【朝礼】上司の皆さん、部下の心情を理解していますか

部下が仕事の報告を話し始めると、「それは分かった」と話をさえぎる上司がいます。しかし、こうした上司は、本当に部下の言わんとすることが分かっているのでしょうか。部下の心情を理解できているのでしょうか。

上司は、部下の仕事内容をだいたい把握しているものです。そのため、部下が仕事の報告を始めたら、その内容についてはほぼ見当がつくでしょう。しかし、ここで上司が分かるのは、だいたいのところにすぎません。

そこで、部下を持つ皆さんにお願いが二つあります。一つ目のお願いは、部下が報告を始めたら、話をすべて聞くことに注力してほしいのです。部下の話を「それは分かった」と途中でさえぎるのではなく、「なるほど、それでどうなりましたか」「概略は分かりました。もう少し、具体的に教えてください」「今後はどうなると思いますか」と問いかけてください。

もう一つのお願いは、このときに部下の心情を理解してもらいたいのです。仮に、部下の仕事が想定通りに順調に進捗(ちょく)しているとします。部下は、仕事が想定通りに進んでいることに対して「ほっとしている」と思っているかもしれません。本心では仕事が想定通りに進むことは困難だと考えていたため、「現状に満足だ」と思っているかもしれません。意欲の高い部下であれば、もっとできたはずとの思いから「残念だ」と考えているかもしれません。あるいは、関係者全員が喜んでいるので「自分もうれしい」という部下がいるかもしれません。

美しいと思う景色や大金と思う金額が個人によってまちまちなのと同様に、傍(はた)からは同じ状況下に見えていても、部下がそのときに考えることは同じではありません。

一人ひとりの心情を理解し、その上で部下をマネジメントしなければ、上司として十分な役割を果たしたとはいえません。今、部下の皆さんは「そうだ、そうだ。その通り」と心の中で叫んでいるのではないでしょうか。

上司の仕事は、部下の業務の割り振りをし、業務の進捗(ちょく)状況を管理するだけではありません。上司にとって、もっと重要な仕事は部下の心情を把握し、その時々に応じて、正しい助言をし、部下のやる気に火を付けることです。

壁を乗り越えられずに、「つらい」と感じている部下には、上司は自分が「つらい」と思った経験を話してあげてください。そうすることで互いの理解が少しでも深まります。心がてんぐになっている部下には、てんぐのときがあってもいいが、足元をしっかり見てみろ、そろそろ気を引き締めるときだと諭(さと)してください。

上司の皆さんは、自分が部下だったころを思い出し、部下の心情を理解する努力を続けてください。そうすることで、これまで以上に部下のマネジメントができるようになりますし、ひいては部下と本当の仲間になれます。

私も、皆さんの心情を理解する努力を続けますので、本心を打ち明けてください。

       

以上(2022年7月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】「自分には強みがない」と悩む人に聞いてほしい話

けさは、「自分には、これといった強みや特徴がない」と思い悩んでいる人にとって、ヒントになるような話をしたいと思います。

皆さんには何度も話していますが、自分の強みを持つことは、ビジネスパーソンとして非常に重要なことです。社内のみならず、社外でも強みになるようなスキルがあれば、会社にとっても本人にとっても存在価値を高めることにつながります。それと同時に、社外に対しても強みになるようなものをつくることは、簡単ではないのも事実です。

皆さんの中には、米国のプロ野球選手である加藤豪将(ごうすけ)さんをご存じの方もいると思います。米国生まれで主に米国で育ちましたが、ご両親とも日本人です。高校卒業後、日本のプロ野球を経ずに、米国でマイナー契約を結んでプロ野球選手になりました。そして2022年4月、プロ9年目にしてメジャーリーグで初ヒットを放ちました。

プロ選手になった後の加藤さんは、外国人選手と比べて体格やパワーで劣ることもあり、なかなかメジャーリーグに昇格できませんでした。下部のマイナーリーグは、バスで十何時間も移動し、粗末な食べ物しか食べられないような過酷な生活だったといいます。

それでも何とかメジャーリーグに昇格しようと、加藤さんが選んだ道が、何でもこなせるユーティリティープレーヤーになることでした。

そのために加藤さんは、内外野のあらゆるポジションを守り、チームの戦略や、控えも含めた全ての打順で求められるバッティングができるように努力しました。本人いわく、「カメレオンみたい」な選手を目指したのです。

このようなタイプは、監督にとって非常に使い勝手の良い選手です。例えば、けが人が出た場合など、その穴を埋めるのにはもってこいです。加藤さんはマイナー生活での経験から、いつ指名されても活躍できるよう、身体的、精神的に準備を整える術を学んだといいます。しかも加藤さんは、常に笑顔を絶やさず、そのような隙間を埋める作業を喜んで引き受けています。メジャー初のヒットを放った際にチームの皆が祝福したのは、そのような加藤さんのキャラクターも大きかったのだろうと思います。

会社にとっても、加藤さんのような、組織の隙間を埋めてくれるような人は貴重な存在です。営業で大きな取引を獲得したり、新たなプロジェクトを企画したりするだけで会社が回っているわけではありません。忙しい人をサポートしたり、急に休みが必要になった人の穴を埋めたり、といった作業も会社にとって不可欠です。オフィスの汚れた場所に気付いてすぐに掃除することも、組織の隙間を埋めるような作業といえるでしょう。そのような積み重ねによって、組織にとって欠かせない存在になれます。それは、もはやその人の強みや特長だといえるでしょう。

以上(2022年7月)

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画像:Mariko Mitsuda

【営業最強フレーズ集】プレゼン編1 「極端ですが、仮に、金額が今の半分だったらいかがですか?」

書いてあること

  • 主な読者:今よりレベルアップしたい営業担当者と、営業担当者を指導する営業管理職
  • 課題:現場ですぐに使えて顧客と信頼関係を築けるトークスクリプト的なものが欲しい
  • 解決策:シーンごとに「最強フレーズ」を、少なくとも1つは持っておく。あとは応用

極端な話ですが、もし、金額が今の半分だったらいかがですか?

「予算が無い」は引き下がらざるを得ない?

相手のニーズをしっかりとヒアリングしたはずなのに、提案すると相手の反応が芳しくないことがよくあります。

そういうとき、よく言われる断り文句は「今は予算が無いから」かもしれません。「予算が無い」と言われると、多くの営業担当者は仕方ないと思いがちです。リアクションできたとしても、「では次回の予算の検討時期に合わせますので、いつか教えてください」と尋ねるぐらいではないでしょうか。

本当に金額の問題なのか切り分ける

多くの営業担当者が引き下がってしまう「予算が無いから」という言葉は、“断るための常とう句”だったりします。単に相手が「プレゼンを聞いても本当に必要だと感じることができなかった」だけかもしれません。

そこで、冒頭で紹介した営業最強フレーズを使って、「本当に『予算が無い』という金額だけの問題なのか、それとも金額以外(提案内容など)に問題があるのか」を確認し、相手の不満点がどこにあるかを切り分けましょう。

不満点が金額(予算)ではなかったら?

相手が「うーん、半分ねえ……。それでも採用は難しいかな」という反応だったら、相手の不満点は、おそらく「金額(予算)」ではありません。

この場合は、「そうですか。それではプランをもっと○○様のニーズに合うものに見直したいと思うので教えてください。今回の提案の中で、一番引っかかるのはどこですか?」と尋ねてみましょう。こうすれば、相手の不満点を確認しつつ、改めてニーズを具体的にヒアリングすることができます。

不満点が金額(予算)だったら?

相手が「そりゃ半分だったら欲しいよ。できるの?」という反応だったら、相手の不満点は金額(予算)の可能性が高くなります。

この場合は、「半分というのはさすがに難しいですが、金額が問題なのであれば、調整してみたいと思います。どのくらいならご検討いただけますか?」と尋ねてみましょう。併せて、

「プランを見直す参考にしたいので教えてください。今回の提案の中で、これは必要だという機能やサービスはどれですか?」

と尋ねれば、金額を見直すにしても相手のニーズに応えた見直しができます。

ただし、これまでの話と逆説的になるかもしれませんが、安易に「単なる値下げ」に走るのは良いことではありません。仮に、予算オーバーなど金額が問題だったとしても、相手にとっての価値をしっかりと伝えることで相手が納得し、金額の問題を解消できる場合もあります。価値を伝えられているかどうか確認してみることも必要でしょう。

プレゼンは「ギャップを埋める」取り組み

プレゼンの目的の1つは、「買いたい」と思う相手の気持ちと、「売りたい」という営業担当者の思いの間にあるギャップを埋めることです。ただ商品やサービスのメリットや機能を伝えるだけでなく、相手のリアクションを見ながら不満点を明らかにし、それを除いていくトークが必要です。

なお、オンラインでプレゼンする際は、相手に了承を得た上で、レコーディングや録音をして「相手のリアクションを記録に残しておく」のがよいでしょう。プランの見直しや他社への営業の際などに非常に参考になります。

以上(2022年7月)

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画像:Mariko Mitsuda

視野の異常と安全運転(2022/07号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

自動車の運転においては、良好な視力だけでなく十分な視野も大切です。視力とは物の形状などを認識する力であり、視野は眼を動かさず見える範囲のことです。

運転中は、視野で信号機、他の車、歩行者などの存在や動きを察知して、適宜、眼を動かして対象物の詳細を確認しています。

もしも視野に異常があれば、周囲の交通状況を的確に把握できなくなり、誤った運転操作をしてしまうおそれがあります。

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1.視野に異常をきたす疾患

視野に異常をきたす疾患の例として、「緑内障」と「網膜色素変性症」があげられます。日本人の視覚障害の原因疾患のうち4割以上をこの2つの疾患が占めています。

<日本人における視覚障害の原因疾患>

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18才以上の視覚障害者手帳取得者12,505名

出典:(公財)国際交通安全学会.”緑内障と交通事故.” (公財)国際交通安全学会ビデオアーカイブ,https://www.iatss.or.jp/movie/,(2022.6.10閲覧)より当社作成

①緑内障

眼圧の上昇等により眼の奥の視神経が傷つき、視野欠損、視野狭窄 (しやきょうさく)などの症状が現れる疾患です。加齢に伴い患者数は増加し、40歳以上の日本人で約5%と言われています。傷んだ視神経は元に戻らないため、治療は症状の進行を抑えることが目的となります。

患者数が多いため、日本人の失明原因の第1位になっていますが、失明率はかなり低く、早期に発見し、適切な治療を継続すれば失明に至ることは殆どありません。

②網膜色素変性症

遺伝性の疾患で、夜盲(暗い場所で見えにくい)や視野狭窄などの症状が現れる疾患です。日本人の発症頻度は4,000~8,000人に1人と言われています。厚生労働省が指定する難病の一つで根本的な治療法がなく、治療は症状を和らげるなどの対症療法になります。症状の進行の速さには個人差がありますが、眼科疾患の中では症状の進行が遅い疾患です。

<視野に異常がある場合の見え方(イメージ)>

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2.緑内障と運転への影響

患者数が多いと言われる緑内障について、運転への影響を考えてみましょう。

緑内障の初期・中期の場合、視野欠損や視野狭窄の症状は自覚しにくいという傾向があります。

緑内障患者の約90%が無自覚・未治療であるという調査報告もあり、自覚しにくい主な要因として、以下があげられます。

  • 症状が時間をかけて徐々に進行するため、見え方の変化に気づきにくい。
  • 症状がかなり進行しても、中心視野は保たれている場合が多い。
  • 片眼の視野に欠損部分(見えていないところ)が生じても、他眼がその欠損部分を補ってしまう。

初期・中期では、視野欠損や視野狭窄の症状が運転に与える影響は小さいかもしれませんが、その症状を自覚しないまま運転していると、そのうち、症状が進行してしまい、下図のように赤信号や横断中の歩行者を見落としてしまうことがあるかもしれません。

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症状を自覚しにくいということは、症状の進行による運転リスクの高まりにも自覚しにくいということにつながります。このため、運転者は自分の眼の健康状態の把握に努め、もし視野に異常が見つかった場合は、視野の状態をきちんと理解して安全運転に徹することが大切です。

3.安全運転を続けるために

視野に異常が見つかったからといって、直ちに運転ができなくなるわけではありません。自分の弱点として捉えて安全運転を心がければ、むしろ交通事故を回避できる可能性が高まるかもしれません。

また、緑内障の場合、失った視野を元に戻すことは困難ですが、早期発見と治療継続により症状の進行を遅らせることができます。

年に一度は眼科検診を受診するなど、眼の健康状態にも注意を払い運転寿命を延伸させましょう。

【参考】

公益財団法人 国際交通安全学会のビデオアーカイブのサイト内の以下の動画をご紹介します。

  • 「緑内障運転絵巻」
  • 「緑内障と交通事故」

https://www.iatss.or.jp/movie/

以上(2022年7月)

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画像:amanaimages

【規程・文例集】従業員が安心して海外で働ける「海外駐在員規程」のひな型

書いてあること

  • 主な読者:従業員を長期間、海外に派遣するため、海外駐在員規程のひな型が欲しい経営者
  • 課題:具体的に何を定めればよいかが分からない
  • 解決策:駐在期間、家族の帯同、給与や休暇、費用の負担など、「自分が初めて海外で働くとしたら、何が不安か」を洗い出して規程に落とし込む

1 従業員が安心して海外で働けるようにするには?

調達・製造・販売など、今やグローバルチェーンを活用しないビジネスは皆無といえます。海外での折衝を外注先などに任せることも可能ですが、自社にとって重要な事業であれば、やはり自社の従業員を駐在させる必要があります。

とはいえ、海外は言葉をはじめ、文化・習慣、食事、子供の就学など、日本とは勝手の違うことばかり。従業員にとっては不安も大きいでしょう。そこで、従業員の不安を少しでも和らげるために活用したいのが、「海外駐在員規程」です。

海外駐在員規程は、海外赴任中の従業員の処遇、会社がフォローする範囲などについて定めた社内規程です。タイトルだけを聞くと何やら難しそうですが、作成の仕方は至ってシンプル。

「自分が初めて海外で働くとしたら、何が不安か」を1つ1つ洗い出していけば大丈夫

です。例えば、

  • 駐在期間はどの程度なのか
  • 家族は連れていけるのか
  • 給与や休暇のルールは国内で働く場合と違うのか
  • 赴任にかかる費用などは会社から負担してもらえるのか

などは、海外で働くなら誰でも気になるところでしょう。従業員からのヒアリングも交えつつ、こうした内容を1つ1つ規程に落とし込んでいけば、従業員も安心して海外で働けます。

次章で、海外駐在員規程のひな型を紹介しますので、参考にしてください。

2 海外駐在員規程のひな型

以降で紹介するひな型は一般的な事項をまとめたものであり、個々の企業によって定めるべき内容が異なってきます。実際にこうした規程を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

【海外駐在員規程のひな型】

第1条(目的)
本規程は、海外関連会社への出向および会社が設置する海外連絡事務所に勤務する従業員など、会社の命令によって1年以上海外に駐在し勤務する従業員(以下「海外駐在員」)の取り扱いについて定めたものである。
なお、本規程に定めのない事項については、駐在責任者の助言を基に協議して定めることとする。

第2条(用語の定義)
1)海外駐在員とは、海外における現地法人に出向し、引き続いて1年を超える予定で勤務することを命じられた者をいう。
2)駐在期間とは、赴任のため、会社の所在地を出発した日より帰任による会社の所在地に到着した日までの期間をいう。
3)1年以内の出向については、会社の海外出張旅費規程(省略)による。

第3条(身分)
1)出向者については、出向期間中、原則として会社の総務部に籍を置き、引き続き当社に勤務したものとする。
2)会社は、出向者であることを理由に他従業員に比して不利益な取り扱いをしてはならない。

第4条(他規程の適用)
海外駐在員に対しては、本規程の他、会社の関係規程および海外の現地規程を適用する。

第5条(勤務時間、休憩および休日)
勤務時間、休憩および休日は現地規程を適用する。

第6条(駐在責任者)
1)現地法人には、駐在責任者を置く。
2)駐在責任者は、駐在員を統括、指導するとともに、相互の協調、親睦を図り、現地生活についての適切な助言、指導に努めなくてはならない。

第7条(海外駐在心得)
海外駐在員は、駐在に当たり、次の事項を遵守しなければならない。

  • 常に会社の従業員としての誇りを持ち、会社の信用や名誉を傷つけないような生活態度を保つこと。
  • 駐在する地域の法令を遵守し、地域の風俗・生活習慣を尊重すること。
  • 安全・衛生・健康管理に十分留意し、帯同する家族を含めて危険にさらすような行動は避けること。
  • 駐在責任者の指示に従い、現地採用の従業員などにも配慮し、協力して職務を誠実に遂行すること。

第8条(家族の帯同)
1)海外駐在員は、扶養家族の全員および一部の帯同または単身などの赴任形態に関して原則として海外勤務期間開始以前に選択し、会社へ申請するものとする。
2)海外駐在員は、海外勤務期間開始以降であっても、1カ月以前の事前申請により、会社が認めた場合は、赴任形態を変更できるものとする。

第9条(赴任および帰任)
1)赴任および帰任の発令は、辞令をもって行う。
2)発令を受けた者は、速やかに業務の引き継ぎを行い、1カ月以内に赴任または帰任するものとする。
3)駐在期間は、同一勤務先においては3年間を基準とし、業務の状況、本人の事情などにより、その期間を延長または短縮することがある。
4)帰任後の配属先は、赴任前の所属部門、海外駐在中の職務、業績、適性などを勘案して定める。
5)赴任先の住居については駐在責任者と、帰任時は人事担当部署と相談し、速やかに入居できるよう準備する。

第10条(赴任および帰任休暇)
海外駐在員は、次の場合、新旧任地において特別休暇を受けることができる。

  • 赴任時:移動日を除く3稼働日
  • 家族呼び寄せ時:家族の到着後3稼働日
  • 帰任時:移動日を除く3稼働日

第11条(赴任・帰任支度金)
海外駐在員の赴任時および帰任時に、会社は赴任支度金および帰任支度金として次の金額を支給する。

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第12条(荷造り、運送費用)
私用荷物は、現地の生活において必要不可欠なものに限り、その荷造り、運送費について、次の範囲内で実費を会社が支給する。ただし、動植物については、本人負担とする。

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第13条(赴任および帰任旅費)
1)海外駐在員が赴任のため日本を出発する日から任地に到着する日までの期間および帰任のため任地を出発する日から日本に到着する日までの期間に関する交通費および宿泊費については、別途定める「海外出張旅費規程」(省略)を適用する。
2)帯同する家族については、本人の職位に準じて交通費および宿泊費を支給する。
3)帯同する家族も含め、旅券交付手数料、旅券査証料、入出関税、予防注射料など渡航手続き上必要な諸経費は実費を会社が支給する。

第14条(給与の種類)
1)海外駐在員の給与の種類は国内給与・海外給与とし、国内給与は円建て、海外給与は現地通貨建てで支給する。
2)国内給与は、留守宅手当および賞与とする。
3)海外給与は、海外勤務給与・家族帯同手当とする。

第15条(給与の計算基準)
海外勤務給与の計算基準は次の通りとする。

  • 会社の計算基準に準じて現地法人が行うが、支給の対象となる期間は、赴任日(駐在地到着日)から帰任日(駐在地出発日)までとする。
  • 支給日は、現地法人の定めによる。
  • 月中にて、海外給与の開始、終了、変更がある場合は、歴日数にて日割計算をする。

第16条(控除額)
海外駐在員が現地法人から受け取る所得に対して駐在地において課される諸税および社会保険料は、現地法人が全額負担する。

第17条(国内の社会保険等)
1)原則として、国内の社会保険制度および雇用保険は、国内勤務時と同一基準で取り扱う。
2)国内における社会保険、諸税、財形、生命保険料などは、海外駐在員本人の申請により、本人に支給される国内給与から控除する。

第18条(教育費補助)
1)海外駐在員の子女が海外勤務地において学校に通学する場合は、入学金、授業料、スクールバスなど学校が提供する通学費用の50%を教育費として補助する。
2)補助対象となる学校は、原則、幼稚園から高等学校までとする。
3)教育費の補助を受けようとする場合は、入学金、授業料、通学費用の納付書またはこれに代わる証拠書類をもって申請しなければならない。

第19条(海外住宅費)
1)海外駐在員の住宅は、会社が無償貸与する施設に居住する場合を除き、現地事情、家族数などを考慮し、駐在員が選択し、駐在責任者の許可を得て決定する。ただし、住宅選択の許可の上限は別に定める。
2)駐在地における住宅費(以下「海外住宅費」)は、現地法人が支払う。ただし、個人負担分がある場合は、海外給与よりこれを控除する。
3)住宅の賃貸借契約は、原則として現地法人が行い、入居に当たって必要な敷金、保証金、手数料などは、現地法人が負担する。
4)帰任、転任に伴う借り上げ住宅の解約損失は現地法人が負担する。ただし、本人の責に帰すものは、本人が負担する。
5)海外住宅費は、次の費用の合計とする。

  • 賃貸借契約書に賃借料として記載されている家賃および車庫代。
  • 住居にかかる共益費。
  • 賃貸借契約書に借主負担と記載されている住居にかかる税金、火災保険料。
  • 家具の賃借料。

第20条(一時帰国)
海外駐在員が次の基準に該当し、かつ会社が必要と認めたときは、特別休暇を付与し、帯同した家族を同伴して一時帰国することができる。

  • 日本に居住する配偶者または一親等の血族および姻族が出産、危篤、または死亡した場合、10日の特別休暇を付与する。
  • 本人または一親等の血族が日本で結婚する場合、7日の特別休暇を付与する。
  • 赴任後、海外勤務が2年以上で引き続き相当期間の勤務が予定される場合、10日の特別休暇を付与する。
  • その他会社が認めるときは、会社が認めた日数について特別休暇を付与する。

第21条(一時帰国および家族の一時呼び寄せにかかる費用)
1)一時帰国の費用については、原則、第13条第1項および第2項に準じた金額を支給する。
2)家族を帯同していない海外駐在員が家族を一時的に呼び寄せるときは、年間に1回に限り、原則、第13条第1項および第2項に準じた金額を支給する。

第22条(健康診断等)
海外駐在員については、次の通り健康診断を行う。また、この取り扱いは希望により帯同する家族にも適用する。健康診断実施後、診断書の写しを速やかに会社に提出しなければならない。なお、健康診断に要する費用は全額会社負担とする。

  • 赴任前。
  • 赴任期間中は年1回。
  • 帰任後。

第23条(緊急事態への対処)
1)戦争、内乱、クーデター、暴動、誘拐、感染症の流行または大規模自然災害など、緊急事態が赴任地またはその周辺で発生した場合は、赴任先の責任者および総務部と連絡・連携をとりつつ、本人および帯同する家族がいるときはその家族も含めて、安全地域への避難または帰国その他の措置をとる。
2)緊急のため、第23条第1項に従うことが困難であると判断した場合は、安全の確保を優先し、海外駐在員自らの判断で迅速に安全の確保のための措置を講じるものとする。安全を確保した後に、速やかに駐在責任者および総務部に報告するものとする。

第24条(事故報告)
海外駐在員および帯同家族が事故を起こしたり、入院したりした場合には、駐在責任者は、速やかに総務部に報告しなければならない。

第25条(罰則)
従業員が故意または重大な過失により、本規程に違反した場合、就業規則に照らして処分を決定する。

第26条(改廃)
本規程の改廃は、取締役会において行うものとする。

附則
本規程は、○年○月○日より実施する。

以上(2022年7月)

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画像:ESB Professional-shutterstock

【防衛省課長に聞く】食料品から戦闘機の部品まで 防衛省が中小企業との取引を拡大したい6つの理由

書いてあること

  • 主な読者:信用力が高く、安定的に取引できる販路の開拓を急いでいる経営者
  • 課題:自社の製品はそのままに、今後の需要増が期待できる防衛産業に参入する
  • 解決策:取引先である防衛省の意向を把握し、取引を始めるための秘訣を知る

1 新たな販路開拓に「防衛産業」への参入はいかがでしょうか?

新規取引先の獲得は重要なテーマですが、この記事では、意外な開拓先として、

防衛産業への参入

をご提案します。

日本の周辺が「きな臭く」なる中、日本も防衛力を強化する方針で、防衛費の大幅な増額(国内総生産(GDP)比2%以上)計画も浮上しているようです。実行されると、4兆円以上の増額となる計算です。

「でも、防衛産業は機密情報も多いので、参入するのは無理でしょ」とお考えの方は、この記事を読んでいただくと、誤解が解けるかもしれません。防衛省の担当課長によると、防衛省には中小企業との取引を拡大したい、次のような切実な6つの理由があるのです。

  • 政府全体の方針として中小企業との取引拡大を促している
  • 国内の防衛産業の育成に取り組みたいと考えている
  • 経済安保が重視され、国内サプライチェーンへの依存度が高まっている
  • 自衛隊の基地周辺の経済活性化を目指している
  • 代替しにくい技術を持ちながら、高齢化などで廃業する取引先が現れている
  • 煩雑な入札手続きやイメージ悪化を懸念して、参入を敬遠する企業もある

この記事では、東京・市ヶ谷にある防衛省防衛装備庁装備政策課の松本恭典課長への取材から得られた、防衛産業に参入するヒントを紹介します。

2 防衛装備庁に聞く 中小企業の参入を期待する理由

1)政府全体の方針として中小企業との取引拡大を促している

令和2年(2020年)時点での防衛省の中小企業との契約実績額は下表の通り、物件(防衛装備、食料、事務用品など)、工事(基地での工事、メンテナンスなど)、役務(清掃などのサービス)の合計が3158億円となっています(赤字部分)。これは、中小企業が受注できる契約額(5778億円分)の54.7%を占めています。中小企業の受注割合は、10年ほど前は40%程度でしたが、それ以降、徐々に増加しています。

この他、戦闘機や艦船の納入などのような、防衛省がプライム企業(大手重工メーカーなど、防衛省と直接契約する企業)と契約するものがあり、その中にも数千の中小企業が部品や素材などの供給で関わっています。しかし、そうした件数は下表には反映されていません。

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中小企業との取引が増加している背景には、「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」があります。防衛省は同法に基づき、前年度の実績を上回るように努めています。2020年度は中小企業・小規模事業者との契約金額の比率60%を、2021年度は61%を目指しました。新規中小企業の取引についても、国の方針に従って3%を目指しています。

2)国内の防衛産業の育成に取り組みたいと考えている

防衛費の増額が報道されていますが、現時点では正式に決定したわけではないので、ここは仮定の話になります。

現在の防衛費は約5兆~6兆円ですが、このうちの約半分を人件費や糧食費が、残りの半分を防衛装備の調達が占めているイメージです。もし防衛費が2倍になったとしても、人件費や糧食費は今と大きく変わらないでしょう。そうすると、防衛装備の調達のための予算が、報道されている2倍以上を大きく上回ることになります。

防衛省としては、防衛産業に関わる企業の、防衛事業に関連する売り上げ比率を高めたいと考えています。売り上げ比率が高いほど、防衛産業へのコミットが高いと評価でき、積極的に支援していきたいと思います。

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米国を例にすると、売上の多くを防衛関連が占める企業がある一方、日本では、プライム企業などでも、防衛関連の売り上げ比率は10%以下です。各社の中で、防衛関連の存在感が低いともいえ、積極的な投資が行われない懸念があります。複数社による競争性の確保と両立させながら、国内の防衛産業の育成に取り組みたいと考えています。

3)経済安保が重視され、国内サプライチェーンへの依存度が高まっている

近年、防衛の分野でも「経済安保」の観点からサプライチェーン対策が各国で大きな課題となっており、防衛装備の調達は「国産回帰」の流れにシフトしつつあります。特に、AIや3Dプリンティング、ドローンなどの先進技術の分野では、諸外国に比べて日本は装備品への取り込みが遅れています。こうした技術を積極的に取り込み、装備の陳腐化を防ぎ、性能の向上を図っていきたいと考えています。具体的な取組として、防衛省からプライム企業に働きかけを行ったり、先進技術を持つ中小企業向けの展示会を年に複数回実施し、プライム企業や自衛隊とのマッチング支援を行ったりしています。

実際にマッチングした例としては、国産のドローンを製造するベンチャー企業が、防衛省と納入契約に至りました。現在は偵察や観測などの用途が主ですが、今後は無人機の時代となり、ドローンの活用シーンや投入するミッションが多様化すると予測され、調達が拡大すると思います。

特に防衛装備庁が注目しているのが、先に話したAI、3Dプリンティング、ドローンなどです。こうした分野は、既存の防衛産業がこれまで手を着けていないので、日々新しいベンチャーやスタートアップが登場しています。そうした企業を、外国製品に頼らず「防衛産業で活用できるか」という視点で、コンサルティング会社と協力して全国からピックアップし、プライム企業とのマッチングにつなげています。

機微な先進技術を扱う場合は、物的、人的、サイバー空間でのセキュリティーを高める必要があり、中小企業、ベンチャーやスタートアップではコスト面でハードルが高いケースもあります。防衛装備庁としても最大限支援していくつもりですが、セキュリティー面での整備が課題の一つといえます。

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4)自衛隊の基地周辺の経済活性化を目指している

防衛省としては、自衛隊の基地周辺の地域経済の活性化を重視しており、「地産地消」に努めています。購入する製品は自衛隊員の食事のための食材や日用品、工具や汎用的な部品など、一般的な製品も少なくありません。ですから、防衛産業とは無関係に見える製品であっても、防衛省と取引できる可能性があります。

なるべく発注を小分けにして中小企業でも対応可能にするように努めていますし、規模が小さい取引であれば随意契約も行っています。

防衛装備庁としては中小企業の皆様との取引は、常に門戸を開放していますので、まずは防衛省や防衛装備庁の調達情報および基地周辺の商工会の公示情報などを確認してみてください。不明な点などがあれば、情報提供先に問い合わせていただいても構いません。

5)代替しにくい技術を持ちながら、高齢化などで廃業する取引先が現れている

中小企業の中には、金型加工や特殊な塗料の製造など、「その企業でしかできない」技術を持った企業があります。こうした企業の技術は、高い品質レベルが要求される防衛装備に不可欠です。一方で、採算性や用途が非常に限定的ということもあり、多くの企業が廃業しているのも事実です。その結果、装備品の製造、部品のメンテナンスや交換に支障を来すことになります。

実際に、別の機体から使える部品を取り出して手当てする、「共食い」という事態が生じている戦闘機もあります。代わりの企業を見つけることも困難なため、防衛装備庁としても対策を取り始めました。

具体的には、中小企業の事業承継をスムーズに進めるための支援策です。2022年度の予算で計上したのですが、事業承継先を探す際にコスト面で苦労している場合は、その企業が保有する設計図や製造設備等を国が買い取り、事業承継先に譲渡又は貸与するような取り組みを考えています。その他にも、人材育成が必要な場合は、事業承継先の人材育成にかかる経費を負担することも想定しています。

こうした予算は、今後も拡大していく必要があると考えています。将来的には、金融機関の融資なども活用しながら、事業の継続が円滑にできればとは思いますが、まずは色々な枠組みづくりから取り組むことになります。

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6)煩雑な入札手続きやイメージ悪化を懸念して、参入を敬遠する企業もある

中小企業の参入の門戸は開かれています。防衛省を含む各省庁との入札に参加するためには資格(全省庁統一資格)を、取得する必要があります。

この資格は、企業の規模、経営状況などに応じてA~Dの格が付与され、入札する内容に応じて参加できる格付けが異なります。一定金額以上の大規模な案件の入札参加に必要な資格は、大企業が多く格付けされるA、Bが必要となりますが、中小企業が多く格付けされるC、Dでも参加可能なものは多数あります。全省庁統一資格の取得には提出書類が多く、中小企業には業務負荷が大きいかもしれません。

しかし、防衛省・自衛隊においては、街の文具屋さんのような企業が基地内の事務用品を納入するなどの規模の小さい取引の随意契約を行うケースで、法令上は資格は不要とされているものであっても、発注側としては、やはり客観的に信頼あると思われる企業を契約相手方としたいとの観点から、例えばC,Dの資格を保有することを条件としているような実態もあります。

全省庁統一資格は、防衛省に限らず各省庁で利用できるものですし、更新も3年毎となりますので、まずは、資格の取得にトライしてみるというのが、参入のための最初のステップと言えるかもしれません。

なお、防衛省・自衛隊との直接の契約締結ではなく、防衛省・自衛隊の契約相手方から業務の一部の再委託を受ける場合は、特に資格が必要ではありません。

その他、先進技術を用いたものや、プライム企業との納入などで機微な情報を扱う場合には、契約時に機密情報保持の特約条項を付けることがあります。この場合には、現地への立ち入り審査や、業務に携わる人や企業のリストアップなどが必要なケースもあります。

また、日本企業の中には、防衛装備を取り扱うことで、「武器商人」などのイメージによるレピュテーションリスクや、サイバー攻撃の対象になるリスクを懸念する声も聞かれています。こうした声にも真摯に向き合っていく必要があると考えています。

3 参考:防衛装備調達の動向

1)主要な防衛装備の調達状況:契約件数は一般競争契約、金額では随意契約が最多

防衛装備庁「中央調達の概況 令和3年度版」から、直近の中央調達(自衛隊の任務遂行に必要な主要装備品などで訓令が定めるものの調達)の実績を見てみましょう。

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契約方式で見ると、一般競争契約(入札情報を公示し、不特定多数の応札者の提示価格のうちで最も有利な条件と契約するもの)が4924件で84%を占めています。図表内のFMSとは、米国政府が、外国または国際機関に対し装備品などを有償で提供するものです。政府間での取引となるため、高性能な防衛装備を調達しやすいこと、資金の流れをつかみやすいことや、米軍との運用を効率的に行えるなどのメリットがあります。こうしたことから、FMSの調達額が増加傾向にあるようです。

次に、これらの契約を金額ベースでも見てみましょう。

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契約件数では一般競争契約が84%を占めていましたが、契約金額では27%にとどまっています。一方で、契約件数では3%にすぎないFMSが契約金額では24%を占めています。入札を行わずに契約する随意契約も契約金額では49%を占めています。

2)調達に関連する情報

最後に、防衛省が公表している中小企業向けの調達方針、防衛省および防衛装備庁の調達情報のページを掲載します。

■防衛省「中小企業者の受注機会増大」(中小企業向けの調達方針)■
https://www.mod.go.jp/j/procurement/release/juchukikai/index.html
■防衛省「調達情報」■
https://www.mod.go.jp/j/procurement/
■防衛装備庁「調達・公募情報」■
https://www.mod.go.jp/atla/choutatsu.html

以上(2022年7月)

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画像:aapsky-Adobe Stock

【朝礼】社員の家族を会社のファン第1号に

皆さんはスーパーマーケットで、その店の店員が総菜を買っているシーンを見たことがあるかと思います。そのとき、どのように感じましたか? 「店員が買い物をしているのはおかしい」「レジ待ちの列が延びて迷惑」と思う人もいるかもしれません。確かに店の制服やエプロンを着けたまま買い物をするのはどうかと思いますが、私はそれ以上に、その店に対して好感を抱きます。なぜなら、その店の総菜は、その店のことを一番よく知っている店員やその家族も食べたいと思うほど、信頼できる商品なのだと思えるからです。

私がこのような話をした理由は、皆さんのご家族に、当社のファンになってもらいたいと思っているからです。スーパーマーケットに限らず、これからの会社組織が今後も生き残っていくには、地域社会の方々など多くのステークホルダーに、「この会社があってよかった」「この会社に長く存続してほしい」と思われるような存在になる必要があります。当社もそのような存在になることを目指して、まずは会社の一番身近な存在である、皆さんのご家族にファンになっていただくことから取り組みたいと思うのです。

そこで皆さんにお願いしたいのは、当社に関する「ちょっと良い話」を、ぜひ皆さんのご家族に積極的に話してもらいたい、ということです。皆さんの口から、「こんな素晴らしい職場で働いている」ということを、ご家族に感じてもらうように努めてみてください。

そのためには、まず皆さん一人ひとりが、ご家族に話せるだけの、当社のいろいろな「ちょっと良い話」を持っていなければなりません。一番望ましいのは、「当社の商品・サービスが社会にどのように貢献しているのか」ですが、それに限らず、ささいなことでも結構です。

例えば、会社のイベントや社外活動の話でもいいですし、「会社のトイレが清潔」「会社にこんな活動ができるスペースがある」といった設備に関する話でも構いません。また、「こんな趣味を持った同僚がいる」「こんな素晴らしい同僚がいる」などの同僚自慢もいいでしょう。「きょうの職場の会話で、こんな面白い話があった」という報告もよいと思います。

ご家族に当社の「ちょっと良い話」をするためには、設備や社内の雰囲気なども含めて、職場環境全般にわたって改善していく必要があります。それから、業務を行う際に、「これは、家族に誇れることなのか」「これで、家族がこの会社のファンになってもらえるのか」と、家族の目を常に意識するようにしてください。そうすれば、いい加減な業務はできなくなるはずです。

皆さんのご家族に当社のファン第1号になっていただければ、口コミやSNSなどを通じて、その輪は地域社会の方々へと広がっていき、多くのファンが生まれていくはずです。そのための第一歩として、まずはご家族への宣伝活動を頑張ってみてください。

以上(2022年7月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】愚痴の後にはこの一言

皆さんは、愚痴を言ったことがありますか。広辞苑によると、愚痴には「仏教用語で理非の区別のつかないおろかさ」と、「言っても仕方のないことを言って嘆くこと」という意味があります。私たちが普段、口から出る愚痴はもちろん後者です。

「愚痴なんか一度も言ったことはありません」という人は、恐らくいないでしょう。私も時々、愚痴を言います。

どれほど親しい人でも、天職と思えるような大好きな仕事であっても、何一つ不満がないということはないでしょう。そのため、意識するとか、しないとかにかかわらず、つい愚痴の一つも出てしまうのです。むしろ、愚痴を言ったことはないというほうが不自然かもしれません。ですから、私は決して愚痴を言ってはいけないというつもりはありません。

ただし、愚痴を言っているときや愚痴を言いたくなったときに思い出してほしいことがあります。それは、人や仕事など愚痴の対象となっているものの多くは、自分にとって身近に存在しているものであり、大切にしなければならないものであるということです。

愚痴は、自分と異なる考え方や行動などを、不本意ながらも受け入れなければならない、もっと簡単にいうと、自分の思い通りにならないことに対する不満の表れです。

自分の愚痴を思い出してみてください。上司や同僚に関するものであれば、「私がやりたいように仕事をさせてくれない」「人の意見を何一つ聞き入れず、勝手に仕事を進めてしまう」などといったものではありませんか。こうした自分の思い通りにならない場面というのは、相手と接する機会が多い、すなわち身近に存在するものほど多くなりますから、必然的に身近な人やものへの愚痴も多くなります。

逆に、道ですれ違っただけの見ず知らずの人に対して愚痴を言うことは、ほとんどないはずです。それは、その人と接する機会がほとんどないから、愚痴を言う原因がないためです。

ですから、自分の身近にあるもの、本来は大切にしなければならないものほど、愚痴の対象となりやすいのです。では、もっとも愚痴の対象になる人は誰かを考えてみましょう。それは自分自身です。私は自分に対する愚痴が多く、「あのとき、すぐにやっていれば」「また同じ失敗をした。駄目だな~」「なんでこんなことが分からなかったのだろう」など、そのほとんどが後悔です。 

ビジネスでも、日常生活でも、愚痴をこぼさなければ、ストレスがたまる一方です。しかし、愚痴ばかり言っているようではいけません。愚痴を聞いている相手もいやになります。

愚痴を言うときは、愚痴の対象となっている人やものは、常に自分の身近にあり、自分にとって大切なものであるということを思い出してください。

そして、愚痴の後には、次のいずれかの一言を口に出して言いましょう。気持ちが前向きになります。

「よし、気持ちを切り替えよう」

「次はあの人も分かってくれるはすだ」

「分かってもらえるように説明しよう」

「次は必ずうまくいく」

        

以上(2022年7月)

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画像:Mariko Mitsuda

【人事はつらいよ】採用面接の雑談が違法なの? 聞いてはいけない“NG質問”

書いてあること

  • 主な読者:採用面接に関するトラブルを防ぎたい経営者
  • 課題:求職者の緊張をほぐすための雑談が法律違反になり、SNSなどで炎上してしまう
  • 解決策:面接官も求職者から試されていることを理解し、11項目の“NG質問”を押さえる

会社のSNSが炎上している!! こんな報告がA社の社長に入ってきました。どうやら数日前に面接した相手がSNSに次のような投稿をしたようです。

「A社は採用面接で、出身地とか家族構成とか、採用に関係ないことをやたらと聞いてくるので気持ち悪い。というか、これって法律違反じゃない?」

情報は拡散し、「ひどい会社だ」という否定的な意見があれば、「それくらいいいでしょ」という肯定的な意見もあります。とにかく、A社にとって好ましくない事態なのですが、社長は釈然としません。

「確かに聞いたよ。『生まれはどちらですか?』『ご両親は何の仕事をしていますか?』ってね。でも、これは相手の緊張をほぐすための雑談だよ。なぜ、こんなにたたかれないといけないの?」

1 緊張をほぐす雑談が“就職差別扱い”になる不思議

日ごろから人と話す機会が多い社長は「コミュ力」が高いです。だからこそ、採用面接の面接官になったら、相手の緊張をほぐすための雑談もします。「お互いにリラックスして話しましょう」という優しさに他なりません。

ところが、この優しさが法律違反につながります。職業安定法とその関係法令では、

求職者に聞いてはいけない “NG質問”

が定められていて、その中に「本籍・出生地」「家族」「尊敬する人物」「購読新聞・雑誌・愛読書」などが含まれているのです。これらの質問は「就職差別につながる恐れがある」ということなのですが、「なぜ、愛読書を聞いたら就職差別になるのか?」という疑問は、一旦置いておきましょう。ルールはルール。まずは“NG質問”を確認してみたいと思います。

2 聞いてはいけない11項目の“NG質問”

厚生労働省は、就職差別につながる恐れがある情報として、

  • 本人に責任のない事項
  • 本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)

の2つを挙げ、これらに該当する質問の例を11項目紹介しています。

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採用面接でこれらの質問をしたらアウトです。身元確認の観点から、本籍・出生地、家族などは聞いておきたいという人もいるでしょうが、求職者の適性や能力には直接関係がないので、聞いてはいけません(質問する代わりに住民票を提出させるなどの対応も、採用段階では不可)。

ただ、これらの内容でも、相手が自ら進んで話す分には問題ないそうです。「私は◯◯県の出身なので寒さに強く……」「最近読んだ◯◯という本に感銘を受け……」などと話す求職者は結構いますよね。

また、“NG質問”をしても罰則はありませんが、

ハローワークから改善命令が出される場合があり、これに従わないと、厚生労働省ウェブサイトで会社名が公表されたり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されたりすることがあるので要注意

です。ちなみに、2020年度は求職者からハローワークに「本人の適性・能力以外の事項を把握された」との苦情が797件寄せられており、うち46.9%は「家族に関すること」となっています。

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3 逆に採用面接で聞いてもよい“OK質問”は?

1)求職者の適性・能力に関する質問

“NG質問”はできませんが、

例外として、求職者の適性・能力に関する質問はOK

です。例えば、

  • リモートワークが可能かを確認するため、住宅状況について質問する
  • 業界への習熟度を確認するため、業界誌の例を幾つか挙げ、読んでいるかを質問する

といったケースです。ただし、求職者とのトラブルを防ぐため、

「なぜ質問するのか」を求職者に説明し、了承を得た上で答えてもらうのが無難

です。

2)求職者の思想・信条に関係ない質問

求職者の適性・能力に関する質問の他に、

求職者の思想・信条に関係ない質問もOK

です。例えば、次のような質問です。

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このような質問は単なる雑談と考えられていますが、念のため、

「これは合否には関係がないのですが……」などと断ってから質問するのが無難

です。

やれやれ。少し前なら当然だった質問も、時代の流れの中で変わってきたのでしょうか。それとも、採用の現場とルールメイクの感覚が大きくズレているのでしょうか。よかれと思ったことが裏目に出る。そんな世知辛い世の中ですが、ルールは守らなければなりません。

このシリーズでは、思わず頭を抱えたくなったり、噴き出したりしてしまうような「世知辛い人事労務のルール」を紹介していきます。次回のテーマは、「社員に定時で帰ってほしいだけなのにジタハラ(時短ハラスメント)?」です。

以上(2022年7月)
(監修 弁護士 田島直明)

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画像:metamorworks-shutterstock

【営業最強フレーズ集】ヒアリング編3 「これ以上は検討も難しい、という金額はどのくらいですか?」

書いてあること

  • 主な読者:今よりレベルアップしたい営業担当者と、営業担当者を指導する営業管理職
  • 課題:現場ですぐに使えて顧客と信頼関係を築けるトークスクリプト的なものが欲しい
  • 解決策:シーンごとに「最強フレーズ」を、少なくとも1つは持っておく。あとは応用

これ以上は検討も難しい、という金額はどのくらいですか?

「予算」のことは聞きにくい?

営業担当者なら、こんな経験があると思います。オンライン終了後、会談内容を上司に報告。すると、上司から「で、先方の予算は?」と質問されました。相手に予算を確認していなかったので、冷や汗をかきながら上司に「確認していません」と答えるしかなく……。

上司からは「え、なんで予算を確認しないの? それが今日一番知りたいことでしょ」と指摘されるも、「そうは言ってもお金のことは聞きづらいんだよな、どうすればいいんだろう」と思ってしまいます。

営業では、予算などお金の話はとても大事です。購入の決定打になることもあるので、ある意味、一番肝心と言ってもいいでしょう。「お金の話ができない営業(担当者)は営業じゃない」と言う人もいるくらいです。にもかかわらず、お金の話をヒアリングできない営業担当者は少なくありません。「聞いてもはっきり答えてくれないのではないか」と思って二の足を踏むからです。

はっきり答えてくれない相手には……

「できるだけ確度の高い金額を提示して成約に結び付けたい。だから予算が知りたい」と考えるのが営業担当者です。

それに対して相手は、「具体的に予算が決まっているわけじゃない。まず、どの程度なのか、提示された金額を見てから考えたい」と思うものです。そのため、はっきりと答えてくれなかったりするのです。

そんなとき、ぜひ試したいのが冒頭で紹介した営業最強フレーズです。

この質問には大きく2つの意味があります。1つ目は、相手の予算感を確認するためです。多くの場合、相手は、「これ以上言ったら無理」という金額よりも少し下を答えるものです。そのため、相手の答えで、ある程度予算感がつかめます。

どうやったら相手は答えやすいのか

2つ目は、相手が答えやすくするためです。商談の初めの段階では、予算は決まっておらず、相手も答えようがありません。そこで「これ以上は」という“絞り込む”言葉を添えてみるのです。

「先日購入したとおっしゃっていた電気自動車の値段より下ですか?」など相手と自分との間で共通認識のある金額や、一般的に金額の相場が浸透しているものを例にしてもよいでしょう。

次の質問にもつなげやすくなる

予算を尋ねる質問は、相手の答え次第で次の質問もしやすくなります。例えば「1000万円くらい」と相手が答えたら、その金額はどこから出てきたのかを聞きましょう。例えば、同業他社から同じような提案を受けていて、その金額なのかもしれません。

繰り返しになりますが、お金のことは、営業担当者にとって最重要事項の1つです。相手が「答えやすいように」という点を考慮して質問を工夫してみましょう。ただし、相手との関係性や話の流れによっては、回りくどく質問するより、「今回、予算はどのくらいですか?」と率直に尋ねるほうがいい場合もあります。

以上(2022年7月)

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画像:Mariko Mitsuda