中小企業等を支援する国や自治体の補助金・助成金事業では、雇用・人材開発・IT補助など幅広いジャンルの支援があります。
本レポートでは、おすすめの補助金・助成金について支援の内容や対象条件、申請方法等についてわかりやすく紹介します。
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中小企業等を支援する国や自治体の補助金・助成金事業では、雇用・人材開発・IT補助など幅広いジャンルの支援があります。
本レポートでは、おすすめの補助金・助成金について支援の内容や対象条件、申請方法等についてわかりやすく紹介します。
今シリーズは、前シリーズ『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』の実践編です。毎回実際にありそうなさまざまなシチュエーションを想定して、どんなコミュニケーションを取るのが望ましいかを一緒に考えていきます。
知識やノウハウは分かったけれど、「現場で実践するにはまだハードルが高い」「うまく一歩を踏み出せない」という方を想定しています。前回第6回では皆さんの最近の日常に起こりがちな話題として、「欠員(補充)」を取り上げてみました。いかがだったでしょうか。
今回は課題[事例6]です。再掲しますので、考えた解答を思い出してみてください。まだ考えていなかった方もぜひ考えてみてください。自ら考えないで、解説だけを読んでいても力はつきませんよ。
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Q.年上の部下Fさんに対して、あなたはこの後、最初にどんな声をかけますか?また、それを考える際に注意するべきポイントを3つほど挙げてください。書かれているさまざまな要素を考慮してみましょう。
[事例6]
〇あなたの部下として、年上のFさんが配属されました。他の部下と同じように指示命令を出したところ、「はいはい、分かりました」といった返事の仕方で、素直に受け入れてくれている感じがしません。上司と部下の関係なのに、正直そうした態度は気になります。
〇これからも普通に指示命令を出していいものか、また話し方は他の部下に対するのと同じような“ため口”でいいのか、どう話すべきか迷っています。
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テーマは「年上の部下との付き合い方」です。これまでの事例と同様に起こっている事象を整理することから始め、現場で起こっていることの可能性を探ってみましょう。
年上の部下について考える前に、皆さんに質問です。そもそも「上司は部下よりエライ」のでしょうか?「上司は部下よりエライ」という考え方は、日本中の働く人にとって常識と捉えられているかもしれません。でも本当にそうでしょうか。
上司と部下は、“役割の違い”でしかありません。
「じゃあ、給料が違うのはなぜだ、上司の方がエライから給料も高いんじゃないの?」と思われるでしょうか。
上司は部下よりも会社における役割や責任が重いから給料が高いだけで、部下よりエライわけではありません。
組織にとっては、上司も部下も同じくらい重要で必要です。
部下は、それぞれが任された日常の仕事を成し遂げることが役割であり仕事です。一人ひとりがプロとしての自覚を持って業務を遂行しないと会社の業績につながりませんし、取り組み次第では時としてクレームとなってマイナスに作用するかもしれません。彼らが日々前向きかつ一生懸命に働いてこそ、会社組織は回っていけるのです。
片や上司はどうでしょうか。上司の役割や仕事も時代と共に変わりつつありますが、現状求められているのは「部下が日々前向きかつ一生懸命に働いて」いけるようにすること。継続的な育成やモチベーション向上を図り、部署に求められている結果が出せるように支援することです。
部下の仕事にも業種や職種、仕事の任され方などで向き不向きといった適性と求められるスキルがあり、上司の仕事にはまた別の向き不向きの適性や求められるスキルがあります。けれども、日本ではずっと、部下の業務で結果を残した人から順に、上司=管理職に登用されてきました。
部下としての業務で結果を出すのに長(た)けた人が、必ずしも上司に向いているとは限りません。チームスポーツで、「優秀なプレーヤーが優秀な監督になるとは限らない」とよくいわれる所以(ゆえん)です。むしろ、上司としての役割や責任の重い仕事を任せられる人かどうかは、別の形で選ばれるべきでしょう。
話を戻しましょう。
「上司と部下は、“役割の違い”でしかない」のだとすれば、相手が年上の部下だろうと、年下の部下だろうと関係なく、“互いの役割を理解し、リスペクトし合える関係”を築くことが理想なのです。
「そうは言っても現状は違うじゃないか。上司の顔色を見ないといけないし、指示命令に従わないと部下のほうが不利益を被る」と感じられているでしょうか。例えば、少し前にはパワハラやセクハラという言葉が存在しなかったように、「上司と部下は、“役割の違い”でしかない」が常識になる日も近いと思いますよ。
勘違いしがちなのですが、上司と部下が“互いの役割を理解し、リスペクトし合える関係”とは決して甘く緩い関係ではありません。むしろ高いプロフェッショナリズムを求め合う関係です。
私なら上司として部下に次のように求めます。「この業務はあなたが担当です。この業務で給料をもらう以上、この業務のプロとして、高い当事者意識と責任を持って担ってください」と。
具体的には「この業務について一番知っているのはあなたです。だからこの業務をもっと効率良く進め、価値を高めていくためにあなたならどうしたいかを、一生懸命考えて私に提案してください」と求めます。
そう求めても動いてくれない場合は、「プロとしてこの業務に向き合えないのなら、あなたにこの業務は任せられません」と言って担当から外すでしょう。その先に取引先や顧客がいれば、直接の迷惑を被るのは彼らであり、結果として会社にも損害をもたらしかねません。
任せる業務とそれに必要なスキル習得は表裏一体ですから、新人や初めて業務を担当する人に対しては業務の意義を伝えつつ、教育・育成の機会は必須です。上司の役割としては、そうした機会を十分に用意した上で部下に要望し続けていくことです。
それでもプロとして取り組まない、あるいは仕事を任されないことを喜んでいる部下がいれば、それに見合った人事評価をせざるをえないでしょう。その先については、今回の主旨から外れるのでまたの機会に譲りますが。
事例のように“指示命令”が必要な場面もありますが、基本的にはその都度部下の意見も求めるようにしましょう。「今回、あなたにはこれをやってもらいたいのですが、あなたから意見やアイデアはありますか?」といったように。
上司には見合った適性やスキルが必要であり、役割や責任が重いわけですが、だからといってエライわけでも完璧なわけでもありません。
上司も一人の人間で、ミスや間違った判断をしてしまうこともあります。意図せず不正に手を染めてしまっている可能性だってあるのです。
「上司だからエライわけでも完璧なわけでもない」と分かっている上司は、普段から部下に対してこう言います。「私が言うことについて、あなたが違うかなと思うことがあったらどうか遠慮せずに言ってほしい」と。
上司も部下も人間である以上、ミスもすれば間違った判断もするのです。ひと昔前までは、現場で部下が起こしたミスを“知らなかった”で済まされたことがありました。逆に上司がミスをしてもかん口令を敷いて、表に出ないで済んだ時代もありました。
ところが今はどうでしょう。インターネットが普及して誰もが一瞬で世界へ発信できる力を得たことで、“ここだけの話”はなくなりました。ささいなミスや不正もすぐに世の中の知るところとなります。昨今多くの企業で、数十年前から隠蔽されてきたことが白日の下にさらされ、大きな非難を浴びているのも周知の通りです。
となれば、上司と部下が“互いの役割を理解し、リスペクトし合える関係”を築いてチェックし合い、世間に知られる前に先手を打って対応したほうが傷も浅く済み、早く前に進めて、より成長できそうです。
今回のテーマ「年上の部下との付き合い方」に立ち返ってまず申し上げたいことは、「上司と部下の関係は“互いの役割を理解し、リスペクトし合える関係”が理想であって、年上か年下かは関係ない」ということです。
部下が新入社員だろうと、自分より年上の先輩社員だろうと、「上司は、部下に任せた業務に対してプロフェッショナリズムを求める」べきですし、「上司は自分が完璧ではないことを自覚し、部下の声を聴く」べきです。
ただ、日本には人によって差はあれ、年長者を敬う文化が根付いています。年下の上司から指示命令されて素直に従える人もいれば、感情的に反発してしまう人もいます。表向きは従順に見えて、内心は穏やかではないといった人もいるでしょう。
であるならば、上司としては新入社員と同じように“互いの役割を理解し、リスペクトし合える関係”を保ちながら、少しだけ年上の部下に配慮してあげてはどうでしょうか。彼らは新入社員に比べ、あなたよりも経験があり、幅広いノウハウも持っていることは間違いないのですから。
年上の部下に対する話し方は、“ため口”ではなく、少なくとも丁寧語を使って年長者へのリスペクトを表現したいものです。
イノベーション(新価値創造)が強く求められる時代には、経験が邪魔をしてしまうケースもあるでしょうが、それを彼らに理解してもらうのも上司の重要な仕事です。その上で年上の部下に今でも使える経験やノウハウを期待しつつ、イノベーションも求めていきましょう。
ちなみに年下の社員に対しても、初対面は少なくとも「さん」付けかつ丁寧語で話しかけるとよいでしょう。その上で時間をかけて徐々に互いのコミュニケーションにおける最適な距離感を測っていくことをお勧めします。
年上の部下Fさんに最初にかける言葉は次のようなイメージです。
「私の依頼の仕方が悪かったらごめんなさい。私はお任せする業務に、Fさんがこれまでに培ってこられた経験やノウハウを活かしていただくことを期待しています。ただ同時に会社としては、従来のやり方にとらわれないイノベーションも求めています。長年プロとして鍛えてこられたFさんの力を貸してください。この部署を支えてください!」
『新たな3つのコミュニケーション習慣』の「褒める」の表現として、直接的に「褒める」よりも「期待」と「感謝」を伝えましょう。
直接的に「褒める」行為は、時に年長者から “上から目線”と受け取られることもあります。
それでもなかなかこちらの思いが伝わらない場合は、十分な時間をとって年上の部下の思いを「傾聴」してみましょう。
「傾聴」の基本を思い出してください。予め答えを用意したり、そこに誘導したりしてはいけません。相手の話を途中で遮ったり、決めつけたり、まとめたり、結論を急いだりすることなく最後まで聞いてあげてください。
一方で、「私みたいな年寄りには今さらイノベーションなんて無理ですよ」と諦めている人には、「前向き発想」の言葉で鼓舞しましょう。
年長の社員ほど、とりわけIT系のリテラシー(活用能力)を身に付けることには及び腰です。人生100年時代には、リテラシーがないと私生活でも不便を強いられます。それを「今なら会社の教育機会を通して学べる」ことを伝えて説得しましょう。
ベテラン、新人を問わず自部署に求めるITリテラシーのレベルを定めるのも一つの方法です。業務上の必要性に応じて、PCやAIの活用など社内外の講座を受けた上で一定の到達レベルを基準とするといいでしょう。
【今回の3つのポイント】
最後に、皆さんが年上の部下の立場だとしてできることを考えてみましょう。今回、“互いの役割を理解し、リスペクトし合える関係”を言い続けていますが、それを年上の立場から率先していくことです。
年上の部下の皆さんが、年下の上司を十分にリスペクトして支えていく気持ちがあれば、それはきっと彼らに伝わります。彼らを支援していくことは、長年お世話になった会社への恩返しにもなるのです。
また、皆さんが培ってきた経験やノウハウが生きて部署を救うこともあれば、イノベーションが求められる時代に邪魔になることもあるのだと知りましょう。そして自らもイノベーションを起こすためには、ITが苦手だなんて言っている場合ではないという自覚を持ちましょう。
生涯学び続けることで、あなたの残りの人生もきっと豊かになっていくはずです。
次回に向けた課題[事例7]を紹介します。
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Q.新入社員のGさんに対して、あなたはこの後、最初にどんな声をかけますか? また、それを考える際に注意するべきポイントを3つほど挙げてください。書かれているさまざまな要素を考慮してみましょう。
[事例7]
〇あなたの部署に配属された新入社員のGさんが、退職を考えているようだという噂を耳にしました。
〇上司であるあなたは気になって、Gさんと1on1ミーティング(1対1の面談の機会)を持つことにしました。Gさんは開口一番「この仕事は自分に向いていなのになぜ任されたのか分からない。自分はこんな仕事をしたかったわけじゃない」と訴えました。
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テーマは「仕事への期待」です。これまでの事例と同様に起こっている事象を整理することから始め、現場で起こっていることの可能性を探ってみましょう。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。もし日常で近いシーンに出会うことがあれば、ご自身で考えて『新たな3つのコミュニケーション習慣』の実践にトライしてみてください。
次回もお楽しみに。
<ご質問を承ります>
ご質問や疑問点などあれば以下までメールください。※個別のお問合せもこちらまで
Mail to: brightinfo@brightside.co.jp
※武田が以前上梓した書籍『新スペシャリストになろう!』および『なぜ社長の話はわかりにくいのか』(いずれもPHP研究所)が、ディスカヴァー・トゥエンティワンより電子書籍として復刻出版されました。前者はキャリア選択でお悩みの方に、後者はリーダーやトップをめざしている方にお薦めです。
『新スペシャリストになろう!』 https://amzn.asia/d/e8GZwTB
『なぜ社長の話はわかりにくいのか』 https://amzn.asia/d/8YUKdlx
以上(2025年1月作成)
(著作 ブライトサイド株式会社 代表取締役社長 武田斉紀)
https://www.brightside.co.jp/
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「うちの会社は服装が自由! やった~!!」。でも、いざ出勤となると何を着ていくか迷うぞ……。おしゃれしたいけれど、「悪目立ち」はしたくない。かといって、カチカチのリクルートスーツっていうのもな~。襟なし、ジーンズ、ひげ、ミュール、香水、ネイル、一体どこまで許してくれるのかな? 誰か教えて!
IT系など特定の業界に限らず、最近は自由な服装を認める会社が増えてきました。皆さんにとっては喜ばしいことでしょうが、半面、どんな服装をすればよいのか迷いませんか?
おしゃれはしたいけど、悪目立ちはしたくはない。そんな皆さんにお伝えします。
失敗しない服装の基準は何といっても「清潔感」です。
言い換えると、だらしない格好や汚らしい格好は駄目ということです。シャツのボタンが取れている、襟が汚れている、ズボンやスカートがシワだらけ……。こんな格好に清潔感はないですよね。
なぜ、清潔感が大事かということですが、皆さんは「メラビアンの法則」を知っていますか? この法則は、人が相手のどこを見て第一印象を決めるかを示したものです。前提条件はいろいろありますが、なんと「55%が【表情や見た目】(視覚情報)で相手を判断する」という結果が出ています。服装が第一印象に与える影響は大きいのです。初対面の相手に「見た目」でマイナスの印象を与えてしまうのは本当にもったいないことです。おしゃれで個性的なファッションもいいですが、最初は清潔感を重視。これで間違いありません!
「これはどうかな~?」と迷うことが多いのはジーンズでしょう。職種によってはジーンズでも違和感ありませんが、相手がスーツ姿なのにこちらがトレーナーやTシャツにジーンズというのはバランスが悪いです。また、ダメージジーンズは避けたほうが無難です。
胸元のボタンを2つ以上開ける、パンツやスカートの丈が短か過ぎるといったスタイルは避けたほうが無難です。服装の問題とは別に、意図せずセクシュアル・ハラスメントになってしまう恐れもあります。夏場は特にご用心!
歩きにくいサンダルやミュールは控えたほうが無難です。また、爪先の開いたオープン・トゥ・パンプスや、かかと部分が高いピンヒールを認める会社もありますが、転倒時のけがも心配です。これは、いわゆる「労災(労働災害)」の観点からも考えてみてください。
かつてはひげを認めない会社が多かったのですが、時代は変わり、今では明示的に禁止しないケースが増えています。ひげが即座に問題となるケースは減っていますが、大切なのは清潔感なので、お手入れは忘れずに。
皆さんの中には、ネイルやアクセサリーにこだわりがある人も多いでしょう。飲食店などを除けば、ネイルは自由としている会社も増えていますが、やはり清潔感を損なうようではいけません。アクセサリーについても同様です。
香りの強過ぎる香水は「スメルハラスメント(スメハラ) 」といわれるほど迷惑です。身だしなみとして香水をつけるのはよいですが、あまり刺激的ではない香りを選び、またつけ過ぎには注意すべきです。これは職場に限ったことではありません。
少し前、リモートワークでオンライン会議をする際の服装として、画面に映る上半身はネクタイを締め、下半身は短パンという、あり得ない格好が話題となりました。これはリモートワークが浸透するまでのご愛嬌ということで、今はそんな格好をしている人はいないでしょう。
リモートワークが主流で人と会うことがないのであれば、楽な服装で問題ありません。働きやすく、リラックスできる服装のほうが生産性も上がります。ただし、気を抜いてよいということではなく、身なりはきちんと整えましょう。
皆さんが最も尊敬する人は誰ですか。その人とこれから会うとしたら、何を着ていきますか? とにかく「失礼にならない服装」を心掛けるはずですよね。この感覚がとても大事です。
仕事には、社内の人とだけ会う日、社外の人とも会う日、リモートワークの日などさまざまなシチュエーションがあります。会う相手の役職などもさまざまです。せっかく服装が自由なのだから、シチュエーションごとに服装を使い分けて自由な気分を味わいたいところですが、どれくらいなら許容されるのかの判断は難しいですね。
そこで、参考にしたいのが皆さんの先輩の服装です。先輩の格好を見ると、普段はカジュアルなのに、ネクタイを締めて訪問している取引先もあるはずなので、このあたりを参考にします。初めて訪問する相手など、どの程度が許されるか分からない場合は、先輩に「明日、訪問する会社は襟なしの服でも大丈夫ですか?」のように質問しましょう。
抜群に仕事ができる人なら、ジーンズをはいていても文句は言われないでしょう。服装などとは別の次元で成果を上げているからです。
では、皆さんの会社で抜群に仕事ができる人の格好はどうですか? 恐らく、その人は個性的な格好でも許してもらえるのに、実際は定番の格好をしているのではないでしょうか。それは、仕事ができる人ほど周囲への配慮を欠かさないためであり、万一にも服装で相手を不快にさせたくないと思っているからなのです。
これって、重要な気づきだと思いませんか?
以上(2024年12月更新)
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画像:Mariko Mitsuda
「きらやか情報ステーションのコンテンツは、管理職向けの研修教材に使っています」
こう言って、きらやか情報ステーションをよく使ってくださっている企業さまが、これまでの研修教材にご活用いただいたコンテンツを見せてくださいました。たくさんのコンテンツがファイリングされた、とても分厚いバインダーでした。
管理職向けの研修教材にご活用いただいているテーマとしては、
ハラスメント、上司と部下のコミュニケーション、管理会計、朝礼スピーチ
などがあるそうです。
きらやか情報ステーションでは、日ごろ、会員さまが会社経営やビジネスで困ったとき、何かヒントが欲しいときなどにお役立ていただけるよう、
労務・財務・税務・法務、業界動向、人材育成、朝礼で使えるスピーチ、規程集など、常時1000本以上のビジネス系コンテンツを掲載しています。
ただ、「実際にどのようなコンテンツがあって、どのように活用できるか分からない」という会員さまもおられるかもしれません。その際は、今回、この記事でご紹介する企業さまの活用方法などをよろしければご参考になさってください。
冒頭の企業さまに、実際にハラスメントやコミュニケーション系のコンテンツを管理職向けの研修教材に使ってみて、どのような良いこと、効果があったか尋ねてみたところ、次のようなお話をしてくださいました。
「ハラスメントのコンテンツについては、管理職同士で、記事に書いてある事例を読み合わせしたり、事例をもとに議論したりしている。日頃の自分たちの指導・言動がパワハラになっていないかどうか客観的に振り返る、良いきっかけになっている」
「ハラスメントや上司・部下のコミュニケーションの話などは、実際の社内の話を持ち出すと、どうしても客観的に議論しにくい面がある。逆に、こうしたコンテンツを教材に使うと、客観的に議論ができるようになる」
また、事業承継、後継者育成という面からも、
「損益分岐点の考え方や決算書の読み方、予算の作り方など、管理会計や財務分析、税務系のコンテンツを、後継者候補の勉強用に活用している」
というお話も聞くことができました。
今回、実際に日々さまざまなコンテンツを事業に活用されている事例を直接お伺いすることができ、たいへん貴重な機会でした。ありがとうございます。
このほかの会員さまでも、例えば、財務系のコンテンツを同じように人材育成や自己啓発用に活用してくださっている方や、人材不足で悩んでいるときに高齢者活用・定年再雇用のコンテンツをご覧いただいている方などがいらっしゃいます。
このように、きらやか情報ステーションに掲載されている1000本以上のビジネスコンテンツが、今後も皆さまのお役に立てましたら幸いです。
なお、ハラスメント、財務、会計、といったキーワードでコンテンツを探したい場合は、サイト上部の検索ボックスをぜひご利用ください。

最後に、2024年によく見られた人気コンテンツをランキングでご紹介します!
ご興味惹かれるタイトルがありましたら、クリックしてご一読いただけますと幸いです。
第1位 「会社の飲み会は労働時間ですよね?」と社員に聞かれたらどう返す?
第2位 2024年6月から始まる「定額減税」の内容とやるべきことを整理
第4位 「年収の壁」は6枚。配偶者特別控除が受けられなくなる年収、社会保険料の負担が発生する年収はいくら?
第5位 【社長のモノサシ】退職したい社員を引き止める? 引き止めない?
第6位 2024年「賃上げ」に対する経営者317人の本音。あそこの企業は賃上げするのか?
第7位 【中小企業の予算(2)】予算「損益計算書」の数字の作り方
第8位 中小企業が知っておくべき「令和6年度税制改正大綱」のポイント
第9位 「賃上げ」の参考情報! 助成金、社会保険料、賃金規程などさまざまな観点から一挙紹介!
第10位 5種類の「税務調査」の調査方法。オフィス以外でも行われ、社長の自宅や個人口座の情報も調査対象に!
以上
1 最低賃金は「1500円」時代へ……?
2 【ケース1】手当で賃上げをしたら、最低賃金を下回った……
3 【ケース2】手当を廃止して基本給に回したら残業代が……
4 【ケース3】一部の社員だけ賃上げしたら職場に“溝”が……
5 【ケース4】全社的な賃上げで一部の社員から不満が……
2024年10月、全国の最低賃金(地域別最低賃金)が、全国加重平均で過去最高の1055円になりました。さらに、石破新内閣が「5年以内に最低賃金1500円」という目標を打ち出すなど、賃上げに向けた動きが加速しています。長期的な人手不足にこうした政府の動きも加わり、多くの会社が人材確保のために賃金のアップを検討していることでしょう。
ですが、ご用心。せっかくの賃上げも、方法を間違えると思わぬトラブルを招くことがあります。この記事では、社労士の視点から要注意な賃上げの例を4つ紹介します。
東京都のある会社は、基本給こそ控えめですが、様々な手当によって賃上げを図っています。若手社員のAさんも平均27万円をキープしており、「同業他社と比べても遜色ない水準だ」と会社の社長は思っていました。
ところがある日、労働基準監督署から、1通の通知が届きました。
「え? Aさんが最低賃金を下回っている? それは何かの間違いでは?」
と、社長は驚きを隠せません。なぜ、Aさんは最低賃金を下回ってしまったのでしょうか?
日給制や月給制の社員の賃金を最低賃金と比較する場合、対象者の賃金を時給に換算する必要があります。ですが、時給に換算する際の計算方法は法令で次のように決まっていて、計算式を間違えると、最低賃金を下回ってしまうことがあります。
また、最低賃金の計算に含まれるのは、「毎月支払われる基本給と諸手当(職務手当、役職手当、住宅手当など)」だけで、時間外勤務手当(残業代)や賞与、通勤手当、家族手当などは対象外です。このあたりもトラブルになりやすい点です。

例えば、ケーススタディーのAさんについて、月給(27万円)の内訳が次の金額だとします。
【月給(27万円)の内訳】
2024年10月から、東京都の最低賃金(地域別最低賃金)は1163円になっています。Aさんの月給を時給に換算した額が1163円を下回らなければOKですが、実態はどうでしょうか?
まずはAさんの月給(27万円)から、最低賃金の計算に含まれない時間外勤務手当(5万円)、休日出勤手当(2万円)、通勤手当(5000円)、家族手当(5000円)を除きます。
27万円-(5万円+2万円+5000円+5000円)=19万円
そして、この19万円を、Aさんの「1日の所定労働時間」「年間所定労働日数」を基準に、時給に換算します。1日の所定労働時間を8時間、年間所定労働日数を250日と仮定し、時給に換算してから東京都の最低賃金(1163円)と比較してみましょう。
(19万円×12カ月)÷(250日×8時間)=1140円<1163円
Aさんの月給の時給換算額は1140円で、東京都の最低賃金を下回ってしまいました。このように、月給が多くても、法令にのっとって時給換算すると最低賃金を下回ってしまうことがあるのです。これは違法な状態ですから、すぐに改善しなければなりません。
最近は、基本給を引き上げる代わりに、手当を充実させる会社が少なくありません。基本給は引き上げると簡単に下げられないのに対し、手当は「就業規則等で定める要件を満たす場合のみ支給する(要件を満たさなくなれば支給が止まる)」ため、融通が利きやすいからです。
ですが、最低賃金の計算ルールを正しく理解していないと、ケーススタディーのように落とし穴にハマります。まずは法令にのっとって全社員の賃金を時給換算し、現状を把握するところから始めてみましょう。
また、近年は最低賃金の引き上げ幅が大きいため、気付かないうちに、社員の賃金が最低賃金を下回ってしまうことも想定されます。今どきは、社員の賃金が最低賃金以上かを自動チェックできる機能が付いた給与計算システムもあるので、導入を検討するのもよいでしょう。
ある会社の社長は、賃金制度の見直しを考えています。「これまで家族手当を社員に支給してきたけど、最近は独身者が増えてきて、あまり意味をなしていないな。他にも必要なさそうな手当がチラホラ……。よし、こういう手当は廃止して、その分基本給を引き上げよう!」
社長の提案は受け入れられ、「複数の手当の廃止」と「基本給の引き上げ」が同時に行われました。賃金制度はシンプルで分かりやすくなり、社長は上機嫌でしたが、数カ月後、人事部から提出された賃金の支給明細を見てがくぜんとします。
「手当を廃止して基本給に回してから、残業代がすごく増えている……なぜだ?」
社員の労働状況も確認しましたが、特に残業時間が増えたわけではないようです。手当を廃止した分の額が基本給に置き換わっただけですから、賃金全体の額も変わっていません。それなのに、なぜ残業代が増えてしまったのでしょうか?
ケース1とは逆に、手当を廃止して基本給を引き上げるパターンです。生活関連の手当(家族手当や住宅手当など、生活を補助するための手当)を見直して、基本給や職務関連の手当(役職、資格、業績などに応じて支給する手当)に組み入れる会社は珍しくありませんが、残業代のルールを理解していないと、ケーススタディーのような思わぬコストアップに直面します。
残業代、つまり時間外労働や休日労働の割増賃金を計算する場合、「基準外賃金」といって、割増賃金の計算基礎に含めなくてよい賃金があります。具体的には、次の7つの手当がそうです。
こうした手当を廃止して基本給に組み入れてしまうと、その分、割増賃金の計算基礎となる金額が上昇します。つまり、残業時間が変わらなくても単価が上がるので、残業代は増えてしまうということです。
なお、この他に、基本給をベースに賞与や退職金の額を計算(基本給×支給率〇%など)している場合なども、基本給の引き上げによって、会社の意図しないコストアップが起こり得ます。
賃金体系の見直しを行う際は、基本給の引き上げによる影響を事前に試算することが大切です。残業代、賞与、退職金、他にも社会保険料など、影響を受ける項目を1つ1つ確認し、必要に応じて財務アドバイザーなどとも連携して、資金繰りをしていきましょう。
基本給の引き上げ幅にも注意が必要です。例えば、「3年かけて徐々に基本給を引き上げていく」「対象者を複数のカテゴリーに分けて、カテゴリーごとに賃上げの実施時期を決める」など、会社の負担が一時期に集中しないように、段階的な賃上げを行うことが大切です。
東京都のとあるスーパーの休憩室。パートのBさんは、店長がこんなことを言っているのを耳にしました。
「東京都の最低賃金が1163円に上がったから、新人のCさんの時給を1150円から1200円に引き上げよう」
Bさんはとても不満です。彼女はCさんの教育係であり、スーパーで長く働いてきたベテラン。それなのに、Bさんの時給は「Cさんと同じ1200円」です。しかも「最低賃金を上回っているから」という理由で、今回Bさんは賃上げの対象にならず、時給は据え置きになりました。
「教育係である私が、Cさんと同じ時給だなんて……」
と、Bさんは鬱屈した毎日を過ごしています。
不満があるのはBさんだけではありません。他のパートも休憩室で、
「経験なんて関係ないってこと?」「これじゃ、やる気が出ないわ」
と言い合っています。活気のあった職場の雰囲気が、徐々に不穏なものに変わっていきました。最低賃金を考慮して行われたCさんの賃金設定が、思わぬ波紋を広げていたのです。
全社員の賃金を一律で引き上げることは、会社にとって少なくない負担です。そのため、なかには最低賃金をクリアすることだけを目的に、一部の社員だけを賃上げの対象とする会社もあります。
賃上げの対象者を限定すること自体は違法ではありませんが、当然こうした対応は、他の社員のモチベーションや職場の人間関係に影響を与えます。賃上げをする際は、単に法的な要件を満たすだけでなく、社員全体のバランスや公平性にも目を向けなければなりません。
改善策としてまず挙げられるのは、勤続年数などに対応した「賃金テーブル(賃金表)」を整備することです。前述した通り、近年は最低賃金の大幅な引き上げが続いているので、この点を考慮するなら、例えば、
といった加給方式にするとよいでしょう。
仕事の内容や責任に応じて、別途手当を支給するのもよいでしょう。例えば、新人の教育係やシフトリーダーなどの役割を持つパートには、その役割に応じて「役割手当」などの追加の手当を支給すると、不公平感が薄まります。経験や技能に応じて支給する手当を導入するのもよいでしょう。
営業部のエースDさんは、次の昇給を楽しみにしています。今期の目標を大きく上回る売り上げを達成することができたからです。一方、同じ部署内にはDさんの同期Eさんがいますが、彼のほうは営業成績を伸ばせずにいます。
そんな中、社長が朝礼でこんな発表をしました。
「今回の昇給は、物価上昇に対応するために全員一律で1万円の賃上げをします!」
ほぼ全員が喜んでいましたが、Dさんは曇った表情をしていました。数日間元気のないDさんに、仲の良い先輩が「どうしたの?」と聞くと、彼はこんな不満を口にします。
「僕は後輩の指導をしながら、営業成績も伸ばしています。そんな僕と、いつも遅刻して、ろくに仕事もしないEさんが、同じ1万円アップなのはおかしくないですか?」
Dさんは「どうせ頑張っても評価されない」と感じ始め、少しずつモチベーションが低下。転職も考えるようになってしまいました……。
ケース3とは逆に、全社的な賃上げを行った結果、トラブルになるというパターンです。物価上昇が続く昨今、こうした賃上げを検討する会社も多いですが、勤務年数や能力差に関係なく一律で金額を引き上げると、ケーススタディーのように「どうせ同じ額しか上がらないのなら、頑張っても意味がない」と感じる社員が出てくることもあります。
特に、高いパフォーマンスを発揮している社員ほど、こうした賃上げを不公平だと感じやすいので、会社への貢献度が高い社員の転職を防ぐためにも対策は必須です。
対策として考えられるのは、賃上げを「物価上昇に対応するための賃上げ」「個人の成果や能力を反映するための賃上げ」の2段階に分けて実施することです。
物価上昇に対応するための賃上げについては、金額を一律にして実施します。その後で、個人の成果や能力に応じた加算を行います。この加算はボーナスで対応してもよいでしょう。いずれにせよ、個人の成果や能力に応じて追加の賃上げを行うことで、努力した分が報われるという意識を社員に持たせることが大切です。
以上(2025年1月作成)
pj00733
画像:ChatGPT
新規営業先を獲得するには、日々の営業活動ももちろん大切ですが、
自社の商品・サービスを必要としている顧客が集まる「展示会」に出展する方法
もあります。ただ、これまで展示会に出展したことがない人は、「興味はあるけど、なんだか時間も手間も人手も必要で大変そう」「何をしたらいいか分からない」と思う人もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、
展示会へ出展する際に、展示会の選定から開催後の挨拶・営業まで自社で行う準備として必要なモノ・コトやその手順を網羅的に説明し、「何をしたらいいか分からない不安」を解決
します。展示会に出展するに当たり、出展決定前から開催後にかけてやるべきことは次の通りです。次章以降で、それぞれの事項について詳しく解説していきます。

また、こちらから実際に展示会に出展する際に使える仕様書(マニュアル)と、シフト表のテンプレートをダウンロードできますので、お役立ていただけますと幸いです。
そもそもどのような展示会に出展するのか、ブース位置はどうするのかなどを検討します。
まず、出展する展示会を選定しましょう。展示会の種類としては、
などが挙げられます。出展する目的によって展示会の形態が違いますので、それぞれの特徴を確認した上で、どの展示会に出展するか検討するとよいでしょう。
ブースの場所選びも重要です。会場や動線(会場における、来場者が移動するであろう経路)にもよりますが、
などのポイントがあります。例えば、次のような会場であった場合、☆印がついている位置に人通りが多くなります。

展示会によって事情は違ってくるので、展示会主催者側の意見も聞いた上で、ブースの場所を検討していきましょう。
展示会で自社の商品・サービスをPRしたい場合、自社のブースで説明するのとは別に、セミナー(講演)を開催するのもよいでしょう。多くの展示会では出展者が登壇するセミナーを企画しているので、そこに申し込みます。
セミナーは、自社の商品・サービスをより深く、細かく、新規顧客に伝えるチャンス
です。セミナーへの参加者は、自社の商品・サービスに何らかの関心があって、自ら話を聞きに来ている人たちです。セミナーの間は必ず話を聞いているので、内容次第ではさらに自社に関心を持ってもらえる可能性がありますし、参加者と名刺交換などをすれば、セミナー後に改めてアプローチをかけられます。なお、セミナーの規模にもよりますが、名刺交換はセミナー前の、参加者が着席したときがチャンスです。セミナーの後だと、参加者は(次のセミナーに参加するためなどで)急いで退場するので、名刺交換ができないことも多いです。
ここからは、B to Bの新規顧客開拓などを目的に行われる「ビジネスショー」への出展を前提として、順を追って紹介していきます。
出展が決定したら、最初に準備するべきはノベルティーなどの製作物です。これらは、自社の商品・サービスを来場者に知ってもらう上で欠かせません。ただし、
会場によっては、ノベルティーの配布や装飾物のカスタマイズが禁止されているケース
があるので、実際に出展する際は、あらかじめ主催者側に確認を取るようにしてください。
ノベルティーとは、企業の名前やURLを入れて配布する贈呈用の品物のことです。
などを配布するのが一般的です。
ノベルティーを作る際は、
宣伝効果が高まるよう、自社のロゴや商品・サービス名などが目立つデザインにする
ことがポイントです。パッと見たときの分かりやすさやインパクトが大切なので、必要に応じて、
といった対応を検討しましょう。なお、飲食物ならパッケージや外箱、それ以外であればノベルティー本体にデザインを印刷するのが定石ですが、OPP袋(透明袋)にノベルティーと自社のチラシを一緒に封入し、配布することも可能です。
装飾物とは、ブースなどに設置するパネルやポスターのことです。準備する際は、
があります。
それぞれのメリット・デメリットを次の図表にまとめましたので、より自社に合った方法を検討しましょう。

パネルは偶然通りかかった人にも自社の商品・サービスの内容が伝わるよう、文字は少なく、イラストや写真を使い、簡潔で分かりやすいデザインにすることを心がけましょう。
また、自社で設営などを行う場合、会場によっては発泡スチロールや可燃性の布など、特定の素材の使用が禁止されているケースもあります。パネルの素材や取り付け時に使う器具なども含めて、主催者側のマニュアルなどをよく確認して準備を進めましょう。
配布物とは、自社の商品・サービスの概要が分かるチラシやパンフレットのことです。時間がない来場者の場合、資料やチラシを受け取ってそのまま帰ってしまうこともあるので、
人が説明しなくても、読むだけで自社商品・サービスの内容が理解できるもの
になるよう心がけましょう。
例えば、
などの方法が考えられます。
ブース内備品とは、来客への説明用に、自社サイトや商品・サービスの資料などを映すPCやディスプレーのことです。
会場によっては、「たこ足配線」が禁止されているケース
があるので、PCやディスプレーの搬入方法なども含め、主催者側のマニュアルなどをよく確認して当日必要なものをそろえていきます。
また、会場やブースの位置によってはインターネット回線がつながりづらいこともあるので、
ブースの位置が確定し次第、会場へ下見に行き、ネットの環境を確認した上でWi-Fiルーターなどの準備をする
ことをお勧めします。
説明用とは別にディスプレーを配置し、商品・サービスの概要が分かる動画を流しておくと、来場者の目に留まりやすくなります。ただ、
ブース外に聞こえるような大きい音声の再生は禁止されていることもある
ので、主催者側に確認の上、準備するとよいでしょう。
展示会の開催に合わせて社員のスケジュールを調整し、シフトを組みます。必要な人数はブースの広さにもよりますが、例えば、ブースの大きさが2m×2mの場合、
ブース内外に3人(ブース内:説明役の社員1人、ブース外:呼び込み役の社員2人)
がいる状況が望ましいでしょう。2m×2mのブースであれば、ブース内に入れるのは2人(来客1人+説明役の社員1人)が目安です。実際のブースの広さなどを考慮して、人数を調整することになります。
オペレーションとは、展示会の来場者やブースへの来客に対して、自社の人員がどのように対応するか、その手順や声かけ・説明のパターンなどを示したものです。
声かけとブース説明の一貫性を持たせるために、仕様書にオペレーションを記載して、当日参加する社員にシフトと共に事前に共有
しておくと、当日の運営がスムーズに進みます。
例えば、仕様書には以下のようなオペレーションとそれぞれの内容を記載します。

あくまで一例ですが、自社のことを全く知らない来客Bにはまず事業内容を理解してもらい、ニーズを引き出す必要があるので、上の図表のようにオペレーションが分かれます。
展示会開催前の告知も集客には欠かせません。
など、既存の取引先や営業先に働きかけて、自社で完結させる告知の方法もありますが、展示会によっては、
事前に展示会の公式サイトに宣伝枠を取り、自社のブースの概要を掲載することも可能
ですので、費用感や効果を含めて主催者側に相談し、検討してみるのも1つの方法です。
パネルなどの設営を主催者側に委託するとしても、展示に使うPCなどは、ほとんどの場合、自社での設営が必須です。例えば、東京で開催される展示会に、東北や関西などの企業が出展する場合、
設営日(おおよそ開催の1~2日前)には設営役の社員を前乗りさせ、PCのセッティングや装飾品のチェックなどを済ませておく
とよいでしょう。
イベント当日の運営については、
事前に社員に共有したオペレーションを基本に、臨機応変に対応していく
ことが大切です。
特に通路での声かけや備品の位置などについては、ルール上禁止している展示会もありますが、来客や周囲のブースの状況などを見て対応を変えていくのがよいでしょう。
自社のことを知らない来場者に興味を持ってもらうのは難しいですが、時間がありそうな人には積極的に声かけしましょう。ブースまで呼んで詳しい説明ができると、営業のチャンスもさらに広がります。
声かけのポイントとしては、次のようなものがあります。
その他、「時間がない」と断られたときのために、例えば「3分で説明します」といった決まり文句(また、実際にその時間内に商品・サービスを紹介できるオペレーション)も用意しておくと、話を聞いてもらえる可能性が高くなるでしょう。
当日のセミナー運営について気を付けるべきポイントは、
参加者と名刺を交換する時間・人員を確保する
ことです。セミナー終了後はそのまま帰ってしまう参加者も多く、一斉に声をかけることは難しいため、来場した順に声をかけて名刺を交換する人員を用意しておくとよいでしょう。
また、忘れがちなのが登壇者の水分補給用の飲み物です。長時間しゃべ続ける場には必要ですが、セミナー会場の近くにコンビニエンスストアや自動販売機がない場合もあります。
あらかじめ、セミナー登壇者の水分補給が認められているか会場に確認を取った上で、人数分を購入しておくなど、準備を万全にしましょう。
展示会が終了したら、当然ながら、自社から持ち込んだものは自社で片付けます。基本的に、シフトに入っていた人材がそのまま撤去作業に当たるでしょうから、開催時間後も余裕を持ったスケジュールを確保しておきましょう。
撤去作業時は周りも慌ただしくて焦りがちですが、
パネルやポスターなどを剥がす際に壁を傷つけたり、汚したりしないようにする
など、丁寧な作業を心がけましょう。主催者側の備品を破損させると弁済を求められることもあります。
なお、展示会が2日にわたる場合などは、1日目はブースを撤去せず、備品などをそのまま置いておけることが多いです。ただし、盗難などのトラブルを防ぐため、
持ち込んだディスプレーを保護するためにシートや布を被せる、収納できるものは鍵付きの棚(レンタルできる場合もある)にしまう
などの対応が必要になります。
展示会で交換した名刺の管理や、再度の営業などをスムーズに進めるために、
事前に営業先管理用のExcelシートや、ブースやセミナーへの来場の感謝を伝えるメールの型などを作成しておく
ことをお勧めします。
例えば以下の例のように、名前や企業名などの基本的な情報だけでなく、下の図表の「連絡」欄のように個別のフラグを立てておくなど、あらかじめ営業のパターンを決めておくと管理がしやすくなります。

また、このリードの強弱の違いによって、メールの文面を数パターン用意しておくという方法も考えられます。例えば、
という具合です。
展示会は新規顧客獲得のための糸口をつかむために出展するもので、撤収作業が済めば終わる、というわけではありません。チャンスを実利にまでつなげられるよう、チーム一丸となって営業活動に取り組みましょう。
以上(2025年1月作成)
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画像:Mosy Studio-Adobe Stock
おはようございます。2025年の干支は「巳(み)」、つまり蛇です。そこで今日は蛇にちなんだ話として、日本神話に登場するヤマタノオロチの話をしたいと思います。
ヤマタノオロチは、頭と尾が8つずつある巨大な蛇です。毎年人間の娘を食らうので人々から恐れられていましたが、神であるスサノオ(素戔嗚尊、すさのおのみこと)がこれを退治して尾を割き、三種の神器とされる「天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)」を得たとされています。
ヤマタノオロチ自体は架空の怪物ですが、面白いことにこの伝説にはモチーフがあります。島根県の出雲に斐伊川(ひいかわ)という川がありますが、何度も氾濫を繰り返す斐伊川とその支流をヤマタノオロチにたとえ、それらの治水工事をオロチ退治に見立てていたという説があるのです。
川の氾濫は、現代でも甚大な被害をもたらす天災です。ましてや重機なんて存在しない時代、その治水はとてつもない重労働だったことでしょう。並大抵の体力・精神力・リーダーシップでは達成できません。はっきりとしたことは分かりませんが、当時の人々は、そんな怪物のような川に立ち向かう出雲の民に強い敬意を感じ、それが転じてスサノオの伝説が生まれたのかもしれません。
仕事をしていれば、困難な業務にどうしても取り組まなければならないことがあります。私は過去にあるプロジェクトを任されたことがありますが、他のメンバーを統率しなければいけない立場なのにリーダーシップを発揮することができず、見かねた課長が指揮を執ってくださいました。
今、思うと「何かあっても、課長が助けてくれる」という甘えがあって、自分の責務から逃げていたのかもしれません。もしも課長がいなかったら、プロジェクト自体が頓挫(とんざ)していたかもしれない、私に足りなかったのは、その危機感です。出雲の民は「何がなんでもやり遂げる。やり遂げなければ未来はない」という“不退転”の意志で治水に取り組み、困難に打ち勝ちました。
精神論だけで成功できるほど世の中は甘くありませんが、そもそも強い意志がなければ成功はあり得ません。「気概」と「やり抜く」を今年の抱負に掲げ、1年間駆け抜けたいと思います。
以上(2025年1月作成)
pj17204
画像:Mariko Mitsuda
ついに私も社会人。会社の仲間と楽しく働き、プライベートも充実させるのだ。先輩たちは優しそうなので、ひとまず安心。それなりにうまくやっていけるだろう。ところで、私は会社からどのように見られているのかな? そつなくやりたいけれど、社会人としての正解というか“常識”が分からないな……。
おめでとうございます! 皆さんは立派な社会人になりました!!
最初が肝心、気を引き締めていきましょう。だって、周りの人は新人だからといって甘やかしてはくれません。プライベートでも、世間は皆さんを「A社の社員」と認識することがあります。ですから、法令を守ることはもちろん、SNSの投稿などにも最低限の注意が必要です。少し前に話題になった「バイトテロ」のようなことは論外です。問題が起きると、あなただけでなく、会社、顧客、取引先などにも迷惑がかかることを忘れないでください。
社会人になるということは、「公」の時間をもつということです。この公の時間と私(プライベート)の時間は明確に区別しなければなりません。
例えば、勤務時間は仕事の時間です。やむを得ない場合は除き、プライベートの用事をしてはいけません。会社の備品も同じです。ボールペンなど一つひとつは安くても、会社のお金で買ったものを借りていることに変わりはなく、大切に使わないといけません。借りるという意味では、オフィスのデスクはもちろん、空間だった会社から与えられているスペースなので、整理整頓を心がけましょう。
会社で守るべきルールは会社が就業規則などで定めていて、皆さんが自分本位で決めるものではありません。皆さんの考えを主張するのは良いですが、会社のルールが前提となります。
控えめな人や、目立ちたくないと考えている人は、どうやったら上手くコミュニケーションがとれるだろう? と不安を覚えているかもしれません。しかし、安心してください。最強のコミュニケーション術があります。
それは、笑顔で挨拶をすることです!
笑顔で明るい挨拶をされたら、皆さん、心がパァーっと明るくなりませんか。それで、こちらも笑顔になって明るい挨拶をお返しするはずです。挨拶に役職は関係ありません。社長も新入社員も、笑顔で明るく挨拶ができる会社は素敵です。「おはようございます」「行ってきます」「行ってらっしゃい」「お疲れさまでした」。どれも会社でよく使われる挨拶ですので、是非、実践してみてください。
入社してすぐに仕事ができる新入社員はいません。多少の差はあれ、ほぼ横一線です。そのような中で、先輩たちは皆さんのどこを見ているのでしょうか。一つは先に触れた「笑顔で明るい挨拶」ができているかどうかです。これは、「挨拶」という行為だけを見ているわけではなく、一緒に働く仲間や、大切なお客様などに丁寧に接することができているかの確認でもあります。
丁寧に接するとはつまり、「謙虚な姿勢で仕事と向き合っているか」ということにもつながります。人のせいにしたり、言い訳ばかりしたりしているようではダメですね。皆さんは、自然に「ありがとうございます」や「失礼しました」と言えますか? 感謝する姿、反省する姿を周囲はしっかり見ているものです。その真摯な姿勢が信頼となり、将来の皆さんの糧となります。
最初、先輩たちは新入社員を先入観なく見ています。しかし、だんだんと皆さんの得意なこと、苦手なこと、努力の度合いなどを加味して評価するようになります。先輩たちが急に冷たくなるというわけではなく、「頑張っている人は信頼され、新しいことを任されるようになる」ということです。
ですので、忙しそうな先輩や同僚に「何かお手伝いできることはありますか?」と聞いてみるのも良いでしょう。そうすると「この新人は頼りになるな」と、いろいろな仕事を任されるようになります。それをコツコツとこなすことで仕事の幅が広がり、楽しくなっていきます。先輩などをサポートすると、自分も成長できる。まさに、「情けは人のためならず」ということです。
時間は必ず守りましょう。時間を守らない人はビジネスの世界では信頼してもらえません。「誰かを待たせると、その人の時間を無駄にしてしまう」など、時間厳守の理由はいろいろと言われていますが、そうしたこと以前に、時間が守れない人は社会人失格なのです。まれに、「すいません。遅れちゃいました(笑)」みたいな人もいますが、まねしてはいけません。その人は、相当に仕事ができるから許されているのか、単に常識がないのかのいずれかです。
時間を守るための鉄則は、余裕のある準備につきます。例えば、雨降りの日に外出するなら、交通機関の遅れを見越して少し早く出発しましょう。オンラインミーティングでも、時間ギリギリではなく、余裕をもってアクセスし、ビデオオフで待つくらいの余裕が欲しいですね。もちろん、初めてのツールなら、事前に試しておくことも忘れずに!
何事も早めの連絡が一番。「遅れてから」ではなく、「遅れるかも」と感じたときが「連絡どき」です。結果として遅れずに仕事が終わったのならみんな幸せ。「遅れるって連絡したのに結局遅れなかった。恥ずかしい」なんてことを考える必要はありません。
連絡手段は会社のルールに従います。ただ、チャットツールを使っている場合は要注意。テキストだけだと、どうしてもニュアンスが伝わりにくいときがあるからです。ちょっとややこしいことを伝えるときは、電話やボイスメッセージを織り交ぜると良いです。
さらに、重要な事項を送って終わりにしてはいけません。「遠足は家に着くまで。連絡はリアクション(既読など)があるまで」と心得ましょう。もし、相手のリアクションがなければ、再度メッセージをするか、電話をするなどしてください。
会社にはたくさんのルールがありますが、いきなり全部は覚えられません。先輩に質問しながら、少しずつ慣れていきましょう。ポイントは「メモ」です。メモ帳でも、スマートフォンでもいいです。とにかく、メモを取って整理しておきます。情報の蓄積という意味もありますが、メモは心の安定にもつながります。だって、質問は何度してもいいと言われても、同じことを何度も聞くのは気が引けますよね。その点も、メモを取っておけば大丈夫なのです。
社会人の常識といえば「席次」。こう言う人がいても不思議ではないくらい席次は一般的なこと。会議室で座るとき、円卓で食事をするとき、タクシーに乗るとき、オンラインで画面にうつるとき(?) とにかく、席次が付いて回るわけです。
席次には基本的なルールがあるので、これは押さえておかなければなりません。ただ、そのルールに縛られて融通が利かないのも考えものです。空調や採光などの影響で、上座が必ずしも快適であるとは限りません。たとえ下座となる席でも、「こちらのほうが景色が綺麗ですよ」などと相手を思いやる心が一番大切なのです。
会社は自分で考え、行動する社員を求めています。中には「よっしゃ~!」と思うつわものもいるかもしれませんが、多くは「そう言われても……」といった感じですよね。
確かに、新入社員がいきなり行動するのはハードルが高い。ですので、まずは考えることから始めてみましょう。先輩たちの話を聞きながら、「自分は何をしたい?」「自分だったらどうする?」と考えてみるのです。
そうしていく中で、これならチャレンジできそうだというものが出てきたら、是非、行動に移してみてください。この「考える」から「行動に移す」の壁を越える経験は、先々、本当に皆さんのためになります。大切なポイントは、失敗は失敗ではなく、学習だと思うこと。「こうするとうまくいかない」ということを学び、賢くなったのです。誰だって最初からうまくできるわけではありません。「成功からも失敗からも学習して次に生かす」。これをいかに高速で、たくさん回すかが大切です。
以上(2024年12月更新)
pj00500
画像:Mariko Mitsuda
皆さん、あけましておめでとうございます! 今日は私から皆さんに、「2025年は、こういう人になってほしい」というメッセージをお伝えします。今年、皆さんに目指してほしいのは
「言葉を大切にする人」になること
です。具体的には、今から言う2つのことを心がけてほしいと思っています。
1つは、「言葉を発する目的をよく考えること」。例えば、部下を指導する際、つい語気が強くなってしまう上司がいます。もちろん、時には厳しさも必要ですが、自分の感情をただぶつけるのは指導とは言いません。部下を指導するのは、「部下にこんなふうに成長してほしい」という目的があるからですよね。目的をよく考えれば言葉選びも慎重になり、思いは正しく相手に伝わるはずです。
もう1つは、「相手の言葉の意味をよく考えること」。今度は逆に、部下が上司の指導を受けたときについて考えてみましょう。「そのやり方は間違っている」と言われれば、誰だって良い思いはしません。ですが、ただ「叱られた」ということばかりを意識しているようでは、いつまでたっても成長しません。「上司はなぜ、自分に言葉をかけたのか」、その意味をよく考えましょう。
社外の人が相手でも同じです。例えば、取引先と話す際、相手の機嫌を損ねるようなことは誰しも言いたくないものです。ですが、多少耳の痛いことであっても、その発言をしないことで取引先が損を被る可能性があるなら、迷わず発言すべきです。「言葉を発する目的」をよく考えましょう。
営業に行ったとき、「今回は予算が……」などとやんわりと断られた経験がある人も少なくないでしょう。実は当社側の提案に問題があるものの、面と向かって言うと角が立つから、相手が言葉を選んでくれているだけのケースが多いです。「相手の言葉の意味」をよく考えて改善を図らないと、いつまでも同じことの繰り返しになってしまいます。
言葉を大切にするとは、「言葉の先にあるものについて想像力をめぐらせる」ということです。2025年はこの点を意識して、コミュニケーションをもう1段階レベルアップさせましょう。
以上(2025年1月作成)
pj17203
画像:Mariko Mitsuda
1 成長市場の宇宙ビジネスについて知る
2 宇宙ビジネスの全体像
3 (民間衛星サービス)通信・放送衛星サービスの動向
4 (民間衛星サービス)地球観測衛星サービスの動向
5 (民間衛星サービス)測位衛星サービスの動向
6 (民間衛星サービス)軌道上サービスの動向
7 衛星用地上機器の動向
8 衛星製造の動向
9 宇宙輸送の動向
10 宇宙ビジネスの規制・制度(宇宙法)
2024年10月24日、宇宙輸送・衛星通信事業を手掛けるSpaceXは、同社が開発したロケット「Falcon9」の同年100回目となる打ち上げに成功しました。これは3日に1回、打ち上げを行っているというペースです。
宇宙技術に関する事業全般を「宇宙ビジネス」「宇宙産業」などと呼びますが、
世界の宇宙ビジネスの市場規模は、2022年時点で54兆円(ちなみに日本は約4兆円)、2040年には140兆円にまで成長すると予測されており、今まさに急速に成長している市場
です(経済産業省「国内外の宇宙産業の動向を踏まえた経済産業省の取組と今後について」)。
成長の理由はさまざまありますが、特に注目すべきは、
SpaceXに代表される民間企業のロケット打ち上げと、衛星データの利用ビジネス
です。通信速度やデータ精度が向上したことで、マーケティング、医療、農業など、活用できる分野の幅が広がっており、そこに民間企業が次々に参入してきているのです。
日本はロケット打ち上げに有利な立地なので今後の成長が期待されていますが、ロケット打ち上げ体制や衛星製造では、まだまだ研究・整備の段階にあります。しかし、新規事業者が参入するには、実績が重視される傾向にあることから、将来的な参入を視野に入れ、今のうちから業界について知っておくことが大切です。
この記事では、そんな宇宙ビジネスの現在地を
という流れで探っていきます。
宇宙ビジネスについては、明確な定義があるわけではありませんが、経済産業省の資料では「民間衛星サービス」「衛星用地上機器」「衛星製造」「宇宙輸送」「政府の宇宙予算(宇宙科学・探査など)」の5つに分けて紹介されています。

近年は、衛星データの利用幅が増えたことや、打ち上げリスクが減ったこともあり、民間からの投資が増え、さまざまなベンチャー企業が登場しています。その数は、経済産業省によると、国内だけでも約100社あるとされます。
また、ロケット・衛星の打ち上げ数が増加したことで、発射場となるスペースポート(宇宙港)の不足やスペースデブリ(宇宙ゴミ)の増加など、新たな課題も生まれています。
図表1の5種類の宇宙ビジネスから、「政府の宇宙予算(宇宙科学・探査など)」を除外したもの(民間主導の宇宙ビジネス4種類)の商流を表したのが図表2です。

これらの中で、近年、特に盛り上がっているのが民間衛星サービスです。
民間衛星サービスは、大きく「通信・放送衛星サービス」「地球観測衛星サービス」「測位衛星サービス」「軌道上サービス」に分かれます。これらは衛星を活用して通信やデータ収集をしたり、衛星の活動を支援したりするビジネスで、近年は多くの民間企業が参入しています。
電子部品の小型化、汎用部品を多用した設計などによって、超小型の衛星を従来よりも早く、安価に打ち上げられるようになったから
です。
衛星を周回させる高度は、大きく、
に分かれます。低軌道上の衛星は地表により近く、大容量データの高速通信や精密な観測に対応できますが、1機では地表の狭い範囲しかカバーできません。そのため、安価な小型衛星を大量に打ち上げて一体的に運用する「衛星コンステレーション」体制が主流になっています。
これに対し、日本の宇宙ビジネスは対応が遅れているのが現状です。このことについて、経済産業省の宇宙産業課にヒアリングしたところ、次の回答が得られました。
「日本の宇宙ビジネスは、民間企業が参入するようになってからまだ日が浅く、サプライチェーン体制や発射場(スペースポート)の整備が追い付いていません。これらが進みにくい原因に、宇宙利用・衛星製造・宇宙輸送の3分野が“三すくみ”になっていることが挙げられます。
この課題を解決するには、特定分野の成長を期待するのではなく、全体的な底上げを支援する必要があります。そのためにも、中小企業の皆様の参入が欠かせませんが、参入障壁の高さやリスクを感じ、参入をためらってしまう事業者様も多いと聞きます。
しかし、実際は想像よりも要求される品質が低くてもよいケースもあります。まずは、地方の各産業局が主催する宇宙航空産業などの企業マッチングイベントなどに参加し、ぜひ商談を進めてみていただきたいです」
次章からは、「民間衛星サービス → 衛星用地上機器 → 衛星製造 → 宇宙輸送」の順に、宇宙ビジネスの動向を紹介していきます。
衛星通信とは、地上から衛星を介し、送信先へデータを送る通信方式のことです。
主に、衛星テレビや衛星ラジオなどで利用されるほか、高速通信に対応した衛星ブロードバンドの登場によって、インターネットや携帯電話でも利用され始めています。
移動する船舶や車両、通信回線を引けない山間地、インフラが破壊された被災地などとも通信できることから、近年、注目を集めている分野でもあります。
通信・放送衛星サービスの課題は、
サービスが一部の事業者に依存してしまう状況にあること
です。2020年以降、SpaceXとOneWeb(英国)の衛星打ち上げ数が急激に増加しており、特にSpaceXは2023年6月時点で累計4500機超の通信衛星を打ち上げています。なお、内閣府の調査によると、日本の商業衛星の打ち上げ計画数は、2023年から10年間で合計280機以上です。
経済産業省の宇宙産業課へのヒアリングでは、次の回答が得られました。
「衛星間通信技術による地球観測衛星(第4章)の支援体制を確立することが、通信衛星サービス分野における課題です。
この課題を解決するには、衛星コンステレーション体制(第2章)を構築するとともに、光通信による衛星間通信技術を向上させる必要があります。大量の衛星を打ち上げるためのサプライチェーンや技術・設備などが求められます。これが実現すると、観測衛星データのリアルタイム性が向上してデータの利用シーンが増え、市場が活性化するでしょう」
地球観測とは、衛星に搭載されたリモートセンシングセンサーを利用して、地上について調べることです。センサーは、大きく
の2つに分かれます。
主に、気象観測・都市開発・農業・エネルギーの分野で利用されており、センサーやデータ解析AIの発達によって、土地の肥沃度や石油残量の調査、都市部の夜間の明るさに基づくGDP予測、洪水の被害規模予測など、幅広い分野で活用され始めています。
近年は、小型衛星コンステレーションによる衛星間通信リレーの進展によって、観測から利用までのリードタイムが大幅に短縮され、よりリアルタイムなデータ利用ができるようになり、さらに幅広い分野での活用が見込まれています。
地球観測衛星サービスの課題には、次のようなものがあります。
経済産業省の宇宙産業課へのヒアリングでは、次の回答が得られました。
「防災や農業などの分野で成果が出始めていますが、利用量も活用シーンもまだまだ少ないのが現状です。例えば、北海道の農場の観測サービスに留まらず、全国や海外へサービスが広がることなどを期待しています。また、複数のデータを複合的に利用するサービスが生まれることで、利用量が増えることにも期待しています」
衛星測位システム(GNSS、正式名称「Global Navigation Satellite System(全球測位衛星システム)」)は、衛星から電波を受信することで位置測定や航法(移動ルートを導く方法)、時刻配信をするシステムです。有名なものは米国のGPSですが、日本を含む各地域でも独自のシステムが管理・運用されています。
各地域で運用・管理されている衛星測位システムの名称と機数は次の通りです。
主に、カーナビやスマートフォンの地図アプリ、フィットネス機器、測量などで活用されており、精度が高まることで、自動車・農業トラクター・船舶などの自動運転、3D地図の作成、ドローン管制によるインフラのメンテナンスなどの分野でも活用が見込まれています。
前述の通り、日本の測位衛星機数は世界各地に比べて少ない状況にあります、内閣府によると、日本は現在、7機体制の構築に向けた整備を行っており、さらに、11機体制にむけた検討・開発にも着手している段階です。
この計画を実現していく上で、測位衛星サービスの課題には、次のようなものがあります。
内閣府 宇宙開発戦略推進事務局へのヒアリングでは、次の回答が得られました。
「今後の測位衛星の打ち上げは、測位情報の高精度化と安定的な提供を目的としたもので、搭載機器の機能を向上させるとともに、衛星に不具合が発生したときのバックアップとしての役割を遂行する能力が求められます。また、測位情報を持続的に提供するため、小型化による2機同時打ち上げなどのコストダウン策も検討されているところです」
軌道上サービスは、衛星や宇宙ステーションに対して、宇宙空間で提供されるサービスの総称です。サービス内容には、次のようなものがあります。
近年、注目を浴びているのが、スペースデブリの除去ビジネスです。
スペースデブリとは、故障や寿命で不要になったロケット・衛星の残骸などのことで、主に、残っていた燃料の爆発や、スペースデブリ同士の衝突によって発生します。ESA(欧州宇宙機関、European Space Agency)によると、その数は2024年9月時点で次のようになっています。
スペースデブリは秒速7~8キロメートルで移動しているとされ、微小なものでも衝突すれば、衛星や宇宙ステーションが大きく破損しかねません。実際、過去には衝突事故が何度も起こっており、衛星が大破してしまったケースもあります。ロケット・衛星の打ち上げ数が増える今、スペースデブリの除去は需要が急速に高まっているのです。
スペースデブリの除去は、対象となる物体に近づき、動きを推定しながら捕獲し、軌道を変えて大気圏に突入させて、スペースデブリを燃やし尽くす技術です。まだ実証・実験段階ではあるものの、日本のベンチャー企業のアストロスケールホールディングス(東京都墨田区)が欧米企業に先行しています。
軌道上サービスの課題には、次のようなものがあります。
経済産業省の宇宙産業課へのヒアリングでは、次の回答が得られました。
「軌道上サービスは、比較的新しいサービスです。すでに国内の有力な企業が登場していますが、分野自体が発展途上であり、ルール作りの段階にあると考えています。例えば、スペースデブリの除去目標や、衛星が寿命を迎えるまでに除去すべきスペースデブリ数などがそうです。これらが決まってこそ、求められる技術や必要な投資額が決まってきます」
衛星用地上機器とは、パラボラアンテナや衛星対応のテレビ・ラジオなどの製造分野です。
中でも、衛星測位システムに利用されるGNSSチップセットとナビゲーション・デバイスの製造が、市場規模が最も大きい分野となっています。
近年の衛星測位システムは、衛星だけでなく、利用者のものとは別の受信機も利用することで、位置情報の誤差を数メートル単位から数センチメートル単位まで縮小させることに成功しました。これにより、自動車・農業トラクター・船舶などの自動運転、3D地図の作成、ドローン管制によるインフラのメンテナンスなどの分野でも活用が見込まれています。
この分野の中で最も市場規模が大きいGNSSチップセットとナビゲーション・デバイスには、次のような課題があります。
経済産業省の宇宙産業課へのヒアリングでは、次の回答が得られました。
「宇宙ビジネスの中では比較的昔からあり、すでに産業として確立している分野です。現在は安定性を求めるための改善や物理的な障害を起こさない対策などが課題となっています」
衛星製造とは、その名の通り、衛星の開発・製造を担う分野です。
内閣府「宇宙輸送を取り巻く環境認識と将来像」によると、世界の衛星の年間打ち上げ数は10年間(2013年~2022年)で206機から2368機に急増しています。これは、衛星の小型化により低価格化したことに加え、ロケット1機に積載できる数が増えたためです。
衛星の部品やコンポーネントは、精度や消費電力、出力において高品質であることに加え、宇宙空間の過酷な環境(真空や放射線など)に耐えるため、軽量かつ高耐久でなければなりません。そのため、専用に開発された特殊なものが大半でした。しかし、近年の衛星開発では、コストダウンを目的とし、一般的な市販品を利用するケースもあります。

衛星製造の課題には、次のようなものがあります。
経済産業省の宇宙産業課へのヒアリングでは、次の回答が得られました。
「日本の衛星製造は、サプライチェーンが脆弱であることが課題です。これは、『宇宙用製品の製造経験が少ないこと』『コストダウンのための量産体制を構築できていないこと』が原因と考えられます。これを解消するには、衛星データの利用ビジネスが拡大しなければなりませんが、そのためには高性能かつ低価格な衛星を打ち上げることが欠かせません。どこかの分野が大きく成長することを期待するのではなく、全体的な支援が必要になると考えています」
宇宙輸送とは、ロケットの製造・打ち上げサービスの総称です。
世界のロケットの打ち上げ数は、順調に伸びていますが、成長の大部分を占めているのがSpaceX(米国)です。同社はロケットの低価格化で圧倒的な競争力を実現し、“一強”状態にあります。加えて、さらなる低価格化、ひいては競争力向上に向けた開発を進めており、2024年10月にはロケットブースターを再利用するべく、発射台での回収に成功しました。
また、中国も着実に打ち上げ数を増やしており、2018年以降、存在感を増しています。
一方、日本は、ロケットの性能面において世界各国に劣ってはいないものの、製造や発射場が制約となり、打ち上げ数は伸びていません。これに対し、政府は2030年前半までに年30機の打ち上げを目指すとしています。

なお、日本の稼働中のスペースポートは次の4港です。
さらに、大分県国東市「大分空港」と沖縄県宮古島市「下地島空港」が宇宙港としての開港に向けて整備を進めています。
宇宙輸送の課題には、次のようなものがあります。
経済産業省の宇宙産業課へのヒアリングでは、次の回答が得られました。
「課題の内容は衛星製造(第8章)とおおむね同じですが、それに加えて、SpaceXを中心とする海外企業に国内の打ち上げ需要が取り込まれていることが大きな課題です。この課題を解決するため、日米欧の宇宙機関や企業が新型ロケット開発に取り組んでいます。当該企業からは『特定分野での技術を持った企業が不足している』などの声が聞こえてくるので、中小企業の皆様はぜひマッチングイベントや商談会に参加していただきたいです」
宇宙法とは、宇宙活動に関連する法律の総称です。これには「宇宙基本法」「衛星リモセン法」「宇宙活動法」「宇宙資源法」があります。
日本における宇宙開発・利用に関する基本理念や基本的施策などを定めた法律で、2008年8月に施行されました。この法律に基づいて、以降の法律が制定されています。
正式名称は「衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律」で、2017年11月に施行されました。宇宙からの観測情報がテロリストなどに渡れば、安全保障上の脅威となることから、同法では次のことについて定められています。
正式名称は「人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律」で、2018年11月に施行されました。同法では次のことについて定められています。
正式名称は「宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律」で、2021年12月に施行されました。同法では次のことについて定められています。
なお、国際条約の「月その他の天体における国家活動を律する協定(通称「月協定」)」(1984年発効)では、領有の禁止が定められていますが、日本やアメリカ、中国、ロシアは同条約に批准していません。
以上(2025年1月作成)
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