【部門別の見える化】この店舗の赤字は本当にコロナのせいなのか?

書いてあること

  • 主な読者:財務分野の「見える化」を進めたい経営者
  • 課題:会社が大きくなるにつれ、会社の財務分野の状況が見えなくなっている
  • 解決策:数値をグラフ化して状況を可視化し、トレンドに対する正確なイメージを持つ

1 なぜ、会社は「見えなくなる」のか?

会社の「見える化」の重要性を理解しても、そのための取り組みを行わなければ、次第に会社が見えなくなっていきます。会社が歴史を積み重ねていくと、必然的に顧客の数、支社・店舗の数、関連会社の数などが増加し、マンパワーだけでは徐々に管理できなくなっていくからです。

こうした段階になれば、システム構築などを検討すべきですが、実際は従来の延長線上で管理を続け、適切な対策を講じていない会社が少なくありません。そうすると、次第に会社全体の姿を正確に把握できない(=会社が見えない)状況に陥ってしまうのです。

この記事では、支社・支店・店舗などの部門別の損益について、会社の「見える化」を推進する際のポイントなどを、店舗別の事例を交えて紹介します。なお、グラフから業績のトレンドや問題点を把握することを重視するため、個々のグラフについての数値に関する詳細な説明は省略しています。

2 各店舗の問題点の把握

部門別の観点とは、全社的な損益の観点の一部、ないしは詳細版です。そのため、全社的な損益グラフを部門別に細分化すれば、部門別グラフは作成できます。しかし、それだけでは不十分です。部門別の「見える化」を行う上では、

各部門間での相対比較を行い、各部門の存在価値(優劣)を一目で分かるようにすることがポイント

です。

例えば、「各店舗を売上高と利益でプロットしたグラフ」というと、図表1のようなグラフをイメージする人が多いかもしれません。

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全ての店舗において、売上高と利益の割合がほぼ一定である場合は、こうしたグラフになります。しかし、実際には、図表2のようなグラフとなるケースが一般的です。

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図表2と同様に、次のようなケースが少なくありません。

  • 売上高、利益とも高い10~20%程度の優良店舗が全体をけん引しており、その他の店舗が“お荷物状態”になっている
  • 全体の30~50%程度の店舗が赤字になっている
  • 売上高が大きくても、利益はそれほどでもない(利益率が低い)店舗がある
  • 売上高ナンバーワンが、利益ナンバーワンとは限らない

こうした実情が分かれば、次は赤字店舗の状況について詳細に把握し、検討していくことになります。その際は、グラフの集計期間に注意する必要があります。例えば、集計期間がある特定の月であれば、その月特有の事情があるかもしれません。こうした特殊要因の影響を排除するためには、累計値のグラフを作成する必要があります。

図表3は、最も赤字を出している1店舗の月次損益の推移をグラフにしたものです。なお、13期7月時点での検討を想定しているため、13期のデータは7カ月分しか表示されていません。

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このグラフを見て、現状をどのように分析するでしょうか。もしかすると、「ここ数年は、コロナ禍の影響があるから……。もう少し様子を見てみよう」といったように、“言い訳”をする人が出てくるかもしれません。

しかし、図表3に表示されている3期に加えて、前4期分の情報を追加すると、どうでしょうか(図表4)。

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図表4を見ると、“ここ数年”といった短・中期的に業績に影響を与えるような偶発的要因が、業績不振の原因ではないことが分かります。より長期間の状況をグラフで示すと、偶発的要因を排除した状況を簡単に把握することができます。ここで大切なことは、分布図で部門の相対評価を行うのは、各部門の相対価値を関係者が共有するためであり、その先の検討には、店舗別(部門別)の損益グラフが必要になるということです。

3 会社全体の問題点の把握

ここでは、各部門の順位グラフを検討し、会社全体の問題点について見ていきます。各店舗の業績(売上高および利益)を、利益の多い順にグラフにしたものが図表5です。

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また、各店舗の利益を、利益の多い順に左側から積み上げたものが図表6です。

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図表6では、右端にあるA店の部分にある数値が、全店舗合計の利益を表しているので、全社的には約5億円の利益が出ていることになります。また、上位2店舗(H店とI店)のみでも、5億円以上(約7億円)の利益が出ていることが分かります。これは決してイレギュラーな現象ではありません。件数ベースで上位約20%の部門だけで、全体利益の数百%を構成する場合もあります。ただし、経営上の観点からいうと、こうした比率は重要ではありません。本当に大切なことは、このグラフが会社を継続していくと共にどのように変化しているかを把握することです。会社を継続していくと、図表7のような兆候が発生しがちです。

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会社を継続すると、必然的に規模の拡大が行われるため、店舗(部門)の数は増加します。全部が一定率の利益を出す、すなわちグラフで表すと右肩上がりの直線的なものになるようであればよいのですが、現実は図表7のような形が出現しがちです。言い換えると、会社を継続するほど、収支がほぼ均衡する“胴体の部分”(図表7でいえばE~T店)が長くなってきます。

つまり、「顧客や店舗はどんどん増えるけれど、利益が増えない」状態です。

一方で、固定費が増加しない仕組みを構築しない限り、顧客や店舗が増えれば必然的に全社ベースでの固定費は増大します。そのため、こうした仕組みを構築することができなければ、いずれこの会社は固定費の増大に耐えられなくなります。

自社にこの症状は出ていないか、グラフを使って確認してみるとよいでしょう。

以上(2022年6月)
(監修 公認会計士 益子宣夫)

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画像:pixabay

【朝礼】君たちは「餌が食べられないカマス」のままでいいのか?

皆さんは「カマス」という魚を知っていますか。暖かい海に生息し、干物や塩焼きにするとおいしい魚です。今日は、このカマスを使った有名な実験についてお話しします。

この実験ではまず、大きな水槽を透明な壁で仕切り、一方の水槽にカマスの群れ、もう一方の水槽にカマスの餌になる小魚を放します。すると、カマスたちは餌を食べようと、壁に体当たりを始めます。しかし、何度体当たりをしても壁の向こう側に行けないことが分かると、そのうち諦めておとなしくなってしまいます。次に、水槽の中の透明な壁を取り除きます。すると、カマスたちは一斉に餌のほうに向かっていく……と思いきや、全く動こうとしません。目の前を小魚が泳いでも反応せず、そのまま餓死してしまうそうです。

では、どうすればこのカマスたちは餌を食べるようになるのか。答えは簡単。「新しいカマスを水槽に入れる」のです。新しいカマスは、もともと水槽に壁があったことは知りませんから、喜んで小魚のいるところに行きます。すると、「餌は食べられない」と諦めていた“古い”カマスたちも、新しいカマスに釣られ餌を食べ始めるのです。

ビジネスに置き換えるなら、餌は「達成すべき目的」、透明な壁は「目的の達成を妨げる障害」、古いカマスは「目的をなかなか達成できず、チャレンジに消極的になってしまった社員」、新しいカマスは「怖いもの知らずのチャレンジ精神旺盛な新入社員」といったところです。

この実験の話は、「停滞している組織に新しい風を吹き込めば、組織は活性化する」という例えとしてよく使われます。ですが、私は皆さんに、外部から新しい風が吹き込むまで待ってもらいたくありません。ビジネスでは、組織が停滞しているときに、都合良く優秀な新入社員が入ってくるとは限りません。それを待っていては、古いカマスたちのように餓死してしまいかねません。新しいカマスがいなくても、餌を食べられるようになるためのポイントは2つです。

1つは「壁をよく観察すること」です。古いカマスたちは、透明な壁があることに気付かず、何度も体当たりを繰り返していましたが、もしかしたら壁の表面をゆっくりなぞっていくと、実は抜け穴があったかもしれません。仮に抜け穴がなくても、日ごろから壁を観察していれば、その壁がなくなったときに、すぐに気付くことができます。つまり、「目的の達成を妨げる障害」が何なのかを正しく認識・分析するということです。

もう1つは「壁を突破するという気持ちを持ち続けること」です。カマスは成長すると50センチ、種類によっては2メートルにもなる魚です。からだが小さいうちは破れなかった壁も、成長するにつれて突破できるようになるかもしれません。単なる根性論と思う人もいるでしょうが、「何度障害にぶつかっても、諦めずに自分を磨き続ければ、いつかは目的を達成できる」ということです。

以上(2022年6月)

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画像:Mariko Mitsuda

【損益の見える化】グラフを使った月次経営管理の基本的な流れ

書いてあること

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1 損益が劇的に把握しやすくなる「グラフ化」

数字が羅列された表だと見落としてしまうことも、グラフだと発見しやすくなります。日々の経営では、月次試算表に基づく経営成績のチェックが不可欠ですが、実際に次のような月次試算表が手元に届いたとしましょう。この会社は12月決算で、13期7月(以下「最新月」)時点の月次試算表になります。

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経営者は次の視点から検討することでしょう。

  • 最新月の売上高の確認
  • 最新月の売上高の、対前期や対前月での増減額および増減率の確認
  • 最新月は黒字か、赤字か、またその額の確認
  • 最新月の原価率(または売上総利益率)の確認
  • 人件費の額、構成比の確認
  • 個々の会社において、特に注意を要すべき費目(例えば、広告宣伝費など)の額の確認

また、累計月次試算表に基づいて、期首からの累計値で同様の検討を行い、異常な増減などがあれば、その原因を把握し、必要に応じて対策を検討・実施します。これで最新月の検討が終わり、翌月の月次試算表が届いたら、対策の効果などに目を配りつつ、再度同様のことを行う、この繰り返しではないでしょうか。

2 月次損益を把握する流れ

ここでは、月次の経営管理に活用する基本的なグラフについて見ていきます。

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図表2の月次損益の推移のグラフから、売上高、売上総利益、利益の月別状況が分かります。ただし、年度ごとの状況が分かりにくいので、年次累計グラフが必要です。

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図表3は図表2を年次累計(12カ月サイクル)グラフにしたものです。年度を通じて、黒字なのか、赤字なのか、また、その幅(金額)など年度の状況を確認できます。ただし、対前期同月比の推移が分かりにくいので、対前期同月比グラフが必要です。

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図表4は図表3を対前期同月比グラフにしたものです。設例では11期からのデータを使用しているため、図表4はその翌期である12期からのグラフになっています。

対前期同月比グラフにして、増減金額のみをグラフ化すると、増減トレンドがはっきりと分かります。このグラフが一方的にマイナスサイドに伸びている場合は、減収減益トレンドが止まらないことを表し、一方的にプラスサイドにグラフが伸びている場合は、増収増益トレンドが継続していることを表します。また、売上高と利益のグラフ方向が逆に伸びる場合がありますが、これは増収減益、減収増益といった状況を示します。損益の増減を、部門別(店舗別)に分解してみると、より多くのことが分かります(図表5)。

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図表5は図表4の最新月(13期7月)を、部門別(店舗別)グラフにしたものです。ここでは、部門を店舗として設定していますが、実際には、事業部門、顧客、地域など自社の実情に応じて部門を設定することになります。

なお、この図表5の場合、L店が相対的に減収減益幅が大きいため、次は、L店の時系列グラフ(図表2~4)を作成し、この減収減益が一時的なものなのか、トレンドとして続いているのかを検討していくことになります。

以上(2022年6月)
(監修 公認会計士 益子宣夫)

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画像:pixabay

【朝礼】ビジネスでは格好つけるな!

先日、知り合いの社長と食事に行ったときの話です。私たちのテーブルから2つ離れたテーブルでは男女2人ずつの4人グループが食事をしていました。ほどなくして、私たちとその4人グループの間のテーブルに家族連れが案内されました。

家族連れは、4人グループのテーブルのそばを通ってそのテーブルに着こうとしました。そのとき、4人グループの1人が通路に放っていたリュックを子供が踏んでしまいました。「ごめんなさい」と子供が謝ると、4人グループの1人は、「気にしなくていい」といったそぶりで無言のまま片手を上げました。恐らく、自分の寛大さを仲間やその家族連れにアピールして、格好をつけたつもりなのでしょう。しかし、私も知り合いの社長も強い違和感を覚えました。

考えてみてください。子供はリュックが通路にはみ出していたから踏んでしまったのです。つまり、そこに放っておいたその人がよくないのです。また、これは「ヒヤリハット」です。この後子供がトイレに行くときに、今度はリュックにつまずいてテーブルの角に顔でもぶつけてしまったら、大きな事故になる恐れがあります。これくらいのことがイメージできないのは短慮です。加えて、子供が謝罪しているのに、大人が声も出さずに片手を上げて応えるだけとは常識がありません。

この場合の格好いい対応とは、「子供のほうを向いてしっかりと謝罪し、速やかにリュックを引っ込めること」なのです。

誰でも格好よくありたいと思っています。しかし、格好いいの基準は人それぞれですし、TPOもあるので、普遍的ではありません。

ただし、1つ言えるのは、「自分をよく見せよう」としてうわべだけをとりつくろったりするのは、とても「格好悪い」ということです。

ビジネスでは、「トラブルなく仕事をして自分をよく見せたい」という思いから周囲との衝突を避け、当たり障りのない意見ばかりを言う人がいます。本人は格好よくスマートに立ち回っているつもりかもしれませんが、私から見れば、自分の得点を下げないことで精一杯のように思えます。衝突を恐れずに自分の意見を正しく主張するほうが、よほど格好いいと私は思います。

同様に、「部下にチャンスを与える!」など部下育成の姿勢を見せていても、実際は自分から一切動かず、リスクをとらないというのは、部下思いではなく、自分思いなだけだと私は思います。部下にチャンスを与えるために、自分は上役から叱られるかもしれないけれど、リスクをとって部下にチャレンジさせたり、自分がチャレンジする姿を部下に見せるほうが、よほど頼もしいです。

うわべだけ格好をつけても、上司や部下、同僚、取引先などからすぐに本質を見抜かれてしまいます。リアルなビジネスは泥臭いもので、ぶざまでも一歩一歩進むしかありません。その泥臭さこそ、本当に「格好いい」姿といえるのではないでしょうか。

以上(2022年6月)

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画像:Mariko Mitsuda

【会社の見える化】グラフを使えば会社の状況が驚くほど見えてくる

書いてあること

  • 主な読者:財務分野の「見える化」を進めたい経営者
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  • 解決策:数値をグラフ化して状況を可視化し、トレンドに対する正確なイメージを持つ

1 グラフ化することの効果

経営者の皆さんは、決算書や月次試算表などを見て自社の状態をチェックしていることでしょう。しかし、売上高や利益額、これらの対前期比の増減額や増減率、さらに原価率や人件費額など、たくさんの数値を全て記憶している人はどれだけいるでしょうか。

また、当然ですが、会社は動いています。この動きをコントロールするのが経営ですから、自社の動きを正確に捉えることが非常に重要です。ただし、こうした数値は、ある一時点のもの、すなわち“点の情報”にすぎません。こうした断片的な数値を記憶することよりも、トレンドを正確に認識するほうが、経営においては重要です。そして、そのための最善の方法が、

数値を時系列でグラフ化し、会社の「見える化」を図ること

なのです。別の言い方をすれば、数値をグラフに変換し、状況を可視化して、トレンドに対する正確なイメージを持つことが大切なのです。

両者の違いは明確です。例えば、「100」と「1000」の2つの数値で比較してみましょう。

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「1000」は「100」の10倍であることは理屈では誰でも理解しています。しかし、これを数値で表すと、見た目の違いは、わずか「0」1つだけです。一体どれほどの人が、「1000」が「100」の10倍であることを、正しくイメージして心に残せるでしょうか。

ところが、グラフを使って表現すると、「1000」は「100」の10倍の面積になります。

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グラフであれば、直感的かつ正確に量の違いを認識でき、また、記憶にも残りやすくなります。違う言い方をすれば、両者の違いを認識せざるを得なくなります。ここに、会社の見える化をグラフで表すことの大きな意義があるわけです。

2 認識の共有化を促進する

グラフ化すると、関係者間における認識の共有も促進できます。部下の中に「自分は数字が苦手だから」と公言している人はいませんか。そういう人でも、数値ではなく、グラフで状況を見せることで、そうした“言い訳めいた発言”は聞かないで済む可能性が高まります。

もう1つ例を挙げてみましょう。例えば、会議における業績報告の場面を思い出してみてください。「ビジネスでは数値が大切」とはいうものの、「○○部門の12月の業績は売上高450万円、対前月比10%減。営業利益は……」などと口頭での報告や、文章による説明だけだったらどうでしょうか。たとえ、数字が苦手な人ではなくとも、その数字を全て記憶することは容易ではありません。また、「対前月比10%減」という重要な情報が抜け落ちてしまい、「売上高450万円」だけが記憶に残る人もいるでしょう。

大きな問題は、同じことを聞いたり見たりしても、記憶に残る内容は人それぞれだということです。そのため、「売上高450万円」だけが記憶にある人は、「まあまあだな」といった漠然とした印象だけが残ったり、逆に「対前月比10%減」だけが記憶にある人は、「とにかくまずい!」といった焦りだけが印象に残るなど、同じ情報を見聞きしても、人によって認識が異なってしまうことがあります。

一方、これをグラフで表した場合はどうでしょう。

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このグラフは、あえて各月の具体的な数値は表示していません。しかし、具体的な数値を把握できなくても、グラフを見れば「12月になって急に売上高が減少している」という状況を誰もが認識することができるでしょう。

会社の見える化をする意義は、数値をグラフ化すること自体にあるのではありません。会社の見える化を進める意義は、数値をグラフ化することで、経営者が会社のトレンドを把握できるようになると同時に、関係者間で正しい認識を共有することによって、

的確な打ち手を検討し、会社全体が1つの方向に向かって行動することができる

ようになることにあります。

以上(2022年6月)#
(監修 公認会計士 益子宣夫)

pj35088
画像:pixabay

【広告】熱中症の応急処置と熱中症予防に有効なIoT/AI管理ツール

書いてあること

  • 主な読者:建設・土木業、製造業、運送・物流業、警備業、商業、農業等の会社経営者および役員、管理職、人事・労務担当者
  • 課題:熱中症は、症例によっては急速に進行し、重症化することがあります。従って、作業者の体調不良を早期に把握し、適切な処置を施すことが必要であり、管理者や作業者全員が日頃から正しい応急処置方法を身につけておくことが重要です。
  • 解決策:重症の場合は救急車を呼ぶことはもとより、現場ですぐに体を冷やし始めることが必要です。また、熱中症の発症は個人差が大きく、自覚症状が出たときには手遅れになりやすいため、作業者の体調不良を早期に把握することが重要です。そのためには、人による労務管理だけではなく、IoTウェアラブルデバイスによる管理ツールを導入することも有効です。

1 作業者の体調不良を示す「危険信号」を見落とさない!

近年の夏の暑さは当たり前を通り越して、“猛暑が普通”と思われるような気候となってきています。とくに、今夏(6~8月)は、「太平洋高気圧(夏の高気圧)の北側への張り出しが強い」とみられており、暑さは厳しく、そして長い期間、猛暑になる可能性が高いと予報されています。

そのような猛暑において気を付けなければならないのが、熱中症。軽症のうちは体温が上がらないことがあるため、熱中症に気付きにくく、そのまま放置している間に重症化して、死に至ることもあります。軽症の段階で早期に対応することが重要です。
作業者の体調をよく観察し、不調のサインを見落とさないことが大切です。

<こんな症状がでたら危険信号です!>

  • めまい・立ちくらみや失神(熱失神)

熱中症の代表的な初期症状です。暑さによって上昇した体温を下げようとして血管が拡がるため、血圧が下がり、脳への血液の量が減少します。そのため、顔面から血の気が失せて、めまいや立ちくらみ、場合によっては、一時的に失神することがあります。このような症状は、単独で発症することは少なく、多くは頭痛や吐き気・嘔吐、全身の倦怠感等を伴います。
めまいや立ちくらみ等の軽症の段階で熱中症を疑い、水分補給や休憩するなどの対応を行いましょう。

  • 筋肉痛や筋肉の硬直・けいれん(熱けいれん)

「手足のしびれ」や「足がつる(こむら返り)」、「足がぴくぴくする」などの症状がある場合は、熱けいれんを疑いましょう。意識ははっきりしていることが多く、必ずしも体温上昇を伴うわけではありません。

  • 大量の発汗、逆にまったく汗をかかない

熱中症の初期は、体温を下げるために汗をかきますが、体内の水分が失われると、それ以上汗をかくことができなくなります。汗のかきかたに異常がある場合には、熱中症にかかっている可能性があります。

  • 高い体温

汗をかかなくなると、体温が上昇します。熱中症が重症化すると、40℃超の高熱が見られることがあり、「熱射病」と呼ばれる状態に陥ることがあります。

  • 意識障害(応答が異常である、呼びかけに反応がない等)

おかしな応答や声を掛けても反応しない。また、歩行できないなどの異常がみられる場合は、重度の熱中症にかかっています。躊躇なく救急車を呼ぶことが必要です。

  • 水分補給ができない

自分で水分補給できない場合は、危険な状態です。無理に水分を口から飲ませることはやめて、すぐに医療機関を受診しましょう。

2 熱中症疑い時の応急処置

熱中症は「非労作性熱中症」と「労作性熱中症」 に大別できます。これらの基本的な症状は同じですが、発症環境と症状の進行時間に大きな違いがあります。

工事現場や製造現場等で労働されている作業者が発症する熱中症は「労作性熱中症」に該当し、「非労作性熱中症」に比べて、その症状の進行時間は早く、数時間のうちに悪化するため、身体に大きな異変が起きてから気付くことも多く、救命のためにも適切な対処方法を身に付けておくことが重要です。

  • 非労作性熱中症:

基本的に気温の高い室内などの暑い環境で長時間生活していると発症し、症状は数日間かけてゆっくりと進行します。

  • 労作性熱中症:

暑い環境に加えて、過度な作業や運動に伴うもので、作業をしている労働者に多く発症しています。

「熱中症疑い時の応急処置」を次図に示していますので、参考にしてください。

重症の場合は、救急車を待たずに現場ですぐに体を冷やし始める

熱中症による重症者を救命できるかどうかは、いかに早く体温を下げることができるかにかかっています。何らかの意識障害が認められるような場合は、救急車を要請することが必要ですが、その到着前から、冷却を開始することが必要です。

体温が高く、意識障害が認められるような場合は、全身を氷水(冷水)に浸ける「氷水浴/冷水浴法」が最も体温の低下効果が高く、救命につながることが知られていますが、医師の管理下において、直腸温を継続的にモニターできる人的・物的環境が整った状況で実施する必要があります。そのような環境でない場合には、水道につないだホースで全身に水をかけ続ける「水道水散布法」が推奨されます。

どこを冷やすのが効果的か?

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体表近くに太い静脈がある場所は、大量の血液がゆっくり体内に戻っていく場所のため、その箇所を冷やすのが最も効果的です。
具体的には、頚部の両側、腋の下、足の付け根の前面(鼠径部)等です。そこに保冷剤や氷枕(なければ自販機で買った冷えたペットボトルやかち割り氷)をタオルでくるんで当て、皮膚を通して静脈血を冷やし、結果として体内を冷やすことができます。冷やした水分(経口補水液)を摂らせることは、体内から体を冷やすとともに水分補給にもなります。
また、濡れタオルを体にあて、扇風機やうちわ等で風を当て、水を蒸発させて体を冷やす方法もあります。

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3 IoTデバイスを活用した熱中症予防の管理ツール

前項のとおり、熱中症を予防するためには、作業者の体調不良を早期に察知して、適切な対応を図ることが大切ですが、単独での作業や逆に作業者が多い作業場等では、作業者の体調を観察することにも限界があります。そこで今回は、IoTデバイスを活用した熱中症予防に有効な管理ツールとして多くの企業で採用されている「みまもりふくろう」をご紹介します。

【労務/熱中症管理サービス】 みまもりふくろう

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リストバンド型デバイスにより作業者の脈拍と位置情報をリアルタイムに計測し、企業の労務管理と熱中症対策をサポートするウェアラブルIoTサービスです。

Webサイト:https://www.sompo-rc.co.jp/services/view/184

熱中症の発症は深部体温(直腸温)との相関が高いことが一般的に知られていますが、専門家によれば、その深部体温と脈拍との間にも相関性があるとされています。

「みまもりふくろう」はこの原理を利用して、脈拍を計測することで、着用者の熱中症を予防する管理ツールです。作業者の脈拍をリアルタイムに計測し、熱ストレスによる危険度が高まると、作業者本人や管理者にアラートメールを通知するため、新たな熱中症予防の管理ツールとして大きな注目を集めており、管理者にとっての労務管理支援ツールとしても魅力的と考えられます。

この「みまもりふくろう」の特長は以下のとおりです。

「みまもりふくろう」の5つの特長

  • 個々の体調を考慮したアラート

危険度が高まるとアラート通知されるため、客観的なデータを元に休憩が必要なタイミングを把握できる。

  • アラート基準値はAIが自動設定

AIが学習し、個人に最適な値へと自動修正するため、使うことで精度が向上する。

  • GPS機能で位置情報の把握が可能

夜間や1人作業中に異常が発生しても早期に発見し、作業員を守ることができる。

  • 多彩なダッシュボード機能で現場管理を支援

取得したデータを元に、様々なレポート抽出が可能。とくに危険度が高い作業者や作業内容を把握し、職場内での相互理解を深めることができる。

  • 低価格で導入しやすい

デバイス1個あたり13,000 円(税別)、月額料金2,000円(税別)から利用できる。ただし、デバイス10個以下の場合の月額料金は20,000円(税別)。最低利用期間は3ヵ月。

とくに導入費用に関しては、デバイス費用以外のシステム構築費用等が不要なため、低価格でのサービス提供を実現しているほか、夏場の3か月間だけというような期間利用も可能なため、導入しやすいサービスとなっています。

作業員が高齢化するなど、労働安全管理がより難しくなる中、管理者の責任は年々増え、安全配慮義務違反を問われる事例も増加してきています。このような状況下で、作業者だけでなく、管理者を守ることを目的としたサービスは、今後ますます重要視されていくものと考えられます。

新時代の熱中症対策、また労務管理ツールとして、作業者の個人差を踏まえて熱中症管理ができる他にない機能を有した「みまもりふくろう」の採用を検討してみてはいかがでしょうか。

詳細なサービス内容や料金等は上記のWebサイトから確認可能です。

【参考文献】

  • 気象庁「暖候期予報(令和4年2月25日発表)の解説」
  • 厚生労働省「職場における熱中症予防対策マニュアル」
  • 環境省「熱中症環境保健マニュアル 2022」(令和4年3月改訂)
  • 前田俊輔・伊達豊他「暑熱環境下における漸増負荷運動時の深部体温と生理情報との関連」日本生理人類学会誌 Vol.23,No.4  2018, 11

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画像:作成者-Adobe Stock

以上(2022年6月)

【管理会計】利益も大事ですが、資金繰りも確認をしていますか?

書いてあること

  • 主な読者:感覚だけでなく、定量的な基準や根拠を持ってビジネスの判断をしたい人
  • 課題:資金繰りを確認する理由や、具体的なチェックポイントが分からない
  • 解決策:運転資金を把握するために、売上債権、棚卸資産、仕入債務の残高管理や回転期間分析を実施する

1 質問:今、会社にいくら資金が必要か分かりますか?

業績が悪化しているときだけでなく、好調なときにも資金繰りへの注意を怠ってはいけません。資金繰りに大きくかかわっているのが、会社が日々の事業を営んでいくための資金、つまり運転資金です。

運転資金は、

運転資金=売上債権+棚卸資産―仕入債務

の算式で計算されます。図で表すと、次のようになります。

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売上債権は商品などを売り上げましたが、掛け売上のためまだ入金されていません。また棚卸資産もまだ売られていない在庫なので、売上債権と同様、まだ入金はありません。一方、仕入債務は原材料や商品などの仕入代金で、掛け仕入のため、まだ出金されていません。

このように、

入金のタイミングと出金のタイミングにタイムラグがあると、一時的に資金が足りなくなってしまいます。この足りない場合の資金を補うものが運転資金

なのです。

では、早速、次の売上債権、棚卸資産、仕入債務を使って、運転資金を求めてみましょう。その上で、4月から5月に売上高が大幅に増えたことによって、必要な運転資金がどれだけ増えるかも併せて確認してみましょう。

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2 運転資金を計算し、追加資金が必要かどうか判断する

運転資金は、

  • 4月:売上債権1,000千円+棚卸資産200千円-仕入債務700千円=500千円
  • 5月:売上債権5,000千円+棚卸資産500千円-仕入債務4,300千円=1,200千円

となります。

ただ、運転資金がいくらなのかを把握するだけでは意味がありません。前月からの運転資金の増減の結果、資金繰りにどのような影響があるのかを知る必要があります。そして、それに対する追加資金の必要性と、その対応が可能かどうかを確認しなければなりません。

この事例では、4月から5月にかけて、追加で運転資金700千円(1200千円-500千円)が必要になりました。損益計算書からみて、取引規模(売上の増加)が大きくなったことが原因と分かります。もし、社内に余剰資金があまりなく、翌月の売上見込みも5月同様の取引規模が継続する場合には、追加資金の手当てが早急に必要になります。

このように急激な売上の増加があったときには、業績的には好調でも、資金繰りに困ってしまうという事態に陥る可能性があるのです。

3 より詳細な分析のために必要な「回転期間」による分析

運転資金の変動要因は、売上の増減だけではありません。売上債権の回収が滞っていたり、棚卸資産(在庫)の販売状況が悪かったりして、必要な運転資金が増えている場合もあります。このような異常な増減のケースでは、売上債権、棚卸資産、仕入債務の「回転期間」の変動も見ておく必要があります。

回転期間とは、

売上債権を回収するまでの期間、棚卸資産が売れるまでの期間、仕入債務を支払うまでの期間

をいい、経営の効率性を知るための指標です。それぞれ次のように算式で計算されます。

  • 売上債権回転期間=売上債権÷(売上高÷365日)
  • 棚卸資産回転期間=棚卸資産÷(売上原価÷365日)
  • 仕入債務回転期間=仕入債務÷(売上原価÷365日)

運転資金の回転期間は、上記3つの回転期間を使い、

運転資金回転期間=売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-仕入債務回転期間

の算式で計算します。

もちろん、この指標も、月ごと、年ごとで比較し、増減を把握していかなければなりません。増減が大きい場合は、取引先の経営状況の変化や営業部門の人員配置がうまくいっていないなど、決算書だけでは読み取ることができない原因の追求に役立つことになります。

また、運転資金に関しては、この記事で解説してきた売上債権、棚卸資産、仕入債務で計算されるもの以外に、賞与の支払いや税金の支払いなどのような季節的に発生するもの(季節運転資金)があります。毎年同じタイミングに発生するものなので、3年分くらいの月次単位での資金繰り状況を確認しておくとよいと思います。

以上(2022年6月)
(執筆 管理会計ラボ株式会社 取締役・公認会計士 福原俊)

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画像:apinan-Adobe Stock

新任役員が就任直後に行うべきリスク管理

書いてあること

  • 主な読者:所管する事業のリスク管理をする新任役員
  • 課題:リスク管理の考え方と進め方を知りたい
  • 解決策:ある程度主観的に、リスクを評価する勇気を持つ。役員にはその権限がある

1 就任早々に確認する組織の“ブレーキ性能”

役員の職務は会社を成長させることです。そのためにリスクも取ることもあり、その判断によって会社の命運が決まることさえあります。重要な職務を執行する役員には、いわば高性能な“アクセルとブレーキ”が必要です。

  • 役員のアクセル:収益向上を目指す攻めの販売施策など
  • 役員ブレーキ: “事故”のない組織運営を目指すリスク管理など

どちらも大切ですが、ブレーキがしっかり利くからこそ、アクセルを踏み込むことができるともいえます。常日ごろからリスク管理は重要ですが、新型コロナウイルス感染症への対応といった、想定を超えるリスクも出てきます。これが生活やビジネスに与える影響の範囲や程度には不透明な部分もあり、リスク管理の重要性はますます高まっています。

2 あなたが重視するリスクは何ですか?

1)新任役員が考えるべきリスク

リスク管理は企業の永遠のテーマです。役員会や幹部会などでは、企業が重視し、重点的に対策を講じるべきリスクについて議論を深めていることでしょう。新任役員は、企業の方針を分かりやすい言葉に置き換えて、現場に伝える必要があります。

しかし、新任役員の場合、各事業部への理解が浅く、「リスクはそう簡単には顕在化しない」と楽観していることもあり、業界全体や企業全体のリスクをざっくりと把握するにとどまってしまうことがあります。前任者の方針を踏襲するだけの“思考停止”に陥っていることもあります。

もし、皆さんに心当たりがあるならば、変革が必要です。まずは、図表1を見てください。これはリスクを検討するレイヤーを示したものです。最終的には、新任役員が独自に収集した情報に基づくリスクについても、必要に応じて検討しなければなりません。

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新任役員は所管する事業部について、リスク対応の方針を決めなければなりません。例えば、成熟後期にあるA事業を所管する新任役員が、少しでも長く現状を維持する(コストを掛けずに延命する)方針であれば、リスクは「既存の大口顧客の値下げ・解約」「内部コストの増大(仕入れや労務費)」となります。

一方、同じA事業の所管でも、新任役員の考えがA事業を活かした新規事業の開発であれば、リスクは「新規事業の不発」「社内調整の失敗(役員会での否決など)」ということになります。このように、リスクの内容は新任役員の方針によって変わってきます。

2)一般的にいわれる経営リスク

対策が必要となるリスクを検討する際は、幅広い情報を収集・分析し、リスクを絞り込む必要があります。ここでは、その参考となるデータとして、上場企業が「優先して着手が必要」と考えているリスクを紹介します。

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3)さらに網羅的なリスク一覧

もう一つの例として、網羅的にまとめたさまざまなリスクを紹介します。リスクは油断したとき、あるいは意識していなかった分野から生じがちであるからこそ被害が大きくなります。さまざまなリスクの存在を認識することが欠かせません。

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3 リスク管理の進め方

1)フレームワークの活用

リスクを分類する際、図表4のようなフレームワークを使ってみましょう。リスクを「発生確率と被害規模」で整理するフレームワークは広く知られていますが、その他にもあります。状況に合わせてフレームワークを自社で作成することもできるでしょう。

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新任役員は、ある程度主観的にリスクをマッピングする権限を持っています。大切なのは、重視すべきリスクの“重さ”を、誰でも理解できる統一された基準で組織に認識させることです。

2)定量化する(点数を付ける)

絞り込んだリスクに点数を付けます。例えば、発生確率と被害規模、対策状況について「5点、3点、1点、0点」と点数を付けます。配点ルールが複雑だと運用が立ち行かなくなるので、シンプルにしましょう。

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発生確率と被害規模、対策状況の全てに5点を付けたら最高の15点となり、最も重視すべきリスクになります。点数化した一覧表を示せば、社員もどのリスクを重視すべきなのか考えやすくなります。また、以前にそのリスクが顕在化した経験があるか否かも把握します。以前に発生したことがあるということは、組織内に原因があるかもしれないので調査してみます。

3)四半期ごとのチェック

リスクの状況を定期的に把握します。特に、対策がされていないリスクについては四半期ごとに対策の進捗を確認し、必要な措置を講じます。同時に、四半期のうちに顕在化したリスクがあるのかを確認します。しかし業界全体や企業全体のリスクの議論に終始し、各事業部のリスクまで落とし込み切れないという問題があります。

通常、四半期ごとのチェックは全社的に開催される「リスク会議」(仮称)などの場で行われます。他事業部のリスクは理解しにくいので、こうした機会を利用し、新任役員は自身が想定している重点リスクについて、周囲の理解を得る努力をしましょう。

4)独自の情報網を持つ

リスクは、一般化していない情報によって低減できる場合があります。新任役員の場合、他社の役員などはとても良い情報源となるので、積極的に交流会などの会合に参加して、人脈を広げていきましょう。

こうした会合やその後の飲み会では、同業他社の投資や営業の動向、人事や社内の雰囲気等に関する情報を得られることがあります。これらの情報は、自社のリスク低減につながるものが少なくありません。

4 経営判断の原則

役員はいわゆる「経営判断原則」に基づいた意思決定が求められます。役員は「善管注意義務」「忠実義務」などを負っており(2つの義務は実質的には同様と考えられている(最大判昭和45年6月24日民集24巻6号625頁))、これに違反した役員には株主代表訴訟などのリスクが生じます。

善管注意義務とは、端的にいえば、「役員という会社経営の専門家たる地位にある者として、一般に要求される程度の注意を払って業務を遂行する義務」ということですが、一方で、役員は会社の成長のために一定のリスクを取るものでもあります。

役員が取る一定のリスクが適正なものであるか否かを測る上で、一つの要素となり得るのが日ごろのリスク管理です。「なぜ、そのリスクを取るのか?」が、取り組みの中である程度明らかになっているはずだからです。

このように、リスク管理は企業を守るブレーキになるだけではなく、役員の取り組みが誠実であることの裏付けにもなります。改めて自社を取り巻く環境を整理しましょう。重視するリスクの洗い出し、管理を行うことの意義はとても大きいといえます。

以上(2022年6月)

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画像:pixabay

【朝礼】「タネもしかけも」ございます

今日は、成功の裏には必ず「タネもしかけもある」という話をします。

例えば、俳優やタレントさんなどが、「その美貌、体形維持のため、日ごろ、どのようなケアをしているのですか?」と聞かれて、「特別なことは何もしていません」と答えることがあります。しかし、よくよく聞いてみると、食べ物に気を付けていたり、毎朝トレーニングをしていたり、ちゃんと「タネもしかけもある」ことが分かります。

また、「偏差値30からスタートして現役で東大に合格した」という人が、雑誌やメディアなどのインタビューで、「特別なことは何もしていません。必死で1年半勉強しただけです」と話していることもあります。ただ、これもよくよく調べてみると、「東大に合格した10人から聞いた勉強法を忠実に実践した」「家族や友人など周りが勉強しやすい環境づくりに協力し、食事にも気を使い、ずっと励まし続けてくれた」など、何かしらの「タネもしかけもある」ことが分かります。

何かを成し遂げた人が、そのための「特別なことは何もしていません」と話す背景には、本人の謙遜や、聞き手の共感を損なわないようにとの意図もあるでしょう。ですが、私は、「本人が、本当に特別なことは何もしていないと思っている」場合も少なくないと考えています。例えば、その俳優やタレントさんにとって、体に良い食事やトレーニングは当然のことで、特別なことだとは認識していない、ということです。

東大合格にしても同じです。「東大に合格したいなら、合格するための最適な方法を考え、工夫するのは当たり前」で、本人や家族は何ら特別なことをしている感覚がないのかもしれません。

こうした話から私が皆さんに伝えたいのは、まず、部下や後輩にも成功してもらいたいと思っている上司や先輩は、自分が意識していない「タネやしかけ」を見つけて言語化し、伝えてほしいということです。逆に若手社員の皆さんは、上司や先輩の「タネやしかけ」を貪欲に吸収するように頑張ってください。

例えば、社内の営業成績トップのメンバーに成約が取れる秘訣を聞いてみると、「特別なことをしているわけではない。相手にとって本当に必要なこと、ためになることは何か、それだけをずっと考え続けてご案内しているだけ」と言います。「相手に必要なことだけを考え続ける」というのは、ビジネスではなかなかできることではありません。本人にとっては当たり前でも、私に言わせると、それこそが「タネやしかけ」なのです。

私の経験から言うと、こうした「タネやしかけ」ができるまでには、「圧倒的な努力の積み重ね」や「試行錯誤」をしているはずです。こうした裏打ちがあるからこそ、会社にとって貴重な財産になり、競合他社には見破れない我が社の「強み」になるのです。

さあ、皆さんの持っている「タネやしかけ」は、どのようなものでしょうか?

以上(2022年6月)

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画像:Mariko Mitsuda

【損金】税理士が解説。損金になる役員報酬、ならない役員報酬

書いてあること

  • 主な読者:決算対策の一環などとして、役員報酬を損金にしたい経営者
  • 課題:役員報酬は従業員給与よりも、格段に税務上のルールが厳しい
  • 解決策:定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与を知ることが第一歩

1 役員報酬とは

役員報酬とは、

役員に支払う報酬(以下「役員報酬」)で、従業員給与(全額が損金となる)と異なり、支払いについて税法上のルールがある

ので注意が必要です。具体的には、

「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」といった税務上のルールがあり、これを守らないと損金に算入できない

ことになります。さらに、支払方法に問題がなくても、金額が高すぎると一部が損金として認められなくなります。

こうした厳格なルールがあるのは、役員報酬は役員自身が決められるからです。例えば、利益が多額に出そうなときは役員報酬を増やして利益を減らし、納税額も減らすことができてしまうため、これを防ぐために税務上のルールがあるのです。詳しく見ていきましょう。

2 損金になる役員報酬の2つのポイント

1)損金とすることができる役員報酬の支払方法は3つある

税務上、損金にすることができる役員報酬の支払方法は、「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」の3種類です。

1.定期同額給与

定期同額給与とは、「定期的(=毎月)」に「同額で支給される給与」のことで、毎月支給される役員報酬がこれに当てはまります。税務調査では、総勘定元帳や給与支払台帳などを見て、毎月の役員報酬が同額で定期的に支給されているかがチェックされます。なお、金額の変更は、一般的には毎事業年度実施される定時株主総会の決議によって行います。

2.事前確定届出給与

事前確定届出給与とは、役員に対する臨時的な給与の「支給金額」や「支給日」などをあらかじめ決め、税務署に「届出書」を提出しておくことで損金にできる役員報酬です。定期同額給与以外に、夏と冬に賞与の形で役員報酬を支払う場合などに利用されます。届出書の提出期限は税法で決められています。

なお、提出した届出書に記載した支給金額と実際の支給金額が異なっていたり、支給日が1日でも違っていたりした場合、支給金額の全額が損金にできなくなるので注意しましょう。

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3.業績連動給与

業績連動給与とは、会社の売上や利益に連動させて支給額が決められる役員報酬です。ただし、業績連動給与の算定方法を一定の方法(有価証券報告書など)で開示する必要があるなど、要件が主に上場企業を対象としたものになっているため、本稿では詳細を省略します。

2)役員報酬の金額が高すぎる場合には損金にできないことがある

「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」のいずれかに該当していたとしても、支給額が高額の場合、注意が必要です。役員の職務内容などに照らし、「役員報酬の水準が高額すぎる」と判断された場合、その高額とみなされた部分の金額(適正額を超える部分の金額)は損金にできません。税務調査においては、役員報酬の金額が高額すぎるかどうかは、次の2つの基準に従って総合的に判断されます。

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3 役員報酬で迷いやすい実務Q&A

1)経営が悪化しても役員報酬の金額は変更できないの?

毎月支給する役員報酬は事業年度を通じて同額とする必要があるので、利益が前事業年度と比較して多少悪化したからといって、事業年度の途中での変更はできません。従って、事業年度開始前に見積もる予算や利益計画をできる限り精緻に行った上で、役員報酬の水準を決定します。

ただし、新型コロナウイルス感染症の影響などによって経営状況が著しく悪化し、利害関係者(債権者など)との関係上、役員報酬を減額せざるを得ない場合などは、変更が認められます。このような場合には、税務調査において「利益操作」と判断されないよう、減額せざるを得ない事実を、客観的かつ具体的に説明できるような書面などを準備しておくことが重要です。

2)親族である役員に役員報酬を支払っても大丈夫?

役員報酬を支給する相手が親族の場合、いわゆる「お手盛り」になることがあるので、税務調査でも重点的に調べられます。特に「名ばかり役員」に対して報酬を支払っていないか調べるため、「具体的にどのような職務に就いているか」「役員の机はあるか」「電話の内線表に名前があるか」「出勤実績はあるか」などがチェックされます。職務実態があれば必要以上に恐れることはありませんが、金額の決定過程を詳細に説明できるよう、株主総会の議事録などの関係書類を事前に準備しておくことが重要です。

3)役員報酬の限度額改定を忘れずに

役員報酬の金額が高すぎるか否かの判断基準には、「実質基準」と「形式基準」とがありました(図表2参照)。「形式基準」とは、役員報酬の金額が「定款に定めた金額や株主総会などで決議された金額(役員報酬限度額)を超えていないか」を基準にするものです。役員報酬限度額は一度決定したら、その後に改定をしない限り有効です。

この役員報酬限度額ですが、役員の数が増加している(役員報酬の総額が増加している)にもかかわらず改定しなかったため、「知らず知らずのうちに役員報酬の金額が限度額を超えていた」といったようなトラブルがあります。役員報酬限度額については毎事業年度の定時株主総会で見直しを行い、その決定過程を議事録として保存しておき、役員報酬の金額が限度額を超えないようにしましょう。

4)役員報酬と従業員給与とのバランスも重要

役員報酬の金額が高すぎるか否かの判断は、さまざまな視点から検討されますが、例えば、利益が減少傾向にあることから、従業員に対するボーナスを減らしているにもかかわらず、役員報酬が増加しているような場合は、「役員報酬の水準が高すぎる」と判断されることがあります。役員報酬の金額は、利益のみならず、従業員給与とのバランスにも留意しましょう。

以上(2022年6月)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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