パートタイム労働者に係る事項について就業規則の作成又は変更に当たっては、労働者の過半数で組織する労働組合等の意見を聴かなければなりませんか。

QUESTION

パートタイム労働者に係る事項について就業規則の作成又は変更に当たっては、労働者の過半数で組織する労働組合等の意見を聴かなければなりませんか。

ANSWER

事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合等の意見を聴かなければなりません。

解説

就業規則の作成又は変更に当たっては、労働基準法第90条により、労働者の過半数で組織する労働組合等の意見を聴かなければならないとされています。
パートタイム労働者に適用される就業規則も事業場の就業規則ですので、その作成又は変更に当たっては、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合等の意見を聴かなければなりません。
それに加え、パートタイム・有期雇用労働法第7条により、パートタイム労働者の過半数を代表すると認められる者の意見を聴くことが努力義務とされています。

※本内容は2025年2月28日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.94140

画像:Mariko Mitsuda

先日会社を退職された方を今度は派遣労働者として受け入れたいと思いますが、問題ないでしょうか。

QUESTION

先日会社を退職された方を今度は派遣労働者として受け入れたいと思いますが、問題ないでしょうか。

ANSWER

離職後1年以内の人を元の勤務先に派遣することは禁止されています。

解説

平成24年10月の労働者派遣法の改正により、派遣会社が離職後1年以内の人と労働契約を結び、元の勤務先に派遣することが禁止となりました。
これは、本来直接雇用とすべき労働者を派遣労働者に置き換えることで、労働条件が切り下げられることを防止することを目的としたものです。(元の勤務先が該当者を受け入れることも禁止されています。)ただし、一律に禁止されているものではなく、例外的に60歳以上の定年退職者については、元の勤務先への派遣が認められています。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.94200

画像:Mariko Mitsuda

採用内定取消しは採用前ならいつでも自由にできますか。

QUESTION

採用内定取消しは採用前ならいつでも自由にできますか。

ANSWER

自由にはできません。解雇をする場合と同様の配慮が必要です。

解説

採用内定は、始期付きの、解約権留保付労働契約とされており、採用内定者の地位は、一定の試用期間を付して雇用関係に入った者の試用期間中の地位と基本的に異なるところはありません。
採用内定を取り消すことができる事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができるものに限られると解するのが相当とされており、これに該当しない場合には解雇権の濫用として判断される可能性があります。
例えば、提出書類への虚偽記載があったとしても、その虚偽記載により内定者の資質や能力への誤認したり、詐称が判明した経緯などから企業内に留めておくことができないほどの不信義性が認められる場合でなければ、内定取消しが無効とされるおそれがあります。
また、内定取消しの経緯や状況によっては、内定者から債務不履行(誠実義務違反)や不法行為(期待権侵害)に基づく損害賠償請求がなされ、裁判で認容される可能性もあります。
さらに、内定取消しがやむを得ないとされる場合でも、内定からその取消しに至る過程で信義則上必要な配慮に欠けていたことを理由に損害賠償責任が課せられた裁判例もあります(パソナ(ヨドバシカメラ)事件‐大阪地判平16・6・9)。

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No.91020

画像:Mariko Mitsuda

解雇予告後に業務上災害が発生した場合、解雇の効力はどうなるのでしょうか。

QUESTION

解雇予告後に業務上災害が発生した場合、解雇の効力はどうなるのでしょうか。

ANSWER

当初の解雇予定日は、解雇制限期間が終了するまで延期になります。

解説

解雇予告期間満了の直前にその労働者が業務上負傷し又は疾病にかかり療養のために休業を要する以上は、たとえ1日ないし2日の軽度の負傷又は疾病であっても労働基準法第19条の適用があることになります。しかし、負傷し又は疾病にかかり休業したことによって、前の解雇予告の効力の発生は停止されるだけです。
よって、その休業期間が長期にわたり解雇予告としての効力を失うものと認められる場合を除き、治癒した日に改めて解雇予告する必要はありません。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.99020

画像:Mariko Mitsuda

派遣労働者が派遣先の社員と同じ仕事をしているのですが、派遣従業員の賃金額は派遣元が自由に決めて良いですよね。

QUESTION

派遣労働者が派遣先の社員と同じ仕事をしているのですが、派遣従業員の賃金額は派遣元が自由に決めて良いですよね。

ANSWER

派遣労働者と派遣先の従業員の賃金額は、仕事内容や責任の程度が同じであれば同じに、仕事内容や責任が違えば違うなりの賃金にしなければなりません。

解説

労働者派遣法は、令和2年4月1日(中小企業も令和2年4月1日)に改正し、派遣先に雇用される通常の労働者(無期雇用フルタイム労働差者)と派遣労働者との間の不合理な待遇差を解消することを目指し、「派遣労働者の同一労働同一賃金」を実現することを目的としています。

主な改正点は次の3点になります。

  • 1.不合理な待遇差をなくすための規定の整備
    派遣先均等・均衡方式または労使協定方式から待遇方式を決定し公正な待遇を確保しなければなりません。
  • 2.派遣労働者の待遇に関する説明義務の強化
    雇入れ時、派遣時、派遣労働者の求めに応じて待遇についての説明が必要です。
  • 3.裁判外紛争解決手続き(行政ADR)の規定の整備
    派遣労働者と派遣元または派遣先との間で、トラブルとなった場合には、都道府県労働局長による助言・指導・勧告や紛争調停委員会による調停を求めることができます。また、これらを求めたことを理由として、派遣元および派遣先は派遣労働者に対して不利益な取り扱いをしてはならないこととされています。

※本内容は2025年2月28日時点での内容です。
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   社会保険労務士法人中企団総研

No.94070

画像:Mariko Mitsuda

有給休暇の繰り越し分と新規発生分はどちらを先に消化すればいいでしょうか。

QUESTION

有給休暇の繰り越し分と新規発生分はどちらを先に消化すればいいでしょうか。

ANSWER

法律上の具体的な定めはありませんが、不利益変更のリスクがあるため繰り越し分から消化するのが良いです。

解説

年次有給休暇の時効は2年となっています。その年に与えられた年次有給休暇は翌年まで使えるということになります。
その年に使われた年次有給休暇がその年に発生した分なのか、前年に発生した分なのかということについては労働基準法上の決まりはありません。
従ってどちらの方法で年次有給休暇を消化しても法的には問題ありません。
ただし、トラブル防止の観点から、就業規則で、どちらを先に消化するかの基準を明記すべきです。
仮に就業規則に定めをせずに運営した場合、その年に発生した分から消化していくと前年に発生した分が消化できずに時効を迎える可能性があります。
その結果、労働者が取得できる年次有給休暇の日数は、前年に発生した分から消化した場合と比べて少なくなるため、労働者にとって不利益変更となります。
このことから年次有給休暇については、繰り越し分から消化していくのが良いでしょう。

※本内容は2025年2月28日時点での内容です。
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   社会保険労務士法人中企団総研

No.93050

画像:Mariko Mitsuda

労働基準監督官の事業場への立入調査とはどういうものですか。

QUESTION

労働基準監督官の事業場への立入調査とはどういうものですか。

ANSWER

労働基準法で臨検が認められています。

解説

労働基準監督官が事業場に立入調査をすることを臨検といいます。労働基準法101条は、労働基準監督官が、事業場等に臨検し、帳簿や書類の提出を求め、または使用者や労働者に対して尋問を行う権限を持つことを定めています。
臨検には、定期監督・申告監督・災害時監督・再監督の4種類あります。
定期監督とは、労働基準監督署が計画を定め、その定期的な計画に基づく監督です。
申告監督とは、労働基準監督署に対し、従業員等から法令違反の申告があった場合に実施されるものです。
災害時監督とは、一定規模以上の労働災害が発生した場合に、その実態確認のために行う調査をいいます。
再監督とは、定期監督等のその後の実施状況を確認するためのものです。是正報告書が期日までに提出されない場合に行われます。
最近は、申告監督が増加しています。
労働基準法は刑罰を伴う法規であり、労働基準監督官は労働基準法違反の罪について司法警察官の職務を行います(労働基準法102条)。労働基準監督官の監督指導に従わない悪質な場合は、送検・起訴されることもあります。
労働安全衛生法関係の臨検は予告なしの抜き打ちが多く、労働基準法の関係は帳簿の確認や聞き取りが必要なので、大抵予告があります。
臨検で問題があった場合は、是正勧告書か指導票が交付されます。是正勧告書には、法令違反事項と是正期日が記載されています。期日までに是正して、是正報告書を提出する必要があります。
法令違反ではないが労務管理や安全衛生上改善すべき点があると判断された場合は、指導票が交付されます。改善して、期日までに報告します。
是正監督・指導を無視する場合や虚偽の報告をする場合は、改善の意思がない悪質な事業主と判断されて、送検されることもあります。

※本内容は2025年2月28日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.99090

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みなし労働時間制の場合どのように1ヶ月の時間外労働時間数を算定するのでしょうか。

QUESTION

みなし労働時間制の場合どのように1ヶ月の時間外労働時間数を算定するのでしょうか。

ANSWER

みなし労働時間制によって算定される労働時間が法定労働時間を超える部分を時間外労働時間として、1ヶ月の時間外労働時間数を算定することとなります。

解説

労働基準法第38条の2第1項において、労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定しがたいときは、原則として所定労働時間労働したものとみなすこととされています。
1日の労働時間が法定労働時間(8時間)を超える場合は労使協定を締結し、労働基準監督署に提出しなければなりません。法定労働時間を超える部分の時間を1ヶ月の時間外労働時間数として算定することとなります。

※本内容は2025年2月28日時点での内容です。
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   社会保険労務士法人中企団総研

No.93120

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退職金は必ず支払わなければなりませんか。

QUESTION

退職金は必ず支払わなければなりませんか。

ANSWER

退職金規程がなければ、退職金を支給する必要はありませんが、過去に従業員に退職金を支払っており、かつ、その支払った事例から、一定の支給事由が明確な場合は、その支給基準によって退職金の支払い義務を負うことになります。

解説

退職金は就業規則、労働協約等に支給条件を明示していなければ、支払の義務は発生しません。
しかし、就業規則等に明示されていなくても、過去に従業員に退職金を支払っており、かつ、その支払った事例から、一定の支給事由が明確な場合は、その支給基準によって退職金の支払義務を負うことになります。
退職金は労働債権であり、労働債権は先取特権という担保権で保護されています。企業に資産があれば、差押えが可能です。
以上から、退職金を就業規則、労働協約等に支給条件を明示している場合など、支給基準が明確である場合は、退職金を支給しなければなりません。

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No.97010

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契約期間が2ヶ月の契約社員を雇い入れ1ヶ月後に予告なしに解雇できますか。

QUESTION

契約期間が2ヶ月の契約社員を雇い入れ1ヶ月後に予告なしに解雇できますか。

ANSWER

期間の定めがある場合には、使用者はやむを得ない事由がある場合でなければ、期間が満了するまでの間、解雇することはできません。臨時的ないし非継続的な性格を有する労働者で、2か月以内の期間を定めて使用される者については、解雇するにやむを得ない理由がある場合に限り、即時解雇することができます。この場合であれば、通常は解雇前30日前の解雇予告ないし平均賃金の30日分以上の額の解雇予告手当の支払いを要しますが、それも不要となります。

解説

使用者が労働者を解雇する場合、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります。
もし、契約期間中に業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する場合は、当該休業期間とその後30日間は、使用者は労働者を解雇できません。
しかし、2ヶ月以内の期間を定めて使用される者は、解雇予告制度の適用除外となっているので、解雇が可能です(労基法第21条)。
ただ、期間が満了する前に解雇する場合は使用者はやむを得ない事由が必要になります(労契法第17条)。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.96030

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