EVシフトで車のライトやミラーはどう変わる? 自動車部品産業の動向

書いてあること

  • 主な読者:自動車部品(ライト関連・ミラー機器)の製造を手掛ける企業の経営者
  • 課題:企業によっては電気自動車(EV)へのシフトで既存事業の継続が困難になりかねないため、EVで必要になる部品の新規開発や新事業への業態転換が求められる
  • 解決策:国による自動車部品産業への支援策や他企業の先進事例を参考に、自社で取り組める新技術の開発や業態転換を検討する

1 自動車部品産業にまつわるデータ

1)自動車部品の出荷金額の推移について

日本自動車部品工業会「自動車部品出荷動向調査結果」によると、自動車部品(ライト関連、ミラー機器)の出荷金額推移は次の通りです。

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自動車部品の出荷金額は、完成車メーカーの生産に影響されます。特に、2019年度から2020年度にかけての出荷金額の減少は、

  • 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う工場の稼働停止
  • 半導体不足に伴う自動車の生産台数の減少

などが要因として挙げられます。

2)事業所数などの推移について

1.自動車用のヘッドライトを製造する事業所

総務省の「日本標準産業分類」では、自動車用のヘッドライトを製造する事業所は、電気照明器具製造業に含まれます。経済産業省「工業統計調査 産業別統計表(各年)」によると、電気照明器具製造業の事業所数などの推移は次の通りです。

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2.自動車用のドアミラーを製造する事業所

総務省の「日本標準産業分類」では、自動車用のドアミラーを製造する事業所は、自動車部分品・附属品製造業に含まれます。経済産業省「工業統計調査 産業別統計表(各年)」によると、自動車部分品・附属品製造業の事業所数などの推移は次の通りです。

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2 自動車産業を取り巻く環境の分析、自動車部品産業に関わる規制について

1)自動車産業を取り巻く環境について

自動車部品産業は、完成車の生産やそれにまつわる規制の影響を大きく受けます。ここでは、自動車産業全般に焦点を当てて、PEST分析で外部環境と成長要因を整理します。なお、以降の説明で紹介する電気自動車(以下「EV」)は、自宅や充電スタンドなどで車載バッテリーに充電を行い、モーターを動力として走行する自動車を指します。

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地球温暖化や都市部の大気汚染対策として、世界的にガソリン車の販売を規制し、EVの普及を促進する動きが広がっています。また、地方自治体や企業単位でもEVのカーシェアリングや、蓄電池として活用する実証実験を通じて普及を推進しています。

ガソリン車からEVにシフトすることに伴い、必要になる自動車部品が大きく変わる他、既存の車体やタイヤなども軽量化などの改善が求められます。EVで不要となるエンジン部品を手掛けるメーカーなど、企業によっては事業の継続が困難になりかねないことにもなるので、EVで必要になる部品の新規開発や新事業への業態転換が喫緊の課題となっています。

そこで、政府では新しい経営戦略の立案のサポートや資金補助などを通じて、自動車部品産業を支援していくとしています。

2)EVシフトに伴う自動車部品産業への影響

一般的に、EVシフトに伴い、自動車の構造は次のように変わるといわれています。

  • ガソリン車に必要な部品が車両全体で約3万点必要なのに対し、EVはエンジンを中心に1万~2万点程度の部品が不要になる
  • 動力源の構造が簡素化されることで、部品がユニット化されて、工場における自動車の組み立て時間の短縮につながる
  • 完成車メーカーを頂点とする系列企業で構成する構造が変わり、車両の組み立て、新規参入の障壁が低くなる

EVシフトにより影響を受ける主な自動車部品は次の通りです。

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EV化に伴い、ヘッドライトは従来のハロゲンではなく、電力消費が少ない発光ダイオード(LED)の需要が伸びつつあります。EVの場合は動力に限らず、エアコン、照明なども全て1つのバッテリーで賄うため、電装品の省電力化が車の走行距離などの性能に影響を及ぼすからです。また、ヘッドライトだけでなく、自動運転に対応するためのセンサーに内蔵されるランプの需要も増えるとされています。

自動車ランプを製造する企業では、「LiDAR(ライダー)」の開発に注力しているところもあります。近赤外光や可視光、紫外線を使って対象物に光を照射し、その反射光をとらえて距離を測定する仕組みで、今後の自動運転車には欠かせない技術とされています。

自動車のドアミラーに関しては、2016年に国土交通省がバックミラー等に代わる「カメラモニタリングシステム」の基準を整備したことをきっかけに、バックミラーの代わりに、「カメラモニタリングシステム」(CMS)を備えた自動車の設計・製造が可能になりました。そのため、EVの一部の車種では、バックミラーやサイドミラーがカメラ式になったものがあります。

3)国による自動車部品産業への支援策の例

経済産業省では「自動車産業『ミカタ』プロジェクト」として、自動車部品のサプライヤーが業態転換を行う際の支援を、2022年度内に始めるとしています。

同プロジェクトでは、電気自動車で不要になるエンジン部品などを製造するサプライヤーが、電動車の部品製造や軽量化などの技術適応を図る場合に対して、相談を受け付けたり、専門家を派遣したりするなどの支援を行う計画です。また、業態転換に向けて必要となる設備を導入する場合には、設備導入費の補助も行います。補助率は中小企業が2分の1(上限は1億円)、中堅企業が3分の1(上限は1億5000万円)となっています。

事業期間は2022~2026年度の予定で、初年度となる2022年度は専門家派遣企業100社を含む約1000社を支援するとしています。

3 自動車部品(ライト関連、ミラー機器)製造企業の新技術・業態転換の事例

1)無動力歩行支援機を開発:今仙電機製作所(愛知県犬山市)

自動車用リアランプやシート用のアジャスターなどを手掛ける同社では、無動力歩行支援機の「aLQ by ACSIVE」(通称:aLQ(アルク))を名古屋工業大学と共同で開発しています。この製品は電気モーターなどを使わず、バネと振り子の動きによって歩く際の足の振り出しをサポートするものになります。同社では、この製品を通じて取得した知見を活かして、健康寿命の長期化を図るなどの自動車以外の新規事業を推進する計画です。

また、同社では、東海理化が開発した「フェンダー付けデジタルアウターミラー」(詳細は後述)に組み込むランプの製造も手掛けています。

■今仙電機製作所■
https://www.imasen.co.jp/

2)自動車電球の技術を活かしてきのこを栽培:大井川電機製作所(静岡県島田市)

フロントランプやルームランプなどの自動車用電球の製造を手掛ける同社では、電球製造の厳格な品質管理と生産体制のノウハウを活かして、「はなびらたけ」というきのこの栽培に取り組んでいます。

照明のLED化の影響を危惧していた同社では、新規事業への参入を検討し、2015年からはなびらたけの人工栽培の研究を始めました。はなびらたけは市場にほとんど出回らず、人工栽培が難しいきのこですが、育成環境や生育条件の試行錯誤を重ね、2018年には独自の栽培ノウハウを確立しました。

同社のはなびらたけは、2021年2月に「ホホホタケ」というブランド名に刷新し、2022年1月にはシンガポール、香港、マレーシアに「ホホホタケ」の輸出を開始しました。

■大井川電機製作所■
https://www.oigawa.com/

3)蓄電池の開発に着手:岐阜多田精機(岐阜県岐阜市)

自動車のドアハンドルやドアミラーの製造に使う金型製作を手掛ける同社では、蓄電池のバナジウムレドックスフロー電池(VRFB)システムの研究開発・事業化に取り組んでいます。この電池は安全性と充放電特性が高く、小規模蓄電システムの候補として有望視されています。また、電池の部品が樹脂で作られているため、同社の金型開発と親和性があるといいます。

同社の事業は岐阜県の「次世代エネルギー産業創出コンソーシアムの取組」内で、活動補助金を受けて進めています。

■岐阜多田精機(多田精機グループ)■
http://www.tada.co.jp/

4)世界初の次世代電子ミラーを開発:東海理化(愛知県大口町)

自動車用のスイッチやシートベルトなどを手掛ける同社では、ドアミラーに代わり、自動車のフェンダー(泥よけ)部分に設置する「フェンダー付けデジタルアウターミラー」を2021年5月に開発しました。フェンダー部にミラーを格納することでカメラの汚れを防止したり、多彩なイルミネーション機能により、さまざまなコミュニケーションが図れたりなど、世界初となる技術が盛り込まれています。

また、同製品は従来のドアミラーよりも前に設置されることで、広範囲に視界を確保し安全性を向上させる、小型化により空気抵抗を減らし、燃費を向上させるといったメリットがあるとされています。

他にも、同社では防犯電子錠や窓施錠モニターなどの住宅用品、除菌・脱臭ができるオゾン発生器などの自動車部品以外の製造も手掛けています。

■東海理化■
http://www.tokai-rika.co.jp/

5)トースター型殺菌器を開発:スタンレー電気(東京都目黒区)

ヘッドランプやドアミラーカメラ用センサーなどを手掛ける同社では、2020年12月に自治医科大学と共同でトースター型殺菌器を開発しました。除菌庫内で特殊な波長の紫外線を照射し、医療用マスク、ゴーグル、ペンなどに付着したウイルスを不活性化させるものです。

また、同社は、2020年12月に三菱電機と車載用ランプシステムの開発・設計・製造・販売で業務提携しました。次世代ランプ制御システムの共同開発においてスタンレー電気が光源、光学およびランプ本体部分を担当、三菱電機が灯火・配光制御ユニット部分を担当することで、車載用ランプシステム事業を拡大させるとともに、交通死亡事故ゼロを目指し、安全安心な社会の実現に貢献するとしています。

■スタンレー電気■
https://www.stanley.co.jp/

以上(2022年5月)

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画像:BLKstudio-Adobe Stock

令和3年の交通事故死者数等の特徴と対策(2022/05号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

警察庁から公表されている「令和3年における交通事故の発生状況等について」によると、全体の死者数は減少傾向にあるものの、高齢者が占める割合が増加したことや歩行者の死亡事故では道路横断中の死者が多いことが示されています。

また、この状況を受けて「本年の主な取組」もあわせて公表されていますので、この機会に確認いただき、日頃の安全運転に役立ててください。

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出典:警察庁「令和3年における交通事故の発生状況等について」(2022.4.10.閲覧)
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R03bunseki.pdf

1.交通事故死者数の推移と歩行者の事故状況

令和3年の交通事故死者数は、2,636人で昨年より203人減少し、警察庁が発表を始めた昭和23年以降の統計で最少人数となりました。

そのうち65歳以上の高齢死者数は、1,520人で昨年より76人減少していますが、その割合をみると、1.5%増加して57.7%となりました。

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出典:警察庁「令和3年における交通事故の発生状況等について」から当社作成

状態別死者数では、歩行中の割合が35.7%(最多)であり、歩行中死亡事故の事故類型別では、横断中が69.3%を占めています。

歩行中死亡事故の法令違反別では、車両側には前方不注意などの安全運転義務違反や横断歩行者妨害等の違反が多く、歩行者側には横断方法等の違反が多い状況ですが、横断歩道横断中の事故については、歩行者の79.5%が違反なしです。

2.歩行中の交通事故死者数等の特徴

歩行中の交通事故死傷者数の年齢層別をみると、5-9歳の子供と75歳以上の高齢者の死傷者数が多い状況であり、子供や高齢者の交通事故死者数等の特徴は以下のとおりです。

・歩行中児童(小学生)の通行目的別死者・重傷者数では、登下校中が約4割であり、事故発生時間帯は14時~17時台が多い。
※子供は状況判断や危険予測を十分にできず、急に道路に飛び出したり、無理な横断をしようとすることがあります。

・歩行中死亡事故の事故類型別について、高齢者の場合は横断中が約8割であり、また、高齢者は、高齢者以外と比較して横断違反が多い。
※高齢者は加齢に伴う体力や判断力の低下を考慮しないなどにより、無理な横断をしてしまうことがあります。

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出典:警察庁「令和3年中の交通事故発生状況」(表2-3-1 年齢層別・状態別人口10万人当たり死傷者数の推移)から当社作成

3.本年の主な取組

警察庁は「本年の主な取組」として以下の3点を掲げています。

○ 子供や高齢者をはじめとした歩行者の安全確保
○ 自転車の遵法意識の向上に向けた交通安全教育等の推進
○ 飲酒運転等の悪質・危険な交通違反の指導取締まり

※警察庁「令和3年における交通事故の発生状況等について」(2022.4.10.閲覧)
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R03bunseki.pdf

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≪思いやり運転の実践≫

下校時間帯の通学路など(学校等の付近や住宅街)で小学校低学年の子供を見かけたら、子供の安全確保を意識した思いやりのある運転を心がけましょう!

歩行中の高齢者を見かけたら、減速や一時停止をするなど高齢者に配慮した思いやりのある運転を心がけましょう!


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以上(2022年5月)

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月60時間超の時間外労働に対する法定割増賃金率の引き上げ

令和5年4月から、月60時間を超える時間外労働についての割増賃金率は、中小企業にも50%以上が適用されることとなります。

本稿では各企業の対応状況や、対応方法などについて、厚生労働省のリーフレットなどをもとに概説します。

1 対応状況

1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率について、厚生労働省が実施した「令和3年就労条件総合調査」では、以下の概況結果が公表されています。

○ 1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率の定めの有無、割増賃金率階級別企業割合

1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率の定めの有無、割増賃金率階級別企業割合

(出所:「令和3年就労条件総合調査」、厚生労働省)

このように、1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を定めている企業割合は、「中小企業」が28.3%、そのうち割増賃金率が25~49%となっている階級は58.8%であることから、中小企業における対応が進んでいないことが見て取れます。

2 法定割増賃金率の考え方

本改正により1か月の起算日からの時間外労働時間数を累計し、60時間を超えた時点から、50%以上の率で計算した割増賃金を支払うことになります。そのほか、深夜の労働や休日の法定労働との関係は以下のとおりとなります。

①深夜割増賃金との関係

深夜(22:00~5:00)の時間帯に月60時間を超える時間外労働を行わせた場合は、深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%となります。

②法定休日との関係

1か月60時間の時間外労働の算定には、法定休日に行った労働は含まれませんが、それ以外の休日に行った時間外労働は含まれます。

3 代替休暇

1か月60時間を超える時間外労働については、臨時的な特別の事情等によってやむを得ない場合には、休息機会確保の観点から、労使協定により割増賃金の支払いに代えて、有給の休暇を付与することも可能とされています。

<イメージ図>

1か月に80時間の時間外労働を行った場合

(出所:「法定割増賃金率の引き上げについて」、厚生労働省)

また、代替休暇の付与は、取得を「可能」とするものであって、取得を「義務」づけるものではありません。代替休暇の付与に関する制度を設けた場合は、取得するか否かの決定は労働者の意思に委ねることに留意しましょう。

4 さいごに

改正民法により、請求権消滅時効期間が3年に延長されました。これに今回引き上げられる割増賃金率の適用が重なれば、残業未払いの係争時に支払いを求められる割増賃金は想定以上に高額となるかもしれません。例えば、時間外労働の適用が除外される管理監督者に対し、残業代を含む管理職手当など支払っている場合、管理監督者性や手当の残業代該当性が否定されれば、一般従業員と同様の考え方で計算した割増賃金を追加で支払う必要が生じることになります。2年以上遡る請求期間に重ね、ひと月に60時間を超える時間外労働が常態化していれば、企業への大きな労務リスクになるでしょう。今回の法改正を契機として、自社の規程や管理監督者を含む働き方の見直しを図りましょう。

※本内容は2022年3月30日時点での内容です

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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【朝礼】「伝え方」で相手の気持ちは変わります

今日は、「伝え方」についてお話しします。新商品のパンフレットのデザインや内容について、デザイナーと話していたときのことです。

そのデザイナーは私に、たくさん質問をしました。「このパンフレットはどの年代の人に見てほしいか?」「どういうシチュエーションで手に取ってほしいか?」「一番伝えたいのは【価格の安さ】と【機能の良さ】のどっちか?」「商品の伝えたい雰囲気は【楽しくてワクワク】か【便利でスマート】のどっちか?」「パンフレット上での商品を人に例えると【モード系オシャレで寡黙なお姉さん】か【テック系仕事バリバリの情熱起業家】のどっち寄りか?」などなど。

要するに「このパンフレットで伝えたいことは何なのか」ということを、色々な角度から掘り下げて、具体的、立体的にしてもらった感じです。おかげでパンフレットは想像以上の仕上がりになりました。何より、パンフレットに記載したQRコードからの問い合わせが想定の2倍以上にも上り、成果を上げることができました!

当たり前のことですが、「楽しくてワクワク」を伝えるときと、「便利でスマート」を伝えるときでは、色使いやレイアウト、使う言葉などが全く違います。イラストを主にするか、写真を主にするかなども違ってきます。「伝え方が全然違う」と言ってもいいでしょう。パンフレットの製作過程とその成果から、私は改めて「伝え方」は非常に大事だと感じました。

表情や話し方についても同じことがいえます。例えば、「楽しくてワクワク」を相手に伝えたいときは、ニコニコの笑顔、声のトーンを上げる、身振り手振りをつけるなどが考えられます。そうすると「楽しそうだ」という雰囲気が伝わります。話の内容はもちろん大事ですが、つまらなそうに話していたら、せっかくの内容の楽しさ、面白さが半減してしまうかもしれません。日ごろ、人と話すときやプレゼンをするとき、オンラインのときなどには、「伝え方」を考えてみましょう。

オンラインといえば、最近印象に残った「伝え方」がもう一つあります。お世話になっているクライアントの方が、異動することになったと画面越しにお話しされました。遠方ということもあり、画面越しに、「オンラインでのご挨拶で失礼します」とのお言葉。普段、オンライン上では一貫してカメラをオフにしているその方が、その異動のお話のときには、カメラをオンにしてご挨拶してくださいました。「お世話になりました。ありがとうございました」という気持ちを、カメラをオンにすることで伝えてくださっているように感じました。これも気持ちの「伝え方」の一つではないでしょうか。もちろん、こちら側も全員カメラをオンにし、顔と顔を合わせてご挨拶し、感謝の気持ちをお伝えしました。

「伝え方」一つで、相手の気持ちが変わることもあります。オンライン化が進む今だからこそ、ぜひ、「伝え方」を工夫してみてください。

以上(2022年5月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】憧れは大切。しかし、最後は「自分」だ

皆さんには、仕事に関して「あの人のようになりたい」「あの人には負けたくない」といった憧れやライバル視する対象はいますか? もしかしたら、社会人になったばかりのとき、こうしたベンチマークとなる人を早く見つけるよう上司などから指導されてきたかもしれません。

考え方はそれぞれですが、私には今、ベンチマークになる人はいません。むしろ、そうした人をつくらず、あくまでも「自分は自分だ」と考えています。誰かを手本にして追いかけたりすると、知らず知らずのうちにその人のまねをしたり振り回されたりするようになり、自分自身の意思や考えが薄くなっていく気がするからです。

私は、経営者という今の立場になってすぐの頃、他の経営者がどのような考えを持ち、行動しているのかを知るために、著名な経営者の書籍を何冊も読み、講演も聴きました。実際にさまざまな業種の経営者に会いに行き、直接お話を聞いたことも数えきれないほどあります。

他の経営者の考えや生きざまはとても勉強になりましたし、「あの人のようになりたい」「あの人には負けたくない」という憧れの人やライバルもでき、その背中を懸命に追いかけた時期もあります。しかし、ふと、「ベンチマークを追いかけることが私自身の意思といえるのだろうか」「自分で必死に考え抜いているだろうか」と疑問を覚えました。私にとっては、ベンチマークをつくるのは、ある意味、「楽な道」だったのです。

臨済宗の僧侶、山田無文(やまだむもん)老師は、「何ものにもとらわれるな。全てのものを断ち切り、己の肚(はら)の中から出てきた言葉に従って生きよ」という教えを説いたといいます。

己の肚の中から「こうしたい」という意思や言葉が出てくるまで己と向き合うのは、苦しく険しい道かもしれません。何もよりどころにせず、自分だけで考えなければならないからです。自分の意思が正しいのかどうか迷いもするでしょう。失敗するかもしれない、それどころか、何が起こるか分かりません。

それでも、ひたすら己と向き合い、必死に考え抜いて実行すれば、その先に大きな喜びと成長があります。皆さんには、その喜びと成長を体感してほしいのです。「どうしたらよいですか?」と皆さんから聞かれたとき、私が「あなたはどうしたいの?」と聞き返すのはそのためです。

ただし、皆さんと私は立場や権限が違います。今日からすぐに、私と同じように何事も自分の意思で決めて実行するのは難しいかもしれません。

そこで、皆さんに提案です。一つ一つの仕事に取り組むとき、「本当に自分はこれでよいと思うか」「自分は本当はどうしたいか」を考えてみてください。前例や役職にとらわれたり、誰かに遠慮したりせず、自分の力で考えることが大切です。

皆さんにベンチマークは必要ありません。ベンチマークがなくても、一人ひとりが、自分で考え実行できる力を秘めているはずです。

以上(2022年5月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】時には競合他社の商品をお薦めしてもいい

けさは、私の知人から聞いた、お子さんを歯科医院に連れて行ったときの話から始めます。

知人のお子さんは小学校低学年で、歯並びを治したくて歯科医院に相談に行きました。そこは、通常の治療法と異なる独自の治療を行う歯科医院でした。知人によると、歯科医院に入るなり、お子さんの口内を診察しないまま、歯科衛生士が治療法についての説明を始めました。しかも、歯並び以外も含めた歯科矯正全般の治療法についてのマニュアルを読み上げ、その治療法で治った人の口内の写真を繰り返し見せられたそうです。

さらに、その治療法には、毎日のトレーニングに加え、夜寝ている間も口内に治療器具を着け続ける必要があるのに、その説明はほとんどなく、最後は「今、治療を受けないと、値上がりするかもしれません」と念押しされたとのことでした。

その後、知人はやっと会うことのできた歯科医師に、その治療法の「成功率」を聞いてみたところ、「それは分かりません。きちんと毎日宿題ができる子供であれば成功率は高いです」と言われました。通常の治療法との治療期間や成功率の違いを聞いてみても、「自分たちがやっていない治療法のことは分かりません」という返答。

揚げ句の果てに、知人のお子さんの口内を診察した途端、その歯科医師は「この子の歯の状態では、まだ治療ができません」と伝えてきたといいます。これには知人もあきれ返り、二度とその歯科医院に行かないと心に決めたそうです。

知人が感じたのは、「この歯科医院は子供の歯並びを治したいのではなく、独自の治療法を売りつけたいだけだ」ということでした。

これは、他山の石とすべき話です。我が社でも新商品のキャンペーンをやっていますが、もし、お客さまに新商品を販売すればそれでいいと考えている人がいるとしたら、それは間違いです。会社の方針を守るのと、お客さまが求めているものを提供するのは全く別の話です。仮に我が社が推す新商品と、お客さまの悩みを解決する従来の商品の、どちらを提案するかと問われたら、私は迷わず従来の商品を提案します。

場合によっては、競合他社の商品だってお薦めしていいのです。お客さまのニーズに合う商品を提供できていない私たちの努力不足こそ問題視し、商品を改善していくのが、本来のあるべき姿だと思うからです。それに、今はさまざまな情報が容易に入手できる時代。仮に競合他社より劣った商品を一時的に販売することができても、後でお客さまが競合他社の商品のことを知れば、もう二度と我が社の商品は使ってくれないでしょう。

大切なのは、「商品を売る」ことではなく、「お客さまの信頼を得る」ことです。そのためには、何がお客さまのためになるのかを常に考えることが重要です。そうした積み重ねによってお客さまからの信頼を得られれば、次回は必ず、我が社が自信を持ってお薦めする商品を購入していただけるはずです。

以上(2022年5月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】あなたのTipsを語ってください

今日は皆さんに、「自分の仕事を語る」ことを考えてもらいたいと思います。捉え方は人それぞれでしょうが、聞いてください。

さて、皆さんはこの1週間で、仕事を通じてどのような新しい気付きがありましたか? 何を学びましたか? あるいは、同僚や仲間に「これ知っている?」「こう進めるといいよ」と、伝えたくなった仕事関連のコツなどは何かありましたか? もし気付きや学びは何もないという人がいたら、それは、極端に言えば「この1週間、私は自分の仕事で語ることが何もない。何もしていない」ということです。

仕事時間は平均して1週間に約40時間。気付きも学びも、語ることが何もない。そんなことがあるでしょうか。よく思い出してください。分かりやすいところで言えば、オンラインセミナーで新しい知識を得たり、商談で新しいビジネスについて話したりしたかもしれません。

新しい出会いはなくても、インターネットで調べたら労務管理の効率を上げるやり方が分かった、経理処理を進める中で、新しいアライアンス先との企画が動きそうな気配を感じたなど、皆さん一人ひとりに、「その前の1週間にはなかった新しい何か」がきっとあるはずです。

皆さんには、そうした「それまではなかった気付きや学び」を、ぜひ意識するようになってほしいと思います。なぜなら、単純ですが、「そうすれば仕事時間がもっと楽しくなるから」です。

私が改めてそう思うようになったきっかけは、先日参加したSDGsに関するオンラインセミナーでした。話し手がとても素晴らしく、まず視点がユニークで、かつ他では聞けない濃い内容が盛りだくさんでした。その上、参加者が「自分も実践できそう」と思える具体的なビジネス上のTips(ティップス)、つまり助言も与えてくれました。

私は感動すると同時に、「SDGsに仕事として取り組んでいて、毎日、自ら頭と手を動かしている人だからこそできる話だな」と感じました。そして、演技も多少入っていたかもしれませんが、「この人はSDGsに携わる自分の仕事が心底楽しいのだな」ということが、心に伝わってきたのです。

この話は皆さんにも当てはまると私は思っています。皆さんが日々「自ら頭と手を動かして」実践している仕事について、一番詳しく、臨場感を持って語れるのは、皆さん自身です。そこにはきっと、実際に試行錯誤している皆さんにしか語れないTipsがあるはずです。

想像してみてください。「これ知っている?」と同僚や仲間、もしくは家族、あるいはクライアントなど社外の人に語っている自分の姿を。そうした気付きや学びがある中で、日々、仕事に向き合っていれば、皆さん一人ひとりの仕事時間はもっと楽しいものになるでしょう。ワクワクする、やりがいのある毎日を送れるかどうかは、皆さんの「心持ち」次第です。さあ、今日も何かTipsを発見していきましょう!

以上(2022年4月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】皆さん、当社の「不満足」を挙げてください

もうすぐゴールデンウイークがやってきます。今日はそれにちなみ、皆さんが休暇中に利用するかもしれない飛行機にまつわる話をしましょう。

皆さんは、米国の航空会社が行った「母の日のサプライズ」を聞いたことがあるでしょうか。これは、飛行機の中で子供が泣いた人数によって、搭乗していた人が、次回以降の航空券を割引してもらえるというサービスです。子供が1人泣けば25%オフ、2人で50%オフ、4人になれば100%オフ、つまり無料になるため、周囲の人は「子供が泣けば泣くほど」喜びます。子供連れの母親が、この日ばかりは周囲の目を気にすることなく飛行機を利用できるようにするための企画でした。

母親の「子供が泣いて周囲から白い目で見られるかもしれない」という「不安」と、搭乗している人の「飛行機の中で子供が泣きわめくのが嫌だ」という「不快」の両方を解消しようとしているのが、この企画のポイントといえるでしょう。皆の満足を実現できる素晴らしい企画です。

このように、「不安」「不快」「不便」「不満」「不足」などを解消するという視点に立って、商品やサービスを考える「不のマーケティング」は、以前からさまざまなところで実践されています。

私は、当社にも、この「不のマーケティング」の考え方を取り入れようと思っています。ただし、皆さんに考えてもらいたいのは、商品やサービスについてではありません。もっと根本的な、「当社で働くことについて」です。

皆さんには、まず、日ごろ、当社で働くことについて感じる「不」を挙げてもらいたいのです。内容はどのようなものでもかまいません。

例えば、「外出が多いのに外からメールが確認できない」という「不便」を感じている人もいるでしょう。「飲食店が周りにあまりなくてランチに困る」といった「不足」を挙げてもいいのです。もっと言えば、「仕事の割り振りが偏っていて休みたいときに休めない!」「上司(部下)と話す機会が少なくて何を考えているか分からない!」という「不満」があるかもしれません。

当社は今、大きく変わろうとしています。新しいビジネスを創造すると同時に、一人ひとりの働き方を根本から見直す「働き方改革」にも本格的にチャレンジしています。さまざまな部門で世代交代も進めています。いわば、「第二創業期」を迎えているといってもいいでしょう。

私は、皆さんに、「不」のことを挙げてもらうことで、「皆さん自身が働きたいと思う会社」を新しく創っていきたいのです。挙げてもらった内容は、一つ一つ解消すべきかどうか皆さんで議論していきましょう。中には、最終的に私が判断すべきことも出てくるかもしれませんが、それは最終手段として、できるだけ皆さんで話し合って決めていくことが大切です。

皆さんの会社は、皆さんが創るものです。働いていることが誇らしく、胸を張って自慢できる会社を、一緒に創っていきましょう!

以上(2022年4月)

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画像:Mariko Mitsuda

家事代行の枠を超えた「おせっかい」で「ほっこり」な【東京かあさん】。だから「家事代行」は、社内ではNGワード。“人が何歳になっても活躍できる場をつくりたい”おばあちゃん子の思いが、新しい文化を生む!/岡目八目リポート

年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、小日向えりさん(株式会社ぴんぴんころりの代表取締役)です。

小日向(こひなた)さんが語ってくださったのは「第2のおかあさんを持つ」という、一般的な家事代行の先を行く新しい文化。人と人とが出会い、ちょっとした「おせっかい」が「ほっこり」した気持ちを育む……。今だからこそ、こうした人のつながりがますます大事になっていると感じます。小日向さんがやっておられる【東京かあさん】は、利用者にだけやさしいのではありません。もともとは、「高齢になっても、人が働き活躍できる場をつくりたい」という思いから始めているものです。働き手と利用者の両方を「ほっこり」させる小日向さんのサービスと思いをご紹介します。

1 「小日向さん」と「東京かあさん」と「スタバ理論(仮)」

1)小日向さんの実現したい社会、そして小日向さんはどのような方か?

「株式会社ぴんぴんころり」。2017年7月創業のこの会社名にも、小日向さんの思いがたくさん込められています。「高齢者が寝たきりや病気にならず、人生の幕引き直前までぴんぴん元気でいること」、つまり、一人でも多くの人が生涯現役でいる社会をつくる。これが小日向さんの掲げるビジョンです。

株式会社ぴんぴんころりのビジョンの画像です

(出所:小日向さんからいただいた資料より抜粋)

2020年から、この株式会社ぴんぴんころりの経営一本に絞っている小日向さん、奈良県のご出身で横浜国立大学卒。以前は歴史アイドルでした(2022年現在は、すでに引退されています)。15歳のころから芸能活動をされていて、歴史好きが高じて「歴史アイドル・歴ドル」として書籍を発表したり、テレビやラジオなどでご活躍されていました。

一方で、インターネット大好き、かつご親族に有名な起業家さんやご自身の起業家精神も以前からかなりお持ちだった小日向さん。2012年には一社目の会社を立ち上げ、歴ドルと起業家を両立。行動力があり、地道に努力される頑張り屋さんな面もある、そしてとても素直で「世の中を良くしたい」という純粋な心持ち。加えて大のおばあちゃん子!(これが「ぴんぴんころり」の創業につながっています。詳細後述)これからますます成長が期待される起業家の方です。

小日向さんの経歴を示した画像です

(出所:小日向さんからいただいた資料より抜粋)

2)【東京かあさん】=「第2のおかあさん」とはどういうことか?

株式会社ぴんぴんころりのメーンサービス【東京かあさん】は、その名の通り、

「東京での『第2のおかあさん』を持つ」

がコンセプト。特に実家から離れて暮らしている人は、すぐにピンとくるネーミングではないでしょうか。よく、大家さんとか近所の定食屋のおかみさんとかが一人暮らしの学生さんに、「私のことを東京のおかあさんと思って、困ったことはなんでも相談してね!」と言うアレです。言ってもらったほうはとても心強いですし、何より嬉しくてグッときます。

【東京かあさん】は、家事代行やベビーシッターの枠を超えて、家事や育児のサポートをお願いしたり相談したりできるサブスク型のサービスです(月額平均は3万円くらい)。「おかあさんにちょっとヘルプをお願いする」「おかあさんが、ちょっとしたおせっかいでやってくれる」イメージのもので、小日向さんの言葉を借りれば【第2のおかあさんを持つという体験を提供している】サービス。難しいことはいっさい考える必要がありません。例えば、利用者は、LINEで「第2のおかあさん」に「いま仕事終わりました。保育園のお迎えと夕ご飯の準備をお願いします🙏」などを送ると、第2のおかあさんがやって来てくれて(事前のお顔合わせなどがあります)、家事や育児をサポートしてくれます。実に素晴らしいサービスです!

まさに「おかあさんヘルプ!」とお願いできるサービス。スマホ一つでやり取りできるこの簡単さ手軽さも、利用者と働き手(おかあさん)の両方にやさしいところ。「1分でわかる東京かあさん」動画はこちらです(出所:東京かあさんウェブサイトより)。

サブスクリプションの料金を示した画像です

(出所:小日向さんからいただいた資料より抜粋)

3)スタバ理論(仮)を家事代行にも当てはめてみる

とはいえ、小日向さんは、一般的な家事代行やベビーシッターを否定するわけではまったくありません。「大事なのはすみ分け、利用する人がサービス(家事代行など)に『何を期待するか』だと思うんです」と小日向さん。例として挙げてくださったのは「人はコーヒーを飲みに行くとき、どこを選ぶか」という話でした。とても分かりやすかったので、小日向さん流「家事代行に当てはめるスタバ理論(仮)」として、こちらにご紹介します。

「スタバに行きたい人はスタバに行くし、ドトールに行きたい人はドトールに行く。スタバを選ぶ人は店員さんとの交流などホスピタリティを期待しているのかもしれないですし、ドトールに行きたい人はドトールのコーヒーの香りや味に期待しているのかもしれません。そして、昭和の喫茶店の雰囲気が好きな人は、それを期待して昭和の喫茶店に行く。家事代行などのサービスも同じだと思います」

「例えば、とにかく家事をアウトソーシングしたいという方は、一般的な家事代行のサービスを活用するのがいいかもしれません。それだけではなく、『ほっこりしたぬくもり』を感じたい人、おかあさん世代の方々と交流したい人、知恵袋的に家事や子育ての色々を教えてほしい人とかには、【東京かあさん】で『第2のおかあさんを持つ』が合っているのではないかと思います」

『第2のおかあさんを持つ』のイメージ画像です

東京かあさんのサービス内容を示した画像です

(出所:小日向さんからいただいた資料、「東京かあさんウェブサイト」より抜粋)

2 創業のきっかけは、小日向さんご自身のおばあさん

高齢者支援をメーン事業と心に決めてブレない小日向さん。「高齢の方がいつまでも元気で働ける場、そういう社会をつくりたい」と語ります。きっかけとなったのは小日向さんご自身のおばあさんのことでした。

「もともと私はおばあちゃん子で、愛情をたっぷり注いでもらっています。祖母は30〜40代のころから何かしらのお仕事をしていて、そこからずっと働き者でした。70代になっても色々とお仕事をしていましたが80歳くらいになるとついにお仕事がなくなってしまいました。その後は家でずっとテレビを見ているという感じで、元気がなくなってしまったのです。心配していた矢先に怪我で入院してしまいました。そのころに、ハッと、『やはりお仕事をしていたことが、祖母の元気の源だったのではないか』と直感的に思ったのです」

こう語る小日向さん。おばあさんのことをきっかけに、高齢の方でもずっと元気でいられる何かをできないかと思っていた小日向さんは、あるベンチャー系イベントで、高齢者の知見を活かした就業支援の事例に出逢います。そして自分でも「高齢者の就業支援」をしたいと考えるようになり、シルバー人材センターのことを調べるなどしてその思いがどんどん膨らみ、ついには株式会社ぴんぴんころりの創業に至りました。やはり、ご自身が実感したおばあさんへの思いがあるので事業へのコミットの仕方が半端なく強い小日向さん。何より、「高齢になった方でもずっと元気でいられる何かをしたい」という考えを、考えるだけで終わらせず具体的に形にして会社を立ち上げ、そして今は会社で仲間も雇用している。この底力、根性、行動力、実現力。並々ならぬ内に秘めたパワーを感じます。

小日向さんが【東京かあさん】のサービスを具現化した裏側には、小日向さんご自身が「第2のおかあさん」に「おせっかい」をしてもらっているという話もあります。つまり、創業者自らが自分のサービスのユーザーでありファンでもある、実に理想的な形です。つい最近も掃除や洗濯をしてもらい、その後一緒にご飯を食べて映画を見に行ったそうです。本当に文字通り、「第2のおかあさん」ですね! なにしろ、小日向さんが引っ越しされるときも、「頼んでいないのに」第2のおかあさんが手伝いに来てくれて、荷解きしてくれたというのです。おかげで仮眠を取れたと感謝している小日向さん。この信頼関係、なかなかできることではないですね。【東京かあさん】の質の高さがうかがえるエピソードです。

3 こだわりの「言葉」と、第2のおかあさんやサービスを使ってみた方からの“声”

小日向さんご自身がユーザーでもある【東京かあさん】には、言葉の定義一つひとつにも、小日向さんのこだわり、意志が感じられます。例えば、働き手(ワーカー)のことは「おかあさん」。一方、利用者(ユーザー)のことは「お子さん」。「おかあさん」や「お子さん」という呼び方については、「【東京かあさん】のファミリーの一員として親しみを込めて、そのように呼ばせていただいている」と小日向さん。その他も併せてまとめると、下記などがあります。小日向さんの実現したい世界観がよく分かります。

  • おかあさん:働き手(ワーカー)
  • お子さん:利用者(ユーザー)
  • ◯◯ママ:おかあさんの呼び方
  • お見合い:事前のお顔合わせ
  • 親コンシェルジェ:スタッフのこと
  • 親子契約:事前の30分のお見合いの後、“親子”がお互いに継続希望の場合の契約
  • NGワードもいくつか(下記)
    ×お世話になっております(家族では普通言わない)
    ×引き続きよろしくお願いいたします(家族では普通言わない)
    ×家事代行(家族のおせっかいなサポートなので、家事代行ではない)

こうした世界観で実現しているので、「おかあさん」や「お子さん」からの働いてみての感想、サービスを利用してみての感想も、一般的な家事代行の感想とかなり違っています。下記にいくつかご紹介します。先に、「お子さん(ユーザー)の声」を、その後に「おかあさん(ワーカー)の声」を掲載します。グッとくる“声”ばかり、特に「おかあさん」のほうは、「高齢になっても活躍できる場」が実現できていることが本当によく分かります。必見です!(出所:小日向さんからご提供いただいた皆さまの声より)

【お子さん(ユーザー)からの声】

  • 保育園、学童、習い事の迎えのみならず、お買い物や、お料理、掃除や片付けなど、その日にお願いしたい事についてお伝えすると、その時々の状況に合わせて臨機応変にお手伝いいただき、在宅勤務の大きな支えになりました。
  • 東京かあさんを知りコンセプトがいいなと思い、詳細なリクエストを出しておかあさんを探してもらいました。マッチングに時間はかかりましたが、素敵なおかあさんを紹介してもらえました。
  • 水回りの掃除を徹底的にしてもらうので、自分はさっと掃除するだけで汚れず気持ちよく生活できます。掃除が苦手だったので、ストレスも減りました。
  • 家の整理の仕方、料理の工夫、衣類の畳み方から、家具の配置など、生活についての諸々を教えてもらえて、大変助かっています。実家もあまり片付いている方ではなく、どのように整理して生活すべきかを習う場もなかなかないので、一緒に考えてもらえたり、実際に片付けてもらえるというのは本当に助かります。
  • 登録されているおかあさんが沢山いらっしゃるお陰で、急に継続出来なくなった場合でも穴をあけずに次のおかあさんに来て頂けたのがありがたかったです。東京かあさんが用意して下さる交換ノートなど、お互いの距離を縮めたり、心を通わせやすくする工夫が随所に散りばめられている所が、温かくて良いなと思います。
  • 2人子供がいるので、今は「おかあさん」不在の生活は想像できません。洗濯物きれいに畳んでいただいたり、お料理の下ごしらえをしていただいたり、いつも細かことをしていただきありがたいと思っています。コロナで大変な時期ですが、これかもお願いしたいと思っております。

【おかあさん(ワーカー)からの声】

  • 何気ないことですが、幼稚園への送迎途中、園内の様子を楽しげに話してくれることに、日々お子さんの成長を感じながら楽しくサポートしております。
  • ○○ちゃん、○○くん(利用者さまのお子さま)が走りながら、外までお迎えに来てくれてすごく嬉しかったです。帰りも、外までバイバイをしてくれて家族になれた気持ちになります。
  • ○○ちゃん(利用者さまのお子さま)の小学校がリモート授業になったため、1人でお家にお留守番でしたが、私が訪問することで少し安心して貰えたようです。○○ちゃん(利用者さまのお子さま)も以前よりお話ししてくれるようになりました!
  • 風呂、洗面所、トイレ、キッチンと水周りや床の掃除中に洗面所の鏡が気になると言うので、ガラス用洗剤を使って掃除をしました。残った時間で、衣類を畳み直して収納して、鞄の整理をした時に、一緒に断捨離をして、スッキリしたと喜ばれました。
  • キッチンを清掃中に、○○さん(利用者さま)は「外出の予定があるため昼食をとりますね!」とお座りになり、お父様のお話しなどをして下さり、楽しく作業をしました。お掃除が終わり少し時間があったので、おせっかいですまし汁を作り大変喜んで頂きました。
  • 今日は、○○ちゃん(利用者さまのお子さま)の受験の合否をお聞きする事と思い、どきどきしながらお伺いしましたが、玄関で待っていらした○○ちゃん(利用者さまのお子さま)の笑顔を見て合格が分かりました。万が一を考えて、お好きなブルーの小さなブーケはバッグに隠してお伺いしたのですが、心配無用でした。
    春から着られる制服の写真を見せていただいたり、発表の時のご様子をお聞きしたりして、ばあば気分を満喫させて頂きました。
  • 子供さんがお料理を食べてくれない悩みを抱えての訪問でしたが、運営の皆様から応援、励まし、アドバイスをいただき感謝です。そんな気持ちが伝わったのかどうかはわかりませんが、○○くん(利用者さまのお子さま)に「○○ママ大好き〜!」とハグされちゃいました。嬉しかったです。こんな感じなので、気を張りすぎず、少しだけ頑張ってみますね。

読んでいると、何かぬくもり、ほっこり。おせっかいが大事で、それがほっこりにつながっている。感動します。

4 【東京かあさん】、そして小日向さんの今後について

ぴんぴんころり、そして【東京かあさん】のサービスは現在、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県といった関東地方で提供していますが、今後は全国展開もしていきたいと小日向さん。登録している「おかあさん」も、もうすぐ600名になるそうで、順調に伸びてきているようです。全国どの地域でも、「近所に第2のおかあさんを持つ」が実現できるようになれば、さらにニーズも増えるかもしれません。例えば、新しい土地に引っ越したばかりで近所に知り合いもいなくて子育てもあって、心細い……という人向けなど。そう考えると、「おかあさん」をどうやって集めるかが、ますます重要になってきます。例えば、生命保険会社や銀行、信用金庫、地元の大手企業の卒業生などが「おかあさん候補」になるかもしれません。

実際に、小日向さんの思い、やっておられることに共感して「一緒に何かできれば」と声をかけてくれる金融機関や大手企業などもあるようです。小日向さんご自身も「高齢者の健康ケア&保険料を抑えるという面で保険会社さんと連携などできるかも」と目を輝かせています。これからが楽しみです。

「今後、家事代行市場は6000億円規模、保育サービス市場は3兆3500億円規模と推計されます。それに対して、家事・育児サービスの市場では働き手不足が問題となっています。そうした中、ぴんぴんころり、東京かあさんはこれから増えていく働きたいシニアのために作った会社、サービスですので、こうした働き手不足を解決していけると思っています」

と将来に向けて自信をのぞかせる小日向さん。実際に高齢の方のうち約80%が「70歳以上まで働きたい」と回答しているそうで、【東京かあさん】はその場づくりとして大きな可能性があると感じます。小日向さんの語る、次の言葉が、何か今後の日本の明るい未来を予感させてくれます。

「『東京かあさんが生きがいだ』と言ってくださるおかあさんたちがどんどん増えています。『こんな私でもお役に立っていると思うと幸せです。東京かあさんに出会えて幸せです』『お子さんの日々の成長に関われてとても幸せです』『だんだん娘・孫のような存在になってしまいました』『今日は母の日ですね。我が家の東京かあさんになってくださって、ありがとうというメッセージをもらった』など、おかあさん方には、日々やりがいを持ってやっていただけているかなと思っています」

最後に、小日向さんの実現されたいことを改めてお聞きしてみたところ、次のように語ってくださいました。

「東京かあさんは、まだまだやりたいことの一つにすぎません。(高齢の方が)働いて収入を得て、その先はその収入を使って新しいことを学んだりとか、あと仲間と趣味を楽しんだり、高齢の方がずっと元気でいられることはどんどん手がけていけたらいいなと思っています」

「高齢の方がずっと元気でいられることはどんどん手がける」。2019年に、小日向さんご自身のお母さんも参加してクラウドファンディングで開催された平均年齢70歳の「めいど喫茶 ぴんころ」も、その一環なのだと思い至ります。改めて小日向さんのコミット力、アイデア、そして具現化する実行力、何より暖かいお人柄に感嘆しきりです。応援しています! ありがとうございます。

東京かあさんのサービス内容を示した画像です

(出所:以前開催のイベント告知ページより抜粋)

  • 東京かあさんウェブサイトはこちら
  • 東京かあさん発オウンドメディア「ミソシル」はこちら

以上(2022年4作成)