【特別企画】Z世代起業家がZ世代の学生に向けて「起業」を語る講座/岡目八目リポート

年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回ご紹介するのは、
特別企画、埼玉大学で行われた講座「実践ベンチャー論:Z世代スタートアップ実践の実情を聞く」(2022/6/24開催)です。

この講座は、「Z世代に向けて、Z世代起業家がスタートアップの実情を語る」内容で、他では聞くことのできない、志も高く実績もある起業家4名による講義です。事業や起業の実情を詳しく語った4名の起業家。そして、真剣に耳を傾け、時間が足りなくなるほど質問もたくさんしてくれていた埼玉大学の学生などの聴講生。講義後、「起業の志が固まりました!」と決意も新たに顔つきがすっかり変わった聴講生もいたほどです。
本当に大げさでなく、聴講生たち(年齢問わず)の今後の人生に影響を与えたであろう、かけがえのない暑いアツい夏の一日が凝縮されていました。この記事では、講義の中で4名のZ世代起業家がお話してくださった内容を一部ご紹介します(とても伝えきれない、盛りだくさんで素晴らしい内容と熱量!)。なお、起業家4名の中には、かつてこの「岡目八目シリーズ」でご紹介した方々もおられます。後ほどそれぞれの岡目八目シリーズ記事へのリンクもご案内しますので、ぜひ覗いてみてください。

●登壇 Z世代起業家
後藤 学氏 :株式会社Helte 代表取締役
福田 駿氏 :株式会社Diary 代表取締役、就活YouTuber
西側 愛弓氏:株式会社COXCO 代表取締役
大槻 祐依氏:株式会社FinT  代表取締役

●モデレート
杉浦 佳浩氏:代表世話人株式会社 代表取締役

1 どのような事業をしているか?

まずは自己紹介を兼ねて、「どのような事業をやっているか」「なぜその事業をやっているか」といったことを最初にそれぞれお話してくださいました。そこからしてもう、面白くて勉強になる情報が満載です。お話してくださった順番にご紹介します。

1)大槻さん 株式会社FinT

大槻さんの株式会社FinTでは、主に、メルカリなどの企業のSNSマーケティング支援や運用、ライブ配信、メディア運用などを行っています。とにかく勉強家で実績もあり、突破力も実行力もハンパない大槻さん。ビジコンで優勝したこともある大学時代には、インターンながら一事業部を担当し、力強く仕事をして社員のマネジメントもしていたそうです。
 ビジコン優勝特典でシリコンバレーに行ったり、シンガポールに1年間留学したり、大学3年のうちに起業したりとさまざまな経験をしてきた大槻さん。聴講生向けにさっそく「私自身、たくさんチャレンジしてたくさん失敗してきました。皆さんも多くのチャレンジと失敗をしてください。今私たちの会社は、インターン生20人くらい社員40人くらいで、インターン生もすごく活躍していて年齢は関係ないなと感じてます。ぜひ頑張ってください」と激励を。場作り、リーダーシップも素晴らしいと感じました。
 会社としてのパーパスを変えたという大槻さん。その思いを次のように話していました。
「今のパーパスは“みんなの強みを活かして、日本を世界を前向きに”です。日本を、世界を前向きにしたい、それが今一番やりたいこと。日本の技術など日本の『何か』を使ってグローバルスタンダードをつくっていけるようにしようとしています」

●株式会社FinTのウェブサイトはこちら

大槻さんの画像です

2)後藤さん 株式会社Helte

後藤さんの株式会社Helteでは、日本のアクティブシニア層と海外の人たちがオンライン上で、“日本語で”交流できるプラットフォーム「Sail」を開発展開しています。「Sail」はまさに、すぐに海外とつながれる、自分の世界を広げる窓。参加国は実に154カ国、総利用者数は26,000人以上(2022年9月時点)とすごい数です。海外の人たちを集めるために、コネ無し知り合い無しの状態でタイなどの海外を“飛び込み”で回った泥臭いガッツの後藤さん。その様子を、まるで当たり前のように飄々と語る感じがまた、聴講生を惹きつけていました。
「Sail」を使って交流した後の分析にハマっているという後藤さん、そうした中で海外の人が日本で就職する際の支援のようなこともやっているそうです。
また、東京大学と一緒に、「Sail」を使ったことによる人の行動変容(ICTの理解度が上がった、海外の人に対する偏見が減ったなど)の分析なども行っており、これに関心を持った自治体などとも連携が実現。これからもどんどん全国各地、そして世界に拡がっていきそうです。
 海外の人たちが参加した日本語スピーチコンテストを実施した後藤さん。こう語ります。
 「今回は、全世界80カ国を超える1500人が参加、日本語でビジコン的にプレゼンしてもらいました。彼らの大きな夢を日本語で聞いて本当に感動した。これからの日本を支えるのはきっと彼らのような海外の人たち。ぜひ一緒に色々な事業ができたらと思います」

●株式会社Helteのウェブサイトはこちら

後藤さんの画像です

3)福田さん 株式会社Diary、就活YouTuber

福田さんは株式会社Diaryの代表かつ、就活生向けのYouTubeチャンネル「しゅんダイアリー」を持つ就活YouTuberでもあります。YouTubeで11万人、TikTokで9.7万人の登録者がいて(2022年9月時点)、そこを軸に就活サービスを展開。また、企業の採用広報も手掛けています。
YouTuberとして、日頃から色々な人にインタビューもしている福田さん、今回の講義でも自分の話をしつつも聴講生に「しゅんダイアリーって聞いたことある人、手を挙げてもらっていいですか?」とインタラクティブに展開。
続けて「僕は石川県金沢市出身で金沢大学に行っていて、留学もインターンもしたことなかったんです。でもどうしても東京の大学に来たかったし、東京で仕事したかった」「埼玉大学と金沢大学はなんか雰囲気が似ていてめちゃめちゃ親近感あります」「中学生のころから起業を考えていたけれど、自分は何者でもないし何もできないので、とりあえずYouTubeで結果を残したいと思った」「最初は旅行系の動画とか配信してまったくうまくいかず、『自分の言いたくないことを言おう』と仮面浪人に失敗した体験談をアップしたら初めて10万回再生」「仮面浪人人口は2万人しかいないと気づいて、大学3年の就活タイミングで就活系に切り替えて、毎週東京に行って東京の会社で自分がガチで面接を受ける様子を動画にしたらちょっとずつウケて今につながる」などなど、聴講生から見るととても分かりやすく親近感がわく、そしてぐんぐん引き込まれるストーリー。聴かせます。福田さんは目指す未来もしっかり語ります。
 「僕は中学生のころから世界と戦いたいと思ってきた。時価総額という会社の『企業価値』というものがありますが、時価総額10兆円の会社にすることが今の目標であり課題です」

●株式会社Diaryのウェブサイトはこちら

福田さんの画像です

4)西側さん 株式会社COXCO

今回、西側さんはなんと、フィリピンからのオンライン参加でした。こういうスタイルも、聴講生にとってはとても良い刺激になります。
西側さんが展開するのは社会課題と向き合うアパレルブランドです。西側さんは「服の形をしたメディア」とも表現しています。「大学時代にバックパッカーをした経験から、貧困問題などさまざまな社会課題を肌で感じた」という西側さん、ファッションを通して社会にとっていいことをしたいと考えるようになったそうです。例えば、不要になった繊維(洋服)からつくられた再生ポリエステルを使って、できるだけ長く愛されるデザインの服を仕立てる、しかも受注生産で気に入ってくれた人にだけ提供するなどを行っています。
そして今は、「フィリピンでファッションスクールをつくる」というチャレンジもしているそうです。
フィリピンではファッションショーも開催している西側さん、その思いを語ります。
 「2015年から、フィリピンで暮らす子どもたちが思い出になる場所をつくろうと、ファッションショーをやっています。今回で8回目になります。ファッションを通してみんなで夢を描く、みんなで胸を張って生きていこうという体験をつくりたいです」

●株式会社COXCOのウェブサイトはこちら

西側さんの画像です

「挑戦」。4名の自己紹介含めた事業の話からまず感じるのはこの言葉です。グローバルな目線を持っている、そもそも生き方が枠にとらわれていない。そして難しいこと、でもやりたいことに果敢に挑み続けていることがうかがえます。

2 なぜ、どうやって起業したか? 起業ストーリー

起業の理由、起業ストーリーも各者各様で、特に今回は起業を志す聴講生も多かったため、かなり聞き応えがあったのではないでしょうか。「海外留学」「バックパッカー」といった、世界に触れられる環境も起業要因の一つと思いますが、そうした環境以上に「これをやりたい、やってみる。やり切ってみる」という志、そして行動することがとても大事だと感じました。ここでは、それぞれが講義で語っていた濃い起業ストーリーの特徴的な点をご紹介します。

●大槻さん

  • 起業した理由は、広く言うと「自分が生まれてきた意味を持ちたい、私が生まれたから世界が良くなったという風にしたい」から
  • シンガポール留学時代から「金融課題を解決するサービスをやろう」と一緒に練っていた仲間と大学3年のときに起業。後にサービスは変化
  • 起業当初は両親が大反対。起業して、オフィスに寝泊まりするくらいずっと仕事漬けで必死だったがうまく行かず。お金もなくなり。仲間とは解散したり。そうした過酷な毎日でも、1人でやり切ると頑張っているうちに親の見る目が変わってきた
  • 今では、税理士事務所で働く母が経理担当として会社をとても支えてくれている

●後藤さん

  • 誰もが知る大企業に就職するも1年で辞めて起業。泥船でもいいから早く出航したかった
  • 大学時代にシアトルに留学、インドにも行き、その他にも色々とバックパッカーで世界を放浪する日々。それが後に「海外の仕事に貢献したい」につながって、その気持ちが爆発
  • 起業していく中でさまざまな人のご縁を感じる。フランス人の事業家が最初に出資してくれたり、中国人の投資家がいてくれたり
  • 事業がしんどい局面は何度もあったが、ふと誰かが助けてくれたり、そういうご縁の中で「生かされている」と感じる。感謝の気持ち、恩返しをしたい気持ちがとてもある

●福田さん

  • 金沢の大学で就活生をしているときは「大企業に行っている人が勝ち組」と思っていた
  • サイバーエージェントやDeNAのインターンに参加してショックを受ける。東京の大学生は1年次からインターンやってるとか起業しているとかいう人がゴロゴロ
  • 東京と地方では、大学生が使っている言語、見ている景色、情報がまったく違うと、大きな格差を感じる。そうした格差をなくしたいと、就活チャンネルを立ち上げ起業した
  • お金はクラウドファンディングなどで120万円、商工会議所で一人1万円ずつなど人力で180万円くらい集めて、300万円くらい集まったタイミングで東京に引っ越してきた
  • 親を説得する自信はなかったので、起業については事後報告

●西側さん

  • 起業した理由は「(ファッションという)好きなことができたから」
  • 起業する前はサイバーエージェントに就職し、2年ほど働いた
  • 大学3年のとき、現在フィリピンで活動している団体を立ち上げた。そこから、ファッションスクールをつくろうと頑張ってきている
  • ファッションスクールをつくるなら、卒業生の将来を考える必要があると思い、起業した
  • 社会課題解決のためにアパレルブランドを立ち上げたが、「会社」という体がないと話を聞いてもらえない、契約してもらえないという観点からも起業した

3 キラキラばかりではない。課題、失敗の連続。それでもその先を考える

インターン、海外留学、バックパッカー、起業、スタートアップなどのキーワードから、何も知らないとキラキラしたイメージを持ちそうですが、それだけではありません。というより、そうではありません。課題も失敗もたくさんあります。それが実情です。この4名のZ世代起業家もそうです。そして、課題や失敗がどれほどあろうとも、今後の展開を考え続け、前に進み続けます。それぞれの課題感、そして今後について印象的な点をご紹介します。

●大槻さん

「課題はたくさんあります。常にあります。起業をしていてとても面白いと感じるのは、目の前に毎回、壁が出てくること。例えば、組織がよくない感じになっているという壁があったとして、やっとその壁をよじ登って超えたと思ったら、また別の壁が出てくる。それが病みつきになります。これをずっと繰り返す、成長ってそういうもんだなあと楽しくて、社長やっててよかった、起業してよかったと思います」
「今後3〜4年後には海外展開というか、日本のものを海外に出していく軸もつくりたいです」

●後藤さん

「日々の仕事に追われてインプットが難しいときがあるのが課題。余白が生まれたほうが新しいチャレンジやコミュニケーションの方法などが分かってきて、それが事業につながると思うので、そういう余白があるようにしたい」
「今後はグローバル展開のギアを上げていきたい。今年に入ってから、積極的に英語やフランス語でプレゼンするようにしている」
「会社も、インド人やフランス人など色々な人がいるようになってきたので、そういう色々な考え方をまとめて編集して力を付けていく、これも課題」

●福田さん

「僕らの一番の課題は採用。自分たちよりも優秀で素直な人を仲間にしていくのが課題。凡人が後天的に努力していく、そういう仲間。自分たちもそうありたい」
「採用するときは一緒に山に登る。山登りは苦しいから本音が見える。スマホも使えないので、みっちり話ができる」
「採用するときは、親にも会いに行って、娘さんおよび息子さんを私にください、一緒に社会をよくする会社をつくっていくと伝える」
「今後は、世の中の人に行動してもらえるようにWeb3の領域で事業展開も考えている。試験的にやっていることもある」

●西側さん

「起業するとお金周りも課題になると思う。お金を借りるとなると大きな責任も負うし、本当に大変」
「起業はキラキラしたイメージかもしれないが、実際に人に見せないところで起業家は皆大変だし、根気がいること」

4 講座の最後。途切れない質疑応答

もっともっと話を聞いていたいところでしたが、最後の質疑応答へ。4名のZ世代起業家の話に、質問したい聴講生がたくさん。もしかしたら、今までにない質問の多さだったかもしれません。中には、4名の会社でインターンをしてみたいという聴講生もいました。
 聴講生からの質問は、例えば次のようなものでした。登壇してくださったZ世代起業家、熱心に参加されていたZ世代が中心の聴講生。本当にアツくて濃い時間、有り難うございました!

●聴講生からの質問例

  • 海外とビジネスをやっていく中で、どうやって海外の方とつながったのか?
  • 就活サービスについて、他のナビサイトとどうやって差異化を図っていくのか?
  • パーパスが変わったことで、社員の行動変容、変わったアクションはあったか?
  • どうやって自分のビジョンに合う人(仲間)を見つけてきたのか?
  • VCからの資金調達を考えているか?

集合写真です

以上(2022年10月作成)

【朝礼】趣味がないなら、ボランティアをやってみなさい

私は日ごろから皆さんに、「仕事以外の趣味に費やす時間を大切にしてほしい」と伝えています。それは、没頭できる趣味というのは人生を豊かにするし、職場以外の場所で得た経験というのは、仕事に活かせることも多いからです。

けれど、残念ながら当社には、「趣味は特にありません」という社員が少なくありません。そんな人にお勧めしたいのが、ボランティアです。

知っている人もいると思いますが、私はここ数年、休日を利用して地元の老人ホームで、「傾聴ボランティア」というものをやっています。75~90歳の幅広い年齢の方々から、これまでの体験や日々思っていることを伺うのです。

老人ホームの方々はご高齢なので、聞き取りが難しく、普段の会話よりも時間がかかります。けれど、戦中戦後の体験や私が生まれる前の地元の話を伺うと、驚きや感動があります。

また、老人ホーム内の恋の話を聞くと、いつになっても恋は人を元気にさせるものだなと感心するとともに、「老人ホームの方々に比べたら、私は若輩者。もっと若い気持ちでいなければ」と励まされることがあります。

歌が好きでいきなり歌い出す方や、お手玉が得意で80歳を過ぎて4つ、5つ投げられる方もいて、ヒヤヒヤしつつ、楽しく充実した時間を過ごせます。最後には皆さんからとても感謝されますので、うれしさと満足感を覚えて、気分もリフレッシュします。

そして、最初にお話ししたように、ボランティアは単に人生を豊かにするだけでなく、仕事に活かせることもたくさんあります。

老人ホームでの体験談は、誰もが関心を持って聞いてくれるので、仕事の打ち合わせの際のアイスブレークとして非常に役立っています。また、人生の先輩方のお話から、新しいビジネスのヒントを得ることもあります。

例えば、指が震えてスマホの画面を上手にタップできないとか、箸でうまく食べ物が持てないといった話を聞くと、手入力ではなく音声入力の精度を高めるスマホや、ピンセットのようなバネ付きの箸があるといいなとか、思いますよね。目の前で困っていることがあると、解決してあげたいと思うのが人情で、そういう目線で見ると、高齢者というのはアイデアの宝庫ともいえます。すでに商品化されているものも多いですが、このように、ボランティアの最中にビジネスに関するアイデアがひらめくことがよくあります。さらに、同じボランティア仲間を通じた人脈づくりも進んでいます。

どうでしょう? ボランティアは皆さん自身にとっても、会社にとっても、メリットがあると思いませんか? 社内で学んだことができるようになるだけでは、会社にとって新たな力にはなりません。けれど、皆さんが社外で学んだことを社内に持ち込んでくれれば、会社は新しい力を得ることができ、もっと成長するはずです。 

以上(2022年10月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】あなたの仕事力を決めるのは「段取り力」です

皆さんは「段取り7分・仕事3分」という言葉を知っていますか。これは仕事のできる大工さんの条件で、「腕の良い大工は、段取り7分・仕事3分」といわれるそうです。能率的で、良い仕事をするためには、事前の段取りが大切であり、段取りをしっかり組める人こそが、腕の良い大工さんであるということです。確かに、大工さんに限らず、仕事ができる人というのは、仕事前のちょっとした時間を使ってうまく段取りを組んでいるものです。段取りが上手な人と一緒に仕事をすると、自分もテキパキと動くことができ、大変だと思われた仕事もあっという間に片付いてしまったという経験はみなさんもあるのではないでしょうか。

段取りを上手に組める能力を「段取り力」といいます。皆さんにも段取り力を上げていただいて、こうした「段取り上手な人」になってもらいたいと思っています。そこで、今日は、私なりの段取り力向上のためのコツをお伝えしようと思います。簡単なことですので、ぜひ、参考にしてみてください。

それは、「常に逆算して段取りを組む」ということです。仕事には必ず「いつまでに終わらせなければならない」という期限があります。ですから、期限から逆算して、それぞれの仕事をいつスタートすれば間に合うかを判断した上で、それらを整理しながら段取りを組むのです。

「そんなの、当たり前のことじゃないか」と思うかもしれません。確かに、これは社会人としてのイロハのイです。しかし、肝心なのは、ただ「逆算して段取りを組む」ことではありません。これが「常にできる」ことこそがこのコツの要点となる部分です。毎日の仕事は、上司からの指示、お客様からのクレームへの対応など、急な用件が次々と入ってきます。このように、あわただしく仕事をしているときにこそ、皆さんの段取り力の真価が問われます。

段取り力の足りない人は、急な仕事が重なると、余裕を失って「逆算して段取りを組む」ことができなくなってしまいます。そして、気持ちばかりが焦って、「とにかく仕事を片付けなければ」とバタバタと目の前の仕事から片付けようとするでしょう。しかし、段取りを忘れたこんな仕事の進め方は、思うようにはかどらない上にミスも発生して、能率が悪いことこの上ありません。

一方、段取り力の高い人は、どんな状況でも焦らず「逆算して段取りを組む」ことを忘れません。ですから、忙しいときでも、次から次へと着実に仕事をこなしていくのです。

「私は、バタバタしがちだな」。そう思う人は、忙しいときに、仕事から離れて5分程度の短い休憩を取るようにしてください。すると、焦っていた気持ちが落ちつくはずです。そうしたら、「常に逆算して段取りを組む」ということを思い出して、冷静な頭で仕事の段取りを組んでみましょう。

すると、その仕事がどんなに大変であったとしても、今まで以上に能率的にこなせるようになるはずです。

以上(2022年10月)

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画像:Mariko Mitsuda

居眠り運転防止に向けて(2022/10号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

秋の行楽シーズンを迎え、長時間の運転も増えるのではないでしょうか。そこで気を付けたいのが居眠り運転です。運転中に眠気を経験したドライバーも多いと思いますが、運転中の居眠りは重大な事故を招きかねず大変危険です。

今回は、居眠り運転の原因と防止策について取り上げます。

居眠り運転防止に向けて

1.居眠り運転の原因

居眠り運転は、危険への注意や回避ができず、死亡事故など重大事故につながる可能性があります。では、なぜ居眠り運転をしてしまうのか、主な原因を考えてみましょう。

(原因1)睡眠不足

まず最初に睡眠不足があげられます。睡眠は7時間程度が理想と言われています。睡眠時間が短くなるほど事故発生率が高まります。 (図1)

また、睡眠不足が続くと、疲労が蓄積し、居眠り運転や漫然運転を誘発し、信号の見落としや追突事故などを起こしかねません。

睡眠時間による事故発生率

出典:米高速道路交通安全局と全米自動車協会交通安全財団の調査データから当社作成

(原因2) 眠気のリズム

人には12時間周期の眠気のリズムがあり、2~4時と14~16時(起床から8時間後)は眠気が強くなる時間帯です。また、人の生体リズムにより夜半~早朝は眠くなる時間帯です。居眠り運転での死亡事故は
これらの時間帯に多く発生しています。(図2)

なお、これらの時間帯は交通量が比較的少なくなるため、ドライバーは単調な運転になりがちです。

居眠り運転死亡事故の発生時間帯

出典: (警察庁委託調査研究)「睡眠障害と安全運転に関する調査研究報告書」(平成19年3月)から当社作成

(原因3)道路状況

人は単調な環境のもとでは2時間ごとに眠気を感じると言われています。居眠り運転は、空いている道路や直線道路で多く発生しています。(図3)

高速道路などを長時間運転する場合は、居眠り運転に十分注意する必要があります。

居眠り運転発生時の道路状況

出典:公益財団法人 高速道路調査会 平成27年3月「高速道路での居眠り運転防止に向けた効果的な対策に関する調査研究報告書」

2.居眠り運転の防止策

居眠り運転を防ぐには、日頃から適度な睡眠を確保することが大事です。

規則正しい生活を送ることで質の良い睡眠を取ることができます。また、睡眠不足で蓄積した疲労は、睡眠をまとめて取得しても解消しにくいと言われています。

日頃から生活のリズムを意識して、睡眠を7時間程度取得するようにしましょう。

睡眠を確保

運転中に眠気が生じた場合は、以下のような対策をお薦めします。

・仮眠(15分程度)を取得

運転中の眠気の解消には15分程度の仮眠の取得が効果的です。

仮眠が30分以上になると深い眠りに入り、逆効果になりますので注意しましょう。

仮眠を取得

・カフェイン(コーヒーなど)を摂取

カフェインには疲労回復、集中力向上、眠気抑制などの効果があると言われています。ただし、効果が現れるまでに15分程度かかります。

仮眠の前にカフェインを摂取するのもよいでしょう。

カフェインを摂取

・ガムを噛むなど五感を刺激

ガムを噛むと脳の血行が良くなり、眠気を抑えられます。目薬をさす、水を飲む、ストレッチをする、声を発するなど五感を刺激することで眠気を抑えられます。

・長時間運転する場合は、こまめに休憩

長時間の運転では、2時間ごとに眠気が生じやすくなります。この生体リズムを意識して、無理をせず、こまめに休憩するようにしましょう。

3.睡眠時無呼吸症候群

眠気対策をいろいろ試しても、日中に強い眠気を感じる場合、「睡眠時無呼吸症候群」の可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道が塞がれ、いびきや無呼吸を繰り返す症状があり、その影響で日中に強い眠気を感じ、居眠り運転が発生しやすくなります。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に症状が現れるため、本人では気づきにくい病気と言われています。家族からいびきを指摘されたり、日中に強い眠気を感じるようになった場合は、早めに専門医の診断を受けるようにしましょう。

早期発見で適切に治療をすれば、症状の改善が期待できます。

【参考】

公益財団法人 国際交通安全学会のビデオアーカイブのサイト内にある以下の動画をご紹介します。

  • 「睡眠時無呼吸症候群運転絵巻」
  • 「睡眠時無呼吸症候群と交通事故」

https://www.iatss.or.jp/movie/

以上(2022年10月)

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画像:amanaimages

女性活躍の実態と情報公表などの義務化

厚生労働省は今年7月、「令和3年度雇用均等基本調査」の結果を取りまとめ、公表しました。この「雇用均等基本調査」は、男女の均等な取り扱いや仕事と家庭の両立などに関する雇用管理の実態把握を目的に、毎年実施されている調査となります。
本稿では、公表された「令和3年度雇用均等基本調査」の概要を紹介するとともに、関連して「改正女性活躍推進法」に基づき義務化される情報公表などの内容をお伝えします。

1 令和3年度雇用均等基本調査

令和3年度は、全国の企業と事業所を対象に、管理職に占める女性割合や、育児休業制度の利用状況などについて、10月1日時点での状況が調査されました。実施された調査結果の一部を次にご紹介します。

〇【企業調査】正社員・正職員の採用状況

令和3年春卒業の新規学卒者を採用した企業割合は 21.3%と、前回調査(令和2年度20.6%)に比べ 0.7ポイント上昇しました。採用した企業について採用区分ごとにみると、総合職については「男女とも採用」した企業の割合が 45.2%と最も高く、次いで「男性のみ採用」が 41.8%となっています。限定総合職では「男性のみ採用」が 49.6%と最も高く、「男女とも採用」は 25.6%、「女性のみ採用」は 24.8%となっています。一方、一般職では「男性のみ採用」が 35.2%、「女性のみ採用」が 32.7%となっており、採用状況にあまり差はみられませんでした。

〇【企業調査】管理職に占める女性の割合

管理職に占める女性の割合は、部長相当職では 7.8%(令和2年度 8.4%)、課長相当職では 10.7%(同 10.8%)、係長相当職では 18.8%(同 18.7%)となりました。規模別にみると、いずれの管理職割合においても 10~29人規模が最も高く、部長相当職の女性管理職割合が 14.0%、課長相当職が 18.2%、係長相当職が 23.8%となっています

〇【事業所調査】育児休業取得者の割合

育児休業取得者の割合は、女性が85.1%(令和2年度81.6%)、男性が13.97%(同12.65%)となっています

2 女性の活躍に関する情報公表の義務化

今年の4月から「改正女性活躍推進法」に基づく一般事業主行動計画の策定・届出と情報公表が、101人以上300人以下の企業にも義務化されました。
前項のような自社の女性の活躍に関する状況について、以下の項目から1項目以上選択し、求職者等が簡単に閲覧できるように情報公表することが必要とされています。詳細は厚生労働省のHPなどでご確認ください。

女性の活躍に関する情報公表

厚生労働省リーフレット「令和4年4月1日から女性活躍推進法に基づく行動計画の策定・
届出、情報公表が101人以上300人以下の中小企業にも義務化されます」(令和4年1月)

3 さいごに

義務化された企業規模は101人以上とされていますが、100人以下の企業でも、女性活躍・両立支援に積極的に取り組み、ポジティブな結果を得ている企業もあります。厚生労働省が紹介している好事例集によると、ガスサービス業の会社において、男性中心の営業部門に女性を積極的に配置することで女性従業員の業務の幅を拡大させ、また昼休みを含め3時間まで中抜けできる中抜け休憩制度や子どもを連れた出勤を可能にすることで、職場の雰囲気が変わり、従業員の満足度が向上し、また女性の新卒応募者も増加する効果が得られたと紹介されています。人手不足が深刻化する中、女性が活躍できる職場への改善取組は、人材の確保・活用の観点で、社内外から高い評価を受けることが期待できますので、積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

※本内容は2022年9月9日時点での内容です

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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画像:photo-ac

女性活躍の実態と情報公表などの義務化

厚生労働省は今年7月、「令和3年度雇用均等基本調査」の結果を取りまとめ、公表しました。この「雇用均等基本調査」は、男女の均等な取り扱いや仕事と家庭の両立などに関する雇用管理の実態把握を目的に、毎年実施されている調査となります。
本稿では、公表された「令和3年度雇用均等基本調査」の概要を紹介するとともに、関連して「改正女性活躍推進法」に基づき義務化される情報公表などの内容をお伝えします。

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【朝礼】習慣を変えて、柔軟な視点を持とう

みなさんは、仕事や普段の生活のなかで「なんとなく行き詰まってしまった」と感じることはありませんか? 仮に、行き詰まりとまではいかなくても、ワンパターンの行動が毎日続き、「自分はいつも同じようなことを繰り返している」と思っている人はいるでしょう。そして、なんとなく毎日の仕事や生活に充実感が感じられないという人もいるのではないかと思います。

そんなときは、考え方が硬直して広い視野でものを見られていない可能性が高いように思えます。

人間は習慣の動物です。ある程度行動を習慣化してしまえば、精神的にも肉体的にも慣れてしまうため、その方が心理的にも楽だからです。運動や勉強など、よいことは習慣づけるべきだといわれるのも、そうすることで楽に続けることができるからでしょう。しかし、こうした人間の心理にこそ、大きな落とし穴があるのです。

実は、仕事にせよ、生活にせよ、あまりにも習慣化が過ぎると、周りで起こる出来事を固定観念でしか解釈できなくなるという弊害が起こってしまいます。先ほど、人間は硬直した考え方にとらわれがちであるといいましたが、言い換えれば、普段の習慣からくる思い込みが考え方の幅を狭め、それが仕事や生活での行き詰まり感や充実感の喪失につながっていくのです。

ここで、みなさんに心がけていただきたいことがあります。それは、自分の固定観念にとらわれずに、柔軟な視点を持とう、ということです。

柔軟な視点を持つといっても、簡単にできるものではないように思えるかもしれません。確かに、それはある意味で人間の心理に逆らうということですから、決してやさしいことではないでしょう。

そこで、私から一つ提案があります。それは、「自分のこれまでの生活習慣を少しだけ変えてみませんか」ということです。例えば、朝少しだけ早く起きて、いつもとは違うニュース番組を見るのもよいでしょうし、通勤のときに通る道を、時々変えてみるのもよいかもしれません。きっと、何か新しい発見があるでしょう。環境が許す方ならば、犬を飼えば、散歩などで以前とは行動範囲が変わってきますし、それまでは気付かなかったペット商品に注意がいくようになるかもしれません。

習慣を変えるのは仕事のときでも構いません。これまで、週ごとにまとめてやっていた伝票処理を毎日行ったり、午後に訪問することが多かったお客様を午前中に訪問してみるなど、お客様や仕事の効率に支障が出ない限り、ちょっとした習慣を変えることで、新しい何かが見えてくると思います。

有名な画家のピカソは、一生の間に何回か作風を大きく変えています。彼は、初期に高い評価を受ける作風を完成させたにもかかわらず、ある段階でそれまでの自分の作風を壊して、全く新しい作風を再構築しました。

これは、固定観念を捨てて柔軟な視点を持てた人の一例だと思います。私たち普通の人であっても、こうした変化を求める意識を少しでも持つことで、新しいものが生み出せるのだと、私は信じています。

以上(2022年10月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】豊臣秀長に学ぶ「支えてくれる人のありがたみ」

今日は、部下を持つ管理職の方々に集まってもらいました。本題に入る前に、まず皆さんにはお礼を言います。皆さんは日ごろ、自分が持っている業務で多忙な中、時間の合間を縫って部下の面倒をよく見てくれています。彼らがしっかりと仕事をこなせているのは、皆さんのおかげです。

ここから本題になりますが、一方で、皆さんに考えてほしいことがあります。それは、皆さんが部下を支えているだけでなく、皆さんも部下から支えられていることを意識してほしいのです。今日はそれを考えてもらうために、戦国時代の武将、豊臣秀長(とよとみひでなが)の話をします。

秀長は、天下を統一した豊臣秀吉の実の弟です。秀吉と同じく農民の出身だったといわれていますが、農民から織田家の家臣になった秀吉にスカウトされ、彼の下で働きます。秀長は、秀吉が明智光秀に勝利した山崎の戦いなど、負けられない重要な戦いに数多く関わっていて、そのたびに与えられた役割を着実にこなし、兄の勝利に貢献してきました。

秀長は秀吉をサポートする補佐役に徹していたため、兄に比べると目立ちませんでしたが、その温和な人柄で多くの人に好かれていて、諸大名と秀吉の間を取り持つ仲裁としての役割、秀吉が行き過ぎた際にいさめるストッパーとしての役割など、彼にしか果たせない仕事を数多くこなしていたようです。だからこそ、秀長が病死した後、豊臣家の雲行きは怪しくなっていきます。

秀長というストッパーを失った後の秀吉は、家臣に理不尽な切腹を命じる、中国侵攻をもくろんで諸大名に朝鮮出兵を命じるなどの失策が目立っていきます。もし秀長の死後に、秀長に代わる人材がいれば、豊臣家が徳川家康に天下を奪われることはなかったかもしれません。

私は、秀吉は秀長に対して、「弟だから支えて当たり前」という甘えもあったのではないかと推測します。もし秀吉が秀長の役割を、一人の部下として評価していたら、秀長亡き後に「第二の秀長」を育てようとしたのではないかと思います。

さて、仕事の話に戻りますが、改めて管理職の皆さんに考えてほしいのは、部下に対して「面倒を見てやっている」「何かをしてやっている」という思いばかりが先行し、彼らへの感謝を忘れてはいないか、ということです。皆さんがいてくれるから部下は仕事をこなせますが、部下の人たちも、ただ与えられた仕事だけをしているわけではありません。彼らもまた、皆さんの指示をさらにかみ砕いて、自分より若手の社員に伝えたり、目に見えないところで皆さんの雑務を引き受けてくれたりしています。そうした1つ1つの働きによって、会社は回っているのです。

私にとって管理職の皆さんはなくてはならない存在であるように、皆さんにとっても部下はかけがえのない存在なのです。私も含め、自分を支えてくれる人のありがたみをかみ締めて、改めて業務にまい進していきましょう。

以上(2022年10月)

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画像:Mariko Mitsuda

女性社員が活躍できる福利厚生!~女性の活躍推進は中小企業が飛躍するチャンス!!

書いてあること

  • 主な読者:女性社員の活躍推進に本格的に取り組もうと考えている経営者
  • 課題:重要性は感じているが、具体的に何から始めてよいのか分からない
  • 解決策:福利厚生に対するニーズを探り、法定基準に“ちょい足し”してみる

1 中小企業で活躍する女性社員は多い!

働き方改革やSDGsなどを背景に、「女性の活躍推進」が一つのテーマになっています。中小企業の経営者の本音は、

必要性は感じるが、何をしたらよいのか分からない

といったものかもしれませんが、実は中小企業では既に女性活躍が進んでいます。社員数が限られた中小企業では女性社員の割合が高くなり、役員や管理職として活躍している人も多いです。課長相当職で見ると、

  • 5000人以上の企業:7.5%
  • 10~29人の企業:18.2%

といったように、企業規模で大きな違いがあります(厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」)。中小企業では女性社員は貴重な戦力となっていて、経営者が意識せずとも、女性社員をサポートする制度や文化があるということでしょう。

そして、今は働き方改革やSDGsの波に乗り、この取り組みを進める好機です。そうすれば、

  • 貴重な戦力である女性社員が、結婚や出産などのライフイベントで離職せずに済む
  • 働き方改革やSDGsに積極的な企業としてアピールできる
  • 女性が働きやすい企業として認知されれば、新規の女性採用も進む(人材不足の解消)

といった効果が期待できるでしょう。もう一つ、この分野では中小企業の強みが発揮できます。女性の活躍推進の第一歩は福利厚生などの制度整備ですが、

フットワークが軽い中小企業では、経営者が「よし、やろう!」と指示すればスピーディーに実現できる

のです。

いかがですか。中小企業が女性の活躍推進に取り組むメリットは大きいことをご理解いただけたと思います。それでは、具体的な制度のアイデアなどを紹介していきます。

2 女性社員が喜ぶ福利厚生とは?

早速ですが、皆さんは女性社員がどのような福利厚生を求めていると思いますか? 労働政策研究・研修機構「企業における福利厚生施策の実態に関する調査(2020年7月31日)」によると、10%以上の女性社員が「必要性が高い」と回答したのは次の制度・施策です。

(図表1)【「必要性が高い」と思う福利厚生】

(単位:%)

必要性が高いと思う制度・施策(複数回答) 女性 (A) 男性 (B) ギャップ (A-B)
人間ドック受診の補助 23.1 20.3 2.8
慶弔休暇制度 21.4 18.3 3.1
病気休暇制度(有給休暇以外) 20.3 16.3 4.0
病気休職制度 20.0 16.8 3.2
家賃補助や住宅手当の支給 18.6 19.1 -0.5
リフレッシュ休暇制度 17.9 13.8 4.1
治療と仕事の両立支援策 17.4 11.6 5.8
有給休暇の日数の上乗せ(GW、夏期特別休暇など) 17.4 12.5 4.9
法定を上回る育児休業・短時間制度 16.2 8.9 7.3
慶弔見舞金制度 15.5 13.3 2.2
短時間勤務制度 14.3 7.4 6.9
法定を上回る介護休業制度 12.4 7.9 4.5
食事手当 12.4 10.9 1.5
永年勤続表彰 11.8 10.5 1.3
財形貯蓄制度 11.7 11.2 0.5

(出所:労働政策研究・研修機構「企業における福利厚生施策の実態に関する調査(2020年7月31日)」)

この調査によると、

  • 女性のニーズが最も高いのは「人間ドック受診の補助」で、23.1%が支持
  • 男女のギャップが最も大きいのは「法定を上回る育児休業・短時間制度」で、7.3ポイントの差

という結果が出ています。社員の環境(業種・社風・年齢・家族構成など)はもちろん、調査によっても結果は異なってくるでしょうが、男女ともに「健康」に対する関心が高いといえます。

また、詳細はこれから紹介していきますが、

法定基準に“ちょい足し”することや、制度の名称をユニークなものに変えること

で、オリジナリティーがあり、利用されやすい制度を実現できます。例えば、法定の育児休業の期間は「原則として、子が1歳(最長2歳)になるまで」ですが、ここに1年追加して「子が3歳になるまで」にしたりします。また、理由が趣味だと年次有給休暇(以下「年休」)を取得しにくいと考える社員がいる場合は、「推し活休暇」などの特別休暇を設けることで、取得のハードルを下げることができます。

法定の基準に“ちょい足し”した制度の例を6章にまとめているので、参考にしてください。

3 整備したい! 女性が活躍しやすくなる福利厚生5選

1)「時間のやりくり」がしやすい制度

妊娠・出産、育児については、産前・産後休業や育児休業が整備されています。しかし実際は、その後も保育園への送り迎えや子供が病気の際の通院など、就業時間中にちょっとした時間が必要です。このような場合に利用したいのが、

時間単位で付与できる年休

です。年休は原則として1日単位で付与しますが、社員の過半数代表(労働組合がない場合を想定しています)と書面で協定(労使協定)を結ぶことで、付与日数のうち5日までは1時間単位で付与できます。年休の管理は少し複雑になりますが、この制度があると、女性社員は親が出なくてはいけない保護者会やPTA活動などの突発的な用事に対応しやすくなります。

また、時短勤務制度も女性社員にとってうれしい制度です。法定では、3歳未満の子を養育する社員、要介護状態の家族を介護する社員が対象となりますが、この期間を延ばしたり、週の労働日を減らしたりすることが考えられます。保育園の送り迎えなどの定期的な用事に対応したい場合、時短勤務制度はとても便利です。

そして、これらの制度とリモートワークが同時に適用されると、かなり働き方が自由になりますので、検討したいところです。

2)「健康管理を支援」する制度

前述の調査でもあったように、「健康」は社員の関心が高い分野です。例えば、企業には年1回の定期健康診断の実施が義務付けられていますが、法律で決められた法定項目以外に「がん検診」などの受診項目も付け加えると、手厚い健康支援になります。ただし、法定項目以外の検診を行う場合は社員の同意が必要なので注意してください。

また、女性社員については、

生理痛、不妊治療、更年期障害などに配慮した制度

があると喜ばれます。個人差は大きいですが、20~60代まで多くの女性がこうした自身の体調の変化を感じながら仕事と両立をしています。不妊治療の支援については、一定の要件を満たすことで「両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)」の対象になるので、確認してみてください。

■厚生労働省「不妊治療と仕事との両立のために」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14408.html

3)「家計をダイレクトにサポート」する制度

家計を預かることが多い女性社員にとって、家計をダイレクトにサポートしてくれる制度はうれしいものです。一般的な制度には、

家賃補助や住宅手当の支給

などがあります。資産形成という意味では、財形貯蓄や退職金(退職一時金、退職年金)もその一環となります。

また、少し視点が変わりますが、万一の備えとして生命保険に加入している社員は多く、一定の保険料を支払っています。この点、いわゆる「団体保険」の契約ができれば保険料は安くなるので、社員にとっては好ましいでしょう。ただ、団体保険の契約ができるのは一定規模以上の企業に限られるのが通常です。条件に該当しない場合は、社員を被保険者として、企業が保険料を負担するような制度を検討してみるのもよいかもしれません。

4)「居心地の良さに配慮」した設備

更衣室やトイレなどについて配慮するのも効果的です。更衣室が1つしかなくて皆が交代で使っていたり、トイレが男女共用だったりして、しかもそれが企業の中で当たり前となっている場合、本当は不満があっても口に出せない社員がいるかもしれません。逆にそこを企業がおもんばかって改善すれば、社員は喜んでくれるでしょう。

5)「プライベートも支援」する制度

女性社員の悩みは仕事のことだけにとどまりません。中には実家から離れた場所で暮らすことがあり、そうしたときに、女性社員の悩みを聞いてくれたり、家事をサポートしてくれたりする存在は心強いものでしょう。

例えば、株式会社ぴんぴんころりでは、「東京かあさん」の名称で、実家から離れて暮らす女性などをサポートするサービスを提供しています。単なる家事代行にとどまらず、「第2のお母さん」として、さまざまな相談に乗ってくれます。

■株式会社ぴんぴんころり■
https://kasan.tokyo/corp/

4 実際に聞いてみた、知っておきたい「女性社員の本音」

1)男性上司に申し出にくい……

女性特有の体調不良や不妊治療といったセンシティブなことは、そもそも他人には話しにくいものです。その相手が男性上司だとなおさらです。男性上司の立場からしても、申し出があった際に深く事情を聞いたり、体調面などについて踏み込んだりするのは気が引けます。

このようなときは、具体的な症状で休暇を申請するのではなく、「自分いたわり休暇」というような名称にして、詳細を伝えず申請できるようにすると取得しやすくなります。また、そうした休暇申請などを受け付ける部署に、女性社員を配置するのもよいでしょう。

2)制度はあるのに、職場の理解が追い付いていない……

女性社員が働きやすいようにと整備した制度が、逆に女性社員に肩身の狭い思いをさせてしてしまうことがあるようです。具体的には、

  • 産前・産後休業と育児休業を取得した後に時短勤務で復帰したが、そういう働き方をしているのが自分だけなので、何だか周りに申し訳ない
  • 自分が帰宅した後の会議で決まった内容をベースに仕事が進んでいて、疎外感を覚える

という意見がありました。

このように、女性社員の意思に反して仕事が制限されて、キャリアコースが変わってしまうことを「マミートラック」といいます。職場が女性社員に過剰に配慮したり、時間に制約があるという理由だけで能力に見合わない仕事を依頼されたり、昇進の機会をもらえなかったりすると、女性社員は働く意欲がなくなってしまいます。

女性社員は、制度を整備してくれる企業に期待しているだけに、マミートラックに陥ったときのショックは大きなものです。性別に限らず誰もがいつか制約を持って働く可能性があるということを、職場全体で理解していく必要があるでしょう。

3)一部の女性社員が優遇されて、そのしわ寄せを受けるのはおかしい!

一部の条件に該当する女性社員だけが利用できる制度の場合、利用できない社員からの不平不満が出やすいという本音もありました。例えば、

  • 時短勤務で帰った女性社員の業務を、自分が残業して代わりにやらなければならないのが不満だ
  • 結婚や出産をしていない自分は制度が利用できない。条件に該当する女性社員ばかりが優遇されているようで嫌だ
  • 自分たちの時代にこんな制度はなかったのに、今の人たちは恵まれている

といった声です。こうした不満を理解に変えていくためには、経営者が制度を導入する理由や背景を説明し、丁寧に対応していく必要があるでしょう。

5 制度を導入するステップ?就業規則の変更も忘れずに

1)制度の導入理由を明確にし、女性社員の声を聴く

「なぜ、その制度を導入するのか」「導入した結果、女性社員はもちろん、企業全体にどのようなメリットがあるのか?」を明確にしましょう。

女性社員の働きやすさを目的とした制度は、人材確保の観点からも有効です。制度があることで働き続ける女性社員が増えれば離職防止になりますし、そうしたことをアピールすれば人材採用にもつながります。

社内に周知する際は、

  • 定着率○○%を達成する
  • 利用率○○%を達成する

など、目標をできるだけ数値化すると伝わりやすいです。またその際は、女性社員の声を聴きましょう。そうすることでニーズをより具体的に知ることができますし、現状に不満を感じている社員のフォローにもつながります。

2)経営者が強いメッセージを伝える

女性の活躍推進に限ったことではなく、社員は自分にとって特段の不利益とならない内容であれば、割と聞き流してしまう傾向にあります。しかし、その状態で新しい制度を導入すると、その理由が理解されないまま運用が開始され、前述したような問題が起こりかねません。

そうならないためにも、制度を導入する理由はもちろん、

企業としてどのように成長していきたいのか

などを、経営者自身が自らの言葉で伝えることが大切です。この記事では「女性の活躍推進」ということで女性社員にフォーカスしてきましたが、今は男性社員の育児休業取得など、性別に関係なく両立支援を実現する時代です。経営者のメッセージによって、現場レベルでも相手に制度の利用を促すような風土を醸成していけたら理想的です。

3)就業規則を変更する

常時10人以上の社員を雇用している企業は、労働基準法に基づいて就業規則を定める義務があります。就業規則は職場のルールブックであり、賃金や休暇など、法律で決められた項目については必ず記載しなければなりません。

新たに女性の活躍推進のための制度を導入する場合、就業規則の変更が必要になるケースが多いでしょう。一度、就業規則を確認し、必要に応じて社会保険労務士に相談しながら変更の手続きをしてください。

基本的な流れは、次の通りです。

  • 変更について社員の過半数代表の意見を聞く(労働組合がない場合を想定しています)
  • 就業規則を変更して、所轄の労働基準監督署に届け出る
  • 変更した就業規則を社員に周知徹底する

6 法定基準に“ちょい足し”してオリジナルの福利厚生を作る!

最後に産前・産後休業や育児休業やなど法令で定められている制度に“ちょい足し”して、オリジナルの制度を作る例を紹介します。

(図表2)【女性社員が活躍しやすい制度の一覧】

内容 法令のルール ”ちょい足し”の例
休暇・休業
(注1)
産前・産後休業
(注2)
・妊娠・出産のために休む社員
・産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日まで休める
・産前56日、産後70日まで休める
育児休業 ・出生した子を養育する社員
・原則子の1歳(最長2歳)到達日まで休める(2022年10月以降、2回まで分割可)
・子の3歳到達日まで休める
介護休業 ・家族(一定の要介護状態、以下同じ)を介護する社員
・通算93日まで休める(3回まで分割可)
・通算1年間休める(6回まで分割可)
子の看護休暇 ・小学校就学前の子を看護する社員
・1年度1人当たり5日まで、2人以上は10日まで休める
・子が12歳になる年度の末日まで休める
介護休暇 ・家族を介護する社員
・1年度1人当たり5日まで、2人以上は10日まで休める
・1年度1人当たり6日まで、2人以上は12日まで休める(1分単位で取得可)
生理休暇 ・生理で就業が困難な社員
・就業可能になるまで休める
・半日単位で休める
・本来無給でもよいところ、取得日数のうち1日は有給とする
特別休暇(注3) ・育児目的休暇:配偶者出産への立ち会いや、子の行事参加などのために休める ・ワーク・ライフ・バランス休暇:年3日、家族とのふれあいや余暇などのために休める
労働時間
(注1)
育児時間 ・就業時間中に授乳などを行う必要がある社員
・休憩時間とは別に、1日30分以上×2回まで授乳などのための時間を確保できる
・育児時間の取得回数を1日3回までとする
所定外労働の制限 ・3歳未満の子を養育する社員、家族を介護する社員
・所定外労働を免除する
・子が小学校を卒業するまで所定外労働を免除する
時間外労働の制限 ・小学校就学前の子を養育する社員、家族を介護する社員
・1カ月24時間、1年150時間を超える時間外労働を免除する
・子が小学校を卒業するまで時間外労働を免除する
深夜業の制限 ・小学校就学前の子を養育する社員、家族を介護する社員
・深夜労働を免除する
・子の年齢に関係なく深夜労働を免除する
所定労働時間の短縮措置等 ・3歳未満の子を養育する社員、家族を介護する社員
・所定労働時間の短縮(原則1日6時間以内)、時差出勤、フレックスタイム制などの措置を実施する
・所定労働時間を1日6時間とし、週4日勤務とする
・午前のみの勤務または午後のみの勤務とする
社内設備 休憩室・休憩所の設置(食事、睡眠時など) ・全ての企業(有害業務のある企業は設置が義務、それ以外の企業は努力義務)
・休憩のための設備を設ける(設置数の定めや男女別の設置義務はなし)
・女性専用の休憩室(カプセルベッド付き)を設置する
休養室・休養所の設置(体調不良時) ・社員数50人以上または女性社員数30人以上の企業
・横になって休むことのできる休養室・休養所を男女別に設置する
・女性専用の休養室を設置する
女性用トイレの整備 ・女性を雇用する企業
・女性20人以内ごとに1個以上女性用トイレを設置する(社員数10人以下の場合は、独立個室型トイレに限り男女共用でも可)
・男女共用トイレをやめる
更衣室やシャワー設備の設置 ・被服が汚れる業務などを行う社員がいる企業
・更衣室やシャワー設備を設置する。安全とプライバシーに配慮する(設置数の定めや男女別の設置義務はなし)
・女性専用の更衣室を設置する

(出所:日本情報マート作成)

(注1)「休暇・休業」「労働時間」の各制度(法定)は、原則として要件を満たす社員が請求した場合に利用できます。なお、休暇・休業中の賃金を有給とするか無給とするかについては、企業が決められます
(注2)「産前・産後休業」のうち産後56日については、社員が働くことを希望しても休ませなければなりません(医師が認めた場合のみ、産後43日以降であれば就業可)
(注3)「特別休暇」は企業が独自に定める法定外の休暇ですが、一部助成金の受給に関係するものがあります。ここでは便宜上、「両立支援等助成金」の対象となる「育児目的休暇」を「法令のルール」の欄に記載しています。

以上(2022年9月)
(監修 社会保険労務士 志賀碧)

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画像:Monet-Adobe Stock


【朝礼】割り切り上手の「睡眠巧者」になろう!

皆さん、おはようございます。昨夜はぐっすり眠れましたか? 良い睡眠は心身を健康に保ち、仕事のパフォーマンスも高めます。適正な睡眠時間は「1日6時間半から7時間」ともいわれますので、目安にしてください。

かくいう私もよく寝ます。20〜30代の頃は、仕事でもプライベートでも徹夜をすることが多かったのですが、最近は違います。体力の衰えや時代の流れもありますが、それ以上に、寝るのがうまくなったのです。

私は自分を「睡眠巧者」と呼んでいますが、実は私の周りの経営者も睡眠巧者が多いのです。彼らは皆、共通したテクニックとマインドを持っています。テクニックは寝る前に水を飲み過ぎないようにしたり、リラックスしたりすることです。寝具にこだわるのも、その1つです。

ただ、肝となるのはマインドのほうです。それは、「なるようになる。今日は寝てしまおう!」と割り切る力です。仕事を放り出しているようで無責任に感じるかもしれませんが、考えてみてください。

ここ数年、本当に徹夜しなければならなかったり、徹夜とまではいかずとも、慢性的に睡眠時間を削られるほど忙しかったりする状況に陥った人はいますか?

今どき、そんな働き方を社員に強いる会社はほとんどないはずですし、実際にそうなっているなら、協力して改善すればよいことです。

仕事が忙しいという理由で睡眠不足になっている人がいたら、それは仕事の量というよりも、気持ちの問題かもしれません。「今やらないと間に合わないかも……」とダラダラ仕事を続けたり、一人では解決できない問題に悶々(もんもん)としたりしていませんか?

そんなときは、やるべきことを列挙し、遂行に必要な時間を計算してください。残業はしなければならないかもしれませんが、睡眠時間を削るほどではないはずです。

あるいは、問題を解決するために相談したい人を決め、次の日に時間をもらうことにしてください。これだけで気持ちが楽になります。
睡眠巧者はこうした割り切りが上手で、実際に睡眠時間を確保するため、仕事のパフォーマンスも高いのです。

ワーク・ライフ・バランスという考え方は、ワーク・ライフ・ブレンドに変わりつつあります。仕事とプライベートを分けずに混ぜ合わせる力は、今後、ますます皆さんに求められていくでしょう。混ぜ合わせることは分けるよりも難しいですが、奇麗に混ぜようとせず、良い意味でも割り切ってしまうずうずうしさも、時には必要なわけです。

けさは睡眠を例に話しましたが、混ぜ合わせたほうが楽しいことは他にもあります。奇麗に分けるのではなく、大胆に混ぜる。こんな物事の見方もあることを、覚えておいてください。

以上(2022年10月)

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画像:Mariko Mitsuda