一時停止の励行(2022/03号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

皆さんは「一時停止」を正しく行えていますか?

一時停止の理解が曖昧なまま運転をしていると、一時不停止の違反となるばかりでなく、重大な交通事故を招いてしまう可能性があり、大変危険です。

今回は、交通安全の基本ルールである一時停止の正しい知識と方法について再確認しておきましょう。

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1.一時停止に関する交通事故と交通違反

警察庁の統計によると、交通事故の半数以上が交差点とその付近で発生しており、交差点における事故では、その約6割が信号のない交差点で発生しています。

信号のない交差点は、「止まれ」の道路標識が多く設置されている場所です。つまり、信号のない交差点は事故が多く危険なため、一時停止が必要な場所ということになります。

また事故類型別交通事故の割合(円グラフ)では、「出会い頭」が26%、「右左折時」が13%を占めています。合わせると約4割になりますが、そのうち多くの事故は、しっかり一時停止して十分な安全確認を行っていれば防げたかもしれません。

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道路交通法違反の取締り状況(棒グラフ)においても、一時不停止の違反が約160万件と突出しています。

中には、「うっかり一時停止を疎かにしてしまった」、「止まったつもりが実際はタイヤが停止していなかった」ということで違反となったケースも少なくないと思われます。

一時不停止の違反は重大事故につながる可能性が高い危険な行為であるということを決して忘れず、運転する際は一時停止のルールをきちんと守らなければなりません。

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2.一時停止の正しい知識と方法

(1)一時停止とは

道路交通法には、交通整理が行われていない交差点やその付近では、道路標識等(道路標識又は道路標示)の指定に従い、一時停止しなければならないと定められています。

また横断歩道等(横断歩道又は自転車横断帯)に横断しようとする歩行者等がいる場合も、横断歩道等の直前で一時停止を行い、歩行者等の通行を妨げないようにしなければならないと定められています。

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(2)一時停止の正しい方法

指定された位置に適切な時間、車を一時停止させ、周囲の安全を確認した後、徐行で前進します。

※タイヤを完全に停止させなければ一時停止となりません。

<停止すべき位置>

停止線がある場合はその直前、車の先端が停止線を越えない位置です。停止線がない場合は、交差点の直前です。

※停止線を少しでも越えると他車の進路妨害となったり、手前すぎてしまうと安全確認が十分に行えません。

<適切な停止時間>

明確なルールはありませんが、運転教習所などでは3秒間停止するように指導しています。
これは周囲の交通状況の安全確認をしっかり行うために要する目安の時間です。

【推奨:多段階一時停止】
一時停止と安全確認を複数回に分けて行う方法です。見通しの悪い交差点や施設から通りへ出るときに、より効果的な安全確認ができます。

①停止線の直前で停止・安全確認
②相手に自車を見せられる位置で停止・安全確認
③自車から他の車や歩行者等が見える位置で停止・安全確認

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3.一時停止の励行

◆交差点にさしかかる際は、「止まれ」の道路標識や停止線を見落として一時不停止の違反とならないよう、道路標識等の有無をしっかり確認するようにしましょう。

◆一時停止は、止まること自体が目的ではありません。車を完全に停止させ、安全確認を確実に行い、交通事故を防ぐことが目的です。正しい一時停止を励行しましょう。

以上(2022年3月)

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画像:amanaimages

「シフト制」労働者に対する適切な労務管理

「シフト制」とは、労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間(1週間、1か月など)ごとに作成される勤務シフトなどで、初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような勤務形態を指します。

このような形態には、その時々の事情に応じて柔軟に労働日・労働時間を設定できるという点で契約当事者双方にメリットがあり得る一方、使用者の都合により、労働日がほとんど設定されなかった、労働者の希望を超える労働日数が設定されたなど、労働紛争が発生する事例も確認されています。

近時では、新型コロナウイルス感染症の影響で時短営業をやむなくされ、それによるシフト削減で、収入の減少した労働者の生活困窮の実態が社会的に問題視されています。本稿では、厚生労働省が今年1月に公開した「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」を概説し、併せてシフト削減の当否が争われた訴訟の一例をご紹介します。

1 労働条件の明示

労働契約の締結時には、労働者に対して、契約期間や就業場所などの一定事項に関する労働条件の明示が義務付けられています(労働基準法第15条第1項、労働基準法施行規則第5条)。

中でもシフト制労働者に対する労働契約では、以下の点について留意が必要とされています。

【始業・終業の時刻】

労働契約の締結時点で、すでに始業と終業の時刻が確定している日については、労働条件通知書などに単に「シフトによる」と記載するだけでは不足であり、労働日ごとの始業・終業時刻を明記するか、原則的な始業・終業時刻を記載した上で、労働契約の締結と同時に定める一定期間分のシフト表等を併せて労働者に交付する必要があります

【休日】

具体的な曜日等が確定していない場合でも、休日の設定にかかる基本的な考え方などを明記する必要があります

2 シフト制労働契約で定めることが考えられる事項

前項の明示事項に加えて、トラブル防止の観点から、シフトの作成・変更・設定などについても、労使で話し合って次のようなルールを定めておくとよいでしょう。

シフト制労働契約で定めることが考えられる事項

3 勤務実績の評価

シフトを大幅に削減したことの当否が争われた地裁判例があります。

本件は介護関連事業を営む会社Yを被告として、シフト制労働者の原告Xが、雇用契約書や労働条件通知書の「週5日程度」としている出勤日の記載から、下回った日数に相当する賃金の支払いを請求したものです。裁判所は、週4日を所定労働日数とする合意が成立していたとして、原告Xの請求の一部が認められました。

その中で裁判所は「本件雇用契約における所定労働日数に係る合意は、上記各契約書の記載のみにとらわれることなく、本件請求期間より前の控訴人の勤務実態等の事情も踏まえて、契約当事者の意思を合理的に解釈して認定するのが相当である」と判示しています。勤務実態を契約当事者の合意として所定労働日数が認定された点については、前述の留意事項と併せて、注意が必要といえそうです。

4 さいごに

労働時間などの明示の曖昧さは、運用に柔軟性を与える一方、使用者の恣意的な運用が行われれば、前述の通り、賃金の未払い訴訟にも発展する可能性を秘めています。曖昧な表現は避け、労使双方が可能な限り具体的な労働時間や労働日をきめ細かく確認し合うことを念頭に置きながら、シフト制の適正な運用に努めましょう。

※本内容は2022年2月14日時点での内容です

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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画像:Towfiqu barbhuiya on Unsplash

【朝礼】仕事を今より楽しくする3つの秘訣

けさは、もうすぐ新年度を迎えるにあたって、皆さんに改めて伝えたいことがあります。それは、

毎日多くの時間を費やすのだから、「仕事」を、もっと楽しめるようにしよう

ということです。

私は、日々の生活の中で仕事を最も優先してほしいと言っているわけではありませんし、「仕事におけるやりがいを見つけるべきだ」と無理に押し付けるつもりもありません。ただ、皆さんが毎日多くの時間を仕事に費やしていることは事実ですので、どうせなら、イヤイヤ取り組むより、楽しく取り組んでほしいと思うのです。もちろん、その大前提として、私は皆さんが楽しく仕事ができる会社にするよう努めることを約束します。

その上で、どうすれば「楽しい」と思えるようになるでしょうか。「楽しいと思える」を、「やっていてよかったと思える」「もっと頑張ろうと思える」「夢中になれる」「前向きに取り組める」などに置き換えると分かりやすいでしょう。これも人それぞれですが、私は、仕事が楽しいと感じる秘訣は、大きく次の3つに分けられるのではないかと考えています。

1つ目は「結果を出したとき」です。これは分かりやすいでしょう。達成感が得られるからです。営業であれば成約を取ってくる、目標の売り上げを達成するなどがあります。営業以外でも、仕事を効率化するなど「前年度よりこれができた」という結果を出せれば、達成感が味わえるでしょう。

2つ目は「ありがとうと言ってもらえたとき」です。これは理屈抜きにうれしく、「もっと頑張ろう」と思える原動力になります。一番うれしいのは、自分たちの商品やサービスを使ってくれているクライアントからの「ありがとう」でしょう。その他、協力ベンダーや業務委託先、上司や先輩、部下や後輩など、関わっている人たちから「ありがとう」と言ってもらえるのは励みになります。私は社会人になって最初に入った会社で、社長に「早く直属の上司から『ありがとう。君がいてくれてよかった』と言ってもらえるようになりましょう。まずはそれが第一歩です」と言われたことがいまだに忘れられません。働き方やコミュニケーションの取り方が変わっても、クライアントや一緒に仕事をする社内外の仲間からの感謝は、何物にも代え難い「楽しい」の源泉ではないでしょうか。

そして、3つ目に挙げたいのは、「仲間と苦楽を分かち合えたとき」です。仕事なので、笑って前向きに取り組める日だけではありません。つらい日、緊張感でピリピリする日も多々あります。それでも、社内外の仲間と話し、共有し、励まし合うことで前に進めることも多い。私はこれまでの経験から、そう思っています。

「結果を出す」「ありがとうと言ってもらえる」「仲間と苦楽を分かち合う」。新年度、この3つを意識してみてください。皆さんの仕事を、今よりも楽しいものにしていきましょう!

以上(2022年3月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】“お客様に信頼される名人”になれ

ビジネスでは信頼関係が大切です。皆さんは普段、お客様と接していて、「相手が自分の会社や自分のことを認めてくれている、信頼してくれている」と感じることはありますか。

お客様との関係性にもよりますが、私がそう思うのは、お客様が困っているとても難しいことを相談されたり、打ち明けられたりしたときです。「御社ならどうにかできるのではないか」「助けてほしい」といったように頼ってもらえると、お客様からの信頼と期待を感じます。とてもありがたいことです。

また、お客様と一緒に企画しているサービスなどを他の会社の人に説明する際、説明役を当社側に任せてくれたときにも、とても信頼されていると感じます。うれしく、誇らしく、そしてありがたいという気持ちでいっぱいになります。

私は、皆さんにも、こうした気持ちをたくさん味わってほしいと思っています。お客様からの信頼を感じることは、何物にも替え難い大きな喜びだからです。それは、「もっと頑張ろう」という、今後の仕事への意欲にもつながります。

ただし、こうしたお客様との信頼関係をつくるのは、簡単なことではありません。日ごろのやり取り一つ、アウトプット一つを、コツコツと積み重ねていくしかないのです。その際、ポイントは「プラスアルファ」です。お客様の要望通りに応えるだけでは足りません。その一歩先、一つ上を、常に心掛けることが大切です。

また、場合によって、お客様に意見することも必要です。お客様が求めていることが、本当にお客様のためになるのか。そうではない場合は、しっかりと意見し、お客様のためになる代替案を提示しなければなりません。こうしてお客様のことを一生懸命に考え、行動することが、信頼につながっていくのです。

お客様との信頼関係について考えるとき、私はいつも、2人の落語家を思い出します。

1人は、桂歌丸さんです。彼は、ある師匠から、よく「迎えの拍手なんかなくたっていい、下りるときの拍手が肝心だ」と言われたといいます。観客の前に出て一生懸命に話し、「この落語家は面白い」と認められ、信頼されて初めて、拍手をもらえるということではないでしょうか。

もう1人は、5代目古今亭志ん生(ここんていしんしょう)さんです。落語の名人といわれた志ん生さんは、酔ったまま高座に上がり、お辞儀をした後、寝てしまったことがあるそうです。観客は怒るどころか、「寝かせといてやれ」と、寝ている志ん生さんを笑って眺めていたといいます。受け止め方は人それぞれですが、「志ん生は面白い」と皆が認め、信頼していたからこその、「寝かせといてやれ」ではなかったかと私は考えます。

2人の落語家が、常に観客のことを考え、努力と工夫の人であったのは言うまでもありません。私も皆さんも、2人のように、“お客様に信頼される名人”でありたいと、私は思うのです。

以上(2022年3月)

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画像:Mariko Mitsuda

【規程・文例集】「副業取扱規程」のひな型

書いてあること

  • 主な読者:社員の副業解禁に当たり「副業取扱規程」のひな型が欲しい経営者
  • 課題:具体的に何を定めればよいかが分からない
  • 解決策:副業を許可する基準、労働時間の取り扱いについて明確に定める

1 副業を前向きに検討するからこそルールが必要

働き方改革の影響もあり、社員の副業を検討する会社が増えています。とはいえ、無制限に認めると、健康や情報漏洩の問題があります。そのため、「許可制」にして詳細を就業規則(副業取扱規程など)で定めるのが通常です。具体的には、副業を禁止・制限するケースとして、

  • 長時間労働や深夜労働などによって労務提供に支障がある場合
  • 同業他社など、自社の利益を害する恐れがある業種・業務の場合
  • 副業に関する業務上の指示に従わない場合

などを定め、副業を希望する社員に対しては「副業許可申請書」などの提出を義務付けます。

また、労働時間の取り扱いについても注意が必要です。厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」)では、副業時の労働時間管理について、

自社と副業先がそれぞれ時間外労働の上限を設定し、社員がその範囲内で働く場合、互いの実労働時間を把握しなくてもよい

とされています。いわゆる「管理モデル」を使った労働時間管理ですが、これを実行するには、副業開始前に、自社の時間外労働の上限などを社員に通知しておく必要があります。こちらについては、「副業時における労働時間の取り扱いに関する通知書」などの書面を作成するとよいでしょう。

次章では専門家が監修した、副業取扱規程のひな型を紹介します。前述した「副業許可申請書」「副業時における労働時間の取り扱いに関する通知書」のひな型も掲載していますので、併せてご確認ください。

なお、厚生労働省のガイドラインについては、次のURLから確認できます。

■厚生労働省「副業・兼業」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html

2 副業取扱規程のひな型

以降で紹介するひな型は、一般的な事項をまとめたものであり、個々の企業によって定めるべき内容が異なってきます。実際にこうした規程を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

【副業取扱規程のひな型】

第1条(目的)
本規程は、従業員が就業時間外において、他の会社その他の団体(以下「副業先」)の業務に従事する場合に必要な事項について定める。なお、本規程に定めのない事項は、労働基準法その他の関係法令によるものとする。

第2条(対象範囲)
本規程の適用を受ける従業員は、就業規則第◯条に定める、会社と期間の定めがない労働契約を交わした従業員とする。ただし、入社3年未満の従業員は対象外とする。

第3条(副業の定義)
本規程において「副業」とは、次の各号に掲げる場合をいう。

  • 副業先に雇用される場合
  • 副業先の役員に就任する場合
  • 請負契約などに基づき、副業先の業務に従事する場合
  • 自ら事業を営む場合

第4条(副業の許可)
1)従業員は、第3条各号に掲げる副業を行おうとするときは、その開始を希望する日の2週間前までに、次の内容について記載した「副業許可申請書」を会社に提出し、副業の許可を受けなければならない。

  • 副業先の名称、業種、所在地、電話番号、責任者(担当者)
  • 業務内容、雇用形態、期間、所定の就業日数、所定の就業時間
  • 副業の申請理由
  • その他報告事項

2)副業に従事できる期間は、1年間とする。1年を超えて副業を希望する場合は、許可の失効する日の2週間前までに、再度「副業許可申請書」を会社に提出しなければならない。
3)従業員は、第1項各号のいずれかの内容について変更があった場合は、速やかに「副業許可申請書」を会社に提出しなければならない。

第5条(副業の禁止または制限)
1)会社は、第4条の許可を受けようとする従業員が、次の各号のいずれかに該当する場合、当該従業員の副業を禁止または制限することができる。

  • 長時間労働や深夜労働などによって健康を害する恐れがある場合
  • 現状、健康を害している疑いがある場合
  • 会社の繁忙期など、業務に支障を来す恐れがある場合
  • 企業秘密が漏洩する恐れがある場合
  • 過去に、副業によって業務に支障を来したことがある場合
  • 同業他社など、会社の利益を害する恐れがある業種・業務の場合
  • 風俗業など、会社の社会的信用を損なう恐れがある業種・業務の場合
  • 本規程および副業に関する業務上の指示に従わない場合
  • その他、会社が必要と認めた場合

2)会社は、第4条の許可を受けた従業員が、副業の開始後に前項各号のいずれかに該当するようになった場合、当該従業員の副業を禁止または制限することができる。

第6条(副業時における労働時間の取り扱い)
1)会社は、第4条の許可を受けた従業員に対し、次の事項について記載した「副業時における労働時間の取り扱いに関する通知書」を交付しなければならない。

  • 会社における1カ月当たりの時間外・休日労働の上限に関する事項
  • 労働基準法第38条第1項の規定に基づき、当該従業員について副業先が遵守すべき事項
  • 会社における割増賃金の支払いに関する事項
  • 第1号の上限に変更がある場合の通知に関する事項
  • 第1号から第4号までの内容の有効期限に関する事項

2)従業員は、「副業時における労働時間の取り扱いに関する通知書」の交付を受けた場合、前項各号の内容について遵守するとともに、その内容を副業先に伝達しなければならない。
3)従業員が第4条第2項、第3項により再度「副業許可申請書」を会社に提出する場合、会社はその都度「副業時における労働時間の取り扱いに関する通知書」を交付しなければならない。

第7条(副業に関する事故などについての報告)
1)従業員は、会社と副業先との間の移動中および副業先での業務中に事故などが発生した場合、その事故などに起因する負傷・疾病の程度、治療や休業が必要な場合はその内容について、速やかに会社に報告しなければならない。
2)副業に関する事故などが労働災害である場合、当該事故などに関する労災保険の適用については、労働者災害補償保険法その他の関係法令によるものとする。

第8条(服務規定)
従業員は、副業を行う場合において、次の内容を遵守しなければならない。

  • 常に健康を維持できるよう、体の自己管理に気を配ること
  • 業務上知り得た情報について、外部に漏洩しないこと
  • 会社の資材を副業に使用しないこと
  • 会社から副業について必要な情報の提出を求められた場合は、速やかにこれに応じること
  • その他本規程および副業に関する業務上の指示を遵守すること

第9条(懲戒処分)
次に違反した従業員は、就業規則第◯条に定める懲戒処分に処する。

  • 第4条の許可を受けることなく、副業を行った場合
  • 第4条の許可を受けるに当たり、副業の内容を故意に偽った場合
  • 第5条第1項各号のいずれかに該当し、会社に損害を与えた場合
  • 第6条の報告を行うに当たり、副業の内容を故意に偽った場合
  • 第8条各号のいずれかに違反し、会社に損害を与えた場合
  • その他故意または重大な過失により、会社に損害を与えた場合

第10条(改廃)
本規程の改廃は、取締役会の承認による。

■副業許可申請書■

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■副業時における労働時間の取り扱いに関する通知書■

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以上(2022年3月)
(監修 弁護士 田島直明)

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画像:ESB Professional-shutterstock

素晴らしいパートナーとなるベンチャー企業と出会うための4つの方法

書いてあること

  • 主な読者:ベンチャーやスタートアップとの連携を検討している経営者
  • 課題:良いベンチャーなどと出会うための方法が分からない
  • 解決策:金融機関が主催するビジネスマッチングなどを利用する

1 ベンチャーなどとの連携で可能性を広げる

連日のように大企業とベンチャーやスタートアップとの連携が発表されます。これには、

  • 大企業:スピード感をもってとがった技術を取り入れたい
  • ベンチャーなど:資金提供を受ける、営業協力をしてもらう

という狙いがありますが、なかなかうまくいきません。大企業とベンチャーなどとでは、組織の力学や仕事の進め方が全く違うので、そもそも難しい面が多いのです。

一方、中小企業はベンチャーなどとの連携に向いている面があります。例えば、組織の規模が似ているのでリソースの割り振りには納得感がありますし、経営者がすぐに意思決定するところも反りが合います。ただ、中小企業には既存の収益事業があり、その取り扱いが悩ましいところです。よほど切羽詰まった状況でなければ、その事業を守らなければなりません。ベンチャーなどと連携する場合も、ここにメスは入れにくいかもしれません。

そこで、既存の収益事業をどのように扱うのか、つまり、

  • 収益の落ち込みを覚悟し、既存の収益事業を抜本的に変える
  • 既存の収益事業は基本的にそのままだが、多少の変化は受け入れる
  • 既存の収益事業は聖域とする

といったことを事前に合意しておかなければなりません。

一方、ベンチャーなどから見た場合、例えば、中小企業が特定の業界で高いシェアを持っていれば、そのネットワークや知名度は魅力的です。

あとは、ベンチャーなどとの出会い方です。その気があればいくらでも出会えますが、さまざまな意味で“良い相手”と出会いたいものです。そのための具体的な方法に、ビジネスマッチングなどがあるので、概要を紹介します。

2 出会いにつながる4つの方法

1)ビジネスマッチングに参加する

ビジネスマッチングとは、企業同士を結び付ける場やサービスです。仲介役のコーディネーターが、自社が持つ課題を理解し、その課題解決のアイデアや技術を持つ企業を紹介してくれます。

ビジネスマッチングは金融機関が積極的に行っています。取引先の企業を引き合わるのが基本ですが、他の金融機関と連携して広域のマッチングを実現しています。また、企業の「素のニーズ」を把握するために、ビジネス情報の閲覧履歴などを参考にするなどしています。

2)コンソーシアムに参加する

コンソーシアムとは、共同事業体のことです。特定の業界、商品、技術などをテーマにして、共同で課題を解決することを目指しています。

例えば、冷凍品の普及によってフードロス削減を目指す「フローズンエコノミーラボ」などのように、ベンチャーなどが自ら幹事企業となって、大企業や中小企業を巻き込んでいる場合もあります。

3)ピッチに参加する

ピッチとは、自社のビジネスプランなどを公表する場のことです。単発のピッチもありますが、月に1回など定期的に開催されているものもあります。

例えば、オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)事務局「NEDOピッチ」などのように、「アグリテック」などのテーマが毎回設定され、それに関連する複数のベンチャーが登壇し、自社の商品や技術などをプレゼンするというピッチが多くなっています。中小企業は関心のあるベンチャーやスタートアップにアプローチし、連携を進める流れです。

4)ベンチャーなどに特化したデータベースを利用する

ベンチャーなどに特化したデータベースとは、企業名、事業内容、従業員規模、ニュースリリースなどの企業情報を掲載したウェブサービスです。

例えば、フォースタートアップス「STARTUP DB」などのように、企業名や業界別にベンチャーなどの情報を検索することもでき、概要だけであれば無料で閲覧できます。利用料を支払えば、マッチング機能や、詳細な企業情報のダウンロードなどが利用できる場合もあります。

ベンチャーなどの企業情報が網羅的に掲載されていて、関心のある業界にどのようなベンチャーなどがあるのかを調べる際に役立ちます。

以上(2022年2月)

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画像:alfa27-Adobe Stock

進化するオンライン融資サービス。りそな銀行オンライン融資×アルトアの会計データ与信モデルで、経営者の可能性はどう広がるのか?/アルトアへのインタビュー

オンライン融資サービスが進化しています。
りそな銀行のオンライン完結型ビジネスローン「Speed on!(スピードオン)」は、2021年11月より、アルトアの「会計データ与信モデル」との連携をスタートしました。
これにより、りそな銀行に口座がなくても弥生会計ユーザーであればお申し込みいただけるなど、「Speed on!」がバージョンアップしました(借り入れには、別途、審査が行われます)。

この2社の連携で、「オンライン融資がどのように変わるのか」「会計データ与信モデルの開発秘話」「経営者にとってのオンライン融資の魅力と可能性」などをインタビューしました。ぜひオンライン融資が実現する世界をご活用ください(インタビューは2021年12月27日時点)。



※話し手:アルトア(以下「アルトア」)

※話し手:りそな銀行(以下「りそな銀行」)

※聞き手:りそなCollaborare事務局(以下「事務局」)

1 「会計データ与信モデル」を分かりやすく説明すると?

事務局

2021年11月から、りそな銀行ビジネスローン「Speed on!」とアルトアの会計データの連携がスタートしています。
まず、りそなCollaborare読者に向けて、この「会計データ与信モデル」の概要や特徴についてご紹介をお願いいたします。

アルトア

話を分かりやすくするために、従来の融資と比較してお伝えします。

従来、金融機関が融資の審査をする場合、決算書を元に、お客さまの事業評価を行います。
アルトアの開発した「会計データ与信モデル」では、決算書ではなく、会計データをAIが分析して、お客さまの日々の事業活動を360度、連続的な動きとして評価していくというのが特徴です。

決算書は、お客さまの事業活動を1年単位でサマライズしたものだと言えます。一方、会計データは、日々お客さま自身が作成される、あるいは税理士の先生が記帳代行されるデータで、日々のお客さまの事業活動が、「どういった取引先なのか」「いくらの売上が、いつ発生したのか」などの形で記録されます。

決算書と会計データのそれぞれの特徴を「評価」という面で見ると、決算書では、決算書が締まった後の12カ月というのは評価として変わりませんが、会計データでは常にお客さまの事業の動きが反映されるので、基本的には毎月評価が更新されます。

つまり、「会計データ与信モデル」では、足元のお客さまの事業実態が、ある程度の即時性を持って反映されますので、業況が良くなったという場合にはダイレクトに評価に結び付くことになります。

事務局

ご説明ありがとうございます。

少し意地悪な質問かもしれませんが、経営者の中には、「むしろ決算書で評価してもらいたい」「足元の状況は見られたくない」「会計データでは評価されたくない」という経営者もいるのではないでしょうか?

アルトア

ご指摘の通り、会計データをご開示いただくというのは、お客さまのビジネスの実情をすべてさらけ出していただくようなものです。「会計データ与信モデル」を開発した当初は、お客さまから抵抗感を持たれるのではないかと、我々としても気になっていました。

しかし、結果的にはそうではありませんでした。
アルトアが「会計データ与信モデル」を使ってオンライン融資サービスを提供したところ、2017年の12月から約3年間で1300件のご成約をいただくことが出来ました。成約いただいたお客さまにおいては、抵抗感よりもむしろ時間がかからない、時間を選ばない点で、満足度が高いというお声を多くいただいておりました。

確かに、オンライン融資を利用されていないお客さまからすると、(会計データを明らかにすることは)気になるかもしれません。ただ、今後もオンライン融資の認知度は高まっていくと思いますし、一度ご利用いただくと「なんとなく抱かれている不安」よりも便利さに価値を感じていただけるかと思います。

実際に、コロナ前は、オンライン融資の申込数も一定の割合で増えていました。抵抗感や不安は、解消されてきているなという感覚は持っています。ただし、コロナ下では公的融資が主流となっていますので、今後の状況を注視したいところです。

事務局

そうなのですね。
今のお話をお聞きしていると、いろいろと資料を準備したり、審査に時間がかかったりする従来の融資に比べて、「会計データ与信モデル」のスピード感や利便性にメリットを感じているお客さまが多く、その結果が満足度につながっているのかもしれないと思いました。

2 融資商品の「使い勝手がよくなった」りそな銀行との連携

アルトア

お客さまにオンライン融資の利便性を知っていただくというのは、まさに、これからも取り組みを進めていくべき課題だと思っています。

この度、ご提携いただいたりそなビジネスローン「Speed on!」は、会計ソフト「弥生会計」のユーザーがターゲットです。この弥生会計のユーザーには、売上が平均1億円以下で従業員も4〜5名といった規模の小さな企業さまも多くいらっしゃいます。そうした企業さまは人手が限られるので、夜間のお申し込みができる、金融機関を訪問する必要がないといった、オンライン融資の利便性に価値をダイレクトに感じていただけます。

一方、もう少し規模が大きく、日ごろから金融機関と密にお付き合いをされているお客さまの場合、利便性が高いという理由だけで、オンライン融資を利用するかというと、そうではないと考えています。

例えば、昨年まで扱っていた弊社のオンライン融資では、(融資の際の)金利が2.8%~14.8%で上限金額が300万円、期間は1年。この内容では、スピード感や利便性があったとしても、銀行の一般的な事業性融資の条件と乖離が大きく、なかなかご利用いただけなかった印象です。しかし今回、りそなビジネスローン「Speed on!」は、まさに銀行ブランドであり、金利は1~9%、上限金額が1000万円、期間も3年となりましたので、お客さまとしてはご利用いただきやすい商品になっていると思います。

従来の利便性だけで訴求するという段階から、さらに商品性でも訴求できるようになっていますので、よりお客さまの満足度が高まるのではないかと感じています。

事務局

利便性に加え商品の訴求力が高まった、つまり、より魅力的な商品になったというのは、経営者の皆さまから見ればうれしいお話ですね。

3 「会計データ与信モデル」の開発で大変だったのは……

事務局

そもそも、なぜこのような与信モデルを開発されたのでしょうか? どのような想いが込められているのか、開発秘話なども併せてお聞きしたいです。

アルトア

まず、想いについては、アルトアの母体である弥生とつながります。会計データというのは、これまでお客さまの事業成果を表す物差しでしかありませんでした。お客さまの事業がしっかり表現されたデータであるにもかかわらず、そのサマリーのみが金融機関を含む取引先への説明に使用されてきました。

弥生/アルトアとしては、せっかくお客さま、あるいは会計士・税理士の皆さまが手間をかけて作成されたデータがあるなら、そのデータを、「しっかりと利活用したい」と考えました。

お客さまが会計データを金融機関にご提供し、融資が受けられるようになるのであれば、お客さまと金融機関、双方の効率化につながります。

また、新たな資料作成や来店による説明が不要で、時間や場所にとらわれずデジタルで完結する手続きであれば、「すぐに融資を必要としていないが、自社の資金調達力を確認しておきたい」というときにもお役立ていただけます。
「融資をもっと軽やかに」。これが、アルトアの目指す世界です。

次に開発秘話に関して言うと、思った以上に大変なことがあった、という印象です。
米国ではじまったオンライン融資ですが、日本においては、残念ながら2000年から2010年代にかけて信用スコアリングの普及に失敗したという歴史があります。アルトアが事業を開始した2017年においては、決算書が会計データに代わったからと言って、「本当に与信モデルとして機能するのか?」といった懐疑的な見方もありました。

そうした逆風の中、アルトアとしては、自社融資を通じて検証を重ね、「会計データ与信モデル」の有効性を証明する他、手立てがありませんでした。

そのため、小体のベンチャー企業でありながら、与信モデルの構築と融資システム開発を同時に進め、貸金業を営み、マーケティングを考えながら、与信モデルの精度を改善する……その過程は思った以上に大変でした。

現在では、融資の事業自体は移管しましたので、アルトアは与信モデルを作る金融工学系のチームと、システムエンジニアだけで構成されています。活動がよりシンプルになったので、アルトアとしては活動しやすくなりました。

事務局

なるほど、リソース配分は、確かに大変ですね。

アルトア

はい。債権回収という一つの業務をとっても専門知識が必要で、社員個人個人のノウハウに依存して、成り立っておりました。

事務局

大変だったという意味では、「信用スコアリング」についても試行錯誤があったのではないかと想像しています。アルトアとしては事業者金融的な貸金業よりは銀行に機能提供できるような存在となることが目的となる中、ユーザーのペルソナ選定なども難しかったのではと思います。

現在に至るまでの間で、信用スコアリングの方針に変化などはあったのでしょうか?

アルトア

ペルソナについては、資金需要顕在層と潜在層を想定しておりました。事業者金融的なアプローチで言えば、顕在層のお客さまへの訴求が優先されるわけですが、銀行のお客さまは、常に資金需要があるわけではなく、資金需要が出た時に、如何に思い起こしていただけるか、が勝負になるわけです。
弊社は、ノンバンクではありましたが、銀行のお客さまを意識していました。

信用スコアリングは、2回ほど大きな改定を実施しています。
当初は、弥生会計ユーザーのビッグデータを元に、実運用ではなく、仮モデルとして構築しました。そのモデルを実運用の中で当てはめて、「審査モデルとして機能するのか」ということを検証してきたわけです。

そのため、最初は、あえてデフォルト(債務不履行)を出さなければいけないといいますか、現在では否決域に入るお客さまであっても、可決域をあえて広くとって融資をしたという経緯もありました。
融資を回収できず事故になってしまうと、アルトアの損失になるのですが、適正なモデルにするためにそうした手法で磨いていったというのが、正直なところです。

しかし、現在では、状況は違っています。りそな銀行と提携し、金融機関としての目線でご意見をいただいています。厳しいご意見も含めて受け止めて、良いサービスにしていこうと取り組んでいるところです。

4 「りそな銀行×アルトア」の意義とオンライン融資業界にもたらす可能性

事務局

りそな銀行との間では、どのような意見交換があるのでしょうか?

アルトア

アルトアとしてはディフェンシブに、より事故を起こしたくないという目線でモデルを組んでいます。それに対して、オンライン融資を前向きに推進されているりそな銀行は、導入いただいたばかりということもあり、「このお客さまは取り上げられるのではないだろうか」といった適正な閾(しきい)値について、ご意見をいただくことがあります。

アルトアとしてはその閾値が適切なのかどうかについてデータを検証して、しっかりと提示していかなくてはいけませんし、より適切な閾値が見つかれば、それをりそな銀行へご説明していかなくてはいけない、という状態です。

事務局

面白いですね。りそな銀行のほうがアグレッシブな面もあるということですか?

アルトア

真摯にお客様と向き合われるお立場上、そういった面もあるかと思います。

事務局

今お聞きしたようなやり取りは、りそな銀行とアルトアのタッグでなければ難しいのかもしれません。すばらしいですね。

アルトア

ありがとうございます。
従来はどうしても、(自分たちの)グループの中で閉じていました。よくも悪くも、グループ内の知見に寄っていましたが、今はりそな銀行の目線でご意見をいただけるので、私たちとしては非常に貴重な機会をいただけていると思っています。

事務局

世の中には、他にもオンライン融資に取り組まれている企業がありますが、今お聞きした、りそな銀行とのやり取りは、他にはないこのサービスの強みではないでしょうか。

この流れで、りそな銀行の担当者にもお聞きしたいと思います。アルトアの与信モデルを使うことや、弥生会計のユーザー以外にもお客さまの裾野を広げることにはどういった狙いがあるのでしょうか?

りそな銀行

従来の融資は、もともとりそな銀行とお取引があるお客さまに対して、店頭もしくは営業担当者がお客さまの元にお邪魔して、行っていました。
もちろん、営業担当者が新規開拓をするというケースもあります。

また、りそな銀行が提供するオンライン融資「Speed on!」についても、スタート当初はすでにお取引のあるお客さまをターゲットにしていたといえます。

それに対して、今回のアルトアとの取り組みでは、これまで全くお取引がなかったお客さまでも、審査の受付ができるようになっています。また、夜間でもお申し込みができます。こうした利便性や時間的な価値は今後ますます高まっていくと考えていますので、それに対応したラインナップを揃えていくというのは、新しい取り組みとして進めていきたいと思っています。

幸いなことに、りそな銀行はアルトアと提携させていただく第一号の金融機関となりました。りそな銀行としては、アルトアのモデルを使わせてもらうという立場ではありますが、「どういう風に審査の基準を設定するか」に関わる閾値などの設定は、我々からも意見や提案を投げかけさせていただいています。もちろんアルトアからもご意見をいただき、これからのためにデータを積み上げていっているところです。

事務局

ありがとうございます。
まさに今おっしゃっていた、審査基準の設定などは、試行錯誤しながらデータを積み重ねている過程であり、業界的にも注目されていますよね。

りそな銀行と提携したことで、アルトアには他の金融機関さまからお問い合わせや反響があったのではないでしょうか?

アルトア

そうですね、反響はいただいています。

ご意見や反響としては、オンライン融資自体への関心に加えて、「会計データを通じてお客さまとつながる」「お客さまの信用が伝わる」といった世界観に対する関心をいただいているように感じています。

現状の融資審査の基準は決算書ですが、会計データであれば、よりお客さまの実像に迫れるものと考えている金融機関も増えています。

また、今回の取り組みによって、会計データでつながることにより、小規模な企業さまであっても、りそな銀行としっかりと取引をできるようになりました。この点が、他の金融機関にとっても興味深い話なのだと思います。

事務局

アルトアとりそな銀行とで、新しいオンライン融資というのを先駆けて作ろうとしているというのは、すばらしいことですね。

5 オンライン融資が実現する理想の世界

これまでのお話からもうかがえるところではありますが、これから「会計データ与信モデル」を活用して実現したい理想の世界はどのようなものですか?

アルトア

繰り返しになりますが、会計データを提出するということは、お客さまがご自身の事業活動のすべてを開示し、お伝えいただくことだと思っています。

それだけ貴重なデータなので、お客さまが開示してくださったことに見合う融資条件で、お取引を受けていただきたい。これは、アルトアだけでは実現できなかったことです。今回、りそな銀行と提携し、アルトアの「会計データ与信モデル」を活用いただくことで、理想に近づけたと思っています。

今後については、弥生会計以外の会計ベンダーの皆さま、および全国の会計事務所さまと協業し、より多くのお客さまにご利用いただけるような世界を作りたいと考えています。

また、りそな銀行をはじめとする、さまざまな金融機関とお客さまが、会計データでつながる世界を実現していきたいです。

事務局

それは夢のある世界ですね、ありがとうございます!

続いて、りそな銀行の担当者にも、お聞きします。具体的に、どのようなシーンで経営者の皆さまに「Speed on!」を使っていただきたいと考えていますか?

りそな銀行

今回、アルトアの「会計データ与信モデル」を使わせていただくことで、「Speed on!」の使いやすさや、りそな銀行との距離の近さを感じてもらえたらいいなと思っています。

従来、融資を受けるとなると、やはりある程度の時間と準備が必要でしたし、店頭に行く必要がありました。それに対して、今回のアルトアとの取り組みで、お客さまの心理的・物理的ハードルが少し下がったのではないでしょうか。「ウェブ上で申し込み自体が完結する」「すでにある会計データを使えばよい」といった点で、より申し込みがしやすくなったと思います。

融資の上限も1000万円となっています。過去にお取引のなかったお客さまにとっても、りそな銀行とのお取引を考えていただく一つのきっかけや選択肢になるのではないでしょうか。

事務局

ありがとうございます。経営者の皆さまには、ぜひ「Speed on!」のご活用をご検討していただければうれしいですね。

アルトアから、経営者の皆さまに対してお伝えしたいメッセージをお願いします。

アルトア

中小企業の経営においては、売上金回収の遅れなど、不測の事態が起こり得ると思っています。
普段しっかりお付き合いをしている金融機関さまの融資とは別に、オンライン融資を選択肢として持っておくことで、安定した経営が実現できます。

より多くの経営者の皆さまに、りそな銀行の「Speed on!」をぜひ一度お試しいただきたいです。
「融資なのに(手続きが)これだけでいいの?」という驚きの体験とともに、データを通じて、りそな銀行に御社の信用が瞬時に伝わる金融の新たな可能性を感じていただけるものと思います。

事務局

ありがとうございます!
最後になりますが、現在、アルトアが今後の課題と感じていることはありますか?

アルトア

審査の基準自体は継続的にブラッシュアップしていく必要があります。

また、弥生だけではなく、その他の会計ソフトベンダーさまとの提携も、スピードとデータの質を保って進めていきたいと思っています。
会計ソフトウェアによって、会計のデータというのは若干違っていたりしますので、我々のシステムで適切に読み込んでいかなくては、というのもあります。

事務局

ありがとうございます!
本日は、色々と詳しいお話に加え、オンライン融資が今後広がっていく可能性も見せていただいた気がします。こうしたオンライン融資の仕組みが、経営者の皆さまにとって、少しでもお役に立てれば幸いです!

●関連するりそな銀行のビジネスローン

Speed on!の商品ページです

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2022年3月2日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

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企業成長に資するダイバーシティ経営~形だけのダイバーシティ経営からの脱却~

書いてあること

  • 主な読者:「ダイバーシティ経営」が気になっている経営者
  • 課題:「ダイバーシティ経営」という言葉をよく聞くが、なぜ「ダイバーシティ経営」をしなければならないのか、本当に自分たちの会社に関係あるのかが分からない
  • 解決策:4つのキーワードと「ダイバーシティインデックス」を知り、具体的な取り組みイメージをつかむ

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【インタビュー相手】
佐々木かをり(ささき かをり)氏

株式会社イー・ウーマン代表取締役社長。ダイバーシティの第一人者。日本最大級のダイバーシティ会議「国際女性ビジネス会議」を26年にわたり企画・プロデュース。組織の多様性と成長性を年1回数値化する「ダイバーシティインデックス」を開発、今年第5回目を募集する。内閣府男女共同参画会議、厚生労働省など多くの政府審議会等委員、上場企業等の社外取締役を務める。世界銀行「女性起業家資金イニシアティブ(We-Fi)」日本代表。日本語・英語での講演も多くAPEC、OECDなど国内外で1700回を越える。メディア出演も多い。

1 “ダイバーシティ経営”にまつわる誤解

近年、“ダイバーシティ経営”という言葉が広がり、これを経営戦略や経営計画に掲げる企業も増えています。ダイバーシティは“多様性”を意味し、政治的背景、社会的背景、経済的背景など様々な文脈で語られていますが、企業として実践すべき“ダイバーシティ経営”として見てみると、その企業にとって都合よく偏った解釈に基づいていたり、きわめて表層的な側面だけを捉えていたり、といった状況が散見されます。

「ダイバーシティ経営の目的や効果を本質的・根本的に理解していない経営者の方々が多い」

“ダイバーシティ経営”を30年来唱え続ける、ユニカルインターナショナル、イー・ウーマンで代表を務める佐々木かをり氏はこう指摘されています。「ダイバーシティ経営を“女性活躍”と置き換えて解釈し、“女性社員を増やすことでしょう? うちのように男性中心の業界には関係ないよ”と言う方もいらっしゃいますし、“女性社員を増やしているし、管理職の女性比率も〇%だからダイバーシティ経営はできているよ”と言う方もいらっしゃいます。しかし、いずれも完全な理解ではありません。また、業界特性上、女性社員を増やすことが難しいといった固定観念も自社のためになりません。ダイバーシティ経営=女性比率だけではありませんので、ぜひ、ダイバーシティ経営がどれだけ自社にとって重要かを知ってほしいと思います」

このようにダイバーシティ経営を“女性活躍”として捉えてしまっている例の他、外国人雇用として捉えてしまっている方も多いようです。地方の建設業、製造業などでは、外国人労働者を積極的に多数雇用している企業が多く、外国人雇用者数のみを見て、ダイバーシティ経営をしているとおっしゃる経営者の方も少なくないようです。

ダイバーシティ経営に対するこれらの誤解は、日本固有の社会情勢に起因するところもあります。2000年代から少子高齢化が大きな社会問題として強く叫ばれるようになり、将来の労働力不足の懸念から、女性、外国人、さらには高齢者も含め、積極的に活用しようという流れが起こり、この流れと欧米で発展したダイバーシティ経営が紐づけて語られるようになってしまった、というのが現在の日本における“ダイバーシティ経営”です。単なる労働力MIXでしかないような場合でも、その比率をもってダイバーシティ経営をしているつもりになってしまうわけです。

また、ダイバーシティ経営という言葉が持つポジティブなイメージから、これを企業PRやマーケティングに活かすよう、看板や道具としている企業も少なくありません。この点について、佐々木かをり氏は「上場企業や大手企業では、各種の機関や団体が示す女性管理職比率や障碍(がい)者雇用比率の指標を達成してAwardや認証を取得することで安心しているように見えるケースもあります。また、IR活動として、各種の目標指標を示して、社内サーベイの結果と達成状況を市場に発信している企業もあります。こうした取り組みは第一歩に過ぎず、ダイバーシティ経営の本質を全うするためには、さらに前進が必要です」と懸念を示されています。「せっかくダイバーシティ経営に向けての組織作り、採用活動、社内セミナー等に対して真面目に取り組んでも、先述のような認識に依拠し、企業風土として全社的に浸透しない、企業活動の担い手である中間管理職層の理解が得られない、企業成長につながる形で昇華されない、という状況に陥りがちです。次の段階、すなわち本来のダイバーシティ経営の成果を得る段階に移行が必要な企業も多いことが現状です」(佐々木かをり氏)

では、ダイバーシティ経営の本質とは何なのか、その目的・意義、期待できる効果はどういったものなのか。次章で明らかにしていきます。

2 ダイバーシティ経営の本質

「ダイバーシティ経営は、多様な労働者を雇用し、その人たちの力を活かし、声を聞き、会社を変革していくことによって、社会への還元に留まらず、企業の成長、そして、もうけられる企業への転換につながること。それが目的なのです」(佐々木かをり氏)

ダイバーシティ経営が一体どうやって企業の成長につながるのでしょうか? その点についてさらにご説明いただきました。「Collective Genius、日本語では“集合天才”と訳され、“三人寄れば文殊の知恵”と言われることもありますが、多様な視点を集めてこれを経営に活かしイノベーションを起こすということ。これが企業成長の源泉になります。なぜダイバーシティ経営が必要なのか? と問われれば、人権を守りながら、持続可能な社会を作るための基本であることは間違いないですが、それが実は、企業の成長やイノベーションを起こすことに直結しているのです。こうした考えに基づき組織、制度、風土を醸成することで、長期的に成長する企業組織となっていくことがダイバーシティ経営の本質です。ダイバーシティ経営に取り組まない企業には、成長も未来もありません」(佐々木かをり氏)

ダイバーシティ経営は、人間社会としてのモラルや倫理に根差すソフトなアクションに加え、競争市場でのハードな“攻め”のアクションとしても捉える必要がありそうです。社会的要請に応えるため、あるいは市場からの批判や非難を避けるためといった消極的な目的に基づくアクションではなく、あくまでも成長戦略、競争戦略としての積極的なアクションであることを肝に銘じなければなりません。こうしたことを踏まえ、ダイバーシティ経営の本質、目的・意義、期待効果を見失うことなく、着実な取り組みにするために押さえておくべき4つのキーワードについてご説明いただきました。

1)ダイバーシティ(Diversity=多様性)

本稿のテーマが“ダイバーシティ経営”ですので、改めて掲げるまでもないかもしれませんが、先述の通り、女性や障碍(がい)者など偏った見方を持たれている方が多いのも事実です。企業の成長を見据え、「性別、年齢、国籍、経歴など多様な人材を採用し、昇格させる人事・採用戦略がダイバーシティの基礎であり重要です」(佐々木かをり氏)。多様性のある人材が長期にわたって企業の価値創造に貢献できる環境を作っていくこと自体が、企業の自力を高めていくことになります。

2)エクイティ(Equity=公平)

「今大切なキーワードは、エクイティです。イクオリティ(Equality=平等)と異なる概念です。“平等”とは、すべての人を同じように扱うことを意味します。一方で、“公平”とは、個々の状況やニーズを踏まえながら誰もが力を発揮できるように条件に揃えていくことです」(佐々木かをり氏)

言うは易く行うは難しではありますが、企業の成長という観点、すなわち個々に異なる従業員から見て有利不利がなく事業成果や付加価値を適正に図る仕組みを継続的に改善していくことが重要になります。

3)インクルージョン(Inclusion=包含)

多様な人材を採用したとしても、それらの人材が委縮し、自身の意見や考え方を示せずにいたら、新たな気付きや発見はありません。「多様な意見や考え方が気兼ねなく自由に示され、それらを広く包み込み、受け入れ、業務を進化させていく組織風土を作り上げることが重要です」(佐々木かをり氏)。そこから自由闊達な意見交換が重ねられ、イノベーションの種が見つけられるのです。最近では、製品開発や技術改革、研究開発や組織改革などにおいて、自社以外の組織や機関などが持つ知識や技術を取り込んでいく“オープンイノベーション”が度々話題に上りますが、まずは社内の多様な人材がオープンに意見交換し、互いの考え方を受け入れ、尊重する土壌を作ることが重要です。我々日本人は、比較的近しい環境で育った者同士が集まって活動している機会が多いため、特にこの点は留意する必要があります。

4)ガバナンス&イノベーション(Governance & Innovation=内部統制と革新)

ダイバーシティ経営が全社に及んでいくことにより、経営の意思決定も様々な意見交換や議論を通じて行われることになります。スピード経営が求められる昨今の競争環境においては、社長一人の意思決定のほうが速やかな対応ができ優位性があるように見え、ダイバーシティ経営では最終的な意思決定に時間と労力を要するように見えます。しかしダイバーシティ経営で生み出したイノベーションが世に出るスピードを高めて企業成長することが重要です。

「ダイバーシティ経営ではイノベーションが起きるだけでなく、役員レベルに多様な視点が入ることで内部統制が働き、社長の一存や勘に頼らない適切かつ革新的な意思決定を導く、またリスク回避にもつながります」(佐々木かをり氏)

3 中小企業にダイバーシティ経営が求められる理由

これまでに述べた通り、ダイバーシティ経営は、激しい競争に打ち勝つことを目的にした成長戦略、競争戦略としての積極的なアクションであり、このことは、中小企業にとっても何ら変わることなく当てはまることになります。とは言え、多くの中小企業にとっては、限られた経営資源(従業員)を多様化させること自体に限界があり、自分たちの課題として認識しづらい状況にあるのではないかと思われます。しかしながら、佐々木かをり氏によると、中小企業はダイバーシティ経営の実践を急務として考えねばならない状況にあるようです。以下、その状況についてご説明いただきました。

1)取引先や関係会社の変化

昨年(2021年)6月、東京証券取引所はコーポレートガバナンス・コードに係る有価証券上場規程の一部改正を公表・施行しました。改正の主なポイントの1つとして「企業の中核人材における多様性の確保」が挙げられています。これらは上場企業に求められる事項ではあるものの、新たな成長を実現する企業全般に求められる要素として受け止められています。また、「こうした事項が求められている上場企業は、共に成長する取引先企業として、ダイバーシティ経営を行っている企業のみを選ぶことがルールとなり始めています」(佐々木かをり氏)

すなわち、中小企業にとっても、ダイバーシティ経営を真剣に考えるときが来ているということです。

2)投資家、金融機関の変化

ダイバーシティ経営の本質を考えるにあたり、SDGsの文脈に若干触れましたが、それとは別の流れとして、投資家や金融機関における判断基準の変化があります。「これまでのような経営財務や事業価値の観点だけで投融資を判断するのではなく、SDGsやESGなどの非財務情報が投融資の判断となる流れになっています」(佐々木かをり氏)

換言すると、経営財務や事業価値が高く評価されたとしても、ダイバーシティ経営が十分に行われていなければ将来性に乏しいと見られ、必要な投融資を引き出せない事態もあり得る状況になりつつあります。なお、中央省庁や地方自治体による補助金事業等においては、応募資格としてダイバーシティ経営の深度が問われるような事項が含まれています。ダイバーシティ経営を含むSDGsやESGに関する取り組みが、中小企業を含む事業体の評価・判断に広く使われるようになる流れはますます進んでいくことでしょう。

3)需要サイドの多様化(供給サイドの多様化対応)

BtoC領域のみならず、BtoB領域においても、製品やサービスの需要サイドは多様化が進んでいます。以前から言われていることではありますが、需要サイドの多様化が進み、需要サイドが選ぶ側になり、供給サイドは選ばれる側になっています。需要サイドが発する様々なメッセージやニーズを的確に把握し、それに応えていくためには、供給サイドもダイバーシティ経営を推し進め、多様なプロトコルで双方向のやり取りができる体制を備え、選ばれる企業に変貌しなければなりません。「ダイバーシティ経営に取り組んでいない企業は、ダイバーシティ経営を重視する取引先や協力会社と建設的・発展的なコミュニケーションが取れなくなります。企業を取り巻く環境変化を理解し消化することができない中小企業は、ビジネス機会が減っていく可能性があるのです」(佐々木かをり氏)

4 ダイバーシティ経営“事始め”

ここまで、ダイバーシティ経営の本質は、企業成長のための戦略的・積極的な“攻め”のアクションであり、ダイバーシティ経営の実践は、中小企業を含む事業体にとって急務であることを申し述べてきました。“ダイバーシティ経営の重要性や緊急性はよく分かった。では、いったいどこから手を付ければいいのか?”。こうした問いに対して、佐々木かをり氏より助言をいただきました。

1)ダイバーシティ状況の可視化

どのような企業変革テーマであっても、まずは自社の状況や立ち位置を客観的に捉えることが重要です。単に人数やその比率を計測するのではなく、ダイバーシティの進捗状況や課題を可視化することはできないか、という問題認識の下、国内外のダイバーシティ有識者や様々な企業の協力によって作られたのが、様々な企業が年1回参加する『ダイバーシティインデックス』です。

ダイバーシティインデックスは、先述した4つのキーワード、“ダイバーシティ”、“エクイティ”、“インクルージョン”、“ガバナンス&イノベーション”の4つの角度から、自社のダイバーシティ経営とその成果を客観的に数値で把握することができます。ダイバーシティインデックスが備えているプログラムは、①企業の意識調査、②個人の認識調査、③個人テスト・セルフラーニングの3つのセクションで構成されています。年1回、非財務情報を可視化し、他社の状況をベンチマークしながら経営者や従業員に対する“気付き”の機会を与えるプログラムになっています。ダイバーシティ経営を取り組み始める初年度から記録を始め、毎年の経年変化を把握しながら取り組んでいくことが重要でしょう。「ダイバーシティインデックスは、経営戦略に使えるように作られており、ESG経営におけるS(ソーシャル)とG(ガバナンス)に相当する部分を数値化しています。社内改革のみならず、IRにも活用でき、ESG投資家などからも注目を集めています」(佐々木かをり氏)

2)業界を越えたダイバーシティ連携

先述の通り、多くの中小企業にとっては、限られた経営資源(従業員)を多様化させること自体に限界があるのも実態であり、ダイバーシティ経営への取り組みも段階的・長期的にならざるを得ないという側面があります。しかしながら、ダイバーシティ経営は、社内に限って考えなければならないものではありません。ダイバーシティ経営の本質は、企業成長のための戦略的・積極的な“攻め”のアクションですから、そうした観点から自社でできることを考えてみるべきです。そのうちの1つとして、他社とのダイバーシティ連携があります。ダイバーシティですから、同じ業界や関係会社などとではなく、まったく異なる業界の企業と、“ダイバーシティ経営”という共通の目的を持って、様々な取り組みを協働していき、お互いのイノベーションの発芽を目指していくことになります。もちろん、業界を越えた事業展開の青写真がすでにあった上で提携できればこの上ないですが、そういった青写真がなくとも、“ダイバーシティ経営“という目的のみで始めることで、想像を越えるイノベーションを生み出す可能性があります。また、企業と企業の連携に限らず、自社の顧客や利用ユーザーをメンバー化し、経営者層から従業員層まで広く展開して、仮想的・疑似的なダイバーシティ組織を組むことは、中小企業にとってもすぐに実践できる取り組みです。

3)社外取締役の戦略的登用

昨年(2021年)3月から、上場会社では社外取締役の設置が義務化されました。その理由は、取締役会の運営を健全化する観点から、会社からの独立性が高い人材を経営陣に送り込む必要があるためです。こうした流れは上場会社に限ったことではなく、事業体として取締役会の運営を健全化し、さらには有効化・高度化していきたいという考えの下で、社外取締役を戦略的に登用していこうとする企業が増えています。

“ダイバーシティ経営”の文脈で言えば、社外取締役の戦略的登用は、“はじめの一歩”になる取り組みになります。ダイバーシティ経営の4つのキーワードの1つ、“ガバナンス&イノベーション”でも触れた通り、社外取締役を戦略的に迎え入れることにより、経営の意思決定に内部統制が働き、加えて適切かつ革新的な意思決定に導くことにつながります。ダイバーシティ経営は一朝一夕にはいかず、相応の時間を要する取り組みですが、社外取締役の戦略的登用は、経営者層として取り組みやすい施策ではないでしょうか。「私自身、複数の企業の社外取締役を担わせていただいており、社外取締役の役割は、取締役会に多様な視点を持ち込み貢献することだと実感しています。成長への視点とリスク回避への視点の両方の視点を加えるダイバーシティ経営とは、ガバナンス強化そのものです。適切な社外取締役を探している企業のために、優秀な女性や外国人などの独立社外取締役を企業にご紹介するお手伝いも始めました。日本企業が社外取締役を活用し、成長することを心から期待しています」(佐々木かをり氏)

今回は、ユニカルインターナショナル、イー・ウーマンで代表を務める佐々木かをり氏へのインタビュー内容をもとに、ダイバーシティ経営についての基本的な理解から具体的な施策までを取りまとめました。今後のダイバーシティ経営の一助になれば幸いです。

  • 株式会社イー・ウーマンの詳細は、こちら
  • ダイバーシティインデックスの詳細は、こちら
  • 社外取締役のご紹介に関するお問合せは、こちら

以上(2022年2月)
(執筆 辻 佳子)

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画像:Lucky Business-shutterstock

【朝礼】「継続」を実現する3つの秘訣

もうすぐ年度末を迎えます。皆さんは、今年度立てた目標をどのくらい実践できていますか。この時期になると、毎回、「今年度の目標が達成できそうにない」と嘆く人がいます。また、「2022年を迎え、今年こそはこれをやろうと思っていたが、1カ月たってみるとやはり継続できていない。早くも挫折した……」という人が、そろそろ出てきたのではないでしょうか。

今日はそんな皆さんに、「目標に向けて何かを継続する秘訣」を3つ伝えます。今日からでも実践できることばかりですので、3つとも、ぜひやってみてください。

まず1つ目は、「刻む」です。これは、「時を刻んで捉える」という意味です。「長く継続しなければ」「ずっとやり続けなければ」と深刻に考えすぎず、まずは1週間やってみてください。筋トレで考えると分かりやすいでしょう。取りあえず1週間、毎日10分や15分など短い時間でいいので実践してみます。1週間続けられたら、翌週も1週間、その次も1週間やってみる。そうして「1週間ずつ」を積み重ねていくのです。語学や資格の勉強なども同じです。まずは目の前の1週間だけ実践することを考えて取り組みましょう。

2つ目は、「記録する」です。簡単なメモ書きでいいので、自分が実践したことを記録に残します。例えば、先に1つ目として伝えた「1週間ずつ刻む」を実践した人は、1週間でやったことをスマホなどにメモしておきましょう。

見るのは自分だけですので、美しい文章や格好つけた内容はいりません。例えば、「1週間毎日スクワット30回」「今週は語学リスニングを5時間」などでもいいでしょう。記録をつけておくと、自分が実践したことがまさに「残る」ため、途中でやめたり放棄したりしにくくなります。「これだけやってきたのにやめたらもったいない。もうちょっとやろうかな」という心理が働くのです。

そして最後の3つ目は、「思い込む」です。これは文字通り、「自分は意志が強いからできる」と思い込むことです。これで継続できるか半信半疑な人もいるかもしれませんが、私は実際に、「自分は意志が強いから続けられる」と思い込んで、20年以上吸ってきたタバコを、キッパリやめることができました。「思い込む」に加えて、「刻む」「記録する」も実践しているからでしょうが、私は禁煙、筋トレ、語学の勉強を、もう5年も続けられています。

元東レ経営研究所社長の佐々木常夫(ささき つねお)さんが部下に言ったとされる有名な言葉に「良い習慣は才能を超える」があります。良い習慣を身に付けると毎日成長し続け、いつか才能ある人を超えるくらいになるという意味です。私はこの名言に「そして【良い習慣】は、まず1週間から」を追加して皆さんに伝えたいと思います。駄じゃれのようですが、年間の大きな目標も、まずは目の前の1週間からです。さて、年度末に向けて、今週も頑張っていきましょう!

以上(2022年2月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】部下の「裏切りの真意」はどこにある?

今朝は「裏切り」についてお話しします。「裏切る」という言葉には、味方に背いて敵方に付く、約束・信義・期待などに反するといった意味があり、「悪い行い」と認識されています。しかし、少し視点を変えてみると、必ずしも悪い行いとは言い切れない場合もあります。

歴史上の人物で例を挙げると、勝海舟(かつかいしゅう)が該当します。海舟は、明治維新における新政府軍と旧幕府軍の戦いで、旧幕府軍の交渉役として新政府軍の西郷隆盛(さいごうたかもり)と会談し、江戸城の「無血開城」を成し遂げた人物です。

海舟は江戸を戦火から救った人物として評価されていますが、明治が始まった頃の評価は高くありませんでした。新政府軍との戦いで旧幕府軍の多くが戦死したのに、海舟は戦わずして生き延び、明治維新後は新政府の要職を歴任しました。そのため、海舟のことを幕府の裏切り者と噂する声が少なくなかったのです。

しかし、海舟には生涯持ち続けた1つの信念がありました。それは、「日本を諸外国と渡り合える強い国にする」こと。アメリカに渡った経験を持つ海舟は、当時の日本の文化や政治が、いかに諸外国に遅れているかを知っていました。

だからこそ、彼は国内の争いによって諸外国に攻め込む隙を与えないよう、無血開城に踏み切り、明治維新後も、日本を強くするため、新政府への協力を惜しまなかったのです。

しかし、明治が始まった頃の日本は、まだ海外に関する情報が少なく、海舟のようにグローバルな視点で物事を考える人は少数でした。だから、表面上の行いだけを見て、彼を裏切り者と決めつけてしまう人が多かったのでしょう。

ビジネスにおいても「仕事の進め方を教えたのに、その指示を守らず失敗した」など、部下が上司の信頼を裏切ってしまうケースがあります。皆さんがこうした裏切りにあった場合、私からぜひともお願いしたいことがあります。いきなり部下を否定するのではなく、「なぜ、部下はそんな行動をしたのだろう」と考えてほしいのです。

もしかすると、部下は独自の着眼点で仕事を進めようとしたのかもしれません。その進め方はまだまだ未熟かもしれませんが、そこは周囲がフォローしてあげてください。

不祥事のような悪質なケースでなければ、部下を否定するのは、その「裏切りの真意」を知った後でも遅くはないはずです。なぜなら、こちらから見れば裏切りでも、その真意は正義であり、勇気ある行動であることが多いからです。部下の正義と勇気を知ろうとすることで、皆さんも管理職として成長することができるでしょう。

以上(2022年2月)

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画像:Mariko Mitsuda