【朝礼】営業の現場で使える「4H」

今日は、もうすぐ始まる新年度にスタートダッシュを決められるよう、皆さんに覚えておいてほしいことを話します。

皆さんは、「3H(さんえいち)」という言葉を聞いたことがありますか? 「初めて」「変更」「久しぶり」の最初の文字「H(えいち)」を取ったもので、人がミスや間違いを起こしがちな作業シーンを表しています。初めての作業、変更があった作業、久しぶりの作業はヒューマンエラーが起きがちなので注意しましょうということで、主に工場などで使われていると聞きます。

私は、この3Hは、営業の現場でも同じだと考えています。営業はお客さまとコミュニケーションを取るのが大事な仕事ですが、特にコミュニケーションを取ってほしい、気を配ってほしい場面があります。それが、この「3H」の「初めて」「変更」「久しぶり」なのです。

例えば、お客さまの窓口担当者が変わり、「初めて」の方が担当になったときを想像してください。新しい担当者は、恐らく、自分が担当することになった案件や業務を精査し、見直そうとします。つまり、こちらのアクション次第でチャンスにもピンチにもなるのです。「初めて」の担当者に対しては、挨拶と同時に、そのお客さまがこれまでどのように当社のサービスを使ってくださっていたか、課題は何か、他のお客さまはどう使っているか、当社ができることは何か、そうしたことを早めに、しっかりと説明しましょう。

お客さまがこれまでと違ったことを依頼してきたとき、つまり何か「変更」があったときも同様です。お客さまが新しいことを考えているかもしれませんし、こちらが気付いていない課題が出てきているかもしれません。必ず「なぜそうした変更があるのか」を尋ねましょう。これも、チャンスにもピンチにもつながります。

そして、営業ではなるべく「久しぶり」はないほうがいいのですが、疎遠になってしまったお客さまがいる場合、ホームページやプレスリリース、業界ニュースなどで新しい動きがあったら連絡を取るチャンスです。ニュースを見ましたと、「久しぶり」に連絡を取り、お客さまの近況を聞いてみてください。そこには、新しいチャンスが隠れているかもしれません。

以上が「初めて」「変更」「久しぶり」の「3H」ですが、私は、もう1つ加えて「当社の営業の4H」にしたいと思います。4つ目のHは「ハイブリッド」です。当社ではオンラインの営業も取り入れ、対面とオンラインの両方で、ハイブリッドな営業ができるようになっています。このことも、お客さまとコミュニケーションを取るチャンスです。「対面でもオンラインでもお話しできるようになりましたので、どちらでもご希望のほうで、ぜひお会いしたいです」と連絡を入れてみてください。お客さまと話をするきっかけになるでしょう。

お客さまとコミュニケーションを取る際の「4H」。新年度、ぜひ実践していきましょう!

以上(2021年2月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】新しい生活様式に、歩くことを取り入れよう

今朝のテーマは、「皆さんの健康管理」です。これまで何度も話をしていることですが、年末のこの時期、改めてお伝えします。

特に、健康管理に関心が薄く、運動をしていない人はよく聞いてください。健康は自身だけの問題ではありません。健康を害すると、家族はもちろん、病欠に伴う業務の穴埋めをする上司や同僚にも迷惑を掛けることになります。

私は病気になることが悪いと言っているのではありません。避けられない病気もあります。ですが、日ごろから健康管理を怠るべきではないと言いたいのです。

私のお勧めは歩くことです。道具などを使う必要はなく、費用も掛かりません。何より体への負担も小さいので、無理なく行えます。例えばエスカレーターでなく階段を使ったり、目的地の1つ前の駅やバス停で降りて歩いてみたりと、自分の工夫次第で、ちょっとした時間を利用して実践できることもメリットです。

私は1日1万歩を目標に、いつも歩数計を携帯して歩いています。コロナ下で外出する機会が減っているため、歩数チェックを毎日行って歩くことを意識しなければ、目標は達成できません。私なりの新しい生活様式に、歩くことを取り入れようとしているのです。

私が歩くことで健康管理につなげようと考えたきっかけは、江戸後期に精密な日本地図を作成した伊能忠敬(いのうただたか)です。

忠敬は、当時では人生の晩年ともいえる55歳から70歳過ぎまでの約17年間かけて、全国を歩いて測量し、日本地図を作成しました。踏破した距離は、3万5000キロメートルとも、4万キロメートルともいわれています。1日の歩行距離は、40キロメートル程度に上ったそうです。

実は忠敬は、元来は体が強いほうではなく、持病のぜんそくに悩まされていたといいます。当初は測量中に発作が起きることもあったようですが、発作は次第になくなっていったそうです。歩き続けることで心肺機能が高まり、体が強くなったのかもしれません。歩くことは、何歳から始めても効果がある、という良い事例です。結局、忠敬は、当時では長命の73歳で亡くなりました。

古代ギリシャの医者で「医学の父」とも呼ばれるヒポクラテスも、「歩くことは人間にとって最良の薬である」という言葉を残しています。近年の研究では、1日8000歩歩くことが、がんや生活習慣病などにかかるリスクを低下させる、という報告もあるそうです。また、歩きなどの適度な運動には、免疫力を高める効果があるともいわれているので、風邪やインフルエンザなど、さまざまな感染症にかかるリスクを低減させることも期待できます。

私は、健康管理に努めることは、社会人としての最低限の義務だと思っています。皆さんは、そのために自分に何ができるか、考えてみてください。

以上(2020年12月)

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画像:Mariko Mitsuda

事業も素敵、ド真剣、それ以上にビジョンが素敵、さらに実践も。25歳女性起業家の巻〜【世界をまるごとハッピーに。】その活動を聞きました〜/岡目八目リポート

年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人 杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、大槻 祐依さん(株式会社FinT代表)です。

25歳女性起業家、そして可愛らしい、それだけでこのコーナーに取り上げた? 実はそうではありません。これだけ事業の内容もしっかりし、ビジョンもしっかりした経営者さんが、たまたま25歳の女性である。それが今回取り上げさせていただいた次第です。女性向けのメディア運営、SNSマーケティングと今どきの事業概要ですが、コンシューマー向けサービスでは名だたる企業から仕事を受注している、しかも単発仕事ではなく継続的に取引がある。それも理念に沿った運営をしている。だからこそ、社員さん、お客さん、取り巻く周囲の皆さんがハッピーである、その仕事への取り組み方姿勢に、インタビューしながらある意味感動すら覚えたのが今回の大槻さんです。

1 インタビューの感想を最初に

1)日本情報マートのお二人から

いつもこのリポートのインタビューの際に私に付き添ってくださって真剣にお話を聞いてくださる、松田さんと梅津さん、そのお二人が今回かなり感動の領域にまで喜んでくださいました。冒頭ではありますが、お二人のインタビューの感想から披露したいと思います。

●松田さんの感想
大槻さんとのインタビューを通じて、すごく温かいものを感じました。何を大切にすべきなのか? の中心に「愛」があって、それが全くブレないところから発するエネルギーは心地よかったです。地道な努力を積み重ねながら少しずつクライアントと信頼関係を構築していることからも、誠実な印象を受けます。

感じる力、挑戦する力、やり抜く力

これらを原動力として、「小さなことでもいいから、まずは一歩を踏み出す。失敗したってそれは成功のもと」と考える。
構えず、自然体でこう考えるようになる背景には、素晴らしい家庭がありました。
きっと会社のメンバーにとっても非常に働きやすい会社なのだろうなと思います。
とても良いお話をお伺いすることができ、学びの多い時間でした。本当にありがとうございます!

●梅津さんの感想
「世界をまるごとハッピーに」を掲げる大槻さんのインタビューをお伺いして、一番に思うのは、「大槻さんにお会いできて、まず、私がハッピーになりました!」ということです。

誰かをハッピーにしたい、世界をハッピーにしたい、そしてそれは自己犠牲ではなく、もちろん自分自身もハッピーでありたい。こうした大槻さんの本気の思いや熱量は、多くのことを学ばれて、具体的な実績もあるからこその、ずっしりとした厚みを感じましたし、心から感動しました。

愛×努力と実績。

大槻さんからは終始、ご両親、世界、メンバー、事業、コンテンツなど世の中全てに対する「愛」を感じました。その上で、努力され、勉強され、実績を積まれている。本当にすごい方です。
さらに、ご自身をよく知っておられるとも感じました。ご自身の考え方や課題などもよくわかっておられて、全てを素直に受け止め、全力で前向きに努力されていると感じました。

大槻さんがいてくださったら、これからの世界は大丈夫! と思いました! 多くのことを勉強させていただきました、素晴らしい時間でした。本当にありがとうございました!

2)大槻さんをご紹介くださった森岡さんのコメント

森岡さんは日本では珍しいAmazonブティックエージェンシーである株式会社ウブンを経営されています。大槻さんの先輩経営者で、私に素晴らしい若手経営者として大槻さんをご紹介くださいました。森岡さんから見た大槻さんについてコメントを寄せていただきました。

■大槻さんの経営者としての人となりと印象、事業や仕事ぶりについて

  • イーストベンチャーズのインターンを経て確かそのまま起業を実現している彼女。イーストベンチャーズから出資受けていることからも、「人となり」と「優秀さ」を信頼されて(≒期待されて)の出資と紹介してくださった人から聞いています。
  • スタートアップ・ベンチャーキャピタル界隈で起業する多くの若手経営者のように、「プロダクト=事業」といった起業家になるため、成りたくて起業と思っていたのですが、何度か話をするうちに「この子は起業の先の経営を見ていて、経営者として成長していきたいんだな」「物事の考え方が経営者としてのベースを持っているんだな」と感じることが多く、この子の下に将来優秀な起業家が集り、より会社や事業が成長していくんだなと感じました。

    多くの若手起業家は事業家どまりで、そこから先の経営者になれない人が多いのですが、既に経営者としての素質を持っていると感じています。
  • FinT社の名前の由来はフィンテック。創業後市況が悪く事業をピポットし今成長していることからも、事業ではなく経営目線で運営していることが伺えます。
  • 事業はメディア事業とSNSマーケティング支援事業を運営。
    若くして起業し、知名度もない大槻さん&FinTさんがまずやったのは、メディア事業の創造。
    メディアは20代の女性向けメディア(Sucle)
    下記リリースの通り、


https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000044523.html

自らメディアを立ち上げ、運営1年半でインスタフォロワー30万人突破させ、その運営ノウハウを生かして、企業のインスタマーケの支援をする形で、メディア事業→SNSマーケティング支援事業を一気に立ち上げました。

このやり方も見ても起業家、事業家とよりも経営者という言葉が似合うと思います。

彼女は自分自身が一番強い、そしてターゲット自体も自分である、「20代女性向けメディア」を普段使い慣れている「インスタ」を活用し、立ち上げ、収益化をしていき、【できそうなことをやってできることを増やしていきました】。
また、今度は【今できることからもう一度できそうなこと(=インスタマーケ支援)】をやり、まさにランチェスター戦略の連続(ニッチな領域×1番になれること)で、事業創造、推進をしていっているように感じます。

  • また、これは言っていいかわかりませんが、人と組織を見る目があり、事業が成長していなかったり、スタックしていると見るや課題と要因を見抜き、ボードメンバーの配置や役割変えなどもすぐに実行する「目利き」と「実行力」があると感じてます。

私の受けた彼女の印象は「謙虚」「肝っ玉が座っている」「短絡的ではなく長い目で物事を見られる優秀さがある」方と見ています。
実年齢は若いですが、落ち着いていてしっかりしていて自頭よく、将来が本当に楽しみな経営者の方です!

と皆さん、大槻さんのことを絶賛であり、ファンになる、それこそハッピーになる、特に冒頭のお二人はオンライン上で初めて、そして1時間でこの感想と。特に梅津さんはインタビュー後半感動のあまり涙ぐんでいらっしゃいました。大槻さんの考え方、事業への取り組み姿勢がなぜこうなっていったのか、大槻さんのプロフィールを深堀りしながらお話を進めたいと思います。

2 大きな影響、変化があった高校と大学時代のお話し そして起業へ

1)高校時代にホームステイを受け入れたことで世界が広がった

トビタテ留学JAPANのポスター画像です

こちらのポスターは、文部科学省の留学奨学金を活用してのプログラム。トビタテ留学JAPANのサイトはこちらです。この写真の主が大槻さん。当時大学2年生、ご自身もこのプログラムで留学経験があります。この留学や海外との関わりのスタートは高校生の時。それは1年生の時にホームステイを自ら応募し、受け入れて、オーストラリア人セーラさんに日本のお菓子に興味、日本流のファッションと、折角日本に興味を持って留学しているセーラさんに自身でいろんなプランを考えて、たくさんの体験を提供することをやっていたらものすごく喜んでもらったこと。
この経験ってもっと多くの日本に訪れる外国の人々に体験してほしい、紹介したいとこの頃から考えるようになっていたそうです。この経験が大学に入学と同時に大きく寄与することに。

2)大学入学とともに起業家養成講座へチャレンジ そして日本を代表する大学生へ

中高一貫の普通の女子高出身、ビジネスとは縁遠い中で大学生活をスタートしたと話す大槻さん(早稲田大学文化構想学部に入学)。簡単に単位が取れるかも、と思って友人たちと相談し、違う学部だった起業家養成講座を選択、そこの講義でたくさんのオモシロイビジネスマン、多様な経歴の方々のお話しを聞く機会を得たことが起業家への道の入口に。1年生の時に、大学内のビジネスプランコンテストに応募し、見事優勝! という栄冠を勝ち取ります。この時のビジネスプランの内容が、前述の高校時代のホームステイ経験を生かして、「訪日外国人旅行者向け日本文化体験企画運営会社」というインバウンドのプランを発表しました。外国の方々の本当に欲しい物を実現したい、世界と日本を本気でつなげたいという熱意をぶつけたそうです。
このコンテストチャレンジの際に、仕事帰りのお父様が何度もピッチの練習に付き合い、精度を上げていったことも大きいと振り返ります。素敵なお父様ですね。2015年2月、このコンテストのご褒美(副賞)にシリコンバレーへ招待のプログラムでたくさんの現地の起業家に会い、5週間滞在することになったそうです。帰国後、大学2年生時にベンチャーキャピタルでインターンを経験後、2年の途中からシンガポールへ留学(これがトビタテ留学JAPANのプログラム)し1年間、多岐にわたる経験ができたそうです。
なかなかここまでの経験を持つ大学生もお目にかかることは無いですが、ご本人も大学3回通ったくらいの経験をしたと話されていました。

大槻さん近影です

【最近の大槻さん】

3)起業への道

シンガポールから帰国後、IT系メディア会社でインターンの後に起業を決意します。当初は、シンガポールに留学していた際に感じた、お金のこと、お金の価値について日本の大学生は勉強していない人が多い。シンガポールでは当たり前だったファイナンスの知識を持ち合わせることが日本の学生には必要と、ファイナンスと学生を近づけることを事業目的としてFinTを立ち上げます(最初は学生向けフィンテックで起業だったんですね)。
大学生の仲間と一緒に共同創業者として起業するも、フィンテックが自分のやりたいことではないことに気づき半年ほどで解散、自分一人になって、自分のやりたいことは何かを考え、2017年12月に女性向けのメディア「Sucle(シュクレ)」を立ち上げたいとそこからやりたいことを仕事にしたことで勢いもつき1年でインスタのフォロワーが55万を超えています。(Sucleに関しては4つのメディアを展開。その合計数)
このメディアを運営しているといろんな方々から大槻さんに相談が舞い込むようになってきてボランティアでノウハウを提供していると気づけばそれが専門家となっていることに気づいたり、周囲からもその専門領域の事業化を進められ、コンサルしているうちにさらに自身のレベルも上がって今度は運用代行の事業化へと入っていきます。まさに関わるみんながハッピーになっていったと話します。

3 FinTの事業について

1)会社について、大切なビジョン、そこにお母さんも手伝っていることが大きい

現在のFinT社は、社員15名、業務委託を含めると40名。4期目に入ります。
会社のビジョン、HPの冒頭に掲げていらっしゃいます。

FinT社ビジョンの画像です

    【世界をまるごとハッピーに。】
    つくりたいのは、
    サイコーにハッピーな世界。
    簡単なことじゃない。
    でも、本気で思ってる。
    だから、まずは自分たちから
    ハッピーになる。
    誰かの犠牲の上に成り立つ幸せなんて、
    きっと長く続かないから。
    わたしたちは、
    好きなことや得意なことで、
    今日もみんなをハッピーにする。
    思いっきり、楽しみながら。

これからの時代、自分を犠牲にしたり、誰かを犠牲にすることをビジネスにしないことが本当に大切と思います。変な売り込みでは買う側、売る側、誰も幸せにならない、正直に向き合うことの大切さ。江戸時代の【近江商人】のように、陰徳善事の考え方にも近いと思います。

大槻さんにお話しを伺っていて時々、お母様のことが話題にでます。大槻さんの会社で大きな役割を果たされているのがお母様。大槻さんのお母様は普段税理士事務所にお勤めの傍ら、FinT社の経理部長の役割を担っているそうです。会社全体が丸裸です! と大槻さんは笑います。ちゃんとした大人がバックアップをしている体制もFinT社の強みに感じます。

ご両親が小さな頃から、機会提供をし続けられたこと、選択権を大槻さんに与えながら、自分で考える、一歩を踏み出す勇気を持つことができたことも、会社経営の大きな礎につながっていると感じました。素晴らしいご家族だと思いました。

2)事業概要について

FinT社の事業の柱は、2つ。自社メディアの運営(そこにノウハウの蓄積ができていることが大きい)、そしてクライアント企業のインスタを中心としたSNSマーケティング。クライアントは有名企業からも多数あり、現在までに累計80アカウントを超えているそうです。当初から売り込むのではなく知り合いからのご紹介の連続だったと。

FinT社の事業概要の説明資料を示した画像です

大手広告代理店でも、SNS上でキャンペーンを行ったり、フォロワーを買うようなことを提案するところがあることは私も聞いたことがあります。しかし、数があっても、なんの興味もない人々の集合体、FinT社のクライアントとその先のお客さんとのエンゲージメントを高めることが一番大切。そこにフォーカスして事業を進めているそうです。
クライアントには出版会社、アパレルブランド、美容、生活商材と幅広く、年齢層としては20代?40代向け女性向けの商材が中心領域となっています。

あと少しでフォロワー数が70万に近づいている、【わたしの節約(MATE)】、2019年の初めにスタート、0から半年間で30万フォロワーを獲得しています。詳細はこちらをご覧ください。
上記以外にも、10万、20万のフォロワーを獲得していたり、運用企業側(同業者)からの紹介まで最近は始まっているそうです。

3)大手企業からも発注が続く

得意なこと好きなことをみんながやっているからこそクライアントからの評価が高い。しかも緻密に丁寧に対応していることを伺いました。
大槻さんは、SNSを自社運用できる会社は自社でやった方が良いと話します。自社でリソースが割ける会社や、投下できる資金に余裕のないベンチャー企業のお客様は少ないとも。
80を超えるアカウントを運営していて、継続率も相当高いレベル。その中で事例を2つ以下にて。

メルカリの事例を示した画像です

・メルカリについての事例

SNS運用していなかったところ、一度話し合いをし、出品者が少ない、それを増やしたい、インスタの利用者に主婦が多く、ちょうど節約に親近感を持っている人が多く、出品者へのトリセツ的な立ち位置で真に利用したいというファン作りを行っているそうです。

サボンの事例を示した画像です

・サボンについての事例

きれいな世界感、いい写真だけにこだわってきたものの、さらにエンゲージメント ユーザーの口コミを増やしたい、FinT社では写真一枚一枚へのこだわりも工夫、口コミ3倍にもなっている、黄金式をみつけることに注力していると大槻さんは話します。具体的には、商品写真そのものにもこだわるが写真に写り込んでいる周りのモノ、時には蓋が閉じている、閉じていない、水道の蛇口が、金色とそうでないのとで反響が違う、その細かい一つずつ、ロジックを見出し、意味付けして工夫を重ねるという丁寧さ。
フォロワーを金銭で買うようなことは一切していない。これも商品への【愛】をもっているかどうか。

これだけの【仕事】をしているからこその単価でもあるそうで、月間50万円?100万円程度のコストが必要だそうです。

4)今後の展開について

大槻さんに今後の展開にコメントをいただきました。

    会社の大きな方向性としては、昨年掲げた「世界をまるごとハッピーに」というビジョンをもっと大きく社会に打ち出していきたいと考えています。
    昨今は新型コロナウイルスの影響があり、今世界はどこに行ってもみんなが苦しい状況にあります。この状況下で「世界をまるごとハッピーにする」とわたしが壮大なビジョン掲げている以上、会社として顧客のみなさまをいろいろな形でハッピーにしながら、全力でメンバーの好きなことや得意なことを生かしてハッピーになれる環境を整えたいという願望と、責任を感じています。経営者としても、この苦しい状況でも負けずにわたしが挑戦していくことが、他の誰かが何かをチャレンジする時のきっかけになるのであれば、それほど私がハッピーになることはありません。誰かの良きロールモデルとなれるよう、引き続き頑張っていきたいです。

    事業に関しましては、「SNSマーケティングといえばFinT」と言われるような実績と信頼を積み上げていきたいです。
    つい昨年、デジタルの広告費がテレビメディアの広告費を抜いたというニュースがありました。それに付随するようにしてSNSマーケティングもいよいよ多様化・本格化しており、社会の流れの変化を感じています。そんな中で、学生の頃から日常的に接していたSNSで様々な施策や取り組みができること、若いからこそ感覚的にわかる部分を生かせるSNSマーケティングに携われていることに、とても誇りに感じています。自分たちが得意とするSNSで企業様のサポートをすることは、まさにビジョンにもあるような「好きや得意を生かす」ということにもつながるからです。これから、より市場が大きくなることは予想されるため、既存の運用代行に止まらず、広告運用やライブ配信、インフルエンサー事業やタイアップの商品開発など、販売促進としてSNSでできることを幅広くカバーしていきたいです。

    最後になりましたが、このような機会を設けてくださり、本当にありがとうございました。
    聞き手がここまで素敵な方々で、褒めてくださったり、自分の振り返りとなる質問をしてくださると、「ハッピー」な取材になるのだと感じました。
    とてもポジティブな気分になれました。世界をまるごとハッピーにできるよう、愛を持って頑張ります!

自己犠牲なく、関わるみんながハッピーに、そしてSNS運用といえばFinT! て言われたい。この業界で日本一になりたいと話します。そのためにも何度も仮説検証を正しくやっていく、そして自社メディア、シュクレもガッツリ伸ばしたいとも。まだまだ海外に行き足りていないけども、世界や、世界の人々に課題がたくさんあることがわかった、その解消・解決のために自分たちでできること、いろんな事業をやっていきたい。古着、コスメ、好きや得意から事業を立ち上げられる、ちゃんと事業をやっていけたら良いなと思っていますと。

大学生の頃から誰かのロールモデルになりたい、これも大切にしているところ。留学生になった経験で、周囲の人にも影響を受けて行動を起こすことのきっかけになった。これからも私がチャレンジすることで周りのハッピーになったら良いと思う。

10年先20年先については、まだ全く見えていないところが課題ですときっぱり、未来視点を持ちながら、そのために今を一生懸命に頑張る、いろんな勉強、知識を得たいと超前向きに、視座を上げていく。

私自身もこのインタビューさせていただいてハッピーでした、大槻さんにまるごとハッピーにしてくださいました。
感じる力が強いこと、これはご両親の影響が大きい、これをやっては駄目だと単に否定するのではなく、選択の機会を広げ、失敗体験、成功体験の経験値を上げることができる環境を提供することが大切ですね。
また、まず一歩を踏み出すことが大事であること、失敗は成功のもと、大きなことだけをやるのではなく小さな成功体験を積み上げていく姿勢にも共感しました。

最後に、このリポートが良いところにフォーカスしていることに大槻さんから褒めてくださったことに感謝しています。ありがとうございました!

この記事を作成するにあたり、以下の記事を参考にさせていただきました。

早稲田ウィークリー【自分世代のトレンド発信で女子大生の心をつかむ早大生起業家】2018年7月

以上(2021年2月作成)

【図解】財務3表のつながりかた

書いてあること

  • 主な読者:貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書(財務3表)の基本が知りたい人
  • 課題:数字の羅列にしか見えなくて、とっつきにくい
  • 解決策:財務3表の基本を知り、実際の事業活動をイメージしながらつながりを意識する

1 事業活動と財務諸表

事業を始めるときは、銀行からお金を借りたり、投資家からお金を集めたりして(調達する)、それを元手に商品を仕入れたり、必要な備品や機械装置などを購入します(投資する)。そして、仕入れた商品や製造した製品を販売して利益を上げます(投資を回収する)。これら一連の事業活動が貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書(以下「財務3表」)に集計されています。

つまり、財務3表を読み、またそのつながりを理解することで会社の状況がよりよく見えてくるようになります。早速、確認していきましょう。

2 事業活動を数字にするためのルール“複式簿記”

複式簿記とは、全ての事業活動を2つの側面で捉えて、「資産・負債・純資産・収益・費用」といった5つの要素に分類する記帳方法です。これら5つの要素は、2つの側面(左右)でそれぞれ記帳する場所が次のように決まっています。

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例えば、銀行から現金を借り入れるという取引は、現金を資産の場所に、借入金を負債の場所に記帳します。このように、複式簿記に従って、全ての取引を決まった場所に記帳していくことで、事業活動が数字でまとめられます。これら5つの要素を上下に区切ると、資産・負債・純資産の部分が貸借対照表に、収益・費用の部分が損益計算書になります。そして、作成された貸借対照表と損益計算書を基に、キャッシュフロー計算書を作成していきます。

3 貸借対照表とは

貸借対照表とは、ある時点における会社の財政状態を表す財務諸表です。財政状態とは、「会社がどのようにお金を調達し、そのお金を何に投資しているのか」の状態です。貸借対照表は次の3つの要素で構成され、左側に資産、右側に負債と純資産が計上されます。

  • 資産:手元にある現金や会社が購入した商品、土地・建物などの財産
  • 負債:銀行からの借入金や買掛金などの債務
  • 純資産:投資家からの出資金や、会社が稼いだ利益の積み立て分など

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4 損益計算書とは

損益計算書とは、一定期間における会社の業績(どれだけもうけたか、そのもうけの内訳は何かなど)を表す財務諸表です。損益計算書は次の2つの要素で構成され、さらにその2つの要素の差額として利益(または損失)を計算します。なお、図表1の損益計算書は右に収益、左に費用と横形の表でしたが、通常の損益計算書は上に収益、下に費用が記載されます。

  • 収益:商品の売り上げなど事業活動により稼いだ成果
  • 費用:商品の仕入れや人件費の支払いなど、会社の事業活動上のコスト

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5 キャッシュフロー計算書とは

キャッシュフロー計算書とは、一定期間のキャッシュの増減を表す財務諸表です。キャッシュフロー計算書は、キャッシュの増減を次の3つの区分に分けて表示し、その期間におけるキャッシュの増減を明確にします。なお、キャッシュフロー計算書は、貸借対照表と損益計算書を基に作成されますが、本稿では詳細は省略します。

  • 営業活動によるキャッシュフロー:売り上げ、仕入れ、経費など主に本業によるキャッシュの動きを示す
  • 投資活動によるキャッシュフロー:固定資産や有価証券の取得・売却などによるキャッシュの動きを示す
  • 財務活動によるキャッシュフロー:借り入れや返済、増資などによるキャッシュの動きを示す

キャッシュフロー計算書には、直接法と間接法の2通りがあります。この2つは、営業活動によるキャッシュフローの計算において表示方法が異なります。

直接法は現金による収入・支出に係る取引を総額で集計し、その差額として、営業活動によるキャッシュフローを計算する方法です。間接法は損益計算書の利益または損失(正確には税引前当期純利益(または損失))から、減価償却費などの現金の増減に関わりのない項目などを調整して、営業活動によるキャッシュフローを計算する方法です。投資活動によるキャッシュフローと財務活動によるキャッシュフローの計算は直接法も間接法も同じです。本稿では一般的に採用されている間接法を用いています。

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6 財務3表のつながり

貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書は別々の目的で作成されるものの、それぞれがつながっています。そのつながりを読み解くことで、事業活動の流れが把握できます。財務3表のつながりを理解するときのポイントは次の3つです。

  • 貸借対照表(純資産)と、損益計算書(税引後当期純利益または損失)はつながっている
  • 損益計算書の税引前当期純利益または損失とキャッシュフロー計算書の営業活動によるキャッシュフローはつながっている
  • 貸借対照表(資産(現金))とキャッシュフロー計算書の現金の残高は一致する

具体的なつながりのイメージは次の通りです。

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7 事例で確認。財務3表のつながり

ここでは、設立1年目の株式会社の基本的な取引を基に、それぞれの取引がどのように財務3表に反映されているのかを、財務3表のつながりを見ていきながら説明します。なお、便宜上、取引ごとに損益計算書の利益(または損失)を計算して、貸借対照表の純資産(株主資本)に反映させており、その都度、キャッシュフロー計算書を作成しています。

1)会社設立時の資金の準備(お金を調達する)

会社の設立に当たって、資金の調達をします。内訳は、銀行からの借り入れが400万円、投資家からの出資が600万円です。

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資金調達した1000万円(400万円+600万円)は、貸借対照表の「資産(現金)」に計上します。

銀行から借り入れた400万円は、貸借対照表の「負債(借入金)」に計上します。

投資家から出資を受けた600万円は、貸借対照表の「純資産(資本金)」に計上します。

現金が増加したため、キャッシュフロー計算書の「財務活動によるキャッシュフロー」に、それぞれの取引による増加分(プラス400万円とプラス600万円)を記載します。

2)備品を現金で購入(お金を投資する)

会社を運営するためには、パソコンなどの備品が必要です。ここでは、パソコン30万円を現金で購入しました。

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購入したパソコン30万円は、貸借対照表の「資産(備品)」に計上します。

購入の際に支払った現金30万円を、貸借対照表の「資産(現金)」から減少させます。

また、現金が減少したため、キャッシュフロー計算書の「投資活動によるキャッシュフロー」に、備品の購入による減少分(マイナス30万円)を記載します。

3)商品を現金で仕入れ(お金を投資する)

商品200万円(100個×単価2万円)を現金で仕入れます。

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仕入れた商品の200万円は、貸借対照表の資産(たな卸資産)に計上します。

仕入れに支払った現金200万円を、貸借対照表の「資産(現金)」から減少させます。

また、現金が減少したため、キャッシュフロー計算書の「営業活動によるキャッシュフロー」に、たな卸資産の増減(マイナス200万円)を記載します。

4)商品を現金で売り上げ(投資を回収する)

商品(50個)を300万円で売り上げ、代金を現金で受け取りました。

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商品の売り上げ300万円は、損益計算書の「収益(売上)」に計上し、費用(売上原価)100万円との差額200万円が利益となります。この利益は貸借対照表の「純資産(利益剰余金)」にも計上されます。

売り上げで受け取った現金300万円は、貸借対照表の「資産(現金)」を増加させます。さらに、売り上げた商品(100万円=50個×単価2万円)を「資産(たな卸資産)」から減少させます。

また、損益計算書上の利益はキャッシュフロー計算書の「営業活動によるキャッシュフロー」にプラス200万円を、たな卸資産の増減については「営業活動によるキャッシュフロー」にマイナス100万円(△200万円+100万円)を記載します。

5)決算日

資産(備品)30万円は、便宜上5年間使用できるものとした場合には、その期間を通して6万円ずつ減価償却費として費用計上します。事業年度を通して利益が出ると、会社は法人税等を納付しなければなりません。法人税等とは法人税・法人事業税・法人住民税をいいます。実際に法人税等を計算する場合には、税法上のさまざまな調整が必要になりますが、ここでは簡略化して法人税等を60万円とします。

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法人税等60万円は、損益計算書の「利益(税引前)」の下に計上し、最終的な利益である税引後の利益が計算されます。

法人税等60万円を、貸借対照表の「負債(未払法人税等)」に計上します。法人税等の支払いは、決算日の翌日から2カ月以内と定められており、例えば3月決算の会社については、5月末までとなります。そのため、法人税等の支払いは翌期になり、決算を確定する時点では未払いとなり、貸借対照表の「負債(未払法人税等)」に計上します。

従って、設立1年目においては、法人税等の支払いによる現金の増減はなく、キャッシュフロー計算書には影響しません。

以上(2021年1月)
(監修 南青山税理士法人 税理士 窪田博行)

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画像:pixta

【朝礼】うわべだけの発言は要らない

最近、私は「PMBOK」というプロジェクトマネジメントの手法を学んでいます。当社の新規事業であるウェブサービスの開発が進む中、私自身がプロジェクトマネジャーを務めるケースが増えたため、基本を学ぼうと思ったのです。

プロジェクトマネジメントの手法はさまざまですが、大きく2つに分けられます。1つ目は、最初に要件を“ガチガチ”に決め、上流工程から順番に進めていく「ウォーターフォール開発」です。もう1つは、わりと“フワッ”とした要件からでもよいのでまずは作り始め、走りながら改善していく「アジャイル開発」です。

私が学んでいるPMBOKは、ウォーターフォール開発の手法です。この手法は、要件定義が終わらなければ実装に入れないのでもどかしく、一度要件が決まると、基本的に後戻りができないという難点がありますが、学んだこともあります。

例えば、具体的なイメージを関係者間で共有する癖がつきました。要件定義が曖昧な状態でプロジェクトを進めると、後で必ずトラブルが起こります。そのため、プロジェクトマネジャーは、プロジェクトの関係者に対して、さまざまな角度からアプローチして必要な情報を集め、明確な方針を打ち出します。こうした進め方のため、情報収集の際に、関係者から「曖昧で表面的な発言」が出ると非常に気になります。こうした発言は、どんなに奇麗な言葉で説明されても、「まぁ、そうですよね」という結論しか導き出せません。

こうした発言は、実は新人よりもキャリアの長い人にありがちです。業種を問わず、長い間同じ業務に携わっていると、その分野のことを、それなりに話せるようになります。しかし、その時々で必要な知識を深め、常に自分の考えを持つようにしなければ、それはうわべだけの発言になってしまいます。発言通りに事を進めていくとどうなるのか、発言の後に続く行動はどのようなものか、という具体性が欠けてしまうのです。

先日あるクライアントに依頼され、ウェブコンサルタントとの定例ミーティングに参加したのですが、そのウェブコンサルタントは、まさにそうしたタイプでした。聞こえのよい言葉を並べ、「ここが重要です」「今後もウオッチします」などと言うものの、なぜ重要なのか、これまでウオッチしてきた結果はどうなのか、今後は具体的に何をウオッチするのかには一切触れません。要は何もしておらず、うわべだけで話しているのです。

さて、皆さんの話には具体的な中身があるでしょうか。細かいところにまで言及していれば具体的である、というわけではありません。ビジネスは突き詰めれば、「やるか、やらないか」です。

私が考える具体的な話とは、「やるか、やらないか」を決めるための判断材料になり得るかどうかです。これはつまり、発言者が当事者として、足元はもちろん、少し先の未来も見据え、「自発的に具体的な行動を起こすことを前提とした意見」かどうかということなのです。

以上(2020年11月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】誰に喜んでもらうために仕事をしていますか?

私はいつも皆さんに、「やりたいことや夢を持つように」「自分の理想の姿を常に目指すように」とお伝えしています。与えられた業務をただこなすよりも、自分の目指すことのために働いたほうが楽しいですし、自発的に仕事に取り組んでもらったほうが、工夫も生まれやすいからです。

ただ、私が皆さんに「やりたいことは何?」「自分の理想の姿は?」と問いかけても、多くの人はピンとこないようです。話が大きくて遠すぎるように感じて、自分事に思えないのでしょう。そこで、今日はもっと身近な視点から、「仕事への向き合い方」に関する話をしたいと思います。

先日、当社のエンジニア2人があるプロジェクトの定例ミーティングをしていたときのことです。後輩エンジニアの仕事の進め方に疑問を感じた先輩エンジニアが、「仕事は誰のため、何のためにするものか?」という話を始めました。

先輩エンジニアはこう言いました。「私は、仕事は、お客様や一緒に働いているメンバーに喜んでもらうためにやるものだと思っている。どうすれば喜んでもらえるかを常に考え、行動すれば、おのずと物事を判断できるようになる」

すると、後輩エンジニアは、とてもスッキリした顔つきでこう言いました。「よく分かります! それでは、私はまず、先輩たちに喜んでもらえるように、工夫して仕事のスピードをもっと上げたいです」。私は、これを聞いてとても分かりやすい指導だと感心しました。

同時に、「やりたいことや夢、理想の姿といった大きなものより、もっと目の前にあるもの、身近なものを大切にするほうが、皆さんが共感できるのかもしれない」と感じました。

その後、後輩エンジニアの仕事への取り組み方は目に見えて変わりました。お客様の話に前より熱心に耳を傾けるようになり、先輩エンジニアをはじめ、一緒に働くメンバーのことを考え、段取りなどを工夫するようになったのです。まだまだ失敗もありますが、仕事に対する姿勢がこのように変わったことは、大きな進化だと私は思います。

「あの人に喜んでもらいたい、役に立ちたい」と、「顔の見える誰か」のために工夫し、喜んでもらうことで自信を持つ。そうすれば仕事が楽しくなり、もっと自分なりに工夫するようになる。「夢に向かって突き進むぞ!」と拳を突き上げるだけでなく、こうした足元の一つひとつの積み重ねが、皆さんの進化にとっては、とても大切なのだと思ったのです。

そこで、改めて皆さんに聞きたいと思います。皆さんは、誰に喜んでもらうために仕事をしていますか? 「難しい要望を言ってくるあのお客様」「一緒に苦労しているプロジェクトチームのメンバー」など、ぜひ、顔の見える誰かをイメージしてみてください。その「誰か」に喜んでもらうことを考えて行動していれば、おのずと仕事への取り組み方や周りへの気遣いの仕方が変わってくるでしょう。

以上(2020年11月)

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画像:Mariko Mitsuda

【例文付き】従業員の情報漏洩に備える秘密保持誓約書の作成方法

書いてあること

  • 主な読者:従業員の情報の持ち出しを防止したい経営者
  • 課題:「秘密保持誓約書」のひな型を流用するだけでは、法的な効力がない?
  • 解決策:最も重要なのは秘密情報の定義。また、物理的・技術的な防御も怠らない

1 自社にあった「秘密保持誓約書」を作成しよう

情報漏洩は会社の信用は著しく損なうため、会社はその防止に尽力しています。しかし、残念ながら従業員が情報を持ち出すケースも少なくありません。従業員による情報持ち出しや漏洩を防ぐには、心理的な抑止と、物理的・技術的な防御の両輪で取り組むべきです。

心理的な抑止とは、「秘密保持誓約書」の取り付けや、研修や周知を繰り返すことです。また、物理的・技術的な防御とは、そもそも従業員が情報を持ち出せないように、情報へのアクセスを制限したり、データの入った媒体や機器を持ち出したりできないようにしたりすることです。

本稿で紹介するのは、心理的な抑止である秘密保持誓約書です。多くの企業は一般的な「ひな型」を使っていると思いますが、これでは、いざというときに会社を守れないことがあります。具体的な定め方を、例文を示しながら弁護士が解説します。

2 最も重要なのは「秘密情報」の定め方

1)秘密保持契約:ひな型と修正例

秘密保持誓約書には「秘密保持の誓約」があります。まずは、ひな型でありがちな条文と修正後の条文を比較してみます。

  • ひな型:第1条(秘密保持の誓約)
  • 私は、業務上知り得た会社の機密事項、工業所有権、著作権秘密やノウハウの一切について、貴社の許可なく、第三者に開示しまたは自ら使用しないことを約束いたします。
  • 修正後:第1条(秘密保持の誓約)
  • 私は、就業規則および情報管理規程を遵守し、次に示される貴社の秘密情報について、貴社の許可なく、第三者に開示、漏洩しまたは自ら使用しないことを約束いたします。
     1)製品開発に関する技術資料、製造原価および販売における価格決定等の貴社製品に関する情報
     2)貴社の顧客に関する事項(氏名、住所、連絡先、決済方法、取引内容を含む全ての事項)
     3)取引先に関する事項(会社名、所在地、担当者名、連絡先、契約条件を含む全ての事項)
    (途中略)
     〇)その他、貴社が秘密保持の対象として指定した事項

ひな型の問題は、シチュエーションを選ばず、具体性にも乏しいことであり、これでは裁判で効果が認められない恐れがあります。例えば、東京地裁平成17年2月25日判決では、薬局において、仕入れや在庫管理等に使用する薬品リストが、営業秘密に該当するかが争われました。この会社の就業規則では、「会社の機密、ノウハウ、出願予定の権利等に関する書類、テープ、ディスク等」、「(その他)業務上機密とされる事項および会社に不利益となる事項」について、持ち出しや漏洩を禁じていましたが、裁判所は、「当該規定はその対象となる秘密を具体的に定めない、同義反復的な内容にすぎない」と述べています。

2)漏洩させたくない秘密情報をできるだけ具体的に定める

上記の裁判例も踏まえ、漏洩させたくない情報は秘密情報として定義し、できるだけ具体的に例示します。例えば、次のように定めます。

  • 顧客リスト、顧客情報、ID、パスワードその他顧客に関してシステムから得られる情報
  • 顧客に関する一切の情報(個人情報、申込書・契約書記載の情報、取引条件を含む)
  • 商品の仕入れ価格、卸価格、リベート額、販売価格、その他取引先の情報、取引内容および条件
  • 新商品・新製品の研究・開発に関する計画およびその内容
  • 設備投資計画およびその内容
  • 短期・中長期の販売計画・販売戦略に関する情報
  • 経営計画その他重要な業務執行に関する情報
  • 公表前の財務諸表およびその基礎データ、セグメント別(製品別等)の収支情報
  • 〇〇の運営において保有する運営ノウハウ
  • 従業員の個人情報(給与水準、保有スキル、経歴、研修受講暦等を含む)および従業員の個人情報が記載されているデータ、システム
  • 従業員教育に関する資料、営業マニュアル
  • セキュリティー管理の基礎となる情報(保安、警備、管理システム運営体制・ノウハウ等)

ただし、具体的にすると範囲が狭くなるので、必要な情報が抜ける恐れがあります。そこで、「その他、貴社が秘密として指定した事項」を秘密保持の範囲に含めるようにしましょう。このような文言を入れることで、個別に指定することで必要な事項が秘密保持の範囲から漏れてしまうことが防げますし、今は想定していない秘密情報が出てきたときにも対応できます。

3)秘密保持の内容(行動態様)についても確認する

秘密保持の内容(行為態様)についても確認し、特に注意させたい内容は明記します。

  • 他社に開示しない:第三者、特に貴社と競合する事業者に開示しないことを約束します
  • 就業の目的にのみ利用する:就業の目的にのみ使用し、当該目的以外に使用しません
  • 社外に持ち出さない:就業場所においてのみ使用し、持ち出しません
  • 複製をしない:全部または一部に限らず、また媒体の種類にかかわらず複製しません

4)就業規則や情報管理規程にも定める

就業規則や情報管理規程にも秘密保持について定めます。秘密保持違反を懲戒理由とするのが通常ですが、その場合、懲戒事由に秘密保持義務違反を含むことを就業規則に明記する必要があります。

3 その他、よくある重要な定めの規定例

1)退職時、退職後のケアを忘れずに

ひな型の中には、在職中の秘密保持についてのみ定め、退職後の秘密保持について定めていないものがあります。退職後の秘密保持も重要なので、次のように記載しましょう。秘密情報の返還についても忘れずに定めましょう。

  • 第◯条(退職後の秘密保持)
  • 私は、前条の秘密情報について、貴社を退職した後においても、第三者に開示、漏洩しまたは自ら使用しないことを約束いたします。
  • 第◯条(秘密情報の返還等)
  • 私は、在職中所持していた貴社等の資産(書類、備品、機器のみならず、電磁的または電子的記録媒体も含むがこれらに限定されません。)は、退職の際、貴社の指示に従い、直ちに全て返還または破棄します。在職中であっても、貴社等から指示のあったときは同様とします。

2)損賠賠償を定める。違約金はNG

秘密保持義務に違反した際の損害賠償義務を定めることには、一定の抑止力があります。なお、従業員に対する違約金を定めることは労働基準法で禁止されているので、あくまでも発生した損害に対する賠償となります

  • 第◯条(損害賠償)
  • 私は、第○条に違反した場合、法的な責任を負担するものであることを確認し、貴社が被った一切の被害を賠償することを約束します。

3)その他、会社の実情に応じて定める事項

その他、会社の実情や必要に応じて、次のような定めを置くことも考えられます。競業避止義務などは、必ずしも有効になるとは限らず、広範な定めは無効とする裁判例も多くありますが、先の損害賠償と同様に、規定を置くことが抑止力となります。

  • 第〇条(モニタリングへの同意)
  • 私は、貴社の機密情報の保護のため、貴社が必要に応じてモニタリング(監視カメラ、メール・ネットワークアクセスのモニタリングを含みます。)をすることにつき同意します。
  • 第〇条(所持品検査)
  • 私は、正当な事由がある場合、貴社入室時もしくは退室時、または在室時に、貴社が私個人の所有物・所持品を検査することにつき同意し、貴社の行う所持品検査に協力します。
  • 第〇条(ライセンス管理)
  • 私は、違法なソフトウェアや個人所有のソフトウェアを会社のパソコンにインストールしません。また、貴社の承諾なく、会社所有のソフトウェアを個人のパソコンに違法にインストールしません。
  • 第〇条(秘密情報の厳重な管理)
  • 私は、在職中、貴社の秘密情報について、貴社〇〇規程および貴社の監督に従い責任をもって厳重に管理します。
  • 第〇条(権利の帰属)
  • 私は、貴社に在職中に作成、考案したあらゆる知的財産権およびノウハウに関する一切の権利および利益が貴社等に属することを認め、当該知的財産権等について私に権利、利益が属することを一切主張致しません。
  • 第〇条(競業避止義務)
  • 私は、貴社を退職後、〇年間は、貴社と競合関係に立つ事業を行いません。
  • 第〇条(従業員および顧客の引き抜き)
  • 私は、貴社を退職した後、貴社の従業員および貴社顧客の不当な引き抜きを行いません。

以上(2020年12月)
(監修 みらい総合法律事務所 弁護士 田畠宏一)

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【朝礼】今年は、「本気の年」にしよう

今日は、2021年を、皆さんがどのような年にしていくか、そのヒントになる出来事をお話ししたいと思います。

先日、私は当社の大事なお客さまから相談を受けました。そのお客さまの会社では、来年度に向けて新商品を開発しようとしており、それに関して、いわゆる「ユーザーインタビュー」のようなことをしたいとのことでした。

具体的には、新商品のターゲット層となる経営者何人かに、インタビュー形式で、新商品に関連したことを質問していくという内容です。インタビューの目的は、「新商品に、本当にニーズはあるか」「自分たちが想定している活用シーンは本当にあり得るか」「どのような機能が喜ばれそうか」などを明らかにすることでした。お客さまは、私に、「インタビュー相手となる経営者は初対面の人がいい。4~5人ほど紹介してもらえないだろうか」と相談してきたのです。

相手は、日ごろ大変お世話になっており、当社の新規事業立ち上げのきっかけもつくってくれたとても大事なお客さまです。皆さんなら、どういう人を紹介するでしょうか。

どんな人がいいか色々と考えましたが、私は結局、「本気の人」にしようと決めました。ビジネスや人に真っすぐ向き合い、心から感謝し、人に寄り添える人。世の中を良くしようと真剣に思い、困難に立ち向かっていける人。厳しいことでも、言うべきことは毅然と言える人。

それが私の考える「本気の人」であり、今回、私はそうした人たちをお客さまに紹介しました。自身のビジネスとは全く関係ないインタビューにもかかわらず、その人たちは忙しい中、時間を調整し、「少しでもお役に立てれば」と言いながらしっかりと答えてくれました。本当にありがたいことです。

インタビューをした後、お客さまは、こう話してくれました。「正直に言うと、甘く見ていた。予想を遥かに超えて皆さんが真剣に答えてくれたので、自分たちの考えが不十分なことがよく分かった。そこまで考えて商品をつくっていないと気付いたし、目が覚めた。そういう意味では厳しい内容だったが、インタビューとしては大成功。とても感謝している。ここからまた頑張りたい」。

「本気」は「本気」を生みます。インタビューを受けてくれた人たちの真摯な姿勢が良い影響となり、お客さまもギアを上げ、「本気」になったのではないか。私はそのように感じています。

さて、皆さん。私が言いたいことはもう分かるでしょう。今年はぜひ、「本気」の年にしてください。仕事の進め方、人との関わり方、働き方、生き方。今年はそれらが大きく変わり、皆さんも、さまざまなことを考えさせられたはずです。今年は、それを行動に移しましょう。本気で考え、本気で動く。そうすれば、必ず道は拓けます。2021年を、皆さん一人ひとりが、「本気で輝く年」にしていきましょう!

以上(2020年12月)

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画像:Mariko Mitsuda

勝てるチーム作りの心得 ~元ラグビー日本代表主将から学ぶ組織論~

書いてあること

  • 主な読者:組織がシャキッとしないと悩んでいる経営者
  • 課題:組織に活を入れる際の参考にできる成功事例を知りたい
  • 解決策:2019年のワールドカップでベスト8に躍進したラグビー日本代表の組織作りを参考にする。重要なのは「目標設定」と「コミュニケーション」

1 8年前に1勝もできなかったチームがW杯で8強に

皆さん、初めまして。元ラグビー日本代表の菊谷崇(きくたに たかし)です。私は日本代表主将として、2011年にニュージーランドで開催されたワールドカップ(以下「W杯」)に出場しました。この大会で日本代表は1次リーグで4試合を戦い、3敗1分け。そう、1試合も勝つことができませんでした。

それから8年後の2019年に、自国開催のW杯で日本代表が世界中に巻き起こした旋風は、皆さんも記憶に新しいことと思います。この8年間で日本代表はどうやって「勝つ組織」に変わっていったのでしょうか。

私は、2014年まで代表チームに身を置き、代表の引退後も、チームが変化し、成熟する様子を見守ってきました。1勝もできなかったチームに「勝者のメンタリティー」が備わり、ベスト8進出を果たすまでの過程について、私なりの分析と考察をお届けできればと思います。

2 「ローマは一日にして成らず」 8強の礎に2015年のW杯あり

2019年W杯の躍進は、イングランドで開催された2015年W杯が礎になっています。2015年W杯は、W杯で24年間勝利のなかった日本代表が、世界ランキング3位だった南アフリカ代表にラストワンプレーで逆転勝利した、「ブライトンの奇跡」が話題になった大会です。

その2015年W杯に向けて、2012年4月にエディー・ジョーンズさん(現イングランド代表監督)が、日本代表のヘッドコーチ(以下「HC」)に就任しました。エディーさんのHC就任こそ、それまでの7回のW杯で1勝(21敗2分け)しかできなかった日本代表に、強化のための“メス”が入った瞬間だったと思います。

エディーさんは、日系米国人の母親と日本人の妻がいて、東海大学や日本の社会人チームでの監督(HC)経験もあることから、日本人と日本ラグビーのことを熟知していました。

一方で、オーストラリア代表のHCとして2003年W杯で準優勝に導くなど、世界の強豪国のレベルもよく知っています。そのため、世界で勝てない日本代表が抱える課題を理解していました。HCに就任した時点で、勝つ組織にするというゴールから逆算して、日本代表を、「どこからどのようにして変えていけばよいのか」のプランができていたのだと思います。

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3 エディーHCの「勝てるチーム作り」のポイント

エディーHC率いる日本代表(以下「エディーJAPAN」)で私が感じた、エディー流の「勝てるチーム作り」のポイントを紹介します。

1)大きなビジョンと2つの目標を掲げる

エディーHCが就任時に最初に掲げたのが、「日本のラグビーを変える」というビジョンでした。後にエディーHCは、「日本ではかつて、ラグビーはとても人気のあるスポーツでした。しかし、いつの間にか人気がなくなってしまった。私が就任した当初、誰もが日本はラグビーではうまくいかないと思っていました。そこで私は、もう一度ラグビーをポピュラーなスポーツにしたいと考えました。そのためには、世界の舞台で勝つことのできるチームにしたかったのです」と日本のメディアに伝えています。勝ちたいという思いは誰にもありますが、まず「なぜ勝たないといけないのか」を大きなビジョンで示すことで、勝つことの意義を、より強く意識できるようになりました。

さらに、具体的な目標は、「W杯ベスト8」という「結果目標」に加えて、日本代表が「憧れの存在になる」という「意義目標」の2つを掲げました。意義目標を掲げた経緯については後で話しますが、2つの目標があったからこそ、日本代表は、多様性豊かな選手全員が同じ方向にベクトルをそろえ、1つのチームにまとまることができたのだと思います。

2)組織の弱点を分析し、計画的に克服していく

世界のラグビーでは、「ティア1(ワン)」と呼ばれる強豪国と、日本などが該当するその下の中堅国「ティア2(ツー)」などにランク付けされています。

私が主将として出場した2011年W杯は、いわゆるティア1チームとの試合経験を積まないまま、大会に臨んでいました。それまで「勝利」という結果を世界に残していなかった日本代表は、ティア1チームと試合をするチャンスをもらえなかったのです。初戦の相手はティア1のフランスでしたが、過去にフランスと対戦した経験がある選手は1人だけ。強豪国との試合経験がなく、対戦相手の情報が映像しかないという厳しい環境では、「勝つ」と意気込んではいたものの、勝てると確信できる根拠に乏しい状態でした。

経験不足という日本代表の弱点を克服するために、エディーHCは、まずティア2チームとの対戦で着実に勝利を重ねていき、強豪国との試合を実現させる、というプランを立てました。そのプラン通り、エディーJAPANは2012年11月にティア2のルーマニア、ジョージアに勝利します。日本代表にとって、アウェーでヨーロッパチームに勝つのは初めての快挙でした。そして翌2013年6月には、ティア1であるウェールズを日本に迎え、第2試合で初勝利(トータル1勝1敗)を飾りました(注:執筆者は上記4試合にフル出場)。

ウェールズ戦での勝利によって世界的に日本代表の力が認められたことで、その後、毎年1~2回は世界ランキング上位チームとの対戦が組めるようになりました。より強度の高い試合を経験することが可能になり、そこで得た経験を基にチームの目標設定を毎年更新していくことで、チームの戦力が上がったように思います。

ちなみに、ウェールズ戦後に聞いた話ですが、この試合に勝たなければ、エディーHCと日本ラグビーフットボール協会との契約が終わっていた可能性もあったそうです。組織を変えるため、そして周囲の理解を得るためには、絶対に結果を残さなければならないタイミングがあるのかもしれません。

3)データを示した上での「世界一」ハードな練習

エディーJAPANは、世界一といえるハードな練習量が有名でした。日本代表は年間120日ほどの合宿を行いますが、「朝5時から朝食まで」「午前中」「夕方から夜まで」と1日3回の練習を行う「ラグビー漬け」の毎日でした。しかも、約4年間で休日はたった2日でした。

選手たちがハードな練習についていけたのは、それぞれの練習に、「なぜ」の説明がされていたため、納得して取り組めたからです。エディーHCは世界のトップレベルをベンチマークに、具体的な数字を示して、日本代表に足りない部分を理論的に説明しました。そのため、選手たちに「世界で勝つ」という意識が強まり、練習でも主体的に動く選手が増えていったのです。

図表は、エディーHCが示したデータと目標の代表的な例です。

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図表の数字は、15人の選手が試合中の1分間に走る距離の平均値(メートル毎分)です。日本の最高峰であるトップリーグでは75メートル、世界ランキング1位のニュージーランド(以下「NZ」)代表は95メートルでした。エディーHCは、世界で勝つためには、この数値をNZ代表さえ上回る100~110メートルにしなければならない、という目標を示したのです。

なぜかというと、日本代表の選手たちはNZ代表の選手たちより体格で劣るため、ボールを止めずに、パスやランニングで勝負している時間を増やす必要があったからです。そして、試合で110メートル走るために、練習では120メートル走ることを目指しました。その結果、前述した2013年6月にウェールズに勝利した頃には、120メートル走れるようになっていたのです。

ハードな練習や、データで目標を示すことは、「それを乗り越えたときに、勝利への自信につながる」というメリットがあります。当時の日本代表キャプテンだった廣瀬俊朗(ひろせ としあき)さんは、ハードな練習について、「追い込まれても前を向ける選手をピックアップしたかったのだと思います」と語っていました。そのような過酷な時間を乗り越えたからこそ、これまでW杯で1勝しかしていなくても、自信を持ってW杯の開催地に乗り込むことができたのです。また、データでNZ代表を上回っているという「事実」が自信の裏付けとなり、想定範囲外のことが起こっても安定したプレーを続けられるようになったのだと思います。

4)リーダーグループを中心とした、主体性とコミュニケーションの重視

エディーHCが構築したチーム体制は、それまでと大きく変化しました。主将(キャプテン)という立場はあるものの、「リーダーグループ」という組織によって、選手が主体的に活動できる環境作りが進められました。チーム発足当初にエディーHCが指名したリーダーグループのメンバーと、グループ内での担当は、次の通りでした(敬称略)。

  • 主将(キャプテン):廣瀬俊朗
  • 日本人と外国人とのコミュニケーション担当:リーチ・マイケル
  • グラウンド内担当:五郎丸歩(ごろうまる あゆむ)
  • グラウンド外担当:菊谷崇

リーダーグループは、この4人に加えて、エディーHCが招聘(しょうへい)したメンタルコーチにサポートしてもらいました。当初は外部の人は不要だと思っていましたが、自分たちだけでは気付かなかったアドバイスをもらえ、有益だということが分かりました。例えば、プレーについて指導する立場である五郎丸さんが、選手を褒めることが得意でないことが分かると、「1日1回、人を褒めよう」というアドバイスをしてくれて、コミュニケーションが円滑になりました。

リーダーグループはまず、選手たちの意向を踏まえて「理想とする日本代表は何なのか」を話し合い、目標設定を行いました。エディーHCも合宿の開始時など定期的に参加し、目標や課題を確認します。ただし、目標の立案や、目標を実現させるための具体的な活動内容と実行プランを作成するのは、リーダーグループです。そして、選手たちに、それらを理解し、実行してもらうように説明をします。このような過程で、リーダーグループを中心に選手たちの主体性が向上し、日本代表としてのロイヤルティー(愛着心)が高くなったと思います。

リーダーグループの取り組みの一例が、日本代表が「憧れの存在になる」という「意義目標」を設定したことです。純粋にラグビーの人気が出てほしいと願う選手たちの思いに加えて、日本代表の価値向上を図るという目的がありました。

ラグビーの場合、国籍を問わず、その国に3年以上生活すれば代表資格を得られます。分かりやすく言うと、多くのスポーツの日本代表が「日本人の代表」なのに対し、ラグビーの日本代表は「日本地域の代表」という考え方ができます。このため、日本代表に外国人が多く入ることになるのですが、この考え方に戸惑う方も多く、ファン獲得に大きな壁となりました。「憧れの存在になる」には、この壁を取り払う必要がありました。

この問題についてリーダーグループで話し合った結果、試合前の国歌斉唱の際は、外国人も含めた選手全員で歌うことに決めました。そして、毎週のミーティング後にスタッフ、コーチを含め全員で国歌斉唱を練習することにしました。また、歌詞の意味を知るために、「さざれ石」がある宮崎県日向市の神社を参拝したりもしました。こうした活動の積み重ねが、多様性豊かな選手たちを1つのチームにまとめることにつながったのでしょう。そして、結果として2019年W杯でラグビーというスポーツが注目されるきっかけになったと思います。

5)ベテランの経験値や影響力を活用

すでにベテランとなっていた私を日本代表に呼んでくれたエディーHCは、ベテラン選手の経験値や影響力を、勝てるチーム作りに巧みに活用しました。

ラグビーでベテランの経験値が役に立つのは、実は試合中ではなく、練習後の体のメンテナンスや、試合前にやっておく準備などです。ベテランは試合の重要な局面でも周りを見渡す余裕や判断力があるというイメージを持たれているかと思いますが、それは試合に向けて行ってきた準備の量の問題であり、経験値とは別物です。

最もベテランの経験値が活きる場面は、2019年W杯での躍進の理由とも関連します。私は日本代表がベスト8に進めた要因の1つは、日本開催だったことだと思っています。なぜなら、W杯は開幕戦から決勝戦まで44日間を要し、事前キャンプを含めると2カ月近い長丁場だからです。

普段、日本で過ごしている日本代表メンバーは、日本での暮らしについて十分な経験値を持っています。ですが、他国の代表メンバーは、日本で過ごすという経験値がほとんどありません。気候、食事、ホテルでの生活、家族とのコミュニケーションなどは、選手のプレーを左右する重要な項目です。W杯で勝つには、外国での長期の生活に柔軟に対応できることが必要なのです。その点、ベテランには、長期の海外遠征時に必要な持ち物や海外での時間の使い方、海外でストレスをためない環境作りなど、若手選手にアドバイスできる経験値があります。

ベテランの影響力として最も大きいのは、練習に対する姿勢や、チームに貢献しようとする姿勢などを、若手選手に見せることです。海外遠征では帯同できるスタッフに限りがありますので、選手たちも裏方作業を行わなければなりません。そうしたときに、ベテラン選手が大きな荷物を運んだり、アイシングの準備をしたり、選手に水を渡したりと、裏方作業を積極的に行うことで、控えの若手選手もチームの勝利のために貢献しようという気持ちになってくれます。

また、前述のように、エディーJAPANはハードな練習量が有名でしたが、エディーHCから、練習では私のようなベテラン選手が、ひたむきに、積極的に取り組む姿勢を見せるように求められました。私としては、ある意味で若手選手を奮起させるための「見せしめ」のような立場ですので、代表復帰を後悔した時期も少なからずありました。

私自身は、エディーJAPANで3年間プレーし続け、当初のエディーHCの希望通りに、若手選手へ経験を伝え、役割を全うして代表を引退。ちょうど2015年W杯まで、残り1年を切った時期でした。

6)大一番で選手が力を発揮できる環境を設定する

エディーHCは、選手たちが自信を持ってW杯の開催地へ乗り込めるように、もう1つの「準備」をしていました。それは、2015年W杯の第1試合である南アフリカ戦の試合会場で、事前に2回、試合を行ったことです。W杯の第1試合という大一番を、慣れない環境でプレーするのではなく、自分たちのイメージをしっかり持った状態で挑めるようにするためです。このような環境を設定することも、マネジメントをする立場の人にとっての、重要な仕事だと感じました。

7)失敗者を責める組織でなく、失敗しないようサポートできる組織にする

エディーHC以前の日本のラグビーは、テクニック重視の練習が多く、状況判断を伴う練習が少なかったと思います。エディーHCは、「それでは試合でプレッシャーがかかったときに、練習で積み上げたことが発揮できない」という考えを持っていましたので、練習は常にゲーム中心で、状況判断が必要なメニューを取り入れていました。

エディーHCが重視したのは、ボールを保持している選手が行う状況判断を、ボールを持っていない選手がどうサポートするか、でした。特にラグビーは、前にいる選手にはボールをパスできませんので、味方は全員、ボール保持者の後方にいます。つまり、ボールを持っている選手は、味方を目視できない中で状況判断をしなければなりません。このため、常に後ろにいる味方が声をかけてサポートする必要があるのです。逆に言うと、ボールを保持していない人が言葉でサポートをすることで、プレーに良い影響を与えることができるわけです。それを15人という大所帯で行うわけですから、ラグビーは、コミュニケーションや対人関係のスキルが求められるスポーツといえるでしょう。

私は現役を引退してから3年になりますが、エディーHCの下で培った経験を活かし、ラグビーのコーチをしています。特にエディーHCの指導方法や考え方を取り入れているのが、自分で立ち上げた子供向けのラグビーアカデミーです。

ラグビーアカデミーの子供たちは、ミスをした選手に対し、「なんでパスをしない」「なんでそっちに行くんだ」と注意します。そんなときに私たちコーチは、「変わらない過去に激しく問いかけても未来は何も変わらない。未来に向けて、次に同じ場面が来たらどんな声かけをすればパスをしてもらえるか考えてみよう」と声かけをします。

皆さんも職場で、ミスをした社員に対して「なんで…」と言っていませんか? ミスという変わらない過去ではなく、未来に向けてミスをなくす改善策に目を向けるようにすると、コミュニケーションの取り方も変わってくるかもしれません。

4 終わりに:重要なのは目標設定とコミュニケーション

たくさんのエディー流の仕掛けを持って臨んだ2015年W杯で、「ブライトンの奇跡」を起こした日本代表。ジェイミー・ジョセフHCに引き継がれてからのさらなる活躍は、皆さんもご存じの通りと思います。

私は、エディーJAPANが残した、2015年W杯の実績と、主体性やコミュニケーションを重視するチーム作りという礎があったからこそ、ジェイミーJAPANは強豪国との対戦が可能となり、「One Team」と呼ばれるまでにチームが一体化したのだと思っています。

私が日本代表やトップリーグで経験して感じたのは、組織に必要なものは、「まとまり」と「目標設定」だということです。「まとまり」を作るためのキーになるのは、コミュニケーションだと思います。エディーJAPANと、その後の日本代表の活躍は、そのことを裏付けてくれています。

以上(2021年1月)
(執筆 元ラグビー日本代表主将 菊谷崇)

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画像:執筆者提供

ビジネスマッチング応用編/新チャレンジには外部の力も借りてみよう(2)

書いてあること

  • 主な読者:ビジネスマッチング(商談会、紹介、ウェブサイトなど)に参加する経営者
  • 課題:ビジネスマッチングで、少しでも成果を上げたい
  • 解決策:事前に【誰の、何を、解決できるか】を明確に。「商談シート」の事前準備も有効

1 ビジネスマッチングで重要なのは「最初の商談」

ビジネスマッチングを利用することで、ビジネスの可能性を広げることができます。ビジネスマッチングの仕組みはさまざまですが、とにかく最初の商談が重要です。面識のない人同士が商談をするため、“最初のつかみ”ができないと、なかなか次に進めません。

最初の商談がうまくいくかどうかは、事前準備で変わってきます。そこで本稿では「ビジネスマッチング応用編」として、必要な事前準備を幾つかご提案します。ビジネスマッチングの基本的な仕組みなどを知りたい方は、以下のコンテンツをお読みください。

2 事前に【誰の、何を、解決できるか】を明らかにする

限られた時間でビジネスマッチングの相手に興味を持ってもらうためには、「何を伝えるか」が非常に重要です。そこでまず、事前に、商品やサービスが【誰の、何を、解決できるか】を明らかにしておきましょう。これが最も基本かつ重要で、これに尽きるといっても過言ではありません。相手が経営者の場合、「御社のサービスで何が実現できますか?」と単刀直入に聞かれたりします。要は、詳しい機能の説明よりも、「この商品やサービスは自分たちに関係があるかどうか」を知りたいということです。

よく、営業活動の中で、メリットは「できること」、ベネフィットは「メリットの結果、得られるいいこと、変化」と言いますが、ビジネスマッチングの「最初の商談」では、このベネフィットを伝えるのが大切です。そこに興味関心があれば、次に具体的な話に進めやすくなるからです。

例えば、「人々の興味関心を把握して、それぞれに合ったテーマのメールを自動配信するツール」の場合で考えてみましょう。メリットは「効率的にメールの開封数・クリック数を増やすことができる」であり、ベネフィットは「今より効率よく営業成果が上がり、新規事業の原資とリソースが捻出できる(興味関心に合った“滑らない”内容のメールを送って営業活動ができるから)」などになります。

こうした【誰の、何を、解決できるか】は、次のようなイメージで事前にまとめておくと、頭の中が整理でき、限られた時間の中でも慌てずに大切なことを伝えられるようになります。また、多くの会社(経営者)が参加する商談会の場合などは、もう一歩進めて、分かりやすいキャッチコピーも用意しておくとよいでしょう。

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この【誰の、何を、解決できるか】は、商談会などだけではなく、ウェブサイトのビジネスマッチングサービスで案件を登録する際にも役に立ちます。ウェブサイト上では、上記のように整理しておいた内容を参考にする他、実績や金額例なども併せて登録しておくとよいでしょう。

3 「商談シート」を準備する

もう一つの事前準備としてお勧めしたいのは、「商談シート」です。商談シートにまとめた内容は、「営業活動のログ(履歴)」になるので、次回のビジネスマッチングや今後の営業活動、商品開発に役立てることができます。また、商談会や紹介された人と会うときに、相手に確認するのを忘れたり、こちらが伝え忘れたりするのを防ぐのにも使えます。

商談シートはエクセルなどの他、書き込みやすい紙ベースのものを手元に用意するのも一策です。今どきはオンラインでの商談会や紹介も多いので、手元でメモできるほうが活用しやすいかもしれません。商談シートには、例えば次の1)から4)の項目などを盛り込みましょう。

1)属性:相手の企業名、氏名、業種、事業概要、実績、社員数など

ビジネスマッチングする相手の基本情報です。紹介者がいる場合は、その情報も入れておきます。オンラインの場合、名刺情報が入手しにくいので、企業名や氏名はしっかり確認しましょう。その場でSNSでつながると、基本情報が入手しやすいかもしれません。

2)内容:相手(もしくはこちら側)の商品やサービスの提案内容、対する反応など

相手から提案のあった商品やサービスの内容、もしくはこちら側から提案した内容を入れておきます。重要なのは、それに対する反応です。相手からの提案であればこちら側の関心度を、こちら側からの提案であれば、相手の反応を忘れずに記録に残し、次につなげます。

3)確認:相手に確認したこと、相手から質問されたことなど

具体的な価格や仕様など相手に確認したことを入れておきます。逆に、相手から質問されたことを商談シートにメモしておけば、「どのようなことを聞かれやすいか」が分かるので、次回のビジネスマッチングにも役に立ちます。

4)次回:次回のアクション、ランクなど

資料をいつまでに送るのか、見積もりをいつまでに出すのかなど、次回のアクションも忘れずに残します。また、すぐにビジネスになりそうなのか、ひとまず情報交換にとどめて様子を見るのかなど、今後の進め方をランク付けしておくと営業の優先度がつけやすくなります。

商談シートの記入例は次の通りです。

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4 紹介者には「思い」も伝える

ここまで紹介した内容のうち、【誰の、何を、解決できるか】は、ビジネスマッチングの紹介者に、自社の商品やサービスを説明する際にも役に立ちます。例えば、金融機関のビジネスマッチングを利用する場合、金融機関の担当者にもきちんと【誰の、何を、解決できるか】を伝えましょう。金融機関の担当者はさまざまな会社(経営者)を知っているため、商品やサービスで得られる「効果」だけでなく、「思い」が合いそうな先、経営者同士で共感できそうな先を紹介してくれることもあります。

以上(2021年1月)

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画像:vectorfusionart-shutterstock