長期休暇があったらどうする? 経営者に「もしも」を聞いてみた

1 もしも1週間の休暇を取得できるとしたら?

もしも、1週間だけ「経営者」という肩書きを脱ぎ捨てて過ごせるとしたら・・・・・・?

海、山、街、あるいはストイックな自己研鑽の場。どこへ向かい、何をするかはまさに人それぞれ。また明日から頑張るために、経営者はどこで「ガソリン」を満タンにするのか。

今回は、中小企業の経営者214人に、そんな「もしもの話」についてアンケートを実施し、

  • もし、業務に全く影響が出ない1週間の休暇があったとしたら、取得しますか?
  • 1週間の休暇を、どんな風に過ごしますか?

という2つの質問をしました。経営者の素顔や価値観が垣間見える結果が集まりましたので、この記事で個性豊かな回答をご紹介します。

アンケートは2025年8月に、インターネットを通じて行いました。回答の中で、明らかに誤字と思われる表記などは修正しています。

2 夢の長期休暇! もちろん優勢な「取得する」

1週間の休暇を取得できるとしたら

アンケートの結果、

「取得する」と答えた人は、78.0%

でした! 「取得する」派の経営者は、1週間の休暇で一体何をしたいのか? 次章からは、個性豊かな回答を部門に分けて紹介していきます。

3 海、山、街・・・・・・自由な時間でどこに行く?

自由な時間でどこに行く?

夢の長期休暇。経営者たちは一体どんな方法で羽を伸ばすのでしょうか?

海派の意見

「ハワイのコンドミニアムでのんびり過ごす」 「ビーチリゾートでのんびり過ごしたい」「ゆっくり船旅をしたい」 「バリ島で、のんびりしたい」 「家族と石垣島へいってマリンアクティビティをする」 「海でのんびりなにもせず一日を過ごしたい」 「ハワイのリゾートホテルでのんびりしたい」 「ビーチリゾートでサーフィンがしたい」 「ビーチでの非日常体験」

山派の意見

「静かな湖畔でキャンプしながら自然を感じたい」 「キャンプ旅行に出かけたい」「山の中で静かに過ごしたい」 「軽井沢でのんびりしている」 「山の見えるところで、のんびり過ごす」 「キャンピングカーで車中泊しながらの旅行」 「登山と旅行」 「観葉植物の手入れ、山の別荘でのんびりしたい」

温泉派の意見

「温泉につかって美味いものを食べたい」 「湯治に行く」 「温泉旅行でのんびり」 「温泉リゾートで読書三昧」 「ゆっくりと温泉に浸かってデトックスをしたい」 「温泉旅館でゆっくり過ごしたい」

街派の意見

「妻とお城周りをしたい」 「昔行ったアフリカに又行きたい」 「夫婦二人で温泉地や神社仏閣を巡ってみたい」 「学生時代に過ごしたワシントンDCの各所を再訪したい」 「タイに行く」

趣味に費やす派の意見

「野菜づくり」 「ゴルフ三昧」 「ロックのCDを大音量で聞く」 「家で酒」 「趣味の写真を楽しみたい」 「思い切り釣り」 「ラグビー観戦に行く」

自宅でのんびり派の意見

「何も考えずのんびりしたい」 「自宅でのんびり」 「ボケーっと何もしない」「どこでもいいので何も考えずゆっくり過ごす」 「時間に捕らわれずなすがままの流れで過ごしてみたい」

ストイックに自己研鑽派の意見

「整理整頓」「別の仕事をして生活費を稼ぐ」 「リゾート物件視察」

以上(2026年2月作成)

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画像:日本情報マート

【入社1年目の教科書】キャッシュフロー計算書ではプラスとマイナスの組み合わせに注目

「キャッシュフロー計算書」はお金の流れを示す大切な財務諸表らしいけど、損益計算書とは全く違うな。それに、損益計算書や貸借対照表に比べるとマイナーなイメージが……。そもそも投資がプラスで財務がプラスって、一体どういう意味? 営業がプラスになっていれば大丈夫なのかな?

1 まずはキャッシュフロー計算書を見てみよう

キャッシュフロー計算書とは、

会社の現金の流れ(キャッシュフロー)を示す財務諸表

です。少し難しく説明すると、損益計算書や貸借対照表では表れないキャッシュの流れを、3つの区分で詳細に示した財務諸表となります。英語では「Cash Flow Statement」と表記されるので、「CS」「C/S」(または、「CF」「C/F」と略されたりします。

また、キャッシュフロー計算書には、

  • 直接法:入金総額から出金総額を引いて営業活動によるキャッシュフローを算出
  • 間接法:税引前当期純利益にキャッシュのズレを生じさせる項目を加減算して、営業活動によるキャッシュフローを算出

がありますが、経理部に配属されたのでなければ、新入社員の皆さんが直接法と間接法の違いを詳しく知る必要はありません。この記事で紹介するのは間接法で、実務でも多く使用されています。

早速、キャッシュフロー計算書を確認してみましょう。

キャッシュフロー計算書

会社は商品の販売などの営業活動を通じてキャッシュを獲得します。また、借入や株式の発行などの財務活動によってキャッシュを調達します。そして、得られたキャッシュを固定資産の取得などの投資活動に充てます。

この営業活動、投資活動、財務活動ごとにキャッシュの動きをまとめたのがキャッシュフロー計算書です。3つの区分を確認してみましょう。

1.営業活動によるキャッシュフロー(以下「営業CF」)

営業CFは、会社が本業でどれだけキャッシュを獲得したかを示します。営業CFが大きいほど好ましいです。また、ここでは「掛け」についても調整されるので、損益計算書のようなズレはありません。例えば、売掛金はまだお金をもらっていないのでマイナス、買掛金はまだお金を払っていないのでプラスとなります。

2.投資活動によるキャッシュフロー(以下「投資CF」)

投資CFは、固定資産、有価証券の取得・売却などのキャッシュの動きを示します。例えば、設備投資をしたらお金が減るので投資CFはマイナス、逆に設備を売却すればお金が増えるので、投資CFはプラスになります。

3.財務活動によるキャッシュフロー(以下「財務CF」)

財務CFは、借入、返済、増資などの資金調達・返済などのキャッシュの動きを示します。例えば、銀行からの借入を返済すればお金が減るので財務CFはマイナス、逆に借入をすればお金が増えるので、財務CFはプラスになります。

キャッシュフロー計算書

営業CF、投資CF、財務CFの合計額に、その年度の最初にあった現金を足した金額が、「現金及び現金同等物の期末残高」となり、実際に会社にある現金となります。この残高は、貸借対照表にある現預金の金額と一致します。

次章で、それぞれの項目の意味を説明していきます。説明ばかりで退屈かもしれませんが、全て大切な内容なので、できるだけ覚えてください。

2 キャッシュフロー計算書の項目

1)営業CF

1.税引前当期純利益

税引前当期純利益は、損益計算書の税引前当期純利益と一致します。

2.減価償却費

減価償却費は、損益計算書の販売費・一般管理費に計上されるキャッシュの支出を伴わない費用です。

3.資産及び負債の増減、「その他」による収入及び支出

資産及び負債の増減、「その他」による収入及び支出は、受取手形・売掛金や支払手形・買掛金などの増減、利息や配当金の受け取りと、利息の支払いなどに関するキャッシュの動きを示します。

2)投資CF

1.有形固定資産の取得による支出及び売却による収入

有形固定資産の取得・売却は、有形固定資産の取得による支出及び売却による収入に関するキャッシュの動きを示します。

2.有価証券及び投資有価証券の取得による支出及び売却による収入

有価証券及び投資有価証券の増減は、有価証券及び投資有価証券の取得による支出及び売却による収入に関するキャッシュの動きを示します。

3.貸付金などの増減

貸付金などの増減は、貸し付けやその回収、定期預金の預け入れやその払い戻しなどに関するキャッシュの動きを示します。

3)財務CF

1.短期・長期借入債務の増加による収入

短期・長期借入債務の増加による収入は、借入金の増加に関するキャッシュの動きを示します。

2.短期・長期借入債務の返済による支出

短期・長期借入債務の返済による支出は、借入金の返済に関するキャッシュの動きを示します。

3.自己株式の取得などによる支出

自己株式の取得などによる支出は、自己株式の取得、配当金の支払いなどに関するキャッシュの動きを示します。

4)現金及び現金同等物の増減額

現金及び現金同等物の増減額とは、当期中のキャッシュの増減額です。

5)現金及び現金同等物の期首残高

現金及び現金同等物の期首残高とは、期首時点に会社が保有するキャッシュの残高です。

6)現金及び現金同等物の期末残高

現金及び現金同等物の期末残高とは、期末時点に会社が保有するキャッシュの残高です。

3 3つのCFのプラスとマイナスを把握する!

キャッシュフロー計算書を読む際は、3つのCFのプラスとマイナスの組み合わせを把握することが大切です。

営業CFがプラスなら、本業できちんと稼げているので好ましいです。その上で投資CFがマイナスなら、本業で稼いだ資金で設備投資をしているといえます。この、

営業CFと投資CFを足したものを「フリーキャッシュフロー」

と呼び、これが大きければ好ましいです。また、財務CFがどうなっているかですが、マイナスなら余った資金を返済に回しているのでしょうし、プラスならフリーキャッシュフローだけでは足りない部分を借入で補っているかもしれません。以下で、3つのCFのプラスとマイナスの組み合わせが何を指しているのかについて、一般的な解釈を示しているので参考にしてみてください。

キャッシュフロー計算書

4 【質問】財務CFはプラスのほうがいい?

最後に皆さんに質問です。

財務CFは、プラスとマイナスのどちらが好ましいですか?

この質問に対する答えは、キャッシュフロー計算書を読む理由や立場によって違います。財務CFには銀行からの借入などがあります。つまり、借入をすれば財務CFはプラスになりますが、その理由が大切です。例えば、

新たなチャレンジのために借入したのか、資金繰りに窮して借入をしたのかによって評価は全く違ってくる

ことになります。ここでは財務CFについて説明しましたが、この考え方は投資CFでも同じです。

「自分は何のためにキャッシュフロー計算書を読むのか?」という目的を持つと、キャッシュフロー計算書の見え方が違ってきます。また、キャッシュフロー計算書に限らず、財務諸表は単年度のものだけでは良しあしを判断することはできません。理想的には、当期、前期、前々期の3期分を比較してみると、状況がより分かりやすくなります。

以上(2025年12月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【書籍ダイジェスト】『日本経済の死角』

本書は、「生産性が上がれば賃金も上がる」という通説に対し、日本ではこの関係が崩れていることを示すとともに、経済停滞の原因を、従来はあまり注目されてこなかった「死角」から明らかにする。
実質賃金が上がらない一方で物価が上がる背景には、高齢者や女性を中心とする労働力の増加、残業規制の影響などがあるという。また、イノベーションによって実質賃金を上げるには、「平均生産性」より「限界生産性」を高める必要があるとし、収奪的ではなく包摂的なイノベーションの必要性を説く。

書籍ダイジェストは、こちらからお読みいただけます。pdf

【有利な契約】トラブルなく「契約解除」をするための基礎知識

1 ビジネスシーンで欠かせない契約

円満に始まった取引でも、実際に動き出すと「想定よりも品質が悪い」「納期遅れが頻発する」などの問題が生じることは珍しくありません。場合によっては契約解除を検討しますが、このようなときのトラブルを避けるために、

契約締結時に、解除条項をできるだけ具体的に規定すること

が大切です。

一方、継続的契約の場合、先々を見越して契約期間を長期に定めたり、契約期間を定めなかったりするケースがあります。一見、収益を安定させる自社にとって有利な条件のように思えますが、その間は自社も契約解除ができない諸刃の剣となります。

以上を踏まえつつ、この記事では「契約解除」について知っておきたい基礎知識を紹介します。契約が解消されるパターンは

  • 契約の無効: 契約内容が公序良俗に反するなど、効力が認められない
  • 契約の取消し: 未成年者が締結したなど、契約締結時に遡って取り消すことができる
  • 契約解除: 契約自体は有効だが、契約を解消することができる (1.と2.以外のケース)

の3つに大別されますが、この記事で注目するのは「3.契約解除」です。

2 任意規定と強行規定

任意規定とは、

当事者の意思によって変更することができる法令上の規定

です。民法の規定の多くは任意規定です。当事者が契約で定めた内容は任意規定に優先します。

強行規定とは、

当事者の意思によって変更することが許されない法令上の規定

です。下請法(2026年1月からは取適法)や労働法、消費者契約法などの規定の多くは強行規定です。当事者が契約で定めた内容でも、強行規定に反すれば無効です。

つまり、解除条項が強行規定に反すれば無効です。例えば、「倒産解除条項」などが該当します。倒産解除条項とは、

仮差押え、税金の滞納、支払停止など相手方に強い信用不安が生じたときや、破産・民事再生・会社更生手続開始の申立てがあった場合などに、無催告解除できる

というものです。

分割払いで商品を購入する際に、売主が代金完済まで所有権を留保する所有権留保契約では、買主に倒産手続の申立てがあった場合、契約を解除できる特約が設けられることがあります。このような特約があると、買主が民事再生手続を申し立てた途端に、事業に必要な設備や在庫を失うことになります。

例えば、製造業者が事業設備を所有権留保付きで購入していた場合、民事再生の申し立てを行ったことにより事業設備を引き揚げられてしまうと事業の継続が困難になります。これでは、民事再生による事業再建という制度趣旨が損なわれてしまいます。

そこで、譲渡担保法により、民事再生手続や会社更生手続の申立てがあったことや、その原因となる事実が生じたことを理由とする契約解除特約は無効と定められています。これにより、倒産手続における買主の事業継続が保護されるのです。

3 法定解除と約定解除

法定解除とは、

法律の規定に基づいて契約を解除すること

です。例えば、民法には債務不履行を理由とする契約解除が定められているので、相手に債務不履行があれば、契約書に解除条項がなくても契約解除ができます。

一方、約定解除とは、

契約の条項に基づいて契約を解除すること

です。例えば、契約に「営業停止、営業免許・営業登録・営業許可の取消し等の行政上の処分を受けたとき」などと定めた場合、実際に相手が支払停止などの状態に陥ったときは契約解除ができます。

4 継続的契約か否か

継続的契約であるか否かは、契約上の文言ではなく、取引の実態で判断されます。裁判例では、継続的契約の要件として、

取引の種類、態様、支払手段、契約当事者の意思等によって定まるものであって、契約書の存否によって左右されるものではない

と示されています。

そして、契約解除において、継続的契約か否かは大切なポイントとなります。継続的契約を解除する場合、

契約で定められている要件に該当することに加え、裁判例上、「解除につきやむを得ない事由」があるか否かを問われる

ことがあります。例えば、納期が遅れた場合は催告なしに、即刻、契約を解除できる旨を定めていたとしましょう。この規定自体は問題なく、わずかに納期が遅れた場合でも、契約の解除を求めることができます。

しかし、それが継続的契約の場合、相手との継続的な取引を念頭に、もう一方の契約の当事者が設備投資を行ったり、社員を雇用したりしていることがあります。こうした事情に鑑みて、解除してもやむを得ない事情があるかが問われるのです。そのため、わずかな納期遅れのような、軽微な債務不履行では契約の解除が認められないことがあります。

やむを得ない事情の有無は、契約を解除する必要性、契約当事者間で想定していた契約期間、契約解除により当事者に与える影響、下請契約であるなど解除する側とされる側の力関係や、継続的な取引を継続することが困難なほど信頼関係が破壊されたといえるかなどが考慮されるようです。

以上(2026年1月更新)
(監修 弁護士 田島直明)

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画像:pixabay

360度評価で働き方の「指さし確認」をしてみよう

1 本当に会社の方針や時代に合った働き方はできているか?

360度評価とは、

上司、同僚、部下、取引先や顧客など、立場や関係性の異なる人たちが評価者となり、文字通り360度の方向から被評価者の仕事ぶりを評価する制度

です。360度評価の主な役割は、

評価者(上司)が多忙だったり評価に不慣れだったりする場合でも、「目」を増やして評価を補完できること

です。しかし、ここにきて別の役割が期待されています。それは、

各評価者からのフィードバックを通して、被評価者の働き方が、本当に会社の方針や時代に合ったものかを「指さし確認」すること

です。例えば、「昭和・平成の時代では普通」とされていた指導やコミュニケーションが、「令和の時代ではハラスメント」と指摘されるのはよくあるケースです。評価者が1人だとこうした問題に気付けない恐れがありますが、世代や立場の違うさまざまな人が評価者になることで、

社員は互いに「自分は今の状態で大丈夫なのか?」と確認することができる

わけです。

そこでこの記事では、360度評価における経営者の役割、被評価者・評価者の選び方などを紹介します。なお、

通常、360度評価は報酬決定(賞与や昇給など)につながる人事考課とは切り離して運用

されます。評価者が増えることで被評価者の報酬が変動しやすくなるリスクがあるからです。この記事でも、360度評価は人事考課と切り離して考えます。

2 360度評価における経営者の役割

社員は上司から評価されることには慣れていますが、同僚、部下、取引先などから評価されるのには慣れていません。ですから、360度評価の結果が良くないものだった場合、それを冷静に受け止められない恐れがあります 。例えば、管理職が部下から低い評価を受けた場合、

  • 「自分を低く評価するなんて許せない!」と憤慨する
  • 「部下が何と言おうと関係ない。今まで通りやる」と開き直る
  • 「自分は管理職失格だ・・・・・・」と必要以上に落ち込む
  • 「もう部下に嫌われたくない・・・・・・」 とおびえて指導に消極的になる

といったケースが考えられます。

これでは360度評価の意味がないので、経営者は事前に社員に次の2点を伝えましょう。

  • 評価結果は評価者の「主観的」な意見であり、妥当性は一旦横に置いてほしいこと
  • 1.を踏まえ、評価結果を「自分の働き方を見直すためのヒント」にしてほしいこと

評価者の中には評価に不慣れな人も多いですし、被評価者について知っていること、知らないことにもバラつきがあります。また、単純な好き嫌いで評価してしまう人もいるでしょう。

ですから、正当かどうかはともかく、フィードバックを受けた被評価者が、「そういう考え方もあるのか」「言われてみればそうかもしれない」と気付きを得て、自分の働き方の見直しに活かしていくことができ、そこには大きな意味があります。

360度評価を実施するに当たって重要なのは、「評価結果を過大にも過小にも受け止めず、客観的に見てほしい」という経営者のメッセージ

です。

3 匿名性を確保しつつ、被評価者・評価者を選ぶ

1)被評価者

360度評価を報酬や配置など人事考課と切り離して運用する場合、全社員を被評価者にする必要はなく、

  • 管理職のマネジメント能力を確認したいので、管理職を被評価者にする
  • プロジェクトチームの雰囲気などを確認したいので、メンバーを被評価者にする
  • 他社に出向している社員の状況が分からないので、出向社員を被評価者にする

といった具合に、経営者の方針で決めていきます。なお、部下や後輩がいない社員は360度評価の対象になりにくいですが、リーダーとしての資質などを確認するために、複数の管理職や同僚、取引先などを評価者にして実施することも効果的です。

2)評価者

評価者を選ぶ場合、上司、同僚、部下、取引先や顧客などの中から、

  • 被評価者と業務上の接点があり、接触する頻度が高い人
  • 被評価者の業務内容や求められている役割について、ある程度知っている人

を選びます。評価者の人数は、会社の規模や被評価者の状況によって変わりますが、できれば上司、同僚、部下、取引先など各レイヤーで2人以上いると好ましいです。取引先などに評価してもらう場合、被評価者が自ら取引先に依頼する方法もあります。そうすれば、評価結果をより真摯に受け止められるでしょう。

なお、一概には言えませんが、上司以外の評価者については次のような特性がありますので、念のため触れておきます。

1.同僚

被評価者と同レベルの仕事を行っていて、被評価者の仕事内容や仕事の進め方を理解しています。ただし、友人・ライバルなどの場合、なれ合いや足の引っ張り合いにもなり得ます。

2.部下

上司の言動を日ごろから観察していて、良い点も悪い点も把握しています。ただし、上司の仕事内容についての理解が浅く、厳しい、優しいなど表層的な基準で評価することがあります。

3.取引先や顧客

被評価者の接客レベルなどの他、評価結果から取引先や顧客のニーズも知ることができます。ただし、社外の人間なので、評価者になってもらうには相応のハードルがあります。

3)匿名性の確保が大前提

評価者が安心して本音を伝えるには、厳格な「匿名性」の担保が前提です。特に中小企業のように、一人ひとりの顔が見える規模の組織では、コメントの内容から誰が書いたかが容易に推測できてしまうリスクがあります。匿名性を確保するポイントの例は次の通りです。

  • 各レイヤー (同僚、部下など) で複数の評価者を選定する
  • 自由記述は人事が文体を整えたり、箇条書きに要約したりして個人の特定を防ぐ
  • 集計・分析を外部の専門ベンダーに委託し、社内で生データを閲覧できないようにする

4 設問は30問以内で、抽象的な質問はなるべく避ける

設問は30問以内5段階評価など選択式を基本としつつ、自由記述式の設問も交えます(10~15分程度で完了できるのが理想)。項目が多すぎると一つひとつの評価が浅くなり、フィードバックも表面的になりがちです。

また、その際、被評価者本人にも同じ設問を送り、自己評価をしてもらいます。自己評価と他者評価のギャップが分かると、自身の働き方について気付きを得やすくなるからです。

質問内容は、できるだけ定義がブレない具体的な行動事実にフォーカスします。抽象的な項目(NG例) と具体的な行動指標 (OK例) の例は次の通りです。

  • (NG例) コミュニケーション能力があるか → (OK例) 相手の話を最後まで傾聴し、理解した上で応答しているか
  • (NG例) リーダーシップを発揮しているか → (OK例) チームの目標を明確なビジョンとしてメンバーに共有しているか
  • (NG例)協調性があるか→ (OK例) 意見の異なる同僚とも、共通の目標達成のために協力できているか
  • (NG例)部下育成に熱心か → (OK例) 部下の強みと弱みを把握し、具体的な成長課題を提示しているか

なお、選択式よりも自由記述のほうが、より詳細な情報を得やすいので、選択式の設問を減らしつつ、自由記述式のボリュームを増やすのも一策です。あるいは、リポート形式とし、

「新しい働き方に合った管理職であるか?」

などのテーマでリポートを書いてもらう方法もあります。

5 被評価者に対しては「過大評価せず、過小評価もしない」

フィードバックは、上司(または経営者)と被評価者による面接形式で行い、その際、被評価者には自己評価の結果を持参してもらいます。フィードバックの目的は、被評価者に、

  • 相対的な強み・弱みを知ってもらうこと
  • 自己評価と他者評価のギャップに着目してもらうこと

です。点数の低い項目、自己評価と他者評価の点数の乖離(かいり)が大きい項目があれば、それを洗い出し、働き方の見直しに役立ててもらいます。

フィードバック面談は、例えば次のような流れで進めます。

  • 準備段階: 本人に事前に結果を読み込ませ、強みと改善点を自己分析してもらう
  • 目的の再確認: 面談の冒頭で「この面談はあなたの成長を支援するためのものである」と伝える
  • 自己評価の傾聴: 本人が結果をどう受け止めたか、なぜそのギャップが生じたと思うかを、まずは否定せずに「傾聴」する
  • 上司等からのフィードバック: まずは感謝や評価している点など、ポジティブな内容から話す。課題については「客観的な事実」をベースに話し、今後の関わり方を議論する
  • スモールステップの設定: 明日から変えられる具体的な小さなアクションを共に決定し、合意する

360度評価の結果は、「過大評価せず、過小評価もしない」が原則なので、上司(または経営者が被評価者の点数の低さなどを糾弾するようなことはしません。ただし、働き方を見直してもらうのには良いタイミングなので、フィードバックと併せて、

  • 被評価者自身は、評価結果を受けて今後どのように成長していきたいか
  • 上司(または経営者)として、今後どのような働き方を期待しているか

を明らかにし、改善に役立ててもらうとよいでしょう。

以上(2026年2月更新)

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画像:Studio Romantic-Adobe Stock

【入社1年目の教科書】貸借対照表で大切なのは5つの箱とその大きさ

損益計算書はわりと分かりやすかったけど、「貸借対照表」は本当に苦手……。科目が多くて、似たような名前だから区別できない。どれが一番大事なのか、印を付けてくれればいいのに。それに、貸借対照表は必ず左右の金額が一致している。これって偶然? それともわざわざ合わせているのかな?

1 まずは貸借対照表を見てみよう

貸借対照表とは、

会社がどのようにお金を調達し、それを何に使っているかを示す財務諸表

です。少し難しく説明すると、ある時点(通常は決算日。企業によって異なります)の会社の「財政状態」を示した財務諸表となります。英語では「Balance Sheet」と表記されるので、「BS」「B/S」と略されたりします。前回の損益計算書との違いは、次のようなところでしょうか。

  • 損益計算書:一定期間に「どれだけ儲けたか」を表す。イメージは家計簿
  • 貸借対照表:ある時点に「何を持っているか」を表す。イメージは財産目録

早速、貸借対照表を確認してみましょう。

貸借対照表

貸借対照表の右側と左側は、

  • 右側:お金をどのように持ってきたのか(資金調達状況)
  • 左側:持ってきたお金を何に使ったのか(資金運用状況)

を示します。この左右の内容をさらに細かく見ると、次のようになります。

  • 右側の上「負債の部」:銀行からの借入など。他人資本とも呼ばれる
  • 右側の下「純資産の部」:株主の出資金やこれまでの利益など。自己資本とも呼ばれる
  • 左側の「資産の部」:現預金や土地など

次の分かりやすい図で、貸借対照表の構造を確認してみましょう。右側から左側に、調達したお金が使われているイメージがよく分かりますね。

貸借対照表の構造

2 貸借対照表は5つの箱で考える

貸借対照表の右側と左側の説明は前述した通りですが、

右側の負債と左側の資産は、それぞれ「流動」と「固定」とに分類

されます。イメージは、

  • 流動:すぐに現金に変わる、すぐに支払う
  • 固定:長く持ち続ける、ゆっくり返す

で、具体的には「正常営業循環基準」と「1年基準」によって区別されます。

正常営業循環基準とは、

「現金→仕入れ→商品→販売→売り上げ→現金」という営業サイクル

です。この営業サイクルの中で発生する資産・負債を「流動」として表示します。

次が1年基準です。正常営業循環基準で流動とならないものでも、

決算日の翌日から1年以内に現金化や返済期限がある資産・負債は「流動」

に区分されます。

貸借対照表は5つの箱で考える

そして、貸借対照表を読む際は、

流動資産、固定資産、流動負債、固定負債、純資産

の5つの箱のバランスを見ることがとても大切です。簡単に示すと次のようになります。

5つの箱のバランス

どれが大きくて、どれが小さければよいかというのは貸借対照表を読む理由や立場によって違ってきますが、個々の数字の大小よりも、5つの箱のバランスを見るようにしてください。

次章で、それぞれの項目の意味を説明していきます。説明ばかりで退屈かもしれませんが、全て大切な内容なので、できるだけ覚えてください。

3 貸借対照表の項目

1)資産の部

1.流動資産

流動資産は、現金・預金、受取手形、売掛金、棚卸資産など、営業サイクルの中で発生する資産または決算日の翌日から1年以内に現金化される資産です。

2.固定資産

固定資産は、建物・構築物・付属設備、特許権など、営業サイクルの中で発生する資産で、なおかつ決算日の翌日から1年以内に現金化されない資産です。

a.有形固定資産

有形固定資産は、固定資産のうち、建物・構築物・付属設備、土地など、有形の財産として会社が保有する資産です。

b.無形固定資産

無形固定資産は、固定資産のうち、特許権、借地権など、無形の財産として会社が保有する資産です。

c.投資その他の資産

投資その他の資産は、関係会社株式、出資金、長期貸付金など、本業以外の投資活動のために保有する資産です。

3.繰延資産

繰延資産は、創立費、開業費、株式交付費など既に発生した費用のうち、現在から将来にわたって効果が見込まれるために、経過的に貸借対照表に記載される資産です。

2)負債の部

1.流動負債

流動負債は、支払手形、買掛金など、前述の基準で流動負債に分類される負債です。

2.固定負債

固定負債は、社債、長期借入金など、前述の基準で固定負債に分類される負債です。

3)純資産の部

1.株主資本

株主資本は、資本金、資本剰余金、利益剰余金など、返済の必要性のない資金です。

2.その他の純資産

その他の純資産は、株主資本以外の時価評価に伴うその他有価証券評価差額金、新株予約権などです。

4 細かな数字よりもバランスを見る!

貸借対照表を読む際は、個別の項目よりも、

流動資産と固定資産、資産と負債、負債と純資産のバランス

を見ることで、会社の状況が分かりやすくなります。例えば、流動資産よりも流動負債が大きければ、資金繰りに窮している恐れがあります。また、一般的には、負債よりも純資産が大きく、純資産で固定資産を賄えている形が理想的です。

ちなみに、損益計算書では分からなかった「掛け」については、貸借対照表の流動資産の「売掛金」、流動負債の「買掛金」で分かります。それぞれの大きさはもちろんですが、それ以上に決済の後先が資金繰りに大きな影響を及ぼすことを忘れないでください。先にお金が入れば、支払いが楽になります。逆に、先に支払いがくると資金繰りが厳しくなるということです。

5 【質問】どちらが大きいほうがいい?

最後に皆さんに質問です。

流動と固定は、どちらが大きいほうが好ましいですか?

この質問に対する答えは、貸借対照表を読む理由や立場によって違います。例えば、銀行からの借入は、返済期間が1年以内なら流動負債、1年超なら固定負債となります。考えるべきは、

長期(返済期間が1年超)のほうが資金は安定するが金利は高くなり、短期の場合は逆になる

ということです。会社の資金繰りや借りたい資金の種類(運転資金や設備資金)によって、好ましい借入は変わってくるのです。

「自分は何のために貸借対照表を読むのか?」という目的を持つと、貸借対照表の見え方が違ってきます。また、貸借対照表に限らず、財務諸表は単年度のものだけでは良し悪しを判断することはできません。理想的には、当期、前期、前々期の3期分を比較してみると、状況がより分かりやすくなります。

以上(2025年12月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【規程・文例集】 「秘密保持契約書」のひな型

1 秘密保持契約を軽視してはいけない

秘密保持契約(NDA(Non-Disclosure Agreement))とは、

取引や交渉の過程で、広く知られていない情報を相手に開示する場合に、その情報を秘密として保持する義務を定めた契約

です。秘密保持契約は「本契約前のお決まりの作法」のように軽視されることもあり、相手から提供されるひな型をそのまま利用しがちですが、これは危険です。そもそも秘密保持契約は、

自社の営業上、技術上の重要情報を守るためのものであり、それが実現できなければ本契約はあり得ない

わけですから、本契約と同じように慎重に取り組む必要があります。

この記事では、秘密保持契約の確認ポイントを説明した上で、弁護士が監修した秘密保持契約書のひな型を紹介します。

2 秘密保持契約で必ず確認すべきポイント

1)秘密情報の定義

最も大切なのは何を守るのか、つまり「秘密情報の定義」です。ただ、多くの場合はこの点に注力せず、単に「書面、電磁的記録、口頭、視覚的方法その他の方法を問わず、相手方から開示を受けた、当該相手方の営業上、技術上その他業務上の一切の情報」などと定めています。この場合、当事者間でやり取りする情報を包括的に契約의 対象にできる良さはありますが、具体的でないため、自社と相手とで重視する秘密に対する認識が一致されていないとトラブルになりかねません。

そこで、次のように秘密情報をより具体的に定めることが重要です。秘密情報の表示・明示等、実務が煩雑になりますが、秘密情報を守るためには必要なことです。

【具体的に定める場合の条項例】

本契約における秘密情報とは、営業上、技術上その他業務の一切の情報であって、次の各号に該当するものをいう。

  • 秘密である旨の表示がなされている書面および電磁的方法によって記録された情報。
  • 口頭または視覚的方法により開示された情報であって、開示の時点で秘密である旨が明示され、開示後○日以内に、その内容が秘密情報である旨を明示した書面により相手方に対して通知されたもの。

2)秘密情報を守る取り決め

秘密情報が定義できたら、それを守るための具体的な取り決めがあるかを確認します。最低でも次の5つがしっかりと定められている必要があります。

  • 秘密情報にアクセスできる役職員が限定されているか
  • 秘密情報の利用目的が明示されているか
  • 秘密情報の目的外利用が禁止されているか
  • 秘密情報を複製する場合の「事前承諾」などが定められているか
  • 秘密情報の廃棄や返還の手続が定められているか

3)損害賠償請求

秘密情報の漏洩などによって生じた損害に対する賠償請求について定めます。秘密情報の漏洩などによる損害額は算定しにくく、争いになることがあります。

そこで、事前に賠償額を定めておくことも一案です(賠償額の予定、または違約金)。注意が必要なのは、実際の損害額に関係なく、事前に定めた賠償額が原則となることです。そのため、「○○万円以下」といったように、当事者が負担可能な賠償額の上限金額を定めておくことも一策です。

4)残存条項

契約期間が終了すれば、その契約は効力を失います。一方、秘密情報は契約期間が終了したからといって、その重要性が失われるものではありません。そのため、契約期間終了後も一定の義務を課す必要があります(残存条項)。

残存条項は、秘密保持義務や損害賠償義務などを対象にすることが一般的です。とはいえ、契約期間終了後もずっと義務を課し続けるのは妥当ではないため、併せて残存条項が効力を持つ期間を定める必要があります。

なお、1回だけの業務委託など、取引関係の終了後も秘密保持義務を長期間課し続けるのが適切ではないケースもあるので、取引内容に合わせて存続期間を定めることも考えられます。存続期間の長さは、秘密情報の性質(時間の経過によって重要性が変わる情報か、保管コストはどの程度かなど)や取引内容を検討しながら決めることになります。

3 秘密保持契約書のひな型

以降で紹介するひな型は一般的な事項をまとめたものであり、個々の企業によって定めるべき内容が異なってきます。実際にこうした契約書を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

【秘密保持契約書のひな型】

○○(以下「甲」という)と□□(以下「乙」という)は、甲および乙間において開示される秘密情報について、次の通り秘密保持に関する契約(以下「本契約」という)を締結する。

第1条(目的)

甲および乙は、△△を目的として、相手方に対して秘密情報を開示する。

甲および乙は、相手方から開示された秘密情報を前項の目的以外に使用してはならない。

第2条(秘密情報)

1)本契約における秘密情報とは、営業上、技術上その他業務の一切の情報であって、次の各号に該当するものをいう。

  • 秘密である旨の表示がなされている書面および電磁的方法によって記録された情報。
  • 口頭または視覚的方法により開示された情報であって、開示の時点で秘密である旨が明示され、開示後○日以内に、その内容が秘密情報である旨を明示した書面により相手方に対して通知されたもの。

2)前項にかかわらず、次の各号に該当するものは秘密情報に当たらないものとする。

  • 相手方から開示される前に既に公知となっている情報。
  • 相手方から開示される前に被開示者が保有していた情報。
  • 相手方から開示された後に、被開示者の責によらず公知となった情報。
  • 正当な権限を有する第三者から、秘密保持義務を負わず適法に入手した情報。
  • 開示者から開示された秘密情報に基づかず、被開示者が独自に開発をした情報。

第3条(秘密保持義務)

1)甲および乙は、相手方から開示された秘密情報を厳重に保管・管理し、相手方の書面による承諾なく、秘密情報を開示、漏洩してはならない。

2)前項にかかわらず、甲および乙は、以下の関係者に対し、本契約の目的(以下「本件業務」という)遂行の範囲内で、事前に相手方の書面による承諾を得ることなく秘密情報を開示することができる。ただし、甲および乙は、秘密情報の開示を受ける者に対し、本契約に定める秘密保持義務と同等の秘密保持義務を遵守させなければならない。

  • 甲および乙の役職員で、本件業務の遂行に従事し、かつ秘密情報の開示を受けることが必要な者。
  • 本件業務について相談する必要がある弁護士、公認会計士、税理士等の専門家。

3)第1項にかかわらず、甲および乙は、裁判所からの命令、その他の法令に基づき開示が義務付けられる場合は、秘密情報を開示・提供することができる。

第4条(複製の禁止)

甲および乙は、事前に相手方からの書面による承諾を得た場合を除き、秘密情報の一部または全部を書類または電磁的記録媒体に複写または複製してはならない。

第5条(立入調査)

1)甲および乙は、相手方における秘密情報の管理状況等を調査するため、相手方に事前に通知した上で、相手方の営業時間内に、相手方の事業所に立ち入ることができるものとする。

2)前項に基づき、立入調査の通知を受けた当事者は、相手方による立入調査を承諾し、当該調査について協力をしなければならない。

第6条(秘密情報の破棄等)

甲および乙は、本契約が終了したときは、秘密情報(複写または複製された秘密情報がある場合はそれらを含む)を、相手方の指示に従い破棄または返還しなければならない。

第7条(事故報告)

甲および乙は、秘密情報の漏洩等の事故が発生し、または発生する恐れのある事態が生じたときは、直ちに相手方に報告をし、その指示を仰がなければならない。

第8条(損害賠償義務)

甲および乙は、本契約に違反することにより、相手方に損害を与えた場合、相手方に対し、損害の賠償をしなければならない。

第9条(反社会的勢力排除)

1)甲および乙は、次の各号の事項を表明し、保証する。

  • 自らまたは自らの役職員が暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋、社会運動等標榜ゴロ、特殊知能暴力集団若しくはこれらに準ずる者またはその構成員(以下「反社会的勢力」という)ではないこと。
  • 自らまたは自らの役職員が反社会的勢力に対し、資金等の提供、便宜の提供等反社会的勢力と何ら取引をしていないこと。
  • 自らまたは第三者を利用して、次の行為をしないこと。

・相手方に対する脅迫的な言動または暴力を用いる行為。

・法的な責任を超えた不当な要求行為。

・偽計または威力を用いて相手方の業務を妨害し、または信用を毀損する行為。

2)甲および乙は、相手方が前項に違反した場合、何らの催告なしに直ちに本契約を解除することができる。この場合、相手方は他方当事者に発生した全ての損害を賠償するものとする。

第10条(有効期間)

本契約の有効期間は○年○月○日から○年○月○日までとする。ただし、有効期間満了日の○カ月前までに、いずれの当事者からも解約の申し出がない場合には、更に1年間本契約を延長し、以後も同様とする。

第11条(残存条項)

第3条および第8条に定める義務は、本契約終了後○年間存続するものとする。

第12条(協議解決)

本契約に定めのない事項、または本契約の解釈について疑義が生じたときは、甲および乙は誠意をもって協議の上解決する。

第13条(合意管轄)

甲および乙は、本契約に関し裁判上の紛争が生じたときには、訴額等に応じ、○○簡易裁判所または○○地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。

以上(2026年1月更新)

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画像:ESB Professional-shutterstock

ジョブ型雇用で注目される「役割等級制度」とは?

1 「ジョブ型」の論点は企業の成長スピードである!

近年、耳にする機会が増えた「ジョブ型雇用」(以下ジョブ型)。

ジョブ型とは、「仕事に人を割り当てる」という考え方
です。

例えば、営業やマーケティングを行う人材が欲しいのであれば、そうした人材をフルタイムに限らず採用していく方法です。ジョブ型が注目されるのは、「社員の成長をゆっくりと待っている時間がない」からです。

経営者は新規事業を「今すぐにやりたい」と考えており、即戦力が必要

です。

そうした人材は成果と賃金の関係も明確なので、経営の合理化にもつながります。

一方、これまで多くの日本企業が取り入れてきたのが「メンバーシップ型雇用」(以下「メンバーシップ型」)です。

メンバーシップ型とは、「人に仕事を割り当てる」という考え方

です。

何ができるわけではないけれど、ビジョンなどに共感しているはずの人材を採用し、ジョブローテションを通じて適性を見つけていく方法です。企業が長く続くためには、長い時間をかけて社員のメンバーシップを育む必要があります。今は技能がなくても、

経営者の「イズム」を受け継いでくれる社員は育てなければならない

のです。

ジョブ型とメンバーシップ型を二者択一で考えるのは間違いです。技能がある人材も、思いがある人材も両方必要なのです。とはいえ、足元ではジョブ型は普及していくでしょうから、ジョブ型を受け入れるための人事制度が必要になります。この記事で紹介する

「役割等級制度」は、ジョブ型にフォーカスしつつ、メンバーシップ型で大事にしたい「思いがある人材」も置き去りにしない、ハイブリッド型の制度

です。

2 役割等級制度を提案する理由

役割等級制度とは、

仕事(ジョブ)に等級を設け、それに基づいて賃金を支払う仕組み

です。

もともとは、同一労働同一賃金を実現するために注目された制度です。つまり、正社員とパートの役割を整理することで不合理な待遇格差をなくそうというものです。

この役割等級制度が、ジョブ型雇用になじみやすい理由は次の2点です。

1)雇用形態を問わない柔軟性

ジョブ型で雇用されるのは、正社員とは限りません。特定の仕事がフルタイムで頼むほどの量でなければ、パートタイムとしての雇用となります。役割等級制度は、雇用期間や労働時間の長短ではなく、仕事の内容で評価できるため、ジョブ型になじみやすいのです。

2)「役割」まで評価することで、既存社員の納得を得やすい

役割等級制度は単なる「職務給」ではなく、「役割」にも注目します。

例えば、新規事業のためのマーケティング担当が必要になったとします。通常なら、まず既存社員の中から可能性がありそうな社員を登用することを考えるでしょうが、所詮は素人なので成果は限られます。一方、社員は未経験のことに戸惑いつつも、企業への思いや帰属意識があるので頑張るわけです。「君に任せるぞ!(企業)」と、「一から勉強します!(社員)」というのが、ある意味で日本企業の労使の良いところでした。

しかし、効率性を考えると、ジョブ型でマーケティングの専門家を採用すれば、断然成果が上がります。ただ、ジョブ型の社員に企業への強い思いがあるとは限りません。

役割等級制度では、この「思い」を「役割」に置き換えます。つまり、単純に実務をこなすだけでなく、企業の歴史や文化、顧客への思いなどを業務に落とし込むための役割を既存社員が担います。ここまでを含めて評価することで、既存社員の納得を得やすくなるのです。

3 役割等級制度の具体例

役割等級制度では、「社員に求められる部門間共通の役割」を等級別に設定します。また、「部門間共通の役割を果たすために必要な資格・知識や期待される姿勢・行動」を部門・等級別に設定することで、役割を仕事(ジョブ)に落とし込みます。イメージは次の通りです。

画像1

具体的な資格・知識や姿勢・行動の内容は「役割基準書」で定義します。例えば、図表2は電気機械器具製造業の技術系職種を想定した、技術部門4等級(課長レベル)の役割基準書のイメージです。

画像2

このように、役割等級制度は部門・等級ごとに職務を考慮し、具体的な役割基準書を作成します。これは、職務等級制度で作成する「職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)」と似ています。しかし、職務等級制度は、あくまで職務だけをベースに等級を設定するものです。この点は前述した通りで、役割等級制度は企業の歴史や文化、顧客への思いなどを「期待される姿勢・行動」などに落とし込みます。

4 役割等級制度を構築するための4つの工程

1)社員の職務をリストアップする

既存の職務については、各社員にリストアップしてもらいます。就業場所や取り扱うサービスの種類、他の社員からサポートを受けているかなども明確にします。ジョブ型で新たに生まれる職務は経営者や部門長がリストアップします。

単に業務をリストアップするだけでなく、「自社が5年後にどうありたいか」などのビジョンから逆算することが大切です。若手人材の定着やDX推進スキルの確保など、優先課題を明確にしましょう。

2)重要度や難易度に応じて職務内容をグルーピングする

リストアップされた職務内容を基に、経営者や部門長がグルーピングします。重要度や難易度の評価は難しいので、例えば、厚生労働省「職業能力評価基準」などを参考にします。

■厚生労働省「職業能力評価基準」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/ability_skill/syokunou/index.html

ジョブ型で新たに生まれる職務については、知見のない人が作るよりも、その分野の専門家に相談するのがよいでしょう。時間単位で専門家に相談できるサービスもあるので、そうしたものを利用するのも一策です。

なお、等級数は細分化しすぎないことが大切です。中小企業では、一般社員層で3~5段階、管理職層で2~3段階程度が標準的な目安です。現場で違いが実感できない細かすぎるグレード分けは避けましょう。

3)グルーピングの内容を基に役割等級の格付けを行う

格付けは賃金支給額と密接に結び付くものなので、既存の制度との対応関係に注意しながら行います。職能資格制度を導入している場合、「職能資格制度の○等級は、役割等級制度の○等級に相当する」などルールを決めていきます。

賃金テーブルの改定で不利益が出る層には経過措置(調整給など)を設けるなど、ソフトランディングの工夫を検討しましょう。

4)各等級について, 部門間共通の役割を定義しつつ、役割基準書を作成する

部門間共通の役割を定義し、その内容を基に各部門長が役割基準書を作成します。役割基準書は、グルーピングした職務内容の重要度や難易度に沿った内容になっているかを確認しながら作成します。

役割基準書は「誰が読んでも理解できる簡潔な言葉」で記述することが重要です。「この等級の人は具体的にどんな業務・責任を負い、何ができれば昇格なのか」を例示するなど視覚化しましょう。

以上(2026年2月更新)

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画像:-Adobe Stock

【朝礼】クジラのひげが操り人形に命を吹き込んだ?

【ポイント】

  • クジラは食べるだけのものではない。そのひげは昔、人形のワイヤーに使われていた
  • モノの価値は1つじゃない。「他にも使い道があるかもしれない」と考えることが大事
  • モノの真価は使ってみないと分からない。失敗しても、別の活かし方の可能性を探ろう

今日は、最近知って「おもしろいな」と感じた、クジラの話をしたいと思います。昔の日本では、クジラは「食べるだけのもの」ではありませんでした。例えば、クジラのひげは、人形浄瑠璃で人形を操るためのワイヤーに使われていました。クジラのひげには「軽い」「よくしなる」「折れにくい」という特性があり、それが人形を細かく動かすのに最適だったのです。

海の巨大な生き物の一部が、舞台の小さな人形の、首や目を動かす繊細な仕掛けになっていた。一見、全く関係なさそうな世界同士がつながっているところに、私はすごくワクワクしましたし、せっかく捕った命をムダにしない、昔の人の精神性にも感銘を受けました。さて、この話を通じて皆さんにお伝えしたいことが2つあります。

1つは「モノの価値は1つじゃない」ということ。当たり前ですが、仮に昔の人がクジラを「食べるだけのもの」と考えていたら、クジラのひげは使われることなく、捨てられていたでしょう。「他にも使い道があるかもしれない」と考えるところから、全ては始まるのです。例えば、コンペで負けた提案書は、一部を組み替えれば別の提案で再利用できるかもしれませんし、過去のクレーム対応のやり取りは、整理すれば応対マニュアルや研修素材にできるかもしれませんよね。会社の中に眠っているクジラのひげを皆さんも探してみてください。

もう1つは「モノの真価は使ってみないと分からない」ということ。クジラのひげは結果的に人形のワイヤーになりましたが、昔の人がいきなりその使い道にたどり着けたのかというと、そうではないと思います。当然、「こうやって使ってみたけど、駄目だった」という失敗もあったでしょう。それでも「別の活かし方はないか?」と、あらゆる方向から可能性を探り、試行錯誤を繰り返したからこそ、人形に命を吹き込むという最高の使い道が見つかったのではないでしょうか。大切なのは早々に諦めず、価値が見つかるまで使ってみることです。

皆さんもぜひ、日々の仕事の中で「これ、ムダになっていないか?」「この人・この道具・この情報の、別の活かし方はないか?」と疑問を持つことを意識してください。皆さんの中から、新しい“クジラのひげの使い道”が生まれることを期待しています。

以上(2026年2月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

【入社1年目の教科書】損益計算書の利益はどこにいった?

いよいよ財務諸表を読むぞ! 先輩が「損益計算書は売上から費用を引いて利益を出す単純な構造だから簡単だよ」って言ってたな。確かに足し算と引き算の連続なので計算は分かるけど、なんで利益が5つもあるのかな。それに、利益の分だけお金があるなら、うちの会社はすごいお金持ちだけど、本当かな?

1 まずは損益計算書を見てみよう

損益計算書とは、

会社がもうかったか損をしたかを示す財務諸表

です。少し難しく説明すると、会計期間の売上、費用、利益の状況を示した財務諸表となります。英語では「Profit and Loss Statement」と表記されるので、「PL」「P/L」と略されたりします。

早速、損益計算書を確認してみましょう。

損益計算書

注目していただきたいのは、損益計算書が、

収益-費用=利益

の繰り返しになっていることです。この計算を繰り返して、会社がどれくらいもうけたのか、あるいは損をしたのかを示しており、計算の過程で、

5つの利益

が登場します。項目の説明は後ほどしますが、まず、この5つの利益が何を意味するのかのイメージをつかんでください。

5つの利益

一番上の売上高から費用を引いていき、利益を求める構造になっていることがよく分かりますね。

次章で、それぞれの項目の意味を説明していきます。説明ばかりで退屈かもしれませんが、全て大切な内容なので、できるだけ覚えてください。

2 損益計算書の項目

1)売上高

売上高は、商品・製品・サービスなどを販売することで得た売上の総額です。売上高は会社の収益力を確認する最も基本的な数値で、会社のおおよその規模を示します。ちなみに、会社や部署で「今月の売上目標」などが設定されているのは、この損益計算書の売上高を積み上げるためです。自分の仕事がどのように売上に貢献しているか、意識してみましょう。

2)売上原価

売上原価は、小売業の仕入原価や製造業の材料費など、商品の調達や製品の製造に必要な費用です。また、社員がサービスの提供や製品の製造に直接関係する業務(工場のラインなど)に従事している場合、その人件費も一般的には売上原価になります。

3)売上総利益

売上総利益は、「売上高-売上原価」で求めるもので、「粗利(あらり)」とも呼ばれます。売上高に対する売上総利益の割合が高いほど、その会社ならではの付加価値の高い商品・サービスを販売しているといえます。

4)販売費・一般管理費

販売費・一般管理費(以下「販管費」)は、旅費・交通費、広告宣伝費、減価償却費などの諸経費です。また、社員が商品・サービスの販売を間接的にサポートする業務(経理・総務など)に従事する場合、その人件費も一般的に販管費になります。人件費については、直接的に製品・サービスに関わるなら「売上原価」、間接的に支えるなら「販管費」と覚えておきましょう。

5)営業利益

営業利益は、「売上総利益-販管費」で求めるもので、会社がメインとしている「本業」でどれだけもうかっているか、もしくは赤字になっているかが分かります。損益計算書を見る際は必ず確認したい利益です。

6)営業外収益・費用

営業外収益・費用は、本業以外の投資・財務活動によって生じた収益や費用です。営業外収益には預貯金の受取利息や受取配当金などが含まれます。また、営業外費用には支払利息などが含まれます。

7)経常利益

経常利益は、「営業利益+営業外収益-営業外費用」で求めるもので、本業以外の投資・財務活動までを勘案した利益です。今はあまりいませんが、「経常(けいつね)」と呼ぶ人もいます。営業利益が赤字なのに、経常利益で黒字になっている会社もあるので、なぜ、そのような状態になっているのかを分析してみましょう。

8)特別利益・損失

特別利益・損失は、会社の経常的な経営活動とは直接関係のない、臨時的、偶発的に生じた収益や費用です。特別利益には固定資産の売却益などが含まれます。また、特別損失には自然災害や訴訟による損失などが含まれます。

9)税引前当期純利益

税引前当期純利益は、「経常利益+特別利益-特別損失」で求めるもので、臨時的、偶発的に発生する収益と費用までを考慮した利益です。

10)法人税、住民税及び事業税

法人税、住民税及び事業税は、会社が支払う税金です。ちなみに、法人税は国税(国に納める税金)、住民税と事業税は地方税(地方公共団体に納める税金)です。

11)税引後当期純利益

税引後当期純利益は、「税引前当期純利益-法人税、住民税及び事業税」で求めるもので、会社が処分可能な利益、つまり「最終的に会社に残った利益」です。税引後当期純利益は、会社の財務体質強化のために内部留保に充てられたり、新たな設備投資に使われたりする原資となります。

3 損益計算書の利益はどこにいった?

損益計算書に関する最大のポイントは、

損益計算書の利益に相当するお金が、会社の金庫や銀行口座にあるわけではない

という驚愕(きょうがく)の事実です。「えっ?」と思うでしょうが、損益計算書の利益は帳簿上のものにすぎません。細かなことはさておき、ここでは、

  • ビジネスは「掛け」が多く、実際にお金をもらったり払ったりするのは数カ月先になる
  • 損益計算書では、請求書を発行した時に売上になり、請求書を受領した時に費用になる

ことを覚えてください。例えば、4月に100万円の請求書を発行し、支払期日を5月末にした場合、

4月に売上が100万円計上されますが、実際にお金をもらうのは5月末になり、1カ月のズレが生じる

ということです。そして、このズレにより「黒字倒産」という奇妙な現象が起こります。黒字なのに倒産してしまうのは、

損益計算書は黒字なのに、実際のお金はマイナスになっている状態

を指しているわけです。ここを押さえていれば、かなり上級です!

では、「掛け」の規模ってどれくらいなのとか、会社にはいくらのお金(キャッシュ)があるのとか、というのは、別の財務諸表である貸借対照表とキャッシュフロー計算書を読めば分かります。

4 【質問】売上と利益のどれを重視する?

最後に皆さんに質問です。

「売上高、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、税引後当期純利益」の中で、最も重視するのは何ですか?

この質問に対する答えは、損益計算書を読む理由や立場によって違います。例えば、

その会社の本業の状態を知りたいのであれば、営業利益を重視する

ことになります。あるいは、銀行の立場だと、

借入金の返済原資となる税引後当期純利益を重視する

ことになるわけです。

「自分は何のために損益計算書を読むのか?」という目的を持つと、損益計算書の見え方が違ってきます。また、損益計算書に限らず、財務諸表は単年度のものだけでは良し悪しを判断することはできません。理想的には、当期、前期、前々期の3期分を比較してみると、状況がより分かりやすくなります。

以上(2025年12月更新)

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画像:Mariko Mitsuda