11月から12月の年末になると増える、「年内にお願いします」などの無理なお願いで、疲弊していませんか。言われたままに全てを抱えるのではなく、うまく断りながら、相手も納得する着地点へ導くにはどうすればよいでしょうか。
『コンサルだけが知っている 伝え方のテンプレ』の著者・田中耕比古氏に、具体的な解決策を教えてもらいました。
【酒・甘いもの・衝動買いに逃げない】科学的に効く!最強ストレス対処法ベスト3
「ストレスを感じたらお酒や甘いもの、買い物で発散する」という人も多いだろう。けれど、これらは一瞬は心地よくなるものの、長期的には状況を悪化させるおそれがある。日々忙殺されてストレスを解消する暇がないと思っている人にこそ読んでほしいのが、『瞬間ストレスリセット――科学的に「脳がラクになる」75の方法』(ジェニファー・L・タイツ著、久山葉子訳)だ。
「年末ギリギリに買って失敗…」NISAでやりがちな“落とし穴”に注意!
2025年もそろそろ終わりが近づいてきた。NISA(少額投資非課税制度)口座で株や投資信託などを買っている人は、そろそろ残りの“非課税枠”を意識したいところ。ムダなく使い切りたいのであれば、年末ギリギリになる前に行動すべきだ。また、現時点で成績がビミョーな保有株や投資信託への対応も検討したほうがいいだろう。ここでは、NISA口座の仕組みを改めて復習するとともに、今ある資産を見直す際の考え方も紹介!
【中堅社員のスピーチ例】「若手×ベテラン×中堅」が生む無限の力
【ポイント】
- 中堅社員の役割は、若手社員とベテラン社員の「橋渡し役」
- 若手社員とベテラン社員、両者の考え方に目を向けることで会社に変化が生まれる
- 若手社員の勢い、ベテラン社員の経験、中堅社員のマネジメント力で壁を乗り越えよう
皆さん、おはようございます。まもなく、2025年が終わりを迎えます。今年を振り返ってみて、私が特に印象に残っているのは3人の社員です。
1人目は、入社2年目の若手社員Aさん。Aさんは、部署を横断したDX化の課題に対して、最新のデジタルツールを活用した画期的な解決策を提案してくれました。それまでは「DX化は必要だけど、日々の業務も忙しいし……」と取り組みが後回しになっていたのですが、Aさんが「それではダメだ!」と声を上げてくれたのです。
2人目は、私の大先輩であるベテラン社員Bさん。Bさんはどちらかと言うと、AさんのDX化の提案には反対の立場でした。ですが、それは感情的な理由からではなく、Aさんの提案したデジタルツールをそのまま使うと、既存の業務にいくつか支障が生じるからという合理的なものでした。長年の豊富な経験を基に、Aさんの提案のリスクを正直に指摘してくれたのです。
3人目は、私の同期である中堅社員Cさん。Cさんは「Aさんの提案を実現したい」と彼を後押ししつつ、「既存の業務に支障が生じない方法を一緒に考えよう」と、Bさんの意見も踏まえて、落としどころを探ってくれました。
そして、3人のおかげでわが社のDX化は一歩前進しました。特にCさんのマネジメント力には、同じ中堅社員として感嘆するばかりです。もしも、非常に表面的で意地悪な物の見方をする人がいたら、DXの提案をしたAさんを「生意気な若造」、あるいはその提案に異を唱えたBさんを「変化を嫌う老害」で片付けてしまっていたかもしれません。ですが、Cさんは若手とベテラン、両者の考えに目を向けて「橋渡し役」を果たし、それが結果として、会社が変わるきっかけとなったのです。
来年、私たちの会社はさらなる変化の波に直面するでしょう。しかし、若手社員の勢い、ベテラン社員の経験、そして、中堅社員のマネジメント力。これらの要素が強固に組み合わされば、乗り越えられない壁はないと思います。来年も「勢いある後輩たち」「経験豊富なベテランの先輩方」と一緒に仕事ができることを楽しみにしています。1年間、本当にお疲れさまでした!
以上(2025年12月作成)
pj17237
画像:Mariko Mitsuda
誤解しやすい 労務管理シリーズ 第1回 有期雇用契約者編
労働人口の減少や、ライフスタイルの多様化により、一律的な働き方だけでは、実状にそぐわない場面も出てくるでしょう。どうぞ転ばぬ先の杖として、有期雇用の注意点をご理解いただき、貴社の人員確保・定着に寄与することができれば幸甚です。
「社長の愛人問題」 弁護士が事例からリスクを解説
目次
1 社長の愛人問題を真面目に考える
テレビやネットでは、連日のように政治家や芸能人の愛人問題など不適切な関係が報じられています。世間のコンプライアンス意識が昔より厳しくなり、当事者がそれまで積み上げてきたキャリアを一瞬で失うケースも……。人ごとであれば「またこんなくだらない話か」と流して終わりですが、もし皆さん自身が当事者になったとしたら、どうでしょう?
SNSの拡散力が増し、内部通報制度も普及した昨今。個人の不祥事は会社のリスクに直結します。特に社長は会社の“顔”であり、そのイメージが揺らげば、取引先の信頼や社内の士気、業績にも多大な影響が出ます。
この記事では、弁護士に寄せられた「社長の不適切な関係」に関する実際の相談をもとに、そこに潜む法的リスクや会社への影響、対応のポイントを解説します。紹介する事例は実情が特定されないようにしていますが、ゴシップではなく、会社防衛のための実務的な内容としてお読みいただけます。
2 社員との親密な関係が社内で噂になってしまった
社長の不適切な関係の典型的な相手は「自社の社員」です。なかには、社長が気に入った社員に片っ端から声をかけ、事実上の愛人関係を迫る(見返りとして、仕事面で便宜を図る)なんて深刻なケースも報告されています。そして、社長が特定の社員と親密になると、その噂はあっという間に社内に広がります。最初に紹介する事例は、まさにそんなケースです。
【事例1】
ある会社では、社長が特定の社員に、他の社員には任さない重要な仕事を次々に振っていました。しかも、その理由については「適任だから」という曖昧な説明しかありません。さらに、「社長とその社員が2人きりで打ち合わせを行い、他の関係部署に相談せず、物事を決めてしまう」「社長の出張には、決まってその社員だけが同行」なんてこともしばしば……。
他の社員は、次第に不信感を募らせていきます。「どうも様子がおかしい」「私的な関係があるのではないか」「業務が公平に扱われていないのではないか」といった声が広まり、ついには「愛人関係にあるのではないか」「公私混同が起きているのではないか」という通報が、内部通報窓口に寄せられる事態にまで発展してしまいました。
1)不適切な関係がもたらすリスク
このようなケースでは、次のリスクが生じます。
1.セクシュアルハラスメント(男女雇用機会均等法第11条)
「社長に逆らったら、降格や減給になるのでは……」といった不安から、社員が社長の誘いを断れないケースは多く、「社長が権力を盾に、不適切な関係を迫った(セクシュアルハラスメント)」と判断される恐れがあります。
2.パワーハラスメント(労働施策総合推進法第30条の2)
特定の社員を特別扱いし、他の社員を不当に冷遇することは、「『社長>社員』という力関係を利用した権限の濫用(パワーハラスメント)」と判断される恐れがあります。
3.善管注意義務違反(会社法第330条、民法第644条)
取締役は会社の利益のために行動する義務を負います。特定の社員を不当に優遇することは、会社の利益のために業務を行っているとは判断されず、会社の信用を損なう行為であり、取締役としての責任を追及される恐れがあります。
4.内部通報への不当な干渉(公益通報者保護法第3条、第5条、第11条、第12条)
「会社の評判に悪影響があるから」「経営陣の信用に関わるから」などと言って通報をもみ消したり、通報者に対して降格や減給などの不利益な取扱いをしたりする行為は違法です。
2)基本的な対応方針
会社が取るべき対応は次の通りです。
- 中立性、独立性を担保した社内調査の実施(人事部・コンプライアンス部門による事実調査等)
- 外部弁護士などの関与(社長が当事者であるため、公正性の確保が不可欠)
- 調査の非通知・非公表(調査対象者の介入を避けるため、調査開始を知らせないこともある)
社長が知らないうちに調査が進められることもあるわけですが、とにかく調査の結果、社員との関係が不適切と認定されれば、次の対応が取られることも想定されます。
- 社長の報酬減額(会社法第361条)
- 取締役の解任(会社法第339条)
- 当該社員の配置転換や業務の再配分
- 社内ガバナンス体制の見直し
3 SNSで不適切な言動を暴露されてしまった
近年、YouTubeチャンネルなどで、出演者の「不適切とも奇妙とも取れるLINEのやり取り」を紹介する暴露系の企画が人気を集めています。エンタメとして見ているうちはいいですが、自身が当事者になった場合を想像できますか? 次に紹介する事例は、まさに暴露されてしまった社長の話です。
【事例2】
ある会社の社長は、取引先の社員に好意を寄せていました。仕事の打ち合わせとして一緒に食事に行くこともありました。これくらいならいいのですが、社長の思いはエスカレート。ついに、相手に肉体関係を迫る内容のLINEを送るようになりました。その言葉遣いは品性や倫理観を疑われるようなものでした。
そうした不適切なLINEがなぜかSNSを通じて外部に漏洩し、瞬く間に広まってしまったのだから、さぁ大変。社内では「なぜこんなメッセージを送ったのか」「会社の代表というより、人として下品だ!」と動揺が広がり、取引先や顧客からも疑念の声が寄せられました。予想以上に早く情報が拡散し、会社は広報に社内調査、再発防止策の検討など、様々な対応に追われることになりました。
1)不適切な関係がもたらすリスク
このようなケースでは、次のリスクが生じます。
1.会社のレピュテーションリスク
SNS拡散はいわゆる「デジタルタトゥー」となり、ブランド価値を毀損し、株主や取引先に重大な影響を与えます。また、その後の採用活動などにも悪影響を及ぼします。
2.取締役の解任(会社法第339条)
社会的信用の喪失は、取締役としての適格性を欠くと判断される恐れがあります。
3.善管注意義務違反(会社法第330条、民法第644条)
不適切な私生活の行為でも、会社価値を下げられることになれば、責任問題になる場合がありえます。
2)基本的な対応方針
会社が取るべき対応は次の通りです。
- SNS事業者に対する投稿の削除請求・仮処分の申し立て
- 悪質な投稿だった場合、発信者情報請求や対象となる相手へのコンタクトを通じて、投稿者を特定した上で損害賠償請求
情報の拡散度合いや投稿内容の悪質性にもよりますが、自社ウェブサイトに会社としてのコメントを出して「火消し」をすることも検討します。ただし、事実関係を十分に調査することなく、見切り発車で対応したり、辻つまの合わない弁明をしたりすることは、かえって反感を招くので慎重に対応しましょう。
4 「同意」のはずが刑事事件になってしまった
「不同意わいせつ」などに関する報道で、加害者が「(被害者の)同意があると思った」と供述している場面をよく見かけます。人間関係における「同意」は、契約書などの書面があるわけではなく、曖昧な言動の上に成り立っています。しかも、お互いに好意があったとしても、「何を、どこまで許容できるか」は異なるので、「同意」についての認識が双方でしばしば食い違うのです。次に紹介する事例も、誤解や思い込みがトラブルに発展したケースです。
【事例3】
ある会社の社長は、いきつけのお店の店員と2人きりで食事に行く関係になりました。かねてより、その店員から好意を示すような言葉や態度があり、食事の時間はとてもムードの良いものでした(社長はそう感じていました)。“脈あり”と受け取った社長は、食事の帰りに相手にキスをし、さらにホテルで肉体関係を持ちました。
後日、思いがけない事態となります。なんと相手の店員が、キスをされたことは「不同意わいせつ」、肉体関係を持ったことは「不同意性交等」であるとして、警察に被害届を提出したのです。社長は「相手は自分に好意を持っている」と思い込んでいましたが、店員の主張は全く違っていたようです。ホテルで肉体関係まで持った相手からの被害届、それほどまでに「同意」は曖昧なものであると認識せざるを得ない事例です。
1)不適切な関係がもたらすリスク
このようなケースでは、次のリスクが生じます。
1.不同意わいせつ(刑法第176条)、不同意性交等(刑法第177条)
2023年の刑法改正で、「強制わいせつ」は「不同意わいせつ」、「強制性交等」は「不同意性交等」に名称が変わり、暴行・脅迫の有無にかかわらず、相手の自由意思による同意がなければ犯罪が成立することになりました。また、雇用関係や力関係がある場合、「自由な意思による同意かどうか」が厳しく判断されることになりました。人間関係やコミュニケーションが複雑化する現代において、「同意」はなおさら慎重に扱うべきテーマになっています。
2.会社のレピュテーションリスク
社会的な影響力を持つ社長が、刑法に抵触する行為をしていたことが明るみに出れば、組織全体の信用やブランドイメージに深刻な影響を与えるのは避けられません。
2)基本的な対応方針
会社が取るべき対応は次の通りです。
- 捜査にはできるかぎり誠実に協力する
- 会社としても事実調査を実施する
- 捜査終結前に会社としての見解を発信するのは避ける
- 逮捕されたとしても即有罪ではないため、冷静かつ慎重に対応をする
5 不倫がバレて離婚、財産分与の問題になってしまった
社長の不倫に関する相談は、想像以上に多く寄せられます。特に深刻なのは、不倫が発覚して配偶者に知られ、離婚協議へと発展した場合です。一般的な夫婦の離婚とは異なり、社長には会社の経営権という極めて重要な要素が絡んでくるからです。最後の事例、社長とその配偶者の離婚問題をご覧ください。
【事例4】
ある会社では、社長の不倫が発覚し、配偶者との離婚協議に発展しました。離婚協議の争点は「財産分与」。社長が保有している会社の株式のうち、「配偶者が受け取るべき割合」をめぐって社長と配偶者が争うことになったのです。
離婚協議の結果、社長は「株式の半数」を配偶者に分与しなければならなくなりました。それまでは株式の大半を所有するオーナー社長だったのに、株式の分与によって議決権が分散し、経営に対する主導権を維持できなくなってしまったのです。
1)不適切な関係がもたらすリスク
このようなケースでは、次のリスクが生じます。
1.財産分与(民法第768条)
財産分与とは、夫婦が婚姻中に築いた財産を清算・分配することです。「婚姻中に築いた財産」なので、会社の株式も個人名義で保有していれば分与対象に含まれます。財産分与の割合は「財産の2分の1(原則)」ですので、株式が対象であればその半数を分与しなければなりません。財産形成に当たっての夫婦の貢献度によって、配偶者の財産分与の割合が下がることはありますが、一方で、婚姻関係を破綻させた責任などによって、割合が上がることもあります。
2.経営権(議決権)の分散によるガバナンス崩壊
株式が個人資産として分与対象になれば、配偶者に株式が移転します。株式の移転は単に財産の移動というだけではなく、「会社の支配権」を根本から揺るがす重大な問題です。特にオーナー社長の場合は深刻です。
2)基本的な対応方針
会社が取るべき対応は次の通りです。
- 法的にどこまで拘束できるかは分かりませんが、「株式は財産分与の対象から除外する」といった婚前または婚後契約を締結する
- 財産分与の際に株式を分与せずに、代償金(現金)で合意ができるように協議する
6 最後は社長次第
社長の不適切な関係は、私生活の問題にとどまらず、会社経営の根幹を揺るがすリスクになり得ます。この記事では4つの事例を紹介しましたが、こうした相談が寄せられることは本当に多いです。もちろん、問題の程度は社長と相手との実際の関係など事実に基づきますが、この手の問題は注目され、噂も広まりやすいです。愛人問題は私的なことだといえなくもないですが、社長は「公」の存在という一面もあり、そのことは無視できません。
そのため、社長にはトラブルを避けるための自律とリスク感覚が求められます。また、問題が起きた際には隠蔽するのではなく、覚悟を決めて、迅速で透明性の高い対応を取ることが不可欠です。
以上(2025年12月作成)
pj60378
画像:Gemini
企業の「心の健康投資」を支える サービス導入促進事業のご紹介
経済産業省では、従業員のストレスや不調の予防・改善に課題を抱える中小企業を対象に、「先端技術活用メンタルヘルスサービス開発支援事業費補助金」を実施し、先端的なメンタルヘルスサービスを導入する際のサービス利用料の一部を補助しています。
ハローワークインターネットサービスと民間採用ツールの上手な使い方
労働人口の減少や若年層の就労意識の多様化、さらにオンライン化による採用チャネルの拡大など、従来の手法だけでは人材確保が難しくなっています。本レポートでは、必要とする人材像を明確にし、ハローワークと民間採用ツールを上手く活用しながら、両者を効果的に使い分けるためのポイントを整理していきたいと思います。
外国人労働者の社会保障制度と労務管理
主に現場で働く外国人労働者を雇用するにあたって押さえておきたい「在留資格」について、外国人労働者との労働契約の注意点、社会保険料の徴収、所得税の源泉徴収の実務、そして、新しく始まる育成就労制度に向けた対応についてご説明します。
回収期間法と投資利益率法の考え方/設備投資の成果チェック(4)
目次
1 勘や感覚ではなく、指標を使った客観的な判断を
設備投資の判断を「なんとなく」といった勘や感覚で決めていませんか? お金をかける以上、その投資がいつ回収できて、どれだけ利益を生むのかを数字で確かめることが大切です。会社にとって資金は最重要のリソースです。だからこそ、指標を使うだけで勘や感覚だけに頼らない客観的な判断が求められます。投資評価の判断で使う主な指標には、
- 回収期間法
- 投資利益率法
- 現在価値法
- 内部利益率法
の4つがあります。今回はこれらのうち、回収期間法と投資利益率法の2つについて、考え方やシミュレーション例を用いた計算方法を整理します。末尾に実務でそのまま使えるExcel(ダウンロード用)も用意しています。Excel内で使われている関数についても解説しておりますので、ご活用ください。
2 収支がトントンになる指標「回収期間法」
回収期間法は、
投資したお金が何年で戻ってくるかという「回収期間」を使って、投資のリスクの大きさを測る指標
です。金利の低い時代には、中小企業で最もよく使われてきたシンプルな指標になります。回収期間は、ざっくり言えば「投資後、何年たったら収支がトントンになるのかを予想した期間」です。例えば、新しい工場を建てるための投資の回収期間が2年と予測されるなら、順調にいけば2年後には、投資で出ていった金額と同じ金額が入ってくる(元がとれる)という意味です。
ここでいう「回収」とは、支払ったお金が回収できること、つまり、収支がトントンになることです。管理会計上の有名な指標に「損益分岐点売上高(損益計算書上の収支がトントン、つまり利益がゼロになる売上高のこと)」がありますが、回収期間を「投資版の損益分岐点売上高」と考えると分かりやすいかもしれません。
判断の仕方は、とてもシンプルです。例えば、回収期間が2年と4年の案があった場合には、当然回収期間が短い2年のほうが良いとされます。この数年の間(コロナ禍や紛争などを要因とした経済環境の変化)で痛感した方も多いと思いますが、遠い将来ほど予測することは難しいものです。回収期間においても、先は分からないので、長くないほうが安全という考え方がベースにあります。
では、一般的にどのくらいの回収期間が良いのか。これは、業種が回収期間の判断に大きな影響を与えます。製造業で設備投資が大きな業種であれば10年を超えても良いケースもあります。一方で、AIなど新しく移り変わりの早い業界であれば2、3年で回収したいと考えることも合理性があります。また、小売業など店舗を持つ業態は、賃貸借契約に合わせて5、6年を目安にしているようです。
早速、次の事例(A案、B案、C案)を使って回収期間を計算し、比べてみましょう。

A案の場合の計算式を解説すると、機械の購入代金、つまり投資額(-100)に、回収額を1年目から順に足していくと(25+35+50)、3年目でプラス(10>0)になります。もし、比較する案件の中でプラスになる年目が同じであれば、小数点以下の端数をみて判断する必要があるため、追加の計算が必要になります。
最初の2年と、3年目は40だけあれば良いので、40を1年分の50で割って0.8年…との合計(2+(50-10)/50=2.8)で、この投資の回収期間は2.8年となります。
このようにA~C案の回収期間を計算すると、最も回収期間が短くなるA案が良い案であると判断できます。
3 どれだけ効率良く稼ぐかが分かる指標「投資利益率法」
投資利益率法は、
投資額に対してどれだけの見返りがあるか(追加のキャッシュ・フローが生まれたか)を示す指標
です。英語ではReturn on Investment(リターン オン インベストメント)、略称をROI(アールオーアイ)といい、実務では非常によく使われる指標です。具体的には、
年間のキャッシュ・フロー÷投資額
の算式で計算します。計算結果は%で表され、投資に対してどれだけの追加のキャッシュ・フローが生まれたか、投資の効率が良いかどうかを一目で確認できます。
判断の仕方は、例えば投資利益率が4%と6%の案があった場合には、6%のほうが大きなリターンがあることを示しているため良いとされます。
では、一般的に投資利益率は何%以上であれば良いのか。まず大前提として、自社の資金調達コスト(借入金の金利など)を必ず上回っていなければなりません。さらに、全社の利益率を下げないようにするためには、現在の利益率との比較も欠かせません。
中小企業の利益率は、一般的に5%前後といわれているので、このあたりを基準として設定しておくのが良いでしょう。筆者の感覚で言うと、投資計画段階では10%を見込めるような投資案件でなければ、なかなか踏み出せないというのが経営者の本音ではないでしょうか。
早速、次の事例(A案・B案・C案)を使って投資利益率を計算し、比べてみましょう。

A案の場合、まず、期間全体の合計キャッシュ・フローを出します。-100+25+35+50+30+35=75です。そして、年あたりのキャッシュ・フローを計算するため、効果が出る年数(5年)で割ります。75÷5で15と計算されます、これを投資額100で割ると、15/100=15%と投資利益率を求めることができます。
このようにA~C案の投資利益率を計算すると、最も投資利益率が大きくなるC案が良い案であると判断できます。
4 回収期間法と投資利益率法の合わせ技で、判断の精度が高まる
ここまで見てきたように、回収期間法は「どれだけ早く元がとれるか」という安全性や時間的な価値を重視した指標であり、投資利益率法は「投資がどれだけ儲かるか」という収益性に焦点を当てた指標です。言い換えると、回収期間法では収益性が考慮されず、投資利益率法では安全性や時間的な価値が反映されません。このため、どちらか一方だけの方法を用いて判断するには不十分なケースもあり、両者は組み合わせることで、「早く回収できて、かつ儲ける投資かどうか」をバランス良く評価できるようになります。
投資は一度決めると後戻りが難しいからこそ、複数の視点で評価することがリスク管理につながるのです。次回は、時間的な価値と収益性の両方を考慮した指標を紹介したいと思います。
5 ダウンロードして実務で使えるExcelとその解説
1)回収期間法
実務では、エクセルを活用することがおすすめです。次のExcelでは、各期間のキャッシュ・フロー(CF。青色背景の箇所)を入力すると、その他のマスは自動計算になっています。なお、Excelには、本リポートの計算例で使用した事例(A案、B案、C案)の数値を入れております。
【図表ダウンロード_WS:3(DL対応)投資評価の例 (回収期間)】
このExcelでは累計キャッシュ・フロー(累計CF)が翌年にマイナスからプラスに転じる年目を特定し、それに端数部分(プラスに転じるのに必要なキャッシュ・フロー÷その年のキャッシュ・フロー)を合算することで回収期間が求められます。
Excel関数上のポイントは、累計CFがプラスに転じる年を確認できる回収期間のセル(A案の場合はF5セル)にあります。複製する場合にはご参考ください。

(注1)AND(G4>0,F4<0),F2
翌年の累計キャッシュ・フロー(G4)がプラスで、当年の累計キャッシュ・フロー(F4)がマイナスなら、当年の年数を表示
(注2)IF(AND(ISNUMBER(E5),E5=E2),(F3-F4)/F3,””
そうでない場合は、前年の回収期間に数値が入っていて、それが前年の年目と同じであれば、 当年CFから累計CFを引いた金額を当年CFで割る
2)投資利益率法
【図表ダウンロード_WS:4(DL対応投資評価の例 (投資利益率法)】
投資利益もエクセルで計算しましょう。キャッシュ・フローの合計を年数で割ります。
Excel関数上のポイントは、期間に含まれるデータ個数を数えるのにCOUNT関数を使っています(A案の場合はC6セル)。複製する場合にはご参考ください。
‘=I3/(COUNT(C3:H3)-1)/(-C3)
ここで、0年目、投資年の1年分を引いているところを注意してください。5年間にわたって効果があるので5で割ります。その結果を、0年目のキャッシュ・フロー、つまり投資額で割ると、投資利益率が計算されます。
以上(2025年12月作成)
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画像:apinan-Adobe Stock