【労災の落とし穴(製造業)】化学物質による中毒症状は労災?

この記事では、現役社労士が直面した小さな製造業の労災の事例として、「業務に関係する職業病を発症した社員について、『ただの体調不良だから労災ではない』と判断してしまった会社」の話を紹介します(実際の会社が特定できないように省略したり、表現を変えたりしているところがあります)。

1 有機溶剤の中毒症状なのに、ただの体調不良として処理してしまった……

社員数8人の印刷会社に勤めるFさん。この会社では、印刷物のクリーニングや清掃作業などで有機溶剤を取り扱いますが、恐ろしいことに、換気装置のメンテナンスや保護具使用のルールの徹底が不十分……。

ある日、Fさんが長時間にわたって印刷機の清掃作業をしていたところ、急にめまいや頭痛を起こし、その場に座り込んでしまいました。社長はFさんの不調には気付きましたが、「疲れがたまっているだけでは?」「季節の変わり目で風邪でも引いたかな?」と軽く考え、水分補給と一時休憩をさせるだけにとどまりました。

しかし、翌日になってもFさんの症状は治まりません。病院で診察を受けた結果、「有機溶剤の吸引による中毒症状の疑いがある」と診断され、しばらく入院しなければならなくなりました。

社長は当初、「ただの体調不良だと思っていた」という理由で、Fさんに健康保険で治療を受けてもらっていました。それが後になって、「実は業務による有機溶剤の吸引が原因だった」と判明し、慌てて労災の手続きをしましたが、労働基準監督署から「業務上の疾病が疑われる場合は早急に適切な対応をすること」と、厳重注意を受けてしまいました。

2 「職業病リスト」に定められている病気を発症したのなら、労災になり得る

風邪や花粉症のように、仕事をしてもしなくてもかかり得る病気で体調不良になった場合、原則として労災にはなりません。ですが、厚生労働省が公表している「職業病リスト」のいずれかを発症し、なおかつ業務との因果関係が明確な場合は、労災として認定されます。

■厚生労働省「職業病リスト(労働基準法施行規則別表第1の2)」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30055.html

このケーススタディーでは、社長は当初、Fさんの不調をただの体調不良と軽く考えていましたが、有機溶剤に含まれる「クロロホルム」「四塩化炭素」などが、職業病リストの

厚生労働大臣の指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)にさらされる業務による疾病であつて、厚生労働大臣が定めるもの

の化学物質に該当し、Fさんが印刷機の清掃作業でそれらの化学物質にさらされたということで、有機溶剤中毒が労災認定されています。

印刷所で使用する洗浄剤やインキには様々な化学物質が使用されているにもかかわらず、曝露(ばくろ)のリスクを軽視していたのは問題です。作業環境の換気が不十分で、保護具の着用も徹底されていなかったため、会社は安全配慮義務違反の責任を問われることになるでしょう。

3 自社に関係する職業病の確認と、予防のための安全衛生教育を!

業務で化学物質や溶剤などを扱う場合、自社の社員がどのような職業病を発症するリスクがあるのかは、あらかじめ把握しておく必要があります。また、体調不良の社員に気付いた際は、本人が「ちょっと具合が悪いだけ」「休めば治る」と言っても、真っ先に中毒を含む職業病を疑い、早急に病院を受診させるべきです。

印刷業で使用する溶剤は、換気扇や排気ダクトの設置など物理的な対策と併せて、SDS(安全データシート)の確認や社員教育が必須です。防毒マスクやゴーグル、手袋など保護具着用を徹底し、定期的な安全衛生教育を実施しましょう。

化学物質による健康被害の防止には、「より有害性が低いことが分かっている物質」への切り替えが重要です。特にオフセット印刷事業所では、洗浄などに使用される有機溶剤は、他の物質で代替できることが少なくありません。

以上(2025年5月作成)

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画像:ChatGPT

【労災の落とし穴(製造業)】休憩時間中にけがしたら労災?

この記事では、現役社労士が直面した小さな製造業の労災の事例として、「休憩時間中、会社の設備が原因で負傷した社員について、『休憩時間中のけがだから、労災ではない』と判断してしまった会社」の話を紹介します(実際の会社が特定できないように省略したり、表現を変えたりしているところがあります)。

1 休憩時間中のフォークリフトとの接触事故で、労災保険を使わせなかった……

社員数15人の部品加工工場に勤めるEさん。工場内ではフォークリフトで材料や製品を移動させていますが、カーブミラーが未設置の曲がり角がある上、スペースが狭くて通路の区画が曖昧……。さらに休憩スペースの出入り口とフォークリフトが頻繁に通る通路が隣接していて、いつ接触事故が起きても不思議ではない状態です。

ある日の休憩時間中、Eさんは用を思い出して休憩スペースを出ようとした際、通路のカーブを曲がってきたフォークリフトに接触し、右足を骨折してしまいました。しかし、社長は「休憩時間中の事故だから労災ではない」と判断し、Eさんは健康保険で治療を受けることになってしまいました。

2 休憩時間中も、会社の施設内で発生した事故は労災になり得る

休憩時間中の事故については、社員が業務から解放されて自由に過ごせる状況であれば、原則として労災になりません。ただし、会社の施設内で休んでいて、かつ会社の設備が原因でけがをした場合は、

  • 緊急時など必要があれば、会社が社員に干渉できる(業務遂行性)
  • 会社が安全管理を怠り、社内に潜む危険が顕在化したといえる(業務起因性)

という理由から、労災認定されることがあります。

このケーススタディーでは、社長が「休憩時間中の事故だから労災ではない」と判断していますが、Eさんは休憩時間中、工場内の休憩スペースで過ごしているので、業務遂行性は認められるでしょう。加えて、

  • 曲がり角の見通しが悪いのに、カーブミラーが設置されていない
  • 休憩スペースが危険な位置にあるにもかかわらず、明確な動線区分がされていない

という、会社の安全管理が不十分な状態でフォークリフトと接触し、けがをしているので、業務起因性も認められるでしょう。つまり、労災認定される可能性が高いです。

3 事故が起きないよう、環境整備を徹底!

製造業の現場では、フォークリフトや台車など、車両と人との接触事故が起こりやすいです。「スペースが限られているし、ある程度の事故は仕方がない」というような考えだと、いざ事故が起きたとき、安全配慮義務違反で責任を問われることになりかねません。

まずは、会社としてできる限りの事故防止策が取れているかを確認しましょう。例えば、

  • 床にラインを引く、安全柵・ブザー・カーブミラーを設置するなど、物理的な環境整備を徹底する
  • 休憩スペースの配置を再検討し、通路をフォークリフトが横断しないようにする

といった具合です。また、フォークリフトの運転者だけでなく、休憩スペースを利用する全社員に対して、「危険箇所の共有」「利用時の注意点」を周知徹底する必要があります。

以上(2025年5月作成)

pj00751
画像:ChatGPT

【業種別データ】寝具・その他の繊維製品製造業の動向

寝具・その他の繊維製品製造業は、事業所数・従業者数がわずかに減少する一方で、製造品出荷額は前年比5.2%増と堅調でした。特に繊維製衛生材料(医療用ガーゼ・脱脂綿など)が前年比186%と大幅成長し、全体の伸びを牽引しています。寝具や毛布、タオルなどの主要分野は横ばいから微増で推移し、安定的な需要を維持していますが、原材料費比率の上昇により付加価値率が低下し、収益性には課題が見られます。総じて、成熟市場の中で高付加価値製品や衛生材分野が成長の鍵となる構造に移行している状況です。

1 業界動向

1)業界全体

2023年のその他の繊維製品製造業の事業所数は3247事業所(対前年比99.5%)、従業者数は5万2111人(対前年比98.9%)、製造品出荷額等は1兆193億6000万円(対前年比105.2%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は16人(対前年比99.4%)、現金給与総額は5000万円(対前年比102.8%)、原材料使用額等は1億8700万円(対前年比107.1%)、製造品出荷額等は3億1400万円(対前年比105.7%)、付加価値額は1億1100万円(対前年比102.4%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は314万円(対前年比103.4%)、製造品出荷額等は1956万円(対前年比106.3%)、付加価値額は691万円(対前年比103.0%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は59.5%(対前年比101.3%)、同付加価値額比率は35.3%(対前年比96.9%)、同現金給与総額比率は16.1%(対前年比97.3%)となっています。

【1190 その他の繊維製品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)寝具製造業

2023年の寝具製造業の事業所数は485事業所(対前年比99.2%)、従業者数は6781人(対前年比97.9%)、製造品出荷額等は1080億2400万円(対前年比100.3%)となっています。

【1191 寝具製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)毛布製造業

2023年の毛布製造業の事業所数は28事業所(対前年比96.6%)、従業者数は383人(対前年比97.5%)、製造品出荷額等は60億6800万円(対前年比100.0%)となっています。

【1192 毛布製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)じゅうたん・その他の繊維製床敷物製造業

2023年のじゅうたん・その他の繊維製床敷物製造業の事業所数は136事業所(対前年比99.3%)、従業者数は3776人(対前年比98.5%)、製造品出荷額等は1435億2200万円(対前年比105.0%)となっています。

【1193 じゅうたん・その他の繊維製床敷物製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

5)帆布製品製造業

2023年の帆布製品製造業の事業所数は563事業所(対前年比99.6%)、従業者数は4975人(対前年比100.4%)、製造品出荷額等は832億4900万円(対前年比109.7%)となっています。

【1194 帆布製品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

6)繊維製袋製造業

2023年の繊維製袋製造業の事業所数は91事業所(対前年比95.8%)、従業者数は1315人(対前年比98.1%)、製造品出荷額等は199億7200万円(対前年比96.3%)となっています。

【1195 繊維製袋製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

7)刺しゅう業

2023年の刺しゅう業の事業所数は409事業所(対前年比99.5%)、従業者数は3122人(対前年比99.4%)、製造品出荷額等は211億7600万円(対前年比105.2%)となっています。

【1196 刺しゅう業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

8)タオル製造業

2023年のタオル製造業の事業所数は220事業所(対前年比100.5%)、従業者数は3363人(対前年比100.8%)、製造品出荷額等は605億5000万円(対前年比105.2%)となっています。

【1197 タオル製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

9)繊維製衛生材料製造業

2023年の繊維製衛生材料製造業の事業所数は114事業所(対前年比100.9%)、従業者数は5044人(対前年比100.0%)、製造品出荷額等は1650億2900万円(対前年比186.3%)となっています。

【1198 繊維製衛生材料製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

10)他に分類されない繊維製品製造業

2023年の他に分類されない繊維製品製造業の事業所数は1201事業所(対前年比99.7%)、従業者数は2万3352人(対前年比98.5%)、製造品出荷額等は4117億7000万円(対前年比107.1%)となっています。

【1199 他に分類されない繊維製品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【その他の繊維製品製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【業種別データ】下着類製造業の動向

下着類製造業は、事業所数・従業者数が減少する一方で、出荷額や付加価値額は増加し、生産性は改善しています。内訳を見ると、織物製下着は大幅減少で縮小傾向にある一方、ニット製下着や寝着類、補整下着は出荷額が伸び、構造転換が進行中です。原材料比率は低下し付加価値比率は上昇しているものの、経営指標では売上高営業利益率がマイナスで、損益分岐点比率も100%超と、依然として多くの企業が厳しい収益環境に置かれています。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の下着類製造業の事業所数は318事業所(対前年比95.8%)、従業者数は7410人(対前年比95.9%)、製造品出荷額等は984億8700万円(対前年比103.6%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は23人(対前年比100.2%)、現金給与総額は5800万円(対前年比96.9%)、原材料使用額等は1億6300万円(対前年比106.0%)、製造品出荷額等は3億1000万円(対前年比108.1%)、付加価値額は1億3200万円(対前年比110.9%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は249万円(対前年比96.7%)、製造品出荷額等は1329万円(対前年比108.0%)、付加価値額は566万円(対前年比110.7%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は52.6%(対前年比98.0%)、同付加価値額比率は42.6%(対前年比102.6%)、同現金給与総額比率は18.7%(対前年比89.6%)となっています。

【1170 下着類製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)織物製下着製造業

2023年の織物製下着製造業の事業所数は67事業所(対前年比90.5%)、従業者数は899人(対前年比85.9%)、製造品出荷額等は71億4800万円(対前年比73.3%)となっています。

【1171 織物製下着製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)ニット製下着製造業

2023年のニット製下着製造業の事業所数は131事業所(対前年比99.2%)、従業者数は3305人(対前年比98.2%)、製造品出荷額等は492億900万円(対前年比108.7%)となっています。

【1172 ニット製下着製造業】

4)織物製・ニット製寝着類製造業

2023年の織物製・ニット製寝着類製造業の事業所数は39事業所(対前年比97.5%)、従業者数は462人(対前年比106.2%)、製造品出荷額等は60億7500万円(対前年比101.6%)となっています。

【1173 織物製・ニット製寝着類製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

5)補整着製造業

2023年の補整着製造業の事業所数は81事業所(対前年比94.2%)、従業者数は2744人(対前年比95.3%)、製造品出荷額等は360億5500万円(対前年比105.7%)となっています。

【1174 補整着製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【下着類製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【業種別データ】外衣・シャツ製造業(和式を除く)の動向

外衣・シャツ製造業(和式を除く)は、事業所数・従業者数が微減傾向の一方で、製造品出荷額や付加価値額はわずかに増加し、生産性は改善しています。紳士服や事務・作業服、セーター類など一部分野で出荷額が大きく伸びる一方、シャツや乳幼児服などでは減少がみられ、品目間の明暗が分かれています。人件費・原材料費の比率はおおむね横ばいで、コスト増を価格や効率化で吸収しつつあるものの、経営指標では平均では赤字企業も多く、収益力の回復は道半ばといえます。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の外衣・シャツ製造業(和式を除く)の事業所数は3855事業所(対前年比99.0%)、従業者数は7万611人(対前年比99.8%)、製造品出荷額等は7072億4500万円(対前年比100.2%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は18人(対前年比100.8%)、現金給与総額は4600万円(対前年比101.7%)、原材料使用額等は9000万円(対前年比100.8%)、製造品出荷額等は1億8300万円(対前年比101.3%)、付加価値額は8500万円(対前年比102.5%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は248万円(対前年比100.8%)、製造品出荷額等は1002万円(対前年比100.4%)、付加価値額は465万円(対前年比101.7%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は48.9%(対前年比99.5%)、同付加価値額比率は46.4%(対前年比101.2%)、同現金給与総額比率は24.8%(対前年比100.4%)となっています。

【1160 外衣・シャツ製造業(和式を除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)織物製成人男子・少年服製造業(不織布製及びレース製を含む)

2023年の織物製成人男子・少年服製造業(不織布製及びレース製を含む)の事業所数は398事業所(対前年比99.7%)、従業者数は1万1257人(対前年比102.2%)、製造品出荷額等は872億900万円(対前年比108.5%)となっています。

【1161 織物製成人男子・少年服製造業(不織布製及びレース製を含む)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)織物製成人女子・少女服製造業(不織布製及びレース製を含む)

2023年の織物製成人女子・少女服製造業(不織布製及びレース製を含む)の事業所数は1,349事業所(対前年比98.4%)、従業者数は1万9460人(対前年比98.8%)、製造品出荷額等は1435億7200万円(対前年比102.3%)となっています。

【1162 織物製成人女子・少女服製造業(不織布製及びレース製を含む)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)織物製乳幼児服製造業(不織布製及びレース製を含む)

2023年の織物製乳幼児服製造業(不織布製及びレース製を含む)の事業所数は61事業所(対前年比100.0%)、従業者数は876人(対前年比97.6%)、製造品出荷額等は151億9100万円(対前年比90.9%)となっています。

【1163 織物製乳幼児服製造業(不織布製及びレース製を含む)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

5)織物製シャツ製造業(不織布製及びレース製を含み、下着を除く)

2023年の織物製シャツ製造業(不織布製及びレース製を含み、下着を除く)の事業所数は159事業所(対前年比98.1%)、従業者数は4465人(対前年比97.2%)、製造品出荷額等は326億3000万円(対前年比94.8%)となっています。

【1164 織物製シャツ製造業(不織布製及びレース製を含み、下着を除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

6)織物製事務用・作業用・衛生用・スポーツ用衣服・学校服製造業(不織布製及びレース製を含む)

2023年の織物製事務用・作業用・衛生用・スポーツ用衣服・学校服製造業(不織布製及びレース製を含む)の事業所数は710事業所(対前年比100.3%)、従業者数は1万5164人(対前年比99.0%)、製造品出荷額等は2334億3000万円(対前年比96.6%)となっています。

【1165 織物製事務用・作業用・衛生用・スポーツ用衣服・学校服製造業(不織布製及びレース製を含む)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

7)ニット製外衣製造業(アウターシャツ類、セーター類などを除く)

2023年のニット製外衣製造業(アウターシャツ類、セーター類などを除く)の事業所数は129事業所(対前年比100.8%)、従業者数は2100人(対前年比97.4%)、製造品出荷額等は226億8800万円(対前年比107.5%)となっています。

【1166 ニット製外衣製造業(アウターシャツ類、セーター類などを除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

8)ニット製アウターシャツ類製造業

2023年のニット製アウターシャツ類製造業の事業所数は567事業所(対前年比97.8%)、従業者数は6506人(対前年比96.0%)、製造品出荷額等は627億2100万円(対前年比93.6%)となっています。

【1167 ニット製アウターシャツ類製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

9)セーター類製造業

2023年のセーター類製造業の事業所数は220事業所(対前年比100.5%)、従業者数は4448人(対前年比105.4%)、製造品出荷額等は443億2300万円(対前年比115.7%)となっています。

【1168 セーター類製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

10)その他の外衣・シャツ製造業

2023年のその他の外衣・シャツ製造業の事業所数は262事業所(対前年比98.1%)、従業者数は6335人(対前年比104.7%)、製造品出荷額等は654億8100万円(対前年比99.5%)となっています。

【1169 その他の外衣・シャツ製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【織物製(不織布製及びレース製を含む)外衣・シャツ製造業(和式を除く)の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

ビジネスと人権

ビジネスの現場で、労働者の「人権」を守ろうという動きが活発化しています。政府は、「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020~2025)」を策定するなどして、国際的に認められた「労働者の基本的権利」を尊重するよう、企業に呼びかけています。2024年10月には厚生労働省が、具体例をわかりやすくまとめた「労働におけるビジネスと人権 チェックブック」を作成しました。本稿では、中小企業の現場で起こりやすい、身近な人権侵害の事例を紹介します。

1 児童、外国人労働者への権利侵害

<事例1>

児童労働に関する事例1

児童労働に関する事例です。労働基準法では、満18歳未満の人に、時間外労働や休日労働、深夜労働を行わせることを原則禁止しています。例外的に、1週間の労働時間が40時間を超えない範囲内で、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合には、他の日の労働時間を10時間まで延長できます。高校生のアルバイトなどを雇っている企業は、注意が必要です。

<事例2>

強制労働に関する事例2

強制労働に関する事例です。上記のケースは、労働基準法が禁止している強制労働に該当する可能性があります。会社が従業員にお金を貸した場合に、会社がその借金を賃金と相殺することも、労働基準法で禁止されています。

<事例3>

強制労働に関する事例3

強制労働に関する事例です。外国人を雇用している企業は注意が必要です。パスポートや在留カードがないと、労働者が転職したくても、他の仕事を見つけることができません。また、公的サービスを受けることもできなくなります。携帯電話を預かることも、労働者が外部にアクセスできず、隔絶された状況に置かれるため、強制労働に当たる可能性があります。

<事例4>

結社の自由と団体交渉に関する事例4

結社の自由と団体交渉に関する事例です。労働者の過半数を代表する者(労働者代表)は、36協定などを締結する際に必要です。労働者の話し合いや挙手、投票など民主的な方法で選ばなければならず、使用者の指名や、使用者の意向に基づく選出はできません。また、経営者と一体となって従業員の労働条件などを決める立場の人(管理監督者)は、労働者代表になれません。

2 差別、安全衛生上のリスク

<事例5>

差別に関する事例5

差別に関する事例です。採用面接時に、本人に責任のない事項(本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境・家庭環境)や、思想・信条に関わること(宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、購読新聞、愛読書など)を尋ねないよう、注意が必要です。職務遂行に関係ない個人的な事情により採用を判断することになってしまい、差別につながるおそれがあります。

<事例6>

差別に関する事例6

差別に関する事例です。産前産後休業は労働基準法で、育児・介護休業は育児介護休業法に定められた労働者の権利です。しかし、中小零細企業の中にはいまだに、「うちの会社には育児・介護休業制度はない」と言う経営者がいます。これらの休業は、企業の規模にかかわらず、労働者に与えなければなりません。

<事例7>

安全衛生に関する事例7

安全衛生に関する事例です。労働安全衛生法などの定めにより、仕事中にけがや病気で労働者が死亡したり、休業したりした場合には、労働基準監督署に報告する義務が企業に課されています。

3 さいごに

「労働におけるビジネスと人権 チェックブック」では、「児童労働」「強制労働」「結社の自由と団体交渉」「差別」「安全衛生」の5分野で、計61の事例を取り上げています。各分野について、サプライチェーンにおける取引先企業の労働者などとの対話も、人権を守るうえで重要であると明記されています。

※事例はいずれも、厚生労働省「労働におけるビジネスと人権 チェックブック」より引用

※本内容は2025年4月10日時点での内容です。
(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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画像:Aryanedi-Adobe Stock

ビジネスと人権

ビジネスの現場で、労働者の「人権」を守ろうという動きが活発化しています。政府は、「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020~2025)」を策定するなどして、国際的に認められた「労働者の基本的権利」を尊重するよう、企業に呼びかけています。2024年10月には厚生労働省が、具体例をわかりやすくまとめた「労働におけるビジネスと人権 チェックブック」を作成しました。本稿では、中小企業の現場で起こりやすい、身近な人権侵害の事例を紹介します。

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【労災の落とし穴(製造業)】 腰痛の悪化は労災にならない?

この記事では、現役社労士が直面した小さな製造業の労災の事例として、「業務により腰痛が悪化した社員について、『もともと腰が悪かったのなら、労災ではない』と判断してしまった会社」の話を紹介します(実際の会社が特定できないように省略したり、表現を変えたりしているところがあります)。

1 もともと腰が悪かったので、労災保険を使わせなかった……

社員数5人の機械メンテナンス会社に勤めるDさん。出張先の工場で重い機械の点検作業をしている最中、腰をひねって激痛に襲われました。もともと腰痛持ちのDさんは「持病が悪化しただけかもしれない」と考え、社長には報告せずに病院へ向かいます。

医師からは「椎間板ヘルニアの疑いがあるため、一定期間の休業が必要」と診断され、Dさんは社長に報告しました。

しかし、社長は休業を認めたものの、「もともと腰が悪かったのなら、業務とは関係ない」と労災にはしない方針を示し、Dさんは「自己都合休業」になってしまいました。

2 業務により腰痛が悪化したのなら、労災になり得る

腰痛はビジネスパーソンであれば大抵の人が抱える悩みなので、労災と関係ないように思われがちですが、実は状況次第で労災認定されます。

具体的には業務起因性について、図表のように独自の基準が定められています。「災害性の原因による腰痛」「災害性の原因によらない腰痛」にそれぞれの基準がありますが、今回は業務中に腰をひねったことによる腰痛なので、前者(赤字部分)に注目してください。

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このケーススタディーでは、社長が「もともと腰が悪かったのなら、業務とは関係ない」と言っていますが、Dさんは点検作業中に腰をひねり、椎間板ヘルニアを疑われるほど腰を痛めているので、

医師が「業務により症状が著しく悪化した」と明確に結論付けたのなら、業務起因性が認められる可能性が高い

です。業務遂行性については、そもそも業務時間中に発生した事故ということで認められるので、このケースが労災認定される可能性も高いといえるでしょう。

3 腰痛については医師の判断に任せつつ、社内では腰痛予防対策を講じる

腰痛は製造業の現場で起きやすい職業病の1つですから、まずは前述した図表の考え方をしっかり押さえましょう。

「災害性の原因による腰痛」の場合、腰痛の悪化に医学的な根拠があるかどうかを判断するのは医師なので、社員本人や社長が勝手に判断せず、まずはきちんと医師に相談するようにしましょう。

また、毎日不自然な体勢での作業を行っていて腰痛が悪化した場合なども、「災害性の原因によらない腰痛」として労災認定されることがあります。ですから、

  • かがんで作業をしなくても済むよう、高さを調節できる作業台や椅子を用意する
  • 重量物を運ぶ作業が多い場合、腰への負担を和らげるアシストスーツを着用させる
  • 作業前に、社員全員でストレッチを中?とした腰痛予防体操をする

などの腰痛予防対策を講じて、社員が腰を痛めにくい環境をつくることが大切です。腰痛予防対策についてより詳しく知りたい場合、厚生労働省が予防のポイントやチェックリストを公表しているので参考にするとよいでしょう。

■厚生労働省「腰痛予防対策」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31158.html

以上(2025年5月作成)

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画像:ChatGPT

【労災の落とし穴(製造業)】 本人のミスなら自己責任?

この記事では、現役社労士が直面した小さな製造業の労災の事例として、「保護具を着用しなかったせいで負傷した社員について、『本人のミスなので労災ではない』と判断してしまった会社」の話を紹介します(実際の会社が特定できないように省略したり、表現を変えたりしているところがあります)。

1 保護メガネを着用しなかったという理由で、労災保険を使わせなかった……

社員数20人で、溶接作業が中心の工場に勤めるCさん。ある日、業務時間中に保護メガネの着用を忘れて作業していた際、目に金属片が入ってしまいました。Cさんは作業を中断し、水で洗い流すなどの応急処置をしましたが、痛みが激しく視界もぼやけた状態です。

社長に報告したところ、「保護メガネを着用せずにけがをしたなら自己責任。会社が補償する必要はない」と言われ、Cさんも「自分のミスだから仕方ない」と思い込んでしまいます。

病院に行くと角膜に傷ができており、医師から「数日間の安静が必要」と診断されました。しかし、社長は「有給休暇を使って休むように」と指示し、労災保険を使うことを拒否。結局、Cさんは健康保険で診療を受けなければならなくなりました。

2 「本人のミスかどうか」は労災認定には関係ない

業務中の事故でけがをした場合、それが労災になるかどうかは、

  • 業務遂行性:その事故は、「会社の支配・管理下にある」ときに発生したのか
  • 業務起因性:その事故は、「業務と因果関係がある」といえるか

を基準に判断されます。つまり、

事故が「本人のミスによるものかどうか」は労災認定には関係ない

ので、「自己責任だから労災申請しなくていい」という言い分は通用しません。

このケーススタディーでは、Cさんは会社の支配・管理下にある業務時間中に、溶接作業で生じる金属片によってけがをしているので、労災認定される可能性が高いでしょう。

3 社員への「安全衛生教育」を徹底する

社員が「故意に事故を起こした」「私的な用事をしていて事故に遭った」などの特殊なケースでなければ、業務中におきたけがは、基本的に労災になるので労災保険を使うことを徹底しましょう。

また、会社には社員がけがや病気をせずに働けるよう配慮する「安全配慮義務」があるので、

「安全衛生教育」の実施体制に問題があれば、会社は労災発生の責任を問われる

こともあります。現場に「作業中は必ず保護メガネを着用すること!」などの張り紙をした上で、社長や管理職からも口頭で指導する体制を整える必要があるでしょう。

なお、社員にも自身の健康を守り、安全に働けるよう努力する「自己保健義務」があるので、安全管理を徹底させるためにも、社内規程(就業規則本則や安全衛生管理規程)で、

  • 社員には作業前に保護具を着用する義務があること
  • 着用義務に違反し、注意・指導をしても改善しない場合、懲戒処分の対象とすること

などを定めておくとよいでしょう。

以上(2025年5月作成)

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画像:ChatGPT

【新人経理向け】保有目的によって決算書に記載する金額が変わる有価証券の決算処理

1 金融商品のポイントは時価評価

決算書にはさまざまな資産が計上されますが、決算時、特に注意が必要なのが金融商品です。金融商品は大きく金融資産と金融負債に分けられ、次のようなものがあります。

  • 金融資産:現金預金、金銭債権(受取手形、売掛金、貸付金など)、有価証券(株式、公社債など)、デリバティブ取引による正味の債権
  • 金融負債:金銭債務(支払手形、買掛金、借入金、社債など)、デリバティブ取引による正味の債務

金融商品の会計処理は、

取得原価ではなく、時価評価で期末時点の価額を貸借対照表に反映

しなければなりません。

取得原価のまま決算書に載せてしまうと、その金融資産が含み損(取得時よりも時価が値下がりしていること)を抱えていたとしても、実際にそれを売却するまでは含み損があるかどうかは分かりません。また、時価評価すれば債務超過になる貸借対照表でも、取得原価のままなら健全に見えてしまう場合も考えられます。会社が倒産するまで「多額の不良債権」の存在が外部から把握できないケースもあり得るのです。

こうしたリスクをなくすために、この記事では、中小企業の経理実務に即した会計ルールである「中小会計要領」(中小企業の会計に関する基本要領)に合わせて、有価証券の評価と会計処理の方法を解説します。

2 異なる有価証券の評価方法

1)有価証券の分類と評価

中小会計要領では、原則として取得原価での会計処理になります。ただし、売買目的有価証券(短期間の価格変動により利益を得る目的で、売買を繰り返す有価証券)は時価での会計処理になります。また、時価が取得原価よりも著しく下落したときは、回復の見込みがあると判断した場合を除き、時価で貸借対照表に計上し、評価差額を当期の損失として減損処理しなければなりません。

2)売買目的有価証券

時価の変動による利益を得ることを目的に保有する有価証券は、

決算日の時価で貸借対照表に計上し、評価差額は当期の損益

として処理します。「時価の変動による利益を得ることを目的として保有する」とは、

時価の短期的な価格変動により利益を得ることを目的とし、同一銘柄に対して相当程度に繰り返し売買が行われる体制が整っていること

が前提です。例えば、定款に会社の目的として有価証券売買業が記載されており、有価証券売買のための人材が独立した専門部署で有価証券売買を行っている場合が挙げられます。

そのため、一般の事業会社が余剰資金の運用目的で有価証券を購入しても、その有価証券は売買目的有価証券に分類されないのが原則です。ただし、売買を頻繁に繰り返していると判断できる場合は、売買目的有価証券に分類することができます。売買目的有価証券を売却した場合、売却時点で付されている帳簿価額と売却価額との差額を当期の売却損益として処理します。なお、同一銘柄の有価証券を売買目的有価証券とそれ以外の区分で分けて保有しており、当該有価証券の一部を売却したときは、これらが社内で、明確に分別管理されていなければ、まずは売買目的有価証券を売却したものと推定します。

3)事例で確認 売買目的有価証券の会計処理

A株式(上場有価証券)を売買目的で保有しており、その有価証券の取引状況は次の通りとします。

×1年度期中においてA株式を1000万円で取得

×1年度期末のA株式の時価は1100万円

×2年度期中にA株式を1500万円で売却

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3 株や債券が大暴落したときの「減損」

1)市場価格のある有価証券の減損処理

取得原価で評価した有価証券(売買目的有価証券以外の有価証券)のうち、市場価格または合理的に算定された価額(時価)のあるものについて時価が著しく下落したとき(回復する見込みがあると認められる場合を除く)は、時価で貸借対照表に計上し、評価差額を当期の損失として評価損を計上する必要があります。

「時価が著しく下落したとき」とは、個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べて50%程度以上下落した場合が当てはまります。

例えば、その他有価証券を1000万円で取得したが、期末時価が400万円に下落し、かつ、将来取得原価まで回復する見込みがはっきりしない場合には、評価損を計上する必要があります。

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次年度以降のその他有価証券の取得原価は減損処理後の金額400万円となります。なお、この評価額は税務上も損金処理できることになっています。

2)市場価格のない株式の減損処理

市場価格のない株式(証券取引所で売買されていない株式や出資金など)は取得原価で貸借対照表に計上します。また、株式の発行会社の財政状態の悪化により、実質価額が著しく下がったときは相当の減額を行い、評価差額は当期の損失として評価損を計上する必要があります。

「財政状態の悪化による実質価額が著しく下がったとき」とは、大幅な債務超過などでほとんど価値がないと判断できる場合などが当てはまります。

なお、この評価額は税務上も損金処理できることになっています。

以上(2025年4月)
(監修 税理士 石田和也)

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画像:photo-ac