江戸時代の管理職 悩める“名家老”が残した金言 ~恩田木工、栗山大膳、田中玄宰

書いてあること

  • 主な読者:組織を良くするために手腕を発揮したい、企業のナンバー2や幹部を含む管理職
  • 課題:上司や部下の意向にも配慮しなければならず、手腕を発揮しづらい
  • 解決策:主君や藩士、領民との間で悩みながらも藩のために手腕を発揮した、江戸時代の名家老のエピソードと、それにまつわる金言を参考にする

1 江戸時代の家老もマネジメントに苦心していた!

管理職の方は、上司にも部下の意向にも配慮しながら結果を出すことが求められ、何かと気苦労が絶えないものです。マネジメントの難しさは、現代に限ったことではなく、時代を超えた普遍的なテーマといえるでしょう。江戸時代、ナンバー2や幹部に相当した家老も、マネジメントの難しさに悩んでいたのです。

そこでこの記事では、江戸時代に、藩内のマネジメントに悩みながらも手腕を発揮した3人の名家老のエピソードと、それにまつわる金言を紹介します。管理職の方にとって、マネジメントを行う際のヒントになれば幸いです。

2 恩田木工「楽しみもすべし、精も出すべし」

1)2度の財政再建失敗の後に起用される

恩田民親(おんだ たみちか、通称「木工(もく)」)は、江戸中期の松代藩(長野県)の家老で、藩の財政再建に取り組んだ人物です。松代藩は1742年(寛保2年)の千曲川の水害で農地の約3分の1が壊滅状態になり、財政は逼迫(ひっぱく)していました。木工が家老に就任したのは、水害の4年後。父親や祖父も家老を務めていたこともあり、30歳の若さでの末席家老への昇進でした。

木工が藩主の真田幸弘から財政再建を託されたのは、家老になった9年後の1757年(宝暦7年)とされています。実は松代藩では水害の前後、2度にわたって財政再建に取り組んだものの、いずれも失敗しており、木工もその経緯を目の当たりにしていました。

木工が家老になる10年ほど前、幸弘の前の藩主・信安が家老に抜擢した藩士は、支出削減に取り組みました。藩士たちの給料の半額を「借り上げ」という名目で実質未払いにしましたが、困窮した足軽たちがストライキを起こしたため罷免されました。これに続いて、信安は財政再建のコンサルタント的な業務をしていた藩外の浪人を招聘しました。この浪人は収入増を図り、増税を行いますが、今度は大規模な農民一揆を招き、1年もたたずに松代から逃亡したのです。

2)財政再建のポイントは、全ての関係者とのコミットメント

「3度目の正直」として財政再建を託された木工は、まず幸弘に対し、自分に全権を与え、上席の家老まで木工のやり方に従わせることを約束してもらいました。次に木工は、家族や親類一同を集め、絶縁するように相談しました。その理由は、

  • 自分は今後、一切嘘をつかない決心をした。しかし家族や親類が嘘をついては、自分は信頼されず、任務が遂行できない
  • 自分は今後、ご飯と汁物以外を食べず、新たな服は木綿しか着ない生活をする。そのような質素な生活には耐えられないだろう

ということでした。木工は家人にも同じ理由で暇を与えようとしますが、家族も親類も家人も皆、木工と同じ生活をすることを誓いました。ただし木工は、親類には質素な生活は求めず、家族にも神事や来客の際にはご馳走を認めました。

次に木工は、藩士たちに対して、今後は給料の未払いをしないことを約束する一方で、業務を疎かにした場合は糾問することを申し伝えました。そして、業務をしっかり行った上で余裕があるならば、相応の楽しみを味わうことを奨励しました。

仕上げは、藩内の主だった農民を招いた対話集会の開催でした。そこで木工は、次のような提案を行いました。

  • 自分は今後、いったん口に出したことは絶対に守る
  • 何事も安心して自分に相談してほしい。ただし、賄賂は一切受け付けない
  • 財政再建は5年で行い、その間は賦役を免除する
  • これまで行われてきた年貢の先払いや、臨時の金の徴収は行わない。ただし、これまで先払いしてもらった年貢は、なかったものとしてほしい
  • これまでの未納の年貢は徴収を放棄するが、その代わり、今後は必ず年貢を納めること
  • 年貢の取り立てを目的とした足軽の派遣を廃止する。それにより、足軽の宿泊や賄いなどのために負担していた農民の軽減額は、年貢の7割相当に当たると試算。その代わり、今後の年貢の支払いは年払いでなく月払いとする

これらを喜んで了承した農民たちに対して、木工は藩士に対して語ったのと同じく、家業に精を出した上で余裕があるなら、相応の楽しみを味わうことを奨励しました。木工は、農民たちに、

人は分相応の楽しみなければ、又精も出しがたし。これに依って、楽しみもすべし、精も出すべし

と語りかけます。2度の財政再建の失敗を見ていた木工は、藩士や農民たちに対して、自分や身内を厳しく律する姿を見せることで本気度を示した上で、無理のない、現実的な協力を求めることによって、コミットメントの実行性を高めたといえるでしょう。

3)協力者を増やしていった名家老の手腕

木工は、財政再建のための協力者を生み出すことにも優れた手腕を発揮しました。

木工は農民たちから、これまでに藩士が行った不正を記した上申書を受け取ると、藩主の幸弘に対して、名前の挙がっていた藩士たちを、あえて木工を手助けする役目に付けるように願い出たのです。処分を覚悟していた藩士たちは木工に感謝するとともに心を入れ替え、以後は木工の心強い協力者になったといいます。

また、江戸の藩士から、幕府の用命で2000両が必要との求めがあったときのことです。松代にいた2人の藩士は木工に対し、「その用命であれば1200~1300両で済ませられるのでは」と意見しました。これに対して木工は、2人に2000両を運ばせ、江戸の藩士には「2人と相談しながら、首尾よく用命を果たすよう」に命じました。その結果、出費は1300両で収まり、2人は松代に700両を持ち帰りました。これを受けて木工は幸弘に対して、2人の手柄を報告するとともに、2人と江戸の役人にそれぞれ100両を賜るように願い出ました。100両を受け取った3人は、その後ますます忠勤に励むようになったといいます。

木工は、財政再建を託された5年後に、46歳で病死しました。木工の財政再建が短期間で成功したかどうかの評価は、今も定まっていないようです。ただ、木工の業績を記した「日暮硯」は、廃村の復興で有名な二宮尊徳も座右の書にしたといわれています。木工の財政再建の取り組みは、後世にも影響を残したといえるでしょう。

【参考文献】

「新訂日暮硯」(恩田木工、笠谷和比古校注、岩波書店、1988年4月)

「日暮硯:信州松代藩奇跡の財政再建」(奈良本辰也、講談社、1987年2月)

「真田松代藩の財政改革:『日暮硯』と恩田杢」(笠谷和比古、吉川弘文館、2017年10月)

3 栗山大膳「小さきことに迷ひては大志は成就せぬなり」

1)2代目トップの暴走で藩が存続の危機に

栗山利章(くりやま としあきら、通称「大膳(だいぜん)」)は、江戸時代前期の福岡藩(福岡県)の筆頭家老で、1632年(寛永9年)から翌年にかけての「黒田騒動(栗山大膳事件)」を引き起こした人物です。黒田騒動は、大膳が幕府に対し、藩主である黒田忠之が「幕府に謀反の意図あり」と訴えた事件です。

事件の火種は、忠之が藩祖で父の黒田長政から藩主の座を引き継いだときから生まれていました。長政はわがままに育った忠之を憂い、臨終に際して大膳に遺書を渡し、「よくよく忠之を頼む。あの性状では将来いかなる状況が起こるやもしれぬ」と伝えたとされます。

長政の大膳への厚い信頼は、互いの父親の代から培われたものでした。大膳の父である利安は、長政の父親である黒田孝高(官兵衛、如水)に小姓(身の回りの世話をする若者)として仕え、有岡城(兵庫県伊丹市)に幽閉された孝高の救出も行った元勲でした。大膳も長政のいとこを妻に持ち、長政の補佐役として、幕府の要人からも知られた存在となりました。

藩主になった忠之は、長政が憂いた通り、大膳など古参の重臣の存在を疎んじ、暴走を始めます。幕府が禁じていた軍船の建造や新たな足軽200人を編成した他、倉八宗重というお気に入りの家臣を家老に抜擢して新兵を配下に付けるなどの「特別待遇」を与えたのです。

折しも、福島家(福島正則)や加藤家(加藤清正の息子の忠広)といった豊臣秀吉恩顧の大名が相次ぎ幕府から取り潰し処分を受ける中で、同じく秀吉恩顧の大名である黒田家を支えてきた大膳は、取り潰しの口実を作らぬことの重要性を感じていました。このため、忠之に暴走をやめるよう何度も諫言しますが聞き入れられず、藩主の顔色をうかがう他の重臣たちとの間で、孤立無援状態となっていきました。

2)乾坤一擲(けんこんいってき)の大勝負に打って出た名家老

そこで大膳はまず、病気と称して自宅に引きこもる「サボタージュ」作戦に出ます。ですが、出仕を促す忠之との関係は冷却していくばかり。ついに大膳の耳に、忠之が大膳を処分しようとしているとの情報が入るようになりました。

進退窮まった大膳は、幕府に対して忠之の叛意を訴えるという、下手をすれば逆に取り潰しになりかねない大勝負に打って出たのです。

大膳からの訴状を受けて幕府は、忠之や大膳ら福岡藩の幹部を呼び出して詮議を行います。とはいえ、実際には忠之に叛意はなく、幕府は「忠之に謀反の意図はない」と判定します。それを聞いた大膳は、偽りの訴えを起こしたのは、「忠之が暴走しているのに他の家老は諫言しない。自分が忠之に処分されて死ぬことは恐れないが、騒動が幕府の耳に入れば藩が取り潰しになりかねないので、黒田家と福岡藩を守るために行った」と告白。「この上は自分だけ御成敗を仰せ付けられれば本望」と申し出ました。

3)勝算を持ちつつ、小さな問題にはためらわず「見切り」を行う

大膳の申し出は、将軍の徳川家光や幕府の要人たちの心を動かしました。幕府の忠之への処分は、「治世不行き届きのため、領地を召し上げる。ただし、長政の忠勤戦功に対して、新たに同じ領地を与える」というものでした。その後、忠之は宗重を放逐し、藩政は落ち着きました。

一方の大膳に対する幕府の処分は、南部藩(岩手県など)に預けるというものでした。生活のための手当ても与えられ、一定範囲内の外出も自由という寛大な処分です。大膳は、その後の約20年を、南部藩で平穏に過ごしました。大膳の晩年、忠之は大膳の息子を召し抱える意向を伝えましたが、大膳は「栗山の姓が福岡藩に戻れば、世間の人々が藩主に過ちがあったことを知り、誹謗することになる」ことを憂いて辞退するとともに、子供たちには栗山の姓を名乗らないように戒めたといいます。

南部藩に移った大膳は、近くに住む幕府の代官が訪れ、武士の心掛けについて問われると、

小さきことに迷ひては大志は成就せぬなり

と答えました。大膳はこれを「見切りの才知」と表現し、

少しの踏違ひはくるしからずと見切り強く之(これ)有(あり)候へば、其事(そのこと)成就(する)

と説明しました。黒田家や福岡藩を守るという「大志」の成就のために、大膳は自らの生命や家老という立場は「小さきこと」と考え、「見切り」を行ったのでしょう。ただし、大膳は「見切り」を行うに当たり、勝算も持っていたようです。大膳は臨終前の長政から、徳川家康が関ヶ原の戦いでの長政の活躍を称え、「子孫の代まで粗略に扱わない」ことを約束した「感状」を預かっていました。大膳は万が一の際の切り札として、信頼できる藩士に、「取り潰しになりそうな情勢になったら、幕府の要人に感状を提出するように」と伝えていたのです。

【参考文献】

「列侯深秘録」(国書刊行会編、国書刊行会、1914年5月)

「栗山大膳:黒田騒動その後」(小野重喜、花乱社、2014年12月)

福岡県朝倉市ウェブサイト「ふるさと人物誌18 黒田52万石を救った 「栗山 大膳」(くりやま だいぜん)」

4 田中玄宰「ならぬことはならぬものです」

1)藩政改革を志すも一度は挫折

田中玄宰(たなか はるなか)は、江戸時代後期の会津藩(福島県)の家老で、多額の累積債務と天明の大飢饉による人口減少という藩の危機を、藩政改革によって乗り切った人物です。

玄宰の生まれた田中家は、5代前の正玄(まさはる)が初代会津藩主の保科正之に仕えて以来、家老に登用されることが多い家柄でした。玄宰も13歳で家督を継いでから順調に昇進を重ね、1781年(天明元年)に34歳で家老に就任します。

家老に就任した玄宰は、多額の累積債務の解消に向け、藩主の松平容頌(かたのぶ)に対して藩政改革を行うことを願い出ますが、許されませんでした。折しも家老に就任して2年後に、天明の大飢饉が発生。飢饉が続く中、失意の玄宰は病気を理由にわずか3年弱で家老を辞職します。

2)同僚たちに根回ししての再提案

家老を辞職した玄宰ですが、藩政改革の志を捨てたわけではありませんでした。病気を理由に閑居している間に、藩内の兵学者や知識人たちと交流するなど、藩政改革の実現のための下地をつくっていたようです。

そして家老を辞職して1年4カ月が経過した1785年(天明5年)、玄宰は再び家老職に復帰します。玄宰は、熊本藩の藩政改革を参考にして建議書を作成しますが、これを藩主の容頌に見せるのではなく、まずは同僚である3人の家老に相談します。建議書に盛り込んだ藩政改革案は、

  • 4人の家老の担当を分け、それぞれが各分野に責任を持って任務に当たる
  • 実戦に即した軍制改革を行う
  • 人材登用は能力主義とする
  • 法令は簡素化する
  • 農民や商人に対し、5家で1組の「五人組」による互助組織を強化する
  • 学校を建設して教育を充実させる

といったものでした。

玄宰の藩政改革案に対して、3人の家老のうち2人は同調したものの、1人は反対します。これを受けて玄宰は、1人の家老は「別意」があることを付言した上で、容頌の判断を仰ぐことにしました。玄宰は、藩政改革を行うしかない状況であること、自分を含む3人の家老が合意していることを伝えて藩政改革案を提案すると、容頌は玄宰を支持。反対した家老は辞職し、1787年(天明7年)から玄宰による藩政改革が始まったのです。

3)藩外の知見を活用する柔軟さと、藩政改革をやり抜く強い意志を兼ね備えた名家老

3人の家老の役割分担のうち、玄宰は藩政改革の「本丸」ともいえる農林商工、財政、教育といった分野を担当しました。特に産業の振興に関しては、藩外から有能な技術者を招き、漆・漆器、酒造、養蚕・機織り・染色、陶磁器などの特産品の品質向上に成果を上げました。また、食用の鯉の養殖や、藩外への輸出用の朝鮮人参の栽培も導入しました。

そして、藩政改革の仕上げとも言えるのが、藩校「日新館」の拡充を始めとする教育改革でした。玄宰の教育改革により、日新館は、10歳以上の藩士の子弟全員が通う教育施設となりました。また、6歳以上10歳未満の子弟にも「什(じゅう)」というグループを作り、毎日集まって守るべき「什の掟」を復唱することを命じました。什の掟は、「年長者のいうことに背いてはなりませぬ」「虚言(うそ)をいうてはなりません」といった基本的なしつけに関する7箇条からなり、最後に

ならぬことはならぬものです

と結んでいます。一度は挫折しても、藩政改革をやり抜くという、玄宰の強い意志が表れた言葉ともいえるでしょう。

玄宰の下で藩政改革を進めた会津藩は幕末に、幕府を支える雄藩となります。倒幕軍に対して徹底抗戦した会津藩士の強い意志は、幼少時代からの教育によって培われたものだといえるかもしれません。

【参考文献】

会津若松市ウェブサイト「八重と会津博 八重とコラム 会津藩士・基礎の心得「什の掟」」

福島県ウェブサイト「八重のふるさと福島県 田中玄宰(はるなか)」

「なぜ会津は稀代の雄藩になったか:名家老・田中玄宰の挑戦」(中村彰彦、PHP研究所、2016年8月)

「武士道の教科書:現代語新訳日新館童子訓」(松平容頌、中村彰彦訳・解説、PHP研究所、2006年12月)

以上(2023年5月)

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画像:taka-Adobe Stock

令和4年の交通事故 死者数等の特徴と対策(2023/5号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

警察庁から公表されている「令和4年における交通事故の発生状況について」によると、全体の死者数は減少傾向にありますが、歩行中の死者数は増加しています。

令和4年の交通事故のポイントをお伝えしますので、交通安全の取り組みを推進し、交通事故の発生を防止しましょう。

1.交通事故死者数の推移と歩行者の事故状況

死者数の推移

交通事故死者数は、2,610人で昨年より26人減少し、警察庁が発表を始めた昭和23年以降の統計で最少人数となりました。

65歳以上の高齢者の死者数も、1,471人で昨年より49人減少しています。しかし、死者数における高齢者の割合は56.4%と依然として高い状況です。

出典:警察庁「令和4年における交通事故の発生状況について」(2023.4.6.閲覧)
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R04bunseki.pdf

交通事故の状態別死者数(図1)をみると、歩行中955人(36.6%)で昨年より14人増加し、最多となっています。

状態別死者数(図1)

状態別死者数

小学校低学年の児童や高齢者は歩行中に交通事故に遭うことが多く、次の特徴が示されています。

  • 歩行中児童(小学生)の通行目的別死者・重傷者数(図2)では、登下校中129人(39.1%)を占めています。
  • 高齢者の歩行者死者数(図3)では、横断歩道以外横断中329人(48.5%)で最多になっています。
  • 一方で高齢者の横断中事故の法令違反別死者数(図4) では、横断歩道横断中など歩行者に違反なしのケースが増加しています。

歩行中児童(小学生)の通行目的別死者・重傷者数(図2)

歩行中児童(小学生)の通行目的別死者・重傷者数

高齢者の歩行者死者数(図3)
※列車事故を除く

高齢者の歩行者死者数

高齢者の横断中事故の法令違反別死者数(図4)
※前年比較

高齢者の横断中事故の法令違反別死者数

出典: 警察庁「令和4年における交通事故の発生状況について」から当社作成

2.歩行者との交通事故の防止

歩行者との交通事故を防ぐには、子供や高齢者の行動特性を踏まえ、安全運転を徹底することが大切です。

◆子供

体が小さく物陰に隠れてしまい運転者から気が付きにくいことがあります。また子供は興味を引くものを見つけると、周囲の交通状況を確認せずに道路へ飛び出してくることがあります。

子供

◆高齢者

加齢に伴う身体機能や判断力の低下により、道路の横断に時間がかかる、車の接近に気が付かない、周囲の安全確認をせずに車の直前直後を無理に横断することがあります。

高齢者

≪安全運転の徹底≫

学校付近や通学路などでは、子供が飛び出す危険を想定して、スピードを落とし慎重に運転しましょう。高齢者の側方などを通過するときは、安全な間隔をあけ、減速や一時停止をするなど、思いやりのある運転を心がけましょう。

3.電動キックボードに関する事故状況

今回、電動キックボードに関する交通事故の発生状況が示されています。

令和2年から令和4年までの事故件数は年々増加しており、合計74件の事故が発生しました。今後、電動キックボードの利用者が増えれば、事故の増加が懸念されます。

電動キックボードに関連する交通事故件数・死傷者数

交通事故件数・死傷者数

※ 電動キックボードが第1当事者または第2当事者となった人身事故で、警察庁に報告のあった件数を集計

交通事故の相手当事者別では、車(四輪)が42%で最多となっており、運転者はより一層の安全運転が求められます。

相手当事者別(令和2年~令和4年)

相手当事者別

出典:警察庁「令和4年における交通事故の発生状況について」から当社作成

以上(2023年5月)

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従業員エンゲージメントの向上のために

昨今、多くの企業が人材流出、人材不足に苦慮しており、少子高齢化と人口減少が顕著になった社会において、採用を含めた人材確保が難しい状況になっています。こうしたことから、「人材マネジメント」に特化した課題を克服するために、エンゲージメントへの関心が高まっています。

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従業員エンゲージメントの向上のために

昨今、多くの企業が人材流出、人材不足に苦慮しており、少子高齢化と人口減少が顕著になった社会において、採用を含めた人材確保が難しい状況になっています。こうしたことから、「人材マネジメント」に特化した課題を克服するために、エンゲージメントへの関心が高まっています。

ここでの「エンゲージメント(engagement)」は、従業員の会社に対する愛着や思い入れの意味合いになります。従業員が仕事に没頭し、モチベーションを感じている「エンゲージメントが高い状態」は、企業の業績向上や従業員の定着に大きな効果があります。

本稿では、企業におけるエンゲージメントの実態を把握し、エンゲージメントを向上させるための主な施策をご紹介いたします。

1 エンゲージメントの現状

2022年度(2021年12月~2022年11月)に(株)ヒューマネージが実施したエンゲージメント・サーベイ(68,659名のデータ)の分析結果によると、若年層(20代)の社員のエンゲージメントが最も低く、年代が上がるほどエンゲージメントが高くなっています。

さらに、エンゲージメントの3つの状態(楽しみ/興味・関心/意義)について、年代別に見ると、特に20代、30代の若手従業員は、仕事に対して、「興味・関心」と「意義」は感じられているが、「楽しみ」は感じられていないという状態が読み取れます。

エンゲージメント・サーベイの分析結果

エンゲージメント・サーベイ

((株)ヒューマネージ「エンゲージメント・サーベイの分析結果」)

2 エンゲージメント向上の施策

企業が今以上に従業員のエンゲージメントを向上させるには、下記のような施策を講じることが、有効となります。

エンゲージメントの現状把握

従業員が仕事に対してどのような意識を持ち、会社にどのような印象を持っているのか、社内アンケートなどで現状把握する。

経営層からのメッセージ発信

社長や経営者から、企業理念や今後の展望についてメッセージを伝え、会社全体で統一されたビジョンを共有する。

相応しい人事評価制度の構築

従業員に不公平感を感じさせない納得感のある評価基準を設け、客観的で明確な人事評価制度を構築する。

コミュニケーションの活性化

従業員がオープンに意見を言い合える風通しの良い企業風土を形成し、心理的安全性を高め、会社への帰属意識の向上を図る。

快適に働ける職場環境の構築

従業員が各々に適した業務に就けるよう適材適所の配置を行い、全ての従業員が健全に働けるように労働環境を整備する。

ワークライフバランスの向上

家事や育児・介護との両立ができる働き方の改革や福利厚生の充実を図り、プライベートも大事にしながら働ける会社にする。

3 さいごに

2023年3月期決算以降、上場企業などを中心に人的資本情報の開示が義務化され、「エンゲージメント」は、開示が望ましい19項目のひとつにも挙げられました。このように「エンゲージメント」は、人材マネジメントにおける重要な概念としてその立ち位置を強めています。

人材の流動化や労働力人口の減少で人材の確保が難しくなっている現代において、企業と従業員の関係性を深め、生産性や定着率の向上を目指す取り組みは、企業が成長するための最優先課題の一つと言えるかも知れません。まずは自社で取り入れられる施策から着手してみてはいかがでしょうか。

※本内容は2023年4月13日時点での内容です
(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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経営者・役員の退職金制度の税務・財務のポイント

基本的に役員退職金は法人の損金として計上が可能であるため、所有と経営が一致しているオーナー会社等では、恣意的なお手盛り計算が行われる可能性があります。そのため、法人税法においては「不相当に高額」な部分については損金不算入とされています。役員退職金の税法上の基本的な考え方や適切な計算方法、対策について解説していきます。

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【朝礼】そっくりそのまま真似てみろ

皆さんは、マニュアルをそっくりそのまま真似したことがありますか。皆さんの中に「マニュアルなんて大して役に立たない」と考えている人がいるなら、その考えは改めて欲しいと思います。

私は、マニュアルやお手本といったものはとても重要だと思っています。もし、皆さんが何かを習得しようとしているならば、マニュアルやお手本をすべて暗記し、そっくりそのまま真似できるようになってください。マニュアルやお手本は物事の基本を押さえ、そして解説しているものです。だから、これらを覚え、真似できれば、基本を身に付けることができます。

「学ぶ」という言葉の語源は「まねる」だといわれています。例えば、書道を習得するには、誰でも、お手本を忠実に書き写すことから始めます。噺家は師匠の噺を聞いて、それを見て聞いて覚え、自分のものとします。将棋は最善とされる手順や駒組みである定跡を覚え、その定跡通り指し進めることを繰り返します。剣道・柔道などの武道をはじめ、野球・サッカーなどのスポーツは、基本の動きができるようになるまで繰り返し練習します。このように早く上達するコツは、上級者の形や考え、動きを真似ることです。

この段階では、「なぜ、そうするのか」を分からなくてもよいのです。形を真似る、話し方・身振り・手振りを真似る、指し手を真似る、動きを真似ることができれば、その理由を分からなくても、上達できるからです。サッカーが上手になりたい子供が、有名サッカー選手の真似をするのは、実は理にかなっているのです。

この「真似る」という行為は、本当に奥が深いのです。先にマニュアルの話をしましたが、マニュアルはできる人の行為を、文書化したものと考えてください。マニュアルを正確に真似るだけで、皆さんのビジネススキルが上達するのです。

皆さんが、仕事ができるビジネスパーソンになりたいのであれば、モデルとなる人物を見つけて、真似をしてください。身近にモデルとなる人物がいなければ、尊敬する人物の書籍を読み、その人物の考え方や物事への取り組み姿勢を真似てください。

身近なところ、例えば、上司や先輩にモデルとなる人物がいたら、とても幸せなことです。「仕事ができるようになりたいのです。挨拶の仕方から、仕事に対する姿勢、コミュニケーションの方法などすべてを教えていただけますか。教えはすべて受け入れます」とお願いしてみましょう。間違いなく、その上司や先輩はあなたのことを可愛がってくれます。はじめのうちは、何のためにそうするか、どうしてそのように考えるのかは分からなくてよいのです。上司や先輩を真似ているうちに、上司や先輩の言うことをすべて聞いているうちに、いずれその意味が分かってきます。

こうして仕事に対する考え方や時間の使い方などすべてをそっくりそのまま真似てみると、1年後、自分自身がビジネスパーソンとして成長していることに気付くでしょう。そして、1年前には分からなかった「なぜ、そうするのか」が分かるようになり、謎が解けるのです。

以上(2023年5月)

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画像:Mariko Mitsuda

リフレクションを学びにつなげよう

1 リフレクションとは?

近年、人材育成の場面でリフレクション(reflection)が注目されています。リフレクションは直訳すると“反射”という意味ですが、人材育成におけるリフレクションは、経験や自分の内面を客観的・批判的に振り返る“内省”という意味で使われます。経済産業省が提唱する「人生100年時代の社会人基礎力」においても、あらゆるスキル習得の前提となる力と位置付けられており、リフレクションを鍛えることで、経験から自ら学び、自分をアップデートする力を身に付けることができると考えられています。

2 自分で気づけば主体的に学習できる

リフレクションによって自分で考え、自分で学べるようになることは、人に言われて学ぶよりもモチベーションが保ちやすいといわれています。

子どものころ周囲の大人から「宿題しなさい」と言われ、やる気がなくなった記憶がある人は多いでしょう。他人から指摘されたり強制されたりすると、自分で始めた場合よりもモチベーションが下がりがちです。他人から言われる前に自分で改善点を見つけ主体的に行動できれば、成長しやすくなるでしょう。

3 無意識に行っているリフレクション

リフレクション=内省(振り返り)というと、何となく哲学の用語のようで、難しそうな印象を受けるかもしれません。しかし、実は誰もが意識せずに自然にリフレクションをしています。

例えば、仕事で頼まれていた資料を提出期限までに作成できなかったら、誰に言われなくても遅れてしまった理由を考えるでしょう。できごとの原因と結果を推測するのも、リフレクションの1つです。

本稿では、こうしたわたしたちが自然に行っているリフレクションの内容を改めて整理し、経験から多くを学ぶための考え方を紹介します。

4 リフレクションと“経験学習モデル”

リフレクションの具体的な内容を説明する前に、リフレクションが注目された背景を理解するため、デイヴィッド・コルブが提唱した“経験学習モデル”を紹介します。経験学習モデルは、人が経験したことを振り返って学んでいくプロセスを示した理論です。

経験学習モデルとは、4つのプロセスを繰り返すことで、ただ経験を重ねるだけよりも大きな学習効果を得られると考えています。

1.でまず経験をしたら、2.では俯瞰(ふかん)的な視点でその経験からいったん離れ、自分の行為や感情、できごとの意味を整理します。3.では2.で得られた教訓や法則を整理し、4.で実際の業務や次のアクションに落とし込みます。

リフレクションは、この4つのプロセスのうち、2.のプロセスに当たります(3.や4.のプロセスを含めることもあります)。リフレクションの力を鍛えることで、一見しただけでは分からない問題の本質に気づき、経験したことがない問題を解くヒントを得られるようになります。

5 リフレクションの4つのレベル

リフレクションは、過去の経験を未来に活かすことが目的です。リフレクションの日本語訳である“内省”と似た言葉に、“反省”がありますが、反省は過去の失敗や過ちに対して行うのに対し、リフレクションはポジティブなできごと(成功体験)に対しても行います。失敗したか成功したかにかかわらず、経験を知恵に変えることが大切だからです。

1つの経験から複数の教訓を得るには、できごとの原因と結果を整理するだけでは不十分です。また、問題の原因を他者や環境に求めるだけでは、有効な対策をとることはできません。そこで、リフレクションは学びの質を向上させるため、次の4つのレベルに分けて行います(注)。

(注)ディスカヴァー・トゥエンティワン「リフレクション = REFLECTION : 自分とチームの成長を加速させる内省の技術」(熊平美香、2021年3月)を参考にしています。

レベル1:結果のリフレクション

できごとや結果についてのリフレクションです。事実を正しくとらえることは大事ですが、このレベルのリフレクションに終始していると、経験を学びに変えることはできません。

レベル2:他責のリフレクション

他者や環境についてのリフレクションです。一見正しい有意義な学びですが、他者や環境に原因を求めていては、未来を変えるヒントを得ることはできません。

しかし、実際には多くの人がこのレベル2にとどまってしまいます。なぜなら「指導に時間を費やしているのに部下が育たない」というような課題があった場合、部下の課題ばかりに目が行って、自分の関わり方や指導方法に目を向けるのは難しいからです。

他責

レベル3:行動のリフレクション

自分の行動についてのリフレクションです。自らの行動を振り返り、結果と結びつけることで、次にとるべき行動が見えてきます。

とはいえ、「自身の行動を振り返っても、状況を変えることができない」と悩んだ経験がある人も多いでしょう。経験を振り返っても、次の打ち手を試してみても課題を解決できないときは、経験の前提にある内面に意識を向ける必要があります。

レベル4:内面のリフレクション

自分の内面・持論についてのリフレクションです。私たちの行動の前提には、「こうすれば、うまくいくはずだ」という考えがあります。意識せずとも、過去の経験で培った知恵を活かし、日々行動しているのです。そうした行動の前提にある持論を振り返ることで、行動の前提にある自分の価値観を俯瞰します。

自分の行動が他者や結果にどんな影響を与えたか、もし適切な行動がとれなかったとしたらそれはなぜなのか、ということまでリフレクションを深めることで、望ましい結果を導く適切な行動をとれるようになります。

変化の激しい時代には、前例を踏襲するだけではうまくいく保証はありません。そのため、現代は自己の内面を振り返るレベル4のリフレクションの重要性が高まっているといわれます。

6 なぜ感情や価値観と向き合うことが大切なのか

自覚するのは簡単ではありませんが、わたしたちの行動や考え方には、感情や価値観が深く関わっています。例えば、仕事ができる人がマネジャーになると、部下に仕事を任せるべきだと分かっているのに「自分でやったほうが早い」と、なかなか仕事を周囲に振れないことがあります。頭では、部下に仕事を任せる方法を学ばなければならないと分かっていても、できないのです。

そうした人の話を詳しく聞いてみると、実は「人に指示を出す口先だけの人より、自分で率先して動いて解決する人のほうがかっこいい」といった価値観を持っていることがあります。いまの状況に合った行動ではなく、自分の価値観に合った行動を無意識に選んでいるのです。

できごとの原因と結果を正しく認識するだけでは、自分の行動や考え方を変えられないのはこのためです。しかも、この価値観の根っこにその人のご両親が忙しく働いていた姿などがある場合、本人にはなかなか自覚できないのです。

リフレクションによって自分でも忘れてしまった価値観に自覚的になると、変化を受け入れやすくなります。

【参考文献】
ディスカヴァー・トゥエンティワン「リフレクション = REFLECTION : 自分とチームの成長を加速させる内省の技術」(熊平美香、2021年3月)

以上(2023年5月更新)

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一人でリフレクションをしてみよう

1 リフレクションで学びを加速する

1)思い込みが学習を邪魔する

朝、上司の顔を見た瞬間に「機嫌がよさそう/悪そうだ」と判断することはありませんか? それはこれまでの上司との付き合いから無意識にしているからです。このように、これまでの経験や知識・ものの見方などを基にした判断は無意識に行えるので早く思考できますが、信ぴょう性が薄い知識を基にすると、現状に合っていないものの見方で判断してしまうことも少なくありません。

実際、過去の常識にとらわれて、本当は見えているはずの徴候が見えなくなることがあります。「現代は技術の進歩が速い」と何度も聞いていたのに、新型コロナウイルス感染症が拡大するまで、多くの企業においてリモートワークが実現できるとは思っていなかった人がほとんどでしょう。リフレクションは、わたしたちが無自覚に行っているこうした認知・判断のプロセスを客観的・批判的に振り返ることで、新しい知識・考え方を取り入れやすくするといわれています。

2)自分の思い込みをつくる認知の4点セット

思い込みはどうやってできるのかを理解するため、意見ができる過程を考えてみましょう。わたしたちは同じものを見ても、背後にある価値観が違えば全く別の意見を持つことがあります。その際の価値観は、過去の経験やそのときの感情などに基づいています。

例えば、犬が好きな人と嫌いな人の認知の違いを見ましょう。同じ犬について考えているのに、過去の経験やそのときの感情によって、全く異なる意見になっています。

犬が好きな人と嫌いな人の例

こうして4つの視点で俯瞰(ふかん)してみると、自分の意見がどうやってできたか、また他の人の意見がなぜ違うかを理解しやすくなります。

この4つの視点は、次のように言い換えることもできます。

  • 意見:考え・学び・思ったこと
  • 経験:意見の背景にある経験(意見の根拠)、情報
  • 感情:その経験や知識に対してどのような感情を抱いているか
  • 価値観:判断に用いた基準や尺度、ものの見方

この4つの視点を意識して多角的な見方ができれば、1つの意見に固執することが少なくなるので、1つの経験から複数の教訓が得られ、学習のスピードも速くなるでしょう。

犬好き猫好き

2 一人でリフレクションするときのポイント

人材育成の場面では、会社の上司や同僚とリフレクションすることが多いかもしれません。確かに一人でリフレクションをすると、自分以外の意見や経験には触れられないというデメリットはありますが、自分自身と落ち着いて向き合えるというメリットもあります。

リフレクションにあまり慣れていない人が、一人で始める場合のポイントを紹介します。

1)記録をとる

リフレクションは、経験や自分の内面を客観的に見ることと、変化が分かるようにすることが大切です。ノートに書いたり、スマホに打ち込んだりしてみましょう。また、リフレクションを行う頻度・期間(毎日、毎週、2週間ごと、1カ月ごとなど)を決め、その間に起きたできごとを上述した4つの視点に分けて分析します。文字にすることで客観視でき、後から見返すことで自分の変化に気づいたり、逆に未解決のまま放置されている課題が見つかったりします。

2)昔の経験から学ぶ

リフレクションの基本は、自分が感じていることを当たり前と思わず、「なぜこんなふうに感じたのだろう。他の感じ方はないだろうか」と自分に問いかけてみることです。振り返る対象を、最近経験したできごとだけではなく、もっと前のできごとやこれまでの人生に広げてみると、思わぬ発見があるでしょう。

例えば、昔は失敗だと思っていたことが今の自分には大きな糧になっていたり、逆に成功体験だと思っていたことから、間違った学習をしていたりします。当時は正しかった価値観が現状に合わなくなっていると気づくこともあるでしょう。

また、自分の感情に注目してリフレクションしてみると、役立つ法則が見つかるかもしれません。頑張れた経験や夢中になれた経験には、自分で自分のモチベーションを上げるヒントが隠れています。

3)問いかけでリフレクション力をアップする

リフレクションに慣れてきたら、自分が結果、他責(他者・環境)、行動、価値観のどこについてリフレクションすることが多いのかをチェックしてみましょう。リフレクションのレベルを上げることで、自分で自分の価値観をアップデートし、変化に対応できる力が身に付いていきます。

リフレクションのレベルを上げるための問いかけの例

【参考文献】
ディスカヴァー・トゥエンティワン「リフレクション = REFLECTION : 自分とチームの成長を加速させる内省の技術」(熊平美香、2021年3月)

以上(2023年5月更新)

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チームでリフレクションをしてみよう

1 リフレクションで学びを加速する

1)思い込みが学習を邪魔する

朝、上司の顔を見た瞬間に「機嫌がよさそう/悪そうだ」と判断することはありませんか? それはこれまでの上司との付き合いから無意識にしているからです。このように、これまでの経験や知識・ものの見方などを基にした判断は無意識に行えるので早く思考できますが、信ぴょう性が薄い知識を基にすると、現状に合っていないものの見方で判断してしまうことも少なくありません。

実際、過去の常識にとらわれて、本当は見えているはずの徴候が見えなくなることがあります。「現代は技術の進歩が速い」と何度も聞いていたのに、新型コロナウイルス感染症が拡大するまで、多くの企業においてリモートワークが実現できるとは思っていなかった人がほとんどでしょう。リフレクションは、わたしたちが無自覚に行っているこうした認知・判断のプロセスを客観的・批判的に振り返ることで、新しい知識・考え方を取り入れやすくするといわれています。

2)自分の思い込みをつくる認知の4点セット

思い込みはどうやってできるのかを理解するため、意見ができる過程を考えてみましょう。わたしたちは同じものを見ても、背後にある価値観が違えば全く別の意見を持つことがあります。その際の価値観は、過去の経験やそのときの感情などに基づいています。

例えば、犬が好きな人と嫌いな人の認知の違いを見ましょう。同じ犬について考えているのに、過去の経験やそのときの感情によって、全く異なる意見になっています。

犬が好きな人と嫌いな人の例

こうして4つの視点で俯瞰(ふかん)してみると、自分の意見がどうやってできたか、また他の人の意見がなぜ違うかを理解しやすくなります。

この4つの視点は、次のように言い換えることもできます。

  • 意見:考え・学び・思ったこと
  • 経験:意見の背景にある経験(意見の根拠)、情報
  • 感情:その経験や知識に対してどのような感情を抱いているか
  • 価値観:判断に用いた基準や尺度、ものの見方

この4つの視点を意識して多角的な見方ができれば、1つの意見に固執することが少なくなるので、1つの経験から複数の教訓が得られ、学習のスピードも速くなるでしょう。

2 チームでリフレクションする前の留意事項

リフレクションは、人材育成の場面で使われることの多い言葉です。会社で聞いて知ったという人も多いでしょう。リフレクションをチームで行うと、他人の意見を知ることで自分の意見を相対化し、事実関係を俯瞰して見やすいといったメリットがあります。

ただし、チームでリフレクションをするなら、次の点を理解しておく必要があります。特に、会社で業務として行う場合は、せっかくの時間を無駄にしないよう事前準備も必要です。

1)会社が何を求めているのか

会社やチームの状態などによって、リフレクションの目的は違います。一般的にはメンバーの考える力や自律性を高めるために行いますが、リフレクションの日本語訳である“内省”には似た意味の言葉に、“振り返り”があります。

振り返りは、“過去のできごとなどを客観的に振り返る”という意味ではリフレクションと同じですが、リフレクションより現実に取り組んでいる業務や活動の改善にフォーカスして使われることが多いようです。会社によっては振り返りとリフレクションを区別せずに使っている場合がありますが、実際に会社・チームでリフレクションをする場合は、メンバーに何を期待するかを整理し、きちんとメンバーに説明するようにしましょう。

2)リフレクションは他のメンバーと信頼関係を築く力や対話力が求められる

チームでリフレクションをする場合、メンバー同士が本音で話し合える信頼関係が必要です。

仕事をするときは通常、感情をコントロールし、相手に自分の感情を見せないようにしています。しかし、リフレクションでは自分の意見をはっきり伝えたり、感情を表現したりしなければなりません。さらに、メンバー同士の意見が食い違った場合、感情をコントロールしながら自分と違う意見を持った人の話を聞き、話し合う対話力も求められます。

チームリフレクション

こうした能力は誰にでもはじめから備わっているわけでなく、身に付けるのは決して簡単ではありません。さらに、メンバーに役職の違いや利害の対立があることもあります。なかなか本音で話せないのを前提にし、いくつかの段階を踏むのがよいかもしれません。

例えば、メンバーが本音で話せる関係を築くことを目標にし、次のような点に配慮して始めてみてもよいでしょう。

  • 参加者を希望者だけにし、3~4人など少人数で始める
  • 定期的に、時間を決めて行う
  • 4つの視点(意見・経験・感情・価値観)を共有するだけにする
  • リフレクションの4つのレベル(結果・他責・行動・内面)のうち、結果に集中する
  • 結果に至るまでの過程で起きたできごとをチームで話し合い、時系列で並べる。起きたできごととともに、自分がどのような気持ちだったかを共有する
  • リフレクションは成果が見えにくく、時間がかかることを理解する
  • 意見が対立して感情的になることがあっても、対話の練習になったとプラスに捉える

このような点を押さえて会話をするだけでも、相手が感情的になるポイントや大切にしている価値観を知ることができ、お互いの理解が進み、だんだんと本音を言いやすくなるはずです。

また、リフレクションの手法はいくつか種類があるので、複数の方法を試してみてもよいかもしれません。

3 チームでリフレクションするときのポイント

リフレクションにあまり慣れていない人たちが、チームとして行う場合のポイントを紹介します。

また、チームでリフレクションする場合でも、一人でリフレクションする時間をとってみるとよいでしょう。チームのリフレクションでは対話が中心となり、自分自身についてのリフレクションがおろそかになることがあります。

1)メンバーの意見を取り入れる

チームでリフレクションをする大きなメリットは、他人の意見を聞けることです。一人では見逃していたできごとや自分にはないものの見方はそれだけで刺激になります。

ただし、自分と意見が異なる人の話を聞くと自分が否定されたと感じ、感情的になることがあります。冷静に話し合えず、気まずくなることもあるかもしれません。しかし、それはリフレクションをしていれば起こり得ることです。“正解は1つである”という考えから抜け出て、違う意見があることを受け入れましょう。

その上で、冷静に相手の話を聞き対話をする努力をします。対話によって自分の意見が変わったら、柔軟に思考できるようになったとポジティブに考えましょう。普段わたしたちはたくさんの会議をしますが、それは集合知によって一人で考えるよりも優れた答えを導くためです。自分の意見に固執する必要はありません。

意見にまったく共感できないと思っても、最初から決めつけず相手の話の4つの視点に分けてしっかり聞き、共感するよう努力をします。最終的に受け入れないと決めたとしても、そうした意見を踏まえて結論を出したほうが、自分が最初に持っていた意見が洗練されるはずです。

2)自分と会社の関係を見直す

リフレクションのレベルが上がってきたら、メンバー個人の価値観と、会社の理念や価値観を結びつけて考えてみましょう。わたしたちのモチベーションの源泉は、大事にしている価値観や強い感情です。なぜこの会社で働くのか、何を実現したいのかをはっきり自覚することは、困難に直面したときでも自分の理想に向かって努力する助けになるでしょう。

ただしそのためには、メンバーだけではなく会社自体のビジョン・目的がはっきりしていなければなりません。もし会社が何を目指し、どのように実現したいのかが曖昧なのであれば、まずはそれについて議論してみてもよいでしょう。

【参考文献】
ディスカヴァー・トゥエンティワン「リフレクション = REFLECTION : 自分とチームの成長を加速させる内省の技術」(熊平美香、2021年3月)
翔泳社「アジャイルなチームをつくるふりかえりガイドブック: 始め方・ふりかえりの型・手法・マインドセット」(森一樹、2021年2月)

以上(2023年5月更新)

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【朝礼】そうだ、人は見た目だ

相手に好印象を持ってもらうためには、見た目がとても大切です。

皆さんが一緒に仕事をしたいと思う人はどのような人なのかを考えてください。やはり、だらしない服装であったり、清潔さが感じられなかったりする人よりは、身なりが清潔で、明るくハキハキしている人と一緒に仕事をしてみたいと思うでしょう。

また、話を聞くにしても、いいかげんな身なりの人の話は、なんとなく信用できない気持ちになります。これほどまでに、外見が人に与える印象は大きいのです。

「足下を見る」という言葉もありますが、初対面でもその人の服装を見れば、大体の経済力や職業など、いろいろなことを推測できます。

随分昔のことですが、中高生といった思春期のころには、外見を気にするようになります。その当時、自分では精一杯おしゃれをしたつもりなのですが、大人から見れば、だらしない髪形や服装ということがしばしばあります。当時、高校の生活指導の先生は、ある生徒に「先生は人を見た目で判断するのですか」と問われ、「そうだ。人は見た目だ」と断言しました。高校生の私は「そんなことはないだろう。言いすぎだ」と思いました。

しかし、今では、生活指導の先生が言っていたことが理解できます。世の中では、見た目で判断される(する)ことがあまりに多いためです。

人を判断する際には、第一印象が強く影響します。実際、皆さんも初対面の人と会ったときに抱いた印象は、後々まで残っているでしょう。

そして、その第一印象を決定付けるのが外見なのです。

初対面の際、名刺交換しただけでほとんど会話ができない場合、その人の印象は外見だけしか残りません。例えば、初対面がさわやかな人で好印象であれば、その印象に大きな変化はありません。そう考えると、出会った瞬間に相手に対して与える印象を良くすることは、ビジネスを良い方向に結びつけるためにとても大切であることが分かります。

では、相手に好印象を持ってもらうためにはどうしたらよいでしょうか。よく、内面が外見ににじみ出る、という表現がされますが、内面を磨き上げるのには時間がかかります。

一方、外見を変える、例えば、「制服に着替える」「スーツや礼服を身に着ける」と気持ちが引き締まる効果があります。この変化は、外見を整えることで内面にも変化をもたらしているという良い例です。

まずは、外見に気を配りましょう。具体的には「身なりを整える」「姿勢を正しくする」「礼儀正しく振る舞う」「人と会う前には鏡で服装をチェックする」などです。そうすることによって他人に与える印象だけでなく、自らの心構えも変わっていきます。

内面は外見についてきますから、いずれは、モノの考え方や日常的な態度に変化が表れてきます。外見に気を配ることで、人として成長もできるのです。

以上(2023年5月)

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画像:Mariko Mitsuda