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私は最近、自分の業務遂行能力を高めようと、あることを始めました。それは「昼食後の歯磨き」です。「何で歯磨き?」と思うかもしれませんが、これを習慣として取り入れてみると、仕事に役立つさまざまな恩恵が得られるのです。私が考える恩恵は3つあります。
1つ目は、「健康管理」です。普通、虫歯や歯周病予防といった口内の健康管理は、歯が痛まない限り後回しにされがちです。しかし、例えば歯周病にかかると、糖尿病をはじめとするさまざまな疾患を発症する恐れがあるといわれます。逆に健康な歯をたくさん持っていると、よくかんで食べる癖がつくため、肥満予防やバランスの良い栄養摂取につながるそうです。つまり、昼食後の歯磨きを習慣的に行うことで、仕事をする上で必須となる、健康な肉体を保てます。
2つ目は、「時間管理」です。昼食は「ながら」作業ができても、歯磨きはそうはいきません。日中は仕事が立て込むことが多い中で、毎日5分程度の時間を捻出する必要が生じるため、逆算してテンポ良く作業をこなすようになります。また、特にリモートワークの場合、公私の時間の区別が不明確でダラダラと作業をしてしまいがちですが、歯磨きを作業の区切りに挟むことで、メリハリをつけることができます。さらに、「日々の健康管理」という、緊急ではないけれど重要な要素を1日のスケジュールに組み込むことは、仕事の優先順位を考え直すきっかけにもなり得ます。
3つ目は、「整理整頓」です。これは会社で歯磨きをする人が対象になりますが、多くの人が使用する社内の共有スペースの中に、歯ブラシなどを置く場所を確保するというのは、簡単なようで意外と難しいことです。歯ブラシを乾かすためには、清潔でそれなりに広い空間が必要ですし、会社に訪問されるお客様に歯ブラシを見せるわけにはいきません。自宅だとあまり整理整頓を意識しないという人も、人目がある会社では逆に整理整頓を意識するようになるのではないでしょうか。
健康管理、時間管理、整理整頓はどれも社会人にとって初歩的なことですが、それだけにおろそかになりがちです。また、歯磨きがこれら3つの改善につながるといっても、地味で効果がすぐには見えにくいため、「やってみよう」という気は起きにくいかもしれません。ですが歯磨きには、すぐに、簡単に始められるというメリットもあります。今年度、さらなる成長を目指し、「ささいなことでもよいから、自分自身を磨いていきたい」という人には、ぜひお勧めします。
先ほど紹介した通り、歯磨きは虫歯や歯周病の予防になりますし、口中がさわやかになって気分転換にもなるなど、仕事以外の部分でもメリットがあります。歯磨きのために鏡で自分の姿を見ることで、身だしなみの乱れも正せます。
歯磨きのようなささいなことでも、自分を磨くために少しでも有益だと思えることであれば、皆さんも積極的に取り入れていきましょう。
以上(2021年4月)
pj17049 画像:Mariko Mitsuda
書いてあること
主な読者:リモートワークに対応した就業規則のひな型が欲しい経営者、労務担当者
課題:就業規則のどこを見直せばよいか分からない、定め方が分からない
解決策:オフィスワークとリモートワークの労務管理上の違いに注目する。就業規則本則に委任規定を設け、リモートワーク規程などでルールの詳細を定める
1 就業規則の中で見直しが必要な項目は?
リモートワークのルールを就業規則で定める場合、「オフィスワークとリモートワークは労務管理上何が違うのか?」という視点で考えると、就業規則の中で見直しが必要な項目が分かります。具体的には、対象者、就業場所、服務規律、労働時間管理の方法、通勤手当、費用の負担、通信機器などです。 以降で、リモートワークに対応した就業規則のひな型を紹介します。
なお、リモートワークに対応した就業規則を整備する際のポイントについては、次の記事をご確認ください。
2 就業規則本則の委任規定
リモートワークのルールは、就業規則本則、またはリモートワーク規程などの別規程で定めます。分かりやすさで考えれば、就業規則本則に「別規程に定めがあります」との委任規定を設け、詳細はリモートワーク規程で定める方法がお勧めです。委任規定の例は次の通りです。
第〇条(適用範囲)
1)本規則の適用を受ける従業員は、第〇条および第〇条の手続きを経て、会社と期間の定めがない労働契約を交わした従業員とする。
2)期間に定めのある労働契約を交わした短時間勤務従業員は別途定める「パートタイマー就業規則」(省略)の適用を、期間に定めのある労働契約を交わした従業員は別途定める「契約従業員用就業規則」(省略)の適用を受けるものとする。
3)従業員のリモートワークに関する事項については、本規則の他「リモートワーク規程」の定めるところによる。
3 リモートワーク規程のひな型
以降で紹介するひな型は、一般的な事項をまとめたものであり、個々の企業によって定めるべき内容が異なってきます。実際にこうした規程を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
【リモートワーク規程のひな型】
第1章 総則
第1条(目的)
本規程は、従業員がリモートワークで勤務する場合の必要な事項について定める。なお、本規程に定めのない事項は、就業規則の定めるところによる。
第2条(リモートワークの定義)
本規程におけるリモートワークとは、従業員が情報通信機器を利用し、オフィス以外の就業場所で業務に従事することをいう。
第2章 リモートワークの許可・利用
第3条(リモートワークの対象者)
1)本規程においてリモートワークの対象者は、就業規則第〇条に規定する従業員であって次の各号の条件を全て満たした上で、会社が認めた者とする。
リモートワークを希望する者
雇用形態に関係なく、業務内容、業務遂行能力その他の事情を勘案して会社が適正と認める者
2)リモートワークを希望する者は、所定の許可申請書に必要事項を記入の上、1週間前までに所属長から許可を受けなければならない。
3)会社は、業務上その他の事由により、第2項によるリモートワークの許可をしないことがある。また、取り消すことがある。
4)第2項によりリモートワークの許可を受けた者がリモートワークを行う場合は、前日までに所属長へ利用を届け出なければならない。
5)会社は、災害・感染症その他の事由により特に必要があると認める場合、第1項から第4項の規定にかかわらず、従業員に対してリモートワークを命じることがある。
第4条(リモートワーク時の就業場所)
リモートワークの就業場所は、原則として従業員の自宅とし、それ以外の就業場所を希望する場合は、第3条第2項の許可申請の際に、会社に申し出て許可を得るものとする。なお、騒音が著しい場所、リモートワークに使用する端末が故障・紛失する恐れのある場所、セキュリティ保持に支障をきたす場所、その他リモートワークの実施に支障が生じる恐れのある場所等はリモートワークとしての就業場所に相応しくないため禁止する。
第5条(リモートワーク時の服務規律)
リモートワークに従事する者(以下「リモートワーク勤務者」という。)は就業規則第〇条およびセキュリティガイドラインに定めるものの他、次の各号を遵守しなければならない。
リモートワークの際に所定の手続きに従って持ち出した会社の情報および作成した成果物を第三者が閲覧、コピー等しないよう最大の注意を払うこと
リモートワーク中は業務に専念すること
第1号に定める情報および成果物は紛失、毀損しないように丁寧に取り扱い、セキュリティガイドラインに準じた確実な方法で保管・管理すること
リモートワーク中は自宅および会社が許可した場所以外の場所で業務を行ってはならないこと
リモートワークの実施に当たっては、会社情報の取扱いに関し、セキュリティガイドラインおよび関連規程類を遵守すること
リモートワーク中に事故・トラブルが発生したときは速やかに電話・電子メール・その他適宜の方法で会社に連絡すること
第3章 リモートワーク時の労働時間等
第6条(リモートワーク時の労働時間・休憩時間・休日)
1)リモートワーク時の労働時間・休憩時間・休日については、就業規則第〇条の定めるところによる。
2)リモートワーク勤務者は就業規則第〇条の規定にかかわらず、勤務の開始および終了について次の各号のいずれかの方法により報告しなければならない。
電話
電子メール
勤怠管理ツール
SNS(LINE等)
3)リモートワーク勤務者は、会社の承認を受けた場合、第1項の規定にかかわらず始業時刻、終業時刻および休憩時間の変更をすることができる。
4)第3項の規定により所定労働時間が短くなる者の給与については、労務提供のなかった時間分に相当する額を控除する。
第7条(時間外および休日労働等)
1)リモートワーク勤務者が時間外労働、休日労働、深夜労働を行う場合は、所定の手続きを経て所属長の許可を受けなければならない。
2)時間外労働、休日労働、深夜労働について必要な事項は、就業規則第〇条の定めるところによる。
3)時間外労働、休日労働、深夜労働については、給与規程第〇条に基づき、時間外勤務手当、休日勤務手当、深夜勤務手当を支給する。
第8条(欠勤等)
1)リモートワーク勤務者が、欠勤をし、または勤務時間中に私用のために勤務を一時中断する場合は、事前に申し出て許可を得なくてはならない。ただし、やむを得ない事情で事前に申し出ることができなかった場合は、事後速やかに届け出なければならない。
2)第1項の欠勤、勤務中断の賃金については給与規程第〇条の定めるところによる。
第4章 リモートワーク時の給与等
第9条(給与)
1)リモートワーク勤務者の給与については、給与規程第〇条の定めるところによる。
2)第1項の規定にかかわらず、リモートワーク勤務者に対しては、毎月支給する通勤手当は支給しない。ただし、臨時に通勤が発生する場合は、実際の通勤に要した費用を支給する。
第10条(費用の負担)
1)会社が貸与する情報通信機器を利用する場合の通信費は会社負担とする。
2)リモートワークに伴って発生する水道光熱費はリモートワーク勤務者の負担とする。
3)業務に必要な郵送費、事務用品費、消耗品費その他会社が認めた費用は会社負担とする。
4)その他の費用についてはリモートワーク勤務者の負担とする。なお、会社は従業員負担軽減のため、給与規程第○条に基づき、リモートワーク手当を支給する。
第11条(情報通信機器・ソフトウエア等の貸与等)
1)会社は、リモートワーク勤務者が業務に必要とするパソコン、プリンター等の情報通信機器、ソフトウエアおよびこれらに類するものを貸与する。なお、当該パソコンに会社の許可を受けずにソフトウエアをインストールしてはならない。
2)会社は、リモートワーク勤務者が所有する機器を利用させることができる。この場合、セキュリティガイドラインを満たした場合に限るものとし、費用については話し合いの上決定するものとする。
第12条(緊急時対応)
リモートワーク勤務中における事故やトラブル発生時には、第5条第6号の規定に従い速やかに会社に連絡を入れるものとする。なお、リモートワーク勤務者は不測の事態が生じた場合に確実に連絡を取れる方法をあらかじめ会社に届け出ておかなければならない。
第13条(災害補償)
リモートワーク勤務者が自宅での業務中に災害に遭ったときは、就業規則第〇条の定めるところによる。
第14条(安全衛生)
1)会社は、リモートワーク勤務者の安全衛生の確保および改善を図るため必要な措置を講ずる。
2)リモートワーク勤務者は、安全衛生に関する法令等を守り、会社と協力して労働災害の防止に努めなければならない。
第15条(改廃)
本規程の改廃は、取締役会の承認による。
以上(2021年4月) (監修 人事労務すず木オフィス 特定社会保険労務士 鈴木快昌)
pj60177 画像:ESB Professional-shutterstock
おはようございます。皆さんは日ごろから「有言実行」、つまり自分の考えを口にし、それを実行することを意識していますか。私の感覚ですが、失敗して「あいつは口先だけだ」と言われたくないなどの理由から、有言実行に苦手意識を持っている人が多いのではないでしょうか。今日はそんな皆さんに、フランスの軍人、ナポレオン・ボナパルトの話をしたいと思います。
ナポレオンは、18、19世紀にフランス革命後の混乱を収め、皇帝になった人物です。歴史に詳しくなくても、「余(よ)の辞書に不可能の文字はない」という言葉は、ご存じでしょう。まさに有言実行を宣言しているような言葉です。この言葉が生まれた背景とされる2つの説を基に、有言実行のためのヒントを探ってみましょう。
1つは、イタリアに侵攻したオーストリア軍の虚を突くため、アルプスの峠から奇襲を仕掛けたときにナポレオンが発したという説です。当時のアルプスは氷河で覆われた難所で、多くの部下が峠を越えることに難色を示しました。しかし、ナポレオンはこの言葉とともに部下の反対を押し切ってアルプス越えを敢行し、オーストリア軍への奇襲を成功させます。ナポレオンは、部下の多くが不可能だと思っていたことを、自身の宣言通り可能にしたわけです。しかし、失敗すれば多くの部下の命を失いかねない危険な作戦、そのプレッシャーは尋常ではなかったはずです。彼は、なぜこのプレッシャーに打ち勝てたのでしょうか。
そこで出てくるのが、もう1つの説です。実は、ナポレオンは「余の辞書に不可能の文字はない」という言葉を、日ごろからよく口にしていたといわれています。ナポレオンの軍人としてのキャリアは常に成功に彩られたものではなく、戦争で大敗を喫したり、政敵に追い詰められたりしたこともありました。時には周囲から「不可能なことばかりじゃないか」と揶揄(やゆ)されたかもしれませんが、彼は失敗や挫折を経験しても、この強気な姿勢を崩しませんでした。つまり、ナポレオンはあえて「不可能はない」と口にすることで、絶対に負けられないというプレッシャーを自分に与え続けたのです。そして、そのプレッシャーに打ち勝つことで、重要な局面でも決断を恐れない「自信」と、周囲からの「信頼」を得ていったわけです。
「自信」や「信頼」は、自分で勝ち取ることでしか得られません。そして、プレッシャーが大きいほど、それを乗り越えたときに得られる自信や信頼も大きくなります。我が国では長らく、何も言わず黙々と仕事をこなす「不言実行」が美徳とされてきましたが、うがった見方をすれば、不言実行は有言実行に比べてプレッシャーから逃げやすい働き方であるともいえます。
皆さんがビジネスパーソンとしてこれまで以上の成長を目指すのであれば、ぜひとも有言実行を実践する勇気を持ってください。期待しています。
以上(2021年3月)
pj17047 画像:Mariko Mitsuda
書いてあること
主な読者:トラック運送業者、荷主などトラック運送業者と取引のある企業
課題:ドライバーの確保のための労働条件の改善、適正な運賃・料金の収受に向けた取り組みなどが進んでいない
解決策:「標準的な運賃」を使用するために料金表を活用する、テレマティクスなどITの活用による生産性の向上などに取り組むなど
1 厳しい経営環境に置かれる運送業界
物流業界全体の市場規模は約24兆円で、トラック運送業界はその6割・約14.5兆円を占めます(全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業-現状と課題-2020」)。
産業活動や国民生活に欠かせないトラック運送業者ですが、その99%は中小企業であり、厳しい経営環境の中、黒字事業者の割合は54%です。車両10台以下の区分では、50%が赤字となっています(全日本トラック協会「経営分析報告書(概要版)―平成30年度決算版―」・本稿執筆時点で最新)。これは新型コロナウイルス感染症の影響が出る前のデータです。コロナ禍で物量が減る中、運賃値下げにより物量を確保しようとする動きもあり、2019年度以降はさらなる悪化が見込まれます。
また、運賃以外にも、若年ドライバーの不足など、トラック運送業界はさまざまな課題を抱えています。トラック運送業界を取り巻く環境をまとめると次のようになります。
2 運賃の値上げに向けた取り組み
1)「標準的な運賃」を活用する
トラック運送業者は、荷主に対して取引上の立場が弱く、運送業務や付帯するサービスに対して適正な運賃・料金を収受するのが難しいのが実情です。
従来、運賃交渉はいわゆる「運賃タリフ」を基準に行われてきました。運賃タリフとは、かつて国土交通省が発表していたトラック配送料金の標準料金表に当たるものです。この運賃タリフは1999年を最後に作られていませんが、当時の料金のまま長年参考として使われてきました。
そこで、運賃タリフに代わる新たな参考として、国土交通省では、改正貨物自動車運送事業法を施行し、それに伴い2020年4月から「標準的な運賃の告示制度」を導入しました。標準タリフと比較すると、今回の標準的な運賃は2〜3割割程度の値上げとなっています。
一部のトラック運送業者からは荷主に一蹴されて、交渉材料にならないのではとの懸念もあるようです。しかし、自社の運賃・料金の数的根拠を荷主に示すことは重要 です。業界団体である全日本トラック協会によると、標準的な運賃を目標値として工夫し、運賃交渉に役立て実際に利益率の向上などにつなげた事例もあります。
なお、運賃を見直した場合、その運賃の設定後30日以内に運輸局への届け出が必要です。
2)荷主の幅を広げる
コロナ禍で、工場の稼働が低迷し、産業用資材を運ぶトラックは余る一方、日用品が多い宅配や食料品では不足気味になるなど、トラックの輸送能力に偏りが生じています。
特定の荷主に依存している場合、荷主の経営環境の影響を受けやすくなります。仕様の違いもあり、余った車両を宅配などに転用するのは難しいですが、「PickGo」「トラクルGO」などの荷主と運送業者をマッチングするサービスを利用して、荷主の幅を広げることを検討してもよいでしょう。こうしたマッチングサービスは、短期的に自社の需要が減少しているときにも利用できます。
3 ITを活用した生産性向上に向けた取り組み
1)配車支援・計画システムなどの活用
トラック運送業者にとって、利益率の向上や労働条件の改善などにつながる生産性向上に向けた取り組みは急務です。生産性向上の方法として挙げられるのが、テレマティクスなどとも呼ばれるITの活用 です。テレマティクスとは、自動車などと通信システムを組み合わせて、リアルタイムに情報サービスを提供するものを指します。配車支援・計画システムなどが含まれます。
配車支援・計画システムとは、受注情報(荷物)を各車両に効率的に割り当てるシステムです。受注情報を元に、配送当日の荷物のピッキング作業、積み込み作業、トラックの配車や配送ルートなどの段取りを計算します。その結果をパソコンの画面や紙面に出力し、ドライバー、倉庫係などに指示を行うなどの一連の業務を支援します。配車担当者が配車するものから、AIにより自動的に配送ルートを割り当てるものまであります。
国土交通省では、配車支援・計画システムなどの導入効果やツールの活用事例などを紹介したガイドブックを公表しており、参考になります。また、配車支援・計画システムなどはIT導入補助金の対象となる場合があるので、導入時は補助金の申請を検討してもよいでしょう。
2)求荷求車情報ネットワークシステムの活用
配車支援・計画システムの他にも、WebKIT(KIT:Kyodo Information of Transport)の活用などを検討してもよいでしょう。これは、全日本トラック協会が開発し、日本貨物運送協同組合連合会(日貨協連)が運営している求荷求車情報ネットワークシステムです。インターネットを利用し、トラック運送業同士が協力して仕事や車両を融通し合うことで輸送効率の向上を図るもので、WebKITの活用によって、トラック運送業者には「帰り便の荷物の確保」「融通配車」「積合せ輸送」などビジネスチャンスが広がります。
WebKITへの加入条件は、トラック協会の会員であることと協同組合に加入していることで、WebKITを利用している協同組合などで加入を受け付けています。
4 若年ドライバー確保に向けた取り組み
1)荷主の協力を得ながらドライバーの労働条件を改善
ドライバーの高齢化が進む一方、次代を担う若年ドライバーの確保はトラック運送業界全体の課題です。若年ドライバーが不足する要因として挙げられるのが、他の産業と比較した場合の労働環境、「低賃金」と「長時間労働」です。これらを解消するためには、前述した適正な運賃・料金の収受や生産性の向上に取り組んでいく ことが求められます。ただし、自社単独で取り組むには限界があり、荷主の協力が不可欠です。
前述した改正貨物自動車運送事業法の施行、それに伴う「標準的な運賃の告示制度」が導入された背景には、ドライバーの賃上げの原資としても、運賃の値上げが不可欠であることが挙げられます。貨物自動車運送事業法の改正には、運賃の値上げ以外にも、荷主の協力を得ながら、過労運転や法令遵守を進めるための措置が盛り込まれています。
また、長時間労働を改善するために、テレマティクスを活用した生産性の向上などが重要な取り組みになってきます。この他、荷待ち時間の削減や荷役作業の効率化などに取り組んだ成果をまとめたガイドラインが公表されているので、長時間労働の改善に取り組む際の参考にするとよいでしょう。
なお、2019年4月から働き方改革関連法が施行され、時間外労働の上限規制などが設けられました。トラック運送業の場合、2024年4月から時間外労働の上限時間が年960時間以内 となり、将来的には上限時間を年720時間以内とすることを目指すとされています。
2)福利厚生の充実
応募数の増加や入社後の定着率の向上などのための方法として、福利厚生の充実があります。慶弔見舞金の支給、社内イベントの実施、資格取得の支援などが代表的なものですが、福利厚生をアウトソーシングして、「カフェテリアプラン」を導入する方法もあります。カフェテリアプランとは、多様な福利厚生メニューの中から、好みのメニューだけを従業員が選んで利用するものです。
ユニークなものでは、腰痛などに悩むドライバーが多いことから、定期的に出張マッサージや整体を事業所に手配しているトラック運送業者もあります。また、体のケアだけでなく、心のケアに力を入れるトラック運送業者もあります。ドライバーは交通事故のリスク、荷主からのクレームや時間厳守のプレッシャーといったストレスの多い環境に置かれがちです。チャットや電話などで、産業医のカウンセリング、弁護士の法律相談などが受けられるようにすることで、悩みやメンタルヘルス不調の予防・解消につなげています。
5 トラック運送業者の関連データ
1)トラック運送業者数の推移と車両数・従業員数規模別の内訳
2)トラック運送による国内貨物輸送量の推移
以上(2021年4月)
pj50213 画像:unsplash
映画やコミックなどで大人気の「鬼滅の刃」は、皆さんの多くがご存じでしょう。今朝は、鬼滅の刃で登場する「鬼」を例にして、会社をより良くするための1つの考え方について話をします。
鬼滅の刃で登場する鬼は、人間を食べることによって、永遠の命や強靭(きょうじん)な肉体を得ていきます。その一方で、鬼として“成長”するほど人間性を失ってしまいます。身内を含めた他者を犠牲にしないと生きることができず、人間としての尊厳を失っていくわけですから、鬼は悲しく、むなしい生き物だといえます。
相手を犠牲にするだけの関係性しか持てない「鬼」のような存在は、身近にもいます。この機会に、我が社に鬼がいないか確認してみましょう。
まず、我が社と取引先との関係を考えてみます。主客の関係は良いのですが、主従の関係になっていませんか。正当な取引ですから、本来は我が社と取引先の両者が得をする関係であるべきです。調達先に対して、価格や納期などの面で無理強いをしていませんか。逆に納入先から、言われるままの存在になっていませんか。納入先に対し、有益な価値を提供し、その正当な対価を得る、という対等な関係が作れているでしょうか。
次は、我が社と社会との関係です。私たちは事業を営む上で、インフラなどの公共サービスやコミュニティー内の人のつながりなど、地域社会から有形無形の恩恵を受けています。そこに目を向けず、自社の利益だけを求めていないでしょうか。
環境問題への対応はどうでしょうか。忙しさに流されて、電力や紙などの資源を浪費していませんか。リサイクルに取り組めば減らせるゴミを出し、必要以上に環境に負荷をかけていませんか。
最後に、私たちにとって最も身近な、社内の同僚との関係を考えてみます。例えば、社内で何らかのトラブルがあったとします。そのとき、原因を同僚の誰か一人に集約して、問題を矮小(わいしょう)化させていませんか。本来はトラブルの未然防止や事後対応のため、自分に何ができたのかを省みるべきなのに、自分に火の粉が降りかからないようにすることばかり考えていませんか。そればかりか、思い通りに仕事が進まないのを、同僚の誰かのせいにしていないでしょうか。
社会の一員として、我が社も皆さんも、誰かと競争をするのは当然であり、その結果、利益を得ることも損をすることもあります。ですが、競争と誰かを犠牲にすることとは、全く違います。社会の規範にのっとり、会社や社会がより良くなることと矛盾しない範囲内で競い合うのが競争です。それを逸脱すれば、鬼と同類だといえます。
こういう私も含めて、誰もが鬼になる可能性があります。私が恐れるのは、知らないうちに鬼が私たちの心の中や社内に巣くっていき、社風として根付いてしまうことです。初期の段階で鬼の存在に気付きさえすれば、簡単に修正できます。皆さん、自分の中に鬼になる要素がないかどうか、見つめ直してみてください。
以上(2021年3月)
pj17045 画像:Mariko Mitsuda
年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、後藤 学 さん(株式会社Helte(ヘルテ) の代表)です。
オンラインが日常的になった現在、日本と海外、海外と海外を「対話」でつなぐ。シニアの心の健康にも有効。そんな素晴らしい対話アプリ「Sail(セイル) 」を展開している後藤さん。自治体(神戸市、藤沢市など)からも注目されており、地方創生などにもつながっていく、これからますます日本と、世界でも必要とされていく後藤さんと「Sail」 についてご紹介していきます。
1 世界118カ国の人と「対話」ができる25分間の異文化交流
後藤さんのやっておられるオンラインコミュニケーションサービス「Sail」は、Helteのウェブサイトと同社資料で次のように紹介されています。
(出所:Helteのウェブサイト公開情報)
(出所:後藤さんにご提供いただいたHelteの資料)
「Sail」は、シニア層を中心とした日本の方々と、世界中の若者(2021年4月11日時点で118カ国が参加)とがオンライン上で気軽につながって、「日本語で」 対話ができるアプリです。動画で実際のご活用例を見ていただくのが一番分かりやすいと思いますので、こちらに動画を2つご紹介します。
●【異国の人との25分間】NHK放送日本語で世界をひろげるアプリ
(出所:Helteウェブサイト公開動画)
VIDEO
●NHK「あしたも晴れ!人生レシピ」 2020年1月17日・24日放送
VIDEO
アプリの操作が簡単かつ日本語で会話できること、好きな食べ物の話などどのような対話でも良いこと、孤独の解消ややりがいにもつながっていくことなど、使う人の目線に立って開発されている点も、「Sail」が注目されているポイントです。人間が生きていく上で大切な「対話」が自然に生まれるようにサービス設計されています。
今はコロナ禍で、なかなか海外旅行に行けなくなっていますが、「Sail」で異文化の人と対話すると、「旅先で人と触れ合う」という旅の醍醐味も味わえます。旅行だけではなく、誰かと会うのすらままならないときでも、このアプリがあれば人とつながれると思うと、孤独感が解消されるのもよく分かります。日本では無料で使えますので(2021年4月11日時点)、この記事を読んでおられる方々の中にも、ご両親やご親戚、ご友人におすすめしたい、ご自身でも使ってみたいと思われる方が多いのではないでしょうか。これからの時代にとても必要なこのサービスは今、メディアでも注目されており、日本経済新聞などでも取り上げられています。素晴らしいことですね。
2 「Sail」を生み出した後藤さんのストーリー
なぜ、後藤さんは「Sail」を立ち上げようと思われたのでしょうか。後藤さんにそのことをお聞きすると、色々とお話ししてくださった中で、「振り返ると自己肯定感が低かった幼い頃の原体験が関係していると思う」「過去を受け入れ、気持ちを整理できるようになったのは、本当につい最近のこと」といった答えが返ってきました。ここでは、後藤さんの「原体験」などを振り返ってみます。
1)30カ国のバックパッカー経験から出てきた「日本語を学びたい人に学べる環境を提供したい」
後藤さんが「Sail」を立ち上げたのは、【国籍、年齢、宗教をかぎらず、人の「ワクワク感」を大切にしたい】 という気持ちからですが、それには、ご自身が若い頃(21~22歳頃)に海外、特にインドでの生活のインパクトが大きかったそうです。
30カ国をバックパッカーとして巡った後藤さんは、さまざまな国で貧困問題があるのを目の当たりにし、それを変えるために必要なこととして「教育」に関心を抱きます。また、特にアジアの国々で日本語を学びたいといってくれる人、日本に感謝してくれている人が多かったこともあり、「日本語を学びたい人に提供したい」という思いが強まります。これまで経験したことのない異文化に触れたとき、ただ圧倒されて終わるだけでなく、「世界中にある問題・課題を解決するために自分ができることはなんだろう」と考え行動しようとする。この頃から、後藤さんは「立ち止まらず、世の中のために自分ができることを考える」ことを実践しておられたのですね。
2)「Sail」誕生のきっかけとなった「ある出会い」
後藤さんが「Sail」で「シニア層✕若者」というターゲットにしたのは、お母さまを通じたある出会いからでした。当時、米国に住んでいたお母さまが紹介してくれたのが、米国南部に住んでいる年配の白人女性です。
もともと英語を勉強したかった後藤さんですが、その女性とは、「人種問題をどう感じていたか」やこれまでの経験、哲学などさまざまな対話をすることになりました。後藤さんはこの体験から、「人生経験が豊かな方とさまざまな対話をすると学びが多い」と気づき、この気づきを具現化したいと思いました。お母さまがつないだこのご縁が、いわば「Sail」の原点だったのではないでしょうか。ここから「教育」✕「日本語を学びたい人に学べる場所を提供したい」✕「人生経験が豊かな方と対話する」 が形になっていったのです。
3)後藤さんが語る「すべての出来事の根源にある原体験」
米国人女性との出会いも含め、「今の起業、サービスはすべて原体験から来ている」と後藤さん。その原体験とは、後藤さんの幼い頃に遡ります。後藤さんのお母さまが世界中を飛び回るフリーランスのカメラマンだったこともあり、6~12歳の頃はなかなか一緒にいられず、そのことで劣等感があり、自己肯定感が低かったといいます。「母に迎えに来てもらいたかったし、野球をやっていたので、その応援に両親そろって来てほしかった」と後藤さん。この点については、後藤さんがお話ししてくださった内容を、後藤さんの言葉でご紹介したいと思います。
●後藤さんのお話
幼い頃は劣等感があり、自己肯定感が低かったのですが、それでも私は母が好きでした。海外から母が持ってきてくれるお土産はとても楽しみでしたし、母から届くボロボロの絵葉書は今でも印象に残っています。母から聞いた中には、「アメリカのサーカス団と一緒に旅をしていたけれど、車が故障してしまってサーカス団長とトランペットを吹きながら修理が来るのを待っていた」なんて話がありました。母は海外でさまざまな人たちと一緒に過ごしていて、皆フリーランスなのでそれぞれ契約が終わるとまたバラバラになる。離合集散です。とても過酷ですが、自由で、自分で生き抜いていく生活だったのでしょう。すごいことだと思います。
それでも、すぐそばに母親がいないことのコンプレックスは拭いきれず、どうしても自分の中で受け入れられないことでもありました。つい最近、20代前半までそうでした。
考えが色々と変わったのは自分が海外に出るようになってからです。海外に出て初めて、自分が高校も大学も私立に入れてもらい、好きな野球もやらせてもらっていた。「自分は恵まれているのだな」と、家族の愛情に気づいたのです。そこで、「自分も誰かの役に立ちたい、何かを残したい」と思うようになりました。人は、持っていないものにフォーカスするが、あるものには気づけない。自分一人では何もできない。常に周囲に支えがあったからだ。
そう思えるようになり、私は過去を受け入れられるようになりました。ネガティブの定義が変わったのです。
本当にすごいですね。後藤さんのように素晴らしい起業家に共通するのは、若い頃から濃い時間を過ごし、しかもそれを受け入れ、咀嚼(そしゃく)した上で自分なりにアウトプットし、世の中に恩返ししようとされていることだと思います。
3 【「Sail」=帆を上げて進む】ことを決意した後藤さん
濃い時間から得た熱い思いが込められている「Sail」。ただし、最初からこの構想があって起業したわけではありません。後藤さんは2014年に大手IT企業に就職しましたが、「とにかく自分自身で困っている人を助けたい。今やっていることをリセットしたい」と強烈に思い詰め、2015年3月に退職しています。
ここから2016年に起業するまで、ビジネスモデルをひたすら考え続ける日々が続きます。海外で目の当たりにした教育問題、米国南部に住む女性との密度の濃い対話、海外には日本語を学びたい人がたくさんいること、これからの日本の課題=高齢者が増える。こうした自分の中にあることやこれからの世の中の課題に向き合い続け、日本の高齢化などの裏付け数字も情報収集した上で、「Sail」が出来上がっていきました。
泥舟でもいいからとにかく行こう。
船は帆がないと出航できない。帆を上げて、ワクワクする風を感じながら前に進みたい。
こうした思いから、「Sail」というサービス名を付け、後藤さんは帆を上げました。真面目に地道に、思い込んだらとことん命がけ。後藤さんの決意と信念、そして胆力が表れているサービス名称ですね。
後藤さんのエピソードは数々ありますが、印象深いのは「オンラインする海外側の人を初めて集める」ときの話です。とにかく使ってくれそうな人、しかも海外の人を集める必要がありました。並大抵のことではありません。タイのバンコクへ行った後藤さんは、なんのツテもコネもないまま、バンコク中の日本語学科のある大学をひたすらトゥクトゥクで回り突撃する日々。手土産を持って行っても会ってもらえない……。それでもめげず、どうにか潜り込んでプレゼンしたこともあると笑う後藤さん。信念に基づく地道ながらすごいパワーを感じるお話です。
4 これからますます進展しそうな行政との取り組み
後藤さんが「Sail」を本格的にスタートした大きなきっかけは、お母さまつながりで出会ったフランス人投資家が投資をしてくれて、「この事業は良いので全力でやれ」とアドバイスしてくれたことです。「今、自分が打席に立たせてもらっているだけでとてもありがたいです。こうしてお世話になった方々に、早くホームランを打って恩返ししたい!」 と後藤さん。
高校球児だった後藤さんは、何かと野球の例えが多いです。「ホームランを打って恩返しをしたい」というのものその一つ。起業家ならば“ビジネスで恩返し”ということで、現状のビジネスについても改めてお伺いしました。
現状は、行政とのさまざまな取り組みが進んでいます。後藤さんが、「社会的な課題を解決するために行政との連携を深めることが大事」と活動してきた結果が出てきた状態といえるでしょう。
ある行政とは「ソーシャルインパクトボンド」の仕組みを使った取り組みが検討されています。ソーシャルインパクトボンドは聞きなれない仕組みですが、官民一体となって社会課題を解決していこうというスキームです。「Sailは高齢者の心身の健康に有効!」ということで興味を持ってくれる自治体も多くいます。また、行政以外にも、大手自動車メーカーが興味を持ってくれて取り組みを検討したりと、どんどん広がっていっています。まさにご縁がつながっていく感じがいいですね。
(出所:後藤さんにご提供いただいたHelteの資料)
5 今後の後藤さん、そして課題とやるべきことが明確に見えているHelteの展望
最後に、後藤さんの夢はなんですか?とお聞きしてみました。
まさに、「全世界をご縁つなぎする」 ということですね。まっすぐに誠実に真心を込めて、目の前の人を大切に。常に感謝の気持ちを忘れない。嘘をつかない。立場で人を判断せず常にフラットな気持ちで真摯に向き合う。こうした後藤さんの姿勢があるからこそ、苦しいとき、局面局面で出会うべき人に出会えるのかもしれません。
後藤さんは、目標も課題も明確です。
●後藤さんの語る目標と課題
プロダクトの課題(改善点)は明確に分かっているので、そこを直していく
COOやリードエンジニアといった仲間が加わってくれるともっと加速できる
やるべきことが明確に見えていて決まっている後藤さん。日々、「Sail」を使ってくださっているお客さまと対話し向き合っているからこそと思います。これもすごいことです。
「自分の作った事業で人の役に立つことができて、何かを変えることができたら本当に素晴らしい」
最後に、後藤さんは、満面の笑みでこう言ってくださいました。日本全国、地方からも世界とつながれる、世界と世界がつながれる。そう思えた素晴らしい笑顔でした。心から応援したいと思います! 有り難うございました。
以上(2021年4月作成)