退職前の有休消化で「引き継ぎ」が……スムーズな解決法は?

1 増加する“引き継ぎなし退職”

ある日突然、社員から、

「今月末で退職します。今日から退職日まで有休(年次有給休暇)をいただきます」

と申し出があったらどうしますか? 今、退職を申し出た社員が、残りの有休を全て消化して出社しないケースは増えています。昨今話題の退職代行サービスを使って、会社とのコミュニケーションを完全に遮断するケースも多いです。

正直なところ、あまり戦力になっていない社員であれば、突然の退職でも残りの社員で十分にカバーできるので、むしろ論点は、負担がかかる残りの社員へのフォローとなります。

一方、管理職など幅広く仕事をしている社員が退職する場合や、テレワークなどの影響もあって組織がサイロ化し、そこそこ重要な業務を“自分色”に染めてしまっている社員が退職する場合は、引き継ぎが必須です。となると、「引き継ぎもせずに突然いなくなるなんて無責任だ!」という憤りはさておき、会社が冷静に対応しなければ、残された社員のためになりません。

では、どうすればよいのか。それは、

出社しない社員に対し、「引継書の記入を依頼する」「有休の買い取りを打診する」などの方法で、“引き継ぎなし退職”の問題を乗り切ること

です。以降で詳しく説明しますので、確認していきましょう。また、引継書については、次章でダウンロードして使えるひな型を紹介していますので、必要に応じてご活用ください。

2 引継書の記入を依頼する

社員が退職日まで出社してこない場合は、「引継書」の記入を求めましょう。

引継書とは、退職する際に現職者から後任者へ業務を円滑に引き継ぐための文書

です。社員には有休を取得する権利があるので難しいですが、出社して引き継ぎをするのに比べればハードルは低いですし、「後任者や取引先がどうしても困ってしまうから……」と説明すれば、応じてもらえる可能性はあります。

次の書面は、筆者が作成した簡易的な引継書のひな型です。下のボタンからワード形式でダウンロードできますので、自社の特性を踏まえて修正してください。

退職時引継書

作成日:           作成者:
  
所属部署:         退職予定日:

1.業務概要

  • 主な担当業務:
  • 業務の進め方:
  • 現在の進捗状況:
  • 重要なポイント:

2.業務の引継ぎ

  • 引き継ぎ担当者:
  • 引き継ぎのスケジュール:
  • 必要な資料・情報の所在:

3.アクセス権限・保管場所情報

  • システムアクセス権限:
  • システムID・パスワード:
  • 重要書類の保管場所:

4.注意点・問題点

  • 業務で注意すべき点:
  • 現在の課題:
  • 今後の対応方針:

5.関係者リスト

  • 主要連絡先(上司・同僚・取引先):
  • 相談・連絡が必要な場合の窓口:

6.その他

  • 特記事項:
  • 退職後の連絡先:

こちらからダウンロード

なお、引継書の作成は、社員が退職の意向を示した直後に着手させましょう。ケースによりますが、この時期であれば、まだ心理的な距離も近く、詳細な情報を引き出しやすいこともあるからです。

3 有休の買い取りを打診する

引継書の記入依頼と並行してもう一つ、必要に応じて検討したいのが「有休の買い取り」です。原則として有休の買い取りは禁止されていますが、退職時については、

会社が有休の買い取りを予約することや、本来なら請求できるはずの有休日数を減らしたり与えなかったりすることは違法である

という行政通達(昭和30年11月30日基収4718号)がある一方で、

結果的に取得されない有休について、日数に応じて賃金を支給することは違法ではない

とした裁判例(昭和29年3月19日神戸地裁判決)があります。

簡単に言えば、

会社と社員が合意すれば、有休の買い取りが認められる余地がある

ということです。あくまでも合意があればということなので、会社が「有休を買い取るから出社しろ!」と強制したり、社員に不利益となる情報をちらつかせて合意に持っていったりすることは認められません。しかし、条件(買い取る日数や金額など)も含めて交渉の余地は十分にあるはずです。

4 退職代行サービスの場合は相手の窓口に伝える

今や退職代行サービスのラッピングバスが繁華街を走る時代。社員が退職代行サービスを利用しても不思議ではありません。この場合、社員との直接的なやり取りは著しく制限されるので、引き継ぎだけでなく、会社備品の返却や退職金の支払いなどの問題も出てきます。

そのため、退職代行サービスを運営する業者(以下「退職代行業者」)には次のような対応で臨みましょう。

1)法的権限の確認

退職代行業者の正体が、「弁護士」「労働組合」「民間事業者」のいずれであるかによって法的権限が異なります。例えば、弁護士資格のない民間事業者が、退職の条件について会社と交渉することは、非弁行為に当たり認められません。まずは、退職代行業者の法的権限を確認しましょう。

2)社員本人の意思確認

退職の申し出が、社員本人の意思によるものかを確認しましょう。例えば、退職代行業者に対して、社員本人が自筆で記入した退職届の提出を求めることが可能です。

3)退職日や有休消化の意向の確認

いつ退職したいか、有休を消化する意向があるかなどについて、書面での確認を求めます。

4)会社備品の返却と引き継ぎの要求

会社備品の返却や引継書の作成を、退職代行業者を通じて社員に要求します。

5)直接連絡の提案

退職代行業者に対し、退職金や未払い給与の支払いについて、退職代行業者を介さず直接社員と連絡を取りたい旨を伝え、その方法を提案します。

5 複雑なケースの場合、専門家への相談も検討する

退職で問題が発生した場合、会社と社員の話し合いなどで解決するのが望ましいですが、次のような深刻な状況の場合においては、弁護士への相談が必要になるケースもあります。

1)重要な機密情報の持ち出しが疑われる場合

会社の機密情報が関係していたり、個人情報保護に関わる問題があったりする場合です。

2)意図的な業務妨害が行われている場合

重要書類の破棄や隠匿、システムへの故意の損害行為などがある場合です。

3)著しい損害が発生している場合

取引先との関係に重大な支障を来していたり、業務の長期停止で損害が出ていたりする場合です。

例えば、引き継ぎがされないことにより、業務が長期停止して大きな損害を被った場合(上記の3)に該当)などは、弁護士を通して損害賠償を請求できる可能性があります。

とはいえ、法的手段の検討は慎重に行う必要がありますので、あくまでも話し合いによる解決が困難な場合の最終手段として考えておきましょう。

以上(2025年3月作成)

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画像:k_yu-Adobe Stock

【中堅社員のスピーチ例】前に出て空を飛び続けよう!

【ポイント】

  • 雁(がん)は群れで長距離を飛ぶ際、先頭の鳥の後ろに「V字」を作るように列を組む
  • 仲間は先頭の鳥の気流に乗って飛べるが、飛び続けるには先頭を交代し回す必要がある
  • 部下や後輩が「前に出る意識」を持たないと、やがて組織が成り立たなくなってしまう

おはようございます。突然ですが、皆さんは「雁行(がんこう)」というのをご存じでしょうか。これは雁という渡り鳥が、群れで長距離を旅する際に見せる飛び方です。雁の群れは一列に並んで飛ぶのではなく、先頭の鳥の後ろから左右に広がり、アルファベットの「V」の形になるように列を組んで飛びます。このことを雁行、V字飛行などと呼ぶのです。

なぜ、V字に列を組むのかと思うでしょうが、これにはちゃんとした理由があります。雁が羽ばたくと、その後ろには体が浮きやすい気流ができます。だから、列の後ろを飛ぶ鳥は、仲間が作った気流に乗って、疲れずに飛び続けることができるのです。ただ、この飛び方だと、仲間の力を借りられない先頭の鳥には負担が集中します。そのまま放っておけば先頭の鳥は疲弊して羽ばたけなくなり、そうなると仲間も気流に乗って飛べなくなります。だから、雁たちは長距離を旅する際、先頭の役割を交代しながら順番に回し、ローテーションしながら飛行するのです。

私はこの雁行のシステムを初めて知ったとき、「雁ってとても賢い鳥なんだな」と感心すると同時に、ふと「自分の会社が雁の群れだとしたら、どんな状態だろう」と考えてみました。私たちの会社では、上司や先輩が、私のような若手の進むべき方向を照らして引っ張ってくれています。ですが、私自身はどうなのかというと、正直なところ、上司や先輩の指示にただ従うだけで、自分が皆を引っ張るという経験をあまりして来なかったように思います。雁の群れでいうなら、「先頭の役割を1人だけ交代せず、楽をし続けている状態」といえるかもしれません。

もちろん、会社の指揮系統に従うことは大切なのですが、いつまでも上司や先輩に引っ張ってもらっていては、その人たちに負担が集中します。そんな状態が続けば、やがて組織は成り立たなくなってしまうでしょう。だから、私たち若手は、ただ誰かに任せきりにするのではなく、定期的に「自分がやります!」と手を挙げて、チームを引っ張る意識を持たなければなりません。

もうすぐ新年度が始まりますが、新年度の私のテーマは「前に出る」です。チーム全体が空を飛び続けられるよう、積極的に手を挙げていきたいと思います。

以上(2025年3月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

(記載例付き)最新法令に対応した「パート等の労働条件通知書」

1 トラブル防止の肝は「労働条件通知書」の確認

近年、同一労働同一賃金に代表されるように、「パート等」の労働条件の改善が進められています。パート等とは、この記事で便宜上使っている言葉で、

  • 短時間労働者:正社員よりも1週間の所定労働時間が短い社員
  • 有期雇用労働者:雇用期間に定めがある社員

の総称です。詳しくは、いわゆる「パートタイム・有期雇用労働法」で定められているので確認してみてください。

さて、法令改正などに合わせて労働条件を見直していかなければトラブルのもとになります。差し当たり、今、皆さんがすべきことは、

パート等と労働契約を締結する際(雇入時、定年後の再雇用時、契約の更新時など)に、会社が交付する「労働条件通知書」の内容を精査すること

です。直近では、2024年4月1日から労働基準法施行規則が改正され、パート等に労働条件通知書を交付する際、次の3つを新たに明示することが義務付けられています。

  1. 「契約更新に関する事項」を記載する際、「更新上限」についても明示する
  2. 「無期転換に関する事項(新設)」を記載する際、無期転換の「申込機会」「転換後の労働条件」について明示する(通算契約期間が5年超のパート等が対象)
  3. 「就業場所」「業務内容」を記載する際、契約締結時の内容だけでなく、配置転換等の際の「変更範囲」も明示する

この記事では、最新法令に対応した「パート等の労働条件通知書」のポイントと記載例を紹介します。「ここしばらくパート等の採用がなく、労働条件通知書のひな型を更新していない」という人や、「すでにひな型は見直したが、ヌケモレがないか不安」という人は、自社の労働条件通知書と照らし合わせながらご確認ください。

2 正社員の労働条件通知書を流用したら法令違反?

まず、とても大切なポイントをお伝えします。それは、

正社員とパート等では、雇入時に明示すべき労働条件の項目が違う

ということです。図表1の「必ず書面で明示」の赤字部分がパート等特有の項目です。

画像1

「2.契約更新に関する事項」は、契約更新があるか否か、更新する場合は何を基準に判断するのか具体的な内容を記載します。2024年4月1日からは、通算契約期間または更新回数の「更新上限」についても記載が必要になっています(詳細は後述)。

「3.無期転換に関する事項」は、2024年4月1日から明示が義務付けられている項目です。

無期転換とは、パート等の通算契約期間(同じ会社でのもの)が5年を超えて更新された場合、本人が会社に申し込めば契約期間の定めのない「無期契約」に転換できる制度

です。雇用形態はパート等のまま変わらず契約期間のみ無期契約に切り替わります。

なお、無期転換権が発生する(または発生している)パート等に対しては、無期転換の申込機会、転換後の労働条件について記載します(詳細は後述)。

「10.昇給の有無、11.退職金の有無、12.賞与の有無」は、これらの制度があるか否か(原則書面で明示)、また、それらの計算方法や支給・実施時期(口頭でも可能)を記載します。

「14.雇用管理に関する相談窓口」は、正社員との待遇の違いなどについて、パート等から相談された場合の窓口を記載します。ちなみに、この相談窓口は「ハラスメント相談窓口」と一体的に運用しても問題ありません。

3 パート等特有の労働条件通知書のポイント

図表2は、最新法令に対応したパート等の労働条件通知書のイメージです。赤字部分は、前述した法令改正やトラブル防止の観点から注意が必要な内容です(それぞれのポイントは後述)。

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1)契約期間

契約期間の始まりと終わりを「○年○月○日~○年○月○日」などの形で記載します。

無期転換権の行使により無期契約に切り替わった場合、契約更新の開始日を記載し、「〇年〇月〇日(期間の定めなし)」など、無期契約であることが分かるよう注釈を併記します。

2)契約更新に関する事項

次の1.から4.について記載します。3.は2024年4月1日から明示が義務付けられています。

  1. 更新の有無(例:更新しない、自動的に更新する、更新する場合がある)
  2. 更新の判断基準(例:業務の進捗状況、勤務成績、能力、態度、期間満了時の業務量、会社の経営状況)
  3. 更新上限の有無とその内容(通算契約期間または更新回数に上限があるかないか、上限がある場合はその内容(例:通算契約期間:○年まで、更新回数:○回まで))
  4. その他の留意事項(例:契約更新の際に労働条件が変更になる可能性がある)

なお、図表2の例では更新上限を「通算契約期間:10年まで、更新回数:10回まで」としていますが、前述した通り、通算契約期間が5年を超えると、そのパート等は無期転換を会社に申し込めるようになります。無期転換の申込みは原則拒否できないので、長期雇用を想定していないなら、通算契約期間の上限は5年未満に設定しておいたほうが無難です。

また、無期転換権を行使により無期契約に切り替わった場合、更新自体がなくなるので明示は不要になります。ただし、定年等の定めをする場合は別途明示が必要です(詳細は後述)。

3)無期転換に関する事項

次の2点について記載します。どちらも2024年4月1日から新たに明示が義務付けられている項目です。ただし、無期転換申込権がない場合(通算契約期間が5年以内)、明示は不要です。

  1. 申込機会:無期転換の申込みができること(例:本契約期間中に会社に対して無期労働契約の締結の申込みをすることにより、本契約期間の末日の翌日から無期労働契約での雇用に転換することができる)
  2. 転換後の労働条件:労働条件の変更の有無、転換後の労働条件の一覧または変更箇所(例:契約期間以外の労働条件についても、転換前の内容から変更することがある。変更する場合の労働条件は別紙)

なお、現在の通算契約期間が5年以内であったとしても、新たな契約を更新した結果、契約期間の途中で5年を超える場合(例:3年契約を繰り返すなど)については、新たな契約更新をする際に、あらかじめ無期転換に関する事項を明示しておく必要があります。

4)就業場所

パート等特有の項目ではありませんが、テレワークでオフィス以外の場所でも勤務することがある場合は、その旨を記載します。また、2024年4月1日からは契約締結時の就業場所だけでなく、配置転換等の際の「変更範囲」の記載も義務付けられています。変更範囲については、想定される就業場所を1つずつ記載する必要はなく、

  • 会社が定める場所
  • 東京都内事業所(別紙)

などの書き方も認められます。また、出向の可能性がある場合はその旨の記載も必要です。

ちなみに、変更範囲は未来永劫についての可能性ではなく、あくまで当該契約期間内における可能性を明示すればよいとされています。

5)業務内容

よく見かける「○○業務その他会社が指示するあらゆる業務」といった記載だと、正社員と同じ働き方をしているとみなされ、同一労働同一賃金の観点から賃金などに差をつけにくくなります。書き方が難しいですが、

本業を逸脱しすぎないよう、「○○の業務その他これに付帯する業務」といった程度の記載にとどめるのが無難

です。なお、2024年4月1日からは就業場所と同じく、業務内容についても「変更範囲」の記載が義務付けられています。こちらについても

  • 会社が指示する業務
  • 会社の各部署(別紙)における業務

などの書き方が認められますが、実際に業務内容を変更する場合、変更後の業務について正社員との不合理な待遇差が生じていないかを都度チェックする必要があります。

こちらも、変更範囲については未来永劫についての可能性ではなく、あくまで当該契約期間内における可能性を明示すればよいとされています。

6)始業・終業時刻、所定外労働など

シフト制の場合の始業・終業時刻に注意が必要です。労働条件通知書に「シフトによる」と記載するだけでは不十分で、

労働日ごとの始業・終業時刻を明示するか、原則的な始業・終業時刻を記載した上で、一定期間分のシフト表などと併せて交付する必要

があります。

7)休日

休日についても、シフト制で働く場合の記載に注意しましょう。具体的な曜日などが確定していなくても、

休日の基本的な考え方として、「週○日以上の休日が確保できるようシフトを組む」

といったように記載する必要があります。

8)休暇

パート等も、6カ月以上勤務し、その全労働日の8割以上出勤すると、年次有給休暇(年休)が付与されます。付与日数は、所定労働時間と所定労働日数によって変わります。

9)賃金の金額、支払いの方法・時期など

パート等の賃金の金額は、同一労働同一賃金で示されている均等待遇と均衡待遇に違反しないようにします。

  • 均等待遇:職務の内容とその変更範囲が同じ場合、待遇も同じにする
  • 均衡待遇:職務の内容とその変更範囲等が違う場合は、違いを考慮してバランスの取れた待遇を実現する

基本的に、業務の内容などが明らかに違うのであれば、正社員と差を設けても問題ありませんが、逆に言うと、

通勤手当などのように業務の内容と関係がない手当は、パート等にも支給

しなければならないでしょう。

また、時間外労働、休日労働、深夜労働に対する手当(割増賃金)は、パート等の労働時間の実態に応じて支払います。なお、この記事で対象としているパート等は、所定労働時間が法定労働時間(原則として1日8時間、1週40時間)より短いので、

所定労働時間を超え、法定労働時間に満たない時間の割増賃金率を記載

しておく必要があります。これは0%にすることも可能です。

10)昇給の有無

昇給があるか否かを記載します。昇給がある場合、可能であれば昇給の条件などを記載するほうが望ましいでしょう。

11)退職金の有無

退職金があるか否かを記載します。退職金がある場合、可能であれば支給要件などを記載するほうが望ましいでしょう。

12)賞与の有無

賞与があるか否かを記載します。賞与がある場合、可能であれば支給要件などを記載する方が望ましいでしょう。

13)退職に関する事項(解雇の事由を含む)

パート等は契約期間が満了し、更新されない場合に退職となります。この他、本人の希望による退職や、就業規則の解雇事由に該当したことによる解雇があります。これに対応し、

  • パート等が契約期間満了前に自己都合退職する場合の手続き(いつまでに会社に退職を申し出るのかなど)
  • 解雇の事由・手続き(どのような行為が解雇事由となるのか、会社はいつまでにパート等に解雇を通知するのかなど)

を記載します。

また、無期転換権の行使により無期契約に切り替わった場合、契約期間が青天井になることを避けるため、正社員と同じように定年を設定する対応が考えられます。その場合は定年後の継続雇用についても併記して明示します。

14)雇用管理に関する相談窓口

相談窓口の担当部署、連絡先(電話番号、メールアドレス)などを記載します。

以上(2025年2月更新)
(監修 人事労務すず木オフィス 特定社会保険労務士 鈴木快昌)

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画像:ChatGPT

無信号交差点での注意点(2025/3号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

 先月号「交通信号の意味を再確認!」では信号の各色の点灯状態・点滅状態の意味や、信号機のない、または作動していない交差点における優先道路のルールについても改めて確認しました。
 今月号では、特に信号のない交差点=無信号交差点での事故について、その原因と対策を具体的な事例を基に考えます。

無信号交差点での注意点

比較的小さい交差点で発生する事故が多い

 警察庁が公開している「交通事故統計情報のオープンデータ」※1では、過去5年分の全国の交通事故発生地点や事故類型などがわかります。

 このオープンデータを分析した朝日新聞社の記事※2によると、2019~2020年に発生した人身事故のうち28万件超が交差点付近で発生し、うち6割が無信号交差点(信号機が設置されていない、または機能していない交差点)での事故であることがわかりました。

交通事故統計情報のオープンデータ

 歩行者、自転車が関連する事故の発生した無信号交差点の特徴を、車道幅や速度規制別に分類し集計したところ、「車道の幅が13メートル未満の小、中規模、かつ規制速度が時速20から40キロ以下の交差点で事故が集中していた。」とのことです。事故が「指定の速度規制なし等」の条件に分類されるケースでも、車道の幅が狭いなど小さい交差点で発生する事故が多いことが示されています。

無信号交差点の特徴

※1 警察庁, 交通事故統計情報のオープンデータ https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/opendata/index_opendata.html(2025.2.10閲覧)

※2 (株)朝日新聞社, みえない交差点 分析編 https://www.asahi.com/special/jiko-kosaten/analysis/?iref=mienaikosaten_map(2025.2.10閲覧)

※3 道幅が13m以上の道を「大」、5.5m以上13m未満を「中」、5.5m未満を「小」と分類。「大‐小」とは幅13m以上の道と5.5m未満の道が接続する交差点、の意味。

事故が多発する無信号交差点の特徴

 最近の5年間で10件以上の事故が起きた全国の無信号交差点を詳しく調べると、以下のような特徴がみられました。

■見通しが悪く左右確認しにくい

 死角をつくるもの(建物、地形、橋脚など)により左右確認が難しい交差点が目立ちます。このような場所ではカーブミラーが重要ですが、右図の例では①ミラーが遠くにあるため鏡像が見にくくなっています。また②前方道路と鋭角で交差するため、停止線を越えて交差点に進入しないと左方の直視が困難で、リスク増加の一因となりえます。

見通しが悪く左右確認しにくい

■直線が続き走行中の道路の見通しが良い

 非優先道路(交差点では一時停止)でも③遠くまで見通せるような直線の道路で事故が起こりやすいようです。その背景には「ついスピードが出やすい」「朝日・西日が眩しい」等が考えられるほか、元は直線単路だった場所に④新たに道路が整備され、新しく交差点ができたケースもあり、慣れない車が単路だったときと同様の走り方をしてしまうかも知れません。

直線が続き走行中の道路の見通しが良い

 その他、五差路など複雑な形状のため危険予測が難しい交差点や、高速道・幹線道路から分岐した直後の交差点(速度感覚が速いまま差し掛かる)において事故多発の傾向があるようです。

無信号交差点での事故防止ポイント

  • 死角が多い、鋭角で交差している、複雑な形状をしている、などの特徴のある交差点では車・人・自転車の接近が分かりづらい場合があります。交差点形状を十分把握し、カーブミラーに映る限られた情報を見極め、死角に気を配りながら慎重に通過しましょう。「見切り発車」は禁物です。
  • 見通しが良い、一見安全そうな交差点でも危険予知を怠らないようにしましょう。自分が走行中の道路の優先/非優先の区別を意識しましょう。特に非優先道路側にいる場合、左右から接近する車の有無を必ず確認し、その車を妨げないよう徐行・一時停止を心がけましょう。

以上(2025年3月)

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画像:amanaimages

【朝礼】仕事の優先順位、皆さんは何を基準に決めますか?

【ポイント】

  • 依頼された仕事にどのぐらいの数の人が関わっているのか、影響範囲を知ることが大切
  • 今エネルギーを注げる仕事を見極め、成果を上げるタイミングを逃さないことも大切
  • いくつかの要素を天秤にかけた上で、仕事の優先順位を決め、その選択に責任を持つ

皆さんは日々、会社で多くの仕事をしてくれています。ウチは小さな会社ですから、一人一人が担当する業務の幅も広く、上手に「優先順位」を付けないと仕事が回りません。この優先順位、皆さんは何を基準に決めていますか? 今日は私が若い頃、2人の上司に言われた言葉をお伝えします。

まずは、私が新入社員の頃にお世話になった、1人目の上司の話です。あるとき、その方からこんな質問を受けました。「お客さまからの依頼と、同僚からの依頼、君だったらどっちを優先する?」。私は「お客さまからの依頼です」と答えました。同僚は社内の人間なので依頼を後回しにしても支障がなさそうですが、お客さまだとそうはいかないと思ったからです。ですが、上司は言いました。

「相手が社外の人間か、社内の人間かは関係ない。仕事の優先順位は、その仕事に関わる人の数で決めるんだ」。仮に同僚から依頼された仕事が重大なプロジェクトの一端だった場合、お客さまを優先して同僚の仕事を後回しにすれば、同僚の次工程に控える多くの社員の仕事がストップして損失が出るかもしれない。だから、仕事に関わる人がどのぐらいいるのかを見極める必要がある。これが1人目の上司から教わったことでした。

次は、そこから数年後にお世話になった、2人目の上司の話です。その方は、1人目の上司のかつての部下でもありました。あるとき、先ほどのエピソードをその方に話したら、こんな言葉が返ってきました。

「確かに、あの人の考え方は理にかなっている。ただ、私はその考え方が全てだとは思わないな。例えば、自分が今一番エネルギーを注げる仕事を後回しにして、他の仕事を優先したために、得られたはずの成果を逃してしまったとしたらどうだろう? これも一つの損失かもしれないね」。成果を上げられるタイミングを逃してはいけない。これが2人目の上司から教わったことでした。

いかがでしたか。仕事に関わる人の数も、成果を上げられるタイミングも、仕事の優先順位を決める重要な要素です。そして、それらを天秤(てんびん)にかけた上で、自分がベストだと思う仕事を選択し、その選択に責任を持つ。これが皆さんに求める、仕事の優先順位の付け方です。

以上(2025年3月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

育児関係の新しい給付金

令和7年4月、雇用保険制度に育児関係の新しい給付金が創設されます。「出生後休業支援給付金」と「育児時短就業給付金」です。本稿では、この二つの給付金について概要をお伝えします。

1 出生後休業支援給付金

子どもが生まれた直後の一定期間に、夫婦がそれぞれ14日以上の育児休業を取ると、最大28日間、出生後休業支援給付金が支給されます。「一定期間」とは、父親は子の出生後8週間以内、母親は産後休業後8週間以内です。

給付金の額は、休業開始前賃金の13%相当です。従来の育児休業給付金または出生時育児休業給付金(休業開始前賃金の67%)に上乗せされ、給付率は計80%となります。

○出生後休業支援給付金のイメージ

出生後休業支援給付金のイメージ

※厚生労働省の資料「令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について」より

育児休業給付金、出生時育児休業給付金、出生後休業支援給付金はいずれも非課税です。さらに育児休業中は、健康保険・厚生年金の保険料が免除され、勤務先から給与が支給されなければ雇用保険料も発生しません。このため、給付率80%で、手取り10割相当の給付となります。

また、次の場合には、配偶者が育児休業を取らなくても、出生後休業支援給付金が支給されます。

出生後休業支援給付金が支給されます

※厚生労働省のリーフレット「2025年4月から『出生後休業支援給付金』を創設します」より

2 育児時短就業給付金

2歳未満の子供を育てるために、時短勤務を行い収入が減った場合に、それを補うのが育児時短就業給付金です。性別に関係なく受け取ることができます。給付率は、時短勤務中に支払われた賃金額の10%です。ただし、時短勤務前の賃金額を超えないように、給付率が調整されます。

育児時短就業給付金は、原則として時短勤務を始めた日の属する月から、時短勤務を終えた日の属する月までの各月に支給されます。次の事例では、4/1~4/30(支給対象月①)から3/1~3/31(支給対象月⑫)まで12か月間、育児時短就業給付金が支給されます。

育児時短就業給付金が支給されます

※厚生労働省のリーフレット「2025年4月から『育児時短就業給付金』を創設します」より

育児時短就業給付金は、次の①②の両方を満たす人が対象です。

  • ①2歳未満の子を養育するために時短勤務をする雇用保険の被保険者である
  • ②育児休業給付の対象となる育児休業から引き続いて時短勤務を開始した、
    または、時短勤務開始日前2年間に被保険者期間が12か月ある

そのうえで、次の③~⑥の要件をすべて満たす月について支給されます。

  • ③初日から末日まで続けて雇用保険の被保険者である月
  • ④1週間あたりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月
  • ⑤初日から末日まで続けて、育児休業給付また介護休業給付を受給していない月
  • ⑥高年齢雇用継続給付の受給対象となっていない月

3 さいごに

出生後休業支援給付金と育児時短就業給付金は、性別にかかわらず、労働者が仕事と子育てを両立できるよう、経済的に支援するのが目的です。どんな小さな企業であっても、従業員が希望したら、給付金を受給するための申請をハローワークに対して行わなければなりません。

どちらの給付金もしくみが複雑なので、厚生労働省のウェブサイトで詳細を理解しておくとよいでしょう。

※本内容は2025年2月10日時点での内容です。

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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弁護士が注目する2025年度の法務3大ニュース

1 2024年度・2025年度の3大ニュース

2024年度は、フリーランス・事業者間取引適正化等法の施行による「フリーランスの保護」、改正景品表示法の施行による「不当表示等に関する自主的な是正の促進や、違反行為に対する抑止力の強化等」が行われました。また、知財一括法の施行により、「デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化」が図られました。

2025年度は、情報流通プラットフォーム対処法による「誹謗中傷防止のための大規模プラットフォーム事業者への規制」、流通業務総合効率化法・貨物自動車運送事業法の改正による「物流効率化と特定事業者への規制強化」が行われます。また、建設業法等の改正により、「建設業の処遇改善・働き方改革・生産性向上」も図られます。2024年度・2025年度の法務3大ニュースは次の通りです。

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2 2024年度の総括

2024年度の各種法改正は、いずれも主に中小企業にとって大きな影響がありました。特に、フリーランス・事業者間取引適正化等法が施行されたことで、フリーランスに業務を発注する会社の多くが、体制の見直しを迫られたのではないでしょうか。

また、一般消費者向けの商品やサービスを販売・提供する会社としては、景品表示法違反による直罰規定の新設や課徴金制度の見直し等で制裁の強化もあり、不当表示等を行った場合の社内体制の構築も求められるようになりました。

その他、知財一括法により、特にスタートアップや中小企業を中心として、商標登録のハードルが下がり、また、データ保護が強化されて、新事業の展開が後押しされたことと思います。

3 2025年度の主なニュース

1)誹謗中傷防止のための大規模プラットフォーム事業者への規制

インターネット上における誹謗中傷被害を防止するため、2025年5月16日までに、従来のプロバイダ責任制限法に代わり、情報流通プラットフォーム対処法が施行されます。この法律の規制の対象となるのは、

「大規模特定電気通信役務提供者」(大規模特定電気通信役務を提供する者として、総務大臣に指定された事業者。いわゆる大規模プラットフォーム事業者のこと)

で、主にSNSや匿名掲示板等の運営事業者が該当します。

「誹謗中傷は主に大規模プラットフォームで行われるので、被害を食い止めるには大規模プラットフォーム事業者に迅速かつ十分な対応を義務付けるべきだ」というのが同法の趣旨で、主要なものとして次の5つの義務が設けられます。

  • 削除申出窓口・手続の整備・公表
  • 削除申出への対応体制の整備(十分な知識経験を有する者の選任等)
  • 削除申出に対する判断・通知(原則、一定期間内)
  • 削除基準の策定・公表(運用状況の公表を含む)
  • (削除した場合)発信者への通知

「1.削除申出窓口・手続の整備・公表」「2.削除申出への対応体制の整備」「3.削除申出に対する判断・通知」は、

投稿の削除対応の迅速性を求めるもの

です。大規模プラットフォーム事業者には、利用者からの削除申請を受け付ける窓口や手続を整備し、その情報を公表することが義務付けられます。また、誹謗中傷等の情報を削除してほしいと申出があった場合、

十分な知識経験を有する「侵害情報調査専門員」が遅滞なく調査を実施し、一定期間内にその情報が権利を侵害しているかを判断、その後、結果を申請者に通知

しなければなりません。

「4.削除基準の策定・公表」「5.発信者への通知」は、

削除対応に関する運用状況の透明性を求めるもの

です。一般の利用者からしても、どのような投稿が削除の対象となるのか明確でなければ、自由に情報発信を行うことができません。そのため、大規模プラットフォーム事業者は、

削除対象となる投稿がどのようなものか、どのような行為があった場合にアカウントが停止されるのか、基準を策定した上で事前に公表

する義務を負います。そして、投稿の削除やアカウントの停止を行った場合、その旨を発信者に対して通知しなければなりません。

これらの義務に違反した場合、大規模プラットフォーム事業者は、行政指導・行政命令を受けたり、行政命令に違反した場合には刑事罰を受けたりします。

2)物流効率化と特定事業者への規制強化

いわゆる「2024年問題」による、物流停滞への懸念や死亡・重傷事故の増加に対処するため、2025年4月1日より、改正流通業務総合効率化法・改正貨物自動車運送事業法が施行されます。

まず、改正流通業務総合効率化法のポイントは次の通りです。

  • 全ての事業者に対し、物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務を課す
  • 1.の取り組み状況について国が判断基準を策定し、指導・助言、調査・公表を実施する
  • (一定規模以上の事業者に対し)中長期計画の作成や定期報告等を義務付ける
  • (一定規模以上の荷主に対し)物流統括管理者の選任を義務付ける

2024年4月1日より、物流業界にも労働基準法の「時間外労働の上限規制」が適用されるようになり、物流の停滞が懸念されています。そのため、

  • 物流の効率化
  • 商慣行の見直し
  • 荷主・消費者の行動変容

を行って、荷待ち・荷役時間の短縮や積載率の向上等を図ることで、この問題を乗り切ろうというのが改正法の趣旨です。

具体的には、「荷主(発荷主、着荷主)」「物流事業者(トラック、鉄道、港湾運送、航空運送、倉庫)」それぞれに、次のような措置を講じる努力義務が課せられます。

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続いて、改正貨物自動車運送事業法のポイントは次の通りです。

  • 運送契約の締結等の際、所定の事項を記載した書面の交付等を義務付ける
  • 元請事業者に対し、実運送体制管理簿の作成を義務付ける
  • 下請事業者への発注適正化について努力義務を課し、一定規模以上の事業者に対し、管理規程の作成や管理者の選任を義務付ける

真荷主と運送事業者が運送契約を締結するとき、また、運送業務を受託した事業者(元請事業者)がその仕事をさらに下請けに出すときには、原則として以下の事項を記載した書面を交付しなければなりません。

  • 運送の役務の内容およびその対価
  • 運送の役務以外の役務が提供される場合は、その内容および対価
  • その他省令で定める事項

また、これと併せて、元請事業者には、

実際の運送体制を記録した管理簿(実運送体制管理簿)の作成・保存が義務付けられ、下請け発注に関する一定の健全化措置を講ずること

も義務付けられます。

3)建設業の処遇改善・働き方改革・生産性向上

2024年6月14日に建設業法等の改正法が公布され、一部の規定を除き、2025年12月13日までに施行される予定です。今回の建設業法等の改正のポイントは次の通りです。

  • 従業員の処遇改善
  • 資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止
  • 働き方改革と生産性向上

建設業は、住居やオフィス、商業施設の建設や地域のインフラ構築を担う重要な役割がある一方で、他産業より賃金が低く、就労時間も長いため、担い手の確保が困難な状況にあります。そのため、従業員の処遇改善・働き方改革・生産性向上を促し、建設業の担い手を確保しようというのが改正法の趣旨です。

「1.従業員の処遇改善」では、

建設業者に対して従業員の処遇を確保する努力義務を課すとともに、国が処遇確保に係る取り組み状況を調査・公表

していくことが求められます。これと併せて、

著しく低い労務費等による見積もりや見積もり依頼を禁止

することで、適正な労務費等の確保を目指しています。また、「2.資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止」のために、契約時のルールとして

  • 資材高騰等請負額に影響を及ぼすリスクの情報は、受注者から注文者に提供すること
  • 資材が高騰した際の請負代金等の「変更方法」を、契約書記載事項として明確化すること

が義務付けられます。

その他、長時間労働を抑制するために著しく短い工期による契約締結を禁止したり、ICTを活用した生産性の向上を求めたりする等、「3.働き方改革と生産性向上」の定めも置かれています。

4 今後の対応について

2025年度も、2024年度と同様に、様々な法改正が行われます。

まず、情報流通プラットフォーム対処法については、インターネット上の誹謗中傷の被害防止と被害者の迅速な救済が期待されています。主に大規模プラットフォーム事業者を対象としていますが、その他のプラットフォームを運営する事業者も、同法の考えを理解した上で、自社として誹謗中傷等にどう向き合うかを検討していくとよいでしょう。

改正流通業務総合効率化法・改正貨物自動車運送事業法については、実際に運送を担う末端の事業者が適正な報酬を得られるようになることが期待されています。多重下請構造が出来上がっている物流業界が対象ということで、影響を受ける会社も多いでしょうから、自社に求められる取り組みの内容を確認しておきましょう。

建設業法等の改正についても、趣旨はおおむね同じです。今後の建設業の担い手を確保するためには、従業員に対して処遇の改善や働き方改革を促すことが必要ですから、法改正を機に、自社の体制を見直していきましょう。

以上(2025年3月作成)
(執筆 石原法律事務所 弁護士 磯田翔)

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税理士が注目する2025年度の税務3大ニュース

1 2024年度・2025年度の税務3大ニュース

2024年度は、賃上げ促進税制の拡充や、事業承継を円滑に実行させることを趣旨とした、事業承継税制の特例措置に係る計画提出期限の延長の他、交際費から除外することができる社外飲食費の金額基準の引き上げが行われました。

2025年度は、中小企業の年800万円までの所得に対して適用される軽減税率が2年延長され、所得の大きい中小企業に対する軽減税率が見直されます。また、防衛力の抜本的強化を図るための安定的な財源確保の観点から、従来の法人税の付加税として「防衛特別法人税(仮称)」が創設(適用は2026年4月1日以後に開始する事業年度から)されます。さらに、中小企業の事業承継を円滑に実行させることを趣旨とした事業承継税制が、2024年度に引き続き見直されます。

2024年度・2025年度の税務3大ニュースは次の通りです。

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2 2024年度の総括

2024年度は、「賃上げ促進税制の拡充」など、賃上げや設備投資の促進などを意図した様々な改正がなされたものの、その効果は限定的であったといわれています。特にこの10年における経済環境や、それに応じた企業行動が大きく変化したことも影響し、これまでの法人税改革は意図した効果を上げてこなかった旨が税制改正大綱にも明記されました。

今後は税制も含めた様々な政策手段、中小企業も含めた持続的な経済成長に向けた手当てを期待したいところです。

3 2025年度の主なニュース

1)一定の中小企業に対する法人税率(軽減税率)の延長

一定の中小企業については、年800万円までの所得に対して、通常より低い法人税率(軽減税率:15%)が適用されます。軽減税率の適用期限はもともと2025年3月31日までに開始する事業年度とされていましたが、適用期限が2年延長され、

2027年3月31日までに開始する事業年度

とされました。なお、同じ中小企業でも、

所得が年10億円を超える会社については、軽減税率が15%から17%にアップ

します。

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2)防衛特別法人税(仮称)の創設

防衛力の抜本的強化や防衛費を安定的に確保することを目的として、「防衛特別法人税(仮称)」が創設されます。

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防衛特別法人税とは、基準法人税額から年500万円を差し引いた金額に対して4%の税率で課税するものです。この防衛特別法人税は、2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。ただし、

基礎控除として常に年500万円が控除されるため、

所得金額が2400万円以下であれば防衛特別法人税は発生しない

ことになります。

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3)事業承継税制の特例措置に係る役員就任要件の見直し

現行の法人版事業承継税制(特例措置)においては、「後継者が、贈与の日まで3年以上継続して役員等であること」という役員就任要件が設けられています。この要件について、

贈与の直前において役員等であること

というように、役員就任期間が緩和されました。

現行の法人版事業承継税制(特例措置)の適用期限が2027年12月31日であるため、この要件を満たすには、逆算すると2024年12月31日(適用期限の3年以上前)までには、後継者が贈与承継会社の役員等に就任する必要がありました。今回の改正により、適用期限の直前まで事業承継税制の特例措置の適用が検討・実施できるようになります。なお、個人版事業承継税制についても同趣旨の見直しがなされます。この改正は、2025年1月1日以後の贈与より適用されます。

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4 今後の対応について

2025年度においても、今回ご紹介した制度の他、スタートアップへの投資促進や活力ある地域経済の実現を後押しする税制など、多くの税制改正が予定されています。今回ご紹介した「防衛特別法人税」など増税方向の改正については、自社に影響があるかどうか、もしあるならキャッシュフローにどの程度の影響を及ぼすのかを、事前に確認しておくことが重要です。

一方で、税務上の優遇措置には適用するための要件が厳格に定められていたり、所定の書類の保存が必要な場合があったりするため、事前の準備が大切です。必要な書類をそろえていないことなどを税務調査で指摘され、思わぬ税負担を強いられることもあるので、特に改正された規定については早めに準備を進め、適用する上での判断などに迷いがある場合には、税理士などの専門家に相談し、適切に手続きを進めましょう。

以上(2025年3月作成)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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社労士が注目する2025年度の労務3大ニュース

1 2024年度・2025年度の3大ニュース

2024年度は、特にパート等関連では、明示する労働条件の範囲が広がったり(「無期転換」に関するものを含む)、社会保険の適用拡大が進んで、中小企業で働くパート等の多くが社会保険の加入対象となったりしました。また、いわゆる「2024年問題」として、建設業、自動車運転業務などに、時間外労働の上限規制が適用されました。

2025年度は、育児・介護に関する支援制度、高年齢者の働き方に関する重大な制度改正が実施されます。また、近年、社会問題となっている、いわゆる「自爆営業」について、厚生労働省のパワーハラスメント防止指針に対応が明記され、防止に向けた対策が求められる予定です。

2024年度・2025年度の労務3大ニュースは次の通りです。

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2 2024年度の総括

2024年4月1日より、労働契約の締結・更新時に明示すべき労働条件として、「就業場所・業務の変更の範囲」「更新上限の有無と内容」「無期転換申込機会、無期転換後の労働条件」が追加されました。特に無期転換後の労働条件の整備への対応が万全ではない会社も目立つところです。

同じく2024年4月1日より、「時間外労働の上限規制」が、長らく適用を猶予されていた建設業、自動車運転業務、医師、砂糖製造業(鹿児島県・沖縄県)にも適用されるようになりました。いわゆる「2024年問題」です。業務体制の変更を余儀なくされた会社も多かったのではないでしょうか。

また、2024年10月1日より、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入するパート等の範囲が拡大されました。改正前は、厚生年金保険の被保険者数が「常時100人超」の会社に雇用され、一定の条件を満たすパート等が対象でしたが、この被保険者数の要件が「常時50人超」に引き下げられました。なお、パート等については現在、年収の壁、国民年金の第3号被保険者問題、税制上の扶養範囲の見直しなどが議論されており、今後の動向に注視する必要があります。

3 2025年度の主なニュース

1)育児・介護に関する支援制度の拡充

2025年4月1日(一部は10月1日)より、

働きながら育児・介護をする従業員に対する支援制度が拡充

されます。内容は図表2の通りですので、要点を押さえつつ、必要に応じて就業規則や労使協定の見直しを行いましょう。なお、今回の改正により、育児・介護の支援制度等について、従業員への個別周知や意向確認などが必要になってきますが、このあたりについては、面談を実施する担当部署に負担が偏らないよう留意することも大切です。

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また、育児関連では支援制度の拡充に伴って、2025年4月1日より、「共働き・共育て」の推進などを目的とする雇用保険給付「出生後休業支援給付金」「育児時短就業給付金」が新設されます。

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もともと雇用保険には、最大で休業開始前賃金の67%相当額を支給する「育児休業給付金」という給付がありますが、図表3の給付が新設されることで、保障がより手厚くなります。 

2)高年齢者の働き方に関する改正

2025年4月1日より、

定年後も働くことを希望する従業員は全員、継続雇用(65歳まで)の対象

になります。これまで、労使協定(2012年度以前に締結されたものに限る)により、一定年齢以上の従業員を、継続雇用の対象から除外すること(雇用確保義務に対する経過措置)が認められていましたが、この経過措置が終了します。

さらに、同じく2025年4月1日より、

雇用保険給付の高年齢雇用継続給付の最大支給率が「15%→10%」に引き下げ

られます。高年齢雇用継続給付は、賃金が「60歳時点の75%未満」に低下した状態で働く場合に支給される雇用保険給付で、この支給率が次の通り変動します。

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3)パワーハラスメント防止指針に「自爆営業」が追加(予定)

現在(2025年1月31日時点)、政府内で、

パワーハラスメント防止指針に、パワハラの1つとして「自爆営業」を追加

することが検討されています。自爆営業とは、会社が使用者としての立場を利用し、従業員に不要な商品の購入を強要したり、ノルマを達成できない場合に自腹で契約を結ばせたりすることです。過去に、郵便局員が年賀はがきの販売ノルマなどにより、うつ病を発症した事案が労災認定されたことで、自爆営業という言葉が世に知れ渡ることになりました。

指針には、自爆営業が次の3要素を満たすと、パワハラに該当する旨が盛り込まれる予定です。

  • 優越的な関係を背景とした言動であること
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
  • 従業員の就業環境が害されるものであること

もともと労働施策総合推進法(いわゆる「パワハラ防止法」)により、会社にはパワハラの防止措置が義務付けられています。「自爆営業」が指針に具体的に明記されることで、防止措置の責任が明確化するため、具体的な防止策を講じる必要が出てきます。

4 今後の対応について

2025年度のトピックスには、労働力の減少を防ぐための改正が多く含まれています。

今回の育児・介護休業法の改正は内容が多岐にわたり、就業規則の見直し、従業員への周知など、実務面でもいろいろと対応が必要になるでしょう。ただ、両立支援に積極的に取り組むことは、会社にとっても「子育てサポート企業」としての認定(くるみん認定など)が受けやすくなったり、「両立支援等助成金」を受け取れたりといったメリットがあります。従業員の離職を防止する観点からも重要な改正ですので、これを機に社内の体制を見直していきましょう。

高年齢者については、高年齢雇用継続給付が縮小されるのに加え、現在、在職老齢年金(働きながら老齢厚生年金をもらうと、一定の場合に年金が減額される制度)の支給停止調整額の引き上げが検討されています。「公的給付があるから」という理由で、継続雇用する従業員の賃金を定年前よりも低く設定する運用も、次第に難しくなっていくかもしれません。従って、高年齢者に対する雇用制度・処遇の見直しも進めていくべきでしょう。

以上(2025年3月作成)
(監修 社会保険労務士法人AKJパートナーズ)

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