部下のやる気を高める上手な褒め方のポイントは「あいうえお」

書いてあること

  • 主な読者:部下を「褒める」ということに本気で向き合いたい中堅社員
  • 課題:褒めるのが苦手だし、そもそも褒めるようなことを部下はしていない?
  • 解決策:愛情を持つ、言い方に注意する、上から目線にならない、影響に配慮する、同じ基準で叱る

1 褒めるべきだったのか……

「課長から指示された会議資料の確認をお願いしたいのですが……」。中堅社員のAさんに、部下である入社1年目のBさんが声をかけました。「分かりました。15時までには確認するよ」とAさんは答えました。

資料に一通り目を通し、問題がないことを確認したAさんは、Bさんに、その旨を伝え、課長に資料を提出するよう指示をしました。

その後、Bさんが作成した資料を手にした課長の反応は、Aさんには意外なものでした。課長は資料に目を通しながら、「今回の会議の議題の中心となる●●が一目で分かるようになっていて、よく出来ているじゃないか! よくできてる」と、普段は厳しい課長が満足そうな笑顔でBさんの仕事を褒めたのです。また、そんな課長の表情を見たBさんもうれしそうに「ありがとうございます。次も頑張ります!」と元気よく答えました。

その様子を見たAさんは「課長が言っていることは資料作成の基本中の基本だよな。べつに褒めるようなことではないと思うんだけど……」と。

2 褒めることの効果

中堅社員になって部下を持つと、指導の一環で部下を褒めることが大切になってきます。褒める一番の目的は、「部下の成長を促すこと」です。上司から褒められることで、部下は自分の考え方や仕事の進め方などが正しいことを認識し、仕事に対して自信を深めるきっかけになります。また、自分が会社や部署に貢献できていること、また、会社や部署が自分を必要としていることを実感する機会にもなります。

そして、褒められることで得た自信や充実感は、仕事に対するモチベーションや、会社や部署に対する貢献意欲を高める効果があり、それが、部下の成長の原動力となるのです。

とはいえ、「褒め言葉を掛けさえすればよい」ということではありません。こうした効果を高めるためには、上司は正しく部下を褒めなければなりません。

3 「褒めるところがない」は、上司の責任

部下について「褒めるようなことは、それほど多くない」と言う上司が、しばしばいます。しかし、それは部下ではなく、「褒めるところを見つけられない」上司自身に問題があります。もし、そう感じている人がいれば、次の2つの点について振り返ってみてください。

1つ目は、部下の仕事ぶりを自分(上司)基準で評価していないかということです。褒めるべき点は、部下基準で評価しなければなりません。当然のことのようですが、こうしたことは意外と見落とされがちです。

もう1つは、常に部下に対して気を配っているかということです。部下は、部下なりに、常に努力し、創意工夫をしながら、仕事に取り組んでおり、褒めるべき点は必ずあるはずです。

そうした部下の姿に気が付いていない(=褒めるところがない)のであれば、それは、部下の言動に対して、しっかりと気を配っていないということであり、上司失格を意味するものです。「褒めるところがない部下はいない」。そういう気持ちで、今一度、部下の言動に注目するようにしましょう。

4 上手な褒め方の「あいうえお」

1)「あ」:愛情を持つ

褒めるということは、単に「褒め言葉を掛ける」ことではありません。その言葉に、上司の思いがこもっているか、単なるうわべだけの言葉なのかは、部下は敏感に感じ取ります。そして、うわべだけの褒め言葉では、部下のモチベーションや貢献意欲は高まりません。むしろ、うわべだけの褒め言葉では、上司に対する失望感を与えるだけであり、逆効果になることを覚えておきましょう。

2)「い」:言い方は具体的にする

同じ内容について褒める場合でも、言い方次第で部下の成長度合いは違ってきます。例えば、難しい仕事を成し遂げたとしましょう。その部下を褒める際、「よく頑張った」といったように、漠然と褒めるだけでは、部下の成長にはつながりません。「●●について工夫をした点が良かった」といったように、良かった点などを具体的に褒めることで、はじめて部下は何が良かったのかを理解し、次に生かすことができるようになります。

3)「う」:うれしさを共有する

褒めることがあるということは部下の成長の証しであり、それは、部下に期待を寄せ、成長を願っている上司にとっても喜ばしいことです。褒めるときには、例えば「私もうれしいよ」といった言葉を添えるなどして、そうした思いを伝え、部下と共有する雰囲気をつくりましょう。それは、部下にとっても、うれしいことのはずです。

4)「え」:笑顔で褒める

いくら褒めているといっても、上司が堅い表情や暗い声では、部下は素直に喜ぶことはできません。また、モチベーションや貢献意欲も高まりにくいものです。褒めるときには、部下が遠慮なく喜びを表せるように、笑顔と明るい声で褒めるようにしましょう。

5)「お」:オープンにする

褒めるときは、周囲に人がいる前で、大きな声で褒めるのが原則です。皆の前で、褒められることで、部下の喜びは大きくなり、自信も一層深まります。

ただし、皆の前で褒められたことで、気が緩んでしまう部下もいます。そうしたことがないように、部下に気を配ることも上司の役割であることを忘れてはいけません。

以上(2021年9月)

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パワハラにならない上手な叱り方のポイントは「あいうえお」

書いてあること

  • 主な読者:部下を「叱る」ということに本気で向き合いたい中堅社員
  • 課題:ついつい感情的に怒ってしまい、後から後悔する
  • 解決策:愛情を持つ、言い方に注意する、上から目線にならない、影響に配慮する、同じ基準で叱る

1 叱った後に……

仕事でミスをした部下のBさんを叱った中堅社員のAさん。Aさんとしては熱心に指導したつもりですが、周囲は「少し厳し過ぎでは……」と感じている様子です。

その日の夕方、タイミングを見計らって課長がAさんに声をかけました。「今日はずいぶん厳しくBさんを叱っていたけど、何があったんだ?」。これに対してAさんは、「はい、実は……」と、Bさんを叱った理由を説明しました。それを聞いた課長は、「なるほど。理由は分かった」と言いつつも、「ここにはBさんの同期や後輩もいるわけだから、その辺りのことも考えてあげないといけないよ。Bさん、ひどく落ち込んだ様子だったから、後でフォローしておくように」と、Aさんに指示を出しました。

Aさん自身も、「ちょっと厳しすぎたかな」と感じていたところだったので、課長に指摘されて、「やはりそうだったか。もう少しBさんの気持ちに配慮して叱ればよかった……」と、反省したのでした。

2 “安全策”は上司の身勝手

中堅社員になって部下を持つと、指導の一環で部下を叱る機会が増えてきます。「叱る」ことは、「褒める」「教える」「考えさせる」ことと同様に、部下を指導する上で欠かせない取り組みです。同時に、上司も叱る過程で、問題をきちんと分析し、どうすれば部下に正しく伝わるかを考えたり、部下の話を根気強く聞こうと努力したりするため、叱ることによって自身の上司としての成長にもつながります。

一方、「パワハラと言われたくない」「部下に嫌われたくない」などと考え、真剣に叱らずに、“安全策”に逃げ込む上司もいます。この場合、上司は部下の顔色をうかがいながら、話す内容、言葉、口調、時間を選びます。時には、場を和ますために不必要な笑顔も振りまくかもしれません。こうすれば、部下との衝突は避けられるでしょう。

ただし、オブラートに包まれた上司の言葉や表情から、部下はその真意を読み取ることはできません。また、部下は上司の叱り方から自分が犯したミスの重大さを理解するものですが、これもままなりません。

部下を叱る一番の目的は「部下の成長を促すこと」ですが、上司が“安全策”に逃げ込んだ瞬間に、叱る目的は「部下の機嫌を損ねないこと」にすり替わります。その場しのぎで部下と表面上は友好的な関係は保てるかもしれませんが、その代償として部下の成長の機会を奪っていることを認識しなければなりません。

3 逃げず、怒らず、あくまで「叱る」

「叱るときは真剣に叱る」。これが上司の仕事であり、安易に“安全策”に逃げてはいけません。とはいえ、ただ厳しくすればよいわけでもありません。先の“安全策”とは正反対で、感情に任せて部下を怒鳴りつける上司もいますが、これでは部下は畏縮してしまいます。

よく「叱る」と「怒る」は違うといわれます。怒るというのは、自分の気持ち(怒り)を、一方的かつ感情的に相手にぶつけている状態です。一方、叱るというのは、部下の成長を促すために、相手を尊重しながら間違いを正し、共に成長していくことです。叱るのは「教育」(教えて育てる)の一環ですが、そこには、同じ「きょういく」でも意味が異なる、「共育」(共に育む)という意味も含まれることを忘れてはいけません。

4 上手な叱り方の「あいうえお」

1)「あ」:愛情を持つ

「叱るよりも叱られるほうが楽」と言われる程、叱る側にはエネルギーが必要です。しかし、自分が辛いときでも、部下のためになるのであれば、上司は真剣に叱らなければなりません。

なお、叱るのを止めることを部下への「やさしさ」と勘違いしてはいけません。真剣に叱らなければ、部下の成長の機会を奪ってしまうのです。

2)「い」:言い方に注意する

同じ内容について叱る場合でも、言い方次第で部下の聞く態度(話の受け入れ度合い)は大きく違ってきます。

例えば、部下が納期遅れを起こしたとしましょう。「部下が二度と納期遅れをしないように指導する」という上司の意図は同じでも、納期遅れのいけない点を強調する叱り方と、部下本人の性格(「ずぼら」「忘れっぽい」など)のいたらなさを強調する叱り方では、明らかに前者のほうが部下は聞く耳を持ってくれるものです。

3)「う」:上から目線にならない

上司の立場と権限を利用して、「とにかく俺(上司)の言うことを聞けばいい!」という叱り方は好ましくありません。叱るときの原則は、できるだけ部下と同じ目線に立ち、部下の言い分もよく聞くことです。そうしなければ部下の考えをよく理解できず、適切な「言い方」が分からないからです。

ただし、「遅刻をしない」などビジネスでは理屈抜きで守るべきルールがあります。それを教え込むときは、上司の立場を利用するのも一策です。

4)「え」:影響に配慮する

周囲に人がいる前で叱られる部下は、「恥ずかしい」「皆の前で侮辱された」と考え、上司の話を聞くどころか、反発を強めます。同様に、朝一番で叱られた部下は、一日中、嫌な思いをすることになります。こうした叱ることの悪影響を排除するために、叱る場所やタイミングには配慮しなければなりません。

また、叱ることとセットで、こちらから世間話をふってみるなど部下の気持ちをフォローすることも上司の役割です。

5)「お」:同じ基準で叱る

同じことをしたのに、あるときは褒められ、あるときは叱られるというのでは、部下は何が正しいのか分かりません。叱る側が必ず守るべきこととして、叱る基準を明確にしなければなりません。

ただし、そのときの状況や部下の成長度合いなどによって叱る基準が変化するのも事実です。これまでとは違う基準で部下を叱る場合、「今回、叱るのは……」と、はじめにその理由を明確にするのが理想的です。

以上(2021年9月)

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画像:Drobot Dean-Adobe Stock

【朝礼】あなたには「自分の物差し」がありますか?

「もしも、君が本当になろうと決めたのなら、もう成功したのと同じだよ」

これは、米国の第16代大統領であるエイブラハム・リンカーンの言葉です。なぜ、決めることが成功につながるのか。私は、本気で決めたら、その目的を達成するための判断基準、つまり「自分の物差し」ができ、それに従って行動できるようになるからだと考えています。けさはこの「自分の物差し」についてお話しします。

先日、メンターと話をしていたときに、「リモートにより人と会う機会が減る中、大切なのは『自分たちらしさ』を共有することである」と言われました。つまり、「これって、うちっぽいよね!」、あるいは「これって、うちっぽくないよね」とメンバーが同じ感覚を持てるということです。この「うちっぽさ」は必ずしも明文化されておらず、私たちが持っている「目に見えない物差し」で判断しているということです。

共通の物差しを持った組織が強いことは間違いないのですが、一つ前提条件があります。それは、その物差しが、「メンバー自身のものになっているか」ということです。

先日、私は交渉の途中で席を立とうと思ったことがありました。「相手の担当者が、自分たちのことしか考えていない」と感じてしまったからです。私の「ビジネスの物差し」は、まず「愛があるか否か」にあります。ですから、自分勝手な人とは、できるだけ仕事をしたくないのです。

ただ、結論としては、もう少し交渉を続けてみることにしました。話を聞いているうちに、相手の担当者が「会社や上司の物差し」で話していることに気付いてきたからです。つまり、会社から課せられたノルマを達成しようと上司の指示を遂行することに必死で、自分勝手にならざるを得ない状況のようでした。

問題は、実はその担当者は愛ある人物かもしれないのに、会社や上司の物差しを意識し過ぎて、自分を出せなくなっていることです。共通の認識となる「らしさ」は大切ですが、そこにメンバーの自主性が伴わなければ、「借り物」の物差しで判断し、行動し続けることになるのです。

物差しは環境の中でつくられ、そして浸透していきます。組織である以上、最後は上司の指示に従うべきです。しかし、そこに至るまでに自分の判断を差し挟む余地が全くない、報連相をしても聞く耳を持ってもらえないといった組織では、メンバーの「自分で考え、判断する能力」はどんどん退化します。結果として、会社の方針や上司の指示に従って自分勝手なことを言っていることに疑問すら感じなくなります。

大切なのは、会社の方針や上司の指示に、皆さんの考えを掛け合わせることです。そのときに生じる疑問や矛盾から皆さんの物差しがつくられていきます。今、皆さんは誰の物差しで判断していますか? 「自分はどうしたいのか?」と自問自答することで答えは見えてきます。

以上(2021年9月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】あなたは「本物」が分かりますか?

先日、宝石商から後継者を育てる際の方針について話を聞いたのですが、これがとても興味深いものでした。宝石商が後継者に伝えていかなければならない最も大切なことは、「宝石の真贋(しんがん)の見極め方」です。その能力を高めるために、宝石商は後継者に本物の宝石だけを見せ、その輝きや色合いを徹底的に刷り込むそうです。

「これが本物。こっちは偽物」と、真贋両方を見せて比べさせるのではなく、本物だけをひたすら見せることで、実際に偽物を見たときに、「これは本物とは違う」と一目で分かるようになるのだそうです。

この考え方はビジネスにおける人付き合いでも同様で、「本物」といわれる人たちと付き合うことで自分自身の成長につながります。「本物」を「一流」と言い換えてもよいでしょう。

「本物」といわれる人たちが持っている哲学に触れ、一緒に仕事を進めていくことで、自身の判断のよりどころが生まれ、物事の正しい進め方も分かってきます。「朱に交われば赤くなる」といいますが、二流三流ではなく、「本物」の人たちと付き合うことで、自らも「本物」に近づいていくということなのでしょう。

とはいえ、人は宝石とは違います。明確な真贋があるわけではありません。名経営者と呼ばれる人などは「本物」といえるかもしれませんが、感じ方は人それぞれです。重要なのは、どのような人を「本物」と思うかという自分の中の基準です。

私が皆さんに日ごろ、「本を読みなさい」「社外の人と話す機会をつくりなさい」「多くのことを経験しなさい」と言っているのは、「どのような人を『本物』と思うか」という基準を皆さん自身で見つけ、それを目標の姿としてほしいからです。

私の場合、「この人は本物だ」と思うポイントを3つ持っています。

1つ目は、家族を大事にしている人です。家庭生活は人間の基本です。それを大事にする人は、何事も大事にするだろうと信頼できるからです。

2つ目は、「時間」と「お金」の使い方に哲学のある人です。「ここに時間とお金を使う」と決めてその通りに使っている人は、自ら物事を考え、判断し、行動することができるからです。

3つ目は、地道な努力を続けられる人です。何かを成し遂げるために地道な努力が必要だと分かってはいても、それを実践できている人は多くはありません。人は、やすきに流れます。自分を律する強い意志の持ち主こそ、地道な努力を続けることができるのです。

この3つのポイントは、あくまでも私の感じる「本物像」です。皆さんも自分なりの「本物像」を見つけ、「本物」と思える人に会う機会をつくる努力をしてください。宝石商では「本物」を見せてくれますが、「本物の人」は皆さんのほうから行動を起こさなければ出会うことはできません。そしていつの日か皆さん自身が「本物」となることを期待しています。

以上(2021年9月)

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画像:Mariko Mitsuda

働き方の多様化に見合う「適正人件費」の考え方

書いてあること

  • 主な読者:改めて適正人件費を検討したい経営者
  • 課題:働き方の多様化で適正人件費の基準が会社などによって異なり、比較できない
  • 解決策:同業他社がどうかではなく、自社の今までと、これからの「人材」「業務」「投資」に着目して基準を設定する

1 適正人件費を考えるための3つの線引き

人件費を適正な水準にしたいというのは経営者共通の思いでしょうが、「では、人件費がどういう状態なら適正といえるの?」と聞かれると、答えに困る人が多いかもしれません。例えば、

自社の労働分配率(人件費÷付加価値×100)を算出し、同業他社の平均などと比較

して、人件費が適正かどうかを判断するという考え方は広く知られていますが、こうした考え方が通用していたのは、労働者全体がある程度均一的な働き方をしていた頃の話です。

年功序列型の雇用システムの崩壊、ジョブ型雇用、外部への業務委託などで働き方が多様化している中、従来の人件費の考え方を今もそのまま当てはめるのは難しくなってきていますし、そもそも当てはめること自体がナンセンスといえます。

これからの適正人件費は、

同業他社がどうかではなく、会社の現状とこれからを考えて、自社だけの基準を設定

しなければなりません。考え方はさまざまありますが、この記事で紹介するのは、次の3つの線引きによって人件費の適正化を図る方法です。

  • 人材の線引き(「中核人材」と「作業者」)
  • 業務の線引き(「自社で必ずやるべき業務」と「外部に出してもいい業務」)
  • 投資の線引き(「これからの注力事業」と「その他の事業」)

2 人材の線引き

1)「中核人材」と「作業者」

同じ仕事を担当する社員でも、「能力」や「経営方針に対する共感度」などは大きく異なります。将来の会社を担ってくれそうな社員は「中核人材」として位置付け、人件費を手厚くします。一方、そうでない社員は「作業者」として位置付け、ある程度割り切って対応します。

能力も経営方針に対する共感度も評価がブレやすいので、経営者が評価基準を決めます。能力については、営業部門であれば商品・サービスの成約件数や商談件数などを評価基準にするといった具合です。また、経営方針に対する共感度については、社員が自社の経営方針を理解しているか、理解した上でその方針についていく意思があるか、経営方針について自分なりのビジョンがあるかなどを評価基準にします。

2)限定正社員制度を設けると、人件費を管理しやすくなる

中核人材と作業者について、それぞれ別々の雇用区分を設定すると、人件費を管理しやすくなります。例えば、「限定正社員制度」を設け、中核人材は正社員、作業者は限定正社員とすることを検討します。

限定正社員とは、

職務内容、勤務地、労働時間などのいずれかが限定される正社員

のことです。例えば、職務内容が限定される限定正社員は、決められた職務以外のことをする必要がありませんが、その代わり割り当てられる人件費は、職務内容が限定されない正社員よりも少なくなります。

図表1は、正社員と限定正社員の1カ月当たりの人件費のイメージです。正社員の人件費は厚生労働省「平成28年就労条件総合調査」の労働費用(調査産業計)を基に設定し、限定正社員の人件費は正社員の9割としています。

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図表1の場合、作業者の雇用区分を「正社員→限定正社員」に変更することで、総額人件費を1カ月当たり4万1682円削減できます。削減できた金額は、中核人材の現金給与額や教育訓練費などに充てます。なお、雇用区分の変更に当たって、人件費の引き下げがどの程度まで認められるかは労働条件などによって異なりますので、実務では社会保険労務士などに相談してください。

3 業務の線引き

1)「自社で必ずやるべき業務」と「外部に出してもいい業務」

業務の一部を外部に委託すれば、社員の作業時間が減り、不要な人件費(残業代など)を削減できます。昨今は、さまざまな業務のプロ人材が外部にいるので、次のように社内業務の多くが業務委託で行えます。

  • 営業関連:見積書・営業資料などの作成、受発注業務、営業戦略の立案、営業データの集計・分析、顧客からの問い合わせ対応、ECサイトの構築・保守運用など
  • 総務・人事関連:電話応対、オフィスの備品管理、採用活動、研修の実施、給与支払い、社会保険手続き、マイナンバー管理、ハラスメントの相談対応など
  • 経理関連:経費精算、請求書発行、月次・年次決算書の作成、年末調整、税務申告など

ただし、本業を外部に委託するのは考えものです。例えば、重要な商品・サービスの営業は、自社の社員のほうが熱を入れてPRできるはずですし、外部に委託すると社内にそのノウハウが蓄積されなくなるので、自社でやるべきです。業務の専門性などにもよりますが、外部に委託するのは、原則として本業との関連性が低い業務(付随業務)にしておきましょう。

2)業務委託で削減される人件費と、発生する外注費のバランスに注意する

業務を外部に委託した場合、委託先の事業者に支払う「外注費」が発生します。ですから会社は、業務委託で削減される人件費と、発生する外注費のバランスに注意する必要があります。

図表2は、業務委託前後における1カ月当たりの人件費のイメージです。業務委託前は所定外労働(時間外・休日労働など所定外の労働)が発生していましたが、業務委託によって所定外労働が発生しなくなったことで、所定外給与(所定外労働に対して支払う給与)と法定福利費(社会・労働保険料の会社負担分)が削減されたという想定です。

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図表2の場合、総額人件費は1カ月当たり2万5064円削減されますので、外注費についても2万5064円を超えないように注意します。2万5064円を超えてしまう場合、より安価な事業者を探すか、委託する業務内容を見直すなどして外注費を調整します。

もっとも、仮に外注費が割高になってしまっても、社員が業務委託によって空いた時間で別の成果を挙げれば、業務委託は無駄になりません。この辺りはコストだけでなく、「空いた時間で、社員に何をさせるか」という点も考慮して、適正人件費を設定するようにしましょう。

4 投資の線引き

1)「これからの注力事業」と「その他の事業」

会社が複数の事業を行っている場合、経営戦略上重要となる「これからの注力事業」と「その他の事業」を線引きします。これからの注力事業に従事する社員には人件費を手厚くし、その他の事業に従事する社員には、その重要度や難易度に応じて人件費を割り当てます。

いわゆる「ジョブ型雇用」に通じる考え方であり、具体的には、

  • 会社の事業と、それに関連する社員の職務をリストアップする
  • 重要度や難易度に応じて事業内容と職務内容をグルーピングする
  • グルーピングの内容を基に格付けを行い、その格付けに基づいて人件費を設定する

という流れで人件費の見直しを進めることになります。

2)年齢給など属人的な要素を、職務給などに振り替える

ジョブ型雇用では、仕事(ジョブ)に等級を設け、それに基づいて給与を支払いますので、現状その仕組みがない場合、給与制度の改定が必要になります。とはいえ、給与制度の改定によって総額人件費があまり大きく変動するのは、会社にとって困りものです。

そこで、ジョブ型雇用に移行する場合、まずは総額人件費を変更しないまま、現行の給与制度の内容をジョブ型雇用の考え方に合致したものに変えていきます。具体的には、「年齢給」などの属人的な要素を廃止し、「職務給」などに振り替えます。

図表3は、年齢給を廃止し、職務給を導入する場合のイメージです。A、B、C、Dの4人の社員について、給与の総額が職務給の導入前後で変更がないようにしつつ、年齢給を職務給に振り替えています。

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BとCは、職務給導入前は年齢給の関係で支給額に差がありましたが、職務給導入後は等級が同じため、支給額も同額になっています。なお、図表3では、職務給導入前後で給与の総額は変わりませんが、年齢給の廃止に伴い、今後は年齢が上がることによる定期昇給がなくなりますので、長期的な視点で見た場合、人件費が抑制されることになります。

なお、このような変更は、労働条件の不利益変更となる場合がありますので、導入に当たっては社会保険労務士などの専門家に相談してください。

以上(2021年9月)
(監修 社会保険労務士 志賀碧)

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社内の情報流通をブロックする「門番社員」を排除せよ!

書いてあること

  • 主な読者:自身と他の部下との間に入って「門番」になってしまう部下がいる
  • 課題:門番にもやる気はあるが、他の部下の成長に悪影響を及ぼす
  • 解決策:上司がつとめてフラットかつ平等に接して、情報の非対称性をなくす

1 特定の部下に頼り過ぎてはいけない?

来年度の行動計画を検討している中堅社員のAさん。人、つまり部下に関する課題解決が重要だと認識しています。Aさんが最も憂慮している課題は、機能するチームづくりです。

Aさんのチームは5人です。このうち、Aさんの考えを理解して、自主的に活動してくれるのはBさん1人だけで、残りの4人は指示された仕事しかしません。自主的に活動しようとする部下もいますが、何から始めたらよいのか分からないようです。

こうなるとAさんはBさんに頼るようになりますが、チーム内でコミュニケーションの偏りが生じると、Bさん以外の4人の活動がますます停滞します。どうしたらよいのか、AさんがC部長に相談したところ、C部長は次のように返しました。

「優秀なBさんに頼るのは当然だけど、与える権限は調整しないとね。例えば、他の部下がAさんに話をする際、必ずBさんを通すような体制になっていると、チームのコミュニケーションは停滞し、部下の成長機会も失うことになるよ」

2 部下を門番にしてはいけない

優秀な部下は上司とともに行動する時間が長く、かばん持ちや秘書(スケジュール調整)のような役割を担います。こうして、上司が会う相手、商談の内容、ビジネスの進め方などを学んでいくわけです。上司としても優秀な部下を育てたいと思っているので、特に重要なシーンでは同行させます。また、一部のスケジュール管理も任せるようになるため、その部下は上司のスケジュールを把握するようになります。

こうなったときに生じる、上司が意図しない現象が優秀な部下の“門番化”です。以下、門番化した部下を「門番」と表記します。上司と話をするには必ず門番を通したり、上司の考えを本人ではなく門番に確認したりする体制になっていくのです。

皮肉なことに、この傾向は一生懸命に働いている上司のチームほど顕著です。こうした上司の威厳は高く、多忙のため、部下はなかなか話す機会のない上司に畏怖の念を抱くため、門番に頼るようになります。

これはいけないと感じた上司は、全ての部下を平等に扱おうとするかもしれません。しかし、経験の浅い部下や、やる気が乏しい部下に時間を割いて、優秀な部下と接する時間が減ることの機会費用は小さくありません。

では、上司はどうするべきなのでしょうか。まず、上司の考え方、スケジュール、経費(交際接待費など)の使い道などの情報を平等に知らせます。こうすることで、門番による偏った情報統制を回避でき、チームに平等感が広まります。

一方、部下が上司から与えられた情報を活用して具体的にどのような行動を取るかは、部下自身に任せます。こうすると、優秀な部下や、やる気のある部下が自然と目立つようになってきます。

3 能力不足の部下をフォローする

部下の中には、上司の方針を踏まえ、いかにも“もっともそう”なことを言うものの、何ら行動を起こさない人が少なくありません。このタイプは、何も考えていない口だけの部下と、やる気はあるが何をしたらよいか分からない部下に大別されます。

後者のやる気はあるが何をしたらよいか分からない部下には、何らかのケアをしなければなりません。重要なのは、思考と行動をセットにすることと、期限を設けることの徹底です。

思考と行動をセットにすることについては、1~2カ月に1回の頻度で個別面談をすると効果的です。部下が次の面談までにすべきことを決めていくのです。なお、最初は様子見ということで、上司は細かな管理などはせずに部下に任せてみます。

その結果、上司が納得できるスピード感で行動できている部下はそのままでよいでしょう。一方、面談では目標に納得しているようだが、ほとんど行動を起こすことができない部下には、期限を設ける必要があります。

具体的には、部下と一緒に行動を分解し、優先順位付けも行います。部下が動けない理由は、「能力がない」「時間がない」「優先順位が分からず混乱している」といった3点に集約されます。

行動を分解し、優先順位付けを行うことで問題は切り分けられます。「いつまでに何をする」ところまで明確なのに行動できないのは、その時点では部下の能力が不足しているということなので、目標のレベルを下げる必要があります。

部下の人数にもよりますが、この取り組みを上司1人で行うのは負担が重くなります。そのため、一部の取り組みについては優秀な部下に任せるようにします。ただし、優秀な部下が門番化しないように注意することは不可欠です。

4 自分で人材を見つけ、採用する

ここで紹介してきたのは、今いるメンバーの力を高めていくための取り組みです。一方、新しいことを始める場合には、新たなメンバーを迎え入れなければならないこともあります。

最近は空前の人手不足で、いわゆる「リファラル採用」(社員による人材の紹介や募集)が中小企業に広まっています。採用はこれまで人事の仕事でしたが、リファラル採用では、上司が自分の欲しい人材を積極的に見つけられるようになります。

今、自分のチームに不足しているのはどのような人材なのか、上司が一番理解しているはずです。部下の成長を待つ時間はなく、全社的に人手不足で補充が見込めないのであれば、人事と連携しながら、自らメンバーを探してくることも大切なのです。

以上(2021年9月)

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成果と出口戦略を決める/経済性と社会性を両立させる中小企業のSDGs(2)

書いてあること

  • 主な読者:SDGsに本格的に取り組みたいけれど、企業としての損得勘定も気になる経営者
  • 課題:経済性と社会性を両立させるSDGsの取り組み方を知る
  • 解決策:取り組みの成果を誰が褒めてくれ、どんな経済的なメリットがあるのかという出口戦略を決める。必要であれば行政などへの提言事業も行ってメリットを引き出す

1 SDGsで経済的なメリットを享受するのに必要な「出口戦略」

第1回では、コロナ禍において、新しいビジネスモデルへの転換が求められている中で、

「もっと社会課題、そして政府や地方自治体が作る政策に目を向け、経済性と社会性の両立を目指すことが、中小企業のSDGsの取り組み方である」

と、お話しさせていただきました。また、具体的に自社の事業と政策のマッチングの仕方も示させていただきました。

ただし、実際に政策とマッチングさせた事業に取り組んで成果を上げ、経済的なメリットを享受することは、口で言うほど簡単ではありません。行政など社会課題の解決に取り組むプロ集団とパートナーになり、運動(成果を作るアクション)を行う必要があります。

今回は、こうした運動の仕方を含め、

最終的にSDGsで経済的なメリットを享受するまでの「出口戦略」を決める方法

についてお話をさせていただきます。

2 成果を得るための運動は「推進事業」と「提言事業」の2つ

第1回でご説明したように、SDGsの取り組みで鍵になるのは、ビジネスに取り組んでいるプロ集団である企業と、社会課題の解決に取り組んでいるプロ集団である行政やNPOという、両プロ集団の融合です。両プロ集団の融合は、解決する社会課題を決める段階では自社の事業と政策とのマッチングでしたが、成果を得るために運動する段階での両プロ集団の融合は、企業が行政やNPOなどとパートナーとして連携することを意味します。

では、両プロ集団を融合させ、成果を得るための運動とは、具体的にはどんなアクションでしょうか? 私が共同代表を務める一般社団法人SDGsマネジメント(以下「SDM」)では、「推進事業」と「提言事業」の2つがあると定義しています。

第1回でも紹介した、SDMで共同代表をしている西岡徹人さんが経営するSUNSHOW GROUP(以下「SG」)による女性活躍の推進を例に、2つの運動の方法をご説明します。

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1)推進事業

「推進事業」の第一歩は、自社が目指す成果と、行政などが後押ししている政策をマッチングさせることです。政府は女性活躍の推進にあたり、女性活躍推進法という法律を策定し、女性採用比率の向上、勤続年数の男女格差是正、労働時間の適正化、女性管理職比率の向上などを指標に掲げて、企業の女性活躍を後押ししています。

その一環として厚生労働省では、「えるぼし認定」という企業認定制度を準備し、企業の女性活躍への取り組みを見える化し、社会的に評価できるような仕掛けを展開しています。SGでは、厚生労働省をパートナーにすることに決め、同省が推進するえるぼし認定を取得しました。

ただし、SGの推進事業のポイントは、えるぼし認定の取得だけを成果とせず、女性従業員が活躍できるような環境づくりを目指す部門「チーム夢子」を創設するという、自社で独自に決めた成果を連動させていることです。

政府が制定する認定制度系の推進事業は、取得したら終わりという企業が少なくありません。認定を取得することは、「政府からのお墨付き」としてとても重要なことなのですが、我々が目指すべき成果とは、持続的に社会課題を解決する仕組みを作ることです。

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2)提言事業

次に「提言事業」についてご説明します。SDMでは提言事業を「政策の弱点を捉えて、自ら仮説を立案し、対象地域を決めて、プロ集団とのパートナー連携を通じて社会実験を行い、エビデンスを集めて検証すること」と定義しています。推進事業による成果だけでは経済的なメリットが得られにくいと感じた場合、提言事業によって世論や行政などに働き掛け、メリットを享受できるようにするための運動です。

具体的に、SGでの事例をお話しします。前述の通り、SGはえるぼし認定という制度を活用しました。ですが、残念ながらこのえるぼし認定という制度だけでは、女性活躍推進政策として完璧なものとはいえませんでした。

SDMは2020年、企業のえるぼし認定取得を後押しするため、女性活躍推進アドバイザーによる無料相談事業を支援しました。ところが、コロナ禍ということもあるかもしれませんが、正直に申し上げると、中小企業の皆さまの反応は良くありませんでした。SDMが社会保険労務士や専門家の皆さまと検証した中では、「えるぼし認定だけでは、中小企業にとって女性活躍を推進するインセンティブが感じられない」との意見が多く出ました。

これを受けてSGは、他の企業も女性活躍の推進に取り組みやすくなるようなメリットが明らかになる仮説を立証するために、一般社団法人WOMAN EMPOWERMENT PLATFORM(以下「WEP」)を立ち上げました。WEPでは、「どんな中小企業でも女性と男性が力を合わせ、得意なことを活かしあうことができる」という仮説を立証するための社会実験を行い、その経過を発信しています。SGでのビジネス上の成果に加え、WEPでの社会実験の成果についても、西岡さんを通じて厚生労働省に伝えられますので、政策の変化も期待できます。なお、一般社団法人を立ち上げる意義については、次回に詳しくご説明させていただきます。

3 出口戦略は「褒めてもらう」ことから始まる

最後に、経済的なメリットを享受するための「出口戦略」について話をします。企業が社会課題の解決に取り組むときに陥りがちなのが、「自己満足」です。設定した成果は、誰が幸せになっているのでしょうか? 誰が褒めてくれるのでしょうか? 出口戦略は、それが「誰か」を、事前にしっかり決めておくことから始まります。

SGの事例の場合、女性活躍のための推進事業は、直接的に「お客さまから褒められる」ことは目指していません。むしろお客さまには見えない部分であり、「女性活躍を推進しているのでSGから家を買う」という動機付けにもなりません。SGの女性活躍推進事業は、「厚生労働省から褒められる」「従業員から褒められる」「金融機関から褒められる」「報道機関から褒められる」ことを出口戦略にしています。結果として、褒められることが「生産性の向上」「離職率の低下」「金融評価の向上」などのメリットに結び付いているのです。

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また、提言事業の出口戦略は、行政などに提言を受け入れてもらうことです。ですが、提言は行政にとって耳の痛い話です。行政の立場で見れば、自分たちがやってほしいこと(推進事業)をやってもくれない企業から、正論であっても耳の痛い話は言われたくないでしょう。SGは政策推進をしっかりと実行することで、厚生労働省や地元の岐阜市に提言を受け入れてもらいやすい良好な関係を構築しているので、提言事業についてもしっかりと出口を確保することができています。

4 ここまでのまとめ

ここまでの話で、経済性と社会性を両立させるために決める、成果と出口戦略をイメージすることはできましたでしょうか? 最後に、成果と出口戦略の思考フローを整理します。

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第3回は、推進事業と提言事業という2つの運動について深掘りしながら、SDGsの究極の形ともいえる、SDGsをビジネスモデル化するためのパートナーシップによる価値創造についてお話をします。

以上(2021年9月)

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画像:Adobe Stock-Sakosshu Taro

【従業員が交通事故!】責任割合はどうなる? ①同幅員の交差点

書いてあること

  • 主な読者:社有車の事故防止に力を入れたい経営者や運行管理責任者ならびに運転者
  • 課題:交通事故の基本的な責任割合や未然防止策を知りたい
  • 解決策:過去の裁判例に基づく基本的な責任割合と場所や状況に応じた事故防止策を理解する

1 今回の現場と事故の状況を把握します。

今回の事故状況はこちらです。A(自社の青い車)が、交差点でB(相手方の赤い車)と接触してしまいました。双方ともに、直進しようとしていたそうです。

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【A車:自社車両 B車:相手方車両】

一般的に交差点で確認すべきポイントは、主に以下の5点です。

①信号の有無
②双方の道路幅
③交通規制の有無
④センターラインの有無
⑤双方の速度

その他、双方の進行方向(直進、右折、左折など)、車の損害状況や通行した時間帯なども把握しておくと、責任割合を判断する参考になります。また、最近ではドライブレコーダーを搭載した車両も多くなってきました。ドライブレコーダーの機種によっては、時間経過するとデータが自動消去されるものや、走行すると上書きされてしまうものもありますので、事故を録画したデータの保全も重要です。

2 今回の責任割合を、見てみましょう。

1)責任割合の決まり方は?

双方に責任が生じる事故の場合、主に加入している保険会社が窓口となって、相手保険会社と交渉します。過去の裁判例を参考に、実際の事故状況に応じて責任割合を話し合い、決定します。

2)今回の責任割合は?

過去の裁判例より、A(自社の青い車)60%:B(相手方の赤い車)40% が基本の責任割合となります。

今回は信号機や一時停止等の規制がなく、どちらの道路も同じ幅でセンターラインがありません。双方同程度のスピードで接触した場合の基本の割合です。

道路交通法では、左方優先(左側の車を優先)とすることが定められています(道路交通法36条1項1号)。そのため、左方側のB車の割合が10%程度少なくなることが一般的です。

※実際は、それぞれの事故状況に応じて個別に決定されます。そのため、記載の内容とは異なる結果になる場合もあります。

3 事故を未然に防ぐポイントは?

交差点は建物やブロック塀などで見通しの悪い場所も多く、左右の安全を走行しながら確認するのは、難しいケースもあります。

  • まずは、交差点進入時はスピードを落とす
  • 次に、左右の安全が確認できる地点まで、減速しつつ進む(カーブミラーも活用)
  • さらに、車や自転車が突然出てくる事も想定し、慎重に走行する

ことで、事故のリスクを軽減することができます。

車の運転は一人で行う業務のため、運転者本人が「事故を絶対に起こさない。」という意識を強くもち、事故を起こさない運転行動を自主的に行うことが重要です。

また、管理者は運転者がそのような意識をもち、日々実践できるように組織的なサポート・指導・管理を行う必要があります。

以上(2021年9月)

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本記事で紹介している責任割合は、過去の裁判例を参考にした基本的な割合です。実際は、それぞれの事故状況に応じて個別に決定されます。そのため、記載の内容と異なる結果になる場合もあります。

組織を速く動かすために必要なのはアクセル人材よりもブレーキ人材

書いてあること

  • 主な読者:プロジェクトなどを率いる立場になってきた中堅社員
  • 課題:スピードをあげるために「イケイケ」で進もうとするが、危ういところがある
  • 解決策:アクセルを踏む人材だけではなく、ブレーキを踏める人材を側におく

1 流れを途絶えさせる(?)意見

現在、中堅社員のAさんの会社では、全社を挙げて業務効率化プロジェクトを推進しており、Aさんはそのプロジェクトの責任者を任されていました。業務効率化は喫緊の課題であり、これまでにもさまざまな案が出され、既に実行に移されているものも数多くあります。

今は、各部署のメンバーが集まったオンラインミーティングの最中です。既にスタートしている取り組みの進捗状況や成果報告、新たな業務効率化策の検討を行っています。

そこで、あるメンバーから、新たな業務効率化案が提案されました。そのメンバーの説明では、大きな効果が見込めるとのことで、Aさんをはじめ、各メンバーもすぐにでも取り組みを始めるという方向で議論が進んでいました。そのような中、メンバーのBさんが発言をしました。

ちょっと待ってください。その部署では既に多くの取り組みが始められています。それらは、まだ部署内で定着しておらず、効果測定も十分ではありません。その上、この案を進めれば、業務に混乱を来してミスが発生したり、社員の“業務効率化疲れ”を招いたりしないでしょうか。その辺りを確認しつつ、場合によっては、現在の取り組みの優先順位の見直しや、この案の延期や中止も視野に入れて、もう少し慎重に検討しませんか。

Bさんの発言で、盛り上がっていた会議が静まり返ってしまいました。

2 カーレースで勝つためのポイント

中堅社員が円滑に業務を進めていくためには、信頼のおける部下が必要です。その部下に求める基準や役割はさまざまですが、大切なポイントの一つに

適切にブレーキを踏むことができるか

ということがあります。適切にブレーキを踏むことのできる人(以下「ブレーキを踏む人」)とは、組織の流れや雰囲気に流されず、また自身の利害関係を問わずに、そこに潜むリスクなどを見つけ、必要に応じて建設的な対策を提案したり、時には「反対だ」という意見を、毅然として主張したりできる人です。

しばしば、「カーレースで重要になるポイントは、ブレーキングにある」といわれます。これと同じで、組織が“速く走る”ためには、アクセルを踏む人だけではなく、ブレーキを踏む人も重要な存在です。

中堅社員が、その役割を担うこともできますが、自分とは違った視点からブレーキを踏む人が身近にいることは、意思決定の質を高める上で大切になります。

3 ブレーキを踏む人はなぜ貴重か

反対意見を言える人をそばに置くことの大切さは、よく指摘されます。そのため、ブレーキを踏む人のような存在の重要性は認識している人が多いでしょう。しかし、ブレーキを踏む人は多くありません。それは、ブレーキを踏む人になるためのハードルが高いからです。例えば、ブレーキを踏む人には次のような要素が欠かせません。

1)相応の知識や経験

ブレーキを踏む人は、決して保守的であったり、自身の保身を図るために反対したりしてはいけません。また、人の好き嫌いで物事を判断するような人でもありません。ブレーキを踏む人は、各局面において是々非々で考え、ブレーキを踏む必要性、踏むときのタイミングを考慮した上で、適切な意見を表明できる人です。

こうした判断を下すには、業務に関する知識・経験が必要ですし、実務の流れや組織の現状などを、しっかりと把握していなければできません。

2)組織への高い貢献意欲や使命感

通常、ブレーキを踏むことで、“得”をすることはありません。冒頭の例でいえば、業務効率化という実績が上がれば組織での評価は高まります。メンバーは昇進・昇格するかもしれません。

しかし、Bさんのようなブレーキを踏む人は、ともすると「抵抗勢力」「後ろ向きの人」などと、否定的な評価をされがちです。また、ブレーキを踏むことに対する明確な評価基準はないので、昇進・昇格につながることも少ないです。

そのため、社員の中には「ブレーキを踏むべきだ」と思っていても、「ここで言っても、何の得もない」などと考えて、実際に発言を控えるような人もいます。それにもかかわらず、ブレーキを踏めるというのは、その人が「組織を、より良くしたい」「組織のために役立ちたい」といったような、組織への高い貢献意欲や使命感があるからです。

4 育てるために上司が気を付けること

ブレーキを踏む人を育てるために大切なことは、月並みかもしれませんが、上司がその人の意見や行動を認め、感謝の思いを示すことです。

昇進・昇格などの形で報いることも大切です。しかし、組織への高い貢献意欲や使命感がある人は、それと同等、あるいはそれ以上に、上司の「ありがとう」という言葉で、自身が認められているという事実を意気に感じます。

例えば、重要案件について意見を聞くようにすると、その人は「上司に信頼されている」「組織に必要とされている」ということを実感するものです。

また、ブレーキを踏む人は、社内で相応の役職にいることが一般的なため、上司は「職務上、当然のこと」と考え、その後のフォローを怠りがちです。しかし、「ありがとう。あの意見は役に立ったよ」などといった一言も効果があるので、そうした配慮を忘れないようにしましょう。

以上(2021年9月)

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画像:khosrork-Adobe Stock

【朝礼】営業力を高めるために必要な3つのこと

私が通うクリーニング店には、2通りの店員がいます。白いシャツをクリーニングに出すことが多い私に、「シャツ1枚につきプラス15円で襟をより白く仕上げるサービスがおすすめです。いかがですか」と提案してくれる店員と、そうした提案を全くしてくれない店員です。

前者の場合、白いシャツを着る機会が多い私は喜んでそのサービスを利用します。後者の場合、仕方なく私のほうからそのサービスをお願いすることになります。するとその店員は、「1枚プラス15円かかってしまいますが、よいですか」と聞いてきます。まるで、私に対して悪いことをしているかのように。そう聞かれた私は、後者の店員の「営業力の低さ」をもどかしく思います。同時に、我が社の社員は、前者の「サービスを自ら前向きに提案できる店員」のようにあってほしいと願うのです。実際のところ、皆さんはどちらの店員に近いのでしょうか?

日ごろから皆さんに言っている通り、お客様に提案するのは悪いことではありません。むしろ、お客様は提案を待っています。状況にもよりますが、商品やサービスを提案してくれる皆さんのことを、お客様は、「自分のことを考えてくれているのだな」と好意的に感じるものです。

皆さんがお客様に提案できないのは、「何を提案すべきか分からない」「断られたりしたくない」と思うからかもしれません。中には、営業しようという意識を持てていない人もいるでしょう。

こうした状況を変え、営業力を高めてお客様に自ら提案できるようになるために、今日から次の3つのことを実践してください。

まず1つ目は、数字に敏感になることです。皆さんは今期の売上目標が分かりますか? 会社の売上と営業利益を知っていますか? 一番大きな売上のお客様とその金額をすぐに答えられますか? こうした数字は営業の基本です。売上や利益といった数字に敏感になることで、営業しようという意識も芽生えてくるでしょう。

2つ目は、我が社の商品やサービスをよく知ることです。特に、商品やサービスの「おすすめポイント」は必ず押さえておきましょう。コストや納期を含め、お客様にどのような価値を提供できるのかを知っていれば、「何を提案すべきか分からない」ということはなくなるはずです。

そして3つ目は、お客様のことをよく知ることです。それには、接する機会を増やすことが大切です。私が皆さんに、少なくとも月に1度はお客様と話をするように言っているのはそのためです。今どきはSNSを使っているお客様も多いので、それをチェックするのもよいでしょう。お客様の投稿、どのようなセミナーやイベントに顔を出しているかを見れば、お客様が今、何に関心を持っているかが分かるからです。

この3つのことを積み重ね、ぜひ一度、営業で成功体験をしてください。それこそが、皆さんの営業力の大きな肥やしになるでしょう。

以上(2021年9月)

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画像:Mariko Mitsuda