印刷して職場に掲載できるポスターです。
今回は、道路交通法の改正で、2024年11月から罰則が強化された「自転車の危険運転」についてまとめました。
こちらからポスターのPDFをダウンロードできます。自転車で通勤したり、業務で自転車を使用したりする社員がいる場合、職場に貼ってご活用ください
以上(2024年12月作成)
pj20003
画像:日本情報マート
Just another WordPress site
印刷して職場に掲載できるポスターです。
今回は、道路交通法の改正で、2024年11月から罰則が強化された「自転車の危険運転」についてまとめました。
こちらからポスターのPDFをダウンロードできます。自転車で通勤したり、業務で自転車を使用したりする社員がいる場合、職場に貼ってご活用ください
以上(2024年12月作成)
pj20003
画像:日本情報マート
自社の商品Aをいくつ製造するか決めたいと思っています。既にB社から5000個の発注を受けていますが、営業担当者によるとB社以外からも5000個の注文をもらえそうとのこと。さぁ、選択です。
B社向けに5000個だけ製造するか、B社以外の販売も見込んで1万個製造するか
営業担当者が“いける”というのなら、B社以外の販売先の注文も受けたいものですが、もし注文がこなかったらと心配になります。こうしたシーンに直面することはよくあるので、判断の基準をご紹介します。
「機会費用」とは、
ある選択をした場合に、選ばなかった別の選択をすることで得られた利益
のことです。商品Aの販売単価は1000円です。5000個だけ製造することを選んだ場合、B社以外の販売先に5000個販売することで得られたはずの500万円が機会費用です(ここでは、製造原価を考慮していません)。
機会費用は「収益の最大化」を意識して検討します。例えば、営業担当者がB社以外の販売先を複数見込んでおり、有力な先もあるのであれば、1万個の製造を選択しやすくなります。さらに大量生産で製造単価も下がるならなおさらです。
反対に、有力な見込み先がなく、製造単価も削減できないなら、5000個だけ製造してB社に売り切ったほうがよさそうです。在庫リスクはなく、営業担当者も他の商品の営業に注力できるので、商品Aの機会費用はなくなります。
もう1つ、機会費用を検討するトレーニングをしましょう。
営業先にC社とD社とがあります。C社は過去に取引実績があり、要求も厳しくありません。競合他社も存在しないので、商談はスムーズに進むでしょう。C社で期待できる売上は500万円です。一方、D社は新規であり、要求はかなり複雑です。競合他社も多数存在するので、受注できるか分かりません。しかし、D社で期待できる売上は2000万円と、C社の4倍です。
C社かD社のいずれか1社としか取引ができないとすると、皆さんはどう判断しますか?
リスクを低減するならC社を優先して500万円を獲得します。1500万円の機会費用が発生しますが、営業上のトラブルや、D社に対応することでリソースが割かれ、他の営業先に悪影響が生じることはありません。
反対にD社を選択する場合は何を考えるでしょうか。2000万円の売上は魅力的で、D社の要求に応えるための努力(技術やノウハウ)はB社の財産になるかもしれません。競合他社に敗れても、将来に向けたビジネスの可能性が広がります。
これは単純な例ですが、機会費用を意識することでより深く検討できます。
管理会計では「サンクコスト(埋没費用)」という考え方も重要です。サンクコストとは、
既に投資したコストや時間など
を指すものです。例えば、人気のラーメン店の行列に並んでいるとき、
予定より待ち時間が長くておなかペコペコだけど、ここまで待ったのだから我慢する
と、それまでのコストや時間を考慮するのがサンクコストの典型です。気持ちは分かりますが、意思決定においては、既に支払っているサンクコストは考慮しないのがセオリーです。そのため、
おなかペコペコなので、別の店にいく。ここまで待った時間は意識しない(諦める)
と、判断します。
ビジネスに話を戻しましょう。ビジネスでは常に撤退プランが準備されています。「これはやるべきではないかもしれない」「無駄かもしれない」と気付いたとき、それまで費やしたコストや時間を考慮せず、素早く撤退の判断したほうがよいのです。
(問題1)
商品Aの販売単価は1000円、製造単価は1~5000個では700円、5001~1万個では690円の商品があります。
B社以外への販売を考慮せず、5000個だけ製造しました。しかし、B社以外から5000個受注したとすると、「もうけ損なった利益」はいくらになるでしょうか? 商品Aを販売する際の販売費及び一般管理費などは考慮しません。
(問題1の回答)
1万個製造する場合、5000個までの製造単価は700円、残り5000個は690円です。この場合、B社以外に5000個販売したときの利益は次の通りです。
155万円=(1000円-690円)×5000個
(問題2)
商品Aの販売単価は1000円、製造単価は1~5000個までは700円、5001~1万個では690円の商品があります。
B社以外への販売を見込み、1万個製造しました。ところが、B社以外に納品する前に1000個に欠陥があることが判明し、1000個を追加で製造しました。また、納期が遅れたため、この1000個の販売単価を1000円から990円に値下げしました。一方、作り直し分の製造単価は680円に抑えることができました。
B社への5000個、B社以外への5000個は、全て販売できたものとした場合、作り直しが発生しなかった場合と比較してどう違うでしょうか?
(問題2の回答)
答えは以下の通りです。
マイナス69万円(236万円−305万円)
以上(2024年11月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 公認会計士 仁田順哉)
pj00277
画像:baranq-shutterstock
おはようございます。突然ですが、皆さんはお客様から実現が難しい要望をもらったとき、どのように対応しますか。「何がなんでも実現する。できる」と思ってアプローチしますか。それとも、「実現するのは難しそうだ」と考え、お客様にできないということを説得しますか。おそらく多くの人が前者と答えるでしょう。「できる」と信じて進めるほうがよいと、頭では分かっているからです。一方、皆さんを見ていると、「できない」と考えながら進めている人が多いように思えます。
時と場合によりますが、最初から「できない」と考えていれば、道が開けることはありません。できる道が見えてくるわけがないからです。かくいう私も、このことに気付いたのは高校生の頃、バスケットボール部に所属していた際に、監督から叱られたことがきっかけです。
あるとき、私は難易度の高い新フォーメーションの練習に取り組んでいたのですが、パスがうまく取れないなど失敗が続き、やる気を失いつつありました。そのとき監督が私にこう言いました。「君は、必ず取る、やってやるという気持ちでボールに向かっているのか? できないと思ってやる練習に意味はない。そんな練習ならやめてくれ」と。私はハッとしました。「成功しよう」という気持ちでやっていなかった自分、惰性で練習を続けていた自分に気付いたからです。
そこで、「次はできる。絶対に成功させてやる」と気持ちを切り替えたところ、新フォーメーションを成功させることができたのです。その後は、私を含め、練習する皆の空気が明らかに変わりました。「できる」という気持ちで取り組むことの大切さを、身をもって知ったからです。
皆さんも同じです。「難しい」「できない」と感じるときほど、「できる」という気持ちで取り組んでみてください。特に管理職は、できない理由ではなく、できる手段と方法を探す人になりましょう。部下は日ごろ、管理職の姿勢や言動を見ています。部下に「できる」という気持ちを持たせられるのは、私と管理職の皆さんです。
そうして一つでも「本当にできた」という経験があれば、それは皆さんの自信と勇気につながります。皆さんが取り組もうとしていることは、必ず「できる」のです。
以上(2024年11月更新)
pj16932
画像:Mariko Mitsuda
〇円以上お買い上げのお客さまにポイントを付与!
このような「ポイント制度」は、顧客を囲い込む一般的な方法として普及しています。ポイントを受け取る消費者も、「ポイ活」をして賢くショッピングを楽しんでいます。
ところで、ポイントが魅力的なのは「お金のように使えるから」に他ならないのですが、付与する側もされる側も、会計や税務の処理はいらないのでしょうか。実は、双方に求められる処理があります。まだ、適切に処理をしていない人は、この記事を参考にしてください。ポイントに関する会計・税務の処理を次のように整理しています。
企業がポイントを付与した場合の会計処理は次の3つです。
どの方法を選ぶかによって法人税の取り扱いが変わるので、それぞれの特徴を把握しましょう。なお、上場企業などは、3.の方法で処理することが義務付けられていますが、中小企業はどの方法で処理しても大丈夫です。
ポイントが実際に使用された時点で、その金額を販売促進費(または値引き)として処理する方法で、
ことになります。
ポイントが使用されたときの仕訳は次の通りです。
この方法により会計処理した場合の法人税の取り扱いについては、
特別な留意点はなく、通常通り計上した売上と費用科目(販売促進費)を使って利益計算(収益-費用)をし、所得(法人税法上の利益)を求める
ことになります。

付与したポイントについて、将来のポイント使用分の見積額を計算し、決算時に引当金を計上する方法で、
します。
決算時の仕訳は次の通りです。なお、一般的に、引当金の金額は過去数年間の実績からポイントが使用された割合(実績割合)を計算し、それを期末時点のポイント残高に乗じて計算します。

この方法により会計処理した場合の法人税の取り扱いでは、決算時に計上した引当金がポイントになります。法人税を計算する上で、原則引当金の計上は認められていません。そのため、
決算時に計上したポイント引当金は、損金不算入(税務上の費用にならない)として、税務申告書上で調整が必要
になります。
ポイントが使用されたときの対応は、前述した「1)ポイントが使用されたときに、販売促進費(または値引き)として処理」する方法と同じです。
収益認識基準を採用し、ポイントを付与したときに将来のポイント使用の見込額を計算して、契約負債を計上し、使用されたときに契約負債の取り消しと、収益を計上する方法です。収益認識基準は、上場企業や大会社(資本金5億円以上もしくは負債200億円以上の会社)に強制的に適用される会計基準です。現時点で、中小企業が適用する必要はありません(任意適用)。そのため、この記事では収益認識基準の解説は省略します。
この方法では、
します。
以下のケースで考えてみましょう。
一般的には、まず過去数年間の実績からポイントが使用された割合(実績割合)を計算し、それを期末時点のポイント残高に乗じて、見積額(独立販売価格という)を出します。次に、その独立販売価格を使い、取引価格を商品売上に係るものと自社ポイントに係るものに配分します。
この場合、ポイントを付与したとき、使用されたときの仕訳は、次の通りです。

この方法により会計処理した場合の法人税の取り扱いについては、
特別な留意点はなく、法人税を計算する際の調整も不要で、通常通りの利益計算(収益-費用)をし、所得(法人税法上の利益)を求める
ことになります。なお、法人税の計算を会計上の取り扱いに一致させるには、法人税法で決められている詳細な要件を満たす必要があります。そのため、ポイント制度を導入する際は税理士などの専門家に相談し、法人税の取り扱いについて確認するようにしましょう。
ポイントを使用するのは個人消費者に限りません。企業も、消耗品やパソコンなどを購入する際や、出張時の宿泊料や航空券の購入時などに、ポイントを使用することがあります。
ポイントを受け取った企業の法人税の取り扱いは、
ことになります。そして、ポイントを使用したときの会計処理は、
の2つがあります。それぞれの仕訳は次の通りです。

法人税を計算する際の調整はなく、通常通りの利益計算(収益-費用)をし、所得(法人税法上の利益)を求めます。
最後に、ポイントを受け取った個人消費者の税金(所得税)の取り扱いを見ていきましょう。所得税の取り扱いのフローは次の通りです。

最も気になるのは、受け取ったポイントについて所得税の確定申告が必要か否かですよね。
この点は、
どのようにポイントを受け取ったか
が重要です。具体的には、次の1.〜3.のどのケースに該当するかということです。
このケースに該当するポイントは、
確定申告が必要な所得には該当しない
とされています。具体的には、買い物の際に購入金額に応じて付与され、ためたポイントで、現金や電子マネーには交換できず、そのサイトや店舗内の商品を値引きする際に使用されるものなどがそうです。
このケースに該当するポイントは、プレゼント(贈与)としての性質から、
確定申告が必要な所得になり、「一時所得」に該当
します。具体的には、抽選キャンペーンに当選して、受け取る懸賞金などとして付与されたポイントがそうです。この場合、抽選キャンペーンで付与されたポイントが、株式などの金銭的価値のある商品の購入に充当されるケースなども含まれます。
このケースに該当するポイントは、特定の行為に対する対価としての性質から、
確定申告が必要な所得になり、「雑所得」に該当
します。具体的には、サイト内などのアンケートに回答したり、広告を視聴したりして得られるポイントが該当します。
前述の「2.抽選キャンペーンに当選するなどして付与されたもの」「3.アンケート回答や広告視聴などで得られるもの」に該当するポイントで、次のいずれにも当てはまる場合、確定申告が必要です。
ポイントがサイト上でたまっているだけの場合などは、現金化されていないので、申告の対象にはなりません。
いかがでしょう。「ポイ活」上手な人は確定申告の必要があるかもしれません。例年、確定申告は2月中旬から3月中旬までに行う必要がありますので、確認は早めに!
以上(2024年12月作成)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 公認会計士 仁田順哉)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)
pj30220
画像:Kei A-Adobe Stock
企業経営はいつでも先行きが不透明ですが、これは悲観ばかりではありません。誰にも未来が分からないからこそ、新たなチャンスが生まれてくることもあるのです。現在を切り抜け、未来のチャンスをつかむために経営者のかじ取りが重要です。
この記事では、そうした際に経営者の判断を助けてくれる「3つの原価」の話をします。難しい計算は一切なく、皆さんが感覚的に理解していることだと思います。ポイントは、
過去にとらわれず、今の財務諸表にとらわれず、未来の収益構造をイメージして判断すること
です。
埋没原価とは、
将来の意思決定に影響を及ぼさない原価
です。例えば、A社から2000万円の新設備を導入するために、200万円の内金を支払ったとします。ところが、B社から同じスペックの設備が1700万円で導入できることが分かりました。A社をキャンセルすると、内金の200万円は戻ってきません。一見、200万円の内金がもったいないと考えてしまいますが、これこそが埋没原価です。A社とB社に払う金額を比較する際、内金は無視をして、次のように考えます。
これは新設備の導入なので分かりやすい例です。新設備だと、旧設備の導入費用やその設備に慣れるまでの教育コストなどが気になってしまいますが、これは埋没原価ですので、未来思考で判断する癖をつけましょう。
機会原価とは、
ある選択をしたら得られたはずの利益。逆にいうと、ある選択をしなかったために失った利益
です。先の新設備の例で考えてみましょう。埋没原価にとらわれて、
という選択肢からA社を購入先に選んだ場合、差額の100万円が機会原価となります。逆にいうと、その選択をしたために失ってしまう利益なので「逸失利益」ともいいます。ただ、機会原価の考え方は難しいので、実際は後述する「増分原価」を検討することになります。
増分原価は差額原価ともいわれるもので、
ある意思決定をした際に、現在から増減する具体的な原価
です。意思決定は未来に対して行うものですから、過去の財務諸表を読むだけではイメージできません。複数の設備投資案から選択する場合、設備投資によって変化する収益と原価から利益を算出します。具体的には、
増分利益=増分収益-増分原価
といったように増分利益を算出し、意思決定を行います。
先の設備投資の場合、単純な金額の比較ではB社からの購入が好ましいですが、ビジネスでは常に複数の要素が含まれます。実際、
A社とは別の設備でも取引しており、今回の新設備をA社から導入することで、メンテナンス費用が150万円安くなる
といったことは珍しくありません。この場合、
メンテナンスまで含めた増分利益は、A社から購入したほうが有利
となるわけです。
以上(2024年11月更新)
pj80095
画像:NINENII-Adobe Stock
「会社法」とは、簡単に言うと、
会社にまつわる基本的なルール(会社の設立、組織、運営、管理など)を定めた法律
です。会社経営に直結するとても重要な法律ですが、内容が多岐にわたる上に専門用語も多く、「正直取っ付きにくい」という人も少なくないはずです。
とはいえ、900以上ある会社法の条文を丸暗記する必要はありません。
「会社の設立」「機関設計」「資金調達」「M&A(企業再編)」「会社の縮小」など会社経営の実務ごとに、関連する基本的なルールと要点を押さえておけばそれで十分
です。以降で関連記事と併せて紹介するので見ていきましょう。なお、会社法の「会社」は、
に分けられますが、このシリーズで対象とするのは「株式会社」です。
会社を設立する方法には、
の2種類がありますが、手続き(定款の作成・認証など)に問題があると、会社の設立が無効となってしまうこともあるので注意が必要です。
会社は経営上の意思決定をしたり、適正な経営がされているか監視したりするため「機関」を設置します。また、複数の機関を会社に適した形に組み合わせることを「機関設計」といいます。
会社が設置できる機関には、
株主総会、取締役、取締役会、代表取締役、監査役、監査役会、会計参与、会計監査人、監査等委員会、指名委員会等、執行役
などがあり、株主総会と取締役は必ず設置しなければなりません。
機関設計は「公開会社か非公開会社か」「大会社か非大会社か」などによって変わります。
「非公開会社×非大会社」の中小企業の場合、「株主総会+取締役」「株主総会+取締役会+監査役」など、比較的シンプルな機関設計になることが多いようです。
会社が株主から資金を調達する方法には、株式の内容の工夫、増資、新株予約権の発行、社債の発行、計算書類などがあります。それぞれ資金調達の形態や手続きが、会社法で細かく定められています。
さまざまなタイプの会社や株主の要望に応じられるよう、株式の内容を自由に設計できれば、それだけ資金調達がしやすくなります。会社法では、定款で一定の事項を定めることで、
9つの種類株式(剰余金の配当額や、残余財産の分配額が異なる株式など)を発行できる
ので、それぞれの特徴を押さえておきましょう。
増資とは、新たに株式を発行して資金を調達する手法のことです。
の3つの形態があり、「公開会社か非公開会社か」などによって手続きの内容が異なります。
新株予約権とは、会社の株式の交付を受けられる権利のことです(役員や社員にストックオプションとして付与するなど)。こちらも「第三者割当」「株主割当」「公募」の3つの形態があり、「公開会社か非公開会社か」などによって手続きの内容が異なります。
社債とは、会社が多額で長期間の資金を調達する際に行われる手法です。株式と違い、投資家は会社がもうかっていなくても、あらかじめ定められた利息を受け取れます。
があり、それぞれ社債の発行手続きが異なります。
資金調達と併せ、会社法で作成が義務付けられている計算書類についても、内容や作成後の対応(計算書類の監査と承認、公告など)を押さえておきましょう。
「M&A(Mergers and Acquisitions)」は、新市場の開拓、競争相手の排除、コスト削減、経済規模の拡大などさまざまな目的で実施されます。M&Aには、合併と買収という2つの意味がありますが、両方の意味を含むものとして、「企業再編」という言葉が使われることもあります。
事業譲渡とは、自社の全部または一部の事業を別の会社に売り渡すことです。事業そのものは存続し、事業を運営する会社が変わるというイメージです。大きな特徴は、
ことです。譲渡会社(売り手)側では、株主総会の特別決議や、事業譲渡に反対する株主のために、株式買取請求の機会を与えるなどの対応が必要になります。
合併とは、複数の会社が1つになることで、
に分けられます。合併する際は「合併契約」を締結しますが、吸収合併と新設合併とで内容が異なります。また、締結に当たり、契約内容の事前開示や株主総会の承認などが必要になります。
株式譲渡とは、自社の株式の全部または一部を別の会社に売り渡すことです。会社のオーナーが変わるというイメージです。大きな特徴は、
ことです。会社の設立時期によっては株券(株式を表章する有価証券)の交付が必要になります。
会社分割とは、事業の権利義務の全部または一部を別の会社に譲渡することで、
に分けられます。吸収分割の際は「吸収分割契約」を締結、新設分割の際は「新設分割計画」を作成します。また、それぞれ契約・計画内容の事前開示や株主総会の承認などが必要になります。
株式交換・株式移転・株式交付は、いずれも自社株を買収対価とする企業再編の手法です。株式交換と株式移転は、完全親子関係になります。株式交付は株式交換に似ていますが、完全親子関係にとらわれずに実施できます。株式交換をする際は「株式交換契約」を締結します。こちらも締結に当たり、契約内容の事前開示や株主総会の承認などが必要になります。
最後に、資本金の額を減少する「減資」、会社を終わらせる「解散・清算」を紹介します。
「減資」は、会社の業績が芳しくない場合などに資本金の額を減少することで、
に分けられます。減資の際は、株主総会の特別決議の他、債権者が不利益を被る恐れがあるので、異議を述べる機会を設ける必要などがあります。
会社の始まりが設立だとすれば、終わりは解散と清算になります。
解散は、会社法で定められた理由(定款で定めた存続期間の満了など)に基づいて行う必要があり、株主総会の特別決議によって決定します。また、清算を行うには手続きを遂行する「清算人」という機関の選任が必要になります。
以上(2024年11月作成)
pj60356
画像:Mariko Mitsuda
一般的に取引先の良しあしは売上高の大小で把握されているため、より多くの売上が上がっている先を「良い取引先」と考えます。確かに、大きな取引ができているという意味では良い取引先ですが、売上の大きさがそのまま利益の大きさになるわけではありません。極端な例をいえば、売上が大きくても利益が出ていない赤字の取引先もあるわけで、特別な意図がなければ、これは良い取引先とは言えないわけです。
特に新任役員や新任管理職は、着任後、すぐに現状を分析して既存取引先の方針決定(取引規模の拡大、現状維持、縮小)を判断すると同時に、新規取引先の獲得も戦略的に行う必要があります。その際、「取引規模が大きい」「長年の付き合いがある」「相手が大企業である」といったことだけで判断していては、利益を失う恐れがあるのです。
この記事では、「管理会計」の観点から取引の中身に目を向け、定量的に良い取引と悪い取引の判断基準を説明します。
利益は売上から費用を引いて求めるわけですから、まずは管理会計の視点で費用を分類してみましょう。具体的には、次のように「変動費」と「固定費」に分けます。
分類の手法には「勘定科目法」と「統計的方法」があります。詳細は割愛しますが、勘定科目法は、自社の費用を勘定科目ごとに変動費と固定費に分ける方法、統計的方法は、売上高と総費用から最小二乗などにより算定する方法です。
また、費用を次のように「直接費」と「間接費」に分けると、さらに詳細に把握できます。
例えば、複数の取引先の営業担当者の人件費は固定費であると同時に、間接費でもあります。営業担当者の活動を「事前準備と商談」とした場合、事前準備と商談にかかる時間を確認し、営業担当者の1時間当たりの人件費と取引先の訪問回数を掛ければ、取引先別の人件費が明らかになります。
費用の分類をしたら、取引先ごとの収益を一覧にまとめてみましょう。その際、限界利益(率)も計算すると後の分析に役立ちます。

さて、ここで問題です。
A社とB社から5000万円分の増産依頼がありました。うれしい依頼ですが、生産設備の関係で、対応できるのはいずれか1社だけです。
皆さんは、A社とB社のどちらを選択しますか?

図表1では、A社が売上高、営業利益、営業利益率で勝っていました。図表2でもA社が売上高、営業利益では勝っていますが、営業利益率はB社が逆転しています。つまり、B社のほうが効率的に利益を生んでいるということであり、これは限界利益(率)を見れば分かるのです。数字が際立って良かったり、悪かったりすれば判断は容易ですが、A社とB社のような似通った取引先については、複数の数字の裏付けをもって判断するようにしましょう。
今度は、W社とX社から新規取引を求められたとしましょう。条件は以下の通りです。
【自社の製造条件】
【W社とX社の希望】

設例のように、販売数量や販売単価が異なる案件を比較する場合は、限界利益に着目します。今回のケースでは、販売数量に応じて変動費も変わってくるため、売上高は同額でも、販売数量の多いX社のほうが変動費は高くなり、限界利益が低くなります。この場合、W社を選ぶのが有利です。また、この結果は、単価を引き下げた場合も同じです。参考として、次の条件のY社とZ社を比較した結果を紹介します。
【Y社とZ社の希望】※ここでは、追加の売上を考慮しません。

やはり販売数量に応じて変動費が変わるため、売上高は同額でも、販売数量の多いY社のほうが限界利益は低くなり、Z社のほうが良い条件となっています。
先のY社とZ社では、Z社のほうが自社にとって条件が良いことが分かりました。しかし、Y社は将来有望で、9万円に値下げした条件でも「取引実績を作りたい」と考えています。この何となく取引しておきたいという感覚を、W社、X社、Y社、Z社を比較すると次のようになります。なお、以降ではY社を比較の主体として、他社と比べていきます。

Y社への販売単価である9万円と、限界利益率である33.3…%を変えない場合、Y社との取引で、他社との取引による利益に追いつくために必要な販売数量は次の通りです。
Y社への販売数量は1000個の想定でしたが、上の個数を販売できれば他社の利益に追いつきます。例えば、1666.6個販売すれば、利益は3000万円に届くということです。これにより、
「将来有望」という曖昧な部分が、「1666.6個販売できるか?」
といった具合に定量化されました。
「利益を増加させる」という目的で値下げを検討する場合には、値下げによりどれだけ販売数量が増加する見込みがあるのか、事前にこの関係を十分に検討することが重要です。
なお、目標利益を達成するための販売個数は次の数式で求められます。
(目標利益+固定費)÷限界利益率÷単価
以上(2024年11月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 公認会計士 伏見健一)
pj60105
画像:pexels
当期の営業利益は1億円。来期は強気に2億円まで伸ばす計画です!
現在の損益の状況と次期目標利益は次の通りなのですが、この目標利益を達成するために必要な売上高はいくらでしょうか。売上原価は売上高の増減に合わせて変動し、販売管理費は一定とします。

このケースの売上高は、
12億5000万円=(3億円+2億円)/0.4
となります。上の数式の「0.4」は、本ケースの売上総利益率です(40%(1-0.6))。
これが基本的な答えですが、会社の営業戦略によって変わる部分があります。例えば、強気に値上げをする場合もあれば、値下げして販売量を増やすこともあります。こうしたシーンに直面することはよくあるので、判断の基準をご紹介します。
「損益分岐点」とは、
売上と費用がトントンの状態
です。損益分岐点は管理会計で用いられる最もポピュラーな指標の1つで、これを知ることで意思決定に明確な根拠を持たせることができます。
さて、損益分岐点を求めるには費用を次のように分けます。
そして、横軸を販売数量、縦軸を金額(費用、利益、売上高)とした場合、変動費、固定費、利益、売上高の関係は次のようになります。

図表2では変動費の上に固定費を置いているので、固定費ラインが費用の合計(変動費+固定費)になります。売上高ラインと固定費ライン(費用の合計)が交差する点が損益分岐点です。
また、変動費と固定費の上に目標利益を置いています。売上高ラインと目標利益ラインが交差する点が「目標利益達成点」です。必要売上高は次のように算出することができます。なお、「変動費率」は「変動費/売上高」です。
必要売上高=(固定費+目標利益)/(1-変動費率)
さらに分かりやすくすると、「1-変動費率」のことを「限界利益率」といいます。限界利益率を用いると、計算式は次のようにシンプルになります。
必要売上高=(固定費+目標利益)/限界利益率
目標利益を達成するための必要売上高の求め方は、損益分岐点の考え方でお分かりいただけたと思います。次は、設定した目標利益をどのように達成するか、つまり営業戦略の問題です。ここでは、次の4つの営業戦略を想定し、それぞれの必要売上高を求めます。
ちなみに、図表3を見て戦略1~4はどのような内容か想像できますか?

それぞれの戦略は、次のようなものです。
これらは企業がとり得る基本的な営業戦略です。条件次第で結果は変わってきますが、以降では「目標営業利益2億円を達成する」ために必要な売上高と販売数量を検討する際の基本的な考え方を紹介します。
値上げをすると限界利益率が高くなるので利益が出やすくなりますが、一方で販売数量が減少する恐れがあります。
値上げ戦略は、「価格弾力性が低い商品」に適しています。価格弾力性が低い商品とは、
価格の影響を受けにくい商品です。つまり、販売数量は値上げしてもあまり減少せず、逆に値下げしてもあまり増加しない
ということです。具体的には、食品や日用品などが挙げられます。
ここでは販売単価を10%値上げして限界利益率を上げ、営業利益2億円を目指します。従来の変動費率は60%(6億円/10億円)ですが、販売単価を10%値上げすることで変動費率は54.5…%(6億円/(10億円×1.1))になります。これを基に必要売上高を算出すると次の通りです。
必要売上高
=(固定費+目標営業利益)/(1-変動費率)
=(3億円+2億円)/(1-0.545…)=11億円
この場合、販売数量は現在の100%(11億円/(10億円×1.1))、つまり、現状と同じ販売数量で必要売上高を達成できます。
値下げをすると限界利益が低くなるので利益が出にくくなりますが、一方で販売数量の増加が見込めます。薄利を上回る多売を実現すれば、目標利益の達成が可能になります。
値下げ戦略は、「価格弾力性が高い商品」に適しています。価格弾力性が高い商品とは、
価格の影響を受けやすい商品です。つまり、販売数量は値上げしたら減少し、逆に値下げすると増加する
ということです。具体的には、家具や家電製品など耐久消費財などが挙げられます。
ここでは販売単価を10%値下げして販売数量を増やし、営業利益2億円を目指します。従来の変動費率は60%(6億円/10億円)ですが、販売単価を10%値下げすることで変動費率は66.6…%(6億円/(10億円×0.9))になります。これを基に必要売上高を算出すると次の通りです。
必要売上高
=(固定費+目標営業利益)/(1-変動費率)
=(3億円+2億円)/(1-0.666…)=15億円
この場合、必要売上高を達成するには、販売数量を現在の約1.7倍(15億円/(10億円×0.9))にする必要があります。
販売管理費を1億円増強し、営業担当者を増やしたり、広告を出したりして拡販につなげます。製品のライフサイクルが成長期にある場合、営業力強化による拡販は効果的です。
ここでは固定費(販売管理費)を1億円増やして4億円とし、営業利益2億円を目指します。これを基に必要売上高を算出すると次の通りです。
必要売上高
=(固定費+目標営業利益)/(1-変動費率)
=(4億円+2億円)/(1-0.6)=15億円
この場合、必要売上高を達成するには、販売数量を現在の1.5倍(15億円/10億円)にする必要があります。
販売管理費を1億円削減し、利益を上げやすくします。とはいえ、営業力が極端に低下してはいけないので、基本は不採算店の閉鎖、物流の効率化、在庫の圧縮などの効率化となります。製品のライフサイクルが成熟期にある場合、固定費の削減は効果的です。
ここでは固定費(販売管理費)を1億円削減して2億円とし、営業利益2億円を目指します。これを基に必要売上高を算出すると次の通りです。
必要売上高
=(固定費+目標営業利益)/(1-変動費率)
=(2億円+2億円)/(1-0.6)=10億円
この場合、現状と同じ必要売上高と必要販売数量で目標利益を達成できます。ただし、売上高が減少局面にある場合、売上高を維持することは容易ではありません。
ここまで紹介してきた4つの営業戦略による売上高、売上原価(変動費)、販売管理費(固定費)、営業利益は次の通りです。

また、目標利益が税引後利益の場合、法人税等に留意が必要です。例えば、固定費3億円、変動費率60%、法人実効税率30%とした場合、目標税引後利益2億円を達成する必要売上高は次の通りです。
必要売上高
={固定費+目標税引後利益/(1-法人実効税率)}/(1-変動費率)
={3億円+2億円/(1-0.3)}/(1-0.6)≒14億6429万円
目標とする税引後利益から必要売上高を算出する場合、税引後利益に法人税等を加味して、税引前利益を求めてから計算しましょう。
以上(2024年11月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 公認会計士 仁田順哉)
pj35044
画像:pixabay
私の社長仲間に、「巧詐(こうさ)は拙誠(せっせい)に如(し)かず」を座右の銘とする人がいます。この言葉は中国古典である『韓非子』に出てくる一節で、「巧みに相手を偽るよりも、拙くてもよいから『誠実』であることが大事である」という意味です。
この社長は、分からないことは「分かりません」とはっきりと言い、知ったかぶりをしません。しかも、そこで終わらず、後日、きちんと調べて回答してくれます。しかも、私が「1」を話したことから「10」どころか、「50」も「100」も私のことを理解し、先回りをして対応してくれます。こうした対応をするには相応の時間が必要ですが、彼は多忙な中、ある意味で「利他的」な言動を取ってくれるのです。私は心から彼を信頼し、いつでも恩返ししたいと思っています。
一方、世の中には、残念ながら目先の自分の利益ばかりを優先し、巧みな話術で必ずしも相手のためにならない提案をしたり、自分のメンツばかりを気にして知ったかぶりをしたりする人がいます。偽るために飾られた言動は、かえって「私をだまそうとしていない?」と不信につながります。いざ「巧詐」の本性が明らかになれば、私はその人と二度とビジネスをしないでしょう。
両者の違いは非常に大きなものです。私自身、そうした経験をしたことが何度もあります。ある大型案件のコンペに参加したときのことです。クライアントの要求レベルが非常に高く、競合も当社もその時点で十分に応えることができませんでした。その際、競合は自分たちの強みを強調し、不足している技術をごまかそうとしました。一方、私はその時点の当社の技術で、クライアントの要求をどの程度満たせるかを説明し、自分たちに不足している技術とそれをカバーするまでのスケジュールも示しました。すると、クライアントは当社の姿勢を評価し、「御社は常にこちらのことを考え、誠実に対応してくれるのですね。信頼できる御社にお任せします!」と言ってくれたのです。
ビジネスでは、時にテクニックも必要です。しかし、テクニックだけでは誠実で真っすぐな姿勢に勝ることは決してないのです。大事なのは、相手の立場に立って自分たちができることを考え、丁寧に実行することです。
以上(2024年11月更新)
pj16924
画像:Mariko Mitsuda
中小企業は、経営資源の質と量では大企業に劣るものの、意思決定の速さと柔軟さには素晴らしいものがあります。この強みを「企画力」として活かせれば、大企業とも十分に戦うことができます。特に営業で大企業に勝ったことがある経営者は、このことを実感していますから、
お客様や取引先に接している社員が、次々と企画を上げてくるような活発な組織を期待
します。
しかし、こうした経営者の期待は、多くの社員にとってハードルが高いようです。なぜなら、多くの社員は「世の中になく、他の追随を許さない、画期的なものを生み出すこと」が企画立案だと思っているからです。御社に「100点満点を求め、失敗を許さない雰囲気」はないですか? こうした組織では社員は自由に発想することができません。
重要なポイントは、
企画立案に対するハードルを下げる
ことです。それと同時に、企画するときの考え方を示してあげることも大切です。身近にあるコンビニエンスストア(以下「コンビニ」)を例に考えていきますので、御社の社員にも伝えてみてください。
ビジネスにはコアとなる技術やサービスがあり、それを中心に全体像が設計されます。コアを中心に複数の要素を組み合わせる足し算型が企画の基本です。例えば、
コンビニには「小売り」というコアがあり、そこにATMや公共料金の支払い、宅配などの要素が足されていくことで、小売りだけのときより、生活に密着したポジションを確立
することができます。
中小企業においても、いわゆる「水平統合」によって、取り扱う商品やサービスのラインアップを拡充するケースがよく見られます。他社との提携によって、自社の顧客のニーズを十分に満たす商品やサービスを実現するイメージです。
前述した足し算型と似ているのが掛け算型で、複数の要素を組み合わせて新たな付加価値を生み出します。最初から掛け算型を目指せればよいのですが、実際は足し算型を続けていくうちに、掛け算型の効果が見えてきます。
引き続きコンビニのケースで考えてみます。例えば、
イートインやコーヒーマシンは個別に見れば足し算ですが、両者を掛け合わせると「ランチや休憩の場所」という、新たな付加価値が生まれて「カフェ」に近い機能が備わり、利用者層の広がりを期待
できます。
中小企業においても、足し算型でサービスを組み合わせていくうちに、掛け算型の新しい付加価値が生まれることがあります。それにいち早く気付けば、コンビニがコーヒーとパンのセット割引をするようなプロモーションも可能になります。
足し算型と掛け算型よりも大きなインパクトがあるのが引き算型の企画です。引き算型では斬新なビジネスモデルの実現による収益向上や、無駄の排除によるコスト削減を期待できます。
コンビニの場合、
決済などのオペレーションを自動化し、従業員がいなくても運営できる「無人コンビニ」や営業時間の短い「時短コンビニ」
などがこれに該当します。これまでのサービスの常識を覆す引き算型は、いわゆる「破壊的イノベーション」を生み出すことがあります。
中小企業にとって、引き算型の企画を遂行することは勇気がいるかもしれません。今あるものを削って顧客の反感を買う恐れがありますし、全く新しいものにチャレンジするのはリスクが高いからです。しかし、引き算型の企画遂行に成功すれば差異化を図りやすくなります。
ここまで紹介してきた足し算型、掛け算型、引き算型の企画立案は、既にあるコアの魅力を高める取り組みでした。これに対してコア開発型の企画とは、文字通り新しいコアをつくり上げるということであり、事業多角化につながります。
コンビニの場合、
PB(プライベートブランド)の開発
などが該当すると考えられます。足し算型が水平統合のイメージであったのに対し、コア開発型はいわゆる「垂直統合」となります。
中小企業は、単一の事業で戦っていることが少なくありません。コア開発型の企画遂行に成功すれば多角化につながりますが、一足飛びに取り組めるものではありません。まずは、足し算型や掛け算型から企画の練習をすることが優先でしょう。
「古池や蛙(かわず)飛び込む水の音」。松尾芭蕉の有名な句です。ところで、蛙は何色で、何匹いたのでしょうか。また、池に飛び込む音は、どんな音だったのでしょうか。さらに、そもそも「古池」を見たことがなければ、情景をイメージできません。
同様に、
企画を立てたことのない社員は、お題を与えられても、どう考えてよいのか分からない
というのが実情です。そこで、最初は経営者がアイデアを出し、企画会議を進行して、企画の立て方を社員に示していくしかありません。柔軟な発想で企画し素早く形にすれば、大企業を打ち負かすチャンスが生まれるはずです。
組み合わせる、変形させる、差し引く。どのようなアプローチをするにせよ、企画力は自由な発想と異なる要素を通底する力によって生まれます。経営者は、社員が異質なものに触れる機会をたくさんつくりましょう。他流試合の繰り返しによって、「古池」と聞いたときに何通りもの情景を思い描くことができるようになり、企画の幅が広がっていきます。
以上(2024年12月更新)
pj80065
画像:fizkes-shutterstock