【業種別データ】金属素形材製品製造業の動向

2023年の金属素形材製品製造業は、事業所数・従業者数がほぼ横ばいで安定する一方、製造品出荷額は約2.63兆円(前年比+5.0%)と回復基調にあります。アルミ・金属プレスが回復をけん引する反面、粉末・金製品は縮小。原材料使用額の上昇で原材料比率は約60.5%、付加価値率は33.8%にとどまり、収益性改善とコスト管理、付加価値向上が喫緊の課題です。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の金属素形材製品製造業の事業所数は3872事業所(対前年比99.3%)、従業者数は9万4692人(対前年比99.0%)、製造品出荷額等は2兆6320億4400万円(対前年比105.0%)となっています。

【2450 金属素形材製品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)アルミニウム・同合金プレス製品製造業

2023年のアルミニウム・同合金プレス製品製造業の事業所数は582事業所(対前年比99.5%)、従業者数は1万5113人(対前年比100.1%)、製造品出荷額等は5944億5600万円(対前年比105.0%)となっています。

【2451 アルミニウム・同合金プレス製品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)金属プレス製品製造業(アルミニウム・同合金を除く)

2023年の金属プレス製品製造業(アルミニウム・同合金を除く)の事業所数は3185事業所(対前年比99.5%)、従業者数は6万8892人(対前年比100.7%)、製造品出荷額等は1兆7089億4900万円(対前年比107.7%)となっています。

【2452 金属プレス製品製造業(アルミニウム・同合金を除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)粉末や金製品製造業

2023年の粉末や金製品製造業の事業所数は105事業所(対前年比94.6%)、従業者数は1万687人(対前年比88.0%)、製造品出荷額等は3286億3900万円(対前年比92.6%)となっています。

【2453 粉末や金製品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【金属素形材製品製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【業種別データ】洋食器・刃物・手道具・金物類製造業の動向

2023年の洋食器・刃物・手道具・金物類製造業は、事業所数・従業者数が微減する一方で製造品出荷額は約8,923億円とやや減少し、原材料比率が55.2%で付加価値率は40.2%にとどまります。特に洋食器は出荷額が前年の34.3%に急落し、作業工具も落ち込む一方、機械刃物や「その他の金物類」は堅調で付加価値を伸ばしています。総じて品目間で明暗が分かれ、コスト管理と高付加価値化、製品力強化や海外展開の検討が今後の重点課題です。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の洋食器・刃物・手道具・金物類製造業の事業所数は2388事業所(対前年比99.3%)、従業者数は3万9210人(対前年比98.9%)、製造品出荷額等は8923億2200万円(対前年比97.9%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は16人(対前年比99.6%)、現金給与総額は6800万円(対前年比101.9%)、原材料使用額等は2億600万円(対前年比97.3%)、製造品出荷額等は3億7400万円(対前年比98.6%)、付加価値額は1億5000万円(対前年比98.8%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は412万円(対前年比102.4%)、製造品出荷額等は2276万円(対前年比99.0%)、付加価値額は915万円(対前年比99.2%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は55.2%(対前年比98.7%)、同付加価値額比率は40.2%(対前年比100.2%)、同現金給与総額比率は18.1%(対前年比103.4%)となっています。

【2420 洋食器・刃物・手道具・金物類製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)洋食器製造業

2023年の洋食器製造業の事業所数は93事業所(対前年比100.0%)、従業者数は977人(対前年比89.6%)、製造品出荷額等は157億5700万円(対前年比34.3%)となっています。

【2421 洋食器製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)機械刃物製造業

2023年の機械刃物製造業の事業所数は435事業所(対前年比99.5%)、従業者数は5979人(対前年比100.5%)、製造品出荷額等は931億7800万円(対前年比103.9%)となっています。

【2422 機械刃物製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)利器工匠具・手道具製造業(やすり、のこぎり、食卓用刃物を除く)

2023年の利器工匠具・手道具製造業(やすり、のこぎり、食卓用刃物を除く)の事業所数は330事業所(対前年比99.7%)、従業者数は5892人(対前年比97.6%)、製造品出荷額等は1147億300万円(対前年比99.4%)となっています。

【2423 利器工匠具・手道具製造業(やすり・のこぎり・食卓用刃物を除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

5)作業工具製造業

2023年の作業工具製造業の事業所数は189事業所(対前年比96.9%)、従業者数は4342人(対前年比97.0%)、製造品出荷額等は898億1200万円(対前年比89.9%)となっています。

【2424 作業工具製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

6)手引のこぎり・のこ刃製造業

2023年の手引のこぎり・のこ刃製造業の事業所数は82事業所(対前年比100.0%)、従業者数は1108人(対前年比97.3%)、製造品出荷額等は193億5600万円(対前年比96.7%)となっています。

【2425 手引のこぎり・のこ刃製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

7)農業用器具製造業(農業用機械を除く)

2023年の農業用器具製造業(農業用機械を除く)の事業所数は144事業所(対前年比98.0%)、従業者数は1345人(対前年比94.1%)、製造品出荷額等は248億3800万円(対前年比87.2%)となっています。

【2426 農業用器具製造業(農業用機械を除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

8)その他の金物類製造業

2023年のその他の金物類製造業の事業所数は1115事業所(対前年比99.6%)、従業者数は1万9567人(対前年比100.2%)、製造品出荷額等は5346億7800万円(対前年比104.4%)となっています。

【2429 その他の金物類製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【洋食器・刃物・手道具・金物類製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【業種別データ】非鉄金属素形材製造業の動向

2023年の非鉄金属素形材製造業は、事業所数はほぼ横ばい(1267)、従業者数は微増(4万3112人)で雇用は安定し、製造品出荷額は約1.29兆円(前年比+7.4%)と回復基調です。特にアルミダイカストが顕著な伸びを示しました。一方、原材料使用額の上昇で原材料比率は約55.8%と高止まりし、付加価値率の改善は限定的。収益性向上とコスト管理が当面の課題です。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の非鉄金属素形材製造業の事業所数は1267事業所(対前年比99.6%)、従業者数は4万3112人(対前年比100.1%)、製造品出荷額等は1兆2872億1100万円(対前年比107.4%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は34人(対前年比100.5%)、現金給与総額は1億6000万円(対前年比105.2%)、原材料使用額等は5億6700万円(対前年比108.4%)、製造品出荷額等は10億1600万円(対前年比107.8%)、付加価値額は3億8100万円(対前年比108.0%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は471万円(対前年比104.8%)、製造品出荷額等は2986万円(対前年比107.3%)、付加価値額は1118万円(対前年比107.5%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は55.8%(対前年比100.6%)、同付加価値額比率は37.5%(対前年比100.2%)、同現金給与総額比率は15.8%(対前年比97.6%)となっています。

【2350 非鉄金属素形材製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)銅・同合金鋳物製造業(ダイカストを除く)

2023年の銅・同合金鋳物製造業(ダイカストを除く)の事業所数は166事業所(対前年比100.0%)、従業者数は3681人(対前年比101.0%)、製造品出荷額等は1327億6200万円(対前年比108.3%)となっています。

【2351 銅・同合金鋳物製造業(ダイカストを除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)非鉄金属鋳物製造業(銅・同合金鋳物及びダイカストを除く)

2023年の非鉄金属鋳物製造業(銅・同合金鋳物及びダイカストを除く)の事業所数は345事業所(対前年比99.1%)、従業者数は8431人(対前年比100.5%)、製造品出荷額等は2089億800万円(対前年比104.5%)となっています。

【2352 非鉄金属鋳物製造業(銅・同合金鋳物及びダイカストを除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)アルミニウム・同合金ダイカスト製造業

2023年のアルミニウム・同合金ダイカスト製造業の事業所数は464事業所(対前年比99.8%)、従業者数は2万3324人(対前年比99.7%)、製造品出荷額等は7520億5900万円(対前年比109.3%)となっています。

【2353 アルミニウム・同合金ダイカスト製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

5)非鉄金属ダイカスト製造業(アルミニウム・同合金ダイカストを除く)

2023年の非鉄金属ダイカスト製造業(アルミニウム・同合金ダイカストを除く)の事業所数は147事業所(対前年比99.3%)、従業者数は3043人(対前年比98.7%)、製造品出荷額等は463億5500万円(対前年比106.1%)となっています。

【2354 非鉄金属ダイカスト製造業(アルミニウム・同合金ダイカストを除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

6)非鉄金属鍛造品製造業

2023年の非鉄金属鍛造品製造業の事業所数は145事業所(対前年比100.0%)、従業者数は4633人(対前年比101.4%)、製造品出荷額等は1471億2700万円(対前年比101.4%)となっています。

【2355 非鉄金属鍛造品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【非鉄金属素形材製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

増税時代に突入? 退職金課税制度の行方を追う

1 再燃した退職金制度の見直し議論

2025年の年末に一旦先送りとなった退職所得課税の見直しですが、年明け早々に2026年度の税制改正での議論が再燃する可能性が示唆され、今後の動向には一層の注意が必要です。

どのような見直しになるかはまだ決まっていませんが、報道などによると、

勤続年数が20年を超えると増加する退職所得控除が減額され、社員の退職金の手取りが少なくなる

といった見直しの可能性がありそうです。

現状の退職金課税制度は、

  1. 退職所得控除
  2. 2分の1課税
  3. 分離課税

という3つの税負担を軽くする要素が組み込まれています。このうち、いずれかの要素(特に退職所得控除)に改正が入ると見込まれています。夏に行われる参議院選挙や、年末の2026年度の税制改正の時期には退職金制度に関する情報が耳に入ってくると思います。

退職金は、自社の資金繰りのみならず、社員の人生設計など影響は多岐にわたります。

退職金課税制度の現状を知り、その先を見越して退職金制度の見直しを検討する

ことも必要になるかもしれません。

2 税金的に優遇されている退職金課税

1)退職所得控除

退職所得控除は、

入社後、勤続20年までは40万円が控除額として1年ごとに積み上がり、21年目以降について1年ごとの控除額が70万円になる

というものです。なお、退職金の支払形態は、退職金を一括で支払う「退職一時金」、年金形式で支払う「退職年金(企業年金)」に分けられますが、退職所得控除は退職一時金に適用されます。

退職所得控除のイメージ図

計算式は、次の通りです。

  • 勤続20年まで:40万円×勤続年数
  • 勤続21年目以降:40万円×20年+70万円×(勤続年数-20年)

例えば、勤続20年で退職した場合は800万円(40万円×20年)が非課税となり、勤続22年の場合には940万円(40万円×20年+70万円×2年)が非課税となります。

現時点では具体的な方針は決まっていませんが、報道などでは

  • 21年目以降に控除額を70万円(図表内の青い部分)に拡大する仕組みを改める
  • 勤続1年ごとの控除額を、勤続年数に関係なく一律とすることで、21年目以降拡大される控除額(70万円)を引き下げる
  • 見直しが決まった場合には、すぐに実施されるわけではなく、10~15年程度の経過措置の期間を設ける

などの改正が入るのではないかとされています。

2)2分の1課税

2分の1課税は、

受け取った退職金(退職一時金)のうち、退職所得控除を超えた金額の2分の1に対してだけ課税がされる

というものです。なお、勤続年数が5年以下の社員ついては、退職所得控除を超えた金額の300万円までは2分の1課税となるものの、300万円を超える部分については、2分の1課税は適用されません。また、役員としての勤続年数が5年以下の役員が受け取る役員退職金については、退職所得控除を超えた金額の全額が2分の1課税の対象外となります。

2分の1課税のイメージ図

計算式は、次の通りです。

課税される退職金の額=(受け取った退職金-上記の退職所得控除額)÷2分の1

例えば、勤続20年で退職し退職金が1000万円の場合は、(1000万-退職所得金額800万円)×2分の1=100万円が課税対象の退職所得となります。

3)分離課税

分離課税は、

役員報酬や給与など他の所得とは合算せずに所得税を計算する

というものです。つまり、退職金(退職一時金)を支払った場合、その額だけを基に所得税が計算されます。

所得税は「累進課税」といって、金額が大きくなればなるほど税率が高くなる仕組みなので、他の所得と合算して金額が大きくなると、その分高い税率が適用されてしまいます。そのため、高額になりやすい退職金については、他の所得と分離することで、退職した年に税率が急激に上がらないようになっています。

3 自社に合った退職金制度の見直しの検討を始めておこう

長年自社のために働いていてくれた勤続年数の長い社員に不利な改正があった場合、どのような対応が考えられるのでしょうか。

主な退職金制度の見直しとして、

  1. 退職金制度を廃止して賃金に上乗せする方法
  2. 支払形態を退職一時金から退職年金に変更する方法

があります。「改正が決まったとしても、10年から15年程度の経過措置の期間を設ける」との報道もあるので、焦って対応を決める必要はないと思われますが、もしもの場合に備えてさまざまなカードを用意しておくことは大切です。自社の資金状況や社員の生活環境などを把握した上で、自社に合った対応を検討しておきましょう。

1)退職金制度を廃止して賃金に上乗せする方法

退職金制度を廃止し、退職一時金として支払うはずだった分の額を毎月の賃金に上乗せすれば、退職所得控除に関する改正の影響を回避できる可能性があります。ただし、賃金が増えると、標準報酬月額が変動して毎月の社会保険料が増加することがあるので注意が必要です。

退職金制度を廃止して賃金に上乗せする場合、

各社員から合意を得た上で就業規則を変更し、退職金制度を廃止して、現時点の退職金相当額を支給(打切支給)

します。就業規則は本来、変更内容が合理的であれば各社員から合意を得なくても変更できます(社員の代表からの意見聴取は必要)が、退職金は社員の生活に関わる重要な問題なので、個別の合意を得るのが望ましいです。なお、どちらの方法を取る場合も、就業規則の変更内容(退職金制度の廃止時期、打切支給の内容、賃上げでの補填など)については、事前にしっかり社員に説明し、トラブルにならないよう注意する必要があります。

さらに、打ち切り支給に伴う資金繰りへの影響の度合いもしっかり認識しなければなりません。退職金制度の廃止後には、退職給付にかかる費用(引当金繰入額や掛け金)を現金給与額に回すことで賃上げを行います。なお、現時点で退職が近い社員などがいる場合、廃止時期については慎重な判断が求められます。

2)支払形態を退職一時金から退職年金に変更する方法

退職一時金には退職所得控除が適用されますが、退職年金として年金形式で支払う場合、雑所得となり公的年金等控除が適用されます。

支払形態を退職一時金から退職年金に変更する場合、

各社員から合意を得た上で就業規則を変更し、現時点の退職金相当額を確定拠出年金などの退職年金制度に移行

します。就業規則の変更のポイントは、1)と同じです。なお、退職年金については、例えば「退職一時金は退職時に受け取れるが、確定拠出年金は原則60歳にならないと受け取れない」など、社員にとってのデメリットもあるので、制度の違いは事前に説明しておく必要があります。

この場合も、社員の理解に加え、移行に伴う現時点の退職金相当額の支払いがもたらす資金繰りへの影響度合いもしっかり認識しなければなりません。また、退職年金は年金形式で支払うのが一般的ですが、例えば確定拠出年金制度では規約の規定により、社員自身が資産の運用先を決めるとともに、受け取り方を次の3つから選択できます。

  1. 年金
  2. 一時金
  3. 年金と一時金の組み合わせ

一時金として受け取る場合には退職所得とみなされるため、退職所得控除の対象になります。制度移行の場合は、今回の改正動向も含めた投資・運用教育が必要になります。

以上(2025年6月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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画像:ELUTAS-Adobe Stock

メンタルヘルス対策は万全? 中小企業におけるメンタルヘルス対策の重要性

社員がメンタルヘルス不調に陥ると、離職や生産性の低下につながりかねず、企業の法的責任が問われる事態に発展する可能性もあります。また、社員個人にとっても、治療が長期化しやすく、再発率が高いことから社会復帰の難しさにつながる等、労使ともに深刻な影響が考えられることから、メンタルヘルス対策は企業の喫緊の課題として重要性を増しています。

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義務化で何が変わる? 事業者が知っておくべき「熱中症対策」の新常識

熱中症は、本格的に暑くなる真夏(7月~8月頃)に多発するイメージがありますが、体がまだ暑さや湿度に十分に慣れていない梅雨時期にも発生しやすく、十分な注意が必要です。従業員の方が安全に働くためにも、事業場での熱中症対策は欠かせません。

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【債権回収】テレワークでも失敗しない与信管理~20のチェックリスト付き

1 与信管理と債権回収を必ずセットにする

テレワークでも、与信管理で行うことは同じです。

「テレワークなので、厳重に!」と強化したいところですが、やり過ぎると取引開始までに時間がかかったり、現場での負担が大きくなったりして活動が定着しない

恐れがあります。テレワークだからこそ、

与信管理はシンプルに進めることがポイント

です。

社内に与信管理に留意する雰囲気を定着させることも大切です。そのためには、与信管理のプロセスを「見える化」する必要があります。与信管理の内容をデータ化して担当者で共有する、オンライン会議の場で取引先の状況を発表するといった具合です。こうして、社員が与信管理を身近な業務として認識できるようにするわけです。

また、与信管理と債権回収が分断されていてはいけません。「おかしいな」と感じたら、即座に行動できるように、

  • 支払いが滞ったら、3日以内に催促メールを出す
  • それでも回収できなければ、内容証明郵便を送る

などをルール化します。時間がたつほど債権回収は困難になるので、先々を見据えた回収計画や対応を事前に決めておきます。与信管理は「転ばぬ先のつえ」ですが、実際に問題が顕在化した場合に即座に行動できなければ意味がありません。

こうした内容を踏まえた上で、以降では与信管理で正しい情報を得るためのポイントと、テレワークでも使える与信管理「20のチェックリスト」を紹介します。

2 正しい情報を得ることが与信管理の第一歩

1)代表者同士で面談する

多くの会社では、営業担当者の情報収集が与信管理の重要な一部となっています。しかし、物価高や人材不足など経営環境は、かつて経験したことのないレベルで変化しており、営業担当者が収集できるレベルの情報では判断が難しくなっています。こうした中、事業方針を大きく転換する企業もあり、それを営業担当者の報告だけで判断するのは難しいです。だからこそ、自社と取引先の代表者同士が面談し、状況を共有することはとても大切です。

2)営業担当者レベルでは、スマートフォンの番号などを交換する

テレワークでは、気軽に取引先を訪問できません。取引先もテレワークをしている場合はなおさらです。つまり、訪問を前提とした営業担当者の情報収集は機能しにくいということです。

そこで、訪問の代わりにオンライン会議や電話で情報を収集します。スマートフォンの番号を交換したり、SNS(Facebookなど)のメッセージ機能を使ったりして、連絡を取れるようにしましょう。こうしたつながりは、ビジネスとしての訪問からプライベートに少し近づく行為ともいえるため、相手と良い関係が構築できていなければなりません。

3)もらいにくかった資料も提出してもらう

長く取引している相手の場合、決算書や事業計画書などの提出を求めないことがあります。「そうした書類がなくても信頼していますよ」という、こちらの信頼を暗に伝えるためです。

しかし、テレワークで与信管理を徹底するには、決算書や事業計画書は、ぜひ、提出してもらいたい資料です。「このようなときなので、お願いします」と依頼すれば、相手もむげに断ったりはしないでしょう。

4)信用調査サービスを利用する

自社だけでは収集できない情報を得たり、客観的に相手を分析したりするために、信用調査サービスを利用するのも1つの方策です。信用調査サービスはさまざまで、調査リポートを提出してくるサービスの他、SNSの投稿内容などを分析して、危険な場合にアラームを出して知らせてくれるサービスもあります。取引規模などに応じて、信用調査サービスを選択、利用するとよいでしょう。

3 テレワークでも使える与信管理「20のチェックリスト」

ここまでの内容も踏まえた、テレワークでも失敗しない与信管理をするためのチェックリストを紹介します。取引前と取引中でそれぞれ10項目、合計で20項目あります。

1)取引前のチェックリスト10

取引前に確認したいチェックリストは次の通りです。

  • 与信管理規定は整備されており、社内で周知徹底されていますか?
  • 電子契約の導入など、業務効率化を進めていますか?(与信管理から契約までの負担を軽減するためです)
  • 相手と知り合った経緯に違和感はないですか?(飛び込み営業、付き合いの浅い人からの紹介などは要注意です)
  • 取引の契約を交わす前に、日経テレコンや週刊誌などを検索し、違和感のある記事はないことを確認しましたか?
  • 信用調査サービスを使って事前に調査しましたか?
  • 可能であれば同業他社などからの情報を得て、違和感のある噂などがないことを確認しましたか?
  • 相手の代表者などと面談しましたか?(取引中も定期的に面談できたら理想的です)
  • 取引開始について、社内の3名以上が同意をしていますか?
  • 技術やサービスの水準に問題はないですか?
  • 取引に当たり、きちんと契約を交わしていますか?

2)取引中のチェックリスト10

取引中に確認したいチェックリストは次の通りです。

  • 取引の実態に応じて、「見積書、注文書、注文請書、納品書、検収書、請求書、領収書」などのデータを残していますか?
  • 自社内のミーティングで、与信管理や新規取引先の話題を共有していますか?
  • 決算書や事業計画書などの情報を収集していますか?
  • スマートフォンの番号などを交換し、すぐに連絡を取れる状態になっていますか?
  • 定期的にオンライン会議をしていますか?
  • 電話やオンライン会議の際、相手の言動に違和感はないですか?
  • たまに訪問して、相手の状況を確認していますか?
  • 納品が正当な理由なく遅延していませんか?
  • 支払いが正当な理由なく遅延していませんか?
  • 問題が顕在化した際、すぐに債権回収ができる体制になっていますか?

4 自社も与信管理される立場である

最後に補足をします。取引は相手ありきのことであり、自社も相手から与信管理をされています。つまり、この記事で紹介した内容の裏返しで、相手も自社の与信管理を強化したいと考えているはずです。そうした取引先とより良い関係を築くためには、互いの与信管理に快く協力するという視点を忘れてはなりません。

また、万一の際、即座に債権回収をせずに相手の復活を待つという判断をすることもあります。こうした判断の前提は「信頼」ですので、そうした意味でも日ごろの付き合い方が重要になってきます。

以上(2025年7月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

中小企業の成長戦略を支援! 新事業進出補助金・成長加速化補助金のご紹介

中小企業新事業進出補助金では、新規事業の新市場性や付加価値、有望度などが重視され、中小企業成長加速化補助金では、企業の中長期的なビジョンと経営力、地域への波及効果などが重視されます。新市場・新事業参入を目指すなら「新事業進出補助金」、大規模な売上拡大を狙うなら「成長加速化補助金」が有効です。

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法令違反しているかも!? 闇バイトの募集と誤解されない「SNSでの求人募集」の仕方

インターネットやSNS等で労働者を募集する際には法律違反とならないように、必ず”6情報”(①求人者・労働者の募集を行う者の氏名又は名称、②住所(所在地)、③連絡先、④業務内容、⑤就業場所、⑥賃金)を記載することを念頭に置き、求人広告を作成するようにしましょう。

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【管理会計】赤字の注文でも変動費が低ければ利益がでる~「限界利益」を覚える

1 質問:製造原価よりも安い注文はお断りするべきか?

自社の商品(自社工場で製造)が百貨店バイヤーの目に留まり、新規で10万個の注文がありました! 現在、その商品は取引先20社に提供していて、すべて販売単価は700円、製造原価は550円です。

ところが、百貨店の条件は厳しく、

販売単価を500円に値下げしてほしい

と値引きを要請してきました。自社工場の生産能力には余力があって10万個の追加製造は引き受けられそうですが、販売単価が安い。

さて、ここで問題です。単純に、

原価割れで、赤字だ!

と考えるのは正しいのでしょうか。こうしたシーンに直面することはよくあるので、判断の基準をご紹介します。

2 「限界利益」という感覚を持つ

前述した百貨店の案件は、数字だけ見ると原価割れです。しかし、原価の内訳を確認すると評価が変わるかもしれません。仮に、その商品の原価は次の通りとしましょう(話を単純化するため、ここでは、材料費と人件費以外を考慮しないものとします)。

  • 変動費:450円。販売個数に応じて増える材料費など
  • 固定費:100円。販売個数に関係なく生じる人件費など

例えば、すでに別で生産している売上で固定費が賄われている状態にあり、現在の生産能力で10万個の増産に耐えられるなら(固定費が増えないなら)、商品を1個販売するごとに増える原価は材料費の450円だけです。つまり、百貨店提示の販売単価でも、1個販売するごとに50円(500円-450円)もうかります。これを管理会計の分野では「限界利益」と呼びます。

限界利益=売上高-変動費

この限界利益で固定費を賄うことができれば収支トントンであり、これを「損益分岐点」と呼びます。

3 「損益分岐点」をマスターする

改めて整理すると、

商品の売上高から変動費を引いたものが限界利益で、この限界利益が固定費を上回れば利益が出る

ということです。そして、限界利益と固定費がイコールになるポイントが損益分岐点です。図で確認すると分かりやすいでしょう。

損益分岐点のイメージ

固定費を限界利益率(売上高に占める限界利益の割合)で割れば、損益分岐点になる売上高が分かります。

損益分岐点売上高=固定費÷(1-(変動費÷売上高))

これにより、「この商品が、どのくらいもうけを出しているか」が分かるので、百貨店の注文を受けるか否かについて根拠を持って決められるようになります。念のため補足をすると、販売価格が同じであれば、限界利益率の高いほうが利益を出しやすくなります。

4 練習問題

(問題1)

販売単価が1000円(変動費400円、固定費400円)の商品を、合計で5000個販売しました。この場合の限界利益はいくらですか? また、限界利益率はどのくらいですか?

(問題1の回答)

販売単価の1000円から変動費400円を引くと、1個当たりの限界利益は600円です。その商品を合計で5000個販売しており、商品全体の限界利益は600円×5000個で、300万円となります。また、限界利益率は売上高に占める限界利益の割合なので、60%となります。

問題1の答え:300万円、60%

(問題2)

販売単価が1000円、製造単価が800円の商品があります。製造を外注した場合、外注単価は570円です。この商品を外注するか否かを検討する際に、どのような情報が必要ですか? また、どのような条件の場合に外注しようと思いますか? なお、外注費は全て変動費として取り扱います。

(問題2の回答)

自社の製造単価が800円、外注単価(変動費)が570円の場合、一見、外注すれば230円のコストが削減できると思えます。しかし、自社の固定費が高く、外注すると製造単価が800円を超える恐れがあります。となると、単純にいえば自社の変動費が570円超ならば外注を検討することができます。

問題2の答え:必要な情報は変動費と固定費

以上(2025年6月更新)
(監修 KOSOパートナーズ合同会社 代表社員CEO 公認会計士 朝倉厳太郎)

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画像:pixabay