【業種別データ】下着類製造業の動向

下着類製造業は、事業所数・従業者数が減少する一方で、出荷額や付加価値額は増加し、生産性は改善しています。内訳を見ると、織物製下着は大幅減少で縮小傾向にある一方、ニット製下着や寝着類、補整下着は出荷額が伸び、構造転換が進行中です。原材料比率は低下し付加価値比率は上昇しているものの、経営指標では売上高営業利益率がマイナスで、損益分岐点比率も100%超と、依然として多くの企業が厳しい収益環境に置かれています。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の下着類製造業の事業所数は318事業所(対前年比95.8%)、従業者数は7410人(対前年比95.9%)、製造品出荷額等は984億8700万円(対前年比103.6%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は23人(対前年比100.2%)、現金給与総額は5800万円(対前年比96.9%)、原材料使用額等は1億6300万円(対前年比106.0%)、製造品出荷額等は3億1000万円(対前年比108.1%)、付加価値額は1億3200万円(対前年比110.9%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は249万円(対前年比96.7%)、製造品出荷額等は1329万円(対前年比108.0%)、付加価値額は566万円(対前年比110.7%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は52.6%(対前年比98.0%)、同付加価値額比率は42.6%(対前年比102.6%)、同現金給与総額比率は18.7%(対前年比89.6%)となっています。

【1170 下着類製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)織物製下着製造業

2023年の織物製下着製造業の事業所数は67事業所(対前年比90.5%)、従業者数は899人(対前年比85.9%)、製造品出荷額等は71億4800万円(対前年比73.3%)となっています。

【1171 織物製下着製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)ニット製下着製造業

2023年のニット製下着製造業の事業所数は131事業所(対前年比99.2%)、従業者数は3305人(対前年比98.2%)、製造品出荷額等は492億900万円(対前年比108.7%)となっています。

【1172 ニット製下着製造業】

4)織物製・ニット製寝着類製造業

2023年の織物製・ニット製寝着類製造業の事業所数は39事業所(対前年比97.5%)、従業者数は462人(対前年比106.2%)、製造品出荷額等は60億7500万円(対前年比101.6%)となっています。

【1173 織物製・ニット製寝着類製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

5)補整着製造業

2023年の補整着製造業の事業所数は81事業所(対前年比94.2%)、従業者数は2744人(対前年比95.3%)、製造品出荷額等は360億5500万円(対前年比105.7%)となっています。

【1174 補整着製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【下着類製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【業種別データ】外衣・シャツ製造業(和式を除く)の動向

外衣・シャツ製造業(和式を除く)は、事業所数・従業者数が微減傾向の一方で、製造品出荷額や付加価値額はわずかに増加し、生産性は改善しています。紳士服や事務・作業服、セーター類など一部分野で出荷額が大きく伸びる一方、シャツや乳幼児服などでは減少がみられ、品目間の明暗が分かれています。人件費・原材料費の比率はおおむね横ばいで、コスト増を価格や効率化で吸収しつつあるものの、経営指標では平均では赤字企業も多く、収益力の回復は道半ばといえます。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の外衣・シャツ製造業(和式を除く)の事業所数は3855事業所(対前年比99.0%)、従業者数は7万611人(対前年比99.8%)、製造品出荷額等は7072億4500万円(対前年比100.2%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は18人(対前年比100.8%)、現金給与総額は4600万円(対前年比101.7%)、原材料使用額等は9000万円(対前年比100.8%)、製造品出荷額等は1億8300万円(対前年比101.3%)、付加価値額は8500万円(対前年比102.5%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は248万円(対前年比100.8%)、製造品出荷額等は1002万円(対前年比100.4%)、付加価値額は465万円(対前年比101.7%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は48.9%(対前年比99.5%)、同付加価値額比率は46.4%(対前年比101.2%)、同現金給与総額比率は24.8%(対前年比100.4%)となっています。

【1160 外衣・シャツ製造業(和式を除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)織物製成人男子・少年服製造業(不織布製及びレース製を含む)

2023年の織物製成人男子・少年服製造業(不織布製及びレース製を含む)の事業所数は398事業所(対前年比99.7%)、従業者数は1万1257人(対前年比102.2%)、製造品出荷額等は872億900万円(対前年比108.5%)となっています。

【1161 織物製成人男子・少年服製造業(不織布製及びレース製を含む)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)織物製成人女子・少女服製造業(不織布製及びレース製を含む)

2023年の織物製成人女子・少女服製造業(不織布製及びレース製を含む)の事業所数は1,349事業所(対前年比98.4%)、従業者数は1万9460人(対前年比98.8%)、製造品出荷額等は1435億7200万円(対前年比102.3%)となっています。

【1162 織物製成人女子・少女服製造業(不織布製及びレース製を含む)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)織物製乳幼児服製造業(不織布製及びレース製を含む)

2023年の織物製乳幼児服製造業(不織布製及びレース製を含む)の事業所数は61事業所(対前年比100.0%)、従業者数は876人(対前年比97.6%)、製造品出荷額等は151億9100万円(対前年比90.9%)となっています。

【1163 織物製乳幼児服製造業(不織布製及びレース製を含む)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

5)織物製シャツ製造業(不織布製及びレース製を含み、下着を除く)

2023年の織物製シャツ製造業(不織布製及びレース製を含み、下着を除く)の事業所数は159事業所(対前年比98.1%)、従業者数は4465人(対前年比97.2%)、製造品出荷額等は326億3000万円(対前年比94.8%)となっています。

【1164 織物製シャツ製造業(不織布製及びレース製を含み、下着を除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

6)織物製事務用・作業用・衛生用・スポーツ用衣服・学校服製造業(不織布製及びレース製を含む)

2023年の織物製事務用・作業用・衛生用・スポーツ用衣服・学校服製造業(不織布製及びレース製を含む)の事業所数は710事業所(対前年比100.3%)、従業者数は1万5164人(対前年比99.0%)、製造品出荷額等は2334億3000万円(対前年比96.6%)となっています。

【1165 織物製事務用・作業用・衛生用・スポーツ用衣服・学校服製造業(不織布製及びレース製を含む)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

7)ニット製外衣製造業(アウターシャツ類、セーター類などを除く)

2023年のニット製外衣製造業(アウターシャツ類、セーター類などを除く)の事業所数は129事業所(対前年比100.8%)、従業者数は2100人(対前年比97.4%)、製造品出荷額等は226億8800万円(対前年比107.5%)となっています。

【1166 ニット製外衣製造業(アウターシャツ類、セーター類などを除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

8)ニット製アウターシャツ類製造業

2023年のニット製アウターシャツ類製造業の事業所数は567事業所(対前年比97.8%)、従業者数は6506人(対前年比96.0%)、製造品出荷額等は627億2100万円(対前年比93.6%)となっています。

【1167 ニット製アウターシャツ類製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

9)セーター類製造業

2023年のセーター類製造業の事業所数は220事業所(対前年比100.5%)、従業者数は4448人(対前年比105.4%)、製造品出荷額等は443億2300万円(対前年比115.7%)となっています。

【1168 セーター類製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

10)その他の外衣・シャツ製造業

2023年のその他の外衣・シャツ製造業の事業所数は262事業所(対前年比98.1%)、従業者数は6335人(対前年比104.7%)、製造品出荷額等は654億8100万円(対前年比99.5%)となっています。

【1169 その他の外衣・シャツ製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【織物製(不織布製及びレース製を含む)外衣・シャツ製造業(和式を除く)の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

ビジネスと人権

ビジネスの現場で、労働者の「人権」を守ろうという動きが活発化しています。政府は、「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020~2025)」を策定するなどして、国際的に認められた「労働者の基本的権利」を尊重するよう、企業に呼びかけています。2024年10月には厚生労働省が、具体例をわかりやすくまとめた「労働におけるビジネスと人権 チェックブック」を作成しました。本稿では、中小企業の現場で起こりやすい、身近な人権侵害の事例を紹介します。

1 児童、外国人労働者への権利侵害

<事例1>

児童労働に関する事例1

児童労働に関する事例です。労働基準法では、満18歳未満の人に、時間外労働や休日労働、深夜労働を行わせることを原則禁止しています。例外的に、1週間の労働時間が40時間を超えない範囲内で、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合には、他の日の労働時間を10時間まで延長できます。高校生のアルバイトなどを雇っている企業は、注意が必要です。

<事例2>

強制労働に関する事例2

強制労働に関する事例です。上記のケースは、労働基準法が禁止している強制労働に該当する可能性があります。会社が従業員にお金を貸した場合に、会社がその借金を賃金と相殺することも、労働基準法で禁止されています。

<事例3>

強制労働に関する事例3

強制労働に関する事例です。外国人を雇用している企業は注意が必要です。パスポートや在留カードがないと、労働者が転職したくても、他の仕事を見つけることができません。また、公的サービスを受けることもできなくなります。携帯電話を預かることも、労働者が外部にアクセスできず、隔絶された状況に置かれるため、強制労働に当たる可能性があります。

<事例4>

結社の自由と団体交渉に関する事例4

結社の自由と団体交渉に関する事例です。労働者の過半数を代表する者(労働者代表)は、36協定などを締結する際に必要です。労働者の話し合いや挙手、投票など民主的な方法で選ばなければならず、使用者の指名や、使用者の意向に基づく選出はできません。また、経営者と一体となって従業員の労働条件などを決める立場の人(管理監督者)は、労働者代表になれません。

2 差別、安全衛生上のリスク

<事例5>

差別に関する事例5

差別に関する事例です。採用面接時に、本人に責任のない事項(本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境・家庭環境)や、思想・信条に関わること(宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、購読新聞、愛読書など)を尋ねないよう、注意が必要です。職務遂行に関係ない個人的な事情により採用を判断することになってしまい、差別につながるおそれがあります。

<事例6>

差別に関する事例6

差別に関する事例です。産前産後休業は労働基準法で、育児・介護休業は育児介護休業法に定められた労働者の権利です。しかし、中小零細企業の中にはいまだに、「うちの会社には育児・介護休業制度はない」と言う経営者がいます。これらの休業は、企業の規模にかかわらず、労働者に与えなければなりません。

<事例7>

安全衛生に関する事例7

安全衛生に関する事例です。労働安全衛生法などの定めにより、仕事中にけがや病気で労働者が死亡したり、休業したりした場合には、労働基準監督署に報告する義務が企業に課されています。

3 さいごに

「労働におけるビジネスと人権 チェックブック」では、「児童労働」「強制労働」「結社の自由と団体交渉」「差別」「安全衛生」の5分野で、計61の事例を取り上げています。各分野について、サプライチェーンにおける取引先企業の労働者などとの対話も、人権を守るうえで重要であると明記されています。

※事例はいずれも、厚生労働省「労働におけるビジネスと人権 チェックブック」より引用

※本内容は2025年4月10日時点での内容です。
(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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画像:Aryanedi-Adobe Stock

ビジネスと人権

ビジネスの現場で、労働者の「人権」を守ろうという動きが活発化しています。政府は、「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020~2025)」を策定するなどして、国際的に認められた「労働者の基本的権利」を尊重するよう、企業に呼びかけています。2024年10月には厚生労働省が、具体例をわかりやすくまとめた「労働におけるビジネスと人権 チェックブック」を作成しました。本稿では、中小企業の現場で起こりやすい、身近な人権侵害の事例を紹介します。

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【労災の落とし穴(製造業)】 腰痛の悪化は労災にならない?

この記事では、現役社労士が直面した小さな製造業の労災の事例として、「業務により腰痛が悪化した社員について、『もともと腰が悪かったのなら、労災ではない』と判断してしまった会社」の話を紹介します(実際の会社が特定できないように省略したり、表現を変えたりしているところがあります)。

1 もともと腰が悪かったので、労災保険を使わせなかった……

社員数5人の機械メンテナンス会社に勤めるDさん。出張先の工場で重い機械の点検作業をしている最中、腰をひねって激痛に襲われました。もともと腰痛持ちのDさんは「持病が悪化しただけかもしれない」と考え、社長には報告せずに病院へ向かいます。

医師からは「椎間板ヘルニアの疑いがあるため、一定期間の休業が必要」と診断され、Dさんは社長に報告しました。

しかし、社長は休業を認めたものの、「もともと腰が悪かったのなら、業務とは関係ない」と労災にはしない方針を示し、Dさんは「自己都合休業」になってしまいました。

2 業務により腰痛が悪化したのなら、労災になり得る

腰痛はビジネスパーソンであれば大抵の人が抱える悩みなので、労災と関係ないように思われがちですが、実は状況次第で労災認定されます。

具体的には業務起因性について、図表のように独自の基準が定められています。「災害性の原因による腰痛」「災害性の原因によらない腰痛」にそれぞれの基準がありますが、今回は業務中に腰をひねったことによる腰痛なので、前者(赤字部分)に注目してください。

画像1

このケーススタディーでは、社長が「もともと腰が悪かったのなら、業務とは関係ない」と言っていますが、Dさんは点検作業中に腰をひねり、椎間板ヘルニアを疑われるほど腰を痛めているので、

医師が「業務により症状が著しく悪化した」と明確に結論付けたのなら、業務起因性が認められる可能性が高い

です。業務遂行性については、そもそも業務時間中に発生した事故ということで認められるので、このケースが労災認定される可能性も高いといえるでしょう。

3 腰痛については医師の判断に任せつつ、社内では腰痛予防対策を講じる

腰痛は製造業の現場で起きやすい職業病の1つですから、まずは前述した図表の考え方をしっかり押さえましょう。

「災害性の原因による腰痛」の場合、腰痛の悪化に医学的な根拠があるかどうかを判断するのは医師なので、社員本人や社長が勝手に判断せず、まずはきちんと医師に相談するようにしましょう。

また、毎日不自然な体勢での作業を行っていて腰痛が悪化した場合なども、「災害性の原因によらない腰痛」として労災認定されることがあります。ですから、

  • かがんで作業をしなくても済むよう、高さを調節できる作業台や椅子を用意する
  • 重量物を運ぶ作業が多い場合、腰への負担を和らげるアシストスーツを着用させる
  • 作業前に、社員全員でストレッチを中?とした腰痛予防体操をする

などの腰痛予防対策を講じて、社員が腰を痛めにくい環境をつくることが大切です。腰痛予防対策についてより詳しく知りたい場合、厚生労働省が予防のポイントやチェックリストを公表しているので参考にするとよいでしょう。

■厚生労働省「腰痛予防対策」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31158.html

以上(2025年5月作成)

pj00750
画像:ChatGPT

【労災の落とし穴(製造業)】 本人のミスなら自己責任?

この記事では、現役社労士が直面した小さな製造業の労災の事例として、「保護具を着用しなかったせいで負傷した社員について、『本人のミスなので労災ではない』と判断してしまった会社」の話を紹介します(実際の会社が特定できないように省略したり、表現を変えたりしているところがあります)。

1 保護メガネを着用しなかったという理由で、労災保険を使わせなかった……

社員数20人で、溶接作業が中心の工場に勤めるCさん。ある日、業務時間中に保護メガネの着用を忘れて作業していた際、目に金属片が入ってしまいました。Cさんは作業を中断し、水で洗い流すなどの応急処置をしましたが、痛みが激しく視界もぼやけた状態です。

社長に報告したところ、「保護メガネを着用せずにけがをしたなら自己責任。会社が補償する必要はない」と言われ、Cさんも「自分のミスだから仕方ない」と思い込んでしまいます。

病院に行くと角膜に傷ができており、医師から「数日間の安静が必要」と診断されました。しかし、社長は「有給休暇を使って休むように」と指示し、労災保険を使うことを拒否。結局、Cさんは健康保険で診療を受けなければならなくなりました。

2 「本人のミスかどうか」は労災認定には関係ない

業務中の事故でけがをした場合、それが労災になるかどうかは、

  • 業務遂行性:その事故は、「会社の支配・管理下にある」ときに発生したのか
  • 業務起因性:その事故は、「業務と因果関係がある」といえるか

を基準に判断されます。つまり、

事故が「本人のミスによるものかどうか」は労災認定には関係ない

ので、「自己責任だから労災申請しなくていい」という言い分は通用しません。

このケーススタディーでは、Cさんは会社の支配・管理下にある業務時間中に、溶接作業で生じる金属片によってけがをしているので、労災認定される可能性が高いでしょう。

3 社員への「安全衛生教育」を徹底する

社員が「故意に事故を起こした」「私的な用事をしていて事故に遭った」などの特殊なケースでなければ、業務中におきたけがは、基本的に労災になるので労災保険を使うことを徹底しましょう。

また、会社には社員がけがや病気をせずに働けるよう配慮する「安全配慮義務」があるので、

「安全衛生教育」の実施体制に問題があれば、会社は労災発生の責任を問われる

こともあります。現場に「作業中は必ず保護メガネを着用すること!」などの張り紙をした上で、社長や管理職からも口頭で指導する体制を整える必要があるでしょう。

なお、社員にも自身の健康を守り、安全に働けるよう努力する「自己保健義務」があるので、安全管理を徹底させるためにも、社内規程(就業規則本則や安全衛生管理規程)で、

  • 社員には作業前に保護具を着用する義務があること
  • 着用義務に違反し、注意・指導をしても改善しない場合、懲戒処分の対象とすること

などを定めておくとよいでしょう。

以上(2025年5月作成)

pj00749
画像:ChatGPT

【新人経理向け】保有目的によって決算書に記載する金額が変わる有価証券の決算処理

1 金融商品のポイントは時価評価

決算書にはさまざまな資産が計上されますが、決算時、特に注意が必要なのが金融商品です。金融商品は大きく金融資産と金融負債に分けられ、次のようなものがあります。

  • 金融資産:現金預金、金銭債権(受取手形、売掛金、貸付金など)、有価証券(株式、公社債など)、デリバティブ取引による正味の債権
  • 金融負債:金銭債務(支払手形、買掛金、借入金、社債など)、デリバティブ取引による正味の債務

金融商品の会計処理は、

取得原価ではなく、時価評価で期末時点の価額を貸借対照表に反映

しなければなりません。

取得原価のまま決算書に載せてしまうと、その金融資産が含み損(取得時よりも時価が値下がりしていること)を抱えていたとしても、実際にそれを売却するまでは含み損があるかどうかは分かりません。また、時価評価すれば債務超過になる貸借対照表でも、取得原価のままなら健全に見えてしまう場合も考えられます。会社が倒産するまで「多額の不良債権」の存在が外部から把握できないケースもあり得るのです。

こうしたリスクをなくすために、この記事では、中小企業の経理実務に即した会計ルールである「中小会計要領」(中小企業の会計に関する基本要領)に合わせて、有価証券の評価と会計処理の方法を解説します。

2 異なる有価証券の評価方法

1)有価証券の分類と評価

中小会計要領では、原則として取得原価での会計処理になります。ただし、売買目的有価証券(短期間の価格変動により利益を得る目的で、売買を繰り返す有価証券)は時価での会計処理になります。また、時価が取得原価よりも著しく下落したときは、回復の見込みがあると判断した場合を除き、時価で貸借対照表に計上し、評価差額を当期の損失として減損処理しなければなりません。

2)売買目的有価証券

時価の変動による利益を得ることを目的に保有する有価証券は、

決算日の時価で貸借対照表に計上し、評価差額は当期の損益

として処理します。「時価の変動による利益を得ることを目的として保有する」とは、

時価の短期的な価格変動により利益を得ることを目的とし、同一銘柄に対して相当程度に繰り返し売買が行われる体制が整っていること

が前提です。例えば、定款に会社の目的として有価証券売買業が記載されており、有価証券売買のための人材が独立した専門部署で有価証券売買を行っている場合が挙げられます。

そのため、一般の事業会社が余剰資金の運用目的で有価証券を購入しても、その有価証券は売買目的有価証券に分類されないのが原則です。ただし、売買を頻繁に繰り返していると判断できる場合は、売買目的有価証券に分類することができます。売買目的有価証券を売却した場合、売却時点で付されている帳簿価額と売却価額との差額を当期の売却損益として処理します。なお、同一銘柄の有価証券を売買目的有価証券とそれ以外の区分で分けて保有しており、当該有価証券の一部を売却したときは、これらが社内で、明確に分別管理されていなければ、まずは売買目的有価証券を売却したものと推定します。

3)事例で確認 売買目的有価証券の会計処理

A株式(上場有価証券)を売買目的で保有しており、その有価証券の取引状況は次の通りとします。

×1年度期中においてA株式を1000万円で取得

×1年度期末のA株式の時価は1100万円

×2年度期中にA株式を1500万円で売却

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3 株や債券が大暴落したときの「減損」

1)市場価格のある有価証券の減損処理

取得原価で評価した有価証券(売買目的有価証券以外の有価証券)のうち、市場価格または合理的に算定された価額(時価)のあるものについて時価が著しく下落したとき(回復する見込みがあると認められる場合を除く)は、時価で貸借対照表に計上し、評価差額を当期の損失として評価損を計上する必要があります。

「時価が著しく下落したとき」とは、個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べて50%程度以上下落した場合が当てはまります。

例えば、その他有価証券を1000万円で取得したが、期末時価が400万円に下落し、かつ、将来取得原価まで回復する見込みがはっきりしない場合には、評価損を計上する必要があります。

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次年度以降のその他有価証券の取得原価は減損処理後の金額400万円となります。なお、この評価額は税務上も損金処理できることになっています。

2)市場価格のない株式の減損処理

市場価格のない株式(証券取引所で売買されていない株式や出資金など)は取得原価で貸借対照表に計上します。また、株式の発行会社の財政状態の悪化により、実質価額が著しく下がったときは相当の減額を行い、評価差額は当期の損失として評価損を計上する必要があります。

「財政状態の悪化による実質価額が著しく下がったとき」とは、大幅な債務超過などでほとんど価値がないと判断できる場合などが当てはまります。

なお、この評価額は税務上も損金処理できることになっています。

以上(2025年4月)
(監修 税理士 石田和也)

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画像:photo-ac

【業種別データ】綱・網・レース・繊維粗製品製造業の動向

綱・網・レース・繊維粗製品製造業は、事業所数こそ微減ながら、2023年の製造品出荷額は前年比105.5%と増加し、1事業所当たり・1人当たりの出荷額や付加価値も伸びており、生産性は改善傾向にあります。一方、分野別に見ると、漁網やフェルト・不織布、上塗り織物などは堅調な伸びを示す一方、レースは事業所・従業者・出荷額が減少しており、需要構造の変化がうかがえます。業界全体の売上高営業利益率はマイナス、損益分岐点比率も高く、売上は伸びても収益・財務基盤には大きな課題が残る業界と言えます。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の綱・網・レース・繊維粗製品製造業の事業所数は1029事業所(対前年比98.7%)、従業者数は2万229人(対前年比100.0%)、製造品出荷額等は5463億8700万円(対前年比105.5%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は20人(対前年比101.4%)、現金給与総額は8300万円(対前年比103.9%)、原材料使用額等は3億900万円(対前年比104.7%)、製造品出荷額等は5億3100万円(対前年比106.9%)、付加価値額は1億9300万円(対前年比108.7%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は422万円(対前年比102.5%)、製造品出荷額等は2701万円(対前年比105.5%)、付加価値額は979万円(対前年比107.2%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は58.1%(対前年比98.0%)、同付加価値額比率は36.3%(対前年比101.6%)、同現金給与総額比率は15.6%(対前年比97.2%)となっています。

【1150 綱・網・レース・繊維粗製品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)綱製造業

2023年の綱製造業の事業所数は95事業所(対前年比100.0%)、従業者数は1631人(対前年比104.7%)、製造品出荷額等は356億2000万円(対前年比107.9%)となっています。

【1151 綱製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)漁網製造業

2023年の漁網製造業の事業所数は101事業所(対前年比100.0%)、従業者数は2190人(対前年比100.4%)、製造品出荷額等は529億3400万円(対前年比109.6%)となっています。

【1152 漁網製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)網地製造業(漁網を除く)

2023年の網地製造業(漁網を除く)の事業所数は53事業所(対前年比96.4%)、従業者数は1020人(対前年比106.0%)、製造品出荷額等は226億9200万円(対前年106.1%)となっています。

【1153 網地製造業(漁網を除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

5)レース製造業

2023年のレース製造業の事業所数は123事業所(対前年比97.6%)、従業者数は1104人(対前年比92.9%)、製造品出荷額等は181億7400万円(対前年比98.5%)となっています。

【1154 レース製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

6)組ひも製造業

2023年の組ひも製造業の事業所数は107事業所(対前年比100.9%)、従業者数は1032人(対前年比103.5%)、製造品出荷額等は115億9100万円(対前年比111.0%)となっています。

【1155 組ひも製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

7)整毛業

2023年の整毛業の事業所数は30事業所(対前年比107.1%)、従業者数は189人(対前年比108.0%)、製造品出荷額等は30億8500万円(対前年比137.3%)となっています。

【1156 整毛業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

8)フェルト・不織布製造業

2023年のフェルト・不織布製造業の事業所数は231事業所(対前年比97.9%)、従業者数は9232人(対前年比97.7%)、製造品出荷額等は2874億9600万円(対前年比103.8%)となっています。

【1157 フェルト・不織布製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

9)上塗りした織物・防水した織物製造業

2023年の上塗りした織物・防水した織物製造業の事業所数は45事業所(対前年比102.3%)、従業者数は1824人(対前年比109.1%)、製造品出荷額等は840億500万円(対前年比102.2%)となっています。

【1158 上塗りした織物・防水した織物製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

10)その他の繊維粗製品製造業

2023年のその他の繊維粗製品製造業の事業所数は244事業所(対前年比96.8%)、従業者数は2007人(対前年比98.0%)、製造品出荷額等は307億8900万円(対前年比122.8%)となっています。

【1159 その他の繊維粗製品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【レース・繊維雑品製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

賃上げ、設備投資。2025年度の注目税制を税理士が厳選!

1 税制改正大綱の内容はいつから実行される?

毎年年末に税制改正大綱が公表されますが、その内容は今すぐに実行されるわけではありません。税制改正大綱の内容を実行するための法令は、年明け1~3月に国会で審議されますし、そもそも税制改正大綱には、

その翌年度の改正だけでなく、翌々年度以降の改正

も含まれているのです。

となると、経営者や実務担当者は、税制改正大綱の内容が、いつから実行されるのかを意識しておく必要があります。そういう意味でいえば、直近の税制改正大綱の内容はどうなのでしょうか。皆さんが注目している税制が、実はまだ先のことだったら困りますよね。

そこで、この記事では、近年話題になっている様々な税制の中から、

中小企業が2025年度に使える税制

について紹介していきます。具体的には、

賃上げ、設備投資、寄附

をした、または検討している中小企業の経営者や実務担当者は確認してみてください。

なお、この記事で紹介している賃上げ、設備投資に関する税制は、中小企業者等を対象としています。中小企業者等とは、

資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人(同一の大規模法人から、発行済株式の総数または出資の総額の2分の1以上を所有されている法人などを除く)など

をいいます。

2 【賃上げ】賃上げ促進税制

賃上げ促進税制は、

中小企業が前年度よりも給与などを増やした場合に、その増加額の一部が控除できる制度

です。通常要件に加え、上乗せ措置があり、それぞれの要件を満たすごとに、一定の税額控除率が加算されます(最大の税額控除率45%)。

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例えば、給与の合計額を前年度から500万円増やした場合、75万円(=500万円×15%)を法人税額から控除できます(通常要件のみを満たした場合のケースです)。税額控除(法人税を減額するもの)なので、75万円分、納税額が少なくなります。ただ、上限金額が決まっており、税額控除前の法人税額の20%までしか控除できません。

この税制の適用を受けるためには、法人税の申告の際に、確定申告書に、税額控除の対象となる雇用者給与等支給増加額、控除を受ける金額と、その金額の計算に関する明細書を添付する必要があります。

なお、賃上げ促進税制は税額控除であるため、

  • 法人税が発生しない赤字の会社
  • 黒字であっても、納税額が控除額より少ない会社

は要件を満たしても、その年度にメリットの全部または一部を受けられません。そのような会社には、最大5年間、控除しきれなかった額を繰り越して税額控除を受けられる措置があります。

3 【設備投資】中小企業投資促進税制・中小企業経営強化税制・固定資産税の特例

1)中小企業投資促進税制

中小企業投資促進税制は、

生産性の向上を目的に、一定の設備投資やソフトウエアを購入した場合に、その投資額の一部を税額控除か、特別償却(通常の減価償却費のかさ増し)のいずれかを選択して適用できる制度

です。ただし、資本金3000万円超の中小企業については特別償却しか適用できません。

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例えば、生産性の向上を目的に200万円の機械装置を購入して税額控除を選択した場合、14万円(=200万円×7%)を法人税額から控除できます(法人税額の20%限度内である場合)。

なお、購入した設備ごとに購入金額や重量などの下限が決められています。また、一部の業種(電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、映画業を除く娯楽業など)は対象外なので、自社の業種が指定事業に含まれるか確認しましょう。

この税制は、事前の申請などは必要なく、法人税の申告の際に、確定申告書に一定の書類を添付することで適用を受けられます。

1.特別償却の場合

  • 中小企業者等が取得した機械等の特別償却の償却限度額の計算に関する付表
  • 適用額明細書

2.税額控除の場合

  • 中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書
  • 適用額明細書

2)中小企業経営強化税制

中小企業経営強化税制は、

中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づいて、新たな設備投資をした場合に、税額控除か即時償却のいずれかを選択して適用できる制度

です。要件は4つのタイプに分かれており、それぞれに定められた要件を満たす必要があります。昨年度(2024年度)まで対象であったデジタル化設備(C類型)が除かれ、新たに経営規模拡大設備(B類型の拡充)が加えられています。

また、法人税の申告の際に、確定申告書に一定の書類(別表や適用額明細書)を添付することで、適用を受けられます。

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例えば、150万円のシステム投資を行って税額控除を選択した場合、15万円(=150万円×10%)を法人税額から控除できます(法人税額の20%限度内である場合)。

なお、中小企業投資促進税制と同様、購入した設備ごとに購入金額の下限が決められているので注意が必要です。また、一部の業種(電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、映画業を除く娯楽業など)は対象外なので、自社の業種が指定事業に含まれるか確認しましょう。

この税制を受けるためには、事前に経営力向上計画を作成し、国から認定を受けなければなりません。申請準備から認定までおおよそ3カ月はかかるといわれているので、早めの相談が必要です。また、法人税の申告の際に、確定申告書に一定の書類(認定計画の申請書および認定書の写しや別表、適用額明細書)を添付しなければなりません。

3)固定資産税の特例

固定資産税の特例は、

中小企業等経営強化法の認定を受けた認定先端設備等導入計画に基づいて、新たな設備投資をし、かつ一定率以上の賃上げを表明した場合に、固定資産税の一部が3年間または5年間減免される制度

です。

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例えば、機械装置200万円を購入した場合、約14万円(≒200万円×1.4%×1/2。一般要件のみを満たした場合の購入初年度ケースです)の固定資産税の減免を受けられます。

この税制を受けるためには、事前に先端設備等導入計画を作成し、市区町村(東京都特別区の場合は東京都)から認定を受けなければなりません。設備投資については、認定後に行うことが必須です。なお、先端設備等導入計画の作成には1カ月程度はかかるといわれているので、早めの相談が必要です。また、償却資産の申告の際に、一定の書類(先端設備等導入計画に係る固定資産税の課税標準の特例適用申請書や認定書の写しなど)を添付しなければなりません。

4 【寄附】企業版ふるさと納税

企業版ふるさと納税は、

会社が自治体に寄附すると、税負担を軽減することができる制度

です。軽減効果は、寄附額の最大9割とされており、内訳は、

  • 法人住民税と法人税の税額控除が4割
  • 法人事業税の税額控除が2割
  • 法人税の損金算入で約3割

です。寄附額の下限金額は10万円で、本社が所在する自治体などへの寄附は対象外となっています。寄附を募っている自治体や事業については、内閣府「企業版ふるさと納税ポータルサイト」で確認してみましょう。

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なお、企業版ふるさと納税には、個人版と異なり返礼品はありません。そのため、会社の社会貢献活動や自治体とのパートナーシップ構築などを目的に行われています。この税制を受けるためには、確定申告時に、企業版ふるさと納税の適用がある寄附を行ったことを申告するとともに、受領証の写しを提出(法人税の申告にあっては保管)しなければなりません。

以上(2025年5月作成)
(執筆 南青山税理士法人 税理士 窪田博行)

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画像:Vanz Studio-Adobe Stock

【労災の落とし穴(製造業)】 労災かくしで労基署の調査が!?

この記事では、現役社労士が直面した小さな製造業の労災の事例として、「社員と口裏を合わせて労災かくしをしようとした結果、それが労働基準監督署にバレてしまった会社」の話を紹介します(実際の会社が特定できないように省略したり、表現を変えたりしているところがあります)。

1 社員と口裏を合わせたつもりが、本人が医師に真相を打ち明けて大問題に……

社員数10人の金属製造工場に勤めるBさん。機械に部品をセットする際に誤って指を挟み、大量に出血してしまいました。医師からは「少なくとも1週間程度は安静が必要。指の機能回復に時間がかかる」と診断され、10日以上仕事を休むことになりました。

この会社では、過去に似た状況で社員が負傷し、労働基準監督署の調査が入ったことがあります。苦い経験のある社長は、Bさんに「指のけがぐらいなら健康保険で治療してくれる。業務中のけがだってことは黙っていてね」と持ちかけます。Bさんは「社長がそう言うなら……」と、指示に従いました。

しかし、悪いことはできないもので、数カ月後に事態は急変します。Bさんはけがの回復が芳しくなく、医師から手術が必要と宣告されます。会社への不満が募っていたBさんは、とうとう医師に「実は業務中のけがだった」と打ち明けました。この話が病院から労働基準監督署に伝わり、監督官による会社への立ち入り調査が実施されました。

調査の結果、明らかに業務中のけがなのに、労働者死傷病報告が提出されていなかったことが判明。会社側が故意に報告をせず、社員にも口止めしていた点が重く見られ、社長は労働安全衛生法違反で、刑事責任を問われることになりました。

2 口裏を合わせても、いずれはバレる

労災かくしに協力させられた社員の中には、会社への不満だったりつい口を滑らせたりして

医師や労働基準監督署に「実は業務中のけがだった」と報告する人も少なくありません。その結果、労働基準監督署の監督官による立ち入り調査が実施され、経営者が処罰されるケース

もあります。業務中にけがをした場合、診察や治療を受ける際は、原則として労災保険を使わなければなりません。

このケーススタディーは、長期休業が必要なレベルのけがにもかかわらず、健康保険を使わせるという極めて悪質な労災かくしです。「労災であっても、社員と口裏を合わせて報告しなければバレない」という甘い考えが通用するはずもなく、結果として社長が刑事責任を問われることになりました。

3 意図的な労災かくしは言語道断、正しい手続きを!

まずは、「労災が発生したら労災保険で対応する」「労災により休業・死亡が発生した場合、労働者死傷病報告を提出する」という法律のルールを守りましょう。ちなみに、労働者死傷病報告の提出時期は、

  • 4日以上の休業(または死亡)の場合:労災発生から遅滞なく
  • 4日未満の休業の場合:3カ月ごと(4月末、7月末、10月末、1月末)

となっていて、2025年1月からは「電子政府の総合窓口(e-Gov)」での提出(電子申請)が義務化されています。

なお、会社が労災保険で対応しようとしても、社員のほうが「会社に迷惑をかけたくない」と健康保険を使おうとするケースが時折見受けられますが、社員の意思に関係なく、

事故の内容が労災であれば、会社は労働者死傷病報告を提出しなければならない

ので、労災かくしを疑われないためにも、「業務中のけがの場合は労災保険を使うこと」を社員にも徹底させましょう。万が一健康保険で診察や治療を受けてしまった場合でも、所定の手続きを踏めば労災保険に切り替えられる制度があるので、併せて社員に周知するとよいでしょう。

■厚生労働省「お仕事でのケガ等には、労災保険!」■
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000150202.pdf

以上(2025年5月作成)

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画像:ChatGPT