタバタしがちだな」。そう思う人は、忙しいときに、仕事から離れて5分程度の短い休憩を取るようにしてください。すると、焦っていた気持ちが落ちつくはずです。そうしたら、「常に逆算して段取りを組む」ということを思い出して、冷静な頭で仕事の段取りを組んでみましょう。

すると、その仕事がどんなに大変であったとしても、今まで以上に能率的にこなせるようになるはずです。

以上(2022年10月)

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画像:Mariko Mitsuda

居眠り運転防止に向けて(2022/10号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

秋の行楽シーズンを迎え、長時間の運転も増えるのではないでしょうか。そこで気を付けたいのが居眠り運転です。運転中に眠気を経験したドライバーも多いと思いますが、運転中の居眠りは重大な事故を招きかねず大変危険です。

今回は、居眠り運転の原因と防止策について取り上げます。

居眠り運転防止に向けて

1.居眠り運転の原因

居眠り運転は、危険への注意や回避ができず、死亡事故など重大事故につながる可能性があります。では、なぜ居眠り運転をしてしまうのか、主な原因を考えてみましょう。

(原因1)睡眠不足

まず最初に睡眠不足があげられます。睡眠は7時間程度が理想と言われています。睡眠時間が短くなるほど事故発生率が高まります。 (図1)

また、睡眠不足が続くと、疲労が蓄積し、居眠り運転や漫然運転を誘発し、信号の見落としや追突事故などを起こしかねません。

睡眠時間による事故発生率

出典:米高速道路交通安全局と全米自動車協会交通安全財団の調査データから当社作成

(原因2) 眠気のリズム

人には12時間周期の眠気のリズムがあり、2~4時と14~16時(起床から8時間後)は眠気が強くなる時間帯です。また、人の生体リズムにより夜半~早朝は眠くなる時間帯です。居眠り運転での死亡事故は
これらの時間帯に多く発生しています。(図2)

なお、これらの時間帯は交通量が比較的少なくなるため、ドライバーは単調な運転になりがちです。

居眠り運転死亡事故の発生時間帯

出典: (警察庁委託調査研究)「睡眠障害と安全運転に関する調査研究報告書」(平成19年3月)から当社作成

(原因3)道路状況

人は単調な環境のもとでは2時間ごとに眠気を感じると言われています。居眠り運転は、空いている道路や直線道路で多く発生しています。(図3)

高速道路などを長時間運転する場合は、居眠り運転に十分注意する必要があります。

居眠り運転発生時の道路状況

出典:公益財団法人 高速道路調査会 平成27年3月「高速道路での居眠り運転防止に向けた効果的な対策に関する調査研究報告書」

2.居眠り運転の防止策

居眠り運転を防ぐには、日頃から適度な睡眠を確保することが大事です。

規則正しい生活を送ることで質の良い睡眠を取ることができます。また、睡眠不足で蓄積した疲労は、睡眠をまとめて取得しても解消しにくいと言われています。

日頃から生活のリズムを意識して、睡眠を7時間程度取得するようにしましょう。

睡眠を確保

運転中に眠気が生じた場合は、以下のような対策をお薦めします。

・仮眠(15分程度)を取得

運転中の眠気の解消には15分程度の仮眠の取得が効果的です。

仮眠が30分以上になると深い眠りに入り、逆効果になりますので注意しましょう。

仮眠を取得

・カフェイン(コーヒーなど)を摂取

カフェインには疲労回復、集中力向上、眠気抑制などの効果があると言われています。ただし、効果が現れるまでに15分程度かかります。

仮眠の前にカフェインを摂取するのもよいでしょう。

カフェインを摂取

・ガムを噛むなど五感を刺激

ガムを噛むと脳の血行が良くなり、眠気を抑えられます。目薬をさす、水を飲む、ストレッチをする、声を発するなど五感を刺激することで眠気を抑えられます。

・長時間運転する場合は、こまめに休憩

長時間の運転では、2時間ごとに眠気が生じやすくなります。この生体リズムを意識して、無理をせず、こまめに休憩するようにしましょう。

3.睡眠時無呼吸症候群

眠気対策をいろいろ試しても、日中に強い眠気を感じる場合、「睡眠時無呼吸症候群」の可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道が塞がれ、いびきや無呼吸を繰り返す症状があり、その影響で日中に強い眠気を感じ、居眠り運転が発生しやすくなります。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に症状が現れるため、本人では気づきにくい病気と言われています。家族からいびきを指摘されたり、日中に強い眠気を感じるようになった場合は、早めに専門医の診断を受けるようにしましょう。

早期発見で適切に治療をすれば、症状の改善が期待できます。

【参考】

公益財団法人 国際交通安全学会のビデオアーカイブのサイト内にある以下の動画をご紹介します。

  • 「睡眠時無呼吸症候群運転絵巻」
  • 「睡眠時無呼吸症候群と交通事故」

https://www.iatss.or.jp/movie/

以上(2022年10月)

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画像:amanaimages

旺盛なインバウンドを取り込め! 「ウィズコロナ」のお勧め旅行企画とPR手法

書いてあること

  • 主な読者:インバウンドの動向が気になる宿泊業者や新規参入を検討している経営者
  • 課題:訪日希望者が期待する旅行企画を知りたい
  • 解決策:自然や歴史・景観など、地元の特徴を活かしたアクティビティを見つけ、インターネットを利用して訪日希望者にアピールする

1 再開するインバウンドの需要を取り込むために

コロナ禍の外国人受け入れ禁止(2020年12月28日から)などで大きな打撃を受けたインバウンドですが、2022年10月11日から全面解禁となりました。

観光庁によると、コロナ前までのインバウンドは右肩上がりの産業で、2019年の訪日外国人旅行消費額は4兆8135億円に上っていました。いったんはコロナでしぼみましたが、外国人の受け入れが本格化すれば、再び大きな経済効果をもたらしてくれるはずです。

この記事では、「ウィズコロナ」の状況下での、

  • インバウンドのニーズを知り、需要を取り込む企画作り
  • 訪日意欲の強いインバウンドに届けるプロモーション

について解説し、インバウンドの需要を中小企業が取り込むための企画や方法を紹介していきます。

2 インバウンドのニーズを知り、需要を取り込む企画作り

1)体験したいことは、「アウトドア・アクティビティ」や「自然や風景の見物」

外国人が日本旅行で体験したいことは、新型コロナウイルス感染拡大前と比べて変化があります。日本政策投資銀行(DBJ)・日本交通公社(JTBF)の調査によると、最も大きな変化は、「アウトドア・アクティビティ」や「自然や風景の見物」など、自然への興味・関心が高くなっていることです。

訪日希望者が日本旅行でしたいこと×コロナ流行前からの変化

また、新型コロナウイルス感染拡大を契機として、都心のホテルより自然環境に触れる旅行地のニーズが高まっている傾向もみられます。

2)持続可能な観光への意識が高まっている

海外旅行を検討する際、サステナブルな取り組みを重視する意向も強まっています。日本政策投資銀行(DBJ)・日本交通公社(JTBF)の調査では、サステナブルな取り組みによる宿泊単価の値上げに対して、全体の7割に許容の意向があります。

値上げが許容できる取り組みの具体例としては、「ゴミの分別・削減」、「食料廃棄の削減」、「公共交通機関の利用」、「プラスチック利用の自粛」などの環境への影響に加えて、「地域ならではの精神性の体験」や「地元の人との対話・交流」といった地域のコミュニティや歴史・風土に関わるものもあります。

また、観光庁が旅先での過ごし方について尋ねた調査では、回答者の約7割が「現地の文化を代表するような本格的な体験」や「旅行中に使ったお金を現地コミュニティに還元」に意欲を示しています。

旅先での過ごし方

3)地域の特徴を活かしたアクティビティを企画しよう

ウィズコロナでの旅行は、「アウトドア・アクティビティ」「自然」「サステナブル」がキーワードになりそうです。

これらのキーワードを基にした旅行企画は、大手旅行会社でなくても実現可能です。

例えば、寿司店が自店舗を使って寿司握り体験教室を開く、海外の日本酒ブームに合わせて酒蔵で酒造りを見学する、日本茶の産地で茶葉の手もみ体験をする、日本情緒のある景観が楽しめる場所でのテント泊、山村でのマタギ体験、数百年以上の歴史を持つ神社めぐりなどです。

これらのアクティビティや景観、名所めぐりは、地元では「当たり前すぎて観光資源になることに気付いていない」ものがたくさんあります。他の地域のアクティビティや景観めぐりが紹介されているウェブサイトを参考にするなどして、地元の良さを見つめ直してみるのもいいでしょう。

3 訪日意欲の強いインバウンドに届けるプロモーション

インバウンドを取り込む旅行企画を作ったら、それをPRすることが大切です。どんなに魅力的な旅行企画であっても、プロモーションに失敗すれば「企画倒れ」になりかねません。

海外に向けて発信するのであれば、何より重要なのが、インターネットを活用した、英語などの多言語によるPRです。

1)海外のインフルエンサー(SNSで大きな影響力を持つ人)に協力を呼びかける

海外に影響力を持つ外国人インフルエンサーを活用することで、世界に向けて情報発信することができます。

大田原ツーリズム(栃木県大田原市)は、農村を観光資源として活用し、農家民泊を軸に、地元住民らと交流しながら農作業などを体験する「グリーンツーリズム」を行っています。同社では海外のインスタグラマーやユーチューバーに向けて常に情報提供を行い、イベントに招待して現地向けの情報を発信してもらっているそうです。農作業や伝統的な暮らしの体験、自然を活用したアクティビティなどを、インフルエンサー自らが体験することで、臨場感のある情報発信につながります。

外国人インフルエンサーを活用する際は、インフルエンサーのフォロワーが、PRしたいターゲットと重なっていることを確認しましょう。日本のことを紹介するインフルエンサーのフォロワーの大半が日本人だったりすることもありますので、注意が必要です。事前にターゲットを決めてからインフルエンサーを選定するようにしましょう。

外国人インフルエンサーを紹介してくれる業者の一例は次の通りです。なお、PR会社に相談する場合は、さまざまなノウハウも提供してくれますが、相談料やインフルエンサーへの報酬も必要になります。

1.Tokyo Creative

30人以上の在日外国人インフルエンサーが所属しています。在日外国人ユーチューバーがツアーのスポット選定から、ローカルガイドの魅力発信まで依頼主と共に行うことで集客率の向上を行ったりしています。また、同社は訪日インバウンドのコンサルティングも行っています。

■Tokyo Creative■
https://www.tokyocreative.jp/ja/

2.インバウンドONE

複数のインフルエンサーマネジメント会社とのネットワークを持つ訪日外国人の旅行手配を行っています。海外から来日し取材・体験した上での情報配信や、紹介してほしい商品をインフルエンサーへ送りレビューを投稿してもらうなど、依頼主ごとに対応しています。

■インバウンドONE■
https://www.jointone.biz/

3.共同ピーアール

日本の観光事業を紹介した実績を持つ外国人インフルエンサーとネットワークを持ち、ターゲットの国や言語、タイミングにあわせて最適なインフルエンサーを紹介します。また、専用ECサイトも持ち、投稿記事と連動した商品を案内し、購入してもらうまでの効果も測れます。

■共同ピーアール■
https://www.kyodo-pr.co.jp/

2)アクティビティサイトを利用する

アクティビティサイトを利用してPRする方法です。アクティビティサイトへの初期の掲載費用やページ制作費などがかからない代わりに、サイトを経由して予約があった場合に成果報酬費用をサイト運営者に支払うケースが多いようです。

このため、宿泊施設・小売店などの事業者は、まずは低額のプロモーション費用で反応を試してみることが可能です。また、アクティビティサイトの運営側としても、初期の掲載費用を無料にしてハードルを低くすることで、多様なアクティビティ情報の集積ができます。

アクティビティサイトの一例は次の通りです。

1.アクティビティジャパン

H.I.S.の子会社であるアクティビティジャパンが運営しています。登録事業者数は約6000で、掲載プラン数は1万6000を超えています(2022年8月現在)。H.I.S.の店舗や販売網を使ってアクティビティの紹介・仲介、電話予約も行っています。

掲載に当たっては、初期掲載費用・初期ページ制作費・広告宣伝費用は無料で、同サービスを経由した予約に対して送客手数料・オンライン決済手数料がかかります。

■アクティビティジャパン■
https://activityjapan.com

2.asoview!(アソビュー)

アソビューが運営しています。累計体験人数は1000万人、掲載プラン数は2万を超えています(2018年9月現在)。掲載に当たっては、原稿の登録・作成・修正費用・予約管理システム利用料は無料で、ウェブサイトを経由した予約に対して10%の成果報酬費用が差し引かれます。

■asoview!(アソビュー)■
https://www.asoview.com/

3.Viator(ビアター)

500以上の提携サイトを持つアクティビティ特化のプラットフォームで、サイト訪問者は累計すると4.5億人以上を数えます。また、世界有数の旅行口コミサイトであるトリップアドバイザーの傘下にあり、同サイトに無料で掲載でき口コミを管理できます。

■Viator■
https://www.viator.com/

4 インバウンドが復活する要因

1)高い訪日意欲に加え、円安効果も後押し

観光庁によると、医療崩壊を防ぎ、感染対策と社会活動の両立を図る「ウィズコロナ」のなかで、新型コロナウイルス感染症が落ち着いた後に訪日意欲を持つ人は73.2%に上ります。

ポストコロナの訪問意欲

前出のDBJ・JTBF「アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(第3回 新型コロナ影響度 特別調査)」(2022年)」でも、「次に海外旅行したい国・地域」の第1位は日本でした。

また、円安効果もあります。2019年の米ドル円の為替は、1米ドル=110円程度でした。現在1米ドル=140円台で推移していて、2019年より2割ほどの円安となっています。すでに自国で買うよりも日本で買ったほうが安い状況も生まれているため、外国人の消費意欲が高まっています。

2)国もインバウンド誘致に積極的

インバウンドの掘り起こしには国も力を入れています。観光庁は観光インバウンドの回復を見据えて、「インバウンド回復に向けた戦略的取組」の2023年度の予算要求額を98億7900万円としました。その大半を占めるのが「戦略的な訪日プロモーションの実施」の93億円(2022年度の決定予算は65億4200万円)です。

観光庁の戦略的な訪日プロモーションに向けた取り組み

以上(2022年10月)

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画像:unsplash

女性活躍の実態と情報公表などの義務化

厚生労働省は今年7月、「令和3年度雇用均等基本調査」の結果を取りまとめ、公表しました。この「雇用均等基本調査」は、男女の均等な取り扱いや仕事と家庭の両立などに関する雇用管理の実態把握を目的に、毎年実施されている調査となります。
本稿では、公表された「令和3年度雇用均等基本調査」の概要を紹介するとともに、関連して「改正女性活躍推進法」に基づき義務化される情報公表などの内容をお伝えします。

1 令和3年度雇用均等基本調査

令和3年度は、全国の企業と事業所を対象に、管理職に占める女性割合や、育児休業制度の利用状況などについて、10月1日時点での状況が調査されました。実施された調査結果の一部を次にご紹介します。

〇【企業調査】正社員・正職員の採用状況

令和3年春卒業の新規学卒者を採用した企業割合は 21.3%と、前回調査(令和2年度20.6%)に比べ 0.7ポイント上昇しました。採用した企業について採用区分ごとにみると、総合職については「男女とも採用」した企業の割合が 45.2%と最も高く、次いで「男性のみ採用」が 41.8%となっています。限定総合職では「男性のみ採用」が 49.6%と最も高く、「男女とも採用」は 25.6%、「女性のみ採用」は 24.8%となっています。一方、一般職では「男性のみ採用」が 35.2%、「女性のみ採用」が 32.7%となっており、採用状況にあまり差はみられませんでした。

〇【企業調査】管理職に占める女性の割合

管理職に占める女性の割合は、部長相当職では 7.8%(令和2年度 8.4%)、課長相当職では 10.7%(同 10.8%)、係長相当職では 18.8%(同 18.7%)となりました。規模別にみると、いずれの管理職割合においても 10~29人規模が最も高く、部長相当職の女性管理職割合が 14.0%、課長相当職が 18.2%、係長相当職が 23.8%となっています

〇【事業所調査】育児休業取得者の割合

育児休業取得者の割合は、女性が85.1%(令和2年度81.6%)、男性が13.97%(同12.65%)となっています

2 女性の活躍に関する情報公表の義務化

今年の4月から「改正女性活躍推進法」に基づく一般事業主行動計画の策定・届出と情報公表が、101人以上300人以下の企業にも義務化されました。
前項のような自社の女性の活躍に関する状況について、以下の項目から1項目以上選択し、求職者等が簡単に閲覧できるように情報公表することが必要とされています。詳細は厚生労働省のHPなどでご確認ください。

女性の活躍に関する情報公表

厚生労働省リーフレット「令和4年4月1日から女性活躍推進法に基づく行動計画の策定・
届出、情報公表が101人以上300人以下の中小企業にも義務化されます」(令和4年1月)

3 さいごに

義務化された企業規模は101人以上とされていますが、100人以下の企業でも、女性活躍・両立支援に積極的に取り組み、ポジティブな結果を得ている企業もあります。厚生労働省が紹介している好事例集によると、ガスサービス業の会社において、男性中心の営業部門に女性を積極的に配置することで女性従業員の業務の幅を拡大させ、また昼休みを含め3時間まで中抜けできる中抜け休憩制度や子どもを連れた出勤を可能にすることで、職場の雰囲気が変わり、従業員の満足度が向上し、また女性の新卒応募者も増加する効果が得られたと紹介されています。人手不足が深刻化する中、女性が活躍できる職場への改善取組は、人材の確保・活用の観点で、社内外から高い評価を受けることが期待できますので、積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

※本内容は2022年9月9日時点での内容です

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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画像:photo-ac

女性活躍の実態と情報公表などの義務化

厚生労働省は今年7月、「令和3年度雇用均等基本調査」の結果を取りまとめ、公表しました。この「雇用均等基本調査」は、男女の均等な取り扱いや仕事と家庭の両立などに関する雇用管理の実態把握を目的に、毎年実施されている調査となります。
本稿では、公表された「令和3年度雇用均等基本調査」の概要を紹介するとともに、関連して「改正女性活躍推進法」に基づき義務化される情報公表などの内容をお伝えします。

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