【交渉術】交渉が上手な人に共通する要素とは?

1 交渉が成立する3つの要素

交渉とは、

相手との話し合いにより、ある取り決めを行うこと

であり、次の3つの要素がなければ成り立ちません。

  1. 交渉相手
  2. テーマと双方の主張
  3. 話し合い(暴力や脅しで屈服させることは有り得ない)

ビジネスでは社内外でさまざまな交渉が行われるので、ビジネスパーソンは交渉を有利に進めるためのスキルを身に付ける必要があります。以下で大切なポイントを紹介していきます。

2 ゼロサム型交渉とプラスサム型交渉

交渉には、ゼロサム型交渉とプラスサム型交渉とがあります。

  • ゼロサム型交渉:パイが一定で、その限られたパイの中で両者が取り分を争う
  • プラスサム型交渉:パイ拡大の可能性があり、双方の利益に結び付く条件を探る交渉

ビジネス上の交渉のほとんどはゼロサム型交渉であり、交渉自体は成立しても取り分の減ったほうには不満が残ります。そこで、交渉の構造がゼロサム型であると認識されたら、積極的にプラスサム型交渉へと転換を図るようにします。

3 交渉は事前準備が重要

1)交渉の全体プロセスとは

交渉の目的は、話し合いにより、互いにある合意点に達することです。ただし、交渉が1回で終結することはまれで、自分側と相手側とのやり取りを数回繰り返すことで合意に向かっていきます。交渉は、次の3つに分かれます。

  1. 相手の情報を収集し、交渉のシナリオを考える「準備(PLAN)」の段階
  2. 実際に自分と相手が同じテーブルで話し合う「交渉(DO)」の段階
  3. 話し合いの結果を見直して、譲歩する項目などを検討する「評価(SEE)」の段階

つまり、「準備(PLAN)」→「交渉(DO)」→「評価(SEE)」を繰り返しながら、合意を目指すことになります。以下はスムーズに交渉が進んでいるイメージですが、実際には交渉領域から飛び出すことも珍しくありません。

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交渉の開始時には、双方が「交渉によってどんなことが期待できるか」「どのようなものが得られるか」などを漠然と考えているため、双方の期待条件には隔たりがあります。それが、交渉が進むにつれて絞り込まれていきます。

2)交渉には事前準備が重要

「交渉が苦手」という人の多くは、交渉前に準備をほとんどしていません。実は、交渉がうまく、対外折衝や営業成績などが優れている人は、交渉の前に時間をかけて準備を行っているのです。ここに、交渉上手になるための大きなヒントが隠れています。仮に、交渉に臨むに当たって用意周到に準備した人と、ほとんど事前準備などをしていない人が交渉をしたらどうでしょう。交渉のプロセスは、間違いなく、用意周到に準備した人に有利に進んでいきます。

交渉に、9回裏2アウトからの逆転サヨナラホームランを期待してはいけません。得点を1点ずつ積み重ね、試合を有利に進めながら最終的には勝利するという、積み重ねのプロセスが求められるのです。この積み重ねのプロセスの第一歩が事前準備です。

4 交渉で優位性を保つための事前準備

1)情報収集は交渉の第一歩

相手のことを知らずして、交渉を有利に進めることはできません。事前に相手の性格、ビジネス環境、交渉担当者の立場や本音、相手企業の内部事情などの情報を収集します。また、自社の経営者や他部署の方針など、社内の情報も収集しておく必要があります。

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交渉では、自分で見聞きした「ナマの情報」を集めることも重要です。例えば、「交渉担当者の権限」です。高圧的な態度を取るのに、実はほとんど権限がないことがあります。この場合、権限を持っている担当者を早く交渉に巻き込まなければなりません。

2)相手の性格を知る

相手はどのような性格かという情報も入手したいものです。交渉はあくまでも「人対人」で行うものなので、相手の性格に合わせた対応が必要です。相手をタイプ別に分けて対応方法を考えます。とはいえ、初対面だと相手の性格が分からないので、1回目の交渉でこうした情報を頭に入れ、2回目以降の交渉に活かしていくことが大切でしょう。

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5 パワーバランスの確認

1)依存度を認識する

ビジネスでは、自分の置かれている立場や状況によって、相手との力関係が変化します。例えば、自分が買い手で「価格条件が合って購入する権限があれば有利」です。逆に、自分が売り手で、相手から「あなたの会社以外にも多くの選択肢がある」などと言われたら不利です。

こうした自分と相手との相対的な力関係のことを「パワーバランス」といいます。パワーバランスを客観的に把握することは、交渉を進める上で重要です。交渉におけるパワーバランスは、相手を必要とするかどうかという「依存度」によって変わってきます。交渉相手への依存度が低ければ自分は強気となり、交渉力は大きくなります。逆に、依存度が高ければ自分は弱気となり、交渉力は小さくなります。

この他にも、社会的な力も交渉力の源泉となります。例えば、企業規模や資産額、親会社、株主、取引企業、上場の有無などが交渉力に影響する可能性があります。業界での知名度なども同様です。

パワーバランスをもう少し分かりやすく説明しましょう。パワーバランスを分析した結果をまとめると、自分が「強気」か「弱気」か、相手が「強気」か「弱気」かによって分類されます。

2)自分優位なら「攻撃型戦略」

自分が優位な立場にあり、かつ交渉を決裂させる選択肢もあるなら、相手に譲歩を迫ったり、自社がさらに有利となる別の条件を提示したりすることができます。そのため、基本的に攻撃型戦略を取ります。

例えば、自社の特許をどうしても利用したいという相手との特許料を巡る交渉や、下請け企業や仕入れ先に納入価格の引き下げを求めたりする交渉などがこれに当たります。自分優位の交渉は簡単に思われますが、相手への要求が高過ぎると交渉が決裂する恐れがあります。

3)相手優位なら「防御型戦略」

相手が優位な立場にあるなら、自分は弱者の立場に置かれているわけですから、そのままでは譲歩を迫られてしまうでしょう。そのため、基本的には防御型戦略を取ります。

例えば、大口顧客から値引きを求められるケースです。こうした場合、データなどで具体的に値引きが難しいという裏付けを示して、相手に理解を求める方法があります。また、納期短縮など別の譲歩を示すことで、値引き要求をかわすことも可能です。

4)強気均衡なら「歩み寄り型戦略」

自分と相手が互いに強気で、交渉決裂時の被害が双方ともに小さい場合、相手の譲歩を引き出せなければ膠着状態に陥ります。この場合、双方の状況を認識した上で、互いに一歩ずつ歩み寄ることが必要です。

5)弱気均衡なら「双方譲歩型戦略」

どちらにも交渉を決裂させる選択肢がない場合、交渉が決裂しないように注意を払いながら、少しずつ本音を開示してより良い着地点を模索します。

6 交渉の実践ポイント

1)目的や限界点の設定

「交渉に何を望むのか」。交渉の目的を事前に定めます。そうしないと、相手からの提案に対して明確な回答や逆提案ができず、終始、相手のペースで交渉が進んでしまいます。当然、こちらから交渉を仕掛けていくこともできません。

また、「これ以下の条件では受け入れられない」といった譲歩の限界点を明確に設定します。そして、予想される相手の要求のうち譲歩できる項目をリストアップしておきます。

交渉を始めたときに、双方の期待値に大きな隔たりがあれば、交渉は行き詰まってしまいます。そのようなとき、こちらが譲歩できる項目がはっきりしていれば、交渉をスムーズに進めることができるのです。

2)交渉構造図を作ろう

自分と相手に複数の利害関係者が存在するなど、交渉の状況を把握するのが複雑なケースがあります。このような場合は、その交渉に影響を及ぼすことができる関係者を図にまとめると、交渉の構造が理解しやすくなります。

その際には、各登場人物間の影響を矢印などで示すとよいでしょう。登場人物の事情や本音などの情報を書き込んでおくと、交渉の全体像がさらにはっきりと見えてくるものです。

3)交渉のシナリオを作ってみよう

交渉の進め方についてシナリオを作ります。「最初にどの条件を提示するのか」「どの段階で譲歩を切り出すのか」「譲歩の代償として何を要求するのか」「対立を解消するためにどのような手段を講じるのか」といったシナリオを作ります。

交渉の場を想像しながら条件などを検討すると、頭の中が整理されてくるでしょう。実際に交渉を行う場合、作成した交渉のシナリオを参考にすると、相手との交渉をスムーズに進めることができます。

4)時間管理を徹底する

交渉のシナリオを作る際、タイムスケジュールを整備しましょう。ビジネスの交渉において、時間的制約を伴わない交渉はありません。シナリオを作る際には、初回訪問時から最終合意までのタイムスケジュールを策定しておくのです。

7 怖がらないで交渉に臨む

1)怖さを生む2つの原因

「課長が部長に『提案』する」というのは、日常的なビジネスシーンでよく見られます。ここでは提案という言葉を使いましたが、実際は「部下と上司による交渉」といってよいでしょう。

相手は同じ会社の人間であり、互いに性格や考え方もよく知っています。部下の立場からすると、パワーバランスは相手が優位です。部下のよりどころは「提案する事項について、相手より具体的かつ詳細な情報を持っている」ということだけです。

仮に、あなたが部下だとしましょう。あなたは上司よりも多くの情報をつかんでおり、その情報を根拠に上司にある提案をしています。上司との交渉に「怖がらないで臨む」ことができるでしょうか。相手が自分よりも上位者だから怖いという人もいますが、実はそれだけではありません。自分より上位者を怖がる気持ちとともに、「理解してもらえなかったらどうしよう」など、交渉が失敗に終わるかもしれないという結果について恐れを抱いているのです。

まとめると、「自分より上位者への恐れ」「交渉が失敗に終わるという結果への不安感」が交渉の強さを生む原因です。交渉に臨む際は、このことを認識しなければなりません。

2)結果よりプロセス

例えば、プロ野球選手は、ヒットやホームランという結果を望んでいるに違いありませんが、ヒットやホームランを打とうと思って打席に立ったところで、期待通りの結果が出るわけではありません。

打率3割は上々な成績ですが、逆にいうと7割も打ち損じています。「毎打席ヒットを打つ」といった結果ではなく、「ボールをバットの芯に当てる」といったプロセスを目的にしたほうが、ヒットにならなかった場合でもモチベーションを保てるわけです。

最も良くないのは、「凡打したらどうしよう」と考えながら打席に立ってしまうタイプです。このような考え方で良い結果が生まれるわけがありません。そもそもバットを振ることすらできないかもしれません。

交渉も同じです。交渉はプロセスの積み重ねであり、自分の置かれた立場を考慮に入れ、相手のメリットを見つけて提案し、1つ1つの事項で相手から納得を引き出すことで、交渉を自分に有利に進めることができるのです。

8 怖さの克服

先ほど、部下が上司に提案するケースに触れました。こうしたパワーバランスでの交渉の機会は、通常のビジネスシーンにおいても頻繁に訪れます。重要な交渉ほど、相手の地位や立場は自分よりも上位にあるといってもよいでしょう。

こうした場合、結果への不安だけでなく、相手そのものを怖いと感じてしまいます。上位者に対する怖さを克服しなければ、交渉を自分に有利に進めることはできませんが、どうすればよいでしょうか。

その対策として、まず「相手が納得する提案事項を多く持つこと」「相手より具体的かつ詳細な情報を持つこと」「相手を納得させるため、専門家の意見を収集しておくこと」が大切です。

次に、集めた情報や作成したシナリオを基に、頭の中でシミュレーションします。図表3の「交渉相手のタイプ別分類」を参考に、さまざまなタイプの相手を想定します。こうすることで、向かい合った相手の印象で怖がることが減るでしょう。

また、シミュレーションを行う際には、自分が提案する場面をイメージするだけでなく、相手の立場で提案を受けるシミュレーションもしておきます。事前に相手の立場でシミュレーションをしておくことで、相手の思考が読み取れるようになります。

さらに、交渉の経験が浅く、交渉に自信がないと感じているような場合、シミュレーションだけではなく、同期などに交渉相手の役割を演じてもらい、交渉の練習を行うとよいでしょう。「この部分の説明がうまくいくか心配」など自分が不安に思っている点や、苦手とする相手の特徴などを練習相手に伝えて、特にその部分に注意して交渉相手を演じてもらうと効果的です。

以上(2025年2月更新)

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イベントレポート GX経営WEEK【春】 2025/2/19~21開催

2025年2月19日水曜日~2月21日金曜日、東京ビッグサイトにて、RX Japan株式会社主催のイベント、

スマートエネルギーWEEK【春】、GX経営WEEK【春】

が同時開催されました。本展示会は、東京会場では春(2月)と秋(9月)の年2回、関西会場では11月の年1回行われる、企業向け脱炭素ソリューションやサーキュラー・エコノミー関連の製品が出展する展示会・商談会です。

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今回は水素燃料電池展や二次電池展など、大小含めて10の展示会が同時開催され、東京ビッグサイト内は大盛況!

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なかでも、GX経営WEEK【春】内の脱炭素経営EXPOでは、製造業、建築業ほかさまざまな業種の脱炭素経営に活用できる製品展示が軒を連ねます。

自家消費型太陽発電、バイオ燃料、粉砕機……脱炭素経営の必要性が叫ばれる今、企業の経営層、ESG・カーボンニュートラル推進部門担当者は、自社の脱炭素経営のヒントを得ようと、出展企業と盛んに意見交換を行っていました。

また、本展の基調講演

カーボンニュートラルの実現へ~企業に求められる脱炭素経営~

では、環境省 地球環境局 地球温暖化対策課 脱炭素ビジネス推進室長の杉井威夫(すぎい たけお)氏が登壇。

脱炭素経営とは、

気候変動対策の視点を織り込んだ経営のこと

です。2035年度までに温室効果ガスを2013年度比で60%削減するため、官民一体となって脱炭素経営を加速させることが求められています。昨年(2024年)のCOP29(国連気候変動枠組条約第29回締約国会議)、次期削減目標(NDC)など国内外の動向を鑑みると、

大企業のみならずサプライチェーン全体で脱炭素化を進める

ことが求められます。

杉井氏は、講演の中で、「脱炭素化の鍵は中小企業にある」と強調しました。

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中小企業は、人材不足やエネルギー負担など目の前の課題に直面し、脱炭素経営にまで手が回らないことが多い状況にあります。一方で、日本の企業の中では、中小企業が99.7%を占めること、また今年から2030年までの5年間、国際的な脱炭素への取り組みは加速的に進んでいくことから、日本の中小企業も脱炭素経営の必要性に迫られていることは紛れもない事実です。

国としても、脱炭素化に迫られる企業を支援する取り組みを開始しています。具体的には、

  • 脱炭素経営を知ることで取り組みを動機づけする…脱炭素経営のハンドブックを配布
  • 排出量の算定をする…算定ツールや見える化ツールの提供
  • 削減目標・計画の策定、脱炭素設備投資…削減計画策定支援(モデル事業の運営、ガイドブック策定配布)、脱炭素化に向けた設備更新への補助、ESG金融の拡大等

という3つのステップを踏み、脱炭素化を応援します。また、業界単位でカーボンフットプリントの基準を決めることや、地域ぐるみでの支援体制の構築なども行っています。

本展の盛況や杉井氏の講演からも分かるように、

脱炭素経営の主役は、大企業から中小企業へと変革

してきています。そして業界全体で脱炭素の基準が定められる以上、

脱炭素経営は単に「地球に優しい」だけではなく、自社の競争力となりえる

のです。

まずは知ること・測ること、そして、その結果を基に具体的な目標を制定していくことで、脱炭素化のスタートラインに立つことが重要です。

以上(2025年2月26日)

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【交渉術】なぜ、流ちょうに正論を話す人ほど交渉相手に嫌われてしまうのか?

1 交渉に勝つ秘訣は相手に選ばせること

ビジネスに交渉はつきものですが、なかなかうまくいかないことが多いです。冷静に双方の利益を考えられたらいいのですが、なぜか相手の意見には反発したくなります。心理学では、これを「心理的リアクタンス(抵抗)」と呼びます。

厄介なのは、心理的リアクタンスは相手が自分と同じ意見を言っていても生じることです。「わざわざあなたに言われなくても分かっているよ」といった具合ですが、皆さんも心当たりはありませんか。

とにかく、この心理的リアクタンスを突破することが交渉に勝つためには必要です。そのために大切なポイントは、

相手に「自分の自由が脅かされている」と感じさせないよう、自らの意思で意見を選択できる環境をつくること

です。以降で具体的に説明しますので、参考にしてみてください。

2 交渉相手の心理的な抵抗を和らげる方法

1)こちらが情報提示して、交渉相手が結論を出す

1つのケーキを争うことなく2人で分ける方法に、「1人が半分にカットし、もう1人が選ぶ」というものがあります。これと同じ考え方は交渉にも応用できます。

当社が交渉相手に情報(選択肢など)を提示し、交渉相手が自ら選択できるように導きます。交渉相手は「提示された情報を基に、自らの意思で選択した」と感じるため、心理的リアクタンスが発生しにくくなります。

交渉に慣れていないと、「早くまとめよう」と思うあまり結論を急ぎがちです。しかし、こちらが落としどころを提示していくと、交渉相手は結論を押し付けられたと感じます。あくまでも結論は交渉相手が導いたという状況が必要なので、例えば、

「御社の競合はこのサービスを導入していますが、御社は導入しないのですか?」

などと言って交渉相手に考えてもらい、実際に選択してもらいます。

2)ネガティブ情報をうまく伝える

問題はどのような情報を提示するかですが、具体的な方法には、

  • 一面提示:自社の主張に合うこと(または合わないこと)だけを伝える
  • 両面提示:自社の主張に合うことも、合わないことも伝える

があります。先の例で示すと次のようになります。

  • 一面提示:御社の競合はこのサービスを導入していますが、御社は導入しないのですか? 競合は大きな成果を上げていますよ
  • 両面提示:御社の競合はこのサービスを導入していますが、御社は導入しないのですか? 競合は大きな成果を上げていますよ。ただし、年間コストが高いですが……

一面提示は論点を絞り込みやすいので、交渉がシンプルになるメリットがあります。ただ、交渉相手もネガティブ情報をある程度は知っているはずですから、実際は両面提示をすることになるでしょう。ここで大切になるのが、

ネガティブ情報を提示する順番とタイミング

です。

例えば、最初にネガティブ情報を提示する場合、直後に「今、お話ししたデメリットをカバーする十分なメリットがあるので、お伝えします」といったように話を進めます。先にネガティブ情報を提示して誠実さをアピールしつつ、デメリットを打ち消していきます。

逆に、最後にネガティブ情報を提示する場合、「ここまでは良い話ばかりしてきましたが、実は、○○というデメリットもあります」といったような話の進め方です。交渉相手がこちらの提案に十分なメリットを感じている場合、「デメリットよりもメリットのほうが大きい」など、前向きな姿勢で検討してもらえるでしょう。

3)ユーモアを交える、同調する

多くの心理学者によって、

ユーモアには心理的リアクタンスの発生を抑制する効果がある

と認められています。交渉だからといっていきなり堅苦しい話をせずに、雑談から入ることも無駄ではないのです。

また、

交渉相手の意見を否定せずに、同調すること

も有効です。人は自分の意見を肯定してくれる相手には好意を抱きやすく、反対もしかりです。とはいえ、交渉相手の主張と反対の方向に導きたいシーンだと交渉相手に同調できません。このような場合は、趣味やファッションなど交渉とは関係のない別の部分で同調します。

3 自社の製品を売り込む際の話法

ここまでの流れを踏まえ、交渉の流れをシミュレーションしてみましょう。ここでは、自社の「ペーパーレス化の支援サービス」を取引先の社長にお勧めするシーンを想定します。

自社:御社のDX(デジタルトランスフォーメーション)は進んでいますか?

相手:いや、どこから手をつけるべきか悩んでいるよ。

自社:中小企業はペーパーレス化から始めるケースが多いですよ(情報提示)。

相手:ペーパーレス化ね~。それはDXといえるの?

自社:確かに、そういう意見も多いです(同調)。ペーパーレス化は昭和な感じで、我々世代にはなじみ深いですが(笑)(ユーモア)。

相手:ははは。そうだね、イメージが湧きやすい。

自社:実際、多くの中小企業がペーパーレス化をDXの足掛かりにしています。この動きはますます活発になるでしょう。

相手:うちの同業も始めたらしい。古臭い会社と思われるのも心外だし。

自社:会議の議事録のデータ化や電子契約から始めるケースが多いです(情報提示)。

相手:なるほど。確かにうちも会議は多いな。

自社:当社の取引先は、この取り組みで80%も紙を削減しました(情報提示)。

相手:80%も削減したのか。すごいな!

自社:当社のサービスをご利用いただければ、セキュアに議事録を保管できます。そこから始めて、少しずつペーパーレス化の範囲を広げ、DXにつなげていくのはどうでしょうか?

相手:まずは始めてみることが大切ということだね。

自社:はい。ペーパーレス化自体にそれほど大きな効果はないかもしれませんが、DXの一歩を踏み出すという意味ではとても有意義です(両面提示)。

相手:そうだな。よし、やってみよう!

以上(2025年2月更新)

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2025年施行の改正法対応 産休・育休の実務ガイド(2025年3月号)

昨年、改正された「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」が、ことしの4月と10月に分けて施行されます。本冊子では、改正内容も織り込みながら、従業員が産休や育休を取得したり、仕事と育児の両立支援制度を利用したりする際の実務について、規定例などを交えて解説します。


【業務効率化】FAXでの「紙」のやり取りをなくすには?

1 FAXで「紙」をやり取りするのは非効率

FAXでのやり取りは、「使い慣れているから」「相手に合わせないといけないから」といった理由で、なかなか見直しが進みにくい業務フローです。

特に、見積書や注文書など受発注に関する書面をFAXでやり取りする商習慣が根強い業種では、一足飛びにFAXでのやり取りを廃止するのは難しいかもしれません。しかし、

「紙」のやり取りをなくすだけなら、自社の環境を変えることで実現可能(PC-FAXやインターネットFAXを利用するなど)

です。その上で、FAXを他の手段に切り替えられないか、検討してみてはいかがでしょうか?

2 「紙」のやり取りをなくす方法

1)既存の複合機のPC-FAXを利用する

PC-FAXは、ネットワーク接続対応の複合機とパソコンとを連携してFAXを送受信する機能です。既にネットワーク接続対応の複合機があるのに、PC-FAXを使いこなしていないだけならば、複合機メーカーのマニュアルやサポートサービスを頼りに、比較的容易に設定できます。

FAXを送信する際は、パソコンから印刷するのと同じ手順で、文章や画像などのファイルをそのまま送信データとして選択できます(紙の文書を読み取って送信することもできます)。また、受信したFAXは、PDF形式などのファイルに変換され、所定のフォルダに保存したり、メール添付で所定のメールアドレスに転送したりできます。

従前と同様、電話回線(FAX回線)を使うため、その分の通信費はかかりますが、印刷しなければ紙やインク、トナー代(印刷費)を抑えられます。

なお、社外から社内のネットワーク環境にアクセスするためには、VPN接続やリモートデスクトップを使うなど、PC-FAXとは別に設定が必要です。

2)新たにインターネットFAXを利用する

インターネットFAXは文字通り、インターネットを通じてFAXの送受信を行うサービスです。サービス提供会社からFAX番号を取得し、メールアドレスを登録すると、そのメールアドレスを使ってFAXを送受信できるようになります。

FAXを送信する際は、登録したメールアドレスから、文章や画像などのファイルを添付して送信します。また、受信したFAXは、PDF形式などのファイルに変換され、添付ファイルとして登録したメールアドレスに届きます。

電話回線(FAX回線)を使わないため、その分の通信費はかからず、FAX機や複合機がなくてもFAXを使えるようになります。印刷しなければ紙やインク、トナー代(印刷費)を抑えられます。例えば、次のようなサービスがあります。

■アクセルコミュニケーションズ「メッセージプラス」■

https://www.messageplus.jp/

■エディックワークス「faximo(ファクシモ)」■

https://www.edicworks.com/service/faximo/

■Karigo「秒速FAX」■

https://fax.toones.jp/

■グラントン「03FAX」■

https://03plus.net/03fax/

■j2 Global Japan「eFax」■

https://www.efax.co.jp/

■日本テレネット「MOVFAX(モバックス)」■

https://movfax.jp/

■ヤマトシステム開発「どこでもMyFAX」■

https://www.nekonet.co.jp/service/dokodemo-myfax

3 FAXに代わる他の手段

1)「中小企業共通EDI標準」の利用を検討する

EDIは、Electronic Data Interchange(電子データ交換)の略語で、主に企業間(BtoB)の電子商取引で利用されるため、「企業間電子データ交換」ともいわれます。

受発注や納品を行う際、紙の帳票や請求書などを発行するのではなく、専用回線やインターネットを通じて電子データをやり取りするシステムで、データをやり取りする企業間で標準化された書式を利用します。紙の書類を作成しなくてよいので、データで管理でき、業務の効率化や経費の削減を図ることができます。

「中小企業共通EDI標準」は、中小企業庁の委託事業(受託者:ITコーディネータ協会)として2018年3月に初版が公開されたクラウドサービスで、それ以来、バージョンアップが重ねられています。同事業に参加したITベンダーを中心に結成された「つなぐITコンソーシアム」の会員企業などが、対応製品・サービスを開発、提供しています。

■ITコーディネータ協会「中小企業共通EDIポータルサイト」■

https://www.edi.itc.or.jp/

■つなぐITコンソーシアム■

https://tsunagu-cons.jp/

2)WEB受発注システムの利用を検討する

WEB受発注システムは、従来行っていた紙や電話などでの受注業務(伝票処理)、FAX・電子メール・電話での発注業務などをシステム上で完結できるサービスです。

受発注業務は業種や企業によって違いがあり、システムに求められる要件もさまざまです。請求管理、在庫管理など関連する管理業務との連携がうまくできるかどうかが重要といえるでしょう。例えば、次のようなサービスがあります。

■アイル「アラジンEC」■

https://aladdin-ec.jp/

■アクロスソリューションズ「MOS」■

https://www.mosjapan.jp/

■インフォマート「BtoBプラットフォーム 受発注」■

https://www.infomart.co.jp/asp/index.asp

■オザックス「マルチプラットフォームシステム」■

https://www.ozaxitlab.jp/products_search/list002/item_1

■CO-NECT「CO-NECT」■

https://biz.conct.jp/

■ラクス「楽楽販売」■

https://www.rakurakuhanbai.jp/

■ラクーンコマース「COREC」■

https://corec.jp/

4 便利なサービス 比較のポイントは?

1)使いやすさ

本格導入した際に今まで通りの流れで業務が遂行できるかどうかがポイントです。トライアル期間が設けられているサービスも多いため、直感的に操作できるか、機能が多く複雑過ぎないかなど、使い勝手を確認しましょう。

2)セキュリティー

インターネットFAXなどのウェブサービスを利用する場合、情報漏洩対策がしっかり取られているかがポイントです。不正アクセスやマルウエアへの感染対策などを事前に確認しましょう。

以上(2025年1月更新)

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【開催終了】ディスカバー農村漁村の宝 地方サミットin四国 開催!

3月10日(月)徳島グランヴィリオホテルにて「ディスカバー農村漁村の宝 地方サミットin四国」が開催されます!(主催:「ディスカバー農村漁村の村」事務局)
本サミットでは、四国四県で地域資源を活かして活躍している高校生に参加いただき、事例発表、パネルディスカッション及び交流会を行います。高校生達の地元に対する熱い想い、地域課題解決のヒントが聞ける場となっております。
一次産業に携わっている方はもちろん、それ以外の方も、地方の未来を考える良い機会と思いますので、ご興味のある方はぜひご参加ください!


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【開催概要】

  • 日時 令和7年3月10日(月) 14:00~17:30
  • 会場 徳島グランヴィリオホテル「グランヴィリオホール」
  • 申込 定員:150名 申込締切:令和7年3月7日(金) 14時まで

https://qa.nta.co.jp/Q/auto/ja/59825001/discsummit/
定員になり次第、締め切りとさせていただきます。

  • 主催 「ディスカバー農村漁村の宝」事務局
  • 問合せ先 中国四国農政局農村振興部都市農村交流課
    担当者:大塚、池田、篠原、石見
    代表:086-224-4511(内線2164、2158、2526、2576)
    時間外:086-224-9408

ターゲット顧客を明確化する「ペルソナ」設定の手引き

1 「ペルソナ」でターゲット顧客を明確化する効果

「ターゲットを絞り込んで活動する」というのはマーケティングの基本ですが、そのターゲット像が曖昧だと、方針がブレてしまったり、個人間や部署間で認識の食い違いが生まれてしまったりします。

こうした場合、一貫したターゲットを意識して製品やサービスを生み出すため、「ペルソナ」を設定するという方法があります。

ペルソナ(Persona)とは、企業が提供する製品・サービスにとって最も重要で象徴的な顧客モデルのこと

です。イメージは図表1の通りです。

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図表1のように、ペルソナは自社が売り出す製品やサービスの、想定するターゲット層の中の1人を、架空の顧客としてプロフィール化して設定するものです。ペルソナを設定することでターゲット顧客は明確化され、それを社内で共有することによって、

顧客の立場に立って「他とは違う」製品やサービスの提供を行う

ことが可能になります。自然と、競合他社との差異化も図れるようになるでしょう。

例えば、自動車メーカーが新型SUVを開発しようとしたときに、ターゲット層を「25~35歳の男性」と設定した場合よりも、「25~35歳の男性で、ファッションに関心があってアウトドア好き」と深掘りしたほうが、ターゲット層がよく使用するSNSでの広告や、アウトドアブランドとのタイアップイベントなど、より効果的な製品PRを検討することができるでしょう。

以降で、顧客のイメージ像をつかむのに有用な「ペルソナ」の設定方法を解説していきます。

2 ペルソナ設定は5つのステップで行う

ペルソナ設定時に必要な要素は、基本的には図表2の通りです。

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これらの要素に加えて、目的に合わせて項目を追加してもよいですが、要素が増え過ぎると複雑で記憶に残りにくくなるため、詰め込み過ぎないようにするのもポイントです。要素を集めたら、次のような手順でペルソナを設定していきます。

1)設定目的の確認・共有:誰と・何のためにペルソナを作るのかを決める

2)情報収集:ペルソナに必要な情報を集める

3)「スケルトン」の設定:ペルソナの骨組みを作る

4)面接調査の実施:リアルな情報で肉付けを行う

5)ペルソナの決定・周知:ペルソナを定着させる

3 (ステップ1)設定目的の確認・共有~誰と・何のためにペルソナを作るのかを決める

「ペルソナの設定」は、目的を達成するための手段です。目的によって理想のペルソナ像は異なるので、設定する目的を明確にする必要があります。例えば、

  • 顧客に刺さる新製品の開発
  • ターゲット年齢層に合わせた製品の改良

などが挙げられるでしょう。

ペルソナ設定の際には、関連部署から最低1人ずつはチームに参加してもらい、設定目的の明確化と共有を行いましょう。ペルソナ設定時の客観性を維持するためにも、そして連携を図るためにも、チーム内だけでなく部署間でもペルソナのイメージを共有することが重要です。

4 (ステップ2)情報収集~ペルソナに必要な情報を集める

ペルソナの基礎となる情報を収集します。特定の情報源を参考にするのではなく、幅広い情報源から多くの情報を収集しましょう。例えば情報源は、図表3のように分類されます。

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1次データと2次データを組み合わせたり、比較したりして要素を拾っていくと良いでしょう。例えば顧客を対象とした調査で「最近は30代男性の売れ行きが好調」とあれば、過去に実施した調査とターゲットの年齢層がズレていたとしても、ペルソナへの要素の組み込みを一考する価値があります。

5 (ステップ3)「スケルトン」の設定~ペルソナの骨組みを作る

収集した情報に基づき、ペルソナの骨組みとなる「スケルトン」を設定します。

スケルトンとは、ペルソナを特徴づける要素を箇条書きにしたもの

です。

収集した多数の情報を統合していくために取られる比較的簡単な方法として、KJ法(親和図法)があります。

KJ法とは、調査結果から得られた特性を付箋などに書き出し、それらを関連するグループ同士にまとめていくことで整理する方法

です。例えば、図表4のようになります。

画像4

また、性別や購入頻度など顧客特性が明らかに異なる場合は、事前にカテゴリーに分類した上で、それぞれの情報をKJ法によって整理していくことをおすすめします。

整理した情報を基にスケルトンを設定しますが、この段階では、無理に1人のスケルトンにまとめる必要はありません。設定するペルソナは1人とは限らないので、「現在のターゲット顧客」「今後取り込みたい顧客」といったように、スケルトンが複数あっても問題ありません。

6 (ステップ4)面接調査の実施~リアルな情報で肉付けを行う

スケルトンをペルソナに落とし込むときには、データのみでは分かりづらいリアルな情報を収集する必要もあります。そのために、「面接調査」を実施するのも一策です。

面接調査とは、ペルソナ像に近い実際の人物を対象に行う、インタビュー形式の調査

のことです。調査の際に、その場で自社製品を使ってもらうことで、製品の長所や短所を「本音で」聞き取ったり、想定していなかった使い方などを発見したりすることもできます。

面接調査を行う際には、スケルトンを基に簡易的なペルソナを設定し、調査が必要な項目を洗い出してから臨むと良いでしょう。面接調査中には必要な項目を調査するのに加えて、設定したペルソナの妥当性を確認することも大切なポイントです。

また、面接調査の効果的な進め方として、「師匠と弟子」と呼ばれる手法があります。この方法は調査対象者が師匠、調査担当者が弟子のようになり、調査対象者には普段通りに行動してもらい、行動について不明な点があれば、「なぜ、そうしているのですか」と質問を投げかけることで、調査対象者が無意識に行っていることの理由などを明らかにしていくもので、よりリアルなペルソナを設定するために有用です。

面接調査を終えたら、結果を基に情報の追加・修正などを行います。

7 (ステップ5)ペルソナの決定・周知~ペルソナを定着させる

最後に、設定したペルソナの中から、自社が優先する順位に沿って、活用するものを決定します。ペルソナを複数にする場合は、数が多過ぎると顧客像がブレてしまうので、2~3人程度に絞り込むようにします。また、メイン・サブなど優先順位も決定しておくとよいでしょう。

決定したペルソナは、全社員や関係部門などに公表し、共有化します。ペルソナの役割や内容などに関する説明会や、社内報などで周知することも効果的です。

関係者がターゲット顧客について話をする際に、

「ターゲット顧客は……」ではなく「○○さん(ペルソナの名前)は……」とペルソナの名前を主語にするようにする

と、関係者の間でさらにペルソナの認知が進みます。顧客像を見失いそうなときには常にペルソナに立ち返る雰囲気ができていれば、共有化が進んだ一つの目安といえるでしょう。

また、常に変化する顧客のニーズに合わせて、適宜ペルソナの内容を修正したり、顧客像が大きく変化した場合などには、廃棄したりする必要も生じます。ペルソナ設定チームの中で、別途メンテナンスや廃棄の担当者を決めておきましょう。

8 (最後に)ペルソナの精度をさらに高めるには

現在では、

ペルソナ設定の際、簡単なものであれば、オンラインのツールを使ってみるのも効果的

です。

各社が提供しているオンラインのアンケートなどは、例えば「質問数×アンケート回答者数×10円」など少額から行えるものもあり、予算と相談しながら調査を行うことができます。

簡単なアンケートで顧客の傾向をつかみ、より深く顧客を理解したくなった場合には、オンラインのインタビューや、特定の業界に特化した専門家とのマッチングプラットフォームなども検討してみると、ペルソナの精度をさらに高めることができるでしょう。

以上(2025年2月更新)

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画像:Nuthawut-Adobe Stock

【入社1年目の教科書】これからの時代を賢く生き抜く資産形成。まずは基本を押さえよう

書いてあること

  • 主な読者:金融教育をしっかり受けていない世代の新入社員
  • 課題:「貯蓄から投資へ」などと言われても、何をどうしたらいいのか分からない
  • 解決策:王道は「長期・積立・分散」投資。信頼できるウェブサービスで基本を知る

お給料が入ったぞ! 欲しいものを買って、友達と遊びに行って、家賃を払って、親に何かプレゼントして。少しだけど残ったお金どうしようかな。ひとまず銀行に預けておけば安心だと教えられてきたけど、今って金利はどれくらいつくのだろう。最近、資産運用を勧められることが多いけど、それってお金持ちがすることじゃないの?

1 預けたお金は何年後に2倍になる?

早速ですが問題です。直感で答えてみてください。

金利0.002%で10万円を預金したら、倍の20万円になるのは何年後でしょうか?

10年後? 50年後? もしかして100年後? 答えはいろいろ出てきそうですが、参考にできるのが投資の世界でいわれる「72の法則」です。法則の使い方はとても簡単で、

72を金利の数字で割れば、元金が倍になるまでのざっくりとした年数が分かる

というものです。では、0.002で割ってみたらどうなるかというと、答えはなんと驚きの

3万6000年後

になります。お給料を銀行に預金しておけばコツコツと増えるという時代は変わりました。自分で稼いだお金をしっかり管理・運用するための金融リテラシーを、しっかりと身につけていきましょう。

なお、以降で紹介するのは情報提供のみを目的とするものであり、取引の申し込みや勧誘、あっせん、推奨、助言、金融商品を含む商品やサービスの販売等を目的として提供されるものではありません。

2 資産運用の王道は「長期・積立・分散」投資

投資にリスクはつきもので、株式や投資信託などの金融商品には「元本割れ」のリスクがありますが、「リスクはリターンの源泉」でもあります。資産運用の王道と言われる「長期・積立・分散」の3つの投資手法を見ていきましょう。

1)長期投資

短期間で売買を繰り返さずに、長期にわたって金融商品を持ち続けます。短期間で売買するときは、値上がりによって大きく収益を得ることもあれば、値下がりによって大きく損失を被ることもあります。投資期間を長くすることで、運用成績の悪い時期と良い時期がならされ、平均的な収益率は安定する傾向があるといわれます。

また、運用で得られた利益を投資元本に加えて再投資をすることで、「複利の効果」が働きやすくなることが期待されます。

2)積立投資

1つの金融商品を定期的に一定の金額ずつ継続して購入するものです。少額からでも投資ができ、一度設定しておけば自動的に継続が可能です。また、投資タイミングによって高値づかみしてしまうリスクも抑えられます。

3)分散投資

投資の対象とする金融商品について「資産・銘柄」「国・地域・通貨」「時間(タイミング)」を分けて購入するものです。1つに集中して投資をすると、運用がうまくいっているうちは良いかもしれませんが、うまくいかなくなった場合に大きな影響を受けます。投資の対象とする金融商品をいくつか組み合わせることで、価格変動などのリスクを抑えられます。

覚えておきたいのは、

  • 資産運用は少額でも早く始めて地道にコツコツ続けるほうが最終的に得られるリターンが大きくなる可能性が高い
  • ローリスク・ハイリターンは、まずもって無い

ということです。

3 預貯金・債券・株式・投資信託の特徴

投資の対象となる代表的な金融商品といわれる「預貯金」「債券」「株式」「投資信託」の特徴を紹介します。

1)預貯金

預金(銀行や信用金庫などに預けている日本円)と貯金(ゆうちょ銀行に預けている日本円)は、必要なときに引き出すことができ、万一、金融機関が破綻しても預金保険の対象として1000万円まで(とその利息)は全額保護されます。普通預金の金利は、0.001%ほどで、預けていてもさほど増えません。

外貨預金は、日本円を、米ドルやユーロなどの外国の通貨に替えて預け入れる「預金」です。定期で預ける「外貨定期預金」を指すことが多いですが、最近では普通預金を外貨で預ける「外貨普通預金」もあれば、外貨建ての預金を扱っている金融機関もあります。運用後、円に替える時の為替レートが預け入れた時より円安になっていれば為替差益が生じます。逆に円高になっていれば為替差損が生じ、円建ての金額は預け入れた時より減ることもあります(外貨での元本は保証されます)。外貨預金は、預金保険の対象にはなりません。

2)債券

国が発行する国債、地方公共団体が発行する地方債、株式会社などが発行する社債といった「債券」は、利子を支払う時期や利率、満期日があらかじめ決められており、満期日に購入した元本(額面金額)が払い戻されます(償還といいます)。

債券の発行者が破綻するとお金が返ってこない恐れがあるため、格付け会社が、発行者の信用力によって債券を格付けします。収益性は、一般的に預貯金よりも高く、株式より低くなります。満期日前に売却して現金化できますが、金利などの影響を受けて価格が変動し、売却価格が額面を下回って元本割れとなる可能性もあります。

3)株式

株式会社が発行する「株式」は、会社が利益を上げるとその一部を配当として株主に還元します。「この会社は成長しそう」と多くの人が思い、株式を購入したがると株価が上がります。購入時よりも株価が上がったタイミングで売却することで利益を得ることもできます。一方、会社の業績が下がると、一般的には株価も下がります。会社が破綻してしまうと株式の価値はゼロになります。株式は比較的簡単に売却して現金化できますが、手元に現金が入るまでは時間がかかります。

4)投資信託

投資信託は、多くの人からお金を集めて、専門家である資産運用会社が株式や債券などに運用するもので「ファンド」ともいいます。運用により利益が出ると配当として、また値上がり益を分配金として保有者に還元します。少額から投資できるものも多いですが、収益性(どれだけ利益が期待できるか)や安定性(どれだけ元本割れしないか)は投資信託が何にどれだけ投資しているかによります。株式同様、比較的簡単に売却して現金化できますが、手元に現金が入るまでは時間がかかります。

4 金融リテラシー向上に役立つサイト

今では、高校の家庭科で「金融教育」を受ける機会がありますが、それ以外にも政府や関係機関(金融庁、金融広報中央委員会、金融経済教育推進会議など)が提供しているウェブサイトがあります。代表的なページをいくつか紹介します。

■「金融リテラシー」って何? 最低限身に付けておきたいお金の知識と判断力■

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201404/1.html

■金融庁×うんこドリル うんこ お金ドリル 全年齢対応■

https://unkogakuen.com/manabi/money

■金融庁「基礎から学べる金融ガイド」■

https://www.fsa.go.jp/news/r5/sonota/20231225/20231225.html

■金融庁「NISA特設ウェブサイト」■

https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/

■お金の知恵を学ぶリンク集 ~金融学習ナビゲーター~(若年社会人向け)■

https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/navi/select_default.html?a=7

■ライフプランシミュレーション 生活設計診断■

https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/sindan/

■動画で学ぶお金の知恵「マネビタ」■

https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/e-learning/

5 金融トラブルに注意!

金融トラブルについて知ることも金融リテラシー向上のために大切です。SNSなどを利用した暗号資産の取引や投資を持ち掛ける詐欺や、偽メールや偽サイトによるフィッシング詐欺や架空請求詐欺など、金融トラブルの手口は多様化しています。

例えば、SNSなどで知り合った人からいきなり投資を勧誘されたりしたら要注意です。金融庁のウェブサイトではトラブルの例や相談先が紹介されているので確認してみてください。

■金融庁からのお願い・注意喚起■

https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/chuui.html

以上(2025年1月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

「維新の三傑」と称される西郷隆盛。敵陣に向かう際の決意の言葉に隠された、交渉の極意とは?

「赤心を腹中に置く」

西郷隆盛氏は、幕末に討幕の指導的役割を果たし、大久保利通氏,木戸孝允氏とともに「維新の三傑」と称され、明治新政府でも政治家、軍人として活躍した人物です。

冒頭の言葉は、幕末に薩摩藩が長州藩と敵対した「第一次長州征伐」の折、西郷氏(薩摩藩)が高杉晋作(長州藩)率いる奇兵隊の本陣に、降伏を求める交渉に出向くときに発したものです。西郷氏の言う「赤心を腹中に置く」とは、誠意をもって接すれば自分の心は通じる、という意味で、古代中国の武将・劉秀(りゅうしゅう)が、捕虜の中を無防備に巡回し、信頼を得た故事に由来しています。このときの薩摩藩は、海外から最新鋭の武器を仕入れて戦いに臨んでいて、長州藩よりも有利な立場にありました。しかし、西郷氏は、あえて護衛2人だけを連れ、敵陣に赴いて降伏を勧めるという危険な策に打って出たのです。

西郷氏の行動には理由がありました。当時のアジアは欧米諸国による植民地化の危機にさらされ、日本が諸外国に付け入る隙を与えないためには「内戦の長期化による国力の消耗」を避ける必要があったのです。とはいえ、長州藩も引くに引けない状態。薩摩藩は長州藩に対し、「五卿」という朝廷の重要人物を長州藩の外に移転させるよう求めていましたが、朝廷を尊び「勤王」を掲げる長州藩にとって、この要求をのむのは自分たちの存在意義を否定するに等しいことでした。

だからこそ西郷氏は、薩摩藩を憎み下手をすれば自分を殺しかねない高杉晋作の前にあえて出ていくことで、自分がこの交渉にどれだけ本気かを示しました。その上で「五卿の移転を認めれば、軍を引き上げる」という、相手に有利な条件を提示し、これにより長州藩はついに降伏を認めました。赤心をもって、相手に歩み寄る姿勢を見せることで、「日本の国力を維持する」という西郷氏の大義は果たされたわけです。

ビジネスでも、相手との交渉で譲れない部分が出てくるケースはよくあります。特に社運が懸かかった重要な商談などでは、何とか自社の利益を守らなければと頑固になってしまうかもしれませんが、そういうときこそ大義の見極めが大切です。「本気で御社とこの事業を成し遂げたいと思っています。だから、この部分については御社に有利な条件にします」など、自社が本当に成し遂げたいことのために、自ら相手に歩み寄り、時には大きな譲歩を見せながら腹を割って話す。そうすることで自社の本気が相手に伝わるでしょう。

もっとも、大義のためだからと何でも譲歩していたら交渉は成功しません。西郷氏が危険を冒してまで敵陣に赴いたのには、「この機会を逃せば、薩摩藩は今度こそ長州藩を倒しに来るぞ」とプレッシャーを与える意味もありました。相手に「この会社と取引しないのは損だ」と思わせた上で、歩み寄る姿勢を見せることが大切なのです。

出典:「幕末・男たちの名言-時代を超えて甦る『大和魂』」(童門冬二(著)、PHP研究所、2007年2月)

以上(2025年2月作成)

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画像:拓也 神崎-Adobe Stock

【書籍ダイジェスト】『映画の切り札 ハリウッド映画編集の流儀』

本書では、ハリウッド映画界で活躍する現役の日本人編集者である著者が、直近の仕事の様子を描きつつ、これまでに培ってきた映画編集の技法や哲学、編集者としての姿勢を伝えている。
映画製作においては「監督」が絶対的な権力を握っていると思いがちだが、より良い作品を生み出すためには編集者と監督とが切磋琢磨することが大切であり、編集者は監督へ「選択肢」を与えるために編集にのぞむのだという。

書籍ダイジェストは、こちらからお読みいただけます。pdf