【助成金(健康経営編)】残業削減などに取り組むと1370万円!

1 働き方改革推進支援助成金を活用しよう!

働き方改革やSDGsの観点から、社員の「健康」維持が大きく注目されています。残業を減らす、休暇や休日を増やすなど、アプローチの方法はさまざまです。就業規則の整備や設備導入にはコストがかかるため、助成金を活用しながら取り組みを進めることをお勧めします。

例えば、

建設業など特定の業種が時間外労働の削減などに取り組み、一定の成果目標を達成した場合に最大1370万円が支給

されるのをご存じですか。具体的には「働き方改革推進支援助成金」という助成金がそうです。以降では、それぞれの制度概要と申請上のポイントを専門家が解説します。

なお、助成金の内容は2026年4月13日時点のもので、将来変更される可能性があります。また、申請書の書き方や添付書類については、全コースまとめてこちらに記載されていますので、ご確認ください。

厚生労働省「働き方改革推進支援助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/index.html#h2_free3

2 業種別課題対応コース(最大1370万円)

1)業種別課題対応コースとは?

建設業、運送業等、病院等、砂糖製造業、情報通信業、宿泊業の中小企業が生産性を向上させ、時間外労働の削減などに取り組んだ場合に助成を受けられるというものです。なお、砂糖製造業は、「鹿児島県・沖縄県の事業者のみ」が対象です。

2)助成金を受け取るには?

中小企業で、申請時点において一定の要件(年5日の年休(年次有給休暇)の取得に向けた就業規則等を整備している、法的要件を満たした36協定を締結し、届け出ている等)を満たしている会社が、「成果目標」を設定し、成果の達成に向けて「支給対象となる一定の取り組み」を実施する必要があります。

具体的な「成果目標」となるのは次の7つで、1つ以上を選択する必要があります。

  • 月60時間超の36協定の時間外・休日労働時間数の縮減
  • 所定外労働時間数の削減(1.との同時選択は不可)
  • 年休の計画的付与制度の導入
  • 時間単位年休+1つ以上の特別休暇(注1)の導入
  • 勤務間インターバル制度の導入
  • 4週における所定休日の1日以上の増加(建設業のみ)
  • 「医師の働き方改革の推進(注2)」の実施(病院等のみ)

(注1)病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇等が対象です。

(注2)労務管理体制の構築(労務管理責任者の設置等、副業・兼業を行う医師の労務管理体制の整備、労働時間管理に関する研修の実施)、医師の労働時間の実態把握を指します。

「支給対象となる取り組み」は次の7種類です。

  • 労務管理担当者に対する研修(勤務間インターバル制度に関するもの、業務研修を含む)
  • 社員に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家によるコンサルティング
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 人材確保に向けた取り組み
  • 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新(注)
  • 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(注)

(注)原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。

3)受け取れる金額はいくら?

取り組みの実施に要した経費の一部(具体的には図表1の額)を受け取れます。なお、指定する社員について、

  • 賃上げの実施を成果目標に加え、実施を達成した場合は「賃上げに関する加算」
  • 割増賃金の引上げを成果目標に加え、実際に達成した場合は「割増賃金率の引上げに関する加算」

が受けられます(次章以降の「労働時間短縮・年休促進支援コース」「勤務間インターバル導入コース」にも一部、同様の制度があります)。

業種別課題対応コース

要件を満たし、選択した成果目標の達成や各種加算の適用条件を満たした場合、最大で次の額の助成を受けられる計算になります。

  • 建設業:1370万円
  • 運送業等:1290万円
  • 病院等:1340万円
  • 砂糖製造業:1270万円
  • 情報通信業、宿泊業:1270万円

4)専門家のワンポイントアドバイス

働き方改革推進支援助成金は全部で5つのコースがありますが、いずれも

2026年度の「交付申請書」の申請期限は、2026年11月30日まで(予算の制約により11月30日以前に締め切られる場合があるので注意)

となっているので、早めに準備を進める必要があります。加えて、時間外労働の削減などの各種取り組みについても、

交付決定後、2027年1月31日までに提出した計画に沿って取り組みを実施した上で、支給申請期限までに都道府県労働局に支給申請をしなければならない

ので、交付申請書の提出時期によっては非常にタイトなスケジュールになります。期限内に提出するためにも、余裕を持って計画的にプロジェクトの立案等を進めるようにしてください。

このコースは選択肢が多い分、「自社の業種で、どの成果目標を組み合わせれば最大効果を狙えるか」を考えることが肝要です。特に注意すべきは、

成果目標1(36協定の縮減)と成果目標2(所定外労働時間数の削減)は同時選択できない

という制約がある点です。

賃上げ加算は、「常時30人以下」の事業主の場合、1人当たりの加算額が2倍になるため、小規模の会社ほど相対的にメリットが大きい仕組みです。自社の規模を踏まえて、賃上げ対象人数を戦略的に設定しましょう。

3 労働時間短縮・年休促進支援コース(1020万円)

1)労働時間短縮・年休促進支援コースとは?

生産性を向上させ、時間外労働の削減、年休や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組んだ場合に助成を受けられるというものです。

2)助成金を受け取るには?

中小企業で、申請時点において一定の要件(年5日の年休(年次有給休暇)の取得に向けた就業規則等を整備している等)を満たしている会社が、「成果目標」を設定し、成果の達成に向けて「支給対象となる一定の取り組み」を実施する必要があります。

具体的な「成果目標」となるのは次の3つで、1つ以上を選択する必要があります。

  • 月60時間超の36協定の時間外・休日労働時間数の縮減
  • 年休の計画的付与制度の導入
  • 時間単位年休+1つ以上の特別休暇(注)の導入

(注)病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇等が対象です。

「支給対象となる取り組み」は次の7種類です。

  • 労務管理担当者に対する研修(勤務間インターバル制度に関するもの、業務研修を含む)
  • 社員に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家によるコンサルティング
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 人材確保に向けた取り組み
  • 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新(注)
  • 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(注)

(注)原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。

3)受け取れる金額はいくら?

取り組みの実施に要した経費の一部(具体的には図表2の額)を受け取れます。

労働時間短縮・年休促進支援コース

要件を満たした場合、最大1020万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

このコースは、残業削減を掲げるだけでなく、年休の計画的付与や時間単位年休と特別休暇の新規導入など、制度整備を伴う成果目標が中心です。就業規則の整備や年休管理簿の作成が要件に含まれるため、申請前に社内規程と運用実態を点検しておくとスムーズです。

その他の基本的な注意点は、業種別課題対応コースなどと同じです。なお、交付決定後の取り組み実施期間は、2027年1月31日までとなります。

4 勤務間インターバル導入コース(最大970万円)

1)勤務間インターバル導入コースとは?

勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の「休息時間」を設ける勤務間インターバル制度の導入などを行った場合に助成を受けられるというものです。

2)助成金を受け取るには?

中小企業で、申請時点において一定の要件(36協定を締結しており、過去2年間に月45時間超の時間外労働の実態がある、年5日の年休(年次有給休暇)の取得に向けた就業規則等を整備している等)を満たしている会社が、「成果目標」を設定し、成果の達成に向けて「支給対象となる一定の取り組み」を実施する必要があります。

具体的な「成果目標」となるのは次の3つで、1つ以上を選択する必要があります。

  • 新規導入(所属社員の1/4超を対象とする勤務間インターバルを新たに導入する)
  • 適用範囲の拡大(勤務間インターバルの適用範囲を所属社員の1/4または1/2超とする)
  • 時間延長(所属社員の1/4または1/2超とする勤務間インターバルの休息時間数を、2時間以上延長して9時間以上とする)

「支給対象となる取り組み」は次の7種類です。

  • 労務管理担当者に対する研修(勤務間インターバル制度に関するもの、業務研修を含む)
  • 社員に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家によるコンサルティング
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 人材確保に向けた取り組み
  • 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新(注)
  • 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(注)

(注)原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。

3)受け取れる金額はいくら?

取り組みの実施に要した経費の一部(具体的には図表3の額)を受け取れます。

勤務間インターバル導入コース

要件を満たし、成果目標の達成に加えて賃上げ加算や割増賃金率引上げ加算の適用条件も満たした場合、最大970万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

成果目標は支給要領の別表に基づいて上限額が変わるため、申請前に対象人数と休息時間数の組み合わせを確認し、賃上げ加算や割増賃金率加算を組み合わせるかも含めて計画することが重要です。

また、制度導入に当たっては、

単に「○時以降の残業禁止、○時以前の始業禁止」と定めるだけでは対象にならない

ので注意してください。就業規則等で「終業から次の始業までの休息時間を確保する」旨を明記する必要があります。

なお、2026年度の改正で、11時間以上の休息時間を新規導入する場合の上限額が150万円に引き上げられました(2025年度は120万円)。可能であれば11時間以上を目指すことで、助成額を最大化できます。

その他の基本的な注意点は、業種別課題対応コースなどと同じです。なお、交付決定後の取り組み実施期間は、2027年1月31日までとなります。

5 団体推進コース(最大500万円)

1)団体推進コースとは?

事業主団体等(中小企業の団体やその連合団体等で1年以上の活動実績があるものなど)が、傘下の構成事業主(社員を雇用する会社)の社員について、労働条件を改善するため、時間外労働の削減や賃上げに向けた取り組みを実施した場合に助成を受けられるというものです。

2)助成金を受け取るには?

課題対応の「成果目標」として

事業主団体等が事業実施計画に基づき、時間外労働の削減・賃上げに向けた改善事業の取り組みを行い、構成事業主の2分の1以上にその取り組みまたは取り組み結果を活用

する必要があります。

支給対象となる取り組みは、次の10種類です。いずれも成果目標の達成に向けて実施する必要があります。

  • 市場調査
  • 新ビジネスモデルの開発、実験
  • 材料費、水光熱費、在庫等の費用の低減実験(労働費用を除く)
  • 取引適正化への理解促進など、労働時間などの設定の改善に向けた取引先との調整
  • 販路の拡大などの実現を図るための展示会開催および出展
  • 好事例の収集、普及啓発
  • セミナー(勤務間インターバル制度に関する事項を含む)の開催など
  • 巡回指導、相談窓口の設置など
  • 構成事業主が共同で利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新の事業
  • 人材確保に向けた取り組み

3)受け取れる金額はいくら?

取り組みの実施に要した経費の一部(具体的には図表4の額)を受け取れます。

働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)

要件を満たした場合、最大500万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

前述した通り、このコースでは、団体自身が取り組みを実施するだけでは足りず、構成事業主の2分の1以上にその取り組みまたは取り組み結果を活用させる必要があります。そのため、

申請段階から「誰に、どう横展開するか」を具体化しておく

ことが肝要です。事業計画の策定段階から、構成事業主への事前説明・参加意向の確認を丁寧に行い、「計画倒れ」にならない体制を整えましょう。

その他の基本的な注意点は、業種別課題対応コースなどと同じです。なお、交付決定後の取り組み実施期間は、2027年2月14日までとなります。

6 取引環境改善コース(最大100万円)

1)取引環境改善コースとは?

荷主集団等が、トラックドライバーの時間外労働の削減等のために、荷待ち・荷役時間の短縮に向けた取引環境整備の取り組みを実施した場合に助成を受けられるというものです。

2)助成金を受け取るには?

この助成金は、次の要件などを満たす荷主集団等を対象としています。

  • 荷主集団等を代表して、本助成金の申請に係る事務等を行う事業者(代表事業主)および構成員を合わせて3者以上で構成された組織であること
  • 代表事業主を含め、少なくとも1以上の荷主もしくは倉庫事業者および1以上の運送事業者で構成されていること
  • 組織として現に活動しているまたは今後具体的に活動することが見込まれる荷主集団であること
  • 中小企業事業主の占める割合が、構成員たる運送事業者の1/2を超えていること

荷主集団等は、

事業実施計画で定める改善事業を行い、運送事業主の1/2以上に対して荷待ち・荷役時間および労働時間の短縮に効果を上げる

という成果目標を達成する必要があります。

支給対象となる取り組みは、次の5種類です。いずれも成果目標の達成に向けて実施する必要があります。

  • 取引適正化への理解促進など、労働時間等の設定の改善に向けた取引先等との調整
  • 好事例の収集、普及啓発
  • セミナー(勤務間インターバル制度に関する事項を含む)の開催など
  • 巡回指導、相談窓口の設置など
  • 運送事業者等が利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新

この他、代表事業主が法人格を有すること、代表事業主および全構成員が同一の企業グループに属していないことなども要件に含まれます。

3)受け取れる金額はいくら?

取り組みの実施に要した経費の一部(具体的には図表5の額)を受け取れます。

働き方改革推進支援助成金(取引環境改善コース)

要件を満たした場合、最大100万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

他の4コースとは異なり、個社の中小企業事業主ではなく「荷主集団等」が申請主体となります。荷主集団等の構成要件を満たすことに加え、構成員である運送事業者の2分の1以上に対して、荷待ち・荷役時間や労働時間の短縮効果を上げる必要があります。そのため、申請時にはどの取引工程を見直し、どのような効果を見込むかまで具体化しておくことが重要です。

その他の基本的な注意点は業種別課題対応コースなどと同じです。なお、交付決定後の取り組み実施期間は、2027年2月14日までとなります。

以上(2026年5月更新)
(監修 社会保険労務士 柴田充輝)

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画像:日本情報マート

脇役に徹した坂本龍馬が作った「透明なレガシー」とは?

「世の人は我を何とも言わば言え、我が成すべき事は我のみぞ知る」

坂本龍馬は、幕末期に活躍した土佐藩出身の志士です。1835年に現在の高知県で生まれ、剣術修行のため江戸に遊学したのち、藩を脱して倒幕運動に関わりました。薩摩藩と長州藩の同盟を仲介するなど、激動の幕末において新しい国家の形を構想した人物で、33歳のとき、中岡慎太郎と共に暗殺されましたが、そのキャラクターは今なお多くの人に愛されています。

冒頭の言葉は、龍馬の詠草(和歌を書き残した紙の意)として残されているものです。詠まれた時期は正確には分かっていませんが、1861〜1867年ごろと考えられています。この時期は、脱藩、勝海舟との出会い、薩長同盟の仲介、海援隊の設立など、龍馬の人生でも特に濃密だった7年間と重なっています。

さて、「好きな歴史上の人物」といえば、必ずと言っていいほど名前が挙がる龍馬ですが、「何がすごかったのか」と問われると、意外と答えに詰まる人も多いのではないでしょうか。龍馬は有名でありながら、いわゆる「維新の三傑」に数えられるわけでもありません。実際、司馬遼太郎氏の小説『竜馬がゆく』が広く読まれるようになる以前までは、彼は幕末の脇役であり、歴史の教科書でもそれほど大きく扱われていませんでした。

ですが、そのある種の「脇役っぷり」こそが彼が長く愛される所以なのかもしれません。龍馬の功績といえば、まずは長年対立していた薩摩藩と長州藩の間を取り持ち、影役者として薩長同盟を成立させたこと。それから、明治維新後の政治体制の原型ともいわれる「船中八策」を構想して同志に託し、のちの大政奉還につながるきっかけを作ったこと。いずれの歴史的イベントも、龍馬自身が主役になったわけではありません。しかし彼が結びつけた人々や残した構想は、明治維新を成し遂げる重要な礎になりました。

龍馬は明治を見る前に息絶えますが、彼は自分が主役にならなくても、日本を変える変革の土台を作ること、「透明なレガシー」を残すことに人生をかけたのです。冒頭の龍馬の言葉からも、「周囲がどう評価するかではなく、自分が何を成すべきかを信じよ」という強い覚悟が感じ取れます。

経営者も会社の将来を見据え、人脈作りや設備投資など、日々さまざまな「種まき」をしています。種まきの成果はすぐには出ませんし、なかには社員にも気付かれない地味な取り組みもありますから、経営者のやっていることが周囲に理解されないケースもあるかもしれません。そんな周囲の視線にさらされ、経営者自身、「自分は本当に正しいのだろうか」と悩むこともあるでしょう。ですが、そんなときこそ、龍馬にならって、自分だけが見えている「成すべき事」に立ち返ってみてください。たとえ、周囲には伝わりにくい取り組みであっても、経営者が信念に従って積み重ねた日々が将来、会社を変える変革の土台「透明なレガシー」になるはずです。

出典:「龍馬の手紙」(宮地佐一郎著、講談社、2003年12月)

以上(2026年4月作成)

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画像:k_river-Adobe Stock

【業種別データ】製材業、木製品製造業の動向

製材業・木製品製造業は事業所数・従業者数が横ばいで推移する一方、製造品出荷額が前年比90.0%と減少し、全体として縮小傾向が見られます。特に一般製材業の落ち込み(88.1%)が大きく、木材市況の変動や住宅需要の鈍化が影響したと考えられます。原材料使用額比率は61.3%と上昇し、コスト高による付加価値率の低下(33.4%)が収益性を圧迫しています。一方、特殊製材業は109.8%と伸びを見せ、分野間で明暗が分かれる構造です。総じて、同業界は原材料価格の高止まりや需要変動に直面しつつ、高付加価値製品への転換が求められる局面にあります。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の製材業、木製品製造業の事業所数は3101事業所(対前年比99.2%)、従業者数は3万3806人(対前年比100.3%)、製造品出荷額等は9723億5700万円(対前年比90.0%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は11人(対前年比101.1%)、現金給与総額は4000万円(対前年比102.4%)、原材料使用額等は1億9200万円(対前年比93.6%)、製造品出荷額等は3億1400万円(対前年比90.7%)、付加価値額は1億500万円(対前年比81.5%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は370万円(対前年比101.3%)、製造品出荷額等は2876万円(対前年比89.7%)、付加価値額は961万円(対前年比80.6%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は61.3%(対前年比103.2%)、同付加価値額比率は33.4%(対前年比89.8%)、同現金給与総額比率は12.9%(対前年比113.0%)となっています。

【1210 製材業、木製品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)一般製材業

2023年の一般製材業の事業所数は2390事業所(対前年比99.1%)、従業者数は2万6645人(対前年比100.5%)、製造品出荷額等は7823億7600万円(対前年比88.1%)となっています。

【1211 一般製材業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)単板(ベニヤ)製造業

2023年の単板(ベニヤ)製造業の事業所数は79事業所(対前年比96.3%)、従業者数は1204人(対前年比92.2%)、製造品出荷額等は267億2700万円(対前年比93.1%)となっています。

【1212 単板(ベニヤ)製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)木材チップ製造業

2023年の木材チップ製造業の事業所数は499事業所(対前年比100.0%)、従業者数は4,912人(対前年比101.4%)、製造品出荷額等は1456億500万円(対前年比98.1%)となっています。

【1213 木材チップ製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

5)その他の特殊製材業

2023年のその他の特殊製材業の事業所数は133事業所(対前年比99.3%)、従業者数は1045人(対前年比100.1%)、製造品出荷額等は176億4900万円(対前年比109.8%)となっています。

【1219 その他の特殊製材業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

(図表7)【製材業,木製品製造業の経営指標】

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以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

社員から「年休を買い取ってほしい」と言われたら応じるべき?

1 年休の買い取りはあくまで例外的な対応

労働基準法により、会社は入社後6カ月以上勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した社員に「年休(年次有給休暇)」を付与します。

年休の付与日数

年休の付与日数は図表の通りですが、問題は規模の小さい会社ほど、仕事が忙しくて年休を取得する余裕がない社員が多いことです。そして、そうした社員の中には、

使わない年休を買い取ってほしい(使わない年休分の賃金を支払ってほしい)

と考えたり、実際に請求したりする人がいます。

経営者や労務担当者も、「年休が取れないなら、せめて社員が損をしないよう買い取ってあげたい」と考えるかもしれませんし、

見方を変えれば、年休の買い取りは新しい福利厚生

になります。法令上、年休は社員の疲労回復やリフレッシュのために「休暇」として与えるのが原則で、買い取りは法的には認められてはいませんが、例外的な対応として一定の条件を満たせば可能とすることができます。

この記事では、

  • 年休の買い取りに関する実務のポイント(第2、3、4、5章)
  • 年休の買い取りについて就業規則に定める場合の規定例(第6章)

を紹介します。

2 会社も社員も、年休の買い取りの「強制」はできない

まず押さえておきたいのは、

  • 会社は社員に「年休を買い取るから、休まず出勤しろ」と強制することはできない
  • 社員も会社に「使わない(使えなかった)年休を買い取れ」と強制することはできない

という点です。

前述した通り、年休は社員が疲労を回復して心身ともにリフレッシュするための制度です。買い取りが当たり前になってしまうと、休暇としての意味がなくなってしまいますから、制度の趣旨を損なうような買い取りの仕方はNGとされているのです。

労働基準法には、年休の買い取りに関する具体的な定めがありませんが、行政通達では

会社が年休の買い取りを予約することや、本来なら請求できるはずの年休日数を減らしたり与えなかったりすることは違法である

とされています(昭和30年11月30日基収4718号)。つまり、会社が社員に「年休を買い取るから、休まず出勤しろ」と強制することはできません。逆に、社員が会社に「使わない(使えなかった)年休を買い取れ」と強制するケースについては、

未消化の年休を事後に使用者が買い取る義務はない

とした裁判例があります(大阪高裁平成14年11月26日判決)。他の言葉に言い換えると、

年休の買い取りは、会社と社員が自由な意思に基づき合意した場合に初めて認められる

ということです。

3 年休の買い取りが認められやすいケースが3つある

会社と社員が年休の買い取りについて合意していても、買い取りが無制限に認められるわけではありません。例えば、労働基準法には

年10日以上の年休が付与されている社員には、会社が時季を指定して年5日の年休を取得させなければならない

というルールがあり、仮に会社と社員が合意していても、付与された10日以上の年休を全て買い取るといった対応は認められません。会社が時季指定して付与した5日分については、たとえ本人と合意があっても買い取りによって消化

することはできず、これに違反すると労働基準法違反(罰則対象)となります。

会社は労働基準法の年休のルールに違反しないよう、買い取りを認めるケースを明確に決めておく必要があります。一般的に、次の3つのケースは、年休の買い取りが認められやすいとされています。

  • 時効により消滅した年休の買い取り
  • 退職により取得されない年休の買い取り
  • 法定の付与日数を上回る部分の年休の買い取り

1.時効により消滅した年休の買い取り

労働基準法では、社員が年休を取得しない場合、その年休は付与された日(基準日)から2年が経過したタイミングで、時効により消滅します。時効により消滅した年休はもう取得できないので、買い取っても問題ありません。

2.退職により取得されない年休の買い取り

退職が近い社員は、退職日までに残っている年休を使いきれない場合があります。こうした場合に、使いきれなかった日数分の年休を買い取ることは問題ありません。退職時の引き継ぎなどの関係で、年休を取得したかったのに退職日直前まで出勤をした結果、取得しきれなかった年休が発生した場合、社員と相談して買い取るという対応も可能です。

ただし、前述した通り、社員に年休の買い取りを条件として出社を強制するのは違法です。

3.法定の付与日数を上回る部分の年休の買い取り

会社によっては、独自の休暇制度を設けて、法定の付与日数を上回る年休を社員に付与しているところがあります。例えば、法令上は「年10日」の年休を付与すべき社員に、会社ルールで「年15日」の年休を付与している場合、5日(15日-10日)分については、買い取っても問題ありません。

4 買い取った年休分の賃金の算定方法は?

年休の買い取り金額に関して法的な決まりはありません(例外的な対応であるため)が、実際に年休を取得した場合の賃金額と同じとするケースが一般的です。具体的には、

  • (通常賃金)1日働いた場合の通常の賃金。月給制の場合、月給÷1カ月の所定労働日数などで1日単位に換算した額
  • (平均賃金)直近3カ月間の賃金総額(賞与等を除く)÷直近3カ月間の総日数
  • (標準報酬日額)標準報酬月額÷30日 ※労使協定の締結が必要

のいずれかになります。どれを選択するかは、就業規則に定めます。なお、2026年の法改正に向けて

年休の賃金の算定方式を「通常賃金」に一本化することが政府内で議論されている

ので、今後の動向に注意が必要です。

5 買い取った年休分はどうやって支払う?

年休の買い取りを行う際、もっとも注意すべきは、その支払いが「在職中か」「退職時か」ということです。

在職中の社員から年休を買い取る場合、

その分の賃金は「賞与」として支払うのが通常

です。社員が社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者の場合、買い取った年休分の賃金(賞与)には社会保険料がかかってきます。賞与の社会保険料は、

支給日から5日以内に日本年金機構に提出する「被保険者賞与支払届」

に基づいて決まりますので、書類の提出漏れがないように注意しましょう。なお、被保険者賞与支払届は賞与を支払うたびに提出が必要になりますので、業務の煩雑さを考えるのであれば、

年休の買い取り分の賃金は、賞与支給月(6月、12月など)に通常の賞与と合算して支払う(賞与明細の内訳などで、年休の買い取り分の賃金がいくらかを明らかにする)

といった対応にするのもよいでしょう。

一方、

退職に起因して残日数分を買い取る場合は、その支払いは「退職手当(退職所得)」として計上されます。

退職所得として処理する最大のメリットは社会保険料がかからない点です。

他の退職金と同様に、勤続年数に応じた「退職所得控除」の対象となるのも特徴です。ただし、「退職所得の受給に関する申告書」の提出がない場合は、一律20.42%の源泉徴収が必要となる点にご注意ください。また、会社は退職後1カ月以内に「退職所得の源泉徴収票」を本人へ交付する義務があります。

6 年休の買い取りについて、就業規則ではどう定める?

最後に、年休の買い取りに関する就業規則の規定例を紹介します。なお、実際にこうした規定を盛り込む際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受け、自社に沿った内容で対応されることをお勧めします。

【規定例】

第◯条(年次有給休暇の買い取り)

1)会社は、次の各号について社員から年次有給休暇の買い取りの請求があり、会社が法の定める年次有給休暇の趣旨などを考慮して問題がないと判断した場合、その買い取りを行う。

  • 時効(基準日から2年後)により消滅した年次有給休暇の買い取り
  • 退職により取得されない年次有給休暇の買い取り
  • 法定の付与日数を上回る部分の年次有給休暇の買い取り

2)会社は、社員からの請求に基づき、年次有給休暇の付与日数、基準日および時効、その他年次有給休暇の買い取りに関し必要な情報を提供する。

3)年次有給休暇の買い取り日数は、会社と社員が協議の上決定する。なお、労働基準法第39条第7項に基づき時季を指定して付与する年次有給休暇については、買い取りの対象としない。

4)年次有給休暇を買い取る場合、その1日当たりの賃金額は、就業規則第◯条で定める、実際に年次有給休暇を取得した場合の賃金額と同額とする。

5)年次有給休暇を買い取る場合、会社はその賃金額を明らかにした上で、毎年6月または12月に支給する賞与に合算して社員に支払う。ただし、第1項第2号に基づく年次有給休暇の買い取りの場合においては、当該社員の退職月に退職金(退職手当)として支給する。

以上(2026年5月更新)
(監修 社会保険労務士 三原明日香)

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画像:umaruchan4678-Adobe Stock

【助成金(採用活動編)】 特定の人材の採用などで最大240万円!

1 採用活動を強力にサポートする助成金を使いこなす!

最新の主要調査によると、2025年の中途採用費用(年間平均)は609.9万円です(社員数3名以上の会社を対象とした、マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」)。人手不足を背景に、中途採用に力を入れている企業が多いことが伺えます。

一方、中小企業などでは

「採用活動にそこまでお金をかけられない」と、積極的に取り組めずにいる会社

が少なくありません。そもそも採用活動に割けるリソースが限られる上に、入社した社員がすぐに辞めてしまうことも多い昨今、慎重にならざるを得ないのは無理からぬことです。

しかし、諦めないでください。

採用活動をサポートするための助成金を上手に活用し、採用コストに充当すること

でこの問題を打開できる可能性があります。国や自治体が実施する助成金の中には、一定の条件に該当する社員を雇い入れたり、訓練したりすることで受給できるものがあります。

この記事では、

採用活動に関する中小企業向けの助成金を4つ紹介

します。支給額や要件などの情報に加え、専門家のワンポイントアドバイスも載せています。なお、助成金の内容は、2026年4月3日時点のもので将来変更される可能性があります。また、申請書の書き方や添付書類等については、各章で紹介しているURLをご参照ください。

2 早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)

1)早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)とは?

会社都合などでやむを得ず離職した社員を、離職日の翌日から3カ月以内に無期雇用社員(週20時間以上勤務)として採用し、かつ給与を5%以上アップさせ、6カ月を超えて継続雇用すると、助成金を受け取れる制度です。

厚生労働省「早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082805.html

2)助成金を受け取るには?

次の要件などを満たす必要があります(詳細は厚生労働省ウェブサイトをご参照ください)。

【会社側の要件】

  • 対象者を、離職日の翌日から3カ月以内に、雇用保険被保険者となる無期雇用社員(週の所定労働時間が20時間以上)として雇用する
  • 採用時に、社員の所定内賃金を離職前よりも5%以上アップさせる
  • 採用後、6カ月を超えて雇用する
  • 採用日の前後6カ月間に、解雇や雇止めを行っていない

【社員側の要件】

  • 「再就職援助計画の対象者」「求職活動支援書の対象者」「雇用保険の特定受給資格者」のいずれかである(主に倒産や事業縮小など会社都合で離職した人が該当)

3)受け取れる金額はいくら?

雇い入れにかかった費用の一部を定額で受給(早期雇入れ支援)できます。生産指標等により一定の成長性が認められる会社は、「優遇助成」が受けられます。

早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)

4)専門家のワンポイントアドバイス

離職から3カ月以内に社員を雇用するという要件があるので、タイミングを意識して採用計画を立てることが重要です。また、訓練を実施して人材育成支援を受ける場合は、訓練前に「職業訓練計画」を立てて都道府県労働局の認定を受ける必要がある点に注意が必要です。

3 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

1)特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)とは?

60歳以上の高年齢者や障害者など、就職が特に困難とされる人材を社員として雇い入れた場合、所定の金額(定額)を受け取れるというものです。

厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/tokutei_konnan.html

2)助成金を受け取るには?

次の要件などを満たす必要があります(詳細は厚生労働省ウェブサイトをご参照ください)。

【会社側の要件】

  • ハローワーク等からの紹介により、対象者を所定労働時間が週20時間以上の雇用保険被保険者として雇用すること
  • 雇入れ日の前後6カ月間に解雇等を行っていないこと

【社員側の要件】

  • 「高年齢者(60歳以上の者)(注)」「身体・知的・精神障害者」「母子家庭の母等」「ウクライナ避難民」「補完的保護対象者」といった、就職が困難とされる者であること

(注)2026年5月1日以降は、雇入れ時の年齢が60歳以上であることに加え、紹介日において、ハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けていることが要件に追加されます。

有期雇用社員の場合は、契約が「自動更新」であることを契約書に明記し、労働者が希望する限り更新可能であること(更新条件は就業規則の解雇要件以内)、かつ65歳以上まで継続して2年以上(一部は3年以上)雇用することが確実である必要があります。

3)受け取れる金額はいくら?

対象社員に支払われた賃金の一部に相当する額として、次の金額が支給対象期(6カ月)ごとに定額で(ただし、対象期に支払われた賃金額を上限として)支給されます。なお、「短時間労働者」とは、週の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者をいいます。

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

4)専門家のワンポイントアドバイス

特定就職困難者コースは、ハローワーク等からの紹介により人材を雇用することが必須の要件です。そのため、求人を出す際は事前にハローワークに求人票を提出し、「助成金対象となる人材を雇用したい」とはっきり伝えておくことが重要です。

また、有期雇用での採用の場合は「自動更新」であることの記載漏れや、就業規則の解雇条件を超えた条件を設けると助成金が受け取れません。雇用契約書や就業規則をよく確認し、適切な条件で雇用契約を結ぶよう注意しましょう。

加えて、

2026年4月以降の申請分からは、賃金台帳の提出が必須

になっているので注意してください(賃金台帳の提出が確認できない場合、不支給となる)。

4 特定求職者雇用開発助成金(中高年層安定雇用支援コース)

1)特定求職者雇用開発助成金(中高年層安定雇用支援コース)とは?

「就職氷河期世代(おおむね1993年~2004年ごろに就職活動を行っていた人)」を含む35歳から60歳未満の中高年層のうち、就職の機会を逃したなどの理由で正社員としてのキャリア形成が難しかった人を、正社員として雇用する場合に助成金が支給される制度です。

厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(中高年層安定雇用支援コース)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/chuukou.html

2)助成金を受け取るには?

次の要件などを満たす必要があります(詳細は厚生労働省ウェブサイトをご参照ください)。

【会社側の要件】

  • ハローワークまたは一定の要件を満たす民間職業紹介事業者から紹介された対象者を、正社員(期間の定めがなく、所定労働時間が週30時間以上、かつ昇給・賞与・退職金など長期雇用を前提とした待遇のある雇用)として雇い入れること

【社員側の要件(次の全ての要件を満たす必要あり)】

  • 雇入れの日において35歳以上60歳未満である
  • 雇入れ前の過去5年間において、正社員として雇用された期間が通算1年以下である
  • 雇入れ前の過去1年間において、正社員として雇用されたことがない(ただし、過去1年以内に会社都合の解雇等により離職した場合は対象になる)
  • ハローワーク等の紹介の時点で「安定した職業に就いていない状態であり、ハローワーク等で就労に向けた個別支援を受けている
  • 正社員として雇用されることを自ら希望している

3)受け取れる金額はいくら?

対象社員に支払われた賃金の一部に相当する額として、次の金額が支給対象期(6カ月)ごとに定額で支給されます。ただし、支給対象期ごとに対象社員に支払った賃金額が図表4の額を下回る場合、その賃金額が支給額の上限となります。

特定求職者雇用開発助成金(中高年層安定雇用支援コース)

4)専門家のワンポイントアドバイス

本助成金は「ハローワーク等からの紹介」が必須条件です。求人時にその点を明記し、採用ルートが助成金の要件に合致するかを必ず確認しましょう。また、非正規雇用期間が長い方や離職期間が長かった方が対象となるため、入社後のOJTやOFF-JTなどの人材育成を丁寧に実施することで、社員の早期戦力化と定着を促進できます。

なお、こちらのコースも、

2026年4月以降の申請分からは、賃金台帳の提出が必須

になっているので注意してください(賃金台帳の提出が確認できない場合、不支給となる)。

5 トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

1)トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)とは?

職業経験の不足やスキル不足等により就職に不安がある方を「トライアル雇用(試行雇用)」として一定期間雇用した場合に助成金が支給される制度です。原則として3カ月間の試用期間中に対象者の適性を確認し、期間終了後に無期雇用契約(正社員等)へ移行することを目的としています。

トライアル雇用のイメージ(ハローワークからの紹介の場合)

厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_16286.html

2)助成金を受け取るには?

次の要件などを満たす必要があります(詳細は厚生労働省ウェブサイトをご参照ください)。

【会社側の要件】

  • ハローワークまたは一定の要件を満たす民間職業紹介事業者から紹介された対象者を雇い入れること
  • 対象者を、有期雇用契約で所定労働時間が週30時間以上(日雇労働者などの場合は週20時間以上)の雇用保険被保険者として、原則3カ月間トライアル雇用すること
  • トライアル雇用終了後、無期雇用契約(所定労働時間が週30時間以上)への転換を前提としていること

【社員側の要件(次のいずれかに該当する必要あり)】

  • 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
  • 紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている(※パート・アルバイトなどを含め、一切の就労をしていないこと)
  • 妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
  • 紹介日時点で60歳未満であり、ハローワーク等で担当者制の個別支援を受けている
  • 就職援助に特別な配慮が必要な者に該当する(母子家庭の母等、父子家庭の父、生活保護受給者など)

3)受け取れる金額はいくら?

対象者1人につき、月額4万円(母子家庭の母等または父子家庭の父の場合、月額5万円)が最大3カ月分支給されます。トライアル期間中に雇用期間が1カ月未満の月があった場合や、社員の都合による休暇、会社都合による休業等が発生した場合は、その月について以下の計算式により助成額が調整されます。

実際に就労した日数÷就労予定日数

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

また、トライアル雇用終了後に対象社員を無期雇用として継続雇用する場合、特定求職者雇用開発助成金の対象にもなり得ます。

4)専門家のワンポイントアドバイス

トライアル雇用を開始してから2週間以内に、対象社員を紹介したハローワーク等に「トライアル雇用実施計画書」を提出し、必ず認定を受ける必要があります。これを怠ると助成金が受け取れないため注意しましょう。

また、助成金の申請はトライアル雇用終了後の無期雇用契約移行後2カ月以内に行う必要があります。トライアル期間中の社員の適性確認や能力評価は丁寧に実施し、無期雇用契約への円滑な移行と社員の定着を図りましょう。

以上(2026年4月更新)

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画像:日本情報マート

【業種別データ】木製容器製造業(竹、とうを含む)の動向

木製容器製造業(竹・とう含む)は、2023年に事業所数508、従業者数5,688、製造品出荷額915億円と全体で前年をやや下回りました。1事業所当たりの規模や従業者1人当たり出荷は横ばいから微減で、現金給与総額や原材料費が減少する一方で付加価値は増加し、竹類やたる・おけ等の品目は堅調です。収益性指標は依然低迷しており、コスト管理と高付加価値化が喫緊の課題です。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の木製容器製造業(竹、とうを含む)の事業所数は508事業所(対前年比98.4%)、従業者数は5688人(対前年比97.0%)、製造品出荷額等は915億円(対前年比94.9%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は11人(対前年比98.6%)、現金給与総額は3700万円(対前年比98.5%)、原材料使用額等は1億500万円(対前年比93.4%)、製造品出荷額等は1億8000万円(対前年比96.4%)、付加価値額は6800万円(対前年比101.0%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は333万円(対前年比99.9%)、製造品出荷額等は1609万円(対前年比97.8%)、付加価値額は609万円(対前年比102.5%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は58.0%(対前年比96.8%)、同付加価値額比率は37.8%(対前年比104.8%)、同現金給与総額比率は20.7%(対前年比102.1%)となっています。

【1230 木製容器製造業(竹、とうを含む)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)竹・とう・きりゅう等容器製造業

2023年の竹・とう・きりゅう等容器製造業の事業所数は16事業所(対前年比100.0%)、従業者数は82人(対前年比98.8%)、製造品出荷額等は5億1900万円(対前年比104.0%)となっています。

【1231 竹・とう・きりゅう等容器製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)木箱製造業

2023年の木箱製造業の事業所数は462事業所(対前年比98.3%)、従業者数は5312人(対前年比96.6%)、製造品出荷額等は866億6000万円(対前年比93.7%)となっています。

【1232 木箱製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)たる・おけ製造業

2023年のたる・おけ製造業の事業所数は30事業所(対前年比100.0%)、従業者数は294人(対前年比104.6%)、製造品出荷額等は43億2200万円(対前年比126.9%)となっています。

【1233 たる・おけ製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【木製容器製造業(竹、とうを含む)の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【業種別データ】寝具・その他の繊維製品製造業の動向

寝具・その他の繊維製品製造業は、事業所数・従業者数がわずかに減少する一方で、製造品出荷額は前年比5.2%増と堅調でした。特に繊維製衛生材料(医療用ガーゼ・脱脂綿など)が前年比186%と大幅成長し、全体の伸びを牽引しています。寝具や毛布、タオルなどの主要分野は横ばいから微増で推移し、安定的な需要を維持していますが、原材料費比率の上昇により付加価値率が低下し、収益性には課題が見られます。総じて、成熟市場の中で高付加価値製品や衛生材分野が成長の鍵となる構造に移行している状況です。

1 業界動向

1)業界全体

2023年のその他の繊維製品製造業の事業所数は3247事業所(対前年比99.5%)、従業者数は5万2111人(対前年比98.9%)、製造品出荷額等は1兆193億6000万円(対前年比105.2%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は16人(対前年比99.4%)、現金給与総額は5000万円(対前年比102.8%)、原材料使用額等は1億8700万円(対前年比107.1%)、製造品出荷額等は3億1400万円(対前年比105.7%)、付加価値額は1億1100万円(対前年比102.4%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は314万円(対前年比103.4%)、製造品出荷額等は1956万円(対前年比106.3%)、付加価値額は691万円(対前年比103.0%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は59.5%(対前年比101.3%)、同付加価値額比率は35.3%(対前年比96.9%)、同現金給与総額比率は16.1%(対前年比97.3%)となっています。

【1190 その他の繊維製品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)寝具製造業

2023年の寝具製造業の事業所数は485事業所(対前年比99.2%)、従業者数は6781人(対前年比97.9%)、製造品出荷額等は1080億2400万円(対前年比100.3%)となっています。

【1191 寝具製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)毛布製造業

2023年の毛布製造業の事業所数は28事業所(対前年比96.6%)、従業者数は383人(対前年比97.5%)、製造品出荷額等は60億6800万円(対前年比100.0%)となっています。

【1192 毛布製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)じゅうたん・その他の繊維製床敷物製造業

2023年のじゅうたん・その他の繊維製床敷物製造業の事業所数は136事業所(対前年比99.3%)、従業者数は3776人(対前年比98.5%)、製造品出荷額等は1435億2200万円(対前年比105.0%)

となっています。

【1193 じゅうたん・その他の繊維製床敷物製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

5)帆布製品製造業

2023年の帆布製品製造業の事業所数は563事業所(対前年比99.6%)、従業者数は4975人(対前年比100.4%)、製造品出荷額等は832億4900万円(対前年比109.7%)となっています。

【1194 帆布製品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

6)繊維製袋製造業

2023年の繊維製袋製造業の事業所数は91事業所(対前年比95.8%)、従業者数は1315人(対前年比98.1%)、製造品出荷額等は199億7200万円(対前年比96.3%)となっています。

【1195 繊維製袋製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

7)刺しゅう業

2023年の刺しゅう業の事業所数は409事業所(対前年比99.5%)、従業者数は3122人(対前年比99.4%)、製造品出荷額等は211億7600万円(対前年比105.2%)となっています。

【1196 刺しゅう業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

8)タオル製造業

2023年のタオル製造業の事業所数は220事業所(対前年比100.5%)、従業者数は3363人(対前年比100.8%)、製造品出荷額等は605億5000万円(対前年比105.2%)となっています。

【1197 タオル製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

9)繊維製衛生材料製造業

2023年の繊維製衛生材料製造業の事業所数は114事業所(対前年比100.9%)、従業者数は5044人(対前年比100.0%)、製造品出荷額等は1650億2900万円(対前年比186.3%)となっています。

【1198 繊維製衛生材料製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

10)他に分類されない繊維製品製造業

2023年の他に分類されない繊維製品製造業の事業所数は1201事業所(対前年比99.7%)、従業者数は2万3352人(対前年比98.5%)、製造品出荷額等は4117億7000万円(対前年比107.1%)

となっています。

【1199 他に分類されない繊維製品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【その他の繊維製品製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【業種別データ】下着類製造業の動向

下着類製造業は、事業所数・従業者数が減少する一方で、出荷額や付加価値額は増加し、生産性は改善しています。内訳を見ると、織物製下着は大幅減少で縮小傾向にある一方、ニット製下着や寝着類、補整下着は出荷額が伸び、構造転換が進行中です。原材料比率は低下し付加価値比率は上昇しているものの、経営指標では売上高営業利益率がマイナスで、損益分岐点比率も100%超と、依然として多くの企業が厳しい収益環境に置かれています。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の下着類製造業の事業所数は318事業所(対前年比95.8%)、従業者数は7410人(対前年比95.9%)、製造品出荷額等は984億8700万円(対前年比103.6%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は23人(対前年比100.2%)、現金給与総額は5800万円(対前年比96.9%)、原材料使用額等は1億6300万円(対前年比106.0%)、製造品出荷額等は3億1000万円(対前年比108.1%)、付加価値額は1億3200万円(対前年比110.9%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は249万円(対前年比96.7%)、製造品出荷額等は1329万円(対前年比108.0%)、付加価値額は566万円(対前年比110.7%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は52.6%(対前年比98.0%)、同付加価値額比率は42.6%(対前年比102.6%)、同現金給与総額比率は18.7%(対前年比89.6%)となっています。

【1170 下着類製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)織物製下着製造業

2023年の織物製下着製造業の事業所数は67事業所(対前年比90.5%)、従業者数は899人(対前年比85.9%)、製造品出荷額等は71億4800万円(対前年比73.3%)となっています。

【1171 織物製下着製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)ニット製下着製造業

2023年のニット製下着製造業の事業所数は131事業所(対前年比99.2%)、従業者数は3305人(対前年比98.2%)、製造品出荷額等は492億900万円(対前年比108.7%)となっています。

(図表3)【1172 ニット製下着製造業】

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4)織物製・ニット製寝着類製造業

2023年の織物製・ニット製寝着類製造業の事業所数は39事業所(対前年比97.5%)、従業者数は462人(対前年比106.2%)、製造品出荷額等は60億7500万円(対前年比101.6%)となっています。

【1173 織物製・ニット製寝着類製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

5)補整着製造業

2023年の補整着製造業の事業所数は81事業所(対前年比94.2%)、従業者数は2744人(対前年比95.3%)、製造品出荷額等は360億5500万円(対前年比105.7%)となっています。

【1174 補整着製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【下着類製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【株主総会】手続きを削減し、株主総会を1日で終わらせる方法

1 株主総会の手続きは大幅に省略できる

定時株主総会(以下「株主総会」)の開催は株式会社の義務とはいえ、スケジュールを意識して手続を進めることは大変です。特に、オーナー企業の社長は、

日ごろからコミュニケーションをとっているのに、仰々しい株主総会が必要なのか?

などと考えるでしょう。

そのような社長に知っていただきたいのは、取締役と株主の同意を前提に、

株主総会の実務を大幅に省略し、「最短1日」で済ませることができる

ということです。具体的に省略できるのは、

取締役会の招集手続、取締役会の決議、株主総会の招集手続、株主総会の決議

となりますので、この記事で、そのための手続きを紹介していきます。

この記事で想定するのは、中小企業に多く見られる「非公開会社」で、機関設計は「取締役会・監査役設置会社」です。非公開会社とは、

全ての株式の譲渡について、会社の承認が必要となる旨を定款に定めている会社

のことです。

2 取締役会の招集手続や決議の省略

1)取締役の招集通知を省略

株主総会を開催する前に取締役会を開催し、

  • 株主総会の招集
  • 会社が作成した計算書類等の承認

についての決議をする必要があります。この取締役会を開催するのにも招集手続が必要ですが、

取締役と監査役の全員の同意がある場合、招集手続をせずに取締役会を開催

できます。例えば、取締役や監査役が出社していてその場で同意を得られる場合や社内チャットで呼びかけてすぐにウェブ会議で集まることができる場合、その場で会議をするように取締役会が開催できるわけです。

ちなみに、通常の招集手続を経る場合、開催日の1週間前まで(定款によって短縮される場合もあります)に招集通知を発送しなければなりません。

2)取締役会の決議を省略

取締役会の決議も省略できます。その条件は、

  • 取締役が、取締役会で決議したい内容を提案する
  • 提案された内容の議決に参加できる全ての取締役が書面やメールなどで同意する

ことです。これらが満たされた場合、その「提案を可決する旨の決議があった」とみなされます。このような決議を、一般的に”書面決議”といいます。

つまり、

取締役Aが「株主総会の招集」と「計算書類等の承認」をしたいことを書面やメールなどで提案し、他の取締役が書面やメールなどで同意した場合、取締役会の招集通知も決議も省略できる

ということです。

なお、書面決議を行う場合、注意点があります。監査役設置会社の場合、

監査役が、その提案に異議を述べていない

ことが求められます。上記の場合でいうと、取締役Aは監査役にも提案を送付して、異議がないかを確認する必要があります。

3 株主総会の招集手続の省略

通常、株主総会を開催するには、株主に書面やメールなどによる招集通知を発送しなければなりません。ただし、次の条件が満たされた場合については、株主総会の招集手続を省略できます。

  • 書面やメールなどによる議決権行使を認めない
  • 株主全員が同意する

例えば、株主が親族や経営陣のみである中小企業では、あらかじめ、株主全員の同意を得て、招集手続を省略することができます。

ちなみに、通常の招集手続を経る場合、

招集通知は、株主総会の1週間前までの発送が必要

です。より詳細にいうと、この1週間には、招集通知の発送日と株主総会の日を含まず、中1週間が必要です。

また、書面やメールなどによる議決権行使を認める場合、株主総会の招集手続を省略することはできません。この場合、

招集通知は、株主総会の2週間前までの発送が必要

です。

4 株主総会の決議の省略

株主総会では、取締役による議案の説明や株主による決議が必要ですが、これも省略できます。その条件は、

  • 取締役が、株主総会で決議したい内容を提案する
  • 提案された内容の議決に参加できる全ての株主が書面かメールなどで同意する

ことです。これらが満たされた場合、その「提案を可決する旨の決議があった」とみなされます。また、取締役が株主総会の報告事項について株主全員に通知し、株主総会への報告を省略することにつき同意を得た場合も、当該報告があったものとみなされます。このような決議も、前述した取締役会の場合と同じで、一般的に”書面決議”といいます。

ただし、株主間に対立がある場合などは注意しましょう。書面決議では、議決権を行使できる株主全員から同意を得る必要があるので、決議したい内容に反対する株主がいると、書面決議は成り立たないことになります。

このような場合、招集手続からやり直さなければならなくなる可能性があり、株主総会がスケジュール通りに行かなくなる恐れがあります。そのため、最初から書面決議によらず、実際に開催する前提で準備する必要があります。

5 残念! 株主総会議事録は省略できない

株主総会の終了後、会社は株主総会議事録を作成しなければなりません。結論から言うと、

株主総会議事録の作成は省略できない

ということになります。これは株主総会の書面決議を行った場合も変わりません。

なお、作成した株主総会議事録は、一定の期間、会社の本店(支店にはその写し)を備え置く必要があります。また、株主総会議事録は、役員の選任といった商業登記の申請手続において、添付資料として使用しますので、速やかに作成しなければなりません。

以上(2026年4月更新)
(執筆 石原法律事務所 弁護士 磯田翔)

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画像:Mariko Mitsuda

治療と仕事の両立支援ガイドブック(2026年5月号)

労働施策総合推進法の改正により、ことし4月から、事業場において労働者の「治療と仕事の両立」を支援するために必要な措置を講じることが努力義務となりました。人手不足対応や健康経営の要請が高まるなか、従業員が疾病を抱えながら働くケースは中小企業でも増えていますが、多くの企業では両立支援の制度設計が十分でなく、担当者が個別対応に追われがちです。そこで、厚生労働省の指針を踏まえた両立支援の制度設計をわかりやすく整理し、 実務上の留意点や就業規則への反映、 ケーススタディーを解説します。