「デジタル」でシニアの生活を変革 “高齢者テック”最新事情

書いてあること

  • 主な読者:高齢者向けの新サービスを展開したい経営者
  • 課題:高齢者の悩みに応えるサービスを知りたい
  • 解決策:国内外の事例を参考にし、他社にないサービス展開の参考とする

1 高齢社会の課題をテクノロジーで解決

スマートフォン(スマホ)、テレビを使って高齢者向けのサービスが続々と登場しています。国内では、離れた土地に住む子供や孫とリアルタイムに会話ができるサービスや、長年の仕事の経験を活かせる仕事のマッチングサービスなどが注目されています。

また、海外のスタートアップからは、クレジットカードの詐欺を防止するデビットカードを提供するサービスや、子供の独り立ち後の空き部屋をレンタルできるサービスなどが登場し、「高齢大国ニッポン」が直面する課題を解決できそうなものもあります。

この記事では、続々登場している高齢者向けのデジタル技術「高齢者テック」の動向を追います。

2 国内外で登場した最新の高齢者テック

今回紹介する「高齢者テック」の特徴を、「人や社会との関わりをもつ」「健康や安全な生活を送る」「仕事や資産形成に役立てる」「余暇や趣味を楽しむ」で分類してみると次のようになります。

画像1

1)孫の様子をスマホで確認「まごチャンネル」

動画配信サービスを手掛けるスタートアップのチカクは、スマホのアプリで撮影した孫の動画を、祖父母のいる実家のテレビに送信し、テレビで孫の様子を楽しめる「まごチャンネル」を提供しています。

核家族化が進み、子供を連れて実家に帰省する回数も限られる現代、親世代は手軽にスマホで子供の動画を記録・視聴できるようになった一方、スマホに不慣れな祖父母世代は引き続きテレビが主な視聴デバイスとなっています。同社はこの世代間のギャップを「まごチャンネル」で埋めることに成功しました。

実家のテレビに専用の受信ボックスを接続し、テレビリモコンで「まごチャンネル」に合わせるだけで、送られてきた動画を視聴できることから、スマホやアプリに不慣れな高齢者でも簡単に操作できます。送信されてきた動画を視聴すること自体はスマホでも可能ですが、老眼で小さいものが見づらい高齢者も多く、大きな画面のテレビで見る臨場感が好評なようです。

2)孤独解消にご近所さんをマッチング「Buddy Hub(バディーハブ)」

Buddy Hubは、英国で高齢者向けの多世代間コミュニティーサービスを提供しています。Buddy Hubに登録すると、家の近隣に暮らす、共通の関心事や経験を持つ異なる世代の3人のユーザーとマッチングしてもらえます。ユーザーには、高齢者と3週間に1度は会うことが推奨され、スケジュールが合わない場合は他のユーザーが穴埋めをすることになります。

英国では、65歳以上の高齢者のうち約150万人が日ごろから孤独を感じており、慢性的な孤独が早死にするリスクを高めるともいわれています。こうした中で、同社のサービスにより、高齢者とその他の世代間のコミュニティーづくりを活性化させ、より良い社会の実現につながると期待されています。

なお、マッチングには性格やコミュニケーションスキル、好みなどに加え、犯罪歴の有無なども審査されます。これには、サービス内容には買い物や料金の支払いの援助なども含まれ、高齢者の中には介護などの支援が必要とされる場合もあるといった理由があります。

3)デジタルスキルを学び直し「MENTER(メンター)」&「複業留学」

エクセルやデータ分析、情報セキュリティー知識などのデジタルスキルの学習サービスを提供するWHITEは、ベンチャー企業での副業を支援するエンファクトリーとともに、シニア人材のデジタルスキル学習支援「MENTER」と、企業への人材マッチング「複業留学」を複合させたサービスを開始しました。

両社の共同事業の背景として、新型コロナの影響を受けてリモートワークの広まり・デジタル人材の需要が高まったこと、シニア人材にもデジタルスキルの学習を支援することで、新たなキャリア構築の支援を行うためとしています。

70歳までの就業機会の確保が企業に求められていく中で、これまでの社会人経験を活かしつつ、時代に合ったスキルを身に付けたシニア人材をベンチャー企業に供給していく仕組みです。スキルアップのためのオンラインでの学習プログラムをMENTERが、本業に影響が出ない範囲での実際の就業機会を複業留学がそれぞれ提供します。就業の際は、報酬型の「複業タイプ」、研修形式の「研修タイプ」のどちらかを選択できます。

4)ベテラン社員のノウハウを企業とマッチング「inow(イノウ)」

転職サイトなどを運営するアトラエは、ベテラン人材と、彼らの豊富な経験を業務に活かしたい企業をマッチングさせるプラットフォーム「inow」を、2021年5月から提供しています。

inowでは、ユーザー(ベテラン人材)の経験や人脈、自身の興味のある分野などを登録し、関連する求人を掲載している企業とマッチングすることができます。企業側が掲載する求人は、ベテラン社員のノウハウや顧問としての意見を求めるようなものを想定しています。inowの特徴として挙げられるのは、単なる求人マッチングだけでなく、週1日の業務委託や長期の顧問契約なども柔軟に決められることです。

マッチングの肝となる人材と案件の検索は機械学習を用いて、ユーザーの経験と企業の人材ニーズのマッチングの精度を高めています。さらに、ユーザーの興味や関心を機械学習することで、ユーザーが想定していないマッチング候補の提案も行えるようです。

副業や人材の流動化が進み、高齢者雇用安定法により高齢者の雇用がこれまで以上に求められる中で、ベテラン人材のノウハウの活用は、ユーザーと企業の双方にとって今後も要注目といえそうです。

5)使わなくなった空き部屋を貸し出す「Homesharing(ホームシェアリング)」

米国のSilvernestは、高齢者の住む家や空き部屋を若者とシェアする「Homesharing」を提供しています。これは、自宅をシェアするルームメイトをマッチングさせる高齢者のためのプラットフォームです。一般的な賃貸と異なり、自身は家に住みながら、使わなくなった空き部屋を貸し出し、リビングなどを共有します。こうすることで、貸し手である高齢者は、使わない部屋を収益化でき、同時に審査を通過した同居人と時間をシェアすることが可能です。同居人となるユーザーとしても、通常の部屋を借りるよりも安価に住まいを確保できるメリットがあります。

同居人の候補とのマッチングには、貸し手のプロフィールや質問事項への回答内容、部屋の詳細などを基に候補者とのマッチング度がランク付けされます。また、家賃を安定的に確保するために、同社ではリース契約や家賃の自動引き落としなどにも対応しています。

6)単身高齢者向け見守りサービス「ドシテル」

日立グループの日立グローバルライフソリューションズは、高齢の親の生活をセンサーで検知し、スマホで様子を見守るサービス「ドシテル」を提供しています。

これは、高齢の親のリビングなどにセンサーを設置し、日々の動きを「活動量」として検知し、活動量の程度に応じてユーザーのスマホにアニメーションとして表示されます。こうすることで、親の在宅・不在や、活動量の増減が把握できます。日々のデータも蓄積されることから、「起床時間になっても冷蔵庫を開けていない」「夜になっても外出から戻っていない」などの、いつもと異なる行動もプッシュ通知で設定できることから、万が一のときの備えにもなります。

活動量を計測するセンサーには、監視するカメラなどはついていないため、親のプライバシーを守ることもできます。親の様子はアニメーションで表示されるので、ユーザー側も「監視している」感覚を最低限に抑えることができます。

7)認知症を事前に検知し、脳トレで予防「Neurotrack(ニューロトラック)」

米国のシリコンバレー発のスタートアップNeurotrackは、スマホで認知機能のテストを行い、アルツハイマーなどの認知症の早期発見と脳機能の維持・改善を行うアプリを提供しています。

記憶や脳機能が徐々に失われるアルツハイマーなどの進行を止めたり、予防したりする薬は開発段階です。また、認知症は実際に目に見える症状が現れる10年以上も前から徐々に進行しており、症状が現れたときにはもう手遅れともいわれます。

Neurotrackは、こうした予兆をアプリで把握し、症状が現れる前に脳のトレーニングを行うことで、予防・改善を目指しています。臨床的に実証されている同社の認知機能のテストでは、スマホやパソコンのカメラで、ユーザーの視線を解析し、処理速度や注意力などの異常を検知します。そして、認知機能の改善に効果的とされる生活習慣の改善プログラムを提案し、テストを繰り返すことで認知機能の改善・向上を図ります。

同社は既に日本企業とも業務提携を始めており、第一生命ホールディングスやSOMPOホールディングスに認知機能に関するアプリの提供を行っています。

8)クレジットカードや銀行口座を管理する「True Link(トゥルーリンク)」

米国のTrue Linkは、高齢者や障害者など、自身でクレジットカードや銀行口座の管理が難しい人を対象とした、利用制限付きのプリペイドカードを提供しています。同社の「The True Link Visa Prepaid Card」は、カードが使える商品や店舗、金額などを本人以外がコントロールすることができます。

そうすることで、例えば、オンラインショッピングで高額商品を買うのを家族がブロックしたり、健康を損なう恐れのあるお酒やタバコの購入を制限したりできます。また、物忘れのために「頼んでもいないのに注文してしまった」というようなアクシデントも防げます。利用履歴はオンライン上で見られ、不正利用や使いすぎなども確認できます。

日本では、高齢者を狙った架空請求詐欺や振り込め詐欺が後を絶たない状況で、こうしたサービスへの期待が今後高まってくる可能性があります。一方で、高齢者のお金の使い道を制限することにもなり、導入するには丁寧な説明が必要になりそうです。

3 高齢者テック関連データ

前述の通り、高齢者向けのさまざまなサービスが世の中に登場しています。こうしたサービスのユーザーである高齢者の、インターネットの利用や日常生活の動向を見てみましょう。

1)総務省「令和2年通信利用動向調査」:年齢層別のインターネット利用機器

総務省「令和2年通信利用動向調査」によると、年齢層別のインターネット利用機器の状況は次の通りです。

画像2

この調査結果から、60歳未満の層ではスマホの利用が高く(おおむね80%以上)、パソコンの利用率も20~59歳では60%を超えています。一方、60~80歳以上の層を見ると、年齢層とともにスマホやパソコンなどの利用率は減少するものの、「スマホとパソコンの利用率の差(緑の丸枠)」が縮小しています。高齢者向けのデジタルサービスを提案するには、画面が大きく、現役時代に操作することのあったパソコンでの利用を考慮した仕様にする必要があるかもしれません。

2)東京都「令和2年度東京都福祉保健基礎調査」:日常生活に必要なサービス

東京都では、65歳以上を対象とした高齢者の生活実態に関する調査を実施しています。それによると、回答者の57.2%が、身の回りの世話などの「日常生活支援サービス」の利用意向があると回答しています。

画像3

同調査では、「生きがいを感じるとき」についても調査しており、回答者の40%以上が、「趣味やスポーツに熱中しているとき」「夫婦や孫など家族との団らんのとき」「友人や知人と交流しているとき」「テレビを見たり、ラジオを聴いたりしているとき」と回答しています。

同調査から、「ちょっとした家のお手伝い」や「気軽な話し相手」など、「人とのつながりを得るためのサービス」へのニーズがあることが伺えます。

前述の「まごチャンネル」や「Buddy Hub」のようなサービスは、今後のさらなる成長が期待できそうです。

以上(2021年8月)

pj80108
画像:deagreez-Adobe Stock

経営者169人アンケート! IT 導入で業務効率化に成功した項目はどれ?

1 ITを活用した効率化、他社はどうなの? 何からすべき?

「ITを活用した業務効率化」……言葉で言うのは簡単ですが、導入すべき分野や項目は会社によってさまざま。いざ取り組んでみても、思ったほど業務効率化につながらないものだってあります。

この記事では、経営者を対象に実施した、ITを活用した業務効率化の取り組み状況についてのアンケート結果を、ランキング形式で紹介します。アンケートは2026年5月18日から5月20日にかけてインターネットで行い、経営者169人から回答を得ました。ITを活用した業務効率化に取り組んでいる企業、これから取り組もうと考えている企業の皆さんが、今、何に優先して取り組めばよいのかの判断材料にご活用ください。

なお、導入等の状況について聞いたのは次の21項目です。

画像1

2 既に導入等をして成功している企業が多い項目

経営者169人のうち、ITを活用した業務効率化について

「既に導入等をして成功している項目がある」という人は119人(70.4%)

でした。119人に聞いて分かった、既に導入して成功している企業が多い項目(複数回答)の上位5位は次の通りです。

画像2

インターネットバンキングは最も導入率が高く、まだ経理担当者が銀行窓口に足を運んでいる企業は、早急に見直しを検討したほうがよさそうです。また、財務・税務関連書類の電子化や取引関連書類の電子化が上位に入っていることは、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応が中小企業にも着実に浸透してきたことの表れといえるでしょう。

3 多くの企業が取り組みたいと思っている項目

経営者169人のうち、ITを活用した業務効率化について

「まだ導入等をしていないが、早急に取り組みたいと思っている項目がある」という人は69人(40.8%)

でした。69人に聞いて分かった、早急に取り組みたいと思っている企業が多い項目(複数回答)の上位5位は次の通りです。

画像3

最も注目すべきは、生成AIの業務活用が第1位に入ったことです。ChatGPTやGeminiなどの生成AIツールは2022年末以降に急速に普及し、今や中小企業の経営者にとっても身近な存在になりつつあります。「取り組みたい」という意欲は高いものの、後述の通り実際に業務活用できている企業はまだ少数派であり、関心の高さと実態のギャップが浮き彫りになっています。

4 取り組みたいけど難しいと思われている項目

経営者169人のうち、ITを活用した業務効率化について

「まだ導入等をしておらず、今後も導入等は難しいと思っている項目がある」という人は94人(55.6%)

でした。94人に聞いて分かった、導入するのが難しいと思っている企業が多い項目(複数回答)の上位5位は次の通りです。

画像4

電子契約サービスは「早急に取り組みたい」項目の上位にも入っており、関心は高いが難しいと感じている企業が多い、まさに「頭の痛い課題」です。取引先などの対応状況に左右されるため、自社だけでは踏み出しにくいという事情もあるでしょう。

オンライン商談については、「対面でなければ伝わらない」という感覚がまだ根強く、特に人と人との関係性を重視する場面でのデジタル化には慎重な姿勢が続いているようです。

5 ITを活用した業務効率化について、特に課題だと感じていること(自由回答)

経営者169人のうち、ITを活用した業務効率化について

「特に課題だと感じていることがある」という人は35人(20.7%)

でした。最後に、35人に特に課題だと思っている内容を自由回答で答えてもらいましたので、一部紹介します。

  • DXの前に業務自体の見極めや合理化を進めなければいけない
  • うまくいかないケースも多いです
  • 効率が上がるかどうかの検証は難しい部分がある
  • 予算、スタッフ能力
  • 作業がアナログであること
  • 関わるものに高齢の方がいて対応が難しい
  • DX化に専任スタッフをつけることができない
  • 金融機関などで有印のものを提出しなければいけないケースが多いので
  • 相手側がそのスキルが無いと進まない
  • 共有のデータ化
  • 紙、ハンコが絶対だと考える人がいる
  • データ送付、保管の安全性ウィルス対策
  • 予算がつけられない
  • 人事考課
  • コストがかかりすぎる、使い分けが面倒
  • 社員のIT教育訓練
  • IT関連の人材不足が顕著なこと
  • 費用がかかる
  • 作業との連携
  • 稟議書の電子化
  • 生産性の向上
  • 人材の確保
  • 専門知識を有する担当者がいない
  • どこから始めたらよいか優先順位が分からない

以上(2026年6月更新)

pj40058
画像:

座学だけでなく実践を! 「70:20:10」の法則で部下を育てる

書いてあること

  • 主な読者:入社3〜5年目でさらに成長したい中堅社員と、それを見守る経営者
  • 課題:一生懸命に勉強しているのに、なかなか実際のビジネスに活かせない
  • 解決策:座学だけではなく、実際に「経験」できる機会をどんどん与える

1 部下が育たない……

「あぁ~、もう! 何度言ったら分かるの!! ビジネスは相手の立場も考慮しながら進めないとトラブルになるよ。社内も社外も同じ。『次工程はお客様』って言うでしょ」。こう語気を強めているのは、営業を担当する中堅社員のAさん。

Aさんは、日々、部下に営業の姿勢を指導していますが、なかなか成果があがりません。そこでAさんは、上司であるB本部長に相談しました。「部下がなかなか育ちません。本を読ませたり、セミナーに行かせたりしているのに……。今のままではとても現場に出すことは難しいです」。するとB本部長は、次のように返しました。

「Aさんが教育熱心なのは分かっているよ。部下もそれを分かっているから、Aさんが厳しくてもついてくるんだよ。でもね、Aさん。人は受け身の座学だけでは成長できないんだよ」

2 「70:20:10」の法則

社員教育の現場でしばしば話題に上る、「70:20:10」の法則というものがあります。これは、

人の成長に影響を与えるのは、70%の経験、20%の教え(上司などからの)、10%の座学(研修など)である

ことを示しています。

教えや座学も大事だけれど、実際に自分で経験してみなければ身に付かないことが多いというのは感覚で分かります。特に、失敗は貴重な経験で、次の挑戦に生かすことができます。ところが、部下の教育に熱心な上司ほど“30%の壁”にぶつかります。「まずは基礎固めから」「失敗しないように慎重に」などの思いから、20%の教えと10%の座学という、足して30%の教育(教えと座学に偏った教育)ばかりを実行してしまうのです。

その理由は、

実は教えと座学に偏った教育は、上司にとっては達成感がある

からです。そもそも座学の機会を与えているのは自分(上司)です。同様に、自分の指示に従っている部下を見ることで、自分の教えが浸透していると誤解します。しかし実際は、上司の言葉の字面しか理解していない部下は少なくないものです。

足して30%の教育で成長できるのは、自ら率先して行動できる人だけです。そうでなければ、「頭ではある程度理解しているが、経験が浅いため現場に出ると何をしてよいのか分からずに動けない」ことにあります。冒頭のAさんが直面しているのは、まさに“30%の壁”です。自分(上司)としては十二分に教えているのに、いつまでたっても部下が現場で通用するほどには育たない。そんな困った状況にあるわけです。

3 もう少し問題を掘り下げる

足して30%の教育がもたらす問題をもう少し掘り下げてみましょう。部下は上司の下で成長できないばかりか、将来に向かって「勇気(ゆうき)」「当事者意識(とうじしゃいしき)」「やる気(やるき)」という、ビジネスで大切な3つの“き”を失います。

まず、経験がなければ、現場で一歩を踏み出す勇気が湧いてきません。そうしたときに、上司が常にフォローしていれば当事者意識をなくします。そして最後は、「どうせ自分は仕事ができない」とやる気を失うのです。

こうした状況が長く続くほど、事態は深刻になります。そして、上司は簡単な仕事さえ任せることができなくなり、本来は上司がやるべきではない仕事をいつまでも引き受けることになります。上司が上司としての仕事をしなければ、組織は停滞します。

4 経験しながら学ぶ機会が大事

「70:20:10」の法則を考慮すれば、部下の成長を促すためには経験が大切です。そこで、部下には小さな経験からしてもらい、上司は少しずつ難しい局面を設定するようにします。例えば、最初は上司が同行している商談の場でサービスの提案をさせ、その後に価格交渉など利害が衝突しやすい局面を経験させます。

難しいのは、冒頭のAさんが遭遇したような、「相手のことを考えて行動する」といった類いのつかみどころのない内容です。これは個人によって考え方が異なるもので、世代によっても“常識”が違います。個人の考え方を教えるのは難しく、それが良いともいえません。また、仮に上司の考えを隅々まで教えられたとしても、同じような考え方をするメンバーが多い組織に多様性はありません。

そこで、上司のほうが部下の多様な考え方を受け入れるという発想の転換が必要かもしれません。もちろん、守らなければならない接客の基準などがあって、その部分については議論の余地はないわけですから、徹底的に教え、経験させましょう。

以上(2021年8月)

op20317
画像:fizkes-Adobe Stock

【朝礼】残念な「時間の感覚」を改善する2つのコツ

つい先日、社外の人とオンライン会議の日程調整をしているときに、「マナーがなっていない」と感じることがありました。初めてお会いする相手だったので、私も気を使い、候補日を3つ提示しました。各日それぞれ3時間の範囲から選んでもらう想定でしたので、合計9時間です。相手の日程調整がなかなか進まず、結局、1週間もかかりました。しかも決まったのは、最初の候補日の前日ギリギリです。その間、私は仮予定として9時間をブロックされたままです。こういう時間の感覚は本当に良くないと改めて思った次第です。

今挙げた例は極端ですが、「自分のところで仕事を止めてしまい次工程が遅れる」「リアクションが遅く相手を待たせてしまう」なども同様に良くない時間の感覚です。これでは物事が停滞し、前に進められないからです。

どうですか。皆さんもやりがちなことではないですか?

特に、リモートワークをしている当社では時間の感覚がとても重要です。この感覚が適切でないと大きなミスにつながりますし、全体的に緩い雰囲気となれば、組織の成長の妨げにもなります。これまでも繰り返してきましたが、改めて言います。皆さん、時間の感覚をバージョンアップさせてください。そのためのコツが2つあります。

1つ目は「早く返す」ことです。メールの他、チャットやSNSツールなど、リモートワークではさまざまな形でメッセージが届きます。

いずれの場合も、まずは早くリアクションしてください。特別な理由がなければ、長くても、待って1日です。すぐに答えられなくても、「確認が必要なので明日の17時までに回答します」と返すことはできるでしょう。特にチャットの場合、半日過ぎたら遅いくらいです。立て込んでいる場合は、「本日は16時ごろまで他案件で立て込んでおりリアクションできません。それ以降に確認します」と返しておけばいいのです。相手を「どうなっているか分からない状態のまま待たせる」のは、相手の時間を奪っているものと認識してください。

2つ目は「早く放出する」ことです。これは、60%でいいのでとにかく早く相手に出す、見せることです。「自分の中でメドがついてから」「完璧にしてから」と考えてため込んでいると物事は停滞します。相手も状況が分かりません。リモートワークにある意味慣れてきた皆さんの中には、「まだメドがついていないし、催促されていないから黙っていよう」という人が出てきています。これは大きな間違いです。催促されないことほど怖いことはありません。社内外問わず、「この人のところで仕事が止まる」というレッテルを貼られている可能性のあることを自覚してください。

時間の感覚のバージョンアップは、組織のバージョンアップにつながります。むしろ、そうしていかなければ、皆さん自身も、当社も生き残れません。ぜひ、今日から実践してください。

以上(2021年7月)

pj17061
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】人を動かすために知っておくべき、たった1つのこと

今朝は管理職の方に集まってもらいました。日ごろ皆さんと話をしていると、思うように部下とコミュニケーションが取れないという相談をよく受けるので、その点をテーマに取り上げたいと思います。

皆さんが部下を褒めたり叱ったりするのは、部下に何かを伝えるためです。こうした行為を一般的にコミュニケーションと呼びますが、コミュニケーションと伝えることは同じではありません。ビジネスにおけるコミュニケーションの目的は、相手に動いてもらうことであり、伝えることの一歩先になります。部下とのコミュニケーションを良くするための方法として、伝える言葉を吟味して、伝える回数を増やし、伝えるシーンにもこだわることを推奨する書籍があります。これらは大切なことですが、表面上のテクニックとして実践するだけでは、部下は動いてくれないでしょう。

まず、部下を動かすためには、教えることと促すことが必要だと理解してください。教えることとは、AがAであることを部下のレベルや成長度合いに応じて効率的に教え、理解してもらうことです。一方、促すこととは、Aをしなければならない理由、あるいはAをしてはいけない理由を伝え、実際にそう動いてもらうことです。

正しい知識を教え、そこから派生する問題を部下の“自分事”として伝えて行動を促せば、部下は動いてくれるでしょう。これが上司と部下の理想的なコミュニケーションです。

こうしたコミュニケーションができるか否かで大きな差がつきます。

今、我が社は「自己啓発」を重視しています。部下に自己啓発の大切さを教え、実際に取り組むように促すのは上司の役割ですが、上司によって部下の行動に大きな違いが生じています。ある上司の部下は積極的に自己啓発に励み、別の上司の部下は全く自己啓発に取り組もうとしません。

個々の部下の姿勢による違いはあります。しかし、それを凌駕するようなコミュニケーションを上司が取れていないということでもあります。

大切なのは、促す力です。なぜなら、ここで教えるのは「どうして、会社が自己啓発を求めているのか」「会社の方針に合った自己啓発はなにか」といったことであり、誰が説明をしてもそれほど大きな違いはないからです。

上司は部下と真正面から向き合い、本気で自己啓発に取り組んだ場合に、部下の活動フィールドがどのように広がっていくのかを伝えなければなりません。部下の行動を促すには、部下が理想とする具体的なキャリアと、その実現に自己啓発が不可欠であることを伝える必要があります。これは、日ごろから部下のことを真剣に考えている上司でなければ分からないことです。

部下とのコミュニケーションは、時間をかけて良くなっていくものです。日ごろから良い関係づくりを心掛けつつ、教え、促してください。

以上(2021年8月)

op16842
画像:Mariko Mitsuda

従業員を海外赴任させるときの源泉税・住民税の取り扱いは?

書いてあること

  • 主な読者:従業員の海外赴任を検討している中小企業の税務担当者
  • 課題:海外進出を検討する際の税務上の問題点を把握したい
  • 解決策:従業員の源泉所得税・住民税の取り扱いに注意が必要

1 海外赴任と税金

コロナ禍により、一時的に海外往来はストップしているものの、近年は大企業だけでなく中小企業においても、海外進出が増えており、海外赴任をする従業員も珍しくない時代です。本記事では、従業員を海外に赴任させる際におけるその従業員に関する税金の取り扱いを解説していきます。

なお、本稿における海外赴任とは、企業等に属する個人が辞令等により日本国外の関係会社もしくは支店等に1年以上の長期にわたり勤務する行為をいい、短期の出張等に関しては海外赴任に含めないものとします。

2 海外赴任に関連する国内の主な税金

1)所得税

所得税法では、1年以上日本国内に住所等(住民票の有無にかかわらず、居所や生活の本拠地等実情に基づいて総合的に判断)を有しない者を「非居住者」といい、居住者(永住者、日本国内に住所等を有する者)と比べて、所得税の課税範囲が異なります。

居住者に対する所得税の課税範囲が、全世界所得(国内源泉所得+国外源泉所得)であるのに対して、非居住者に対する課税範囲は、国内源泉所得に限定されます。

なお、国内源泉所得とは、国内で生じた所得(収入)をいい、具体的には国内勤務の対価として支払われる給与や国内に所在する不動産から生じた賃貸料収入、国内の銀行から受ける利息や国内の企業から受ける配当などがあります。

2)住民税

住民税はその年の1月1日時点で日本国内に住所等を有する場合に課税されます。そのため、12月31日に海外赴任により出国した場合には翌年の住民税について課税は生じませんが、1月1日に出国した場合は課税関係が生じることになります。なお、普通徴収の未納分(あるいは特別徴収未済分)については、海外赴任をしても納税が免除されるわけではないので、出国前に全て納付するなどの留意が必要です。

3)国外転出時課税制度

海外赴任者が、出国時に多額の金融資産(株式などで時価が1億円以上)を所有している場合は、「国外転出時課税制度」が適用されることがあります。そのため、多額の金融資産を有する同族会社のオーナー一族の人などが海外赴任をする際には留意が必要です。なお、国外転出時課税の申告が必要な海外赴任者が、国外転出のときまでに一定の手続きを行った場合には、国外転出の日から5年間(延長の届出により最長10年間)納税が猶予されます。

(注)「国外転出時課税制度」とは、1億円以上の金融資産を保有している者が国外に転出する場合に、その金融資産の未実現利益(含み益)に対して課税を行う制度です。

3 赴任先における税金負担(所得税)

送り出し企業が海外赴任者に対して留守宅手当等の名目で支給する給与については、原則的には国外源泉所得として日本での課税が生じない代わりに、通常は赴任先の国等において課税が生じることになります。ただし、赴任者が従業員でなく「役員」である場合には、留守宅手当等の名目で送り出し企業が支給しているものであっても、国内源泉所得として源泉徴収が必要になるので注意が必要です。なお、国外支店等において役員としてではなく「使用人」として赴任する場合は、通常の従業員と同様にその給与は国外源泉所得として日本では課税されません。

また、赴任先における課税範囲や課税方法は各国等の税法等により異なるため、どのような税負担や申告、納税方法を採用しているか確認し、赴任後に思いがけない課税等が生じることのないよう、事前の対応が必要です。

各国等における代表的な課税範囲の取り扱いを例示すると、赴任先での業務に係る給与の全て(現地払い分+現地以外(日本)払い分+経済的利益)を対象としていることが多く、この場合、現地払い給与のみを申告している際などは特に留意しなければなりません。実際、適切な申告をせずペナルティーが科せられる事例や、国等によっては未納等がある場合には出国(帰任)できないなどの事例もあるようです。

このように税金の取り扱いについては、国等によってさまざまであるため、実際の対応については、海外進出支援を行っている税理士などの専門家に相談するようにしましょう。

4 海外赴任者に係る税務手続きに関する留意点

1)海外赴任前の国内の給与所得等に関する留意点(所得税の精算)

海外赴任者が1カ所の給与所得のみで、その収入総額が2000万円以下の場合は、送り出し企業はその者の出国時までに、年末調整により所得税を精算する必要があります。なお、出国前までの期間(国内勤務期間)に相当する賞与を「出国後に支給」した場合は、国内勤務期間に相当する部分の金額は、非居住者に対する国内源泉所得として通常の給与(居住者時代の給与)とは異なる税率で源泉徴収が必要になります。このような複雑な実務を回避する方法として、出国までに賞与を支給し、出国時に年末調整を実施することなどが考えられます。

また、2カ所以上からの給与や不動産所得など、給与所得以外の国内源泉所得を有する海外赴任者は、出国時までに納税管理人を選定し、所轄の税務署および住所のある市町村に届け出ます。納税管理人は法人・個人いずれでも届け出ることができ、海外赴任者の代理人として確定申告をすることになります。なお、納税管理人を選定しない場合は、出国時までに自分自身で確定申告をしなければなりません。

その他、参考として、海外赴任者がNISA口座を保有している場合の留意点を紹介します。以前は、非居住者(国内に恒久的施設を有しないもの)はNISA口座を保有できないこととなっていたため、赴任前に証券会社にて出国に係る諸手続きを経てNISA口座を廃止し、お金を払いだす必要がありました。しかし、2019年度税制改正に伴い、NISA口座については、証券会社にて一定の手続きを取ることにより、継続保有が可能となっています。ただし、非居住者については証券口座自体の保有を認めていない証券会社もあり、これらの取扱いは各証券会社で異なるため、各自で事前に確認する等の留意が必要となります。

2)非居住者に係る源泉所得税の納付書に関する留意点

非居住者に対して支給する役員報酬や、出国後に支給される出国前の国内勤務期間に係る賞与等は国内源泉所得に該当するため、20.42%の源泉所得税の徴収が必要です。また、この際の納付書は通常の給与に係る納付書と様式が異なります。

3)非居住者の確定申告(納税管理人の届出有り)に関する留意点

前述した一定の国内源泉所得を有する非居住者で、納税管理人の届出書を提出した場合は、申告期限(原則3月15日)までに、納税管理人を通じて確定申告書を提出し納税します。当該確定申告に係る課税範囲は国内源泉所得に限られ、また適用される所得控除は、基礎控除、寄附金控除及び雑損控除(国内資産から生じたもの)に限られます。

4)帰任時の留意点

赴任者が帰任(一時的なものを除く)した場合には、帰国した日の翌日から居住者となり、通常の従業員と同様の方法で、給与に対する源泉徴収が必要になります。また、帰任後に現地勤務に起因する給与や賞与が支給された場合においても、日本の課税対象となりますので、現地勤務に起因する給与等は帰国前にすべて支給し、現地で納税を済ませることで二重課税を避けるといった工夫が必要です。なお、二重課税が生じた場合も、確定申告で外国税額控除(詳細な説明は省略)を適用することにより、一定の額について二重課税を排除することが可能となる場合があります。

その他、納税管理人を選定している場合は、納税管理人の解任手続きが必要です。また、国外転出時課税制度の納税猶予を届け出ている場合には、課税の取り消しや更正の請求手続き等に留意が必要です。

なお、2019年度税制改正により、5年以内の海外転勤であればNISA口座の継続利用が可能になったため、出国の段階で証券会社に「継続適用届出書」を提出していた場合には、帰国後に「帰国届出書」を提出する必要があります。

5 【参考】短期滞在者免税(租税条約)

海外赴任ではなく、自社の業務等で海外に出張したときにも、その出張先の国等によっては、現地で課税が生じることがあります。この場合、同じ所得に対して、日本と出張先の国等の双方で課税関係が生じることになります(二重課税)。この二重課税の排除を目的として租税条約において「短期滞在者免税」という規定があります。この短期滞在者免税の要件を満たす場合は、現地での課税が免除されます。そのため、日本と出張先の国等との間に租税条約が締結されているかどうかや、その免除条件を確認することも重要です。

以上(2021年7月)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森 浩之)

pj30020
画像:photo-ac

【朝礼】イメージトレーニングを実践してみよう

いよいよ4年に1度のスポーツの「熱き祭典」が始まりました。新型コロナウィルス感染症などさまざまな課題はあるものの、世界のトップアスリートたちを、是非、応援したいものです。

さて、トップアスリートと呼ばれる人のほとんどが「イメージトレーニング」を取り入れているそうです。トップアスリートたちは、自分がこれからする競技を頭の中で思い浮かべて成功をイメージし、本番ではそのイメージを持って競技に挑むのだといいます。

例えば、マラソン競技ならばコースの風景や上り下りの傾斜をイメージしながら頭の中でレースを進め、スパートをかける勝負どころはどこなのかをあらかじめイメージしてレースに向かうのだそうです。また、「自分が先頭でゴールテープを切る姿」を思い浮かべて、成功をイメージすることも大切なイメージトレーニングだといいます。

イメージトレーニングが効果的なのはスポーツだけに限るものではありません。私たちが仕事に取り組む上でも、イメージトレーニングはとても大切です。仕事に取り組むときには、どのような手順で仕事を進めるのか、そのためには事前の準備として何をすればいいのか、そして最終的なゴールはいつ、どのようなものになるのかを事前にイメージしておきましょう。

例えば今日、お客様を訪問する予定があれば、お客様の顔を思い浮かべながら伝えなければいけないことや聞きたい話を整理し、お客様がどのような質問をしてくるか、どう説明すれば成功に結びつくかをイメージしておくとよいでしょう。

ひとは誰でもよい仕事をしたいし、よい結果を残したいと思っているはずです。けれども、ただ漠然と成功したいと考えているだけではそれはうまくいかないかもしれません。

自分がなすべきこととそこに至る道筋をあらかじめ頭の中でまとめて、なすべきことと成功へのイメージを作っておけば、目の前の仕事に追われてしまって右往左往してしまうことも少なくなります。

アスリートたちの勝負は、競技が始まるずいぶん前に、イメージの中で始まっています。同じように、私たちの仕事も本当は事前にイメージすることから始めてみてはどうでしょう。仕事に取り掛かる前には、自分のやるべきことをできるだけはっきりと具体的にイメージしておくのです。頭の中でのイメージを具現化するように仕事に取り組むことで、段取りよく無駄のない仕事ができるようになります。また、イメージした通りに仕事が進んだり、商談が成立すれば、成功体験を2回することができ、仕事に対する自信にもつながります。

以上(2021年7月)

op16452
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】身近にあるワクワクや感謝に気付ける人になる

先日、取引を始めたばかりのクライアントから、Z世代向けのマーケティングについて相談を受けました。Z世代とは、1990年代後半から2012年ごろに生まれた世代で、当社がターゲットとする顧客層とは大きく異なります。この話を断ることもできましたが、「打席に立つ」のが私のモットーですし、こうした機会でもなければ接することのない分野だと思ったので、少し調べてみることにしました。

Z世代について書かれた書籍を読み、Z世代が好むとされる音楽を聴いてみました。知り合いにも相談してみました。すると、想定していなかった新しい発見がたくさんあったのです。

例えば、Z世代向けの書籍を読んだことで、軟らかい文章を書く際のヒントがつかめました。最新の音楽を聴き、新鮮な気持ちで「かっこいい!」と感じてリフレッシュできました。それに、この件で相談した知り合いと、ビジネス以外の「趣味の話」をすることができ、これまで以上に仲良くなれました。

とてもワクワクする楽しい経験をしたわけですが、ここで私はふと、気付いたのです。「この経験は、当社に所属していなければできなかったかもしれない」ということに。そして、この経験のきっかけとなったクライアントとの取引は、ここにいる皆さんが1年以上もかけて努力し続けてきた成果であることに。改めて、私は皆さんとクライアントに「ありがとう」と思ったのです。

このエピソードを通じて、私が皆さんに伝えたいのは、

私たちの周りにはワクワクすることや、感謝の気持ちを抱かせるようなことであふれている

ということです。しかし残念なことに、それに気付いていない人があまりにも多くいます。

最近、「好きな仕事だけをすればいい」「我慢する必要はない」といった風潮があります。そして、右へ左へと気軽に動くことを「流動化」として推奨しているようにさえ感じます。しかし、「この仕事はつまらない。私には合わない」と凝り固まった考え方をし、簡単に会社を辞めたり、諦めてしまったりしている人がいるとすれば、それは大きな間違いと言わざるを得ません。

そうした人が「青い鳥」を探しに行ったとしても、きっと見つからないと思うからです。今、自分がいる場所で、身近にあるワクワクや感謝にさえ気付けないのですから、よそに行っても見つかるはずがありません。

仕事が自分に向いているか否か、仕事が楽しいか否かを決めるのは、その仕事の内容だけではありません。皆さんがその仕事とどう向き合うのか、そしてワクワクや感謝に気付くことができるかが大切なのです。どうか、気付くための感性を養ってください。そして、ワクワクや感謝などの

「気付き」に気付ける人

になってください。それだけで皆さんのビジネスパーソンとしての世界が豊かになります。

以上(2021年7月)

pj17060
画像:Mariko Mitsuda

ストップ!「ながら運転」(2021/07号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

運転中の携帯・スマホの使用やカーナビの画面注視など携帯電話使用等(いわゆる「ながら運転」)に起因する交通事故件数(令和2年)は、道路交通法の改正(厳罰化)等の効果もあり、前年より大幅に減少しました。
その一方で、ながら運転による交通事故は、ながら運転以外の場合と比べ、死亡事故の比率が約1.9倍であり、重大事故となる可能性が高い傾向があります。
ながら運転を絶対にしないように心がけ、常に運転に集中しましょう。

画像1

※ 警察庁Webサイト 「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用」https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/keitai/info.html(2021.6.17閲覧)

1.ながら運転の罰則等

ながら運転とは、運転中の携帯・スマホによる通話、操作および画面注視、ならびにカーナビの画面注視などの行為を言います。携帯電話使用等によるながら運転は、その危険性から厳しい罰則等(下表)が課せられます。交通事故の発生や重大な事故につながる危険な運転により交通の危険を生じさせた場合は、罰則等が重くなります。

画像2

2.“ちょっと”が危険を招く

スマホをちょっと確認するだけでも、また運転に集中するまでに2秒程度を要します。
一方、スマホやカーナビを2秒以上注視するとドライバーが危険を感じる状態になると言われます。
車は2秒間で思った以上に移動します。その間、周囲の交通情報が遮断されると、対向車、停止車両、歩行者等に気づくのが遅れ、ブレーキ操作等が間に合わず、衝突、追突もしくは歩行者等をはねるリスクが高まります。

画像3

<ながら運転の事故発生場所の特徴>
ながら運転による交通事故は、比較的見晴らしがよい直線道路で多いという特徴があります。
これは、安全と思われる場所が、“ちょっと”の油断を招くからだと推察されます。

※ 公益財団法人 交通事故総合分析センター「携帯電話等の使用が要因となる事故の分析」
https://www.itarda.or.jp/presentation/18/show_lecture_file.pdf?lecture_id=95&type=file_jp
(2021.6.17閲覧)

3.ながら運転対策

厳罰化から1年半が経過しましたが、ちょっとの油断も生じさせないためには、“ながら運転は絶対にしない”という強い意識を持ち続けることが大切です。
ながら運転の危険性をいまいちど認識し、安全運転を心がけましょう。

1.ながらスマホ対策

  • 着信で注意を奪われないよう、運転前に電源を切ったりドライブモードに設定したりする。
  • スマホを操作するときは、安全な場所に停車してから行う。
  • ハンズフリー通話は、会話に気を取られて安全不確認や漫然運転といった安全運転義務違反につながる可能性があることを十分に意識する。
  • <職場での取り組み>
  • ながら運転の撲滅に向け、油断が生じないよう、定期的に安全運転教育を行う。

2.カーナビ注視対策

  • 時間に余裕を持った行動(目的地への道程の事前確認、早めの出発)をする。
    道に迷ってもあわてず、車を安全な場所に駐車して地図を確認しましょう。

以上(2021年7月)

sj09007
画像:amanaimages

情報過多な今こそ求められる ビジネスでの情報活動スキル向上策

書いてあること

  • 主な読者:情報活動(情報の収集、分析、活用)のスキルを向上させたい人
  • 課題:欲しい情報を迅速かつ的確に集める方法や、その情報がビジネスで使える情報なのかの見分け方が分からない
  • 解決策:インターネット以外での情報収集も行う。出所ごとの情報の質の違いを理解する

1 ネットで拾ったその情報、ビジネスで使って大丈夫ですか?

参入を検討している介護用品は、きっと売れるという報告をしたら、課長から「調査が不十分」と大目玉をくってしまった。ちゃんとインターネットで検索して、介護関連市場が拡大しているという経済評論家の話や、国が高齢者対策は重要だと言っていること、それにライバル会社の類似商品を評価する書き込みがブログやSNSに載っていることを報告したのに……。

ちょっと待ってください。確かにインターネット上には情報があふれており、商品の売れ行きを見通すための材料も見つかるかもしれません。ですが、先ほどの調査は、次の3つの点で不十分と言われても仕方ありません。

  • 情報の出所:インターネットのみで情報を収集している
  • 情報の質:情報そのものの信ぴょう性に疑念がある
  • 目的と合致した情報:売れるかどうかを判断するのに役立たない情報を収集している

この記事では、上記の3点に焦点を当てて、自社のビジネスにとって必要な情報を、どうすれば迅速かつ的確に収集、分析、活用できるのかについて考察します。

2 情報の出所:ネット以外での収集も検討しよう

1)インターネットで見つからない情報に価値があることも

情報収集の最初の手段としてインターネットで検索することは、最も容易に、かつ的確な情報を得られる可能性が高いといえるでしょう。一般的に新鮮な情報が多い傾向もあります。ただし、情報を発信することも容易であるため、情報の質は玉石混交です。また、誰もが容易に入手できる情報なので、情報の“重さ”や貴重さという面では劣るといえるでしょう。

インターネットの対極にあるアナログな情報として、書籍や文献、専門家の話や実地調査などがあります。収集するのは難しいですし、書籍などの中には古い情報が含まれていることもあります。その一方で、実体験に裏打ちされた情報や、現場の生の声など、「リアル」な情報が入手できるメリットがあります。こうした情報には、情報源に近いという情報の“重さ”と、オリジナリティーのある貴重さという点で、インターネットで収集した情報とは一線を画した強みになることがあります。

2)場合によってはお金をかけることも必要

インターネットニュースの広がりにより、情報が水や空気と同じように無料で収集しやすくなっているのは確かです。ただし、全ての情報が無料で収集できるわけではありません。情報は、より選別化されているといえます。

有料情報は、有料で販売できるだけの強みを持っています。有料情報が強みとしている無料情報との主な違いとしては、次のような点が挙げられます。

  • 通常では入手するのに時間や手間がかかる(蓄積された経年のデータも含める)
  • 網羅性がある(調査の対象が広く全体を俯瞰(ふかん)できる)
  • 専門性が高い(情報を持っている人が限られている)
  • 正確性が担保されている(情報の精度が高い)
  • 信頼性が高い(情報発信者として権威があることも含む)

対価を支払うだけのメリットが得られるのであれば、お金をかけて情報を収集することも検討しましょう。

3)「上下前後左右」の出所をフル活用しよう

インターネットが広まる以前、メディアに携わる人の間では、情報収集は「上下左右」からといわれていました。ネット時代となった現在は、情報の出所はさらに広範になっており、「上下左右前後」に例えることができそうです。

  • 上:政府などの統計情報
  • 下:消費者などの口コミ情報(インターネット掲示板やSNSなども含む)
  • 前:研究者や専門家のコメントや文献、調査会社のリサーチ
  • 後:書籍、専門機関のデータベース
  • 左:ネット系新興企業(検索エンジン運営会社、マーケティング・リサーチ会社など)
  • 右:従来のメディア(新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど)

一部の出所には、インターネットからでは収集できない情報もあります。また、情報を分析・活用する際にも、それぞれの情報の出所ごとの特徴を踏まえておくことが重要です。情報の出所ごとの特徴は、次の通りです。

画像1

3 情報の質:真実に近いかを見分けることが第一歩

極端な話ですが、単なる噂話で会社の経営判断が振り回されるわけにはいきません。情報を分析するための第一歩は、情報の質、つまり真実に近い情報かどうかを見分けることです。近年は「フェイクニュース」という言葉をよく耳にしますが、誤情報は発信者の悪意からだけでなく、意図せずに事実と異なる情報を発信してしまっている可能性もあります。質の低い情報を基にいくら的確に分析しても、正しい分析結果は出せません。

ここでは、情報の質を見分けるための基本的なポイントを紹介します。

1)出所を確認する

情報の出所を確認することで、情報の質をある程度推定することができます。政府などの公的機関および研究機関、新聞、上場企業などが出所となっている情報は、一般的に質が高いといえるでしょう。

逆に匿名で発信された情報は、正確性が担保できない上に、真偽の確認手段も限られてしまいます。特にインターネット掲示板やブログ、SNSなどは匿名性が高く、質の低い情報が混ざっている可能性が高いと考えておくべきでしょう。

2)一次情報か二次情報か

一般的に情報は、媒介者が増えるほど正確性を損なっていく傾向があります。情報源(当事者)から直接入手した情報(一次情報)や、新聞など出所の確かな組織が一次情報を基に発信した情報(仮に「準一次情報」と呼びます)は、ほぼ真実とみなしてよいでしょう。それと対照的に、人づてに聞いた話や、インターネットで検索したブログでの書き込みなどの、いわゆる二次、三次情報は、質の低い情報といえます。

ビジネスで活用するのであれば、基本は一次情報および準一次情報を中心に収集するべきです。もし二次情報、三次情報を活用したいのであれば、可能な限り情報源を探しましょう。もし情報源を見つけられなかった場合は、その情報には裏付けがなく、間違えている可能性があることを前提にして分析を行うようにしましょう。

3)客観的情報か主観的情報か

情報の質を見分ける中で最も難しいのが、その情報がデータなどに基づいた客観的情報なのか、情報発信者の考えが混ざっている主観的情報なのかの判別です。

基本的には、何らかのデータにひも付けられた情報かどうかで判別できます。例えば、「A商品が人気になっている」という情報だけでは、客観的情報とはいえません。「直近の月間売上額がいくらで、ライバル企業の類似商品の1.5倍」といったデータに裏付けられて、初めて客観的情報になります。

では、ある消費者がSNSに書き込んだ「B商品は使いやすくて便利」という感想は、主観的情報なのでしょうか。これは、その消費者が感じたことを正直に書き込んだ感想であるので、客観的情報だといえます。ただし、その感想を書き込んだ消費者が、例えばB商品を無償で提供されているなど、B商品を褒めることにメリットがある場合、その感想は主観的情報と判別しなければなりません。ですから同じ情報であっても、発信者の立場にまで注意しておく必要があります。これは、研究機関や新聞などの発表でも当てはまることです。

4)情報の「クセ」にも注意を

どんなに公平・中立を目指した調査であっても、何らかの偏りが出てしまうものです。

例えば、世論調査をはじめとするアンケート調査の結果は、世の中の平均的な考えを集約した真実に近い情報だと思われがちです。しかし、例えば日本人の1日のインターネットの平均利用時間を知るために、インターネットを使って回答者を募集しても、正しい情報は得られません。インターネットを全く使わない人もいるからです。

また、日本人の場合は、「とても良い」「良い」「普通」「悪い」「とても悪い」という5つの選択肢がある場合、「とても良い」と「とても悪い」という回答を選びにくいともいわれています。

こうしたことから生じる情報の「クセ」の大きさを把握するためには、調査方法、調査時期(時間)、調査人数、調査対象の選び方、質問内容(聞き方)や回答方法といった調査の前提を確認しておくことが大事です。

4 目的と合致した情報:「何を判断するのか」を明確に

せっかく収集した質の高い情報でも、十分に活用できなければ、その情報は「インフォメーション」にとどまり、「インテリジェンス」にはなりません。収集、分析して得られた情報が、判断する材料に適した情報でなければ、意味がありません。逆にいうと、数ある情報の中から、目的に合った情報を選別して収集し、活用することが求められるのです。また、情報の使用目的によっては、著作権やプライバシーなどに配慮する必要が生じます。

1)「何を判断するのか」を明確にし、優先順位をつける

当たり前の話ですが、なぜその情報を活用するのか、その目的を明確にしておくことが基本です。

情報を活用する目的としては、6W2H(「Whether or not to:やるか、やらないか」「When:いつまでにやるのか」「Where:どこでやるのか」「Who:誰がやるのか」「What:何をやるのか」「Why:どのような理由でやるのか」「How:どのような方法でやるのか」「How much:いくらでやるのか」)といったものがあります。

これらの目的に合わせて判断するには、単独でなく複合的に判断する必要があります。例えば、「いくらでやるのか」が決まらなければ、「やるか、やらないか」も決められません。優先順位をつけながら、判断をしていくことになります。

2)多次元の情報を活用する

情報を基に判断するには、なるべく多くの側面から、つまり多次元の情報を基に判断することが大事です。

例えば、A店舗にB商品を追加投入するかどうかを判断するとします。「A店舗でのB商品の今月の売上高」という点の情報だけでは、判断できません。ここに、「A店舗でのB商品の過去3年間の月ごとの売上高」という縦の線の情報、「A店舗を含むC地域の各店舗でのB商品の売上高」という横の線の情報を加えて面の情報にすると、適切な判断がしやすくなります。

さらに、「B商品と類似したD商品の売上高」「B商品やD商品を含むカテゴリー全体の売上高」などの立体的な情報を加えることで、判断の精度が高まります。

3)反対の情報も探してみる

ある程度の情報が集まると、「この商品は売れそうだ」といった仮説を立てることができるようになります。仮説を基に、それを補強する情報を集めることによって、情報収集の効率がよくなります。

ただし、仮説はあくまでも仮説です。仮説を補強する情報だけでなく、仮説に反するような情報がないかどうかも調べてみることが大事です。

4)他者を説得する材料に活用する場合は、より客観性に配慮を

情報は自社の経営判断のためだけでなく、他者を説得するための材料としても活用します。

例えば、ある商品を売り込みたい場合、「販売量が類似商品の中で1番」「使った人の満足度は○%」といった情報を付けると、買い手の購入意欲を高める材料になるでしょう。

こうした際は、基本的に説得したい内容を補強する情報を使うと効果的です。ただし、説得したい内容との関連性が薄い情報や、根拠に乏しい情報を付けると、逆に不信感を与えかねません。また、客観性を担保するために、「当社アンケートに基づく」「当社の旧商品との対比」といった自社で作成した情報よりも、一次情報や準一次情報などを活用するほうが、説得力が増すでしょう。こうした場合は、出所を明確にすることも大事です。

5)社外へ公表する情報は、著作権やプライバシーに要注意

収集した情報を社内での検討資料として使用するだけであれば問題ありませんが、情報を外部に公表する場合などは、著作権やプライバシーに関しての取り扱いに注意が必要になります。ただし、社内のみで使用する情報であっても、取得した情報をPDFなどに電子化して共有する場合は、著作権に抵触する可能性があります。また、たとえ有料で取得した情報であっても、使用条件が限定されることが少なくありません。事前に使用条件を確認しましょう。

収集した情報を外部に公表する場合は、情報発信者の了解を取るべきでしょう。また、個人名などが判別されてしまうような情報に関しては、当人に確認したり、一部の情報を伏せて公表したりするなどの対応が必要になります。

以上(2021年7月)

pj70040
画像:unsplash