【会社の見える化】グラフを使えば会社の状況が驚くほど見えてくる

書いてあること

  • 主な読者:財務分野の「見える化」を進めたい経営者
  • 課題:会社が大きくなるにつれ、会社の財務分野の状況が見えなくなっている
  • 解決策:数値をグラフ化して状況を可視化し、トレンドに対する正確なイメージを持つ

1 グラフ化することの効果

経営者の皆さんは、決算書や月次試算表などを見て自社の状態をチェックしていることでしょう。しかし、売上高や利益額、これらの対前期比の増減額や増減率、さらに原価率や人件費額など、たくさんの数値を全て記憶している人はどれだけいるでしょうか。

また、当然ですが、会社は動いています。この動きをコントロールするのが経営ですから、自社の動きを正確に捉えることが非常に重要です。ただし、こうした数値は、ある一時点のもの、すなわち“点の情報”にすぎません。こうした断片的な数値を記憶することよりも、トレンドを正確に認識するほうが、経営においては重要です。そして、そのための最善の方法が、

数値を時系列でグラフ化し、会社の「見える化」を図ること

なのです。別の言い方をすれば、数値をグラフに変換し、状況を可視化して、トレンドに対する正確なイメージを持つことが大切なのです。

両者の違いは明確です。例えば、「100」と「1000」の2つの数値で比較してみましょう。

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「1000」は「100」の10倍であることは理屈では誰でも理解しています。しかし、これを数値で表すと、見た目の違いは、わずか「0」1つだけです。一体どれほどの人が、「1000」が「100」の10倍であることを、正しくイメージして心に残せるでしょうか。

ところが、グラフを使って表現すると、「1000」は「100」の10倍の面積になります。

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グラフであれば、直感的かつ正確に量の違いを認識でき、また、記憶にも残りやすくなります。違う言い方をすれば、両者の違いを認識せざるを得なくなります。ここに、会社の見える化をグラフで表すことの大きな意義があるわけです。

2 認識の共有化を促進する

グラフ化すると、関係者間における認識の共有も促進できます。部下の中に「自分は数字が苦手だから」と公言している人はいませんか。そういう人でも、数値ではなく、グラフで状況を見せることで、そうした“言い訳めいた発言”は聞かないで済む可能性が高まります。

もう1つ例を挙げてみましょう。例えば、会議における業績報告の場面を思い出してみてください。「ビジネスでは数値が大切」とはいうものの、「○○部門の12月の業績は売上高450万円、対前月比10%減。営業利益は……」などと口頭での報告や、文章による説明だけだったらどうでしょうか。たとえ、数字が苦手な人ではなくとも、その数字を全て記憶することは容易ではありません。また、「対前月比10%減」という重要な情報が抜け落ちてしまい、「売上高450万円」だけが記憶に残る人もいるでしょう。

大きな問題は、同じことを聞いたり見たりしても、記憶に残る内容は人それぞれだということです。そのため、「売上高450万円」だけが記憶にある人は、「まあまあだな」といった漠然とした印象だけが残ったり、逆に「対前月比10%減」だけが記憶にある人は、「とにかくまずい!」といった焦りだけが印象に残るなど、同じ情報を見聞きしても、人によって認識が異なってしまうことがあります。

一方、これをグラフで表した場合はどうでしょう。

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このグラフは、あえて各月の具体的な数値は表示していません。しかし、具体的な数値を把握できなくても、グラフを見れば「12月になって急に売上高が減少している」という状況を誰もが認識することができるでしょう。

会社の見える化をする意義は、数値をグラフ化すること自体にあるのではありません。会社の見える化を進める意義は、数値をグラフ化することで、経営者が会社のトレンドを把握できるようになると同時に、関係者間で正しい認識を共有することによって、

的確な打ち手を検討し、会社全体が1つの方向に向かって行動することができる

ようになることにあります。

以上(2022年6月)#
(監修 公認会計士 益子宣夫)

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【広告】熱中症の応急処置と熱中症予防に有効なIoT/AI管理ツール

書いてあること

  • 主な読者:建設・土木業、製造業、運送・物流業、警備業、商業、農業等の会社経営者および役員、管理職、人事・労務担当者
  • 課題:熱中症は、症例によっては急速に進行し、重症化することがあります。従って、作業者の体調不良を早期に把握し、適切な処置を施すことが必要であり、管理者や作業者全員が日頃から正しい応急処置方法を身につけておくことが重要です。
  • 解決策:重症の場合は救急車を呼ぶことはもとより、現場ですぐに体を冷やし始めることが必要です。また、熱中症の発症は個人差が大きく、自覚症状が出たときには手遅れになりやすいため、作業者の体調不良を早期に把握することが重要です。そのためには、人による労務管理だけではなく、IoTウェアラブルデバイスによる管理ツールを導入することも有効です。

1 作業者の体調不良を示す「危険信号」を見落とさない!

近年の夏の暑さは当たり前を通り越して、“猛暑が普通”と思われるような気候となってきています。とくに、今夏(6~8月)は、「太平洋高気圧(夏の高気圧)の北側への張り出しが強い」とみられており、暑さは厳しく、そして長い期間、猛暑になる可能性が高いと予報されています。

そのような猛暑において気を付けなければならないのが、熱中症。軽症のうちは体温が上がらないことがあるため、熱中症に気付きにくく、そのまま放置している間に重症化して、死に至ることもあります。軽症の段階で早期に対応することが重要です。
作業者の体調をよく観察し、不調のサインを見落とさないことが大切です。

<こんな症状がでたら危険信号です!>

  • めまい・立ちくらみや失神(熱失神)

熱中症の代表的な初期症状です。暑さによって上昇した体温を下げようとして血管が拡がるため、血圧が下がり、脳への血液の量が減少します。そのため、顔面から血の気が失せて、めまいや立ちくらみ、場合によっては、一時的に失神することがあります。このような症状は、単独で発症することは少なく、多くは頭痛や吐き気・嘔吐、全身の倦怠感等を伴います。
めまいや立ちくらみ等の軽症の段階で熱中症を疑い、水分補給や休憩するなどの対応を行いましょう。

  • 筋肉痛や筋肉の硬直・けいれん(熱けいれん)

「手足のしびれ」や「足がつる(こむら返り)」、「足がぴくぴくする」などの症状がある場合は、熱けいれんを疑いましょう。意識ははっきりしていることが多く、必ずしも体温上昇を伴うわけではありません。

  • 大量の発汗、逆にまったく汗をかかない

熱中症の初期は、体温を下げるために汗をかきますが、体内の水分が失われると、それ以上汗をかくことができなくなります。汗のかきかたに異常がある場合には、熱中症にかかっている可能性があります。

  • 高い体温

汗をかかなくなると、体温が上昇します。熱中症が重症化すると、40℃超の高熱が見られることがあり、「熱射病」と呼ばれる状態に陥ることがあります。

  • 意識障害(応答が異常である、呼びかけに反応がない等)

おかしな応答や声を掛けても反応しない。また、歩行できないなどの異常がみられる場合は、重度の熱中症にかかっています。躊躇なく救急車を呼ぶことが必要です。

  • 水分補給ができない

自分で水分補給できない場合は、危険な状態です。無理に水分を口から飲ませることはやめて、すぐに医療機関を受診しましょう。

2 熱中症疑い時の応急処置

熱中症は「非労作性熱中症」と「労作性熱中症」 に大別できます。これらの基本的な症状は同じですが、発症環境と症状の進行時間に大きな違いがあります。

工事現場や製造現場等で労働されている作業者が発症する熱中症は「労作性熱中症」に該当し、「非労作性熱中症」に比べて、その症状の進行時間は早く、数時間のうちに悪化するため、身体に大きな異変が起きてから気付くことも多く、救命のためにも適切な対処方法を身に付けておくことが重要です。

  • 非労作性熱中症:

基本的に気温の高い室内などの暑い環境で長時間生活していると発症し、症状は数日間かけてゆっくりと進行します。

  • 労作性熱中症:

暑い環境に加えて、過度な作業や運動に伴うもので、作業をしている労働者に多く発症しています。

「熱中症疑い時の応急処置」を次図に示していますので、参考にしてください。

重症の場合は、救急車を待たずに現場ですぐに体を冷やし始める

熱中症による重症者を救命できるかどうかは、いかに早く体温を下げることができるかにかかっています。何らかの意識障害が認められるような場合は、救急車を要請することが必要ですが、その到着前から、冷却を開始することが必要です。

体温が高く、意識障害が認められるような場合は、全身を氷水(冷水)に浸ける「氷水浴/冷水浴法」が最も体温の低下効果が高く、救命につながることが知られていますが、医師の管理下において、直腸温を継続的にモニターできる人的・物的環境が整った状況で実施する必要があります。そのような環境でない場合には、水道につないだホースで全身に水をかけ続ける「水道水散布法」が推奨されます。

どこを冷やすのが効果的か?

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体表近くに太い静脈がある場所は、大量の血液がゆっくり体内に戻っていく場所のため、その箇所を冷やすのが最も効果的です。
具体的には、頚部の両側、腋の下、足の付け根の前面(鼠径部)等です。そこに保冷剤や氷枕(なければ自販機で買った冷えたペットボトルやかち割り氷)をタオルでくるんで当て、皮膚を通して静脈血を冷やし、結果として体内を冷やすことができます。冷やした水分(経口補水液)を摂らせることは、体内から体を冷やすとともに水分補給にもなります。
また、濡れタオルを体にあて、扇風機やうちわ等で風を当て、水を蒸発させて体を冷やす方法もあります。

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3 IoTデバイスを活用した熱中症予防の管理ツール

前項のとおり、熱中症を予防するためには、作業者の体調不良を早期に察知して、適切な対応を図ることが大切ですが、単独での作業や逆に作業者が多い作業場等では、作業者の体調を観察することにも限界があります。そこで今回は、IoTデバイスを活用した熱中症予防に有効な管理ツールとして多くの企業で採用されている「みまもりふくろう」をご紹介します。

【労務/熱中症管理サービス】 みまもりふくろう

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リストバンド型デバイスにより作業者の脈拍と位置情報をリアルタイムに計測し、企業の労務管理と熱中症対策をサポートするウェアラブルIoTサービスです。

Webサイト:https://www.sompo-rc.co.jp/services/view/184

熱中症の発症は深部体温(直腸温)との相関が高いことが一般的に知られていますが、専門家によれば、その深部体温と脈拍との間にも相関性があるとされています。

「みまもりふくろう」はこの原理を利用して、脈拍を計測することで、着用者の熱中症を予防する管理ツールです。作業者の脈拍をリアルタイムに計測し、熱ストレスによる危険度が高まると、作業者本人や管理者にアラートメールを通知するため、新たな熱中症予防の管理ツールとして大きな注目を集めており、管理者にとっての労務管理支援ツールとしても魅力的と考えられます。

この「みまもりふくろう」の特長は以下のとおりです。

「みまもりふくろう」の5つの特長

  • 個々の体調を考慮したアラート

危険度が高まるとアラート通知されるため、客観的なデータを元に休憩が必要なタイミングを把握できる。

  • アラート基準値はAIが自動設定

AIが学習し、個人に最適な値へと自動修正するため、使うことで精度が向上する。

  • GPS機能で位置情報の把握が可能

夜間や1人作業中に異常が発生しても早期に発見し、作業員を守ることができる。

  • 多彩なダッシュボード機能で現場管理を支援

取得したデータを元に、様々なレポート抽出が可能。とくに危険度が高い作業者や作業内容を把握し、職場内での相互理解を深めることができる。

  • 低価格で導入しやすい

デバイス1個あたり13,000 円(税別)、月額料金2,000円(税別)から利用できる。ただし、デバイス10個以下の場合の月額料金は20,000円(税別)。最低利用期間は3ヵ月。

とくに導入費用に関しては、デバイス費用以外のシステム構築費用等が不要なため、低価格でのサービス提供を実現しているほか、夏場の3か月間だけというような期間利用も可能なため、導入しやすいサービスとなっています。

作業員が高齢化するなど、労働安全管理がより難しくなる中、管理者の責任は年々増え、安全配慮義務違反を問われる事例も増加してきています。このような状況下で、作業者だけでなく、管理者を守ることを目的としたサービスは、今後ますます重要視されていくものと考えられます。

新時代の熱中症対策、また労務管理ツールとして、作業者の個人差を踏まえて熱中症管理ができる他にない機能を有した「みまもりふくろう」の採用を検討してみてはいかがでしょうか。

詳細なサービス内容や料金等は上記のWebサイトから確認可能です。

【参考文献】

  • 気象庁「暖候期予報(令和4年2月25日発表)の解説」
  • 厚生労働省「職場における熱中症予防対策マニュアル」
  • 環境省「熱中症環境保健マニュアル 2022」(令和4年3月改訂)
  • 前田俊輔・伊達豊他「暑熱環境下における漸増負荷運動時の深部体温と生理情報との関連」日本生理人類学会誌 Vol.23,No.4  2018, 11

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以上(2022年6月)

【管理会計】利益も大事ですが、資金繰りも確認をしていますか?

書いてあること

  • 主な読者:感覚だけでなく、定量的な基準や根拠を持ってビジネスの判断をしたい人
  • 課題:資金繰りを確認する理由や、具体的なチェックポイントが分からない
  • 解決策:運転資金を把握するために、売上債権、棚卸資産、仕入債務の残高管理や回転期間分析を実施する

1 質問:今、会社にいくら資金が必要か分かりますか?

業績が悪化しているときだけでなく、好調なときにも資金繰りへの注意を怠ってはいけません。資金繰りに大きくかかわっているのが、会社が日々の事業を営んでいくための資金、つまり運転資金です。

運転資金は、

運転資金=売上債権+棚卸資産―仕入債務

の算式で計算されます。図で表すと、次のようになります。

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売上債権は商品などを売り上げましたが、掛け売上のためまだ入金されていません。また棚卸資産もまだ売られていない在庫なので、売上債権と同様、まだ入金はありません。一方、仕入債務は原材料や商品などの仕入代金で、掛け仕入のため、まだ出金されていません。

このように、

入金のタイミングと出金のタイミングにタイムラグがあると、一時的に資金が足りなくなってしまいます。この足りない場合の資金を補うものが運転資金

なのです。

では、早速、次の売上債権、棚卸資産、仕入債務を使って、運転資金を求めてみましょう。その上で、4月から5月に売上高が大幅に増えたことによって、必要な運転資金がどれだけ増えるかも併せて確認してみましょう。

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2 運転資金を計算し、追加資金が必要かどうか判断する

運転資金は、

  • 4月:売上債権1,000千円+棚卸資産200千円-仕入債務700千円=500千円
  • 5月:売上債権5,000千円+棚卸資産500千円-仕入債務4,300千円=1,200千円

となります。

ただ、運転資金がいくらなのかを把握するだけでは意味がありません。前月からの運転資金の増減の結果、資金繰りにどのような影響があるのかを知る必要があります。そして、それに対する追加資金の必要性と、その対応が可能かどうかを確認しなければなりません。

この事例では、4月から5月にかけて、追加で運転資金700千円(1200千円-500千円)が必要になりました。損益計算書からみて、取引規模(売上の増加)が大きくなったことが原因と分かります。もし、社内に余剰資金があまりなく、翌月の売上見込みも5月同様の取引規模が継続する場合には、追加資金の手当てが早急に必要になります。

このように急激な売上の増加があったときには、業績的には好調でも、資金繰りに困ってしまうという事態に陥る可能性があるのです。

3 より詳細な分析のために必要な「回転期間」による分析

運転資金の変動要因は、売上の増減だけではありません。売上債権の回収が滞っていたり、棚卸資産(在庫)の販売状況が悪かったりして、必要な運転資金が増えている場合もあります。このような異常な増減のケースでは、売上債権、棚卸資産、仕入債務の「回転期間」の変動も見ておく必要があります。

回転期間とは、

売上債権を回収するまでの期間、棚卸資産が売れるまでの期間、仕入債務を支払うまでの期間

をいい、経営の効率性を知るための指標です。それぞれ次のように算式で計算されます。

  • 売上債権回転期間=売上債権÷(売上高÷365日)
  • 棚卸資産回転期間=棚卸資産÷(売上原価÷365日)
  • 仕入債務回転期間=仕入債務÷(売上原価÷365日)

運転資金の回転期間は、上記3つの回転期間を使い、

運転資金回転期間=売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-仕入債務回転期間

の算式で計算します。

もちろん、この指標も、月ごと、年ごとで比較し、増減を把握していかなければなりません。増減が大きい場合は、取引先の経営状況の変化や営業部門の人員配置がうまくいっていないなど、決算書だけでは読み取ることができない原因の追求に役立つことになります。

また、運転資金に関しては、この記事で解説してきた売上債権、棚卸資産、仕入債務で計算されるもの以外に、賞与の支払いや税金の支払いなどのような季節的に発生するもの(季節運転資金)があります。毎年同じタイミングに発生するものなので、3年分くらいの月次単位での資金繰り状況を確認しておくとよいと思います。

以上(2022年6月)
(執筆 管理会計ラボ株式会社 取締役・公認会計士 福原俊)

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新任役員が就任直後に行うべきリスク管理

書いてあること

  • 主な読者:所管する事業のリスク管理をする新任役員
  • 課題:リスク管理の考え方と進め方を知りたい
  • 解決策:ある程度主観的に、リスクを評価する勇気を持つ。役員にはその権限がある

1 就任早々に確認する組織の“ブレーキ性能”

役員の職務は会社を成長させることです。そのためにリスクも取ることもあり、その判断によって会社の命運が決まることさえあります。重要な職務を執行する役員には、いわば高性能な“アクセルとブレーキ”が必要です。

  • 役員のアクセル:収益向上を目指す攻めの販売施策など
  • 役員ブレーキ: “事故”のない組織運営を目指すリスク管理など

どちらも大切ですが、ブレーキがしっかり利くからこそ、アクセルを踏み込むことができるともいえます。常日ごろからリスク管理は重要ですが、新型コロナウイルス感染症への対応といった、想定を超えるリスクも出てきます。これが生活やビジネスに与える影響の範囲や程度には不透明な部分もあり、リスク管理の重要性はますます高まっています。

2 あなたが重視するリスクは何ですか?

1)新任役員が考えるべきリスク

リスク管理は企業の永遠のテーマです。役員会や幹部会などでは、企業が重視し、重点的に対策を講じるべきリスクについて議論を深めていることでしょう。新任役員は、企業の方針を分かりやすい言葉に置き換えて、現場に伝える必要があります。

しかし、新任役員の場合、各事業部への理解が浅く、「リスクはそう簡単には顕在化しない」と楽観していることもあり、業界全体や企業全体のリスクをざっくりと把握するにとどまってしまうことがあります。前任者の方針を踏襲するだけの“思考停止”に陥っていることもあります。

もし、皆さんに心当たりがあるならば、変革が必要です。まずは、図表1を見てください。これはリスクを検討するレイヤーを示したものです。最終的には、新任役員が独自に収集した情報に基づくリスクについても、必要に応じて検討しなければなりません。

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新任役員は所管する事業部について、リスク対応の方針を決めなければなりません。例えば、成熟後期にあるA事業を所管する新任役員が、少しでも長く現状を維持する(コストを掛けずに延命する)方針であれば、リスクは「既存の大口顧客の値下げ・解約」「内部コストの増大(仕入れや労務費)」となります。

一方、同じA事業の所管でも、新任役員の考えがA事業を活かした新規事業の開発であれば、リスクは「新規事業の不発」「社内調整の失敗(役員会での否決など)」ということになります。このように、リスクの内容は新任役員の方針によって変わってきます。

2)一般的にいわれる経営リスク

対策が必要となるリスクを検討する際は、幅広い情報を収集・分析し、リスクを絞り込む必要があります。ここでは、その参考となるデータとして、上場企業が「優先して着手が必要」と考えているリスクを紹介します。

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3)さらに網羅的なリスク一覧

もう一つの例として、網羅的にまとめたさまざまなリスクを紹介します。リスクは油断したとき、あるいは意識していなかった分野から生じがちであるからこそ被害が大きくなります。さまざまなリスクの存在を認識することが欠かせません。

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3 リスク管理の進め方

1)フレームワークの活用

リスクを分類する際、図表4のようなフレームワークを使ってみましょう。リスクを「発生確率と被害規模」で整理するフレームワークは広く知られていますが、その他にもあります。状況に合わせてフレームワークを自社で作成することもできるでしょう。

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新任役員は、ある程度主観的にリスクをマッピングする権限を持っています。大切なのは、重視すべきリスクの“重さ”を、誰でも理解できる統一された基準で組織に認識させることです。

2)定量化する(点数を付ける)

絞り込んだリスクに点数を付けます。例えば、発生確率と被害規模、対策状況について「5点、3点、1点、0点」と点数を付けます。配点ルールが複雑だと運用が立ち行かなくなるので、シンプルにしましょう。

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発生確率と被害規模、対策状況の全てに5点を付けたら最高の15点となり、最も重視すべきリスクになります。点数化した一覧表を示せば、社員もどのリスクを重視すべきなのか考えやすくなります。また、以前にそのリスクが顕在化した経験があるか否かも把握します。以前に発生したことがあるということは、組織内に原因があるかもしれないので調査してみます。

3)四半期ごとのチェック

リスクの状況を定期的に把握します。特に、対策がされていないリスクについては四半期ごとに対策の進捗を確認し、必要な措置を講じます。同時に、四半期のうちに顕在化したリスクがあるのかを確認します。しかし業界全体や企業全体のリスクの議論に終始し、各事業部のリスクまで落とし込み切れないという問題があります。

通常、四半期ごとのチェックは全社的に開催される「リスク会議」(仮称)などの場で行われます。他事業部のリスクは理解しにくいので、こうした機会を利用し、新任役員は自身が想定している重点リスクについて、周囲の理解を得る努力をしましょう。

4)独自の情報網を持つ

リスクは、一般化していない情報によって低減できる場合があります。新任役員の場合、他社の役員などはとても良い情報源となるので、積極的に交流会などの会合に参加して、人脈を広げていきましょう。

こうした会合やその後の飲み会では、同業他社の投資や営業の動向、人事や社内の雰囲気等に関する情報を得られることがあります。これらの情報は、自社のリスク低減につながるものが少なくありません。

4 経営判断の原則

役員はいわゆる「経営判断原則」に基づいた意思決定が求められます。役員は「善管注意義務」「忠実義務」などを負っており(2つの義務は実質的には同様と考えられている(最大判昭和45年6月24日民集24巻6号625頁))、これに違反した役員には株主代表訴訟などのリスクが生じます。

善管注意義務とは、端的にいえば、「役員という会社経営の専門家たる地位にある者として、一般に要求される程度の注意を払って業務を遂行する義務」ということですが、一方で、役員は会社の成長のために一定のリスクを取るものでもあります。

役員が取る一定のリスクが適正なものであるか否かを測る上で、一つの要素となり得るのが日ごろのリスク管理です。「なぜ、そのリスクを取るのか?」が、取り組みの中である程度明らかになっているはずだからです。

このように、リスク管理は企業を守るブレーキになるだけではなく、役員の取り組みが誠実であることの裏付けにもなります。改めて自社を取り巻く環境を整理しましょう。重視するリスクの洗い出し、管理を行うことの意義はとても大きいといえます。

以上(2022年6月)

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【朝礼】「タネもしかけも」ございます

今日は、成功の裏には必ず「タネもしかけもある」という話をします。

例えば、俳優やタレントさんなどが、「その美貌、体形維持のため、日ごろ、どのようなケアをしているのですか?」と聞かれて、「特別なことは何もしていません」と答えることがあります。しかし、よくよく聞いてみると、食べ物に気を付けていたり、毎朝トレーニングをしていたり、ちゃんと「タネもしかけもある」ことが分かります。

また、「偏差値30からスタートして現役で東大に合格した」という人が、雑誌やメディアなどのインタビューで、「特別なことは何もしていません。必死で1年半勉強しただけです」と話していることもあります。ただ、これもよくよく調べてみると、「東大に合格した10人から聞いた勉強法を忠実に実践した」「家族や友人など周りが勉強しやすい環境づくりに協力し、食事にも気を使い、ずっと励まし続けてくれた」など、何かしらの「タネもしかけもある」ことが分かります。

何かを成し遂げた人が、そのための「特別なことは何もしていません」と話す背景には、本人の謙遜や、聞き手の共感を損なわないようにとの意図もあるでしょう。ですが、私は、「本人が、本当に特別なことは何もしていないと思っている」場合も少なくないと考えています。例えば、その俳優やタレントさんにとって、体に良い食事やトレーニングは当然のことで、特別なことだとは認識していない、ということです。

東大合格にしても同じです。「東大に合格したいなら、合格するための最適な方法を考え、工夫するのは当たり前」で、本人や家族は何ら特別なことをしている感覚がないのかもしれません。

こうした話から私が皆さんに伝えたいのは、まず、部下や後輩にも成功してもらいたいと思っている上司や先輩は、自分が意識していない「タネやしかけ」を見つけて言語化し、伝えてほしいということです。逆に若手社員の皆さんは、上司や先輩の「タネやしかけ」を貪欲に吸収するように頑張ってください。

例えば、社内の営業成績トップのメンバーに成約が取れる秘訣を聞いてみると、「特別なことをしているわけではない。相手にとって本当に必要なこと、ためになることは何か、それだけをずっと考え続けてご案内しているだけ」と言います。「相手に必要なことだけを考え続ける」というのは、ビジネスではなかなかできることではありません。本人にとっては当たり前でも、私に言わせると、それこそが「タネやしかけ」なのです。

私の経験から言うと、こうした「タネやしかけ」ができるまでには、「圧倒的な努力の積み重ね」や「試行錯誤」をしているはずです。こうした裏打ちがあるからこそ、会社にとって貴重な財産になり、競合他社には見破れない我が社の「強み」になるのです。

さあ、皆さんの持っている「タネやしかけ」は、どのようなものでしょうか?

以上(2022年6月)

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画像:Mariko Mitsuda

【損金】税理士が解説。損金になる役員報酬、ならない役員報酬

書いてあること

  • 主な読者:決算対策の一環などとして、役員報酬を損金にしたい経営者
  • 課題:役員報酬は従業員給与よりも、格段に税務上のルールが厳しい
  • 解決策:定期同額給与・事前確定届出給与・業績連動給与を知ることが第一歩

1 役員報酬とは

役員報酬とは、

役員に支払う報酬(以下「役員報酬」)で、従業員給与(全額が損金となる)と異なり、支払いについて税法上のルールがある

ので注意が必要です。具体的には、

「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」といった税務上のルールがあり、これを守らないと損金に算入できない

ことになります。さらに、支払方法に問題がなくても、金額が高すぎると一部が損金として認められなくなります。

こうした厳格なルールがあるのは、役員報酬は役員自身が決められるからです。例えば、利益が多額に出そうなときは役員報酬を増やして利益を減らし、納税額も減らすことができてしまうため、これを防ぐために税務上のルールがあるのです。詳しく見ていきましょう。

2 損金になる役員報酬の2つのポイント

1)損金とすることができる役員報酬の支払方法は3つある

税務上、損金にすることができる役員報酬の支払方法は、「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」の3種類です。

1.定期同額給与

定期同額給与とは、「定期的(=毎月)」に「同額で支給される給与」のことで、毎月支給される役員報酬がこれに当てはまります。税務調査では、総勘定元帳や給与支払台帳などを見て、毎月の役員報酬が同額で定期的に支給されているかがチェックされます。なお、金額の変更は、一般的には毎事業年度実施される定時株主総会の決議によって行います。

2.事前確定届出給与

事前確定届出給与とは、役員に対する臨時的な給与の「支給金額」や「支給日」などをあらかじめ決め、税務署に「届出書」を提出しておくことで損金にできる役員報酬です。定期同額給与以外に、夏と冬に賞与の形で役員報酬を支払う場合などに利用されます。届出書の提出期限は税法で決められています。

なお、提出した届出書に記載した支給金額と実際の支給金額が異なっていたり、支給日が1日でも違っていたりした場合、支給金額の全額が損金にできなくなるので注意しましょう。

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3.業績連動給与

業績連動給与とは、会社の売上や利益に連動させて支給額が決められる役員報酬です。ただし、業績連動給与の算定方法を一定の方法(有価証券報告書など)で開示する必要があるなど、要件が主に上場企業を対象としたものになっているため、本稿では詳細を省略します。

2)役員報酬の金額が高すぎる場合には損金にできないことがある

「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」のいずれかに該当していたとしても、支給額が高額の場合、注意が必要です。役員の職務内容などに照らし、「役員報酬の水準が高額すぎる」と判断された場合、その高額とみなされた部分の金額(適正額を超える部分の金額)は損金にできません。税務調査においては、役員報酬の金額が高額すぎるかどうかは、次の2つの基準に従って総合的に判断されます。

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3 役員報酬で迷いやすい実務Q&A

1)経営が悪化しても役員報酬の金額は変更できないの?

毎月支給する役員報酬は事業年度を通じて同額とする必要があるので、利益が前事業年度と比較して多少悪化したからといって、事業年度の途中での変更はできません。従って、事業年度開始前に見積もる予算や利益計画をできる限り精緻に行った上で、役員報酬の水準を決定します。

ただし、新型コロナウイルス感染症の影響などによって経営状況が著しく悪化し、利害関係者(債権者など)との関係上、役員報酬を減額せざるを得ない場合などは、変更が認められます。このような場合には、税務調査において「利益操作」と判断されないよう、減額せざるを得ない事実を、客観的かつ具体的に説明できるような書面などを準備しておくことが重要です。

2)親族である役員に役員報酬を支払っても大丈夫?

役員報酬を支給する相手が親族の場合、いわゆる「お手盛り」になることがあるので、税務調査でも重点的に調べられます。特に「名ばかり役員」に対して報酬を支払っていないか調べるため、「具体的にどのような職務に就いているか」「役員の机はあるか」「電話の内線表に名前があるか」「出勤実績はあるか」などがチェックされます。職務実態があれば必要以上に恐れることはありませんが、金額の決定過程を詳細に説明できるよう、株主総会の議事録などの関係書類を事前に準備しておくことが重要です。

3)役員報酬の限度額改定を忘れずに

役員報酬の金額が高すぎるか否かの判断基準には、「実質基準」と「形式基準」とがありました(図表2参照)。「形式基準」とは、役員報酬の金額が「定款に定めた金額や株主総会などで決議された金額(役員報酬限度額)を超えていないか」を基準にするものです。役員報酬限度額は一度決定したら、その後に改定をしない限り有効です。

この役員報酬限度額ですが、役員の数が増加している(役員報酬の総額が増加している)にもかかわらず改定しなかったため、「知らず知らずのうちに役員報酬の金額が限度額を超えていた」といったようなトラブルがあります。役員報酬限度額については毎事業年度の定時株主総会で見直しを行い、その決定過程を議事録として保存しておき、役員報酬の金額が限度額を超えないようにしましょう。

4)役員報酬と従業員給与とのバランスも重要

役員報酬の金額が高すぎるか否かの判断は、さまざまな視点から検討されますが、例えば、利益が減少傾向にあることから、従業員に対するボーナスを減らしているにもかかわらず、役員報酬が増加しているような場合は、「役員報酬の水準が高すぎる」と判断されることがあります。役員報酬の金額は、利益のみならず、従業員給与とのバランスにも留意しましょう。

以上(2022年6月)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】自分の短所を書き出せば、すべきことが見えてくる

人は誰でも良い所と悪い所を持っています。よく言う「長所」「短所」です。皆さんは自分の長所と短所を即答できますか。明るくハキハキとしゃべれること、記憶力が良いこと、人の話をじっくり聞くことができるなど、色々あるでしょう。長所が多ければ歓迎すべきことですし、短所は少ない方がよいものです。

皆さんに知ってもらいたいことは、皆さんが自覚している長所や短所は、他の人からは違って見えることがある、ということです。極端な例でいえば、自分では長所と思っていることが、実は他の人から見たら短所にほかならないということがあります。自分では声が大きく元気が良いのが長所だと思っていたのに、周りの人はいつも場に似合わぬ大声を張り上げて、とてもうるさい人だと感じていたということもあります。

ここまで極端でなくとも、長所と短所に相関があることは少なくありません。

例えば、私の若いときの同僚で、書類の作成が速いことが自分の長所であると思っている人がいました。その人の書類の作成の速さは自他共に認めるところでした。しかし、その一方で、その同僚の仕事には小さなミスが多く、上司や同僚はチェックをするのが大変でした。この同僚は、仕事が速いという長所の裏側に、仕事に対して正確性に欠けるという短所があったことに気付いていませんでした。

これとは逆に、私のかつての部下で、書類の作成に時間がかかるのが自分の短所であると考えている人がいました。しかし、その部下は自分では気付いていませんでしたが、作る書類は丁寧でミスがほとんどありませんでした。また構成や文章が優れておりとても読みやすく、私はチェックが楽でした。社内でも、彼が作る書類への信頼は高かったのです。これは、仕事が遅いという短所の裏側に、仕事には正確で丁寧に取り組むという長所が存在していた例です。

このように、長所と短所は表裏一体となっていることが多いのです。

そこで、自分が他人より優れている、得意であるという長所については、一層の高みを目指しながらも、今一度見直すことで気持ちを引き締めましょう。そう、長所の裏側に短所が潜んでいるかもしれないからです。

また、自分が他人よりも劣っている、苦手であるという短所については、悩んだり引け目を感じたりするのはやめましょう。ネガティブに考えるのではなく、今までとは別の方向から自分を眺めてみましょう。その短所の裏側に長所が隠れているかもしれません。仮に、長所が隠れていなくても、短所は必ず補えるということを覚えておいてください。そう考えれば、短所から自分の意外な可能性に気付き、そのことが自分を成長させるきっかけになるかもしれません。

昨日、私は自分の短所をノートに書き出してみました。思った以上に短所が多くありました。皆さんも短所を書き出して、それをじっと眺めてください。不思議なことに、これから自分が何をすべきかが見えてきます。

以上(2022年6月)

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画像:Mariko Mitsuda

【損金】税理士が解説。損金になる賃借料、ならない賃借料

書いてあること

  • 主な読者:決算対策の一環などとして、賃借料を損金にしたい経営者
  • 課題:オフィス賃料や借上社宅などによる取り扱いの違いが複雑で分からない
  • 解決策:物件はビジネスで使うこと。借上社宅は入居者から一定額を収受する

1 賃借料とは

賃借料とは、

オフィスを借りたり、役員や従業員のために会社名義でマンションを借りたりする(借上社宅)際に支払う家賃

です。賃借料は、原則として全額を損金とすることができますが、いくつかの注意点があります。また、権利金の取り扱いなど税務特有の処理が必要になるため、税務調査でも重点的に調べられます。

賃借料が損金になるかどうかのポイントは、

  • オフィスや営業所の賃借料であること
  • 社宅の賃借料であること。ただし、役員・従業員からの徴収額に要注意
  • 権利金は一旦資産計上、原則5年間で償却すること

です。詳しく見ていきましょう。

2 損金になる賃借料の3つのポイント

1)オフィスや営業所の賃借料であること

リモートワークが進むとはいえ、オフィスや営業所は事業を行う上で重要なものであり、このオフィスなどについて支払う賃借料は全額が損金となります。ただし、実際にオフィスとして使われておらず、経営者などが私的に使用しているものと判断された場合、その全額または一部が損金とできないこともあります。詳細は後述します。

2)社宅の賃借料であること。ただし、役員・従業員からの徴収額に要注意

借上社宅について支払う賃借料についても、原則として支払った金額の全額を損金とすることができます。ただし、その借上社宅に住んでいる役員・従業員から、1カ月当たり一定額の家賃を会社が収受していないと(役員・従業員が会社へ支払わないと)、その一定額は給与として所得税の源泉徴収の対象となります。この「一定額」とは、会社が家主に支払っている賃借料と同額にする必要はありませんが、計算方法は税法で決まっており、また、役員と従業員で計算方法が違います。

1.役員の場合

役員の場合、税法で決められた一定額と同額以上を会社が受け取っていれば、所得税の源泉徴収の対象とはなりません。また、一定額の計算方法は、

  • 小規模住宅(床面積が132平方メートル以下などの基準を満たした住宅)の場合
  • 豪華社宅(床面積が240平方メートル超などの基準を満たした住宅)の場合
  • そのいずれにも該当しない住宅の場合

で異なります。それぞれの区分の詳細な判断基準や徴収額の計算方法は少し専門的になるので末尾にまとめています。

2.従業員の場合

従業員の場合、税法で決められた一定額の2分の1以上を会社が受け取っていれば、所得税の源泉徴収の対象とはなりません。一定額の計算方法(従業員の場合)は次の通りです。

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3)権利金は一旦資産計上、原則5年間で償却すること

オフィスや社宅を借りるときに「権利金」を支払った場合、支払時に全額を損金とすることはできません。いったん資産に計上し、税法で定められている年数に応じて償却することによって損金となります。税法上の償却期間は原則として5年ですが、契約による賃借期間が5年未満の場合でかつ、契約更新の際に再び権利金(いわゆる更新料)の支払いが必要な場合は、契約による賃借期間が償却期間となります。

3 賃借料で迷いやすい実務Q&A

1)オフィス兼住宅としているマンションの賃借料も損金となるの?

自宅である賃貸マンションの一室をオフィスとして使用している場合、賃貸マンションの家賃を賃借料として会社の損金にできます。ただし、この賃借料には自宅として使用している部分も含まれるため、全額を損金にできません。マンションの床面積を自宅使用部分とオフィス使用部分とに区分して家賃を按分した上、オフィス使用部分のみを賃借料とするなど、合理的に計算した金額を賃借料として処理しましょう。また、按分計算した資料(計算表や、計算の基となった設計図など)は税務調査の際に提示を求められるので、帳簿書類とともに保存しておくことが重要です。

2)高級タワーマンションでも社宅として大丈夫?

高級タワーマンションであっても、借上社宅として使用すること自体には問題ありません。重要なのは、税法で定められている一定額を役員・従業員から収受することです。中でも「豪華社宅」の場合、会社が家主に支払っている家賃と同額を役員から収受する必要があります。「豪華社宅」の明確な定義はありませんが、高級タワーマンションの場合、「プール」や「トレーニングジム」など、一般的な住宅にはない設備が整えられているケースがあるため、豪華社宅と認定される可能性もあります。

税務調査で豪華社宅と指摘された場合、「会社が家主に支払っている家賃」と「会社が役員から収受している家賃」の差額は役員に対する給与として取り扱われ、所得税源泉徴収の対象になります。金額によっては多額の税負担が生じることにもなるので、判断に迷った場合には、税理士などの専門家に相談することが重要です。

3)新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるオフィス家賃の減額を受けた場合の税務上の取り扱いはどうなるの?

オフィス家賃の減額を受けた会社側には、減額された分の受贈益(益金)が発生しますが、減額分のオフィス家賃(損金)と相殺され、課税は生じません。例えば、元のオフィス家賃が100万円で、30万円の減額を受けた場合、100万円(損金)-30万円(益金)=70万円(損金)となります。結果、減額後のオフィス家賃分が損金として処理されます。

4 社宅に対する役員からの徴収額の区分と計算方法

1)役員で、小規模住宅の場合

小規模住宅とは、次のいずれかに該当する住宅です。なお、区分所有の建物の場合(マンションやオフィス兼住宅など)、共用部分の床面積を按分し、専用部分の床面積に加えたところで面積判定します。

  • 法定耐用年数が30年以下の建物の場合→床面積が132平方メートル以下の住宅
  • 法定耐用年数が30年を超える建物の場合→床面積が99平方メートル以下の住宅

一定額の計算方法(役員で、小規模住宅の場合)は次の通りです。

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2)役員で、豪華社宅の場合

豪華社宅であるかどうかは、「床面積が240平方メートルを超えるもの」のうち、取得価額、支払賃貸料の額、内外装の状況など、各種の要素を総合的に見て判定します。「床面積が240平方メートル以下のもの」であっても、一般的な住宅にはないような設備が整えられている場合、税務調査において「豪華社宅」として指摘されることがあります。

一定額の計算方法(役員で、豪華社宅の場合)は次の通りです。

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3)役員で、小規模住宅・豪華社宅のいずれにも該当しない場合

一定額の計算方法は次の通りです。

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以上(2022年6月)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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画像:Mariko Mitsuda

チャンネル登録数約11万人のZ世代向けYouTuber社長は、本人もZ世代屈指の“熱さと生真面目さを併せ持つ”【ニコニコした革命家】福田さんの思考を覗いてみよう/岡目八目リポート

年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、福田 駿(ふくだ しゅん)さん(株式会社Diaryの代表取締役)です。

学生起業家で“就活YouTuber”の福田さんからまず感じるのは、圧倒的な「突撃力」です。そこには、物事を成し遂げるために大切なものが凝縮されています。Z世代であり、「熱さ」と「生真面目さ」を併せ持つ福田さんを一言で表現するなら、【ニコニコした革命家】。物腰柔らかな福田さん、ニコニコした感じのまま、行動はガツンと大胆で、世の中を大きく変えていこうとしています。
今回はそうした福田さんの突撃力の源、ビジネスや組織に対する考え方などをご紹介します。モヤモヤ悩む働くすべての人に、色々迷っている学生に、一度、福田さんのお話を聞いてみることをお勧めします。「今日から私も変わろう、変わりたい」と思えるでしょう!

1 「一緒に仕事したい」と多くの人に熱望される福田さん

自分が困っていることを解決できるサービスを自分で立ち上げてビジネスにする。

福田さんの原点かつ株式会社Diaryの出発点は、就活をしていた福田さんが始めた、就活生向けのYouTubeチャンネル「しゅんダイアリー」です。チャンネル登録数は約11万人にも上ります(2022年6月時点)。

福田さん自己紹介画像です

(出所:福田さんご提供資料)

「しゅんダイアリー」は、福田さんご自身が、就活やインターンシップで感じた閉塞感や悩み、衝撃などが元になっています。「就活がうまくいかない」「首都圏と地方とで学生の情報量や実力に圧倒的な差がある(と感じる)」。そんな思いから、「このままじゃダメだ」と、なんと自分の就職面接の様子を動画でガチ撮影して配信し始めました。

●YouTubeチャンネル「しゅんダイアリー」

しゅんダイアリーtop画像です

(出所:YouTube「しゅんダイアリー」)

しゅんダイアリー説明画像です

(出所:福田さんご提供資料)

大学を休学して会社を立ち上げた福田さん。何もないゼロの状態からコトを起こすその突撃力だけでもすごいのに、成し遂げるために地道に努力できる面もあります。そして福田さんとお話して大きな特徴だと感じるのは「非常に物腰柔らかで素直」なところです。

終始ニコニコ笑顔、穏やかな語り口。相手(周り)の話に真剣に耳を傾け、分からない言葉は素直に質問し、気づきになったことはすぐにメモ。「この気づきを本当に事業に活かすのだろうな」と思える真摯さです。そして実際に物事を進め、形にします。福田さんと会う人会う人、特に経営者層が皆、「(福田さんと)一緒に仕事をしたい」「うちの会社にCOOとして来てほしい」と熱望するのがよく分かります。福田さんは年齢的には20代前半と若いですが、年齢に関係なく、誠実、努力家、行動的、チャレンジ精神旺盛と、とにかく人間的魅力の塊!です。

2 なぜ「しゅんダイアリー」を始めたか?

福田さんたち株式会社Diaryでは、「しゅんダイアリー」のほか、企業向けに採用広報系の動画制作やYouTubeチャンネルの立ち上げ・運用なども行なっています。就活・採用関係がメーンですが、事業コンセプトはもっと大きなもので、若者たちの行動格差をなくし、

一人ひとりが作りたい未来を自分で描いていける時代を作りたい。

というもの。

Vision画像です

(出所:福田さんご提供資料)

このコンセプトの原体験、福田さんがなぜ「しゅんダイアリー」を始めたかを振り返ってみましょう。

石川県出身で地元の金沢大学で学んでいた福田さん。「もともと、東京で働きたいと思っていた」そうです。しかし、東京どころか、「(石川)県外に出て働こうとする人自体が少ない。自分のような東京で働きたい人は少数派」と福田さんは感じていました。県外に出ようとする人がそもそも少ないので、将来のことを友だちに相談できないし、気持ちも分かり合えないし、情報も入って来ない。

そんな福田さんの人生に大きな影響を与えたのが、大学4年生の就活時、サイバーエージェントの3日間のインターンシップに参加したことでした。福田さんは文字通り「衝撃的」な思いをします。ある意味、外の世界を初めて知ったからです。「行動格差」も感じたそうです。ここは、福田さんの言葉をそのまま借りて、その衝撃をご紹介しましょう。

●サイバーエージェントのインターンシップを経て福田さんが受けた衝撃

「大学1年のときからインターンを始めている人や、どこかの会社の事業部で実際にプロジェクトを回している人、『学生団体を自分で作ってます』という人など東京の大学の方々がいっぱいいて。」
「使っている言葉もカタカナが多くて、正直、何を言っているのか分からなかった。(今から思えば難しくない当たり前のことなのですが)例えばPLとかKPIとか。PLと言えば高校野球が強いPL学園のことしか知りませんでした(笑)。」
「とても衝撃的で、やはり広い世界を知らないことはもったいないなと思った。」

福田さんがいかにショックを受けたかがよく分かります。しかし、福田さんはそれだけで終わりませんでした。ここから、福田さんの突撃が始まります。
「例えば、『和食が好き』と言うにしても、フレンチもイタリアンも食べた上で『和食が好き』がいい。和食しか食べたことないのに『和食が好き』は何か違うと思う」と例え話で説明する福田さん。福田さんとしては、

「一つの県内の県庁や地場の大手企業しか見ていない状態で自分の人生を選ぶのはもったいない。選択肢を広げたい。そして、自分と同じような環境で生きてきた人にも、もっと選択肢を知って欲しい」

という思いでした。そこで、自分の面接の様子を動画で撮影・配信するようになったのです。

「会社」という形にしたきっかけは、ズバリ、「自分の実力の無さに危機感を感じたから」。「就活をしている中で、自分の実力のなさ、自分は何も持っていないということを痛感させられました。同世代のすごい人たちを目の当たりにして、このまま就職しても社会で活躍できずに埋もれてしまうと、ある種の直感的な危機感を感じました。そこでいったん就活をやめて、休学をして、会社を作るところにフルコミットしようと思ったのが会社を作ったきっかけです」と言う福田さん。これが2019年2月のことです。
 自分の足りなさに直面し、それを「危機感」として受け止め、そこから起死回生を図ろうと「会社を作る」。こういう「へこたれない」思考回路、稀だと思います。そして、本当に実現まで持っていける福田さんのような人は、ほんの一握りではないでしょうか。

●福田さん:サイバーエージェントのガチ面接の動画

面接画像です

(出所:YouTube「しゅんダイアリー」)

初めはサイバーエージェントの面接をYouTubeで流したり友人に共有したりしていた福田さん。そのうちYouTubeの登録者数が4000人くらいに増え、その4000人に対して認知を広げたいという石川県の企業からインタビュー依頼が来たそうです。それをきっかけに、福田さんは当時、流行り始めていたクラウドファンディングを行い、また、石川県の青年会議所や商工会議所など経営者が集まるところに行ってリアルで資金調達をして東京に引っ越してきました。なにやらもう、このあたりもすごい突撃力としか言いようがありません。

3 爆裂する突撃力の秘密

福田さんに、なぜそこまで突撃力があるのかを尋ねたところ、子どもの頃の話も教えてくれました。印象的だったのは、中学時代のバスケ部の話と、さまざまなことを「コツコツやるのが好き」という話です。福田さんの言葉を借りつつ、ご紹介します。

●中学時代のバスケ部の件

「当時は分かりませんでしたが、突撃力は確かに小さい頃からあったかもしれません。中学生のバスケ部のときはキャプテンをやっていて、顧問の先生がいなかったので、タウンワークで調べて隣町のバスケ経験者に電話をかけてコーチになってもらったりしました。強い高校に練習試合を申し込んだり、一緒に練習したりとかもやっていましたが、それが凄いとか、他の人がやっていないことだとかは全く思ってもいませんでした」
「ただ、今振り返ると、中学時代のバスケ部のような誰も何も言ってくれない状況で、なんとかしなきゃいけないカオスな環境のほうが自分の力が発揮できると思います」

●「コツコツやるのが好き」な件

「もともとコツコツ努力することだったり、目標立てて地道に泥臭いことをやったりするのは、幼稚園のときからとても好きです」
「父が伝統工芸の加賀友禅の作家だったので、絵を描くのはよく見ていました。自分も絵を描くのが上手くなりたいなと思い、幼稚園のときに、1日に50枚は絶対に絵を描こうと決めて。塗り絵からスタートして、ちょっとずつ絵を描いて、ペンだこというか(今でも残ってるんですけど)、中指の豆が潰れまくってボッコリとなるまで描き続けました」
「少年野球もやっていましたが、野球が上手くなりたくて、週2回の練習以外に、毎日自主的に山を走りに行っていました」
「ある種、効率はものすごく悪いかもしれないのですが、コツコツ毎日何かをやり続けるのが好きなんです」

こうしたお話をお聞きしていると、福田さんの突撃力は、目標を立ててコツコツ毎日泥臭く努力できる持久力の上に、思い立ったら環境を打破するためにパッと行動できる瞬発力も重なって、「二重底の分厚い突撃力」になっている。両輪の突撃力。そう感じます。

福田さんは大物経営者などにアポなしで会いに行って動画まで撮ったりしています。普通は気後れしそうなものですが、「さすがに大物は怖いという感覚はありますし緊張もしますが、それよりも何も残らない、残せない怖さのほうが大きい。だから突撃できます」と語る福田さんです。突撃力の裏には、「こうしたい」という強い意志があることも伺えます。

4 「Z世代ですが……」な福田さん

福田さんは年齢的にはZ世代であると同時に、「らしからぬビジネスに対する熱さ(良い意味で)」やハングリー精神、根性といったものが感じられます。

福田さんが具体的な目標として挙げるのは、

「時価総額10兆円の会社を作る」

です。そのために、毎日、1分1秒を惜しんで事業に勉強に邁進している福田さん。

 「新卒市場だけだと800億円なので、そもそも10兆円に届かない。もっと大きくしたいと考えているので、本当に毎日時間が惜しいです」と、朝早くから夜遅くまで、事業計画、採用、ミーティング、動画制作、資金調達、営業など目まぐるしく動きます。さらに、さまざまな人に会い、本を読み、「自分が経験して来なかったことを経験している方の、凝縮された情報を収集することも大事にしている」という福田さん。

時間がいくらあっても足りなそうですし、正直かなり疲れそうですが、そこは、「今、これが必要だなとか、楽しいなとか思うことなので、ずっとやっていても、疲れるというのはないですね。」と、やはり笑顔の福田さんです。

福田さんに自分と同じZ世代をどう思うか聞いてみたところ、「自分自身のことも反省しつつですが」ということで、次のように答えてくれました。

●「Z世代」に対する福田さんの考え

「いわゆるZ世代といわれる僕らと同世代の人たちは、ハングリー精神が乏しいかもしれません。売上とか目標とか数字的な感覚はあまりなくて、お金は困らない程度でよく、ゆるくプライベートも充実させて、なんとなく楽しければいいという人が多数派だと思います」
「僕ら世代は優しすぎるとも思います。何かを達成するために厳しく誰かに注意したり言ったりすることが苦手な人が圧倒的に多くて、だから怒られることにも弱いですし、怒るという経験もしたことがない人がほとんどかもしれません」
「(怒る、怒られる経験がないので)何かをやろうという時にも、優しすぎて、人を巻き込みきれない、あるいは突き放せないという弱みがあると思います」
「とはいいつつ、Z世代の強みは、評価軸が自分にあることです。世の中一般的に車を持つのがかっこいいとか家買うのがかっこいいという価値観ではなく、自分のものさしを持っているので、幸せという観点でいえば、『成長しなくてもいいというわけではないが自分のペースでできればいい』という人が圧倒的に多いと思います」

このように自分たちZ世代を分析している福田さんの会社の仲間も、ほとんどZ世代です。そうした中で福田さんは、組織の作り方、動かし方についても福田さん流で進めています。

5 仲間たち「本人」の「こうしたい」という気持ちを大切にする

メンバーがほとんどZ世代な福田さんの会社では、「トップがいてこれをやりなさい、あれをやりなさいというマネジメントの方法はまったく通用しない」そうです。
 「逆に、本人が『自分がこうしたいからやる』という時が一番力を発揮しやすい」と感じている福田さんは、「同一線上にメンバー皆が並んで立って、それぞれ同じ目標に向かって一緒に走る組織の形」を心がけています。目指すところの共通認識があり、それぞれがリーダーとなってそれぞれが主体になって走る。誰が上とか下とか、そういうピラミッド型ではないフラットな形、ということです。

福田さんたちが毎朝行っている「朝会」もユニークです。仲間たち「本人」の「やろう」「仕事を楽しもう」という気持ちを大切にする福田さんたちらしい内容です。毎回、朝会ではたくさんの画像や動画、キャラクターなどを使った“面白資料”をつくり、オンライン会議ツールで画面共有します。そして資料は画面共有しつつも、面白い話や雰囲気はその場で共有して一体感を高めたい。ということで、「オンライン会議ツールを使うけれど全員集合で朝礼をする」スタイルだといいます。一人ひとりが「自分ごと」で楽しく、けれど真剣に臨める朝会は、新しい「気持ち共有の形」なのかもしれません。

●株式会社Diaryの朝会資料例(一部抜粋)

朝会資料例画像です

(出所:福田さんご提供資料)

会社のメンバーを集める(採用する)ときも、その相手と一緒に登山しながら説得して集めているという福田さん(しかも相手の地元や大学近くの山)。「山は余計な情報がありません。それに、登山は苦しいので、一緒に苦しいことを経験すると結束感が生まれます。さらに言えば、Z世代の特徴と思いますが人に何かを捻じ曲げて矯正させるのは難しいですし、僕自身もそれはやりたくないんです。相手がやりたいことを理解して、それと自分がやりたいことが一緒なら一緒にやりませんかという……そういうやりたいことの方向性のすり合わせが、山はしやすいと思います」。福田さんの“福田流・登山説得型”も、Z世代のメンバーが仲間だからこその工夫なのかもしれません。

突撃力はもちろん、しっかりとロジカルに考え、壁にぶつかってもへこたれずとにかく実践して物事を地道に前に進める。そういう福田さんの厚み、ふわふわしていない力強さ、泥臭さが、仲間を大切にしている感じからも伝わってきます。こうした結束感、一人ひとりが楽しんで仕事をしているのも、福田さんたちの強みと言えるでしょう。
 実際に「しゅんダイアリー」の動画などを見ると分かりますが、メンバーが皆、自分で工夫してやりたいことをやっている感じがします。かつ、視聴者のことを考えてとてもテンポが良く、内容も就活の現場ですぐに使えそうな具体的なものばかり。何よりとにかくメンバーが楽しそうなのが印象的です。

6 福田さんの理想とする実現したい世界観

株式会社Diaryでは、「しゅんダイアリー/内定に一歩近づく就活動画メディア」もリリースしており、就活生向けの「行動力診断テスト」もできるようになっています。今後も色々と新しい展開が期待されます。
※「しゅんダイアリー/内定に一歩近づく就活動画メディア」はこちら

最後に、福田さんに、理想とする実現したい世界観をお聞きしたところ、次のように答えてくれました。

●福田さんの描く世界観

若者の全員が自分の才能に気付いて、その才能が発揮される世界にしたいです。
若者の才能が発見され発揮されると、社会にとっても一人当たりの生産性が上がり、スタートアップも大手企業も、さまざまな企業が元気になります。
就職するにしても起業するにしても、若者が元気になることが、社会全体が元気になる、日本が元気になる上で必須なことだと思います。そのため、(自分たちと)同世代の価値観や生き方、在り方を、ある種、変革する事業をやり続け、結果的に日本全体、そして世界全体が活性化する、元気になる状態を作りたいと思っています。

素晴らしい世界観ですね! 就職でも起業でも、どこの地域にいても、とにかく形にとらわれないで、若い世代の人たちがやりたいことを見つけ、思い切り力を発揮できる。そんな、「世間や隣を気にしない、もっと自由な社会」を福田さんのような【ニコニコした革命家】が作っていく未来が見える気がして、とてもうれしくなりました。未来は明るいです! 有り難うございます!

以上(2022年6月作成)

【朝礼】ボーっと生きてなんかいられません

私はこれまで、恥ずかしながら世界の出来事にそれほど関心がなく、ニュースをこまめにチェックすることはありませんでした。ですが、最近はその考えが変わり、真剣に世界のニュースを見るようになりました。先輩方からすると、「今さら何を言うのか」と思われるかもしれませんが、けさは、まだ世界の出来事に対して関心の薄い人のために、私がどうして世界のニュースに関心を持つようになったかをお話ししたいと思います。

少し前まで、私はニュースで流れる世界の出来事は、自分とはほとんど関係のない話ばかりだと思ってきました。感染症の流行も、異常気象も、国際紛争も、「その地域の人たちはかわいそうだな」としか感じず、基本的に自分事として考えることはなかったように思います。

ですが、今は違います。新型コロナウイルス感染症が日本でも猛威を振るい続け、異常気象は私たちも含めた地球全体の環境破壊が原因となっていることが指摘され、国際紛争が日本の物価にも影響を及ぼすことを体験しました。

まさに今、私たちは世界の動きと自分の生活が直結しているのだということを意識せざるを得なくなっています。そして、たとえ自分は世界の出来事に関心がないとしても、もう世界の動きと自分の生活を切り離すことはできない、ということを悟りました。私は「俗世から離れた悠々自適な生活」に憧れる部分があったのですが、もう夢のまた夢のような話になってしまいました。

世界の動きと自分の生活が直結するようになった理由は、幾つかあると思います。感染症が瞬く間に世界中に広がるようになったのは、世界経済が密接になり、人の往来も増えたことが背景にあるでしょう。環境破壊や兵器の使用といった人間の行為が、地球全体にインパクトを与えるほどまで強力になったということもあると思います。

理由はどうであれ、今の時代は、自分の幸せを実現させるためには、自分だけではなく、世界全体の幸せを実現させる必要がある、と考えなければいけないのだと感じます。

そう考えると、SDGsというものは、世界の誰かを助けてあげるためのものではなく、自分自身や自分と関係する人たちの身を守るために目指さなくてはいけないゴールなのではないでしょうか。

私のようなちっぽけな人間も含めて、一人ひとりが地球上で共同生活をしているという責任を自覚し、世界レベルで物事を考えるようにならなくてはいけない、ということなのだと思います。私が今日捨てたゴミは地球全体の生活環境を悪化させ、電気を消し忘れて無駄に消費した資源は、異常気象を発生させる原因につながっているわけです。でも逆に、私がゴミを拾えば地球は少し住みやすくなり、仕事を通じて社会に貢献すれば、世界が少し便利になるわけです。そのように大きな視点で考えると、とてもボーっと生きてなんかいられません。

以上(2022年6月)

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画像:Mariko Mitsuda