中小企業等を支援する国や自治体の補助金・助成金事業では、雇用・人材開発・IT補助・コロナ支援など幅広いジャンルの支援があります。本レポートでは、おすすめの補助金・助成金について支援の内容や対象条件、申請方法等についてわかりやすく紹介します。
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中小企業等を支援する国や自治体の補助金・助成金事業では、雇用・人材開発・IT補助・コロナ支援など幅広いジャンルの支援があります。本レポートでは、おすすめの補助金・助成金について支援の内容や対象条件、申請方法等についてわかりやすく紹介します。
従業員向けの退職金について、初めて導入する際の手順、退職金規程の作成ポイントについて解説します。また、現在の退職金制度を見直す場合の注意点もお伝えします。
男性用化粧品(以下「メンズコスメ」)の需要が急増していることをご存知でしょうか? メンズコスメは、肌や髪の毛に関する男性ならではの悩み(女性よりも肌に厚みがあり、油分が多い、水分が少なく乾燥しやすい)を解決するために作られた商品で、次のようなものがあります。
富士経済のプレスリリースによると、メンズコスメの市場規模は2015年の1099億円から拡大傾向にあり、2023年は1622億円まで拡大すると予測されています。こうした市場拡大の背景には次のようなものがあるようです。
こうした中、女性用化粧品を販売する大手企業がメンズコスメのブランドを新たに立ち上げて販売を始めたり、男性タレントを宣伝に起用して、元々は女性用化粧品として販売していた商品を、男女問わず使える商品としてアピールしたりするようになってきています。
化粧品は大手企業が市場をけん引しており、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下「薬機法」)の規制から新規参入が難しいとされていますが、昨今では、異業種でもOEM生産(メーカーが自社ではないブランドの製品を製造すること)を活用して新規参入する動きもあります。
この記事では、メンズコスメ市場への新規参入を図る企業の事例と、参入に当たって注意が必要な規制などを紹介します。新事業の立ち上げ、業態転換を検討する際のヒントとしてご活用ください。
新規参入を検討する場合は、自社開発にこだわらず、化粧品製造のノウハウを持つ企業との共同開発や、OEM生産も視野に入れてみましょう。
ここで紹介する事例は、「同業・類似業種からの参入/異業種からの参入」と、「他社との協業で参入/自社開発で参入」の2軸で、次のポジショニングマップのようにまとめることができます。
恋活・婚活専門のプロフィール写真撮影や男性向けの結婚相談所などを手掛ける同社では、メンズコスメブランド「MULC(ムルク)」を立ち上げ、フェイスパウダーやアイブロウペンシル(眉毛の形を整えるための化粧品)などの化粧品を販売しています。
写真撮影サービスの利用者から、「コンプレックスを解消たい」「見た目の印象をより良くしたい」など、メイクへの関心の高さが見られたことがブランド立ち上げのきっかけだったといいます。
販売している化粧品は、パッケージのデザインがシンプルで持ち歩きがしやすくなっています。また、例えば、アイブロウペンシルでは、女性用の商品よりも固めの芯を使うことで男性の強い筆圧でも折れにくいように配慮されています。
高砂酒造は、美容室の経営や化粧品の製造販売を手掛けるMARVELOUS(北海道旭川市)と製紙業の日本製紙(東京都千代田区)と共同で「酒ハンドバーム 国士無双」を製造・販売しています。
高砂酒造の清酒「国士無双」、MARVELOUSの化粧品製造ノウハウ、日本製紙のセルロースナノファイバー「セレンピアR」のコラボレーションによって製造された商品です。特に、「セレンピアR」の持つ「しっとり潤うのに、ベタつかない」特性がポイントとなっており、ハンドバームによるベタつきが気になる男性にとっても使いやすいとしています。
熊本県で調剤薬局やドラッグストアを運営する下川薬局(熊本県熊本市)のグループ会社となる日本ファーマでは、スキンケアブランド「MONONOFU」を立ち上げ、ECサイトで化粧水を販売しています。製造は、化粧品OEMを手掛けるホウリン(福岡県筑前町)、販売を日本ファーマが担っています。
洗顔後に顔になじませることで保湿や肌の引き締めなどのケアができる商品で、添加物をそぎ落とすことで肌が弱い人でも安心して使うことができるとしています。もともとは男性の毛穴対策にアプローチして開発されたものでしたが、現在は夫婦や家族での利用としても販売されています。
化粧品、医薬部外品、健康食品のOEM生産を手掛ける同社では、「メンズコスメシリーズ」として、洗顔料や化粧水といったスキンケアからベースメイク商品に至るまで15品目を取りそろえ、メンズコスメの商品化を拡充しています。ジェンダーレス志向に鑑み、「パートナーとの化粧品の共有」や「女性向け化粧品を使っている男性への訴求」も想定して商品ラインナップを取りそろえていることが特徴です。
同社ウェブサイトによると、ヘアサロン、エステサロン、アパレルメーカーや食品メーカーなど化粧品会社以外からも商品化の相談があるといいます。また、商品化の打ち合わせ後、試作品完成までの納期は最短で3週間程度となっています。
化粧品、健康食品のOEM、ODM(自社ではないブランドの製品をメーカーが開発段階から協業して生産すること)生産を手掛ける同社では、化粧水・美容液などの基本的なスキンケア用品は100個の小ロットでの作成が可能です。
メンズコスメの商品化実績として、プロサッカー選手の川瀬浩太氏と提携して立ち上げたスキンケアブランドの「QTOC(キュートック)」があります。同ブランドでは、普段使いに限らず、スポーツやレジャーで日光に当たった後の肌の保湿も考慮して商品開発がされていることが特徴です。商品はスキンケアローションとリッチクリーム(ローションを塗った後の保湿用クリーム)の2種類をAmazonで販売しています。
同社ウェブサイトによると、試作品の納期は10~14日間、費用は化粧品を100個作成する場合で15万~30万円となっています。
化粧品の製造・販売には、薬機法をはじめとした許可・規制に注意が必要です。
化粧品を製造するための許可です。製造にかかる全工程を許可する一般区分と、包装・表示・保管のみを許可する包装・表示・保管区分の2種類に分かれています。自社では製造のみを行い、販売を他社が行う場合に必要なものです。包装・表示・保管区分は、輸入化粧品に日本語でラベルを付けるといった場合に必要になります。
化粧品を販売するための許可です。他社に委託して製造した化粧品を自社商品として販売するために必要です。
自社で化粧品を製造し、自社商品として化粧品を販売する場合には化粧品製造業許可(一般区分)と化粧品製造販売業許可の両方の取得が必要になります。
また、他社に委託して製造した化粧品に新たにラベルを付けるなどの包装を行う場合は、化粧品製造業許可(包装・表示・保管区分)の取得が必要です。
化粧品に使用できない成分については、厚生労働省「化粧品基準」(平成12年9月29日厚生省告示第331号)で示されています。また、配合量の制限がある成分もありますので、自社生産を検討する際には、あらかじめ確認が必要です。
薬機法では、化粧品の名称、製造方法、効能、効果または性能に関して、明示的、暗示的を問わずに、虚偽または誇大な記事を広告、記述、流布してはならないとしています。併せて、医師、歯科医師、薬剤師、美容師、理容師が効能、効果を保証したと消費者が誤解する恐れがある広告を出すことも規制しています。
また、日本化粧品工業会が発行している「化粧品等の適正広告ガイドライン」では、化粧品の効能または効果の範囲と、避けるべき表現の具体例が示されています。
ここでは、リクルート ホットペッパービューティーアカデミーの「美容センサス データブック」から、「アイテム別メンズコスメの購入率」と「マスクを外したときに力を入れたい場所」を紹介します。
洗顔料の購入率が最も高く、化粧水、乳液・クリームと続いています。このため、メンズコスメの中でも、スキンケア商品の需要が高いことが窺えます。
ひげ剃り跡がマスクを外したときに力を入れたい場所として1番の割合となっており、ひげ剃りによるカミソリ負けといった肌のケアに関心が高いといえそうです。
以上(2023年11月)
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経営者なら、売上や利益以上に資金繰りが気になるはずです。なぜなら、
利益が上がっていても、資金がショートすれば会社は倒産してしまう
からです。利益は「売上-費用=利益」という関係で導かれますが、「売上=入金、費用=出金」といったように、入金も出金も即時ならば資金繰りに困ることはありません。しかし、現実には、「末締め翌月末払い」のように即時決済とはならないのが通常です。そこで登場するのが運転資金です。運転資金とは、
売上の入金、費用の出金のタイミングのズレをカバーする資金
です。
資金繰りにおいて、大きな設備投資をしたような場合なら、その影響に注意するでしょう。難しいのは、こうした大きな要因ではなく、
日常的な運転資金が資金繰りに影響している
場合があることです。運転資金は資金繰りにおいて非常に重要なので、この記事で分かりやすく解説していきます。
経営者が最も気になるのは、
結局、自社に必要な運転資金はいくらなのか?
ということでしょう。
その1つの答えは、
御社に必要な運転資金=売掛金+棚卸資産-買掛金
となります。なお、より正確にいうと、売掛金は受取手形も含む「売上債権」で、買掛金は支払手形も含む「仕入債務」となります。
上記の図は、その時点の状況を示していますが、資金繰りではその先の入出金のタイミングに注意しなければなりません。入金と出金のどちらが先かによって、状況は大きく変わります。
例えば、売掛金は20日に入金され、買掛金は月末に支払う場合、先に入金される売掛金を買掛金の支払いに回せます。ですので、月末に売掛金、棚卸資産の合計と買掛金の差額だけ運転資金を準備すれば大丈夫です。
逆に、買掛金は20日に支払い、売掛金は月末に入金される場合、先に買掛金を支払わなければなりません。そうすると、売掛金と棚卸資産の合計の全てが運転資金として必要になります。
以上から分かるポイントは、「入金は早く、支払うのは遅く」ということです。なお、運転資金は、会社にある現預金で賄ってもよいですし、銀行から借りてもよいですが、いずれにしても自社に必要な運転資金をシミュレーションしておくことが不可欠です。
資金繰りでは、運転資金の中身である売掛金、棚卸資産、買掛金の残高を確認することが重要なので、個別に説明していきます。
売掛金は貸借対照表の資産の項目です。そして、同じ資産の項目にある現預金(資金)とはトレードオフの関係にあります。つまり、売掛金が増えれば資金は減り、売掛金が減れば資金は増えます。
売掛金の残高分析として、まずは、前期末(または、前月や前年同月)と比較をしましょう。これにより、前年と違う今年のトレンドを把握することができます。さらに、売掛金を月商で割ることで、売掛金が月商の何カ月分たまっているのかを確認します。その際に利用するのが、売掛金の回転期間という指標です。
売掛金の回転期間=売掛金の月末残高/1カ月の売上高
計算をしたら、増えたり減ったりした原因を具体的な事業活動に落とし込んでいきましょう。例えば、特定の取引先からの売掛金が未収のために売掛金が増えているのであれば、その取引先と入金時期を交渉したり、今後の取引条件の見直しを検討したりすることができます。
なお、取引先との関係もありますが、売掛金の回収はなるべく早くしたほうが、自社の資金繰りに余裕が出ます。
製造業、卸売業、小売業に在庫はつきものです。すぐに売れればよいですが、製造や仕入れから販売までにはタイムラグがあり、その間は在庫となります。建設業にも「未成工事支出金」という在庫があります。期末に仕掛かり中の工事の売上は翌期になるため、費用も未成工事支出金として翌期に持ち越すのです。
さて、在庫も売掛金と同じ貸借対照表の資産の項目です。そして、現預金(資金)とはトレードオフの関係になります。つまり、在庫が増えれば資金は減り、在庫が減れば資金は増えます。なお、在庫には材料費、外注費、人件費、経費といった、仕入れや製造などにかかる費用が漏れなく含まれます。材料費や外注費など社外に支払うものは分かりやすいのですが、人件費は忘れがちなので注意しましょう。
在庫の残高分析として、売掛金と同じように、前期末(または、前月や前年同月)との比較をしましょう。これにより、前年と違う今年のトレンドを把握することができます。さらに、在庫を月次の売上原価で割ることで、在庫が月次の売上原価の何カ月分たまっているのかを確認します。その際に利用するのが、在庫の回転期間という指標です。
在庫の回転期間=月末在庫/1カ月の売上原価
計算結果を具体的な事業活動に落とし込んで検討することも、売掛金で説明した通りです。
買掛金は貸借対照表の負債の項目です。ですので、売掛金や在庫と違い、買掛金が多いほうが現預金(資金)に余裕ができます。支払いを待ってもらう間、手元には資金があることをイメージしてください。
これまでと同じように、買掛金の残高分析として、まずは、前期末(または、前月や前年同月)と比較をしましょう。これにより、前年と違う今年のトレンドを把握することができます。さらに、買掛金を月次の仕入高で割ることで、買掛金が月次の仕入高の何カ月分たまっているのかを確認します。その際に利用するのが、買掛金の回転期間という指標です。
買掛金の回転期間=買掛金の月末残高/1カ月の仕入高
これまでと同じように、計算結果を具体的な事業活動に落とし込んで検討します。取引先との関係もありますが、買掛金の支払いはなるべく遅くしたほうが、自社の資金繰りに余裕が出ます。
以上(2023年11月更新)
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ファクタリングとは、
ファクター(ファクタリングのサービス提供企業)が、債権者から売上債権(請求書)を買い取ったり、債務者の代金支払いを保証したりするサービス
で、次のような問題の解決につながります。
特に、売上債権を買い取る「買取型のファクタリング」(内容は後述します)は、売上債権を早期に現金化できるので、資金繰りの改善に役立ちます。さまざまな経済情勢の変化が経営環境に大きな影響を及ぼす現在では、ファクタリングの活用を検討してみるのも一策だと思います。現在では、オンライン型のファクタリングを実現するFinTech企業のサービスもあり、より便利かつスピーディーに売上債権を現金化できるようになっているので、お勧めです。
また、資金繰りに困っていない企業にとっても、与信管理をアウトソーシングして新規取引先との取引をスピーディーにスタートするためにファクタリングを検討するのもよいでしょう。
この記事では、経営者の方々にファクタリングの活用をご提案する第一歩として、一般的に知られているファクタリングの仕組みや種類をご紹介します。ファクターによってサービスの内容や仕組みなどが異なる点にご留意ください。
ファクタリングの種類にはさまざまな分類方法がありますが、引き受け方法という面から見ると、次の2つに分けられます。
買取型・保証型のファクタリングには、それぞれ次のようなメリットがあります。ファクタリングの活用を検討する際に重要な点だと思いますので、ぜひご確認ください。
【買取型】
【保証型】
ファクタリングは銀行などからお金を借りる「融資」とは違いますので、担保や保証人は必要ありません。また、貸借対照表にも影響はありません(「借入金」にはなりません)。資金調達の選択肢として、また回収リスクの負担を軽減する保険のような存在として活用できます。
一方、ファクタリングには注意点が2つあります。1つ目は、手数料です。一般的に融資の利率などに比べて手数料は高くなる傾向にあります。2つ目は、取引先への対応です。取引先にファクタリングの活用を知られると、自社の経営状況の悪化を疑われる恐れがあります。
買取型・保証型のファクタリングの仕組みは、次の通りです(一般的な流れです)。
図表1で紹介しているのは、債権者・債務者・ファクターの「3社間によるファクタリング」です。
この他に、債権者・ファクターの「2社間によるファクタリング」があります。この場合、基本的には債務者に知られることなくファクタリングを活用できますが、3社間に比べて手数料が高くなることが多いようです。
これまで見てきた他、ファクタリングは決済方法、申込み方法、対象となる取引の内容などさまざまな面で分類されます。その他の主な種類の一例は次の通りです。
金融機関などのファクターが債務者(支払企業側)の決済を代行するサービスです。債権者が保有する売上債権をファクターに一括して譲渡するため、債務者は支払業務の効率化を図れます。
また、一部のファクターでは、電子記録債権(でんさい)を一括ファクタリングの仕組みに組み込んだサービスを提供しています。電子記録債権は、手形など紙媒体で管理されてきた債権を電子化したものです。
申込みから入金までなど一連の手続きがオンライン上で完結するサービスです。対面での手続きや書類の郵送などは不要です(一部書類の郵送などが必要な場合もあります)。種類として多いのは買取型のファクタリングです。
買取型の場合、オンライン上で決算書や売上債権の請求書などをアップロードし、審査を受けます。中には即日対応をうたっているファクターもあり、早期にサービスを活用することができます。
輸出入の貿易にファクタリングを活用するサービスです。国際ファクタリングは、債権者・債務者・ファクターに加えて、ファクターの提携先である海外のファクターの4社間で行われます。海外のファクターが信用調査を行った上で、債務者の信用リスクを保証します。
輸出入を行う際の決済には従来、L/C(Letter of Credit、信用状)が使われてきましたが、国際ファクタリングを活用することで、手間とコストがかかるL/Cの手続きが不要になるなどのメリットがあります。
以上(2023年11月更新)
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勤務間インターバル制度は、2018年の6月に制定された「働き方改革関連法」で「労働時間等設定改善法」(労働時間等の改善に関する特別措置法)が改正され、2019年4月1日より会社の努力義務と定められました。
勤務間インターバル制度の目的は、労働者の健康維持をはじめ、ワークライフバランスの確保など多様な働き方を促進するためのものです。労働者が働く上で、十分な睡眠時間や生活の時間を確保できないままでいると、心身ともに大きな負荷がかかります。こうした負担を軽減し、労働者の「働きすぎ」を抑止するものとして、期待される制度です。
本稿では、勤務間インターバル制度の概要と企業の導入状況について、ご紹介して参ります。
「勤務間インターバル」制度とは、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、労働者の生活時間や睡眠時間を確保するものです。
(厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」)
制度導入に際してのポイントは、「休息時間の設定」と「休息時間が翌日の所定労働時間と重複する際の対応」となります。
休息時間の設定目安は、9時間~11時間(国が推奨)。
休息時間の確保のために、下記のいずれかの対応を行う。
① 始業時刻の繰り下げ。
② 重複する時間を働いたものとする。
勤務間インターバル制度の導入状況別の企業割合をみると、「導入している」が6.0%(令和4年調査5.8%)、「導入を予定又は検討している」が11.8%(同12.7%)、「導入予定はなく、検討もしていない」が 81.5%(同80.4%)となっています。
(厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」)
勤務間インターバル制度を導入する際は、会社の就業規則に規定する必要があります。
勤務間インターバル制度の導入は、労働者の健康維持やワークライフバランスの確保に留まらず、労働生産性の向上や雇用維持にも繋がります。会社の現状を把握した上で、労働環境に配慮した制度導入を考えてみてはいかがでしょうか。
※本内容は2023年11月9日時点での内容です。
(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)
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勤務間インターバル制度は、2018年の6月に制定された「働き方改革関連法」で「労働時間等設定改善法」(労働時間等の改善に関する特別措置法)が改正され、2019年4月1日より会社の努力義務と定められました。
勤務間インターバル制度の目的は、労働者の健康維持をはじめ、ワークライフバランスの確保など多様な働き方を促進するためのものです。労働者が働く上で、十分な睡眠時間や生活の時間を確保できないままでいると、心身ともに大きな負荷がかかります。こうした負担を軽減し、労働者の「働きすぎ」を抑止するものとして、期待される制度です。
本稿では、勤務間インターバル制度の概要と企業の導入状況について、ご紹介して参ります。
2023年10月から、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)のステマ規制が始まりました。この法律は、商品・サービスの品質、内容、価格などが消費者に正しく伝わるよう、紛らわしい表示を規制するもので、今回規制の対象になったステマ(ステルスマーケティング)とは、
広告である旨を隠して商品・サービスを宣伝すること
です。例えば、
などが典型的なステマの例です。
広告だと分かっていれば、消費者はある程度の誇張が含まれていると考え、それを含めて合理的な判断ができるはずですが、それを隠されると、広告を第三者の感想であると誤解し、だまされてしまいます。ここが問題とされ、ステマが規制されたわけです。「ウチはステマなんてやらないから大丈夫」という経営者も、
会社側に悪意がなくてもステマが成立するケースがある上に、2023年9月以前に作成した広告も規制の対象に含まれるので注意が必要
です。これから自社の広告を見直す場合、まず基本として次のポイントを押さえましょう。
日ごろ、消費者はさまざまな「表示」を見て買い物をします。例えば、商品パッケージ、カタログ、テレビCM、セールストーク、SNSの投稿など……これらは全て表示です。表示の仕方に問題があると、消費者は安心して商品・サービスを選べません。
そこで、景品表示法では、消費者の自主的かつ合理的な選択を妨げないよう、次の3つの表示を規制しています。ステマは2023年10月から、3.の「指定告示」に追加されました。
消費者庁では、ステマを
「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」と定義
しています。「事業者の表示」とは、会社が消費者に対し、商品・サービスの情報を知らせる表示全般、つまり広告のことです。これに沿って上の定義を言い換えると、
ステマとは「広告に該当し、なおかつ広告であることが消費者に伝わらない表示」
ということになります。図表1のように捉えると分かりやすいでしょう。
ステマを疑われる広告が発見された場合、消費者庁の調査を経て、違法かどうかが判断されます。違法と判断された場合、会社(広告主)に対し、次の流れでペナルティが科せられます。なお、前述した通り、2023年9月以前に作成された広告も、同年10月以後に消費者に表示されていれば、ステマ規制の対象になります。
自社の広告が知らないうちにステマに該当していないかを確認するには、まず「広告(事業者の表示)とは何か」を正しく理解する必要があります。消費者庁では図表2の通り、「広告と判断されるもの」が大きく4つに区分され、具体例付きで示されています。
例えば、営業担当者が個人のSNSアカウントを使い、一般の消費者を装って自社商品のポジティブな投稿をするケースなどは、営業担当者の立場などにもよりますが、「2.第三者になりすまして行う表示」に該当します。
会社がインフルエンサーに、有償で「ウチの商品に関するポジティブな投稿をしてほしい」と依頼するケースなどは、「3.第三者に行わせる表示(明示的な依頼・指示あり)」に該当します。また、直接口に出さなくても、忖度(そんたく)してもらうことを期待して無償で商品を提供するなどした場合、「4.第三者に行わせる表示(明示的な依頼・指示なし)」になり得ます。
ただし、3.と4.の「第三者に行わせる表示」については例外があり、
などは、「事業者の表示には該当しない」とされています。
何が広告に該当するかを理解したら、次は「広告である旨が消費者に伝わる表示になっているか」を確認します。こちらも図表3の通り、消費者庁から「事業者の表示であることが明瞭なもの・不明瞭なもの」の具体例が示されています。
基本的な考え方は、
です。「あまり営業色を出したくない」と考えて控えめな広告を打つケースもあるかもしれませんが、広告である旨が消費者に伝わらないのはNGです。
特に、「表示が分かりにくい(広告の文字が小さい、色が薄い、表示場所が目立たないなど)」といったケースは、会社側に悪意がなくても起こり得る問題なので、自社の広告をいま一度見直しておきましょう。繰り返しになりますが、
2023年9月以前に作成された広告もステマ規制の対象なので、現在世に出ている広告は全てチェック
する必要があります。
経営者がステマ規制について理解していても、実際に広告に携わる関係者が正しく対応できていなければ意味がありません。ステマ規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する会社(広告主)ですが、実際に広告に携わる関係者が正しく対応しなければ、経営者が知らないうちにステマ規制に抵触してしまう恐れがあります。
実際に広告に携わる関係者とは、「会社の営業担当者」「インフルエンサー」「広告代理店」などです。例えば、次のような内容についてチェックしておきましょう。
営業担当者がSNSなどで、一般の消費者を装って自社の商品を称賛したり、競合他社の商品を批判したりすると、ステマ規制に抵触する恐れがあります。営業担当者には、こうした行為がステマに該当することを教育した上で、「自社の商品・サービスをSNSなどで紹介する場合、その文章や動画の中で社員であることを必ず明かさないといけない」など、社内ルールを明確にした上で厳守させましょう。
インフルエンサーに広告を依頼する場合、広告に関する表示のルールを事前に会社とインフルエンサーとの間で共有しておきましょう。例えば、
といった対応が考えられます。景品表示法に沿った表示のルールになっていれば、基本的にステマの心配はありません。
会社によっては、広告運用の大部分を広告代理店に任せているケースもあるでしょう。ですが、ステマを指示したのが広告代理店であっても、処罰の対象となるのは会社(広告主)で、「広告代理店が勝手にステマをした」という言い訳は通用しません。広告代理店任せにせず、広告の内容は必ず自社でチェックするなど、管理体制を整えましょう。
以上(2023年12月)
(監修 弁護士 八幡優里)
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不動産は保有しているだけでは収益を生みません。むしろ税金や補強費用・防犯費用など、キャッシュが出ていくばかりです。もし、資金繰りに窮していたり、将来に備えたりしたい場合、保有している不動産の資金化を検討したいところでしょう。例えば、かつて投資用に購入したが塩漬け状態になっている不動産を賃貸物件にしたり、売却したりすることで資金が確保できます。
注意が必要なのは、不動産の売却では多額の利益(または損失)が出ることがあり、
法人税・住民税・事業税(以下「法人税等」)の納税額に大きな影響を及ぼす
ことです。また、土地の売却は「消費税の非課税売上」に該当しますが、非課税売上が大きくなると課税売上割合(仮受消費税と相殺できる仮払消費税の金額を決める割合)が下がり、
通常の決算より消費税の納税額が増える
ことが多いです。
不動産を賃貸する場合も、賃貸から生じた利益については法人税等がかかるため、事前に納税額をシミュレーションしておくことが重要です。
不動産保有時に課される税金は「固定資産税」と「都市計画税」です。
固定資産税とは、毎年1月1日時点で不動産(土地・建物)を保有している人に課せられる税金です。都市計画税は固定資産税に似た税金ですが、保有している不動産が市街化区域内(都市部など)にある場合に課される税金です。
固定資産税は確定申告を行う法人税などと異なり、賦課課税方式といって地方自治体が税額を計算して納税通知書と納付書が送られてきますので、その納付書を使って納付します。都市計画税も固定資産税と同様で、都市計画税が課される場合には、固定資産税と併せて納付することになります。
固定資産税と都市計画税の計算方法は同じです。課税標準(固定資産税評価額)に税率を掛けて計算します。なお、税率は地方自治体によって異なります。ここで紹介している税率は、標準税率(地方税法で定める通常の税率)です。
土地の固定資産税評価額は「公示地価」の70%程度になるように設定されています。公示地価とは、国土交通省が発表する全国の土地価格の基準値のことで、毎年3月に発表されます。家屋の固定資産税評価額は、家屋を再建築する場合にかかる費用と、その家屋の劣化状況を加味して決定され、おおむね建築費の50~70%程度の価格になります。
なお、住宅用地(土地)は、一戸当たりの広さによって受けられる固定資産税・都市計画税の特例(税率を掛ける前の金額である課税標準を減額する制度)があります。
また、新築住宅(家屋)については、居住部分や床面積の割合によって受けられる固定資産税の特例(税額から直接差し引くことができる制度)があります。
不動産を売却し、売却価格が帳簿価格を上回る場合(つまり利益が出た場合)、法人税等がかかります。不動産を売却して得た利益は、その利益単体で法人税等が課せられるのではなく、本業で得た利益(所得)と合算して課せられます。そのため、不動産を売却して利益を得たのに対し、本業が赤字の場合には、損益を通算して所得を計算することになります。不動産売却で赤字が出て本業が黒字の場合も同様に通算されます。
不動産取引のうち、土地部分は非課税取引に該当するので消費税は課されませんが、建物部分については消費税が課されます。そのため、建物部分の売却価格に応じた消費税を不動産の買い手から預かり、本業から生じた消費税と併せて申告・納付する必要があります。
不動産を売買するときには契約書を作成しますが、この契約書には収入印紙を貼らなければなりません。この収入印紙の金額は、契約書に記載された契約金額に応じ、200円から48万円までになります。これは2024年3月31日までに作成された契約書に限られ、2024年4月1日以降に作成された契約書については金額が変わる可能性があります。
不動産を売却した場合と同様に、賃貸料収入については、本業で得た利益(所得)と合算して法人税等が課せられます。
不動産の賃貸のうち、「土地の貸付」「建物のうち居住用物件の貸付」は非課税取引に該当するので消費税は課されませんが、「建物のうち事業用物件の貸付」については消費税が課されます。そのため、事業用物件の賃貸料収入とともに消費税を借り手から預かり、本業から生じた消費税と併せて申告・納付する必要があります。
不動産を賃貸するときには契約書を作成しますが、このうち「土地の貸付」については、契約書に収入印紙を貼らなければなりません(建物の貸付の場合、収入印紙は不要です)。この収入印紙の金額は、契約書に記載された契約金額に応じ、200円から60万円までとなります。
固定資産税・都市計画税は毎年1月1日時点で不動産(土地・建物)を保有している人に課せられる市町村税です。そのため、不動産を賃貸する場合、固定資産税・都市計画税は不動産を保有するオーナーが負担します。
以上(2023年11月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)
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経営が行き詰まる最大の原因は資金ショートですから、
資金繰り表を作成し、適切な資金繰りを管理することでリスクを回避することが基本
です。物価高や国際情勢の不安定化などで経営の先行きが不透明さを増している現在、資金繰りがより重要になってきていることを、経営者は痛感していることでしょう。
資金繰り表は最低でも3カ月先、理想的には1年先まで作成しておきたいものです。また、一般的な資金繰り表は月次ですが、資金繰りがタイトな場合は、日次の資金繰り表(日繰り表)を作成します。また、資金繰り表はキャッシュ・フロー計算書と混同されがちですが、両者は、
といったように異なります。
この記事では、月次資金繰り表の例を見ながら、実際の作業やポイントを解説していきます。おさえるべき主なポイントは次の通りです。
まずは、月次資金繰り表の例をご確認ください。どういったことが読み取れるでしょうか?
最初の月(上記の例では8月の100,000)の前月繰越金(1)は、
実際の現金残高を記入します。銀行口座や小口現金出納帳の合計額を確認
しましょう。それ以降の月は、前月の翌月繰越金(8)と同額が記入されるようにします。
営業収入の項目(2)には、
営業部門などから販売実績や販売見込みの情報を入手
して記入します。過去の銀行口座などの入金を観察することも、得意先の販売傾向の予測に役立ちます。販売見込みは可能な限り正確な予測を入手し利用することが理想的ですが、将来のシナリオを考えるうえで楽観・中庸・悲観の3つの数値を用意することもあります。担当者からの報告を反映するだけでなく、経営者としての経験則を活かして見極めるようにすることが大切です。すでに発生している売掛金・受取手形などの営業債権については、回収スケジュールに基づき資金繰り表に反映します。
営業支出の項目(3)には、
過去の銀行口座や小口現金出納帳の出金を基に記入
します。過去の出金内容から網羅的に支出項目を抽出できるため、銀行口座や小口現金出納帳の情報は重要です。すでに支払義務が生じている買掛金・支払手形などの営業債務については、支払スケジュールに基づき資金繰り表に反映します。なお、リモートワークなどによってオフィス家賃や通勤手当などの固定費が変わることもあるので、そのときの状況に合わせて精査していきます。
投資収入の項目(4)には、
設備投資計画、稟議書や取締役会議事録を基に、店舗閉鎖などによる重要な資産の売却情報を記入
します。
投資支出の項目(5)には、
設備投資計画、稟議書や取締役会議事録を基に、設備投資の購入情報を記入
します。
いずれも、取引の内容によっては見積額と実績が大きく乖離(かいり)することがあるため、可能な限り精度の高い情報を得るようにします。
財務収入の項目(6)には、
新規の借入れや増資の金額を記入
します。
財務支出の項目(7)には、
借入金の返済・利払いは、金銭消費貸借契約書などに添付されている返済予定表を基に、借入金の返済と利払いを記入
します。
資金繰り表は、過去の実績を基に将来予測を作成します。そのため、
実績が判明した段階で予測と実績の差異を分析し、その後の資金繰り表の作成に活かす
ことが不可欠です。中小企業においては資金繰り表自体を作成していないこともあるかもしれませんが、経営者が資金繰りに積極的に関与することで、今まで知らなかった課題や取引先の状況変化のサインが見えてくることがあります。
例えば、いつもは期日通り行われていた取引先からの入金が遅れていた場合には、取引先の財務状況の悪化のサインかもしれません。このような小さなサインがあれば、将来考えられる営業収入への悪影響を、実際の資金繰り表に当てはめて調整していきましょう。
資金繰り表を作成したら、各月末残高(翌月繰越金)に注目します。資金ショートを防ぐためには、各月末残高(翌月繰越金)が月末必要現金を上回っていることが必須条件です。月末必要現金は、翌月上旬の支払合計額に一定のバッファーを見込んで決めるもので、通常は月売上の1~2カ月分程度の現金があることが望ましいといわれます。ただし、現在のような不確実性の高い時代には、重要な得意先の売掛金の回収が遅れた場合なども想定して、資金繰りに支障を来さないような現金を準備しておくことが目安になるでしょう。
販売不振が続き、入金が減少する一方で、それに見合うだけの費用を減らすことができず出金が一定額のままの場合、赤字(損失)が継続します。その結果、会社の現金が減り続け、資金繰りが悪化していきます。
売上が急拡大した場合、それに合わせて資金も豊富になると考えがちです。これは中長期的には正しいですが、短期的には正しくないことがあります。なぜなら、入金と支払いのタイミングによっては支払額の方が多額となり、資金繰りが一時的に苦しくなることがあるからです。
例えば、新規取引先に商品を販売する場合、出荷の時点で売上は計上されますが、代金が入金されるまでには一定の期間がかかります。また、その商品を仕入れたり、配送したりするためのコストがかかっています。さらにいえば、新規獲得に関わる人件費などのコストもかかっています。以上から、売上が急拡大するときには資金繰りに注意する必要があります。
棚卸資産は、原則として、得意先に引き渡されることで売上が計上され、その結果、入金につながります。しかし、棚卸資産として会社の手元にある間は、現金が棚卸資産に形を変えていると解釈できるため、棚卸資産を長く保有すると自由に使用できない現金が増え、資金繰りの悪化原因となり得ます。また、陳腐化や品質の低下により価値が低くなり、販売見込みがなくなった棚卸資産は、さらに資金繰りに悪影響を与えます。したがって、棚卸資産の保有期間や保有量を減らすことも、資金繰りの改善に役立ちます。
以上(2023年11月更新)
監修(税理士法人AKJパートナーズ 公認会計士 仁田順哉)
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