【賃金データ集】役員報酬・退職慰労金のモデル支給額

書いてあること

  • 主な読者:賃金体系や賃金支給額の見直しを考えている経営者
  • 課題:自社の賃金体系や賃金支給額が妥当か分からない。判断基準が欲しい
  • 解決策:統計資料における同規模・同業種の企業のデータなどを参考にする

【賃金データ集】シリーズとは?

【賃金データ集】シリーズは、基本給や諸手当など賃金の主要な構成要素ごとの近年のトレンドを、モデル支給額を中心とした関連データとともに紹介します。経営者や実務家の方々が賃金支給水準の決定や改定を行う際の参考としてご活用ください。なお、モデル支給額などのデータを紹介する際は、基本的に出所に記載されている用語を使用するものとします。また、データは公表後に修正されることがあります。

この記事で取り上げるのは「役員報酬・退職慰労金」です。

なお、以降で紹介する図表データのExcelファイルは、全てこちらからダウンロードできます。

こちらからダウンロード

1 役員報酬・退職慰労金の概要

企業と従業員が「労働契約」を交わしているのに対し、企業と取締役(以下「役員」)は「委任契約」を交わしています。労働契約と委任契約ではその性質が大きく異なるため、それぞれに支給される金銭の意味合いも違ったものになります。

従業員に支給される賃金は労働の対償であり、就業規則(賃金規程)で計算方法や支給額を定めますが、役員に支給される「報酬等」(役員報酬、役員賞与、役員退職慰労金等)は職務執行の対価であり、定款または株主総会の決議により、報酬等の額が確定しているものについてはその額、報酬等の額が確定していないものについては、その算定方法などを定めます。

定款または株主総会の決議によって、報酬等の額やその計算方法を定めるのは、いわゆる「お手盛り」を防ぐためですが、実際は株主総会において幅を持たせた枠を決め、具体的な支給額などについては取締役会に一任している企業が少なくありません。しかし、特に上場企業の場合、役員報酬が高額になると、その分企業の利益が減少し株主配当が低くなる恐れがあるため、報酬額の決定については慎重な判断が求められます。なお、企業は役員ごとに、提出会社と連結子会社の役員としての報酬等(連結報酬等)の総額・連結報酬等の種類別の額等を、有価証券報告書に開示しなければなりません(報酬の総額が1億円以上の役員に限ることができる)。

2 国税庁の統計資料によるモデル支給額

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3 人事院の統計資料による役位別に見た年間報酬額

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4 総務省の統計資料による役員退職慰労金の支給状況

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5 情報インデックス(この記事で紹介したデータの出所)

この記事で紹介した統計資料は次の通りです。調査内容は個別のURLからご確認ください。なお、内容はここ数年の公表実績に基づくものであり、調査年(度)によって異なることがあります。

■民間給与実態統計調査■
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/top.htm

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■民間企業における役員報酬(給与)調査■
https://www.jinji.go.jp/toukei/0321_yakuinhousyu/0321_yakuinhousyu_ichiran.html

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■民間企業における退職給付制度の実態に関する調査■
http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/minkan_taisyokukyufu.html

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以上(2024年6月更新)

pj17912
画像:ChatGPT

【事業承継】最も大切な後継者選び。後継者に備えてほしい9つの資質

書いてあること

  • 主な読者:事業承継を進めたいが、後継者がなかなか選べない経営者
  • 課題:親族内承継、役員や従業員への承継、M&A。どの方法がいいのだろう……
  • 解決策:自社の状況に合わせて判断。相手が誰でも、後継者に求める資質は妥協しない

1 「人(経営)の承継」が事業承継のスタート

事業承継にはさまざまな課題がありますが、最初に着手すべきなのは、

「人(経営)の承継」である後継者問題

です。後継者が決まらなければ、

借入金や債務保証の引き継ぎなどの具体的な話ができず、事業承継が進められない

からです。中小企業庁「事業承継ガイドライン」(以下「ガイドライン」)で紹介されている「事業承継計画書」の様式も、後継者が決まっていることが前提になっています。

これを裏付けるデータとして以下をご覧ください。後継者選びの方針や決定状況によって、事業承継の障害や課題が違っていることがお分かりいただけると思います。

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このように、後継者選びは事業承継のスタート地点ともいえるわけですが、既に後継者を決めている会社は29.9%にすぎないのが実情です。本気で事業承継を進めるならば、まずは後継者選びを進めなければなりません。

2 3つある後継者選びのメリット・デメリット

「人(経営)の承継」の方法には、

  1. 子どもなどへの親族内承継
  2. 役員や従業員への親族外承継
  3. M&Aによる第三者への親族外承継

の3つがあります。それぞれのメリット・デメリットは次の通りです。

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最近は第三者を後継者とするケースが増えていますが、やはり親族や従業員を後継者にしたい経営者も多いです。このあたりは、

後継者候補となる親族の有無、事業の状態などを踏まえて慎重に検討

することになるでしょう。例えば、事業の状態が芳しくない、社内の結束が弱いといった場合、その苦労を親族には負わせたくないかもしれません。

いずれにしても、後継者に是非とも備えてほしいマインドがあるものです。経営者の考え方によって違ってくる面もありますが、主なものを9つにまとめて次章で紹介します。

3 後継者に備えてほしい9つの資質

1)健康である

心身が健康であることは大前提です。無理をして心身の調子を崩してしまったら、結果として多くの人に迷惑を掛けることになってしまいます。自分のことをよく理解し、必要に応じて肩の力が抜ける人でなければなりません。真面目なのはいいですが、集中していない状態で「ダラダラ」と続けるのは良くありません。

2)謙虚で、感謝の気持ちを忘れない

謙虚さも欠かせない資質です。経営者は社内外のさまざまな人に支えられて、経営者でいることができます。このことを常に忘れることなく、周囲に感謝の気持ちを伝えられる人でなければなりません。もし、後継者に指名されたことで有頂天になって偉ぶるような人は経営者に向きません。

3)理想の姿を描いている

経営者には「何がなんでもこれをやりたい!」「世の中のここを変えたい!」といった理想の姿があり、それが活動の原動力になると同時に、人物の奥行きにもなります。先代が描く理想の姿を承継したばかりの後継者が、すぐに自分の理想の姿を見つけることは難しいかもしれませんが、「全くない」というのでは物足りません。

4)基本的にポジティブ

経営は山あり谷ありです。基本はポジティブで、落ち込んでもすぐに立ち直れる、良い意味でのずうずうしさが必要です。コロナ禍で経営環境が激変する中でも、「本当に厳しい……」と動けなくなる人は経営者に向きません。「変化の中にはチャンスがある」とポジティブに考えてチャレンジする人でなければなりません。

5)失敗を恐れない

事業のほとんどは失敗します。この失敗を恐れていては、いつまでたってもチャレンジできません。失敗は失敗として、そこから学び、次に活かしていける人でなければなりません。そうした人が率いる組織は、チャレンジと学習を繰り返すことができます。これは組織が成長する上で不可欠なことです。

6)決断が速いが、短慮ではない

経営者は決断の連続であり、決められない人は経営者になれません。とはいえ、何を考えて判断したらよいのか分からないまま、ばくちのように右か左かを選択し続けたら会社は潰れます。論点を整理して考えられる人でなければなりません。一方、時間をかけて決断すべきことについては、どんと構えて考える落ち着きも必要です。

7)勤勉である

どのような会社でも、恐らく最も勉強しているのは経営者でしょう。自分の知識や技術をバージョンアップし続けないと、すぐに取り残されることを知っているからです。多忙な中でも時間を見つけ、勉強をする人でなければ経営者に向きません。いまだに一人でオンライン会議につなげない困った経営者になるような人を、後継者に選んではいけません。

8)ビジネスの知識がある

会社経営では、IT、法務、税務、労務、会計、営業、マーケティングなどの知識が必要です。とはいえ、一人で各分野のスペシャリストになることはできません。そこで、広く浅くでもよいので各分野の肝となる知識は押さえていなければなりません。そのためには、価値ある情報を教えてくれる社外の人脈が大切です。

9)趣味がある

ビジネスだけでは、人として面白みがないかもしれません。スポーツやアートなど何でもよいのですが、打ち込める趣味を持っていると、人としての深みが増します。それに、経営者の会食では意外なことにワインやアートなどの話がほとんどで、ビジネスの話は本当に少ないのです。そうした場についていくためにも趣味は必要です。

以上(2024年5月更新)

pj80112
画像:Mariko Mitsuda

今、話題の「退職代行」を使って会社を去る社員……。退職日や仕事の引き継ぎはどうなる?

書いてあること

  • 主な読者:退職代行を使って退職(自主退職)を申し出る社員への対応を知りたい経営者
  • 課題:社員を通さずに退職について交渉していいの? 仕事の引き継ぎはどうなるの?
  • 解決策:弁護士、労働組合は直接交渉可(民間事業者は不可)。社員に出社してもらっての引き継ぎは期待しにくいので、業務に関する質問内容を送って回答してもらう

退職代行とは、

会社に直接「退職(自主退職)したい」と言えない(言いたくない)社員が、他者(以下「退職代行者」)に依頼して、退職手続きなどを代行してもらうこと

です。最近はサービスとして退職代行を行う民間事業者が急増し、入社したばかりの新入社員がこうしたサービスを利用して早期退職してしまうニュースが世間を賑わせています。

「退職の手続きを人任せにするなんて非常識だ」と思うかもしれませんが、

退職代行であっても、社員本人の意思による申し出であれば、退職は成立する

ので、むげには扱えないのがつらいところです。

これまで社員に退職代行を使われた経験がない場合、「社員を通さずに退職について交渉していいの?」「仕事の引き継ぎはどうなるの?」など、いろいろと疑問もあるでしょう。この記事では、そんな経営者の疑問に答えるべく、退職代行の対応のポイントをまとめました。

Q1 なぜ、社員は自分で「退職したい」と言わないのか?

退職は本来、社員が自分の口で会社に申し出るのが礼儀です。社員に退職代行を使われると、経営者としては「なぜ自分の口で言わないの?」という腹立たしさもあり、同時に「最後なのに顔も見せてくれないのか……」という悲しさもあって、複雑な気持ちになります。

社員はなぜ、自分で退職を申し出ずに退職代行を使うのでしょうか? 人それぞれではありますが、例えば次のような理由が考えられます。

  • 人手不足で会社が非常に忙しいなど、「退職したい」と言えない雰囲気がある
  • 過去に退職を申し出たが、会社から引き留められ退職させてもらえなかった
  • 職場に問題(過重労働やハラスメントなど)があり、一刻も早く退職したい
  • うつ病などの精神疾患を患っていて、自分で退職手続きをしたくない
  • 自身がトラブルを起こして会社に居づらくなり、バツが悪いので黙って退職したい
  • 経営者や上司など、退職の窓口となる人間との折り合いが悪く、顔を合わせたくない

1.から4.は、「会社の対応に期待できない」という諦めや「自分の安全を守らなければ」という焦りから来るもので、退職代行を使われても仕方がないといえる面もあります(特に3.は、明らかに会社に問題がある)。5.と6.は、単純に「居心地が悪い」という不快感から来るもので、社員のわがままにも取れますが、直接「退職したい」と言いにくい心情は理解できるでしょう。

いずれにせよ、上のように

退職代行を使う社員は、会社に対して少なからずネガティブな感情を持っているケース

が多いです。「退職代行を使うなんて非常識だ」という考えも分かりますが、会社がこうした社員と直接退職について話をしようとすると、お互いの感情がヒートアップするなどして、かえってトラブルになることもあります。つまり、ポジティブに捉えるなら、

退職代行者が会社と社員の間に入ることで、退職手続きを円滑に進められる可能性がある

という考え方もできるわけです。

Q2 退職代行者って何者? 具体的に何ができる?

ここから退職代行の具体的な話に入ります。まずは「退職代行者とは何者で、具体的に何ができるのか」を確認していきましょう。一般的に、退職代行者は次の3種類に大別できます。

  • 弁護士:社員との委任契約により退職代行を行う法律の専門家
  • 労働組合:組合員となった社員について退職代行を行う労働者団体
  • 民間事業者:1.と2.のいずれにも該当せず、サービスとして退職代行を行う民間の会社

なお、2.の労働組合については、自社で労働組合を持たない中小企業の社員の場合、個人単位で加入できるユニオン(合同労働組合)が退職代行を行うことになります。

この3種類の退職代行者ですが、実は弁護士、労働組合、民間事業者それぞれで、退職代行で行えることが異なります。具体的には次の通りです。

退職代行で行えることの違い

お気付きかと思いますが、

民間事業者は「退職手続き」は代行できるが、会社との「交渉」は代行できない

のです。弁護士は弁護士法により、社員の代理として会社と直接交渉することが認められていますが、弁護士以外の者が同じことをすると非弁行為(違法)になるからです。ただし、労働組合は労働組合法により、労使関係や労働条件について会社と交渉すること(団体交渉)が認められているので違法になりません。言うなれば、

  • 弁護士、労働組合は、会社と直接交渉できる社員の代理
  • 民間事業者は、社員の要望を会社に伝えるだけのメッセンジャー

というイメージです。

なお、弁護士と労働組合については、退職に関する交渉がこじれて訴訟などに発展した際、弁護士は引き続き社員の代理として会社と争ったり、和解の交渉をしたりできるのに対し、労働組合にはその権限がないという違いがあります。

Q3 退職代行者から連絡が来たら、まず何をする?

社員が退職代行を使う場合、まずは退職代行者から会社に対し、「電話」「メール」「内容証明郵便」などで、社員に退職の意思があることや退職理由などについて連絡が来ます。

連絡が来たら、まずは退職代行者に対し、

  • 退職代行者が「弁護士」「労働組合」「民間事業者」のどれに当てはまるのか
  • 社員本人からの依頼であることを証明できるもの(委任状、本人直筆の退職届など)があるか

を確認しましょう。1.を確認するのは、退職代行者が退職について直接交渉できる相手なのかを判断するためです。2.を確認するのは、社員本人以外(社員の家族など)からの依頼だった場合、後々退職について本人とトラブルになる恐れがあるからです。

なお、民法上、

退職代行であっても、社員本人の意思による申し出であれば、退職は成立する

ので、社員本人からの依頼にもかかわらず、「退職代行を使っての退職は認めない」などと、退職代行者を拒絶することはできません。仮に拒絶したとしても、

  • 正社員等(無期雇用)の場合、退職の申し出から2週間が経過すれば退職できる
  • パート等(有期雇用)の場合、契約期間が満了すればいつでも退職できる(期間満了前の退職が認められる場合もある)

というルールがあるので、退職の成立自体を妨げることはできません。

Q4 退職に関する社員の要望には、どう答えればいいの?

退職代行者からの連絡が来る際は、社員に退職の意思があることや退職理由の他に、

退職に関する社員の要望(退職日、年次有給休暇の取得、未払い残業代の支払いなど)

も併せて伝えられます。

基本的に会社の選択肢は、

  • 社員の要望に異論がなければ、それに従う
  • 社員の要望に異論があれば、交渉して条件を決める

のいずれかになります。なお、2.については、退職代行者によって次のように対応が変わります。

  • 弁護士、労働組合:会社が退職代行者と直接交渉して条件を決める
  • 民間事業者:会社の要望を退職代行者から社員に伝えてもらい、社員からの回答を待つ

社員の要望に答える際は、口頭だと「言った、言わない」のトラブルになる恐れがあるので、

社員の要望に対する会社の回答を「回答書」などにまとめ、退職代行者に渡す

ようにしましょう。社内で検討すべき内容がある場合は、その内容についてだけ後日回答する旨を伝えます。

Q5 社員本人の口から退職理由を聞くのはNG?

退職代行者から連絡があった場合、経営者が特に気になるのは「なぜ、社員が退職することになったのか」でしょう。ただ、退職理由については、例えば

内容証明郵便で届いた書面に「一身上の都合により退職します」とだけ書かれているなど、表面的な理由しか分からないケース

が少なくありません。経営者としては、ちゃんとした退職理由を知りたいところですが、

退職代行者は、社員本人から伝えてよいと言われていること以外は基本的に話せない

ので、詳細を聞くのは難しいと考えられます。

「ならば、社員本人と直接話したい」という経営者もいるでしょうが、この点についても、

そもそも社員は会社とコミュニケーションを取りたくなくて退職代行を使っている

という事情があるので、基本的には避けるべきです。どうしても気になるのであれば、

退職代行者に「退職理由をもう少し詳しく知りたいと、社員に伝えてほしい」と依頼

するとよいでしょう。強要はできませんが、社員が同意した場合であれば、退職代行者もその範囲内で話をすることができます。

Q6 仕事の引き継ぎをしてほしいが、頼めるの?

多くの会社は、社員が退職する際に業務が滞らないよう、就業規則に

退職する社員は、会社の指示する期間内に速やかに後任者に業務の引き継ぎを行わなければならない

などの規定を設けています。退職代行の場合も、退職するまでは就業規則が適用されるので、

就業規則の内容を退職代行者に伝え、社員に引き継ぎをするよう働き掛けてもらうことは可能

です。ただ、問題は、会社とコミュニケーションを取りたくない社員が、

退職日までの間、年次有給休暇を使って休むなどして、引き継ぎを拒否するケース

があることです。年次有給休暇は、労働基準法で認められた社員の権利であり、会社も原則として取得を拒否できないので、こうしたケースでは引き継ぎが難航します。

難しいところですが、対応としては、

会社側で社員の担当業務に関する質問内容を取りまとめ、退職代行者経由で社員に渡し、回答してもらう

といった方法が考えられます。社内の人間と対面しない形での引き継ぎであれば、社員もある程度は応じてくれるかもしれません。

Q7 急な退職は正直迷惑……損害賠償は請求できるの?

通常の退職であれば、会社は社員と、退職日や引き継ぎなどについて綿密に話し合いながら、退職手続きを進めることができます。一方、退職代行の場合、退職代行者を挟んでの話し合いになる上に、会社もあまり社員を刺激したくないため、退職日や引き継ぎなどについては、通常の退職よりも会社が社員に譲歩せざるを得ない面があります。

経営者としては、「急な退職な上に、引き継ぎも不十分で迷惑が掛かった。少しは社員に補填してほしい」と考えるかもしれません。この点、民法上、

退職時に会社が具体的な損害を受けた場合であれば、社員に損害賠償を請求できる可能性

はあります。ただし、引き継ぎ不十分などを理由に請求が認められる可能性は低く、例えば、

社員が担当していた業務について、代替要員を急遽採用する必要に迫られたため、採用に掛かった費用の実額○○円を請求する

など、具体的な損害内容を会社側が立証する必要があります。

なお、損害賠償を請求せずに、退職時に発生した損害を賃金や退職金から差し引くことは、社員本人の自由な意思に基づく同意がなければ認められないので、注意が必要です。

以上(2024年7月更新)
(監修 弁護士 田島直明)

pj00662
画像:ChatGPT

【賃金データ集】法定・法定外福利費のモデル支給額

書いてあること

  • 主な読者:賃金体系や賃金支給額の見直しを考えている経営者
  • 課題:自社の賃金体系や賃金支給額が妥当か分からない。判断基準が欲しい
  • 解決策:統計資料における同規模・同業種の企業のデータなどを参考にする

【賃金データ集】シリーズとは?

【賃金データ集】シリーズは、基本給や諸手当など賃金の主要な構成要素ごとの近年のトレンドを、モデル支給額を中心とした関連データとともに紹介します。経営者や実務家の方々が賃金支給水準の決定や改定を行う際の参考としてご活用ください。なお、モデル支給額などのデータを紹介する際は、基本的に出所に記載されている用語を使用するものとします。また、データは公表後に修正されることがあります。

この記事で取り上げるのは「法定・法定外福利費」です。

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なお、以降で紹介する図表データのExcelファイルは、全てこちらからダウンロードできます。

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1 法定福利厚生と法定外福利厚生の概要

福利厚生とは、企業が従業員やその家族の福祉の向上を目的に行う諸制度の総称で、法定福利厚生と法定外福利厚生に大別されます。福利厚生を実施するために掛かる費用を法定福利(厚生)費、法定外福利(厚生)費と呼びます。いずれも総額人件費には含まれるものの、労働の対償ではないことから賃金にはならないのが原則です。

1)法定福利厚生の概要

法定福利厚生とは、法令で定められた福利厚生です。社会・労働保険(厚生年金保険、健康保険、労災保険、雇用保険、介護保険)や災害補償(労働基準法に基づく)などがあり、法令に基づいて運用しなければなりません。

2)法定外福利厚生の概要

法定外福利厚生とは、企業が独自に取り組む福利厚生です。前述した法定福利厚生とは違い、法定外福利厚生は企業が自由に設計することができます。一般的な法定外福利厚生のメニューには次のようなものがあります。

  • 育児・介護:育児・介護相談、託児施設、育児・介護用品、ベビーシッターなど
  • 健康:人間ドック、メンタルヘルス、電話健康相談など
  • 自己啓発:資格取得、語学学校、通信教育、カルチャースクール、セミナーなど
  • 住宅:社宅貸与、引っ越し、リフォーム、ホームセキュリティーなど
  • スポーツ:スポーツクラブ、ゴルフ場、テニスコート、ダイビング、ボウリングなど
  • リラクセーション:クアハウス、健康ランド、エステティックサロン、マッサージなど
  • 旅行・レジャー:宿泊施設、飛行機などの割引、レンタカー、カーシェアリングなど
  • ファイナンス:財形貯蓄、社内預金、企業年金(確定拠出年金など)、投資教育など
  • 日常生活:家事代行、冠婚葬祭、ショッピング、レストラン、ペット、害虫駆除など
  • その他:社内スポーツ大会、特別休暇、社員食堂など

2 法定外福利厚生の潮流

1)法定外福利厚生の必要性

企業が法定外福利厚生を導入する狙いは、従業員満足度と定着率の向上にあります。その効果を図るための基準は、「どれだけ従業員に利用されたか(喜ばれたのか)?」「実際に従業員の定着率は高まったか?」などとなります。

しかし、法定外福利厚生の充実度合いと従業員満足度の関係は明確ではなく、「手間とお金を掛けている割に、手応えがつかめない……」という企業が少なくありません。このような事情から、法定外福利厚生は景気動向や企業業績に左右されやすい項目です。例えば、景気低迷時には削減されやすく、景気好調時には増加されやすくなります。

一方、昨今ではプライベートと仕事の両立や従業員の健康増進に積極的に取り組もうと、法定外福利厚生に力を入れる企業も少なくありません。例えば、介護・育児と仕事の両立を希望する従業員をサポートするために家事代行のメニューを提供したり、従業員に健康を気遣ってもらうため誕生日に生野菜をプレゼントしたりしている企業があります。

2)注目される福利厚生のアウトソーシング

法定外福利厚生の永遠の課題は、全ての従業員が満足するメニューを設計できないことです。従業員の家族構成、趣味・嗜好などによって望まれる法定外福利厚生のメニューは異なります。全方位的にこれを整備しようとすれば、費用が高くなってしまいます。

こうした事情から、少ない費用で充実した福利厚生のメニューを実現するために、福利厚生をアウトソーシングする企業が少なくありません。

福利厚生のアウトソーシングでは、企業から福利厚生の運用を受託するアウトソーサーが、企業から従業員規模に応じた入会金と会費を受け取り、企業の福利厚生の運用を受託します。

提供するサービスはアウトソーサーによって異なりますが、医療、育児、介護関連サービス(人間ドック、福祉・介護サービスなどを割安で提供)、旅行関連サービス(旅行ツアー、宿泊施設や交通機関などの手配など)、キャリアアップ関連のサービス(英会話、資格取得講座などを割安で提供)などがあります。多様な福利厚生メニューの中から、好みのメニューだけを従業員が選んで利用する選択型の福利厚生制度「カフェテリアプラン」といったサービスもあります。

3 日本経済団体連合会の統計資料によるモデル支給額など

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4 厚生労働省の統計資料によるモデル支給額

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5 労働政策研究・研修機構の調査による福利厚生制度の実態

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6 情報インデックス(この記事で紹介したデータの出所)

この記事で紹介した統計資料は次の通りです。調査内容は個別のURLからご確認ください。なお、内容はここ数年の公表実績に基づくものであり、調査年(度)によって異なることがあります。

■福利厚生費調査結果報告■
https://www.keidanren.or.jp/policy/index09.html

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■就労条件総合調査■
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/11-23.html

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■企業における福利厚生施策の実態に関する調査■
https://www.jil.go.jp/institute/research/2020/203.html

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以上(2024年6月更新)

pj17910
画像:ChatGPT

「新たなコミュニケ―ション習慣」で実現する幸せな未来/武田斉紀の『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』(12)

書いてあること

  • 主な読者:会社経営者・役員、管理職、一般社員の皆さん
  • 課題:最近話題のZ世代(1990年代後半以降生まれで会社においては20代前半くらいまで)だけでなく、それ以前の平成生まれ(30代前半くらいまで)の世代と、現在経営や管理職を担っている昭和世代との世代間ギャップが注目されています。それは価値観の違いやコミュニケーションの違いとして表れ、変化や多様性が求められる昨今、日本企業において深刻な経営の足かせとなりつつあるようです。
  • 解決策:まず会社においてZ世代を含む平成生まれと昭和生まれの世代背景を整理しながら、ギャップを埋めるための「価値観の変化」を明らかにします。その上で、筆者が多くの講演や企業研修で紹介してきた『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』を実践的に指南します。

1 『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』は、なぜ“必須”か?

シリーズ『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』も今回が最終回です。

今シリーズでは、管理職・リーダー側の皆さんがすぐにでも取り組むべき3つのコミュニケーション習慣をご紹介してきました。

組織は人でできており、互いに関わりながら高いパフォーマンスを生み出していくためにはコミュニケーションが欠かせません。とりわけ管理職・リーダーの立場にある人たちには、チームや課や部や会社全体をリードしたり、マネジメントしたりする役割として高いコミュニケーション能力が求められます。

しかしながら今、若い世代が管理職・リーダーに求めるコミュニケーションの内容が、10年前とはすっかり変わっているのです。

シリーズ第1回では、そのことに触れました。新入社員が理想とする職場像、上司像は、ここ10年で「丁寧な指導/褒める/傾聴」「個性の尊重/助け合い」などの優先順位が上昇し、逆に低下したのは「活気がある」「互いに鍛え合う」「みんなで1つの目標を共有する」などでした。

低下した項目には、昭和や平成前期の時代の空気感が漂っています。若い世代はそれらに基づいたコミュニケーションを求めなくなっているのです。

とはいえ「なぜ管理職・リーダーの側が変わらなければならないのか」「そもそもリーダーとは、『あるべきコミュニケーションはこうなのだ』とリードして、言って聞かせる側ではないか」といった声も聞こえます。

けれど変わったのは若い世代だけではありません。世界のビジネストレンドも、すでに若い世代が求めている方向に変わっているのです。

2 世界のビジネストレンドの変化を表す4つのキーワードとは

世界のビジネストレンドはどのように変わってきたのでしょうか。以下の矢印の左にある従来のキーワードに対し、新たなトレンドとしてどんなキーワードが浮かびますか。考えてみてください。

1)[競争] → [〇〇]

2)[経験・改善] → [〇〇〇〇〇]

3)[管理]  → [〇〇]

4)[指導]  → [〇〇]

1)[競争]から変わったキーワードは、発音自体は同じ(きょうそう)ですが、漢字が異なる[共創]です。文字のごとく共(とも)に創ることを意味します。

よく引き合いに出されるのは、自動車およびIT・半導体業界などにおいて、日本企業が、桁違いに規模の大きい米国グローバル企業とどう戦えばよいかという話です。

従来の常識からすれば、トヨタ自動車が他社と組む、ホンダが日産と組むなどとは考えられなかったでしょう。しかし各社単独ではとても勝てない、だったら協力しようじゃないか、そのほうが得意分野・不得意分野も補い合えるし、投資がダブらず効率も良いと判断したわけです。

[共創]はさまざまな業界で始まっています。コンビニ業界では2位と3位のファミリーマートとローソンが物流網を共有していますし、自動運転車の開発ではホンダとソニーが手を組むなど異業種間での連携も珍しくなくなっています。

2)[経験・改善]から変わったキーワードは[新価値創造]、英語の[イノベーション]のほうがしっくりくるでしょうか。とりわけ[改善]はトヨタに代表される日本のお家芸でしたが、[改善] を繰り返すだけでは付加価値は限られ、価格にも転嫁できないし、競合他社にもすぐにまねされてしまう。日本の生産性が一向に上がらない原因の一つともいえました。

大きな付加価値を生み、価格転嫁して生産性を上げていくには[イノベーション]が必要なのです。

けれども[イノベーション]は言うほど簡単ではありません。その実現には自社単独では技術や人やお金など経営資源も限られるし、発想も狭くなる。そこで先ほどの[共創]というトレンドも「あり得ない」世界ではなくなったのです。

同じように3)[管理]は [自律]に、4)[指導]は [支援]に変わりつつあります。

上司が部下に対して4)の一方的な[指導]や指示命令に従わせるという関係ではなく、部下を[支援]することで3)の[自律]を促すこと。一人ひとりが[自律]し自ら考え行動することで、世の中の激しい変化にも対応し、同時に個々を育て、組織を活性化することを目指しているのです。

3 若手がすぐに辞めてしまうのは、変われない上司に失望したから?

若い世代が管理職・リーダーに求めるコミュニケーションも、世界のビジネストレンドも同じ方向にすっかり変わっているのであれば、管理職・リーダーの側が変わるしかありません。

いうまでもなく、皆さんの会社の将来を担うのは若い世代です。会社の未来のためにも管理職・リーダーの側が変わるしかないのです。それも今すぐ、一刻も早く。

なぜなら、部下は上司を選べません。上意下達で下から何を言ってもダメ、一向に変わらない、変われない上司に失望した部下は、どうすればよいでしょう。「この上司の下では自身と会社の未来がない」と悟り、会社を去るしかありません。

最近各社からよくご相談をいただくお悩みの一つが、「ただでさえ人材難で人がいないのに、せっかく採用した若手がすぐに辞めてしまいます、どうしたらいいでしょう」というものです。

若手の早期退職の原因が上司と部下のコミュニケーションギャップにあると感じたら、ご紹介してきた3つのコミュニケーション習慣を上司の皆さんが身に付けることが、解決の近道になると思います。

4 いきなり習慣は身に付かない? 何から始めたらいい?

「毎日と言わず、毎週でも毎月でもよいのですが、何か長く続いている習慣がありますか?」私は講演会やセミナーで、社会人の受講者の方々によくこの質問をします。

けれど会場の誰もが首を横に振るばかり。何人かを指名し「仕事や勉強でなく、趣味やこだわりでもいいですよ」と聞き直して、ようやく「ゴルフの練習なら週に1回、半年ほど続いています」「お習字の教室に通い始めたのですがまだ3回目で……」と、いくつかの習慣に出会えます。読者の皆さんはどうでしょうか。

三日坊主という言葉は万人のためにあるのかもしれません。それくらい長く一つのことを“続ける”ことはハードルが高いのでしょう。「3つのコミュニケーション習慣」をお勧めする私としても心配になります。習慣といっても“クセ”に近いので、一度身に付いてしまえば後は無意識にできるようになれるのですが……。

習慣を身に付けるコツの基本は、ア)小さなことから始める、イ)ご褒美を用意する、ウ)1回くらい途切れても気にせず続ける、といったことでしょうか。

「3つのコミュニケーション習慣」を身に付けていくには、特にア)小さなことから始めるのがよいでしょう。そしてウ)一度や二度うまくいかなくても諦めずに続けることです。イ)は自分で用意しなくとも、相手の反応や関係性の変化で得られるようになります。

「①傾聴」は、まず「相手の話を最後まで聞く」練習から始めてみてください。

途中で遮ってはいけません。ひたすら頷き・相槌、承認や共感の態度を示しながら、最後まで聞ききるのです。そうして「全部話せましたか?」「話したかったことは、これこれこういうことですね」と確認するところまでが1セットです。

実は「①傾聴」の場合、これができれば、ほぼできていることになります。あとはひたすら傾聴スキルを駆使して相手が話しやすくなるレベルを上げていくことです。高ければ高いほど、あなたに対してまた相談したくなり、信頼も増していくことでしょう。シリーズ第3回から第5回までを振り返ってみてください。

「②褒める」は、「褒めると相手も自分もハッピーになれておトクだし、人も育つ」ということを思い出して、小さな「褒める」から始めてみてください。

シリーズ第6回から第9回までで、相手の【何を】「褒める」かで5つ、【どう】「褒める」かで4つのポイントをご紹介しました。組み合せると20通りもありますし、それらから相手の良いと感じたところをただ声に出せばいいのです。同時にご紹介したNGなケースに気を付けさえすれば、いくらでも見つかるはずです。

今までひと言も褒めたことのない人からいきなり褒められると、相手はびっくりし、「どうしたんですか?」といぶかるかもしれません。でも「ただ、いいなって思ってね」と返して気にしないことです。

相手は喜んでいないわけではありません。繰り返していれば、互いにすぐに慣れて良好な関係に変われます。

「②前向き発想」は、言葉通り“発想”を転換する訓練から始まります。逆境や苦しい状況になったとき、あるいは想像してみて、どのように“発想”を転換できるか。日ごろから訓練しておけば、いざというときに役立ちます。

あとはその場の状況や相手の状態によって、言い回しを使い分ければいいでしょう。その際、前向きな言葉をかける前に「メンバーの今の気持ちをしっかりと受け止める」ことをお忘れなく。シリーズ第10回と11回の内容や事例をヒントにしてください。

5 新しいコミュニケーション習慣は、あなたの人生をも幸せにする

今シリーズもいよいよ最後のまとめです。これまで『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』と題して、30代くらいから上の全ての方々に、3つの新しいコミュニケーション習慣を身に付けることをお勧めしてきました。

日ごろからリーダーがメンバーの話を傾聴し、先に褒めることで相手の存在や個性が尊重され、互いが信頼に基づく良好な関係に変われます。同時に尊重して任せることでメンバーも育ちます。組織内のコミュニケーションは活発になり、「ここでみんなと頑張り、貢献したい」とエンゲージメントが高まっていくことでしょう。

長年の間には、会社や組織が逆境や苦しい状況に置かれる場面が何度もやってきます。そこで多くの人が去ったり、停滞したり、潰れてしまったりするのか。あるいはリーダーの前向きな言葉に励まされて全員で力を合わせて乗り越え、成功体験を糧にすることができるのか。

後者の組織は、この変化の激しい時代にあっても数々の困難を乗り越えて、成長し続けていけることでしょう。

それは現在のリーダーにとっても、次代を受け継ぎリーダーとなっていくメンバーにとっても幸せなことです。

ちなみに新しいコミュニケーション習慣は、あなたの仕事だけでなく、プライベートの人生も幸せにしてくれます。

お子さんがいらっしゃるという読者の中には、現在うまくコミュニケーションが取れていない、もしくはまだ小さいけれど将来相手にしてくれなくなるのではと心配している方も少なくないでしょう。

体験談で申し上げれば、新しいコミュニケーション習慣を身に付ける以前の私は、決して人を褒めることもなく、時に怒ったりと、部下からは怖がられていたかもしれません。

けれど新しいコミュニケーション習慣を身に付けてからの私は、部下や若手メンバーからだけでなく、自分の子どもからも気軽に相談されるようになりました。最後まで傾聴してあげるだけで「やる気になれた」と感謝の言葉をもらえる存在に変われたのです。

『人生100年時代』がすでに到来しています。みなさんが定年してからも、何十年という時間が待っており、第二第三の人生が始まります。気持ちは元気でもやがて体は次第に衰えていき、誰かの手を借りることになるでしょう。誰かとは誰でしょう。そう、若い人たちです。

彼らと良好な関係でいられてこそ、最後まで幸せな人生を全うできるのではないでしょうか。そのためには彼らとの信頼関係を築くための新しいコミュニケーション習慣が必須なのです。

ちょっとした勇気を持って小さなことから始めれば、皆さんもきっと変われます。

今シリーズも最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

<ご質問を承ります>

ご質問や疑問点などあれば以下までメールください。※個別のお問合せもこちらまで

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※武田が以前上梓した書籍『新スペシャリストになろう!』および『なぜ社長の話はわかりにくいのか』(いずれもPHP研究所)が、ディスカヴァー・トゥエンティワンより電子書籍として復刻出版されました。前者はキャリア選択でお悩みの方に、後者はリーダーやトップをめざしている方にお薦めです。

『新スペシャリストになろう!』 https://amzn.asia/d/e8GZwTB

『なぜ社長の話はわかりにくいのか』 https://amzn.asia/d/8YUKdlx

以上(2024年6月作成)
(著作 ブライトサイド株式会社 代表取締役社長 武田斉紀)
https://www.brightside.co.jp/

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若者「誰よりも早く成長したい」は49.1% 「ホワイト辞め」の裏側(日経クロストレンドweb, 2024/05/14)

ブラック企業は言わずもがな、ホワイト過ぎるという理由で転職を考える人も多いと言われる今の若者。果たして、本当の若者の仕事観は――。

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顧客に「信頼される企業」の秘密(日経クロストレンド, 2024/06号)

クッキー規制などで表出した企業の悩みを解決する一つの策が、自社の顧客から取得する「ファースト・パーティー・データ」と、それを補完する「ゼロ・パーティー・データ」だ。これにより、企業は、顧客の好みや生活習慣を可視化し、マーケティングに生かす。本特集では、自社で顧客情報を収集・活用し、サービスの継続利用につなげるポイントを探る。

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「13の行動」を組み合わせて使う(日経トップリーダー, 2024/05号)

私たちフランクリン・コヴィー・ジャパンが手掛ける企業研修では、13の行動を次のような形で使っています。「このような状況ではどう対処する?」というようなケースを用意し、そこで重要となる行動を、13の行動の中から3~5個ピックアップして提示。その行動を使って問題を解決するストーリーを各自でつくってもらいます。

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糖尿病や痛風も怖いが、中年太りは認知症のリスクも高める(日経Gooday, 2024/05/09)

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所身体活動研究部運動ガイドライン研究室長の山田陽介氏は、「老後もアクティブに過ごしていきたいと思ったら、できるだけ早いうちに中年太りを解消し、しっかりと体を動かす生活習慣を身に付けることが大切です」と強調する。

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【朝礼】知らない世界の「居心地の悪さ」を楽しもう!

いつもこの朝礼では、なるべくポジティブな話をするように努めていますが、今日は私の反省を込めたネガティブな話から始めます。

私にはとても尊敬する仲の良い経営者Aさんがいます。離れた場所に住んでいるので、実際に会えるのは年に2回くらい、あとはオンラインやチャットで頻繁に情報交換、意見交換をしています。そんなAさんが少し前、たまたま仕事で当社の近くに来る機会があり、多忙な中、私と会ってくれました。久しぶりに会えたので話も盛り上がり、とても楽しいひとときを過ごしました。ただ、Aさんが帰った後、私は少し罪悪感を覚えました。「Aさんはおそらく、今回、私から学べることは何もなかっただろうな」と思ったのです。

この罪悪感の正体は、私がここしばらく、新しいことに全然チャレンジしてこなかったという“後ろめたさ”です。もちろん、新しい書籍を読んだり、経営者同士の交流会に参加したりといった取り組みはずっと継続しているので、昔に比べれば知識や知見は多少増えていますが、それらの取り組みは私の日常にあるもの、「ルーティーン」であって「チャレンジ」ではありません。

自分が慣れ親しんだ「居心地の良い」世界の中で、多少勉強をしたところで達成感は得られません。テレビゲームのRPGに例えるなら、とっくに強くなっているのにスタート地点の大陸から一歩も外に出ず、レベルの低いモンスターだけを倒して、経験値を稼いでいるような状態です。

こんな状況では、尊敬するAさんに「私はこんなことをやっているんです!」なんて、胸を張ることはできません。それが後ろめたかった私は、反省して自分を変えようと決意しました。

私が実践したのは、自分とは全く年代の違う人と出会い、話をすることです。ターゲットは、私が普段の生活ではおそらく知り合うことのない人たち。例えば、「30歳以上年の離れた10代の高校生」「20代の学生」「会社に入ったばかりの新社会人」です。

知り合いを通じて、そういう人たちに積極的に会いに行き、会話をしました。日ごろどのような遊びをしているのか、何に興味があるのか、どういう手段で情報収集しているのか、どういうツールで人と仲良くなっているのか、将来何をしたいか、などなど。

普段では全く知る由もないことを見聞きし、教えてもらい、そこから大いに刺激を受けています。もちろん、周りが若い人ばかりなので、そこに交じっていくのは少し勇気がいりますし、分からない言葉も多ければスピード感にもついていけず、たくさん恥ずかしい思いをしています。ですが、この「居心地の悪い」世界にいるからこそ、「私は今、成長している」と強く実感できるのです。

今日は、私自身の反省を込めてこの話をしました。皆さんもあえて行動を変え、普段とは違った人に会い、違ったことをしてみてください。きっと新しい発見と喜びがあるでしょう!

以上(2024年6月作成)

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画像:Mariko Mitsuda