【朝礼】あなたはヤマメか、サクラマスか

今日は皆さんに、問題を出したいと思います。皆さんはヤマメという魚と、サクラマスという魚の違いを知っていますか?

ちょっと意地悪な問題なのですが、正解は、「違わない」のです。生物学的には、両方ともサケ科の同じ種類の魚です。しかし、その生き方は全く異なります。川に一生住み続ける“陸封(りくふう)型”と呼ばれるのがヤマメで、川を下って海で育つのがサクラマスです。

では、ヤマメとサクラマスとの運命の分かれ道はどこにあるのでしょうか? その答えは、両者が生まれて約1年後に激烈を極める、縄張り争いにあります。体の小ぶりなヤマメが争いに敗れ、居場所を失って川を下るそうです。

海に出たヤマメは、川よりも天敵の数も種類も多い海で、危険にさらされながら生きることになります。ですが、海には餌となる小魚が豊富にいます。川に居続けるヤマメの大きさが20~30センチメートルほどなのに対して、海で生き延びたヤマメ、つまりサクラマスは、2倍以上の70センチメートル程度にまで成長します。そして海に出てから約1年後、産卵のために生まれた川に“凱旋”するのです。

ヤマメと比べて体の大きなサクラマスのほうが産み落とす卵の数は多く、子孫を残せる可能性が高くなります。つまり、一度は競争に負けたヤマメが約1年後にサクラマスとなり、川に残っていたヤマメに逆転勝ちするのです。

皆さんはこの話を聞いて、ヤマメとサクラマスのどちらになりたいと思いましたか? 私はかつてサクラマスの生き方に憧れて、積極的に広い世界に出て、学び、成長したいと考えたものです。

しかしながら、今の考えは違います。私が今、なりたいのは、ヤマメでもサクラマスでもありません。ヤマメやサクラマスを育む、川になりたいのです。

この会社にも、さまざまなタイプの人がいます。1つの仕事をコツコツやり遂げるヤマメタイプの人もいますし、社外でいろいろと学んでスキルアップをしたいと考えているサクラマスタイプの人もいます。

どちらの生き方も素晴らしいことですし、私はそれぞれの生き方を応援したいと思っています。今の仕事の専門性を高め、極めたいと考えている人には、それにふさわしい場所を与えられるようにします。外の広い世界で学び、成長したいのであれば、むしろ積極的に後押しして送り出したいと思っています。ヤマメは川で、サクラマスは海で、それぞれ精いっぱい生きているのですから、どちらも胸を張ってよいのではないでしょうか。

私はこの会社を、ヤマメやサクラマスが生き生きと泳げる、川のような会社にしたいと思っています。皆さんは、自分の思うような生き方をしてください。そして、自分と生き方や考え方の違う人とも、認め合える関係を築いていってください。

以上(2022年2月)

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画像:Mariko Mitsuda

不正競争防止法~顧客情報やノウハウなどの営業秘密を守る~/意外と知らない「知的財産権」シリーズ7

書いてあること

  • 主な読者:顧客情報やノウハウなどの営業秘密を保護したい経営者
  • 課題:営業秘密を保護するためには、何をしておけばよいか分からない
  • 解決策:情報にアクセス制限をかけたり、「社外秘」などと表示したりして、その情報が秘密であることが認識できるようにしておく

1 顧客情報やノウハウなどの営業秘密を保護する

顧客情報や製造設計書、各種のノウハウなど、職場では、会社が競争力を維持するために極めて重要な情報(営業秘密)が、従業員の目に触れる場所に存在しています。もし、従業員がこれらの情報を無断で持ち出してライバル企業に売り渡したり、転職や独立をしてしまったりしたら、会社はどのような対応を取ることができるでしょうか?

顧客情報などの営業秘密は、特許法などの産業財産権法の保護対象として権利を取得するのは難しいですが、不正競争防止法による保護を受けられます。ただし、全て法的に保護されるというわけではないので、

適切な保護を受けるために、事前に会社がやるべきこと

があります。以降で確認していきましょう。

2 営業秘密の流出事件と不正競争防止法の適用例

不正競争防止法では、他人の技術開発、商品開発等の成果を冒用する行為等を不正競争として広く禁止しています。不正競争防止法では、次のような行為を禁止し、差止め・損害賠償の対象としています。

  • ブランド表示の盗用
  • 形態模倣等
  • 営業秘密の不正取得、使用、開示

では実際に、営業秘密が流出し、不正競争防止法によって差止め・損害賠償の対象となったケースを紹介します。

1)顧客情報の流出:退職従業員が競合他社の副社長の地位と引き換えに

・事案
オークションで落札した中古車を海外顧客にインターネット経由で販売するシステムを開発し売り上げを伸ばしていた原告企業において、退職従業員が退職直前にアクセス権限を悪用して原告企業の顧客情報を複製して持ち出し、副社長としての地位を約束されていた被告企業(中古車販売業者)に流したうえで、その顧客情報を用いて中古車を販売していた事案です。

・判決(大阪地方裁判所 平成25年4月11日判決)
顧客情報の使用差止め、廃棄、および不正取得を行った退職従業員(個人)に約1億3000万円、当該顧客情報を不正使用した被告企業2社に、それぞれ約9000万円と約5000万円の損害賠償責任が認められました。

2)技術情報の流出:独立した元幹部らがデータを持った従業員を引き抜く

・事案
半導体全自動封止機械装置を製造する企業の常務取締役らが、退職直前に、自ら設立した会社に原告企業の従業員を引き抜き、その持ち出した封止用金型を構成する一部の部品に関する図面のCAD(コンピューター支援設計)データを、自社の製造販売事業に利用した事案です。

・判決(福岡地方裁判所 平成14年12月24日判決)
技術情報の使用差止め、廃棄、および不正取得・不正使用した被告企業と原告企業の元常務取締役らに約4億円の損害賠償責任が認められました。

このように過去の事案においても、裁判所は、顧客情報、技術情報いずれの持ち出しに対しても、1億円以上の高額な損害賠償責任を認めています。最近でも、ソフトバンクが、楽天モバイルに移籍した元従業員が退職に際して5G関連の技術情報を持ち出し、営業秘密を不正取得・不正使用されたと訴訟を提起しました。ソフトバンク側は、「控えめに見積もっても1000億円を下らない」と主張していることは、報道されている通りです。

営業秘密の不正取得等に関する事件は、従業員が退職に際して会社の営業秘密を持ち出すというケースが多く、しかもその退職従業員と受入先会社とが裏でつながっていることも多々あることから、当事者間の対立は激しく、解決にかなりの期間を要することとなります。

また、従業員の退職は待遇面などでの不満を理由とする場合が少なくないことから、営業秘密を持ち出した退職従業員を全面的に責めるべきかどうか分からない、という価値判断が働く場面もあるでしょう。そこでやはり、会社としても営業秘密の漏洩に十分な対策をしておく必要があります。

3 「営業秘密」として保護されるための3要件

不正競争防止法上の「営業秘密」として保護されるためには、次の3要件(不正競争防止法第2条第6項)を満たす必要があります。

  • 秘密管理性(秘密として管理されていること)
  • 有用性(事業活動に有用な技術上または営業上の情報であること)
  • 非公知性(公然と知られていないものであること)

1)秘密管理性

「秘密として管理されている」とは、

客観的に秘密として管理されている状態

のことです。まず重要なことは、

社外秘の表示、秘密管理規程の整備、従業員教育や啓発活動など、比較的簡単にできる対策をしっかりやっておくこと

だといえます。裁判所は秘密管理性について、次の2つの要素を考慮しています。

1.その情報にアクセスできる者が制限されていること(アクセス制限)
具体的には、次のような例が挙げられます。

  • 対象となる情報へのアクセスにパスワード等が要求されている(特に退社意思表明後)
  • 当該情報が暗号化されている
  • 当該情報がインターネット等のネットワークに接続されていないパソコン、その他隔離された場所で保管されている
  • 使用後に回収・廃棄・処分が行われている
  • 当該情報を閲覧・複製・持ち出しできる者が限定されている

2.その情報にアクセスした者に、当該情報が営業秘密であることが認識できること(客観的認識可能性)
具体的には、次のような例が挙げられます。

  • 媒体に「マル秘」「社外秘」などと表示されている
  • 就業規則・秘密管理規程・誓約書(入社時・退社時)などにおいて、営業秘密となる文書がリスト化されている
  • 定期的な研修等において、営業秘密に該当する情報や取り扱いについて注意喚起がされている

このうち、「アクセス制限」については、特に中小企業にとっては、現場の効率性や対策予算などを考えると、すぐには対応できない場合もあるかと思います。しかし、「アクセス制限」と「客観的認識可能性」は、秘密管理性の有無を判断する重要なファクターであるものの、それぞれ別個独立した要件ではなく、「アクセス制限」は、「客観的認識可能性」を担保する一つの手段であると考えられています。

つまり、必ずしも「アクセス制限」が完璧でなかったとしても、「客観的認識可能性」がある場合、情報にアクセスした者にとって、その情報が「秘密」であると認識できる場合には、「秘密管理性」が認められ得ると理解されています(経済産業省「営業秘密管理指針」)。

なお、実際の事案では、以下のような場合に秘密管理性が否定されていますので注意が必要です。

  • PCを操作する者が限定されておらず、パスワードでアクセス制限がかけられているわけでもない情報、机上や無施錠のキャビネットに保管され、社内の誰もが自由に閲覧できるファイルや袋に入れられている情報であって、秘密表示のないもの(東京地判平成11年5月31日「化学工業薬品事件」)
  • 社外秘等の表示がなく、社外に預ける際も秘密保持契約を締結しない場合は、従業員に対する関係では、秘密管理性がない(京都地判平成13年11月1日「人工歯事件」)
  • 同種書類中の一部のみにマル秘の押印があるだけで、同じ内容の情報がパスワードのない状態でPCに保存されている場合も、秘密管理性はない(東京地判平成12年12月7日「車両変動状況表事件」)

2)有用性

「有用である」とは、

「財やサービスの生産、販売、研究開発に役立つ」(平成12年(ワ)第9499号)こと

と理解されています。

従って、過去に失敗した実験データなども、不要な研究開発費用を回避できるとして有用性は肯定されます。一方、技術情報であっても技術的価値の低いものや、企業の脱税スキームなど反社会的な情報は法的保護に値せず、有用性は否定されるため、不正競争防止法で保護されるべき「営業秘密」には該当しません。

実際の裁判例では、以下のような情報について、有用性を否定する判断がなされています。

  • 被告において決められていた小型USBフラッシュメモリの寸法に応じて、公知の技術をどのように組み合わせて各部品を配置するかは、当業者であれば、通常の工夫の範囲内において適宜選択・決定する設計的事項であるということができ、当該組み合わせによって、予測外の格別の作用効果を奏するものとも認められないから、有用性があるとは認められない(東京地裁平成23年3月2日、知財高裁平成23年11月28日)
  • セメントに炭素を混合することが開示されている以上、炭素を混合するに当たり、偏りのないよう均一に混合するというのは、当業者であれば、通常の創意工夫の範囲内において適宜に選択する設計的事項にすぎず、有用性があるとは認められない(大阪地裁平成20年11月4日)
  • エルメスのバーキンに酷似したバッグに、独自の標章を付して廉価で販売することにより、エルメスに憧れながら買えないでいる消費者層に、商品展開を行う方法に関する情報には有用性がない(東京地裁平成13年8月31日)

3)非公知性

「公然と知られていない」とは、

その営業秘密が一般に知られていない状態、または容易に知ることができない状態

をいいます。従って、仮に外国の刊行物にその営業秘密が記載されていたとしても、その取得に時間的・資金的に相当のコストを要する場合には、非公知性は否定されないということになります。

また、営業秘密はさまざまな知見を組み合わせて一つの情報を構成していることが通常ですから、すでに刊行物に掲載されている情報の断片から、営業秘密に近い情報が再構成できるからといって、そのことをもって直ちに非公知性が否定されることにはなりません。

非公知性が問題になりやすいケースとしては、リバースエンジニアリングによる非公知性の喪失があります。つまり、リリースされた製品などを見たり解析したりすれば、容易にその内容が分かるというような場合は、すでに「公知」になったものとして、その情報はもはや「営業秘密」としては保護されない、というものです。

裁判例では、次のような事案がありますが、判断基準としては、「リバースエンジニアリングによって当該技術情報を容易に再製可能」である場合は、非公知性を失っており、「営業秘密」としての保護は及ばないとしています。

  • 原告のセラミックコンデンサー積層機および印刷機のリバースエンジニアリングによって、本件電子データと同じ情報を得るのは困難であるものと考えられ、仮にリバースエンジニアリングによって本件電子データに近い情報を得ようとすれば、専門家により、多額の費用をかけ長期間にわたって分析することが必要であるものと推認されるから、非公知性は失われていない(大阪地裁平成13年(ワ)第10308号)
  • 錫(すず)製品の製造に携わって錫の性質を熟知した者は、いかなる元素が錫合金に適しているかを経験によって知悉(ちしつ)しており、リバースエンジニアリングを行うに際して多大な手間、費用をかける必要はなく、錫製品を専門的に製造した経験のない者であっても、錫合金の素材となり得る元素はインターネットや一般の書籍で得た知識に基づいて容易に推測しておよその見当が付くのであり、リバースエンジニアリングを行う際の分析対象となる元素はせいぜい数種類の候補に絞られるから、非公知性は失われている(知財高裁平成23年7月21日)

4 不正競争防止法の対象外の情報の保護

特許法などの産業財産権法と不正競争防止法のいずれの保護対象にも当たらない情報についても、一切法的保護が受けられないというわけではなく、秘密保持契約などの契約によって当事者を拘束することが考えられます。その際、当該情報が営業秘密に該当するかどうかは問題となりませんが、

契約当事者以外の第三者に対する拘束力はなく、また、損害額の推定など不正競争防止法等に定める特別規定の適用も受けられない

ことには注意が必要です。

また、判例上は、すでに「公知」になっていたり、「有用性」がなかったりするような情報は、秘密保持契約の対象たる「秘密」に該当しないといった判断をしているものもありますので、いずれにしても、対象情報を「秘密」として守るという会社の姿勢は、やはり重要だといえるでしょう。

5 意図せず秘密漏洩の加害者になってしまう危険も

営業秘密の漏洩に関しては、会社の情報を持ち出されるケースだけでなく、新規に採用した従業員が従前の職場から営業秘密を持ち出している可能性もあります。つまり、会社が意図していなくても、知らないうちに加害者側に回ってしまう危険も潜んでいます。このため、

従業員の中途採用時には、必ず「前職の営業秘密を保持していない」ことや、「当社の業務を行うにつき、前職で知り得た情報を一切利用しない」といった旨の誓約書を取り付ける

必要があるでしょう。

また、昨今の世相から特に気を付けるべきケースとしては、

SNSの普及により、従業員が業務に関連する情報をSNSなどに不用意に上げた結果、会社がその取引先の「秘密情報」を開示してしまった

というようなことも、しばしば見られるところです。

例えば、取引先とのランチの様子を画像投稿したところ、当社とその会社に接点があることを知れば、同業者であればどのようなプロジェクトが検討されているかを推測することができます。そもそも、そのような接点があること自体が秘密情報に該当するものであった、といったこともしばしば見受けられます。

他にも、取引先やその周辺で撮影した写真に、その取引先の重要情報が写り込んでしまっていたということもあります。意図せず、取引先の秘密情報を漏洩した加害者となってしまわないよう、十分に気を付けなければなりません。

SNSの普及度は国によってまちまちです。例えば中国との取引などの場合、中国では日本とは比較にならないほどSNS文化が普及していますので、このような観点からも、秘密情報の管理には万全の体制で臨む必要があります。

以上(2022年2月)
(執筆 明倫国際法律事務所 弁護士 田中雅敏)

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令和4年4月施行せまる個人情報保護法改正の実務対応ポイント

1 令和4年4月に施行される改正個人情報保護法

ここ1~2年の間に個人情報保護法の改正が急ピッチで進められています。

具体的には、まず令和2年3月10日に「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」が第201回通常国会に提出され、令和2年6月5日の国会において可決、成立し、令和2年6月12日に公布されました(図表)。

個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律(概要)

その後、令和3年2月9日に「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案」が第204回通常国会に提出され、令和3年5月12日の国会において可決、成立し、同年5月19日に公布されました。

これらの改正法はいずれも一部を除き、令和4年4月1日施行が予定されているところです。

本稿では、個人情報取扱事業者(以下、単に「事業者」という)が対応すべき事項については主に令和2年改正のほうで対応がなされていますので、以下ではこの令和2年改正の内容を軸に事業者が施行前に見直すべき対応ポイントについて述べていきます。ただ、法令の条数に関しては同日付の令和3年改正の一部施行を踏まえた最終の条数で示すこととしますので、この点につきご留意ください(以下、個人情報保護法は「法」、個人情報保護法施行規則は「規則」と表記する)。

(日本法令ビジネスガイドより)

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【朝礼】名著「武士道」に学ぶ「伝え方」のヒント

いつの時代も「コミュニケーション」は難しい課題です。例えば、皆さんは、商品やサービスのプレゼンの場で、お客さまがつまらなそうにしていたり、話についてこられなかったり、終始時間を気にしていたりして、伝えたいことをうまく伝えられなかった経験はないでしょうか。どうすれば自分の考えをうまく相手に伝えられるのか。今日はそのヒントになるように、新渡戸稲造(にとべいなぞう)氏の名著「武士道」を紹介します。

新渡戸氏は明治から昭和にかけて活躍した日本の教育者です。国際連盟の事務次長を務めたこと、旧紙幣の五千円札の肖像画になったことなどで有名ですが、その存在が世界に知られるようになったきっかけこそ「武士道」です。新渡戸氏は、若い頃海外に留学していた際、「日本の学校では宗教を教えないのに、どうやって子どもに道徳を身に付けさせるのか」と質問されます。そして、考えた末、日本では宗教の代わりに、武士特有の名誉や礼儀を重んじる道徳観が生活に根付いていることに気付き、それを本にまとめたのです。

「武士道」は1900年に米国で刊行され、世界中で翻訳されます。この本が世界のベストセラーになった理由ですが、私は3つあると思います。

1つ目は「情熱」です。新渡戸氏はもともと武家の生まれで、明治維新以降、日本が西洋化していく中でも、武士の教えを大事にしていました。そのため、学生の頃から「日本の思想を世界に伝えたい」という強い情熱を持っていたようです。

2つ目は「分かりやすさ」です。新渡戸氏は幼少の頃から英語を学び、さらに長期の海外留学によって人並み外れた語学力を身に付けていました。「武士道」の初版は英語で書かれていますが、新渡戸氏の文章は分かりやすいうえに格調が高く、海外の読者から高い評価を得ていたようです。

3つ目は「タイミング」です。「武士道」が刊行された頃の日本は、江戸幕府の滅亡から数十年で近代国家としての体制を整え、日清戦争で中国を破るなど、大きな発展を遂げていました。まさに世界が日本に注目していたときに刊行されたため、「武士道」は多くの人を引き付けたのです。

もし、皆さんが、伝えたいことが相手にうまく伝わらないという問題で悩んでいるとしたら、それは「情熱」「分かりやすさ」「タイミング」のどれかに問題があるからかもしれません。冒頭のプレゼンの話に戻ると、自社の商品やサービスに対して情熱を持っていない人の話には魅力がありません。また、情熱があっても、難しい言葉でまくし立てるように説明したり、お客さまの忙しいときに長々と話をしたりするようでは、相手に伝わりません。

逆に「情熱」「分かりやすさ」「タイミング」が備わっている人というのは、「仕事に愛がある人」だと私は思います。つまり、商品やサービスへの愛、お客さまへの愛、それらを全て兼ね備えた人です。皆さんにもぜひ、そんな社員になってほしいと願っています。

以上(2022年2月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】声の出し方、拾い方

今日は、皆さんにお願いがあります。どうか、日ごろから、「声」を出してください。これは、情報を周りに発信して共有してください、という意味です。

皆さんは、日ごろ、とても一生懸命仕事をしてくれています。しかし、残念ながら「声を出すこと」が十分ではありません。例えば、困っていることを一人で抱え込んで仕事を滞らせてしまう人がいます。それぞれの仕事の進捗状況が分からずに、複数の人が同じ仕事を無駄にやっていたり、逆に抜け漏れが出ていたりすることもあります。これは大いに問題です。

そこで今日から、皆さんは、「声の出し方」について、2つのことを心掛けてください。とても重要なことなので、必ず実践していきましょう。

1つ目は、「悪いことほど声を出す」ということです。社内外で起きたトラブル、またはトラブルになりそうだと懸念していること、起きてしまったミスなどは、すぐにその場で皆に伝えなければなりません。そのことを知っているのと知らないでいるのとでは、仕事の進め方や社内外の人との接し方が違ってきます。同じようなトラブルやミスを防ぐことにもつながるでしょう。

2つ目は、「忙しいときほど声を出す」ということです。仕事を幾つも一人で抱え込み、滞らせたりせず、「私は今、この件とこの件で忙しいのでサポートが必要です」と声を出し、早く周りに助けを求めてください。

「周りも忙しそうだから助けを求めにくい」と思っている人がいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。早く声を出さずに、後で切羽詰まってから、「やはりできない」という状況になるほうが、周りは困ってしまいます。

また、声を出してくれる人に対する「声の拾い方」もとても重要です。皆さん、まずは、周りで起きていることに関心を持ってください。誰がどのような声を出しているのか、どのような状況にあるのか。関心を持たなければ、声をしっかりと拾うことはできません。

それから、声を出している人のほうに顔を向け、しっかり返事をしてください。背中を向けたままパソコンをカタカタ打っていたり、うんともすんとも言わなかったりしていては、発信側は声を拾ってくれているのかどうか分かりません。声を拾う側は、顔を向け、返事をして、「話を聞いています」という情報を発信することが大切です。

今、私が言った「声の出し方」と「声の拾い方」はとても基本的なことですが、皆さんは果たして実践できているでしょうか。そうではない人も多いはずです。特に管理職は、率先して部下の手本になるよう声を出し、拾ってください。そして、部下にもしっかり実践させましょう。

仕事は、皆で協力して進めることが必要です。そして、それは「声を出すこと」「しっかり拾うこと」から始まります。皆さん、今日からこのことを、肝に銘じてください。

以上(2022年2月)

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画像:Mariko Mitsuda

国がサポートしてくれる「法規制の突破法」。尖った新規事業を進めるチャンス!

書いてあること

  • 主な読者:新規事業を検討しているが、法規制に引っ掛かりそうで心配な経営者
  • 課題:法規制を確認するのが大変。それに、法規制に引っ掛かったら諦めるしかない?
  • 解決策:国の制度を利用して、規制対象になるかを確認したり、規制の特例や規制の変更を求めたりすることができる

1 「法規制の壁」を乗り越えろ!

「画期的な事業アイデアがあるのに、法規制があって諦めた。あるいは、突破する方法が分からずストップしている……」。

この記事は、このような経験がある経営者にお読みいただきたい内容です。法規制などにぶつかったとき、国がそれを突破する手助けをしてくれることをご存じでしょうか? 具体的には、次の3つの制度です。

  • グレーゾーン解消制度:法規制の対象になるか否かを事前に確認できる
  • 新事業特例制度:規制に引っ掛かるが、特例として認めてほしいと要望できる
  • 規制のサンドボックス制度:規制に引っ掛かるが、実証実験で規制の見直しにつなげる

これらは、個々の企業の事業内容に即した規制改革を進めていくために創設された制度です。3つの制度について簡単に説明しますので、ご興味があれば経済産業省のウェブページなどを確認してみてください。

■経済産業省「グレーゾーン解消制度、新事業特例制度及び規制のサンドボックス制度の様式」■
https://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/shinjigyo-kaitakuseidosuishin/detail.html

2 グレーゾーン解消制度の概要

1)グレーゾーン解消制度を利用する際の流れ

グレーゾーン解消制度とは、

法規制の対象になりそうな事業について、関係省庁から実際に規制の適用を受けるか否かの「公的な回答」を得られる制度

です。利用の流れは次の通りです。

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1.事前相談

企業は、事業の計画や確認したい事項をまとめて事業所管省庁に相談します。事業所管省庁は、この後の手続きがスムーズに進むように必要な情報の提供と助言をしてくれます。

2.申請書の作成・提出

次に、企業は「新事業活動に関する規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定に係る照会書」(以下「照会書」)を事業所管省庁に提出します。照会書の様式は、冒頭で紹介した経済産業省のウェブサイトからダウンロードできます。

3.回答書の受け取り

原則として、照会書の提出から1カ月以内に、事業所管省庁・規制所管省庁の連名で確認結果の通知が届きます。規制の適用を受けないと判断されれば、企業は特段の許認可などを取得することなく事業を実施できます。一方、規制の適用を受けると判断された場合、後述する、

新事業特例制度を利用して、突破を試みる

ことができます。

2)グレーゾーン解消制度の活用事例

電子契約サービスを提供する中小企業が、建設業界への電子契約サービスの提供を行うに当たりグレーゾーン解消制度を活用しています。建設工事の請負契約を締結するに当たり、自社のサービスが建設業法施行規則に定められた「ファイルに記録された契約事項等について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じていること」など契約に必要な技術的基準に適合するか否かの照会を求めたものです。

照会の結果、国土交通省から技術的基準を満たし適合する旨の回答があり、同社のサービスは建設工事の請負契約に利用が可能となりました。

グレーゾーン解消制度の活用事例は経済産業省のウェブサイトで確認できます。

■経済産業省「グレーゾーン解消制度の活用事例」■
https://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/shinjigyo-kaitakuseidosuishin/result/gray_zone.html

3 新事業特例制度の概要

1)新事業特例制度を利用する際の流れ

新事業特例制度とは、

事業を実施する上で支障となる規制があるとき、安全性などの確保を条件に、規制の特例を認めてもらう制度

です。利用の流れは次の通りです。

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1.規制の特例措置を求める申請書の作成・提出

企業は、事業所管省庁に事前相談をした後、「新事業活動に関する新たな規制の特例措置の整備に係る要望書」(以下「要望書」)を事業所管省庁に提出します。要望書の様式は、冒頭で紹介した経済産業省のウェブサイトからダウンロードできます。

事業所管省庁が要望書を適切と判断すれば、規制所管省庁に規制の特例措置を整備するよう要請してくれます。規制所管省庁が規制の特例措置を整備するか否かを決定した後、事業所管省庁を経由して企業に結果が通知されます。原則として、要望書の提出から1カ月で検討結果が通知されます。

2.新事業活動計画の策定・認定申請

特例措置が認められた場合、企業は新事業活動計画の認定申請を行います。具体的には、「新事業活動計画の認定申請書」(以下「申請書」)を事業所管省庁に提出します。申請書の様式は、冒頭で紹介した経済産業省のウェブサイトからダウンロードできます。

3.回答・認定書の交付

事業所管省庁が申請書を適切と判断すれば、新事業活動計画を認定することについて規制所管省庁に同意を求めてくれます。規制所管省庁は、新事業活動計画の内容について規制が求める安全性などの観点から検討し、適切と判断したら認定の同意をします。その後、事業所管省庁から企業に対して、認定書が交付されます。

4.新事業活動の実施

認定書の交付をもって、企業は新規事業を実施できます。もちろん、規制の特例措置に係る安全性などを確保する措置を含め、提出した新事業活動計画に沿って実施する必要があります。

5.事業の報告

新規事業を実施する際、各事業年度が終了してから3カ月以内に、「年度における認定新事業活動計画の実施状況報告書」(以下「報告書」)に必要事項を記載し、事業所管省庁へ事業の実施状況を報告しなければなりません。報告書の様式は、冒頭で紹介した経済産業省のウェブサイトからダウンロードできます。

2)新事業特例制度の活用事例

SWALLOW(神奈川県川崎市)が、電動キックボードを運転する際の要件を緩和するために新事業特例制度を活用しています。現状、電動キックボードを運転する際は、ヘルメットの着用と車道の通行が義務付けられています。同社では、密を避けるための新しい移動手段として電動キックボードの活用と、歩行者、自転車、自動車などが安全に共生するために必要なデータを取得するため、運転時のヘルメット着用を任意とすること、自動車道、普通自転車専用通行帯の走行を認めることなどを要望し、規制所管官庁において、上記の点に関する特例措置が整備され、福島県南相馬市の特定のエリア内で公道での実証実験を行いました。

新事業特例制度の活用事例は経済産業省のウェブサイトで確認できます。

■経済産業省「新事業特例制度の活用事例」■
https://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/shinjigyo-kaitakuseidosuishin/result/shinjigyou.html

4 規制のサンドボックス制度の概要

1)規制のサンドボックス制度を利用する際の流れ

規制のサンドボックス制度とは、

AI、ブロックチェーンなどの革新的な技術やビジネスモデルを活用したいとき、規制の適用を受けずに素早く実証実験を行い、その結果に基づいて規制の見直しにつなげる制度

です。利用の流れは次の通りです。

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1.事前相談

企業は、対象の事業について内閣官房の一元窓口に事前相談を行います。

2.計画の策定・実施計画の認定申請を所管の大臣に提出

企業は、実証実験の計画をまとめ、「新技術等実証計画の認定申請書」(以下「申請書」)を規制所管省庁と事業所管省庁の大臣に提出します。申請書の様式は、冒頭で紹介した経済産業省のウェブサイトからダウンロードできます。

3.見解の送付

申請書を受けた所管する大臣(規制所管省庁、事業所管省庁)は、内閣府に設置した新技術等効果評価委員会に見解を送付して意見を求めます。

4.計画認定、公表

所管する大臣は、計画が既存の規制法令に違反しない場合には認定します。所管する大臣の見解(認定の可否、しない場合の理由など)は新技術等効果評価委員会でも審議されます。

5.定期報告、終了報告

企業が行った実証実験の定期報告、終了報告を基に、規制所管省庁は必要な規制の撤廃や緩和のための法制上の措置その他の措置を講じます。

2)規制のサンドボックス制度の活用事例

大正製薬(東京都豊島区)が、駅改札内でOTC販売機を用いて医薬品を販売する実証実験を行うために規制のサンドボックス制度を活用しています。一般医薬品の販売は、インターネット販売の場合では配送時間によるタイムラグ、店頭販売では資格者の人材確保の難しさといった課題があります。そこで同社では、自動販売機のIoT化が進んでいることで、従来の自動販売機では困難であった一般医薬品の適正管理・販売が自動販売機で実現できる可能性が高いとして実証実験を行いました。

実証実験では、OTC販売機を通じて購入希望者に資格者が設定した年齢や販売個数などを確認します。これらの条件を満たさない場合は店舗に誘導、満たす場合は購入決定画面に移行します。すると、資格者が勤務する店舗のPCなどに通知され、資格者が販売しても問題ないと判断した場合は「販売可」ボタンを押します。これにより、購入希望者はOTC販売機上で決済できます。

規制のサンドボックス制度の活用事例は経済産業省などのウェブサイトで確認できます。

■経済産業省「規制のサンドボックス制度の活用事例」■
https://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/shinjigyo-kaitakuseidosuishin/result/sandbox.html
■首相官邸 成長戦略ポータルサイト「規制のサンドボックス制度」■
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/regulatorysandbox.html

以上(2022年2月)

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画像:pixabay

【SDGs】2022年4月施行のプラスチック資源循環法をビジネスチャンスにする

書いてあること

  • 主な読者:プラスチック製品の製造、販売、提供に関わっている企業の経営者
  • 課題:2022年4月施行のプラスチック資源循環法への対応方法が分からない
  • 解決策:罰則などで企業活動が規制を受けることはないが、積極的に対応することでビジネスチャンスにつながる

1 プラスチック資源循環法はビジネスチャンス

2022年4月1日に、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(以下「プラスチック資源循環法」)が施行されます。プラスチック資源循環法の目的は、

世界中で大量消費・大量廃棄が行われ海洋汚染を引き起こしているプラスチックごみ削減を達成するために、製造者、販売・提供者、市町村、市民などが力を合わせ、プラスチックの使用を削減し、使用済みプラスチックの資源循環を促進すること

です。従来から、廃棄物処理法に基づく廃棄物の削減・リサイクルは進められていますが、プラスチック廃棄物は焼却・埋め立てされることが多く、資源循環が進んでいません。この問題に切り込んだのがプラスチック資源循環法というわけです。

一方、プラスチック資源循環法には、

企業の自主的な取り組みを促進することが目的であり、罰則などにより企業活動が規制を受けるものではない

という特徴があります。この法律をどう解釈し、実践するかは経営判断に委ねられています。プラスチック資源循環法では、社会の方向性と求められる企業の在り方が示されており、それに沿って環境問題に取り組めば、さまざまなビジネスチャンスが得られる可能性があります。

この記事では、プラスチック資源循環法の概要を簡単に解説するとともに、同法をビジネスに活かすための対応例をご提案します。

2 プラスチック資源循環法の基本方針と概要

プラスチック資源循環法では、プラスチック製品の「設計・製造」「販売・提供」「排出(消費)・回収・リサイクル」の各段階に応じた基本方針が策定されます。概要は次の通りです。

1)設計・製造

ポイント:プラスチック廃棄物の排出の抑制、再資源化に資する環境配慮設計

所管する大臣は、製造事業者などが努めるべき環境配慮設計に関する指針を策定し、指針に適合した製品であることを認定する仕組みを設けます。認定製品を国が率先して調達する(グリーン購入法上の配慮)とともに、リサイクル材を利用するための設備に対する支援を行います。

2)販売・提供

ポイント:ワンウェイプラスチックの使用の合理化

ワンウェイプラスチックとは、1回限りの使用で収集・廃棄されるプラスチック製品で、フォーク、スプーン、ナイフ、マドラー、ストロー、ヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ、歯ブラシ、ハンガー、衣服用のカバーが該当し、この法律では「特定プラスチック使用製品」と定義されています。また、対象業種は、小売業、宿泊業、飲食店、食品持ち帰り・宅配サービス業、クリーニング業です。

所管する大臣は、ワンウェイプラスチックを提供する対象業種の事業者が取り組むべき判断基準を策定します。所管する大臣は判断基準に基づき、必要な場合は提供事業者に対して指導・助言をする他、ワンウェイプラスチックを多く提供する事業者による排出抑制が判断基準に著しく不十分な場合、勧告・公表・命令することができます。

3)排出・回収・リサイクル

ポイント:プラスチック廃棄物の分別収集、自主回収、再資源化

市町村は、従来の回収・処理ルートを見直し、再商品化事業者(廃プラスチックを部品または原材料として利用者に譲渡できる状態にする事業者)と連携して行う再商品化計画を作成できます。計画を環境大臣が認定した場合、再商品化事業者がプラスチック廃棄物の選別、梱包などを実施できます。

プラスチック製品の製造・販売事業者などは、製品などを自主回収・再資源化する計画を作成できます。計画を所管の大臣が認定した場合、認定されたプラスチック製品の製造・販売事業者などは廃棄物処理法の業許可が不要になります。

所管する大臣は、排出事業者(産業廃棄物となる廃プラスチックやプラスチック副産物を排出する事業者)が排出抑制や再資源化などの取り組むべき判断基準を策定します。所管する大臣は判断基準に基づき、必要な場合は排出事業者に指導・助言をする他、プラスチックを多く排出する事業者が判断基準に著しく不十分な場合、勧告・公表・命令することができます。

排出事業者などは再資源化計画を作成できます。計画を所管する大臣が認定した場合、認定された排出事業者は廃棄物処理法の業許可が不要になります。

3 製造業者のビジネスチャンス

プラスチック資源循環法に対応するために、プラスチック製品の製造業者は、製品の設計や材料を見直すなどして、プラスチック使用量の削減や、リサイクルを容易にするための努力をする必要があります。

そして、この取り組みは中小製造業者にとってチャンスとなります。なぜなら、多くの大企業はプラスチック製の原材料、包装材、容器、部品などを購入する側であり、自社で製造が完結しているわけではありません。となると、大企業は、この法律を契機に、調達方針を見直していくと考えられ、プラスチック資源循環法に対応している中小企業が選択される可能性が高くなってくるのです。

具体的な対応例には、次のようなものがあります。

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4 販売業者・サービス業者のビジネスチャンス

プラスチック資源循環法に重点的に取り組むことが求められているのは、特定プラスチック使用製品を年間5トン以上提供する対象事業者(小売業、宿泊業、飲食店、食品持ち帰り・宅配サービス業、クリーニング業)です。フランチャイズの場合、チェーン全体での提供量が合算されます。

対象事業者が特定プラスチック使用製品の提供量を行政に定期報告する義務はありません。ただし、所管する大臣は取り組みが著しく不十分な場合、勧告・公表・命令を行うことができることになっています。

フランチャイズの飲食店やコンビニのオーナーは中小企業が多いです。また、対象とならない中小企業でも、消費者側から、「このお店は環境問題に取り組んでいないの?」と疑問を持たれることもあると思います。環境に配慮しているというのは、消費者から好感を持たれる重要な要素です。従って、実質的に多くの中小企業が取り組みに参加するとみられます。

具体的な対応例には、次のようなものがあります。

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以上(2022年2月)
(執筆 弁護士、日本CSR普及協会副会長 佐藤泉)

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画像:Pixel-Shot Adobe Stock

2代目に内定した34歳社員、社長急逝で奮闘/社長が語る 私はこうして後継者不在の問題を解決した(後編)

書いてあること

  • 主な読者:後継者不在の問題で悩んでいる50代以上の社長
  • 課題:社員のためにもできれば廃業したくないが、M&Aによる事業譲渡や社員への承継にもやや抵抗感がある。他社の社長がどう考え、行動したのかを参考にしたい
  • 解決策:事業譲渡、社員への承継のいずれも、成功の秘訣はとにかく早く動き出すこと

前編では、悩んだ末に会社の譲渡を決断し、自らが事業のお手本としていた同業大手の社長に、会社を譲り受けてもらうための「直談判」をした、山下ミツ商店の山下浩希さんへのインタビューを紹介しました。

1 社長が急逝! 跡を継いだ最年少・出戻り社員が奮闘

「廃業しようかとも思っているんだけど、どうしようか」。親族に跡継ぎ候補が見当たらず、健康に不安を抱えていた社長。会社の行く末を社内の幹部や地元の商工会議所に相談する日々が続いていました。将来の廃業の危機を免れるために、後継者として手を挙げたのは、社内でほぼ最年少の「出戻り」社員。ところが、社長夫人と全社員の賛同を得て引き継ぎを始めようとした矢先に、社長が急逝してしまいます。

2 健康不安を抱えていた社長は、廃業も意識

機械の整備やメンテナンスのための金属加工を行う高田組(北海道苫小牧市)は、1976年に故・高田勝義社長が創業しました。社員は10人弱と多くありませんが、電力会社などからの受注を強みに、ほぼ無借金経営を続ける優良企業でした。

その高田組の唯一といってもよい悩みが、後継者問題でした。還暦を過ぎた高田社長の子供は別の会社に就職して跡を継ぐつもりがなく、社員も職人気質の人ばかりで、尻込みする専務も含め経営者を目指すタイプの人材はいませんでした。

社員の間では、「高田社長の血圧が高いようだ。薬もいろいろ飲んでいる」「この会社は高田社長の代で終わるんじゃないか」といった会話が交わされ、高田社長自身も幹部の社員に、「何年か後にはやめようかとも思っているんだけど、どうしようか」と相談することがあったといいます。

高田社長の相談先は、社外にまで広がっていきました。2015年11月、66歳になっていた高田社長は地元の苫小牧商工会議所に、「年齢、体力的に厳しい。取引先に迷惑を掛ける前にやめたい」と相談します。高田組の経営状況をよく知る商工会議所では、「業績も良く、廃業するような会社ではない」と、事業承継の道を探るよう説得したといいます。

「このままでは、会社がなくなってしまう」

そんな危機感を募らせ、勇気を振り絞って後継者として手を挙げたのが、後に2代目社長に就任することになる、社員の高橋純さんでした。社内でほぼ最年少の34歳。しかも、入社3年余りで高田組を一度退職し、その後再入社したという経歴でもありました。

3 後継者に名乗りを上げた、出戻りの最年少社員

高橋さんが最初に高田組に入社したのは2000年。同じく金属加工の職人だった父親の影響を受け、ものづくりへの興味から高田組に入社したといいます。

高橋さんの入社当時の高田組には、昔ながらの「仕事は盗んで覚える」という職人の世界が残っていました。20代前半だった高橋さんは、作業現場で先輩たちの仕事を見よう見まねで覚えていきました。

金属加工職人として3年余りが過ぎた頃、徐々に腕を上げていた高橋さんに転機が訪れます。苫小牧市に隣接する高橋さんの地元・白老町の大手金属加工会社が中途募集を開始し、大手企業に憧れて応募した高橋さんが採用されたのです。

退職を申し出た高橋さんに対し、高田社長は「一度、そういう経験をするのもいいことだ」と気持ちよく送り出してくれたといいます。その後も高田社長はたまに高橋さんに連絡しては、「そっちのほうはどうだい?」「こっちに戻ってきてもいいんだぞ」と声を掛けてくれました。高橋さんも、何度か高田組の事務所に顔を出して挨拶する関係が続いていました。

大手に就職して安定した人生がスタートしたと思ったのもつかの間、高橋さんは、転職先の会社の経営が傾いているのを知ることになります。3年ほど勤めたものの、「この会社にいても将来は厳しい」と見切りをつけた高橋さんは、高田社長に「もしよければまた使っていただけますか」と相談します。事務所を訪ねた高橋さんを、高田社長は「いいよ、また来なよ」と快く受け入れてくれました。

「何でも言える、第二の親父(おやじ)のような存在」。いつしか高橋さんと高田社長との関係は、会社の社長と部下から、親子のような絆が生まれていました。

4 前職での経験を活かし頭角を現す

高田組に戻った高橋さんは、メキメキと頭角を現します。その基礎になったのは、前職の大手金属加工会社での経験でした。

経営難には陥っていたものの、現場の技術のレベルは同業他社からも見学者が来るほどの水準にあり、そこで高橋さんは鍛えられました。機械加工技能士の資格がないとできないような難易度の高い作業もこなすようになり、「できる仕事の幅が広がって、『その仕事はできません』と言わない自信がついた」と言います。

高田組にはなかった高い技術が認められた高橋さんは、徐々に事務所に呼ばれる頻度が増え、工事の見積もりや営業なども任されるようになります。「営業の経験はなかったのに、やってみたらお客さんとのコミュニケーションが苦にならなかった」という高橋さん。自力で仕事を取ってくるまでに成長し、高田組は発注が少ない冬場の仕事も埋まるようになりました。会社を支えるエースとなった高橋さんは、再入社しておよそ3年後には社内で実質ナンバー4に当たる部長に抜てきされました。

高橋さんの活躍で高田組に勢いがついていただけに、後継者問題は一層深刻でした。「会社は利益を出しているのだから、なくなる必要はないじゃないか。前回の会社のように、将来の不安で転職することは繰り返したくない」。高橋さんは専務などと相談し、自ら後継者候補に手を挙げることにします。

5 社長夫人と全社員が高橋さんの承継に賛同

高橋さんの申し出に対して、「任せるから、頼むな」と高田社長が喜んだのは言うまでもありません。高田社長の妻で事務を担当していた百合子さんも、「高橋さんしかいない」と歓迎してくれたといいます。

社員に対しては、高田社長と高橋さんが全社員を休憩室に集めて、一人ひとりに意見を聞くことにしました。ほぼ全社員が高橋さんより年長で社歴も長く、専務に至っては上司という立場でしたが、そこは実力がモノをいう職人の世界。皆が「高橋さんに付いていきます」と賛同してくれたといいます。高橋さんは、「もしずっと高田組にいたら、仕事でそこまで成長できず、後継者候補になろうと思わなかったかもしれない」と振り返ります。

高田社長は高橋さんに、「会社を赤字にしてはいけない。そのためにも、社員を遊ばせないように仕事を取ってくることが、社長にとって一番重要だ」と伝授したそうです。

後継者問題に決着がつき、高田組の将来は安泰と思えた瞬間でした。

6 まさかの社長急逝

後継者が決まった高田組は、高橋さんが社長として一本立ちできるまで、まずは高田社長が会長となって、数年かけて引き継ぎを行うことになりました。

ところが、思いもよらなかったことが起きます。

「お疲れさまです」

「明日もよろしく頼むな」

それが、高橋さんと高田社長が交わした最後の会話だったといいます。2017年3月、新体制への移行を直前に控えて、高田社長が急逝してしまったのです。

右も左も分からないまま社長に就くことになった高橋さん。最初は給与計算のやり方も分からず、夜中の2時、3時まで事務所に残って仕事をする日々が続きました。「なるべくお客さんには迷惑を掛けたくない。社員の家族まで守らないといけない」。気が張っていたためか、自分でも不思議なほど疲れを感じず、がむしゃらに1年、2年を過ごしたといいます。同業の社長や営業で培った取引先などが親身になってアドバイスしてくれたことも、高橋さんの支えになりました。

「できれば、高田社長にもう少し長生きしてもらうか、もっと早く引き継ぐ準備ができていればよかったという気持ちはあります。早めに後継者を決めて育てるのは、難しいことも分かっているのですが」。高橋さんは当時を振り返って、こう話します。

長らく後継者が決まっていなかった問題は、今でも別の形で影響が表れています。設備などの更新が滞っていた問題が、高橋さんが社長の代になって出てきたのです。高田組がほぼ無借金でやってこられたのは、高田社長が廃業の可能性も考えて、投資を控えてきたからでもありました。高橋さんは新たな投資のための資金手当に奔走することになりました。

7 株式譲渡で名実ともに新体制に

会社の引き継ぎでのもう一つの懸念材料は、会社の株式の扱いでした。

高田組にとって幸運だったのは、高田社長夫人の百合子さんが高橋さんへの株式の譲渡に好意的だったことと、当初から第三者のアドバイスを受けられたことでした。アドバイスを行ったのは、高田社長が事前に相談していた苫小牧商工会議所から連絡を受けた、札幌商工会議所の北海道事業承継・引継ぎ支援センター(以下「引継ぎ支援センター」)です。

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高田社長の急逝後、高田組の株式は高田社長夫人とその子供が所有していましたが、当初は無償で株式を譲渡するという話もあったそうです。これに対して引継ぎ支援センターは、「取引先や社員に対しても、雇われ社長にならず名実ともに社長になるためにも、株式を買い取って社長としての覚悟を示すほうがよい」と、MBO(マネジメントバイアウト)によって高橋さんが全株式を取得することを勧めました。会社の資産を基に引継ぎ支援センターがアドバイスし、同センターが紹介した税理士が株価を算出して譲渡価格を決定。2018年10月、高橋さんは銀行融資を元手に、一部贈与、残りを買い取りという形で株式を譲り受けました。

8 社内の人間関係は焦らずゆっくりと

社長就任後、高橋さんにとって最大の課題は、なんといっても高橋さんを取り巻く人間関係が大きく変化した社内の融和でした。残された社員は、ほぼ全員が高橋さんより年長で、社歴も長い先輩ばかり。10歳近い年上の専務とは、上司と部下の関係も逆転しました。

高橋さんは、40歳になった今でも、この問題に焦って対処する考えはないといいます。「一緒に働いている仲間という関係性は、ほとんど変わっていません。『社長』という呼び方も、皆さんなかなか呼びづらそうなので、名前で呼んでもらったりもしています。だんだん、というか、お互いに気を使いながら、少しずつ慣れていくという感じです」と話します。

「自分は敵を作りたくない性格。社員を強く引っ張るタイプではないので、あまり社長に向かないのかもしれない」と話す高橋さんのモットーは、「なるべく丸く収めること」だと言います。「あまり社員とぶつかることもないですし、社員がなにか問題を起こしたり失敗したりしたときも、次の日には引きずらないようにしています。本当に危ないことをしたときぐらいしか厳しいことは言いません。なるべく社員を尊重し、働きやすい環境を作っていくことを心掛けています」という高橋さん。温和で純朴な性格の高橋さんだからこそ、社長急逝後の混乱状態でも社内融和を進められたのかもしれません。

高橋さんが社長になってから会社を辞めたのは、かつての高橋さんのように、念願かなって大手企業に転職していった若い社員1人だけだといいます。朴訥(ぼくとつ)な話ぶりの高橋さんが自信を持って語ったのは、この一言でした。

「高田社長に胸を張って言えることは、社員が抜けずにやっていけているということです。これは、私にとっても一番うれしいことです」

(取材協力 北海道事業承継・引継ぎ支援センター)

9 とにかくスピード第一。早い動き出しが成功につながる

希望の相手に会社を譲渡できた山下ミツ商店の山下さんは、会社のブランドを残す価値があるうちに話を持ちかけたことが成功の秘訣でした。高田組の高田社長も、事前に社内外に相談をしていたことで、急逝する直前に後継者を決めることができました。2人に共通するのは、後継者不在という問題をいち早く自覚し、行動に移したことです。その際、特に外部などさまざまな人に相談したり、話を聞いたりしていたことも共通しています。

後継者不在の問題で悩んでいる際には、外部の人(機関)が入ったほうが、冷静かつ客観的に判断でき、スムーズに話が進むようにみえます。

心血を注いできた会社を手放すことは断腸の思いであり、悩みに悩むのは当然のことです。ですが、誰か一人が永遠に社長ではいられないのも変わらない事実です。会社を大切に思うのであれば、会社の存続や発展を最優先することも大切なのではないでしょうか。

以上(2022年2月)

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画像:北海道事業承継・引継ぎ支援センター提供

飲酒運転対策における企業の責任

昨年、勤務中の飲酒運転による事故で児童が死傷する事故が起こりましたが、事故を起こした自動車は自家用車であったことから、事業用自動車と異なり企業に対してアルコール検査の義務がありませんでした。

このことを受けて、道路交通法施行規則などが改正され、自家用車にも安全運転管理者制度が適用される企業に対してアルコール検査の義務が適用されます。本稿ではその改正の内容、および企業の責任について概説いたします。

1 対象

今回の改正は、安全運転管理者の選任義務がある事業所が対象となります。

<安全運転管理者の選任対象となる事業所>

  • 自動車5台以上、または定員11人の車両を1台以上使用している事業所。
    ※自動二輪車は0.5台で計算。
  • 自動車運転代行業者は、台数に関係なく営業所ごとに選任事業所(自動車使用の本拠)ごとに1人を選任

対象は、令和2年3月末時点で約34万事業所、管理下運転者数は約769万人に上っています。

2 改正点

安全運転管理者の業務内容について、以下の業務が段階的に追加されます。

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なお、道路交通法では、次の通り使用者の責任を明示しており、今回の改正はその責任の履行について明確化したものと捉えられます。

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3 交通事故時における企業の賠償責任について

交通事故により、企業が被害者に対して負う民事上の責任は、従業員が業務中などに起こした事故について、企業が従業員とともに損害賠償義務を負うという「使用者責任」と、自動車の運行により利益を得て、その運行について直接または間接に指揮・監督しうる場合に損害賠償義務を負う「運行供用者責任」の2つがあります。

一例として、危険運転致死傷罪の成立のきっかけとなった、1999年の飲酒運転による交通事故では、企業は適切な調査を行っていれば、被告の常習的な飲酒運転を把握することができ、本件事故の発生を未然に防止することが可能であったと認定し、裁判所は被告のみならず企業らに対しても約2億5000万円を連帯して支払うよう命じています。

4 さいごに

今回の改正により、飲酒運転に対する社会の目はますます厳しいものになるでしょう。改正としては、安全運転管理者制度が適用される事業所に課せられる義務ではありますが、適用されていない事業所であっても、飲酒運転による事故が発生した場合の企業のリスクは莫大なものとなります。

自社の業務に供されている自動車がある場合には、今一度安全に運行される体制は整っているのか、服務規律や車両管理規定を確認するとともに、運行状況などを定期的に確認してみることをお勧めします。

※本内容は2022年1月12日時点での内容です

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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画像:photo-ac

【朝礼】ムダな競争がムダな進化を促し、生存能力を弱める

皆さんは、極楽鳥をご存じでしょうか。極楽鳥のオスは、派手な色をしていたり、メスへの求愛ダンスをしたりすることで知られる鳥です。色が派手なオスや、ダンスが上手なオスが、メスとつがいになれるといいます。クジャクの羽やカエルの鳴き声なども同様に、メスへのアピールが目的の「モテ形質」の進化なのだそうです。

こういった進化は、その生物からすると、厳しい競争下で時間をかけて獲得したものといえます。ですが、人間の目から見ると、その姿は異様で、ある意味、滑稽にも見えます。それに見た目が派手というのは、獲物を捕らえたり、天敵から身を守ったりするのには不利です。種全体としての個体数の増加という基準で見た場合、全くムダな進化をしていることになります。

同じような生物のムダな進化に、「裏切り行動」があります。アリの中には、ある時期から集団のための労働をやめて、自分の卵を産むことに専念し始める種があるそうです。種全体のためでなく、自分だけの利益のために行動するわけです。

こうしたムダな進化は、生物界全体で見ると、同種間の競争というムダな方向に進化することで、絶対的に生存能力の高い生物を存在させず、生物の多様性を生み出す点で重要だといいます。

ですが、勝つか負けるかのビジネスでは、そうはいきません。会社として、絶対的な生存能力の高さを追求するのが当然です。会社が生き残るために、ムダな競争をしている余裕はありません。

新聞や雑誌などを見ると、一部の大企業でも、ムダな競争が行われているようです。社内での出世争いや足の引っ張り合い、派閥争いに終始し、トップになる人は社内政治の勝者。そのような人はこの困難な時代を乗り切るリーダーシップを持ち合わせていない、ということも耳にします。

一方、必要な競争もあります。例えば、社内で商品に関する提案のレベルが上がり、議論が活発化すれば、社外でも通用する商品の開発につながります。また、ライバル同士が切磋琢磨(せっさたくま)するのも、売り上げを伸ばしたり、仕事のレベルを上げたりするために必要な競争です。

難しいのは、一見、必要な競争をしているようで、実はムダな競争をしているケースがあることです。例えば、商品開発のための議論で、ただ相手を蹴落とすためだけに、長所を認めず小さな欠点ばかりを指摘するような行為は、無意味です。また、ライバル関係は歓迎ですが、会社にとって必要な連携が取れなくなっては本末転倒です。

ムダな競争と必要な競争との見分け方は簡単です。その競争が、会社にとって利益になっているかどうか、それだけです。ただし、会社にとっての利益が目先だけのものか、長い目で見た利益なのかは見極める必要があります。

皆さんの中にある競争心は、会社を成長させるために貴重なものです。ですが、その競争心が、会社にとってムダか必要かを、常に顧みるようにしてください。

以上(2022年2月)

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画像:Mariko Mitsuda