【朝礼】「自分はツイている」と思ったほうがいい3つの理由

皆さんは自分のことを、「ツイている」と思いますか、それとも「ツイていない」と思っていますか。私は、自分が幸運に恵まれ、「持っている」人間だと思っています。正確に言うと、そう思うようにしています。

宝くじの1等が当たりでもしない限り、自分がツイていると実感できないかもしれません。ですが、「自分はツイている」と思ったほうが得だから、そう思っているのです。特に今のような逆風のときほど、「ツイている」と思っている人の価値は高まるものです。その理由は後ほど話します。

もし「世の中は思い通りにならないことばかりで、自分がツイているとは思えない」と感じている人がいたら、その人は、物事の捉え方を変えてみるべきです。例えば、コロナ禍で業績が下がって「ツイていない」と思うのは簡単です。それを、「それでも会社は存続し、仕事ができるのは運がいい」「コロナ禍で世の中が変化して、自分たちも変われるチャンスをもらった」という考えに改めてみませんか。そうすれば、「もう少し頑張ってみよう」という気持ちになりやすいでしょう。

このように、前向きになれるということが、自分が幸運だと思ったほうがいい1つ目の理由です。そして、なんとか頑張ってこの危機を乗り越えたときに、「やはり自分はツイている。自分の運を信じていれば大丈夫だ」と思えるようになれますし、そうなると、その後はもっと自分を信じて頑張れるという、好循環が生まれます。

例えば、明治から昭和初期にかけて日銀総裁や総理大臣、大蔵大臣を歴任した高橋是清は、10代前半に米国で奴隷として扱われたり、30代半ばでペルーの銀山開発などの失敗で全財産を失ったりしています。そんな不幸に見舞われた是清ですが、子供の頃から「自分は運がいい」と思い込むほど、生来の楽天家だったので、失敗をして窮地に陥っても努力できたと語っています。

自分がツイていると思ったほうがいい2つ目の理由は、自分を見失わないということです。人は何かに成功すると、「全て自分の実力だ」と有頂天になり、周囲が見えなくなってしまいがちです。「成功したのは、運が味方したからだ。油断していると風向きが変わって、今度は失敗してしまうかもしれない」と気を緩めずにいれば、その後も努力を怠ることはないでしょう。

3つ目の理由は、幸運だと思われている人の周りには、人が集まってくるということです。誰しも、「自分はツイていない」と暗い顔をしてうつむく人よりも、自信にあふれた明るい表情の人と一緒に働きたいと思うものです。日露戦争の日本海海戦でバルチック艦隊を破った東郷平八郎は、「運のいい男だから」という理由で連合艦隊の司令長官に抜てきされたといわれています。

今のような、先行きが不透明なときほど、「自分はツイている」と思っている人を心強く感じるものです。今日から、物事の捉え方を前向きに変えてみましょう。

以上(2021年2月)

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画像:Mariko Mitsuda

役員が病欠!? いざという時に困らない会社法の手続き

書いてあること

  • 主な読者:役員の病欠など定例化されていない会社法の手続きを知っておきたい経営者
  • 課題:会社法の手続きは複雑で、何をすべきか分からない
  • 解決策:機関設計ごとの役員の人数、役員の任期など確認すべきポイントを知る

1 会社法上の手続きは定時株主総会だけではない

会社経営において、会社法上の手続きは「例年同様に、定時株主総会を開催する」といったルーティン化されているものが少なくありません。そのため、通常業務では、会社法を意識することは多くないでしょう。

しかし、会社法にはさまざまな定めがあります。役員が病気になったときなど、通常と少しでも違うことが起こったときは会社法を確認して、正しい手続きを取ることが必要です。そうしないと、それが後にトラブルの種となり、会社経営に大きな影響を及ぼしかねないからです。

会社法の手続きは、会社の機関設計などによって異なります。本稿では、中小企業に多く見られる「取締役会+監査役」、かつ全ての株式を譲渡制限株式としている会社(非公開会社)を前提に、原則的な各種手続きなどを紹介していきます。

2 役員が病気になったり、死亡してしまったりした場合

1)すぐに役員を変更・選任する必要はない

役員(取締役・監査役)が病気で長期間実務に携わることができなくなったり、事故で不幸にも死亡してしまったりした場合、その役員(以下「対象役員」)に代わる人を、必ずしもすぐに選任する必要はありません。

まず、会社法と定款で決められている「役員の最低人数」を確認しましょう。会社法では、機関設計などによって役員の最低人数を定めています。「取締役会+監査役」の場合、取締役は最低3人、監査役は最低1人です(会社法第331条第5項、第335条第3項の反対解釈)。

また、役員の定員は、会社法の定めの範囲内であれば、定款で別の定め方ができます。例えば「最低人数を会社法より多くする」「最大人数を決める」などですが、仮に定款で取締役を「5人以上」と定めている場合、実際にその人数を下回らないようにしなければなりません。

以上を確認し、役員の最低人数を下回ることになった場合は、新たな役員を選任しなければなりません。

また、対象役員が長期間実務に携わることができない場合、実際の経営上の問題はさておき、会社法上は、対象役員がその地位にある限り、必ずしも法的問題とはなりません。会社法では、役員の欠格事由を定めていますが、これは成年被後見人もしくは被保佐人や、一定の法令に反して刑に処された場合などであり、実務に携わることができるか否かは問われていません(会社法第331条、第335条第1項)。

2)取締役や監査役の選任

取締役や監査役の選任には株主総会の普通決議が必要です。普通決議とは、株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う決議です(定款で別の定めをすることができます。会社法第341条、会社法第309条第1項)。株主総会の開催は、以降で紹介する事項でも必要になりますが、手続きの概要は後述します。

その他、頻繁に利用されている制度ではありませんが、会社法上、株主総会決議によって事前に補欠の取締役や監査役を選任しておくこともできます(会社法第329条第3項)。取締役が欠けたとき、速やかに臨時株主総会を開催しなければならない手間を考えれば、取締役を多めに選任しておくか、この補欠を定めておくということも一考に値します。

3)対象役員が代表取締役の場合

取締役会を設置している場合、代表取締役を1人以上選任しなければなりません(会社法第362条第3項)。代表取締役は1人でも複数人でもよいため、対象役員が唯一の代表取締役であり、その人が死亡してしまった場合は、取締役の中から代表取締役を新たに選任しなければなりません。

また、対象役員が長期間実務に携わることができなくなった場合でも、前述した役員の場合と同様、会社法上は、対象役員がその地位にある限り、法的には必ずしも問題ではありません。なお、代表取締役の選任は取締役会の決議が必要です。

3 役員の任期を伸長(短縮)する場合

会社法施行前、株式会社の取締役の任期は2年、監査役の任期は4年とされていました。会社法施行後(2006年5月)も、原則は変わっていませんが(会社法第332条第1項、第336条第1項)、非公開会社の場合、定款に定めることで取締役・監査役ともに最長10年まで任期を伸長することができます(会社法第332条第2項、第336条第2項)。小規模なオーナー会社などでは、長期間、役員を続けるケースが少なくありません。こうした場合、任期を伸長することで役員の選任(重任)手続き、登記費用などの負担を軽減できます。

役員の任期を伸長する場合は、その旨を定款に定める必要があります。定款を変更する場合は、株主総会における特別決議が必要です(会社法第466条、会社法第309条第2項第11号)。特別決議とは、株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う決議をいいます(定款で別の定めをすることができます。会社法第309条第2項)。

なお、同様の手続きで、役員の任期を短縮することもできます。ただし、取締役は2年を下回る任期にすることができますが、監査役は4年を下回る任期にすることはできません(取締役については会社法第332条第1項但書があるが、監査役については会社法第336条第1項には同様の但書がない)。

4 本店を移転する場合

会社の本店の所在地は定款に定める必要があります(会社法第27条第3号)。実務上、本店所在地に実質的な本社機能があるとは限らず、創業の地を本店所在地にしておき、実質的な本社機能は別の支店に存在するという場合も少なくありません。

いずれにしても、本店の移転に伴って、定款を変更する必要があるか否かは、本店の所在地の記載方法によって変わります。一般的に、本店の所在地は次のいずれかで定められています。

  • 最小行政区画まで:東京都中央区
  • 番地や建物名まで:東京都中央区○○町○○丁目○番○号 ○○ビルディング

定款に定めている事項を変更する場合、定款変更の手続き(株主総会における特別決議)が必要です。上記の例では、東京都中央区から東京都渋谷区に移転する場合、いずれの場合も定款の変更が必要です。一方、東京都中央区の中で移転する場合、最小行政区画までしか決めていない場合は定款の変更が不要です。

なお、以上は定款での本店所在地の定め方についてであって、法人登記に記載する「本店」については、建物名は必須でないものの、番地等まで記載する必要があります。

5 譲渡制限株式について譲渡承認請求があった場合

中小企業では、全株式を譲渡制限株式とし、非公開会社としているケースが多く見られます。この場合、株主が株式を譲渡するためには、会社の承認が必要です。まず、譲渡を希望する株主または譲受人(以下「請求者」)が、会社に譲渡承認を請求します(会社法第136条、第137条)。会社は、この請求について取締役会で承認するか否かを決定し(会社法第139条)、請求者に、2週間以内に当該決定の内容を通知します(会社法第139条第2項、第145条第1号。譲渡後株主の名義変更の手続きなどがありますが、本稿では省略します)。

もし、2週間以内に通知をしなかったときは、会社が譲渡を承認したものと見なされます(会社法第145条第1号)。

なお、会社が譲渡を承認しない場合、請求者はその株式について会社または指定買取人による買取りを請求することができます(会社法第140条)。この場合の手続きは次の通りです。

1.会社が株式を買取る場合

株式の買取りを行う旨や買取株式数について、株主総会の特別決議が必要となります(会社法第140条第2項、第309条第2項第1号)。その後会社は、株主総会で決議した事項を、請求者に対して通知しなければなりません(会社法第141条第1項)。

2.指定買取人が買取る場合

指定買取人の指定は取締役会で行うことができます(会社法第140条第5項)。その後、指定買取人が請求者に対して、指定買取人として指定を受けた旨や買取株式数などを通知しなければなりません(会社法第142条第1項)。

6 機関設計を変更する場合

機関設計の変更は、会社が成長してガバナンス強化を図る必要がある場合などに行われます。ただし、こうした目的以外にも、取締役会の最低人数(3人)を維持できないなど会社の課題を解消するために機関設計を変更する場合があります。非公開会社であれば「取締役会+監査役」から「取締役のみ」に変更します(「取締役のみ」は非公開会社だけに認められています)。

また、会社法施行前は、株式会社では取締役会の設置が必須であり、最低3人の取締役が必要とされていました。このため、事実上経営に関与しない経営者の親族や知人などを便宜上、取締役とするケースが見られました。現在も当時のままで、こうした取締役がいる会社もあるようです。この場合、経営実態に合った形に機関設計を変更することも考えられるでしょう。

機関設計は、「取締役のみ」とする場合以外は、定款に定めなければなりません。従って、本稿で例示している「取締役会+監査役」の会社が機関設計を変更する場合は、定款を変更しなければなりません。定款を変更する場合は、株主総会における特別決議が必要となります(会社法第466条、会社法第309条第2項第11号)。

7 臨時株主総会の開催手続き

本稿で紹介した多くのケースで必要となるのが株主総会での決議です。決算後3カ月以内に開催する定時株主総会に合わせて決議をすることもできますが、急を要する場合は、臨時株主総会を開催する必要があります。

毎年、開催している定時株主総会では実務的な問題は少ないと思われるので、ここでは臨時株主総会開催の基本的な手続きを紹介します。なお、会社法では一定の要件を満たす場合、手続きの省略などが認められています。また、定款の定めによっても、手続きが変わる場合もありますが、ここでは原則的な内容とします。

臨時株主総会開催の基本的な手続き(取締役会設置会社・非公開会社の場合)は次の通りです。

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臨時株主総会開催の手続きは、基本的には定時株主総会と同じです。ただし、定時株主総会と違って注意が必要なのは「基準日公告」です。定時株主総会の基準日は、定款で事業年度末(3月31日)などと定めていることが一般的です。そのため、基準日公告は不要になります。

一方、臨時株主総会の場合は、定款の定めとは別に、取締役会で基準日などを決めた上で公告を行う必要があります。

また、これは定時株主総会も同じですが、取締役会設置会社の場合は、取締役会で決定した議題(株主総会の目的事項)以外は、株主総会では決議することができません(会社法第309条第5項)。そのため、取締役会で議題の決定漏れがないように注意する必要があります。

以上(2021年2月)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 栗原功佑)

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【株主総会(5)】「開催当日」の議事をスムーズに進行する方法と「開催後」に必要な手続き

書いてあること

  • 主な読者:株主総会をスムーズに運営するためのポイントが知りたい経営者、実務担当者
  • 課題:株主総会の進行手順や、総会後に必要な書類および手続きなどを把握したい
  • 解決策:議事進行シナリオがあると便利。議事録の作成、決議通知書の発送、公告の実施、書類の保管を行う

1 議事進行シナリオを作成する

定時株主総会(以下「株主総会」)をスムーズに進めるための準備には、

株主からの質疑を想定した想定問答集の作成、議事進行のリハーサル

があります。しかし、特に難しい議案がない限り、株主が少ない中小企業がそこまでやる必要はなく、議事進行手順などを整理した「議事進行シナリオ」を作成しておけば十分でしょう。

株主総会の運営方式には、

  • 一括上程方式:議案を全て上程した後に質疑応答を行って採決する方式
  • 個別上程方式:議案ごとに上程、質疑応答、採決を行う方式

がありますが、一括上程方式のほうがシンプルで、運営もスムーズといえます。

この記事では、中小企業に多く見られる「非公開会社」で、機関設計は「取締役会・監査役設置会社」を想定し、株主総会の当日の運営などについて紹介します。なお、非公開会社とは、

全ての株式の譲渡について、会社の承認が必要となる旨を定款に定めている会社

のことです。

2 一括上程方式の場合の議事進行シナリオの例

1)株主総会の進め方

では、具体的に当日の議事進行についてご紹介します。一括上程方式の場合の議事進行シナリオは次の通りです。中小企業の場合、ここまできっちり行う必要はないと思いますが、一つの例として参考にしていただければと思います。

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2)株主総会の議長

通常、株主総会の議事運営をする議長は定款に定められており、一般的には代表取締役が務めます。定款で定められていない場合は株主総会で選任します。

3)決議要件の確認

株主総会の決議には、普通決議、特別決議、特殊決議の3種類があり、決められる内容や必要な要件が違います。ここでは、取締役の選任などで求められる普通決議について触れます。普通決議とは、

議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席(定足数)し、出席した株主の議決権の過半数の賛成(決議要件)による決議

です。定足数については、定款に定めることで変更・排除することができます。ただし、決議要件は変更できません。

4)採決

採決の具体的な方法は法令で定められていません。また、決議の賛否が明らかになれば、賛否の具体的な数を確定する必要もありません。そのため、採決の方法などを定款に定めていないのであれば、議長の合理的な裁量に委ねます。例えば、

異議の有無を出席者全体に尋ねる、挙手、拍手、起立、記名投票など、賛否を判定できる方法であれば問題ない

といえます。

3 議事録の作成

1)記載事項

取締役は、株主総会の議事録を作成しなくてはなりません。議事録に記載する主な事項は次の通りです。

  • 株主総会の日時および場所
  • 株主総会の議事の経過の要領およびその結果
  • 株主総会において述べられた意見または発言があるときはそれらの内容の概要
  • 株主総会に出席した取締役などの氏名または名称
  • 議長がいるときは議長の氏名
  • 議事録作成者の氏名

法令では、議事録に株主総会に出席した取締役などの氏名または名称を記載することが求められています。実際は、議事録が原本であることを判別しやすくするために、出席した取締役等の署名または記名押印をする会社が多いです。

2)作成期限

議事録の作成期限は決まっていませんが、一般的に、

株主総会後、2週間以内に作成

します。これは、商業登記の添付書類として議事録が必要な場合があり、登記事項に変更があった際は2週間以内に変更の登記をしなければならないためです。

4 決議通知書などの発送

多くの場合、株主総会の後、全株主に株主総会での決議結果を知らせるための「決議通知書」や、事業報告書、配当金関係書類などを送付します。ただ、これらの書類の提供は法令で求められてはおらず、株主との良好な関係を維持・構築するための取り組みです。

5 公告の実施

株主総会の後、遅滞なく株主総会で承認を受けた計算書類を公告しなければなりません。非大会社の場合、貸借対照表を計算書類として公告します(損益計算書は不要です)。大会社とは「資本金が5億円以上または負債総額が200億円以上の会社」のことなので、これ以外が非大会社となります。

公告の方法は、「官報」「日刊新聞紙」「電子公告」の中から選んで定款に定めることができます。定款に定めがない場合は官報で公告します。公告方法が官報または日刊新聞紙の場合、貸借対照表の要旨を公告すれば大丈夫です。

なお、公告方法を官報または日刊新聞紙としている場合でも、決算公告のみをインターネットのホームページに掲載して対応することができます。この場合、貸借対照表などが掲載されるウェブページのURLを登記する必要があります。

6 書面などの備え置き

株主総会に関連する書面などの中には、一定期間、本店や支店に備え置かなければならないものがあります。備え置きが必要となる主な書面などは次の通りです。また、これらの書面などについては、株主などからの請求があれば開示しなければなりません。

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7 株主総会議事録の例

【第○回定時株主総会議事録】

 ○年○月○日 午前○時、住所○○○○○○○ 当社本社○階第○会議室において、第○回定時株主総会を開催した。

出席した取締役:○○○○、○○○○、○○○○
出席した監査役:○○○○

 定刻、代表取締役社長○○○○議長が席に着き、開会を宣言した。引き続き、議長は出席株主数およびその議決権個数を次の通り報告し、本総会の議案の決議に必要な定足数を充足している旨を告げた。

議決権を有する株主数:○名
総株主の議決権:○個
出席株主数:○名(議決権行使書を含む)
その議決権個数:○個

【議事の進行方法】

 議長は、本総会の議事の進め方について、監査報告、報告事項の報告、決議事項の内容の説明の後に、報告事項および決議事項に関する質疑や動議などを一括して受け付け、その後に決議事項について採決に入る旨を説明し、議場に諮ったところ、出席株主の多数の賛成により了承された。

【監査報告】

 議長は、監査役に対し、事業報告、計算書類、議案の監査結果についての監査報告を求めた。監査役○○○○氏は、監査の結果は「第○回定時株主総会招集ご通知」に添付した監査報告書謄本(別添)の通りであり、特に指摘すべき事項はない旨、また、本総会の各議案に関しても法令・定款に違反する事項および不当な事項はない旨を報告した。

【報告事項】

 議長は、第○期事業年度(○年○月○日から○年○月○日まで)の事業報告の内容を説明し、報告を行った。

【決議事項】

第1号議案:第○期事業年度に係る計算書類承認の件
 議長は、決議事項の議案審議に入る旨を述べ、第1号議案を上程した。議長は、第○期事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書および個別注記表)は「第○回定時株主総会招集ご通知」に添付した計算書類の通りである旨の説明を行った。

第2号議案:取締役3名選任の件
 議長は本議案を上程し、現在の当会社取締役である○○○○氏、○○○○氏、○○○○氏の全員の任期が本総会終結のときをもって満了となるので、取締役3名の選任を行いたい旨、その候補者3名は「第○回定時株主総会招集ご通知」記載の通りである旨を述べた。

【質疑と説明】

議長は株主に質疑を求めたところ、株主からの次の質疑に対して議長が次の説明をした。

  • 株主番号○:(質疑内容の要点を記載)
  • 議長:(説明内容の要点を記載)

【採決】

以上をもって質疑を終わり、議案の採決に入った。
第1号議案:満場一致をもって原案の通り承認可決された。
第2号議案:満場一致をもって原案の通り承認可決された。なお、選任された各取締役は、その場で就任を承諾した。
議長は以上をもって本日の議事を終了した旨を告げ、午前○時に閉会を宣した。

上記、議事の経過および結果を明確にするため、本議事録を作成する。

○年○月○日
株式会社○○○

             

議事録の作成者 代表取締役 ○○○○ 印

8 決議通知書の例

○年○月○日

株主各位

住所:○○○○○○○
社名:株式会社○○○
代表取締役 ○○○○

第○回 定時株主総会 決議ご通知

拝啓 平素は格別のご高配を承り厚く御礼申し上げます。
さて、本日開催の当社第○回定時株主総会において、下記の通り報告並びに決議がなされましたので、ご通知申し上げます。

敬具

報告事項

第○期(○年○月○日から○年○月○日まで)の事業報告、計算書類および監査役の監査結果報告の件
本件は、上記書類の内容を報告いたしました。

決議事項

第1号議案: 第○期事業年度に係る計算書類承認の件
本件は、原案の通り承認可決されました。
第2号議案: 取締役3名選任の件
本件は、原案の通り承認可決され、○○○○、○○○○、○○○○が就任いたしました。

以上

以上(2022年4月)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 平田圭)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】固い結束力で繁栄した最強集団の悲劇

突然ですが、皆さんは最強の肉食動物は何だと思いますか? 単体で戦えばライオンやトラかもしれませんが、集団では「リカオン」が最強だと私は思っています。なぜなら、リカオンの狩りの成功率が、70%とも80%ともいわれるほど高いからです。対してチーターの狩りの成功率は50%、ライオンは30%、トラに至っては10%とされているので、リカオンのすごさが分かります。

リカオンはアフリカに生息するイヌ科の動物で、10頭から数十頭の群れで生活しています。体長は1メートルほど、体重は30キログラムほどと小柄ですが、群れの結束力がすごいのです。

リカオンの結束力を支えている習性の1つが、狩りに行くかどうかを、くしゃみによる投票で決めることです。群れの誰もが最初にくしゃみをすることで狩りに行くことを提案できますし、リーダーの同意も必須ではありません。ただし、ある群れでは、最初にリーダーがくしゃみをした場合は、3頭程度がくしゃみで同意すると狩りに行きますが、経験が浅く序列の低いリカオンが提案した場合、10頭ほどの同意が必要といいます。

この誰もが提案者になれる方法は、メンバーの意思を尊重する民主的、かつ合理的なもので、学ぶべき点があります。私は皆さんにも、積極的に提案し、意欲的に仕事を進めてほしいと思います。

とはいえ、組織として我が社が目指すのは、リカオンのような集団ではありません。リカオンは、生き残るには決定的な弱点があるからです。

リカオンは体格で勝るライオンなどに襲われることを避けるため、縄張りを持たず広範囲に移動して、天敵と接触する機会を減らしています。

問題は、環境の変化により身を守るのが難しくなっているのに、その生活スタイルを変えられていないことです。人間の生活領域の拡大に伴い、リカオンは広範囲に移動することがあだとなって、人間との接触機会が増えました。そのため、家畜を食べる「害獣」として駆除されたり、人間が飼っている犬の病気に感染したりしています。今では最盛期の1%に当たる5000頭ほどにまで減少しているとの報告もあり、絶滅危惧種に指定されています。同じく数を減らしているライオンやチーターと比べても、圧倒的に負けています。

私は、リカオンの結束力の強さが「集団的な思考停止」を招き、それが広範囲での移動スタイルを変えられない要因になっていると思います。外部環境の変化への対応でなく、集団の和を最優先してきたため、仲間に生活スタイルの変化を強いる提案は、出しにくかったのかもしれません。

会社という組織も同じです。単なる仲良し集団で居心地の良さに安住していては、組織は前に進めません。時には私や同僚への批判をしてもいいのです。会社のために改善すべきと思ったら、一時的に集団の結束を乱すことを恐れず異を唱え、皆と違う方向に進むことで、会社を変えてください。私もそうしています。それこそが、会社の永続につながる、真の組織貢献です。

以上(2021年1月)

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画像:Mariko Mitsuda

子会社を閉じる(解散・清算)ときの税務の留意点

書いてあること

  • 主な読者:子会社の業績が悪化し、その対応を判断しなければならない経営者
  • 課題:解散・清算の税務は、通常ほとんど触れない特殊分野であり、よく分からない
  • 解決策:100%子会社の子会社株式清算損や評価損といった損金の扱いに注意する

1 子会社整理の際に検討される主な方法

子会社の業績が悪化し、事業の継続が困難になってしまった場合、経営者は子会社の整理を決断しなければなりません。子会社を整理する際の主な方法をまとめた上で、「解散・清算」に注目し、税務上の留意点などを解説します。最後に、解散・清算の手続きもまとめます。

1)親会社が吸収合併する

合併には吸収合併と新設合併とがありますが、一般的には親会社が子会社を吸収合併するケースが多いです。この場合、重複コスト(経理や総務といった管理業務など)をカットできる一方、子会社の負うリスクを引き継ぐことになります。主なメリット・デメリットを整理すると次のようになります。経営者は税理士などの専門家に相談しつつ、考えられるメリットとデメリットをできるだけ網羅的に把握することが大切です。

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2)買い手がいる場合、子会社の経営権や事業を譲渡する

合併によるメリットが見込めない場合は解散・清算手続きを検討するのがほとんどですが、買い手がいる場合は経営権や事業の譲渡も検討できます。経営権の譲渡とは、株式を譲渡することです。また、事業譲渡とは、子会社が営んでいる事業のうち、買い手の希望している事業に関連する資産や負債を譲渡することです。

3)子会社を解散・清算する

合併によるメリットが見込めず、経営権や事業の買い手も現れない場合は、子会社を解散・清算する検討に入ります。

1.解散

解散とは、事業活動をやめて会社を消滅させることです。なお、会社は解散しただけでは消滅することはなく、続けて「清算」という手続きが必要になります。

2.清算

清算とは、会社の財産を換金したり、債権・債務を整理したりすることです。これらの手続きを経て、最終的に残った財産を株主に分配したところで手続きは終了し、会社は消滅します。なお、清算には「通常清算」と「特別清算」とがあります。「通常清算」は、会社の財産で全ての債務を返済することができるとき(債務超過でないとき)に取られる方法で、「特別清算」は債務超過を疑われる会社が裁判所の監督下のもとで進められる方法です。

2 子会社を清算するときの税務上の主な留意点

1)子会社に対する債権の免除

子会社が債務超過の状態にある場合、特別清算を避けるため、親会社から子会社に対する貸付金(子会社側では借入金)などの債権(子会社側では債務)を免除することが多いです。この債権の免除による損失(貸倒損失)は親会社の損金(税務上の費用)とすることができますが、免除の金額が過剰な場合、損金として認められないケースがあります。

2)子会社株式清算損は損金にできない

残余財産の分配がある場合、親会社は、子会社株式の帳簿価額と残余財産分配額(全ての資産を現金化し、負債の弁済・納税した後に残る財産の価額)の差額は、損益計算書に損失として計上することになります。税務上もこの損失は損金となります。

ただし、持株割合が100%の子会社(以下「100%子会社」)の株式については、この損失は例外として損金になりません。

3)子会社株式評価損を損金にできない

子会社が解散して清算手続きに入った場合、親会社が子会社株式評価損を計上することがあります。この評価損については、子会社の財務状況などによっては税務上も損金になります。

ただし、子会社株式清算損と同じように、100%子会社の株式について計上した評価損は損金になりません。

4)100%子会社の繰越欠損金は親会社に引き継ぐことができる

100%子会社の株式については、親会社側で子会社株式清算損や評価損を損金にすることはできません。その代わり、100%子会社の有している繰越欠損金を親会社に引き継ぐことができます。繰越欠損金とは、残余財産が確定した日の翌日前10年以内に開始した事業年度で生じた欠損金(税務計算上の純損失)で、税務計算上で所得と相殺していない未処理のものをいいます。

5)税理士などへの相談

解散や清算に関連する税務は、事業が続いている段階では触れることのない特殊分野です。損金の取り扱いも通常時と異なる点が多く、思わぬ課税が生じる可能性もあります。解散や清算をするときは税理士などの専門家へ相談し、誤った処理をしないようにすることが重要です。

3 子会社の解散・清算実務(通常清算の場合)の流れ

1)株主総会による解散決議と清算人の選任

会社を解散する場合、株主総会で解散決議を行い、承認を得る必要があります。同時に、その後の清算事務を執行する「清算人」の選任も併せて行います。清算人になるのに資格などは必要なく、一般的には代表取締役だった人が清算人になるケースが多いです。

2)登記手続き

解散が承認されてから2週間以内に、解散登記と清算人の選任登記を行わなければなりません。

3)官報公告

債権者に会社の解散を通知するとともに、債権の申し出をするよう、官報に公告を出す必要があります。なお、官報公告は、申し込みから実際に掲載されるまで10営業日前後の日数がかかります。

4)貸借対照表と財産目録の作成

清算人は、解散日の貸借対照表と財産目録を作成し、株主総会の承認を得ます。また、株主総会で承認された後は、必要な税務申告書を作成して提出します。

5)債権の回収や債務の弁済

解散日現在で未回収の債権を回収し、保有する財産を換価した上、債務の弁済を行います。なお、3)の公告から2カ月間(債権の申し出期間)は債務を勝手に弁済することはできません。従って、債務については、債権の申し出期間が経過してから弁済するようにしましょう。

6)清算確定申告

債権の回収・財産の換価を行った上、全ての債務を弁済したところで残った財産の金額が確定(残余財産の確定)したら、1カ月以内に必要な税務申告(清算確定申告)をします。この清算確定申告が、会社が行う最後の確定申告手続きになります。

7)残余財産の分配

必要な税務手続き・納税が完了したら、株主の持株割合に応じて残余財産を分配します。

8)決算報告書の作成と株主総会の承認

清算手続き中に得た収入の額や債務の弁済額などを記載した決算報告書を作成し、株主総会の承認を得たら清算は結了し、会社は消滅することになります。

9)清算結了の登記と税務届出書の提出

8)の株主総会の承認を受けて清算が結了したら清算結了登記を行うとともに、必要な税務届出書を税務署や県税・市税事務所に提出することで、全ての手続きは終了となります。

4 解散・清算で経営者が考えるべきこととは?

1)債権者への通知

会社を解散した場合、国が発行する官報で「解散した旨」や「債権の申し出をしてほしい旨」などを通知(公告)する必要があります。なお、経営者が解散を決断する前に取引先などにその事実が知れ渡ってしまうと、信用不安に陥るリスクがあるので注意しましょう。

2)従業員の解雇

会社が従業員を雇用している場合は、清算手続き中に従業員を解雇しなければいけません。解雇は早い段階で行うほうが給与や法定福利費の負担を抑えられます。しかし、経営者が解散を決断する前に解雇予定であることを知られると、従業員の動揺も大きく、解散までの期間の業務に支障が出ることがあります。従って、従業員に解雇通知を出すタイミングは慎重に決める必要があります。

3)保有財産の換価

負債(買掛金や借入金)の弁済に充てるため、保有している固定資産などは売却して現金化(換価)しなければなりません。なお、不動産などについては売却に時間がかかる一方、慌てて売却すると、安い金額でしか売れないこともあります。このような売却に時間がかかる資産は解散・清算を決定する前の段階で現金化する判断が必要です。

4)各種契約の解除

事務所のテナント契約やリース契約などがある場合には、解約手続きをする必要があります。契約内容によっては、事前に解約通知を行わないと違約金が取られる場合があるので、あらかじめ確認しておきましょう。

5)その他

会社を解散した場合は、税務署や社会保険事務所などに届け出をしなければなりません。また、許認可を必要とする事業を行っている場合、各業法に従って廃業届などを提出する義務があるケースがあります。

以上(2021年2月)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

pj30110
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【朝礼】デジタル時代だからこそ熱くなれ!

ビジネスのデジタル化が急速に進んでいます。その影響もあり、「感情を表に出さず、とにかく機械のように働くこと」を【効率化】と考える人もいるようです。しかし、私はそうした働き方には反対であり、デジタル化が進む時代だからこそ、「よりウエットに、人と人とのつながりを深める」ことを重視したいと考えます。それが私の信条であると同時に、今後のビジネスの可能性を広げていくために欠かせない、重要な要素であると信じているからです。

私には、尊敬してやまないビジネスの恩師がいます。今から20年ほど前、その恩師から「君は本当にすごいな!」と褒められたことがあります。それは、私が電話とメール、提案書のやりとりだけで、一度も相手と会うことなく数百万円の契約を獲得したからです。今でこそオンラインでの商談が普及していますが、当時はそのような発想は全くありません。「とにかく会って話そう」というのが通常です。しかもその相手は、社会的に非常に“おかたい”業界の人です。常識的に考えて、相手が一度も会ったことのない私と契約をするなんて考えられません。

にもかかわらず私が契約できたのは、もちろん会社の実績もありますが、それ以上に私の本気の姿勢と熱意が伝わり、私自身を信頼してもらえたからだと思っています。

皆さん、私はどうやって会ったことのない相手の信頼を得たと思いますか。

「人のどこを見て、信頼するか」は人それぞれですが、自己分析をしてみると、電話などのやりとりだからこそ、挨拶をきちんとするとか、時間などの約束を守るといったことに注意していました。そして、ここが重要なのですが、相手から難しい要求をされても、その難題と真正面から向き合う姿勢を決して崩しませんでした。夜遅くまで電話で話したり、一日に何十通もメールでやりとりしたりしました。互いの上司を説得するための作戦を一緒に考えたことも何度もありました。そうした中で強固な信頼関係が生まれ、「あなたと、このプロジェクトを成功させたい!」と互いに思えるようになったのです。

表面だけを捉えれば、電話やメールだけの営業は効率的に映り、そこばかりが注目されます。しかし、この例で私が心掛けたのは、泥臭いコミュニケーションを通じて、私の熱意を示すことでした。電話やメールは手段にすぎません。

これからのビジネスでは、画面越しでしか話したことのない相手と提携することが普通になります。そのとき、皆さんは相手のどこを評価して「組んでもいい!」と判断しますか。逆に、相手からの信頼をどのように勝ち取りますか。ましてや今は「個」を尊重する時代です。聞こえはいいですが、要は「会社の看板を外した状態で、皆さんが、どれだけ清く正しく存在感を示せるか」ということです。感情を奮い立たせ、熱い思いを伝えることがその答えになるはずです。

以上(2021年1月)

pj17038
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】議論に必要なのは「愛」「尊敬」「知識」

皆さんは、同僚やクライアントと正しく「議論」することができますか。議論とは、特定のテーマについて互いの意見を論じ合うことです。ビジネスでもしばしば議論することがありますが、これは互いに知恵を出し合い、より良い仕事をするためのものです。

ところが、ビジネスで行われる議論の多くは「勝負」になりがちです。「論破」という言葉に引っ張られるのか、「相手を言い負かすこと」が目的になっているのです。こういう間違った議論では雰囲気が険悪になり、相手から何か言われると自分自身を否定された気分になってしまいます。議論で否定するのは意見の内容や分析であり、相手自身ではないのですが、感情的になるとこの大原則を忘れがちです。しかし、論破されるのは悔しいかもしれませんが、自分にはなかった視点を得て、考え方を見直すきっかけになるわけですから、決して「負け」ではないのです。

また、経験上、議論が「勝負」になりがちなことを分かっている人は、衝突を避けるための努力をします。素晴らしいことですが、やはり方向性を間違えている人が多いように思います。よくあるのは、議論を深めるというよりも、相手をおだてて場を和ませ、折衷案に落とし込むケースです。しかし、こうした折衷案に魅力はありません。

どうすればビジネスでの議論がうまくいくでしょうか。議論の「さしすせそ」と「たちつてと」という興味深い指摘があるので紹介します。

まず、議論の「さしすせそ」は、議論を円滑に進めるための言葉です。具体的には、「さすがですね、知りませんでした、すごいですね、センスがいいですね、そうなんですね」と相手を肯定し、場の雰囲気を和らげる言葉です。

一方、議論の「たちつてと」は、研究者やエンジニアなどがよく使う言葉とされています。具体的には、「例えば? 違いは? つまり? 定義は? 統計的な裏付けは?」と質問し、状況を確認する言葉です。

ここで重要なのは、「さしすせそ」と「たちつてと」を対立項のように捉え、自分がどちらを使ったら有利かなどと考えないことです。「さしすせそ」も「たちつてと」も、議論を進めるためのきっかけにすぎません。議論の展開や雰囲気を考えて、「それは知りませんでした。ちなみに、統計的な裏付けはあるのですか?」と両方を組み合わせて使えばよいだけのことです。

議論には目的があります。お客様にとって良いサービスをつくるための議論であれば、まずお客様への愛がなければなりません。また、議論の相手は、共に良いサービスを検討する仲間であり、そこに尊敬がなければなりません。最後に、議論を深めるには準備、つまり知識が必要です。この「愛」「尊敬」「知識」を意識して議論すれば、くだらない勝ち負けにこだわることはなくなります。今年、皆さんの議論がバージョンアップすることを期待しています。

以上(2021年1月)

pj17037
画像:Mariko Mitsuda

役員退職慰労金を使った自社株式の評価引き下げ

書いてあること

  • 主な読者:役員退職慰労金を使って自社株式の評価を引き下げたい経営者
  • 課題:税務上、適正な役員退職慰労金の決め方や自社株の評価方法が分からない
  • 解決策:役員退職慰労金の損金算入時期をきちんと把握し、純資産価額方式で評価する

1 役員退職慰労金と純資産価額方式で評価を下げる

株式の評価額は評価方式によって大きく変わります。そのため、株式を高額で譲渡したい場合と低額で譲渡したい場合とで評価方法を自由に選択できたら便利です。しかし、実際はそうはいかず、相続税法において「取引相場のない株式」は、「純資産価額方式」や「類似業種比準方式」などによって評価することになっています。

本稿でご提案するのは、役員退職慰労金(以下「役員退職金」)を支払うタイミングで、前述の純資産価額方式を採用することで自社株式の評価を下げる方法です。例えば、事業承継(代替わり)では、現在の経営者の退任と、新しい経営者の就任があります。現在の経営者には役員退職金が支払われる一方、新しい経営者には基本的に“安く”会社を渡したいものです。このようなときに検討する方法です。具体的には、役員退職金を内部留保から支払って純資産を減らし、(純資産価額方式で評価すると)自社株式の評価を下げるということです。

2 さまざまな面から検討しなければならない

1)純資産価額方式とは

純資産価額方式は、企業の純資産に着目した企業価値の評価する方法であり、算出方法は次の通りです(財産評価基本通達185)。評価差額は資産の含み益ですが、これに37%を乗じて評価差額に対する法人税等に相当する金額を算出します(財産評価基本通達186-2)。

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一般的に、純資産価額方式は他に比べて株式の評価額を引き下げる手段が少ないと考えられますが、役員退職金の支払いを利用すれば大丈夫な場合もあります。内部留保から役員退職金を支払えば、その分だけ純資産は減少します。純資産価額方式で算定される株式評価額を引き下げられるというわけです。

2)基本的に役員退職金は損金になる

役員退職金を内部留保から支払って純資産を減らし、純資産価額方式で評価すると、自社株式の評価が下がるという方法ですが、役員退職金が税務上の損金になるかどうかも同時に考えなければなりません。純資産価額方式で評価額を下げたとしても、法人税等の納税が多額に発生してしまう可能性があるからです。

この点、役員退職金は、債務(支払い)が確定した日の属する事業年度の損金となります。役員退職金の支払いによる当期利益の大幅な減少を避けるため、毎期、有税で積み立てている場合は、役員退職金支給時に引当金と相殺し、引当金取崩額を損金計上することになります。具体的な取り扱いは法人税基本通達で定められています。

【法人税基本通達9-2-28(役員に対する退職給与の損金算入の時期)】
退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は、株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度とする。ただし、法人がその退職給与の額を支払った日の属する事業年度においてその支払った額につき損金経理をした場合には、これを認める。

損金になるか否かは重要なポイントなので、以降でもう少し説明します。

3)期中に退職した場合、支払いが確定したときに損金となる

役員が期中に退職した場合、内規により未払い計上することはできます。しかし、債務は確定していないので損金にはなりません。株主総会の決議や取締役会の決議で、役員退職金が具体的に確定した事業年度に損金計上するのが原則です。ただし、役員退職金の額が確定していても、会社の資金繰りの都合上、支払われない場合は、実際に支払った事業年度に損金計上することも認められています。

4)役員退職金を分割支給する場合、支給するべきときに損金となる

中小企業ではオーナー経営者や同族の役員が多く、役員在任期間が長くなりがちです。仮に在任1年当たりに換算した役員退職金が少額でも、在任期間が長期にわたると役員退職金は高額になります。このような場合、役員退職金を分割して支給することもあります。

税務上、役員退職金を分割支給する場合、支給するべきときに損金計上できます。株主総会の決議等による確定前に役員退職金の総額を費用で処理したとしても、未支給分は損金に算入できません。仮に、役員退職金5000万円を2分割支給(年間2500万円ずつ支給)する場合の税務上の取り扱いは、次のいずれかとなります。

  • 株主総会の決議等により、金額の確定した日の属する事業年度において一括して損金計上する。未払いの役員退職金分は未払い計上となる
  • 分割支給する日の属する事業年度ごと、2年間にわたって損金計上する

役員退職金を長期間で分割支給すると、支給額を恣意的に操作することで会社の利益を減少させるなどして課税を逃れることができます。これを防ぐため、役員退職金の分割支給は、資金繰りの悪化などの合理的な理由が求められるといわれています。また、長期間の分割支給は、退職年金支給と指摘される可能性もありますので、注意が必要です。

3 役員退職金による自社株式の評価引き下げは可能?

自社株式の評価が「ゼロ」であれば、譲渡であれ贈与であれ、原則課税はありません。例えば、創業者が後継者となる子供に自社株式を譲渡するとしましょう。その際、会社は創業者役員に多額な役員退職金を支払います。その金額が、貸借対照表上の純資産の部の合計に土地などの含み益または含み損を加減算した金額を上回った場合、創業者役員に役員退職金としてこの金額を支払った段階で、純資産価額方式で株式を評価すると、自社株式の評価は「ゼロ」となります。

会社は多額の役員退職金を支払うことになりますが、役員退職金規程が整備されていれば支払いの根拠ができます。また、退任役員への退職慰労金贈呈が株主総会の決議により承認されていれば、会社法上の問題はありません。

一方、会社が過大な役員退職金を支払った場合、法人税法上、役員退職金の損金計上が否認されるケースがあります。ただし、役員退職金が「不相当に高額であるか否か」の判定は企業規模や役員の在任期間などから税務署が下すため、会社では支払った役員退職金が「不相当に高額であるか否か」の判断をしにくいのが実情です。通達などで明らかにされていない事項もあります。税務署の判断と会社の税務上の処理が異なるリスクを低減するために、税理士などの専門家に相談しましょう。

以上(2021年2月)
(監修 税理士法人アイ・タックス 税理士 山田誠一朗)

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【朝礼】営業の現場で使える「4H」

今日は、もうすぐ始まる新年度にスタートダッシュを決められるよう、皆さんに覚えておいてほしいことを話します。

皆さんは、「3H(さんえいち)」という言葉を聞いたことがありますか? 「初めて」「変更」「久しぶり」の最初の文字「H(えいち)」を取ったもので、人がミスや間違いを起こしがちな作業シーンを表しています。初めての作業、変更があった作業、久しぶりの作業はヒューマンエラーが起きがちなので注意しましょうということで、主に工場などで使われていると聞きます。

私は、この3Hは、営業の現場でも同じだと考えています。営業はお客さまとコミュニケーションを取るのが大事な仕事ですが、特にコミュニケーションを取ってほしい、気を配ってほしい場面があります。それが、この「3H」の「初めて」「変更」「久しぶり」なのです。

例えば、お客さまの窓口担当者が変わり、「初めて」の方が担当になったときを想像してください。新しい担当者は、恐らく、自分が担当することになった案件や業務を精査し、見直そうとします。つまり、こちらのアクション次第でチャンスにもピンチにもなるのです。「初めて」の担当者に対しては、挨拶と同時に、そのお客さまがこれまでどのように当社のサービスを使ってくださっていたか、課題は何か、他のお客さまはどう使っているか、当社ができることは何か、そうしたことを早めに、しっかりと説明しましょう。

お客さまがこれまでと違ったことを依頼してきたとき、つまり何か「変更」があったときも同様です。お客さまが新しいことを考えているかもしれませんし、こちらが気付いていない課題が出てきているかもしれません。必ず「なぜそうした変更があるのか」を尋ねましょう。これも、チャンスにもピンチにもつながります。

そして、営業ではなるべく「久しぶり」はないほうがいいのですが、疎遠になってしまったお客さまがいる場合、ホームページやプレスリリース、業界ニュースなどで新しい動きがあったら連絡を取るチャンスです。ニュースを見ましたと、「久しぶり」に連絡を取り、お客さまの近況を聞いてみてください。そこには、新しいチャンスが隠れているかもしれません。

以上が「初めて」「変更」「久しぶり」の「3H」ですが、私は、もう1つ加えて「当社の営業の4H」にしたいと思います。4つ目のHは「ハイブリッド」です。当社ではオンラインの営業も取り入れ、対面とオンラインの両方で、ハイブリッドな営業ができるようになっています。このことも、お客さまとコミュニケーションを取るチャンスです。「対面でもオンラインでもお話しできるようになりましたので、どちらでもご希望のほうで、ぜひお会いしたいです」と連絡を入れてみてください。お客さまと話をするきっかけになるでしょう。

お客さまとコミュニケーションを取る際の「4H」。新年度、ぜひ実践していきましょう!

以上(2021年2月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】新しい生活様式に、歩くことを取り入れよう

今朝のテーマは、「皆さんの健康管理」です。これまで何度も話をしていることですが、年末のこの時期、改めてお伝えします。

特に、健康管理に関心が薄く、運動をしていない人はよく聞いてください。健康は自身だけの問題ではありません。健康を害すると、家族はもちろん、病欠に伴う業務の穴埋めをする上司や同僚にも迷惑を掛けることになります。

私は病気になることが悪いと言っているのではありません。避けられない病気もあります。ですが、日ごろから健康管理を怠るべきではないと言いたいのです。

私のお勧めは歩くことです。道具などを使う必要はなく、費用も掛かりません。何より体への負担も小さいので、無理なく行えます。例えばエスカレーターでなく階段を使ったり、目的地の1つ前の駅やバス停で降りて歩いてみたりと、自分の工夫次第で、ちょっとした時間を利用して実践できることもメリットです。

私は1日1万歩を目標に、いつも歩数計を携帯して歩いています。コロナ下で外出する機会が減っているため、歩数チェックを毎日行って歩くことを意識しなければ、目標は達成できません。私なりの新しい生活様式に、歩くことを取り入れようとしているのです。

私が歩くことで健康管理につなげようと考えたきっかけは、江戸後期に精密な日本地図を作成した伊能忠敬(いのうただたか)です。

忠敬は、当時では人生の晩年ともいえる55歳から70歳過ぎまでの約17年間かけて、全国を歩いて測量し、日本地図を作成しました。踏破した距離は、3万5000キロメートルとも、4万キロメートルともいわれています。1日の歩行距離は、40キロメートル程度に上ったそうです。

実は忠敬は、元来は体が強いほうではなく、持病のぜんそくに悩まされていたといいます。当初は測量中に発作が起きることもあったようですが、発作は次第になくなっていったそうです。歩き続けることで心肺機能が高まり、体が強くなったのかもしれません。歩くことは、何歳から始めても効果がある、という良い事例です。結局、忠敬は、当時では長命の73歳で亡くなりました。

古代ギリシャの医者で「医学の父」とも呼ばれるヒポクラテスも、「歩くことは人間にとって最良の薬である」という言葉を残しています。近年の研究では、1日8000歩歩くことが、がんや生活習慣病などにかかるリスクを低下させる、という報告もあるそうです。また、歩きなどの適度な運動には、免疫力を高める効果があるともいわれているので、風邪やインフルエンザなど、さまざまな感染症にかかるリスクを低減させることも期待できます。

私は、健康管理に努めることは、社会人としての最低限の義務だと思っています。皆さんは、そのために自分に何ができるか、考えてみてください。

以上(2020年12月)

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画像:Mariko Mitsuda