【株主総会】「オンライン株主総会」を開催するときの注意点

1 中小企業が開催できるのは「ハイブリッド型」

今や定時株主総会(以下「株主総会」)もオンラインで開催する時代。現在認められているオンラインを利用した株主総会の開催方法は、

  1. ハイブリッド型バーチャル株主総会
  2. バーチャルオンリー株主総会

です。このうち、「2.バーチャルオンリー株主総会」の対象は上場企業などに限られるので、中小企業が開催できるのは、

「1.ハイブリッド型バーチャル株主総会」と呼ばれる、リアルの会場を準備した上でオンラインでも中継する形態

です。

また、ハイブリッド型バーチャル株主総会(以下「オンライン株主総会」)は、

  • 参加型:株主はオンラインで株主総会の審議等を「確認・傍聴」する
  • 出席型:株主はオンラインで株主総会の審議等に「出席」する

に大別されます。参加型は、リアル株主総会の中継を見るだけです。質問や議決権の行使はできません。一方、出席型は、リアル株主総会に出席している株主と同じように、質問や議決権の行使ができます。出席型のオンライン株主総会を開催するには、「双方向性と即時性」が必要です。具体的には、

リアル株主総会での発言がオンライン出席している株主にすぐに伝わり、反対にオンライン出席している株主の発言も、すぐにリアル株主総会に伝わること

です。

オンライン株主総会は制約が多いですが、遠方の株主や障害を有している株主などがいる場合は効率化につながる可能性もあります。この記事では、出席型を前提に説明していきます。

2 オンライン株主総会の注意点

1)議決権行使や質問などの方法

オンライン株主総会の利用システムは、一般的なテレビ会議システムやライブ配信ツールにするのが無難です。会社も株主も操作に慣れているからです。また、

株主の本人確認の方法として、システムにログインするためのIDやパスワードを設定し、招集通知などに記載すること

が考えられます。

オンライン出席の株主がどのように議決権行使、質問や動議をするのかについても決めておきましょう。

  • 議決権行使:テレビ会議システムの挙手機能を利用
  • 質問や動議:テレビ会議システムの挙手やコメント機能を利用

賛否が分かれそうな議案がある場合は、書面による事前の議決権行使を採用したほうが無難かもしれません。また、オンライン出席の株主からの質問や動議については、テレビ会議システムのコメント機能を利用することが考えられます。

動議の提出については、

オンライン出席の株主の動議は受け付けないこともできる

ことになっています。ただし、事前に招集通知などに、

バーチャル出席者の動議については、取り上げることが困難な場合があるため、動議を提出する可能性がある方は、リアル株主総会へご出席ください

といった案内を記載すべきでしょう。

2)利用ツールの使用や通信環境

基本として、オンライン株主総会で利用しようとしているシステムに外部から接続できるか、議決権行使などで使う挙手機能やコメント機能が使えるかを確認します。また、リハーサルにおいて、オンライン出席している株主の挙手や質問を見逃すことはないか、こちらからの回答となる音声やテキストがきちんと相手に届くかなども確認します。

さらに、オンライン株主総会で起こる問題として、配信遅延や通信障害があります。配信遅延については、事前にテストで確認できますが、通信障害はいつ発生するか分かりません。もし、株主総会の途中で通信障害が発生してしまった場合、オンライン出席の株主が中継を観ることができず、議決権行使などもできなくなる恐れがあります。

そのため、

  • 通信障害のリスクがあることを招集通知などに記載する
  • バックアップの通信手段を確保しておく
  • 通信障害が発生したときは、一度休憩を入れる

などの準備をし、リハーサルに組み込んでおく必要があります。

3)議事録の注意点

株主総会の議事録には、オンライン出席の株主についても記載する必要があります。この際、開催場所と株主との間で情報伝達の「双方向性と即時性」が確保されていることが分かるよう、利用したシステム等を記載することが望ましいです。

3 オンライン株主総会の招集通知の例

○年○月○日

株主各位

住所:○○○○○○○

社名:株式会社○○○

代表取締役 ○○○○

 

第○回 定時株主総会 招集ご通知

 

拝啓 ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

さて、当社第○回定時株主総会を下記の通り開催いたしますので、ご出席くださいますようご通知申し上げます。

(略)

本総会におきましては、当日会場にご来場いただけない株主様も、後記のインターネット等の手段を用いた「オンライン出席」の方法により本総会にご出席いただくことができます。

(注意事項)

オンライン出席の場合の議決権行使、質問、動議の方法につきましては……(略)

オンラインでご出席されている最中に通信障害などが起きた場合は……(略)

 

(オンライン出席のご案内)

1.オンライン出席に必要となる環境

オンライン出席を行うためには、株主の皆様におかれては、以下の環境を整えていただく必要があります。(略)

 

2.システムへのログイン方法

オンライン出席を希望される株主様は、以下に記載のIDおよびパスワードを用いて、以下のURLまたはQRコードによりアクセスいただき、当社所定のオンライン出席システムにログインいただきますようお願いいたします。

なお、オンライン出席の方法によるご出席は、株主様本人に限定しております。

 

<オンライン出席用の特設ページ>

https://……

<ID・パスワード>

ID:……

パスワード:……

 

(略)

●.お問い合わせ先

03-……

4 オンライン株主総会の議事録の例

開催場所:東京都○○区△△ 第××会議室

なお、当日出席の株主の一部は、当社所定の「○○」システムに所定のIDとパスワードを用いてログインし、会場の画像および音声の配信を受け、インターネットにより質問および議決権行使を行う方法により本総会に出席した。

(略)

議事の経過の要領およびその結果

定刻、取締役社長△△は、定款の規定に基づき議長となり、開会を宣した。

議長は、本総会においては、一部の株主がインターネットを用いて当社所定の「○○」システムにログインする方法で出席しているところ、当該出席者の発言が即時に本総会の会場の出席者に伝わり、一堂に会するのと同等の意見表明が、互いにできる状態であることが確認し、議事に入った。

(略)

5 「バーチャルオンリー株主総会」導入に向けた動き

政府は、現在、会社法を改正して、上場会社に限ることなく「バーチャルオンリー株主総会」を導入することも検討しています。

そのため、中小企業においても、今のうちからオンライン株主総会の開催に慣れておくことが良いでしょう。

以上(2025年4月更新)
(執筆 石原法律事務所 弁護士 磯田翔)

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画像:Mariko Mitsuda

【株主総会】株主名簿の作成、株式譲渡への対応

1 機会は少ないが重要な株式実務

オーナー企業が多い中小企業が株式を取り扱うケースは少ないですが、株式に関するトラブルは解決が難しいので慎重に行いたいものです。重要なポイントは、

株式実務は、株券発行会社と株券不発行会社、譲渡制限の有無によって異なる

ことです。

まず、株券の発行については、2006年5月1日の会社法施行の前後で次のように異なります。

  • 2006年4月30日以前に設立された会社:原則、株券を発行する。発行しない場合はその旨を定款に定める
  • 2006年5月1日以後に設立された会社:原則、株券を発行しない。発行する場合はその旨を定款で定める

また、株式の譲渡制限は定款で定められているので、定款を確認すれば譲渡制限の有無が分かります。多くの中小企業は、全ての株式に譲渡制限がある「非公開会社」ですので、この記事も非公開会社を前提とします。最後に株式実務で使える次の書式のひな型も紹介しているので参考にしてください。

  • 株主名簿(株券不発行会社の場合)
  • 株主印鑑届
  • 株式譲渡承認請求書(株主による請求の場合)
  • 株式譲渡承認通知書(取締役会による承認の場合)
  • 株主名簿書換請求書の例(譲渡人・譲受人共同請求の場合)

2 単なる名簿ではない株主名簿

1)株主名簿がないとトラブルになる?

株主名簿は、株主の氏名や所有株式数などを記載した名簿です。記載する事項は会社法で次のように決められています。

  • 株主の氏名または名称、住所
  • 株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類と種類ごとの数)
  • 株主が株式を取得した日
  • 株券発行会社である場合は、株券の番号

株主名簿の様式は任意ですが、作成は会社の義務です。株主名簿を単なる名簿と見くびってはいけません。株主名簿は株主の権利、会社の株主対応にも影響します。

例えば、株式を譲渡した場合、株主として譲受人へ株主名簿が書き換えられていないと、自分が株主であることについて、株券発行会社の場合は株式会社に、株券不発行会社の場合は株式会社その他の第三者に対抗することができません(会社は、株主として取り扱わなくても違法ではありません)。

さらに、株主名簿の書き換えのために一定の時間を要しますので、一定の日(基準日)において、株主名簿に記載のある者だけを株主として権利行使ができるものと定めることもできます。

株主総会に出席する権利および株主総会の決議によって剰余金の配当を受ける権利に関する基準日を定めた場合、基準日の名簿に株主として記載されていなければ、株主総会において議決権を行使することはもちろん出席も出来ませんし、剰余金の配当も受けられません。会社も株主名簿に載っていない者を出席させることもできません。

2)株主から株券を持ちたくないと言われた場合

株券発行会社でも、

株主は会社に株券の所持を希望しないことを申し出る

ことができます(株券不所持の申し出)。この申し出を受けたら、会社はその旨を株主名簿に記載しなければなりません。

なお、非公開会社の場合、株券発行会社でも株主から請求があるまで株券を発行しなくて大丈夫です。そのため、株券を発行している株主と、そうでない株主が混在する可能性があります。会社法上、株券が発行されている株式については株主名簿で株券の番号の記載が求められていますので、当該番号が記載されているか否かで株券を発行している株主かを区別できます。

3 印鑑の届出

株主総会における委任状や株主の名義書換など、株主の権利の行使や各種手続きの際は、株主本人からの申し出であることを確認する必要があります。そのため、

株主に印鑑を届け出てもらい、手続きなどで押印を求める場合は届出の印鑑を使用

する会社もあります。

4 株式譲渡の承認

1)株式譲渡を承認するのは取締役会か株主総会

非公開会社の場合、株式譲渡を承認するのは、原則として、

取締役会設置会社の場合は取締役会、それ以外の会社は株主総会

です。ただし、定款で別の定めをすることができます。

2)株券不発行会社の場合

株券不発行会社における株式譲渡の基本的な手続きは次の通りです。ここで説明するのは、株主が株式譲渡承認請求をする場合の手続きです。なお、株主による譲渡承認請求は、譲渡前は譲渡人、譲渡後は譲受人が行います。

  • 株主による譲渡承認請求
  • 取締役会等における譲渡承認決議
  • 譲渡承認(不承認)決議の通知
  • 譲渡人と譲受人の共同での株主名簿の書換請求
  • 株主名簿の書換
  • (譲受人から請求があった場合)株主名簿記載事項証明書の交付

譲渡承認請求書に記載する事項は会社法で次のように決められています。

  • 株主が譲り渡そうとする譲渡制限株式の数(種類株式発行会社にあっては、譲渡制限株式の種類および種類ごとの数)
  • 株式を譲り受ける者の氏名または名称、住所
  • 会社が譲渡承認をしない場合、会社または会社が指定する者(指定買取人)が株式を買い取ることを請求するときはその旨

また、会社が譲渡承認または不承認の決議をしたときは、その旨を請求者に通知します。原則として、

譲渡承認請求の日から2週間以内に通知しなかった場合は、譲渡承認したものとみなす

ことになります。

譲渡が行われた後、株主は会社に株主名簿の書換請求をしてきます。この手続きは、原則として譲渡人と譲受人が共同で行います。

3)株券発行会社の場合

株券発行会社の場合、株式譲渡の基本的な手続きは次の通りです(譲渡人が株券交付の前に譲渡承認請求を行う場合を想定しています)。

  • 会社への株券発行の請求と発行(株券が発行されていない場合)
  • 株主による譲渡承認請求
  • 取締役会等における譲渡承認決議
  • 譲渡承認(不承認)の通知
  • 譲渡人から譲受人に対する株券の交付
  • 譲受人による株主名簿の書換請求
  • 株主名簿の書換

株券発行会社の場合、有効に株式を譲渡するには株券の交付が必要です。そのため、株券不所持の申し出等により、株券が発行されていない場合は、株主は、まず株券の発行を請求してきます。そして譲渡が行われた後、株主は会社に株主名簿の書換請求をしてきます。この名義書換手続きは、譲受人が単独で行います。

中小企業の場合、株券を発行していない、もしくは、株券を喪失していることが珍しくありません。このような場合に、株式関係を整理した上で譲渡する目的で、株式譲渡前に株券不発行会社に変更してしまうこともあります。

4)株式が相続された場合

株主が死亡して相続人が株式を取得する場合、譲渡制限が付された株式も、譲渡制限の対象とはならないため、会社には譲渡承認請求ではなく、株主名簿の書換請求をしてきます。株式取得者は、その際、戸籍謄本や遺産分割協議書等、名簿上の株主の死亡・相続による株式取得の事実を確認できる書類を添付しなければなりません。

なお、株式会社は、相続その他の一般承継で譲渡制限株式を取得した者に対し、株式を会社に売り渡すことを請求できる旨を定款で定めることができます。そのため、会社は、定款を確認し、その旨の定めがあるのであれば、売渡請求をするか否かを検討します。

5 主要書類のひな型

株式実務で使用する書類は、会社法で記載事項が定められているもの(法定記載事項)はありますが、様式までは定められていません。ここでは、この記事で紹介してきた以下の書類のひな型を紹介します。法定記載事項だけではなく、記載しておくことが望ましい事項も記載しているので、自社の実情などに合わせて、適宜様式を変更して使用してください。

株主名簿のひな型(株券不発行会社の場合)

株主印鑑届のひな型

株式譲渡承認請求書のひな型(株主による請求の場合)

株式譲渡承認通知書のひな型(取締役会による承認の場合)

株主名簿書換請求書の例(譲渡人・譲受人共同請求の場合)

以上(2026年4月更新)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 有村佳人)

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転んでも労災! 実録 小さな製造業の社長が労災対応で処罰された経緯

1 小さな製造業は労災が多い

製造業の現場では、転倒や挟まれ、切創(せっそう。刃物などで皮膚が切れた状態)などの労働災害(以下「労災」)が日常的に起きます。特に、小さな製造業で労災が多く発生しており、対策が必要です。実際、製造業で労災が最も多く発生しているのは、10~29人規模の会社です。

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小さな製造業には専門の安全管理スタッフがいないため、事故が発生した際、

「軽傷は労災にならない」「社員本人のミスによるけがは自己責任」といった思い込みから、「労災かくし」をしてしまうケース

があります。労災かくしとは、

労災により社員が休業・死亡した場合、会社は労働基準監督署に「労働者死傷病報告」を提出しなければならないのに、これを提出しない(または虚偽の報告をする)こと

で、労働安全衛生法により50万円以下の罰金の対象になります。

この記事では、現役社労士が直面した小さな製造業で起きた労災の問題を紹介します(実際の会社が特定できないように省略したり、表現を変えたりしているところがあります)。

2 小さな製造業で起きた労災の落とし穴「6選」

次のリンクから、現役社労士が直面した小さな製造業で起きた労災の事例をベースに、労災に対するよくある誤解を取り上げた記事をご覧いただけます(実際の会社が特定できないように省略したり、表現を変えたりしているところがあります)。

以上(2025年5月作成)

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画像:ChatGPT

【労災の落とし穴(製造業)】化学物質による中毒症状は労災?

この記事では、現役社労士が直面した小さな製造業の労災の事例として、「業務に関係する職業病を発症した社員について、『ただの体調不良だから労災ではない』と判断してしまった会社」の話を紹介します(実際の会社が特定できないように省略したり、表現を変えたりしているところがあります)。

1 有機溶剤の中毒症状なのに、ただの体調不良として処理してしまった……

社員数8人の印刷会社に勤めるFさん。この会社では、印刷物のクリーニングや清掃作業などで有機溶剤を取り扱いますが、恐ろしいことに、換気装置のメンテナンスや保護具使用のルールの徹底が不十分……。

ある日、Fさんが長時間にわたって印刷機の清掃作業をしていたところ、急にめまいや頭痛を起こし、その場に座り込んでしまいました。社長はFさんの不調には気付きましたが、「疲れがたまっているだけでは?」「季節の変わり目で風邪でも引いたかな?」と軽く考え、水分補給と一時休憩をさせるだけにとどまりました。

しかし、翌日になってもFさんの症状は治まりません。病院で診察を受けた結果、「有機溶剤の吸引による中毒症状の疑いがある」と診断され、しばらく入院しなければならなくなりました。

社長は当初、「ただの体調不良だと思っていた」という理由で、Fさんに健康保険で治療を受けてもらっていました。それが後になって、「実は業務による有機溶剤の吸引が原因だった」と判明し、慌てて労災の手続きをしましたが、労働基準監督署から「業務上の疾病が疑われる場合は早急に適切な対応をすること」と、厳重注意を受けてしまいました。

2 「職業病リスト」に定められている病気を発症したのなら、労災になり得る

風邪や花粉症のように、仕事をしてもしなくてもかかり得る病気で体調不良になった場合、原則として労災にはなりません。ですが、厚生労働省が公表している「職業病リスト」のいずれかを発症し、なおかつ業務との因果関係が明確な場合は、労災として認定されます。

■厚生労働省「職業病リスト(労働基準法施行規則別表第1の2)」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30055.html

このケーススタディーでは、社長は当初、Fさんの不調をただの体調不良と軽く考えていましたが、有機溶剤に含まれる「クロロホルム」「四塩化炭素」などが、職業病リストの

厚生労働大臣の指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)にさらされる業務による疾病であつて、厚生労働大臣が定めるもの

の化学物質に該当し、Fさんが印刷機の清掃作業でそれらの化学物質にさらされたということで、有機溶剤中毒が労災認定されています。

印刷所で使用する洗浄剤やインキには様々な化学物質が使用されているにもかかわらず、曝露(ばくろ)のリスクを軽視していたのは問題です。作業環境の換気が不十分で、保護具の着用も徹底されていなかったため、会社は安全配慮義務違反の責任を問われることになるでしょう。

3 自社に関係する職業病の確認と、予防のための安全衛生教育を!

業務で化学物質や溶剤などを扱う場合、自社の社員がどのような職業病を発症するリスクがあるのかは、あらかじめ把握しておく必要があります。また、体調不良の社員に気付いた際は、本人が「ちょっと具合が悪いだけ」「休めば治る」と言っても、真っ先に中毒を含む職業病を疑い、早急に病院を受診させるべきです。

印刷業で使用する溶剤は、換気扇や排気ダクトの設置など物理的な対策と併せて、SDS(安全データシート)の確認や社員教育が必須です。防毒マスクやゴーグル、手袋など保護具着用を徹底し、定期的な安全衛生教育を実施しましょう。

化学物質による健康被害の防止には、「より有害性が低いことが分かっている物質」への切り替えが重要です。特にオフセット印刷事業所では、洗浄などに使用される有機溶剤は、他の物質で代替できることが少なくありません。

以上(2025年5月作成)

pj00752
画像:ChatGPT

【労災の落とし穴(製造業)】休憩時間中にけがしたら労災?

この記事では、現役社労士が直面した小さな製造業の労災の事例として、「休憩時間中、会社の設備が原因で負傷した社員について、『休憩時間中のけがだから、労災ではない』と判断してしまった会社」の話を紹介します(実際の会社が特定できないように省略したり、表現を変えたりしているところがあります)。

1 休憩時間中のフォークリフトとの接触事故で、労災保険を使わせなかった……

社員数15人の部品加工工場に勤めるEさん。工場内ではフォークリフトで材料や製品を移動させていますが、カーブミラーが未設置の曲がり角がある上、スペースが狭くて通路の区画が曖昧……。さらに休憩スペースの出入り口とフォークリフトが頻繁に通る通路が隣接していて、いつ接触事故が起きても不思議ではない状態です。

ある日の休憩時間中、Eさんは用を思い出して休憩スペースを出ようとした際、通路のカーブを曲がってきたフォークリフトに接触し、右足を骨折してしまいました。しかし、社長は「休憩時間中の事故だから労災ではない」と判断し、Eさんは健康保険で治療を受けることになってしまいました。

2 休憩時間中も、会社の施設内で発生した事故は労災になり得る

休憩時間中の事故については、社員が業務から解放されて自由に過ごせる状況であれば、原則として労災になりません。ただし、会社の施設内で休んでいて、かつ会社の設備が原因でけがをした場合は、

  • 緊急時など必要があれば、会社が社員に干渉できる(業務遂行性)
  • 会社が安全管理を怠り、社内に潜む危険が顕在化したといえる(業務起因性)

という理由から、労災認定されることがあります。

このケーススタディーでは、社長が「休憩時間中の事故だから労災ではない」と判断していますが、Eさんは休憩時間中、工場内の休憩スペースで過ごしているので、業務遂行性は認められるでしょう。加えて、

  • 曲がり角の見通しが悪いのに、カーブミラーが設置されていない
  • 休憩スペースが危険な位置にあるにもかかわらず、明確な動線区分がされていない

という、会社の安全管理が不十分な状態でフォークリフトと接触し、けがをしているので、業務起因性も認められるでしょう。つまり、労災認定される可能性が高いです。

3 事故が起きないよう、環境整備を徹底!

製造業の現場では、フォークリフトや台車など、車両と人との接触事故が起こりやすいです。「スペースが限られているし、ある程度の事故は仕方がない」というような考えだと、いざ事故が起きたとき、安全配慮義務違反で責任を問われることになりかねません。

まずは、会社としてできる限りの事故防止策が取れているかを確認しましょう。例えば、

  • 床にラインを引く、安全柵・ブザー・カーブミラーを設置するなど、物理的な環境整備を徹底する
  • 休憩スペースの配置を再検討し、通路をフォークリフトが横断しないようにする

といった具合です。また、フォークリフトの運転者だけでなく、休憩スペースを利用する全社員に対して、「危険箇所の共有」「利用時の注意点」を周知徹底する必要があります。

以上(2025年5月作成)

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画像:ChatGPT

【株主総会】手続きを削減し、株主総会を1日で終わらせる方法

1 株主総会の手続きは大幅に省略できる

定時株主総会(以下「株主総会」)の開催は株式会社の義務とはいえ、スケジュールを意識して手続を進めることは大変です。特に、オーナー企業の社長は、

日ごろからコミュニケーションをとっているのに、仰々しい株主総会が必要なのか?

などと考えるでしょう。

そのような社長に知っていただきたいのは、取締役と株主の同意を前提に、

株主総会の実務を大幅に省略し、「最短1日」で済ませることができる

ということです。具体的に省略できるのは、

取締役会の招集手続、取締役会の決議、株主総会の招集手続、株主総会の決議

となりますので、この記事で、そのための手続きを紹介していきます。

この記事で想定するのは、中小企業に多く見られる「非公開会社」で、機関設計は「取締役会・監査役設置会社」です。非公開会社とは、

全ての株式の譲渡について、会社の承認が必要となる旨を定款に定めている会社

のことです。

2 取締役会の招集手続や決議の省略

1)取締役の招集通知を省略

株主総会を開催する前に取締役会を開催し、

  • 株主総会の招集
  • 会社が作成した計算書類等の承認

についての決議をする必要があります。この取締役会を開催するのにも招集手続が必要ですが、

取締役と監査役の全員の同意がある場合、招集手続をせずに取締役会を開催

できます。例えば、取締役や監査役が出社していてその場で同意を得られる場合や社内チャットで呼びかけてすぐにウェブ会議で集まることができる場合、その場で会議をするように取締役会が開催できるわけです。

ちなみに、通常の招集手続を経る場合、開催日の1週間前まで(定款によって短縮される場合もあります)に招集通知を発送しなければなりません。

2)取締役会の決議を省略

取締役会の決議も省略できます。その条件は、

  • 取締役が、取締役会で決議したい内容を提案する
  • 提案された内容の議決に参加できる全ての取締役が書面やメールなどで同意する

ことです。これらが満たされた場合、その「提案を可決する旨の決議があった」とみなされます。このような決議を、一般的に”書面決議”といいます。

つまり、

取締役Aが「株主総会の招集」と「計算書類等の承認」をしたいことを書面やメールなどで提案し、他の取締役が書面やメールなどで同意した場合、取締役会の招集通知も決議も省略できる

ということです。

なお、書面決議を行う場合、注意点があります。監査役設置会社の場合、

監査役が、その提案に異議を述べていない

ことが求められます。上記の場合でいうと、取締役Aは監査役にも提案を送付して、異議がないかを確認する必要があります。

3 株主総会の招集手続の省略

通常、株主総会を開催するには、株主に書面やメールなどによる招集通知を発送しなければなりません。ただし、次の条件が満たされた場合については、株主総会の招集手続を省略できます。

  • 書面やメールなどによる議決権行使を認めない
  • 株主全員が同意する

例えば、株主が親族や経営陣のみである中小企業では、あらかじめ、株主全員の同意を得て、招集手続を省略することができます。

ちなみに、通常の招集手続を経る場合、

招集通知は、株主総会の1週間前までの発送が必要

です。より詳細にいうと、この1週間には、招集通知の発送日と株主総会の日を含まず、中1週間が必要です。

また、書面やメールなどによる議決権行使を認める場合、株主総会の招集手続を省略することはできません。この場合、

招集通知は、株主総会の2週間前までの発送が必要

です。

4 株主総会の決議の省略

株主総会では、取締役による議案の説明や株主による決議が必要ですが、これも省略できます。その条件は、

  • 取締役が、株主総会で決議したい内容を提案する
  • 提案された内容の議決に参加できる全ての株主が書面かメールなどで同意する

ことです。これらが満たされた場合、その「提案を可決する旨の決議があった」とみなされます。また、取締役が株主総会の報告事項について株主全員に通知し、株主総会への報告を省略することにつき同意を得た場合も、当該報告があったものとみなされます。このような決議も、前述した取締役会の場合と同じで、一般的に”書面決議”といいます。

ただし、株主間に対立がある場合などは注意しましょう。書面決議では、議決権を行使できる株主全員から同意を得る必要があるので、決議したい内容に反対する株主がいると、書面決議は成り立たないことになります。

このような場合、招集手続からやり直さなければならなくなる可能性があり、株主総会がスケジュール通りに行かなくなる恐れがあります。そのため、最初から書面決議によらず、実際に開催する前提で準備する必要があります。

5 残念! 株主総会議事録は省略できない

株主総会の終了後、会社は株主総会議事録を作成しなければなりません。結論から言うと、

株主総会議事録の作成は省略できない

ということになります。これは株主総会の書面決議を行った場合も変わりません。

なお、作成した株主総会議事録は、一定の期間、会社の本店(支店にはその写し)を備え置く必要があります。また、株主総会議事録は、役員の選任といった商業登記の申請手続において、添付資料として使用しますので、速やかに作成しなければなりません。

以上(2026年4月更新)
(執筆 石原法律事務所 弁護士 磯田翔)

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ビジネスと人権

ビジネスの現場で、労働者の「人権」を守ろうという動きが活発化しています。政府は、「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020~2025)」を策定するなどして、国際的に認められた「労働者の基本的権利」を尊重するよう、企業に呼びかけています。2024年10月には厚生労働省が、具体例をわかりやすくまとめた「労働におけるビジネスと人権 チェックブック」を作成しました。本稿では、中小企業の現場で起こりやすい、身近な人権侵害の事例を紹介します。

1 児童、外国人労働者への権利侵害

<事例1>

児童労働に関する事例1

児童労働に関する事例です。労働基準法では、満18歳未満の人に、時間外労働や休日労働、深夜労働を行わせることを原則禁止しています。例外的に、1週間の労働時間が40時間を超えない範囲内で、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合には、他の日の労働時間を10時間まで延長できます。高校生のアルバイトなどを雇っている企業は、注意が必要です。

<事例2>

強制労働に関する事例2

強制労働に関する事例です。上記のケースは、労働基準法が禁止している強制労働に該当する可能性があります。会社が従業員にお金を貸した場合に、会社がその借金を賃金と相殺することも、労働基準法で禁止されています。

<事例3>

強制労働に関する事例3

強制労働に関する事例です。外国人を雇用している企業は注意が必要です。パスポートや在留カードがないと、労働者が転職したくても、他の仕事を見つけることができません。また、公的サービスを受けることもできなくなります。携帯電話を預かることも、労働者が外部にアクセスできず、隔絶された状況に置かれるため、強制労働に当たる可能性があります。

<事例4>

結社の自由と団体交渉に関する事例4

結社の自由と団体交渉に関する事例です。労働者の過半数を代表する者(労働者代表)は、36協定などを締結する際に必要です。労働者の話し合いや挙手、投票など民主的な方法で選ばなければならず、使用者の指名や、使用者の意向に基づく選出はできません。また、経営者と一体となって従業員の労働条件などを決める立場の人(管理監督者)は、労働者代表になれません。

2 差別、安全衛生上のリスク

<事例5>

差別に関する事例5

差別に関する事例です。採用面接時に、本人に責任のない事項(本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境・家庭環境)や、思想・信条に関わること(宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、購読新聞、愛読書など)を尋ねないよう、注意が必要です。職務遂行に関係ない個人的な事情により採用を判断することになってしまい、差別につながるおそれがあります。

<事例6>

差別に関する事例6

差別に関する事例です。産前産後休業は労働基準法で、育児・介護休業は育児介護休業法に定められた労働者の権利です。しかし、中小零細企業の中にはいまだに、「うちの会社には育児・介護休業制度はない」と言う経営者がいます。これらの休業は、企業の規模にかかわらず、労働者に与えなければなりません。

<事例7>

安全衛生に関する事例7

安全衛生に関する事例です。労働安全衛生法などの定めにより、仕事中にけがや病気で労働者が死亡したり、休業したりした場合には、労働基準監督署に報告する義務が企業に課されています。

3 さいごに

「労働におけるビジネスと人権 チェックブック」では、「児童労働」「強制労働」「結社の自由と団体交渉」「差別」「安全衛生」の5分野で、計61の事例を取り上げています。各分野について、サプライチェーンにおける取引先企業の労働者などとの対話も、人権を守るうえで重要であると明記されています。

※事例はいずれも、厚生労働省「労働におけるビジネスと人権 チェックブック」より引用

※本内容は2025年4月10日時点での内容です。
(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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画像:Aryanedi-Adobe Stock

ビジネスと人権

ビジネスの現場で、労働者の「人権」を守ろうという動きが活発化しています。政府は、「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020~2025)」を策定するなどして、国際的に認められた「労働者の基本的権利」を尊重するよう、企業に呼びかけています。2024年10月には厚生労働省が、具体例をわかりやすくまとめた「労働におけるビジネスと人権 チェックブック」を作成しました。本稿では、中小企業の現場で起こりやすい、身近な人権侵害の事例を紹介します。

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【労災の落とし穴(製造業)】 腰痛の悪化は労災にならない?

この記事では、現役社労士が直面した小さな製造業の労災の事例として、「業務により腰痛が悪化した社員について、『もともと腰が悪かったのなら、労災ではない』と判断してしまった会社」の話を紹介します(実際の会社が特定できないように省略したり、表現を変えたりしているところがあります)。

1 もともと腰が悪かったので、労災保険を使わせなかった……

社員数5人の機械メンテナンス会社に勤めるDさん。出張先の工場で重い機械の点検作業をしている最中、腰をひねって激痛に襲われました。もともと腰痛持ちのDさんは「持病が悪化しただけかもしれない」と考え、社長には報告せずに病院へ向かいます。

医師からは「椎間板ヘルニアの疑いがあるため、一定期間の休業が必要」と診断され、Dさんは社長に報告しました。

しかし、社長は休業を認めたものの、「もともと腰が悪かったのなら、業務とは関係ない」と労災にはしない方針を示し、Dさんは「自己都合休業」になってしまいました。

2 業務により腰痛が悪化したのなら、労災になり得る

腰痛はビジネスパーソンであれば大抵の人が抱える悩みなので、労災と関係ないように思われがちですが、実は状況次第で労災認定されます。

具体的には業務起因性について、図表のように独自の基準が定められています。「災害性の原因による腰痛」「災害性の原因によらない腰痛」にそれぞれの基準がありますが、今回は業務中に腰をひねったことによる腰痛なので、前者(赤字部分)に注目してください。

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このケーススタディーでは、社長が「もともと腰が悪かったのなら、業務とは関係ない」と言っていますが、Dさんは点検作業中に腰をひねり、椎間板ヘルニアを疑われるほど腰を痛めているので、

医師が「業務により症状が著しく悪化した」と明確に結論付けたのなら、業務起因性が認められる可能性が高い

です。業務遂行性については、そもそも業務時間中に発生した事故ということで認められるので、このケースが労災認定される可能性も高いといえるでしょう。

3 腰痛については医師の判断に任せつつ、社内では腰痛予防対策を講じる

腰痛は製造業の現場で起きやすい職業病の1つですから、まずは前述した図表の考え方をしっかり押さえましょう。

「災害性の原因による腰痛」の場合、腰痛の悪化に医学的な根拠があるかどうかを判断するのは医師なので、社員本人や社長が勝手に判断せず、まずはきちんと医師に相談するようにしましょう。

また、毎日不自然な体勢での作業を行っていて腰痛が悪化した場合なども、「災害性の原因によらない腰痛」として労災認定されることがあります。ですから、

  • かがんで作業をしなくても済むよう、高さを調節できる作業台や椅子を用意する
  • 重量物を運ぶ作業が多い場合、腰への負担を和らげるアシストスーツを着用させる
  • 作業前に、社員全員でストレッチを中?とした腰痛予防体操をする

などの腰痛予防対策を講じて、社員が腰を痛めにくい環境をつくることが大切です。腰痛予防対策についてより詳しく知りたい場合、厚生労働省が予防のポイントやチェックリストを公表しているので参考にするとよいでしょう。

■厚生労働省「腰痛予防対策」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31158.html

以上(2025年5月作成)

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画像:ChatGPT

【労災の落とし穴(製造業)】 本人のミスなら自己責任?

この記事では、現役社労士が直面した小さな製造業の労災の事例として、「保護具を着用しなかったせいで負傷した社員について、『本人のミスなので労災ではない』と判断してしまった会社」の話を紹介します(実際の会社が特定できないように省略したり、表現を変えたりしているところがあります)。

1 保護メガネを着用しなかったという理由で、労災保険を使わせなかった……

社員数20人で、溶接作業が中心の工場に勤めるCさん。ある日、業務時間中に保護メガネの着用を忘れて作業していた際、目に金属片が入ってしまいました。Cさんは作業を中断し、水で洗い流すなどの応急処置をしましたが、痛みが激しく視界もぼやけた状態です。

社長に報告したところ、「保護メガネを着用せずにけがをしたなら自己責任。会社が補償する必要はない」と言われ、Cさんも「自分のミスだから仕方ない」と思い込んでしまいます。

病院に行くと角膜に傷ができており、医師から「数日間の安静が必要」と診断されました。しかし、社長は「有給休暇を使って休むように」と指示し、労災保険を使うことを拒否。結局、Cさんは健康保険で診療を受けなければならなくなりました。

2 「本人のミスかどうか」は労災認定には関係ない

業務中の事故でけがをした場合、それが労災になるかどうかは、

  • 業務遂行性:その事故は、「会社の支配・管理下にある」ときに発生したのか
  • 業務起因性:その事故は、「業務と因果関係がある」といえるか

を基準に判断されます。つまり、

事故が「本人のミスによるものかどうか」は労災認定には関係ない

ので、「自己責任だから労災申請しなくていい」という言い分は通用しません。

このケーススタディーでは、Cさんは会社の支配・管理下にある業務時間中に、溶接作業で生じる金属片によってけがをしているので、労災認定される可能性が高いでしょう。

3 社員への「安全衛生教育」を徹底する

社員が「故意に事故を起こした」「私的な用事をしていて事故に遭った」などの特殊なケースでなければ、業務中におきたけがは、基本的に労災になるので労災保険を使うことを徹底しましょう。

また、会社には社員がけがや病気をせずに働けるよう配慮する「安全配慮義務」があるので、

「安全衛生教育」の実施体制に問題があれば、会社は労災発生の責任を問われる

こともあります。現場に「作業中は必ず保護メガネを着用すること!」などの張り紙をした上で、社長や管理職からも口頭で指導する体制を整える必要があるでしょう。

なお、社員にも自身の健康を守り、安全に働けるよう努力する「自己保健義務」があるので、安全管理を徹底させるためにも、社内規程(就業規則本則や安全衛生管理規程)で、

  • 社員には作業前に保護具を着用する義務があること
  • 着用義務に違反し、注意・指導をしても改善しない場合、懲戒処分の対象とすること

などを定めておくとよいでしょう。

以上(2025年5月作成)

pj00749
画像:ChatGPT