災害などを見据え、契約書のどこを確認するべきですか?/中小企業のためのBCP

Q.災害などを見据え、契約書のどこを確認するべきですか?

A.民法(2020年4月1日より改正法が施行)の内容を踏まえ、解除権の行使などについて、契約書の規定を見直し、災害時の自社のリスクを低減しておきましょう。

1 解除権の行使に関する定め

民法では、一方当事者が契約を履行できなくなった場合、その原因が災害のように自己に責任がないものだったとしても、相手方は履行を催告した上で(履行が不能であれば催告なしで)、契約を解除できるとされています。災害などによって物流が滞り、商品の納品が遅れる場合を想定してみましょう。

まず、自社が売主の場合、契約を解除されると支払いを受けられないまま在庫を抱えることになります。もう少し時間がたてば納品できそうな場合などは特に困ります。そのため契約では、「履行遅滞の原因が不可抗力によるものであるときは、当該履行遅滞を理由として契約を解除できない」などとしておくことが考えられます。

次に、自社が買主の場合、「納品が遅れるのであれば、契約を直ちに解除して他社から商品を購入したい」と考えるかもしれません。そのため契約では、「不履行があったときは、催告をすることなく直ちに契約を解除できる」などとしておくことが考えられます。

2 引渡し前か後かで変わる代金の支払い

自らに責任がない事情で債務を履行できなくなった場合に、対価の支払いが受けられるか否かの結論が変わることを「危険の移転」といいます。例えば、自社が販売する建売住宅の売買契約を締結した後に(引渡し前に)地震で当該建物が倒壊した場合、自社が買主に代金の請求をしても、買主は代金の支払いを拒絶できます。一方、自社が買主に建物を引き渡してしまえば、その後に地震で建物が倒壊しても、買主は代金を支払わなければならないとされています。

つまり、災害などを原因として売買契約の目的物が滅失した場合、それが引渡しの前か後かによって代金支払拒絶の可否が異なります。そして、当事者が契約で取り決めれば、危険の移転時期を引渡しとは異なった時点とすることができます。例えば、鍵の引渡しより前に所有権移転登記がされる場合、「登記の移転をもって危険を移転する」とすれば、鍵の引渡しが未了でも、登記さえされていれば代金の支払いを求めることができます。

3 請負契約、賃貸借契約の留意点

民法では、請負契約において、災害などを原因として仕事の完成が不能となった場合、請負人が出来高部分に応じた報酬を請求できます。また、賃貸借契約において、災害などで賃借物の一部が滅失した場合、賃料が滅失の割合に応じて当然に減額されます。 こうした民法の定めと異なる取り扱いをしたい場合、あらかじめ契約に定めておくことが必要です。

以上(2020年4月)
(監修 のぞみ総合法律事務所 弁護士 佐藤文行)

pj60212
画像:Maslakhatul Khasanah-Shutterstock

災害などで契約を履行できない。どのようなリスクがありますか?/中小企業のためのBCP

Q.災害などで契約を履行できない。どのようなリスクがありますか?

A.自社だけではなく、取引先が被災して契約を履行できなくなった場合にも、自社が損害賠償責任を負う恐れがあります。

1 自社が契約を履行できなくなった場合

災害時は、工場が被災して商品が納品できない、社員が出社できず請け負っていたソフトウエア開発が納期に間に合わないなど、自社が取引先との契約を履行できなくなる恐れがあります。社員が感染症にかかり、自宅待機を命じられている場合なども同様です。

契約の世界では、不可抗力によって契約を履行できなくても、当事者は損害賠償責任を負わないものとされています。実際、災害などによる契約不履行について、免責する規定を定めている契約書は多く見受けられます。

もっとも、契約不履行の原因が災害にあるからといって、必ず免責されるわけではありません。例えば、地震が原因で契約を履行できない場合、地震の規模がどの程度であれば不可抗力といえるのかについての明確な基準はありません。また、極めて大規模な地震であっても、近隣の同業他社が事前に災害に備えていて、早期に事業を再開させた場合、事業がストップし続けた原因は、事前の対策が不十分な自社にあるかもしれません。

こうした場合、自社が損害賠償責任を負う恐れがあります。その対策として、契約書の中に、不可抗力として自社が免責される場合をできる限り具体的に定めたり(「自社所在地の震度が○以上の場合」など)、早期に業務を再開するためにBCPを策定したりしておく必要があるでしょう。

2 取引先が契約を履行できなくなった場合

自社が被災していなくても、取引先が被災して操業がストップしてしまい、いわゆる「サプライチェーンの断絶」によって自社が契約を履行できないケースもあります。例えば、取引先から部品を調達できず、完成品を納品できない場合などです。

自社が顧客に対し、平常時の生産体制を前提とした納品を約束しているとしたら、自社は顧客から、商品を納品できないことについての責任を問われる恐れがあります。これは、取引先である部品メーカーが被災した場合のみならず、部品メーカーのさらに先の原材料商社などが被災した場合も同様です。 こうした事態を避けるためには、代替部品や代替業者などの確保手段を検討したり、契約書の中に「原材料や部品の調達が自社の責めによらずして不能となった場合、不可抗力として自社が免責される」旨の規定を定めたりしておくことがとても重要です。

また、場合によっては、自社と密接な取引関係にある業者との間で、「グループ」としてBCPを策定するのもよいでしょう。いずれかの会社が被災した際、自社と業者で協力して顧客への影響を最小限に抑えられるようにするためです。非常時の体制が整備されているかを、取引先チェックの項目に加えることも検討すべきです。

以上(2020年4月)
(監修 のぞみ総合法律事務所 弁護士 佐藤文行)

pj60211
画像:Maslakhatul Khasanah-Shutterstock

地震が発生した場合の初動対応のポイントは?/中小企業のためのBCP

1 地震が発生した場合にまずすべきこと

さまざまな意見がありますが、地震が発生したら、次の1、2、3の順で安全を確保するのが一般的です。また、負傷者などがいる場合は、速やかに応急処置)を施します。

画像1

1.揺れが収まるまで、机の下(机の近くにいない場合はものが落ちてこない場所)に避難する

画像2

2.揺れが収まったら、ヘルメットを着用の上、給湯室などの火の元を止める

画像3

3.オフィスのドアを開放し、避難経路を確保する。避難経路を確保できたら、被害の状況を確認する

2 地震で火災が発生した場合にすべきこと

火災が発生したら、周囲に火災が発生した旨を伝え、119番通報を促し、次の1、2、3の順で初期消火などを行います。

画像4

1.消火器の安全ピンを抜き、ホースを火元に向けてレバーを握り、初期消火を行う

画像5

2.危険を感じたら(消火器による初期消火の場合、目安は火の天井到達まで)、初期消火を中止し、避難する

画像6

3.防火戸を閉め、煙を吸わないよう、濡れたハンカチなどで口を覆い、姿勢を低く保って避難する

3 避難すべきかの判断基準

地震によって、「火災や建物の倒壊の危険がある場合」「役所・警察・消防から避難の指示があった場合」は速やかに避難する必要があります。

一般的に、震災時の避難の流れは次の通りです。

  • 近所の学校や公園などの「一時集合場所」に避難する
  • 一時集合場所への避難が危険な場合、大きな公園・広場などの「避難場所」に避難する
  • 火災や建物の倒壊の危険がなくなり自宅に被害がない場合、帰宅する
  • 自宅で生活できない場合、学校などの「避難所」に避難する

火災や建物の倒壊の危険がなく、役所・警察・消防から避難の指示がない場合、避難すべきかは会社が判断します。例えば、東京都「帰宅困難者対策ハンドブック(平成29年10月)」では、災害発生から3時間後までに、建物の耐震性や周辺の被害状況を勘案し、避難するべきかを判断するのがよいとされています。

以上(2020年4月)

pj60207
画像:Maslakhatul Khasanah-Shutterstock
イラスト:狐崎のち

【座談会】債務不履行責任など、災害時に自社が負う責任を把握していますか?/中小企業のためのBCP

――災害時に起こりがちな法務上の問題について教えてください。

弁護士A
まず想定されるのは、契約を履行できない事態です。例えば、災害による影響で事業の継続が不可能な場合、期日までに顧客に商品を納品できないことなどが起こり得ます。災害という非常時なので、事情を考慮してくれる顧客は多いでしょう。しかし、型通りの解釈をされてしまえば、自社が債務不履行責任を問われる恐れもあります。

弁護士B
債務不履行責任に問われるような事態を避けるためには、「不可抗力により、自社が免責される場合」をあらかじめ契約書で定めておくという方法があります。不可抗力には地震、暴風雨、洪水などの天災や火災などが含まれます。例えば、不可抗力となる災害の範囲を「自社所在地の震度が○以上の場合」など、できる限り具体的に定めておくとよいでしょう。

――契約に関する問題は、専門的な知識がないと対応が難しいように思います。何から始めればよいでしょうか?

弁護士A
中小企業の場合、単一事業を手掛けていたり、特定の顧客への依存度が高かったりします。災害時に事業の継続が難しくなり、取引に支障を来せば、経営が大きく傾きかねません。

そこで、自社の契約内容を十分に理解し、どのような責任を負うのかを把握してください。弁護士といっても、ビジネスの細部まで理解しているわけではありません。信頼できる弁護士に、自社の事業を理解してもらい、現在の契約で問題になりそうなポイントと、それを防ぐ方法を相談するのもよいでしょう。

――顧客との契約以外に、注意しておくべきことはありますか?

弁護士B
オフィスや機械などの事業用資産を、賃借やリースで調達していると思いますが、災害によってこれらが損壊した場合の取り扱いについても注意が必要です。例えば、賃借しているオフィスが使用できなくなった場合、再び使用できるようになるまでは、賃料を支払う必要はありません。一方、リース物件が損壊した場合、契約で定められた残リース料(規定損害金)を支払う義務を負います。

賃借もリースも、事業用資産を他者から借りる点は同じですが、自社と契約相手(物件のオーナーやリース業者)のどちらが責任を負うのかなどの違いを理解しておかなければなりません。

弁護士A
重要な事業用資産の被災という点でいえば、データの消失についても対策が必須です。顧客情報やデザインデータなどの営業上重要なデータを、社内のPCでしか保管していない中小企業も見受けられます。こうした場合、PCの損傷などで、営業上重要なデータを失ってしまう恐れがあります。

しかし、社内のPCで保管しているデータを消失しても、バックアップがあれば、自宅などオフィスではない場所から、リモートワークなどで事業を継続することができます。バックアップの方法や保管先、万が一の際のアクセス方法などを取り決め、早めに対策を講じましょう。

――BCPや災害対策に本気で取り組もうとしている経営者に対して、アドバイスをお願いします。

弁護士B
BCPの策定や災害対策は、売り上げに直結したり、社員のモチベーションが高まったりといった、プラスの効果が生まれる取り組みではありません。そのため、後回しにされがちです。

しかし、BCPの策定や災害対策をしていない状態で被災すれば、一気に経営が傾きかねません。どれだけ努力しても、リスクをゼロにすることはできませんが、準備をしておくことで、万が一の際に大きな効果を得られることがあります。

影響の大きさを最もよく理解している経営者がリーダーシップを発揮して、ぜひ、BCPや災害対策に取り組んでいただきたいと思います。

以上(2020年4月)
(監修 弁護士 田島直明、弁護士 坂東利国)

pj60210
画像:Maslakhatul Khasanah-Shutterstock

安全な場所にデータを退避させるバックアップサービスとは?/中小企業のためのBCP

1 クラウドを使って容易に環境構築

顧客情報や日々の受発注情報などのデータを、社内のPC やサーバーに保存している会社は多いでしょう。しかし、災害によってハードディスクなどの記憶媒体が損傷し、これらのデータが消失すると、顧客に連絡できなくなる他、資材調達や営業活動も通常通り行えません。こうした事態を回避するために、バックアップ体制の構築が重要です。

そこで検討したいのが、「クラウド」というインターネット技術を使ったバックアップサービスです。インターネット回線を使ってファイルを遠隔地に退避できるため、災害によって社内のPCやサーバーが損傷しても、迅速にデータを復旧し、事業を再開できる可能性があります。

画像1

2 クラウド型バックアップサービスのポイント

クラウド型バックアップサービスの多くが、保存するデータ容量に応じた料金体系になっています。どのくらいの費用がかかるのかを把握するため、事前にバックアップするデータ容量を算出しておくのが望ましいでしょう。

その他、安全性、速度、運用のしやすさなども、サービスを選ぶ際のポイントになります。

画像2

3 セキュリティーを踏まえたバックアップ

データを社外に持ち出す場合、重要な情報の漏洩に十分注意しなければなりません。クラウド型バックアップサービスも例外ではありません。バックアップサービスを提供する事業者は独自にセキュリティー対策を実施しているものの、サービスを使う利用者側にも情報を漏洩させない使い方や運用体制が求められます。

例えば、バックアップサービスを利用する人を特定の社員に限定しているか、誰がいつバックアップデータにアクセスしたのかを把握できているかなどです。サービスにログインする IDやパスワードの適切な管理も、情報の漏洩を防ぐためには欠かせません。

画像3

4 知らないうちにバックアップしているかも? PCの設定をチェック!

「バックアップしていなくてデータが消えてしまった!」と嘆く前に、PCの設定をチェックしましょう。もしかすると、先日まで使っていたファイルを復旧できるかもしれません。

Windows10の場合、標準装備されているバックアップ機能を確認します。機能が有効なら、バックアップデータからファイルを復旧できます。「OneDrive」などのオンラインストレージサービスの中には、特定フォルダ内のファイルを自動保存する機能を備えるものがあります。対象となるフォルダ内のファイルに限られるものの、機能を事前に有効化していればファイルを復旧できます。

これらの設定を有効化するだけで、ファイルをバックアップできるようになります。簡単に設定できるので、万が一に備えて事前に確認しておきましょう。

画像4

以上(2020年4月)
(監修 aaaリサーチアンドコンサルティング 代表 中小企業診断士 福島一公)

pj60209
画像:Maslakhatul Khasanah-Shutterstock

“社員と確実につながる” ための安否確認のポイントは?/中小企業のためのBCP

1 複数の安否確認手段を準備

過去の災害では、通信規制、メールサーバーへのアクセス集中、バッテリー切れ、社員のアドレス変更によるメールの不達などによって、安否確認が正常に行えなかった会社がありました。

どの安否確認手段も完璧ではないため(下図を参照)、できれば複数の安否確認手段を準備しておくのがよいでしょう。

画像1

2 報告事項を決めて社員に周知

「氏名」「けがの有無」「現在地」「出社可否(出社不可の場合はその理由)」など、報告事・けがはありません項を決めて社員に周知しておく・自宅にいますと、状況を円滑に把握できます。

画像2

以上(2020年4月)
(監修 aaaリサーチアンドコンサルティング 代表 中小企業診断士 福島一公)

pj60208
画像:Maslakhatul Khasanah-Shutterstock

中核事業やBCP の発動基準はどうやって決める?/中小企業のためのBCP

1 重要顧客・重要取引先で特定

BCPでは、「中核事業」を特定します。中核事業とは、会社の存続に関わる最も重要性(または緊急性)の高い事業のことです。中小企業は単一事業のみを手掛けていることが少なくないため、「中核事業」を「重要顧客・重要取引先」と読み替えるとイメージしやすくなります。つまり、「そこからの収益や調達などが途絶えると、会社の存続が危ぶまれる顧客・取引先」を特定するのです。

重要顧客を特定する基準としては、「収益」が最も分かりやすいでしょう。最も収益が大きい顧客への商品・サービスの提供を止めないためにはどうすればよいかを検討し、BCPにまとめます。例えば、重要顧客の担当者を増やすなどの対策が考えられます。

また、重要取引先を特定する基準としては、「取引先への依存度」が最も分かりやすいでしょう。例えば、その取引先から部品が調達されないと商品の製造ができない場合、依存度が高いといえるでしょう。こうした場合、在庫量を見直したり、取引金額が高くなっても問題ないように代替先を確保したりする必要があります。

2 BCPの発動基準(誰が、いつ、発動するか)の決め方

誰が、いつ、BCPを発動するかというのは、BCPの意外な盲点です。「誰が」については、通常は経営者がBCPの責任者としてBCPを発動します。しかし、経営者自身が被災することもあるため、万が一に備えて代理も任命しておきます。

難しいのは「いつ」です。タイミングは、災害や感染症などの状況によって変わります。BCPの責任者の判断を尊重しますが、災害の場合、「防災気象情報」を確認しましょう。

また、BCPの発動後に素早く運用体制に入るために、日ごろから、単なる避難訓練ではなく、BCPの発動後の体制を想定した訓練をすることが重要です。例えば、重要顧客や重要取引先に対する緊急連絡のロールプレイング、業務担当者の交代、リモートワークなどの訓練をします。

3 BCPを「定着させ、運用する」ポイント

平常時、社員はBCPについて真剣に考えることはないでしょう。しかし、そうして油断しているときに災害などが発生すると、現場は大いに混乱してしまいます。

そうならないように、経営者は社員のBCPに対する意識を高め続けなければなりません。定期的な訓練を行う他、「万が一の際に会社が被る影響」を共有するとよいでしょう。例えば、「重要顧客を失うと、収益が10分の1になる」など、赤裸々な数字を示すことで社員の意識が高まるでしょう。BCPは、「策定する」ことはもちろん、「定着させ、運用する」ことも非常に重要です。

以上(2020年4月)
(監修 ひらきプランニング 代表取締役 平野喜久)

pj60205
画像:Maslakhatul Khasanah-Shutterstock

【朝礼】欲しい情報は私に聞きなさい!

今わが社では、私を含む全社員のスケジュールがイントラネットに登録されていて、誰でもすぐに確認することができます。こうしたスケジュール管理を始めて数年、ついに私が待ち望んできた行動をしてくれる社員が出たので、皆さんにお伝えします。

数カ月前から、私はわが社にとって非常に重要なクライアントとの会談を継続しています。イントラネットを見れば誰にでも分かるのですが、先日、私がその会談から戻ってくるなり、「どのような話だったのですか? とても気になるので聞かせてください」と質問してくる社員がいたのです。その社員は、私に直接話を聞くことに緊張していました。また、状況をよく知らないためどう質問してよいのか分からず、ストレートな言葉をぶつけてきたのでしょう。

私は質問してきた社員を高く評価しています。重要クライアントの動きは私たちの仕事に大きな影響を与えるわけですから、その動向が気になって当然です。逆に、そこにすら関心が持てないような社員は、周囲で何が起きようと私や上司が指示するままに動くということなのでしょうか。「目先の仕事が忙しい」「自分はまだ重要事項を知るレベルではない」なんて、情けないことを言わないでもらいたいのです。重要クライアントとトラブルになれば、皆さんの目先の仕事は一瞬でなくなります。そんな重要な情報だからこそ、皆さんは自主的に知るべきだと思います。

私は、質問してきた社員に重要クライアントとの会談の内容を事細かに説明しました。2人だけで30分くらい話をしたと思います。会談の内容はもちろんですが、その他にも私の交渉シナリオ、先方のキーマンとどのように信頼関係を築いたか、実はこの会談に至る1年前から関係者を少しずつ巻き込んで伏線を敷いていたことなど、とにかく私の“頭の中”をできるだけ伝えました。その社員の質問にも全て答えました。最初はかなり緊張していた様子でしたが、最後は身を乗り出して質問してきたのが印象的でした。

さて皆さんは覚えているでしょうか? この重要クライアントと大きな会談を持つことになるであろうことを、私は半年前から繰り返し伝えてきています。「情報を出してほしい」と皆さんは言いますが、その受け皿がなければ意味がないような気がします。私に質問してきた社員は、自らの行動によって情報を飛躍的にアップデートさせ、日々の自分の行動にリンクさせたのです。

最後に、その社員の背中を押した上司がいることをお伝えします。当初、その社員は自分の上司に重要クライアントについて質問したそうですが、上司は「自分が話すより、社長から直接聞いたほうがより生の情報が得られる。私も何度も社長に質問しているが、きちんと答えてくれる」と言ってくれたそうです。私には皆さんの質問に答える義務があります。このことを忘れないでください。

以上(2020年4月)

pj17001
画像:Mariko Mitsuda

災害、感染症などの脅威から社員や会社を守るBCP とは?/中小企業のためのBCP

BCPの基本的な考え方

BCPとは、会社が災害、感染症などの緊急事態に遭遇した場合に、損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業を継続・早期復旧するため、平常時の活動や緊急時の事業継続の方法、手段などについて定めた計画のことです。

災害時の避難マニュアルなどは、あくまでも BCPの要素の1つです。避難マニュアルによって社員の命を守ることができても、顧客データが消失したり、工場の復旧に必要な運転資金が確保できなかったりすると、会社は事業を継続することができないからです。

BCPの策定内容は会社によって異なりますが、中小企業庁「BCP様式類(記入シート)入門コース」の場合、おおむね下図の構成になっています。

画像1

緊急事態に遭遇した直後だけでなく、そこから事業を再開するまでの間に、社員や会社がどのような脅威にさらされるかを想定し、事前に対策を準備しておくことがBCPの基本です。

以上(2020年4月)
(監修 ひらきプランニング 代表取締役 平野喜久)

pj60204
画像:Maslakhatul Khasanah-Shutterstock

2020年2月開催のオンラインカンファレンス成功秘話〜たった2日の準備でオンライン化を実現〜/岡目八目リポート

年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人 杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、松林大輔さん((株)ストリートスマート社 代表取締役)です。

働き方改革元年と言われた、2017年に第1回の【働き方を考えるカンファレンス】を設立1年未満の一般社団法人が開催し、大いに、良い意味で波紋、波及効果を招いた団体が、at will work。その代表理事が松林さんです。
このカンファレンスも今年4回目、予定通り開催されようとしていました、2日前までは。しかし、当日は新型肺炎の影響下、カンファレンス会場の虎ノ門ヒルズには関係者のみ、会場を埋め尽くすはずの聴衆のみなさんはオンラインでの参加、オンラインカンファレンスという新たな発信を見事にやりきった、松林さんに、団体のこと、カンファレンスのことについて話を伺いました。

●at Will Work
●カンファレンスサイト

本文の前に、私自身のテレワークに関してお話しておきたいと思います。
フリーランスになって6年目、独立当初からカフェが事務所、仕事場であり応接、面談場所、テレビ会議の場所、東京・大阪を行き来しながら、安価にもしくは無料で活用できるITツールのZoom、whereby、Chatwork、G Suite等々を駆使して時間場所を気にしない、不自由さを感じない、まさに意志を持った働き方(at will work)を体現できていると思っています。さらにここ最近、私が主催するイベントや研修会では、You Tubeライブを活用して場所にこだわらない配信も2年ほど前から実践しています。私自身からするとこのテレワークに騒いでいる世間には今更感を感じています。
写真の通り、

今回のインタビューも実はテレビ会議で大阪にいらっしゃる松林さんと東京にいる私とをつないで行っていました。テレワークによる恩恵も享受、理解しておりこのラクチンな働き方の動きはもう後戻りはしないと思います。

1 一般社団法人at will workのこと概要と活動について

1)2016年発足当初のこと

at will workの発足について、お伝えしておきたいこと。それは松林さんが起業した会社、(株)ストリートスマートの事業内容が大きく影響しています。同社は、Google社のクラウドツールであるG Suiteを企業や学校に導入支援することを大きな柱としています。その事業活動自体が、働き方の変革を先取りしたものであり私自身もその恩恵を大きく享受している一人です。この事業を通じてGoogle社とも近しい関係にあり、Google社が世界的な活動として展開していたのが、Womenwillの活動でした。そこに松林さんも賛同し、私も応援させていただき、大阪でのイベントは会場を私が提供させていただくお手伝いをいたしました。そのGoogle側の中心人物だった藤本さんが、女性のみに囚われることなく、性別、職種、多様な働き方全般にアクセスできるような団体の構想をもった時に、社内での活動に限界を感じ、新しい枠組み創設する、その実現のためにat will work設立に至ります。
このあたりの詳細は、当時の記事を参考までに。藤本さんの記事はこちらです。

2)2017年1回目のカンファレンスを開催 ヒヤヒヤしかし神風が吹きました

3年前に1回目のカンファレンス、その時、鮮明に覚えているのが開催1ヶ月ほど前の時点で、松林さんからの連絡でした。それが、『杉浦さん!開催まであと少しなのに参加申込みが100名にも到達していません!やばいです。。。』というもの。結果から申しますと、600名のカンファレンスルームが満席になりました。
それが開催前月の日経ほか、政府、首相の働き方改革断行の年であるという堅い意思表示によるものでした。
2017年初めの記事はこちらです。この発表のあたりから一気に参加申し込みが殺到し、設立1年未満の団体でありながら虎ノ門ヒルズのカンファレンス会場が満席となりました。
当日は50名を超えるスピーカー、当時経産大臣だった、世耕さんまでお越しいただいて盛り沢山な一日でした。
【人と企業の「これからの働き方」や「理想の働き方」を考え、実現する】をテーマに開催に至りました。
当日の詳細はこちらをご覧ください。
開催翌日には、団体の背中を押すような記事も出てますます活動に勢いがでました。日経の記事はこちらです。

3)活動を通じて発信してきたこと 変化への気付き

at Will Work が目指すのは「働き方の選択肢がある社会」。そこを、当初から5年間限定での活動と決めて運営しているのも大きな特徴に思います。時代が変わろうとうするところに固執しないで変化を創出できれば自分たちの活動は終わりを迎える。潔い、心地よい活動と思います。2017年以後のテーマと特徴を以下に。

・2018年→「働くを定義∞する」 詳細はこちらです。

個人だけではなく会社もまた様々。歴史を紡いできた会社もあれば、新しく産声をあげたばかりの会社もあります。人と同じように、また会社も様々なのです。そこには多くの”ものさし”が存在しています。その”ものさし”は決して一つだけではありません。だからこそ自分が持っている”ものさし”と違うと戸惑い、不安になるのではないでしょうか。at Will Work が目指すのは「働き方の選択肢がある社会」
それは個人も、会社も、社会にも選択肢があることを指しています。その選択肢は実に様々なのではないでしょうか。そして同時に、働き方自体も様々であると私たちは考えます。(サイトから)

・2019年→「働くをひも解く」 詳細はこちらです。

2019年のカンファレンスは、5回実施するat Will Work の真ん中である3回目になります。これからの働き方を考えていく中で、“だからこそ”大事なことは今までの働き方を知ることだと考えました。新しいことだけを追い求めるのではなく、続けていくこともあるはず。例えば、リモートワークやフリーアドレス、WeWorkなどの新しいオフィスの形態が増えていますが、そもそも“オフィス”はなぜ必要だったのか、どのような歴史を歩んできたのか、その歴史をひも解くことによりオフィスのあり方を考えていくことができるのではないでしょうか。(サイトから)

働くと経営課題の画像です

・2020年→働くと経営課題~ 企業の経営戦略・実践のリアルから学ぶ~」 詳細はこちらです。

リモートワークやフリーアドレスなどの新しいオフィスの形態が増えていますが、それらは本当にマネジメントにおける課題解決に繋がっているのか、また繋げていくにはどのようにしていくのがいいのでしょうか。
そのような経営課題に直結する働き方のテーマについて実際の現場でどのように取り組みが行われているのでしょうか。2020年のカンファレンスでは「働き方改革関連法」「マネジメント」「働く場所の柔軟性」「データで見る働き方改革」「人材難への対応 」などのテーマに、これらの課題に真剣に取り組む経営者の皆様から学び、次の新しい世界をどうやって創っていくのか、様々な角度から考えるカンファレンスを実施したいと思います。(サイトから)

4)過去4回の開催から松林さんが感じたこと気付いたことをお聞きしました。

政府が働き方改革という言葉の発信を開始してからはや4年が経過しましたが、2019年から関連の法案も施行され始め、ようやく企業においての取り組みが大企業を中心に始まってきたなと感じています。働き方改革推進の取り組みにおいて、初回開催した時はどういう方向性で実施していくかという情報収集のレベルでしたが、制度設計についての相談、取り組みで出てきた課題についての相談などの具体的なお話が増えてきたと感じています。
今後はより実践的なレベルでの事例の共有などがこれまで以上に世の中に求められてくるのではと考えています。

2 オンラインカンファレンス開催を実践してみる

1)カンファレンス2日前にオンライン開催を決定

今年のカンファレンス、開催日まで1週間前、松林さんと話す機会がありました。その時、『来週は予定通り開催します、入り口でマスクを配布し、アルコール消毒液を常備して。』という感じでしたが、その後カンファレンス終了後のネットワーキング(交流会)パートの中止、お昼のお弁当の配布も中止となっていき、ついに開催2日前にオンラインによる開催が決定しました。

カンファレンス風景の画像です

【当日のカンファレンスの風景】
決定と同時に参加申し込みの皆さんに発信されたメッセージは以下です。

【カンファレンスをオンライン配信にて実施致します】
当カンファレンスは公式発表のタイムテーブルどおりに開催致しますが、すべての参加者の皆様にオンライン配信にてカンファレンスのセッションを視聴いただく形に変更致します。そのため、会場にはお越しいただけませんので、ご理解いただけますと幸いです。(オンライン配信の閲覧は、チケットをお申し込み頂いた方限定です)

オンライン視聴の方法につきましては、当カンファレンス開催時刻の2020年2月20日10:00までに、チケットお申し込み時にご登録頂いたメールアドレスに、カンファレンスの様子をご視聴いただける動画の限定URLを送付させて頂きます。(動画配信はYouTube Liveを予定しております)

※動画配信における禁忌事項について
カンファレンス動画に関しましては、転送禁止、録画・撮影や保存の禁止、チケット購入者以外の動画の閲覧はご遠慮ください。禁忌事項に関する違反が発覚した場合には、法的処置を取らせていただく場合もございますのでご注意ください。

【カンファレンスの録画映像を期間限定で公開します】
上記のリアルタイムでのオンライン配信に加えて、カンファレンスの映像を1週間の期間限定で録画配信させていただく予定です。こちらの詳細につきましても後日ご連絡差し上げます。(こちらのカンファレンス映像につきましても、閲覧はチケットをお申し込み頂いた方限定です)

※リアルタイム配信はネットワーク環境により、見られないなどの可能性もありますので、その場合は録画配信でご覧ください。一部、リアルタイム配信と録画配信で内容が異なる場合があります。

以上です。

【当日の配信画面】
映像は約3種類。登壇者、スライド、そしてその組み合わせです。下記の様な形で表示されます。

当日の配信画面の画像です

背景は黒と白、またはその中間から選べるのですが今回白背景のスライドがほとんどだったので、コントラストをはっきりさせるために黒にしました。またスライドが見えやすい様に並べていますが、これも真横にしたり大きさを変化させたり、スライドの中にワイプ(テレビでよくみるスタジオの方の様子が見える様に抜くやつですね)でも表示できます。いくつかテストした結果、この比率と位置(こうすることでどこを見ればいいか迷わない箇所)に決定しました(代表理事の藤本さんの“オンライン配信”でのカンファレンス開催の選択肢とはより抜粋)。

無事に配信でのトラブルもなく、視聴された方々からも好印象の評価を得て終了できました。
開催報告についてはこちらを御覧ください。

2)オンライン開催が全て有効だとは言えない

トークセッションが主体のこのカンファレンス、すごくわかり易い表現を松林さんが話されたのが、視聴者がテレビスタジオに集まって番組を配信して臨場感がある、スタジオに参加した人が普段のカンファレンス参加者、テレビを見ている人が今回の配信を視聴している感じ。今年に限って言えば、スタジオ参加者のいない中での対談番組が配信されているイメージ。
テレビ局でしか出来なかったことが、現在は、簡易カメラ、パソコンとWi-Fiさえあれば最低限の放送局ができてしまうという時代、YouTuberの存在からもオンラインカンファレンスのハードルが実は低かったという感想をもちました。
しかし、全てオンラインに置き換わるか? そこはそうでも無いと感じます。
ピッチのような【ライブ感】が命のような場面、その場にいることが大きな意味をなすものについては、オンラインのみでは伝わらないのも同じ。これも過去からのテレビ番組の構成と親しいと思います。
オンラインに向くもの、向かないものこれを使い分けることが大切と感じます。
今回のカンファレンスでオンライン配信の裏方として大活躍されたHOT SCAPE社前野さんも当日早速、オンライン配信についてのコメントを発信されています。こちらを御覧ください。
その翌日にも【新型コロナウィルスに対するイベント開催(LIVE配信を終えて)】をコメントされています。

3)カンファレンスその後について

このカンファレンスの成功を自分たちだけのノウハウとするのではなく、早速に【オンライン配信ノウハウを伝えるオンラインイベント】と題して、3月6日に開催、このスピード感もオンラインだからこそですね。
またこのイベントの様子も、You Tubeにてご覧いただけます。是非、オンラインカンファレンスにご興味ある方にはご覧頂きたいと思います。オンライン配信ノウハウを伝えるオンラインイベントの動画はこちらです。
松林さんからは、展示会もオンライン化し始めていると教えてもらいました。ユーザベース社のオンライン展示会についても御覧ください。
時間と場所の制限を外す、情報を伝える部分だけをオンラインで、人と人とのコミュニケーション、ネットワーキングはオフライン、リアルイベントは無くならないし、必要であると思います。オンとオフの組み合わせでさらに人と人のコミュニケーションの向上に繋がる社会へと変化していくと感じます。

4)最後に松林さんからのメッセージを

私たちにたくさんの相談が来ていることを考えても、イベントや展示会などのオンライン配信化はこれまで以上に加速していくと思います。企業データのクラウド化も促進され、テレワークなどの働き方の選択肢もさらに広がると思います。杉浦さんがおっしゃるように全てがオンラインに切り替わることはないので、オンライン・オフラインをうまくバランスよく活用するということがあらゆる組織において求められることとなる時代になりました。やったことのないことに取り組むことは大変だと思いますが、失敗を恐れてやらないのではなく、改善しながらチャレンジしていく風潮に世の中が変わり働き方がよりよく変わっていくことを願っています。

働き方にも通じたこの団体の活動概要と共に、オンラインカンファレンスのあり方についてリポートいたしました。

働くと経営課題の画像です

以上(2020年3月作成)