雨天時の安全運転(2022/06号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

今年も、梅雨入りの時期となりました。降雨は、視界を悪くし、路面を滑りやすくするなど運転に少なからず影響を与えるため、慎重な運転が求められます。

今回は、雨天時の運転での視界確保とスリップ事故防止に着目して、安全運転を考えましょう。

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1.視界不良やスリップによる事故事例

首都高速道路株式会社の調査(下図)によると、首都高速における雨天時の事故件数は約5倍に増えています。

雨による視界不良、路面状況の悪化、雨音による車外の音情報の遮断など運転上の悪条件が重なり、事故が発生しやすくなります。特に視界不良とスリップによる事故が多いので、事故事例を通じて注意点を確認しましょう。

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出典:首都高速道路株式会社 首都高ドライバーズサイトに掲載の2020年度統計値を基に当社作成

【事例1:視界不良による衝突事故】

運転者は雨天時に幹線道路を走行しており、降雨により前方が見えにくい状況にあった。横断歩道外を横断した歩行者の発見が遅れ、急ブレーキをかけたが、間に合わず衝突した。

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⚠ 注意点

雨天時の運転では、フロントガラス等に付着する水滴により、前車や信号機、標識等が滲んで見えるなど、視認性が低下します。また車内外で気温差が大きいときや湿度が高いときは、フロントガラスが曇りやすくなります。

【事例2:水たまりでのスリップ事故】

運転者は直線道路を走行しており、路面には降雨による水たまりができていた。運転者は路面状況を見誤り、水たまり部分でスリップし、道路沿いの街路樹に衝突した。

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⚠ 注意点

雨天時の運転では、路面とタイヤとの間の摩擦が小さくなるため、制動距離(ブレーキをかけて車が止まるまでの距離)が伸びます。またタイヤが滑りやすくなり、水たまりがあるとスリップすることがあります。

2.視界確保とスリップ防止のポイント

視界確保

①ワイパーを正しく使用する

雨量に応じて適切にワイパーを使用しましょう。

ワイパー作動時に、拭きむらやビビリ音などを発見した場合は、早めにワイパーを交換しましょう。

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②フロントガラスを曇らせない

エアコンの除湿やデフロスターを活用しましょう。

車外の湿度が高い場合は、内気循環が有効です。

傘や服の水滴を払ってから車に乗り込むようにすることも車内の湿度対策として有効です。

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※雨天時は、歩行者や自転車からの視界も悪くなるため、歩行者や自転車が自車の接近に気づかずに道路を横断するようなことがあります。よって、視界不良を踏まえた危険予測運転や自車の存在を周囲に気づいてもらえるようなヘッドライト等の点灯が有効です。

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スリップ防止

①スピードを抑えて車間距離を長めに取る

路面状況の変化を意識した上で、スピードを抑えて十分な車間距離を取りましょう。

追突等の危険回避だけでなく、前車の水しぶきを浴びる可能性も少なくなります。

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②「急」な運転操作はしない

急発進・急ハンドル・急ブレーキは厳禁です。

特に水たまりでの急ハンドルや急ブレーキは事故に繋がる可能性があり、大変危険です。

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※雨の降り始めは、路面にホコリや泥などが浮き上がり、車が滑りやすい状況です。また濡れた道路標示やマンホールの蓋の上などは滑りやすくなっています。路面状況の変化を早めに察知し、状況に応じた走行をすることが重要です。

3.雨天時の安全運転に向けて

日頃から、ワイパーやタイヤの点検、フロントガラス等の清掃など雨天に備えておくことが大切です。また雨天時は、視界の悪化や路面状況の変化を踏まえて、常に先の状況を予測しながら運転をすることが重要です。

事前準備と危険予測の心構えで、安全運転を継続しましょう。

以上(2022年6月)

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画像:amanaimages

【損金】税理士が解説。損金になる固定資産の購入費用と、ならない購入費用

書いてあること

  • 主な読者:決算対策の一環などとして、消耗品費を損金にしたい経営者
  • 課題:取得したもの、取得した金額によって取り扱いが大きく異なる
  • 解決策:消耗品費と減価償却費の違い、中小企業の特例を理解して自社に有利な方法を選択

1 消耗品費・減価償却費とは

固定資産の購入費用を損金とするときには、「消耗品費」と「減価償却費」とが主な項目になります。

消耗品費とは、

事業を行う上で日常的に使用する文房具などの「消耗品」を購入するための費用

です。通常、消耗品は事業年度ごとにある程度決まった数量を購入し、その時点で「消耗品費」として損金の処理をします。一方、パソコンや机などの器具備品や建物・建物附属設備などの固定資産は、原則として、購入時に全額損金とすることができず、耐用年数に応じて何年かに分けて費用である「減価償却費」として損金に算入します。

ただし、その固定資産の値段(取得価額)やどの程度の間使用できるか(使用可能期間)によっては、例外的に購入時に全額損金にすることができます。このように、固定資産の購入費用は、税務上の取り扱いに注意が必要となる費用の1つです。

固定資産の購入費用が損金になるかどうかのポイントは、

  • 取得価額が10万円未満、または使用可能期間が1年以下であること
  • 取得価額が10万円以上20万円未満のものは3年間で均等償却すること
  • 取得価額が20万円以上のものは耐用年数に応じて減価償却すること
  • 中小企業者等については取得価額が30万円未満であること

です。詳しく見ていきましょう。

2 損金になる消耗品費・減価償却費の4つのポイント

原則として、固定資産を購入時に全額損金にすることはできません。しかし、取得価額の金額によって処理が分かれるので確認しましょう。

1)取得価額が10万円未満、または使用可能期間が1年以下であること

取得価額が10万円未満、または使用可能期間が1年以下の固定資産は、消耗品と同様に「消耗品費」という勘定科目で、購入時に全額損金とすることができます。

2)取得価額が10万円以上20万円未満のものは3年間で均等償却すること

取得価額が10万円以上20万円未満の固定資産は、「一括償却資産」と呼ばれ、取得した事業年度から3年間で損金に算入します。この一括償却資産は各事業年度で取得価額の3分の1ずつ損金に算入(1年決算法人の場合)することができるので、事業年度の中途で購入したものであっても月割り計算をする必要はありません。例えば取得価額が15万円の場合、各事業年度に5万円(=15万円/3年)ずつ均等に損金に算入します。

3)取得価額が20万円以上のものは耐用年数に応じて減価償却すること

取得価額が20万円以上の固定資産は、定額法や定率法といった方法を使用し、税法で決められている耐用年数にわたって損金に算入します。適用する耐用年数の誤りは税務調査でよく指摘されるポイントなので注意しましょう。

  • 定額法:「取得価額」に一定割合を掛けて減価償却費を計算する方法で、毎期の減価償却費が一定額となる
  • 定率法:「未償却残高(帳簿価額)」に一定割合を掛けて減価償却費を計算する方法で、耐用年数の前半で多額の、後半では少額の減価償却費が計上される

4)中小企業者等については取得価額が30万円未満のものであること

青色申告書を提出している中小企業者等(資本金が1億円以下で、常時使用の従業員の数が1000人以下の法人などで一定の要件を満たすもの)が、取得価額が30万円未満の固定資産(以下「少額減価償却資産」)を購入した場合、購入時に消耗品費として全額損金にできる特例があります。この少額減価償却資産の特例の適用は会社の任意ですが、全額損金にできるのは、1事業年度で300万円まで(1年決算法人の場合)です。

例えば、1事業年度に25万円のパソコンを13台購入した場合、少額減価償却資産として購入時に一括損金とすることができるのは12台分(25万円×12台=300万円)までです。残り1台(25万円)については、一旦器具備品(資産)として計上し、通常の減価償却を行わなければなりません。また、同じ事業年度に他の固定資産を購入した場合も、すでに300万円の枠を使い切っているため、この特例を適用することはできません。

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なお、税法の改正により、他社に貸し付ける目的で購入した「貸付用資産」については、金額の多寡に関わらず資産計上し、税法で決められている耐用年数にわたって損金に算入されることになりましたので、注意しましょう。

3 消耗品費・減価償却費で迷いやすい実務Q&A

1)数年分をまとめ買いした消耗品でも、全額損金にできるの?

文房具などの消耗品は、原則として購入したときに全額損金にできます。これは、購入した消耗品はその直後(長くても1年以内)に消費されるのが一般的で、購入時に全額損金としても、各事業年度の損金になる金額はほぼ同額になると考えられるためです。

では、消耗品をまとめ買いしたときはどうでしょうか。例えば、割安で購入できるといった理由から、2年分をまとめ買いすることがあると思います。このケースでは全額を購入時の損金とすることはできません。あくまでも損金とされるのは1年分のみです(残りの1年分は翌事業年度の損金とされます)。1年分の消耗品に該当するかどうかの明確な判断基準はありませんが、例年と比較して明らかに消耗品費が高額になっており、その理由が翌事業年度以降の分のまとめ買いに当たるものは税務調査でもチェックされるので注意しましょう。

2)作業服や制服などは消耗品費として処理することができるの?

業務で使用する目的で従業員に作業服や制服などを支給する会社も多いでしょう。こういった作業服なども、業務にのみ使用することを目的としている場合に限り、その購入費用は消耗品費として損金になります。

一方、「スーツ」についてはプライベートでも使用可能なものと考えられています。ですから、スーツを会社が支給した場合、税務上は給与として取り扱われ、源泉所得税の対象となります。特に役員に対してスーツを支給した場合には、損金にすることができない「役員給与」とみなされるので注意しましょう。

3)固定資産の金額の判断は1個ずつ行うの?

固定資産は、その取得価額がいくらかによって取得時に全額を損金とすることができるか、固定資産に計上して減価償却を行うかに分かれますが、この金額は基本的に「1個当たりの単価」で判断します。

ただし、単体で使用することが想定されていないものなどについては、「1個当たり」ではなく「1組当たり」で判断します。例えば、応接間に置いてあるソファやテーブルなどはセットで使用することを前提にデザインされているものが多く、こうした資産については1組の金額で処理方法を判断する必要があります。例えば、ソファが25万円、テーブルが10万円の応接セットを購入の場合、35万円の器具備品(固定資産)として計上します。

4)車やクルーザーといった固定資産も減価償却費を損金にできるの?

税務上、事業を行う上で必要な固定資産であれば、減価償却費は損金となります。従って、社用車を購入したり、福利厚生目的でクルーザーを購入したりした場合、減価償却費は原則として損金になります。

ただし、こういった資産は高額で、かつ「事業目的」か「私的目的」かが曖昧になるケースも多いため、事業目的で購入・使用していることを証明できるような書類を整えておくことが重要です。例えば、「運用規程(使用手続きなど)」や「使用管理表(いつ、誰が、どのような目的で使用したのかなど)」を準備するとよいでしょう。これを怠り、事業目的で使用していることが証明できなかったり、そもそもプライベートでの使用がほとんどであったりすることが明らかな場合は、減価償却費が損金にできないばかりでなく、購入金額が役員などの個人に対する給与として源泉所得税の対象となるなど、思わぬ税負担が生じる恐れがあります。

以上(2022年5月)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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画像:Mariko Mitsuda

ドローン商用化へTake off! 2022年6月の航空法改正で広がるビジネスチャンス

書いてあること

  • 主な読者:航空法改正を機に、ビジネス用途でのドローン利用を検討している経営者
  • 課題:ドローンを自社のビジネスにどう利用できるのか知りたい。また、法改正の影響も知りたい
  • 解決策:空撮や空輸などの特徴を活かしたさまざまな業種での活用事例を参考にする。法改正によってドローンの登録が義務化されるが、市街地でも飛行が可能になる

1 法改正で飛行エリアが拡大。“野良ドローン”は飛行不可に

政府は航空法などの改正によって、商業面でのドローンの利用拡大を後押ししています。具体的には、

2022年6月から、ドローンの所有者による機体の登録が義務付けられる一方で、

2022年12月から、市街地などの有人地帯でドローンを飛ばすことができる

ようになります。

政府の方針を追い風に、農林水産、建築、物流、宿泊、広告など、さまざまな業種がドローンの利用を活性化させるための取り組みや実証実験を進め、省力化やコスト削減の効果を上げています。

この記事では、自社のビジネスでドローンの利用を検討されている経営者の皆さまに、今後の普及が見込まれるドローンの活用事例を紹介するとともに、法改正に伴って留意すべき点について解説します。

2 注目の「ドローン×さまざまな業種」

空中での撮影や空輸など、ドローンの特徴を活かせる領域として、次のような業種が注目されています。さらに、水中ドローンも登場し、養殖業での活用が始まっています。

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1)ドローン×農業

農業分野でのドローンの利用が注目されています。ドローンが撮影した映像をAIが分析することで、広大な農地の作付け状況や病害虫の発生の早期発見などに役立てる狙いがあります。また、これまでは有人の小型機や専用のヘリコプターで行っていた農薬散布なども、空中からの映像を見ながら操作ができ、コストが安価なドローンが担う場面も見られるようになってきました。

農林水産省でも農業分野でのドローン導入を推進しており、関連資料や支援策、取り組み事例などの情報発信を行っています。取り組み事例の中には、ドローンでキャベツ畑を見回り、生育状況を画像診断して収穫量を予測するvegeta(広島県)は、生産コストが年間約600万円削減、生産額が約6500万円増加したとの報告があります。また、イネを食害するスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)を、農薬散布に特化したドローンで駆除するヤマハ発動機(静岡県)は、駆除にかけていた作業時間が従来の約9分の1の4分に短縮され、ジャンボタニシの90%近くが死滅したといいます。

■農林水産省「農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会」■
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/drone.html

2)ドローン×林業

林業でのドローンは、切り出した木材の運搬や、上空からの森林調査などで活用が始まっています。

木材の運搬では、住友林業(東京都)が産業用ドローンの製造を行う国内メーカーのマゼックス(大阪府)とともに、林業用のドローン「森飛(MORITO)」を開発しました。一度に8~15キログラムの重量を運搬することができ、従来は人力で80分かかっていた運搬作業を、空中の最短距離を移動できることによって5分で完了します。

森林調査では、ジェイドローン(東京都)がドローンを活用したサービスを提供しています。同社のサービスでは、空から森林を撮影することで、樹種、本数、大きさから、想定される収穫量を算定することができます。こうして得られた情報は、自治体が作成する林地台帳や、木材販売時の参考資料にも利用することができます。

3)ドローン×建築業

建築業などの企業の中には、自社が行うリフォームに関連した取り組みとして、ドローンを使った建物の診断サービスを提供しています。

このサービスは、ドローンで建物の屋根などを撮影し、破損箇所のチェックを顧客と担当者がその場で確認できるものです。ドローンを使うことで、これまでは屋根に上って目で確認していた作業が短縮され、作業のために組んでいた足場などが必要なくなります。

ドローンの多くが市販のものを利用しており、調達コストも低価格に押さえられそうです。こうしたこともあり、点検無料をPRしている企業もあります。

ドローンを使った検査サービスが登場した背景には、消費者庁への相談が増加していることや、故意に屋根を傷付けて修理費用を請求されるトラブルも要因の一つとして挙げられています。ドローンを使うことで、これまで顧客が見えなかった部分も映像として残ることになり、顧客からの安心感を得る方法の一つとしても定着する可能性があります。

4)ドローン×物流業

今回の航空法改正で利用の拡大が見込まれている分野の一つが、市街地などでのドローンによる輸送です。東京都では、ドローン関連のビジネスモデル構築に向けた支援を行う計画で、三菱総合研究所(東京都)とともに、都心部でのドローンを用いたフードデリバリー、医薬品運搬、小売店舗からの配送、という3つのプロジェクトを進めています。

フードデリバリーを例に挙げると、2021年11月に近距離(約50メートル、約700メートル)での配送を実証実験しました。この実験の主な目的は、近隣のレストランから提供される料理を温かいまま配送できるかに加えて、ドローンによる配送というエンターテインメント性を顧客に提供できるかも評価されています。

東京都ではこの計画を継続し、2024年度にはサービス提供エリアを拡大するとともに、ホテルのプランに組み込むことや、オフィスや住宅への配送も開始する予定です。

5)ドローン×宿泊業

宿泊施設では、サービスの一環として観光用にドローンを利用したり、ドローンのライセンス取得のための合宿プランを提供したりしています。さらに、宿泊施設向けに、ドローンからのプロモーション用動画の撮影などを提供する企業も登場しています。

小川旅館(岩手県)は、県内初とされるドローンを用いたサービス「ドローンツーリズム」を提供しています。このサービスは、宿泊者にドローンを貸し出し、周辺の観光スポットを撮影できるものです。

広い敷地を持つ宿泊施設の中には、敷地の一部を利用したドローンのライセンス取得のための合宿プランを提供しているところもあります。リソルの森(千葉県)は、ドローンの操縦に慣れ、操縦技術を身に付ける「ドローンライセンス取得1泊2日プラン」を提供しています。このプランでは、国土交通省が認定したコーチによる指導の下、認定資格のドローンパイロット1級または2級の取得を目指すものです。特に、1級の取得を目指す「ビジネスコース」では、業務での空撮や赤外線点検を想定した内容で、法人向けの研修にも対応できます。

micado(東京都)は、宿泊業向けのマーケティング支援をしています。同社のサービスでは、ドローンを使って撮影したオリジナルのコンテンツの作成を10万円から提供しています。自社の施設のプロモーションビデオや写真よりも臨場感のあるドローンからの映像で、競合他社との差別化に効果的です。

6)ドローン×広告業

中国などが先行しているドローンを用いた野外広告が、日本でも登場しました。ドローンを使ったショーを手掛けるレッドクリフ(東京都)は2022年2月、テレビCMのプラットフォームを運営するテレシー(東京都)と共同で、日本初とされるドローン広告を公開しました。

この広告は、300機のドローンを用いて、夜空に広告主のロゴやQRコードを表示するものです。同社によると、上空100メートルで展開されたドローン広告は、数キロ離れたところからも確認できたとされ、これまでの野外広告よりも広範囲で視認されそうです。

ドローン広告は今後も需要が増えていくと見込まれ、同社は2022年度中に、1000機以上のドローンを使った広告を目指しています。

7)水中ドローン×養殖業

ドローンがカバーする領域は空だけではありません。水中に潜り、これまで人間が高いリスクにさらされながら行ってきた仕事を、水中ドローンに代替させることを試みています。

ドローンの販売や関連サービスを展開するスペースワン(福島県)は、水中ドローンの養殖業での本格利用を推進し、マダイなどの養殖を行うダイニチ(愛媛県)とともに、水中ドローンの活用について実証実験を実施しました。

この実証実験では、養殖いけすに水中ドローンを投入し、いけすの底に沈んだ死魚の回収や、いけすの網の点検などを行いました。これまでは、死魚の回収やいけすの点検は人間が潜水して作業していましたが、危険な潜水作業で体力的に負担が大きいため頻繁に行うことが難しく、死魚が大量に発生していたり、いけすの破損に気付くのが遅れたりなどの課題がありました。

この他、KDDI(東京都)は、世界初ともいわれる「水空合体ドローン」を開発し、水中ドローンの「目的地まで船などで運ぶ必要がある」課題を、飛行型ドローンに水中ドローンを搭載するというアプローチで解決を試みています。水中ドローンをダムや港湾施設での点検、水産施設での監視などで活用することを目標にしたものです。

現在は陸地からドローンが発進し、目的の沖合に着水し、水中用の子機ドローンを潜水させる実証実験を行っています。飛行型の親機が音響測位を行って水中の子機をコントロールし、子機は搭載されたカメラで水中の様子を撮影する仕組みです。

3 法改正のポイント

冒頭でも触れた、航空法などの一部改正について簡単に紹介します。改正の背景として、新型コロナの影響を受けた航空産業の維持や、航空輸送の安全確保の向上、ドローンの利便性向上が目的です。ドローンに関しては、2022年度中の「レベル4飛行(有人エリアで、人の目の届かない範囲でドローンを飛行させること)」の実現を目標としています。

今回の改正の中からドローンに関する改正をピックアップすると、次のようになります。

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人口密集地でのドローンによる配送や警備などが該当するレベル4飛行を実現するためには、利用するドローンの機体認証と、操縦者のライセンス登録が必要となります。

新たに創設される機体認証では、ドローンの使用者に機体の整備を義務付け、民間検査機関による検査の実施などを行うとしています。操縦ライセンスでは、学科および実地での試験を行い、有人地帯での飛行に対応する資格とそれ以外に分け、固定翼や回転翼などの機体に対応した限定資格を想定しています。

これらの資格制度に加え、ドローン運行時のルールの明確化を狙い、飛行計画の提出や飛行日誌の記録なども必要になります。ドローンが関係する事故が発生した場合には、航空機や鉄道での事故の原因究明や再発防止策を調査する運輸安全委員会の調査対象となり、「実際の航空機」に近い管理が求められるようになります。

4 義務化に備え、ドローンを登録するには?

2022年6月の無人航空機(機体重量100グラム以上のドローンやラジコンなど)の登録義務化を控え、国土交通省では2021年12月から事前登録の受け付けを開始しています。最後に、ドローン登録の手続きについて簡単に紹介します。登録手続きは、「ドローン登録システム」でのオンライン申請と、郵送での書類申請の2通りがあります。今回は、オンライン申請の大まかな流れを解説します。手続きの詳細、書面申請に必要な書類などは、国土交通省の「無人航空機の登録制度」をご参照ください。

■国土交通省「無人航空機の登録制度」■
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_ua_registration.html

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これまで見てきたように、ドローンが活躍するシーンはさまざまな業種に広がっています。政府もこれを後押しするために法整備を進めています。一方で、今後は登録許可制になるため、無許可のドローンを飛ばすことができなくなります。ドローンの操縦者の育成や機体認証にはある程度の時間がかかると予想され、ドローンの利用を検討している場合には、前もって準備を進めることが重要です。

5 ドローン関連の動向:物流・農林水産関連などで期待大

ドローンの性能が向上し、活用シーンが増えるにつれて、市場規模も右肩上がりで成長しています。市場調査企業の調査区分や、産業用や民生用、軍事用などの用途により数字は変化しますが、一部では2020年のドローンの世界市場規模は約2兆円、国内は約1800億円に達するとの見方もあるようです。

東京都では、ドローンを用いた新たなビジネスの社会実装を目指し、ビジネスモデル構築の支援を行っています。東京都「東京都における産業用ドローンの市場規模の推計と予測」によると、東京都の市場規模(ドローンに関連する取引の売上の総計)は次の通りです。

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東京都の資料によると、2018年時点の都内の市場規模は約107億円とされ、2030年には約965億円と約9倍に伸びると予測されています。特に成長が予測されるのは、ドローンの操縦訓練や専門人材の派遣などの「周辺サービス」や、空撮および物流、農林水産関連などでドローンを用いたサービスを提供する「サービスプロバイダー」とされています。

この背景には、働き手の高齢化による労働集約的な作業の自動化などが進むことと、23区内の人口増が続き、需要が増加することを挙げています。特に注目されている分野は物流で、日用品などの小口配送やフードデリバリーが普及すると予測しています。

以上(2022年6月)

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画像:tonefotografia-Adobe Stock

不妊治療と仕事との両立支援

不妊治療の検査や治療を受けたことがある夫婦は、5.5組に1組と増加傾向にあり、4月1日から不妊治療が保険適用されたことから、今後ますます不妊治療と仕事との両立を希望する労働者は増加することが見込まれています。本稿では、不妊治療の現況と、仕事との両立を支援するため厚生労働省が提供しているツールや助成金をご案内いたします。

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不妊治療と仕事との両立支援

不妊治療の検査や治療を受けたことがある夫婦は、5.5組に1組と増加傾向にあり、4月1日から不妊治療が保険適用されたことから、今後ますます不妊治療と仕事との両立を希望する労働者は増加することが見込まれています。
本稿では、不妊治療の現況と、仕事との両立を支援するため厚生労働省が提供しているツールや助成金をご案内いたします。

1 不妊治療の現況

厚生労働省が実施した総合調査によれば、約7割の企業が「不妊治療を行っている従業員の把握ができていない」、約8割の企業が「不妊治療と仕事の両立を支援するため当該従業員を対象とした取り組みを実施していない」と回答しています。

そして、労働者側の調査では、「仕事と不妊治療の両立ができなかった」と回答した方の割合は35%と、少なからず何かを犠牲にした方がおり、企業のサポート体制の確立が望まれるところです。

2 支援ツールの概要

しかしながら、不妊治療がどのようなもので、企業があるいは職場全体としてどのように取り組めば良いのか、対応が悩ましい企業も多いことでしょう。厚生労働省では、このような点を踏まえ仕事と不妊治療の両立を支援するための3つのツールを提供しています。以下に概要をご案内いたします。

支援ツールの概要

※本ツールは、厚生労働省のHPからダウンロードしてご活用ください。

3 両立支援等助成金

また、不妊治療と仕事との両立に資する職場環境の整備に取り組み、不妊治療のために利用可能な休暇制度や両立支援制度を労働者に利用させた中小企業事業主を支援する助成金制度も実施されています。

申請のステップや助成額は次の通りとなっています。詳細は厚生労働省のHPなどでご確認ください。

助成金制度の概要

4 さいごに

従業員が不妊治療をしながら働き続けやすい職場づくりを行うことは、安定した労働力の確保、社員の安心感やモチベーションの向上、新たな人材を引き付けることなどにつながり、企業にとってもメリットがあると考えられます。

まずは、今回ご紹介した企業向けマニュアルなどをご覧いただくとともに、助成金の活用も視野に入れながら、仕事と不妊治療の両立に向けた支援導入を検討してみてはいかがでしょうか。

※本内容は2022年5月13日時点での内容です

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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画像:photo-ac

雇用保険法等の一部を改正する法律のポイント

雇用保険法等の一部を改正する法律(以下、「改正法」という)が令和4年3月30日に成立し、4月1日から施行されています(一部の施行日は別)。改正法については、雇用保険率の上昇や年度途中の料率変更が話題となりましたが、それ以外にもこれまでの法規制から大きく転換し、企業にとっても影響の大きい改正内容が含まれています。本稿では、従業員の生活や企業実務に関係する部分を中心に、改正法の内容を解説します。

(日本法令ビジネスガイドより)
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雇用保険法等の一部を改正する法律のポイント

雇用保険法等の一部を改正する法律(以下、「改正法」という)が令和4年3月30日に成立し、4月1日から施行されています(一部の施行日は別)。改正法については、雇用保険率の上昇や年度途中の料率変更が話題となりましたが、それ以外にもこれまでの法規制から大きく転換し、企業にとっても影響の大きい改正内容が含まれています。本稿では、従業員の生活や企業実務に関係する部分を中心に、改正法の内容を解説します。

1 雇用保険率の改正▶労働保険徴収法改正、令和4年4月1日施行

令和4年度の雇用保険率は、令和4年4月1日から9月30日までの期間(令和4年度前期)と令和4年10月1日から令和5年3月31日までの期間(令和4年度後期)のそれぞれで上昇します(図表1)。年度途中の料率変更は平成14年度以来であり、当時は雇用情勢が想定以上に悪化したため急遽10月1日から引き上げた経緯があったのですが、年度当初から変更が予定されたのは初のケースとなります。雇用保険率の改正に伴い、毎月の賃金、賞与計算に影響が生じるため、具体的な実務上の留意点を解説します。

令和4年度の雇用保険率

(1)給与計算システムの確認

まず、利用している給与計算システムが年度途中での料率変更に対応しているか確認してください。クラウド型の給与計算システムを利用している場合は、一般的に、最新の雇用保険率の改正に自動的に対応されており、利用者側でアップデート等の作業をする必要はないはずですが、念のため利用しているソフトの公式ウェブサイトをご確認ください。

次に、PCにインストールするタイプの給与計算システムを利用している場合は、システムのアップデートを必ず行ってください。

また、従業員数が少なく、Excelで賃金計算を行っている場合は、参照している雇用保険率の箇所の変更が必要です。ただし、令和4年度前期の雇用保険率の変更は、事業主負担のみ(一般の事業の場合、6.5/1000)であり、令和4年度後期から事業主負担が再度上昇(一般の事業の場合:8.5/1000)し、労働者負担も変更(一般の事業の場合:5/1000)になります。過去のデータをコピー&ペーストする際には、変更箇所の違いがある点にご注意ください。また、令和4年4月以降、令和4年10月以降に支給する賞与についても雇用保険率が異なる点に併せてご注意ください。

(日本法令ビジネスガイドより)

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【損金】税理士が解説。損金になる旅費交通費、ならない旅費交通費

書いてあること

  • 主な読者:決算対策の一環などとして、旅費交通費を損金にしたい経営者
  • 課題:電車やタクシー代は全て旅費交通費でよいのか? 請求も手間がかかる
  • 解決策:必要な旅費交通費は損金になるが、証憑(しょうひょう)はしっかり残すこと

1 旅費交通費とは

旅費交通費とは、

役員や従業員(以下「社員等」)に支給する通勤費や社用車で必要となるガソリン代、出張時に必要となる宿泊費や日当などの費用

です。旅費交通費は事業を行う上で必要不可欠な費用であり、税務上も原則として損金になります。ただし、取引先を接待する際に使ったタクシー代は交際費とされたり、出張によって支給する日当が高額すぎる場合は給与にされたりするなど、独特な取り扱いをされることがあるので注意が必要です。

旅費交通費が損金になるかどうかのポイントは、

  • きちんと実費精算していること
  • 出張旅費規程を作っていること

です。詳しく見ていきましょう。

2 損金になる旅費交通費の2つのポイント

1)きちんと実費精算していること

取引先との商談のために必要な電車やタクシーなどの移動費用は、実費精算が原則です。その都度、精算するのは手間がかかるため、週1回や月2回などと精算日を決め、経費精算書を作成して精算する方法が多く取られます。経理担当者は、社員等から経費精算書と領収書の提出を受け、内容をチェックした上で精算を行い、経理処理をします。経費精算書には交通機関などの利用日や利用金額の他、交通手段や経路、目的、得意先の名称なども入れるとよいでしょう。

なお、目的が曖昧であったり、領収書の添付がなかったりする場合は、私的費用などとして交際費あるいは給与として取り扱われることがあるため注意しましょう。

2)出張旅費規程は作っていること

出張では、交通費や宿泊費の他、現地で発生する通信費その他の雑費がかかります。これらの雑費についても実費精算が原則ですが、細かいものまで全て実費精算するのは手間です。出張期間が長い場合はなおさらです。そのため、実費精算に代えて、「日当」を支給することがあります。実費精算と異なり、日当は定額で支給するものなので、一定の要件を満たす「出張旅費規程」を作り、その規程に基づいて支給します。こうして支給された日当は損金になります。

気になるのは、出張旅費規程で満たす「一定要件」ですが、これは2つあります。

  • 支給する役員および使用人の全てを通じて、適正なバランスが保たれている基準によって計算・支給されるものであること
  • 同種規模類似法人(同業他社)と比較して、一般的に支給している金額として相当と認められる金額の範囲内であること

1.の要件のポイントは、出張する社員等の全てが日当の支給対象であることです。特定の社員等のみを支給対象にしたり、同じ役職なのに支給金額にばらつきがあったりすると、税務上の要件を満たさないことになるので注意しましょう。なお、役職によって必要となる雑費も異なりますので、役職に応じて支給金額に差をつけることは問題ありません。

2.の要件のポイントは、同業他社などと比較して金額が高額すぎないことです。もし、高額であると判断された場合は、給与として所得税の源泉徴収の対象とされます。特に役員に対するものについては損金にならないので注意しましょう。税務上の具体的な基準はありませんが、

  • 一般社員:2000〜3000円
  • 役職者:3000〜5000円
  • 役員:4000〜6000円

の範囲で設定している会社が多いです。必要に応じて、税理士などの専門家に相談するようにしましょう。

3 旅費交通費で迷いやすい実務Q&A

1)通勤交通費はいくら支給してもいいの?

通勤交通費は、原則として会社側では損金になり、社員等側においても所得税の対象にはなりません。ただし、一定の金額を超えて支給した場合、その超過した部分については社員等の所得として取り扱われ、所得税の源泉徴収の対象となります。

所得税の非課税とされる金額(範囲)は次の通りです。

1.交通機関で通勤する人

支給する運賃相当の全額が非課税とされますが、1カ月当たり15万円が上限です。ここでいう運賃とは、「通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合」をいいます。住宅事情に伴って新幹線通勤をする人もいると思いますが、新幹線通勤をせざるを得ない状況であれば、特急料金を含めて15万円までは非課税とされます。15万円を超える部分は非課税とはなりません。

2.マイカー通勤の場合

マイカー通勤の場合は、実際の片道通勤距離に応じて下表の金額までが非課税です。

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3.マイカーと交通機関を利用する人

自宅から最寄り駅までマイカーを利用し、最寄り駅から勤務先までは交通機関を利用する場合、上記の1.と2.の合計金額が非課税とされますが、上限は15万円です。

2)出張に合わせて帰宅しても、全て旅費交通費として処理していいの?

単身赴任者が出張した場合、その出張先が自宅に近ければ自宅に帰ることもあるでしょう。この場合にも、出張の目的や行路から見て、あくまでも出張が主な目的であり、かつ業務を行う上で必要な出張である限り、往復の旅費交通費は損金になり、出張者側においても所得税の源泉徴収の対象とはなりません。

反対に、帰宅すること自体が主な目的と判断された場合は給与として取り扱われ、所得税の源泉徴収の対象となります。特に出張者が役員である場合、旅費交通費として処理していても、税務上は役員給与として損金にならないので注意しましょう。

旅費交通費として認められる場合と給与として取り扱われる場合の例は下記の通りです。

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3)展示会に得意先を招待した際の交通費や宿泊費は、旅費交通費か交際費か?

自社商品の展示会に得意先を招待し、その交通費や宿泊費を負担した場合の取り扱いです。これは、より多くの人に自社商品を知ってもらい、売上の増加・促進を図るために必要な費用であるため、旅費交通費として損金とすることが認められます。一方、展示会とは名ばかりで、得意先を招待して宴会を行うことを主目的としている場合は、交際費として取り扱われます。

従って、展示会を行う趣旨や期間その他が記載されている計画書や企画書などを証憑書類とともに保管しておき、税務調査で質問された場合においても、十分な説明ができるようにしておきましょう。

4)定額の通勤手当を廃止し、実費精算に切り替えた場合、税務上取り扱いで変わる点はあるの?

コロナ禍において、通勤手当を廃止した会社が多くあります。通勤手当を実費精算へ切り換えた場合も税務上の取り扱いは変わらず、旅費交通費として損金となります。なお、実費精算の場合は従業員ごとに出勤日や出勤経路の確認など詳細の確認を怠らないようにしましょう。

以上(2022年5月)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】「もう一度の青春」が生み出す爆発力

皆さんは何か、若い頃に「青春」をささげたものはありますか? スポーツ、研究、ボランティア、アルバイト……何か1つは熱中したものがあるはずです。もし「朝から暑苦しいな……」だとか「そんな昔のことは忘れた……」なんてドライな感想を持った人がいたら、そんな人にこそぜひ聞いてほしい話があります。今日お話しするのは、今から60年前の1962年に完成した、戦後初の国産旅客機「YS-11」のエピソードです。

この話の前提になるのは、当時の日本にとって「航空機産業」というのは、非常にハードルが高い分野だったということです。第二次世界大戦で敗戦国となった日本は、1945年以降、航空機の製造や開発など、航空に関するあらゆる活動を禁止されます。1952年に連合国による統治が終わったことで、これらの禁止は解かれるのですが、7年間のブランクによって、日本の航空機は世界に大きく後れを取ってしまったのです。

そんな状況を打開しようと立ち上がったのが、今でいう経済産業省の役人だった赤澤璋一(あかざわしょういち)氏でした。赤澤氏は「日本の空を日本の翼で」を合言葉に、民間機体メーカーの精鋭たちをかき集め、国産旅客機の開発に取り組みます。ジブリ映画の「風立ちぬ」で有名な航空技術者の堀越二郎(ほりこしじろう)氏もメンバーにいたそうです。そんな精鋭たちによって動き出したYS-11のプロジェクトですが、製造は難航しました。

旅客機は、何十もの座席を設置した上で乗り心地も確保しなければならないのに、当時の技術力では機体を安定させることさえ難しく、航空実験は何度も失敗しました。それでも開発チームは最後まで音を上げずに試行錯誤を続け、ついにYS-11は旅客機としての認可をクリアします。

なぜ、彼らは諦めなかったのか。理由はさまざまありますが、私が大きいと思う理由は「メンバーの多くが若い頃、航空機に青春をささげていたから」です。開発チームのメンバーには、「零戦(ぜろせん)」「飛燕(ひえん)」など、戦前戦中に日本で使用された航空機の開発に携わった人たちが多くいました。ただ、先ほどお話しした通り、敗戦で航空機に関する活動が禁止され、彼らはその仕事を続けることができなくなってしまいました。国産旅客機の開発は、彼らにとって失った青春をもう一度取り戻すための場所であり、その情熱がYS-11を完成へと押し上げたのです。

皆さんにもし、若い頃に青春をささげたけれど、今は遠ざかっているものがあれば、折を見て再び挑戦してみてはいかがでしょうか。大きな活力を得られるかもしれませんし、今の仕事につながる「気付き」を与えてくれるかもしれません。私自身も、皆さんが「もう一度の青春」に挑戦することで生まれる爆発力を見てみたいと思います。仮に爆発力までいかなくても、新たな人脈づくりや、社内外の人との会話の際の「話題づくり」に、大いに役立つはずです。

以上(2022年6月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】プロ意識を考える

皆さんは、上司や先輩から「プロとしての自覚を持て」とか「プロ意識を持て」と言われることがあるでしょう。プロとは、もちろんプロフェッショナルの略語であり、日本語でいうと「専門家」となります。また、プロ意識とは専門家としての自負心を持つということになるでしょう。しかしプロとは何なのか、プロとしての自覚を持つとはどういうことなのか、というのはなかなか分かりにくいものです。プロなんて、野球選手・音楽家・職人・研究者などの世界の言葉であって、自分たちには関係ないと思う人も多いでしょう。

ここで、プロとアマチュアの違いは何か考えてみましょう。両者の区別は、お金を基準に考えれば分かりやすいでしょう。それを行うことでお金がもらえる人はプロ、もらえない人はアマチュアです。そういう意味では皆さんは私も含め、この業界で働くことによってお金をもらっているわけですからプロであるということになります。実際、我が社のお客様は私たちのことを業界のプロとして見ています。ですから私たちはこの業種のプロであると自覚することはとても大切です。

さあ、皆さんはプロとして自覚を持ちました。プロである以上、もらうお金以上の仕事ができるようになりましょう。言われたことを言われた通りにできるだけでは十分ではありません。

プロの自覚があれば、言われたことはもちろん、それ以上の結果を残す、成果を挙げることが求められているのです。

例えば、何かサービスを受けたとき、お金を払ってサービスを受け、「こんなものかな」と思ったときと、「値段以上のもので、とても満足」と思ったときを考えればすぐに分かります。「もう一度このサービスを受けたい」と思うのは後者です。

もちろん、私だって最初から言われたこと以上の結果を残せたわけではありません。まずは、与えられた業務をこなし、組織の中での役割を実行し、その仕事にやりがいを感じられるようになることから始めました。それを、自分にしかできない仕事へ高めていくために、努力や創意工夫を重ねていったのです。

こうして積み重なっていったものが、いつしか周囲から実力として評価され、私の自信や誇りとなりました。周囲の評価や自らの自信はさらなる努力や創意工夫の源泉となりました。

プロは最初からプロであったのではなく、不断の努力と創意工夫、そして情熱で真のプロになっていくのです。今から「私はプロ」の自覚を持って業務に励んでください。

以上(2022年6月)

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画像:Mariko Mitsuda