2023年の金属素形材製品製造業は、事業所数・従業者数がほぼ横ばいで安定する一方、製造品出荷額は約2.63兆円(前年比+5.0%)と回復基調にあります。アルミ・金属プレスが回復をけん引する反面、粉末・金製品は縮小。原材料使用額の上昇で原材料比率は約60.5%、付加価値率は33.8%にとどまり、収益性改善とコスト管理、付加価値向上が喫緊の課題です。
1 業界動向
1)業界全体
2023年の金属素形材製品製造業の事業所数は3872事業所(対前年比99.3%)、従業者数は9万4692人(対前年比99.0%)、製造品出荷額等は2兆6320億4400万円(対前年比105.0%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
2)アルミニウム・同合金プレス製品製造業
2023年のアルミニウム・同合金プレス製品製造業の事業所数は582事業所(対前年比99.5%)、従業者数は1万5113人(対前年比100.1%)、製造品出荷額等は5944億5600万円(対前年比105.0%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
3)金属プレス製品製造業(アルミニウム・同合金を除く)
2023年の金属プレス製品製造業(アルミニウム・同合金を除く)の事業所数は3185事業所(対前年比99.5%)、従業者数は6万8892人(対前年比100.7%)、製造品出荷額等は1兆7089億4900万円(対前年比107.7%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
4)粉末や金製品製造業
2023年の粉末や金製品製造業の事業所数は105事業所(対前年比94.6%)、従業者数は1万687人(対前年比88.0%)、製造品出荷額等は3286億3900万円(対前年比92.6%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)
品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
3 経営指標

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)
(注1)( )内は、調査対象企業数です。
(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。
以上(2026年3月更新)
pj55082
画像:Mariko Mitsuda
2023年の洋食器・刃物・手道具・金物類製造業は、事業所数・従業者数が微減する一方で製造品出荷額は約8,923億円とやや減少し、原材料比率が55.2%で付加価値率は40.2%にとどまります。特に洋食器は出荷額が前年の34.3%に急落し、作業工具も落ち込む一方、機械刃物や「その他の金物類」は堅調で付加価値を伸ばしています。総じて品目間で明暗が分かれ、コスト管理と高付加価値化、製品力強化や海外展開の検討が今後の重点課題です。
1 業界動向
1)業界全体
2023年の洋食器・刃物・手道具・金物類製造業の事業所数は2388事業所(対前年比99.3%)、従業者数は3万9210人(対前年比98.9%)、製造品出荷額等は8923億2200万円(対前年比97.9%)となっています。
1事業所当たりの従業者数は16人(対前年比99.6%)、現金給与総額は6800万円(対前年比101.9%)、原材料使用額等は2億600万円(対前年比97.3%)、製造品出荷額等は3億7400万円(対前年比98.6%)、付加価値額は1億5000万円(対前年比98.8%)となっています。
従業者1人当たりの現金給与総額は412万円(対前年比102.4%)、製造品出荷額等は2276万円(対前年比99.0%)、付加価値額は915万円(対前年比99.2%)となっています。
製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は55.2%(対前年比98.7%)、同付加価値額比率は40.2%(対前年比100.2%)、同現金給与総額比率は18.1%(対前年比103.4%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
2)洋食器製造業
2023年の洋食器製造業の事業所数は93事業所(対前年比100.0%)、従業者数は977人(対前年比89.6%)、製造品出荷額等は157億5700万円(対前年比34.3%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
3)機械刃物製造業
2023年の機械刃物製造業の事業所数は435事業所(対前年比99.5%)、従業者数は5979人(対前年比100.5%)、製造品出荷額等は931億7800万円(対前年比103.9%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
4)利器工匠具・手道具製造業(やすり、のこぎり、食卓用刃物を除く)
2023年の利器工匠具・手道具製造業(やすり、のこぎり、食卓用刃物を除く)の事業所数は330事業所(対前年比99.7%)、従業者数は5892人(対前年比97.6%)、製造品出荷額等は1147億300万円(対前年比99.4%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
5)作業工具製造業
2023年の作業工具製造業の事業所数は189事業所(対前年比96.9%)、従業者数は4342人(対前年比97.0%)、製造品出荷額等は898億1200万円(対前年比89.9%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
6)手引のこぎり・のこ刃製造業
2023年の手引のこぎり・のこ刃製造業の事業所数は82事業所(対前年比100.0%)、従業者数は1108人(対前年比97.3%)、製造品出荷額等は193億5600万円(対前年比96.7%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
7)農業用器具製造業(農業用機械を除く)
2023年の農業用器具製造業(農業用機械を除く)の事業所数は144事業所(対前年比98.0%)、従業者数は1345人(対前年比94.1%)、製造品出荷額等は248億3800万円(対前年比87.2%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
8)その他の金物類製造業
2023年のその他の金物類製造業の事業所数は1115事業所(対前年比99.6%)、従業者数は1万9567人(対前年比100.2%)、製造品出荷額等は5346億7800万円(対前年比104.4%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)
品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
3 経営指標

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)
(注1)( )内は、調査対象企業数です。
(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。
以上(2026年3月更新)
pj55079
画像:Mariko Mitsuda
2023年の非鉄金属素形材製造業は、事業所数はほぼ横ばい(1267)、従業者数は微増(4万3112人)で雇用は安定し、製造品出荷額は約1.29兆円(前年比+7.4%)と回復基調です。特にアルミダイカストが顕著な伸びを示しました。一方、原材料使用額の上昇で原材料比率は約55.8%と高止まりし、付加価値率の改善は限定的。収益性向上とコスト管理が当面の課題です。
1 業界動向
1)業界全体
2023年の非鉄金属素形材製造業の事業所数は1267事業所(対前年比99.6%)、従業者数は4万3112人(対前年比100.1%)、製造品出荷額等は1兆2872億1100万円(対前年比107.4%)となっています。
1事業所当たりの従業者数は34人(対前年比100.5%)、現金給与総額は1億6000万円(対前年比105.2%)、原材料使用額等は5億6700万円(対前年比108.4%)、製造品出荷額等は10億1600万円(対前年比107.8%)、付加価値額は3億8100万円(対前年比108.0%)となっています。
従業者1人当たりの現金給与総額は471万円(対前年比104.8%)、製造品出荷額等は2986万円(対前年比107.3%)、付加価値額は1118万円(対前年比107.5%)となっています。
製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は55.8%(対前年比100.6%)、同付加価値額比率は37.5%(対前年比100.2%)、同現金給与総額比率は15.8%(対前年比97.6%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
2)銅・同合金鋳物製造業(ダイカストを除く)
2023年の銅・同合金鋳物製造業(ダイカストを除く)の事業所数は166事業所(対前年比100.0%)、従業者数は3681人(対前年比101.0%)、製造品出荷額等は1327億6200万円(対前年比108.3%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
3)非鉄金属鋳物製造業(銅・同合金鋳物及びダイカストを除く)
2023年の非鉄金属鋳物製造業(銅・同合金鋳物及びダイカストを除く)の事業所数は345事業所(対前年比99.1%)、従業者数は8431人(対前年比100.5%)、製造品出荷額等は2089億800万円(対前年比104.5%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
4)アルミニウム・同合金ダイカスト製造業
2023年のアルミニウム・同合金ダイカスト製造業の事業所数は464事業所(対前年比99.8%)、従業者数は2万3324人(対前年比99.7%)、製造品出荷額等は7520億5900万円(対前年比109.3%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
5)非鉄金属ダイカスト製造業(アルミニウム・同合金ダイカストを除く)
2023年の非鉄金属ダイカスト製造業(アルミニウム・同合金ダイカストを除く)の事業所数は147事業所(対前年比99.3%)、従業者数は3043人(対前年比98.7%)、製造品出荷額等は463億5500万円(対前年比106.1%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
6)非鉄金属鍛造品製造業
2023年の非鉄金属鍛造品製造業の事業所数は145事業所(対前年比100.0%)、従業者数は4633人(対前年比101.4%)、製造品出荷額等は1471億2700万円(対前年比101.4%)となっています。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)
品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)
3 経営指標

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)
(注1)( )内は、調査対象企業数です。
(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。
以上(2026年3月更新)
pj55076
画像:Mariko Mitsuda
1 再燃した退職金制度の見直し議論
2025年の年末に一旦先送りとなった退職所得課税の見直しですが、年明け早々に2026年度の税制改正での議論が再燃する可能性が示唆され、今後の動向には一層の注意が必要です。
どのような見直しになるかはまだ決まっていませんが、報道などによると、
勤続年数が20年を超えると増加する退職所得控除が減額され、社員の退職金の手取りが少なくなる
といった見直しの可能性がありそうです。
現状の退職金課税制度は、
という3つの税負担を軽くする要素が組み込まれています。このうち、いずれかの要素(特に退職所得控除)に改正が入ると見込まれています。夏に行われる参議院選挙や、年末の2026年度の税制改正の時期には退職金制度に関する情報が耳に入ってくると思います。
退職金は、自社の資金繰りのみならず、社員の人生設計など影響は多岐にわたります。
退職金課税制度の現状を知り、その先を見越して退職金制度の見直しを検討する
ことも必要になるかもしれません。
2 税金的に優遇されている退職金課税
1)退職所得控除
退職所得控除は、
入社後、勤続20年までは40万円が控除額として1年ごとに積み上がり、21年目以降について1年ごとの控除額が70万円になる
というものです。なお、退職金の支払形態は、退職金を一括で支払う「退職一時金」、年金形式で支払う「退職年金(企業年金)」に分けられますが、退職所得控除は退職一時金に適用されます。

計算式は、次の通りです。
- 勤続20年まで:40万円×勤続年数
- 勤続21年目以降:40万円×20年+70万円×(勤続年数-20年)
例えば、勤続20年で退職した場合は800万円(40万円×20年)が非課税となり、勤続22年の場合には940万円(40万円×20年+70万円×2年)が非課税となります。
現時点では具体的な方針は決まっていませんが、報道などでは
- 21年目以降に控除額を70万円(図表内の青い部分)に拡大する仕組みを改める
- 勤続1年ごとの控除額を、勤続年数に関係なく一律とすることで、21年目以降拡大される控除額(70万円)を引き下げる
- 見直しが決まった場合には、すぐに実施されるわけではなく、10~15年程度の経過措置の期間を設ける
などの改正が入るのではないかとされています。
2)2分の1課税
2分の1課税は、
受け取った退職金(退職一時金)のうち、退職所得控除を超えた金額の2分の1に対してだけ課税がされる
というものです。なお、勤続年数が5年以下の社員ついては、退職所得控除を超えた金額の300万円までは2分の1課税となるものの、300万円を超える部分については、2分の1課税は適用されません。また、役員としての勤続年数が5年以下の役員が受け取る役員退職金については、退職所得控除を超えた金額の全額が2分の1課税の対象外となります。

計算式は、次の通りです。
課税される退職金の額=(受け取った退職金-上記の退職所得控除額)÷2分の1
例えば、勤続20年で退職し退職金が1000万円の場合は、(1000万-退職所得金額800万円)×2分の1=100万円が課税対象の退職所得となります。
3)分離課税
分離課税は、
役員報酬や給与など他の所得とは合算せずに所得税を計算する
というものです。つまり、退職金(退職一時金)を支払った場合、その額だけを基に所得税が計算されます。
所得税は「累進課税」といって、金額が大きくなればなるほど税率が高くなる仕組みなので、他の所得と合算して金額が大きくなると、その分高い税率が適用されてしまいます。そのため、高額になりやすい退職金については、他の所得と分離することで、退職した年に税率が急激に上がらないようになっています。
3 自社に合った退職金制度の見直しの検討を始めておこう
長年自社のために働いていてくれた勤続年数の長い社員に不利な改正があった場合、どのような対応が考えられるのでしょうか。
主な退職金制度の見直しとして、
- 退職金制度を廃止して賃金に上乗せする方法
- 支払形態を退職一時金から退職年金に変更する方法
があります。「改正が決まったとしても、10年から15年程度の経過措置の期間を設ける」との報道もあるので、焦って対応を決める必要はないと思われますが、もしもの場合に備えてさまざまなカードを用意しておくことは大切です。自社の資金状況や社員の生活環境などを把握した上で、自社に合った対応を検討しておきましょう。
1)退職金制度を廃止して賃金に上乗せする方法
退職金制度を廃止し、退職一時金として支払うはずだった分の額を毎月の賃金に上乗せすれば、退職所得控除に関する改正の影響を回避できる可能性があります。ただし、賃金が増えると、標準報酬月額が変動して毎月の社会保険料が増加することがあるので注意が必要です。
退職金制度を廃止して賃金に上乗せする場合、
各社員から合意を得た上で就業規則を変更し、退職金制度を廃止して、現時点の退職金相当額を支給(打切支給)
します。就業規則は本来、変更内容が合理的であれば各社員から合意を得なくても変更できます(社員の代表からの意見聴取は必要)が、退職金は社員の生活に関わる重要な問題なので、個別の合意を得るのが望ましいです。なお、どちらの方法を取る場合も、就業規則の変更内容(退職金制度の廃止時期、打切支給の内容、賃上げでの補填など)については、事前にしっかり社員に説明し、トラブルにならないよう注意する必要があります。
さらに、打ち切り支給に伴う資金繰りへの影響の度合いもしっかり認識しなければなりません。退職金制度の廃止後には、退職給付にかかる費用(引当金繰入額や掛け金)を現金給与額に回すことで賃上げを行います。なお、現時点で退職が近い社員などがいる場合、廃止時期については慎重な判断が求められます。
2)支払形態を退職一時金から退職年金に変更する方法
退職一時金には退職所得控除が適用されますが、退職年金として年金形式で支払う場合、雑所得となり公的年金等控除が適用されます。
支払形態を退職一時金から退職年金に変更する場合、
各社員から合意を得た上で就業規則を変更し、現時点の退職金相当額を確定拠出年金などの退職年金制度に移行
します。就業規則の変更のポイントは、1)と同じです。なお、退職年金については、例えば「退職一時金は退職時に受け取れるが、確定拠出年金は原則60歳にならないと受け取れない」など、社員にとってのデメリットもあるので、制度の違いは事前に説明しておく必要があります。
この場合も、社員の理解に加え、移行に伴う現時点の退職金相当額の支払いがもたらす資金繰りへの影響度合いもしっかり認識しなければなりません。また、退職年金は年金形式で支払うのが一般的ですが、例えば確定拠出年金制度では規約の規定により、社員自身が資産の運用先を決めるとともに、受け取り方を次の3つから選択できます。
一時金として受け取る場合には退職所得とみなされるため、退職所得控除の対象になります。制度移行の場合は、今回の改正動向も含めた投資・運用教育が必要になります。
以上(2025年6月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)
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