【かんたん法人税(4)】人材(従業員)に係る税務

1 従業員に係る税務上の重要なポイント

シリーズ第4回では、従業員に係る税務の取り扱いに注目します。従業員に支給する給料や賞与、退職金などは、法人税の課税所得を計算する上では、原則として支給額の全額が損金算入されますが、重要なのは損金算入のタイミングです。

税務調査において、従業員に関する税務で重要視されるポイントは、

  1. 従業員に対する給料等の損金算入のタイミングが適切であるか否か
  2. 損金算入をする上での書類が適切に保管されているか

といった点です。損金に算入するタイミングを誤った場合、一時的に想定外の税金を追加納税しなければならないケースもあり得るので注意しましょう。

また、同族会社においては、従業員に対する給料であっても、場合によっては支給額の全額が損金算入されないケースもあるので、併せて注意する必要があります。

従業員に係る税務上の重要ポイントは次の通りです。

  • 決算賞与の未払計上の損金算入
  • 従業員の退職金関連(一時金、各種年金制度の拠出金、退職給付引当金)の取り扱い
  • ストック・オプションの取り扱い
  • 過大な使用人給与の損金不算入

2 従業員に係る税務上の取り扱いと留意点

1)決算賞与の未払計上の損金算入

1.従業員に対する賞与の損金算入時期の原則

従業員に対する賞与の損金算入時期の原則的取り扱いは次の通りです。

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図表1の通り、あらかじめ定められている支給予定日(支給予定日が定められていない場合は実際に支給された日)に損金算入されることとなり、支給予定日前に未払計上して損金に算入することは、原則として認められていません。

2.決算賞与の未払計上の損金算入の特例

1.の原則的な取り扱いに対し、決算賞与(夏季・冬季賞与のように定期的に支払われる賞与ではなく、決算上の利益に基づき支払われる賞与)については、未払計上し、支給予定日前に損金算入できる特例があります。この特例を適用するには、次の要件の全てを満たす必要があります。

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(要件1)の通知については、書面か口頭かについてまでの規定はありません。しかし、税務調査においては適正に通知を行っていることを証明するためにも、書面にて作成し、かつ、各従業員に署名してもらうのが賢明です。

また、(要件2)については、通知をした従業員の全員に対して決算賞与を支払う必要があります。例えば、通知をした日から支給日までの間に退職した人について支給しないケースは、この要件を満たさないこととなるため注意が必要です。

この特例を適用することで、未払計上した分、課税を繰り延べること(本来なら当事業年度に係る法人税を、翌事業年度以降に持ち越すこと)ができます。ただし、要件を1つでも満たさない場合は、原則通り、「支給した日」に損金算入されます。この点は税務調査でも重点的にチェックされる可能性が高いので、注意しましょう。

2)従業員の退職金関連の取り扱い

1.退職一時金の取り扱い

従業員に支給する退職一時金については、「退職日」「退職金支給日」「就業規則に明記されている支給日(退職日から〇カ月以内など)」のいずれかのタイミングを選択して損金算入できます。

例えば3月決算法人で、従業員が3月末日に退職し、かつ退職金を4月末に支給した場合、3月末日あるいは4月末日のいずれでも損金算入が可能となるため、当事業年度の損益状況に応じて選択できます。

2.各種年金制度の拠出金

中小企業が従業員の退職金を積み立てることを目的として、中小企業退職金共済などの制度に加入し、掛金を支払うケースがあります。この掛金については「実際に払い込みをした日」に損金算入されます。

従って、期末において当月分を未払計上したとしても、実際の払い込みがなされていないことから、未払計上分については損金に算入されません。税務調査においては、特に決算前後に計上された掛金の払込時期についてチェックされるので注意しましょう。

3.退職給付引当金

従業員の退職に伴う退職金の支給に備えて退職給付引当金を設定し、退職金相当額を社内に留保するケースがあると思います。ただし、税務上、この退職給付引当金の繰入額についての損金算入は認められていません。

従って、従業員の退職金に係る費用については、実際に従業員が退職し、退職金を支給した場合において、上記1.の退職一時金支給に係る損金算入時期に従って損金算入されることになります。

3)ストック・オプションの取り扱い

ストック・オプション制度とは、法人が従業員の労働の見返りとして、一定の期間(権利行使期間)中に、あらかじめ定められた価額(権利行使価額)で自社の株式を取得できる権利を、従業員に付与する制度です。

ストック・オプションを付与された従業員は、自社株式の株価が上昇した場合でも、権利行使価額にて株式を取得することができるため、その値上がり分について利益が得られます(その従業員が得た利益は、原則として権利行使をした際に「給与所得」になるので所得税が課されます)。

一方、会社側では、ストック・オプションを従業員に対する給与(ストック・オプション費用)として費用計上します。ストック・オプション費用については、従業員が付与されたストック・オプションにつき、権利行使をして株式を取得し、従業員に対し所得税が課されるとき(給与等課税事由が生じたときといいます)に損金算入されます。従って、ストック・オプションを従業員に付与した時点では、このストック・オプション費用は損金算入できません。

なお、ストック・オプションについては、権利行使価額や権利行使期間において一定の要件を満たす「税制適格ストック・オプション」があります。詳細な説明は省略しますが、税制適格ストック・オプションである場合、従業員が権利行使したときに、従業員に対して所得税(給与所得として)が課されません。

会社でストック・オプション費用を損金算入するのは、給与等課税事由が生じたときと決められているため、税制適格ストック・オプションの場合、ストック・オプション費用を損金に算入できない点に留意しましょう。

4)過大な使用人給与の損金不算入

従業員に対する給与は、原則として全額損金に算入されます。ただし、同族会社の場合、法人の役員と特殊関係にある従業員(以下「特殊関係使用人」)に対する給与については、支給された給与のうち、不相当に高額と判断される部分の金額については損金不算入として取り扱われます。

これは、一般の従業員については雇用契約に基づき、双方の合意のもとで給与が決定されるのに対し、特殊関係使用人に対しては手続きが不透明で、かつ不相当に高額な給与となる可能性があるからです。給与額を調整して、法人税を不当に減少させることを防ぐため、このような取り扱いとなっています。特殊関係使用人とは次の者をいいます。

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支給した給与が不相当に高額か否かの判断は難しいですが、通常は特殊関係使用人の職務内容や、一般の従業員に対する給与の支給状況等を考慮して判断されます。

例えば、一般の従業員と同年齢・同職務にもかかわらず、特殊関係使用人の給与が著しく高い場合には、差額部分について損金不算入とされる可能性があります。特殊関係使用人に対する給与の決定過程については、税務調査時に詳細に説明できるよう、関係書類などを事前に準備しておくことが重要です。

以上(2025年4月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 富永慎也)

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画像:pixabay

【業種別データ】酒類製造業の動向

酒類製造業は、2023年に製造品出荷額等が3兆6608億円(前年比109.9%)と拡大し、業界全体では堅調でした。特にビール類は出荷額が2兆円超と大幅増で全体を牽引しました。一方、清酒は小幅増にとどまり、果実酒は減少、蒸留酒は従業者数・出荷額ともに大きく落ち込みました。市場は二極化が進み、主力商品の強さと一部分野の苦戦が同時に見られます。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の酒類製造業の事業所数は1800事業所(対前年比99.7%)、従業者数は3万5221人(対前年比100.7%)、製造品出荷額等は3兆6608億9100万円(対前年比109.9%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は20人(対前年比101.0%)、現金給与総額は8300万円(対前年比101.2%)、原材料使用額等は5億900万円(対前年比106.5%)、製造品出荷額等は20億3400万円(対前年比110.2%)、付加価値額は6億7700万円(対前年比107.4%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は424万円(対前年比100.2%)、製造品出荷額等は1億394万円(対前年比109.2%)、付加価値額は3462万円(対前年比106.3%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は25.0%(対前年比96.6%)、同付加価値額比率は33.3%(対前年比97.4%)、同現金給与総額比率は4.1%(対前年比91.8%)となっています。

【1020 酒類製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)果実酒製造業

2023年の果実酒製造業の事業所数は166事業所(対前年比99.4%)、従業者数は2532人(対前年比99.9%)、製造品出荷額等は726億9300万円(対前年比90.5%)となっています。

【1021 果実酒製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)ビール類製造業

2023年のビール類製造業の事業所数は171事業所(対前年比137.9%)、従業者数は6317人(対前年比157.6%)、製造品出荷額等は2兆587億2800万円(対前年比151.5%)となっています。

【1022 ビール類製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)清酒製造業

2023年の清酒製造業の事業所数は1105事業所(対前年比100.0%)、従業者数は1万6869人(対前年比100.7%)、製造品出荷額等は4017億1400万円(対前年比102.5%)となっています。

【1023 清酒製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

5)蒸留酒製造業

2023年の蒸留酒製造業の事業所数は339事業所(対前年比98.3%)、従業者数は8249人(対前年比70.6%)、製造品出荷額等は1兆438億4600万円(対前年比69.6%)となっています。

【1025 蒸留酒製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【酒類製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

令和7年度の新入行員研修が行われました!

令和7年4月11日(金)、徳島大正銀行では、新入行員59人を対象に「四国八十八箇所巡り」のお遍路体験研修を実施しました。

【研修の目的】

・各自が目標にチャレンジし最後まで諦めない強い意思を持たせること
・同期との連帯感を醸成し、高い目標に対する達成感や充実感を経験させること
・四国八十八か所の歴史・文化を勉強し体感させること

【お遍路とは】

弘法大師・空海が修行した八十八箇所の霊場を回る巡礼の旅のことです。
霊場は徳島の霊山寺から始まり、高知、愛媛、そして弘法大師生誕の地である香川までの4県にわたって続き、総距離1,400kmにも及びます。

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1番札所「霊山寺」で板東頭取があいさつし、「目標を達成する力や同期との連帯感を育んでほしい」と述べて激励しました。

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出発前の新入行員に、本日の意気込みを聞いてみました!

天野さん

【天野さん】祖父が徳島出身で小さい時にお遍路を歩いたことがあり、その時の記憶が蘇ればと思っています!

山本さん

【山本さん】すごく楽しみにしていたので、みんなと一緒にがんばりたいと思います!

2番札所「極楽寺」ではご住職から参拝の作法を学び、社会人生活に向けありがたいお言葉をいただきました。

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この後、最長で11番札所「藤井寺」まで、約37kmを歩いて巡りました。
新入行員研修は最長5月2日まで続きます。
今後も新しい挑戦を共に乗り越え成長していくことと思います。皆さまにはあたたかく見守りいただけますと幸いでございます。

以上(2025年4月作成)

【健康経営】健康診断で「異常」の所見があったらどうする?

1 健康診断は「異常」が発見されてからが本番!

会社は労働安全衛生法などに基づき、法定の健康診断(定期健康診断など)を実施する義務があります。ただ、これで終わりではなく、「異常」の所見があった社員について、

医師等(医師または歯科医師)の意見を聴き、必要に応じて労働時間の短縮や配置転換などをしなければならない

ことをご存知でしょうか。この義務には罰則がなく、「健康診断の後は社員の責任」という勘違いもあってか、

  • 健康診断の結果を確認していない
  • 「異常」の所見があった社員に、病院に行くよう忠告するだけで終わっている

など、健康診断がやりっ放しになりがちです。

健康診断は社員の健康を守るために実施するものであり、

「異常」が発見されてからが本番!

といっても過言ではありません。ちなみに、定期健康診断で「異常」の所見があった社員の割合は2023年時点で58.9%に上ります。会社が何もしなければ、6割近い社員の健康が危ぶまれると思って、以降で紹介する「異常」の所見があった社員への対応をご確認ください。

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2 「異常なし」以外は「異常」の所見あり

健康診断結果には、社員の健康状態が「判定区分」として記載されています。判定区分の設定は医療機関ごとに異なりますが、例えば次のようなイメージです。

  1. 異常なし:健康状態に特に問題はない
  2. 軽度異常:数値上は異常を認めるが、日常生活に差し支えない
  3. 経過観察:治療や精密検査は不要だが、生活習慣を改善しつつ経過を見る必要がある
  4. 要治療:病気と考えられるので、治療や保健指導を受ける必要がある
  5. 要精密検査:さらに詳しく検査を行い、病気の有無を確認する必要がある

上の5つの場合、「1.異常なし」以外は「異常」の所見があるものとなります。医療機関がこれ以外の判定区分を設定している場合も、

「所見を認めない」など、明らかに問題ないと判断できるもの以外は、基本的に「異常」の所見があるものと考えて差し支えない

でしょう。

3 医師等の意見聴取はどうやって進める?

「異常」の所見があった社員については、

健康診断をしてから3カ月以内に、就業上必要な措置について医師等の意見を聴取

しなければなりません。意見を聴取する相手は、

  • 会社の産業医(社員数が常時50人以上の場合、選任は義務)
  • 地域産業保健センター(労働者健康安全機構が運営)の健康相談窓口
  • 社員の主治医(社員が主治医の意見を会社に伝える)

などがあります。通常、社員の健康診断結果を医師等に渡した上で意見を聴取します。これは法令で認められた行為ですが、健康診断結果は「要配慮個人情報」なので、その取り扱いには注意しましょう。

さて、厚生労働省の指針では、医師等から主に聴取すべき意見として次の2つが示されています(厚生労働省「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」)。

  1. 就業区分(通常勤務でよいか、就業制限や休業が必要か)と必要な措置(労働時間の短縮、作業の転換など)に関する意見
  2. 作業環境管理(施設や設備の状況など)や作業管理(作業方法など)に関する意見

意見聴取は、口頭と書面(意見書など)のどちらで行っても構いませんが、

聴取した意見は、健康診断結果の個人票に記載しなければならない

ので注意してください。

4 就業上必要な措置って具体的に何?

就業上必要な措置の内容は、おおまかに次のように区分できます。

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多くの場合は「通常の勤務でよい」ということになりますが、そうでなければ医師等の意見を勘案して措置を実施します。その際、

措置の対象となる社員の意見も聴き、内容について了解を得た上で実施するのが望ましい

とされています(厚生労働省「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」)。

なお、措置を講じるために社員の上司などの協力を求める場合、社員の病気などに関する情報は提供せず、措置の目的や内容を中心に伝えるのが基本です。健康管理業務に従事しない上司に要配慮個人情報を提供すると、個人情報保護法に違反する恐れがあります。

5 社員に治療や精密検査を受けるよう命令できる?

ここまで会社の義務について紹介してきましたが、社員も自らの健康維持のために努力しなければなりません。例えば、

通常の勤務でよい(就業上必要な措置はない)が、治療や精密検査は必要

というのはよくあるケースですが、社員が治療や精密検査を受けないまま健康状態を悪化させたら、健康診断を実施した意味がありません。

こうした場合、就業規則に、

健康診断で「異常」の所見があるなど、会社が必要と認めた場合、治療や精密検査を受けなければならない

といったことを定めるとよいでしょう。また、命令する以上は、会社による費用負担、就業時間中の受診、受診している間の給与の支払いなどについても検討する必要があるでしょう。

6 「異常」の所見があった場合に役立つ制度はある?

健康診断の結果、次の4つの検査項目全てで「異常」の所見があった社員(例外あり)は、労災保険の「二次健康診断等給付」を受けられます。

  1. 血圧検査
  2. 血中脂質検査
  3. 血糖検査
  4. 腹囲の検査またはBMI(肥満度)の測定

二次健康診断等給付の内容は、

  1. 二次健康診断:脳血管と心臓の状態を把握するために必要な検査
  2. 特定保健指導:脳・心臓疾患の発症の予防を図るための保健指導

の2種類で、どちらも無料です(どちらも年度内に1回まで)。実施義務はありませんが、該当する社員がいる場合、積極的に受診を奨めるとよいでしょう。

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以上(2025年4月更新)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 小出雄輝)

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画像:Marina Zlochin-Adobe Stock

【業種別データ】めん類、その他の食料品製造業の動向

2023年の「めん類、その他の食料品製造業」は、事業所数・従業者数がほぼ横ばいの一方、製造品出荷額は前年比約4%増と拡大し、冷凍調理食品、惣菜、すし・弁当・調理パンなど中食・簡便ニーズを背景に需要は堅調です。1事業所当たり出荷額や付加価値額も増加し生産性は改善傾向にあるものの、原材料費比率は依然6割前後と高く、人件費負担も重いことから、めん類製造業の経営指標では営業利益率がマイナスとなるなど、コスト高の中で収益確保に苦慮する業界構造がうかがえます。

1 業界動向

1)業界全体

2023年のその他の食料品製造業の事業所数は8203事業所(対前年比99.7%)、従業者数は44万5684人(対前年比99.8%)、製造品出荷額等は9兆2342億8900万円(対前年比104.1%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は54人(対前年比100.1%)、現金給与総額は1億6200万円(対前年比101.6%)、原材料使用額等は6億5100万円(対前年比103.1%)、製造品出荷額等は11億2600万円(対前年比104.4%)、付加価値額は4億1800万円(対前年比106.4%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は298万円(対前年比101.5%)、製造品出荷額等は2072万円(対前年比104.3%)、付加価値額は769万円(対前年比106.3%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は57.8%(対前年比98.8%)、同付加価値額比率は37.1%(対前年比101.9%)、同現金給与総額比率は14.4%(対前年比97.4%)となっています。

【0990 その他の食料品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)でんぷん製造業

2019年のでんぷん製造業の事業所数は51事業所(対前年比100.0%)、従業者数は1551人(対前年比70.4%)、製造品出荷額等は1063億8000万円(対前年比66.6%)となっています。

【0991 でんぷん製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)めん類製造業

2023年のめん類製造業の事業所数は1640事業所(対前年比99.5%)、従業者数は5万2621人(対前年比97.0%)、製造品出荷額等は1兆2320億7400万円(対前年比102.2%)となっています。

【0992 めん類製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)豆腐・油揚製造業

2023年の豆腐・油揚製造業の事業所数は734事業所(対前年比99.6%)、従業者数は1万8618人(対前年比102.1%)、製造品出荷額等は3533億6800万円(対前年比110.4%)となっています。

【0993 豆腐・油揚製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

5)あん類製造業

2023年のあん類製造業の事業所数は251事業所(対前年比99.2%)、従業者数は3150人(対前年比98.8%)、製造品出荷額等は740億2800万円(対前年比106.6%)となっています。

【0994 あん類製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

6)冷凍調理食品製造業

2023年の冷凍調理食品製造業の事業所数は767事業所(対前年比100.0%)、従業者数は5万7036人(対前年比98.3%)、製造品出荷額等は1兆4666億8100万円(対前年比101.4%)となっています。

【0995 冷凍調理食品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

7)そう(惣)菜製造業

2023年のそう(惣)菜製造業の事業所数は820事業所(対前年比100.5%)、従業者数は6万8307人(対前年比100.4%)、製造品出荷額等は1兆1467億7700万円(対前年比104.9%)となっています。

【0996 そう(惣)菜製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

8)すし・弁当・調理パン製造業

2023年のすし・弁当・調理パン製造業の事業所数は870事業所(対前年比99.5%)、従業者数は12万3031人(対前年比100.9%)、製造品出荷額等は1兆7558億300万円(対前年比107.3%)となっています。

【0997 すし・弁当・調理パン製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

9)レトルト食品製造業

2023年のレトルト食品製造業の事業所数は156事業所(対前年比100.0%)、従業者数は1万883人(対前年比99.0%)、製造品出荷額等は2796億2800万円(対前年比101.2%)となっています。

【0998 レトルト食品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

10)他に分類されない食料品製造業

2023年の他に分類されない食料品製造業の事業所数は2914事業所(対前年比99.6%)、従業者数は11万487人(対前年比100.7%)、製造品出荷額等は2兆8195億5000万円(対前年比105.7%)となっています。

【0999 他に分類されない食料品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【めん類製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【かんたん法人税(3)】固定資産に係る税務

1 固定資産に係る税務上の重要ポイント

シリーズ第3回では、固定資産のうち有形減価償却資産に係る税務上の取り扱いに注目します。固定資産とは、

長期に保有する資産の総称で、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産に区分

されます。「長期に保有」は、ワンイヤールール(1年以内の売却や処分を予定していない)で判断します。また、有形固定資産および無形固定資産のうち、減価償却の対象となる資産は、減価償却資産と呼ばれます。固定資産の分類は次の通りです。

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固定資産に係る税務上の取り扱いは、取得時の処理、減価償却、修繕をした場合など、詳細に定められています。固定資産に係る税務上の重要ポイントは次の通りです。

  • 取得価額の判定
  • 減価償却費を損金算入するための要件
  • 一括償却資産と中小企業者における減価償却の特例
  • 特別償却制度
  • 資本的支出と修繕費
  • 評価損・耐用年数の短縮
  • 売却時・除却時の税務

2 減価償却の概要と減価償却資産の分類

1)基本的な考え方

建物や機械などの有形固定資産、鉱業権や特許権などの無形固定資産は、取得後、使用することで時間の経過とともに経済価値が消耗・損耗していきます。この資産の経済価値の消耗・損耗分を減価(価値の減少)と見なし、その金額を一定の方法により、資産の使用可能期間にわたって、各期の費用として配分する会計処理を「減価償却」といいます。

前述の通り、減価償却の対象となる資産は減価償却資産として区分され、次のように分類されます。なお、減価償却資産には、建物、車両、器具備品、機械装置、ソフトウエア、営業権などの他、家畜や果樹などの生物も含まれます。

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固定資産の分類は、税務調査で指摘されやすいポイントなので、資産取得の際に適切に区分しておく必要があります。

2)減価償却方法

減価償却の方法にはいくつかがありますが、一般的なものは定額法と定率法です。

  • 定額法:耐用年数にわたり、毎期均等の金額を減価償却費として計上
  • 定率法:耐用年数にわたり、未償却残高を毎期同じ割合を減価償却費として計上

耐用年数とは、固定資産を事業に利用できる年数のことで、税法上、業種や資産ごとに決められています。会計上は、企業が任意に合理的な耐用年数を決めて償却することができますが、その場合は税法基準での処理との二重管理が生じ煩雑になるため、多くの中小企業では税法基準で償却計算が行われています。

耐用年数も税務調査で指摘されやすいポイントです。税務調査では、資産の耐用年数が法定耐用年数にのっとったものかどうか確認されます。また、その資産が実際に事業で使用されているかも確認されます。原則として、使用されていない資産の減価償却は損金算入が認められません。

定額法と定率法の仕組みは次の通りです(取得価額100万円、耐用年数5年の資産を例示)。なお、この記事では、旧定額法・旧定率法についての説明を省略します。

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定額法、定率法ともに、償却終了時に備忘価額(保有していることを忘れないように財務諸表に表示する価額)として帳簿価額1円を計上します(図表3-定額法および定率法の「5年目の期末帳簿価額」)。

また、現行の定率法において、償却当初の償却率(0.4)は定額法の償却率(0.2)の2倍となっています。ただし、当初の償却率(0.4)のままでは耐用年数内に、備忘価額1円まで減価償却することができません。そこで、帳簿価額が取得価額に一定の率を乗じた金額(改定取得価額、図表3-定率法の「3年目の期末帳簿価額」)まで到達した後は、新たな償却率(0.5。改定償却率)により償却を行うこととなります。

なお、改定取得価額とは、当初の償却率による償却額が初めて償却保証額(資産の取得価額に当該資産の耐用年数に応じた保証率を乗じて計算した金額)に満たないこととなる年の期首における未償却残高のことをいいます。また、改定償却率とは、改定取得価額に対しその償却費の額が、その後毎期均等になるように当該資産の耐用年数に応じた償却率をいいます。

3)固定資産を処分した場合の会計処理

ここでは、図表3の事例を使って、固定資産を処分するときの会計処理を説明します。

例えば、定額法により償却していた資産が、3年間使用した時点で壊れてしまったため処分したとします。この場合、処分時(3年経過時)のこの資産の帳簿価額40万円(=取得価額100万円-減価償却累計額60万円)を、会計上、固定資産(資産科目)から費用科目に一度に振り替える必要があります。本ケースでは、40万円の固定資産除却損を損益計算書に計上し、固定資産の帳簿価額をゼロにします(税務上の詳細な取り扱いは後述)。このように、固定資産を処分した場合には、期中に予定していなかった費用が発生し、利益に大きく影響するため注意が必要です。

3 固定資産に係る税務上の取り扱いと留意点

1)取得価額の判定

固定資産の取得価額の判定は、通常その単位ごとに行います。単位といっても、全ての資産が1個の資産で成り立つわけではありません。例えば、「応接セット」として資産計上することがあります。この場合は、一式そろって初めて機能するものなので、取得価額も一式分(テーブル、椅子、ソファなどの合計)の価額となります。また、資産の取得に際し、付随して生じる費用(設置費用など)も、取得価額に含めなければなりません。取得価額とすべき付随費用が費用(支払手数料など)として処理されていないかどうかは、税務調査でも指摘の多いポイントの1つです。

また、税務上は取得価額が10万円未満のもの(または使用可能期間が1年未満のもの)については、固定資産として資産に計上せず、消耗品費などとして一括で費用にすることができます(詳細は後述)。

2)減価償却費を損金算入するための要件

有形減価償却資産については耐用年数経過時に1円まで償却することが可能ですが、減価償却費を損金算入するためには、次の要件を満たす必要があります。

  • 法人税法施行令で定められている償却限度額以内であること
  • 損金経理を行っていること
  • 別表明細書(別表16)を確定申告書に添付すること

3)一括償却資産と中小企業者における減価償却の特例

税務上、10万円以上の固定資産を購入した場合には、減価償却資産として資産に計上するのが原則ですが、取得価額が30万円未満のものについては、次のような処理方法が認められています。

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取得価額が10万円未満(または使用可能期間が1年未満のもの)のものについては前述した通り、固定資産とせず費用に計上できます。

取得価額が10万円以上20万円未満のものについては、一括償却資産として資産計上し、3年間で償却することが認められています。固定資産の多くは、耐用年数が3年を超えるものが多いため、通常より早期に償却(費用計上)することができます。

また、中小企業者等(資本金の額等が1億円以下の一定の法人)においては、「少額減価償却資産の特例」という、30万円未満の固定資産を費用に計上できる制度(年間の総額が300万円に達するまで)が利用できます。適用を受ける場合には、適用額明細書を法人税の確定申告書に添付する必要があります。

4)特別償却制度

特定産業の保護・育成や特定の投資の促進などを目的として、租税特別措置法に規定されているのが、特別償却制度です。この制度を利用することで、償却限度額が増加し、税負担を減少させられます。税法上の早期償却の方法には、初年度特別償却と割増償却とがあります。

  • 特別償却:資産を取得した最初の期のみ、償却限度額を増加させるため特別償却率を乗じることを認める制度
  • 割増償却:数年間にわたり普通償却限度額(通常の減価償却に係る償却限度額)とは別に、特別償却限度額を認める制度

特別償却は、対象資産ごとに対象事業者が設定されており、ほとんどの場合、青色申告法人であることが要件になります。また、申告時には特別償却についての付表の添付が求められます。これらの適用要件を満たしているかどうかも、税務調査で指摘の多いポイントの1つです。また、租税特別措置法の適用を受ける場合には、適用額明細書を法人税の確定申告書に添付する必要があります。

5)資本的支出と修繕費

資本的支出と修繕費の取り扱いは、現場担当者の判断にミスが生じやすい項目の1つです。資本的支出とは、すでに保有している固定資産の修理、改良などのために支出した金額のうち、その固定資産を使うことのできる期間(使用可能期間)を延長させる部分または価値を増大させる部分をいいます。資本的支出に該当する場合は、費用ではなく、新たな固定資産を購入したものとして資産計上し、耐用年数にわたり減価償却を行っていかなければなりません。

一方、修繕費とは、固定資産の維持管理または原状回復のための支出をいいます。修繕費に該当する場合は、費用として処理されます。

資本的支出か修繕費かを判断するためのフロー図は次の通りです。

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修繕費と減価償却資産が適切に区分されているかどうかは、税務調査において指摘の多いポイントですので、留意する必要があります。

6)評価損、耐用年数の短縮

1.固定資産の評価損について

固定資産の価格の下落による損失は、会計上で評価損として費用計上することがありますが、税務上は原則として評価損の損金算入は認められません。ただし、例外として、固定資産について、一定の事実があった場合には、損金経理により帳簿価額を減額することを条件に、評価損の損金算入が認められています。税務上、固定資産の評価損を計上できるケースとできないケースは次の通りです。

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2.固定資産の耐用年数の短縮について

固定資産の耐用年数は、耐用年数表により画一的に定められています(法定耐用年数)。ただし、一定の理由により、使用可能期間が法定耐用年数と比較しておよそ10%以上短くなったと判断される場合には、所轄税務署長の承認を受けることで、法定耐用年数を使用可能期間に短縮できます。

7)売却時・除却時の税務

有形固定資産を売却した場合、売却時点の帳簿価額と売却価額との差額を固定資産売却損益として処理します。固定資産売却損益は、臨時的に発生した損益として特別損益に表示されます。また、売却に際して手数料などの付随費用が生じた場合は、売却損益に反映します。

なお、固定資産を除却する場合、税務においては固定資産を実際に廃棄するまでは除却損を損金に算入できません。従って、実務上は廃棄を証明する資料、例えば産業廃棄物管理票(マニフェスト)などを適切に保存・管理する必要があります。

ただし、次のような場合には、実際に廃棄せずとも、帳簿価額から処分見込額を控除した金額の損金に算入できます。これを有姿除却(有姿=姿を残したままの意)といいます。

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図表7の(1)は、税務調査で指摘の多いポイントの1つです。固定資産を再使用しないことを明らかにするため、当該固定資産の現況、使用中止に至った経緯、転用等の再使用の可能性を検討した資料を残しておく必要があります。

4 リース取引

リースとは、企業が設備を導入する場合に、自社で購入(所有)するのではなく、リース会社が購入した物件を賃借し使用する取引のことです。リース取引は、中途解約ができず、その資産の購入代金のほぼ全額をリース料という形で支払う賃貸借取引である「ファイナンス・リース」と、それ以外のリース取引である「オペレーティング・リース」とに分類されます。

税務上では、ファイナンス・リースのみが「リース取引」に該当し、原則として売買したものとして取り扱われます。従って、固定資産を購入した場合と同じく、リース期間にわたり減価償却をしていかなければなりません。

一方、オペレーティング・リースは、税務上は賃貸借取引とされるため、賃借料、レンタル料などの費目で処理されることになります。

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また、ファイナンス・リース取引(税務上の「リース取引」)は、リース期間の中途または終了後に所有権が移転するかしないかという観点で、さらに「所有権移転ファイナンス・リース」と「所有権移転外ファイナンス・リース」とに分類することができます。ファイナンス・リースでは減価償却費を費用計上することとなりますが、取引内容により減価償却方法が変わりますのでご留意ください(詳細は図表9の通りです)。

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なお、2027年4月1日以降に開始する事業年度から、リースに関する会計基準が変更されます。監査法人の監査が必要な上場企業などに対しては強制適用となりますが、中小企業については任意の適用となります。新しい基準(新リース会計基準)では、これまでオペレーティング・リースとして、賃借料を費用計上するだけで良かったものも、会計上はファイナンス・リースと同様、貸借対照表上に資産・負債として計上し、減価償却費により費用計上することになります。ただし、

税務上は、新しい基準適用したとしても、オペレーティング・リースについては、現行の処理(賃借料などを損金とする処理)を継続

するとして、特段の変更はありません。

そのため、新リース会計基準を適用した場合のオペレーティング・リース取引については、会計上の処理(減価償却と利息費用を費用処理)と、税務上の処理(賃借料などを損金処理)で差異が生じるので、確定申告において税務調整が必要になります。

以上(2025年4月)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 富永慎也)

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画像:pixabay

【健康経営】健康診断の対象者や診断項目はどうやって決まる?

1 ルールを押さえた上で工夫する

働き方が自由になる中で、健康診断についても、

  • 社員の自宅近くの病院で健康診断を受けられるようにした
  • テレワークで社員の健康が気になるので、会社の裁量で診断項目を増やした

といった見直しを検討する会社が増えています。このように社員のために工夫を凝らすのはよいですが、健康診断については労働安全衛生法と関係法令でさまざまなルールが定められていて、知らず知らずのうちに法令に違反してしまうケースがあります。違反となれば罰則(50万円以下の罰金)が科せられることもあります。

そうならないためには、会社はどのようなことに注意すればよいのでしょうか。この記事では、健康診断のルールを次の3つにまとめて紹介します。

  1. 対象者のルール:従事する業務によっては特殊な健康診断もある
  2. 診断項目のルール:法定項目は必ず、法定外項目は会社の裁量で実施
  3. 診断結果のルール:異常の所見がないかを確認。データの取り扱いに細心の注意を払う

2 対象者のルール

1)法定の健康診断の種類

法定の健康診断には、一般健康診断と特殊健康診断等とがあります。

  • 一般健康診断:社員の職種に関係なく行うもので、5種類ある
  • 特殊健康診断等:特定の有害な業務に常時従事する社員に行うもので、3種類ある

それぞれの内容は次の通りです。

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健康診断の実施場所については細かい制限がないので、「医師が健康診断を行う医療機関」であれば、対象者ごとに実施場所が違っても問題ありません。ただし、

健康保険の保険者(全国健康保険協会など)から健康診断の費用補助を受ける場合、保険者が指定する医療機関

で行う必要があります。

なお、この他、図表1に含まれない(一般健康診断でも特殊健康診断等でもない)イレギュラーな健康診断として、

  • リスクアセスメント対象物に関する健康診断
  • 濃度基準値設定物質に関する健康診断

があります。

リスクアセスメント対象物とは、「ラベル表示、SDS等による通知」「職場における危険性・有害性の特定・リスク低減等」が義務付けられている危険・有害物質のことで、これを取り扱う事業場では、リスクアセスメント(有害性のリスク診断)の結果に基づいて社員の意見を聴き、必要に応じて健康診断を実施し、就業上必要な措置を講じる義務があります。

濃度基準値設定物質とは、リスクアセスメント対象物のうち、ばく露量が濃度基準値(厚生労働大臣が定める濃度の基準値)以下なら健康障害を生ずる恐れがない物質として厚生労働大臣が定める物質のことで、濃度基準値設定物質について、社員が濃度基準値を超えてばく露した恐れがある場合、速やかに健康診断を実施し、就業上必要な措置を講じる義務があります。

2)役員も現場で働いていれば対象

健康診断の対象は、原則として社員だけですが、

兼務役員(経営業務以外の業務にも携わり賃金が支払われる)は対象

になります。

3)パート等(パートタイマー、嘱託社員など)、派遣社員の場合

パート等については、一般健康診断の場合は図表2で「○」が付く社員、特殊健康診断等の場合は特定の有害業務に常時従事する社員が、健康診断の対象になります。

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派遣社員の場合も、考え方はパート等(図表2)と同じですが、

  • 一般健康診断は「派遣元」に実施義務がある
  • 特殊健康診断等は「派遣先」に実施義務がある

といった違いがあるので注意が必要です。

3 診断項目のルール

1)法定項目と法定外項目

健康診断の項目には、

  • 法定項目:法令で受診が義務付けられており、原則として、社員に受診させる
  • 法定外項目:会社が裁量で決める「がん検診」などで、受診するか否かは社員の自由

があります。

例えば、雇入時健康診断と定期健康診断の法定項目は次の通りです。

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費用は原則として全額会社負担ですが、35歳以上で健康保険の被保険者である社員については、「生活習慣病予防健診」として保険者から費用の補助を受けられます(全国健康保険協会の場合。健保組合によっては、健保組合独自の給付制度が用意されている場合があります)。

2)就業規則等の規定に注意

法定項目は法令に基づくため、無条件で社員に受診を命じられます。社員がこれを拒んでも、会社が健康診断の準備を整えていれば罰則(50万円以下の罰金)は受けません。一方、法定外項目は法令に基づかないので、

就業規則等に「診断項目の内容」「社員に受診を義務付ける旨」を定めるか、社員の同意を得ないと受診を命じることはできない

といった違いがあります。

また、法定項目と法定外項目とを問わず社員が受診を拒んだ場合、就業規則等の懲戒事由に定めがあれば、その社員を懲戒処分の対象とすることができます。とはいえ、違反内容に対して重すぎる懲戒処分は過剰制裁となるため、基本的には戒告・けん責など軽めのものとすべきでしょう。

4 診断結果のルール

1)診断結果の取得

診断結果は、個人情報保護法の「要配慮個人情報」に該当するため取り扱いに注意が必要で、法定項目と法定外項目とで次のような違いがあります。

  • 法定項目:社員の同意を得なくても取得可能
  • 法定外項目:「健康管理のため」など情報の利用目的を示し、社員の同意を得て取得

実務上、診断結果は会社に直接送られてくることが多いので、遅滞なく社員本人に通知する必要があります。

2)診断結果の保存

法定項目の診断結果は、

  • 一般健康診断の場合、5年間の保存
  • 特殊健康診断等の場合、5年間から40年間の保存(健康診断の種類により異なる)

が義務付けられています。なお、派遣社員の場合は少し特殊で、一般健康診断の診断結果は原則として派遣元のみが保存、特殊健康診断等の診断結果は派遣先が原本、派遣元が写しを保存します。

診断結果は、紙の他、データ(PDFなど)でも保存できます。なお、医師等の押印・電子署名は不要です。

3)診断結果を提供できる範囲

健康診断で異常の所見があった社員については、配置転換など就業上必要な措置について医師などの意見を聴きます。その際、医師などから過去の診断結果などの情報を求められた場合は、提供することが認められています。

この他にも、就業上の措置を実施する上で必要最小限な範囲、例えば、社員の健康管理業務に従事する産業医、保健師、衛生管理者などには過去の診断結果などの情報を提供できます。ただし、「上司」などは社員との関係は深いものの、健康管理業務に従事しないため、原則として情報は提供すべきではありません。

4)「健康診断結果報告書」の届け出

社員数50人以上で定期健康診断を実施した会社、特殊健康診断等を実施した全ての会社は、健康診断の実施後、遅滞なく所定の「健康診断結果報告書」を作成して所轄労働基準監督署に届け出なければなりません。なお、健康診断結果報告書については

2025年1月1日から「電子政府の総合窓口(e-Gov)」によるオンラインでの提出(電子申請)が義務化

されているのでご注意ください。

■厚生労働省「各種健康診断結果報告書」■

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei36/18.html

■電子政府の総合窓口(e-Gov)■

https://www.e-gov.go.jp/

■厚生労働省「労働局・労働基準監督署への申請・届出はオンラインをご活用ください」■

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/denshishinsei.html

以上(2025年4月更新)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 栗原功佑)

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画像:unsplash

【業種別データ】光学機械器具・レンズ製造業の動向

光学機械器具・レンズ製造業は、2023年において事業所数460事業所(前年比99.1%)とやや減少したものの、従業者数は2万1211人(同100.5%)、製造品出荷額等は5420億円(同100.2%)と概ね横ばいで推移しています。一方で、原材料費の増加により付加価値額や1人当たり付加価値額は減少しており、収益性にはやや下押し圧力がみられます。分野別では顕微鏡・望遠鏡等が大きく伸びる一方、レンズ・プリズムや写真機関連は出荷額が減少しており、分野による明暗が分かれる状況となっています。全体としては需要は維持されつつも、コスト上昇や市場構造の変化への対応が求められる業界といえます。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の光学機械器具・レンズ製造業の事業所数は460事業所(対前年比99.1%)、従業者数は2万1211人(対前年比100.5%)、製造品出荷額等は5420億3000万円(対前年比100.2%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は46人(対前年比101.3%)、現金給与総額は2億3100万円(対前年比106.4%)、原材料使用額等は6億4300万円(対前年比105.3%)、製造品出荷額等は11億7800万円(対前年比101.1%)、付加価値額は4億7000万円(対前年比91.6%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は500万円(対前年比105.0%)、製造品出荷額等は2555万円(対前年比99.7%)、付加価値額は1020万円(対前年比90.4%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は54.6%(対前年比104.2%)、同付加価値額比率は39.9%(対前年比90.7%)、同現金給与総額比率は19.6%(対前年比105.3%)となっています。

【2750 光学機械器具・レンズ製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)顕微鏡・望遠鏡等製造業

2023年の顕微鏡・望遠鏡等製造業の事業所数は77事業所(対前年比100.0%)、従業者数は2911人(対前年比131.2%)、製造品出荷額等は974億6100万円(対前年比156.8%)となっています。

【2751 顕微鏡・望遠鏡等製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)写真機・映画用機械・同附属品製造業

2023年の写真機・映画用機械・同附属品製造業の事業所数は134事業所(対前年比100.8%)、従業者数は3164人(対前年比108.7%)、製造品出荷額等は490億100万円(対前年比98.6%)となっています。

【2752 写真機・映画用機械・同附属品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)光学機械用レンズ・プリズム製造業

2023年の光学機械用レンズ・プリズム製造業の事業所数は249事業所(対前年比98.0%)、従業者数は1万5136人(対前年比94.7%)、製造品出荷額等は3955億6800万円(対前年比92.2%)となっています。

【2753 光学機械用レンズ・プリズム製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【光学機械器具・レンズ製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

始動 とくぎんトモニリンクアップ! 徳島をつなぐ・結びつける。~メンバーが躍動する徳島の未来

2025年2月4日、徳島大正銀行の100%子会社として「とくぎんトモニリンクアップ」が設立されました。

経営を取り巻く環境がますます変化する中、とくぎんトモニリンクアップは徳島県に、具体的にどのようなつながりをもたらしてくれるのでしょうか。今回、「とくぎんサクセスクラブnavi」(とくさくnavi)では、とくぎんトモニリンクアップで躍動する若手メンバーに単独インタビューを行い、同社の具体的な活動や、徳島県の可能性についてお話をお伺いしました。

お話をしてくださったのは、とくぎんトモニリンクアップの役職員である、以下5人です。
5人のフレッシュな「ひとこと動画」をぜひご覧ください!
(それぞれの画像をクリックしていただくと、YouTubeに遷移します)


取締役 GX事業部担当役員 三木さん


GX事業部 部長 岸さん


事業サポート部 部長 補助金・助成金コンサルタント 河野さん


事業サポート部 補助金・助成金担当 太皷地(たいこぢ)さん


事業サポート部 森長さん

―とくぎんトモニリンクアップの事業内容を教えてください

とくぎんトモニリンクアップは、主に4つの事業を展開していく予定です。

1)GX(グリーントランスフォーメーション)事業

GX事業については、とくぎんトモニリンクアップが自ら太陽光発電などの発電事業者となって、地域に再生可能エネルギーを供給していきます。また、GXコンサルティングや、Jクレジットの創出・販売も進めることで、地域内の中小企業の脱炭素経営の支援を行い、地域のカーボンニュートラルを推進していきます。

2)一次産業活性化事業

一次産業活性化事業については、一次産業のプロである生産者や自治体などと連携しながら、新たな就業者を創出していくための仕組みづくり等を検討していきます。もちろん、魅力的な徳島の県産品もアピールしていきます。

3)持続可能なまちづくり事業

持続可能なまちづくり事業については、とくぎんトモニリンクアップがハブやコーディネーターとなって地域の事業者や自治体と連携し、地域資源や自然資本を活かした地域の課題解決に繋がるビジネスモデルの設計等を進めていきます。

4)補助金申請サポート事業

補助金申請サポート事業については、前述した3つの事業に付随する補助金の申請サポートを行います。既に徳島大正銀行で行っている補助金申請サポートを進化させ、GX関連の補助金申請にも力を注ぎます。

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取締役 GX事業部担当役員 三木さん

―とくぎんトモニリンクアップの「強み」を教えてください

銀行は、銀行法によって行うことができる事業範囲が決まっています。しかし、近年は銀行法や関連規則などの改正によって規制緩和が進み、いわゆる「銀行業高度化等会社」として取り組むことができる事業の範囲が広がっています。

人口減少に歯止めをかけたり、県産品を広めていったりする上で、銀行本体で認められている事業だけでは限界があります。そこで、銀行業高度化等会社を設立し、私たちも事業主体となって、リスクを取りながら活動することにしました。

他の金融機関も銀行業高度化等会社を設立していますが、そうした事例も研究しました。先行する銀行業高度化等会社は、発電事業や地域商社など単独の事業を展開するケースが多いです。しかし、私たちは「GX、一次産業、まちづくり、補助金」を柱にして、多面的な事業展開を進めていきます。これらの事業の親和性を高め、相乗効果を生み出していきたいと考えています。

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GX事業部 部長 岸さん

―設立日に小松島市と連携協定を結ばれましたね

2025年2月4日の設立と同時に、徳島県小松島市、サーキュレーション、イノベーションパートナーズ、徳島大正銀行、そしてとくぎんトモニリンクアップで「『地域経済の好循環に向けた共創推進』を目的とした連携協定」を締結しました。関係者で連携を密にしながら、小松島市の地域産業の振興、産業を支える担い手及び事業者等の創出・育成を推進していきます。

設立日に締結した連携協定ということで、メンバーの思い入れも大きいです。連携協定の参画者が小松島市の解決したい課題を理解し、各団体の有する環境や資源、特徴を活かしながら、新しい施策を共創していきたいと思っております。

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事業サポート部 部長 補助金・助成金コンサルタント 河野さん

―小松島市のような連携は今後も増えていきそうですか?

はい。まずは徳島県内を中心に広げていきたいと考えています。

自治体によって抱えている課題は違いますので、プロダクトアウトではなく、マーケットインで、自治体が求める役務を提供できるようにします。もちろん、当社単独でのサポートには限界がありますから、連携先も増やしていきます。

地域に根差した銀行の一員である私たちが、地域の課題を解決するためのハブ機能・コーディネート機能を果たす。これが、とくぎんトモニリンクアップの真骨頂です。

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事業サポート部 補助金・助成金担当 太皷地さん

―とくぎんトモニリンクアップが行うサポートのイメージを教えてください

例えばGX事業については、まずは徳島県内を中心に、中小企業が脱炭素経営を行うためのサポートをします。GXコンサルティングを行う会社は数多くありますが、私たちの強みは、徳島大正銀行の情報力・機動力を活かした豊富なネットワークにあります。様々な連携先と協力することで、「ワンストップ」サポートが可能になります。例えば、温室効果ガスの排出量の可視化から削減計画の策定までのサポートはもちろんですが、工場建設を検討される先には、その分野の専門家をお引き合わせしたり、検討の場に私たちも立ち会ってアイデアを出したりすることができます。

補助金申請サポート事業についても同様です。常時30件程度の申請をご支援しておりますが、先ほどの例でいうと、工場建設を検討される先に対して、申請可能な補助金をご提案したり、実際にその申請サポートをしたりもします。現在は経済産業省管轄の補助金が中心ですが、今後は環境省管轄の補助金にもサポート範囲を広げていきます。

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事業サポート部 森長さん

―とくぎんトモニリンクアップの今後の展望をお聞かせください

まずは足場固めをして、安定的に事業を展開できるようにしていきます。

そして、とくぎんトモニリンクアップが活動することでご縁が広がり、結果として徳島大正銀行のお取引先が増えれば、私たちにとってもとてもうれしいことです。徳島大正銀行には古い歴史を誇る「とくぎんサクセスクラブ」もありますので、こちらからも様々なサービスをご提供できたらよいと思います。

とくぎんトモニリンクアップの一つ一つの活動は「点」ですが、それを有機的に結びつけて「面」とし、大きな渦を生み出していきます。

今後も、とくぎんトモニリンクアップの情報を、「とくさくnavi」を通じて発信していきたいと思っていますので、ご期待ください。

(聞き手 日本情報マート 代表取締役 松田泰敏)

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昭和世代vsZ世代~「自分で考えてみて」と「教えてほしい」

1 「自分で考えてみて」と「教えてほしい」の線引きは?

ジェネレーションギャップは世の常……。今どきであれば、部下を持つ「昭和世代」の上司が、若手の部下である「Z世代(1990年代半ば~2010年代初頭生まれを中心とした世代)」との価値観のギャップに、戸惑うケースが多いかもしれません。例えば、仕事で昭和世代がZ世代に指導を出す際、

「自分で考えてみて」と「教えてほしい」のラインの見分け方で擦れ違いが生じる

ことがあります。

昭和世代の皆さんからすれば「少し考えれば分かる」ような質問を、部下がしてきたらどうしますか? 思わず「自分で考えなさい! 全く、若い世代はすぐに答えを聞きたがる!」と言ってしまうかもしれません。

ただ、Z世代は本当に楽をしたいから質問をしてきたのでしょうか? もし、本当に困っているのだとしたら……。こうしたときは、

お互いに自分がやるべき仕事を理解し、本当に相手に任せるべき仕事か(本当に自分ではどうにもならないのか)を見極める

ことが大切です。以降で、「自分で考えてほしい」と思っている昭和世代のAさんと、「教えてほしい」と思っているZ世代のBさんの“擦れ違い会話”を紹介します。両者の擦れ違いを解消するためのポイントを見ていきましょう。

2 その「自分で考えてみて」、本当に合っていますか?

営業職として働いている上司のAさん(昭和世代)と、部下のBさん(Z世代)。ある日、Aさんは、Bさんと定期面談をした人事部のCさんから報告を受けました。どうやら、Bさんは「Aさんに、もう少し指導してほしい、一緒に仕事をしてみたい」と思っているようです。

パワハラやモラハラ、ロジハラなど、とにかくハラスメントの問題で部下を指導しにくい時代……。自ら「指導されたい!」と申し出てくるとは見どころがあります。Aさんは「よし!」と気合を入れて、Bさんへの指導を始めました!

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Bさん、クライアントに提出する、この資料のことだけれど……これはまだ、先方に提出できるレベルじゃないかもな。

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見ていただいてありがとうございます! Aさんから見て、その資料のどんなところを修正したら、「提出できるレベル」になるのでしょうか?

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どんなところって……それを考えるのも仕事だぞ? 自分で考えてやってみてくれ。

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ええっと……そこを、具体的に指導していただきたいんですけど……。

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だから、自分で考えてやってみてって! 自分で何が悪いか分からないようじゃ駄目だよ!

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(そんなこと言われたって、参考資料もろくにないのに分かるはずがないよ……! 自分で考えてミスしたら、どうせまた怒るじゃないか……!)

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(自分で考えるのも仕事だろ。自分で何が悪いのか分かっていないようじゃ駄目じゃないか。全く、最近の若いモンは……)

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……。

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(あれ……? 思った以上にへこんじゃっているぞ……? 仕事の手も止まっている……)

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(……そういえば私もついこの前、知らない専門用語ばかり使ってくる人に出会って困ったことがあったな……。何が分からないのかさえ分からないから、ぼうぜんとしちゃうんだよな。Bさんも同じ状況なのかもしれない)

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(そうか……何も分からないまま厳しく指導されても、余計に困ってしまうよね。今度指導をするときは、話しながらBさんの業務がどんな状況にあるのか、一緒に整理してみよう。もっと良い指導ができるかもしれない)

Aさんは自分の経験を思い出したことで、Bさんが「何が分からないのかさえ分からない」状況に陥っていることを理解し、指導のための糸口を無事、つかんだようです。

3 その「教えてほしい」、本当に合っていますか?

Aさんは自分の指導方法を反省し、次からは、「Bさんが分からないことをきちんと聞き出そう!」と決意しました。

ただ、「教えてほしい」と頼む前に、Bさんが「自分で考えなければならない」ケースもあります。例えば、仕事に必要な情報がそろっていて、ちょっと頭をひねれば答えを導き出せそうなときです。

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Aさん、クライアントに提出する資料ですが……事例はどのようなものを載せればいいでしょうか。

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なるほど。何を使えばいいか、見当もつかないって感じかな?

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はい……どうすれば、うちのサービスを気に入ってもらえるのか、想像ができなくて。

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この前の打ち合わせの感じだと、クライアントは商品の販売先を拡大したいという課題を持っている。だから、うちのサービスでそれをサポートする流れだね。Bさんならどうする? 合っていなくてもいいから、自分で考えて何個か挙げてごらん。

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その正解が分からないから、Aさんにお聞きしているのですが……。

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ええっ!?

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(私が教えた事例をそのまま資料にしても成長なんてできないぞ……? でも、この間、Bさんに同じようなことを言ったら落ち込んでいたしなぁ……)

Aさんは、今度こそ本当に困ってしまいました。ここで押さえておきたいのは、Z世代は「デジタルネイティブ」であることです。物心ついた頃から当たり前にインターネットを使い、

「調べれば答えがすぐに分かる」環境で育ってきた世代

です。ですから、Bさんがすぐに答えを求めるのはある意味、自然なことですが、

仕事は、明確な「正解」があることのほうが少ない

のです。Z世代の成長のカギは、そこを理解できるかどうかにあるのかもしれません。

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(何が正解なのか読めないし、的を射た質問ができないのが怖くて発言しにくい……! 分からないから聞いているんだし、教えてくれたっていいじゃないか……!)

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(社会は厳しいなあ……。怖いけど、取りあえず自分でやるしかないのか。ええと、クライアントの悩みはこれ、弊社がお薦めしたいサービスはこれ、過去の事例は……あのファイルにまとめてあるんだよな……?)

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(あれ……? よく考えたら今、分からないことって、そんなにないのでは……?

4 それぞれの「やるべき仕事」を理解し、共有しましょう

Bさんは、困ってしまったAさんと、もう一度話してみることにしました。

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Aさん、さっきはすみません……。取りあえず自分でやってみます!

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えっ!? 急にどうしたの!?

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冷静になって考えてみれば、Aさんがおっしゃっていたように、「誰の、どのような悩みを解決したいのか」が分かっていれば、自分でも考えられるのではないかと思いまして……。それが私の「やるべき仕事」ですよね。すみません、甘えていました。

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そうか、やってみてくれるならよかった……! 私も、この間は突き放すような言い方をしてしまって悪かったね。本当に分からないことなのであれば、これからは具体的に指導するよ。それが指導役としての「やるべき仕事」だもんな。

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これからは、私もまず自分で考えて、頭の中を整理してから、Aさんに質問をするようにします!

AさんとBさんが、お互いの「やるべき仕事」を理解し、共有することで、2人の擦れ違いは解消されたようです。今回は、「自分で考えてみて」と「教えてほしい」の壁をテーマにしましたが、他のテーマであっても、

自分の役割を理解した上で、「自力でできることはやる」「人に任せられることは任せる」

ようにすれば、擦れ違いは解消され、お互いの良さが引き出されていくはずです。

以上(2025年4月作成)

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画像:ChatGPT