欠員分の業務をチーム内で振り分けたら若手Eさんは拒否、どう声をかけますか?/武田斉紀の『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』【実践編】(6)

書いてあること

  • 主な読者:会社経営者・役員、管理職、一般社員の皆さん
  • 課題:コミュニケーションに関わる知識やノウハウは、頭では理解できても、実際の場面で使いこなせるようになるまでには高いハードルがあるものです。
  • 解決策:前回シリーズ『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』での知識やノウハウを聞いただけではまだ一歩を踏み出せない、あるいはトライしてみたがうまくいかないという方のために、新シリーズでは【実践編】として社内の“あるある”場面を想定した質問に対して一緒に考えながら、実践イメージを膨らませていただきます。またリーダー側の視点とは別に、若手社員側の視点による上司世代との上手な付き合い方のヒントも紹介していきます。リーダー世代と若手社員とのコミュニケーションギャップを埋めることは、世界を舞台にスピーディな成長をめざす日本企業にとっても喫緊の課題だからです。

1 欠員分の業務をチーム内で振り分けたら若手Eさんは拒否、どう声をかけますか?

今シリーズは、前シリーズ『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』の実践編です。

知識やノウハウは分かったけれど、「現場で実践するにはまだハードルが高い」「うまく一歩を踏み出せない」という方のために、毎回実際にありそうなさまざまなシチュエーションを想定して、どんなコミュニケーションを取るのが望ましいかを一緒に考えていきます。

第5回では皆さんの身近な話題として、会議をテーマに取り上げてみました。いかがだったでしょうか。今回は課題[事例5]です。再掲しますので、考えた解答を思い出してみてください。まだ考えていなかった方もぜひ考えてみてください。自ら考えないで、解説だけを読んでいても力はつきませんよ。

—————————

Q.部下のEさんに対して、あなたはこの後、最初にどんな声をかけますか? また、それを考える際に注意するべきポイントを3つほど挙げてください。書かれているさまざまな要素を考慮してみましょう。

[事例5]

〇上長や人事部からは「働き方改革の一環として残業はなるべくしないように」と要求される中、部署に欠員があり、その業務の穴をみんなで埋めなくてはなりません。上司であるあなたは、ベテラン社員に手分けしてもらいながら、若手のEさんにも一部を振ることにしました。まだ一人前とはいえませんが、本人にとっても成長の“チャンス”だろうと考えたのです。

〇Eさんを呼んで「欠員もあったので、この仕事を新たに担当してほしい」と伝えました。するとEさんから「この仕事の意味って何ですか? 私が担当する意味がありますか?」と返されたのです。

—————————

テーマは「新たな仕事の依頼」です。これまでの事例と同様に起こっている事象を整理することから始め、現場で起こっていることの可能性を探ってみましょう。

2 部署の「欠員」をどう捉えるべきか

部署に「欠員」が出ることは珍しくないでしょう。本人の意思による退職もあれば、会社の意向による組織再編に基づく異動もありますね。

急な欠員を会社や上から告げられた際は、上司としては焦るでしょう。日常業務が目の前にあるわけで、事例のように欠員となる人が抱えていた業務を、他の人に振らなければなりません。

そこで「じゃあ、欠員補充があるまでは私がやろう。久々に現場を味わってみるか」と発想する上司は根本的に間違っています。最後の最後の選択肢としてはあるかもしれませんが、基本的に上司が現場に戻ってはいけません。

なぜなら、上司としての仕事、例えばマネジメントや組織づくり、今後に向けたビジョンを提示するといった、本来やるべき仕事が疎かになるからです。「だったら私が犠牲になって徹夜をすればいい」というのは昭和の考え方、美談でも何でもありません。それで体を壊したらもっと困るのは部下と会社です。

組織再編による欠員は、会社から「残った人数で今までかそれ以上の成果を上げて、生産性を上げてくれ」というメッセージです。本人の意思による退職の場合も、会社から補充の計画がなければ同じ意味だと捉えるべきでしょう。

今後、伸び盛りの部署や新規の部署は別として、多くの部署では「増員」よりも「欠員」を期待されるケースが多くなります。背景には日本企業の世界的に見た生産性の低さが挙げられます。現状の生産性では、世界はおろか、国内との大手競合とも戦えず、生き残っていけないからです。

上司は「欠員」を前向きに捉えるべきです。これぞ、“部下の育成”と“生産性向上”を図るチャンスだと。1人減っても残ったメンバーで、以前と変わらぬ、あるいはそれ以上の売上や利益を上げられる方法を考えて必ず実現しようと。

むしろ部署のほうから「部下の育成と生産性向上のためにも、1人減らしてほしい」と会社に提案してほしいくらいです。会社はそういう上司を求めています。

「そんなことしたら、誰かを他の部署へ異動させるか、辞めさせなければならなくなる」。そうでしょうか。メンバーの中には、今の仕事にマンネリを感じている人や、違う仕事もしてみたいという人もいるはずです。自ら手を挙げた人を優先してあげてください。そうすれば無駄な退職も減らせます。

本人に「異動」という発想がないケースもあります。私なら「今後のあなたの成長を考えれば、早い内に異なる部署を経験した方がいいよ」と説得して背中を押します。部下を新たな業務や環境に置いて成長させるのは、上司の重要な仕事の一つです。

「欠員」になるのにどうやって日常業務を回すのでしょうか? まずは今の業務を整理し見直して、無駄を徹底的に省くことが先決です。身近なところではAIやロボットが強力な助っ人になるでしょう。「まだChatGPTを使ったことがない」という人は、私が社長なら「時代についていけていませんね、上司失格ですよ」とお話しします。

オープンAIが2022年の11月にChatGPTをリリースし、早々に無料サービスを(またハイエンドの有料サービスも)提供してから、ずいぶん時間がたっています。生産性を常に意識できている上司ならとっくに使いこなしているはずだからです。ChatGPTの驚きの能力と、ハルシネーションなどの課題についてはここでは詳しく触れませんが。

3 若手Eさんは、なぜ新たな仕事を拒否したのか

ここまで読まれて、「欠員」に対する考え方について「なるほど」と思われた方。皆さんの部下は、あなた以上に「欠員」に対する認識がないと思います。だとすれば、彼らは今回欠員分の業務を振り分けられたことを、本音ではどのように捉えているでしょうか。

「欠員があったのに補充がない、残業規制もあるのにどうしろっていうんだ」

「現状でも日々の仕事を回すのでパンパンなのに、新しい仕事など受けられるはずがない。うちの上司は何も分かっていない。上司や会社に掛け合って一日も早く増員してくれ」

メンバーは心の中ではそんなふうに思っていることでしょう。仕事を振って受けてくれたベテラン社員ですらも、心の中では憤慨しているかもしれません。

若手Eさんは、なぜ新たな仕事を拒否したのか想像してみましょう。恐らく本音はすぐ上の会話文(「 」部分)の通りで、若いがゆえに心の声が思わず出てしまったのでしょう。

さらに想定できるのは、Eさんがまだ一人前に育っていない可能性です。だとすれば、「自分の担当業務ですらまだおぼつかないのに、さらに他の人が担当していた業務などできるはずがない」と感じているでしょう。

結果として、Eさんが「この仕事の意味って何ですか? 私が担当する意味がありますか?」という表現で悲鳴を上げたのかもしれません。また、次のような前向きな気持ちからの可能性もあります。

「自分は戦力にすらなれていなくてみんなに申し訳ない。担当業務を一人前にできるように日々必死に努力しているけど、それでいっぱいいっぱい……。新しい業務を受けたら全てがうまくいかなくなってみんなにも会社にも迷惑をかけてしまう」

Eさんに断られたあなたは、じゃあベテラン社員に振るしかないかと、頭を下げてさらなる負担を強いるでしょうか。彼らはベテランがゆえに表向きは「大変ですよね、分かりました」と平穏を装って受け入れるふりをするかもしれません。

でもベテラン社員にも限界はあるし、心の中ではEさんが発したのと同じ気持ちなのであれば、いっせいに退職してしまう可能性もあります。そんな状況を招いたのはだれでしょう。そう、上司であるあなたです。

4 上司は常に「部下の育成と、部署の生産性向上を担う」立場

私は欠員者の業務を快く受け入れてくれたベテラン社員にも感謝しますが、若手のEさんにも感謝したいです。結果として現場の状況を教えてくれたのですから。

私がEさんに最初にかける言葉は次のようなイメージです。

「今回の欠員でEさんが戸惑っている状況は分かりました。そうやって本音を言ってくれたことに私はとても感謝しています。ありがとう。仕事の現状を詳しく聞かせてください」

『新たな3つのコミュニケーション習慣』の「褒める=感謝の言葉」を伝える、です。Eさんが心を開いてくれたら、現状を知るべく「傾聴」してみましょう。

同じようにベテラン社員も、個別に面談の場に呼んで本音を引き出しましょう。例えばこんな感じです。

「今回は突然の欠員で部署が厳しい状況の中、文句も言わず新たな業務を引き受けてくれて、すごくありがたかったです。ありがとう!」

「欠員が出たこととその対処について本音ではどう思っているのか聞かせてもらえますか。併せて今後この部署がどうなっていくべきかを一緒に考えてください」

それで相手が心を開いてくれたら、「前向き発想」の期待の言葉も忘れずに添えましょう。

同時にEさんにもベテラン社員にも、上に書いた『2 部署の「欠員」をどう捉えるべきか』の内容を語っていきましょう。

欠員が出たままになるのはなぜか、補充しない意図とは。業務改善やAI、ロボット導入による効率化は、本人の仕事を奪うのではなく成長のチャンスであること。こうした点が理解されれば、現場からの生産性向上は一気に進みます。

ただし一度や二度話しただけでは、十分に伝わらないと思います。上司が何度も覚悟をもって説明し、現場の意見も聞きましょう。

なぜ今、生産性向上が必要なのか。それは部下にとってどんなメリットがあるのか。欠員によって人減らしをしようとしているのではないこと。異動して新天地で活躍できれば本人の成長となり、会社にとっても欠員と増員で二重に生産性向上となることを共有しましょう。

上司は常に「部下の育成と、部署の生産性向上を担う」立場と認識してください。そして繰り返しになりますが、そのことを日ごろから上司がメンバーに何度も話して、理解しておいてもらうことが肝要です。

【今回の3つのポイント】

1 今回の「欠員」の意図をはっきりさせて、部下と共有する

2 上司は「部下の育成と、部署の生産性向上を担う」立場と認識し、日頃より部下とも共有しておく

3 Eさん、ベテラン社員それぞれに感謝を伝え、現状を「傾聴」した上で、みんなで対応策を考える

最後に、部下の皆さんの立場でできることを考えてみましょう。上司が語ろうが語らなかろうが、認識できていようがいなかろうが、会社は「部下の育成と、部署の生産性向上」を期待しています。

一人ひとりがふだんから、「自分は1年後、3年後、5年後にどんな姿になっていたいか」を描いてみる。部署内での仕事の任され方、いつごろには〇〇に異動したいと上司に伝えましょう。無責任だと思われないよう、自分がいなくなっても業務が回る方法を上司に提案してみましょう。予定よりも早く希望の未来が実現できるかもしれません。

日本企業の生産性は岐路に立たされています。現場からすれば、現状でも厳しいのに欠員があれば破綻してしまうと訴えたい気持ちは分かります。でもそれでは今後、国内の競合、世界の競合と戦って生き残ってはいけないのです。

もっとラクして稼げる仕事を探しますか? 残念ながらそんな仕事も会社もありません。今よりラクな仕事に移れば待遇が下がるか、AIに取って代わられる可能性が高くなるだけです。覚悟を決めて前向きに取り組む道を選んだほうが、未来は開けますよ。

ものは廃止し、AIやロボットも駆使して効率化を図り、今より人が減っても負担なく回せる環境をイメージしていきましょう。そうすればあなたの実力も上がり、生産性が向上して待遇も上がっていくことでしょう。

5 年上の部下Fさんに指示していい? “ため口”でいい? どう声をかけますか?

次回に向けた課題[事例6]を紹介します。

—————————

Q.年上の部下Fさんに対して、あなたはこの後、最初にどんな声をかけますか? また、それを考える際に注意するべきポイントを3つほど挙げてください。書かれているさまざまな要素を考慮してみましょう。

[事例6]

〇あなたの部下として、年上のFさんが配属されました。他の部下と同じように指示命令を出したところ、「はいはい、分かりました」といった返事のし方で、素直に受け入れてくれている感じがしません。上司と部下の関係なのに、正直そうした態度は気になります。

〇これからも普通に指示命令を出していいものか、また話し方は他の部下に対するのと同じような“ため口”でいいのか、どう話すべきか迷っています。

—————————

テーマは「年上の部下との付き合い方」です。これまでの事例と同様に起こっている事象を整理することから始め、現場で起こっていることの可能性を探ってみましょう。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。もし日常で近いシーンに出会うことがあれば、ご自身で考えて『新たな3つのコミュニケーション習慣』の実践にトライしてみてください。

次回もお楽しみに。

<ご質問を承ります>

ご質問や疑問点などあれば以下までメールください。※個別のお問合せもこちらまで

Mail to: brightinfo@brightside.co.jp

※武田が以前上梓した書籍『新スペシャリストになろう!』および『なぜ社長の話はわかりにくいのか』(いずれもPHP研究所)が、ディスカヴァー・トゥエンティワンより電子書籍として復刻出版されました。前者はキャリア選択でお悩みの方に、後者はリーダーやトップをめざしている方にお薦めです。

『新スペシャリストになろう!』 https://amzn.asia/d/e8GZwTB

『なぜ社長の話はわかりにくいのか』 https://amzn.asia/d/8YUKdlx

以上(2024年12月作成)
(著作 ブライトサイド株式会社 代表取締役社長 武田斉紀)
https://www.brightside.co.jp/

pj90267
画像:PureSolution-Adobe Stock

経営者3人にインタビュー! あなたにとって「価値ある情報」とは?

1 「情報過多」の現代社会を生き残るためには?

経営者は、会社にいる誰よりも「情報収集」に熱心です。会社の進むべき道を決める責任があるからこそ、判断を誤らないよう、もうかる(損をしない)情報、新しいテクノロジー、業界の将来予測など、あらゆる分野に目を光らせ、より「価値ある情報」を手に入れようとします。

とはいえ、インターネットやSNSを介して大量の情報が行き交い、「情報過多」になっている現代、情報の取捨選択は容易ではありません。多くの経営者が、

  • 自社にとって、本当に「価値ある情報」とは何なのか?
  • 信頼できる情報とそうでない情報を、どのように見分ければいいのか?

など、日々疑問を抱えながら仕事をしているはずです。このあたり、経営者はどのように考えているのでしょうか? そこで経営者3人にご協力いただき、インタビューを実施しました。

2 「耳の痛い情報が大事」アルテナ代表 古田聡さん

画像1

アルテナ代表 古田聡(ふるたそう)さん

https://altenas.jp/

アルテナ(愛知県名古屋市)は、マーケティング支援のプロフェッショナルです。自社の商品・サービスをもっと広めたいという会社向けに、マーケティングに必要な調査・分析から、戦略立案・各種施策の実行支援など、幅広いサポートを行っています。

「顧客の状況を丁寧にヒアリングし、情報を精査すること」に重きを置く、代表の古田聡さん。緻密なマーケティング戦略により、ニッチな商品の売り上げを2倍以上にアップさせたこともあるそうです。情報の大切さを知る古田さんの「価値ある情報」について話を聞きました。

1)あなたにとっての「価値ある情報」とは?

古田さんは、まず「自分に足りないところを認識できる情報」が大切だと言います。

「耳の痛い情報にこそ、価値があると思っています。現在の課題を知り、向き合うことにつながるからです。商品開発に課題があると感じたなら、商品開発の本を読んでみたり、商品開発に関して厳しい意見を言ってくれそうな人と付き合ったりすることが重要だと思っています」

また、直接経営に役立たなくても、「心が豊かになる、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)が上がる情報」であれば、価値があると考えているそうです。

「例えば、心地よい家作りのための建築本や子育てに関する本など。それ自体が経営に直接生きるわけではないですが、知ることで人生が豊かになりますよね。そして生活が豊かになり、間接的に、良い経営判断ができ、良い会社作りにつながると思っています」

2)「この情報がビジネスで役に立った」という経験はありますか?

古田さんは、ある書籍との出合いが印象に残っているそうです。

「私は代表という立場上、時間や人脈、お金などをある程度自由に使いながら事業を展開できます。だからこそ、『やれることは全部やってみたい、挑戦したい』と思っていた時期もありました。そんなときに読んだのが『エッセンシャル思考』に関する書籍です」

エッセンシャル思考とは、「目の前にあることを全てやるのではなく、本当に重要なことを選択して実行する」という考え方です。古田さんは書籍を読むことで、自分は全てをうまくやろうと頑張りすぎて、大切なことに時間とエネルギーを注げていないと気付けたそうです。

「尊敬している先輩に、『本当にやるべきことを知るためには、いろいろ試す時期があってもいいけれど、どこかのタイミングで1つにフォーカスして集中しないと伸びないよ』と助言されたことが大きかったです。当社の強みであるマーケティングの知識や経験と、良質なコンテンツ作りを軸にやっていこうと心が定まりました」

マーケティングの一環としてコンテンツ作りに力を入れるようになってからは、集中的に行うことができてPDCAが回しやすくなり、結果的に受注も増えたそうです。

3)どこから情報を得ることが多いですか?

古田さんは、「人からの情報をはじめ、本、メールマガジン(以下「メルマガ」)などで情報を得ることがほとんど」と言います。それぞれに情報収集のポイントがあるそうです。

1.人からの情報の場合

「SNSや紹介などで知り合い、興味を持った人には損得など考えず、たとえ遠方でも会いに行くこともあります」

2.本の場合

「本は年間100冊を目標に掲げて、ジャンルは問わず読んでいます。本を購入する際は、1つのジャンルの本をまとめて10冊ほど購入して読むので、専門書の場合、重複する項目も多くなります。そのため目次を確認して、内容が分かる箇所は飛ばし読みをします。気に入ったフレーズなどはラインを引き、Notionに書き起こしています」

画像2

古田さんのNotion

3.メルマガの場合

「マーケティング分野に関しては深く、その他の分野は広く浅く知識が得られるよう、合計10社ほどのメルマガを読んでいます。『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』の著者の中島聡さんや、実業家の堀江貴文さんのメルマガは、長く読んでいますね。いずれも面白く学びがあります。ちなみに、販売促進やセミナー案内ばかりのものは解約しがちです」

4)どこから得られる情報を特に重視しますか?

古田さんにとっての情報源の重要度は、「人→本→メルマガ」という順番になるそうです。

「人からの情報は、話し手が聞き手に分かりやすく伝えてくれるので、パーソナライズされています。本も、自分の好みに合うものなどを選択できるので、ある程度パーソナライズされています。メルマガは、複数の読者にまとめて送られるので、自分向けでないこともありますよね。だから重要度は、『人→本→メルマガ』の順番になると思っています」

5)信頼できる情報とそうでない情報を、どのように見分けていますか?

古田さんは、「ただ目立つため」に発信された情報はあまり信頼が置けないと言います。

「以前、弊社メンバーのnoteを勝手に盗用し、X(旧Twitter)で発信してバズった方がいました。目立つためにやっていることは、専門家が見ればすぐに分かります。そのような方や情報とは距離を置くようにしています」

3 「身の丈に合った情報が大事」一新堂代表 本土大智さん

画像3

一新堂代表 本土大智(ほんどだいち)さん

https://isshindo1956.com/

一新堂(佐賀県西松浦郡有田町)は、贈答品の購入時に使用する「貼り箱」などの企画や販売を行っています。1956年の創業以来、約70年にわたってものづくりを続けてきた老舗の会社です。

代表(3代目)の本土大智さんは、価格競争で売り上げが低迷していく中、外部のデザイナーと組んでオリジナル製品を作り、ブランディング化に成功しました。経営の挽回を図るための情報収集に苦労したという、本土さんの「価値ある情報」について話を聞きました。

1)あなたにとっての「価値ある情報」とは?

本土さんは、「身の丈に合った情報」、つまり「そのときに欲しいと思っている情報」を重要視しているそうです。

「必要な情報は、その時々の経営指標によって変わります。だから、今、自分が立っているステージを確認することが大切だと思っていますし、その時点での身の丈に合った情報が『価値ある情報』になると感じています」

2)「この情報がビジネスで役に立った」という経験はありますか?

本土さんは、ある1人のデザイナーが「価値ある情報」を提供してくれたと言います。

一新堂が組み立て式収納ボックス「ISSHINDO FOLDING BOX」を製作した際、自社の課題を踏まえてデザインを提案してくれるデザイナーを探すのが大変だったそうです。大手デザイン事務所から個人まで複数のメールを送付し、その中ですぐに返事をくれたのが、デザイナーの古賀正裕さんでした。

「他にもすてきなデザイナーさんはいたのですが、古賀さんはメールをした翌朝に連絡がありました。迅速な対応が好印象でしたし、提示してくれる価格も当社の身の丈に合ったものでした。また、古賀さんが返事をくれた同日、デザインのセミナーに登壇すると知り、足を運ぶことにしたのですが、そのセミナーでは『具体的なデザインの事例』についても話を聞くことができ、頭の中が整理されました」

その後も対話を重ね、古賀さんとの共創で新製品の製作が始動。誕生した製品は、2018年のグッドデザイン賞を受賞しました。付加価値の高い製品を作る会社と認知されたことで、新たな受注獲得につながったそうです。

画像4

ISSHINDO FOLDING BOX

3)どこから情報を得ることが多いですか?

本土さんは、「以前は、ひたすらインターネットや本、新聞、SNSなどあらゆるメディアで情報をインプットしていた」そうです。ただ、それについては反省があるとも語ってくれました。

「情報過多となり、『あれもこれもやりたい』となってしまいました。ビジネス本や自己啓発本を読んでいても、理解した気になっているだけで『読んでいる自分』に酔い、それによってモチベーションを上げているところがありました。ハイブランドの新作デザインやプレスリリース、海外のメディア情報、SNSもよく見ていました。バズることに興味を持った時期もありましたが、当社がやることではないと思い直しました」

たくさんの情報に触れる日々を送る中で、「情報を咀嚼(そしゃく)できていない自分」に気付いたそうです。

「自分の主軸がなくなっているなと思いました。一見うまくいっているように見える会社に対して『うらやましい』と感じて、まねをしたくなっていましたね。しかし今は、やるべき主軸が定まったので、必要な情報を先に精査できるようになりました」

4)どこから得られる情報を特に重視しますか?

本土さんは、「信頼できる専門家が大事ですね。自分で調べるのには限界がありますから」と言います。そう強く感じたのは、ギフトショーに参加するため、プロダクトデザイナーの小嶋健一さん(福岡生活道具店)と、包丁のパッケージを作ったときだそうです。

「前情報として、日本の包丁が海外で人気ということは知っていました。ただ、実際どうなのか、私はインターネットを使ってもうまく調べられず……。その点、小嶋さんは、プロダクトデザイナーとしての知見から、マーケットの状況を正確に把握し、情報量も豊富に持っていると痛感しました」

専門家の持つ情報を重要視したことが、製品開発の成功につながったそうです。

「小嶋さんと情報を精査していたところ、良い包丁でも、パッケージがモダンデザインに変換されていないケースが多いと分かりました。包丁を保護し、美しく見せるパッケージを提案したら需要があると感じ、『京都式貼箱 京刃物型』を開発しました」

開発した貼り箱は「鞘(さや)のような箱」をイメージしたデザインで、マグネットの仕様で開閉しやすく、さびにくい工夫を施すなどが評価され、2020年の京都デザイン賞に入選したそうです。

5)信頼できる情報とそうでない情報を、どのように見分けていますか?

本土さんは、「課題解決をするための手段としてデザインがある。その本質を忘れてしまっているデザイナーの情報は信頼できない」と言います。

「人からの情報を大切にしているので、直接会ってお話しすることを大事にしています。共創しているデザイナーさんは全てそうでした。逆に信頼できないのは、全て自分の手柄のように情報発信をされている方です。ご一緒したくないなと感じてしまいます」

4 「行動したくなる情報が大事」笏本縫製代表 笏本達宏さん

画像5

笏本縫製代表 笏本達宏(しゃくもとたつひろ)さん

https://shakumoto.co.jp/

笏本縫製(岡山県津山市)は、専門の職人によるネクタイの縫製で知られる会社です。2015年にオリジナルの高級ファクトリーブランド・ネクタイ「SHAKUNONE(笏の音)」を立ち上げ、2024年に「つやまスーツ」の販売を開始しました。

代表の笏本達宏さんは日々、SNSで発信を続けています。情報を発信する側の立場から、笏本さんの「価値ある情報」について話を聞きました。

1)あなたにとっての『価値ある情報』とは?

笏本さんは、情報の受け手のアクションを重要視しているそうです。

「『価値ある情報』は、受け取った側が行動したくなる情報だと思います。我々のように発信している側としては、思いを持って動いてくださることはとてもうれしいです」

2)「この情報がビジネスで役に立った」という経験はありますか?

笏本さんが、「受け取った側が行動したくなる情報」が大事だと強く感じたのは、2017年10月にクラウドファンディングを行ったときだそうです。

当時、会社の経営難に悩んでいた笏本さんは、たまたま参加していた交流会で、登壇されていた方から、「地方創生をしていく中で、銀行や行政からの支援が得られない場合、クラウドファンディングという手法があります」という話をチラッと耳にしたそうです。

「当時のクラウドファンディングは、今ほどメジャーではありませんでしたが、興味を覚えた私は、登壇者に直接話を聞き、他にもさまざまな人に意見をもらいました。そして、1年で100万円も売れなかったネクタイを、1カ月で100万円販売するチャレンジをしました。すると予想を超えて170%達成。170万円以上の支援が集まりました」

3)どこから情報を得ることが多いですか?

SNSで情報発信を行う笏本さんは、情報を収集する際もSNSをよく活用しているそうです。

「SNSは最新情報が流れてくるので、頻繁にチェックしています。ただ信ぴょう性に乏しいものもあるので、自分の中でフィルターをかけるようにはしていますね。商工会や商工会議所、県などがやっているセミナー、勉強会などは、情報の信用性が担保されていますが、SNSは誰でも発信できるので、疑う気持ちは持っておく必要があると思っています」

4)どこから得られる情報を特に重視しますか?

笏本さんは、「勉強会やSNSで得る情報も大切ですが、人との雑談からビジネスにつながるヒントが生まれることもある」と言います。

「先日、旅行に行った方との雑談で、新しいビジネスモデルのヒントをもらいました。情報は鮮度が命です。すぐに事業計画書作りに取り組みました。やはり、どんなに良い情報も、受け手次第で先ほどもお伝えした通り『単なる情報』のまま終わってしまいます。動くことで、『価値ある情報』として活きてくると思いますね」

また、お客さまからの声が、新しいビジネスのきっかけになったケースもあるそうです。

「SHAKUNONE(笏の音)のお客さまから、『このネクタイに似合うスーツは、何ですか?』とよく質問されることがありました。お客さまのニーズを私の中でかみ砕いて、自分たちにできることは何かを考えた末、オリジナルスーツを作ることにしました。しかし、我々はネクタイ屋でありスーツは作れません。だから、パートナー選びから始めました」

笏本さんは、インターネットで調べても地元でスーツが作れる縫製工場が見つからなかったため、2023年の春ごろ、津山市役所に相談したと言います。すると、市内でスーツ作りをしている縫製工場を紹介してもらうことができ、さらに津山市出身の専門フィッターの方の協力も得られました。こうした積み重ねの結果、2024年3月に「つやまスーツ」が生まれたそうです。

画像6

つやまスーツ

5)信頼できる情報とそうでない情報を、どのように見分けていますか?

笏本さんは、情報を受け取る立場と発信する立場の両方から、情報の信頼性について話してくれました。

「セミナーで聞いたことを、さも自分の考えのように伝えている人の情報は信用できませんね。逆に、ご自身の経験に熱量を乗せて語れるような方の話は聞きたいと思います。一方で私は、10年間1日も休まずにSNSでの発信を続けています。情報を発信する責任として、数字などは国土交通省などのしっかりとしたデータを調べ、精査・整理してから発信するようにしています」

以上(2024年12月作成)

pj10081
画像:アルテナ・一新堂・笏本縫製提供

教育訓練給付金の拡充

2024年10月から、雇用保険の「教育訓練給付金」が拡充されました。教育訓練給付金は、厚生労働大臣指定の教育訓練を受講、修了した労働者に、受講費用の一部が雇用保険から支給される制度です。厚生労働省は、拡充により、労働者の主体的なスキルアップやリスキリングにつながることを期待しています。本稿では、教育訓練給付金の基本的なしくみと、今回の拡充のポイントについてお伝えします。

この記事は、こちらからお読みいただけます。pdf

【中堅社員のスピーチ例】目標管理は手書きの手帳で!

【ポイント】

  • 目標を立てても、予想以上の忙しさのせいで、“三日坊主”で終わってしまうことがある
  • 目標や計画をなかなか達成できないのは、掲げた当初の「思い」を忘れてしまうから
  • 手書きの手帳には、筆跡の力強さなどが表れ、目標を掲げたときの自分に向き合える

おはようございます。まもなく今年も終わり、もう少しで2025年がやって来ます。まとまった時間が取れる年末年始は、新年の目標を立てるのにうってつけです。ただ、せっかく目標を立てても、年明けからの予想以上の忙しさのせいで、いわゆる“三日坊主”で終わってしまうという話もよく聞きます。そこで、皆さんにおすすめしたいのが、「手書きの手帳」を使った目標管理です。私自身が実際にやってみて、目標達成にとても役立ったので皆さんに共有したいと思います。

昨年末、私は小さな目標を10個立て、それらの実行計画を手帳に書いておきました。ちなみに、内容は「春になったらスポーツジムに通う」などプライベートなものから、「今年こそ資格を取得する」など仕事に関わるものまでさまざまです。しかし、いざ新年が始まると、目標のことは頭の片隅にありつつも、予想外の忙しさになかなか着手できずにいました。

そんな状態が続いていたとき、ふとした瞬間に、手帳を見直し、力強い筆跡で書かれた目標を見ました。すると、目標を掲げた当時の「今年こそは絶対にやり抜きたい」という、強い思いがよみがえってきたのです。私は「どれだけ忙しくても着実に取り組もうと決めたじゃないか」と反省し、まずは1つ、簡単なものから着手することができました。

また、目標の1つだった資格取得のための勉強を仕事と両立させることが難しく、挫折しかけていたときも、手帳の目標が書かれたページを開くたび、過去の自分が「絶対達成しろよ」と背中を押してくれているような気になり、試験日まで勉強を続けることができました。おかげで今年は、10個の目標のうちのほとんどを達成し、念願だった資格も無事に取得でき、大きな自信となりました。

目標を“三日坊主”で終わらせないためのポイントは、目標を掲げたときの「意気込み」を忘れないことだと思います。目標を立てたときの「やるぞ」という気持ちが筆跡に現れるのが、手書きの手帳ならではのメリットといえます。
ちなみに、12月1日は手帳の日だそうです。少し過ぎてしまいましたが、今年が終わる前にアナログの手帳を1冊購入し、新しい気持ちで新年を迎えてみてはいかがでしょうか。

以上(2024年12月作成)

pj17201
画像:Mariko Mitsuda

政治・経済・スポーツ……2024年の主な出来事を振り返ろう

2024年を振り返って

早いもので、2024年も終わりが近づいてきました。今年はどのような出来事があったのでしょうか? 次の図表を見ながら1年を振り返ってみましょう。なお、12月の出来事は、2024年11月22日時点で予定されている内容です。

画像1

2024年は、元日から「令和6年能登半島地震」が発生し、8月8日にも日向灘を震源とする地震発生に伴い、南海トラフ地震臨時情報が発表されるなど、大きな災害がありました。また、政治面では日本・米国それぞれのリーダーが交代となり、経済面では、記録的な株価の変動や、マイナス金利解除に伴う17年ぶりの利上げ実施などが、世間を騒がせました。

一方で明るいニュースも多く、スポーツ面では、大谷翔平選手が大リーグ史上初となる50本塁打50盗塁の快挙を達成し、ナ・リーグMVPを受賞するという大記録を打ち立てました。佐渡島の金山が登録に向けた運動開始から27年越しの世界文化遺産登録となるという出来事もありました。12月には、日本原水爆被害者団体協議会のノーベル平和賞受賞が控えています。

2025年の干支は巳(み)です。巳、つまり蛇は、脱皮を繰り返すことから「変化と再生」の象徴とされています。先行きが不透明な時期が続きそうですが、どんなことが起こっても、蛇のようなしなやかさと賢さをもって対応できるように準備をしておきましょう。

以上(2024年12月作成)

pj80197
画像:Joao-Adobe Stock

教育訓練給付金の拡充

2024年10月から、雇用保険の「教育訓練給付金」が拡充されました。教育訓練給付金は、厚生労働大臣指定の教育訓練を受講、修了した労働者に、受講費用の一部が雇用保険から支給される制度です。厚生労働省は、拡充により、労働者の主体的なスキルアップやリスキリングにつながることを期待しています。本稿では、教育訓練給付金の基本的なしくみと、今回の拡充のポイントについてお伝えします。

1 基本的なしくみ

教育訓練給付金の対象となる厚生労働大臣の指定訓練は、約16,000講座もあります。オンライン受講や夜間・土日受講が可能なものもあり、厚生労働省の検索システムで探すことができます。

約16,000の講座は、レベルや訓練期間、給付手続きなどの違いにより、「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」の3種類の給付金に分かれます。主な講座は次のようになっています。

教育訓練給付金の対象となる主な講座

※厚生労働省「教育訓練給付制度」より引用

2 拡充された給付金

3種類のうち「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」の給付金が、2024年10月から拡充され、給付率は次のようになりました。

「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」の給付率

※厚生労働省「教育訓練給付制度」より引用

「専門実践教育訓練」の給付金は、2024年9月30日以前に受講開始した場合、最大で受講費用の70%(年間上限56万円)でした。これに対し、2024年10月1日以降に受講開始し、修了後の賃金が受講開始前と比べて5%以上アップした場合には、受講費用の10%(年間上限8万円)が追加支給され、給付率は合計80%(上限64万円)となります。

例えば、訓練期間2年間、入学料10万円、6か月ごとの受講料が各40万円で、修了後資格を取得したケースを想定します。給付金は、拡充前だと合計112万円ですが、拡充後は、賃金5%アップの条件を満たせば、さらに16万円が追加され計128万円となります。

「特定一般教育訓練」の給付金は、2024年9月30日以前に受講開始した場合、最大で受講費用の40%(上限20万円)でした。これに対し、2024年10月1日以降に受講開始し、資格を取得して就職した場合には、受講費用の10%(上限5万円)が追加支給され、給付率は合計50%(上限25万円)となります。

訓練期間3か月、入学料5万円、受講料25万円のケースでは、拡充前の給付金は12万円でしたが、拡充後は、資格を取得して就職した場合に3万円が追加支給され、計15万円となります。

3 さいごに

教育訓練給付を受けるには、雇用保険の加入期間など細かい条件があります。詳しくは、厚生労働省のサイトを参考にしてください。

従業員のスキルアップは、企業にとっても大きな武器となります。教育訓練給付金について、従業員に積極的に周知することをお勧めします。ご不明の点は、ハローワークへお問い合わせください。

※本内容は2024年11月11日時点での内容です。

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

sj09134

画像:photo-ac

ヘッドライトの使い方とその重要性(2024/12号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

秋から冬は日の入りが早くなり、夜が長くなっていきます。また、この時期の薄暮時間帯(日の入り時刻の前後1時間)は夕食準備の買い物や子供の帰宅の時間帯と重なり、歩行者への一層の注意が必要です。視界が悪くなる薄暮から夜間にかけての運転で欠かせないのがヘッドライト。そこで今号では、ヘッドライトの使い方と重要性について考えます。

ヘッドライトの使い方

1.薄暮時間帯における事故防止

◆令和元年から令和5年の5年間における死亡事故発生状況を分析した結果、次のことが明らかになりました。

死亡事故発生状況

  • 日の入り時刻と重なる17時台から19時台に多く発生している
  • 薄暮時間帯には、自動車と歩行者が衝突する事故が最も多く発生しており、事故類型別では、横断中が約8割を占めている
  • 横断中の、特に横断歩道以外の横断における歩行者の約7割に法令違反がある

死亡事故発生状況

出典:警察庁「薄暮時間帯における交通事故防止」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/hakubo.html

◆薄暮時間帯に死亡事故が多い理由としては、周囲の視界が徐々に悪くなり、自動車や自転車、歩行者などの発見がお互いに遅れること、距離や速度が分かりにくくなること、などが挙げられます。

◆薄暗くなる前からヘッドライトの「早め点灯」を行い、自分の車の存在を周囲に知らせるとともに、速度を落として歩行者の予想外の動きにも対応できるようにしましょう。

2.ヘッドライトはこまめに切り替えを

【ヘッドライトの保安基準】

ヘッドライトは、ハイビーム(上向き)とロービーム(下向き)を切り替えて使います。ヘッドライトの照射範囲は、ハイビームで前方100メートル、ロービームで前方40メートルの距離にある障害物を確認できる性能を有することとされています。

【ハイビーム/ロービームの切り替え】

ヘッドライトの使い方については「道路交通法」で規定されており、交通量の多い市街地などの通行時を除きハイビームにし、対向車とすれ違うときや、前の車に追走するようなときは、ロービームに切り替えることとされています。視界確保のためにはハイビームでの走行が望ましいのですが、他車や歩行者がいるときは眩惑などの原因となります。交通状況に応じて切り替えを行いましょう。

3.ヘッドライトの眩しさの危険性

ヘッドライトの眩しさにより周囲の自動車等の発見が遅れ、事故に繋がったケースが2021年までの10年間で300件以上発生しました※。眩しさの危険性に対し、以下の対策が挙げられます。

  • 交通状況に応じてハイビームとロービームの切り替えを適切に行うこと
  • 整備不良による光軸のズレなどを防ぐために点検整備をきちんと行うこと

このほか、ライトの向きを自動調整する「オートレベリング機能」も対策の一つです。この機能は今後、全ての新車(自動二輪車等を除く)に対し装備することが義務づけられました(適用は令和9年以降)。

オートレベリング機能

※出典:国土交通省「自動車のヘッドライトのオートレベリングの装備を拡大します!」
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha10_hh_000311.html

この義務化はヘッドライトの眩しさが事故の要因になりうることが顕在化した結果ともいえます。もちろん、オートレベリング機能の有無にかかわらず、ライトの眩しさが周囲に及ぼす影響に配慮した運転を心がけましょう。

以上(2024年12月)

sj09133
画像:amanaimages

【PDF】印刷して貼れる職場ポスター「その自転車の運転 罰則対象です!」

印刷して職場に掲載できるポスターです。

今回は、道路交通法の改正で、2024年11月から罰則が強化された「自転車の危険運転」についてまとめました。


こちらからポスターのPDFをダウンロードできます。自転車で通勤したり、業務で自転車を使用したりする社員がいる場合、職場に貼ってご活用ください

こちらからダウンロード

以上(2024年12月作成)

pj20003
画像:日本情報マート

【朝礼】「できる」道を探す人になれ

【ポイント】

  • 難しい要望をもらうと、「できない」と考えながら仕事を進めてしまいがち
  • 「難しい」「できない」と感じるときほど、「できる」という気持ちで取り組もう
  • 「本当にできた」という経験があれば、それは自信と勇気につながる

おはようございます。突然ですが、皆さんはお客様から実現が難しい要望をもらったとき、どのように対応しますか。「何がなんでも実現する。できる」と思ってアプローチしますか。それとも、「実現するのは難しそうだ」と考え、お客様にできないということを説得しますか。おそらく多くの人が前者と答えるでしょう。「できる」と信じて進めるほうがよいと、頭では分かっているからです。一方、皆さんを見ていると、「できない」と考えながら進めている人が多いように思えます。

時と場合によりますが、最初から「できない」と考えていれば、道が開けることはありません。できる道が見えてくるわけがないからです。かくいう私も、このことに気付いたのは高校生の頃、バスケットボール部に所属していた際に、監督から叱られたことがきっかけです。

あるとき、私は難易度の高い新フォーメーションの練習に取り組んでいたのですが、パスがうまく取れないなど失敗が続き、やる気を失いつつありました。そのとき監督が私にこう言いました。「君は、必ず取る、やってやるという気持ちでボールに向かっているのか? できないと思ってやる練習に意味はない。そんな練習ならやめてくれ」と。私はハッとしました。「成功しよう」という気持ちでやっていなかった自分、惰性で練習を続けていた自分に気付いたからです。

そこで、「次はできる。絶対に成功させてやる」と気持ちを切り替えたところ、新フォーメーションを成功させることができたのです。その後は、私を含め、練習する皆の空気が明らかに変わりました。「できる」という気持ちで取り組むことの大切さを、身をもって知ったからです。

皆さんも同じです。「難しい」「できない」と感じるときほど、「できる」という気持ちで取り組んでみてください。特に管理職は、できない理由ではなく、できる手段と方法を探す人になりましょう。部下は日ごろ、管理職の姿勢や言動を見ています。部下に「できる」という気持ちを持たせられるのは、私と管理職の皆さんです。

そうして一つでも「本当にできた」という経験があれば、それは皆さんの自信と勇気につながります。皆さんが取り組もうとしていることは、必ず「できる」のです。

以上(2024年11月更新)

pj16932
画像:Mariko Mitsuda

「ポイ活」の税務! 付与する側と利用する側に必要な処理~経理担当者にも消費者にも関係します

書いてあること

  • 主な読者:自社でポイントを付与している企業、「ポイ活」をしている個人消費者
  • 課題:そもそもポイントについて会計・税務処理が必要になるかが分からない。ポイ活で集めたポイントは確定申告が必要なの?
  • 解決策:自社が付与したポイントが使われたら「販売促進費」など、他社からもらったポイントを使ったら「雑収入」など。個人はポイントのもらい方で確定申告が必要

1 どうすればいいの? 具体的な処理・手続き

〇円以上お買い上げのお客さまにポイントを付与!

このような「ポイント制度」は、顧客を囲い込む一般的な方法として普及しています。ポイントを受け取る消費者も、「ポイ活」をして賢くショッピングを楽しんでいます。

ところで、ポイントが魅力的なのは「お金のように使えるから」に他ならないのですが、付与する側もされる側も、会計や税務の処理はいらないのでしょうか。実は、双方に求められる処理があります。まだ、適切に処理をしていない人は、この記事を参考にしてください。ポイントに関する会計・税務の処理を次のように整理しています。

  • ポイントを付与する企業の法人税:販促費で処理、引き当て計上など
  • ポイントを受け取る企業の法人税:ポイントを使った際に雑収入として計上など
  • ポイントを受け取る個人の所得税:ポイントのもらい方によっては確定申告が必要

2 ポイントを付与する企業の法人税

企業がポイントを付与した場合の会計処理は次の3つです。

  • ポイントが使用されたときに、販売促進費(または値引き)として処理
  • 付与したポイントに対して、決算時に引当金を計上
  • 収益認識基準を採用し、ポイントを付与したときに契約負債を、使用されたときに収益を計上(主に上場企業や大会社で採用)

どの方法を選ぶかによって法人税の取り扱いが変わるので、それぞれの特徴を把握しましょう。なお、上場企業などは、3.の方法で処理することが義務付けられていますが、中小企業はどの方法で処理しても大丈夫です。

1)ポイントが使用されたときに、販売促進費(または値引き)として処理

ポイントが実際に使用された時点で、その金額を販売促進費(または値引き)として処理する方法で、

  • ポイントを付与した時点では会計処理は発生しない
  • ポイントが使用されたときのみ会計処理が発生する

ことになります。

ポイントが使用されたときの仕訳は次の通りです。

この方法により会計処理した場合の法人税の取り扱いについては、

特別な留意点はなく、通常通り計上した売上と費用科目(販売促進費)を使って利益計算(収益-費用)をし、所得(法人税法上の利益)を求める

ことになります。

画像1

2)付与したポイントに対して、決算時に引当金を計上

付与したポイントについて、将来のポイント使用分の見積額を計算し、決算時に引当金を計上する方法で、

  • ポイントを付与した時点では会計処理は発生せず、決算時に会計処理が発生
  • ポイントが使用されたときにも会計処理が発生

します。

決算時の仕訳は次の通りです。なお、一般的に、引当金の金額は過去数年間の実績からポイントが使用された割合(実績割合)を計算し、それを期末時点のポイント残高に乗じて計算します。

画像2

この方法により会計処理した場合の法人税の取り扱いでは、決算時に計上した引当金がポイントになります。法人税を計算する上で、原則引当金の計上は認められていません。そのため、

決算時に計上したポイント引当金は、損金不算入(税務上の費用にならない)として、税務申告書上で調整が必要

になります。

ポイントが使用されたときの対応は、前述した「1)ポイントが使用されたときに、販売促進費(または値引き)として処理」する方法と同じです。

3)収益認識基準を採用し、ポイントを付与したときに契約負債を、使用されたときに収益を計上(主に上場企業や大会社で採用)

収益認識基準を採用し、ポイントを付与したときに将来のポイント使用の見込額を計算して、契約負債を計上し、使用されたときに契約負債の取り消しと、収益を計上する方法です。収益認識基準は、上場企業や大会社(資本金5億円以上もしくは負債200億円以上の会社)に強制的に適用される会計基準です。現時点で、中小企業が適用する必要はありません(任意適用)。そのため、この記事では収益認識基準の解説は省略します。

この方法では、

  • ポイントを付与した時点で会計処理が発生
  • ポイントが使用されたときにも会計処理が発生

します。

以下のケースで考えてみましょう。

  • 10万円の商品を販売
  • 自社が発行する1万円のポイントを付与
  • 実績割合は70%

一般的には、まず過去数年間の実績からポイントが使用された割合(実績割合)を計算し、それを期末時点のポイント残高に乗じて、見積額(独立販売価格という)を出します。次に、その独立販売価格を使い、取引価格を商品売上に係るものと自社ポイントに係るものに配分します。

この場合、ポイントを付与したとき、使用されたときの仕訳は、次の通りです。

画像3

この方法により会計処理した場合の法人税の取り扱いについては、

特別な留意点はなく、法人税を計算する際の調整も不要で、通常通りの利益計算(収益-費用)をし、所得(法人税法上の利益)を求める

ことになります。なお、法人税の計算を会計上の取り扱いに一致させるには、法人税法で決められている詳細な要件を満たす必要があります。そのため、ポイント制度を導入する際は税理士などの専門家に相談し、法人税の取り扱いについて確認するようにしましょう。

3 ポイントを受け取る企業の法人税

ポイントを使用するのは個人消費者に限りません。企業も、消耗品やパソコンなどを購入する際や、出張時の宿泊料や航空券の購入時などに、ポイントを使用することがあります。

ポイントを受け取った企業の法人税の取り扱いは、

  • ポイントを受け取った時点では会計処理は発生しない
  • ポイントを使用したときのみ会計処理が発生する

ことになります。そして、ポイントを使用したときの会計処理は、

  • 雑収入または値引きとして処理
  • 現金で支払った金額で処理

の2つがあります。それぞれの仕訳は次の通りです。

画像4

法人税を計算する際の調整はなく、通常通りの利益計算(収益-費用)をし、所得(法人税法上の利益)を求めます。

4 ポイントを受け取る個人消費者の所得税

最後に、ポイントを受け取った個人消費者の税金(所得税)の取り扱いを見ていきましょう。所得税の取り扱いのフローは次の通りです。

画像5

1)確定申告が必要か否か

最も気になるのは、受け取ったポイントについて所得税の確定申告が必要か否かですよね。

この点は、

どのようにポイントを受け取ったか

が重要です。具体的には、次の1.〜3.のどのケースに該当するかということです。

1.買い物の際に購入金額に応じて付与されたもの

このケースに該当するポイントは、

確定申告が必要な所得には該当しない

とされています。具体的には、買い物の際に購入金額に応じて付与され、ためたポイントで、現金や電子マネーには交換できず、そのサイトや店舗内の商品を値引きする際に使用されるものなどがそうです。

2.抽選キャンペーンに当選するなどとして付与されたもの

このケースに該当するポイントは、プレゼント(贈与)としての性質から、

確定申告が必要な所得になり、「一時所得」に該当

します。具体的には、抽選キャンペーンに当選して、受け取る懸賞金などとして付与されたポイントがそうです。この場合、抽選キャンペーンで付与されたポイントが、株式などの金銭的価値のある商品の購入に充当されるケースなども含まれます。

3.アンケート回答や広告視聴などで得られるもの

このケースに該当するポイントは、特定の行為に対する対価としての性質から、

確定申告が必要な所得になり、「雑所得」に該当

します。具体的には、サイト内などのアンケートに回答したり、広告を視聴したりして得られるポイントが該当します。

2)確定申告が必要なケースとは

前述の「2.抽選キャンペーンに当選するなどして付与されたもの」「3.アンケート回答や広告視聴などで得られるもの」に該当するポイントで、次のいずれにも当てはまる場合、確定申告が必要です。

  • ポイントを現金や電子マネーなどに交換した(以下「現金化」)
  • 交換したポイントの合計額が年間20万円(一時所得の場合は原則50万円)を超えている

ポイントがサイト上でたまっているだけの場合などは、現金化されていないので、申告の対象にはなりません。

いかがでしょう。「ポイ活」上手な人は確定申告の必要があるかもしれません。例年、確定申告は2月中旬から3月中旬までに行う必要がありますので、確認は早めに!

以上(2024年12月作成)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 公認会計士 仁田順哉)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

pj30220
画像:Kei A-Adobe Stock