「じゃがいも×マーケティング」の世界史~食文化で歴史を変えたフリードリヒ2世の秘策とは?

1 もし、あの国がひとつの会社だったとしたら…

高校の授業で習った世界史……。もう記憶の彼方という人も多いでしょうが、社会人になってから学び直してみると、意外と高校生だったあの頃より面白く感じるものです。なぜなら、

世界史を知れば知るほど、「会社」と「国家」がよく似ていることに気が付く

からです。となれば、世界史上の出来事から何か学べることもあるはず……。この記事では「国家」を1つの「会社」に例え、世界史上の出来事を紹介します。今回取り上げるのは、現ドイツの原型になった国家「プロイセン」が、18世紀に行ったマーケティング戦略です。詳細は後述しますが、このプロイセンは会社に例えるなら

新しい食材を世界に流通させたいと考えている商社

です。現代でもタンパク質危機(プロテイン・クライシス)を解決しようと、昆虫食や植物性タンパク質の食品を開発する会社がありますが、それとも似ているかもしれません。

(注)この記事は巻末の参考書籍を基に作成していますが、世界史上の出来事などについて諸説ある内容が含まれます。あらかじめご了承ください。

2 フリードリヒ2世が打ち出した新商品「じゃがいも」

プロイセンは、土壌が痩せている地域が多く、元来収穫に乏しい国でした。そして、18世紀のヨーロッパでは飢饉(ききん)が頻繁に起きており、食糧問題は国民にとっても国家にとっても喫緊の課題でした。そこで、「早急になんとかしなければ!」と立ち上がったのが、

プロイセンの国王・フリードリヒ2世

です。

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フリードリヒ2世は、別名「フリードリヒ大王」とも呼ばれる偉大な王様。会社で例えるなら“敏腕経営者”です。

そんな彼が新たな主食として目をつけたのは……なんと「じゃがいも」

でした。

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現代に生きる私たちにとってはごくありふれた食材ですが、実は

当時のヨーロッパでは、じゃがいもの主な用途は「食用」ではなく「観賞用」だった

のです。私たちが食べるのは、地中にあるじゃがいもの「茎」の部分ですが、当時の人々はそこには見向きもしませんでした。むしろ、じゃがいもの「芽」などが有毒であるという理由で、

「食べると病気になる! 不純な植物だ! 悪魔の食べものだ!」

など、散々なことを言っていたのです……。

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しかし、じゃがいもは

冷涼で痩せた土地でも良く育ち、しかも茎の部分は栄養たっぷりの万能な食材

です。このことを知った“敏腕経営者”フリードリヒ2世は、プロイセンの食糧事情を立て直すため、じゃがいもを「食べ物として普及させよう!」と奔走します。

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3 成功のカギは「ブランディング」にあった!

とはいえ、食文化はそう簡単に変えられるものではありません。フリードリヒ2世は

自らじゃがいもを毎日美味しそうに食べてみせたり、国中を回ってじゃがいもの魅力を伝えるキャンペーンを実施したりしますが、ただ知名度が上がっただけ

で、食べ物としてはなかなか普及しませんでした。

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では、どうやってじゃがいもを普及させたのでしょうか? その答えは

現代にも通じるマーケティング戦略「ブランディング」です。フリードリヒ2世はなんと、じゃがいも畑を「立派な装備の軍隊に守らせた」

のです。

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噂はたちまちに広がり、国民は

「王様があそこまでして守るじゃがいもって何……?」

「そんなに貴重で美味しいものなの……?」

と好奇心を煽られ、段々じゃがいもに心惹かれていきました。その結果、プロイセンでは当時のヨーロッパではいち早く、じゃがいもが食ベ物として普及していったのです。

4 「じゃがいも×マーケティング」で歴史が変わった

じゃがいもは、

国民の食べ物として普及しただけでなく、「豚の飼料」としても活躍

しました。じゃがいもは冬の時期でも保存しておけるので、厳しい冬でも家畜に餌を与えることが可能になり、人々はいつでも肉を食べられるようになったのです。その結果、

プロイセンではじゃがいも&豚肉料理(ソーセージやベーコンなど)という、現代のドイツ料理に象徴されるような食文化が生まれ定着

していくことになります。

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美味しくて安定した食事は国力の増強につながり、

プロイセンはやがて、“ライバル会社(周辺国家)”を次々にまとめ上げて“グループ会社”とし、現代における「ドイツ」という“大会社”を作るに至った

のです。仮にフリードリヒ2世が、じゃがいものマーケティングに失敗していたら、今のドイツは存在していなかったかもしれません。

現代においても、

「ブランディング」はマーケティングの基本

です。“敏腕経営者”フリードリヒ2世は、「じゃがいもは価値のあるものだ」という意識を“消費者(国民)”に植え付けることに成功し、“会社”を大きく育てたということです。現代の日本に生きる私たちが、

「主食を米から謎の植物に変えろ!」

と言われたら、きっと戸惑いますし、誰も見向きもしないかもしれません。新しい商品やサービスを売り出す際、斬新なものほど世間に受け入れられにくいというのは世の常ですが、食文化をひっくり返したフリードリヒ2世のことを考えれば、

結局のところ「モノは売り方次第である」ということ

が分かります。

【参考文献】

「世界史を大きく動かした植物」(稲垣栄洋(著)、PHPエディターズ・グループ、2018年7月)

以上(2024年12月作成)

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画像:イラストAC・写真AC

【ハラスメント対策】 防止措置や部下指導のポイント、実務で使える規程・文例集などを一挙紹介!

1 正直ウンザリの「ハラスメント」でも対策は必須

職場で発生する「ハラスメント(嫌がらせ)」。時代とともにモラハラやロジハラなど、次々と新しいものが出てきて、正直ウンザリという人もいるでしょう。

とはいえ、深刻なハラスメントで精神などを病んでしまう人が後を絶たないのも事実。また、男女雇用機会均等法などにより、会社には一定の「ハラスメント防止措置」の実施が義務付けられています。これが不十分なせいでハラスメントが発生すると、会社がその責任を問われるリスクもあります。思いは人それぞれでしょうが、いずれにせよ対策は必須です。

この【ハラスメント対策】シリーズでは、会社に義務付けられているハラスメント防止措置の内容をはじめ、ハラスメントについて押さえておくべきポイントを紹介します。

2 どんなハラスメントについて対策が必要?

冒頭でも述べた通り、近年はさまざまなハラスメントが増えてきていますが、まずは法令によってその内容が明確に定義されている

  • パワハラ(職場などでの上下関係を背景にしたハラスメント)
  • セクハラ(性的な言動によるハラスメント)
  • マタハラ、パタハラ、ケアハラ(妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント)

について対策を講じましょう。会社はこれら5つについて、ハラスメント防止措置を講じる義務を負っているので、まずは各ハラスメントの内容を正しく理解することが肝心です。

3 防止措置の一歩目「ハラスメント防止規程」はどう定める?

ハラスメント防止措置とは、具体的には次の5つを指します。

  • ハラスメントの方針(ハラスメントを行ってはならない旨など。就業規則等の文書に規定)の明確化、周知・啓発
  • ハラスメントに関する相談窓口の設置・運用
  • 事実確認、被害者に対する配慮のための適正な措置、行為者への適正な措置と再発防止に向けた措置の実施
  • 相談者や行為者のプライバシーを保護、相談したことや事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨の周知・啓発
  • 業務体制の整備など、マタハラ等の原因や背景となる要因を解消するための措置の実施

このうち、1.の「ハラスメントの方針」については、「ハラスメント防止規程」などの形で定めることが多いです。4.の「不利益な取扱いの禁止」などもこの規程に定めるとよいでしょう。

4 ハラスメント相談窓口の担当者は誰にすればいい?

ハラスメント相談窓口は、ハラスメントに関する相談や苦情を受け付け、被害を最小限に食い止めるための窓口です。

相談窓口がうまく機能していれば、深刻なハラスメント問題に至る前に事態を収めることができます。逆に、社員から「相談しにくい」と思われてしまうと、いつまでたっても会社がハラスメントの存在を感知できず、問題が深刻化してしまう恐れがあります。

  • 相談窓口は、会社の内部に設置するのか、外部に設置するのか(併設も可)
  • 内部に設置する場合、担当者を誰にするのか(経営者や役員、管理職、人事労務担当部門や法務部門の社員、社内の診察機関、産業医、カウンセラー、労働組合など)

などを検討しつつ、「相談しやすい」窓口にしましょう。

5 ハラスメントの事実確認はどうやって進める?

ハラスメントに関する相談が相談窓口に寄せられた場合、会社はすぐにハラスメントの事実があったか否かを確認します。これを「事実確認」といいます。具体的には、

相談者(被害者など)、第三者(目撃者など)、行為者の順番で事情聴取をする

ことになります。

経営者としては、早く白黒をつけたいので、ついつい事実確認を行う担当者をせかしがちですが、調査不足は事実誤認のもとです。後々の対応(社内処分など)を誤らないためにも、「焦らず、じっくりと事実確認を行うこと」を心がけましょう。

6 行為者の処分はどの程度が妥当? 被害者のケアは?

事実確認の結果、ハラスメントがあったことが明らかになったら、すぐに行為者の処分と被害者のケアをします。

  • 行為者の処分の基本は、行為の内容と懲戒処分の重さを釣り合わせること
  • 被害者のケアの基本は、被害者がつらくないよう、行為者と被害者とを引き離す

です。仮にハラスメントの事実が確認できなくても、被害者に対し、事実確認の調査や調査結果を丁寧に説明し、会社が真剣に対応したことを伝えるなど、真摯な対応が求められます。

7 ハラスメントの再発防止のためには何をすればいい?

ハラスメントが発生した場合、会社は再発防止策を講じなければなりません。具体的には

  • 発生したハラスメントについて社内に情報を開示する
  • ハラスメントの方針(ハラスメント防止規程など)を再周知する
  • ハラスメント防止研修を実施する

などが挙げられます。

8 結局のところ、上司は部下をどう指導すればいい?

ハラスメント防止措置を講じることは会社の義務ですが、措置を講じた結果、上司がハラスメントと指摘されるのを恐れて、部下を指導できなくなってしまっては本末転倒です。

  • 上司がハラスメントになりそうな言動や指導をしていたら、改めさせる
  • 一方、部下の指導は上司の役目であり、そこに臆病になる必要はないと伝える

ことが大切です。

なお、ハラスメントは上司から部下に対して行われることが多いですが、パワハラなどの場合、部下から上司に対して行われる、いわゆる「逆パワハラ」が話題に上がることも多いです。逆パワハラも会社が防止すべきハラスメントの1つですので、毅然とした対応が求められます。

9 就活生や取引先へのハラスメントについてはどう対応する?

ここまで紹介したハラスメント防止措置は、主に社内のハラスメント(社員に対して行われるもの)を想定していますが、この他に社外のハラスメント(就活生や取引先の担当者に対して行われるもの)についても対策を講じる必要があります。

就活生に対するハラスメントについては、

就活生の内定辞退を回避するために行われる「オワハラ(就活終われハラスメント)」

など、特有のハラスメントもあるのでしっかり内容を押さえておく必要があります。

取引先に対するハラスメントについては、基本的な対応の流れは社内の場合と同じですが、

取引先の社員を事情聴取する場合、必ず取引先の担当部署の承諾を得なければならない

など、特有の対応のポイントがあります。また、2024年11月1日から

フリーランスに対しても、ハラスメント防止措置を講じることが義務化されている

ので、併せて押さえておきましょう。

10 顧客などからの「カスハラ」についてはどう対応する?

カスハラ(カスタマーハラスメント)とは、

顧客などが、社員に悪質な嫌がらせ(土下座の強要など)をすること

です。「お客様は神様です」などというように、日本企業は総じて顧客を上に見てその要求を受け入れる姿勢がありますが、

正当なクレームには真摯に、理不尽なカスハラには毅然と対応する

ようにしないと、社員を守れません。カスハラの類型や対応のポイントを押さえ、正しい対応が取れるように周知しましょう。

11 職場に貼れる、ハラスメント防止に役立つ「職場ポスター」

最後に、ハラスメント防止に役立つ「職場ポスター」を紹介します。印刷してそのまま職場に掲載してお使いいただける、PDF形式のコンテンツになっています。ぜひご活用ください。

以上(2024年12月作成)

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画像:あんみつ姫-Adobe Stock

【ハラスメント対策】行為者の処分と被害者のケア。ハラスメントがなくても対応は必要

書いてあること

  • 主な読者:事実確認をした後の、行為者と被害者への対応を知りたい経営者
  • 課題:行為者の処分はどこまで認められる? 被害者には何をすればいい?
  • 解決策:行為の内容と懲戒処分の重さを釣り合わせる。行為者を配置転換するなどして被害者から引き離す。ハラスメントの事実が確認できなくても対応は必要

1 行為者の処分と被害者のケア

事実確認の結果、ハラスメントがあったことが明らかになったら、すぐに行為者の処分と被害者のケアをします。

  • 行為者の処分の基本は、行為の内容と懲戒処分の重さを釣り合わせること
  • 被害者のケアの基本は、被害者がつらくないよう、行為者と被害者とを引き離す

です。以降で詳しく見ていきましょう。

2 行為者の処分:行為の内容と処分の重さを釣り合わせる

まずは行為者の処分について見ていきましょう。懲戒処分を検討する場合、その根拠となるのが就業規則です。一般的には、ハラスメントを就業規則の「服務規律違反」に当たるとして、「戒告(口頭注意)、けん責(始末書の提出)、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇」などの懲戒処分を適用します。ただ、

行為者のやったことに対して重すぎる懲戒処分は無効になる

ので、どの処分を適用するかは、次の事項などを踏まえて慎重に判断する必要があります。

1.行為の悪質性・重大性

言動の内容・質や頻度・量を考慮します。犯罪に当たるようなハラスメントをした場合などは、情状が悪くなります。

2.結果(被害)の重大性

被害者に与えた身体や精神への被害(苦痛)の大きさなどを考慮します。ハラスメントが原因で被害者が休職や退職をした場合などは、情状が悪くなります。

3.懲罰歴や指導・注意歴

過去に懲罰歴や指導・注意歴がない状態で、反省や改善の機会を与えないまま厳しい懲戒処分を科すと、懲戒権の濫用として処分が無効となることがあります。

次章でハラスメントに関する懲戒処分の事例を紹介しますが、実際に処分の内容を検討する際は、事前に弁護士などの専門家に相談するのが無難です。

3 事例に見るハラスメントの懲戒処分

1)懲戒解雇の事例

犯罪になるようなハラスメントについては、懲戒解雇が認められやすい傾向にあります。例えば、嫌がる女性社員に無理やりキスをするなど、強制わいせつ罪(現行法では、不同意わいせつ罪)に当たり得る行為をした部長について、懲戒解雇が認められた裁判例があります(東京地裁平成22年12月27日判決)。

逆に犯罪に当たらないようなハラスメントの場合、懲戒解雇が認められにくくなります。例えば、慰安旅行の宴会で女性社員の肩を抱いたり、「胸が大きいね、何カップかな」などと発言したりした支店長への懲戒解雇が有効かを争った裁判例があります。裁判では、ハラスメント自体は悪質と判断されましたが、行為者の会社への貢献、反省の程度、指導・注意歴がないなどの事情から、懲戒解雇は認められませんでした(東京地裁平成21年4月24日判決)。

2)出勤停止の事例

女性の派遣社員に対し、「もうそんな歳になったん。結婚もせんでこんな所で何してんの。親泣くで」などのセクハラ発言を、1年余りにわたって繰り返した課長代理について、10日間の出勤停止処分が有効かを争った裁判例があります(大阪高裁平成26年3月28日判決、最高裁第一小平成27年2月26日判決)。この裁判では、大阪高裁と最高裁とで意見が分かれました。

大阪高裁では、被害者がはっきりと拒否しなかったため、課長代理が自分の発言を許されていると勘違いしたこと、会社から警告や注意を受けなかったことなどから、出勤停止処分は認められませんでした。

一方、最高裁では、課長代理は部下を指導する立場にあることや、セクハラの被害者は職場の人間関係が悪くなることなどを心配して行為を拒否できないケースが多いこと、この事案のセクハラ発言の多くが周囲に人のいない状況で行われ、会社が警告や注意をする機会がなかったことなどから、出勤停止処分が認められました。

3)降格の事例

成果の低い部下に「(一定の成績が上がらなければ)会社を辞めると一筆書け」「会社に泣きついて居座りたい気持ちは分かるが迷惑なんだ」などの発言を繰り返し、退職を迫った役員補佐について、降格処分が認められた裁判例があります(東京地裁平成27年8月7日判決)。

4 被害者のケア:行為者と被害者とを引き離す

ハラスメントの事実が確認できても、行為者が自主退職したり、解雇されたりするとは限りません。行為者が会社に残る場合、被害者がつらくないよう、行為者と被害者とを引き離すことが重要です。一般的な方法は「配置転換」ですが、この際、

被害者ではなく、行為者を配置転換することがポイント

です。被害者を配置転換してしまうと、被害者はハラスメントだけではなく、仕事の内容についても被害を受けることになりかねません。「せっかく勇気を出して相談をしたのに、不利益な取り扱いを受けた!」と被害者が会社を訴える恐れもあります。

中小企業では、社員数の関係で配置転換が難しいケースがありますが、その場合、席替えや業務上の関わりをなくすなどして、行為者と被害者の接点を減らします。また、定期的に状況を確認し、被害者が望むなら、会社が行為者と被害者との関係を修復するように努めます。

なお、被害者が「行為者の処分を社内に公表してほしい」と求めてきても、それは行為者のプライバシー情報なので公表できません。

5 ハラスメントの事実が確認できなかったら?

ハラスメントは、

被害者が主張する事実が確認できない、確認できた事実がハラスメントであると判断できないなど、いわゆる「グレーゾーン」のケースが多い

です。とはいえ、簡単に対応を打ち切ると、

  • 行為者は「自分は正しい」と思い込み、また同じような言動を繰り返す
  • 被害者は「自分はないがしろにされた」と会社を信用しなくなり、外部に相談する

といったように事態が悪化します。

そこで、被害者には、

事実確認の調査や調査結果を丁寧に説明し、会社が真剣に対応したことを伝える

ようにします。被害者が調査結果に納得できない場合、再調査を求められることがありますが、そのときはどのような点に不満があるのかなど、被害者の意見を丁寧に聞きましょう。

また、行為者には、

今回はハラスメントに当たらないと判断したけれど、次は違う判断になるかもしれないから、言動を改めたほうがいい

などと注意・指導します。

とにかく、

ハラスメントの事実が確認できなくても、行為者と被害者への対応は必要である

ことを押さえておきましょう。

以上(2024年12月更新)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 渡邉和也)

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画像:Dean Drobot-shutterstock

【かんたん消費税 まとめ】インボイス制度で注目度が増す消費税を学ぼう

書いてあること

  • 主な読者:消費税の全体像をざっくり知りたい経営者
  • 課題:消費税は法人税とは異なる独自の計算方法で納税額が計算されるため、どのような仕組みの税金なのかあまり分かっていない
  • 解決策:消費税は負担する人(消費者)と国に納付する人(納税義務者) が異なる。取引も課税されるもの、されないものなど扱いが決まっているなどテーマごとのポイントを押さえて全体像を把握する

1 消費税って、どんな税金?

消費税は利益に関係なく課されます。そして、消費税を負担する人(消費者)と消費税を国へ納付する人(納税義務者)が異なる間接税です。

そのため、消費税は利益計算とは異なる独自の計算方法や業務上の注意点があります。これらの点や、消費税の全体像を押さえる上で必要になる基本的なポイントを、次のコンテンツで紹介します。

2 「インボイス制度」への対応

インボイス制度は、適用される税率や消費税額を正確に記載して、適切に相手に知らせるというものです。もし、インボイス制度に対応しないと取引先側の消費税負担が重くなってしまうという、取引上マイナスの影響が生じてしまう可能性があります。インボイス制度の内容や影響について、次のコンテンツで紹介します。

3 消費税を納めないといけない会社と、納めなくてもよい会社

会社は消費税を納めなければなりませんが、取引の規模などによっては免除されます。消費税が免除される会社が、これを見逃すと損をするので、しっかりチェックしましょう。また、インボイス制度下では、相手が免税事業者かそうでないかなどによって自社の消費税負担が重くなったりします。消費税が免除される免税事業者の詳細やインボイス制度について、次のコンテンツで紹介します。

4 消費税はすべての商品や取引に課されるものではない

消費税は、取引内容によって次のように区分されます。

  • 消費税が課されるもの(課税取引)
  • 消費税が課されないもの(課税対象外取引)
  • 政策上の理由などで消費税が課されないもの(非課税取引)
  • 輸出取引(輸出免税取引)

相手からもらったインボイス等や自社が発行するインボイス等を確認し、課税区分に間違いがないかチェックしましょう。また、海外取引をする会社の場合は、輸出と輸入で消費税の取り扱いが全く違ってきます。取引の区分や海外取引(輸出と輸入)の取り扱いについて、次のコンテンツで紹介します。

5 消費税の計算方法は、「原則課税」と「簡易課税」の2種類

消費税の納税額は、預かった消費税から支払った消費税を差し引いて計算します。預かった消費税とは物を売ったり、サービスを提供したりした場合に預かる消費税をいい、「仮受消費税」と呼びます。一方、支払った消費税とは物を買ったり、サービスの提供を受けたりした場合に支払う消費税をいい、「仮払消費税」と呼びます。

納税額の計算方法には、原則課税と簡易課税とがあり、大きな違いは支払った消費税(仮払消費税)の集計・計算方法です。仮払消費税の計算は、仕入税額控除といい、原則課税の場合、非常に複雑な仕組みになっています。一方、簡易課税を選択できるのは売上規模が一定以下の小規模な会社に限られており、原則課税に比べて計算が楽な方法です。

仕入税額控除は、「適格請求書発行事業者」が発行するインボイスを保存することが、必要条件になるので、どのような仕組みか理解しておきましょう。消費税の計算方法について、次のコンテンツで紹介します。


6 税率が2種類あること、覚えていますか?

消費税の税率は、商品の種類によって10%と8%の2種類あります。軽減税率とは、

特定の商品については税率を低くする(8%にする)

ことですが、導入から数年が経過して慣れもあるのか、8%で処理することを忘れてしまうなどのミスも散見されます。いま一度、対象商品を見直し、間違いやすいケースや注意点を確認してみましょう。消費税の軽減税率について、次のコンテンツで紹介します。

7 法律で義務付けられている、値札などの価格表示方法

消費税については、商品やサービスの価格の表示ルールが決まっています。これを「総額表示義務」といい、事業者が消費者に価格を表示する場合は、

消費税額を含めた価格(税込価格)で表示しなければならない

ことになっています。総額表示をしないで税抜表示のままにしていても罰則はありませんが、法律に違反していることに変わりはありません。また、消費者からの信頼を損なう原因にもなりますので、もし税抜表示のままにしている場合には、すぐに総額表示で対応するようにしましょう。消費税の表示ルールである総額表示について、次のコンテンツで紹介します。

8 消費税の経理処理は、税込と税抜の2種類

消費税の経理処理は、

  • 税抜経理:消費税を売上高や経費とは「区別して」仕訳する方法
  • 税込経理:消費税を売上高や経費に「含めて」仕訳する方法

の2種類があります。税抜経理と税込経理は好きなほうを採用できますが(消費税の免税事業者は税込経理のみ)、メリットとデメリットがあるので有利な方法を選択したいものです。消費税の経理方法について、次のコンテンツで紹介します。

9 資金繰りにも影響大。消費税の確定申告と中間申告

消費税の申告は、年に1回決算のときだけやればいいわけでなく、

  • 確定申告
  • 中間申告

の2種類があり、中間申告については、前期の納税額の大小によって必要な回数が変わります。一番多い場合は、毎月申告納税しなければなりません。消費税は、法人税と違い、「赤字」であっても納税が必要になることが多い税金のため、資金繰り面でも注意が必要です。消費税の申告については、次のコンテンツで紹介します。

以上(2024年11月作成)

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画像:kai-Adobe Stock

【3分で分かる個人情報保護(3)】個人データを自ら取り扱う場合に守らなければならないルール

1 個人データを自ら取り扱う場合のルールは3つ

個人データを個人情報取扱事業者(会社)が自ら取り扱う場合、守らなければならないルールが3つあります。具体的には

  • データ内容の正確性を保ち、必要がなくなったら消去する
  • 安全管理措置を講じる
  • 従業者を監督する

です。以降でポイントを確認していきましょう。

2 データ内容の正確性を保ち、必要がなくなったら消去する

個人データは、正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努めなければなりません。

「正確かつ最新の内容に保つ」とはいえ、保有する個人データをすべて、いつも最新化しなければいけないわけではありません。それぞれの利用目的に応じて、その必要な範囲内で正確性・最新性を確保すれば大丈夫です。

また、「遅滞なく消去する」といっても、具体的に「いつまでに」「○日以内に」という期限は特にありません。業務の遂行上の必要性や引き続き個人データを保管した場合の影響等も勘案し、必要以上に長期にわたることのないようにしましょう。ただし、他の法令で保存期間が定められている場合があることに気をつけなければいけません。例えば、賃金台帳は労働基準法に基づき原則5年間保存が義務付けられています。

3 安全管理措置を講じる

取り扱う個人データの漏えい、滅失または毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければなりません。

個人データの「漏えい」とは個人データが外部に流出すること、「滅失」とは個人データの内容が失われること、「毀損」とは個人データの内容が意図しない形で変更されることや、内容を保ちつつも利用不能な状態となることをいいます(3つまとめて、「漏えい等」といいます)。

「安全管理のために必要かつ適切な措置」については、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」に具体例が示されています。この記事の第5章で、参考として、社員数100人以下の「中小規模事業者」が講じるべき安全管理措置について紹介しています。最低限対応しないといけない内容ですので、確認してみてください。

■ガイドライン10 (別添)講ずべき安全管理措置の内容■

https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/#a10

4 従業者を監督する

従業者に個人データを取り扱わせるに当たっては、当該個人データの安全管理が図られるよう、当該従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければなりません。

「従業者」は、雇用関係にある社員(正社員、契約社員、嘱託社員、パート社員、アルバイト社員など)だけではなく、取締役、執行役、理事、監査役、監事、派遣社員なども含まれます。

「必要かつ適切な監督」は、前述した安全管理措置で「やる」と決めたことがしっかり守られているかチェックすることです。

5 (参考)「中小規模事業者」が講じるべき安全管理措置

ガイドラインの10「(別添)講ずべき安全管理措置の内容」で例示されている中小規模事業者における手法を紹介します。

1)基本方針の策定

「事業者の名称」「関係法令・ガイドライン等の遵守」「安全管理措置に関する事項」「質問および苦情処理の窓口」などの項目を策定する

2)個人データの取り扱いに係る規律の整備

個人データの取得、利用、保存等を行う場合の基本的な取り扱い方法を整備する

3)組織的安全管理措置

  • (組織体制の整備)個人データを取り扱う従業者が複数いる場合、責任ある立場の者とその他の者を区分する
  • (個人データの取り扱いに係る規律に従った運用・個人データの取扱状況を確認する手段の整備)あらかじめ整備された基本的な取り扱い方法に従って個人データが取り扱われていることを、責任ある立場の者が確認する
  • (漏えい等事案に対応する体制の整備)漏えい等事案の発生時に備え、従業者から責任ある立場の者に対する報告連絡体制等をあらかじめ確認する
  • (取扱状況の把握および安全管理措置の見直し)責任ある立場の者が、個人データの取扱状況について、定期的に点検を行う

4)人的安全管理措置

  • (従業者の教育①)個人データの取り扱いに関する留意事項について、従業者に定期的な研修等を行う
  • (従業者の教育②)個人データに付いての秘密保持に関する事項を就業規則等に盛り込む

5)物理的安全管理措置

  • (個人データを取り扱う区域の管理)個人データを取り扱うことのできる従業者および本人以外が容易に個人データを閲覧等できないような措置を講じる
  • (機器および電子媒体等の盗難等の防止①)個人データを取り扱う機器、個人データが記録された電子媒体または個人データが記載された書類等を、施錠できるキャビネット・書庫等に保管する
  • (機器および電子媒体等の盗難等の防止②)個人データを取り扱う情報システムが機器のみで運用されている場合は、当該機器をセキュリティワイヤー等により固定する
  • (電子媒体等を持ち運ぶ場合の漏えい等の防止)個人データが記録された電子媒体または個人データが記載された書類等を持ち運ぶ場合、パスワードの設定、封筒に封入し鞄に入れて搬送する等、紛失・盗難等を防ぐための安全な方策を講じる
  • (個人データの削除および機器、電子媒体等の廃棄)個人データを削除し、または、個人データが記録された機器、電子媒体等を廃棄したことを、責任ある立場の者が確認する

6)技術的安全管理措置

  • (アクセス制御)個人データを取り扱うことのできる機器および当該機器を取り扱う従業者を明確化し、個人データへの不要なアクセスを防止する
  • (アクセス者の識別と認証)機器に標準装備されているユーザー制御機能(ユーザーアカウント制御)により、個人情報データベース等を取り扱う情報システムを使用する従業者を識別・認証する
  • (外部からの不正アクセス等の防止①)個人データを取り扱う機器等のオペレーティングシステムを最新の状態に保持する
  • (外部からの不正アクセス等の防止②)個人データを取り扱う機器等にセキュリティ対策ソフトウェア等を導入し、自動更新機能等の活用により、これを最新状態とする
  • (情報システムの使用に伴う漏えい等の防止)メール等により個人データの含まれるファイルを送信する場合に、当該ファイルへのパスワードを設定する

7)外的環境の把握

外国において個人データを取り扱う場合、当該外国の個人情報の保護に関する制度等を把握した上で、個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じる

以上(2024年12月更新)

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【人事はつらいよ】「残業するな」と言っただけなのにジタハラ(時短ハラスメント)?

1 社員のために「定時で帰れ」と言っているのに……

残業が一向に減らない……。今日だってもう定時を回っているのに、誰も帰ろうとしない。ここは経営者の私が帰りやすい雰囲気を作ろう! こう思ったA社の社長は言いました。

「もう定時を過ぎているぞ。さぁ、今日は残業禁止だ! 早く帰ってくれ!」

全員すぐに帰るだろうと思った社長でしたが、みんな座ったまま動こうとしません。そのうち、社員の1人が口を開きました。

「社長、今の業務量では残業しないと終わらないです。それなのに一方的に『残業禁止』だなんて……。今の発言はジタハラ(時短ハラスメント)です!」

困ったことに他の社員もこの意見に賛同する始末……。社長は釈然としません。

「社員の体調やプライベートを考えて言っているのに。それをジタハラって言うのは、どういうことだ。この国はおかしくなってしまったのか?」

2 社員のための「時短」も行き過ぎるとハラスメントに……

コスト削減、働き方改革、SDGs……会社はさまざまな観点から、長時間労働の是正に積極的に取り組んでいます。しかし、こうした会社の姿勢が、時にジタハラになることがあります。ジタハラとは、

「時短」、つまり社員の労働時間を短くすることに関連したハラスメント(嫌がらせ)

です。法令上の定義はありませんが、一般的には、

業務量などに関係なく、会社が一方的に残業を禁止したり、シフトを減らしたりすること

を指します。

ポイントは、「会社が一方的に」という部分です。会社は社員のためを思って時短に取り組むわけですが、それが一方的だと、

  • 業務量の変わらないまま時短を強制された社員が、こっそり隠れ残業をする
  • 無理なスケジュールでの仕事を余儀なくされた社員が、ケアレスミスを連発する
  • 合理的でない時短が続くことによって、社員がやる気を失う

などの問題が発生します。ジタハラを直接規制する法令はありませんが、

このように社員の仕事に支障を来すような極端な時短は、違法なパワハラ(パワーハラスメント)とみなされる恐れがある

ので注意が必要です。

3 パワハラの「過大な要求」に該当すると違法になる

パワハラは、労働施策総合推進法で定義されたハラスメントで、

職場の上下関係など優越的な関係を利用した嫌がらせ

です。具体的には、次のような業務上必要のない(または行き過ぎた)言動によって、社員の仕事に支障を来すことを指します。

  1. 身体的な攻撃:暴行、傷害
  2. 精神的な攻撃:脅迫・名誉毀損、侮辱、ひどい暴言等
  3. 人間関係からの切り離し:隔離、仲間外れ、無視
  4. 過大な要求:業務上明らかに不要・遂行不可能なことの強制、仕事の妨害等
  5. 過小な要求:不合理に程度の低い仕事を命じること、仕事を与えないこと
  6. 個の侵害:私的なことへの過度な立ち入り

会社にはパワハラなどのハラスメント防止措置が義務付けられているので、対応が不十分なために社内でハラスメントが発生すると、民法上の使用者責任などを問われる恐れがあります。

ジタハラがパワハラ(違法)になる場合、上の「4.過大な要求」に該当する可能性が高いです。違法になる例とならない例について、弁護士にヒアリングした結果は次の通りです。

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ケース1~3に共通して言えることは、

  • 社員を定時で帰らせるための対策を講じず、残業禁止を言い渡すだけだと違法になる
  • 「業務を引き取る」「改善点を指摘する」など対策を講じた上で、社員の残業を禁止するのであれば違法にならない

という点です。違法にならない例については、

  • 業務の一部を他の社員に振っていいから、今日は帰りなさい
  • 納期がきついなら取引先と交渉していいから、今日は帰りなさい

などのケースもあります。とにかく、具体策が必要なわけです。結局のところ、

ジタハラ最大の問題は、会社が社員の抱えている課題に向き合わず、時短を強制すること

であると分かります。

経営者からすれば、「決められた時間内に終業できるよう工夫するのも仕事のうちだろう、そこまで会社が面倒を見ないといけないのか」という印象かもしれませんが、法令や社員の権利意識が変わってきている今、不要なトラブルを防ぐ意味でも、会社のほうから歩み寄る姿勢を見せるのがよいでしょう。

以上(2024年12月更新)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 栗原功佑)

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【かんたん消費税(12)】確定申告したら一安心? 消費税の申告と納税

書いてあること

  • 主な読者:消費税の確定申告と中間申告について知りたい経営者
  • 課題:消費税は赤字でも納税が発生する事が多く、中間納付も複数回ある
  • 解決策:確定申告は年に1回だが、中間申告は最多で年に11回。前期の納税額ごとに、中間申告・納税の回数が決まる

1 なぜ、消費税が資金繰りに影響を及ぼすのか

課税事業者(消費税の申告義務のある事業者)は、消費税の申告を行い、国へ納税しなければなりません。問題は、

申告は、年に1回、決算のときだけやればいいわけではない

ということです。具体的には、

  1. 確定申告
  2. 中間申告

の2種類があり、中間申告については、前期の納税額の大小によって必要な回数が変わります。多いときは、なんと毎月申告納税しなければならないのです。

確定申告であれ、中間申告であれ、納税するには当然現金が必要になります。特に消費税は法人税と違い、「赤字」であっても納税が必要になることが多い税金です。

将来の収益獲得のための投資目的ではなく、納税する目的という後ろ向きの借り入れは資金繰りを悪化させる原因にもなります。そのため経営者は、確定申告だけでなく、中間申告のタイミングを把握した上で、綿密な納税・資金計画を立てることが重要です。

2 確定申告は決算期に年1回

課税事業者は、年に1回の確定申告が必要です。確定申告とは、1年決算法人の場合、

  • 1年間に発生した「消費者から預かった消費税(仮受消費税)」や「会社が支払った消費税(仮払消費税)」を集計し
  • 決められた計算方法によって年間の納付税額を確定させ
  • 申告書を提出するとともに、その確定した納付税額を納税すること

をいい、決算期に行う重要な手続きの1つです。

確定申告は、

原則として、決算期末から2カ月以内に行わなければならず、この期限を1日でも遅れると罰金税などが課される

ことがあります。なお、中間納付を行っていたら、年間の納付額から中間納付額を差し引いた残額を納税することになります。

3 中間申告は最多で年に11回

1)中間申告は前期の年税額で決まる

課税事業者は、中間申告をしなければなりません。中間申告とは、

当期の消費税の一部を税務署へ前払い(分割払い)すること

をいいます。この中間申告は、前期の年税額によって納税の回数が決まります。

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前期の確定申告を行えば、当期に必要な中間納付の回数も把握できます。経営者は、確定申告により年税額が確定した段階で、その年の納税スケジュールを気にとめておくようにしましょう。

なお、中間納付として必要な金額の計算方法には、

  • 予定申告方式
  • 仮決算方式

があり、自由に選択できます。どちらの方式を選択するのがよいのか説明してきます。

2)予定申告方式とは

予定申告方式とは、

前期の年税額を分割して納付する方法

です。手続きをしなければ、この方法により計算された金額を中間納付することになります。

例えば、前期の年税額が100万円の場合、中間納付の回数は1回になるため、前期の年税額の半分となる50万円(100万円×6/12)を納付します。

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3)仮決算方式とは

仮決算方式とは、中間申告ごとに、

本決算と同じような手続き(仮決算手続き)をして納付する方法

です。予定申告方式と比べて手間がかかりますが、

売上が前期と比べて減少していたり、仕入や経費が増えていたりする場合

には、予定申告方式に比べ、仮決算方式によって中間納付額を計算したほうが、中間納付額が少なくなることがあります。そのため経営者は、

当期の損益状況や設備投資の状況、あるいは資金繰りの状況を考えながら予定申告方式と仮決算方式を選択

するようにしましょう。

なお、例えば中間納付の回数が3回の場合、1回目と2回目は予定申告方式とし、3回目だけ仮決算方式とすることも可能です。また、仮決算方式にしたところ還付になる場合、中間納付額をゼロとすることはできますが、還付金は受けられませんので注意しましょう。

4 申告しなかった・忘れた場合には「罰金税」

消費税の申告書は正確に作成しなければなりません。また、申告や納付には必ず期限があります。提出した申告書に誤りがあったり、期限に遅れて申告納付したりすると、

罰金や利息のような税金を、追加で納税

しなければなりません。罰金や利息のような税金には、次のようなものがあります。

  • 延滞税
  • 過少申告加算税
  • 無申告加算税
  • 重加算税

1)延滞税

申告や納税が期限よりも遅れた場合に課される利息のような税金で、期限より遅れて納税した税額に対して課され、遅れた日数分だけ納税しなければなりません。税率は年2.4~8.7%(令和6年の場合)です。

2)過少申告加算税

確定申告した税額が正しい税額より少なかったときに課される罰金のような税金で、追加で納税した税額に対して課されます。税率は5~15%です。

3)無申告加算税

申告期限までに確定申告を提出しなかった場合に課される罰金のような税金で、納付すべき税額に対して課されます。税率は5~20%です。

4)重加算税

帳簿の改ざんや領収書の偽造などをして納付税額を低くするなど、特に悪質と判断されたときに課される罰金のような税金で、追加で納税した税額に対して課されます。税率は35~50%です。なお、重加算税の対象となった場合には、上記2)の過少申告加算税は課されません。

以上(2024年11月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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【3分で分かる個人情報保護(2)】個人情報を取得・利用するときに守らなければならないルール

1 個人情報を取得・利用するときのルールは計5つ

個人情報を取り扱う際は、個人情報保護法に基づく取得・利用のルールを守らなければなりません。具体的には、

  • 個人情報を取得するときのルールが2つ
  • 個人情報を利用するときのルールが3つ

あります。以降で確認していきましょう。

2 個人情報を取得するときのルール

1)不正の手段によって個人情報を取得してはならない

当然ですが、不正の手段(偽りなど)によって個人情報を取得してはなりません。

2)個人情報を取得した場合は、速やかに、その利用目的を本人に通知または公表する

あらかじめその利用目的を公表している場合を除いて、個人情報を取得した場合は、速やかに、本人に個人情報の利用目的を通知・公表しなければなりません。

利用目的の通知・公表の方法については、特に定めはありません。

  • 通知であれば、書面・メール等に記載する
  • 公表であれば、ウェブサイトの分かりやすい場所や、店舗に掲示する

といった方法が考えられます。本人に対して口頭で利用目的を通知する方法も認められます。

なお、取得の状況から見て利用目的が明らかな場合は、利用目的の明示は不要です。例えば、名刺交換した相手に自社の商品・サービスの案内を送るときなどがそうです。

3 個人情報を利用するときのルール

1)利用目的をできる限り特定しなければならない

個人情報の利用目的は、できる限り具体的に特定しなければなりません。

例えば、ネット通販で商品を購入しようとしたとき、氏名や住所などの個人情報を入力しますが、その利用目的として「当社の商品の配送およびアフターサービスのご案内のため」と書いてあれば、商品を購入した顧客は、どのような目的で自分の個人情報が使われるのか認識できます。「事業活動に用いるため」「マーケティング活動に用いるため」といった曖昧な表現はNGです。具体的に利用目的を特定しているとは言えないからです。

2)利用目的の範囲を超えて取り扱うときは、あらかじめ本人の同意を得る

あらかじめ本人の同意を得ないで、利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはなりません。

ただし、この同意を得るために個人情報を利用すること(メールを送ったり、電話をかけたりするなど)は目的外利用には該当しません。

3)違法または不当な行為につながるような利用方法はNG

違法または不当な行為とは、法令(個人情報保護法など)に違反する行為や、直ちに違法とはいえないものの、法令の制度趣旨や公序良俗に反する行為など、社会通念上適正とは認められない行為をいいます。

解釈の余地はありますが、個人情報についてこれまでと異なる取り扱いをしようとするときは、見切り発車にせず、弁護士や個人情報保護委員会に確認するのがよいでしょう。不適正な利用の具体例が、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」に列挙されています。興味のある方は確認してみてください。

■ガイドライン3-2 不適正利用の禁止(法第19条関係)■

https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/#a3-2

4 要配慮個人情報を取得するときは「本人の同意が必要」

要配慮個人情報とは、

不当な差別や偏見などの不利益が生じないよう、取り扱いに特に配慮を要する個人情報

のことです。具体的には、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実、心身の機能の障害があること、医師等により行われた健康診断の結果などが該当します。

法令に基づく場合などの例外を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはなりません。

実務上、あらかじめ本人の同意を得ておくほうがよいのは、

社員の健康情報(健康診断の結果や病歴など、健康に関する個人情報)を取得する場合

です。健康情報の多くは要配慮個人情報に該当しますが、そうでない場合も機微な情報が含まれ得ることなどから、要配慮個人情報に準じて取り扱うのが望ましいとされています。

例えば、定期健康診断の結果などは、労働安全衛生法に基づいて取得するものですが、「健康の確保のため」という利用目的を通知し、社員の同意を得て取得するとよいでしょう。

■個人情報保護委員会「雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」■

https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/ryuuijikou_health_condition_info/

以上(2024年12月更新)

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【人事はつらいよ】採用面接の雑談が違法なの? 聞いてはいけない“NG質問”

1 緊張をほぐす雑談のはずが、なぜ炎上騒ぎに!?

会社のSNSが炎上している!! こんな報告がA社の社長に入ってきました。どうやら数日前に面接した相手がSNSに次のような投稿をしたようです。

「A社は採用面接で、出身地とか家族構成とか、採用に関係ないことをやたらと聞いてくるので気持ち悪い。というか、これって法律違反じゃない?」

情報は拡散し、「ひどい会社だ」という意見もあれば、「それくらいいいでしょ」という意見もあります。とにかく、A社にとって好ましくない事態なのですが、社長は釈然としません。

「確かに聞いたよ。『生まれはどちらですか?』『ご両親は何の仕事をしていますか?』って。でも、これって緊張をほぐすための雑談でしょ。なぜ、こんなにたたかれるの?」

2 “NG質問”は職業安定法などで定められている

日ごろから人と話す機会が多い社長は「コミュ力」が高いです。だからこそ、採用面接の面接官になったら、相手の緊張をほぐすための雑談もします。「お互いにリラックスして話しましょう」という優しさに他なりません。

ところが、この優しさが法律違反につながります。

求職者に聞いてはいけない “NG質問”

を尋ねると職業安定法に違反したり不法行為となったりする恐れがあり、“NG質問”の中には、「本籍・出生地」「家族」「尊敬する人物」「購読新聞・雑誌・愛読書」などが含まれるのです。

これらの質問は「就職差別につながる恐れがある」ということなのですが、「なぜ、愛読書を聞いたら就職差別になるのか?」という疑問は、一旦置いておきましょう。ルールはルール。まずは“NG質問”を確認してみたいと思います。

3 聞いてはいけない11項目の“NG質問”

厚生労働省は、就職差別につながる恐れがある情報として、

  • 本人に責任のない事項
  • 本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)

の2つを挙げ、これらに該当する質問の例を11項目紹介しています。

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採用面接でこれらの質問をしたらアウトです。身元確認の観点から、本籍・出生地、家族などは聞いておきたいという人もいるでしょうが、求職者の適性や能力には直接関係がないので、聞いてはいけません(質問する代わりに住民票を提出させるなどの対応も、採用段階では不可)。

ただ、これらの内容でも、相手が自ら進んで話す分には問題ないそうです。「私は◯◯県の出身なので寒さに強く……」「最近読んだ◯◯という本に感銘を受け……」などと話す求職者は結構いますよね。

また、“NG質問”をしても罰則はありませんが、

ハローワークから改善命令が出される場合があり、これに従わないと、厚生労働省ウェブサイトで会社名が公表されたり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されたりすることがあるので要注意

です。ちなみに、2022年度は求職者からハローワークに「本人の適性・能力以外の事項を把握された」との苦情が802件寄せられており、うち37.3%は「家族」に関することとなっています。

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4 逆に採用面接で聞いてもよい“OK質問”は?

1)求職者の適性・能力に関する質問

“NG質問”はできませんが、

求職者の適性・能力に関する質問はOK

です。例えば、

テレワークが可能かを確認するため、住宅状況について質問する

といったケースです。ただし、求職者とのトラブルを防ぐため、

「なぜ質問するのか」を求職者に説明し、了承を得た上で答えてもらうのが無難であり、また、確認のために必要となる最小限の情報に限るべき

です。

2)求職者の思想・信条に関係ない質問

求職者の適性・能力に関する質問の他に、

求職者の思想・信条に関係ない質問もOK

です。例えば、次のような質問です。

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このような質問は単なる雑談と考えられていますが、念のため、

「これは合否には関係がないのですが……」などと断ってから質問するのが無難

です。よかれと思ったことが裏目に出ることもありますので、ルールをきちんと把握しなければなりません。

以上(2024年12月更新)
(監修 TMI総合法律事務所 弁護士 池田絹助)

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中小企業における子育て・介護支援の最新動向

令和7年4月に施行される育児・介護休業法の改正のなかには、育児休業取得状況の公表義務対象となる企業規模の変更も含まれ、これまでの「従業員数1000人超の企業」から「従業員数300人超の企業」へと大きく拡大されます。本稿では、今から準備を進めておきたい育児・介護関連の法改正について、その概要と対応のポイントをまとめます。

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