目次
1 「暑い派」VS「寒い派」バトルが夏と共にやってくる!
暑くなってきたこの時期に従業員がオフィスに集まると、 “あの”問題が勃発します。それは、
エアコン温度の「暑い」vs「寒い」バトル
です。こっそりエアコンの設定温度を下げた暑がりの従業員を、寒がりの従業員が背後からじっと見ていたり、寒がりの従業員に気をつかって暑がりの従業員が汗だくになりながらやせ我慢をしていたり……皆さんも、一度は経験があるのではないでしょうか。
今年も去年に引き続き猛暑となる予想ですが、オフィスでは一人ひとりの好みに合わせた室温の調整が難しいので、企業としては、エアコンが本格稼働する前に、何とかこのバトルの対策を講じておきたいところです。また、
快適に働くための環境づくりは、業務の生産性向上という面でもとても大切
でしょう。
そこでこの記事では、オフィスにおける適温や、「暑い派」「寒い派」それぞれへのケア方法など、猛暑の中でも従業員が快適に働けるようにするポイントを紹介していきます。
ちょっとした工夫や心掛けで業務中の快適さは一気に変わりますので、今一度オフィス環境について振り返ってみましょう。
2 「快適さ」はさまざまな要素で出来ている

1)快適さでオフィスの生産性も変わる!
空気調和・衛生工学会(暖冷房・換気や給水・排水など、生活に密着した設備を専門に研究する学会)の研究によると、室温の変化がオフィスでの生産性も影響することが明らかになっています。同学会の研究者らが発表した論文によると、
空気温度が26.5度を超えると生産性が大きく低下する
そうです。こうしてみると、オフィスでの快適な環境を用意することは、従業員の生産性向上、ひいては企業の業績アップにもつながるといえるでしょう。
2)バトルの原因の名は「PMV」
まずは、快適なオフィス環境を整えるために知っておくと良い知識、
「PMV(Predicted Mean Vote)、予測平均温冷感申告」
についてご紹介します。PMVとは「快適さを表す国際規格」で、
- 室温
- 湿度
- 着衣量
- 放射(日当たりや熱からの距離)
- 気流(直接エアコンの風が当たるかどうか)
- 活動量(体を動かしているか)
によって、その数値が左右されます。

「PMV」では、暑さ・寒さの度合いを「-3~+3」の値で示します。そして国際的な基準(ISO:国際標準化気候)では、約9割の人にとって「快適」な数値は、上図のように「-0.5~+0.5」と、かなり狭い範囲。オフィスで仕事をする大多数が快適と感じるには、PMVをこの狭い範囲に収める必要があります。
つまり、同じオフィスで働いていても、人によって感じる暑さ・寒さは異なるということです。これが「暑い派」vs「寒い派」のバトルの原因で、
快適なオフィス環境を整えるためには、エアコンの温度設定だけでなく、「PMV」を構成する指標のさまざまな要素を捉えて対策する必要がある
といえるでしょう。
3)バトル鎮火のためのロードマップ
次に、この「PMV」を快適温度範囲に近い数値で平均化するために、経営者が従業員のためにできることを紹介します。
ポイントは、次の3段階でオフィス環境を調整することです。
- 【対・全体】まずは部屋全体で「室温」「湿度」の最低限の環境を整える
- 【対・陣営ごと】次に「暑い派」「寒い派」それぞれの陣営の従業員について、体感温度に合わせて席の移動を許可することで、「気流」「放射」を調整する
- 【対・個人】最後に個人の「着衣量」に柔軟に対応することで、「活動量」や個人の代謝の差に対して微調整をかける
次章以降で、1,から3.の各要素をコントロールする方法を解説していきます。
3 【対・全体】「室温」「湿度」をコントロール
一番に整えておかなければいけないのが、対・全体の環境。すなわち、エアコンや除湿機で直接コントロールできる「室温」「湿度」です。
オフィスの衛生管理を定めた法令「事務所衛生基準規則」では、室内にエアコンなどの空調設備がある場合「室の気温が18度以上28度以下、相対湿度が40%以上70%以下になるよう努めなければならない」と定められています。
ただし、これはエアコンの設定温度の話ではなく、オフィスの「室温」や「湿度」の基準です。
たとえエアコンの設定温度が28度でも、人が多いと体温で室温が上がるため、実際の体感温度は従業員の人数などによっても大きく左右されます。そのため、設定温度だけに頼らず、実際の室温・湿度を計測したうえで対策することが大切です。温度計や湿度計の用意を検討してみるのもよいでしょう。
また、近年記録的な猛暑が確認されていますので、「室温28度、湿度70%以下を基準にしているから大丈夫」と安易に判断するのではなく、気象情報などを見ながら柔軟な対応を心がけましょう。
4 【対・陣営ごと】フリーアドレスで「気流」「放射」を操る
オフィス全体の温度・湿度を整えるだけでは、「暑い派」VS「寒い派」の根本的な解決には至りません。そこで、
この夏は、フリーアドレスで放射・気流を調整
してみましょう。フリーアドレスとは、「席を固定せず、空いている席を自由に使う働き方」のことです。
例えば、窓際は放射熱で他の席よりも暖かくなるため、寒がりの従業員に向いています。
「寒い派」陣営が窓の近くのデスクに、「暑い派」陣営が日陰のデスクに移動することで、2つの陣営に「放射」の差をもたらす
ことができます。なお、紫外線の問題もあるので、基本的には夏場のブラインドは下げておくのがベターです。
また、
「暑い派」陣営はエアコンの風が当たる場所に、「寒い派」陣営はエアコンの風が当たらない場所に移動することで、「気流」も調節可能
です。改めて天井を見上げ、エアコンの位置や風がよく当たる席を確認してみるのもよいでしょう。
業務上の都合でフリーアドレスを取り入れることができない場合、次のような方法で気流を調整できます。
- エアコンにアクリル板を取り付け、「寒い派」の従業員に直接風が当たらないようにする
- サーキュレーターを設置し、エアコンの冷たい空気を分散させる
5 【対・個人】「着衣量」を柔軟に! 個人差を調節
夏場のエアコン問題は、「暑い派」VS「寒い派」の小競り合いだけでは済まないことがあります。「暑い派」「寒い派」陣営のみに着目し、個々へのケアを怠ると、
- 暑い派陣営の中でも一番の暑がりは「熱中症」
- 寒い派陣営の中でも一番の寒がりは「冷房病(クーラー病、体が急激な温度差についていけず、自律神経に異常をきたす症状)」
などになってしまう恐れがあるのです。
また、「暑い」「寒い」の感じ方は、活動量や代謝など、エアコンでは調整できない個人差にも左右されます。そこで有効なのが、個々の「着衣量」で体感温度を調整するという方法です。
身近で分かりやすい例は、「クールビズ」。軽装にすることで体感温度を下げる取り組みで、ネクタイを外すだけでも体感が変わるといわれています。全員が同じ快適さを感じることは難しくても、各人ができる限り快適さと健康をかなえられるよう、ネッククーラー・ブランケットの使用を許可するなど、従業員一人ひとりが体調を整えやすい環境づくりを目指しましょう。
また、オフィスワークでは喉の渇きを感じにくいため、無自覚に脱水が進む「かくれ脱水」のリスクがあります。涼しく感じるオフィスでも、定期的に水分補給をするよう呼びかけましょう。こちらのコンテンツでは最新の熱中症対策グッズを紹介していますので、ぜひご確認ください。
▶ 40055 【熱中症対策】「熱中症」予防で使えるグッズを一挙紹介!
以上(2026年6月更新)
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