【新人経理向け】決算のメーン作業となる棚卸資産と固定資産の評価の全体像を把握する

1 棚卸資産と固定資産の評価は決算のメーン作業

さまざまな集計や計算が行われる決算作業の中でも、金額の大きさなどからメーンとなるのが、棚卸資産と固定資産の評価です。

  • 棚卸資産:売上原価の計算と、期末評価額の算定、減耗損の有無の判断
  • 固定資産:減価償却の計算と減損の有無の判断

この記事では、新人経理担当者に必要な棚卸資産と固定資産の会計処理を解説します。

  • 商品や製品などの棚卸資産の評価
  • 建物や機械装置などの有形固定資産の評価

2 商品や製品などの棚卸資産の評価

1)売上原価と期末商品棚卸高

製造業以外の業種の売上原価は、

売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高

で計算できます。

当期に仕入れたものが全て売上原価になるのではなく、販売につながった商品だけが売上原価として損益計算書に記載されることになります。期末商品棚卸高は棚卸資産として貸借対照表に記載されて次期に繰り越され、次期以降の売上原価の一部になります。

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2)製造業の製品製造原価と期末製品棚卸高

製造業は原材料を仕入れて、それを加工し出荷します。そのため製造業の場合、売上原価と期末棚卸高は自社製造製品が対象になります。

製造に必要な費用は、材料費、労務費、製造経費に大きく分けることができます。

  • 材料費:「材料費=期首材料棚卸高+当期材料仕入高-期末材料棚卸高」で計算
  • 労務費:製造に携わる社員の給与、賞与、退職金、各種社会保険料などを集計
  • 製造経費:工場の光熱費、消耗品費、建物の減価償却費、外注費などを集計

製造業の場合、商品仕入高の代わりに当期製品製造原価を用いて売上原価を計算します。

また、棚卸資産は、材料棚卸高、仕掛品棚卸高(期末時点で製造途中の未完成品)、製品棚卸高により計算されます。その算出フローは次の通りです。

  • 当期材料費=期首材料棚卸高+当期材料仕入高-期末材料棚卸高
  • 当期総製造費用=当期材料費+当期労務費+当期製造経費
  • 当期製品製造原価=当期総製造費用+期首仕掛品棚卸高-期末仕掛品棚卸高
  • 売上原価=期首製品棚卸高+当期製品製造原価-期末製品棚卸高

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3)棚卸資産の主な評価方法

商品などの棚卸資産は取得原価を基に評価しますが、いつ仕入れたかによって価額が異なる場合が多いです。物価上昇時では、先に仕入れた商品より後から仕入れた商品のほうが仕入値は高くなります。一方、物価下落時では、先に仕入れた商品より後から仕入れた商品のほうが仕入値は安くなります。

そのため、決算時には次の評価方法の中から選択した方法で売上原価・製造原価の払出原価と期末棚卸資産の価額を評価することになります。

1.個別法

取得原価の異なる棚卸資産を区別して記録し、その個々の実際原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法です。個別法は、一品一品受注生産しているような棚卸資産の評価に適した方法です。

2.先入先

出法最も古く仕入れものから順次払出し、期末棚卸資産は最も新しく仕入れたものからなるとみなして、期末棚卸資産の価額を算定する方法です。

3.平均原価法

仕入れた棚卸資産の平均原価を算出し、この平均原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法です。なお、平均原価は、総平均法(1年間分をまとめて平均原価を計算する方法)または移動平均法(仕入れる都度平均原価を計算する方法)によって算出します。

4.売価還元法

値入率などが同じ棚卸資産のグループごとの期末の売価合計額に、原価率を乗じて期末棚卸資産の価額とする方法です。売価還元法は、取扱品種の極めて多い小売業等の業種における棚卸資産の評価に適用されます。売価還元法によると、期末棚卸資産は

期末棚卸資産=期末棚卸資産の通常の販売価額×原価率

の算式で計算されます。

なお、原価率は、

原価率=(期首棚卸資産+当期仕入高)/(当期売上高+期末棚卸資産の通常の販売価額)

の算式で計算されます。

例えば、期首棚卸資産の取得原価が200万円、当期仕入高が1000万円、当期売上高が1400万円、期末棚卸資産の通常の販売価額が200万円の場合、次の通りです。

原価率=(200万円+1000万円)/(1400万円+200万円)=75%

期末棚卸資産=200万円×75%=150万円

4)棚卸資産の減耗損はありますか

本来、商品在庫は、仕入数量から売上数量を引いた数量と一致すべきものですが、さまざまな要因(紛失や盗難など)で数量不足が起きることがあります。本来あるべき数量(帳簿棚卸数量)に比べて実際の数量(実地棚卸数量)が少ないケースです。この数量の減少による損失を減耗損といいます。減耗損の仕訳例は次の通りです。

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減耗損が毎期不可避的に発生するものは売上原価に含めるか、または販売費として扱います。一方、経常的でない異常な減耗損は特別損失(金額的に重要性の乏しい場合は営業外費用)として扱います。

5)棚卸資産の評価損はありますか

販売するために保有する棚卸資産は、取得原価で貸借対照表に計上します。ただし、期末における正味売却価額(期末時点で市場で販売できる価額)が取得原価よりも下落している場合には、正味売却価額をもって貸借対照表価額とします。この場合、取得原価と当該正味売却価額との差額は当期の費用として処理します。なお、詳細な解説は省略しますが、会計基準上は認められていないものの、税務上は原価法も認められています。

前期に評価損を計上した棚卸資産については、当期首に戻入れを行う方法(洗替え法)と行わない方法(切放し法)のいずれかを棚卸資産の種類ごとに選択適用することができます。また、売価の下落要因を、

  • 物理的劣化
  • 経済的劣化
  • 市場の需給変化

の要因ごとに区分できるときは、その区分ごとに洗替え法と切放し法のいずれかを選択適用できます。この場合、いったん採用した方法は、原則として、継続して適用しなければなりません。切放し法と洗替え法による仕訳例は次の通りです。なお、税務上、切放し法は認められません。

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3 建物や機械装置などの有形固定資産の評価

1)減価償却とは

建物や機械装置、車両運搬具などは、少額のものを除き有形固定資産として計上します。これらの資産は購入した年度だけ使用するのでなく、翌年度以降も使用されます。そのため、耐用年数(資産の種類や性質ごとに異なります)の期間を通じて、費用処理する方法が取られています。この処理を減価償却といい、毎期一定の金額、または一定の割合で価値が減るという仮定で費用処理します。現在は、パソコンなどで自動計算されるため、計算方法よりも、むしろ貸借対照表にどのように計上されているのかを押さえることが大切です。

2)事例で学ぶ 減価償却の会計処理

減価償却について、次の条件を基に説明します。

機械装置を100万円で購入、耐用年数は10年、定額法定額法による場合、各期の減価償却費は次式で算出されます。

各年度の減価償却費=取得価額×償却率(耐用年数ごとに定められている定額法の率)

各年度の減価償却費=100万円×0.100=10万円

また、期首帳簿価額、減価償却費、期末帳簿価額は次のように推移します。資産は備忘価額1円を残して、10年間で99万9999円まで償却します。

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減価償却累計額は、原則的には貸借対照表の有形固定資産を間接的に減額する評価勘定として表示され、減価償却費は、損益計算において営業費用として処理されることになります。各期の仕訳例は次の通りです。

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貸借対照表では次のように表示されます。原則は間接控除方式ですが、直接控除方式によることもできます。

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以上(2025年4月更新)
(監修 税理士 石田和也)

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画像:pixabay

「勤務時間外は電話に出ません!」 つながらない部下の対処法

1 たまに耳にする「つながらない権利」って何?

皆さんは「つながらない権利」という言葉をご存じですか?

プライベートの時間(勤務時間外)では、社員は会社からの仕事に関する連絡(電話・メール・チャットなど)への対応を断ることができるという権利

のことです。フランスで2016年に法制化されたのをきっかけに、他のヨーロッパ諸国でもこのつながらない権利が広がっています。国によっては、勤務時間外の連絡そのものを禁止していて、違反すると会社に罰金が科される場合もあるほどです。

日本では法制化には至っていませんが、

テレワークなどで働き方が自由になった一方、仕事とプライベートの境界があいまいになり、社員が「常に仕事につながれた状態」になりやすい環境

ができています。そんな中で、つながらない権利をめぐって上司と部下が対立することもしばしば。例えば、上司が急ぎでお願いしたいことがあっても、部下が「勤務時間外ですから」とそれを突っぱねてしまうのです。上司と部下、両者の主張はおそらくこんなカンジでしょう。

(上司)そりゃ、プライベートは大切だろうけど、時と場合によるだろう! そっちは勤務時間外でもこっちは働いているんだ! 少しは融通を利かせてくれないと困る!

(部下)こっちは休みたいし趣味だって楽しみたいのに、当然のように連絡されたんじゃプライベートの意味がない! 勤務時間中は真面目に働いているんだから、いいでしょ!

つながらない権利は、基本的には部下寄りの考え方に立ちますが、会社からすると上司の主張も一理あるかもしれません。どちらの主張も汲んだ「バランスの取れたつながらない権利」を実現するにはどうすればいいのか、そのためには「会社」「上司」「部下」それぞれが以降で紹介するポイントを押さえることが大切です。

2 会社:働き方のルールをきちんと作る!

1)「原則、勤務時間外には連絡しない。ただし、急ぎの案件などは別」が基本

まずは、会社が働き方のルールをきちんと作りましょう。就業規則等に、つながらない権利の規定を設けている会社は少数派かもしれませんが、例えば日本労働組合総連合会(以下「連合」)が次のような規定例を紹介しています。

【規定例】

第〇条(つながらない権利(勤務時間外の連絡))

1 会社は勤務時間外の従業員に対し、緊急性が高い場合を除き、電話、メール、その他の方法で連絡等を行わない。

2 従業員は、勤務時間外の別の従業員に対し、電話、メール、その他の方法で連絡をしてはならない。ただし、緊急性の高いものはこの限りではない。

3 勤務時間外の従業員は、会社または別の従業員からの電話、メール、その他の方法による連絡について、応対する必要はない。

4 会社は、会社または別の従業員からの電話、メール、その他の方法による連絡に応対しなかった従業員に対して、人事評価等において不利益な取扱いをしない。

(出所:連合「【重点分野-2】テレワーク導入に向けた労働組合の取り組み方針」)

ざっくりポイントをまとめると、

会社は原則として、勤務時間外には社員に連絡しないが、急ぎの案件などでは連絡することがある。ただし、社員が応対しなくても、人事評価等で不利益な取扱いはしない

です。

2)連絡手段についてはもう少し細かいルールを

連絡手段については、必要に応じてもう少し細かいルールを決めておくのもよいでしょう。例えば、

  • 普段、業務で使用するチャットツールについては、勤務時間外では通知をオフにすることを推奨し、社員が安心してプライベートを過ごせるよう配慮する
  • その上で、どうしても急ぎ連絡を取らなければならない場合は、あらかじめ「急ぎの連絡手段(携帯電話への連絡など)」を決めておき、そちらに連絡する

といった具合に、連絡手段を使い分けるようにすると、メリハリが付けやすいかもしれません。あるいは、チャットツールなどについて、深夜・早朝・休日などの時間帯にはアクセス制限をかける仕組みを整えると、上司が部下に悪気なく連絡してしまうのを防ぐことができます。

3)社外への伝達も忘れずに!

社員のプライベートを守るためには、取引先などに自社の営業時間をきちんと伝えておきましょう。例えば、自社のウェブサイトや問い合わせフォームに

「弊社の営業時間は平日9時~18時です。土日祝日は休業日のため、お問い合わせには翌営業日に対応いたします」

といった表記をすることが考えられます。

この他、システム面を工夫して、休暇中の社員への電話を会社に転送したり、時間外に届いたメールを自動削除して再送を求めたりする機能を導入している会社もあります。こうした機能がある場合は、あらかじめ取引先などに説明し、理解を得るようにしましょう。

3 上司:勤務時間外には原則連絡せず、する場合も配慮を!

1)「自分が若い頃は……」は通用しない

上司の中には、「自分が若い頃は、夜中や休日に上司から連絡を受けても対応していた」という人がいるかもしれませんが、今の時代、それは通用しません。本来、プライベートの時間は体を休めたり、趣味を楽しんだりするためのものであり、上司から連絡が来るのが当たり前になると、部下は安心して休むことができません。厳しいようですが、

「原則、勤務時間外には連絡しない」というのが鉄則。しなければならないのだとしたら、それは自身のマネジメントに問題がある

ぐらいに思っておいたほうがいいでしょう。

2)「急ぎの連絡をする基準」を部下と共有する

とはいえ、1)のように教科書通りにもいかないのがビジネスなので、どうしても部下に連絡をしなければならない場合に備え、「急ぎの連絡をする基準」を部下と共有しておきましょう。

  • 基本は「部下にその日のうちに連絡をしないと業務に支障が出る場合のみ」連絡する
  • 翌営業日の連絡で間に合うなら、翌営業日に回してその日は連絡しない

です。休日などに、「翌営業日の対応で間に合うが、忘れないうちに部下に連絡しておきたいので……」とチャットだけを送る上司もいるでしょうが、

上司が即日返信を求めていなくても、部下のほうはいざ連絡を受けると、「自分も早く返信しなければ」と圧を感じることがある

ので、避けたほうが無難です。

また、連絡する場合は次のポイントを意識すると、部下も対応しやすいでしょう。

  • 要点を簡潔に伝える
  • 急ぎかどうかを明確にする
  • 深夜や早朝など、対応が難しい時間帯は避ける

3)稼働した時間の労働時間管理はしっかりと!

勤務時間外に部下に何らかの作業を依頼する場合、部下が稼働した時間は労働時間になります。当然、稼働した時間分の賃金は必要ですし、状況によっては時間外・休日労働の割増賃金も支払わなければなりませんから、労働時間管理はしっかり行いましょう。

4 部下:急ぎの連絡については、可能な限り協力を!

1)正当な業務命令であれば、基本的には従う

部下にとっては「勤務時間外はなるべく会社から連絡を受けたくない」ものですし、ここまでお話しした通り、つながらない権利は最大限尊重されるべきものでしょう。

一方、ほとんどの会社は就業規則等で「36協定に基づき、社員に時間外・休日労働を命じることがある」などの規定を設けています。

部下のほうも正当な業務命令であれば、基本的にはそれに従う義務がある

ので、その点は認識しておきましょう。とはいえ、休日などに急に連絡を受けて即座に対応するのが難しいケースもあるので、その場合は上司に

「今すぐは無理ですが、○時以降なら対応できます」

などと返事して、落としどころを探りましょう。

2)上司のつながらない権利にも配慮を!

また、ここまでは「上司が勤務中」「部下が勤務時間外」という前提で話をしてきましたが、逆のパターンで「部下が勤務中」「上司が勤務時間外」というケースもあります。その場合は当然、部下のほうも上司のつながらない権利に配慮をする必要があります。第3章で紹介した通り、

  • 基本は「上司にその日のうちに連絡をしないと業務に支障が出る場合のみ」連絡する
  • 翌営業日の連絡で間に合うなら、翌営業日に回してその日は連絡しない

です(上司から「今日は先に上がるけど、○時に業務の報告をしてほしい」などと頼まれた場合は別です)。

以上(2025年4月作成)

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画像:ChatGPT

【業種別データ】製糸業、紡績業、化学繊維・ねん糸等製造業の動向

製糸業、紡績業、化学繊維・ねん糸等製造業は、事業所数・従業者数が微減する一方で、2023年の製造品出荷額は前年から2割超増と大きく伸び、1事業所・1人当たりの生産性も改善しています。成長を牽引するのは化学繊維・炭素繊維で、綿紡績など伝統分野は事業縮小が続く構図です。他方、経営指標では業界平均の営業利益率・自己資本比率がマイナスで、黒字かつ自己資本プラス企業との二極化が進行しており、構造改革と高付加価値化がなお課題と言えます。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の製糸業、紡績業、化学繊維・ねん糸等製造業の事業所数は776事業所(対前年比99.2%)、従業者数は1万9567人(対前年比98.8%)、製造品出荷額等は7004億5200万円(対前年比120.6%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は25人(対前年比99.6%)、現金給与総額は1億1600万円(対前年比100.3%)、原材料使用額等は5億1000万円(対前年比116.4%)、製造品出荷額等は9億300万円(対前年比121.5%)、付加価値額は3億3500万円(対前年比127.7%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は461万円(対前年比100.8%)、製造品出荷額等は3580万円(対前年比122.1%)、付加価値額は1327万円(対前年比128.3%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は56.4%(対前年比95.7%)、同付加価値額比率は37.1%(対前年比105.1%)、同現金給与総額比率は12.9%(対前年比82.5%)となっています。

【1110 製糸業、紡績業、化学繊維・ねん糸等製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)製糸業

2023年の製糸業の事業所数は14事業所(対前年比107.7%)、従業者数は174人(対前年比119.2%)、付加価値額は10億7800万円(対前年比86.6%)となっています。

【1111 製糸業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)化学繊維製造業

2023年の化学繊維製造業の事業所数は116事業所(対前年比98.3%)、従業者数は8086人(対前年比101.4%)、製造品出荷額等は4146億2300万円(対前年比137.6%)となっています。

【1112 化学繊維製造業】

4)炭素繊維製造業

2023年の炭素繊維製造業の事業所数は22事業所(対前年比100.0%)、従業者数は3286人(対前年比99.0%)、製造品出荷額等は1535億8700万円(対前年比109.9%)となっています。

【1113 炭素繊維製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

5)綿紡績業

2023年の綿紡績業の事業所数は24事業所(対前年88.9%)、従業者数は889人(対前年比72.8%)、製造品出荷額等は153億7500万円(対前年比56.1%)となっています。

【1114 綿紡績業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

6)化学繊維紡績業

2023年の化学繊維紡績業の事業所数は82事業所(対前年比100.0%)、従業者数は1415人(対前年比97.5%)、製造品出荷額等は223億3300万円(対前年比112.6%)となっています。

【1115 化学繊維紡績業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

7)毛紡績業

2023年の毛紡績業の事業所数は51事業所(対前年比100.0%)、従業者数は1077人(対前年比102.8%)、製造品出荷額等は215億7100万円(対前年比103.0%)となっています。

【1116 毛紡績業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

8)ねん糸製造業(かさ高加工糸を除く)

2023年のねん糸製造業(かさ高加工糸を除く)の事業所数は377事業所(対前年比100.3%)、従業者数は3164人(対前年比100.2%)、製造品出荷額等は448億9300万円(対前年比104.2%)となっています。

【1117 ねん糸製造業(かさ高加工糸を除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

9)かさ高加工糸製造業

2023年のかさ高加工糸製造業の事業所数は70事業所(対前年比97.2%)、従業者数は1249人(対前年比98.0%)、製造品出荷額等は255億8200万円(対前年比99.7%)となっています。

【1118 かさ高加工糸製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

10)その他の紡績業

2023年のその他の紡績業の事業所数は20事業所(対前年比95.2%)、従業者数は227人(対前年比107.1%)、製造品出荷額等は14億1100万円(対前年比92.1%)となっています。

【1119 その他の紡績業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【繊維工業(衣服,その他の繊維製品を除く)の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】テンポと情報量。今どきは情報発信もTPOが大切

【ポイント】

  • 動画は特にテンポが大事。テンポが良くないと見ている側がストレスを感じる
  • 話す速度もテンポが大事だが、人の話で肝心なのは「内容の深さ」になってくる
  • どのような方法で情報を伝えるかによって、適したテンポや情報量は違う

YouTube(ユーチューブ)やTikTok(ティックトック)など、今や世の中にはさまざまな動画コンテンツがあふれています。当社も最近になって、会社の情報を発信するための動画制作を始めました。今日はそんな動画制作について、最近感じたことをお伝えします。

先日、知り合いの放送作家からこんな話を聞きました。その人いわく「ドラマで大事なのは脚本よりもテンポだ。どんなに脚本が良くても、テンポが悪いとつまらなくなる」のだそうです。脚本は面白いのに、場面が切り替わるときにたった2秒、余計な間が入るだけでテンポが悪くなり、そのせいで視聴者から「つまらない」と酷評されたドラマもあるのだとか。

私は以前、「社長の一日」という動画を制作しましたが、最初は動画の冒頭で、「今日の予定」を一覧で見せてから、顧客の訪問シーンに入ろうとしていました。そのほうが視聴者に分かりやすいと思ったからです。しかし、動画制作のプロからは、「動画ではそういう情報はいらない。テンポ良く、訪問シーンを次々に入れるほうが見やすい」と、きっぱり言われました。実際、できあがった動画では「今日の予定」はカットになりましたが、そのほうが断然見やすかったのです。制作者側が入れたい情報と、視聴者側が消化できる情報の間には、大きなギャップがあったわけです。

もちろん、情報発信においてはテンポだけでなく、情報量も大切です。例えば、私は最近、AIの最新動向のセミナーを聞きにいきました。登壇者がかなり早口な方でしたが、それでも苦にはなりませんでした。実際にAIを作っている人にしか話せない、知らない世界の面白い話ばかりだったからです。仮にセミナー内容を動画で配信するとしても、テンポのために話の一部をカットして「内容の深さ」を犠牲にすることはしたくありません。そうなってくると、この場合、多くの人にストレスを与えることなく情報を届ける方法は、動画よりもテキストのほうが向いているのかもしれません。

どのような方法で情報を伝えるかによって、適したテンポも情報量も違ってきます。さまざまな情報発信の手段がある今では、相手のことを考えた「情報発信のTPO」がとても大切なのではないか。これが、動画制作をするようになってから特に私が実感していることです。

以上(2025年4月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

【かんたん法人税(8)】決算と申告・納付

1 決算と申告・納付の重要なポイント

シリーズ第8回は、決算と申告・納付の手続きに注目します。まずは、決算から税額を納付するまでの一連の流れを把握しましょう。

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決算と申告・納付の重要ポイントは次の通りです。

  • 決算から税額の納付までの作業内容
  • 4つの申告手続き(確定申告、中間申告、修正申告、更正の請求)
  • 申告・納付が遅れた、または間違えた場合の税金

2 決算から税額の納付までの作業内容

1)ステップ1(決算手続き)

決算手続きは「実査手続き」とも呼ばれ、帳簿に記載されている資産の金額や数量と、実際の金額や数量が一致しているかを確認する手続きです。

この手続きを通じて、現金や預金の残高、棚卸資産の数量の他、除却済みの固定資産が帳簿に残っていないかなどを確認し、帳簿上の残高と実際の残高を一致させます。もし不一致があった場合には、その原因を究明した上で、差額を損益計算書に計上します。

2)ステップ2(決算調整)

決算で費用として計上する処理(損金経理処理)をしていなければ、税務上で損金に算入できない項目があります。例えば「固定資産の減価償却費」「繰延資産の償却費」「貸倒引当金繰入」「資産の評価損」などが該当し、このような項目を「決算調整項目」といいます。

決算調整項目についてはこのステップで金額を計算し、費用に計上する処理をします。期中の仕訳(日常行われている取引の仕訳)にこの決算調整を加えることで、会計上の利益を確定させます。

3)ステップ3(申告調整)

会計上の収益・費用と税務上の益金・損金は必ずしも一致しません。そこで、「会計上の利益」をスタートとして、ステップ2で確定した会計上の利益から税務上の所得金額(税務上の利益)を算出する手続きをします。

この手続きを「申告調整手続き」といい、申告調整が必要な項目を「申告調整項目」といいます。主な申告調整項目には「役員賞与」「税務上認められる金額を超えて計上した減価償却費」「受取配当金」「延滞税や加算税などの附帯税」などがあります。この申告調整手続きは、法人税の確定申告書(別表)上で行います。

4)ステップ4(税額計算)

申告調整手続きにより計算された所得金額に、税率を乗じて年間の法人税額を計算します。

法人税の税率は、原則として23.2%です。ただし、中小法人資本金が1億円以下の一定の法人)の場合、所得のうち年800万円までの金額は15%に軽減されます。

なお、所得拡大促進税制などの優遇措置(税額控除)が適用できる場合は、このステップで税額控除額を計算し、法人税額から控除します。そして最後に事業年度中に納付した中間納付額を差し引いて、確定申告により最終的に納付すべき法人税の金額が計算されます。

5)ステップ5-1(確定申告書の提出)

ステップ4において法人税の金額を計算後、その法人税の金額などを記載した確定申告書を所轄税務署に提出します。提出期限は、原則として「事業年度終了の日の翌日から2カ月以内」です。例えば、3月末決算の法人の場合は、5月31日が提出期限日となります。ただし、災害その他やむを得ない事情がある場合などは、申告期限を延長することもできます。なお、確定申告書は書面(紙)にて提出する方法の他、電子申告(e-Tax)によって提出する方法もあります。

6)ステップ5-2(法人税の納付)

ステップ5-1により確定申告書を提出するとともに、法人税を納付します。法人税の納付は、納付書を利用して金融機関の窓口で納付する方法や電子納税(インターネットバンキングなどを利用した納税)の他、クレジットカードを利用した納付もできます。

なお、納付期限は確定申告書の提出期限と同様に「事業年度終了の日の翌日から2カ月以内」です。確定申告書の「提出期限」について延長の承認を受けている場合でも、法人税の「納付期限」については延長されません。誤って確定申告書の提出期限(延長された期限)に納付を行った場合、利子税(利息のようなもの)が課されますので注意しましょう。

3 さまざまな申告手続きの違い

1)確定申告

確定申告とは、各ステップによって計算した各事業年度の所得金額や、法人税額を申告・納税する手続きをいいます。ステップ5-1で解説した通り、提出期限は、原則として「事業年度終了の日の翌日から2カ月以内」となりますが、次のようなケースについては、所定の申請書を提出することにより、申告期限を延長することも可能です。

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2)中間申告

事業年度が6カ月を超える法人(前事業年度の法人税額20万円以下の法人を除く)については、事業年度開始の日以後6カ月を経過した日から2カ月以内(3月末決算法人の場合は、11月30日)に「中間申告書」を提出するとともに、「中間法人税」を納付します。一般的な1年決算法人の場合、中間法人税は基本的に前事業年度の法人税の12分の6相当額を納付します。

なお、確定申告書作成時と同様の手続き(上記ステップ1~4)を行った上で中間申告書を作成し、申告・納付を行う方法も認められており、これを「仮決算による中間申告」といいます。もし「前事業年度の法人税の12分の6相当額」より「仮決算による中間申告」を行うことにより中間納付額が少なくなる場合には、「仮決算による中間申告」を選択すると中間納付に係る納税資金が少額で済みます。ただし、手続きが煩雑となる点に注意しましょう。

3)修正申告

過去に行った法人税の確定申告の内容に誤りがあり、法人税を本来の法人税額より「少なく申告」していた場合は、正しい申告書を所轄の税務署長へ再提出し、不足していた法人税額を追加納付しなければなりません。この手続きを「修正申告」といいます。修正申告を行った場合、不足していた法人税額の他、後述する延滞税などの附帯税を併せて納める必要があります。

4)更正の請求

修正申告とは逆に、法人税を本来の法人税額より「多く申告」していた場合には、過大に納付していた法人税額の還付を所轄の税務署長に請求することができます。これを「更正の請求」といいます。

なお、修正申告については、修正申告書の提出とともに、不足していた法人税額を同時に納付する必要がありますが、「更正の請求」については、過大に納付していた法人税が必ず還付されるとは限りません。更正の請求を行った場合、一般的には申告内容の誤りについて証明するような書類の追加提出などが求められ、税務署内で審議した結果、「申告内容に誤りがある」と認められて初めて還付を受けることができます。なお、更正の請求ができるのは、確定申告書の申告期限から5年間である点に注意しましょう。

4 申告・納付が遅れた、または間違った場合の税金

1)延滞税

延滞税とは、法人税の納付が納期限後になってしまった場合や、修正申告により不足していた法人税を追加納税した場合に課されるものです。税率(2025年の場合)は、「納付が遅れた法人税の金額」や「修正申告により追加納付した法人税額」に対して、年2.4%(納期限の翌日から2カ月を経過した日以降は年8.7%)となります。

2)加算税

1.過少申告加算税

過少申告加算税とは、修正申告により追加納税した法人税に対して課されるもので、税率はそれぞれ次の通りになります。

  • 自ら誤りに気が付いて自主的に修正申告を行った場合:過少申告加算税はかかりません
  • 税務調査の予告があった後、税務調査の実施前に修正申告を行った場合:「追加納税した法人税」の5%(追加納税額が当初の申告税額と50万円のいずれか多い金額を超えるときは、その超える部分については10%)
  • 税務調査の実施後に修正申告を行った場合:「追加納税した法人税」の10%(追加納税額が当初の申告税額と50万円のいずれか多い金額を超えるときは、その超える部分については15%) 

2.無申告加算税

無申告加算税とは、確定申告書の提出が申告期限を過ぎてしまった場合に課されるもので、税率はそれぞれ次の通りになります。

  • 正当な理由があり、法定申告期限から1月以内に確定申告を行った場合:無申告加算税はかかりません。
  • 税務調査の予告がなく、自ら自主的に確定申告を行った場合:「納付すべき法人税の金額」の5%
  • 税務調査の予告があった後、税務調査の実施前に確定申告を行った場合:「納付すべき法人税の金額」の10%(納付税額のうち50万円超300万円以下の部分は15%、300万円超の部分は25%)
  • 税務調査の実施後に確定申告を行った場合:「納付すべき法人税の金額」の15%(納付税額のうち50万円超300万円以下の部分は20%、300万円超の部分は30%)

なお、過去5年以内に無申告加算税または3.の重加算税を課されたことがあるときは、上記の税率に10%がさらに加算されます。

3.重加算税

重加算税とは、仮装や隠蔽など悪質な申告の誤り(申告漏れや脱税行為など)に係る追加納税額に対して、上記の過少申告加算税や無申告加算税に代えて課される非常に重い加算税です。

税率は、過少申告加算税に代えて課される場合は追加納付税額の35%、無申告加算税に代えて課される場合は追加納付税額の40%となります。

なお、過去5年以内に無申告加算税または重加算税を課されたことがあるときは、追加納付税額の45%(無申告加算税に代えて課される場合は追加納付税額の50%)と、さらに重い加算税が課されます。

以上(2025年4月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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画像:pixabay

【業種別データ】金属加工機械製造業の動向

金属加工機械製造業は、2023年に事業所数6,678、従業者数15万457人、製造品出荷額約4兆3,778億円と前年度比でやや減少傾向にあります。金属工作機械は出荷額・付加価値が低下する一方、部品・附属品は概ね横ばいで、従業者1人当たり賃金は上昇。原材料比率が約57%と高く、コスト負担と付加価値の確保による収益力改善が業界の主要課題です。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の金属加工機械製造業の事業所数は6678事業所(対前年比99.2%)、従業者数は15万457人(対前年比97.8%)、製造品出荷額等は4兆3778億3900万円(対前年比97.9%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は23人(対前年比98.6%)、現金給与総額は1億2000万円(対前年比101.0%)、原材料使用額等は3億7700万円(対前年比97.3%)、製造品出荷額等は6億5600万円(対前年比98.6%)、付加価値額は2億5400万円(対前年比96.0%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は534万円(対前年比102.4%)、製造品出荷額等は2910万円(対前年比100.0%)、付加価値額は1127万円(対前年比97.4%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は57.5%(対前年比98.6%)、同付加価値額比率は38.7%(対前年比97.4%)、同現金給与総額比率は18.4%(対前年比102.4%)となっています。

【2660 金属加工機械製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)金属工作機械製造業

2023年の金属工作機械製造業の事業所数は722事業所(対前年比98.8%)、従業者数は4万3489人(対前年比97.8%)、製造品出荷額等は1兆6133億5100万円(対前年比97.4%)となっています。

【2661 金属工作機械製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)金属加工機械製造業(金属工作機械を除く)

2023年の金属加工機械製造業(金属工作機械を除く)の事業所数は375事業所(対前年比97.4%)、従業者数は1万6930人(対前年比93.5%)、製造品出荷額等は6561億2200万円(対前年比95.6%)となっています。

【2662 金属加工機械製造業(金属工作機械を除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)金属工作機械用・金属加工機械用部分品・附属品製造業(機械工具、金型を除く)

2023年の金属工作機械用・金属加工機械用部分品・附属品製造業(機械工具、金型を除く)の事業所数は4429事業所(対前年比99.3%)、従業者数は5万6045人(対前年比98.1%)、製造品出荷額等は1兆46億8000万円(対前年比99.8%)となっています。

【2663 金属工作機械用・金属加工機械用部分品・附属品製造業(機械工具、金型を除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

5)機械工具製造業(粉末や金業を除く)

2023年の機械工具製造業(粉末や金業を除く)の事業所数は1152事業所(対前年比99.7%)、従業者数は3万3993人(対前年比99.8%)、製造品出荷額等は1兆1036億8600万円(対前年比98.2%)となっています。

【2664 機械工具製造業(粉末や金業を除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【金属加工機械製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【業種別データ】茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)の動向

茶・コーヒー製造業(清涼飲料除く)は、事業所数・従業者数が微減・横ばいの中で、製造品出荷額は前年比1.4%増と横ばい~やや拡大の局面にあります。製茶は出荷額が微減で伸び悩む一方、コーヒーは事業所・従業者を減らしながら出荷額を伸ばしており、効率化や高付加価値商品へのシフトが進んでいるとみられます。他方で、原材料比率は約7割と高止まりし、付加価値比率は低下、営業利益率は平均でほぼゼロ近辺と、原料高の中で収益確保に苦労する構造です。安全性指標は一定水準を確保しているものの、自己資本比率は低く、価格転嫁と収益力強化が今後の課題といえます。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)の事業所数は1217事業所(対前年比99.6%)、従業者数は1万8603人(対前年比99.6%)、製造品出荷額等は6374億3800万円(対前年比101.4%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は15人(対前年比100.0%)、現金給与総額は4800万円(対前年比101.5%)、原材料使用額等は3億6600万円(対前年比103.4%)、製造品出荷額等は5億2400万円(対前年比101.8%)、付加価値額は1億4100万円(対前年比99.6%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は314万円(対前年比101.5%)、製造品出荷額等は3427万円(対前年比101.8%)、付加価値額は925万円(対前年比99.6%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は69.8%(対前年比101.5%)、同付加価値額比率は27.0%(対前年比97.8%)、同現金給与総額比率は9.2%(対前年比99.7%)となっています。

【1030 茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)製茶業

2023年の製茶業の事業所数は1073事業所(対前年比99.7%)、従業者数は1万4088人(対前年比100.5%)、製造品出荷額等は3218億9100万円(対前年比99.5%)となっています。

【1031 製茶業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)コーヒー製造業

2023年のコーヒー製造業の事業所数は144事業所(対前年比98.6%)、従業者数は4515人(対前年比97.1%)、製造品出荷額等は3155億4600万円(対前年比103.4%)となっています。

【1032 コーヒー製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【茶・コーヒー製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【かんたん法人税(7)】中小企業に係る税務

1 中小企業に係る税務上の重要なポイント

シリーズ第7回は、中小企業に係る税務上の取り扱いに注目します。中小企業に対する税務上の優遇措置は多いですが、注意が必要なのは、

一般的に中小企業と呼ばれる会社の全てが、税務上の中小企業に該当するとは限らない

ことです。税務上、中小企業は「中小法人等」または「中小企業者等」と表現され、それぞれ定義は次の通りです。優遇措置には、「中小法人等に適用されるもの」と「中小企業者等に適用されるもの」とがあるため、2つの用語の定義を正確に理解しておく必要があります。

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中小法人等・中小企業者等に係る税務上の重要ポイントは次の通りです。

1.中小法人等に適用される優遇措置

  • 法人税の軽減税率の適用
  • 欠損金の繰越控除額に対する制限の緩和および繰戻還付制度の適用
  • 交際費の定額控除限度額
  • 特定同族会社に対する留保金課税の適用除外

2.中小企業者等に適用される優遇措置

  • 中小企業投資促進税制
  • 少額減価償却資産の全額損金算入
  • 試験研究費の税額控除の特例(中小企業技術基盤強化税制)
  • 賃上げ促進税制

2 中小法人等に適用される優遇措置

1)法人税の軽減税率の適用

法人税の税率は原則として23.2%ですが、中小法人等の場合、所得のうち年800万円までの金額は15%に軽減されます。

ただし、2025年4月1日以降に開始する事業年度については、所得金額が10億円を超える場合に限り、軽減税率が15%から17%に引き上げられます。

2)欠損金の繰越控除額に対する制限の緩和および繰戻還付制度の適用

1.欠損金の繰越控除額に対する制限の緩和

前事業年度以前に生じた欠損金は、当事業年度以降に生じた所得金額から控除できます。中小法人等以外の法人は、控除できる金額が「(欠損金控除前の)所得金額の50%まで」に制限されています。

一方、中小法人等については「50%制限」がないため、所得金額以上の欠損金がある場合は、欠損金の全額を所得金額と相殺することができます。そのため、欠損金が所得金額を超える場合には、法人税の納税は発生しません。

2.繰戻還付制度の適用

繰戻還付制度とは、欠損金が生じた場合において、欠損金が生じた事業年度(当事業年度)開始前1年以内に開始した事業年度(一般的には前事業年度)に所得が生じており、納税していた場合には、当事業年度に生じた欠損金の金額を前事業年度に生じた所得に繰り戻して(遡って)相殺し、納税済みの税金の還付を受ける制度です。

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この繰戻還付制度は、現在は取り扱いが停止されていますが、例外として、中小法人等は適用することができます。なお、還付されるのは法人税と地方法人税のみであり、地方税(住民税や事業税)については還付されません。

3)交際費の定額控除限度額

原則として、交際費は全額が損金算入できません。しかし、取引先との接待飲食費(社外飲食費)の50%相当額については、損金算入できます。また、中小法人については、特例として年800万円まで損金算入が認められています(「定額控除限度額」といいます)。

つまり、中小法人は社外飲食費の50%相当額と定額控除限度額とを比較し、いずれか多い方を損金算入限度額として選択することができます。

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4)特定同族会社に対する留保金課税の適用除外

一定の同族会社については、原則として、通常の法人税の他に「留保金課税」という特別の税金が追加で課税されます。しかし、中小法人等については、例外としてこの留保金課税が「適用除外」とされています。留保金課税は、所得に対する法人税の他に追加で負担すべき税金です。中小法人等に該当するか否かで税負担が大きく変わってくるので、判定は慎重かつ正確に行う必要があります。

3 中小企業者等に適用される優遇措置

1)中小企業投資促進税制

中小企業者等が機械装置等に設備投資した場合には、「取得価額の30%の特別償却(通常の減価償却の他、追加で減価償却ができる制度)」が認められています。また、資本金3000万円以下の法人は「取得価額の7%の税額控除(法人税から直接控除する制度)」を選択することもできます。

中小企業者等が行う設備投資に対しては、「中小企業投資促進税制」の他、税務上の優遇措置が多く設けられています。従って、設備投資を行う際には、税務上の優遇措置の有無についても併せて確認することが重要です。

2)少額減価償却資産の全額損金算入

取得価額が10万円以上である減価償却資産を取得した場合は、原則として資産に計上し、耐用年数に応じた減価償却費を計上することで損金算入されます。ただし、中小企業者等については、取得価額が30万円未満の減価償却資産(貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用のように供されるものは対象外)について、その全額を即時に損金算入できる特例があります。

ただし、全額を損金算入できる限度額は年間300万円までです。年間300万円を超える金額を損金算入したことによって税務調査で指摘されるケースも多いため、この制度を適用する上では、少額減価償却資産を計上する勘定科目を新たに設けるなどして、年間300万円の限度額以上に損金処理していないか確認できるようにしておきましょう。

なお、この規定は、グループ通算制度を適用している場合や、常時使用する従業員の数が500人を超える場合には適用できません。

3)試験研究費の税額控除の特例(中小企業技術基盤強化税制)

製品の製造または技術の改良や考案などに必要な試験研究費を支出している会社は、その支出した試験研究費の一定割合を法人税から控除する税額控除制度が設けられています。これは大企業でも適用される制度ですが、中小企業者等に該当する法人については税額控除割合などの面で優遇されています(中小企業者等に適用される税額控除を「中小企業技術基盤強化税制」と呼びます)。

中小企業者等については、大企業に適用される税額控除制度と中小企業技術基盤強化税制の両方を計算し、いずれか有利な方法(金額)で税額控除を適用することができます。

4)賃上げ促進税制

従業員に対して支給する当事業年度の給与額が、前事業年度に支給した給与に対して一定程度増加した場合においては、所定の税額控除を適用することができます。この制度は大企業でも適用できますが、中小企業者等に該当する法人については、その適用要件が優遇されています。中小企業者等の場合の適用要件および税額控除額は次の通りです。

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なお、賃上げをした事業年度が赤字であったり、黒字でも所得が少額であったりすることにより、税額控除のメリットが受けられない(または全額受けられない)場合には、翌事業年度以降5年間は税額控除額を繰り越すことができる繰越税額控除制度があります。

この制度は、上記の算式で計算した税額控除額がそのまま法人税を減らすことにつながるため、前事業年度と比較して高いベースアップを行っている場合などには、本制度を適用できるかどうか必ず確認しましょう。また、適用判定で使用する数値の集計には比較的時間を要するため、申告期限の間際に行うのではなく、時間にゆとりを持って判定作業をするようにしましょう。

以上(2025年4月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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画像:pixabay

【かんたん法人税(6)】経営者に係る税務

1 経営者に係る税務上の重要なポイント

シリーズ第6回では、経営者(役員)に係る税務上の取り扱いに注目します。最も注意が必要なのは役員に対する給与や退職金(以下「役員給与等」)です。役員給与等は、

一定のルールに基づかないと損金算入できず、また損金算入できる金額にも限度がある

からです。

また、中小企業のうち、とりわけ同族会社では、

業務上の費用と私的な費用の区別が曖昧となりがちで、税務調査で指摘される

ことも多いです。私的な費用と判断された場合、その費用は役員給与等として取り扱われ、一定のルールに沿ったものでなければ損金算入できません。こうした区別をきちんとすることはもちろん、業務上の費用でも私的な費用と誤解を受けることがないように、所定の書類などをそろえておきましょう。

役員に係る税務上の重要ポイントは次の通りです。

  • 損金算入ができる3種類の役員給与
  • 過大役員給与
  • 役員退職金
  • 使用人兼務役員
  • 役員と会社の取引
  • 私的な費用

2 損金算入が認められる3種類の役員給与

1)定期同額給与

定期同額給与とは、「定期的(=毎月)」に「同額で支給される給与」です。一般的に毎月支給される役員給与がこれに当てはまり、事業年度を通じて毎月同額で支給されている場合に限り、損金算入できます。

税務調査では、総勘定元帳などによって毎月の役員給与が同額で計上されているかチェックされるので注意しましょう。なお、どんなことがあっても金額の変更が認められないというわけではなく、次のような場合などに役員給与の金額の変更が認められます。

1.期首から3カ月以内の変更

通常、期首から3カ月以内に定時株主総会が実施されます。この株主総会の決議により役員給与の変更がされたなら、金額の変更が認められます。この場合、税務調査において金額の変更理由を聞かれたときに備え、株主総会の議事録を作成・保管しておくことが重要です。

2.職務の内容に変更があった場合

通常の取締役が代表取締役に就任するなど、事業年度中において職務の内容に変更があった場合は、その職務内容に応じた役員給与の金額の変更が認められます。この場合、職務内容がどのように変わったのかなどについて、税務調査において具体的な説明を求められることが多いため、議事録などの関係書類を事前に準備しておくことが重要です。

2)事前確定届出給与

事前確定届出給与とは、役員に対する給与の「支給金額」や「支給日」などをあらかじめ決めておき、税務署に「届出書」を提出することで損金算入が認められる役員給与です。定期同額給与以外で、例えば夏と冬に賞与の形で役員給与を支払いたい場合などに利用されます。

なお、届出書の提出期限は次の通りです。ただし、その届出書に記載した支給金額と実際の支給金額が異なっていたり、支給日が異なっていたりする場合には、支給金額の全額が損金に算入できなくなる恐れもあるため注意が必要です。

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3)業績連動給与

業績連動給与とは、会社の売上や利益に連動させて支給額が決められる役員給与です。なお、この業績連動給与は、同族会社には原則として適用できないなど、適用要件が主に上場企業を対象としたものになっているため、この記事では詳細な説明を省略します。

3 過大役員給与の取り扱い

役員給与は、「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」のいずれかに該当すれば、原則として損金に算入できます。しかし、役員給与の支給を受ける役員の職務内容などに照らし、「役員給与の水準が高額過ぎる」と判断された場合は、その高額とみなされた部分の金額(適正額を超える部分の金額)については損金に算入できません。役員給与の金額が適正額かどうかについては単に金額のみで判断されるのではなく、次の2つの基準に従って総合的に判断されます。

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税務調査では、売上や利益が横ばいにもかかわらず役員給与の金額が増加していたり、従業員の給与を上げていないにもかかわらず、役員給与のみ多額に増加していたりする場合などは、その理由の説明を求められる場合があります。従って、役員給与については、金額の決定過程を詳細に説明できるよう、議事録などの関係書類を事前に準備しておくことが重要です。

4 役員退職金

原則として役員退職金は損金算入されますが、「損金に算入する時期」と「過大役員退職金」に注意しましょう。

役員退職金が損金算入される時期は、原則として「株主総会の決議等によって退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度」です。ただし、「会社が退職金を実際に支払った事業年度において損金経理(経理上、費用として処理すること)をした場合」は、その支払った事業年度において損金算入することも認められています。

注意が必要なのは、「支給した役員退職金が高額過ぎる(過大役員退職金)」と判断された場合、その高額とみなされた部分の金額(適正額を超える部分の金額)は損金算入できないことです。役員退職金の金額が適正額かどうかの判断基準は会社の状況によってさまざまですが、一般的に次の基準に従って総合的に判断されます。

  • 会社の業務に従事した期間
  • 退職の事情
  • 類似する会社の役員退職金の支給状況等

役員退職金は金額が大きくなることもあり、税務調査においては、金額の算定根拠についてよく説明を求められます。従って、役員給与と同様に、金額の決定過程について詳細に説明できるよう、議事録や算定根拠資料などを事前に準備しておくことが重要です。

5 使用人兼務役員

使用人兼務役員とは、

「部長」や「課長」など使用人としての地位を有し、かつ、部長職や課長職に日々従事している役員

をいいます。具体的には、「取締役経理部長」などの肩書となります。

使用人兼務役員の給与については、役員として支給された給与に該当する部分と、使用人として支給された部分とで、損金の取り扱いが異なります。

「役員として支給された給与」は、「定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与」(以下「定期同額給与等」)のいずれかに該当する場合に、原則として損金算入できます。また、「使用人として支給された給与」は、通常の使用人給与と同様に、原則として全額が損金算入できます。

ただし、経営者の親族については、「使用人兼務役員」としての肩書であっても、税務上は「役員」として取り扱われる場合があるので注意が必要です。具体的には株式の持株割合によって判断され、次の全てに該当し、会社の経営に従事していると判断された場合、税務上は「役員」とされます。

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従って、使用人兼務役員の「使用人」としての職位に対して支給した賞与でも、税務上は役員に対する賞与とされるため、「事前確定届出給与」の届出書を提出していなければ、支給額の全額が損金に算入できないので注意しましょう。

6 役員と会社の取引

税務上、役員と会社との間の取引は、「第三者(外部)と同等の条件で行うべき」とするのが原則的な考え方です。例えば、会社の所有している不動産を時価よりも低い価額で役員に譲渡(低額譲渡)した場合、不動産の時価と譲渡価額の差額は、役員に対する一定の利益供与とみなされます。その結果、税務上「役員給与」扱いになり、所得税の源泉徴収が必要になるとともに、定期同額給与等にも該当しないため、損金算入もできません。

会社から役員に対して無利息で資金の貸し付けを行った場合も同様に、適正利率相当が役員給与として取り扱われます。役員との取引だからといって、自分たちの都合で安易に価格を決定した場合などには、税務調査において価格の算定方法について指摘され、想定外の納税を伴うことがあります。役員と会社との取引に係る金額の決定過程については税務調査時に詳細に説明できるよう、議事録や契約書などの関係書類を事前に準備しておくことが重要です。

7 私的な費用

本来は経営者個人が自分で支払うべき私的な費用を会社の費用として経理処理した場合、その費用については、税務上「役員給与」として取り扱われます。例えば、経営者1人の飲食代は税務上の交際費や会議費ではなく、役員給与とされます。

また、ゴルフクラブの入会金を法人会員として支払った場合、その入会金は会社の資産として計上しなければなりません。プレー代などは交際費等として一定の限度額の範囲内で損金に算入できますが、ゴルフクラブに入会した事実を経営者以外の従業員などに知らせていなかったため、税務調査において「業務に不要なもの=実質的に経営者が個人で負担すべきもの」と判断され、役員給与として取り扱われたケースもあります。

このように、業務に関連しない私的な費用については役員給与とされ、所得税の源泉徴収を要するとともに、定期同額給与等に該当しない場合には損金にも算入できません。

税務調査では、単に領収証の有無などを確認するだけではなく、「業務に必要なものか」といった視点からも調べられますので、関係書類などを事前に準備しておき、業務上必要な経費であることを説明できるようにしておくことが重要です。

以上(2025年4月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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画像:pixabay

受験生のハートに刺さった乳酸菌タブレットの「屋外広告」とは?

1 OOH広告を使って「とがったアプローチ」を!

売り上げにつながるような「広告」の出し方って何でしょう? 分かりやすいのは、電車内のスクリーンに流れる動画や渋谷スクランブル交差点の3D広告のように、

掲示する場所や機会を多くして、広告に触れる人の母数を増やすこと(大量のリーチ)

ですが、これには大掛かりで費用も手間もかかるという問題があります。

なるべく費用や手間をかけたくない場合、

掲示数が少なくても、広告に触れた人に強烈な印象を残すこと(とがったアプローチ)

が必要になりますが、これはこれで「そんな簡単に印象に残るなら、誰も苦労しない」という話になります。ただ、取り組むハードルが低い分、アイデア次第で可能性は無限に広がるので、他社の事例などを見ながら勉強するだけでも、御社の広告は‟前進”していきます。

そこで、この記事では「OOH(Out Of Home)広告」、つまり屋外広告にスポットを当てて、

ユーモアのあるOOH広告を使った、とがったアプローチ

のポイントを紹介します。まずは、実際にOOH広告を出している会社へのヒアリング内容を紹介するので、ぜひご覧ください。

(注)この記事では、実際に屋外にある広告以外に、スマートフォンやPC、テレビなどを通さず、掲示してある場所を通りかかった人の目に入る広告も、OOH広告として扱います。

2 広告を通じて手渡す「想いを込めたお守り」

ここでは、生活者起点のマーケティング支援会社であるネオマーケティング(東京都渋谷区)が2023年に行った、乳酸菌タブレット「おなかはかせ(現在は販売終了)」のOOH広告を紹介します。この広告は、

若い世代に、乳酸菌タブレットを効果的にアピールすること(認知度アップ)

を目的に実施され、2023年1月27日から7日間、小田急線新宿駅構内に貼り出されました。

「本番で集中したい受験生をおなかはかせは応援します。」という文言と共に、ポスターに貼り付けられていたのは、実物のお守り。それも、プロジェクトメンバーが実際に神社へ持って参詣し、ゲン担ぎをしたものだといいます。

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本広告では7日間で約500個のお守りを配布し、大盛況になったそうです。成功のポイントは

「受験生」を明確なターゲットにして、期間(受験シーズン)や場所(通勤・通学の人が多い駅)を選定し、エモーショナルで想いが込められたアプローチを行った点

です。

どのような思いで広告を作ったのか、どのような点を工夫したのかなどを、「おなかはかせ」事業責任者であるネオマーケティングの加藤 賢大(かとう たかひろ)氏に聞きました。

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「(広告制作時は)ただひたすら、悩みを持つ受験生を応援したい、という気持ちでした。人通りの多い駅構内でのピールオフタイプ広告であれば、目に入った受験生や保護者の方にお守りを持って帰ってもらえるかもしれないと思い、この形を選びました」(加藤氏)

「ピールオフ」とはそもそも、「剥がす」という意味。ピールオフタイプ広告は、ポスターにグッズを貼り付け、それを見た人が剥がして持って帰ることのできる広告のことです。思いが詰まったお守りを手渡す手段としては最適でしょう。

また広告のデザインについても、次のように語ります。

「お守りを貼り付けるポスター本体のデザインにもこだわりました。お守りがメインなので背景は主張しすぎず、けれど、“お守りで受験生を応援したい!”というメッセージはきちんと伝わるよう、絵馬風の木目のデザインなども盛り込んだものを自社で制作しました」(加藤氏)

実際に貼られた広告を見てみると、

  • 明確なメッセージ
  • コンセプトに合ったデザイン
  • ピールオフすることで文字が見える仕組み

といった具合に、随所からこの広告にかける想いが感じられます。

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また、期間中は思いも寄らない苦労もあったそうです。

「予想以上に、お守りがすぐにさばけてしまうことが判明したんです。半日に一度はお守りを補充しに新宿駅に行ったりして、期間中はなかなか大変でした……。けれど、メンバーが願掛けしたお守りは全て、配り終えることができました。結果的に認知度アップにもつながり、とても充実したプロジェクトになりました」(加藤氏)

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努力のかいあって、広告の開始前と比べてSNSのインプレッション数は1.76倍、サイトのユニークセッション・ユニークユーザー数は2.7倍まで上昇したそうです。

また、「おなかはかせ」のプロジェクトでは、広告が貼り出されるまで毎日(30日間)、プロジェクトメンバーがお守りを手に健康祈願を行う様子を、XとInstagramのアカウントに投稿。SNSでの宣伝を組み合わせることで、若い世代に効果的なアプローチを行いました。

実際、ピールオフタイプ広告の写真を撮って、SNSにアップロードする方もいらっしゃったそうです。プロジェクトメンバーの「受験生を応援したい!」という情熱が、ピールオフタイプ広告によってターゲットにきちんと伝わったのでしょう。

ネオマーケティングの事例から、OOH広告は、

利用者(特に広告のターゲット)が多く行き交う場所を確保する

というポイントを押さえることが重要だということがわかります。また、

対象物(貼り付けるもの)がなくなり次第、補充する時間と人員が必要

という手間もかかりますが、従来より幅広いターゲットにとがったアプローチを与え、自社製品や自社サービスの認知度を高めることが可能といえます。

以上、実際にユーモアのあるOOH広告を出しているネオマーケティングの事例でした。以降では、この章のピールオフタイプ広告も含め、OOH広告の種類を次の3タイプに分けて紹介します。

3 ポスター~ビジュアルと文言でシンプルに勝負

ポスタータイプ広告は、街中で最もよく見かける屋外広告です。大まかな概要は、下の図表の通りになります。

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設置場所は駅、バス停、道路脇など多岐にわたり、用意するものはビジュアル、文言、印刷物。

最も手数が少なく、うまくいけば、かなりの手間対効果を得られる

ことが利点です。

一見簡単そうに思えますが、シンプルなだけあり、自社商品を効率的に宣伝するためには、かなりとがったアプローチが必要です。

例えば、ただ単に商品の写真・宣伝の文言・自社のロゴをデザインしたポスターを作るのではなく、

コピーライターを雇い、ユーモアのあるキャッチコピーを考案する、デザイナーと連携してカメラマンやモデルを用意する

など、広告の前を通りかかった人の視覚と好奇心を刺激するような工夫が必要不可欠です。

4 ピールオフ~「自分で手に取る」体験を提供

ピールオフタイプ広告は、ポスタータイプ広告に試供品やステッカー、カードなどを貼り付け、通行人がそれを剥がして持ち帰ることができるタイプの、近年流行している広告です。大まかな概要は、下の図表の通りになります。

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特に人通りの多い駅や学生街、または商業施設の中などで実施されることが多く、ポスタータイプ広告と比べると、貼り付けるものも必要になってくることから、費用も手間もかかります。

しかし、希求力が強く、影響力が大きいのも確かです。基本的に軽量で落下しづらいものであれば貼り付けることができますので、例えば、化粧品やマスクなどのサンプルを貼り付け、

自社商品に興味がある人が直接手に取れる

ことが大きな利点です。

また、コミックやドラマなどのピールオフタイプ広告では、通行人がステッカーやカードなどを剥がしていくことによって、ポスターの全容が見えるようになる仕組みも多用されます。毎日の通勤・通学途中にだんだんとポスターの全容が明らかになっていくことによって注目をあおり、より強い宣伝効果を得ることができます。

5 サイネージ~より的確なターゲティングが可能

サイネージタイプ広告は、ポスタータイプ広告、ピールオフタイプ広告とは違い、特定の場所に設置されたサイネージ(画面)に、「映す」という手法が取られる広告です。大まかな概要は、下の図表の通りになります。

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サイネージタイプの広告は、東京駅や新宿駅などのターミナル駅をはじめ、商業施設やサービスエリア、ゴルフ場、あるいは高層マンション、ビルのエレベーター内などにも設置されています。ポスター

タイプ広告、ピールオフタイプ広告と比べて最も大きな利点は、

広告に動きをつけることが可能であること

です。また、画面がある場所であればどこでも設置できるので、

「富裕層」「ファミリー」「若者」など、自社商品を宣伝したいターゲットに合わせて、より的確な時間帯・場所に掲示することが可能

です。

以上(2025年4月作成)

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画像:ネオマーケティング