社員の意識が変われば会社は立て直せる/千葉ロッテを黒字転換させた前球団社長の組織再建術(後)

この記事は、千葉ロッテマリーンズ(以下「千葉ロッテ」)の前球団社長・山室晋也氏へのインタビューの「後編」です(前編は下記)。前編に続き、後編は山室氏が、社員の意識や人事制度を大きく変えていったお話をお伺いしています。経営者の皆さまの会社再建、組織再建の参考になれば幸いです。

1 社長はオーケストラの指揮者たるべし

当たり前のことですが、社長1人で会社の業績を上げることはできません。社長というのは、プロフェッショナルである社員たちをうまく機能させる、オーケストラの指揮者のような存在であるべきだと思っています。

会社を再建するには、社員一人ひとりの意識を変えて、業績を上げてもらうしかありません。ですが、形骸化した理念やビジョンを押し付けても社員の意識は変わりません。社員が働きやすい環境を作る、つまり、社員が楽しみながら仕事ができるような状況を作ることが必要です。そのためには、1人の人間として社員の気持ちを考え、1人の人間として当たり前の対応をすることが大切だと思っています。

2 成功体験で承認欲求が満たされれば、楽しみながら仕事ができるようになる

社員が楽しみながら仕事ができるようにするには、次の3つのサイクルが機能することだと思っています。

  • 自分(社員)がやりたいことを提案し、採用される
  • 自らの提案を実現させ、成功体験を得る
  • 会社の利益になることで周囲から評価され、承認欲求が満たされる

社員一人ひとり、社員としてその会社に勤めているからには、何かしらやってみたい「夢」があるはずです。社員にとっては、自分がやりたいと思っているアイデアを提案し、組織や上司を動かし、あの手この手を使ってそのアイデアを実現(クリア)していくことは、夢の実現とともに、ゲーム感覚的な楽しさが味わえます。

そして、第1ステージをクリアした後は、さらに困難で大きな課題を提案しようという気持ちになるでしょう。このサイクルが機能すると、組織は大きく動き出します。社長の役目はそれを後押しし、サポートすることですが、さまざまなことに気を使わなければなりません。

また、楽しんで仕事をするといっても、会社全体の利益にならなければ、ただの自己満足になってしまいます。それを明確に区別するためには、周囲からの評価と、その評価を適正に反映させた人事が必要になります。

3 まずは社員に提案してもらう

以前にも話しましたが(前編を参照)、会社の再建のための提案は、できれば社長からではなく、社員から提案してほしいと思っています。ですから、社員には「もっと言ってほしい」という思いがありました。そこで、社員からアイデアを引き出すために、まず社長は社員が提案をしやすい環境を作る必要があります。

1)全社員へのヒアリングと部署ごとの頻繁なショートミーティング

私が社長に就任して最初に行ったのが、全社員へのヒアリングです。また、部署ごとのショートミーティングも1、2週間に1回程度のペースで頻繁に行いました。社内の課題を把握することも大きな目的ですが、社員が目指す夢や社員像はどのようなもので、会社についてどのように考え、どのように改善したいと思っているかを知ることが重要なポイントです。

また、部署ごとのショートミーティングは15分程度の短いもので、基本的に楽しく、雑談だけで終わることもあります。誰かを責めるような形にしないことも重要です。千葉ロッテでは、ショートミーティングの中からアイデアが飛び出してくることが多かったと思います。

こうしたことにはかなりの時間が取られますが、全社員の話を均等に聞く機会を設け、本音で話してくれるような関係を築くのに必要な時間です。

中にはいきなり主張してくれる社員もいますが、多くの社員は、新社長に対してすぐには本音を出しにくかったと思います。私もどちらかというと口下手なほうなので、1回のショートミーティングではなかなか本音は聞けないものです。ですが、少なくともトップが聞く姿勢を持っているということを示すことはできます。

2)本音を引き出す関係作りは日ごろのコミュニケーションが大切

お互いの気心が知れるようになるには、日ごろのちょっとした会話の積み重ねだと思いますので、社員とのコミュニケーションには気を使いました。事あるごとに、「昨日はご苦労さま」とか、「あれ、良かったよ」「この間の件、おめでとう」といった声をかけることで、社員に「とんでもないことを言っても、この人は怒らない」「失敗しても怒られない」ということが浸透していきました。それで人間としての信頼感のようなものを得ていき、次第にやりたいことなどを話してくれるようになりました。

社員にとっては社長との会話は緊張するかもしれないので、会話の中では緊張をほぐすようなこともしています。半分冗談、どこまで本気か分からないほうが、楽しいと思っています。ビジネスの世界はロジカルで厳格なものですが、人間ですので、それだけだと息が詰まってしまいます。ところどころにユーモアや遊びというものがあったほうがいいと思います。人間というのは、伸び伸びしているほうが力を発揮できるという面がありますので。

社員数が50~60人くらいであれば、一人ひとりの社員に目が届くと思います。千葉ロッテ時代は正社員で60~70人程度の規模でした。社長室に閉じこもっていると何も情報が入ってきませんが、オープンな席で仕事をしていましたので、情報は集めやすかったと思います。「隅っこのほうで何か笑い声が聞こえる」「バタバタと電話がかかってきて、おわびをしている」といった状況は、何となく見えます。そこは常にアンテナを張っておいて、「どうしたの?」と声をかけに行くようにしました。

問題が起きたときも、失敗を責めるようなことはしませんでした。もちろん、失敗の原因となった行為や考え方は注意しますが、反省をしている人に追い打ちをかけてもマイナス効果しかありません。またチャレンジしようと思えるように誘導することが大切だと思います。

3)社長が社員の好き嫌いを見せるのは厳禁

社員とのコミュニケーションを重視するのと矛盾するかもしれませんが、私は一緒に飲みに行くなど、社員と社外で付き合うことはしないようにしています。特定の社員と仲良くしていると、入ってくる情報が偏ってしまうからです。

特に中小企業では、固定したメンバーで業務をするので、好き嫌いというものはどうしても出てしまいます。ですが、社長は社員の好き嫌いは絶対に表に出さないよう、ものすごく意識しないといけないと思います。それを表に出してしまうと、固定した人からのフィルターのかかった意見しか入ってこなくなってしまいます。大きな会社であれば人の入れ替わりもありますし、さまざまなルートから情報が入ってきますが、中小企業のオーナー社長はかなり強力な権限を持っていますので、ただでさえ限られたルートでしか情報が入ってきません。

社員同士の間でも、「この人は社長のお気に入りだ」「この人は社長から疎んじられている」といったバイアスが加わると、無用な派閥ができたり、社員の関係がギスギスしたりしてしまいます。

私自身の反省も含めてなのですが、社長は社員の評価に関することをオープンな場で話すのは避けるべきです。ただでさえ社員は、他の社員の評価に関する情報に聞き耳を立てています。社員の評価に関する話は、第三者に聞かれないように注意しなければいけないと思います。

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4 提案に真摯に耳を傾け、なるべく実現させる

1)「社員の提案の95%は検討する価値がある」と思い、詳しく聞く

社員から出される提案の中には、単なる思い付きだけの浅いものや、まだモヤモヤしたものもあります。ですが、社員の提案の95%は検討する価値があると思っています。もちろん、95%を採用するということではありません。

少なくとも提案をするからには、その社員が提案する何らかの背景があるわけです。最初は突飛(とっぴ)に思える提案であっても、まずは提案の背景と、どうすれば提案が実現できると思っているのかを聞いてみることが大切です。

中には、私が「それはどういうこと? 非常に面白いけどお金がかかるから、普通に考えたらできないけど」と聞くと、「実はお金をかけなくてもできる方法があるんです」と話してくれる社員や、「こうすれば、もしかしたらできるのではないかと思うのですが、具体的にはちょっとまだ思い浮かばないんです」と打ち明けてくれる社員もいます。実現方法を考えていないような社員には、「それはアイデアじゃなくて、思い付きだろ」と指摘します。

提案の背景と実現性を確認した上で、採用できない理由を説明すれば、提案した社員も納得はできると思います。そして、「確かに、やるとなるとものすごく大変だ。ちょっと自分でやれる自信はないな」という気付きを得て、少なくとも当事者意識を持ってくれるようになります。

2)採用したら、まずは提案者にやらせてみる

採用できそうな提案に対しては、基本は「では、君やってみて」という形で、提案者に任せることにします。ただし、途中で難しいように見えた場合は、サポートを付けたり、上司などが引き取ったりすることがあります。

これまでほとんど提案をしてこなかった人が提案をした場合などは、少し厳しそうだけどやらせてみよう、ということもあります。もちろん、小さなところから始めていくのですが、まず成功体験を積ませてみよう、ということで採用したこともあります。

社長に就任してすぐに採用したのが、ファンサービス担当の社員がヒアリングシートに記入した、「ファン感謝祭で選手とファンと千葉ロッテの社員で一緒にダンスを踊りたい」という提案でした。私の見たことのないダンスでしたが、とても楽しそうに踊っていたので採用を即決しました。即採用されたことにはその社員も呆気(あっけ)に取られたようでしたが、この企画は動画サイトでも拡散されるほどの大成功を収めました。この成功体験をきっかけに、千葉ロッテでは数多くの話題を呼ぶファンサービスが生まれることになりました。

また、「どうせ無理だけど、東京ドームでできたらいいのにな~」という社員のつぶやきが発端で、2016年7月に東京ドームでの初の主催試合を開催しました。東京ドームやフランチャイズ権を持つチームからの許可などに1年半をかけて実現に至りましたが、結果として満員御礼となり、1試合での集客と収益としては球団史上最高を記録しました。

3)数多くのアイデアが社員からの提案で実現

その他、ここでは社員からの提案で実現した代表的なものを紹介します。特にファンサービスの面では、社員の豊富なアイデアに助けられました。実は、これらの中の多くのアイデアが、私の社長就任前にも提案されたものの、ほぼ門前払いで却下されていたようです。

また、私の社長就任前までは年1回程度、形式的に行われていた選手会と社員とのミーティングを原則毎月開催するようにして、選手と社員との相互理解と協力体制ができたことで実現した提案もあります。

  • 「謎の魚」という公式キャラクター
  • 毎月行うファン感謝試合「マリンフェスタ」
  • ビールの売り子がアイドル活動を行う「マリーンズカンパイガールズ」と売り子選手権
  • ヒーローインタビュー表彰
  • 勝利後の選手とファンとのコール「WE ARE!」
  • ユニホームの名前と場内アナウンスのコールをニックネームにした試合の開催

5 能力と実績に応じた公平な人事評価・人事制度に改革

1)有名無実化していた「人事評価制度」を大きく変えた

これも当たり前ですが、社員が楽しく仕事をするには、社員の能力と実績に報い、周囲からの納得感も得られる人事評価と人事が必要です。

実は私が社長に就任する前の千葉ロッテには、人事制度があってないようなものでした。しっかりとした評価制度がなく、年功序列的な形になっていました。また、社内にはロッテHDからの出向者、球団独自の採用者、業務委託契約者など、さまざまな属性の人が集まっていて、そこの垣根もありました。会社再建のためには、その部分を変えることが必要でした。

私が採用した人事評価制度は、簡単に言うと年齢や勤務年数、属性などの違いを全てフラットに評価するというものでした。とはいえ大半の業務は数値化できないので、360度評価のように、上司や部下、関係部署などから広く意見を聞いて、なるべく合議制の形で評価をするようにしました。それほど社員の数も多くないので、周りから見ていても、誰が仕事ができるのか、というのは分かってくるもので、大きく評価がずれることはないと思います。

人事に関しても、色を付けずに純粋に能力に応じたポジションを充てる、ということを行いました。頑張れば、能力があれば昇進・昇格・昇給するという、普通の会社にとって当たり前のことをしただけです。

2)ビールの売り子が部長に

能力と実績に応じた人事に改めて、「大抜てき」に見える人事も行われるようになりました。例えば、ビールの売り子のアルバイトだった人が、契約社員、正社員となり、部長に昇進したケースもあります。また、契約社員から本部長になった人も3人います。

私としては、さまざまな人の意見を聞きながら、マネジャーとしての見識や能力など総合的に判断して、あるべきポジションに収めた、という感覚でいます。特段、むちゃくちゃに抜てきしたという気持ちもありません。ステップを踏んで徐々に昇進していますし、周囲の評価と照らしても、納得感がある人事だったと思います。

一番大事な評価のポイントは、アイデアを出して、それをきちんと実行できることです。プロジェクトマネジャーとして、きちんとプロセス管理ができる人を一番評価します。

中小企業の場合、社長の目が全社員に届きやすいので、社員はプレーヤーに徹することが多いのではないでしょうか。千葉ロッテの場合もプレーヤーばかりで、もう少しマネジメントをやってほしいという気持ちがありました。

自分は一歩下がって部下たちの力が発揮できるようにするとか、他部署との調整をするとか、どこにターゲットを絞って攻めるべきかを考えられるような人材です。千葉ロッテでは、自分の仕事だけをすればいいという傾向がありましたので、自分最適ではなく、会社の全体最適化を考えられるプレーヤーの育成に努めました。

そのために、個別にかなり密にコミュニケーションを取るようにしました。「それでは他部署との連携がうまくいかない」「こうすれば収益が2倍になる」「その情報は自分だけでなく、社内で共有したほうが大きな反響を得られる」といったことを、オンザジョブで指摘していきました。

3)小さな表彰制度を活用

2:6:2の法則というか、組織としてやはりどうしても2割か3割の人が大半の仕事を行う、という状況になってしまいます。ただ、残りの8割なり、下位の2~3割の人を放置しておくというのは、非常にもったいない話です。

そういった人たちのモチベーションが上がるための制度が、表彰制度です。「その人のポジションや能力からすると、ちょっとチャレンジしたね」という場合に、表彰によってスポットを当てることをしました。これは、組織全体の活性化に大きく役立ったと思います。

表彰は、日ごろ目立たない部門なども含めて、全社員に公正に行き届くことが大切です。例えば、難しい案件を早く上司に回して決裁をした人に「上司への書類キラーパス賞」、スマホアプリなどの集客企画を実施してファンをスマホ依存症にした人に「スマホ依存賞」など、型にはまらずに表彰しました。賞品は500円程度の図書カードなどの安価なものですが、皆の前で表彰されて、拍手をされながら受け取ることに意味があります。

こうした表彰は非正規社員やアルバイトも対象にしました。それによって、警備員が愛想良く誘導するようになり、清掃のアルバイトが来場者に笑顔で挨拶をするようになるといった効果がありました。

さらに、上司にとっては毎月の表彰者探しが義務となりましたので、部下の良いところを探すために部下に関心を持つようになる、という意義も大きかったと思います。

4)中小企業に特有の「役職インフレ」

年齢や勤続年数と人事の逆転現象は生じてしまいます。逆転された人も腐ってしまわないようにするには、基本的なことですが、コミュニケーションを取ることを心掛けました。

それから、現実的な対応として、肩書を与えてモチベーションアップを図ることもしました。恐らくどこの中小企業もそうだと思うのですが、「役職インフレ」になっているのではないでしょうか。給料ではなかなか報いることができないので、何で報いるか、ということを考えると、肩書で報いるということになってしまいがちです。

特にプロスポーツ事業会社の場合、管理職が4割くらいになってしまっています。千葉ロッテの場合も、そこら中に本部長、部長、課長がいて、課長の下にはほとんど誰もいないような部署が多くありました。

本来は大企業のような三角形の組織体を目指したいので、この問題ではいろいろと考えたのですが、日本人の感覚として肩書を重んじる文化があるので、ある程度は肩書で報いるものとして割り切ることにしました。理想と現実のギャップができるのは仕方ないと思っています。

6 指揮者であっても自分の背中を見せて社員を引っ張る

1)「ここ一番」では絶対に逃げない

社長はオーケストラの指揮者であるべきだと言いましたが、そうは言ってもやはり中小企業の場合、社長が率先垂範しないと誰も付いてきてくれません。立派なロジックであったり夢であったり理想だったりを語っているだけでは、社員の心に響きません。

中小企業の場合、社長にもプレイングマネジャー的な役割が求められると思います。しかし、やりすぎてしまうと、時間も限られていますし、部下が育ちません。毎回社長が出ていくと、全部「社長お願いします」となってしまいます。ちょっと背中を見せるというか、「ここ一番」というときに出ていくのが理想だと思います。ただし、その「ここ一番」というところでは、絶対に逃げずに必ず出ていくということが大事です。

私はシーズンの開幕・閉幕の際に、球団を代表してファンに向けたメッセージを必ず公表するようにしていましたが、チームの成績が悪かったときは、逃げ出したい気持ちを抑えてメッセージを伝えていました。

2)ホームグラウンドでの試合の開門時にハイタッチで出迎え

私が社長就任期間を通じて欠かさなかったことに、「開門時のハイタッチ」があります。これは、ホームグラウンドでの試合の日の開門時に、入場ゲートの前でマスコットや社員とともに来場者をハイタッチで出迎えるというものです。

「千葉ロッテは、ファンが早くから来場することを社長がこんなに喜び、歓迎する球団だ」ということを、ファンや社員に伝えるために始めました。「どうせ長続きしないだろう」といった冷ややかな声もありましたが、社長として「お客さま第一主義」を掲げた以上、信念を貫き、方針に沿った行動を続けることが、社長としての責任の取り方だと考えて続けました。

ハイタッチを続ける私の信念は、ファンだけでなく、多くの人に共感していただくことができました。私の姿勢を評価してくれたスポンサーから協賛金を増額してもらったり、地元の千葉市の担当者が私の意見を尊重してくれるようになったり、選手がハイタッチなどのファンサービスに不満を言わなくなったり、という影響があったと思っています。

また、ファンの方に私の顔を覚えていただき、来場者から直接クレームなどのご意見をいただけるようになったことも、良い効果だったと思います。

7 社員の意識さえ変われば、結果はついてくる

実は、開門時のハイタッチは、業務を発注している別会社の若い男性社員の発案でした。彼は、社長に就任して間もない、会社を変えようと張り切っている私と雑談をしていた際に、「いつも社長なんて、そうやって変えると言うだけで、結局変わらないんですよ」と言ってきた人物です。私としては、「俺は絶対変えてやるから見ててくれ」と返答したものの、つらくもありましたし、「現場の人たちは、私の意気込みをその程度にしか捉えていないのだろう。むしろ『迷惑だな』と思っている人もいるだろう」という気付きを与えてくれもしました。

そんな彼の遠慮のない提案を聞いて、私は彼を球場のホスピタリティ改善の実質的な責任者に任命しました。その後、彼は多くの提案をしてくれましたし、もともと彼は決して愛想が良いほうではなかったのですが、率先して笑顔でファンを出迎える役割を果たしてくれました。

最初に直言されてから2、3年たって、彼から「会社がすげー変わって、本当に良かったです。こんなに変わると思っていなかったし、僕自身も変わりました。ありがとうございました」と言われました。私が千葉ロッテの社長になって、一番うれしかった言葉でした。

本来、「できない社員」というのはいません。意識さえ変われば社員は大きく成長しますし、収益を出そうと一生懸命やってくれます。そうなればおのずと結果がついてきて、会社は立ち直るのだと思います。

【参考文献】
「経営の正解はすべて社員が知っている」(山室晋也、ポプラ社、2021年2月)

山室晋也(やまむろ しんや)
1960年1月25日、三重県生まれ。エスパルス代表取締役社長。
1982年に立教大学経済学部卒業後、大手銀行に入行。4店の支店長を経て、2011年4月から執行役員。2013年4月、銀行子会社の代表取締役社長に就任。
2013年11月に千葉ロッテマリーンズ顧問に就任し、2014年1月から取締役社長。2019年12月、退任。
2020年1月、清水エスパルスを運営するエスパルス代表取締役社長に就任し、現在に至る。
著書に「経営の正解はすべて社員が知っている」(ポプラ社、2021年2月)。

以上(2021年12月)

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画像:千葉県

【チェックリスト付き】社員が定年退職したときに必要な労務と税務の手続き

1 定年退職する社員に関する労務と税務の手続き一覧

社員が定年退職した場合、しなければならない労務と税務の手続きがたくさんあります。しかし、中小企業の場合、毎年定年退職者が出るわけではないので、抜け漏れが生じがちです。そこで、次のようなチェックリストを作ってしっかりと対応したいものです。

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労務や税務の知識がある方は、このリストを確認用として使っていただければ大丈夫です。一方、手続きの内容などを改めて確認したい方は、この後の説明をお読みください。各手続きの後ろにある(会社)や(社員)は、手続きをする主体を示しています。

2 労務の手続き:社会保険(健康保険・厚生年金保険)

社会保険は、定年退職後の社員の働き方に応じて、必要な手続きが次のように異なります。

  • 定年退職後、再雇用され、社会保険の被保険者要件を満たす場合:1)、2)、3)
  • 定年退職後、再雇用され、社会保険の被保険者要件を満たさない場合:1)、2)、4)
  • 定年退職後、再雇用されない場合:1)、2)、4)

1)保険証の回収(会社)

会社は、社員の退職時に、社員とその被扶養者の保険証(健康保険被保険者証)を回収します。 万が一、社員などが保険証を紛失していたら、回収不能届(健康保険被保険者証回収不能届)を作成し、紛失した旨を記載します。

2)資格喪失届と保険証の提出(会社)

会社は、社員が退職した日の翌日から5日以内に、資格喪失届(健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届)と保険証(紛失した場合は回収不能届)を、所轄年金事務所に提出します。手続きが終わると、年金事務所から資格喪失の通知が会社に送られてくるので、退職日から2年間、会社が保管します。

なお、会社が資格喪失届と保険証の提出を怠ったり虚偽の届け出をしたりした場合、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が、会社に科せられます。

3)再雇用時の資格取得届の提出(会社)

定年退職と同時に再雇用された社員が、社会保険の被保険者要件を満たし、かつ再雇用後の給与が大幅に下がる場合、「同日得喪」の手続きを行うことで、再雇用された月から標準報酬月額を変更できます。

同日得喪を行う場合、会社は、社員が退職した日の翌日から5日以内に、資格喪失届、保険証と併せて資格取得届(健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届)を、所轄年金事務所に提出します。被扶養者がいる場合、被扶養者(異動)届(健康保険被扶養者(異動)届)も一緒に提出します。手続きが終わると、年金事務所から資格取得の通知と新しい保険証が会社に送られてきます。資格取得の通知は、再雇用後の労働契約が更新されず終了する日から2年間、会社が保管し、新しい保険証は社員に交付します。

なお、会社が資格取得届の提出を怠ったり虚偽の届け出をしたりした場合、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が、会社に科せられます。

4)公的医療保険に加入(社員)

社員は、退職した後も所定の期日までに、健康保険などの公的医療保険に必ず加入しなければなりません。公的医療保険については、再就職先で健康保険に加入する場合を除くと次のような選択肢があり、それぞれ加入などに必要な手続きなどが異なります。

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3 労務の手続き:雇用保険

雇用保険は、定年退職後の社員の働き方に応じて、必要な手続きが次のように異なります。

  • 定年退職後、再雇用され、雇用保険の被保険者要件を満たす場合:手続きは原則不要
  • 定年退職後、再雇用され、雇用保険の被保険者要件を満たさない場合:1)、2)、3)
  • 定年退職後、再雇用されない場合:1)、2)、3)

1)離職証明書の作成(会社)

会社は、社員の退職時に、離職証明書(雇用保険被保険者離職証明書)を作成します。離職証明書は、退職した社員が離職票をもらうために必要な書類で、社員が59歳以上の場合、作成は義務です。離職証明書を作成したら、社員に離職理由に異議がないことなどを証明するための署名をしてもらいます。

2)資格喪失届と離職証明書の提出(会社)

会社は、社員が退職した日の翌日から10日以内に、資格喪失届(雇用保険被保険者資格喪失届)と離職証明書を所轄ハローワークに提出します。手続きが終わると、ハローワークから「資格喪失の通知(会社と社員の控え)」「離職証明書(会社の控え)、離職票」が送られてきます。資格喪失の通知(会社の控え)と離職証明書(会社の控え)は、退職日から4年間、会社が保管します。資格喪失の通知(社員の控え)と離職票は、到着後、速やかに社員に送付します。

なお、会社が資格喪失届と離職証明書の提出を怠ったり虚偽の届け出をしたりした場合、またはこれらの書類を社員に送付しない場合、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が、会社に科せられます。

3)雇用保険の求職者給付の受給手続き(社員)

社員が再就職を希望する場合、住所地を管轄するハローワークで手続きをすることで、求職活動中、雇用保険の求職者給付が受けられます。退職時の年齢が65歳未満か否かによって給付の種類が次のように異なります。

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4 税務の手続き

1)退職所得の受給に関する申告書の提出(社員)

退職金を受け取る社員は、退職金の支払いを受ける日までに、「退職所得の受給に関する申告書」(以下「申告書」)を会社に提出します。

2)退職する社員の所得税の計算(会社)

会社は、申告書を受領後、原則として次の算式で計算した金額(課税退職所得金額)を基に所得税を計算します。

課税退職所得金額=(退職手当等の額-退職所得控除額)×1/2

なお、税制改正により、勤続年数が5年以下である社員に300万円を超える退職金を支給する場合、その300万円を超える部分については上記算式の「1/2」を適用することができなくなるので注意が必要です(2022年1月1日以降に支給する退職金から適用されます)。

退職手当等の額から控除できる退職所得控除額は、原則として次の通りです。

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社員が申告書を提出しない場合、会社は、退職金の金額に対して20.42%の税率で源泉徴収をしなければなりません。この場合、当然ながら、社員は退職金の支給時に退職所得控除などを受けられないため、社員が自分で確定申告することによって精算する必要があります。

3)住民税未納分の支払い(会社)

在職中、住民税は給与から特別徴収されていますが、社員が退職した場合、退職の時期によって処理の方法が違います。住民税には普通徴収と特別徴収があり、その概要は次の通りです。なお、会社勤めの場合は、原則、特別徴収となります。

  • 普通徴収:納税者本人が、市区町村に住民税を納めること
  • 特別徴収:会社が給与から住民税を天引きし、市区町村に住民税を納めること

では、社員が退職する時期に応じた住民税の処理を説明します。

1.1月1日から4月30日までに退職する場合

この場合、会社が退職月から5月分までの住民税を一括で、最後の給与または退職金から天引きし、市区町村に一括で納めます(一括徴収)。なお、給与または退職金から、住民税が多すぎて控除しきれなかった場合は、その金額については社員自身が普通徴収で市区町村に納めることになるため、本人に知らせる必要があります。

2.5月1日から5月31日までに退職する場合

この場合は、通常通り、5月分の給与から住民税を天引きし、市区町村に納めます。

3.6月1日から12月31日までに退職する場合

この場合は、退職月から翌5月分までの住民税は、退職した社員がすぐに再就職する場合を除き、次のいずれかの方法で手続きします。

  • 会社が、最後の給与または退職金から一括で天引きして市区町村に納める
  • 退職時に普通徴収に切り替えて、退職する社員が市区町村に納める方法

4)退職所得の源泉徴収票と給与所得の源泉徴収票の作成(会社)

会社は、社員が退職後1カ月以内に、退職所得の源泉徴収票と給与所得の源泉徴収票を作成して、社員に交付します。なお、退職するのが役員の場合には、役員に交付するのに加えて、税務署と退職する役員が住む市区町村に退職所得の源泉徴収票を提出(原則退職後1カ月以内)しなければなりません。

また、会社が退職所得の源泉徴収票や給与所得の源泉徴収票を退職した社員に交付しない場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が、会社に科せられます。

以上(2021年12月)
(監修 社会保険労務士法人AKJパートナーズ 特定社会保険労務士 諸富一子)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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画像:Dmytro Zinkevych-shutterstock

【従業員が交通事故!】責任割合はどうなる? ⑤前方車両の急ブレーキ

書いてあること

  • 主な読者:社有車の事故防止に力を入れたい経営者や運行管理責任者ならびに運転者
  • 課題:交通事故の基本的な責任割合や未然防止策を知りたい
  • 解決策:過去の裁判例に基づく基本的な責任割合と場所や状況に応じた事故防止策を理解する

1 事故事例と状況を把握します。

今回の事故状況はこちらです。A(自社の青い車)が、一般道でB(相手方の赤い車)に追突してしまいました。Bが突然急ブレーキをかけて車間距離が一気に詰まってしまったため、Aの停止が間に合わなかったそうです。

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【A車:自社車両 B車:相手方車両】

安全な場所に停止している自動車への追突事故や、法定速度の範囲内で通常の走行をしている自動車への追突事故の場合は、追突された側に過失(不注意やミス)がないため、責任割合はA100%:B0%となることが一般的です。

これは「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。」(道路交通法26条1項)と定められているためです。

今回のケースでは「後ろから煽られている感じがして、イライラしてブレーキを踏んだ」とBが言っていたそうです。

2 今回の責任割合を、見てみましょう。

1)責任割合の決まり方は?

双方に責任が生じる事故の場合、それぞれの保険会社を窓口として交渉することが一般的です。過去の裁判例の責任割合を参考に、実際の事故状況を踏まえて話し合い、決定していきます。

2)今回の責任割合は?

過去の裁判例より、A(自社の青い車)70%:B(相手方の赤い車)30%が基本の責任割合となります。

Bの急ブレーキの事実に争いがなく、かつ正当な理由もなくブレーキをかけたことが明らかになっている場合の基本の割合です。

前述のとおり、追突された側に過失がない場合の責任割合はA100%:B0% ですが、今回の事故状況における基本の責任割合には、道路交通法で「車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない」(同法24条)と定められていることに基づいて、Bの過失を認めています。

※実際は、それぞれの事故状況に応じて個別に決定されます。そのため、記載の内容とは異なる結果になる場合もあります。

3 今回の事故事例を未然に防ぐポイントとは。

今回は追突事故において、追突をされた側にも責任が問われるケースをご紹介しましたが、追突事故の発生を予防するには、

  • 安全な車間距離を維持する(一般道での安全な車間距離の目安は、例えば時速40キロで走行の場合は25メートル、時速60キロで走行の場合は45メートルと言われています)
  • 渋滞時には前方車だけではなく、2台前の車の動きや横からの車の割り込みなども注視して前方車の動きを予測する

ことが重要です。

その他、ドライブレコーダーを活用した安全運転指導や教育サービス、無料の安全運転セミナーを提供している機関もありますので、それらを利用して自動車事故防止活動をしていくのも良いでしょう。

以上(2021年12月)

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本記事で紹介している責任割合は、過去の裁判例を参考にした基本的な割合です。実際は、それぞれの事故状況に応じて個別に決定されます。そのため、記載の内容と異なる結果になる場合もあります。

【従業員が交通事故!】責任割合はどうなる? ④信号のある交差点(赤×青)

書いてあること

  • 主な読者:社有車の事故防止に力を入れたい経営者や運行管理責任者ならびに運転者
  • 課題:交通事故の基本的な責任割合や未然防止策を知りたい
  • 解決策:過去の裁判例に基づく基本的な責任割合と場所や状況に応じた事故防止策を理解する

1 事故事例と状況を把握します。

今回の事故状況はこちらです。A(自社の青い車)が、交差点でB(相手方の赤い車)と接触してしまいました。Aは赤信号、Bは青信号だったそうです。

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【A車:自社車両 B車:相手方車両】

今回のポイントは「信号機の色」です。

信号機の色は双方の主張が食い違うことがありますので、周囲の方の目撃情報などの協力を仰ぐことも有効です。

もしドライブレコーダーが搭載されている場合は、事故を録画したデータの保全をしておく事が重要です。ドライブレコーダーの機種によっては、時間経過するとデータが自動消去されるものや、走行すると上書きされてしまうものもありますので注意しましょう。

2 今回の事故事例の基本的な責任割合(過失割合)を見てみましょう。

1)責任割合の決まり方は?

双方に責任が生じる事故の場合、それぞれの保険会社を窓口として交渉することが一般的です。過去の裁判例の責任割合を参考に、実際の事故状況を踏まえて話し合い、決定していきます。

2)今回の責任割合は?

過去の裁判例より、A(自社の青い車)100%:B(相手方の赤い車)0% が基本の責任割合となります。

信号機のある交差点では、通行する車両は信号に従わなければならない(道路交通法7条1項)ため、赤信号で進入したAに100%の責任が生じます。

ただし、Bが前方に対する注意を払っていれば容易に事故を回避できた場合や、信号の変わり目に事故が起こった場合は、Bも責任を問われることがあります。

※実際は、それぞれの事故状況に応じて個別に決定されます。そのため、記載の内容とは異なる結果になる場合もあります。

3 今回の事故事例を未然に防ぐポイントは?

信号無視の主な原因としては、①信号の見落とし ②信号の誤認 ③タイミング 等が考えられます。

①信号の見落とし・・疲労や考え事、同乗者との会話などにより集中力を欠如しない。
②信号の誤認・・黄色は「止まれ」の意味。矢印表示などの変則信号機では慎重に、誤って一つ先の信号と勘違いしないよう気を付ける。
③タイミング・・黄色信号で交差点へ進入しない。

赤信号で交差点に進入した場合の事故はスピードが出ていることが多く、双方の車が大破したり、横転や怪我など大きな事故につながりやすく危険です。無理な交差点進入は避け、心と時間に余裕を持って運転することを心掛けましょう。

その他、ドライブレコーダーを活用した安全運転指導や教育サービス、無料の安全運転セミナーを提供している機関もありますので、それらを利用して自動車事故防止活動をしていくのも良いでしょう。

以上(2021年12月)

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本記事で紹介している責任割合は、過去の裁判例を参考にした基本的な割合です。実際は、それぞれの事故状況に応じて個別に決定されます。そのため、記載の内容と異なる結果になる場合もあります。

【従業員が交通事故!】責任割合はどうなる? ③一方が優先道路の交差点

書いてあること

  • 主な読者:社有車の事故防止に力を入れたい経営者や運行管理責任者ならびに運転者
  • 課題:交通事故の基本的な責任割合や未然防止策を知りたい
  • 解決策:過去の裁判例に基づく基本的な責任割合と場所や状況に応じた事故防止策を理解する

1 事故事例と状況を把握します。

今回の事故状況はこちらです。A(自社の青い車)が、交差点でB(相手方の赤い車)と接触してしまいました。Bの進行道路には、交差点を貫通するセンターラインがあったそうです。

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【A車:自社車両 B車:相手方車両】

今回のポイントは、センターラインです。

①実線(繋がっている線)か破線(点線)かどうか
②交差点の中心を貫通しているかどうか
③A側から見た時、中央線が視認できるか

などを確認します。

もしドライブレコーダーが搭載されている場合は、事故を録画したデータの保全をしておく事が重要です。ドライブレコーダーの機種によっては、時間経過するとデータが自動消去されるものや、走行すると上書きされてしまうものもありますので注意しましょう。

2 今回の事故事例の基本的な責任割合を見てみましょう。

1)責任割合の決まり方は?

双方に責任が生じる事故の場合、それぞれの保険会社を窓口として交渉することが一般的です。過去の裁判例の責任割合を参考に、実際の事故状況を踏まえて話し合い、決定していきます。

2)今回の責任割合は?

過去の裁判例より、A(自社の青い車)90%:B(相手方の赤い車)10% が基本の責任割合となります。

道路標示により中央線が交差点の中まで連続して設けられている(貫通している)道路は、「優先道路」として認められます。

道路交通法では、優先道路を通行している車両が見通しのきかない交差点を通行する時には徐行義務は無い(道路交通法42条1号)と定められています。しかしその場合でも、交差道路を通行する車両等に注意し、できる限り安全な速度と方法で進行する義務が求められている(道路交通法36条4項)ため、Bにも10%の責任割合が発生します。

※実際は、それぞれの事故状況に応じて個別に決定されます。そのため、記載の内容とは異なる結果になる場合もあります。

3 今回の事故事例を未然に防ぐポイントとは。

皆さんは「二段階停止」や「多段階停止」という言葉を聞いた事がありますでしょうか。

一度停止するだけではなく、安全を確認できる場所で二度、三度と停止して慎重に進んでいく運転方法です。安全確認に加えて、他の車などに自車を認知させる意味もあります。

今回のA側の注意点としては

  • カーブミラー等を活用し、多段階停止をしながら慎重に進む
  • 交通の往来が多い場所では無理に横断しようとせず、まずは左折し迂回してできるだけ安全なルートも検討する

ことで、事故のリスクを軽減することができます。

また優先道路のB側においても、交差点がある場合にはカーブミラー等で進入車の有無を確認しましょう。「優先道路だから大丈夫」と過信せず、前方を注視して減速するなど、構えることも大切です。

その他、ドライブレコーダーを活用した安全運転指導や教育サービス、無料の安全運転セミナーを提供している機関もありますので、それらを利用して自動車事故防止活動をしていくのも良いでしょう。

以上(2021年12月)

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本記事で紹介している責任割合は、過去の裁判例を参考にした基本的な割合です。実際は、それぞれの事故状況に応じて個別に決定されます。そのため、記載の内容と異なる結果になる場合もあります。

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\経営者のための/
リスクマネジメントマニュアル ~ハラスメント対策編~

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リスクマネジメントマニュアル ~休業リスク対策編~

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本資料では、様々なリスクソリューションを提供する損保ジャパンの視点と調査データをもとに「他社はどうしている?」の疑問にお答えします。

※『2019年版中小企業白書』(中小企業庁編) | https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2019/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdf

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【朝礼】今年の進化と来年の進化を考えてください

今日は私から皆さんに2つ、提案があります。1つ目は、「今年を振り返って、去年に比べて自分が進化した点は何か考えること」。2つ目は、「来年、今年よりも進化したい点を決めること」です。今年もあとわずかで終わりますので、ぜひ年内にやってみてください。

この提案をしようと思ったのは、お付き合いのあるデザイナーさんから聞いた「口紅の話」がきっかけです。化粧品メーカーでは、口紅の色合いや品質を常に研究してバージョンアップしているので、同じ赤でも、数年前に出した商品と今年出した商品では、色や質感がかなり異なるそうです。そのため、若い頃から愛用している口紅を変えずに使い続けていると、「妙に古臭いメーク」に見えてしまいます。言葉を選ばずに言えば、「昭和感のあるメーク」です。

デザイナーさんいわく、「口紅で新しい赤が出ている上に、化粧品以外のさまざまな商品でも赤が変化しているのに、自分の口紅だけが十何年も前からの赤であれば、当然古く見える」のだそうです。身の回りの商品やはやりなどの変化に伴って、世の中全体の色彩感覚も変化しているから、ということなのでしょう。

色に着目したデザイナーさんらしい面白い視点です。これに加えて私が思うのは、世の中全体の色彩感覚の他にも、当然、「自分の顔が変化したのに同じ口紅を使い続けている」のも、古臭いメークに見える要因ではないかということです。

これはつまり、自分の顔が変化していることを認識できていないともいえます。毎日鏡で見ていると、確かに変化に気付きにくいでしょう。

このことは、私たち一人ひとりの仕事、生き方、人生にも通じるところがあります。毎日同じ環境で同じ仕事をしていると、自分の変化はなかなか認識できません。「前よりこの仕事の処理速度が上がった」「クライアントへの話の仕方が変わって反応が良くなった」など、実は、変化というより良い方向に進化していることでさえ、意識していないと気付かないことが多いのです。

また、人間は惰性の生き物です。「意識する」という点で言うと、そもそも、自分を進化させようと意識して行動していなければ、前に進んでいくことはできないでしょう。

そこで冒頭の提案です。皆さん、今年の進化を振り返り、そして来年の進化の目標を、自分で意識して決めてください。ちなみに私は、今年は社外の人に対してオンラインセミナーでお話しする機会が多い年でした。そのため、オンラインの最初の1分で引きつけるコツを前より身に付けたと思いますし、画面越しにファシリテーションする能力も上がったように感じます。来年は、これをさらに進化させて、定期的な動画配信にチャレンジしようと考えています。見た目も大事なので、ジョギングも始めようと思います。そう考えると、来年が楽しみで仕方ありません! 皆さんもぜひ、考えてみてください。

以上(2021年12月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】クリスマス・キャロルの老人はなぜ守銭奴になったのか

12月といえば、皆さんが楽しみにしているイベントがありますね。そう、クリスマスです。今日はクリスマスにちなんで、19世紀のイギリスの小説「クリスマス・キャロル」の話をします。ご存じの方も多いでしょうが、まずは、あらすじを説明しましょう。

ロンドンに、会計事務所を営むスクルージという老人がいました。スクルージは裕福でしたが、お金にがめつく、従業員を低賃金でこき使い、友人の葬儀への出費も渋るなど、いわゆる守銭奴でした。加えて頑固で怒りっぽいため、街の人々からは嫌われ、孤独な毎日を過ごしていました。

しかし、ある年のクリスマスに、3人の精霊が彼の元を訪れ、過去・現在・未来の世界へといざないます。スクルージは、守銭奴になる前の、家族や恋人を大切にしていた過去の自分と、守銭奴になって誰からも惜しまれずにこの世を去った未来の自分を目にします。また、自分の思いやりのなさが原因で、貧しい人々が不幸になったことを知り心を痛めます。スクルージは改心し、貧しい人々のためにお金を使うことを惜しまなくなり、愛される存在になったというお話です。

スクルージは本来、周囲の人間を思いやれる心を持っていて、その心が残っていたからこそ、最後に改心することができました。では、そんな彼が、なぜお金に執着するようになってしまったのでしょうか。小説の中で、若い頃に彼と破局した恋人が次のようなことを言っています。

「生きることに臆病で、何かあったときのためにお金だけはためておこうと考えるようになってしまった。昔は気高い野心があったのに、仕事に成功してお金を得たことで、お金以外は何も望まないようになった」

スクルージは、気高い野心も忘れ、「お金を得る」ことだけが目的になってしまったのです。私たちはこの話から、目的を常に見失わないことの大切さ、そして難しさを学ぶことができます。

では、皆さんに質問です。ビジネスでは常に「利益」が求められ、皆さんは常日ごろからそのための努力をしています。しかし、「そうして得た会社の利益を使って何を実現したいか」を考えている人はいますか。「利益を出すこと」は会社にとってとても大切ですが、皆さんには、その先のことも考えられるようになってほしいのです。

私には会社が得た利益を使い、お客様や社会のために実現したい夢があります。しかし、この会社は私だけのものではありません。皆さんも、どのようなお金の使い方をしたいか、ぜひ意見を出してください。「利益を出して次にどうするか」を考えるようになれば、売上目標やコスト削減目標を達成する目的が明らかになります。今よりも主体的に考え、行動できるようになるでしょう。

改心したスクルージは、事業でためたお金を、貧しい人々を支えるために使うことを選択しました。皆さんは、何に会社のお金を使いますか。 ぜひ新年に向けて考えてください。

以上(2021年12月)

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画像:Mariko Mitsuda

全国企業倒産から見る2021年度上半期の建設業倒産

はじめに

2021年度上半期(4-9月期)の全国企業倒産は2,937件(前年同期比23.8%減)で、年度上半期としては、1966年(2,982件)以来、55年ぶりに3,000件を下回った。

一方、建設業の上半期の倒産件数は527件(前年同期比6.7%減)で、年度上半期としては、2009年度以降、13年連続で前年同期を下回り、1991年度以降の30年間で最少だった。全国企業倒産と同様に、記録的な低水準が続いた。

ただ、業種を問わず、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大は多大な影響を及ぼしている。さらに、建設業界は代表者の高齢化や後継者難、人手不足など構造的な問題を抱え、コロナ収束後も不透明感が増す。重層的な下請構造で、経営体力の乏しい中小・零細業者が多いだけに、今後の倒産推移が注目される。

2021年度上半期の全国企業倒産 50年間で最少件数

2021年度上半期(4-9月期)の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が2,937件(前年同期比23.8%減)、負債総額が5,746億2,600万円(同4.0%減)だった。

件数は、2年連続で前年同期を下回り、バブル末期の1990年同期(3,070件)を割り込み、1972年以降の50年間で最少となった。

産業別では、年度上半期では2015年同期以来、6年ぶりに全10産業で減少し、なかでも「農・林・漁・鉱業」「建設業」「製造業」「卸売業」「小売業」「金融・保険業」「不動産業」の7産業は30年間で最少だった。また、地区別は、2013年同期以来、8年ぶりに全9地区で前年同期を下回り、四国を除く8地区は30年間で最少で、産業別ならびに地区別ともに歴史的な低水準だった。

負債総額は、年度上半期では2年ぶりに減少し、1972年度以降では1973年度(3,631億100万円)に次いで3番目の低水準だった。ただ、8月には「負債10億円以上」の倒産が前年同月を上回ったほか、9月も「同10億円以上」「同5億以上10億円未満」「同1億円以上5億円未満」でそれぞれ増加し、負債1億円以上の構成比は26.7%(前年同月18.7%)を占め、中堅規模への広がりも見られた。

9月末をもって緊急事態宣言などが解除された。コロナ禍の長期化で、飲食業や宿泊業など対人接触型の非製造業を中心に、影響は広範囲に及ぶ。ただ、コロナ関連支援策が倒産抑制に効果を発揮し、企業倒産は記録的な低水準が続いている。なかでも倒産抑制に最も貢献したのが総額40兆円に達する、政府系・民間金融機関による「実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)」だ。融資による緊急避難的な資金繰り支援で、コロナ禍の影響を受けた企業は信用力に関わらず融資を受けることが出来た。これまで借入が難しかった企業でも資金を調達することで、一時的にキャッシュ・フローが改善し資金繰りを凌いだ。

一方で、ゼロ・ゼロ融資は最長5年間の返済据置期間が設定出来た。ただ利用した企業の約6割が据置期間を1年としたため、業績回復が遅れるなかで、返済開始と同時に返済猶予(リスケジュール)を要請する企業も出ている。事業規模以上の借入を行った企業も多く、本業回復が見通せないなか、「過剰債務」が新たな経営課題として浮上している。

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【東京商工リサーチ調べ】

2021年度上半期の建設業倒産 件数は過去30年間で最少も負債は3年ぶりに増加

2021年上半期(4-9月)の建設業の倒産件数は、527件(前年同期比6.7%減)だった。2009年度以降、13年連続で減少し、1992年度以降の30年間で最少を記録した。

ただ、四半期別では、2021年1-3月が前年同期比34.3%減(379→249件)、4-6月が同3.3%増(269→278件)、7-9月は同15.8%減(296→249件)と増減を繰り返した。なかでも9月度の倒産件数は102件と、前年同月比22.8%増で、今年に入り6月(100件)を上回る最多件数を更新し、今後の倒産増加をうかがわせた。

地区別では、9地区のうち減少が5地区(北海道、東北、北陸、近畿、九州)で、いずれも2ケタ台の減少だった。一方、増加したのは4地区(関東、中部、中国、四国)で、なかでも四国は2倍増(6→12件)と、まだら模様を見せた。

負債総額は516億5,300万円(前年同期比8.1%増)で、3年ぶりに前年同期を上回ったものの、1992年度以降では2020年度(477億8,200万円)に次ぐ低水準だった。負債1億円未満が397件(前年同期11.9%減)で、全体の7割超(構成比75.3%)を占めている点では変化はない。ただ、負債10億円以上が6件(前年同期比20.0%増)、1億円以上5億円未満が115件(同16.1%増)とそれぞれ増加し、他産業と同様に倒産の中堅規模化を示した。

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【東京商工リサーチ調べ】

全国企業倒産と同様に、建設業の倒産も歴史的な低水準が続く。ただ、決して安泰というわけではない。「防災・減災、国土強靭化」などの公共事業を背景に土木工事が堅調な一方で、東京五輪関連をはじめとする大型工事の一巡や災害復旧工事が収束し、さらにコロナ禍での営業自粛や工事の中止・延期、計画の見直しなどから、建築工事を主体に厳しい受注状況が続いた。

今後も限られた受注を巡って業者間でパイの奪い合いが激しさを増す可能性があり、受注獲得に向けた工事単価のたたき合いが消耗戦にまで発展することも懸念される。

建設業への「新型コロナ」の影響広がる

とは言え、「新型コロナ」感染拡大の影響が直撃し、売上が消失した飲食業や宿泊業、観光産業などに比べて、建設業への影響はこれまで少なかった。東京商工リサーチが実施したアンケート調査でも、2020年5月調査で「(新型コロナの影響を)すでに受けている」と回答した企業は全業種平均で78.7%に達したが、建設業は54.4%と10産業のうち最も低く、唯一の50%台にとどまった。

ところが、2021年5月に建設業での「新型コロナ」関連倒産が過去最多の21件発生し、同月は建設業全体の2割超(22.1%)を占めた。飲食業や宿泊業などに比べて注目度は低いが、徐々に影響が広がりつつあることを印象づけた。

これを裏付けるように、2021年1-9月の「新型コロナ」関連倒産(負債1,000万円以上)は全国累計1,986件に達するなか、業種別では「飲食業」、「宿泊業」に次いで、「建設業」は3番目に多く、アパレル関連や食品販売を件数では上回った。

また、新型コロナの影響は最新期決算(2021年3月期)でも顕著だった。「(2021年3月期の)中小企業の産業別の売上高は、10産業のうち、農・林・漁・鉱業と金融・保険業を除く8産業で減収だった。なかでも2020年3月期と比較して減収幅が最大だったのは建設業で、前期比6.7ポイント低下(2020年3月期3.3%増→2021年3月期3.4%減)」(「2021年3月期決算 17万社の業績動向調査」、東京商工リサーチ調べ)と、他産業と比べて売上高の落ち込みが激しく、深刻さが垣間見えた。

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【東京商工リサーチ調べ】

受注回復期ほど倒産リスク高まる

新型コロナの新規感染者数の減少に伴い、大都市圏を中心とした再開発やコロナ禍で延期になっていた工事が、全国的に動き始めている。さらに、昨年末の経済対策による「住宅ローン減税特例措置(13年控除)」の延長や「グリーン住宅ポイント制度」の創設で、民間工事も受注環境は回復傾向にある。ただし、受注競争は依然として激しく、採算低下とともに資金繰りが悪化している中小・零細企業は多い。さらに“ウッドショック”や“アイアンショック”に代表される資材価格の高騰や調達難の影響が、卸売業者にとどまらず、地域や職種を問わず波及しかねない点でも注意が必要だ。

こうしたなか、9月30日をもって緊急事態宣言などが全面解除された。今後の本格的な事業再開に伴い、人手不足の再燃とともに運転資金需要も活発になる。ただ、その際に注意しなければならないのが黒字倒産だ。ゼロ・ゼロ融資などの資金繰り支援策を受けて過剰債務状態に陥り、業績回復のメドも立たない中小・零細企業は多い。2021年3月期決算内容が端的に物語っている。「2021年3月期決算で借入金の増加企業の割合が最も高かったのは建設業で約半数(48.9%)に及び、増加率の最大も19.0ポイント増の建設業」(「2021年3月期決算『企業の借入金』状況調査」)だった。

過剰債務を抱えた企業にとって新たな資金調達は容易ではない。折しも、2020年秋頃から金融機関などでは審査体制をコロナ禍前の平時レベルまで戻しつつある。財務内容が傷み、業績改善が見込めない企業が新たな資金調達を試みた際、拒絶や減額されることも散見されるようになった。なかでも経営基盤が脆弱な小・零細企業は深刻さが増す。今後は、受注が回復する一方で、手元資金が枯渇し、倒産もしくは事業継続を断念し廃業を迫られるケースが徐々に増えるものと懸念される。

最後に、取引先の倒産に備える保険について紹介したい。損害保険ジャパンでは、建設業向けにも取引信用保険を販売しており、見積時に取引先毎の独自の信用情報を無料提供している。与信管理業務への活用にあたっては、こちらの動画をご視聴いただくことをおすすめする。

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以上(2021年12月)

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画像:pixabay

【朝礼】繁忙期の対応で分かる会社のレベル

皆さんの頑張りのおかげで、当社の新規事業は絶好調です。一方、皆さんの仕事量は増え、顧客から要求されることも一段と難しくなりました。いわゆる「繁忙期」ですが、ここをうまく乗り越えないと、当社は次のステージに立てません。今朝は、そのために大切なことをお話しします。

皆さんは、当社の取引先であるIT企業のA社を知っていますね。A社で当社を担当しているWebディレクターは、当初、とても仕事が丁寧で信頼できました。ところが、ここ数カ月は人が変わったように仕事が雑になってしまいました。不思議に感じた私は、A社のエンジニアに状況を確認しました。すると、問題のWebディレクターは新しい開発案件を複数担当することになって余裕がなくなり、当社に限らず、全般的に仕事が雑になっているというのです。

「よくある話だ」と聞き流してはいけません。繁忙期という意味で、皆さんも、このWebディレクターも状況は同じです。繁忙期は、リソース不足で余裕がなくなり、ミスも出やすくなります。早期に態勢を立て直さないと混乱が拡大し、顧客は「おいおい、大丈夫か?」と不安を覚えます。それに、こちらのビジネスが好調ということは、顧客のビジネスも好調である可能性が高くなります。この場合、顧客も繁忙期なので取引先の管理に余計な手間をかける余裕はありません。取引先の仕事が雑なままで改善されなければ、早いタイミングで取引先の変更を決断するでしょう。

実際私も、A社に発注予定だった開発案件を別のIT企業に発注しました。それだけではありません。今、A社に依頼している案件も、徐々に別のIT企業に移管することを検討しています。

繁忙期には一過性のものと、継続するものとがあります。一過性のものには、決算期の経理業務などが挙げられますが、この類いは足元の業務さえ乗り切れば状況が落ち着くので、踏ん張りが利きます。

一方、当社の今の繁忙期は、当社が成長する限り続くものです。そのため、私たちは仕事の進め方を何度も抜本的に見直しながら、その都度、現状にフィットさせなければなりません。そのために、まずは仕事の進め方を分解して、割り振りをし直しましょう。例えば営業なら、一人の担当者が属人的に行ってきた仕事を、アポイント、訪問、対応などのように分解して担当分けし、仲間を信じて任せることで、効率化が図れます。

次にすべきことは、これまで以上に丁寧に仕事を進めることです。仕事の進め方を変えれば混乱が生じますし、時間も取られます。そうなると、無意識のうちに丁寧さのレベルが低下しがちなので、丁寧過ぎるくらいでちょうどよいのです。

最後に、これまで以上に顧客の立場に立つことです。当社の成長は顧客あってのことです。その感謝を忘れず、顧客が安心して当社に仕事を任せてくれるようにならなければなりません。

以上(2021年12月)

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画像:Mariko Mitsuda