「同一労働同一賃金」チェックリスト 御社の対応は本当に大丈夫?

書いてあること

  • 主な読者:同一労働同一賃金に対応できているかを確認したい経営者
  • 課題:何をもって同一労働同一賃金に対応できているといえるのかが分からない
  • 解決策:「均等待遇・均衡待遇」を理解し、その実現度合いをチェックする

1 「均等待遇・均衡待遇」の理解が第一歩

パート等(パートやフルタイムの契約社員)の労働条件を考える上で無視できない「同一労働同一賃金」。すでに施行済の内容ではありますが、

2024年4月1日から、労働契約の締結時に明示する事項が増えた(労働基準法施行規則)

ことなどにより、パート等の労働条件について一層チェックが厳しくなることが予想されます。ですから、自社の対応に抜け漏れがないか再度、確認してみましょう。

ポイントは「均等待遇・均衡待遇」です。

1.均等待遇

パート等と正社員との間で、「1.職務の内容」「2.職務の内容・配置の変更の範囲」が同じ場合、パート等であることを理由とした差別的取扱いを禁止することをいいます。なお、同じ取扱いのもとで、能力・経験等の違いにより差がつくのは構いません。

2.均衡待遇

パート等と正社員との間で、「1.職務の内容」「2.職務の内容・配置の変更の範囲」「3.その他の事情」を考慮して不合理な待遇差を禁止することをいいます。

以降で、均等待遇・均衡待遇を実現できているかを確認するためのチェックリストを紹介します。早速見ていきましょう。

2 チェック1:パート等の状況はどうなっているか?

パート等が「均等待遇・均衡待遇」の対象になるかを確認します。次のチェックリストに「◯」「×」を入れてください。なお、このチェックリストは転勤のない場合を想定しています。

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「○」「×」の見方は次の通りです。この確認が終わったら、次章に進んでください。

  • 全て「○」:均等待遇の対象
  • 1~5のいずれかが「×」:均衡待遇の対象

3 チェック2:賃金に待遇格差はあるか?

次に、正社員とパート等の待遇を比較します。次のチェックリストに「◯」「×」を入れてください。なお、図表2の待遇は一例ですので、自社の内容に置き換えてお使いください。対象となるのは、正社員とパート等に対する全ての待遇(基本給、賞与、手当、退職金、福利厚生、教育訓練、安全管理など)です。

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「○」「×」の見方は次の通りです。待遇格差がある場合、次章に進んでください。待遇格差がない場合、御社は同一労働同一賃金に対応できています。

  • 全て「○」:待遇格差はない。同一労働同一賃金に対応できています!
  • 1~2が「○」:基本給の待遇格差はない
  • 1または2が「×」:基本給の待遇格差があり、検証が必要
  • 3~4が「○」:賞与の待遇格差はない
  • 3または4が「×」:賞与の待遇格差があり、検証が必要
  • 5~6が「○」:○○手当の待遇格差はない
  • 5または6が「×」:○○手当の待遇格差があり、検証が必要

4 チェック3:待遇格差に合理性はあるか?

チェック3はとても重要です。正社員とパート等の間に待遇格差がある場合、それが合理的かどうか、つまり同一労働同一賃金に対応できているかどうかを確認する内容になるからです。次のチェックリストに「◯」「×」を入れてください。

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「○」「×」の見方は次の通りです。是正が必要な待遇格差がある場合、次章に進んでください。是正が必要な待遇格差がない場合、御社は同一労働同一賃金に対応できています。

  • 全て「○」:待遇格差は合理的、同一労働同一賃金に対応できています!
  • 1または2が「×」:待遇格差は不合理であり、是正が必要

なお、チェック1で「均等待遇」の対象となったパート等(図表1の項目が全て「○」だったパート等)の場合、そもそも全ての待遇について正社員と同じ取扱いにすることが義務付けられているので、このチェックをするまでもなく、速やかに正社員と同じ取扱いにするための検討を行う必要があります。

5 チェック4:待遇格差の是正は進んだ?

最後のチェックです。ここまで進んできたということは、御社には是正すべき待遇格差があるということです。実際に待遇格差の是正を行った上で、次のチェックリストに「◯」「×」を入れてください。

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全て「○」になったら、ひとまず同一労働同一賃金の対応は完了です。パート等の人数などによっては対応までに時間がかかることもあるでしょうが、同一労働同一賃金に対応しようとする会社の姿勢を社員に示すことはとても重要です。

以上(2024年4月更新)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 渡邉和也)

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プレビュー内容に問題がなければ「公開する」をクリックします。

修正がある場合、「登録・編集画面に戻る」をクリックします。

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こちらの画面が表示されたら、「公開完了」です!

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以上(2024年2月作成)

同一労働同一賃金とは?企業に必要な対策をガイドラインにそって解説

現在、非正規雇用労働者の割合は、労働者全体のほぼ4割を占めています。
非正規雇用は多様な働き方を実現する一方で、さまざまな問題点も指摘されていますが、その1つが正規雇用労働者との間に存在する待遇格差です。

そこで国は、待遇差のうち、どのようなものが不合理であり、どのようなものが不合理でないのか、原則となる考え方と具体例を示した「同一労働同一賃金ガイドライン」を公表しています。

そのガイドラインにそって、同一労働同一賃金のルールがどのようなものか、企業にはどのような対策が求められるのか、わかりやすく解説します。

同一労働同一賃金とは?

国は2018年12月28日に、「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」を公表しました。*1
いわゆる「労働者派遣法」(2020年4月1日より施行)と「パートタイム・有期雇用労働法」(2021年4月1日より全面施行)を反映させた内容で、これが「同一労働同一賃金ガイドライン」(以後、「ガイドライン」)と呼ばれるものです。*2

まず、「ガイドライン」の背景と趣旨をみていきましょう。

背景

この問題の背景には、非正規雇用労働者の多さと、正規雇用者との待遇格差があります。

下の図1は、労働者数の推移を表しています。*3

図1 正規・非正規雇用労働者数・割合の推移

図1 正規・非正規雇用労働者数・割合の推移
出所)厚生労働省「非正規雇用の現状と課題」p.1
https://www.mhlw.go.jp/content/001214080.pdf

非正規雇用労働者は、2010年以降増加が続き、2020年にはやや落ち込みましたが、その後、再び増加に転じ、2023年には労働者全体の37.1%を占めています。

非正規雇用労働者の中では、パート(48.5%)とアルバイト(21.6%)の割合が高く、契約社員(13.3%)がそれに続いています。

また非正規雇用労働者のうち、正社員として働く機会がなく、非正規雇用で働いている、いわゆる「不本意非正規雇用」の割合は、非正規雇用労働者全体の9.6%(2023年)に当たります。

では、待遇はどうでしょうか(図2)。

図2 年齢階層別賃金(時給ベース)

図2 年齢階層別賃金(時給ベース)
出所)厚生労働省「非正規雇用の現状と課題」p.5
https://www.mhlw.go.jp/content/001214080.pdf

この図から、非正規雇用労働者の平均賃金は、一般労働者(非短時間労働者)が601円、短時間労働者が517円、正規雇用労働者(正社員・正職員)より低いことがわかります。

さらに、教育訓練の実施状況を正規雇用労働者と比較すると、非正規雇用労働者は、無期雇用パートタイム、有期雇用パートタイム、有期雇用フルタイムのいずれの就業形態においても、「計画的な教育訓練(OJT)」、「入職時のガイダンス(Off-JT)」は正規雇用労働者の7割前後となっています。
また、「将来のキャリアアップのための教育訓練(Off-JT)」は正規雇用労働者のわずか29.2%~35.7%と、その格差が際立っています。

このように、ガイドライン策定の背景には、全労働者に占める非正規雇用労働者の割合が高いのにもかかわらず、正規雇用労働者に比べて待遇が悪いという問題があります。

同一労働同一賃金の概要

同一労働同一賃金の導入は、同一企業における正規雇用労働者と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)との間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。*2
そして、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できる働き方を目指しています。

留意点は以下の2点です。*4

1)同じ企業で働く正社員と短時間労働者・有期雇用労働者との間で、基本給や賞与、手当、福利厚生などあらゆる待遇について、不合理な差を設けることが禁止されている。

2)事業主は、短時間労働者・有期雇用労働者から、正社員との待遇の違いやその理由などについて説明を求められた場合は、説明をしなければならない。

禁止される差別的待遇、何が含まれる?

ガイドラインには、まず「原則になる考え方」が示され、次に裁判で争い得る範囲として、「問題とならない例」「問題になる例」が記されています。*5

同一労働同一賃金で禁止される差別待遇にはどのようなものがあるのか、非正規雇用労働者の約7割を占める短時間労働者・有期雇用労働者を対象に、ガイドラインにそってみていきましょう。

ポイントは、短時間労働者・有期雇用労働者の待遇が、正規雇用労働者との働き方や役割の違いに応じたものになっているかどうかです。*4

基本給

原則となる考え方は、以下のようなものです。

労働者の「能力・経験」「業績・成果」「勤続年数」に応じて支給する場合は、これらが同一であれば同一の支給をし、違いがあれば違いに応じた支給をする。*4

問題となるのは、以下のようなケースです。

1)能力・経験に応じて基本給を支給している会社で、正社員が多くの経験を有することを理由に短時間労働者・有期雇用労働者より高い基本給を支給しているが、正社員のこれまでの経験は現在の業務に関連がない。

2)労働者の勤続年数に応じて支給している会社で、短時間・有期雇用労働者に対し、当初の労働契約の開始時から通算して勤続年数を評価せず、その時点の労働契約の期間のみによって勤続年数を評価した上で支給している。*1

昇給に関しての原則となる考え方は、以下のようなものです。

労働者の勤続による能力の向上に応じて行うものについては、同一の能力の向上には同一の、違いがあれば違いに応じた昇給を行わなければならない。*5

問題となるのは、こうした原則から外れたケースです。

賞与

原則となる考え方は、以下のようなものです。

会社の業績などへの労働者の貢献に応じて支給するものについては、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。*4

問題となるのは、以下のようなケースです。

1)正社員には職務内容や会社の業績などへの貢献などにかかわらず全員に何らかの賞与を支給しているが、短時間・有期雇用労働者には支給していない。

2)会社の業績などへの労働者の貢献に応じて支給している会社で、正社員と会社の業績などへの同等の貢献がある有期雇用労働者に対し、同一の賞与を支給していない。*1

各種手当

原則となる考え方は、以下のようなものです。*5

1)役職手当で、役職の内容に対して支給するものについては、同一の内容の役職には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。

2)以下のような各種手当については、同一の支給を行わなければならない。

  • 業務の危険度または作業環境に応じて支給される特殊作業手当
  • 交替制勤務などに応じて支給される特殊勤務手当
  • 業務の内容が同一の場合の精皆勤手当
  • 所定労働時間を超えて正社員と同一の時間外労働に対して支給される時間外労働手当の割増率
  • 深夜・休日労働を行った場合に支給される深夜・休日労働手当の割増率
  • 通勤手当・出張旅費
  • 労働時間の途中に食事のための休憩時間がある際の食事手当
  • 同一の支給要件を満たす場合の単身赴任手当
  • 特定の地域で働く労働者に対する補償として支給する地域手当

問題となるのは、以下のようなケースです。*1

1)役職の内容に対して役職手当を支給している会社で、正社員の役職と同一の役職名であって同一の内容の役職に就く有期雇用労働者に、役職手当を正社員より低く支給している。

2)正社員と同じ時間数、職務の内容の深夜労働または休日労働を行った短時間労働者に、深夜労働または休日労働に対して支給される手当の単価を正社員より低く設定している。

3)正社員には、有期雇用労働者に比べ、食事手当を高く支給している。

4)正社員と有期雇用労働者にいずれも全国一律の基本給の体系を適用しており、かつ、いずれも転勤があるにもかかわらず、有期雇用労働者には地域手当を支給していない。

福利厚生・教育訓練

原則となる考え方は、以下のようなものです。*5

1)以下については、同一の利用・付与を行わなければならない。

  • 食堂、休憩室、更衣室など福利厚生施設の利用
  • 転勤の有無などの要件が同一の場合の転勤者用社宅
  • 慶弔休暇
  • 健康診断に伴う勤務免除・有給保障

2)病気休職については、無期雇用の短時間労働者には正社員と同一の、有期雇用労働者にも労働契約が終了するまでの期間を踏まえて同一の付与を行わなければならない。

3)法定外の有給休暇その他の休暇は、勤続期間に応じて認めているものについては、同一の勤続期間であれば同一の付与を行わなければならない。特に有期労働契約を更新している場合には、当初の契約期間から通算して勤続期間を評価する必要がある。

4)教育訓練は、現在の職務に必要な技能・知識を習得するために実施するものについては、同一の職務内容であれば同一の、違いがあれば違いに応じた実施を行わなければならない。

問題となるのは、以上の原則から外れたものです。

なお、このガイドラインに記載がない退職手当、住宅手当、家族手当などの待遇や、具体例に該当しないケースについても、不合理な待遇差の解消が求められています。*1
そのため、ガイドラインには、各社の労使により、それぞれの事情に応じて待遇の体系について議論していくことが望まれると記されています。

同一労働同一賃金への対応 企業のメリットは?

同一労働同一賃金は、企業にとっては人件費の上昇を意味します。
では、この問題に取り組むメリットはどこにあるのでしょうか。

厚生労働省の「同一労働同一賃金に関する法整備について(報告)」には、「雇用形態にかかわらない公正な評価に基づいて待遇が決定される」ことによる効果が、以下のように記されています。*6

多様な働き方の選択が可能となるとともに、非正規雇用労働者の意欲・能力が向上し、労働生産性の向上につながり、ひいては企業や経済・社会の発展に寄与する

また、非正規雇用労働者の待遇情報がオープンになれば、労働市場を通じて正規雇用労働者との不合理な格差を是正するメカニズムが働くようになるため、待遇に関する企業の情報がオープンになればなるほど、企業は労働市場で選別されるようになるという指摘もあります。*7

したがって、ガイドラインにそって非正規雇用労働者に公正な待遇を担保し、それをオープンにすれば、労働者から選ばれる企業になるポテンシャルが高まるといえるでしょう。

ただし、逆に、不公正な待遇情報がオープンになると、離職率が上昇するだけではなく、新規の人材獲得にも苦戦するようになるというリスクも指摘されています。

人事担当者が取り組むべき対策

同一労働同一賃金に関して、人事担当者がとるべき具体的な対策についてみていきましょう。

導入に際しては、以下のような3ステップをふむことが大切です。*2

STEP1:情報収集と社内点検

まず、情報収集は以下の3つが基本です。

  • パンフレット・リーフレット で法律の内容を把握する
  • 自社の法遵守の状況を法対応チェックツールで確認する
  • 相談窓口に法律の内容を詳しく聞いてみる

次に、社内点検では、以下のポイントを押さえます。

1)従業員の雇用形態の確認

  • 正社員と比べてパート・アルバイトなど労働時間が少ない従業員はいるか。
  • 契約社員や派遣労働者など契約期間が決まっている従業員はいるか。

2)労働条件の確認

  • 法を遵守した雇用契約書になっているか。
  • 正社員とパート・アルバイトなどとの間で待遇に違いはないか。

STEP2:就業規則と賃金体系の見直し

就業規則と賃金体系の見直しについては、厚生労働省による、以下のような支援の活用を検討しましょう。

1)「働き方改革推進支援センター」:労務管理の専門家による無料の相談支援

2)「キャリアアップ助成金」:非正規雇用労働者の正社員化や待遇改善を実施した事業者への助成金の支給

3)職務分析・職務評価の導入支援:基本給の現状確認・賃金制度見直しの一助になる

STEP3:検証

同一労働同一賃金の取り組みによって、従業員のモチベーションが向上したか、離職率は低下したかなどを検証し、その結果を今後の取り組みにいかします。

おわりに

同一労働同一賃金にどのように対応すれば、企業の競争力向上につながるのでしょうか。

それをテーマにした研究では、種々の分析をふまえ、以下のような結論を導き出しています。*7

同一労働同一賃金の待遇説明義務がただちに企業の競争力を高めるのではなく、競争力を高めるために待遇説明をどういかすかという発想の転換が、企業には求められることが示された。

これは、企業の競争力向上に結び付くような有益な効果は、同一労働同一賃金を導入すればそれだけで自動的に得られるものではないということを意味しています。

公正な待遇やそれを説明をすること自体が即メリットにつながるわけではなく、日々の職場での個別のコミュニケーションを通じて、待遇に対する非正規雇用労働者の納得度が高まり、モチベーションがアップする。そのことによって能力開発や職場への積極的な参加を促すことができ、それが企業の競争力向上につながるというのです。

こうした視点も備え、同一労働同一賃金が、従業員・企業双方にとって有益な取り組みになるよう配慮することが、人事担当者の腕の見せ所ではないでしょうか。

資料一覧

*1
出所)厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」(厚生労働省告示第430号)p.7, p.9, p.10, pp.11-12, p.13
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000469932.pdf

*2
出所)厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html

*3
出所)厚生労働省「非正規雇用の現状と課題」p.1, p.4
https://www.mhlw.go.jp/content/001214080.pdf

*4
出所)厚生労働省「「同一労働同一賃金」への対応に向けて」p.1, p.2
https://www.mhlw.go.jp/content/000824263.pdf

*5
出所)厚生労働省「「同一労働同一賃金ガイドライン」の概要①」p.1, p.2
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000470304.pdf

*6
出所)厚生労働省「同一労働同一賃金に関する法整備について(報告)」p.1
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000167471.pdf

*7
出所)中村天江(リクルートワークス研究所主任研究員)「「同一労働同一賃金」は企業の競争力向上につながるのか?─待遇の説明義務に着目して」(『日本労働研究雑誌』)pp.54-55,p.42
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2019/05/pdf/042-056.pdf

以上(2024年3月)

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2024年問題と物流業界 解決すべき課題と対策は?

トラック、タクシー、バスなどの自動車運送は、私たちの生活や経済活動を支えています。
ところが、その自動車運送業界は現在、危機に瀕しています。ドライバーの時間外労働の上限を規制する「改善基準告示」の改正が2024年4月に施行されるためです。

この問題は現在、自動車運転業界、特にトラック運転者が担う物流に深刻な影響を与えます。
これがいわゆる「2024年問題」です。

その最大の問題とはなんでしょうか。
また、その問題を解決するためには、どのような取り組みが必要でしょうか。

本記事では、自動車運送業界のうち物流に対象を絞り、2024年問題によって物流が直面する課題について解説し、国の打ち出した対策を中心に、そのソリューションを明らかにします。

2024年問題の概要と物流業界

まず、2024年問題の概要についてみていきましょう。

背景

持続可能な物流の実現に向けてドライバーの安定的な確保は大切ですが、トラック業界は、ドライバー不足という大きな課題を抱えています。*1

2022年9月の求人倍率は、全職業平均が1.20であるのに対して、トラック運転者は2.12と、約1.8倍に上っています(図1)。

図1 トラック運転者の求人倍率の推移

図1 トラック運転者の求人倍率の推移
出所)国土交通省「国民のみなさまへ トラック運転者手の仕事を知ってみよう 統計からみるトラック運転者の仕事」
https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/truck/work

こうしたドライバー不足の大きな要因として、他業種に比べて厳しい労働環境にあることが挙げられます。
全産業平均に比べて、労働時間が約20%長いのにもかかわらず、賃金は約5~10%安く、業務内容が厳しい現場もあります。

労災請求・支給決定の件数も、こうした道路貨物運送業の長時間・過重労働を物語っています。*2
2022年度の脳・心臓疾患の労災請求件数は133件、労災支給決定件数は50件に上り、ともに全業種の中で最多です。

こうした労働環境を改善するためには、物流現場での働き方改革が必要です。また、自動車運転者の過重労働を防ぐことは、労働者自身の健康確保だけでなく、国民の安全確保の観点からも重要です。*3

「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(以後、「改善基準告示」)の見直しは、こうした状況を背景にしています。

改善基準告知の改正内容

改善基準告示は、法定労働時間の段階的な短縮を踏まえて見直しが行われた1997年以降、改正が行われていませんでした。*3

しかし、2022年12月に自動車運転者の健康確保などの観点から見直しが行われ、トラック、バス、ハイヤー・タクシーなどの自動車運転者について、労働時間などの労働条件の向上を図るため、拘束時間の上限、休息期間、運転時間などについて新たな基準が定められました。

労働基準法改正による時間外労働の上限規制では、年間960時間と定められていたものの、これまで適用が猶予されていました。したがって、違反しても罰則はありませんでしたが、2024年4月からは違反した場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則が科されることがあります(図2)。*2

図2 労働基準法改正による時間外労働の上限規制の適用

図2 労働基準法改正による時間外労働の上限規制の適用
出所)公益社団法人 全日本トラック協会「解説 トラック運転者の改善基準告示ー2024年4月適用ー」p.1
https://jta.or.jp/pdf/kaizen/kaizen_text.pdf

この960時間は将来的には一般労働者と同じ720時間にすることを目指しています。

次に、下の表1は、トラックの改善基準告示見直しのポイントです。*3

表1 トラックの改善基準告示見直しのポイント

表1 トラックの改善基準告示見直しのポイント
出所)厚生労働省「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト>トラック運転者の改善基準告示>改善基準告示とは?」
https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/truck/notice

こうした改正の施行が2024年4月1日であることから、この改正とその影響は「2024年問題」と呼ばれています。

物流業界最大の問題とは?

では、この2024年問題で、物流業界に想定される最大の問題とはなんでしょうか。
それは、輸送力不足です。

国は施策がない場合、需要に対して、2024年には14%、2030年には34%、輸送力が不足すると試算しています。*4

その背景となる状況を、厚生労働省による「自動車運転者の労働時間等に係る実態調査結果」(2021年度)からみていきましょう。

1年の拘束時間

表1でみたように、「改善基準告示」の改正では、1年の拘束時間(「労働時間」+「休憩時間」)の上限を、現行より216時間短い3,300時間に定めています。

しかし、1年の拘束時間が3,300時間を超えるトラック運転者の割合は21.7%に上ります(図3)。*5

図3 トラック運転者の1年の拘束時間

図3 トラック運転者の1年の拘束時間
出所)厚生労働省「資料1 自動車運転者の労働時間等に係る実態調査結果(概要)」p.3
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000883703.pdf

1日の休息期間

休息期間はどうでしょうか。
「改善基準告示」では、1日の休息期間(業務終了時刻から、次の始業時刻までの時間)を、継続11時間を基本とし、下限を9時間と定めています。

しかし、継続11時間を超えるのは全体のわずか31.1%で、下限の継続9時間を超えるのも52.4%にすぎません(図4)。

図4 トラック運転者の1日の休息期間

図4 トラック運転者の1日の休息期間
出所)厚生労働省「資料1 自動車運転者の労働時間等に係る実態調査結果(概要)」p.11
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000883703.pdf

足元のトラック運転者不足

上述したように、改善基準告示の改正は、ドライバーの健康確保の観点から、労働時間などの労働条件の向上を図るためです。それは、ドライバー不足の大きな要因である厳しい労働環境を改善することにもつながります。

しかし、1年の拘束時間と1日の休息期間の実態からもわかるように、改正された改善基準告示を遵守するためには、ドライバーの労働時間を現在よりかなり削減する必要があります。
その影響で短期的には人手不足がさらに厳しくなり、輸送力不足という深刻な状況をまねくことが危惧されています。

これが「2024年問題」最大の課題です。

不足する人手…取り組むべき対策とは

2024年2月16日、国は「2024年問題」の対策指針を示した「2030年度に向けた政府の中長期計画」(以後、「中長期計画」)を公表しました。
その内容を中心に、物流業者がとるべき対策についてみていきましょう。

賃金の引上げ

まず、2024年に、運転者確保のための賃上げを図ります(図5)。*6

図5 賃上げの効果

図5 賃上げの効果
出所)内閣官房「物流革新及び賃上げに向けた政府の取組」p.9
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/ik_dai1/siryou.pdf

トラック事業者が受け取る「標準的運賃」を8%引き上げるほか、荷物の積み下ろし作業にも適正な対価を求め、これらの対応によってトラック事業者の収益を改善させ、運転者の賃金を2024年度に10%前後引き上げることを目指します。

逆にいえば、これらの施策をとらず、賃上げの達成ができない物流業者は、今以上に深刻な人手不足に陥る可能性が高いといっていいでしょう。

政策パッケージ

国は「政策パッケージ」を打ち出し、さまざまな施策を積み上げれば、輸送力の不足分を補えるという試算を示しました(表2)。*6

表2 政策パッケージの効果

表2 政策パッケージの効果
出所)内閣官房「物流革新及び賃上げに向けた政府の取組」p.9
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/ik_dai1/siryou.pdf

パッケージの内容を概観していきましょう。

(1)荷待ち・荷役の削減

荷主や物流事業者を対象に、自動化・機械化設備・システム投資を支援することで、2030年度までに運転者の荷待ちや荷役の時間を2019年度比で1人あたり年間125時間削減する。

(2)積載率向上・物流の効率化

共同輸配送や帰り荷確保を促進する取り組みなどによって、2030年度までに積載率を44%にまで増加させる。また、自動運転やドローンなどデジタル技術を活用し、物流の効率化を図る。

(3)モーダルシフト

鉄道(コンテナ貨物)や内航海運(フェリー・RORO船など)の輸送量を今後10年程度で倍増することを目指し、トラックなどの自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換する。

(4)再配達削減

コンビニ受け取りや置き配、ゆとりある配送日時の指定など、物流負荷の低い受取方法を選択した消費者に対しポイントを還元する実証事業などを行い、再配達を現在の12%から6%に削減する。

(5)トラック輸送力拡大など

大型トラックの法定速度を2024年4月に90km/hに引き上げる。また、トラック輸送の省人化の促進や労働生産性の向上に向けて、1台で通常のトラック2台分の輸送を可能とする「ダブル連結トラック」の導入を推進し、その運転に必要な大型免許の取得を促進するなどの取り組みをする。

物流業者は、今後、以上のような施策が実施されることを睨み、それに対応可能な体勢を整えることが重要です。

おわりに

物流は国民の生活と経済活動を支える重要な社会インフラです。
そのため、国も2024年問題を解決するために、中長期計画をとりまとめ、有益な対策を講じようとしています。
物流業者には、そうした対策に歩調を合わせ、対応することが求められることになります。

最後に、中長期計画に盛り込まれていない点に言及したいと思います。
それは、2024年問題は、長期的な観点に立てば、今まで採用できなかった優秀な人材を採用するチャンスとも捉えられるのではないかということです。

たとえば、トラック運転者は男性がなるものというイメージがありますが、国は「トラガール促進プロジェクト」と銘打った取り組みを推進しています。*7
「トラガール」とはトラック・ガール、つまり女性のトラック運転者のことです。

国土交通省「トラガール促進プロジェクト」

トラック運送業界では近年、女性をトラック運転者として積極的に採用する動きが広がってきました。そのため、トイレや更衣室など施設の改修や力仕事の必要のない車両の整備、ライフスタイルに合わせた働き方が選べる制度の創設、福利厚生の充実など、さまざまな取り組みを進めています。*8

そうした観点からみれば、改善基準告示の改正・施行も、中長期計画も、女性が働きやすい環境の整備とも通じます。

国の打ち出した対策とともに、こうした視点を備えることも必要ではないでしょうか。

資料一覧

*1
出所)国土交通省「国民のみなさまへ トラック運転者の仕事を知ってみよう 統計からみるトラック運転者の仕事」
https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/truck/work

*2
出所)公益社団法人 全日本トラック協会「解説 トラック運転者の改善基準告示ー2024年4月適用ー」p.2, p.1
https://jta.or.jp/pdf/kaizen/kaizen_text.pdf

*3
出所)厚生労働省「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト>トラック運転者の改善基準告示>改善基準告示とは?」
https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/truck/notice

*4
出所)内閣官房「2030年度に向けた政府の中長期計画(ポイント)」(2024年2月16日)p.2
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/pdf/20240216.pdf

*5
出所)厚生労働省「資料1 自動車運転者の労働時間等に係る実態調査結果(概要)」(2021年)p.3, p.11
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000883703.pdf

*6
出所)内閣官房「物流革新及び賃上げに向けた政府の取組」p.9, p.5, p.6, p.8, p.7
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/ik_dai1/siryou.pdf

*7
出所)国土交通省「トラガール促進プロジェクト」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/tragirl/index.html

*8
出所)国土交通省「トラガール促進プロジェクト>トラガールの魅力」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/tragirl/miryoku/

以上(2024年3月)

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経理・総務なら知っておきたい「給与所得者異動届出書」手続きの流れ

従業員が退職・転職・休職・死亡等によって特別徴収の対象外となった際に、その旨を自治体へ通知する「給与所得者異動届出書」は、異動があった従業員の住む自治体ごとに書類の入手や提出プロセスが異なり、煩雑な作業となりがちだ。そこで、「給与所得者異動届出書」作成の業務の負担を軽減するためのポイントやツールを説明・紹介する。

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「災害支援枠」が新設!小規模事業者持続化補助金のご紹介

中小企業等を支援する国や自治体の補助金・助成金事業では、雇用・人材開発・IT補助・コロナ支援など幅広いジャンルの支援があります。
本レポートでは、おすすめの補助金・助成金について支援の内容や対象条件、申請方法等についてわかりやすく紹介します。

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被災地を応援する「寄附金や義援金」は、いくらまで損金算入できるのか?

書いてあること

  • 主な読者:被災した地域などに寄附金を送りたいと考えている人
  • 課題:寄附金の税務上の取り扱いは、誰が誰に寄附をしたかによって異なるため複雑
  • 解決策:「誰が誰に寄附するか」を明確にして、税務上のルールを確認する

1 寄附金や義援金で被災地を応援したい

2024年1月に発生した能登半島地震は甚大な被害をもたらしました。自然災害が多く、「災害大国」ともいわれる日本。被災地支援のために「寄附金や義援金」(以下「寄附金」)を送りたいと考える経営者も多いことでしょうが、その際は税務上の取り扱いに注意しましょう。

結論から言うと、誰が誰に寄附するのかによって税金の種類が違ってきますし、どこに寄附するのかによって税務上の取り扱いも変わってきます。以下の図表は、被災地や被害を受けた人、団体などに寄附した場合の取り扱いを、大まかにまとめた早見表です。

画像1

この記事では、上の早見表ごとに金銭を寄附するケースを想定して、税務上の取り扱いを紹介します。なお、寄附金の税務上の取り扱いは非常に複雑なため、実際に寄附する際には、事前に税理士などの専門家に相談するようにしましょう。

2 法人として寄附金を送った場合

1)国や地方公共団体に寄附金を送った場合

法人が国や地方公共団体に寄附金を送った場合、法人税の計算上、寄附金の全額を損金算入できます。

なお、災害に関するものとは限らないため詳細な説明は省略しますが、地方公共団体が企画した地方創生のプロジェクトに対して寄附金を送った場合は、法人税・地方税の計算上、税額控除を受けられます(企業版ふるさと納税)。

2)日本赤十字社に寄附金を送った場合

法人が、一定の期間内(例年は4月1日~9月30日まで)に財務大臣が指定した日本赤十字社の事業に寄附金を送った場合、寄附金の全額を損金算入できます。

また、法人が通年において日本赤十字社に寄附金(上記以外のもの)を送った場合、法人税の計算上、通常の寄附金の損金算入限度額(以下「損金算入限度額」)と、特別損金算入限度額の合計額を上限に損金算入できます。

  • 損金算入限度額

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  • 特別損金算入限度額

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例えば、資本金等の額1000万円、所得の金額2500万円、当期の月数が12カ月の場合には、16万2500円(損金算入限度額)と80万円(特別損金算入限度額)の合計額96万2500円となります。このように、法人の資本金や出資金の額、所得の金額が影響してくるので、資本金の額が少ない場合、思ったよりも損金算入額が少ないケースがあります。

3)NPO法人に寄附金を送った場合

法人がNPO法人に寄附金を送った場合、法人税の計算上、そのNPO法人が認定NPO法人かそうでないかで、損金算入限度額が違います。

認定NPO法人の特定非営利活動事業に関連する寄附金を送った場合、損金算入限度額と特別損金算入限度額の合計額を上限に損金算入できます。

  • 損金算入限度額

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  • 特別損金算入限度額

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認定NPO法人以外のNPO法人に寄附金を送った場合、特別損金算入限度額の適用はなく、損金算入限度額が損金算入の上限となります。

  • 損金算入限度額

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認定NPO法人以外のNPO法人に寄附金を送った場合の損金算入限度額は、日本赤十字社や認定NPO法人に寄附金を送った場合よりも少額です。例えば、前述の事例同様、資本金等の額1000万円、所得の金額2500万円、当期の月数が12カ月の場合には、16万2500円になります。

寄附先の法人が特別損金算入限度額、損金算入限度額のいずれの対象となるかは、該当法人のウェブサイトなどで確認するようにしましょう。

4)民放テレビの義援金専用口座に寄附金を送った場合

法人が民放テレビの義援金専用口座に寄附金を送った場合、最終的な寄附先がどの団体等になるのかで判断されます。最終的に日本赤十字社や認定NPO法人に寄附されることが多いようで、この場合は前述した取り扱いと同じになります。

なお、最終的な寄附先は、民放テレビ各社のウェブサイトなどで確認することができます。

5)得意先に見舞金を送った場合

法人が直接得意先に見舞金を送った場合、寄附金ではなく交際費になります。中小法人(資本金の額が1億円以下の法人で一定の法人)の場合、交際費は原則として年間800万円以下まで、損金の額に算入できます。

ただし、見舞金が災害に関連したものは交際費には該当しないものとされ、災害見舞金として全額が損金に算入できます。ただし、金額があまりに過大だと、税務調査などで交際費に該当すると指摘される恐れがあります。明確な金額の基準がない分野のため、金額については、税理士などの専門家に相談するようにしましょう。

6)従業員に見舞金を送った場合

法人が従業員に見舞金を送った場合、寄附金ではなく福利厚生費になります。福利厚生費は、法人税の計算上、全額損金に算入できます。ただし、金額があまりに過大だと、税務調査などで給与に該当すると指摘される恐れがあります。あらかじめ慶弔・見舞金規程などを整理し、それに基づいて支給するようにしましょう。

7)被災した経営者の母校に寄附金を送った場合

法人が被災した経営者の母校に寄附した場合、その母校が取引先である場合を除き、原則として、法人の費用ではなく個人の支出とみなされ、経営者の役員報酬になります。役員報酬は、毎月同額であること(定期同額給与)など一定の基準に基づいていなければ損金算入できません。被災地への寄附金のように突発的に生じた役員報酬は、損金算入できません。

なお、母校が取引先である場合には、前述の得意先に見舞金を送ったケースと同様の取り扱いになります。

3 経営者が個人として寄附金を送った場合

1)国や地方公共団体に寄附金を送った場合

個人として、国や地方公共団体に寄附金を送った場合、所得税の計算上、次の算式により計算した金額を所得金額(税率を乗じる前の金額)から差し引くことができます(以下「寄附金控除」)。

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なお、寄附金控除を受けるためには、個人で確定申告をする必要があります。ただし、寄附先が都道府県・市区町村の場合で、かつ、ふるさと納税として寄附金を送った場合は、ワンストップ特例により、確定申告をしなくても寄附金に係る控除を受けることができます(年収が2000万円を超える場合など、確定申告をしなければならない人を除きます)。

2)日本赤十字社に寄附金を送った場合

個人として、日本赤十字社に寄附金を送った場合、所得税の計算上、前述の国や地方公共団体に寄附金を送ったケースと同様に、寄附金控除額を所得金額から差し引くことができます。

画像8

3)NPO法人に寄附金を送った場合

個人として、NPO法人に寄附金を送った場合、所得税の計算上、そのNPO法人が認定NPO法人かそうでないかで、取り扱いが変わってきます。

認定NPO法人に寄附金を送った場合は、寄附金控除(所得控除)と、税額(税率を乗じた後の金額)から直接減額できる寄附金特別控除(税額控除)の選択適用が認められています。いずれが有利かは、税理士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。

  • 寄附金控除

画像9

  • 寄附金特別控除

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認定NPO法人以外のNPO法人に寄附金を送った場合、寄附金控除・寄附金特別控除のいずれも受けることはできません。

4)民放テレビの義援金専用口座に寄附金を送った場合

考え方は法人の場合と同じです。

個人として、民放テレビの義援金専用口座に寄附金を送った場合、最終的な寄附先がどの団体等になるのかで判断されます。最終的に日本赤十字社や認定NPO法人に寄附されることが多いようで、この場合は前述した取り扱いと同じになります。

なお、最終的な寄附先は、民放テレビ各社のウェブサイトなどで確認することができます。

5)得意先に見舞金を送った場合

個人として、得意先に見舞金を送った場合は、所得税の計算上、寄附金控除・寄附金特別控除のいずれも受けることはできません。

また、個人の場合は、その寄附金が災害に関連したものでも、控除を受けられません。

6)被災した経営者の母校に寄附金を送った場合

個人として、被災した経営者の母校に寄附金を送った場合、所得税の計算上、寄附金控除の対象となります。また、私立の学校法人に対する寄附については、認定NPO法人に対する寄附と同様に寄附金控除と、寄附金特別控除の選択適用もできます。

4 寄附金を受け取った側の税務上のルール

ここまで、寄附する側の税務上のルールを説明してきました。今度は、寄附金を受け取った側のルールを紹介します。

法人が寄附金を受け取った場合、法人税の計算上、

原則として、益金(法人税法上の収益)に算入

されます。つまり、商品の売上などと同様に、所得(法人税法上の利益)を増やすことになります。

一方、個人が寄附金を受け取った場合、

  • 勤務先の法人から受け取る場合、給与とみなされて所得税が課される可能性
  • 個人から受け取る場合、贈与とみなされて贈与税が課される可能性

があります。なお、受領した金額が年110万円以下の場合は、贈与税は課されません。ただし、被災等によって寄附金(見舞金を含む)を受け取った場合、受贈者の社会的地位や贈与者との関係、被災状況などに照らして、一般的に多過ぎないと判断されれば、所得税および贈与税は課税されません。いずれにしても、明確な金額の基準がないため、金額については、事前に税理士などの専門家に相談しましょう。

なお、国や地方公共団体から配分を受けた寄附金に関しては、金額の大小を問わず、所得税の課税の対象とはなりません。

以上(2024年3月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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退職する社員が備品を返さない……賃金や退職金から控除してもいい?

書いてあること

  • 主な読者:退職した社員が、会社の備品を返さなくて困っている経営者、人事労務担当者
  • 課題:本人の同意なく、備品代を賃金や退職金から控除すると違法になる恐れがある
  • 解決策:社員と連絡が取れるなら、「相殺合意書」などで本人の同意を得てから控除する。連絡が取れないなら、本人宛てに内容証明郵便を送り、損害賠償を請求する

1 賃金や退職金から一方的に備品代を控除するのは違法

社員が退職した際、会社から貸与している備品のやり取りに困ったことはないでしょうか。

例えば、ノートPCやタブレット、会社携帯、制服、オフィスのカードキー。これらは退職時に会社に返却するのがルールですが、社員の中には、退職後もこれらの備品をなかなか返却しない人がいます。単にずぼらだったり、備品を紛失してしまったのを言い出せなかったり、新しい会社への入社準備で忙しかったりと理由はさまざまでしょうが、困ったものです。

会社としては、「備品が返せないなら、せめて代金を支払ってほしい」ということになるでしょうが、その方法には注意が必要です。手続きが簡単という理由で、「これから支払う予定の賃金や退職金から備品代を控除する」ことを考えるかもしれませんが、

本人の同意なく、賃金や退職金から一方的に備品代を控除すると違法になる恐れ

があるからです。詳細は後述しますが、これは労働基準法(以下「労基法」)に定められたルールで、違反すると30万円以下の罰金という罰則の対象になります。

とはいえ、泣き寝入りはしたくありません。実はこうした場合の対応として、

「相殺合意書」などで本人の同意を得た上で、備品代を控除する方法

があります。まずは賃金や退職金からの控除のルールをおさらいしてから、同意のポイントや相殺合意書のひな型を紹介するので、確認していきましょう。

2 なぜ、賃金や退職金から一方的に控除できない?

労基法第24条では、賃金は全額払いが原則です。ただし、法令や労使協定で別段の定めがあれば例外で、控除して支払うことができます。なお、退職金も、就業規則(退職金規程など)でルールを定めて支払っている場合などは、賃金と同じ扱いになります。

  • 法令:所得税、住民税、社会保険料など
  • 労使協定:組合費、レクリエーション費など

備品代は法令に定められているものではなく、本来は賃金から控除できません。では、労使協定の控除項目に「備品代(退職時に備品を返却しない場合)」などと定めれば控除できるのかというと、実はこれも認められません。労基法第17条により、

会社の持つ債権(この場合は損害賠償請求権)と賃金を相殺することはできない

とされているからです。法律上、退職時に社員に備品代を請求するのは、社員の不法行為(退職したのに備品を返却しない)に対する「損害賠償請求」に当たりますが、会社の持つ損害賠償請求権と賃金を相殺することは、労使協定に定めていたとしても認められないのです。

ただし、社員があらかじめ同意していた場合は別で、過去に最高裁が、

客観的に見て「社員の自由意思に基づいて同意がなされた」ものといえる合理的な理由がある場合、賃金から控除しても労基法第24条の全額払いの原則には反しない

と判断した裁判例があります(最高裁平成2年11月26日判決)。ですから、賃金や退職金から備品代を控除したいのであれば、まずは本人の同意を得るのが鉄則です。

3 「相殺合意書」などで本人の同意を得てから控除する

1)本人の同意の証拠を書面に残す

本人の同意を得て賃金や退職金から備品代を控除する場合、口約束だけでは後々「言った、言わない」の問題になりかねません。また、同意については「社員の自由意思に基づいてなされた」と客観的に判断できることが重要ですから、

「相殺合意書」などの書面を作成し、本人の同意を得た証拠を残す

ことが大事です。

2)相殺合意書とは?

相殺合意書とは、会社の持つ債権(この場合は損害賠償請求権)と賃金を相殺することについて、会社と社員が合意したことを証明する書面です。決まった書式はありませんが、

  • 損害賠償額とその決定根拠
  • これから支払う予定の賃金や退職金の額
  • 損害賠償額と賃金や退職金を「対当額(釣り合いが取れる額)で相殺」する旨

などを定めるのが一般的です。

注意しなければならないのは、

損害賠償額といっても、「新品の購入費用」などを全額請求できるとは限らない

という点です。例えば、社員が備品を紛失し返却できなくなっても、それが災害などやむを得ない事情によるものの場合、損害賠償請求自体が認められない可能性があります。社員の過失による紛失であっても、「備品の購入時期はいつか」「社員の過失はどの程度か」などによって請求できる額は変わってくるので、専門家に相談するなどして慎重に検討してください。なお、

あらかじめ損害賠償額を就業規則に定めるのは、労基法第16条で禁止

されています。あくまで実際に発生した損害額がベースなので注意しなければなりません。

3)相殺合意書のひな型

次の相殺合意書は、社員が過失により備品を紛失した場合を想定した書面のイメージです。

【相殺合意書】

株式会社○○(以下「甲」)と、従業員○○(以下「乙」)は、別紙記載(省略)の甲が乙に貸与している備品(以下「本件貸与品」)の損害賠償について、下記の通り合意する。

第1条(損害賠償額とその決定根拠)

乙は、甲に対し、本件貸与品に関する損害賠償として金○○円の支払い義務があることを認める。なお、損害賠償額の根拠は次の各号の通りである。

  1. 乙が本人の重大な過失(業務と直接関係のない外出中に、本件貸与品を持ち出し紛失した)により本件貸与品を紛失したこと
  2. 乙が過去にも貸与品を紛失し会社から指導を受けていること

第2条(賃金および退職金の額)

甲は乙に対し、乙が○年○月○日付で退職したことに伴い、賃金○○円、退職金◯○円の支払い義務があることを認める。

第3条(相殺の内容)

1)甲と乙は、第1条の損害賠償額〇〇円と第2条の賃金○○円のうち第1条の損害賠償額に相当する部分の額とを、○年○月○日の賃金支払時に対当額で相殺することに合意する。

2)第2条の退職金〇〇円については、相殺の対象としない。ただし、本件貸与品以外について、甲から乙に対して損害賠償を請求すべき事由が発生したときは、この限りでない。

上記内容を証するために本合意書2通を作成し、甲、乙、立会人が記名捺印の上、甲乙が各々1通を所持する。

○年○月○日

 

             甲

 

             乙

 

             立会人

 

4 社員と連絡が取れなければ内容証明郵便を送る

ここまで、本人の同意を得て賃金や退職金から備品代を控除する場合のポイントを紹介してきましたが、そもそも社員と連絡が取れなければ、同意が得られません。その場合、「内容証明郵便」を使って損害賠償を請求するのも1つの手です。

内容証明郵便とは、郵便を出した内容や発送日、相手が受け取った日付などを郵便局が証明するサービスです。社員の自宅に損害賠償を請求する書面などを内容証明郵便で送れば、

社員が受け取った時点で、会社の意思表示が到達したものとみなされる

ことになっています。

損害賠償額とその決定根拠と併せて、「期日までに請求に応じない場合に法的な措置を取ること」などを書面に記載し、内容証明郵便で送付

すれば、社員にプレッシャーを与えて支払いを促したり、訴訟トラブルに発展した際などに会社の立場を明らかにする証拠になったりします。社員に貸与している備品に高価なものが含まれる場合などに、内容証明郵便を検討してみるとよいでしょう。

以上(2024年3月作成)
(監修 弁護士 田島直明)

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画像:metamorworks-Adobe Stock

【朝礼】「スマイル0円」こそが最強である

皆さん、おはようございます。今朝は「『スマイル0円(ぜろえん)』こそが最強である」というテーマでお話しします。

若い人にはなじみが薄いかもしれませんが、マクドナルドには「スマイル0円」というサービスがあります。いつ始まったのかは分かりませんが、私が最初に知ったのは学生の頃でした。ただ、当時の私は未熟で、「接客だから、笑顔で対応するのは当たり前。それより、ハンバーガーをタダにしてほしい」と茶化(ちゃか)していて、「スマイル0円」の大切さに気付こうとしませんでした。

しかし、今は「スマイル0円」の大切さが分かります。それは、「人を引きつける力」と「自分と相手に幸せを与える力」の2つに尽きます。

目の前に笑顔の人と機嫌が悪そうな人がいたら、笑顔の人に話しかけますよね。これと同じで、皆さんが笑顔でいれば、相手のほうから皆さんに近寄ってきます。新しい出会いが生まれ、何かが始まります。また、脳科学の分野では、笑顔になると、神経伝達物質の「セロトニン」などが多く分泌されるという研究があります。「セロトニン」は幸せホルモンとも呼ばれるものですから、皆さんの笑顔に触れた相手も笑顔になれば、一緒に幸せになれるのです。

難しく考えなくても、私たちは、日ごろから笑顔の力に触れています。例えば、ちょっと入ったお店の店員さんが笑顔で接してくれたら、とても穏やかないい気分になりますよね。

しかし近年は、ネット通販やキャッシュレス決済が増え、以前よりもお店の人と直接コミュニケーションを取る機会が減りました。また、「お客さまは神さまだから、決して逆らってはならない」という誤解や、カスタマーハラスメントの問題もあって、互いにどこか構えている「乾いた接客」が増えてしまいまいた。

これは、日ごろのコミュニケーションでも同じです。相手を尊重するのは良いことですが、一方で衝突を恐れて相手のテリトリーに立ち入ることがなくなったので、それこそ名刺情報のレベルまでしか相手を知ることができません。これはとても残念なことです。

『人を動かす』や『道は開ける』などの書籍でも知られるデール・カーネギー氏の言葉に、

笑顔は1ドルの元手もいらないが、100万ドルの価値を生み出してくれる

というものがあります。私が皆さんに伝えたいことを示した言葉です。

ただ、もはや笑顔はタダではなくなりつつあります。お店がお客を選ぶようになってきた今、笑顔は特定のお客に対する特別な対応になりつつあります。つまり、高いお金を払ったり、何度も訪れたりする常連に向けての、限られたサービスになりつつあるのです。笑顔の価値が高まっていると感じますよね。だからこそ、むしろ、私たちは笑顔を絶やさない集団でいましょう。100万ドル以上の価値が得られます!

以上(2024年3月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

【規程・文例集】「賃金引き下げに関する労働協約と個別の同意書」のひな型

書いてあること

  • 主な読者:社員の賃下げを検討している経営者
  • 課題:労働組合や社員とトラブルにならないよう、法令にのっとって手続きを進めたい
  • 解決策:専門家が監修した賃金引き下げに関する労働協約や個別の同意書を使用する

1 労働条件の不利益変更を行うのに必要な書面とは?

会社の業績が悪化したり、社員の成果が著しく低かったりなどで、「賃下げ」を検討せざるを得ないケースがあります。ただ、賃下げは「労働条件の不利益変更」になるので、実行するには次のいずれかの手続きが必要です。

  • 労働組合の同意を得て、労働協約を変更する
  • 合理的な内容であることなどを前提に、就業規則を変更する
  • 個々の労働者の同意を得て、労働契約を変更する

その際、1.については「賃金引き下げに関する労働協約」、2.と3.については「賃金引き下げに関する個別の同意書」といった具合に、手続きに応じた書面を用意しておくのが望ましいです。2.については本来、就業規則の変更内容が労働契約法第10条の要件を満たす合理的なものであれば個別の同意書は不要なのですが、賃下げは何かとトラブルになりやすいので、やはり用意しておいたほうが無難です。

以降で専門家が監修した労働協約や個別の同意書のひな型を紹介するので、ご確認ください。

2 賃金引き下げに関する労働協約のひな型

以降で紹介するひな型は一般的な事項をまとめたものであり、個々の会社によって定めるべき内容が異なってきます。実際にこうした協約を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

【賃金引き下げに関する労働協約のひな型】

株式会社○○○○(以下「甲」)と△△△△労働組合(以下「乙」)は相互に協力して会社の発展を図るため、会社が従業員に支払う賃金について次の通り労働協約を締結する。また、本協約は就業規則その他、会社と従業員間における全ての協定または契約に優先する。

第1条(目的)

本協約は会社が従業員に支払う賃金支給水準の変更について定めるものであり、これに関連して賞与、退職金の算定基準となる賃金も変更される。

第2条(定義)

本協約において各用語の定義は、次に定めるところによる。

1.賃金:別途定める「賃金規程」(省略)第○条の年功給、職能資格給、技能給のことをいう。

2.賞与:賃金規程第○条の賞与をいう。

3.退職金:別途定める「退職金規程」に基づく退職金をいう。

4.従業員:就業規則第○条の従業員をいう。

第3条(賃金の改定)

本協約の締結後の最初に到来する賃金支払日より、会社は本協約「別表」(省略)に基づいて計算した賃金を従業員に支払う。

第4条(賞与の改定)

本協約の締結後最初に到来する賞与支給月より、会社は本協約「別表」(省略)に基づいて計算した賞与を従業員に支給する。ただし、本協約により賞与の支給月数が変更されることはない。

第5条(退職金の改定)

本協約の有効期間中に生じる退職金の算定は、本協約「別表」(省略)に基づいて行うものとする。

第6条(有効期間)

本協定の有効期限は○年○月○日から1年間とする。

締結日 ○年○月○日

甲 株式会社○○○○  
代表取締役 〇〇〇〇

乙 △△△△労働組合  
委員長 〇〇〇〇

3 賃金引き下げに関する個別の同意書のひな型

以降で紹介するひな型は一般的な事項をまとめたものであり、個々の会社によって定めるべき内容が異なってきます。実際にこうした同意書を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

【賃金引き下げに関する個別の同意書のひな型】

△△△△(従業員氏名)は、本同意書で定める賃金改定について、○年○月○日、別紙説明資料の提示を受けた上で、会社から十分な説明を受けてその内容を理解し、同意した。本同意書の締結後、会社が支給する賃金、賞与、退職金が次の通り変更される。

1.賃金

  • 年功給:    円
  • 職能資格給:  円
  • 技能給:    円

2.賞与

本同意書の締結後、賞与の計算の基礎となる賃金は本同意書「別表」(省略)に定める額に基づく。

3.退職金

本同意書の締結後に生じる退職金の計算の基礎となる賃金は、本同意書「別表」(省略)に定める額に基づく。

締結日 ○年○月○日

甲 株式会社○○○○   

乙 △△△△(従業員氏名)

以上(2024年3月更新)
(監修 弁護士 八幡優里)

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