【規程・文例集】就業規則 この表現がトラブルのもと?(前編)

書いてあること

  • 主な読者:就業規則のひな型をそのまま使っている経営者・人事労務担当者
  • 課題:具体的に就業規則をどう変更すればよいのか分からない
  • 解決策:ひな型をそのまま使った場合、社員とトラブルになりそうな箇所を変更する。例えば「適用範囲」「労働条件の明示」「休職」「服務規律の遵守事項」など

1 「モデル就業規則」は、汎用性は高いが万能ではない

就業規則は、労働時間や賃金などの労働条件についてまとめた「職場のルールブック」です。中小企業の場合、人員数などの関係で人事労務に割けるリソースが限られているので、インターネットや書籍に出ているひな型をベースに、就業規則を作成することが珍しくありません。

例えば、厚生労働省ウェブサイトで公開されている「モデル就業規則」は、政府お墨付きのひな型ということで安心感があり、参考に使用する会社も多くあると思います。ただ、

汎用性を重視して一般的な定めやシンプルな表現になっているため、そのまま就業規則として使うと、内容が自社の実情に合わず、社員とトラブルになる恐れ

があります。

そこで、この記事では、最新のモデル就業規則(令和5年7月)を基に、

  • モデル就業規則をそのまま使った場合、トラブルになりやすい条項は何か
  • 条項をどのように追記・修正すればトラブルを防げるのか

を、弁護士の視点から2回に分けて解説します。

前編では、「第2条(適用範囲)」「第7条(労働条件の明示)」「第9条(休職)」「第11条(遵守事項)」を取り上げます。記事内の赤字は、モデル就業規則の中で修正が必要な箇所、追記・修正案における追記・修正箇所です。後編については、次の記事をご確認ください。

なお、モデル就業規則(令和5年7月)の全文を読みたい人は、次のURLをご確認ください。

■厚生労働省「モデル就業規則(令和5年7月)」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html

2 「第2条(適用範囲)」:自社の雇用形態に合わせて修正する

1)モデル就業規則

第2条(適用範囲)
1)この規則は、〇〇株式会社の労働者に適用する。
2)パートタイム労働者の就業に関する事項については、別に定めるところによる。
3)前項については、別に定める規則に定めのない事項は、この規則を適用する。

2)追記・修正案

第2条(適用範囲)
1)この規則は、〇〇株式会社の正社員に適用する。
2)この規則でいう正社員とは、第○章(採用)に定める手続きを経て採用され、期間の定めのない労働契約を締結した者をいい、試用期間中の者を含む。正社員以外の会社で雇用される契約社員、パートタイマー、嘱託、労働契約法第18条により無期労働契約に転換した者などの就業に関する事項については、この規則を適用せず、別に定める。

3)解説

モデル就業規則では、通常の労働者以外に「パートタイム労働者」という雇用形態を設けていますが、会社によっては、正社員以外の社員(いわゆる非正規社員)のことを「パートタイマー」「契約社員」「嘱託」などの名称で呼ぶことがあります。法令上、非正規社員は、

  • パートタイム労働者(短時間労働者):1週間の所定労働時間が正社員よりも短い社員
  • 有期雇用労働者:労働契約の期間の定めがある社員

のいずれかに分類されますが、この1.と2のいずれか、または両方に該当する社員を、会社が独自に「パートタイマー」などの名称で呼んでいるわけです。

会社によって非正規社員の名称が異なる上に、雇用形態を複数設けているケースもあるので、社員とのトラブルを避けるためには、

自社の「正社員」「非正規社員」の定義、就業規則の適用範囲を明記

しておく必要があります。

また、有期雇用労働者の場合、契約期間が通算5年を超えると期間の定めのない労働契約に転換される「無期転換」というルールがあるので、社員とトラブルにならないよう、

無期転換された場合、就業規則が適用されるか否かについても定めておく

ようにしましょう。特に2024年4月1日からは、会社は無期転換の申込権を持つ有期雇用労働者に対し、契約の更新時などに「無期転換の申込機会」「無期転換後の労働条件」を明示しなければならなくなります。その際、「無期転換された場合、正社員向けの就業規則が適用されるか否か」がとても重要になってきます。

なお、就業規則の適用範囲から除外される社員については、その社員のための就業規則や雇用契約書を別途設ける必要があります。

3 「第7条(労働条件の明示)」:変更範囲について追記する

1)モデル就業規則

第7条(労働条件の明示)
会社は、労働者を採用するとき、採用時の賃金、就業場所、従事する業務、労働時間、休日、その他の労働条件を記した労働条件通知書及びこの規則を交付して労働条件を明示するものとする。

2)追記・修正案

第7条(労働条件の明示)
会社は、労働者を採用するとき、採用時の賃金、就業場所、従事する業務、労働時間、休日、その他の労働条件を記した労働条件通知書及びこの規則、その他会社が必要と認める書類を交付して労働条件を明示するものとする。なお、就業場所及び従事する業務については、採用時の労働条件に加え、その変更範囲を明示する。

3)解説

モデル就業規則では、社員を採用するとき、「労働条件通知書」「就業規則」を交付して労働条件を明示するとしています。ただ、いざ社員が入社すると、「採用時に明示された労働条件と、実際の労働条件が違う」という理由でトラブルになるケースが少なくないため、

労働条件通知書と就業規則の他、会社が必要と認める書類も交付する旨を規定

し、必要な書類を用意しておくとよいでしょう。例えば、「就業場所(事業所)の一覧表」「部署とおおまかな業務内容の一覧表」などがそうです。

また、モデル就業規則では、社員を採用するとき、「採用時の賃金、就業場所、従事する業務、労働時間、休日、その他の労働条件」を明示するとしています。ただ、

2024年4月1日からは、「就業場所」「従事する業務」の2点については、採用時の労働条件に加え、その変更範囲も明示しなければならなくなる

ので注意が必要です。この点は法改正前に就業規則に反映し、労働条件通知書も変更範囲を明示できる書式に変えておきましょう。実際に労働条件通知書で明示する場合、

  • 就業場所:会社が定める場所、東京都内事業所(別紙)
  • 従事する業務:会社が指示する業務、会社の各部署(別紙)における業務

といった具合に、ある程度包括的な記載の仕方が認められています。なお、リモートワークを行うことが想定されている場合には、「労働者の自宅」といった記載も併記する必要があります。

4 「第9条(休職)」:復職などについて追記する

1)モデル就業規則

第9条(休職

1)労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。

1.業務外の傷病による欠勤が○か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき
○年以内
2.前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき
必要な期間

2)休職期間中に休職事由が消滅したときは、原則として元の職務に復帰させる。ただし、元の職務に復帰させることが困難又は不適当な場合には、他の職務に就かせることがある。
3)第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。

2)追記・修正案

第9条(休職・復職
1)労働者(試用期間中の者を除く)が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。

1.業務外の傷病による欠勤が○か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき
○年以内
2.前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき
必要な期間

2)休職者が、前項の休職事由が消滅したと復職を申し出る場合には、休職期間が満了する前の会社が指定する日までに、復職願を提出しなければならない。この場合、休職者は、受診している医師による診断書を添付しなければならない。また、受診している医師による証明書が提出された場合でも、会社は休職者に対して、会社が指定する医療機関での受診を命じることがある。
3)会社は、休職期間満了時までに休職事由が消滅したものと認めた場合は、原則として元の職務に復帰させる。ただし、元の職務に復帰させることが困難又は不適当な場合には、他の職務に就かせることがある。
4)第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。

3)解説

モデル就業規則には復職に関する定めがなく、復職の可否などをめぐって社員とトラブルになる恐れがあります。通常は、休職者から主治医の診断書を提出してもらい、復職の可否を判断しますが、うつ病などのメンタル疾患は、症状が一進一退を繰り返す場合もあって判断が難しくなりがちです。ですから、

社員が復職を希望する場合の手続きの詳細を規定した上で、必要に応じて会社が指定する医療機関での受診を求めるなど、正確かつ慎重な判断ができるように規定

する必要があります。

また、モデル就業規則には「休職期間中に休職事由が消滅したときは、原則として元の職務に復帰させる」とありますが、こちらも社員とトラブルにならないよう、

休職事由が消滅したかどうかは、会社が最終的に判断する旨を明記

しておくようにしましょう。

この他、記事では割愛していますが、

会社が医師から意見聴取を求める規定、私傷病休職の利用回数、休職期間の通算規定など

についても定めておくとよいでしょう。

5 「第11条(遵守事項)」:必要に応じて遵守事項を追記する

1)モデル就業規則

第11条(遵守事項)
労働者は、以下の事項を守らなければならない。

  1. 許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用しないこと。
  2. 職務に関連して自己の利益を図り、又は他より不当に金品を借用し、若しくは贈与を受ける等不正な行為を行わないこと。
  3. 勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと。
  4. 会社の名誉や信用を損なう行為をしないこと。
  5. 在職中及び退職後においても、業務上知り得た会社、取引先等の機密を漏洩しないこと。
  6. 酒気を帯びて就業しないこと。
  7. その他労働者としてふさわしくない行為をしないこと。

2)追記・修正案

第11条(遵守事項)
労働者は、以下の事項を守らなければならない。

1.許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用しないこと。

(中略)

8.パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント、その他のあらゆるハラスメントにより就業環境を害するようなことをしないこと。
  • 他の者の業務を妨げないこと。
  • 業務上の都合により、担当業務の変更又は他の部署への応援を命ぜられた場合は、正当な理由なく拒まないこと。
  • 正当な理由なく無断欠勤及び遅刻、早退、私用外出等をしないこと。
  • 会社の許可なく、会社の施設内において組合活動、政治活動、宗教活動など、業務に関係のない活動は行わないこと。
  • 会社の許可なく、会社の施設内において集会、演説、貼り紙、文書配布、募金、署名活動など業務に関係のない行為を行わないこと。
  • 会社の許可なく、会社の文書類又は物品を社外の者に交付、提示しないこと。
  • その他、職場の風紀・秩序を乱す行為をしてはならないこと。
  • 3)解説

    モデル就業規則では、服務規律の一般的な遵守事項が7つ定められています。ただ、就業規則では、一般的に遵守事項に違反することを「懲戒事由」として定めるため、遵守事項を明確かつ具体的に定めておかないと懲戒処分を行うことが難しくなるという問題があります。ですから、

    会社として「これをされたら困る」という行為がある場合、それを遵守事項に追記

    する必要があります。

    なお、追記・修正案の第8号では「ハラスメントの禁止」について記載しています。

    労働施策推進法や男女雇用機会均等法、育児・介護休業法などにより、会社にハラスメント防止措置が義務付けられているため、具体的なハラスメントの種類も明記することで、社員に注意喚起を促す

    という趣旨です。このあたりは就業規則の他、自社のハラスメント防止方針などと併せて、社員に周知徹底しておく必要があります。

    以上、モデル就業規則を例に、トラブルになりやすい条項を解説しました。なお、この記事で解説したのは一部の条項のみであり、修正案もあくまでも一例です。実務では専門家などに相談の上、会社の実情に合わせて個別に内容を検討してください。

    以上(2024年1月)
    (執筆 三浦法律事務所 弁護士 磯田翔)

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    画像:ESB Professional-shutterstock

    道路標識を意識しましょう(2024/1号)【交通安全ニュース】

    活用する機会の例

    • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
    • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
    • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

    運転者は、さまざまな道路標識を見ながら運転しています。安全運転にはそれら道路標識について正しく理解している必要があります。もしも運転中に道路標識を見落としたり、その意味が分からなかったりすると、交通違反をしてしまったり、交通事故を起こしてしまうといったことに繋がる可能性があります。

    そこで、今回は道路標識について考えたいと思います。

    道路標識について

    1.道路標識の種類と役割

    道路標識には本標識4種類と補助標識があります。

    案内標識は、地名や距離などを示して通行の便宜を図ります。警戒標識は、道路上の危険や注意すべき状況などを運転者に知らせて注意を促します。規制標識は、特定の交通方法を禁止、または指定します。指示標識は、特定の交通方法や道路交通上決められた場所などを指示します。

    案内標識

    そして、補助標識は、本標識と合わせて取り付けられ、規制等が適用される時間や区間、自動車の種類などを特定し、規制内容を補足します。

    補助標識

    道路上には多種多様な道路標識があり、歩行者や車が道路を安全かつ円滑に利用するうえで重要な役割を担っています。

    したがって、運転者一人一人が道路標識を意識し、その意味を正しく理解して交通ルールを守ることが大切です。

    2.間違いやすい道路標識

    一見、似ている道路標識でも意味が異なります。例えば、以下の道路標識などは間違いやすいと言われている標識です。

    間違いやすい道路標識

    3.道路標識を意識しましょう

    道路標識を間違って理解していたり、運転中に標識を見落としたりすると、交通違反や交通事故の原因となる可能性があります。標識の意味が分からない時は交通教本等で確認することが大切です。
    運転中は道路標識に意識を向けるようにして、安心・安全・快適なドライブを楽しみましょう。

    全日本交通安全協会 「わかる 身につく 交通教本」https://www.jtsa.or.jp/about/teaching.html

    国土交通省 「道路標識一覧」https://www.mlit.go.jp/road/sign/sign/douro/ichiran.pdf

    以上(2024年1月)

    sj09101
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    【朝礼】2024年は「見つけられる人」になろう

    皆さん、あけましておめでとうございます! 新しい年を迎え、皆さんの明るい表情を見ることができてとてもうれしく思います。

    さて、皆さんは今年の目標を決めていますか?今日は、私から皆さんに「今年はこういう人になってほしい」とお伝えしますので、目標をもう決めている人も、まだこれからの人も、ぜひ一度考えてみてください。

    今年、皆さんに目指してほしいのは

    「見つけられる人」になること

    です。これは、「目に見えないことに気付ける人」という意味です。具体的には、今から言う3つのことを「見つけられる人」になってほしいと思っています。

    1つ目は、「ありがとうを見つけられる人」です。これは、私の尊敬する経営者の方が心掛けていると教えてくれました。とても共感しています。

    人は誰しも、自分一人で生きているわけではありません。周りの人の支えがあってこその毎日です。電車や飛行機、車で移動できるのも、ご飯を食べられるのも、毎日仕事があるのも、パソコンを使って仕事を進めることができるのも、全て周りの人、もっと言えば自分以外のあらゆる人の支えがあるからです。コーヒー飲料の有名なキャッチコピーで「世界は誰かの仕事でできている」というものがありますが、まさにそれです。そうした目に見えない周りのありがたさに気付き、感謝できるようになりましょう。

    2つ目は「楽しさを見つけられる人」です。どのような仕事にも「楽しさ」はあります。それを見つけられるかどうかは、自分次第です。楽しさを見つけるには、夢中で取り組むこと、そして進化するよう工夫することです。昨日より今日と、何か一つでも進化できるよう、夢中になって工夫してください。そうすれば楽しさに気付けます。

    私は昔、ひたすら毎日、大量の数字データを入力するという仕事をしたことがあります。そのとき、より速く進められるようにしたいと思い、自動化する仕組みをつくりました。毎日試行錯誤でしたが、とても楽しく、本当に夢中でした。今もその姿勢は変わっていません。

    そして3つ目は「チャンスを見つけられる人」です。「こういう商品があればお客さまに喜ばれるのではないか」「こういうところにニーズがあるのではないか」といったチャンスです。お客さまとの会話、社内外の人とのやりとり、世の中の動き、日々のニュース一つとっても、アンテナを張っていれば、新商品を生み出す、新市場を開拓する、営業するチャンスにつながります。あらゆるところにチャンスはあると気付いてください。

    「ありがとう」「楽しさ」「チャンス」。皆さんはイメージできたでしょうか? 今年は、この3つを見つけられる人に、ぜひなってほしいと思います。「見つけられる人」になれば、毎日が今より豊かになるのは間違いありません。今日から、「見つけられる人」を目指しましょう!

    以上(2024年1月)

    pj17166
    画像:Mariko Mitsuda

    前職の経験が邪魔をする!? 能力が発揮できない中途採用者を戦力化するポイント

    書いてあること

    • 主な読者:中途採用者が期待通りのパフォーマンスでなく、悩んでいる経営者
    • 課題:前職と自社の仕事の進め方に「ギャップ」があり、中途採用者が能力を発揮できない
    • 解決策:ギャップの内容を明らかにした上で、あえて「本人流」でやらせて会社に新しい風を吹かせるのか、「自社流」を身に付けさせて確実な戦力とするのかを判断する

    1 経験豊富な中途採用者が戦力にならない!

    せっかく経験豊富な人材を中途採用できたのに、いざ働かせてみたら戦力にならない……。こうしたミスマッチは採用活動にはつきものです。しかし、仮に

    前職と自社の「ギャップ」に戸惑っているだけで実は能力が高いのに、会社が中途採用者を「戦力外」と思い込んでしまっている

    としたら、それは両者にとって不幸なことです。この前職と自社のギャップというのが何なのか、もう少し掘り下げてみましょう。

    例えば、インターネット記事の制作会社が、特定の人に取材をして記事を書く「取材ライター」を募集し、経験豊富な人材を採用できたとします。会社は即戦力だと思って中途採用者に期待しますが、同じ取材ライターでも仕事の進め方は会社や人によってさまざまです。そして、前職での仕事の進め方(以下「本人流」)と自社での仕事の進め方(以下「自社流」)が違うと、その差に戸惑い、能力を発揮できない中途採用者が出てきます。イメージは図表1です。

    画像1

    こうした場合、多くの経営者は「中途採用者をいかに早く自社に慣れさせるか」を考えるでしょう。もともと即戦力のつもりで採用しており、賃金なども前職の経験を踏まえてそれなりの条件にしているわけですから、早く自社流を身に付けてもらわないと困ります。

    一方で、

    自社流を身に付けさせることが、本当に会社のためになるのか?

    という視点も重要です。自社流はこれまでのビジネスで通用してきた安心感がありますが、環境の変化がめまぐるしい昨今、いつまでも通用する保証はありません。中途採用は自社に新しい風を吹かせる良い機会であり、そういった意味で、中途採用者の本人流を一概に否定してしまうのはもったいない面もあります。

    前置きが長くなりましたが、中途採用者が前職と自社とのギャップに悩んでいる場合、経営者に求められることは1つです。それは、

    ギャップの内容を明らかにした上で、あえて本人流でやらせて会社に新しい風を吹かせるのか、自社流を身に付けさせて確実な戦力とするのかを判断すること

    です。

    2 本人流でやらせるのか、自社流を身に付けさせるのか

    中途採用者が仕事で成果を上げられない場合、冒頭の図表1のように、

    仕事の進め方をいくつかのカテゴリーに分けて、本人流と自社流を比較する

    と、どこにギャップがあるのかが分かります。中途採用者と面談する際などに、実際に本人に書かせてみるとよいでしょう。

    問題はギャップの内容が分かった後、本人流でやらせるのか、自社流を身に付けさせるのかですが、これを判断するには

    今の自社流の仕事にどのような課題があるのかを整理する必要

    があります。取材ライターのケースの場合、イメージは図表2(課題は赤字部分)です。

    画像2

    図表2の場合、記事の内容のマンネリ化や取材先の熱量の確保などが課題として挙げられます。そして、自社流の課題が抽出できたら、次はその課題を本人流で解決できるかを検討します。イメージは図表3です。

    画像3

    図表3の場合、独自のネットワークで取材先を確保したり、取材先に自由に話してもらったりするタイプの本人流は、自社流の課題を解決できる可能性があります。こうした場合であれば、

    実験のつもりで、あえて本人流で仕事をやらせてみるのも1つの手

    です。ただし、会社として不安がある場合、本人流は部分的に認めるにとどめます。例えば、図表3の「1人で記事を作成し、その後取材先が原稿を確認する」は、中途採用者の実力が分からないうちから全面的に認めるのはリスキーなので、上司がこまめに進捗を確認するなどします。

    もし、本人流で自社流の課題を解決するのが難しく、他に本人流を認めるメリットもないようであれば、ひとまずは自社流を身に付けさせます。前職での経験があるので、新卒の社員のように知識や技術を一から教える必要はありませんが、それ以外の部分については、上司や先輩が付くなどして丁寧に教えましょう。ただし、

    どの程度の期間で自社流を身に付けさせるのかは、明確に基準を決めておく必要

    があります。前述したように、前職の経験を踏まえて中途採用する場合、賃金などについてそれなりのコストがかかってきます。新しい環境に適応するのも仕事のうちであることを中途採用者に伝え、一定の厳しさを持って臨みましょう。

    3 既存社員の自社流をブラッシュアップする

    中途採用者に本人流で仕事をやらせてみて、それが成果につながるようであれば、その中途採用者には引き続き本人流で仕事をしてもらってもよいでしょう。また、

    中途採用者の本人流が、既存社員にも再現可能なものであれば、社内に周知して全社的に仕事の進め方をブラッシュアップしていくことを検討

    します。自社流の長所はそのまま活かしつつ、課題となっている部分に中途採用者の本人流を当てはめて良いとこ取りをしていくイメージです。

    なお、自社流に慣れている既存社員の中には、何かと理由を付けて仕事の進め方を変えたがらない困った人もいます。こうした社員にも変化を促していくためには、

    経営者や管理職が、日ごろから新しい仕事の進め方を模索する姿勢でいる

    ことが大切です。例えば、自社流に改善点がないかを常に考える、前例踏襲でのみ仕事をする「思考停止」の社員には厳しく接するといった具合です。ケース・バイ・ケースではありますが、「会社がより良い方向に向かうのであれば、朝令暮改もやむを得ない」という気構えでいるぐらいがちょうどよいのです。

    以上(2024年1月更新)

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    歯学博士が教える「オーラルケア」 口の健康管理でカラダも快調!

    書いてあること

    • 主な読者:最近、よく聞く「オーラルケア」について知りたい経営者
    • 課題:歯科健診は、会社に実施義務はないが、やったほうがいい? 費用はどのくらい?
    • 解決策:口の中をケアすることでカラダ全体が健康になる。無料で受診できる場合がある

    1 口の中が健康ならカラダも健康~オーラルケアのススメ

    「オーラルケア」とは、

    歯や歯茎だけではなく、口の中(口腔)全体をケアし、虫歯や歯周病などを予防・治療すること

    です。オーラルケアによって脳や心臓の病気、糖尿病などのリスク低減につながるとされているので、歯科医師による「歯科健診」を実施することをお勧めします。

    この記事では、東京都向島歯科医師会 おおくぼ歯科医院(東京都墨田区)の院長を務める、歯学博士の大久保勝久(おおくぼかつひさ)氏からお聞きした、オーラルケアや歯科健診のポイントを紹介します。お伝えしたいことは次の通りです。

    • 口の中の健康は、カラダ全体の健康と密接に結びついている
    • 自治体が定める特定の年齢に該当すると、無料または安価で歯科健診を受診できる
    • 歯科健診の結果に応じて、歯科医師の他、理学療法士や管理栄養士など、さまざまな専門家のサポートが受けられる
    • 日ごろから口の中や口臭をチェックする癖を付けておくと、異常を見つけやすくなる

    2 オーラルケアをおろそかにするとどうなる?

    1)口の中の健康は、カラダの健康と密接に結びついている

    口の中の環境は、カラダのさまざまな疾患と関係しています。

    口は禍の門

    虫歯や歯周病は歯や歯茎が痛むだけでなく、脳や心臓の病気につながる恐れがありますし、糖尿病とも関連性が深いとされています。

    「歯の1本1本には血管が通っています。虫歯や歯周病になると、歯や歯茎から菌が入って血管から全身に運ばれます。例えば、菌が心臓の膜にこびりつくと、動脈硬化が進んで狭心症や心筋梗塞の原因になります。他の臓器でも同じような現象が起こり得ます。
     また、歯や歯茎から入る菌の中には、血糖値をコントロールするインスリンの働きを妨げるものがあり、これが糖尿病の原因になります。ちなみに、これを逆手に取って患者の歯石(歯垢(しこう)が硬くなったもの)を除去し、血糖値を下げるという治療法もあります」(大久保氏)

    舌や喉のケアも大切です。歯科医師が注目しているのは、

    物をうまく食べられなくなったり、飲み込めなくなったりする「嚥下(えんげ)障害」

    です。嚥下障害は、嚥下機能(噛(か)んだり、飲み込んだりする機能)が、加齢などで衰えることによって起こります。

    「嚥下機能が衰えると、食べ物や飲み物でむせやすくなり、放置しておくと、それらが肺に入って誤嚥性(ごえんせい)肺炎を起こす恐れがあります。特に高齢者は、誤嚥性肺炎により亡くなるケースが少なくありません」(大久保氏)

    2)歯科健診が、重大な疾患の予防や早期発見につながる可能性がある

    図表2は、東京都歯科医師会が「口腔機能の向上」が必要な特定高齢者を選別するために使用しているリーフレットです。

    口の中の健康状態

    高齢者向けの内容ですが、仮に「最近、固いものが食べにくくなった」「お茶や汁物等でむせることがある」など思い当たる節があったり、口の中がリーフレットの写真と似たような状態にあったりするなら、早めに歯科医師に相談したほうがいいでしょう。

    「例えば、嚥下障害は加齢だけでなく、脳梗塞を患ったり口腔にがんができたりして起きることもあります。逆にいうと、口の中に違和感があると思ったタイミングで歯科医師に診てもらえば、そうした疾患を早期に発見し、重篤化を防げる可能性があります」(大久保氏)

    逆に異常があるのに放置しておくと、症状は時間とともにさらに悪化します。

    「30~40代の頃は、歯に物が挟まったり歯茎から血が出たりするぐらいだった人が、50~60代になって、歯がグラグラするようになり物が噛めなくなるケースなどがあります。オーラルケアは『症状が軽いうちから』が基本です。ですから、定期的に『歯科健診』を受け、口の中をこまめに歯科医師にチェックしてもらうことは、とても大切です」(大久保氏)

    3 歯科健診は「口の中の健康診断」。その費用は?

    1)歯科健診でチェックする項目は主に7つ

    歯科健診は、正しくは「歯科健康診査」といい、主に虫歯・歯周病の予防と早期発見・治療のために、歯の健康状態を確認するプログラムのことを指します。要は「口の中の健康診断」で、

    定期健康診断などと同じように、定期的(年1回など)に実施するのが望ましい

    とされています。

    日本では、乳幼児(1歳半・3歳)から高校生までは、自治体や学校による歯科健診の実施が義務付けられていますが、成人については義務付けられていません(例外として、一部の有害な業務に従事する社員については、会社による歯科健康診断の実施が義務付けられています)。

    ただ、オーラルケアがカラダ全体の健康に影響することから、政府は歯科健診の重要性に注目していて、2023年の骨太の方針でも「生涯を通じた歯科健診(国民皆歯科健診)」に向けた取り組みなどを推進していくと表明しています。

    日本歯科医師会では、歯科健診の主な内容として、次の7つを挙げています。基本的には歯や歯茎のケアが主体になりますが、「7.歯科相談」では嚥下機能などにも焦点を当て、口の中全体のケアを行います。

    一般的な歯科健診の内容

    2)定期健康診断の実施先に相談すれば、歯科医師を紹介してもらえる

    歯科健診を実施するのは歯科医師です。どこの歯科医師に頼めばいいか分からない場合、ひとまず定期健康診断の実施先の医療機関に相談するのがよいそうです。

    「定期健康診断の実施先で、法定項目以外のオプション検査を設けている医療機関はたくさんありますが、歯科健診をオプションにしているという話はあまり聞きません。ですが、こうした医療機関の多くは、同じ地域の歯科医師会とつながりがあるので、『歯科医師を紹介してほしい』と頼めば、応じてくれる可能性が高いです」(大久保氏)

    社員に歯科健診を受けさせたい場合、定期健康診断と時期を合わせて、年1回など定期に実施するとよいでしょう。ただし、歯科健診を受けさせるためには、事前に「就業規則等に、歯科健診の受診を義務付ける規定を設ける」か「本人の同意を得る」必要があります。

    3)歯科健診の費用は1人当たり8000円ぐらいだが、自治体によっては無料

    前述した通り、成人に対する歯科健診の実施義務はありませんが、各自治体(市区町村)では

    特定の年齢に該当する成人が、無料または安価で歯科健診を受けられる「成人歯科健診」

    を実施しています。例えば、東京都墨田区の成人歯科健診の内容は次の通りです。

    • 対象:20歳、25歳、30歳、35歳、40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳の区民
    • 内容:問診、口腔内診査(歯や歯茎の状況、清掃状況など)、健診結果に基づく指導
    • 健診費用:無料
    • 受診方法:誕生月の下旬に、自治体が成人歯科健診の実施先の一覧と診査票を送付するので、電話予約して受診する(通知を受け取った日から、翌年の誕生日の前日まで)

    特定の年齢に該当しなくても歯科健診は受けられますが、その場合は費用が発生します。

    「医療機関によって異なるので一概にはいえませんが、費用負担が発生する場合、1人当たり8000円ぐらいになると思います」(大久保氏)

    4)歯科健診後は、必要に応じて理学療法士などのサポートも受けられる

    歯科健診後は、歯科医師から本人に対し、保健指導が行われます。保健指導の内容は、

    • 本人の口の中の健康状態や、食生活の注意点などに関する情報提供
    • 口の中の悩みに関する相談・カウンセリング
    • 治療のための受診などの推奨、医療機関などの紹介
    • 歯の正しい磨き方などの実技指導

    など、さまざまです。なお、オーラルケアに関わるのは歯科医師だけでなく、口の中の健康状態に応じて、理学療法士や管理栄養士がサポートに入ることもあるそうです。

    「例えば、嚥下障害の場合、嚥下機能の回復訓練が必要なら理学療法士に、専門的な栄養指導が必要なら管理栄養士に相談するケースがあります。かつてのオーラルケアは、歯科医師だけしか関与しない、ある意味閉鎖的な側面があったのですが、今はさまざまな職種の人を巻き込んで、地域全体でオーラルケアに取り組もうという流れに変わってきています」(大久保氏)

    4 個人で行うオーラルケアのポイントは?

    1)歯は「鏡を見つつ、奥歯から磨く」

    歯磨きは、自分では磨けているつもりでも、実は一部の歯に歯ブラシがちゃんと届いていないケースが多いです。歯磨きのポイントはたくさんありますが、まずは「鏡を見つつ、奥歯から磨くこと」が大切です。

    「前歯以外の歯は、基本的に自分がイメージするより、さらに奥にあります。ですから鏡を見つつ、奥歯から磨くようにすると、磨き残しが少なくなります。また、利き手の関係で歯ブラシが届きにくい箇所が出てきますから、奥歯から磨くのと併せて『一度右側から磨いたら、今度は左側から磨いてみる』など、歯磨きのルートを変えてみることも大切です」(大久保氏)

    なお、自分に合った歯の磨き方は、「親知らずが生える途中か」「歯に詰め物があるか」「喫煙しているか」など、歯の状況や生活習慣によって変わります。日本歯科医師会ウェブサイトに、年齢や性別を選択した上でいくつかの質問に答えると、自分に合った正しい歯の磨き方を教えてくれるページがあるので、気になる人はのぞいてみてください。

    ■日本歯科医師会「あなたにピッタリな歯のみがき方を探してみよう!!」■

    https://www.jda.or.jp/hamigaki/

    2)水分はこまめに摂(と)る、ただし飲み方に気を付けて

    水分が不足すると口の中に汚れが残りやすくなり、虫歯や歯周病の原因になります。ですから、日ごろから水分はこまめに摂ることが大切です。ただ、飲み物を飲む嚥下機能は加齢とともに落ちていいきます。そのため、高齢になったら、

    • 一度に多くの量を飲もうとせず、コップ1杯分くらいの量を数回に分けて飲む
    • 薬を飲む場合、「水→薬(粉薬)→水→薬(錠剤1、2錠)→水→薬(錠剤1、2錠)」といった順番で、少しずつ口に含むようにする

    など、飲み方に気を付けましょう。

    「夜も口の中に汚れがあると、寝ている間にそれが喉に入り、誤嚥性肺炎を起こす恐れがあります。夜、酒を飲んで帰宅するときなどは、歯磨きを忘れたまま寝てしまいがちですが、うがいをするだけでも最低限の効果はあるので、忘れないようにしましょう」(大久保氏)

    3)嚥下機能の衰えに備えて、今から体操やマッサージを心掛ける

    嚥下機能の衰えは、訓練次第である程度抑えることができます。例えば、

    口を最大限に開き、10秒間その状態を保持する動きを、1日5回×2セット

    やってみてください。「開口訓練」といいますが、これを繰り返すことで、食道の入り口部分の面積が広がるなどして、食べ物が喉に詰まりにくくなります。この他、有名なものとして、

    • 「パ」「タ」「カ」「ラ」の発音を素早く行い、口や舌の動きを良くする「パタカラ体操」
    • 耳下や顎下の特定の場所を指で押すことで、唾液が出やすくなる「唾液腺マッサージ」

    などがあります。日本歯科医師会ウェブサイトで、「オーラルフレイル対策のための口腔体操」として紹介されているので、気になる人はのぞいてみてください。

    ■日本歯科医師会「オーラルフレイル対策のための口腔体操」■

    https://www.jda.or.jp/oral_frail/gymnastics/

    4)口の中の自覚症状に敏感になる

    一番大切なのは「口の中の自覚症状に敏感になること」です。例えば、毎日歯磨きをする中で、「歯肉の色が赤い、腫れている」「歯の間に物が挟まりやすい」などの違和感を覚えたら、早めに歯科医師に相談してください。

    また、目から入ってくる情報だけでなく、口臭にも注意が必要です。

    「例えば、毎日ちゃんと歯を磨いているのに口臭がきつい場合、内臓疾患の恐れがあります。実際に口臭が気になって受診してみたら、初期のがんであることが分かり、早めに対処できたケースもあります。繰り返しになりますが、日ごろから口の中をこまめにケアすることが、カラダ全体の健康を守ることにつながるのです」(大久保氏)

     

    大久保勝久(おおくぼ かつひさ)
    公益社団法人 東京都向島歯科医師会 おおくぼ歯科医院院長。
    大久保勝久
    1985年に東京都墨田区で同医院を開業後、1992年に移転。以来、30年にわたって地域住民の口腔内の健康管理に積極的に取り組み、高齢者の訪問診療や介護予防にも注力。豊富な診療経験と、行政や多職種と連携した地域のネットワークを活かし、現在は子どもから大人まで生涯を通じての食事指導や災害時の食支援ネットワークにも携わっている。

     

     

    以上(2024年1月)

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    事例でわかる外国人雇用の労務リスク ~外国人技能実習制度と特定技能制度~

    令和4年10月末現在、1,822,725人の外国人が日本で雇用されています(厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況のまとめ」より。)。このうちの422,308人(23.2%)を、在留資格「技能実習」、そして在留資格「特定技能」で占めています。いずれも企業の「現場」で働く、いわゆるブルーカラーの外国人労働者です。

    この2つの制度、とりわけ「技能実習制度」では、これまで多くの労務管理上のトラブルが発生しています。ここでは2つの制度の最近の動きや、「企業」そして「外国人労働者」、各々に起因する様々なトラブル事例とその原因、対策等についてご説明します。

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    事例でわかる外国人雇用の労務リスク ~外国人技能実習制度と特定技能制度~

    令和4年10月末現在、1,822,725人の外国人が日本で雇用されています(厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況のまとめ」より。)。このうちの422,308人(23.2%)を、在留資格「技能実習」、そして在留資格「特定技能」で占めています。いずれも企業の「現場」で働く、いわゆるブルーカラーの外国人労働者です。

    この2つの制度、とりわけ「技能実習制度」では、これまで多くの労務管理上のトラブルが発生しています。ここでは2つの制度の最近の動きや、「企業」そして「外国人労働者」、各々に起因する様々なトラブル事例とその原因、対策等についてご説明します。

    1 はじめに ~「技能実習制度」と「特定技能制度」の最近の動き~

    (1)外国人技能実習制度

    「技能実習」は、我が国の技能・技術・知識を発展途上国に移転させる国際協力を目的とした制度として平成5年に創設されました。技能、技術等の習得段階によって「技能実習1号」(1年目)、「技能実習2号」(2年目~3年目)、そして「技能実習3号」(4年目~5年目)の区分に分かれて在留資格が存在します。なお、「第3号技能実習」は一定の基準を満たす「優良な監理団体」かつ「優良な実習実施者」でのみ実施することができるとされています。

    令和4年10月現在、約343千人(18.9%)が技能実習生として働いていますが、同年11月に立ち上がった「外国人技能実習制度および特定技能制度の在り方に関する有識者会議」において、「現行の技能実習制度は廃止し、人材確保・人材育成を目的とした新しい制度を立ち上げる」ことが令和5年5月の中間報告書に明記されました。受入れ企業においては、これまでは多くの場合、原則3年間は自社において働く有期雇用労働者であったものが、今後は

    ① 同一の受入れ企業等において就労した期間が1年を超えていること
    ② 技能検定(基礎級)等および日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)に合格していること

    の2つの条件を満たしている場合、本人の意向による転籍を認める方向で、最終報告書作成に向けて検討が進められています(当分の間、分野によって1年を超える期間の設定を認めるなど、必要な経過措置を設けることも検討)。

    ただ、新しい制度ができて直ぐに技能実習を廃止するのではなく「政府は、現行の技能実習制度から新たな制度への移行に当たっては、(中略)、現在も多くの技能実習生が受け入れられているという実態に留意し、移行期間を十分に確保すべきである。」とされる見込みです(注)。

    (2)特定技能制度

    特定技能制度とは、深刻な人手不足に対応するため、令和元年に制定された、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れる制度です。特に国内で充分な人材が確保できない12分野を「特定産業分野」(介護業、ビルクリーニング業、素形材・産業機械・電気電子部品関連製造業、建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業)とし、現場作業等で雇い入れることができます。なお、在留期間については、特定技能1号は5年を上限に、特定技能2号は上限なく日本に在留することができるとされています(特定技能2号については、要件を満たせば配偶者や子の帯同も可能。)。

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    建設業2024年問題。人手不足を解決するための働き方改革のポイント

    書いてあること

    • 主な読者:「建設業2024年問題」に危機意識を持っている経営者・人事労務担当者
    • 課題:長時間労働を改善したいが、業界の慣習などもあってどう対応していいか分からない
    • 解決策:人手不足の原因を掘り下げ、賃上げや業務のDX化、アウトソーシングなどを行う

    1 建設業2024年問題をどうやったら乗り切れるのか?

    建設業2024年問題とは、働き方改革関連法によって、

    これまで適用を猶予されていた建設業にも、2024年4月1日から「時間外労働の上限規制」が適用されるようになること

    です。労働基準法では時間外労働について「原則1カ月45時間、1年360時間までを上限とする」などのルールを設けています。建設業の1カ月の所定外労働時間(就業形態計、年平均)は、2019年以降は働き方改革の影響もあってやや減少したものの、2003年(9.8時間)から2022年(13.8時間)の20年間では増加傾向にあり、2022年時点では調査産業計(10.1時間)よりも3.7時間多くなっています。

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    建設業の場合、例えば、

    • 社員の高齢化が進む一方、職場のイメージなどから若手がなかなか入ってこない
    • 工期の関係で、月曜日から土曜日の週6日勤務が当たり前になっている
    • 日中は現場で作業し、夜、会社に戻ってから事務作業を行うのが常態化している

    といった会社などは、長時間労働に陥りやすい傾向があります。このままでは建設業2024年問題への対応が難しいのが実情です。そこで、この記事では、建設業2024年問題を乗り切るためのポイントを3つ紹介します。

    • 時間外労働の上限規制の内容を押さえる
    • 人手不足の原因を掘り下げて考え、働き方改革につなげる
    • 賃上げや業務のDX化、アウトソーシングなどの施策を打つ

    2 時間外労働の上限規制の内容を押さえる

    まずは、時間外労働の上限規制の内容を正確に押さえましょう。そもそも

    時間外労働とは、法定労働時間(原則1日8時間、1週40時間)を超える労働のこと

    です。本来、社員は法定労働時間しか働けませんが、会社が社員の代表(過半数労働組合または過半数代表者)と通称「36(さぶろく)協定」と呼ばれる労使協定を締結し、所轄労働基準監督署に届け出れば、原則36協定に定めた時間数の範囲内で社員に時間外労働を命じられます。

    法改正前は、社員に命じられる時間外労働の時間数について具体的な上限が定められていなかったのですが、建設業の場合、2024年4月1日から図表2のように上限が設定されます。

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    この上限規制は、

    2024年4月1日以後に効力を発生する36協定について適用

    されます。2024年3月31日以前に効力を発生した36協定がまだ有効な場合、その協定に定めた有効期限までは時間外労働の上限規制は適用されず、次に締結する36協定から適用されます。時間外労働の上限規制に違反した場合、労働基準法により、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象になります。

    3 人手不足の原因を掘り下げて考え、働き方改革につなげる

    建設業は、工期が決まっている上に、下請が元請に合わせて働かないといけないケースが多いため、長時間労働にメスを入れにくい業界といわれています。そこで、

    今の状況のまま労働時間を減らすのではなく、人手を増やし1人当たりの作業量を減らす

    という発想で長時間労働の改善を考えてみましょう。まずは人手不足の状況の整理です。建設業における職業別就業者数の推移を見ると、全体の就業者数は2003年(604万人)から2022年(479万人)にかけて125万人減少しています。就業者の多くを占める技能者も、2003年(401万人)から2022年(302万人)にかけて99万人減少しています。

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    次に注目したいのが、

    若手がなかなか入らず、就業者の高齢化が進行している

    という状況です。建設業における55歳以上の就業者の割合は、2003年(26.0%)から2022年(35.9%)にかけて9.9ポイント増え、逆に29歳以下の割合は、2003年(17.7%)から2022年(11.7%)にかけて6.0ポイント減っています。しかも、55歳以上の割合は全産業を上回り、逆に29歳以下の割合は全産業を下回るという状態が20年間ずっと続いています。

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    従って、人手不足の解消に当たってはまず

    いかに若手の入職率を向上(または離職率を低下)させるか

    を考えることが大切です。少々古いデータになりますが、若手の建設技能労働者が入職しない、または離職する原因としては、「収入の低さ」「仕事のきつさ」「休日の少なさ」「作業環境の厳しさ」などが関係しているケースが多いようです。

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    これらの問題を解決し、若手の入職率を向上(または離職率を低下)させることができれば、人手不足の解消につながるでしょう。仮に即座に若手の採用などにつながらなくても、

    「仕事のきつさ」「休日の少なさ」などを改善する取り組み自体が、既存社員の長時間労働の改善につながりやすい

    ので、やってみる価値は十分あります。次章で具体的な取り組みの内容をいくつか紹介します。

    4 賃上げや業務のDX化、アウトソーシングなどの施策を打つ

    1)賃上げ

    冒頭でも軽く触れましたが、建設業では「工期の関係で、月曜日から土曜日の週6日勤務が当たり前になっている」という会社が少なくありません。ただ、これは工期だけの問題ではなく、

    建設業に日給制の会社が多く、週6日勤務しないと生活給を確保できない

    という社員側の事情が絡んでいるケースもあるようです。もし、今よりも単時間労働分の賃金を上げることができれば、生活給を当てにしている既存社員の時間外労働を減らしつつ、前述した若手の「収入の低さ」「休日の少なさ」などに対する不満を解消できるでしょう。

    厚生労働省が毎年3月ごろに公表する「賃金センサス(賃金構造基本統計調査)」には、賃金や賞与に関するデータが、会社の規模や産業、社員の属性(性別、年齢、勤続年数、役職、職種など)に応じて細かく分けられています。例えば、建設業の「所定内給与額(基本給など)」は、2022年時点で1カ月当たり33万5400円です(一般労働者の場合)。

    自社の賃金が世間相場を下回っている場合、賃上げを検討してもよいかもしれません。ただ、基本給などの固定的な賃金は一度上げると簡単に下げられないので、慎重を期すなら、まずは

    支給要件を満たす社員に対して支給する「手当」の増額

    で対応するとよいでしょう。建設業であれば、現場作業に従事する社員に支給する「現場手当」や、建築士・土木施工管理技士などの有資格者に支給する「資格手当」などがそうです。雪が多い地域では、除雪作業を行う社員に手当を支給するケースなどもあります。

    2)業務のDX化、アウトソーシング

    建設業の会社の中には、業務のDX化を図ることで長時間労働の改善を図っているところが数多くあります。例えば、

    • 施工管理アプリを導入し、オンラインで図面上にメモや写真を残せるようにすることで、会社に資料を取りに戻ったり、印刷したりする手間を削減する
    • 測量や土量算出を、人力ではなくドローンやレーザースキャナーを活用して行うことで、現場の社員の負担を軽減する
    • 発注者・元請・下請間の連絡を、オンライン会議システムで行うようにすることで、日程調整や移動にかかる時間を削減する
    • 社員にタブレット端末を貸与し、現場での作業を終えた後、会社に戻らなくても事務作業を行えるようにする。クラウド勤怠管理システムも導入し、打刻も現場で行う

    といった取り組みがあります。また、これまで現場の社員がやっていた業務を、別部署や外部の業者にアウトソーシングしている会社もあります。例えば、

    • 現場の社員が行っていた安全書類等のチェックを別部署に委託する
    • 3D施工図の設計を外部のCADオペレーターに委託する

    といった取り組みがあります。業務のDX化、アウトソーシングの取り組みは、前述した若手の「仕事のきつさ」「作業環境の厳しさ」などの不満解消につながるでしょう。なお、これらの取り組みについては、国土交通省が詳細な事例集を公表していますので、興味がある人は下記URLからご確認ください。

    ■国土交通省「建設業における働き方改革推進のための事例集(下記URL下段)」■
    https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_fr1_000001_00050.html

    3)元請との関係調整

    社内で働き方改革を推進したくても、取引先との関係が影響してなかなか前に進まないというのは、どの業界でもある話です。建設業の場合、前述した通り、下請が元請に合わせて働かないといけないケースが多いなど、「元請>下請」という力関係になりがちです。

    下請法などにより、元請と下請は対等な関係で取引できるようにルールが整備されていますが、なかには力関係を盾に、元請が下請に理不尽な要求をのませようとする悪質なケースもあります。

    社員を守るためにも、明らかに理不尽な要求に対しては泣き寝入りせず、毅然とした対応を取ることが大切です。もしも元請・下請間でトラブルになりそうなときは、次のような相談窓口を活用しましょう。

    ■中小企業庁「下請かけこみ寺」■
    https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/kakekomi.htm
    ■公正取引委員会「独占禁止法相談ネットワーク」■
    https://www.jftc.go.jp/soudan/index.html

    4)「3K」のイメージを払拭する

    採用活動社内の働き方改革を図ることができたら、それらを若手の求職者に上手に伝えることが大切です。

    例えば、賃金額が世間相場よりも高かったり、ユニークな手当を導入したりしている場合、求人情報でしっかりPRしたいところです。

    また、建設業は、いわゆる「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージを持たれがちですが、前述した業務のDX化などが進む中で、社員の働き方は変わりつつあります。施工管理アプリやドローンを使って事業を行っている場合などは、その様子を動画で撮影して、会社のウェブサイトやSNSなどで視聴できるようにすると、若手が興味を持ちやすいかもしれません。

    以上(2024年1月作成)
    (監修 ひらの社会保険労務士事務所)

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    【中堅社員のスピーチ例】今年こそ「竜頭竜尾」を貫こう

    皆さん、あけましておめでとうございます。早速ですが、今日は私の新年の抱負を聞いていただきたいと思います。「私は今年2024年中に、今のわが社にない新サービスを立ち上げます!」

    あれ……なんだか苦笑する声が聞こえますね。無理もありません。覚えてらっしゃる人もいるかと思いますが、実は私、昨年2023年の1月にも「新サービスを立ち上げる」という、今と全く同じ抱負を述べたのです。そして、あろうことか、本来なら2023年中に達成すべきだったその目標を、途中で投げ出してしまいました。

    最初はわが社に何が足りないかを分析したり、同業他社が集まる展示会を見に行ったりと自分なりに動いていたのですが、途中から目の前の業務が忙しくなって次第にやる気が薄れ、諦めてしまったのです。昨年の1月に抱負を述べた自分を思い起こすと、正直「口だけで終わってしまった」と、恥ずかしい気持ちでいっぱいです。

    「竜頭蛇尾(りゅうとうだび)」という四字熟語がありますよね。頭は立派な竜なのに、尾は細くて弱そうな蛇。最初は勢いが良くても、最後は尻すぼみで勢いがなくなってしまうという意味で使われます。昨年の私がまさにそれでした。新年の初めにあったエネルギーが、時間とともになくなっていく自覚があり、たびたび「業務が忙しいのは皆同じじゃないか、頑張れよ」と自分に言い聞かせるのですが、結局最後は気持ちが折れてしまって自己嫌悪になりました。

    2024年も同じことを繰り返すわけにはいかない。どうにかやる気を持続させたい。色々考えた結果、私はその方法を一つ思いつきました。それは、「毎日を新年の初めのような気持ちで生きる」というものです。新年の初めのような節目のタイミングというのは、大げさに言うと自分が生まれ変わったような感覚になり、誰でもやる気に満ちあふれています。

    だから、今年の私は「2024中に新サービスを立ち上げる」という目標を毎日自分に言い聞かせ、目標達成のために毎日やるべきことを決めて1日ずつ全力で取り組みます。42.195キロを走る際、1回きりの長距離走ではなく、全力の短距離走を何回も繰り返してゴールにたどり着くようなイメージです。何だか幼稚に聞こえるかもしれませんが、気持ちを強く持ち続けられない人間が志を貫くには、まず仕事に対する向き合い方を変えなければならないと考えました。

    先程「竜頭蛇尾」という四字熟語についてお話ししましたが、今年の私のテーマは言ってみれば「竜頭竜尾(りゅうとうりゅうび)」です。頭は立派な竜で、尾も立派な竜。今年2024年の干支も「辰(たつ)」ですが、地上から天空を目指して登り続ける竜のように、目標に向かって走り続け、年の最後に「よく頑張ったな」と自分で自分を褒められる一年にしたいと思います。今年こそ口だけで終わらせず、来年この場で皆さんに良い報告ができるよう頑張ります。

    以上(2024年1月)

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    画像:Mariko Mitsuda

    【規程・文例集】最新法令に対応した「就業規則」のひな型

    書いてあること

    • 主な読者:古い就業規則を使っていて、内容をブラッシュアップしていない経営者
    • 課題:就業規則は内容が多岐にわたるため、具体的にどう見直せばよいのか分からない
    • 解決策:「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」を中心に、就業規則全体を見直す

    1 就業規則の見直しは絶対的必要記載事項から

    就業規則とは、賃金や労働時間などの労働条件、職場内の規律などについて定めた会社のルールブックで、常時10人以上の社員が働く事業場では作成・届け出が義務付けられています。本来は「法改正、社員数の増加、働き方改革」など、自社の状況や制度の変化に応じてブラッシュアップしていく必要があるのですが、実際は、

    • 社歴が長く、労使関係が落ち着いているので、就業規則を見直す必要性がない
    • 問題が起きると都度、経営者が判断しているので、就業規則に落とし込む必要がない

    といった理由から、古い就業規則をそのまま使っている会社が少なくありません。ただ、こうした運用は、大きなトラブルが起きた場合にリスクです。

    就業規則の記載事項は次の3つに分かれており、特に「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」が、最新の法令に基づく内容で漏れなく定められているかを確認するのが先決です。

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    次章では、就業規則のひな型を紹介します。ここまでの内容を踏まえた上で、自社の就業規則の見直しにご活用ください。

    2 就業規則のひな型

    以降で紹介するひな型は一般的な事項をまとめたものであり、個々の企業によって定めるべき内容が異なってきます。実際に就業規則を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

    【就業規則のひな型】

    第1章 総則

    第1条(目的)

    この就業規則(以下「本規則」)は、株式会社○○○○(以下「会社」)の従業員の労働条件、服務規律、その他就業に関して必要な事項について定めたものである。会社と従業員は本規則を遵守し、会社の発展に寄与するものとする。なお、本規則に定めのない事項は、労働基準法およびその他の関係法令によるものとする。

    第2条(適用範囲)

    本規則の適用を受ける従業員は、第3条および第4条の手続きを経て、会社と期間の定めがない労働契約を交わした従業員とする。期間に定めのある労働契約を交わした短時間勤務従業員は別途定める「パートタイマー就業規則」(省略)、期間に定めのある労働契約を交わした従業員は別途定める「契約従業員用就業規則」(省略)の適用を受けるものとする。また、パートタイマー就業規則および契約従業員用就業規則で規定する「無期労働契約への転換」によって無期労働契約に転換した従業員は、本規則の適用を受けず、転換後も各々の規則を適用とする。

    第2章 採用、異動

    第3条(採用の手続き)

    会社は、就職を希望する者の中で、次の各号に定める書類を提出した者の中から、面接その他一定の選考試験により採用者を決定する。ただし、状況により、会社はその一部の書類の提出を求めないことがある。

    1. 履歴書
    2. 職歴のある者については職務経歴書
    3. 写真(提出日前3カ月以内に撮影したもの)
    4. 学校の卒業証明書または卒業見込証明書および成績証明書(原則として新卒者のみ)
    5. 会社が指定した資格証明書のコピー
    6. 在留カードのコピー(在留資格を有する外国人のみ)
    7. その他、会社が指定する書類

    第4条(採用時の提出書類)

    1)従業員として採用された者は、採用日から2週間以内に次の各号に定める書類を提出しなければならない。ただし、状況により、会社はその一部の書類の提出を求めないことがある。

    1. 誓約書
    2. 身元保証書
    3. 住民票記載事項証明書。個人番号(マイナンバー)が記載されているものの場合は、第8号の書類を提出する必要はない
    4. 通勤経路図
    5. 入社の年に給与所得があった者については、源泉徴収票
    6. 基礎年金番号が確認できる書類(基礎年金番号通知書など)の写し、雇用保険被保険者証(職歴のある者)
    7. 給与所得の扶養控除等(異動)申告書
    8. 個人番号(マイナンバー)カードの表裏面の写し、または個人番号(マイナンバー)の通知カードの写し。なお、個人番号(マイナンバー)カードの表裏面の写しの場合は、第9号の書類を提出する必要はない
    9. 自動車運転免許証または旅券の写し(有効期間内のもので、顔写真、氏名、住所、生年月日が分かるもの。ただし、交付されている場合に限る)
    10. 健康診断書(提出日前3カ月以内に受けたもの)
    11. その他、会社が指定する書類

    2)前項の提出書類の記載内容に変更があったときは、速やかに所属長に届け出なければならない。

    3)会社は、第1項の提出書類を人事労務に関する手続きおよび人事労務管理のために利用するものとし、その他のために利用する場合には従業員から同意を得るものとする。

    4)前各項の規定にかかわらず、個人番号(マイナンバー)および個人番号(マイナンバー)をその内容に含む個人情報(以下「特定個人情報等」)の利用目的や取り扱いは、別途定める「マイナンバー(特定個人情報)取扱規程」(省略)によるものとする。

    第5条(試用期間)

    1)会社が新たに採用した従業員については、採用日から3カ月間を試用期間とする。

    2)採用過程や入社後の業務遂行状況等を考慮し、会社が適当と認めたときは試用期間を短縮または延長することがある。なお試用期間の延長は、3カ月を限度とする。

    3)試用期間は勤続期間に算入する。ただし、賞与の算定対象期間には含まれない。

    4)パートタイマー就業規則に規定する一般従業員への転換(正社員転換)制度により、本規則が適用となる従業員については、試用期間はなしとする。

    第6条(採用取消事由)

    1)試用期間中の従業員が次の各号のいずれかに該当し、本採用が適当でないと認めるときは、会社は本採用を行わない。ただし、改善の余地がある等、特に必要と認めた場合に限り、会社は試用期間を延長し、採用の取り消しを留保することがある。

    1. 遅刻、早退、欠勤等の不就労が多く、出勤状況が悪いとき
    2. 上司の指揮命令に従わない、また報告や連絡を行わない等、組織の秩序を乱す行動態度が見られるとき
    3. 同僚や周囲の従業員とコミュニケーションを取ろうとせず、職場内で協調して働くことができないとき
    4. 必要な教育を行っても会社が求める能力に足りず、また、改善の見込みが低い等業務習得能力が不足すると認められるとき
    5. 重要な経歴を偽っていたとき
    6. 心身の健康状態の悪化により、本採用後の就労が困難と認められるとき
    7. その他上記に準じるまたは解雇事由に該当する場合

    2)採用の日から14日を経過した者の採用の取り消しについては、第48条(解雇予告)の規定を準用する。

    第7条(異動)

    1)業務上の必要がある場合は、会社は従業員に人事異動を命じることがある。人事異動を命じられた従業員は正当な理由なくこれを拒むことはできない。

    2)人事異動の種類は次の各号に定める通りとする。

    1.配置転換

     同一事業場内における所属部門や担当業務等の異動をいう。

    2.転勤

     勤務地の変更を伴う所属部門や担当業務等の異動をいう。

    3.出向

     会社の従業員が社命によって関係会社その他で勤務することをいう。出向については、別途定める「出向者取扱規程」(省略)に基づくものとする。出向先での労働条件等については個別に定める。

    4.転籍

     会社の従業員が社命によって関係会社その他へ籍を移し、勤務することをいう。転籍は、本人の同意を得るものとする。転籍先での労働条件等については個別に定める。

    第8条(赴任)

    異動を命じられた従業員は、次の各号に定める期間内に赴任しなければならない。

    1.住居の移転を伴う異動

     発令日より原則として2週間以内

    2.住居の移転を伴わない異動

     発令日より原則として1週間以内

    第9条(業務の引き継ぎ)

    異動を命じられた従業員は、会社が指示する期間内に速やかに後任者に業務の引き継ぎを行わなければならない。後任者がいないとき、あるいは後任者の着任が遅れるときは、速やかに所属長に業務の引き継ぎを行うものとする。

    第3章 服務規律

    第10条(服務規律の基本原則)

    従業員は、会社の指揮命令に従い、職務上の責任を自覚し、互いに協力して誠実に職務を遂行するとともに、職場の秩序の維持に努めなければならない。

    第11条(服務心得)

    1)従業員は、次の各号に定める事項を遵守しなければならない。

    1. 勤務時間中は誠実に業務に励み、正当な理由なく無断欠勤および遅刻、早退、私用外出等をしないこと
    2. 許可なく業務以外の目的で会社の施設、物品などを使用しないこと
    3. 職務に関して自己の利益を図り、または会社の取引先から不当に金品を借用し、もしくは贈与を受けるなどの私的な利益を受けようとしないこと
    4. 整理整頓を徹底し、清潔な職場を心掛けること
    5. 日ごろから健康管理を怠ることなく、自己保健義務を果たすこと
    6. 会社の一員としての自覚と品位を持ち、会社の名誉または信用を傷つける行為をしないこと
    7. 酒気を帯びて就業したり、自動車を運転したりしないこと
    8. 勤務時間中に、職務上の必要がないにもかかわらず電子メールやSNSを私的に利用しないこと。また、職務と関係のないウェブサイトを閲覧したりしないこと
    9. 他の者の業務を妨げないこと
    10. 他の者の就業環境を害さないこと
    11. 業務上の都合により、担当業務の変更または他の部署への応援を命ぜられた場合は、正当な理由なく拒まないこと
    12. 会社の許可なく、会社の文書類または物品を社外の者に交付、提示しないこと
    13. その他、職場の風紀・秩序を乱す行為をしないこと

    2)従業員が会社施設内において政治活動、宗教活動、集会、演説、放送をし、または文書の配布、掲示をしようとする場合は、事前に会社の許可を受けなければならない。

    第12条(機密保持)

    従業員は、自己の担当であるか否かを問わず、業務上知り得た機密を第三者に開示または漏洩もしくは自らのために利用してはならない。退職後も同様とする。

    第13条(副業・兼業)

    1)従業員は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

    2)従業員は、前項の業務に従事するときは、事前に会社に届け出を行うものとする。手続きの方法等については別途定める「副業・兼業取扱規程」(省略)によるものとする。

    3)会社は、従業員が第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止または制限することができる。

    1. 労務提供上の支障がある場合
    2. 企業秘密が漏洩する場合
    3. 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
    4. 競業により、企業の利益を害する場合
    5. 過度な長時間労働が見込まれる場合

    第14条(ハラスメントの禁止)

    従業員は、国籍、信条、性別、性的指向、性自認、職務上の地位・権限・職権、雇用形態に関係なく、職場において相手の人格や尊厳を尊重し、ハラスメント(セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント、パワーハラスメントなど)並びにそれらと疑われる行為をしてはならない。ハラスメントの防止については別途定める「ハラスメント防止規程」(省略)によるものとする。

    第4章 労働時間、休憩、休日・休暇

    第15条(勤務時間、休憩)

    1)1週の労働時間は40時間、1日の労働時間は8時間とする。

    2)始業時刻、終業時刻および休憩時間は次の通りとする。ただし、業務上やむを得ない事由がある場合には、労働時間が8時間を超えない範囲で、始業時刻、終業時刻、または休憩時間を変更することができる。

    1. 始業時刻:午前8時、終業時刻:午後5時
    2. 休憩時間:午後0時から午後1時まで

    第16条(休憩時間の自由)

    従業員は、休憩時間を自由に使用することができる。

    第17条(出勤、退社)

    1)従業員は、始業時刻に所定の方法に従ってその時刻を記録しなければならない。

    2)退社は終業時刻に自己の管理する物品を整理整頓した後、所定の方法に従ってその時刻を記録しなければならない。

    第18条(遅刻、早退、欠勤)

    1)従業員は、遅刻、早退、欠勤しようとするときは、その前日までに所属長の承認を受けなければならない。ただし、やむを得ない事由により事前に所属長の承認を得ることが困難な場合は、当日の始業時刻までに電話などの方法により連絡し、出勤後に速やかに承認を得なければならない。

    2)私傷病による欠勤が連続して3日を超える場合、会社は従業員に医師の診断書などの提出を求めることがある。

    第19条(私用外出)

    勤務時間中に私用による外出を希望する従業員は、あらかじめ所属長の承認を得なければならない。

    第20条(公民の権利)

    従業員が、選挙権の行使や裁判員としての職権行使その他、公民としての権利を行使するために必要な時間を請求するときは、会社は公民権行使に必要な時間を与えるものとする。ただし、業務上の理由により、権利の行使を妨げない限度において従業員が請求した時間を変更することがある。

    第21条(休日)

    1)休日は次の各号に定める通りとする。

    1. 土曜日、日曜日(日曜日を法定休日とする)
    2. 国民の祝日
    3. 会社創立記念日(○月○日)
    4. 年末年始(原則として12月30日から1月3日までの5日間)
    5. その他、会社が指定する日

    2)前項の休日のうち、法定休日を上回る休日は所定休日とする。

    3)業務上、その他必要があるときは、第1項第1号については、休日を週1日確保した上で、事前に通知指定した日と振り替えることがある。

    第22条(時間外労働)

    1)業務上必要がある場合は、所定労働時間を超えて労働を命じることがある。

    2)法定労働時間を超える時間外労働は、従業員の過半数を代表する者との労使協定の範囲とする。

    3)第2項に定める時間外労働は、労働基準法およびその他の関係法令における時間外労働の上限を超えることはない。

    4)満18歳未満の従業員に対しては、原則として時間外労働を命じることはない。

    第23条(代替休暇)

    会社は、1カ月(別途定める「賃金規程」(省略)による賃金の計算期間)の時間外労働が60時間を超えた従業員に対して、従業員の過半数を代表する者との労使協定に基づき、次の各号に定める代替休暇を与えるものとする。

    1. 代替休暇を取得できる期間は、直前の賃金締切日の翌日から起算して翌々月の賃金締切日までの2カ月間とする。
    2. 代替休暇を付与する単位は半日または1日とする。この場合の半日とは、始業時間から始まる連続した4時間、または終業時間から遡る連続した4時間をいう。
    3. 代替休暇の時間数は、1カ月60時間を超える時間外労働の時間数に換算率を乗じて得た時間数とする。この場合において換算率とは、代替休暇を取得しなかった場合に支払う割増賃金率50%から代替休暇を取得した場合に支払う割増賃金率25%を差し引いた25%とする。また、会社は、従業員が代替休暇を取得した場合は、取得した時間数を換算率(25%)で除した時間数については、25%の割増賃金の支払いを要しない。
    4. 前号の代替休暇の時間数は、前々月および前月の代替休暇の時間数を合算して半日または1日とすることができる(この場合は前々月の時間数を優先する)。また、代替休暇の時間数に半日または1日に満たない端数がある場合で、その満たない部分について従業員が第29条第3項の時間単位年休の取得を請求する場合は、当該時間単位年休と併せて半日または1日の休暇として与えることができる。この場合、会社は代替休暇と時間単位年休を区別して管理する。
    5. 代替休暇を取得しようとする従業員は、1カ月に60時間を超える時間外労働を行った月の賃金締切日の翌日から5日以内に、別途定める「代替休暇の取得申請書」(省略)を所属長に提出しなければならない。代替休暇の取得申請書が提出された場合は、支払うべき割増賃金額のうち代替休暇に代替される賃金額を除いた部分を、通常の賃金支払日に支払うこととする。ただし、当該月の末日の翌日から2カ月以内に代替休暇が取得されなかった場合には、取得されないことが確定した月に係る割増賃金支払日に残りの25%の割増賃金を支払うこととする。
    6. 従業員が代替休暇の取得申請書を前項前段に定める期限までに提出しなかった場合は、会社は当該月に行われた時間外労働に係る割増賃金の総額を、通常の賃金支払日に支払うこととする。

    第24条(休日労働)

    1)業務上必要がある場合は、休日に労働を求めることがある。

    2)法定休日の労働は、従業員の過半数を代表する者との労使協定の範囲とする。

    3)第2項に定める休日労働は、労働基準法およびその他の関係法令における休日労働の上限を超えることはない。

    4)満18歳未満の従業員に対しては、原則として休日労働を命じることはない。

    第25条(災害など非常時の特別措置)

    火災・地震・暴風雨・洪水、設備の爆発などの事故、感染症の流行その他避けることのできない事由により臨時の労働の必要がある場合は、会社は第22条および第24条にかかわらず労働基準監督署の許可を受けて、妊娠中および産後1年を経過しない女性従業員(以下「妊産婦」)を除く全ての従業員に時間外労働、休日労働、深夜労働(午後10時から午前5時までの間の労働。以降、同じ)を命じることがある。

    第26条(割増賃金)

    時間外労働、休日労働、深夜労働に対して、「賃金規程」(省略)により割増賃金を支払う。

    第27条(妊産婦の特例)

    妊産婦が請求した場合には、会社は時間外労働、休日労働、深夜労働を命じることはない。

    第28条(出張等の勤務時間および旅費)

    1)従業員が、会社の命令により出張その他社外で勤務する場合において、勤務時間を算定し難いときは、原則として第15条に定める時間を勤務したものとみなす。ただし、所属長があらかじめ別段の指示をしたときはこの限りではない。

    2)前項の業務が所定労働時間外に及ぶ場合は、当該業務の遂行に通常必要とされる時間を勤務したものとみなす。

    3)従業員が社用により出張する場合は、別途定める「出張旅費規程」(省略)により旅費を支給する。

    第29条(年次有給休暇)

    1)会社は、6カ月以上継続勤務し、所定労働日の80%以上出勤した従業員に対して、次の表の通り勤続期間に応じた日数の年次有給休暇を付与する。この休暇期間中については、所定労働時間を労働した場合に支払われる通常の賃金を支払う。

    画像2

    2)年次有給休暇を付与する基準日は、入社日から起算して6カ月が経過した日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日とする。

    3)年次有給休暇は、原則として労働日単位で付与する。ただし、従業員の過半数を代表する者との労使協定に基づき、一つの年度について5労働日分を限度に、1時間単位の年次有給休暇(以下「時間単位年休」)を付与する。時間単位年休の場合、1労働日を8時間と計算し、5労働日分で40時間とする。

    4)年次有給休暇(時間単位年休を含む。以下、この条において同じ)を請求する従業員は、原則として3日前までに所属長に、別途定める「年次有給休暇の取得願」(省略)を提出しなければならない。

    5)年次有給休暇は、原則として従業員が指定した時季に付与する。ただし、事業の正常な運営に支障があるときは、会社は従業員の指定した時季を変更することがある。

    6)会社は、労働基準法第39条第7項に基づき、従業員に対して、時季を指定して年次有給休暇を付与することがある。

    7)第1項の出勤率の算定に当たっては、年次有給休暇を取得した期間、産前産後の休業期間、育児休業期間、介護休業期間および業務上の傷病による休業期間は出勤したものとして取り扱う。

    8)年次有給休暇は、権利発生から2年の間において取得することができる。

    第30条(産前産後の休業)

    1)6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性従業員から請求があったときは、産前休暇を与える。

    2)産後8週間を経過しない女性従業員は就業させない。ただし、産後6週間を経過した女性従業員が請求した場合において、当該女性従業員について医師が支障ないと認めた業務に就かせることができる。

    3)第1項および第2項の休業期間は無給とする。

    4)妊娠中の女性従業員が請求した場合、他の軽易な業務に転換させる。ただし、業務に適する軽易な業務がないときには請求しても応じないことがある。

    第31条(母性健康管理のための時間内通院)

    1)妊産婦が母子保健法に定める健康診査または保健指導を受けるために請求した場合、会社は次の各号に定める範囲において母性健康管理のため、時間内通院を認める。

    1. 妊娠23週までは4週間に1回
    2. 妊娠24週から35週までは2週間に1回
    3. 妊娠36週以後出産までは1週間に1回
    4. 医師または助産師(以下「医師など」)が、第1号から第3号までと異なる指示をしたときは、その指示により必要な時間

    2)母性健康管理のために勤務していない時間は無給とする。

    第32条(通勤緩和)

    1)妊産婦が通勤による心身の負担を軽減するために請求した場合、会社は出社時および退社時について、各々30分の遅出および早退を認める。

    2)通勤緩和の時間は無給とする。

    第33条(疲労回復のための休憩)

    1)妊産婦が業務による疲労回復のために請求した場合、会社は第15条第2項第2号の他に適宜休憩を取ることを認める。

    2)業務による疲労回復のための休憩は無給とする。

    第34条(医師などの指導による措置)

    1)妊産婦が医師などから勤務状態が健康に支障を及ぼすとの指導を受けた場合であって、妊産婦より申し出があった場合は、会社は当該妊産婦の意見を聴いた上で、次の各号に定める措置を講じる。

    1. 担当業務の変更
    2. 心身の負担が小さいと会社が認める業務への転換
    3. 所定労働時間の短縮
    4. 休業

    2)前項第4号の休業は無給とする。

    3)所定労働時間の短縮の適用を受ける期間については、賃金規程に基づく基本給を時間換算した額を基礎とした実労働時間分の基本給を支給する。

    第35条(育児時間)

    1)生後満1年に満たない生児を育てる女性従業員は、あらかじめ所属長に申し出て、勤務時間中に1日について2回、1回につき少なくとも30分の育児時間を受けることができる。

    2)育児時間は無給とする。

    第36条(生理日の休暇)

    1)生理日の就業が著しく困難な女性従業員から請求があったときは、必要な期間の生理日の休暇を与える。

    2)生理日の休暇は無給とする。

    第37条(育児休業および介護休業)

    会社は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づき、育児休業および介護休業、その他の両立支援策を講じる。育児休業および介護休業、その他の両立支援策については、別途定める「育児休業等に関する規程」(省略)および「介護休業等に関する規程」(省略)によるものとする。

    第38条(特別休暇)

    1)会社は、従業員が次の各号のいずれかに該当する場合は特別休暇を与える。特別休暇に対して、会社は所定労働時間を労働した場合に支払われる通常の賃金を支払う。

    1. 本人が結婚したとき:5日間
    2. 配偶者が出産したとき:1日間
    3. 配偶者、本人の父母、子が死亡したとき:4日間
    4. 本人の祖父母および兄弟姉妹、配偶者の父母が死亡したとき:2日間
    5. 配偶者の祖父母、兄弟姉妹が死亡したとき:1日間
    6. 夏季休暇:7月1日から9月末日までの間に3日間
    7. 誕生日休暇:従業員の誕生月に1日間
    8. 裁判員に任命されたとき:会社が必要と認めた日数

    2)会社は、必要に応じて前項に定める事由を確認するための書類の提出を求める場合がある。

    第5章 賃金、賞与、退職金

    第39条(賃金および昇給、賞与)

    賃金および昇給、賞与は、「賃金規程」(省略)によるものとする。

    第40条(退職金)

    退職金は、別途定める「退職金規程」(省略)によるものとする。

    第6章 休職、退職、解雇

    第41条(休職)

    1)会社は、従業員が次の各号のいずれかに該当する場合に休職を命じることがある。

    1. 私傷病その他従業員の都合による欠勤が、継続、断続を問わず日常的に支障を来す程度(おおむね1カ月)続くとき
    2. 精神、身体の疾患により労務提供が不完全なとき
    3. 第7条第2項第3号の定めにより出向するとき
    4. その他、特別な事情によって休職を命じる必要があると会社が認めたとき

    2)試用期間中の者、嘱託社員については、休職は適用しない。

    第42条(休職期間)

    1)休職期間は次の各号に定める通りとする。

    1.第41条第1項第1号および第2号による休職

     勤続期間が2年未満の者:6カ月

     勤続期間が2年以上5年未満の者:1年

     勤続期間が5年以上の者:1年6カ月

    2.第41条第1項第3号による休職

     出向している期間

    3.第41条第1項第4号による休職

     会社が必要と認める期間

    2)前項第1号の勤続期間は、雇用期間の定めのない従業員としての勤続期間とする。ただし、試用期間は含まれない。

    3)休職期間は、原則として、賞与、退職金等の算定対象となる勤続期間に通算されない。ただし、第29条に定める年次有給休暇の付与に関する勤続期間には通算する。

    第43条(休職中の賃金)

    1)休職期間中は無給とする。

    2)住民税、社会保険料は休職中でも発生するため、従業員は、毎月末日までに所定の金額を会社が指定する金融機関口座へ振り込みにて支払うものとする。振込金額等の詳細については、休職開始前に従業員に通知する。

    第44条(復職)

    1)休職期間の満了前に休職事由が消滅した場合には、従業員は速やかに総務部に、別途定める「復職願」(省略)を提出しなければならない。会社は、復職願を受け取るに当たり、必要に応じて会社の指定した医師による診断結果の提出を命ずることがある他、診断書を発行した医師に対する面談を求めることがある。

    2)会社は、復職願を受理し、休職期間中に休職事由が消滅したと確認できたときは、原則として前職務に復職させる。ただし、元の職務に復帰させることが困難または不適当な場合には前職務と異なる職務に配置することがある。なお、職務の変更に応じ、労働条件も変更する場合がある。

    3)第41条第1項第1号および第2号により休職した者が復職し、その後6カ月以内に同一または類似の事由により再び休職した場合には、休職期間は引き続いているものとみなす。

    4)休職期間の満了までに復職できない従業員は、休職期間満了の日をもって自動退職とする。

    第45条(定年)

    従業員の定年は満60歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。ただし、従業員が希望し、解雇事由または退職事由(第46条第1項第1号を除く)に該当しないときは、会社が別途定める「労働条件」(省略)にて満65歳まで再雇用する。

    第46条(退職)

    1)従業員が次の各号のいずれかに該当する場合は、次の各号に定める日を退職の日とする。

    1. 定年に達したとき:定年に達した日の属する月の末日
    2. 死亡したとき:死亡した日
    3. 従業員が自己の都合により退職を申し出て、会社がこれを承認したとき:会社が退職日として承認した日
    4. 会社が転籍を命じ、従業員がこれを承諾したとき:会社が命じた転籍日の前日
    5. 第41条に定める休職を命じられた従業員が、休職期間の満了までに復職できないとき:休職期間の末日
    6. 従業員が届け出および連絡なく欠勤を続け、その欠勤期間が1カ月を超え、所在が不明のとき:欠勤期間が1カ月を経過した日

    2)自己の都合により退職を申し出る従業員は、退職希望日の14日前までに、総務部に別途定める「退職願」(省略)を提出しなければならない。会社の承認を受けるまでの間、従業員は従前の業務に従事しなければならない。

    第47条(普通解雇)

    会社は、従業員が次の各号のいずれかに該当した場合に解雇することがある。

    1. 勤務成績または業務能率が著しく不良で、向上の見込みがなく、他の職務にも転換できないなど、就業に適さないと認められたとき
    2. 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、従業員としての職責を果たし得ないと認められたとき
    3. 業務上の負傷または疾病による療養の開始後3年を経過した日において、従業員が労働者災害補償保険法に基づく傷病補償年金を受けているとき、または受けることとなったとき(会社が労働基準法に基づく打切補償を支払った場合または労働者災害補償保険法に基づく打切補償を支払ったとみなされる場合はこの限りではない)
    4. 精神または身体の障害については、適正な雇用管理を行い、雇用の継続に配慮してもなおその障害により業務に耐えられないと認められたとき
    5. 事業の運営上のやむを得ない事情、または天災事変その他これに準ずるやむを得ない事情により、事業の継続が困難となったとき
    6. 事業の運営上のやむを得ない事情、または天災事変その他これに準ずるやむを得ない事情により、事業の縮小・転換または部門の閉鎖などを行う必要が生じ、他の職務に転換させることが困難なとき
    7. 試用期間における作業能率または勤務態度が著しく不良で従業員として不適格であると判断されたとき
    8. その他、前各号に準ずるやむを得ない事由があるとき

    第48条(解雇予告)

    従業員を解雇する場合、会社は労働基準法に基づき30日前に予告をするか、または予告に代えて平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う。ただし、労働基準監督署長の認定を受けた場合、および次の各号のいずれかに該当する従業員を解雇する場合はこの限りではない。

    1. 日雇いの従業員。ただし、1カ月を超えて引き続き雇用される従業員を除く
    2. 2カ月以内の期間を定めて使用する従業員。ただし、その期間を超えて引き続き雇用される従業員を除く
    3. 試用期間中の従業員。ただし、14日を超えて引き続き雇用される従業員を除く

    第49条(解雇理由の証明書)

    会社は、解雇する従業員から請求があった場合は、解雇の理由を記載した証明書を交付する。

    第50条(解雇の制限)

    会社は、次の各号に定める期間中は従業員を解雇しない。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合で労働基準監督署長の認定を受けた場合は除く。

    1. 業務上の負傷または疾病により欠勤する期間、およびその後30日間。ただし、業務上の負傷または疾病による療養の開始から3年を経過しても傷病が治癒せず、労働基準法に基づく打切補償を支払った場合または労働者災害補償保険法に基づく打切補償を支払ったとみなされる場合はこの限りではない
    2. 産前産後の休業期間およびその後30日間

    第51条(退職または解雇時の義務)

    1)退職または解雇された従業員は、会社の指示する期間内に速やかに後任者に業務の引き継ぎを行わなければならない。

    2)退職または解雇された従業員は、身分証明書、社員記章、携帯電話など会社からの貸与品を直ちに返納しなければならない。また、会社に債務のあるときは退職または解雇の日までに完済しなければならない。

    3)退職または解雇された従業員は、退職または解雇の日以後、在職中に知り得た業務上の機密事項を他に漏らしてはならない。

    第7章 賞罰

    第52条(表彰)

    従業員が次の各号のいずれかに該当する場合は、会社はその都度審査の上で表彰することがある。表彰は賞状の他、賞品または賞金を授与して行う。

    1. 業務上有益な創意工夫、改善を行い、会社の業績に貢献したとき
    2. 品行方正で業務熱心であり、従業員の模範とするに足りるとき
    3. 事故や災害などを未然に防止し、または非常事態に際し適切に対応し、被害を最小限にとどめるなどの功労が顕著であったとき
    4. 社会的な功績があり、会社および従業員の名誉となったとき
    5. その他、表彰に値する善行または功績があると会社が判断したとき

    第53条(懲戒の種類)

    懲戒はその情状により、次の各号の区分に従って行う。

    1.けん責

     始末書を提出させ、将来を戒める。

    2.減給

     始末書を提出させ、減給する。減給は1回の額が平均賃金の1日分の50%を超えることはなく、また減給の総額が賃金規程による一つの賃金の計算期間における賃金総額の10%を超えることはない。

    3.出勤停止

     始末書を提出させ、出勤停止を命ずる。出勤停止は7日間を限度とし、その間は無給とする。

    4.降格

     始末書を提出させ、役職の罷免・引き下げ、資格等級の引き下げのいずれか、または両方を行う。この場合の賃金は、賃金規程に従い、降格後の役職、資格等級に対応した金額となる。

    5.諭旨解雇

     退職願の提出を勧告する。ただし、応じない場合は懲戒解雇に処する。情状に応じて退職金の全部または一部を支給しないことがある。

    6.懲戒解雇

     即時に解雇する。原則として退職金の全部を支給しない。この場合、労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告手当を支給しない。

    第54条(懲戒の事由)

    会社は、従業員が次の各号のいずれかに該当する場合は、その程度に応じて、けん責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇に処する。

    1. 就業規則、社内規程、通達に違反したとき
    2. 正当な理由なく、無断で遅刻、早退または欠勤を繰り返したとき
    3. 正当な理由なく、しばしば業務上の指示・命令に従わなかったとき
    4. 正当な理由なく、無断でしばしば職場を離れたとき
    5. 職務、勤務に関する諸手続きを怠り、または不正に偽ったとき
    6. 素行不良で、会社内の秩序または風紀を乱したとき
    7. 会社を誹謗(ひぼう)中傷し、または虚偽の風説を流布・宣伝したとき
    8. 会社に所属する個人の名誉・信用を傷つけたとき
    9. 性的な言動によって他人に不快な思いをさせたり、職場の環境を悪化させたりしたとき。または、性的な関心を示したり、性的な行為をしかけたりして、他の従業員の業務に支障を与えたとき
    10. 妊娠・出産・育児に関する不適切な言動により、他人に精神的・身体的な苦痛を与えたり、また他の従業員に不利益を与えたりして、就業環境を害したとき
    11. 職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景とした不適切な言動により、他人に精神的・身体的な苦痛を与えたり、また他の従業員に不利益を与えたりして、就業環境を害したとき
    12. 業務上知り得た機密を、不正に第三者に開示または漏洩もしくは自らのために利用したとき
    13. 重要な経歴を詐称して雇用されたとき
    14. その他、前各号に準ずる程度の不都合な行為があったと会社が判断したとき

    第55条(懲戒解雇)

    1)会社は、従業員が次の各号のいずれかに該当する場合は懲戒解雇に処する。懲戒解雇された従業員には、原則として退職金の全部を支給しない。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、諭旨解雇または降格にとどめることがある。

    1. 重要な経歴を詐称して雇用されたとき
    2. 正当な理由なく無断欠勤が14日以上に及び、出勤の督促に応じなかったとき
    3. 正当な理由なく、無断で遅刻、早退または欠勤を繰り返し、再三にわたって注意を受けても改めなかったとき
    4. 故意または重大な過失により、会社に重大な損害を与えたとき
    5. 会社内において刑法その他刑罰法規の各規程に違反する行為をし、その犯罪事実が明らかとなったとき
    6. 素行不良で、著しく会社内の秩序または風紀を乱したとき
    7. 数回にわたり懲戒を受けたにもかかわらず、なお、勤務態度などに関し、改善の見込みがないと認められたとき
    8. 相手方の望まない性的言動により、円滑な職務遂行を妨げ、就業環境を悪化させ、またはその性的言動に対する相手方の対応によって、一定の不利益を与えたりするような行為をしたとき
    9. 職務上の立場を利用して交際や性的な関係を強要したとき
    10. 許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品などを使用し、会社に損害を与えたとき
    11. 会社における職務上の地位を利用して私利を図り、または取引先などより不当な金品を受け、もしくは求め、または供応を受けたとき
    12. 私生活上の非違行為や会社に対する誹謗中傷などによって会社の名誉・信用を傷つけ、業務に重大な悪影響を及ぼすような行為があったとき
    13. 会社の業務上重要な機密を外部に漏洩して会社に損害を与え、または業務の正常な運営を阻害したとき
    14. 酒気帯び、あるいは酒酔いの状態で自動車を運転したとき
    15. 特定個人情報等を不正に取得、利用、提供したとき
    16. 非違行為に対し、再三の注意、指導を受けたにもかかわらず、なお改悛(かいしゅん)の見込みがないとき
    17. 前条に準ずる行為において、その情状等に悪質性があると判断される場合
    18. その他、前各号に準ずる程度の不都合な行為があったと会社が判断したとき

    2)会社は、諭旨解雇または懲戒解雇事由に該当し、実際に諭旨解雇または懲戒解雇になる恐れがある従業員に対し、原則として事前に弁明の機会を与える。

    第8章 安全衛生

    第56条(安全衛生の遵守事項)

    会社は、従業員の安全衛生の確保および改善を図り、快適な職場の形成のため必要な措置を講ずる。職場の安全衛生については、別途定める「安全衛生管理規程」(省略)によるものとする。

    第57条(就業禁止)

    1)会社は、次の各号のいずれかに該当する従業員の就業を禁止する。

    1. 病毒伝ぱの恐れのある伝染病の疾病に罹患した者
    2. 心臓、腎臓、肺などの疾病で労働のため病勢が著しく増悪する恐れがある疾病に罹患した者
    3. 前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものおよび感染症法等で定める疾病に罹患した者

    2)会社は、前項の定めにより就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、会社が指定する医師の意見を聴くものとする。また、従業員は、前項に該当する恐れがあるときは、直ちに会社に届け出なければならない。

    3)第1項の定めにより就業を禁止された期間は無給とする。

    第58条(健康診断)

    1)会社は、従業員に対し、入社時および毎年1回定期的に健康診断を行う。

    2)会社は、前項の健康診断の結果を本人に速やかに通知する。結果に異常の所見があり、会社が必要と認めるときは、就業の禁止、配置の転換、その他必要な措置を命ずることがある。

    第59条(医師による面接指導の実施)

    1)会社は、第22条の時間外労働および第24条の休日労働の合計が1カ月当たり80時間を超えた従業員から申し出があった場合には、医師の面接指導を受けさせるものとする。

    2)前項の他、労働安全衛生法およびその関係法令において必要とされる場合、医師が必要と認めた場合、会社が必要と判断した場合等において、面接指導を実施することがある。

    第9章 災害補償

    第60条(災害補償)

    従業員が業務上の事由または通勤途中に負傷し、疾病にかかり、または死亡した場合の災害補償や保険給付については、別途定める「災害補償規程」(省略)によるものとする。

    第10章 個人情報の取り扱い

    第61条(従業員個人情報の取り扱い)

    1)会社は、適正な雇用管理を行うために必要な範囲において、従業員およびその家族から適正な方法で入手した情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。以下「従業員個人情報」)を利用し、または法令の範囲内において第三者に開示する。

    2)前項にかかわらず、特定個人情報等の取り扱いは、別途定める「マイナンバー(特定個人情報)取扱規程」(省略)によるものとする。

    第62条(従業員個人情報の管理責任者)

    従業員個人情報の管理責任者は総務部長とする。

    第63条(従業員個人情報の開示請求)

    1)従業員は、会社に対して自らの従業員個人情報の開示を求めることができる。

    2)会社は、従業員から従業員個人情報の開示を求められたときは、速やかにこれを開示する。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、従業員個人情報の全部または一部の開示を拒否することができる。

    1. 法令に違反することとなる場合
    2. 本人または第三者の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合
    3. 雇用管理に重大な支障を来す恐れがある場合

    3)従業員個人情報が開示された結果、当該従業員個人情報に誤りがあることが判明した場合、会社は当該従業員に通知し、同意を得た上で従業員個人情報を修正する。

    第64条(従業員が退職などをした際の従業員個人情報の取り扱い)

    退職などの事由により、会社と従業員の雇用関係が消滅した場合、会社は法令で定められている期間において、当該従業員の従業員個人情報を管理し、その後は検証可能な方法による完全な廃棄処分を行う。

    第65条(顧客個人情報の取り扱い)

    1)会社が保有する従業員個人情報以外の情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)を「顧客個人情報」という。

    2)従業員は、別途定める「個人情報保護規程」(省略)を遵守して、適切に顧客個人情報を利用しなければならない。

    第11章 雑則

    第66条(慶弔見舞金)

    会社は、従業員の慶弔、被災の際は別途定める「慶弔見舞金規程」(省略)により、それぞれ祝金、弔慰金、見舞金を支給する。

    第67条(損害賠償)

    従業員が故意または過失によって会社に損害を与えた場合、会社はその全部または一部の賠償を求めることがある。従業員の退職後に、その者の行為が故意または過失によって会社に与えた損害の原因であると判明した場合も、その損害の全部または一部の賠償を求めることがある。

    第68条(改廃)

    本規則の改廃は、取締役会において行うものとする。

    附則

    本規則は、○年○月○日より実施する。

    以上(2024年2月更新)
    (監修 ひらの社会保険労務士事務所)

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    画像:ESB Professional-shutterstock