テレワークや外出中の社員を災害から守るためのチェックリスト

1 チェックリストで確認 オフィス外での防災対策

職場の防災対策は、社員がオフィスで働いていることを前提にしたものだけではありません。例えば、社員が外回りの営業をしていたり、テレワークをしていたりと「オフィス外」で働いているときに災害が発生したら、連絡を取り合うのは難しくなります。

この記事では、そうしたケースに備えるための基本的な対処法をご提案します。まずは次のチェックリストを基に、オフィス街で働く社員に対して、どのぐらい防災対策を周知できているかを確認してみましょう。

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2 外出中に災害が発生した際の対処法は?

ここでは、行政機関や企業などが提供している防災情報を参考に、外出中に災害が発生した際の対処法について説明します。いざというときに落ち着いて対応できるように、あらかじめ社員に周知しておきましょう。

1)地震が発生したときは?

1.オフィス街・繁華街・住宅街

その場で立ち止まらずに、速やかに建物や電柱などから離れるようにします。カバンや上着などでガラスや看板などの落下物から身を守りながら、公園などの広い場所に避難します。

広いところに逃げる余裕がない場合は、耐震性の高い鉄筋コンクリートの建物に避難するようにしましょう。

また、住宅街では、門や塀が倒れてくる可能性があるので、近づかないようにしましょう。切れて垂れ下がっている電線は電気が流れている可能性があるので、近づいたり触ったりしないように注意が必要です。

2.地下街

柱や壁のそばで揺れが収まるまで待つようにします。停電した場合でも、非常照明がつくまではむやみに動かないようにしましょう。

また、地下街では60メートルごとに非常口が設置されています。混雑による転倒や将棋倒しなどの事故を避けるために、1つの非常口に殺到せず、落ち着いて地上に出ましょう。

3.電車の中

電車は地震計や緊急地震速報のデータなどを基に、強い揺れを観測した際には緊急停車します。急ブレーキのはずみで転倒しないように、手すりやつり革にしっかりつかまるようにしましょう。座っている場合には、進行方向に近いポールなどにつかまると体勢が安定します。

また、反対側の電車に接触したり、電線で感電したりといった事故を避けるために、勝手に降車せず、乗務員や駅員の指示を待ってから降車するようにしましょう。

4.車の運転中

運転中に地震が発生したときは、追突事故などを避けるために、ハザードランプを点灯して徐々にスピードを落とし、道路の左側に寄せて停車します。慌てて車外に出ると、対向車や後続車に接触したり、落下物に巻き込まれたりする危険があるため、揺れが収まるまではカーラジオやスマートフォンで地震情報や道路交通情報を聞きつつ車内で待機しましょう。

やむを得ず車を置いて避難する場合には、連絡先のメモを残した上で、緊急車両や救援車両の通行の妨げにならないように、道路外の場所、もしくは道路の左側に寄せて駐車しておきましょう。いざというときに移動させられるように、ドアはロックせずに、キーは運転席などの目立つ場所に置くか、差したままにしておきましょう。

5.エレベーターの中

揺れを感じたら、行先階のボタンをすべて押し、最初に止まった階で降りるようにします。もし、閉じ込められてしまったら、非常ボタンを押して管理会社に連絡を取るか、消防や警察に連絡して救助を待ちます。

2)水害が発生したときは?

1.建物の中にいる場合

台風や大雨などによって引き起こされる土砂災害、洪水、浸水といった水害にも注意が必要です。水害が発生した際に、マンションなどのように頑丈であったり、浸水する可能性が低かったりする建物の中にいる場合は外に出ようとせず、2階以上など高い場所に移動して水が引くまで待つようにしましょう。

もし、建物の外に出て避難するときには、次のようなことに注意が必要です。

  • 避難所に行くときは、できる限り複数人で固まって移動する
  • マンホールや段差、側溝の有無を確認しながら移動する(棒があるとよい)
  • 水位が膝のあたりまで上昇している場合は、移動をやめて近くの建物へ避難する

なお、水害は地震とは異なり、発生した際の被害をある程度予測できます。あらかじめ、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」などで、自宅や訪問先の場所が浸水する危険性はないか、最寄りの避難所がどこにあるのかなどを情報収集しておきましょう。ハザードマップポータルサイトは、自治体が作成・公開している「わがまちハザードマップ」以外にも、現在地の情報や地図上からその場所のハザードマップを確認できるため、外出先でも役立ちます。

■国土交通省「ハザードマップポータルサイト」■
https://disaportal.gsi.go.jp/

2.車の運転中

局地的な集中豪雨などが頻繁に発生する昨今では、車の運転中に大雨に遭遇する可能性もあります。冠水した道路で、水深が車の床面を超えると浸水してエンジンが故障したり、水圧でドアが開かなくなったりする危険性があります。

特に、高架下、立体交差などのアンダーパスといった周辺の土地よりも低い場所に入ってしまうと浸水して車が動かなくなり、立ち往生する危険性が高いため、このような場所は避けて移動しましょう。

万が一、車内にまで浸水した場合には、慌てずに車を停めてすぐにエンジンを停止させましょう。その上で、いきなり道路に出るのではなく、片足を出して水深を測りつつ、進んできた方向に歩いて戻るようにしましょう。

ドアが開かない場合、窓ガラスを割って脱出する必要があります。車に脱出用ハンマーを備えておくとよいでしょう。また、脱出用ハンマーがない場合でも、シートからヘッドレストを取り外し、柄の部分を1本、窓ガラスの隙間にねじ込んで力を加えるとテコの原理で窓ガラスを割ることができます。いざというときのために覚えておきましょう。

3 テレワークや外出先でも取り組める防災対策

1)防災備蓄品を自宅や社用車に備える

企業向けに防災備蓄品を提供している企業の中には、テレワークの浸透を受けて、コンパクトにまとまった防災備蓄品を提供しているところもあります。テレワークを行う社員にも最低限の備えをしてもらうために、会社で購入費用を補助したり、防災備蓄品を配布したりできると良いでしょう。

例えば、アスクル(東京都江東区)では、「小スペース防災用品」として棚に収納できるA4サイズのファイルにまとまった防災備蓄品セットを販売しています。また、フェーズフリー用品(災害時のために準備するのではなく、普段使っているものを災害時にも役立てる考え方)として、普段使いができるスリッパやウェアラブルメモなども取り扱っています。

■アスクル「防災用品特集」■
https://www.askul.co.jp/sf/bousai/00/0/

なお、車内に防災備蓄品を備える際には、季節によって防災備蓄品の内容が変わることに注意が必要です。例えば、夏場であれば車内が高温になるので、食料の保管には向きません。また、冬場であれば、毛布や使い捨てカイロなどの寒さ対策が重要になります。

2)安否確認サービスを平常時の連絡手段としても活用する

さまざまな企業が提供している安否確認サービスですが、災害発生時に限らず、連絡網や健康管理ツールとして平常時でも利用できたり、自動で安否確認メールを配信したりするサービスを選ぶと、いざというときにも慌てずに対応できます。

例えば、リロクラブ(東京都新宿区)では、安否確認システムの「Relo安否コネクト」を提供しています。あらかじめ条件を設定しておくことで、地震や気象情報と連動して自動で安否確認メールを配信することもできるため、管理者による手動配信の負担を軽減できます。

また、健康状態の報告や社員向けアンケートのテンプレートなど、災害発生時だけに限らず、平常時の連絡手段として利用できる機能も備えています。

■リロクラブ 安否確認システム「Relo安否コネクト」■
https://www.reloclub.jp/crisis-management/safetycheck/

3)防災訓練をオンラインでも行う

これまでの防災訓練は、社員全員がオフィスに集まって行うのが前提でしたが、テレワークの浸透を受けて、オンライン会議システムなどを利用してリモート環境でも防災訓練ができるサービスがあります。

例えば、レスキューナウ(東京都品川区)ではWeb会議方式で防災訓練ができるサービスを提供しています。アンケートやチャット機能などを活用して防災訓練を行うことができ、録画機能もあるため、当日に防災訓練に参加できなかった社員にも訓練内容を共有できます。

■レスキューナウ「アドバイザリーサービス(リモート防災訓練)」■
https://www.rescuenow.co.jp/riskmanagement/advisory05

以上(2025年3月更新)

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画像:lemono-shutterstock

【入社1年目の教科書】売りたくても御用心。相手を惑わすセールストークは法律違反

書いてあること

  • 主な読者:売りたい気持ちが強くて、ついつい話を盛ってしまいがちな新入社員
  • 課題:相手を困惑させたり、勘違い(誤認)させたりする不当なセールストークは法律違反
  • 解決策:正しい情報を相手に魅力的に伝える力を鍛えるべし!

営業って本当に難しい……先週から一人で外回りをしているけど、なかなか売れないな。そういえば、他の会社に就職した大学時代の友達は成果を上げているようだけど、結構、「話を盛っている」って言っていたな。私は真面目すぎるかな? 嘘はダメだけど、ちょっと話を盛るぐらいなら大丈夫だよね……?

1 「売りたい!」気持ちに要注意

営業を担当することになったら、張り切って自分たちの商品やサービスを売り込みたいですよね。ただし、その「売りたい!」という気持ちに御用心。なぜなら、

相手を勘違いさせるようなセールストークや、実際よりもよく見せかける広告は法律違反

になることがあるからです。皆さんに悪気がなくても、売りたいという気持ちから話を盛ることがあるでしょうが、押さえるべきところは押さえていきましょう。

2 セールストークなどで禁止されていること

相手を困惑させたり、勘違い(誤認)させたりするセールストークなどは、「消費者契約法」という法律で禁止されています。こうした行為があった場合、

  • 相手は一方的に契約を取消すことができる
  • 相手が契約書にサインしていたり、代金を支払っていたりしていても、取消しの申し出があった場合、会社は応じなければならない

などのルールがあります。不当なセールストークなどの例は次の通りです。

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3 広告などで禁止されていること

実際よりもよく見せかける広告や表示は、「景品表示法(略称)」という法律で禁止されています。CM、チラシ、ダイレクトメールだけでなく、商品のパッケージ、料理のメニュー、口頭でのセールストークなども対象になります。こうした行為があった場合、

契約自体が取消されることはありませんが、会社は表示を改める、再発防止策を講じる

といった対応をしなければなりません。

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広告であるにもかかわらず、広告であることを隠す「ステルスマーケティング(ステマ)」も規制の対象です。インターネット広告なども対象になります。皆さんがこうした仕事を担当されている場合は注意しましょう。

4 正しい情報を魅力的に伝える練習を!

ここまで紹介してきた内容は、要するに「嘘をついてはいけない」ということに尽きますから、皆さんが「売りたい!」と思ったら、

正しい情報を相手に魅力的に伝える練習

をすればよいことになります。そして、そのために必要なのは相手のニーズを捉えることです。この辺りは先輩から徹底的に教わってください。事前準備をして、実際に営業し、課題を見つけて改善していくことで、皆さんの営業力は確実に高まります!

最後に、

「相手に誤解を与えてしまったかもしれない」と思ったら、恐れずにその場で相手に確認し、誤解を解く

ようにしましょう。皆さんは「一度言ったことを覆すようで嫌だ」と思うでしょうが、相手は皆さんのことを「正直で誠実な人」と評価してくれるかもしれません。そして何より、

皆さんが嘘つきにならずに済む

のです。

以上(2025年1月更新)

pj00347
画像:Mariko Mitsuda

中小企業の逆張り採用法!〜ほどほどの中年採用に勝機あり

1 【ご提案】中年の採用をご検討ください

「人(社員)」に関することは、経営者にとって常に頭の痛い問題です。これからますます深刻になるのは採用ですが、御社は計画通りに採用できていますか? 特に、会社の活力となる若手を確保したい中小企業は、苦戦を強いられているかもしれません。採用は長らく売り手市場で、大企業志向が強い若手も多いからです。ただ、少し考えてみてください。

中小企業には即戦力が必要で、なおかつ長く定着してもらわないと困ります。そこで、この記事では、人材不足を何とかしたい中小企業向けに、

採用対象を若手から40代の中年、それも「ほどほどの中年」に広げる“逆張り採用”

をご提案します。

2 将来の伸び代ではなく、「今」をつなぐ人材

1)なぜ、ほどほどの中年なのか?

よく知られていることですが、若手の採用には早期離職のリスクがあります。大卒の新入社員の場合、入社後3年以内に離職する割合は34.9%で、会社の規模が小さくなるほど悪化します(厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」)。若手を採用しても、戦力になる3年後には3人に1人以上が辞めていく計算です。

また、人材紹介会社や大企業の採用担当者によると、ハイエンドの中年は大企業やスタートアップなどが狙っています。よほど奮発しなければ中小企業が獲得するのは困難です。それに、獲得できたとしても、「持て余す」「既存の社員とうまくいかない」といった懸念があります。

そこで、注目したいのがほどほどの中年です。ほどほどとは、

自社の本業について経験があり、即戦力として働けるレベル

です。基本的なビジネスマナーを習得している必要はありますが、本業の能力は普通でよいです。自社のやり方を教えれば、それに合わせられるくらいの器用さがあれば問題ありません。

このほどほどの中年には、組織変革などを求めるわけではなく、既存の事業で足りない部分を補う人材として働いてもらう

ことになります。もちろん、良い意味で化けて幹部に育てばいいですが、それよりも、最低限の教育で「今」の戦力になってもらうことが目的です。

2)狙い目の中年は?

ポテンシャル採用の若手と違い、中年のスキルはある程度分かります。それよりも大切なのは、転職の理由です。敬遠したいのは、「漠然と現状に不満を持ち、青い鳥を探している人材」です。転職のハードルが下がっている今、若手ほどではないにせよ中年も転職しますが、青い鳥を探している中年は、転職を「軽く」考えているかもしれません。

そうではなく、狙いたいのは、

です。これが「最後のチャンス」「安定した生活を!」と考えているので、それなりの覚悟があります。また、人材紹介会社は「特別なスキルのない40代はなかなか面接にも進めないので、このチャンスを活かすように」と、中年にハッパを掛けているので、本気で向かってきます。

3 面接では淡々と能力を見極める

1)武勇伝は5~6掛けで判断する

中年はそれなりのキャリアを積んできているので、面接では豊富な実績を語るでしょう。上司や外部とやり合った武勇伝を披露してくることもあります。

しかし、こうした話は5~6掛けで聞きましょう。実績は、あくまで前職(現職)のやり方に基づくもので、自社のやり方やレベルにマッチしているとは限りません。武勇伝の内容も、本人が言っているだけで本当のところは分かりません。むしろ、「上司とよくやり合っていた。私は誰にでも異見が言える」と強調してくるのは、パフォーマンスの可能性もあります。

2)ビジネスの基礎知識と基礎体力はあるか?

ほどほどの中年は、通常、礼儀、礼節は問題ありません。また、前述した通り、その時点の本業のスキルもある程度分かります。加えて見極めたいのが、

ビジネスの基本知識と基礎体力

です。

例えば、40代の人材で「新聞の1面に載るようなニュースを知らない」「財務諸表が読めない」といったレベルだったらどうでしょうか。残念ながら、こうした中年は意外と多いです。また、戦力になるまで努力を続ける体力も大事です。このあたりは採用してみないと分からないですが、採用活動の中で難しめの課題を与えてみるなどすると、ある程度は見極められます。

3)こんな質問をしてきたら危険信号

例えば、面接の際に、

定年延長制度はありますか?

などと聞いてくることがあります。こちらとしては、「お、当社に骨を埋める覚悟なのか」と高い評価をしてしまいがちですが、むしろ警戒したほうがよいです。単に自身が利用できる制度を確認し、その年齢に達したときの身の振り方を考えているだけのケースが多いからです。

前述したような覚悟のある中年であれば、これまでの経験を活かす制度があるのか、あるいはどのように活かせる可能性があるのかを聞いてくるはずです。いきなり定年延長制度について聞いてくるようでは難しいのです。

4 中年はマネジメントしやすい? それとも難しい?

1)「昭和」のノリが合う?

入社した人材をどのようにマネジメントしていくかは重要なポイントですが、今の中年はノリが「昭和」なので、年配の経営者や上司とある意味で価値観が同じです。そのため、良しあしは別ですが、「根性でとにかくやる」というガッツがあります。特に、不退転の覚悟で転職してきた場合、ちょっとやそっとのことではくじけません。

また、中年は厳しく教育されてきた世代ともいえるため、誤解を恐れずに言えば、厳しめに叱責してもハラスメントを訴えてくることは少ないかもしれません。別の見方をすれば、本気で向き合い、ぶつかれる相手だということです。

2)中年の問題

一方、中年は自分の考えや、やり方をなかなか変えられません。何か新しいことを覚えるのにも時間がかかります。「はい!」と返事をして指示に従いますが、自分の考えと指示を融合させることができないので、指示とは違ったアウトプットをすることがよくあります。このように、若手とは違う理由で指示通りにはいかないことがあります。

3)フリーランスの場合、「組織で働ける人間か」を見極める

長年フリーランスとして働いてきた中年は、自分のワークスタイルを持っており、放っておいても商いをつくれる点で頼もしい存在です。しかし、組織の中で働いた経験が乏しいと、組織の一員としての意識が希薄です。自分のキャリアや人脈を守るために、組織を悪く言ってしまうこともあります。外部の人と接するポジションに就ける場合などは注意が必要です。

5 いざというときに備えておく

ここで、少し厳しい話をします。中年採用は長期育成が前提の若手採用とは全く違い、最初からやってほしい業務が明確です。その分、ミスマッチが生じたときの問題も分かりやすく、将来の伸び代が期待しにくいので、早期の対応が必要になります。

人材紹介会社は、「中年は採用コストが高いため、辞めないよう配慮しながら戦力化すべき」と言いますが、一概にそうとも言い切れません。確かに、採用コストはかかりますが、自社の業務や考え方にマッチしない中年は、会社にとって長期の負担になります。厳しい言い方ですが、

伸び代や変化が期待できない中年とミスマッチが生じたなら、目先の費用を惜しがるよりも、長期的な損失を回避する

ほうが得策かもしれません。

いずれにしても、万一を見据えた備えは必要です。中年の採用はジョブ型に近いため、

採用時にジョブディスクリプションを作成し、会社が中年に期待することを明確に伝える

ようにします。ジョブディスクリプションには目標も設定し、その達成状況を定期的に確認します。もし、目標の未達が続いたり、当初の想定をかなり下回る実力しかなかったりすれば、その後の方向について話し合うことになります。

6 長期的な人材不足に備える

人材不足が長期化する中、政府は多様な人材(高齢者・障がい者・外国人など)の活用や、DXによる効率化(より少ない人材で業務を回せる工夫)を推奨しています。こうした流れに乗ることも重要ですが、会社の風土の問題で多様な人材を受け入れにくいこともありますし、DXが進めにくいこともあります。

そのような場合は、特に、ほどほどの中年の採用は検討に値するでしょう。新しさや刺激はないかもしれませんが、

きちんと計算できる安定した戦力になりやすい

のが、この記事で紹介してきたほどほどの中年です。それに、ほどほどの中年は、今はまだ採用しやすいですが、今後は分かりません。人材不足が深刻化する中で、この記事に書いてあることに気付く経営者が増えていけば、当然、ほどほどの中年の採用も難しくなっていくかもしれないのです。

以上(2025年2月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

従業員から「賃金のデジタル払い」を希望されたら?知っておきたい基礎知識と実務対応

賃金のデジタル払いは、企業側には振込手数料の軽減、福利厚生面の充実、従業員満足度の向上などのメリットがあるほか、従業員側にも一定のメリットがあります。とくにキャッシュレス決済に慣れている若年層での希望・ニーズが増えており、求人採用や勤続面にもポジティブな傾向があるというデータがあります。
今後、在籍している従業員から「デジタルマネーで賃金を受け取りたい」という要望が出ることもあるかもしれません。

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もめない事業承継!~スムーズなバトンタッチのコツは!? ③複数株主・少数株主対策編

「もめない事業承継! ~スムーズなバトンタッチのコツは!?」の最終回は複数株主対策/少数株主対策です。早速ですが、社長、御社の株主とそれぞれの持株数について、把握していますか?

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「年収の壁」が動くとどうなる? 企業の実務対応と今後の動向!

社会の趨勢にあわせて目まぐるしく変化している「年収の壁」について、『令和7年度税制改正大綱』や厚生労働省の情報などをもとに最新動向および企業の実務対応についてご説明いたします(※2025年2月執筆時点の情報です)。

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地域中小企業等の経営人材確保を支援!地域企業経営人材確保支援事業給付金のご紹介

給付金とは、主に国や地方自治体などの行政から、事業や生活を支援するために給付されるお金のことです。給付条件を満たしてさえいれば、基本的に申請することで受給が可能です。本レポートでは、おすすめの給付金について支援の内容や対象条件、申請方法等についてわかりやすく紹介します。

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有休消化で退職日まで出社しない社員の「引継問題」解決法!

1 増加する“引き継ぎなし退職”

ある日突然、社員から、

「今月末で退職します。今日から退職日まで有休(年次有給休暇)をいただきます」

と申し出があったらどうしますか? 今、退職を申し出た社員が、残りの有休を全て消化して出社しないケースは増えています。昨今話題の退職代行サービスを使って、会社とのコミュニケーションを完全に遮断するケースも多いです。

正直なところ、あまり戦力になっていない社員であれば、突然の退職でも残りの社員で十分にカバーできるので、むしろ論点は、負担がかかる残りの社員へのフォローとなります。

一方、管理職など幅広く仕事をしている社員が退職する場合や、テレワークなどの影響もあって組織がサイロ化し、そこそこ重要な業務を“自分色”に染めてしまっている社員が退職する場合は、引き継ぎが必須です。となると、「引き継ぎもせずに突然いなくなるなんて無責任だ!」という憤りはさておき、会社が冷静に対応しなければ、残された社員のためになりません。

では、どうすればよいのか。それは、

出社しない社員に対し、「引継書の記入を依頼する」「有休の買い取りを打診する」などの方法で、“引き継ぎなし退職”の問題を乗り切ること

です。以降で詳しく説明しますので、確認していきましょう。また、引継書については、次章でダウンロードして使えるひな型を紹介していますので、必要に応じてご活用ください。

2 引継書の記入を依頼する

社員が退職日まで出社してこない場合は、「引継書」の記入を求めましょう。

引継書とは、退職する際に現職者から後任者へ業務を円滑に引き継ぐための文書

です。社員には有休を取得する権利があるので難しいですが、出社して引き継ぎをするのに比べればハードルは低いですし、「後任者や取引先がどうしても困ってしまうから……」と説明すれば、応じてもらえる可能性はあります。

次の書面は、筆者が作成した簡易的な引継書のひな型です。下のボタンからワード形式でダウンロードできますので、自社の特性を踏まえて修正してください。

退職時引継書

作成日:           作成者:
  
所属部署:         退職予定日:

1.業務概要

  • 主な担当業務:
  • 業務の進め方:
  • 現在の進捗状況:
  • 重要なポイント:

2.業務の引継ぎ

  • 引き継ぎ担当者:
  • 引き継ぎのスケジュール:
  • 必要な資料・情報の所在:

3.アクセス権限・保管場所情報

  • システムアクセス権限:
  • システムID・パスワード:
  • 重要書類の保管場所:

4.注意点・問題点

  • 業務で注意すべき点:
  • 現在の課題:
  • 今後の対応方針:

5.関係者リスト

  • 主要連絡先(上司・同僚・取引先):
  • 相談・連絡が必要な場合の窓口:

6.その他

  • 特記事項:
  • 退職後の連絡先:

こちらからダウンロード

なお、引継書の作成は、社員が退職の意向を示した直後に着手させましょう。ケースによりますが、この時期であれば、まだ心理的な距離も近く、詳細な情報を引き出しやすいこともあるからです。

3 有休の買い取りを打診する

引継書の記入依頼と並行してもう一つ、必要に応じて検討したいのが「有休の買い取り」です。原則として有休の買い取りは禁止されていますが、退職時については、

会社が有休の買い取りを予約することや、本来なら請求できるはずの有休日数を減らしたり与えなかったりすることは違法である

という行政通達(昭和30年11月30日基収4718号)がある一方で、

結果的に取得されない有休について、日数に応じて賃金を支給することは違法ではない

とした裁判例(昭和29年3月19日神戸地裁判決)があります。

簡単に言えば、

会社と社員が合意すれば、有休の買い取りが認められる余地がある

ということです。あくまでも合意があればということなので、会社が「有休を買い取るから出社しろ!」と強制したり、社員に不利益となる情報をちらつかせて合意に持っていったりすることは認められません。しかし、条件(買い取る日数や金額など)も含めて交渉の余地は十分にあるはずです。

4 退職代行サービスの場合は相手の窓口に伝える

今や退職代行サービスのラッピングバスが繁華街を走る時代。社員が退職代行サービスを利用しても不思議ではありません。この場合、社員との直接的なやり取りは著しく制限されるので、引き継ぎだけでなく、会社備品の返却や退職金の支払いなどの問題も出てきます。

そのため、退職代行サービスを運営する業者(以下「退職代行業者」)には次のような対応で臨みましょう。

1)法的権限の確認

退職代行業者の正体が、「弁護士」「労働組合」「民間事業者」のいずれであるかによって法的権限が異なります。例えば、弁護士資格のない民間事業者が、退職の条件について会社と交渉することは、非弁行為に当たり認められません。まずは、退職代行業者の法的権限を確認しましょう。

2)社員本人の意思確認

退職の申し出が、社員本人の意思によるものかを確認しましょう。例えば、退職代行業者に対して、社員本人が自筆で記入した退職届の提出を求めることが可能です。

3)退職日や有休消化の意向の確認

いつ退職したいか、有休を消化する意向があるかなどについて、書面での確認を求めます。

4)会社備品の返却と引き継ぎの要求

会社備品の返却や引継書の作成を、退職代行業者を通じて社員に要求します。

5)直接連絡の提案

退職代行業者に対し、退職金や未払い給与の支払いについて、退職代行業者を介さず直接社員と連絡を取りたい旨を伝え、その方法を提案します。

5 複雑なケースの場合、専門家への相談も検討する

退職で問題が発生した場合、会社と社員の話し合いなどで解決するのが望ましいですが、次のような深刻な状況の場合においては、弁護士への相談が必要になるケースもあります。

1)重要な機密情報の持ち出しが疑われる場合

会社の機密情報が関係していたり、個人情報保護に関わる問題があったりする場合です。

2)意図的な業務妨害が行われている場合

重要書類の破棄や隠匿、システムへの故意の損害行為などがある場合です。

3)著しい損害が発生している場合

取引先との関係に重大な支障を来していたり、業務の長期停止で損害が出ていたりする場合です。

例えば、引き継ぎがされないことにより、業務が長期停止して大きな損害を被った場合(上記の3)に該当)などは、弁護士を通して損害賠償を請求できる可能性があります。

とはいえ、法的手段の検討は慎重に行う必要がありますので、あくまでも話し合いによる解決が困難な場合の最終手段として考えておきましょう。

以上(2025年3月作成)

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画像:k_yu-Adobe Stock

【書籍ダイジェスト】『Apple Vision Proが拓くミライの視界 スマホがなくなる日』

本書では、2024年2月にAppleが発売したApple Vision Proが実現しようとしている「空間コンピューティング」について、それがどういうものでどのようなインパクトを社会に与えるのか、「日本再興」を狙えるビジネスチャンスとしての側面も含めて解説している。
Apple Vision Proは、Meta(元Facebook)などの他社が既に開発しているヘッドマウント・ディスプレイに類するゴーグル型のVRデバイスだが、使用に違和感を感じさせない最新の技術が盛り込まれており、重量やバッテリーの持ちなどに課題があるものの、「あらゆる空間がインターネットの入口になる」未来を垣間見させてくれる、可能性に満ちた新商品なのだという。

書籍ダイジェストは、こちらからお読みいただけます。pdf

【中堅社員のスピーチ例】前に出て空を飛び続けよう!

【ポイント】

  • 雁(がん)は群れで長距離を飛ぶ際、先頭の鳥の後ろに「V字」を作るように列を組む
  • 仲間は先頭の鳥の気流に乗って飛べるが、飛び続けるには先頭を交代し回す必要がある
  • 部下や後輩が「前に出る意識」を持たないと、やがて組織が成り立たなくなってしまう

おはようございます。突然ですが、皆さんは「雁行(がんこう)」というのをご存じでしょうか。これは雁という渡り鳥が、群れで長距離を旅する際に見せる飛び方です。雁の群れは一列に並んで飛ぶのではなく、先頭の鳥の後ろから左右に広がり、アルファベットの「V」の形になるように列を組んで飛びます。このことを雁行、V字飛行などと呼ぶのです。

なぜ、V字に列を組むのかと思うでしょうが、これにはちゃんとした理由があります。雁が羽ばたくと、その後ろには体が浮きやすい気流ができます。だから、列の後ろを飛ぶ鳥は、仲間が作った気流に乗って、疲れずに飛び続けることができるのです。ただ、この飛び方だと、仲間の力を借りられない先頭の鳥には負担が集中します。そのまま放っておけば先頭の鳥は疲弊して羽ばたけなくなり、そうなると仲間も気流に乗って飛べなくなります。だから、雁たちは長距離を旅する際、先頭の役割を交代しながら順番に回し、ローテーションしながら飛行するのです。

私はこの雁行のシステムを初めて知ったとき、「雁ってとても賢い鳥なんだな」と感心すると同時に、ふと「自分の会社が雁の群れだとしたら、どんな状態だろう」と考えてみました。私たちの会社では、上司や先輩が、私のような若手の進むべき方向を照らして引っ張ってくれています。ですが、私自身はどうなのかというと、正直なところ、上司や先輩の指示にただ従うだけで、自分が皆を引っ張るという経験をあまりして来なかったように思います。雁の群れでいうなら、「先頭の役割を1人だけ交代せず、楽をし続けている状態」といえるかもしれません。

もちろん、会社の指揮系統に従うことは大切なのですが、いつまでも上司や先輩に引っ張ってもらっていては、その人たちに負担が集中します。そんな状態が続けば、やがて組織は成り立たなくなってしまうでしょう。だから、私たち若手は、ただ誰かに任せきりにするのではなく、定期的に「自分がやります!」と手を挙げて、チームを引っ張る意識を持たなければなりません。

もうすぐ新年度が始まりますが、新年度の私のテーマは「前に出る」です。チーム全体が空を飛び続けられるよう、積極的に手を挙げていきたいと思います。

以上(2025年3月作成)

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画像:Mariko Mitsuda