【助成金(健康経営編)】残業削減などに取り組むと1370万円!

1 働き方改革推進支援助成金を活用しよう!

働き方改革やSDGsの観点から、社員の「健康」維持が大きく注目されています。残業を減らす、休暇や休日を増やすなど、アプローチの方法はさまざまです。就業規則の整備や設備導入にはコストがかかるため、助成金を活用しながら取り組みを進めることをお勧めします。

例えば、

建設業など特定の業種が時間外労働の削減などに取り組み、一定の成果目標を達成した場合に最大1370万円が支給

されるのをご存じですか。具体的には「働き方改革推進支援助成金」という助成金がそうです。以降では、それぞれの制度概要と申請上のポイントを専門家が解説します。

なお、助成金の内容は2026年4月13日時点のもので、将来変更される可能性があります。また、申請書の書き方や添付書類については、全コースまとめてこちらに記載されていますので、ご確認ください。

厚生労働省「働き方改革推進支援助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/index.html#h2_free3

2 業種別課題対応コース(最大1370万円)

1)業種別課題対応コースとは?

建設業、運送業等、病院等、砂糖製造業、情報通信業、宿泊業の中小企業が生産性を向上させ、時間外労働の削減などに取り組んだ場合に助成を受けられるというものです。なお、砂糖製造業は、「鹿児島県・沖縄県の事業者のみ」が対象です。

2)助成金を受け取るには?

中小企業で、申請時点において一定の要件(年5日の年休(年次有給休暇)の取得に向けた就業規則等を整備している、法的要件を満たした36協定を締結し、届け出ている等)を満たしている会社が、「成果目標」を設定し、成果の達成に向けて「支給対象となる一定の取り組み」を実施する必要があります。

具体的な「成果目標」となるのは次の7つで、1つ以上を選択する必要があります。

  • 月60時間超の36協定の時間外・休日労働時間数の縮減
  • 所定外労働時間数の削減(1.との同時選択は不可)
  • 年休の計画的付与制度の導入
  • 時間単位年休+1つ以上の特別休暇(注1)の導入
  • 勤務間インターバル制度の導入
  • 4週における所定休日の1日以上の増加(建設業のみ)
  • 「医師の働き方改革の推進(注2)」の実施(病院等のみ)

(注1)病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇等が対象です。

(注2)労務管理体制の構築(労務管理責任者の設置等、副業・兼業を行う医師の労務管理体制の整備、労働時間管理に関する研修の実施)、医師の労働時間の実態把握を指します。

「支給対象となる取り組み」は次の7種類です。

  • 労務管理担当者に対する研修(勤務間インターバル制度に関するもの、業務研修を含む)
  • 社員に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家によるコンサルティング
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 人材確保に向けた取り組み
  • 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新(注)
  • 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(注)

(注)原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。

3)受け取れる金額はいくら?

取り組みの実施に要した経費の一部(具体的には図表1の額)を受け取れます。なお、指定する社員について、

  • 賃上げの実施を成果目標に加え、実施を達成した場合は「賃上げに関する加算」
  • 割増賃金の引上げを成果目標に加え、実際に達成した場合は「割増賃金率の引上げに関する加算」

が受けられます(次章以降の「労働時間短縮・年休促進支援コース」「勤務間インターバル導入コース」にも一部、同様の制度があります)。

業種別課題対応コース

要件を満たし、選択した成果目標の達成や各種加算の適用条件を満たした場合、最大で次の額の助成を受けられる計算になります。

  • 建設業:1370万円
  • 運送業等:1290万円
  • 病院等:1340万円
  • 砂糖製造業:1270万円
  • 情報通信業、宿泊業:1270万円

4)専門家のワンポイントアドバイス

働き方改革推進支援助成金は全部で5つのコースがありますが、いずれも

2026年度の「交付申請書」の申請期限は、2026年11月30日まで(予算の制約により11月30日以前に締め切られる場合があるので注意)

となっているので、早めに準備を進める必要があります。加えて、時間外労働の削減などの各種取り組みについても、

交付決定後、2027年1月31日までに提出した計画に沿って取り組みを実施した上で、支給申請期限までに都道府県労働局に支給申請をしなければならない

ので、交付申請書の提出時期によっては非常にタイトなスケジュールになります。期限内に提出するためにも、余裕を持って計画的にプロジェクトの立案等を進めるようにしてください。

このコースは選択肢が多い分、「自社の業種で、どの成果目標を組み合わせれば最大効果を狙えるか」を考えることが肝要です。特に注意すべきは、

成果目標1(36協定の縮減)と成果目標2(所定外労働時間数の削減)は同時選択できない

という制約がある点です。

賃上げ加算は、「常時30人以下」の事業主の場合、1人当たりの加算額が2倍になるため、小規模の会社ほど相対的にメリットが大きい仕組みです。自社の規模を踏まえて、賃上げ対象人数を戦略的に設定しましょう。

3 労働時間短縮・年休促進支援コース(1020万円)

1)労働時間短縮・年休促進支援コースとは?

生産性を向上させ、時間外労働の削減、年休や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組んだ場合に助成を受けられるというものです。

2)助成金を受け取るには?

中小企業で、申請時点において一定の要件(年5日の年休(年次有給休暇)の取得に向けた就業規則等を整備している等)を満たしている会社が、「成果目標」を設定し、成果の達成に向けて「支給対象となる一定の取り組み」を実施する必要があります。

具体的な「成果目標」となるのは次の3つで、1つ以上を選択する必要があります。

  • 月60時間超の36協定の時間外・休日労働時間数の縮減
  • 年休の計画的付与制度の導入
  • 時間単位年休+1つ以上の特別休暇(注)の導入

(注)病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇等が対象です。

「支給対象となる取り組み」は次の7種類です。

  • 労務管理担当者に対する研修(勤務間インターバル制度に関するもの、業務研修を含む)
  • 社員に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家によるコンサルティング
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 人材確保に向けた取り組み
  • 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新(注)
  • 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(注)

(注)原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。

3)受け取れる金額はいくら?

取り組みの実施に要した経費の一部(具体的には図表2の額)を受け取れます。

労働時間短縮・年休促進支援コース

要件を満たした場合、最大1020万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

このコースは、残業削減を掲げるだけでなく、年休の計画的付与や時間単位年休と特別休暇の新規導入など、制度整備を伴う成果目標が中心です。就業規則の整備や年休管理簿の作成が要件に含まれるため、申請前に社内規程と運用実態を点検しておくとスムーズです。

その他の基本的な注意点は、業種別課題対応コースなどと同じです。なお、交付決定後の取り組み実施期間は、2027年1月31日までとなります。

4 勤務間インターバル導入コース(最大970万円)

1)勤務間インターバル導入コースとは?

勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の「休息時間」を設ける勤務間インターバル制度の導入などを行った場合に助成を受けられるというものです。

2)助成金を受け取るには?

中小企業で、申請時点において一定の要件(36協定を締結しており、過去2年間に月45時間超の時間外労働の実態がある、年5日の年休(年次有給休暇)の取得に向けた就業規則等を整備している等)を満たしている会社が、「成果目標」を設定し、成果の達成に向けて「支給対象となる一定の取り組み」を実施する必要があります。

具体的な「成果目標」となるのは次の3つで、1つ以上を選択する必要があります。

  • 新規導入(所属社員の1/4超を対象とする勤務間インターバルを新たに導入する)
  • 適用範囲の拡大(勤務間インターバルの適用範囲を所属社員の1/4または1/2超とする)
  • 時間延長(所属社員の1/4または1/2超とする勤務間インターバルの休息時間数を、2時間以上延長して9時間以上とする)

「支給対象となる取り組み」は次の7種類です。

  • 労務管理担当者に対する研修(勤務間インターバル制度に関するもの、業務研修を含む)
  • 社員に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家によるコンサルティング
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 人材確保に向けた取り組み
  • 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新(注)
  • 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(注)

(注)原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。

3)受け取れる金額はいくら?

取り組みの実施に要した経費の一部(具体的には図表3の額)を受け取れます。

勤務間インターバル導入コース

要件を満たし、成果目標の達成に加えて賃上げ加算や割増賃金率引上げ加算の適用条件も満たした場合、最大970万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

成果目標は支給要領の別表に基づいて上限額が変わるため、申請前に対象人数と休息時間数の組み合わせを確認し、賃上げ加算や割増賃金率加算を組み合わせるかも含めて計画することが重要です。

また、制度導入に当たっては、

単に「○時以降の残業禁止、○時以前の始業禁止」と定めるだけでは対象にならない

ので注意してください。就業規則等で「終業から次の始業までの休息時間を確保する」旨を明記する必要があります。

なお、2026年度の改正で、11時間以上の休息時間を新規導入する場合の上限額が150万円に引き上げられました(2025年度は120万円)。可能であれば11時間以上を目指すことで、助成額を最大化できます。

その他の基本的な注意点は、業種別課題対応コースなどと同じです。なお、交付決定後の取り組み実施期間は、2027年1月31日までとなります。

5 団体推進コース(最大500万円)

1)団体推進コースとは?

事業主団体等(中小企業の団体やその連合団体等で1年以上の活動実績があるものなど)が、傘下の構成事業主(社員を雇用する会社)の社員について、労働条件を改善するため、時間外労働の削減や賃上げに向けた取り組みを実施した場合に助成を受けられるというものです。

2)助成金を受け取るには?

課題対応の「成果目標」として

事業主団体等が事業実施計画に基づき、時間外労働の削減・賃上げに向けた改善事業の取り組みを行い、構成事業主の2分の1以上にその取り組みまたは取り組み結果を活用

する必要があります。

支給対象となる取り組みは、次の10種類です。いずれも成果目標の達成に向けて実施する必要があります。

  • 市場調査
  • 新ビジネスモデルの開発、実験
  • 材料費、水光熱費、在庫等の費用の低減実験(労働費用を除く)
  • 取引適正化への理解促進など、労働時間などの設定の改善に向けた取引先との調整
  • 販路の拡大などの実現を図るための展示会開催および出展
  • 好事例の収集、普及啓発
  • セミナー(勤務間インターバル制度に関する事項を含む)の開催など
  • 巡回指導、相談窓口の設置など
  • 構成事業主が共同で利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新の事業
  • 人材確保に向けた取り組み

3)受け取れる金額はいくら?

取り組みの実施に要した経費の一部(具体的には図表4の額)を受け取れます。

働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)

要件を満たした場合、最大500万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

前述した通り、このコースでは、団体自身が取り組みを実施するだけでは足りず、構成事業主の2分の1以上にその取り組みまたは取り組み結果を活用させる必要があります。そのため、

申請段階から「誰に、どう横展開するか」を具体化しておく

ことが肝要です。事業計画の策定段階から、構成事業主への事前説明・参加意向の確認を丁寧に行い、「計画倒れ」にならない体制を整えましょう。

その他の基本的な注意点は、業種別課題対応コースなどと同じです。なお、交付決定後の取り組み実施期間は、2027年2月14日までとなります。

6 取引環境改善コース(最大100万円)

1)取引環境改善コースとは?

荷主集団等が、トラックドライバーの時間外労働の削減等のために、荷待ち・荷役時間の短縮に向けた取引環境整備の取り組みを実施した場合に助成を受けられるというものです。

2)助成金を受け取るには?

この助成金は、次の要件などを満たす荷主集団等を対象としています。

  • 荷主集団等を代表して、本助成金の申請に係る事務等を行う事業者(代表事業主)および構成員を合わせて3者以上で構成された組織であること
  • 代表事業主を含め、少なくとも1以上の荷主もしくは倉庫事業者および1以上の運送事業者で構成されていること
  • 組織として現に活動しているまたは今後具体的に活動することが見込まれる荷主集団であること
  • 中小企業事業主の占める割合が、構成員たる運送事業者の1/2を超えていること

荷主集団等は、

事業実施計画で定める改善事業を行い、運送事業主の1/2以上に対して荷待ち・荷役時間および労働時間の短縮に効果を上げる

という成果目標を達成する必要があります。

支給対象となる取り組みは、次の5種類です。いずれも成果目標の達成に向けて実施する必要があります。

  • 取引適正化への理解促進など、労働時間等の設定の改善に向けた取引先等との調整
  • 好事例の収集、普及啓発
  • セミナー(勤務間インターバル制度に関する事項を含む)の開催など
  • 巡回指導、相談窓口の設置など
  • 運送事業者等が利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新

この他、代表事業主が法人格を有すること、代表事業主および全構成員が同一の企業グループに属していないことなども要件に含まれます。

3)受け取れる金額はいくら?

取り組みの実施に要した経費の一部(具体的には図表5の額)を受け取れます。

働き方改革推進支援助成金(取引環境改善コース)

要件を満たした場合、最大100万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

他の4コースとは異なり、個社の中小企業事業主ではなく「荷主集団等」が申請主体となります。荷主集団等の構成要件を満たすことに加え、構成員である運送事業者の2分の1以上に対して、荷待ち・荷役時間や労働時間の短縮効果を上げる必要があります。そのため、申請時にはどの取引工程を見直し、どのような効果を見込むかまで具体化しておくことが重要です。

その他の基本的な注意点は業種別課題対応コースなどと同じです。なお、交付決定後の取り組み実施期間は、2027年2月14日までとなります。

以上(2026年5月更新)
(監修 社会保険労務士 柴田充輝)

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画像:日本情報マート

脇役に徹した坂本龍馬が作った「透明なレガシー」とは?

「世の人は我を何とも言わば言え、我が成すべき事は我のみぞ知る」

坂本龍馬は、幕末期に活躍した土佐藩出身の志士です。1835年に現在の高知県で生まれ、剣術修行のため江戸に遊学したのち、藩を脱して倒幕運動に関わりました。薩摩藩と長州藩の同盟を仲介するなど、激動の幕末において新しい国家の形を構想した人物で、33歳のとき、中岡慎太郎と共に暗殺されましたが、そのキャラクターは今なお多くの人に愛されています。

冒頭の言葉は、龍馬の詠草(和歌を書き残した紙の意)として残されているものです。詠まれた時期は正確には分かっていませんが、1861〜1867年ごろと考えられています。この時期は、脱藩、勝海舟との出会い、薩長同盟の仲介、海援隊の設立など、龍馬の人生でも特に濃密だった7年間と重なっています。

さて、「好きな歴史上の人物」といえば、必ずと言っていいほど名前が挙がる龍馬ですが、「何がすごかったのか」と問われると、意外と答えに詰まる人も多いのではないでしょうか。龍馬は有名でありながら、いわゆる「維新の三傑」に数えられるわけでもありません。実際、司馬遼太郎氏の小説『竜馬がゆく』が広く読まれるようになる以前までは、彼は幕末の脇役であり、歴史の教科書でもそれほど大きく扱われていませんでした。

ですが、そのある種の「脇役っぷり」こそが彼が長く愛される所以なのかもしれません。龍馬の功績といえば、まずは長年対立していた薩摩藩と長州藩の間を取り持ち、影役者として薩長同盟を成立させたこと。それから、明治維新後の政治体制の原型ともいわれる「船中八策」を構想して同志に託し、のちの大政奉還につながるきっかけを作ったこと。いずれの歴史的イベントも、龍馬自身が主役になったわけではありません。しかし彼が結びつけた人々や残した構想は、明治維新を成し遂げる重要な礎になりました。

龍馬は明治を見る前に息絶えますが、彼は自分が主役にならなくても、日本を変える変革の土台を作ること、「透明なレガシー」を残すことに人生をかけたのです。冒頭の龍馬の言葉からも、「周囲がどう評価するかではなく、自分が何を成すべきかを信じよ」という強い覚悟が感じ取れます。

経営者も会社の将来を見据え、人脈作りや設備投資など、日々さまざまな「種まき」をしています。種まきの成果はすぐには出ませんし、なかには社員にも気付かれない地味な取り組みもありますから、経営者のやっていることが周囲に理解されないケースもあるかもしれません。そんな周囲の視線にさらされ、経営者自身、「自分は本当に正しいのだろうか」と悩むこともあるでしょう。ですが、そんなときこそ、龍馬にならって、自分だけが見えている「成すべき事」に立ち返ってみてください。たとえ、周囲には伝わりにくい取り組みであっても、経営者が信念に従って積み重ねた日々が将来、会社を変える変革の土台「透明なレガシー」になるはずです。

出典:「龍馬の手紙」(宮地佐一郎著、講談社、2003年12月)

以上(2026年4月作成)

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画像:k_river-Adobe Stock

社員から「年休を買い取ってほしい」と言われたら応じるべき?

1 年休の買い取りはあくまで例外的な対応

労働基準法により、会社は入社後6カ月以上勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した社員に「年休(年次有給休暇)」を付与します。

年休の付与日数

年休の付与日数は図表の通りですが、問題は規模の小さい会社ほど、仕事が忙しくて年休を取得する余裕がない社員が多いことです。そして、そうした社員の中には、

使わない年休を買い取ってほしい(使わない年休分の賃金を支払ってほしい)

と考えたり、実際に請求したりする人がいます。

経営者や労務担当者も、「年休が取れないなら、せめて社員が損をしないよう買い取ってあげたい」と考えるかもしれませんし、

見方を変えれば、年休の買い取りは新しい福利厚生

になります。法令上、年休は社員の疲労回復やリフレッシュのために「休暇」として与えるのが原則で、買い取りは法的には認められてはいませんが、例外的な対応として一定の条件を満たせば可能とすることができます。

この記事では、

  • 年休の買い取りに関する実務のポイント(第2、3、4、5章)
  • 年休の買い取りについて就業規則に定める場合の規定例(第6章)

を紹介します。

2 会社も社員も、年休の買い取りの「強制」はできない

まず押さえておきたいのは、

  • 会社は社員に「年休を買い取るから、休まず出勤しろ」と強制することはできない
  • 社員も会社に「使わない(使えなかった)年休を買い取れ」と強制することはできない

という点です。

前述した通り、年休は社員が疲労を回復して心身ともにリフレッシュするための制度です。買い取りが当たり前になってしまうと、休暇としての意味がなくなってしまいますから、制度の趣旨を損なうような買い取りの仕方はNGとされているのです。

労働基準法には、年休の買い取りに関する具体的な定めがありませんが、行政通達では

会社が年休の買い取りを予約することや、本来なら請求できるはずの年休日数を減らしたり与えなかったりすることは違法である

とされています(昭和30年11月30日基収4718号)。つまり、会社が社員に「年休を買い取るから、休まず出勤しろ」と強制することはできません。逆に、社員が会社に「使わない(使えなかった)年休を買い取れ」と強制するケースについては、

未消化の年休を事後に使用者が買い取る義務はない

とした裁判例があります(大阪高裁平成14年11月26日判決)。他の言葉に言い換えると、

年休の買い取りは、会社と社員が自由な意思に基づき合意した場合に初めて認められる

ということです。

3 年休の買い取りが認められやすいケースが3つある

会社と社員が年休の買い取りについて合意していても、買い取りが無制限に認められるわけではありません。例えば、労働基準法には

年10日以上の年休が付与されている社員には、会社が時季を指定して年5日の年休を取得させなければならない

というルールがあり、仮に会社と社員が合意していても、付与された10日以上の年休を全て買い取るといった対応は認められません。会社が時季指定して付与した5日分については、たとえ本人と合意があっても買い取りによって消化

することはできず、これに違反すると労働基準法違反(罰則対象)となります。

会社は労働基準法の年休のルールに違反しないよう、買い取りを認めるケースを明確に決めておく必要があります。一般的に、次の3つのケースは、年休の買い取りが認められやすいとされています。

  • 時効により消滅した年休の買い取り
  • 退職により取得されない年休の買い取り
  • 法定の付与日数を上回る部分の年休の買い取り

1.時効により消滅した年休の買い取り

労働基準法では、社員が年休を取得しない場合、その年休は付与された日(基準日)から2年が経過したタイミングで、時効により消滅します。時効により消滅した年休はもう取得できないので、買い取っても問題ありません。

2.退職により取得されない年休の買い取り

退職が近い社員は、退職日までに残っている年休を使いきれない場合があります。こうした場合に、使いきれなかった日数分の年休を買い取ることは問題ありません。退職時の引き継ぎなどの関係で、年休を取得したかったのに退職日直前まで出勤をした結果、取得しきれなかった年休が発生した場合、社員と相談して買い取るという対応も可能です。

ただし、前述した通り、社員に年休の買い取りを条件として出社を強制するのは違法です。

3.法定の付与日数を上回る部分の年休の買い取り

会社によっては、独自の休暇制度を設けて、法定の付与日数を上回る年休を社員に付与しているところがあります。例えば、法令上は「年10日」の年休を付与すべき社員に、会社ルールで「年15日」の年休を付与している場合、5日(15日-10日)分については、買い取っても問題ありません。

4 買い取った年休分の賃金の算定方法は?

年休の買い取り金額に関して法的な決まりはありません(例外的な対応であるため)が、実際に年休を取得した場合の賃金額と同じとするケースが一般的です。具体的には、

  • (通常賃金)1日働いた場合の通常の賃金。月給制の場合、月給÷1カ月の所定労働日数などで1日単位に換算した額
  • (平均賃金)直近3カ月間の賃金総額(賞与等を除く)÷直近3カ月間の総日数
  • (標準報酬日額)標準報酬月額÷30日 ※労使協定の締結が必要

のいずれかになります。どれを選択するかは、就業規則に定めます。なお、2026年の法改正に向けて

年休の賃金の算定方式を「通常賃金」に一本化することが政府内で議論されている

ので、今後の動向に注意が必要です。

5 買い取った年休分はどうやって支払う?

年休の買い取りを行う際、もっとも注意すべきは、その支払いが「在職中か」「退職時か」ということです。

在職中の社員から年休を買い取る場合、

その分の賃金は「賞与」として支払うのが通常

です。社員が社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者の場合、買い取った年休分の賃金(賞与)には社会保険料がかかってきます。賞与の社会保険料は、

支給日から5日以内に日本年金機構に提出する「被保険者賞与支払届」

に基づいて決まりますので、書類の提出漏れがないように注意しましょう。なお、被保険者賞与支払届は賞与を支払うたびに提出が必要になりますので、業務の煩雑さを考えるのであれば、

年休の買い取り分の賃金は、賞与支給月(6月、12月など)に通常の賞与と合算して支払う(賞与明細の内訳などで、年休の買い取り分の賃金がいくらかを明らかにする)

といった対応にするのもよいでしょう。

一方、

退職に起因して残日数分を買い取る場合は、その支払いは「退職手当(退職所得)」として計上されます。

退職所得として処理する最大のメリットは社会保険料がかからない点です。

他の退職金と同様に、勤続年数に応じた「退職所得控除」の対象となるのも特徴です。ただし、「退職所得の受給に関する申告書」の提出がない場合は、一律20.42%の源泉徴収が必要となる点にご注意ください。また、会社は退職後1カ月以内に「退職所得の源泉徴収票」を本人へ交付する義務があります。

6 年休の買い取りについて、就業規則ではどう定める?

最後に、年休の買い取りに関する就業規則の規定例を紹介します。なお、実際にこうした規定を盛り込む際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受け、自社に沿った内容で対応されることをお勧めします。

【規定例】

第◯条(年次有給休暇の買い取り)

1)会社は、次の各号について社員から年次有給休暇の買い取りの請求があり、会社が法の定める年次有給休暇の趣旨などを考慮して問題がないと判断した場合、その買い取りを行う。

  • 時効(基準日から2年後)により消滅した年次有給休暇の買い取り
  • 退職により取得されない年次有給休暇の買い取り
  • 法定の付与日数を上回る部分の年次有給休暇の買い取り

2)会社は、社員からの請求に基づき、年次有給休暇の付与日数、基準日および時効、その他年次有給休暇の買い取りに関し必要な情報を提供する。

3)年次有給休暇の買い取り日数は、会社と社員が協議の上決定する。なお、労働基準法第39条第7項に基づき時季を指定して付与する年次有給休暇については、買い取りの対象としない。

4)年次有給休暇を買い取る場合、その1日当たりの賃金額は、就業規則第◯条で定める、実際に年次有給休暇を取得した場合の賃金額と同額とする。

5)年次有給休暇を買い取る場合、会社はその賃金額を明らかにした上で、毎年6月または12月に支給する賞与に合算して社員に支払う。ただし、第1項第2号に基づく年次有給休暇の買い取りの場合においては、当該社員の退職月に退職金(退職手当)として支給する。

以上(2026年5月更新)
(監修 社会保険労務士 三原明日香)

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【助成金(採用活動編)】 特定の人材の採用などで最大240万円!

1 採用活動を強力にサポートする助成金を使いこなす!

最新の主要調査によると、2025年の中途採用費用(年間平均)は609.9万円です(社員数3名以上の会社を対象とした、マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」)。人手不足を背景に、中途採用に力を入れている企業が多いことが伺えます。

一方、中小企業などでは

「採用活動にそこまでお金をかけられない」と、積極的に取り組めずにいる会社

が少なくありません。そもそも採用活動に割けるリソースが限られる上に、入社した社員がすぐに辞めてしまうことも多い昨今、慎重にならざるを得ないのは無理からぬことです。

しかし、諦めないでください。

採用活動をサポートするための助成金を上手に活用し、採用コストに充当すること

でこの問題を打開できる可能性があります。国や自治体が実施する助成金の中には、一定の条件に該当する社員を雇い入れたり、訓練したりすることで受給できるものがあります。

この記事では、

採用活動に関する中小企業向けの助成金を4つ紹介

します。支給額や要件などの情報に加え、専門家のワンポイントアドバイスも載せています。なお、助成金の内容は、2026年4月3日時点のもので将来変更される可能性があります。また、申請書の書き方や添付書類等については、各章で紹介しているURLをご参照ください。

2 早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)

1)早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)とは?

会社都合などでやむを得ず離職した社員を、離職日の翌日から3カ月以内に無期雇用社員(週20時間以上勤務)として採用し、かつ給与を5%以上アップさせ、6カ月を超えて継続雇用すると、助成金を受け取れる制度です。

厚生労働省「早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082805.html

2)助成金を受け取るには?

次の要件などを満たす必要があります(詳細は厚生労働省ウェブサイトをご参照ください)。

【会社側の要件】

  • 対象者を、離職日の翌日から3カ月以内に、雇用保険被保険者となる無期雇用社員(週の所定労働時間が20時間以上)として雇用する
  • 採用時に、社員の所定内賃金を離職前よりも5%以上アップさせる
  • 採用後、6カ月を超えて雇用する
  • 採用日の前後6カ月間に、解雇や雇止めを行っていない

【社員側の要件】

  • 「再就職援助計画の対象者」「求職活動支援書の対象者」「雇用保険の特定受給資格者」のいずれかである(主に倒産や事業縮小など会社都合で離職した人が該当)

3)受け取れる金額はいくら?

雇い入れにかかった費用の一部を定額で受給(早期雇入れ支援)できます。生産指標等により一定の成長性が認められる会社は、「優遇助成」が受けられます。

早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)

4)専門家のワンポイントアドバイス

離職から3カ月以内に社員を雇用するという要件があるので、タイミングを意識して採用計画を立てることが重要です。また、訓練を実施して人材育成支援を受ける場合は、訓練前に「職業訓練計画」を立てて都道府県労働局の認定を受ける必要がある点に注意が必要です。

3 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

1)特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)とは?

60歳以上の高年齢者や障害者など、就職が特に困難とされる人材を社員として雇い入れた場合、所定の金額(定額)を受け取れるというものです。

厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/tokutei_konnan.html

2)助成金を受け取るには?

次の要件などを満たす必要があります(詳細は厚生労働省ウェブサイトをご参照ください)。

【会社側の要件】

  • ハローワーク等からの紹介により、対象者を所定労働時間が週20時間以上の雇用保険被保険者として雇用すること
  • 雇入れ日の前後6カ月間に解雇等を行っていないこと

【社員側の要件】

  • 「高年齢者(60歳以上の者)(注)」「身体・知的・精神障害者」「母子家庭の母等」「ウクライナ避難民」「補完的保護対象者」といった、就職が困難とされる者であること

(注)2026年5月1日以降は、雇入れ時の年齢が60歳以上であることに加え、紹介日において、ハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けていることが要件に追加されます。

有期雇用社員の場合は、契約が「自動更新」であることを契約書に明記し、労働者が希望する限り更新可能であること(更新条件は就業規則の解雇要件以内)、かつ65歳以上まで継続して2年以上(一部は3年以上)雇用することが確実である必要があります。

3)受け取れる金額はいくら?

対象社員に支払われた賃金の一部に相当する額として、次の金額が支給対象期(6カ月)ごとに定額で(ただし、対象期に支払われた賃金額を上限として)支給されます。なお、「短時間労働者」とは、週の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者をいいます。

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

4)専門家のワンポイントアドバイス

特定就職困難者コースは、ハローワーク等からの紹介により人材を雇用することが必須の要件です。そのため、求人を出す際は事前にハローワークに求人票を提出し、「助成金対象となる人材を雇用したい」とはっきり伝えておくことが重要です。

また、有期雇用での採用の場合は「自動更新」であることの記載漏れや、就業規則の解雇条件を超えた条件を設けると助成金が受け取れません。雇用契約書や就業規則をよく確認し、適切な条件で雇用契約を結ぶよう注意しましょう。

加えて、

2026年4月以降の申請分からは、賃金台帳の提出が必須

になっているので注意してください(賃金台帳の提出が確認できない場合、不支給となる)。

4 特定求職者雇用開発助成金(中高年層安定雇用支援コース)

1)特定求職者雇用開発助成金(中高年層安定雇用支援コース)とは?

「就職氷河期世代(おおむね1993年~2004年ごろに就職活動を行っていた人)」を含む35歳から60歳未満の中高年層のうち、就職の機会を逃したなどの理由で正社員としてのキャリア形成が難しかった人を、正社員として雇用する場合に助成金が支給される制度です。

厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(中高年層安定雇用支援コース)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/chuukou.html

2)助成金を受け取るには?

次の要件などを満たす必要があります(詳細は厚生労働省ウェブサイトをご参照ください)。

【会社側の要件】

  • ハローワークまたは一定の要件を満たす民間職業紹介事業者から紹介された対象者を、正社員(期間の定めがなく、所定労働時間が週30時間以上、かつ昇給・賞与・退職金など長期雇用を前提とした待遇のある雇用)として雇い入れること

【社員側の要件(次の全ての要件を満たす必要あり)】

  • 雇入れの日において35歳以上60歳未満である
  • 雇入れ前の過去5年間において、正社員として雇用された期間が通算1年以下である
  • 雇入れ前の過去1年間において、正社員として雇用されたことがない(ただし、過去1年以内に会社都合の解雇等により離職した場合は対象になる)
  • ハローワーク等の紹介の時点で「安定した職業に就いていない状態であり、ハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けている
  • 正社員として雇用されることを自ら希望している

3)受け取れる金額はいくら?

対象社員に支払われた賃金の一部に相当する額として、次の金額が支給対象期(6カ月)ごとに定額で支給されます。ただし、支給対象期ごとに対象社員に支払った賃金額が図表4の額を下回る場合、その賃金額が支給額の上限となります。

特定求職者雇用開発助成金(中高年層安定雇用支援コース)

4)専門家のワンポイントアドバイス

本助成金は「ハローワーク等からの紹介」が必須条件です。求人時にその点を明記し、採用ルートが助成金の要件に合致するかを必ず確認しましょう。また、非正規雇用期間が長い方や離職期間が長かった方が対象となるため、入社後のOJTやOFF-JTなどの人材育成を丁寧に実施することで、社員の早期戦力化と定着を促進できます。

なお、こちらのコースも、

2026年4月以降の申請分からは、賃金台帳の提出が必須

になっているので注意してください(賃金台帳の提出が確認できない場合、不支給となる)。

5 トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

1)トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)とは?

職業経験の不足やスキル不足等により就職に不安がある方を「トライアル雇用(試行雇用)」として一定期間雇用した場合に助成金が支給される制度です。原則として3カ月間の試用期間中に対象者の適性を確認し、期間終了後に無期雇用契約(正社員等)へ移行することを目的としています。

トライアル雇用のイメージ(ハローワークからの紹介の場合)

厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_16286.html

2)助成金を受け取るには?

次の要件などを満たす必要があります(詳細は厚生労働省ウェブサイトをご参照ください)。

【会社側の要件】

  • ハローワークまたは一定の要件を満たす民間職業紹介事業者から紹介された対象者を雇い入れること
  • 対象者を、有期雇用契約で所定労働時間が週30時間以上(日雇労働者などの場合は週20時間以上)の雇用保険被保険者として、原則3カ月間トライアル雇用すること
  • トライアル雇用終了後、無期雇用契約(所定労働時間が週30時間以上)への転換を前提としていること

【社員側の要件(次のいずれかに該当する必要あり)】

  • 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
  • 紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている(※パート・アルバイトなどを含め、一切の就労をしていないこと)
  • 妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
  • 紹介日時点で60歳未満であり、ハローワーク等で担当者制の個別支援を受けている
  • 就職援助に特別な配慮が必要な者に該当する(母子家庭の母等、父子家庭の父、生活保護受給者など)

3)受け取れる金額はいくら?

対象者1人につき、月額4万円(母子家庭の母等または父子家庭の父の場合、月額5万円)が最大3カ月分支給されます。トライアル期間中に雇用期間が1カ月未満の月があった場合や、社員の都合による休暇、会社都合による休業等が発生した場合は、その月について以下の計算式により助成額が調整されます。

実際に就労した日数÷就労予定日数

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

また、トライアル雇用終了後に対象社員を無期雇用として継続雇用する場合、特定求職者雇用開発助成金の対象にもなり得ます。

4)専門家のワンポイントアドバイス

トライアル雇用を開始してから2週間以内に、対象社員を紹介したハローワーク等に「トライアル雇用実施計画書」を提出し、必ず認定を受ける必要があります。これを怠ると助成金が受け取れないため注意しましょう。

また、助成金の申請はトライアル雇用終了後の無期雇用契約移行後2カ月以内に行う必要があります。トライアル期間中の社員の適性確認や能力評価は丁寧に実施し、無期雇用契約への円滑な移行と社員の定着を図りましょう。

以上(2026年4月更新)

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画像:日本情報マート

治療と仕事の両立支援ガイドブック(2026年5月号)

労働施策総合推進法の改正により、ことし4月から、事業場において労働者の「治療と仕事の両立」を支援するために必要な措置を講じることが努力義務となりました。人手不足対応や健康経営の要請が高まるなか、従業員が疾病を抱えながら働くケースは中小企業でも増えていますが、多くの企業では両立支援の制度設計が十分でなく、担当者が個別対応に追われがちです。そこで、厚生労働省の指針を踏まえた両立支援の制度設計をわかりやすく整理し、 実務上の留意点や就業規則への反映、 ケーススタディーを解説します。


2026年度、中小企業新事業進出補助金とものづくり補助金が1つに?

1 2つの補助金が統合、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に?

2025年度に創設された、会社の新事業展開を支える「中小企業新事業進出補助金」。そして、長年にわたり製造業の設備投資を支えてきた「ものづくり補助金」。どちらも中小企業にとって重要な意味を持つ補助金ですが、

2026年度以降は、この2つの補助金が統合され「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として生まれ変わる予定

です。

この記事では、「新事業進出補助金」と「ものづくり補助金」、それぞれの制度の概要や申請上の注意点を紹介した上で、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に統合された際、どのような変更があるのかなどをお伝えします。

なお、この記事の内容は2026年4月19日時点の公開情報に基づいており、将来変更される可能性があります。申請の際は必ず最新の公募要領をご確認ください。

2 中小企業新事業進出補助金

1)中小企業新事業進出補助金とは?

2025年度から新たにスタートした補助金で、事業再構築補助金の後継制度として創設されました。中小企業等が既存の事業の枠を超え、新市場・高付加価値事業へ進出するための設備投資等を支援します。

「新しい製品・サービスを、新しい顧客層に届ける」チャレンジを後押しすることで、企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上と賃上げにつなげることを目的としています。

■中小企業新事業進出補助金■
https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/

2)申請するには?

主な要件は次の6つです。

中小企業新事業進出補助金

なかでも「1.新事業進出要件」は制度の根幹ですので、まず自社の事業計画がこの要件を満たすかを確認する必要があります。なお、1.の要件の基準となる「新事業進出指針」についてはこちらをご確認ください。また、3.と4.の要件は、目標未達の場合に補助金の返還義務が生じます。

■中小企業庁「新事業進出指針」■
https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/docs/shinjigyou_shishin.pdf

3)受け取れる金額はいくら?

補助上限は従業員規模によって異なります。また、

  • 「賃上げ特例」(給与支給総額年平均+6.0%以上かつ事業場内最低賃金+50円以上)を適用する場合、補助上限が引上げ
  • 「地域別最低賃金引上げ特例」(2024年10月~2025年9月の間、補助事業の主たる実施場所において、「当該期間の地域別最低賃金以上~2025年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が30%以上の月が3カ月以上)を適用する場合、補助率が引上げ

となります。

中小企業新事業進出補助金

補助対象経費は、機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、(検査・加工・設計等に係る)外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費です。なお、機械装置・システム構築費、建物費のいずれかは必須です。

4)スケジュールは?

2026年4月19日時点では第4回公募が実施されており、そのスケジュールは次の通りです。

  • 公募開始:2026年3月27日(金)
  • 申請受付:2026年5月19日(火)
  • 応募締切:2026年6月19日(金)18時
  • 補助金交付候補者の採択発表:2026年9月頃(予定)
  • 補助事業実施期間:交付決定日から14カ月以内、ただし採択発表日から16カ月後の日まで

3 ものづくり補助金

1)ものづくり補助金とは?

正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。中小企業・小規模事業者が革新的な新製品・新サービスの開発や、海外事業を通じた国内の生産性向上に必要な設備投資等を支援します。

新事業進出補助金が「既存事業の外に出る新しい挑戦」を支援するのに対し、ものづくり補助金は「既存事業の延長線上にある革新的な開発や海外展開」を支援するイメージです。

■ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金総合サイト■
https://portal.monodukuri-hojo.jp/

2)申請するには?

申請枠は次の2つです。

  • 製品・サービス 高付加価値化枠:革新的な新製品・新サービスの開発に必要な機械装置・システム導入費用を支援
  • グローバル枠:海外での需要開拓等を目的とした設備投資を支援

主な要件(基本要件)は次の4つです。

ものづくり補助金

申請者は、1.~3.の要件を全て満たす補助事業の終了後3~5年(任意で選択可)の事業計画を策定します。なお、従業員数21名以上の場合は4.の要件も満たす必要があります。また、2.と3.の要件は、目標未達の場合に補助金の返還義務が生じます。

3)受け取れる金額はいくら?

1.製品・サービス高付加価値化枠

補助上限は従業員規模によって異なります。また、

  • 「大幅賃上げ特例」(給与支給総額年平均+6.0%以上かつ事業所内最低賃金+50円以上)を適用する場合、補助上限が引上げ
  • 「最低賃金引上げ特例」(2024年10月~2025年9月の間、補助事業の主たる実施場所において、「当該期間の地域別最低賃金以上~2025年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が30%以上の月が3カ月以上)を適用する場合、補助率が引上げ(ただし、小規模事業者・再生事業者は対象外)

ものづくり補助金

となります。なお、大幅賃上げ特例と最低賃金引上げ特例の併用はできません。

補助対象経費は、機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費です。

2.グローバル枠

補助上限は、従業員数に関係なく一定で、特例措置の適用はありません。

ものづくり補助金

補助対象経費は、機械装置・システム構築費(必須)、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費です。

さらに、海外市場開拓(輸出)に関する事業の場合のみ、海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費も補助対象経費となります。

4)スケジュールは?

2026年4月19日時点では第23次公募が実施されており、そのスケジュールは次の通りです。

  • 公募開始:2026年2月6日(金)
  • 申請受付:2026年4月3日(金)
  • 申請締切:2026年5月8日(金)17時
  • 採択公表:2026年8月上旬頃予定
  • 補助事業実施期間:
    ・(製品・サービス高付加価値化枠)交付決定日から10カ月以内、ただし採択発表日から12カ月後の日まで
    ・(グローバル枠)交付決定日から12カ月以内、ただし採択発表日から14カ月後の日まで

4 新たに始まる「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」とは?

1)なぜ2つの補助金が統合されるのか?

中小企業新事業進出補助金とものづくり補助金については、2026年度以降、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」に統合して公募を行うことが予定されています。

中小企業新事業進出補助金(新市場・新事業への進出)とものづくり補助金(革新的な開発)は目的こそ異なりますが、どちらも中小企業の付加価値向上と賃上げという共通の政策目標を持ちます。この2つの補助金を一体的に評価する補助金体系へ再設計することが統合の狙いです。

どちらかが廃止されるわけではなく、「成長投資支援の窓口を一本化する」という位置づけです。

2)統合後はどうなる?

中小企業庁が公表している資料によると、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金では、

  • 中小企業新事業進出補助金 → 新事業進出枠
  • ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠) → 革新的新製品・サービス枠
  • ものづくり補助金(グローバル枠) → グローバル枠

として再設計される予定です。

また、補助上限と補助率については、改正前後で次のように変わります。なお、補助下限についての情報は2026年4月19日時点では公表されていません。

ものづくり補助金

大きく変わるのは、グローバル枠(旧:ものづくり補助金(グローバル枠))で、補助上限が大幅に引き上げられ、最大7000万円となる見込みです。また、改正前はなかった特例の適用も受けられるようになり、その場合、金額は最大9000万円になります。

■中小企業庁「『新事業進出・ものづくり補助事業』に係る資料提供依頼・意見募集について■
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/jizen/2025/251226.html

以上(2026年5月作成)

pj00820
画像:ChatGPT

目指せ100億!「中小企業成長加速化補助金」は最大5億の補助

1 設備投資に使える 中小企業成長加速化補助金

現在、中小企業庁では「売上高100億円」を目指す中小企業を応援する「100億企業成長ポータル」を立ち上げています。売上高100億円は、多くの経営者にとって「途方もない額」である一方、「いつの日か達成してみせる!」という野心をかき立てる数字かもしれません。とはいえ、実際に中小企業がこの目標を達成するには大規模な設備投資が不可欠で、「その資金をどう調達するの?」と聞かれると、困ってしまう経営者も多いはずです。

そこで活用したいのが、

設備投資を最大5億円まで補助する「中小企業成長加速化補助金」

です。2024年度補正予算により2025年からスタートした中小企業庁所管の補助金で、これを上手に活用すれば、自己資金の負担を抑えつつ最新設備の導入が可能になり、競争力の強化につながります。以降で、補助金の概要や申請のポイントについて解説しますので、興味のある方はぜひご確認ください。

2 中小企業成長加速化補助金とは?

1)中小企業成長加速化補助金の概要

この補助金は、売上高10億円以上100億円未満の中小企業に対して補助を行うことで、工場の新設・増築や設備の導入を促進するためのものです。書類と面接の審査を経た後、交付決定された企業に対して、実績報告後に補助金が支払われます。

中小企業成長加速化補助金の概要

中小企業成長加速化補助金の活用イメージ

中小企業庁「中小企業成長加速化補助金」
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/koubo/2025/250314001.html

2)中小企業成長加速化補助金の詳細な要件

1.補助上限額・補助率

補助上限額は5億円で、補助率は1/2となっています。

【計算例】補助対象経費の総額(最大10億円)×補助率1/2=補助金額(最大5億円)

2.補助事業期間・公募スケジュール

補助事業期間は24カ月となります。他の補助金に比べて長めではありますが、交付申請後にしか発注・契約できません。交付申請は採択決定日から2カ月以内が期限となります。

2次公募の申請受付はすでに終了していますが、スケジュールは次のようになっています。2次公募が終了次第、2026年夏頃を目処に3次公募が実施される予定です。

  • 2026年1月下旬:公募説明会
  • 2026年2月24日(火):申請受付開始
  • 2026年3月26日(木):申請受付締切
  • 2026年5月下旬:1次審査結果の公表
  • 2026年6月22日(月)~7月10日(金):プレゼン審査
  • 2026年7月下旬以降:採択結果の公表

工場の新設や海外から設備を船便にて輸送して設置する場合は、補助事業期間内に工場の新設が完了するか、設備の設置が完了するかを確認してください。

3.補助対象者

売上高100億円を目指す中小企業です。また、売上高10億円以上100億円未満の中小企業であることが要件ですので、全社での売上高がこの幅に入るかをチェックしてください(対象外になる場合、経済産業省から他の補助金が出ていますので、そちらの活用をご検討ください)。

なお、原則として直近決算期の売上高で判断するそうですが、何らかの事情がある場合には、直近3期分の決算に基づくそうです。事前に事務局に相談することをお勧めします。

4.補助事業の要件

要件の1つ目として、「100億宣言」を専用ポータルサイトにて行う必要があります。これは中小企業が自ら「売上高100億円」の実現に向けた取り組みを行っていくことを宣言するもので、

  • 企業概要
  • 企業理念・経営者の意気込み
  • 売上高100億円実現の目標と課題
  • 売上高100億円に向けた具体的措置(取り組み)

などを定めます。詳細は、中小企業庁ウェブサイトをご確認ください。

■中小企業庁「100億宣言」■
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/100oku/index.html

2つ目として、投資額が1億円以上であることが必要です。投資額とは建物費、機械装置費、ソフトウェア費の補助対象経費の合算金額であり、外注費、専門家経費は含みません。

3つ目として、賃上げが求められています。補助事業が完了した日を含む事業年度(基準年度)の「従業員(非常勤含む)の1人当たり給与支給総額」と比較した、基準年度の3事業年度後(最終年度)の「従業員の1人当たり給与支給総額」の年平均上昇率(基準率)が、全国における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率(4.5%)以上であることが必要です。賃上げ要件を満たさなかった場合は補助金返還を求められます。

なお、当該「従業員の1人当たり給与支給総額」の基準(4.5%以上)を満たした上で、「給与支給総額」か「従業員の1人当たり給与支給総額」のどちらを目標に掲げるかは申請時に選択します。申請後の変更はできません。

(注)給料、役員報酬、賞与、各種手当(残業手当、休日出勤手当、職務手当、地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当)等、給与所得として課税対象となる経費を指します。

補助対象経費は建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費となります。

3 補助金を活用するメリットとデメリット

1)中小企業成長加速化補助金のメリット

中小企業成長加速化補助金のメリットは、次の通りです。

1.資金調達の一環となる

この補助金は、事業計画を実現するために必要な資金を提供します。これにより、中小企業は新しい建物や設備の資金の一部を得ることができ、本来費用としてかかる金額よりも負担を減らすことができます。

2.事業成長を促進する

補助金を受けることで本来、建物や設備に投資するはずであった資金を他の経営資源に回せるようになり、企業の成長が加速し競争力が向上します。また、補助金を活用して新設の工場での増産や、設備投資による革新的な製品の製造が可能になります。

さらにこの補助金には、

補助事業の事業化により収益を得られたと認められる場合でも、収益納付を求められない

という特徴があります(他の補助金では、補助事業の事業化によって収益が出た場合に収益納付を求められることが多いです)。

2)中小企業成長加速化補助金のデメリット

中小企業成長加速化補助金のデメリットは、次の通りです。

1.交付決定まで発注や契約ができない

書類審査とプレゼン審査があり、実際に工場の建設や設備を発注・契約するまでにタイムラグが生じます。今すぐ事業を開始したい場合、他の補助金を活用することをお勧めします。

2.計画通りに事業が進まない場合に計画変更がしづらい可能性がある

計画通りに事業が進まない場合、補助金を活用して建てた工場や設備を他の用途に使う際は、事前に事務局への相談が必要となります。変更が認められないケースも想定されますので、しっかりとした計画を練ることが大切です。

4 申請のポイント

中小企業成長加速化補助金を申請する際は、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

1)事業計画の明確化

申請書には、革新的な事業計画を詳細に記載する必要があります。計画の目的、具体的な内容、実施方法、期待される成果などを明確に説明しましょう。申請書類の1つに投資計画書(様式1)がありますが、これはパワーポイント形式になっているので、

書類審査後のプレゼン審査は、投資計画書を使用したものになることが想定

されます。書類審査はもちろんのこと、プレゼンしやすい書類の作成も心掛けましょう。

2)申請に必要な書類等の準備

申請は電子申請となりますので、GビズID(1つのIDで複数の行政サービスにアクセスできるサービス)のプライムアカウントを、あらかじめ準備しておきましょう。

■GビズID(gBizID)■
https://gbiz-id.go.jp/top/

申請書類は全申請者にとって必要なものと、該当者のみが必要となるものがあります。金融機関の確認書やリース料軽減計画書など、社外から入手するものは、あらかじめ対象の機関(金融機関やリース事業協会)に相談しておくとスムーズです。

3)申請期限

いつの公募も、最終日は申請が殺到し、システムの動作が重くなる可能性があります。早めの申請完了をお勧めします。

4)3次公募について

2次公募の申請受付はすでに終了していますが、2次公募が終了次第、2026年夏頃を目処に3次公募が実施される予定です。過去の公募で不採択となった場合も、2次以降の公募に申請することが可能です。

5)その他の注意点

補助対象とする事業の内容が、農作物の生産自体に関するものなど、1次産業を主たる事業としている場合は対象外となります(この場合、農林水産省関連の補助金の活用をご検討ください)。

ただし、1次産業を営む事業者であっても、補助対象とする事業の内容が2次・3次産業に関する事業である場合は、対象となり得るとのことです。

また、医療、介護、売電といった国の他の制度(公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬、固定価格買取制度等)との重複を含む事業、及び同一または類似した内容の事業は対象外となりますのでご注意ください。

要件は多々あるものの、中小企業成長加速化補助金は補助金額が非常に大きく、事業を後押ししてくれる補助金です。該当する場合には活用をご検討されてはいかがでしょうか。

以上(2026年5月更新)

pj00745
画像:日本情報マート

手間のかかる不動産登記の取得業務を効率化する方法を解説

不動産業に従事されている方は、「登記情報提供サービス」から不動産登記を取得するケースがあると思います。しかし、不動産登記を取得するのは手間がかかるので面倒だと感じていらっしゃる方が多いでしょう。

そこで今回は、不動産登記の取得方法とその取得方法により生じる課題に触れながら、不動産登記取得業務をより効率化する方法について解説します。

不動産登記の取得方法

不動産登記の取得方法

不動産登記を取得する主な方法は以下の3つです。

  • 法務局の窓口で交付請求
  • 郵送による交付請求
  • オンラインで閲覧・取得

ここでは取得方法ごとの特徴を解説します。

法務局の窓口で交付請求

最寄りの法務局に出向けば不動産登記を取得できます。平日の午前8時30分~17時15分の間に、所定の申請書に必要事項を記入して、窓口に提出すれば取得可能です。

本人確認不要かつ事前の準備なしで不動産登記を取得できる点がメリットといえます。

ただし、開庁時間内に法務局に行って申請しなくてはならない点が手間になります。不動産業に従事されている方が業務時間中に取得に行く場合、業務が忙しくなかなか出向くこができないケースもありそうです。

郵送による交付請求

必要事項を記入した申請書を最寄りの法務局や地方法務局へ郵送して不動産登記の交付請求を行います。登記簿謄本を郵送してもらうため、切手を貼った返信用封筒を同封することも必要です。

申請書は法務局のホームページでダウンロード、収入印紙は郵便局やコンビニで購入できるため、法務局に行かずとも不動産登記を取得できます。

とはいえ、登記簿謄本が郵送されてくるまでには1週間ほどかかるため、活用するタイミングを踏まえ、計画的に申請することが必要です。すぐに営業活動に使いたい場合などには向いていません。

オンラインで閲覧・取得

「登記情報提供サービス」は、Web上で不動産登記をリアルタイムで閲覧、取得できるサービスです。

登記情報提供サービスとは

運営 ・法務局
取得できる主な情報 ・不動産登記情報の全部事項、所有者事項
・地図や地図に準じる図面の情報
・土地所在図や地積測量図、地役権図面、建物図面、各階平面図の情報
・商業・法人登記に関する情報
・動産譲渡登記事項概要ファイルの情報
・債権譲渡登記事項概要ファイルの情報
主な利用料金 ・不動産登記情報や商業・法人登記情報の全部事項:331円
・所有者事項:141円
・地図・図面:361円
・動産譲渡登記事項や債権譲渡登記事項の概要ファイル:141円
利用時間 ・平日は午前8時30分~午後11時まで
・土日祝日は午前8時30分~午後6時まで
(※地図・図面情報は平日の午前8時30分~午後9時まで)
・12月29日~1月3日までは休み

現在ではほとんどの方がこちらのサービスを利用しているのではないでしょうか。

「登記情報提供サービス」を利用すれば、法務局まで出向かなくても、不動産登記を取得できます。また、書面で取得する場合に比べて費用を抑えられることも利点です。また、住宅地図に地番の情報を重ね合わせたブルーマップを無料で利用することができます。

ただし、利用するにはIDの登録、取得が必要となります。IDを持っていない場合、申請から取得まで1か月ほどかかるケースもあります。また、不動産登記を取得する際には住居表示(住所)から地番や家屋番号を一つひとつ調べる必要があります。

「登記情報提供サービス」の課題

「登記情報提供サービス」の課題

上記で紹介した中では「登記情報提供サービス」がもっとも便利ですが、手間に感じる部分があるのも事実です。例えば、以下のような課題が挙げられます。

【登記情報提供サービスの主な課題2つ】

  • 住居表示(住所)と地番の照合は一つひとつ行わなければならず、件数が多い場合など手間がかかる
  • 取得した不動産登記はPDFのため、活用しづらい

以下で詳しく説明します。

住居表示(住所)から地番を一つひとつ調べるのが大変

不動産登記を取得するには、住居表示(住所)から地番・家屋番号を調べる必要がありますが、「登記情報提供サービス」では、住宅地図に地番の情報を重ね合わせたブルーマップを無料で利用することができます。しかし、住居表示(住所)から地番を調べる場合、一つひとつ調べる必要があり、すべてを調べるには大変な労力がかかります。

例えば、地図上で目星をつけたエリアすべてにDMを送りたい場合、該当エリアにて、ブルーマップを一つひとつクリックしていく必要があり、その件数は最大200件までとなります。

取得した不動産登記はPDFのため、活用しづらい

「登記情報提供サービス」から取得した不動産登記はPDFファイルのため、閲覧するだけなら良いのですが、DMやターゲットリストを作成する場合、手作業でExcelなどに入力する必要があります。件数が多い場合、大変な労力がかかることになります。

登記情報取得業務をより効率化するには?

登記情報取得業務をより効率化するには?

このように不動産登記の取得、活用には大変な手間と時間がかかります。これらを効率化する方法としては、「登記情報取得代行・データベース化サービス」の利用がおすすめです。

「登記情報取得代行・データベース化サービス」を活用すれば、住居表示(住所)をExcelデータなどにまとめて入稿するだけで、不動産登記の取得からデータ化までをワンストップで行ってくれるので手間が一切かかりません。

また、もし、住居表示(住所)がわからなかったとしても地図などでエリアを指定すれば、住居表示(住所)がわからなくても不動産登記の取得・データ化、活用が可能です。

さらに、「登記情報取得代行・データベース化サービス」では、一度に数千件、数万件といった大量の登記情報取得、データ化も可能です。このサービスでは、ほとんどのオペレーションをシステムが行うため、手作業による見間違い、入力ミスなどを防止でき、登記情報の取得・データ化にかかる業務時間を大幅に短縮することができます。

このように登記情報取得業務の効率化を図ることで、不動産営業に従事されている方の本来の業務、お客さまと向き合う時間を創出できます。

まとめ

不動産業に従事されている方の中には、不動産登記を営業活動の一環として活用したいと考えている方もいらっしゃるでしょう。不動産登記を営業活動に活用するためには、不動産登記取得の手間の削減とデータ化が欠かせません。

インターネット上の各種サービスを活用すれば、不動産登記を取得できますが、取得するまでに多くの手間や時間がかかります。また、取得した不動産登記をデータ化するにはさらに大変な手間と労力が必要となります。

そこで登記情報の取得にかかる業務を効率化するために「登記情報取得代行・データベース化サービス」を活用してみてはいかがでしょうか。住居表示(住所)がわかれば、不動産登記の取得からデータ化までをワンストップで行ってくれますし、住居表示(住所)がわからなくても、地図などでエリアを指定すれば、不動産登記の取得・データ化、活用が可能です。

登記情報の取得・データ化業務の効率化を図ることで、不動産営業に従事されている方の本来の業務、お客さまへアプローチする時間を増やすことができ、よりよい提案ができるようになることでしょう。

煩雑な登記情報の取得業務の効率化はもちろん、効果的なアプローチを実現したいと考えているなら、ぜひ利用を検討してみてください。

サービスについて詳しくは、こちらをご覧ください。

(出典:ホームズメディア)

不動産担保評価を効率化するには|課題を踏まえてポイントと成功事例を解説

金融機関で融資業務に携わっている方にとって欠かせないのが「不動産担保評価」です。しかし、必要な情報の収集や書類作成には手間と時間がかかり、ミスが発生するリスクも避けられません。特に経験の浅い担当者にとっては、業務負担の大きさに悩まされる場面も多いのではないでしょうか。

今回は、不動産担保評価の基本から業務効率化のポイントを解説します。実際に効率化に成功した事例も紹介しているので、より短時間で正確な不動産担保評価を行いたい方はぜひ最後までご覧ください。

不動産担保評価とは

不動産担保評価とは

不動産担保評価とは、金融機関が不動産を担保として融資を行う際に、その不動産の価値を査定する業務のことです。ここでは、不動産担保評価の目的と方法を詳しく解説します。

不動産担保評価の目的と概要

不動産担保評価には、融資実行前に担保物件の価値を適切に見積もることで、融資金額に見合った担保価値が確保されているか確認し、貸し倒れリスクを抑える目的があります。評価は通常、不動産の所在地や面積、権利関係などの基本情報に加え、周辺の地価や市場動向を踏まえて行われます。

不動産担保評価の方法

次に、不動産担保評価の具体的な方法をみていきましょう。

評価に必要な基本情報の収集

不動産担保評価を行う際には、さまざまな情報を収集して所定の計算式に当てはめるのが一般的です。例えば、対象土地の路線価(国税庁が公表する基準値)や公示地価(国土交通省が公表する標準価格)を調べ、近隣の売買事例(取引事例)やその土地の用途地域(都市計画上の区分)などを確認します。

登記情報の確認と担保評価額の算出

収集した情報をもとに、登記事項証明書など登記情報から得られる土地・建物の詳細(面積や権利関係)を加味し、評価基準に従って担保評価額を算出します。通常、このような評価作業は本部の専門部署へ依頼して行うケースが多く、正式な評価結果が出るまでに数日を要することもあります。

なお、不動産担保評価には営業店で行う簡易評価と、本部の専門部署や不動産鑑定士が行う詳細評価があります。営業店で事前に概算額を把握できれば、本部への正式な評価依頼の効率化につながり、審査を迅速に進められます。

不動産担保評価における3つの課題

不動産担保評価における3つの課題

次に、金融機関の不動産担保評価業務において、課題になりやすいポイントを3つ解説します。

課題1|業務にかかる時間と手間の問題

まずあげられる課題が、業務に時間がかかることです。評価に必要な情報は多岐にわたり、それぞれ別のシステムや資料から手作業で収集する必要があります。その結果、書類作成やデータ入力に手間がかかってしまうのです。さらに担当者の知識や経験が浅い場合には不備やミスが生じるリスクも高まります。

課題2|紙ベース作業による負担

紙ベースの作業負担も大きな課題です。不動産の登記情報や評価書類を紙で管理し、手書き・手入力で作成している場合、営業店の負担は大きくなります。こうした作業に時間を取られることで本来注力すべき営業活動の時間が圧迫されるという問題もあります。

課題3|営業店と本部間の連携の煩雑さ

さらに、営業店と本部の連携の煩雑さも指摘されています。営業店で収集・作成した書類を本部の審査部署に送付し、そこでチェックや評価が行われますが、入力ミスや情報不足があると差し戻しが発生し、修正・再提出に時間を要します。このやり取りにより評価完了までに日数がかかり、案件の規模に関わらずお客さまをお待たせしてしまう状況が生じてしまうのです。特に融資を急ぐお客さまにとって、不動産担保評価に時間がかかることは大きなストレスになります。

不動産担保評価を効率化するためのポイント

不動産担保評価を効率化するためのポイント

上記の課題を解決し、不動産担保評価の効率化を進めるには、業務プロセスの見直しとデジタル技術の活用が有効です。ここでは、いくつかの具体的なポイントを紹介します。

情報収集のデジタル化を進める

各種の情報を紙ではなくデジタルデータとして入手・共有することで、情報収集の手間を削減できます。例えば、路線価や公示地価などの公的データはWeb上で公開されています。また、法務局の提供する「登記情報提供サービス」を利用すれば、不動産の登記情報(登記事項証明書)をオンラインで即座に取得することが可能です。

評価の自動化と情報共有の最適化を図る

さらには、情報収集後の評価フローの自動化と、部署間の情報共有の最適化も欠かせません。例えば、AIツールを活用すれば、不動産の基本情報をツール上で入力することで、担保評価額を瞬時に自動で算定するといったことが可能です。また、クラウドプラットフォームを使用すれば、複数の部署・担当者間で情報をリアルタイムで共有できるでしょう。

「オンライン登記情報システム」を活用する

上記を包括的に行えるのが、ホームズの「オンライン登記情報システム」です。これは、不動産の登記簿情報をオンラインで取得すると同時にAIでデータ化し、他の業務システムと連携できるようにする仕組みです。

オンライン登記情報システム」では、取得した登記情報を即座に解析・データベース化し、さらに行内で共有することで、二重取得を防ぎつつ既存の担保評価システムへ自動連携できます。従来は手動で行っていた「評価帳票への入力作業」の大幅削減につながり、登記情報の判読や担保台帳の作成もAIが自動で行うため、複雑な権利関係の読み取りミスや入力ミスの防止も期待できます。担保評価業務全体のスピードアップと精度向上に役立てられるサービスです。

不動産担保評価の効率化事例《3選》

ここでは、実際に「オンライン登記情報システム」を活用して担保評価業務を効率化した金融機関の事例を紹介します。

事例1|営業負担90%削減を実現した不動産担保評価DX

A銀行様では、従来の紙ベースによる不動産評価業務をデジタル化し、業務コスト削減を実現しました。

【導入前の課題】

  • 紙中心の評価業務による非効率性
  • 営業店での担保評価関連業務の重い負担
  • 評価結果の回答までの長時間化

【導入成果】

  • 営業店での担保評価関連業務負担を約90%削減
  • 年間1万時間相当の業務時間短縮を実現
  • 本部集中審査部署の担保評価業務効率が50%向上
  • 登記情報二重取得防止により年間335万円のコスト削減
  • 評価結果の回答時間を8営業日から最短当日中に短縮

事例2|司法書士依存からの脱却で業務スピード向上

B銀行様では、従来の司法書士への登記情報取得依頼から、自社システムによる迅速な情報収集へと、大きな転換に成功しました。

【導入前の課題】

  • 登記情報取得を司法書士依頼することによる1日以上のタイムラグ
  • 住居表示から地番を特定する作業の長時間化
  • 手入力の契約書作成による工数圧迫と入力ミス

【導入効果】

  • 担保評価業務を年間で約800時間削減(「ホームズ地図システム」を活用)
  • 契約書作成を効率化し約70%を削減(「契約書自動作成システム」を活用)
  • 司法書士手数料の削減に加え、二重取得防止機能や登記情報の全店共有により、年間経費1,500万円のコストカットに成功

事例3|多面的なシステム連携により包括的に効率化

C銀行様では、不動産評価業務における複数の課題を、統合的なシステム導入により解決しました。

【導入前の課題】

  • 登記情報の行内共有不備による二重取得の発生
  • 住居表示から地番を特定する作業における時間的ロス
  • 手入力による契約書作成の非効率性
  • 人的チェック工程の多重化

【導入効果(見込み)】

  • 登記情報取得件数を10〜15%削減できる見込み(「オンライン登記情報システム」の二重取得防止機能を活用)
  • 住所から地番を特定する作業を年間約1,000時間削減できる見込み(「ホームズ地図システム」を活用)
  • 契約書作成業務を年間約5,000時間短縮できる見込み(「契約書自動作成システム」を活用)

まとめ

不動産担保評価は金融機関の融資業務において欠かせない重要なプロセスですが、多大な手間と時間を要し、ミスが起こりがちな側面もあります。そこでオンライン登記情報システムのようなツールを導入すれば、情報収集から評価算出までのプロセスの自動化や、人手による作業を減らすことでミスの削減が見込めます。

不動産担保評価を短時間で効率的に行う鍵は、「正確な情報を迅速に入手し、システムで処理する」ことにあります。今後ますますデジタル化が進む中で、これらの手法を取り入れることで業務効率化とサービス向上の両立を目指しましょう。

(出典:ホームズメディア)

【助成金(人材育成編)】DX人材などの育成で最大1億円!

1 人材開発支援助成金を使いながら人材育成!

DX(デジタル・トランスフォーメーション)や新事業展開をもっと推し進めたい。でも、そのための人材を育てるにはお金がかかる……。こうした悩みをお持ちの経営者の方、

DX人材などを育成する一定の訓練等を実施した場合に、最大1億円が支給

されるのをご存じですか。この記事で紹介する人材開発支援助成金がそうです。ビジネス環境が複雑化し、上記のような人材の育成はますます重要になっています。以降では、人材開発支援助成金のうち主要なものを4つ取り上げ、制度概要と申請上のポイントを専門家が解説します。

なお、助成金の内容は2026年4月10日時点のもので、将来変更される可能性があります。また、申請書の書き方や添付書類については、全コースまとめてこちらに記載されていますので、ご確認ください。

厚生労働省「人材開発支援助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html

2 事業展開等リスキリング支援コース(最大1億円)

1)事業展開等リスキリング支援コースとは?

新規事業の立ち上げのような事業展開等に伴い、雇用保険の被保険者である自社の社員に対し新たな分野で必要となる知識・技能を習得させるための訓練等を実施した場合、助成金を受け取れるコースです。

2)助成金を受け取るには?

10時間以上のOFF-JT(会社の事業活動と区別して行われる訓練。これと反対に、事業活動と区別せずに行われる訓練がOJT)で、次のいずれかに該当する、職務に関連した訓練を実施することが必要です。

  • 会社が事業展開を行うに当たり、新たな分野で必要となる専門的な知識・技能の習得をさせるための訓練(事業展開については、訓練開始日から3年以内に実施予定、または6カ月前までに実施したものに限る)
  • 事業展開は行わないが、社内のDX化やグリーン・カーボンニュートラル化を進めるに当たり、関連業務に従事させる上で必要な専門的な知識・技能を習得させるための訓練
  • 社内の人事・人材育成に関する計画に基づき、今後従事することが予定される職務(訓練開始日から3年以内)に必要な訓練

また、実施に当たっては、まず事業展開等の内容を記載した「事業展開等実施計画(様式が決まっています)」を作成し、訓練の内容やスケジュールを記載した「職業訓練実施計画(同じく様式が決まっています)」と一緒に都道府県労働局に届け出る必要があります。

3)受け取れる金額はいくら?

図表1の額を受け取れます。

事業展開等リスキリング支援コース

要件を満たした場合、1年度につき最大1億円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

職業訓練実施計画を作成した場合、必要書類とともに訓練開始日の6カ月前から1カ月前までの間に都道府県労働局に提出する必要があります。提出後、訓練を実施することになりますが、

訓練終了日の翌日から2カ月以内に支給申請をしないと、助成金が受け取れなくなる

ので注意しましょう。

なお、e-ラーニング、通信制、定額制サービスによる訓練・育児休業中の訓練については、経費助成のみとなります(定額制サービスによる訓練に対する経費助成は、1人当たり月額2万円)。

3 人材育成支援コース(最大1000万円)

1)人材育成支援コースとは?

雇用保険の被保険者である自社の社員に対し、職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練等を実施した場合、助成金を受け取れるコースです。

2)助成金を受け取るには?

このコースは「人材育成訓練」「認定実習併用職業訓練」「有期実習型訓練」「中高年齢者実習型訓練」に分かれていて、いずれも事業展開等リスキリング支援コースと同じく、職業訓練実施計画の届け出が必要です。なお、「認定実習併用職業訓練」については厚生労働大臣の認定を、「有期実習型訓練」についてはキャリアコンサルタント等による面接を事前に受ける必要があります。

1.人材育成訓練

10時間以上のOFF-JT訓練が対象です。職業訓練実施計画に基づき事業内訓練を実施するか、対象者が事業外訓練を受講する必要があります。

  • 事業内訓練(会社自らが企画・主催・運営する訓練計画により行う訓練等)
  • 事業外訓練(社外の教育訓練機関等に受講料を支払い受講させる訓練等)

2.認定実習併用職業訓練

新卒者等のために実施するOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練が対象です。訓練開始日において、15歳以上45歳未満であることが条件とされています。職業訓練実施計画に基づき、OJTとOFF-JTを受講し、訓練終了後にジョブ・カードによる対象者の評価を実施する必要があります。

3.有期実習型訓練

有期雇用者等の正社員転換を目的として実施する、OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練が対象です。職業訓練実施計画に基づき、OJTとOFF-JTを受講し、訓練終了後にジョブ・カードによる対象者の評価を実施し、対象者を正社員化する必要があります。

4.中高年齢者実習型訓練

45歳以上の社員を対象とした、実践的なスキルを習得させるためのOFF-JTとOJTを組み合わせた訓練(2カ月以上)が対象です。職業訓練実施計画に基づき、OJTとOFF-JTを受講し、訓練終了後にジョブ・カードによる対象者の評価を実施する必要があります。

3)受け取れる金額はいくら?

訓練それぞれについて、図表2~4の額を受け取れます。

人材育成支援コース

人材育成支援コース

人材育成支援コース

要件を満たした場合、1年度につき最大1000万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

事業展開等リスキリング支援コースと同じく、支給申請のスケジュールに注意が必要です。なお、有期実習型訓練については、原則として支給申請期間(訓練終了日の翌日から2カ月以内で支給申請日まで)の間に対象者の正社員転換を果たす必要がありますが、結果的に正社員転換が実施されなかった場合も、次の要件を満たすと助成を受けられるようになっています。

  • 職業能力開発推進者を選任していること
  • 事業内職業能力開発計画を策定・周知していること
  • 定期的なキャリアコンサルティングの機会の確保等について定めていること

4 人への投資促進コース(最大3500万円)

1)人への投資促進コースとは?

雇用保険の被保険者である自社の社員に対するデジタル人材・高度人材を育成する訓練、社員が自発的に行う訓練、定額制訓練(サブスクリプション型)等を実施した場合、助成金を受け取れるコースです。

2)助成金を受け取るには?

このコースは、「高度デジタル人材訓練」「成長分野等人材訓練」「情報技術分野認定実習併用職業訓練」「定額制訓練」「自発的職業能力開発訓練」「長期教育訓練休暇等制度」に分かれています。

「高度デジタル人材訓練」「成長分野等人材訓練」「情報技術分野認定実習併用職業訓練」「定額制訓練」「自発的職業能力訓練」については、「職業訓練実施計画届(様式が決まっています)」を作成し、都道府県労働局に届け出た上で、

  • 事業内訓練(会社自らが企画・主催・運営する訓練計画により行う訓練等)
  • 事業外訓練(社外の教育訓練機関等に受講料を支払い受講させる訓練等)

のいずれかを、原則としてOFF-JTにより実施する必要があります。なお、「高度デジタル人材訓練」「情報技術分野認定実習併用職業訓練」以外は事業外訓練のみが対象です。

また、「情報技術分野認定実習併用職業訓練」に関しては、「職業実施計画届」とは別に厚生労働大臣の認定を受ける必要があります。

一方、「長期教育訓練休暇等制度」については、「制度導入・適用計画届(こちらも様式が決まっています)」を作成し、都道府県労働局に届け出た上で、

  • 長期教育訓練休暇制度
  • 教育訓練短時間勤務等制度

のいずれかを新たに導入し(既に導入している場合も対象)、計画期間内に各制度に基づいた制度を一定回数適用させることが必要となります。なお、長期教育訓練休暇制度については、当該休暇を取得する社員に代わって業務を代替する者への手当支給等の取り組みや代替要員の新規採用(派遣の受け入れを含む)を実施した場合に対しても助成を受けることができます。

1.高度デジタル人材訓練

高度デジタル人材訓練は、高度デジタル人材(ITSS(ITスキル標準)・DSS-P(DX推進スキル標準)レベル3・4となる訓練または大学への入学(情報工学・情報科学)等)を育成するための訓練が対象です。

2.成長分野等人材訓練

成長分野等人材訓練は、成長分野等(デジタル、クリーンエネルギー、人工知能、量子、バイオ、宇宙等の成長が期待される分野等)に関する、海外を含む大学院での訓練が対象です。

3.情報技術分野認定実習併用職業訓練

IT分野未経験者の即戦力化のためのOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練が対象です。訓練開始日において、社員が15歳以上45歳未満であることが要件とされています。

4.定額制訓練

サブスクリプション型の研修サービスによる訓練が対象です。

5.自発的職業能力開発訓練

社員が自発的に受講した訓練で、会社が訓練費用を負担するものが対象です。

6.長期教育訓練休暇制度

働きながら訓練を受講するための長期教育訓練休暇制度や短時間勤務等制度(所定労働時間の短縮・所定外労働時間の免除)を導入し、社員がそれらを利用して訓練を受けた場合に助成を受けられます。なお、既に制度を導入している場合でも助成の対象となります。

また、長期教育訓練休暇制度については、休暇取得に伴う人員不足の補填に対する追加助成を受けることができます。

3)受け取れる金額はいくら?

図表5~7の額を受け取れます。

人への投資促進コース

人への投資促進コース

人への投資促進コース

要件を満たした場合、1年度につき最大3500万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

長期教育訓練休暇等制度を除く訓練等は、図表5、6の通り1年度当たりの受講回数が決まっています。また、賃金助成については、次のように限度時間が決められています。

  • 高度デジタル人材訓練:原則1200時間(大学院、大学、専門実践教育訓練は1600時間)
  • 情報技術分野認定実習併用職業訓練:1200時間
  • 成長分野等人材訓練:原則1200時間(大学院、大学、専門実践教育訓練は1600時間)
  • 長期教育訓練休暇等制度:1600時間(中小企業以外は1200時間)

なお、このコースでは職業訓練実施計画届や制度導入・適用計画を届け出てから訓練等を実施しますが、

計画を届け出る前に訓練を実施したり、制度を導入したりすると、助成対象外になる

ので注意が必要です。また、届け出後に計画内容に変更が生じた場合、所定期日までに変更届を提出しなければなりません。

5 教育訓練休暇等付与コース(最大36万円)

1)教育訓練休暇等付与コースとは?

有給の教育訓練休暇制度(3年間で5日以上の取得が可能な制度)を導入し、対象者が当該休暇を取得して教育訓練等を受けた場合、助成金を受け取れるコースです。

人への投資促進コースの長期教育訓練休暇等制度は、長期の教育訓練休暇を対象としていますが、こちらは短期の教育訓練休暇を想定しています。

2)助成金を受け取るには?

人への投資促進コース(長期教育訓練休暇等制度コース)と同じく、事前に制度導入・適用計画を届け出た上で、有給の教育訓練休暇制度(3年間で5日以上の取得が可能な制度)を導入し、対象者が実際に休暇を取得して訓練を受ける必要があります。

なお、制度を導入するだけでなく、就業規則等への規定及び監督署への届け出(10人未満の場合は、申立書の提出)が必要となります。

3)受け取れる金額はいくら?

図表8の額を受け取れます。

教育訓練休暇等付与コース

1社につき1回までの支給となりますが、要件を満たした場合、最大36万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

人への投資促進コースと同じく、制度導入・適用計画を届け出る前に制度を導入すると、助成対象外になる点に注意が必要です。

また、就業規則の届け出義務がある場合は、就業規則において規定した制度施行日までに監督署に届け出していない場合についても助成対象外となります。

なお、3年間で5日以上の休暇を取得させることが助成の要件となっているため、申請は原則として制度導入日から3年が経過した日から2カ月以内とされていますが、それを待たずに要件を満たした場合、3年が経過する前であっても申請が可能とされています。ただし、制度導入日から6カ月間は申請をすることができません。

以上(2026年5月更新)
(監修 人事労務すず木オフィス 特定社会保険労務士 鈴木快昌)

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画像:日本情報マート