【値上げに成功する交渉術(2)】誰と、いくらの値上げ交渉をするか?

1 誰と、いくらの値上げ交渉をするか?

実際の値上げ交渉では、

その値上げ交渉に失敗したら、大きな損失が出る

といったケースがあり、誰でも緊張します。

どのような交渉も軽んじてはいけませんが、難しさはそれぞれ違います。また、企業間の取引では、交渉相手によって提示する条件も変わります。こうした、ある意味でレベル感がバラバラの値上げ交渉について、組織としての勝率を高めるために経営者がすべきことは、

「誰と、いくらの値上げ交渉をするか?」を明確にすること

です。この絶対的な基準によって交渉担当者は安心と自信を得て、不要な譲歩をすることもなくなるのです。

2 誰と交渉をするか?

1)交渉する相手を決める

早速ですが、交渉相手となり得る先をリストアップしてみましょう。この記事は、値上げ交渉について紹介していますが、仕入れ先との「値下げ交渉」も視野に入れてください。

仮に100件がリストアップされたとします。ここで、「よし! 上から順番に値上げ交渉をしよう」という経営者がいたら、ちょっとお待ちください。このリストで最初に行うべきことは、

交渉しない相手を決めること

だからです。例えば、

  • 交渉決裂の際のリスクがかなり大きい相手
  • 収支は厳しいが、取引することで業界に影響を与えられる相手

などとは、あえて交渉しなくても問題ありません。一斉値上げなどをせず、他との取引条件を知られることなく、しかるべき相手と値上げ交渉をすればよいのです。

2)交渉する順番を決める

値上げ交渉をする相手を決めた後は、交渉する順番を決めます。値上げ交渉に限らず、交渉は情報が多く経験が豊富なほど有利になりますから、

簡単な先から交渉をして相手の出方や感触を確かめ、そこで学んだことを次の交渉に活かしていくことの繰り返し

が基本になります。

値上げ交渉の難易度を整理する参考として、縦軸を「交渉への依存度」、横軸を「交渉の論点(価格以外の納期や品質などの交渉余地)」とするポジションマップを紹介します。交渉への依存度とは、「その交渉に必ず勝たなければならない」といったように、文字通り、依存度が高い交渉を指します。

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上段は依存度が高く、難しい交渉になりそうですから、最初は下段にある決裂しても仕方がないと判断した相手から、値上げ交渉を始めるとよいでしょう。

左右の「論点が多いか少ないか」は状況次第で有利、不利が変わりますが、交渉担当者には、それぞれ次のような性質が求められます。

  • 論点が多い:相手のことをよく知っており、的確な状況判断ができる
  • 論点が少ない:タフな場面でも感情的にならず、突破することができる

3 いくらの値上げ交渉をするか?

1)相手によって条件を変える

値上げ交渉をする相手を決めたら、相手ごとに、

  • 値上げ額
  • 留保価値(それを下回ったら交渉を打ち切る水準)

を設定します。値上げ額と留保価値は同じ場合もありますし、次のように違う場合もあります。

できれば100万円の値上げをしたいが(値上げ額)、80万円までなら譲歩できる。ただし、80万円を下回るのはあり得ない(留保価値)

最もシンプルな考え方は、

値上げ額=仕入れ額の増加分以上

とすることです。仕入れ額が80万円増加したら、販売価格も80万円上げればよいですし、これまで無理してきた分も取り返したければ、100万円の値上げをするということです。現実には、

  • 取引の規模(自社の収益に与えるインパクト)
  • その相手と取引に至った背景や取引年数
  • その相手と取引することによる宣伝効果

といった事情も考慮することになりますから、

  • 販売先であるA社とは、100万円の値上げ交渉
  • 販売先であるB社とは、60万円の値上げ交渉
  • 販売先であるC社とは、値上げをしない代わりに、取引量の増加交渉

といったように対応が分かれていくでしょう。もちろん、

仕入先であるD社とは、10%の値下げ交渉

といったように、仕入れ額の減額交渉も行います。結果として、自社の取引全体から適正な収益が生まれればよいわけです。

2)変動損益分岐点を用いた値上げ額の設定

具体的な値上げ額を決める際に使うのが「損益分岐点」です。詳細は割愛しますが、損益分岐点は固定費と限界利益が同じになる水準です。限界利益は「売上高-変動費」で求められ、売上高に占める限界利益の割合を限界利益率と呼びます。

損益分岐点は、

固定費÷限界利益率(売上高に占める限界利益の割合)

で出します。目標利益がある場合は、固定費に目標利益を足して計算します。例えば、固定費が400万円、営業利益が100万円の取引で、限界利益率が50%から40%に下がった場合、損益分岐点売上高は次のように変化します。

  • 限界利益率が50%の場合:(400万円+100万円)÷0.5=1000万円
  • 限界利益率が40%の場合:(400万円+100万円)÷0.4=1250万円

今の仕入れ額を受け入れつつ、同じ営業利益を確保したければ25%の値上げが必要になります。こうした計算をするには、自社の収益構造を正しく把握する必要があるので、「変動損益計算書」を作成してみるとよいでしょう。変動損益計算書とは、

費用を変動費と固定費に分けて作成する損益計算書

であり、財務会計上の損益計算書とは次のように違います。

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変動損益計算書を見ると、企業全体と取引先ごとの収益構造が把握しやすくなります。もとの状態からの変化を、

  • 変動費(仕入れ)の上昇で赤字転落
  • 値上げによって利益を確保
  • 変動費(仕入れ)削減で赤字を回避
  • 固定費の削減で赤字を回避

の例を示すと、次のようになります。

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仮に、企業全体で10%の値上げを目標とするなら、

  • 大手取引先と交渉して、1社で10%分を値上げする
  • 小口取引先と交渉して、10社で10%分を値上げする

といった方法があります。変動損益計算書で収益構造を把握しつつ、交渉条件の方針を決めましょう。

4 現場に情報を伝える

方針が決まったら、現場の社員に伝えます。値上げをする企業が増える中で、現場の社員が、取引先の担当者から、

「御社との取引価格は今のままで大丈夫ですよね? 上司から確認するように指示されていまして……」

などと確認を受けることもあるでしょう。そうしたときに、

  • 申し訳ありませんが、変更したいと考えています。上司より改めて取引条件についてご相談させていただく予定です
  • はい、大丈夫です。御社との取引条件は当面、今のままで変わりません

などと明確に答えられるようにしてあげることで、現場の社員と取引先とのコミュニケーションが図れるようになります。

以上(2025年2月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

慣れていない人も「プレゼンの達人」に近づける4つのポイント

1 「プレゼンの達人」は「ビジネスの達人」

プレゼンテーション(以下「プレゼン」)はビジネスシーンに欠かせないものです。また、正式な「プレゼン」の場でなくとも、オンライン会議やあいさつの際に、ちょっとした説明でプレゼン能力が求められることもあります。

どんな良い商品・サービスも、それが相手に伝わらなければビジネスにはなりませんから、そうした意味では、「プレゼンの達人」は「ビジネスの達人」ともいえるでしょう。

この記事では、慣れていない人もプレゼンの達人に近づける「プレゼンのコツ」として、次の4つのポイントを紹介します。

  1. ストーリー:プレゼン全体の流れを整理する
  2. 話す順番(構成):3つの構成(SDS、PREP、提核背補)をマスターする
  3. 振る舞い方:聞き手に好印象を与える
  4. 場作り:聞き手を巻き込む

2 (ポイント1)ストーリー~プレゼン全体の流れを整理する

ストーリーとは、いわばプレゼン全体の「流れ」のことです。「伝えたいこと」を明確にし、それを軸にして流れを整理しておくことで、限られた時間内でも効果的に自社商品・サービスの魅力を伝えることができます。

次の順番で少しずつストーリーをブラッシュアップしていくと、整理がしやすくなります。

  1. 頭の中でストーリーを整理
  2. 紙に簡単に流れを書いてみる
  3. 声に出して説明してみる
  4. 支離滅裂なところや、強引な展開のところを修正する
  5. 「1~4」を繰り返す

ストーリーを整理するときのポイントは、次の通りです。

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このようなポイントを押さえてストーリーを作ると、伝えたいことを効果的かつ自然な流れで伝えられるプレゼンになります。

また、パワーポイントなどでスライドを作成してからプレゼンに臨む人も多いでしょう。慣れていない人はスライドに余白があることを恐れ、たくさんの情報を盛り込もうとしますが、これは間違いです。余白を恐れず、

「1枚のスライドに、伝えたいことは1つ」

を意識しましょう。スライドの中央にメッセージが1つだけだと、作り手としては「情報量が少ないかも……」と不安になってしまいそうですが、聞き手はむしろ「大切なポイントなのだな」と認識します。

3 (ポイント2)話す順番(構成)~3つの構成をマスターする

ここでは、プレゼンをするにあたり、聞き手に「効果的に伝える」ことができる3つの構成(SDS、PREP、提核背補)について紹介します。

1)SDS

SDSは、

1.Summary(全体要約)→ 2.Details(詳細説明)→ 3.Summary(全体要約)

の流れでプレゼンを進める構成です。比較的短い時間内でのプレゼンに向いており、

要約をプレゼンの始めと終わりに置くことで、効果的に要点を伝える

ことができます。

また、「キラーフレーズ(相手に決断を促す決まり文句)」を用意しておくと、プレゼンを終える際、強い印象を与えることができます。

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2)PREP

PREPは、

1.Point(要点) → 2.Reason(理由) → 3.Example(具体例) → 4.Point(要点)

の流れでプレゼンを進める構成です。要点(最も伝えたいこと)をプレゼンの始めと終わりに伝えるのはSDSと似ていますが、加えて

「3.Example(具体例)」を織り込むことで、聞き手の共感を得て、プレゼン内容を「自分ごと」として捉えてもらいやすくなる

という特徴があります。

とにかく簡潔にまとめるSDSとは対照的に、話の内容で共感を得ることがPREPの狙いの1つ。時間を比較的長く使えるときなどに使用すると、聞き手を引き付けやすくなります。

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3)提核背補(てい・かく・はい・ほ)とは

提核背補は、

1.提案 → 2.核心 → 3.背景 → 4.補足

の流れでプレゼンを進める構成です。商談中に突然、「軽くサービスを説明してもらえますか?」と求められた際に、この「提核背補」を頭に入れてから臨むと、限られた時間の中でも相手を飽きさせずにプレゼンを行うことができます。具体的には、次のように内容を組み立てます。

  1. 提案:なぜ、相手があなたのプレゼンを聞いたほうがいいのかを明確に提案
  2. 核心:提案の核心として、最も大きいメリットやデメリットを説明
  3. 背景:提案をした社会的な背景を説明
  4. 補足:補足があれば説明。ないようであれば、「3.背景」で終わりでよい

提核背補は、話すときはもちろんですが、資料を作る際の構成としても活用できます。

4 (ポイント3)振る舞い方~聞き手に好印象を与える

ここでは、構成以外にプレゼンを成功させるためのコツをいくつか紹介します。

1)身ぶり手ぶりはオーバー気味に

話し手が聞き手に与える印象も、プレゼンの結果に大きく影響します。印象は、態度・身ぶり・手ぶり・姿勢・外見・表情・視線・声・服装などから判断されるため、特に次の点に注意しましょう。

  • 熱意ある態度で接する
  • ジェスチャーを効果的に使う
  • 背筋を真っすぐに伸ばす
  • 話の内容に表情を合わせる
  • 話し掛けるほうへ顔を向ける
  • 全員に目配りをし、特定の人ばかりに集中しない
  • 大きな声でゆっくりと話す

2)聞き手に好印象を与える「Z法」

数人相手のプレゼンであれば、日常的にこなしている方も多いでしょうが、例えばセミナーなどを開く場合、数十人単位の前でプレゼンする機会が設けられることもあります。

そんなとき、聞き手に好印象を与えることができるとされているのが「Z法」です。米国の大統領など、何千・何万人単位の前で話す人が取ることもある手法で、

視線と体の向きを会場の後方左側から、アルファベットのZを描くようにゆっくりと動かす

ことです。こうすると、聞き手は話し手のことを「全体を見ている人」「余裕がある人」と見てくれます。

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ただし、やりすぎは厳禁。意識をしすぎると、かえって「落ち着きのない人」という印象を与えかねないので、注意してください。

3)自分の言葉で自然に話すのが吉

原稿を準備するのは大切ですが、それを読むだけでは「魅力的なプレゼン」とは言えません。重要なポイントをしっかりと覚え、それ以外はアドリブでも話せるように、内容をかみ砕き、頭の中に落とし込んでおきましょう。

わざとらしくない自然体のプレゼンは好印象を与えますし、プレゼン中の不測の事態にも焦らず対応できる

ようになります。

また、「専門用語を多用せず、分かりやすい言葉を選ぶ」「自分自身が経験していることを話す」といった点を押さえて話すことで、話す内容により「手触り感」が出て、関心を持ってもらいやすくなります。

5 (ポイント4)場作り~聞き手を巻き込む

プレゼンでは、「場作り」も重要です。「場作り」とは、聞き手をプレゼンに引き込み、発言しやすい和やかな雰囲気を作ること。コツはいくつかありますが、代表的な方法は、

聞き手に質問するなどして、プレゼンに巻き込むこと

です。聞き手を「聞くだけの存在」にしてしまうと、ほとんどリアクションがなくなってしまいます。そこで、聞き手を「聞くだけではなく、答える存在」にします。プレゼンを真剣に聞いてもらうには、聞き手に当事者意識を持たせ、話し手と聞き手が相互参加できるプレゼンにすることが重要です。

また、聞き手を引き込むために、プレゼンの際、

話し手と聞き手で共通のフレーズがあると便利

です。例えば、話し手が冒頭で「りんごを包丁1本で、どうやって均等に切り分けるか?」という話をしたとしましょう。冒頭だけで終わりではなく、プレゼンの途中に「りんご」に関するネタをいくつか仕込んでおきます。「りんご」というキーワードが出てきたら、自然と聞き手の意識がプレゼンへ向き、聞きやすく、自分の頭で理解しやすいプレゼンになるでしょう。

6 (おまけ)リモートでプレゼンをする際の注意点

リモートでのプレゼンは、相手が目の前にいないため相手の反応が分かりにくいのが、対面のプレゼンとの大きな違いです。相手の反応をつかめないままプレゼンを進めると、聞き手が置いてきぼりになってしまう恐れがあります。

こうしたリスクを避けるためには、聞き手に対してこまめに質問の有無を確認し、プレゼン中にも気軽に質問できるようにチャットでの質疑応答に対応することなどが効果的です。

また、プレゼン資料も、リモートの利点を活かし、イラストや図表、場合によっては説明動画などを追加し、聞き手の注意を引きつけることも重要になるでしょう。

以上(2025年2月更新)

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画像:LadadikArt-Adobe Stock

【業務効率化】PERT図を作成してプロジェクトの状況を「見える化」しよう

1 PERTを使えばプロジェクトの滞留を予防できます!

突然ですが、皆さんの会社のプロジェクトで次のような状態になった経験はありませんか?

  • 多くの工程は順調なのに、特定の工程がネックになって滞ってしまった
  • 作業を均等に分担したはずなのに、ある担当者だけはいつも暇そうだ
  • プロジェクトが進んでいないが、どこで止まっているのか分からない

こうした経験のある方にご紹介したいのが、

PERT(Program Evaluation and Review Technique)

です。PERTとは、

1つ1つの作業工程を「前の工程が終わらないと次の工程が始められない」という依存関係に従って矢印でつないでいき、それぞれの工程に所要時間を記入していく手法

です。PERTを進めるための「PERT図」を作成することで、

  • 各工程にどのくらいの時間が必要なのか
  • 各工程がどのような関係にあるのか
  • どのような順序で進めればよいのか

といったことが「見える化」できます。この記事では、PERT図の作成方法と具体的な使い方を解説します。

2 PERT図の作成方法

1)必要な作業を洗い出し、所要時間を算出する

例えば、あるプロジェクトで必要な作業がA~Gに分けられるとします。各作業の前後関係を明らかにし、それぞれの所要時間を「日」単位で算出してみると、次のようにまとめられます。

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まず、次の3種類の時間を見積もります。

  • 楽観的推定時間(a):作業が何の問題もなく順調に進んだ場合の時間
  • 推定所要時間(b):同様の作業の実績などから妥当だと見積もられる時間
  • 悲観的推定時間(c):問題が発生したため想定以上にかかる時間

推定所要時間で作業が完了する確率が最も高いという前提で、それぞれに重み付けをして平均値を算出します。重みは、推定所要時間が4、楽観的推定時間と悲観的推定時間はそれぞれ1とし、以下の式で所要時間を算出します。

  • 所要時間=(a+4×b+c)/6

2)各作業の関係を矢印で結ぶ

PERTでは各作業の関係を「○」と「→」で示します。これをアローダイヤグラムといいます。

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「○」は「ノード」と呼ばれ、各作業の始まりと終わりを表します。「→」は、それぞれの「作業」を表します。PERTでは「作業」のことを「アクティビティ」といいますが、この記事では説明を分かりやすくするために「作業」と表記します。また、「作業A」などの作業名の下には、各作業にかかる所要時間(ここでは「日」単位)を記載します。なお、ノードに振られた番号は以降の説明のために付与したもので、それ自体に意味はありません。

アローダイヤグラムは、プロジェクトの全体像と各作業間の関係を表しています。例えば、「作業C」を始めるためには、その前工程である「作業A」を終了させなければなりません。また、「作業A→C→E」と「作業B→D→F」は、独立した一連の作業なので並行して進められますが、両方が終わらないと「作業G」は始められません。

3 PERTを機能させる3つのポイント

1)最早結合点時刻:全作業の所要時間を把握する

最早結合点時刻とは、当該ノードの次の作業を開始するために最低限必要となる時間です。例えば、ノード4の最早結合点時刻は6日です(作業Aの3日と作業Cの3日の合計)。また、ノード6の最早結合点時刻は9日です。ノード6にたどり着くには、「作業A→C→E」の9日と、「作業B→D→F」の7日が必要ですが、時間の多くかかる9日が最早結合点時刻となります。この考え方に基づき、最早結合点時刻を網かけで示すと次のようになります。

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なお、下段には最遅結合点時刻が入ります。まだ算出していないので、便宜上「x」としていますが、始点(ノード1)と終点(ノード7)は、最早結合点時刻と同じになります。

2)最遅結合点時刻:各作業のデッドラインを把握する

最遅結合点時刻とは、以降の作業が遅れないようにするために当該ノードに到達しなければならない最も遅い時刻です。いわゆる「デッドライン」です。最遅結合点時刻は、次のノードの最遅結合点時刻から、それらのノードをつなぐ作業の所要時間を差し引いて算出します。

ノード6の場合、次のノード7の最遅結合点時刻は13日なので、作業Gの所要時間4日を差し引いた9日(13日-4日)が最遅結合点時刻です。この考え方に基づき、最遅結合点時刻を網かけで示すと次のようになります。

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なお、通常は、始点と終点の最遅結合点時刻は最早結合点時刻と同じにしますが、プロジェクトの締め切りを終点の最遅結合点時刻として設定し、そこから各ノードの最遅結合点時刻を算出していくこともできます。

3)クリティカルパス:要注意の作業を把握する

図表4の「最遅結合点時刻の算出」を見ると、「作業A→C→E→G」の最早結合点時刻と最遅結合点時刻が同じです。つまり、スケジュールに余裕がないということです。このように、プロジェクト全体のスケジュールに影響を及ぼす経路を「クリティカルパス」といい、スケジュール管理に当たって最も注意しなければなりません。クリティカルパスは、太い矢印で分かりやすく示します。

なお、「作業B→D→F→G」については、最早結合点時刻と最遅結合点時刻に2日の差があります。これは、2日の余裕があることを意味します。つまり、クリティカルパスではありません。

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4 とにかく「クリティカルパス」をケアする

ここでは前章までに例として挙げたプロジェクトを題材に、PERTを利用して、プロジェクト全体の効率化を図るための考え方を紹介します。プロジェクトで発生する作業および作業のアローダイヤグラムは次の通りです。

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作業Dの所要時間が5日と最も長いので、ここに資源を集中して短縮しようと考えるかもしれません。しかし、「作業B→D→F」が早く完了しても、クリティカルパスである「作業A→C→E」が完了しなければ作業Gには進めません。むしろ、作業Dを短縮したことで待ち時間が延びます。そうではなく、クリティカルパス上の作業の短縮が必要です。

その際、クリティカルパスの変化に注意しましょう。資源を集中し、「作業A→C」を計3日で完了できるようにした場合、作業Eの3日を加えても「作業A→C→E」の所要時間は6日となり、「作業B→D→F」の所要時間である7日を下回ります。この時点で、クリティカルパスは「作業B→D→F→G」に変わりました。しかし、これに気付かずに、作業Eにさらに資源を投入して所要時間の短縮を図っても、プロジェクト全体の効率化にはつながりません。

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5 小規模なプロジェクトでは逆に非効率

PERTではアローダイヤグラムを作成しますが、そのためには作業の細分化、作業順序の特定、所要時間の見積もりなどの準備が必要です。これらの準備は大変ですが、手を抜くと「想定とクリティカルパスが違う」などの問題が生じます。作業数が少ない小規模なプロジェクトならアローダイヤグラムは簡単に作成できますが、そもそもPERTを利用するまでもなく進められるので、無理にPERTを利用するのは非効率です。

以上(2025年1月更新)

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画像:ribkhan-Adobe Stock

【中堅社員のスピーチ例】自分の立場を忘れてみよう

【ポイント】

  • お客さま対応では、「自分の立場を一旦忘れてみること」が大切
  • こちらの都合を通すことばかり考えると、相手の話を真摯に聞くことができなくなる
  • 常識の違いが当然だと思えれば、お客さま対応の際にも心の余裕が生まれる

おはようございます。突然ですが、皆さんにはお客さまと接する際、何か心掛けていることはありますか? ちなみに私が心掛けているのは、「相手の立場に立つこと」です。もっと言うと、相手の立場に立つ際に、「自分の立場を一旦忘れてみること」を意識しています。

これは、私の前職での経験談です。通販サイトに商品を出品するお客さまから、電話でクレームをいただいたことがありました。内容は「通販サイトには、自分が出品したい商品に合致するカテゴリーがない。カテゴリーの種類を見直してほしい」というものでした。

私は、「カテゴリーの種類は、他のお客さまの使い勝手も考慮して設定したもので、簡単には変えられない」と説明しました。しかし、相手はなかなか納得せず、私は次第に「たかがカテゴリーぐらいで……」と腹が立ってきました。私のイライラが態度にも出ていたのでしょう。見かねた当時の上司が、途中から電話を代わってくれましたが、対応が一段落した後で、私は上司に叱られました。

上司は私にこう言いました。「電話のとき、『たかがカテゴリーぐらいで……』と思っていただろう。君にとってはそうでも、お客さまは違う。自分のことばかり考えているから、あんなふうにイライラするんだよ」と。上司はさらに、お客さまが今回出品しようとしていた商品は、かなり長い時間をかけて作られたもので、お客さまは商品に強い誇りを持っていたということも話してくれました。

私は反省しました。電話を取ったタイミングでは「お客さまの話を真摯に聞こう」と思っていたのに、「カテゴリーは簡単に変えられない」というこちらの都合を分かってもらえないだけで、相手を「面倒くさい客」と決めつけ、話を聞こうとしていなかったのです。だから、この件以降、私は相手の話を聞く際、自分の立場のことは一旦忘れ、全て聞いてから結論を出すようにしているのです。

お客さまはこの業界のプロではありません。こちらの常識が通用しなくて当たり前です。こちらにとっては「つまらないこと」も、相手にとっては「重要なこと」なのです。それが当然だと思えれば、「まずは相手の思いを受け止めよう。対応するのはその後でも遅くはない」という、心の余裕が生まれます。私個人の経験則ですが、皆さんの参考になれば幸いです。

以上(2025年2月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

4月16日(水)/ 17日(木)若手社員向けオンライン研修開催のお知らせ

平素より格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
とくぎんサクセスクラブでは、4月16日(水)・17日(木)に、若手社員向けのオンライン研修を開催いたします。
今回は、印象マネジメントやビジネスマナーなどの専門家・株式会社STYLEC代表 八木 理恵氏をお招きし、社会人として必要な心構えや必須ビジネスマナーなどを講義していただきます。

【開催概要】

  • 開催日:令和7年4月16日(水)/4月17日(木)
  • 時間:10:00~17:00(WEB開場9:45)
  • 形式:Zoomによるオンラインセミナー
  • 参加費:無料
  • 定員:各日程20名
  • ※定員になり次第、締切とさせていただきます。
  • ※両日ともに同じ内容です。
  • ※途中、適宜休憩を含みます。

セミナー詳細のご確認、またお申し込みは、以下のページにてお願いいたします。

16日(水)のお申し込みはこちら!

17日(木)のお申し込みはこちら!

新入社員をはじめとする若手社員の方々に向け、基本のビジネスマナーを学ぶことを目的とした研修です。若手の育成に力を入れたい企業さまの社員研修として、是非ご活用ください。

【値上げに成功する交渉術(1)】交渉の本質を知り、交渉に対する恐れをなくす

1 値上げせずに耐え続けられますか?

「値上げ」ラッシュです。企業間で取引される燃料などの価格を示す「企業物価指数」を見ると、物価高騰が一目瞭然です。

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国際情勢などを鑑みれば物価高騰は長期化する見通しで、じっとして耐えしのぐのは難しそうです。実際、2024年のいわゆる「物価高倒産」は11月までの累計で過去最多の877件となり、今後さらに増える見込みです(帝国データバンク「倒産集計」)。

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今こそ本気で「値上げ」対策を講じなければ、厳しい状況に追い込まれるかもしれません。具体的な対策は、

  • 自社も「値上げ」をして仕入れ費の増加分を吸収する
  • 「コスト削減」をして仕入れ費の増加分を吸収する

となりますが、コスト削減は既に絞れるだけ絞っている状況と思われるため、これからは、

取引相手ときちんと【交渉】して値上げをする

必要があるでしょう。そこで、このシリーズでは、企業間取引を想定した値上げ交渉で勝つための交渉術をご紹介します。

2 交渉に対する考え方をバージョンアップ

値上げ交渉を成功させるために、まず交渉そのものに対する理解を深めましょう。奇妙に聞こえるかもしれませんが、交渉の一番の問題は、「交渉にならない」ことです。交渉に慣れていない人は、自分の要求を、自分が話しやすい順番で一方的に伝え、

  • たまたま相手が受け入れてくれたら交渉成立
  • 相手が受け入れてくれなければ交渉不成立

と判断します。将棋の初心者は、飛車や角をやたらと動かすだけで局面をつくれませんが、交渉もまさにこれと同じ状況になります。

そこで、まずは交渉に対する考え方をバージョンアップしましょう。皆さんが次の姉妹の立場だったら、どのように交渉を進めますか?

1つのオレンジを取り合っている姉妹がいます。姉も妹も、「自分がオレンジを丸ごともらう!」と言って一歩も譲りません。姉妹がけんかせずにオレンジを分け合うには、どうしたらよいでしょうか?

皆さんが考えたのは、

  • 姉:私がお姉さんなのだから80%は欲しいところだけど、70%で我慢してあげる
  • 妹:お母さんに「お姉ちゃんがいじめる」と言いつけるよ。嫌なら80%をちょうだい

といったものかもしれません。しかし、これでは相手を脅しながら一方的に自分の都合を押し付けているだけです。80%や70%という数字に根拠はないでしょうし、そもそも姉妹がオレンジを80%と20%に完璧に分けることもできません。

では、以下の「交渉の定義」を読んでみてください。いずれも、良書からの引用です。

  • いかにして「複数の利害関係者が寄り沿い、『イエス』にたどり着くか = 全体としてベストな結論を導き出すか」という「合意形成のための説得術」(*)
  • 相手にとって悪くなく、自分にとって願ってもないほどの交渉結果を引き出す(**)

この定義を読むと、交渉に対するイメージが少し変わってきませんか。少なくとも、相手と話し合いをする必要性があることに気付いたと思います。こうした、

「一方的な要求」から「話し合って合意点を探る」になる変化

は、交渉術の進化と同じです。次章で説明します。

3 ゼロサム型からプラスサム型へ。そして自分が得をする

交渉にはゼロサム型とプラスサム型の2種類があります。

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先に紹介した姉妹の物言いはゼロサム型の交渉の典型です。一方が得をすれば、もう一方は損をするという「Win-Lose」になります。

これを否定したのが、いわゆる「ハーバード流交渉術」です。先に紹介した交渉の定義は、ハーバード流交渉術を取り上げた書籍からの引用です。ハーバード流交渉術が目指すのはプラスサム型の交渉であり、双方が得をするので「Win-Win」と呼びます。今やWin-Winは一般的なビジネス用語で、双方にとって良い結果をもたらそうとするときに使いますよね。

ただ、ハーバード流交渉術には懸念もあります。Win-Winを目指すには互いが腹の中を見せ合う必要がありますが、

  • 自分は交渉相手に手の内(腹の中)を全部見せて大丈夫なのか?
  • 相手が言っていることは真実なのか(こちらをだまそうとしていないか)?
  • 自分のほうがパイを広げるためによく貢献したから、多くの取り分をもらうべきだ!

と考えてしまうわけです。NDA(秘密保持契約)を交わしても、相手への懐疑心を完全に払拭できないため、「Win-Winなんて奇麗事では?」という考えが根強くあります。そうした中で示されたのが、

相手にとって悪くなく、自分にとって願ってもないほどの交渉結果を引き出す

という考え方であり、損得の度合いに差をつけたWin-Winを目指すわけです。つまり、

自分のほうが相手よりも大きな得をしたり、小さな損をしたりすることが交渉の一つのゴール

として示されたわけです。これであれば納得感がありますよね。

4 視野を広げて、値上げ交渉に強い組織になる

交渉の当事者に合意の意思があれば、交渉余地はあります。値上げ交渉も例外ではありません。しかし、交渉に慣れていない人は、

相手が値上げを受け入れるはずがない。だって、相手にメリットはないのだから

と、最初から諦めムードです。こうした人は値上げ交渉に恐怖心を抱いていますし、一方的に値上げをお願いすることしかイメージできていないからです。

まず認識しておきたいのは、相手も値上げ交渉を恐れているということです。もしかしたら、

値上げを受け入れないと取引を打ち切られるかもしれない。いくらまで値上げを受け入れるか社内で相談しよう

と考えている可能性もあります。

また、値上げ交渉の論点は「お金」だけではありません。具体的には、

  • 取引規模:取引規模を拡大、あるいは縮小する
  • 取引期間:契約期間をこちらが有利に設定する、あるいは契約継続の条件を提示する
  • 納期:納期を延ばす
  • 品質:品質を落とす
  • プロモーション:取引拡大のため、共同でプロモーションをする

などがあります。

相手がどの論点に興味を示すかは、相手と状況次第です。交渉の相手は、テーブルの向こうに座っている人だけではなく、実に多くの人が関係しています。また、相手の経営環境によっても状況は大きく変わります。一例として交渉関係者を整理すると次のようになります。恐れることなく、幅広い相手から情報を収集することが大事です。

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また、誰と話をする場合も同じですが、特に社外の人と話をする際に肝に銘じておくべきことは、

自分と相手とでは、価値観や規範が全く違う

ということです。こちらの常識は相手の非常識になることもあり、逆の場合もしかりです。このことを念頭に置いて丁寧に話を進めることが前提です。

5 (補足)オレンジの交渉の結果

この記事で紹介した姉妹の話は「オレンジの交渉」と呼ばれる有名なケースです。インターネットで検索すれば「オチ」が分かりますが、ここでオチの一例を紹介します(検索結果などによってオチが違います)。

結局、姉妹はオレンジを2等分しました。一件落着のように見えますが、直後の行動は意外なものでした。

姉は、オレンジの皮を捨て、果肉でジュースを作りました。姉は喉が渇いていたのです。

一方の妹は果肉を捨て、皮でオレンジピールを作りました。妹はケーキを作りたかったのです。

いかがでしょう。「こんなオチなんてずるい」と思われたかもしれませんが、リアルの交渉でも、このように双方の思惑が全く食い違っていることはよくありますよね。

【参考文献】

(*)「ハーバード流交渉術 必ず『望む結果』を引き出せる!」(ロジャー・フィッシャー(著) ウィリアム・ユーリー(著) 岩瀬大輔(翻訳)、三笠書房、2011年12月)

(**)「ハーバード×MIT流 世界最強の交渉術—信頼関係を壊さずに最大の成果を得る6原則」(ローレンス・サスキンド(著) 有賀裕子(翻訳)、ダイヤモンド社、2015年1月)

以上(2025年2月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

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